説明

通信装置

【課題】内部電源から十分な電力供給が得られない場合であっても、個人認証情報等を利用することができる通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置は、内部電源15から電力供給を受けて、第1のアンテナ11を介してRF信号を送受信する第1の送受信部12を含むアクティブタグ10と、個人データを格納する第2の記憶部24を含むパッシブタグ20と、内部電源からの電力をアクティブタグおよびパッシブタグへ供給する電力供給線PSLと、アクティブタグとパッシブタグとの間の電力供給線に介在するスイッチSWとを備え、内部電源の電力が所定値以上である場合、スイッチは導通状態であり、アクティブタグおよび第2の記憶部が用いられ、内部電源の電力が所定値未満になった場合、スイッチは非導通状態になり、パッシブタグが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に係わり、例えば、モバイル端末機器のRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型電話機などのモバイル機器は、無線ICカードを取り付けることによって、認証機能、クレジットカード機能、電子マネー機能等を搭載する。その代表例として、おサイフケータイ(登録商標)、モバイルSuica(登録商標)、Edy(登録商標)、iD(登録商標)などである。
【0003】
モバイル機器の無線ICカードとしては、アクティブRFID(Radio Frequency Identity)タグが用いられている。アクティブRFIDタグは、電池など電源からの電源供給を必要とする。電源の電力が弱くなり、あるいは、電源をモバイル機器から取り外すと、アクティブRFIDタグは動作不能となる。例えば、電源電池が外出先で切れた場合、個人情報の管理、個人認証機能、クレジットカード機能、電子マネー機能などが利用不可能になってしまう。
【特許文献1】特開2006−197277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内部電源から十分な電力供給が得られない場合であっても、個人認証情報等を利用することができる通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る実施形態に従った通信装置は、内部電源と、第1のアンテナと、前記内部電源から電力供給を受けて、前記第1のアンテナを介してRF信号を送受信する第1の送受信部と、前記第1の送受信部で送受信される信号を処理する第1の演算部と、前記第1の演算部で実行されるプログラムおよび前記第1の送受信部で送受信するデータを格納する第1の記憶部とを含むアクティブタグ、
個人データを格納する第2の記憶部と、第2のアンテナと、外部からの信号を前記第2のアンテナで受けることによって電力を得て、前記個人データを送信可能な第2の送受信部と、前記第2の送受信部で送受信される信号を処理する第2の演算部とを含むパッシブタグ、
前記内部電源からの電力を前記アクティブタグおよび前記パッシブタグへ供給する電力供給線および、
前記アクティブタグと前記パッシブタグとの間の前記電力供給線に介在するスイッチを備え、
前記内部電源の電力が所定値以上である場合、前記スイッチは導通状態であり、前記アクティブタグおよび前記第2の記憶部が用いられ、
前記内部電源の電力が所定値未満になった場合、前記スイッチは非導通状態になり、前記パッシブタグが用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による通信装置は、内部電源から十分な電力供給が得られない場合であっても、個人認証情報等を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態に従ったモバイル機器の構成を示すブロック図である。モバイル機器は、例えば、携帯型電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型パーソナルコンピュータ、携帯型ゲーム機、電子手帳、電子辞書等である。
【0009】
モバイル機器は、アクティブRFIDタグ(以下、アクティブタグという)10およびパッシブRFIDタグ(以下、パッシブタグという)20を備えている。アクティブタグ10は、例えば、EPC(TM)globalのclass4またはclass5の規格に適合したものでよい。パッシブタグ20は、例えば、EPC(TM)globalのclass0、class1またはclass2の規格に適合したものでよい。アクティブタグ10は、内部電源としての電池15と、第1のアンテナ11と、第1の送受信部(第1のR/S)12と、第1の演算部としてのMPU(Micro Processing Unit)13と、第1の記憶部としてのメインメモリ14と、DC−DCコンバータ16と、キャパシタ17とを含む。第1の送受信部12は、電池15からの電力供給を受けて、第1のアンテナ11を介してRF信号を送信し、あるいは、RF信号を受信する。MPU13は、第1の送受信部12で送受信される信号を処理する。メインメモリ14は、MPU13で実行されるプログラムおよび第1の送受信部12で送受信するデータを格納する。メインメモリ14は、例えば、キャッシュメモリのような作業領域としてDRAM(Dynamic Random Access Memory) 、SRAM(Static RAM)、FBC(Floating Body Cell)などの揮発性メモリを用い、大容量のデータを保存する保存領域としてフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Driver)などの不揮発性メモリあるいは記憶装置を用いる。
【0010】
DC−DCコンバータ16は、電池15の電圧を変換し、アクティブタグ10および/またはパッシブタグ20へ電力を供給する。キャパシタ17は、ノイズを除去し、電力を安定させるために設けられている。
【0011】
パッシブタグ20は、第2の記憶部としてのミニメモリ24と、第2のアンテナ21と、第2の送受信部(第2のR/S)22と、第2の演算部としてのミニCPU(Central Processing Unit)23と、整流器25と、キャパシタ27とを含む。
【0012】
一般に、パッシブタグは、Suica(登録商標)等のICカードに用いられている。パッシブタグは、リーダ/ライタ(Reader/Writer)が発信する信号から電源(誘導起電力)を得る。このため、パッシブタグは、電池からの電源供給を必要としない。しかし、リーダ/ライタからの電源供給は非常に少ないため、パッシブタグから送信される信号は微弱である。
【0013】
ミニメモリ24は、キャッシュカード機能やクレジットカード機能等の個人認証情報、電子マネーの残高等の資産情報、電話番号リストやメールアドレスリスト等の個人情報(以下、これらをまとめて個人データという)を格納する。ミニメモリ24は、このような個人にとって重要な個人データを格納する。よって、ミニメモリ24は、例えば、FeRAM(Ferroelectric RAM)、MRAM(Magnetic RAM)、PRAM(Phase change RAM)、RRAM(Resistive RAM)等の低消費電力で高速動作可能な不揮発性メモリからなる。ミニメモリ24は、個人データを記憶するだけであるので、モバイル機器を動作させるアプリケーション用のプログラム等を格納するメインメモリ14よりも容量が小さくてよい。
【0014】
第2のアンテナ21は、外部のリーダ/ライタ(Reader/Writer)が発信する信号から電力を得る。第2のアンテナ21で発生した電力は、整流器25を介して第2の送受信部22、ミニCPU23およびミニメモリ24に供給される。第2の送受信部22は、第2のアンテナ21から電力供給を受けるとともに、第2のアンテナ21を介して信号を送受信する。ミニCPU23は、第2の送受信部22で送受信される信号を処理する。第2の送受信部22、ミニCPU23およびミニメモリ24は、消費電力が小さく、外部信号から得られた誘導起電力によって動作することができる。キャパシタ27は、整流器25からの誘導起電力を安定させるために設けられている。
【0015】
このように、第1の実施形態によるモバイル機器は、アクティブタグ10とパッシブタグ20とを混載している。電力供給線PSLは、電池15からの誘導起電力(単に、電力ともいう)をアクティブタグ10およびパッシブタグ20へ供給可能に設けられている。電力供給線PSLは、電池15からDC−DCコンバータ16を介してアクティブタグ10に接続され、さらに、アクティブタグ10とパッシブタグ20との間にも設けられている。
【0016】
アクティブタグ10とパッシブタグ20との間の電力供給線PSLには、スイッチSWが介在している、スイッチSWは、アクティブタグ10とパッシブタグ20との間の電力供給線PSLを導通させ、あるいは、非導通にすることができる。スイッチSWは、例えば、スイッチングトランジスタ(MOSFET)で構成すればよい。
【0017】
信号線SL1は、第1のアンテナ11、第1の送受信部12、MPU13、メインメモリ14およびミニメモリ24を接続する。信号線SL2は、第2のアンテナ21、第2の送受信部22、ミニCPU23、およびミニメモリ24を接続する。ミニメモリ24は、重要な個人データを格納するため、アクティブタグ10およびパッシブタグ20の両方に共通に利用される。
【0018】
次に、本実施形態によるモバイル機器の動作を説明する。電池15の出力電力がアクティブタグ10を動作させるのに十分である場合(ノーマルモード)、スイッチSWは導通状態(オン状態)になっている。図1は、ノーマルモードにおけるモバイル機器の状態を示す。電池15は、アクティブタグ10およびパッシブタグ20に電力を供給する。これにより、第1の送受信部12、MPU13、メインメモリ14、ミニメモリ24が動作する。このノーマルモードでは、モバイル機器は、通常動作を行う。
【0019】
例えば、モバイル機器が携帯型電話機である場合、携帯型電話機は、iアプリ(登録商標)などのアプリケーションを実行することができ、アクティブタグ10を用いて通話および通信を行うことができる。
【0020】
また、モバイル機器がモバイルSuica(登録商標)機能を搭載している場合、モバイル機器と駅改札口等に設けられているリーダ/ライタとの信号のやり取りは、アクティブタグ10を通して実行される。例えば、リーダ/ライタからの信号は、第1のアンテナ11を介して第1の送受信部12で受信される。この受信信号はMPU13で処理され、メインメモリ14に格納される。一方、リーダ/ライタへ送信すべき情報(例えば、定期券の情報、チャージされている金額(ストアードフェア)の情報等)は、個人データとしてミニメモリ24に格納されている。従って、リーダ/ライタへ送信すべき情報は、ミニメモリ24から第1の送受信部12および第1のアンテナ11を介してリーダ/ライタへ送信される。
【0021】
例えば、モバイル機器がおサイフケータイ(登録商標)である場合、その機器にチャージされている金額は、個人データとしてミニメモリ24に格納されている。従って、リーダ/ライタへ送信すべき情報は、ミニメモリ24から第1の送受信部12および第1のアンテナ11を介してリーダ/ライタへ送信される。
【0022】
同様に、モバイル機器がiD(登録商標)のようなクレジットカード機能、キャッシング機能またはキャッシュカード機能を有する場合、リーダ/ライタへ送信すべき個人認証データはミニメモリ24に格納されているので、モバイル機器は、個人認証データを、ミニメモリ24から第1の送受信部12および第1のアンテナ11を介してリーダ/ライタへ送信する。
【0023】
さらに、ノーマルモードでは、モバイル機器は、アクティブタグ10を用いて個人データの更新も実行することができる。個人データの更新は、iアプリ(登録商標)を用いて実行され得る。モバイル機器の設定変更および新規機能のインストールも、iアプリ(登録商標)を用いて実行され得る。
【0024】
電池15の出力電力がアクティブタグ10を動作させるのに不十分である(電池15が切れた)場合(省電力モード)、スイッチSWは非導通状態(オフ状態)になる。図2は、省電力モードにおけるモバイル機器の状態を示す。省電力モードでは、電池15は、アクティブタグ10内の第1の送受信部12、MPU13、メインメモリ14を動作させることができない。省電力モードでは、パッシブタグ20内の第2のアンテナ21および整流器25がリーダ/ライタからの信号を受けて電力を発生させ、この電力を第2の送受信部22、ミニCPU23およびミニメモリ24に供給する。このリーダ/ライタからの信号に基づく電力は、第2の送受信部22、ミニCPU23およびミニメモリ24を動作させる程度に大きいが、アクティブタグ10を動作させることができるほど大きくない。よって、省電力モードでは、スイッチSWを非導通状態にすることによって、電力をパッシブタグ20のみに供給する。
【0025】
省電力モードでは、モバイル機器は、アクティブタグ10を用いた通常動作(例えば、iアプリ(登録商標)などのアプリケーションの実行、通話、基地局との通信、アプリケーションおよびデータの更新等)を実行することはできない。しかし、省電力モードでは、モバイル機器は、パッシブタグ20を用いて個人データをリーダ/ライタへ送信することはできる。個人データの送受信には、iアプリ(登録商標)等のアプリケーションを実行する必要がないからである。省電力モードでは、ミニメモリ24に格納されている情報は、第2の送受信部22および第2のアンテナ21を介してリーダ/ライタへ送信される。
【0026】
例えば、モバイル機器がモバイルSuica(登録商標)機能を搭載している場合、モバイル機器は、携帯型電話機としての通常動作(通話および通信)を実行することができない。しかし、駅改札口等に設けられているリーダ/ライタとの信号のやり取りについては実行することができる。従って、電池15が切れても、ユーザは、ミニメモリ24に記憶されている金額に基づいて、あるいは、ミニメモリ24に記憶されている定期券情報に基づいて、モバイル機器で駅改札口を通過することができる。
【0027】
例えば、モバイル機器がおサイフケータイ(登録商標)である場合、省電力モードであっても、パッシブタグ20は、ミニメモリ24から金額情報をリーダ/ライタへ送信することができる。従って、電池15が切れても、ユーザは、ミニメモリ24に記憶されている金額に基づいて、ショッピングをすることができる。
【0028】
同様に、モバイル機器がiD(登録商標)のようなクレジットカード機能、キャッシング機能またはキャッシュカード機能を有する場合、パッシブタグ20がミニメモリ24に格納されている個人認証データ(個人認証情報等)をリーダ/ライタへ送信する。従って、電池15が切れても、ユーザは、ミニメモリ24に記憶されている個人認証データに基づいて、ショッピングまたはキャッシングをすることができる。
【0029】
電力モニタ30が電池15の電力に基づいてスイッチSWを制御する。これにより、ノーマルモードと省電力モードとを切り替えることができる。例えば、電力モニタ30は、電池15の閾値電力を記憶している。モバイル機器は、電池15の電力がこの閾値電力以上である場合にスイッチSWを導通状態にしてノーマルモードで動作し、電池15の電力がこの閾値電力未満である場合にスイッチSWを非導通状態にして省電力モードで動作する。
【0030】
このように、本実施形態によるモバイル機器は、アクティブタグ10だけでなく、パッシブタグ20を備えている。よって、ユーザは、電池15が切れても、Suica(登録商標)機能、おサイフケータイ(登録商標)機能、クレジットカード機能、キャッシング機能、キャッシュカード機能等を利用することができる。
【0031】
本実施形態によるモバイル機器では、アクティブタグ10およびパッシブタグ20は、個人データを格納するミニメモリ24を共有している。従って、電池15の電力の有無に関わらず、ミニメモリ24内の個人データが利用可能である。一般に、個人データはユーザにとって重要であり、電池切れによって、個人データが利用できなくなると、ユーザの生活に支障を来たすおそれがある。本実施形態は、電池が切れても、個人データをバックアップとして保持し、これを利用することができるので、ユーザの生活自体に支障をもたらさない。
【0032】
(第2の実施形態)
図3は、本発明に係る第2の実施形態に従ったモバイル機器を示す概略図である。第2の実施形態では、パッシブタグ20は、カードとしてモバイル機器本体(以下、本体ともいう)1に着脱可能に取り付けられている。即ち、図1または図2に示す第2のアンテナ21、第2の送受信部22、ミニCPU23、ミニメモリ24、整流器25およびキャパシタ27は、1つのパッシブRFIDタグカードとしてパッケージングされている。以下、パッシブタグ20は、パッシブタグカード20ともいう。
【0033】
パッシブタグカード20を本体1から取り外した場合、パッシブタグカード20は、通常のSuica(登録商標)などの乗車用カード、クレジットカード、キャッシュカード、社員証カード、あるいは、その他個人認証用カードとして利用することができる。このとき、本体1は、モバイル機器として機能してもよいが、不正使用防止のためにモバイル機器として機能しなくてもよい。
【0034】
パッシブタグカード20を本体1に差し込んだ場合、モバイル機器は、第1の実施形態に従ったモバイル機器と同様に動作する。即ち、パッシブタグカード20は、パッシブタグとして個人データのバックアップ機能をも有する。
【0035】
パッシブタグカード20は、本体1を利用する際の認証キーとして用いることができる。例えば、複数のユーザが単一の本体1を共用する場合、パッシブタグカード20を本体1に差し込むことによって、モバイル機器がユーザの認証を行う。これにより、モバイル機器の使用がそのユーザに許可される。個人データはパッシブタグカード20のミニメモリ24に格納されているので、複数のユーザが単一の本体1を共用しても、個人データのセキュリティは保持される。
【0036】
複数のユーザが単一の本体1を共用するために、本体1を共用する複数のユーザのパッシブタグカード20の情報を本体1に予め登録する。この登録情報は、個人データ以外の情報であることが好ましい。あるいは、複数のユーザのパッシブタグカード20に本体1の情報を予め登録してもよい。
【0037】
パッシブタグカード20を本体1から取り外した場合に、本体1およびパッシブタグカード20がともに使用不可となるように設定してもよい。この場合、モバイル機器を通信および認証のために使用するには、本体1およびパッシブタグカード20という2つのキーが必要となる。従って、本体1およびパッシブタグカード20の不正使用をより強固に防止することができる。
【0038】
さらに、乗車用カード、クレジットカード、キャッシュカード、社員証カード等の複数のカードを本体1に差し替え可能としてもよい。例えば、本体1に乗車用カードを差し込んだ場合、モバイル機器は、モバイルSuica(登録商標)等として機能する。本体1にクレジットカードを差し込んだ場合、モバイル機器は、おサイフケータイ(登録商標)等として機能する。本体1にキャッシュカードを差し込んだ場合、モバイル機器は、キャッシュカード機能やデビット機能を有する。本体1に社員証カードを差し込んだ場合、モバイル機器は、会社施設の利用証として機能する。このように、本体1に差し込むパッシブタグカード20を交換することによって、モバイル機器が異なる機能を行えるようにしてもよい。この場合、複数のパッシブタグカード20の各ミニメモリ24に異なる情報を格納すればよく、本体1は共通の構成でよい。
【0039】
パッシブタグカード20は、非接触ICカードでもよく、接触ICカードでもよい。
【0040】
(第3の実施形態)
図4は、本発明に係る第3の実施形態に従ったモバイル機器の構成を示す概略図である。パッシブタグ20は、アクティブタグ10に比較して信号検知範囲が狭い。そのため、リーダ/ライタからの信号が、モバイル機器のケース、電池、あるいは、その他の素子等によって遮蔽され、パッシブタグ20まで到達しない可能性がある。このような問題に対処するために、補助アンテナとしてのパッシブRFIDアンテナ40が本体1の筐体の外面に実装される。パッシブRFIDアンテナ40は、パッシブタグ20の第2のアンテナ21と並列に接続する。パッシブRFIDアンテナ40は第2のアンテナ21から切り離し可能に接続される。
【0041】
パッシブRFIDアンテナ40がモバイル機器の筐体の外面に露出しているので、リーダ/ライタは、パッシブタグ20と確実に通信することができる。
【0042】
(第4の実施形態)
第1の実施形態のノーマルモードにおいては、アクティブタグ10がリーダ/ライタと個人データの送受信を行っていた。アクティブタグ10は信号検知範囲の広さが特徴である反面、盗聴されやすい、ならびに、誤った送受信をしやすいという欠点を有する。従って、図5に示す第4の実施形態では、ノーマルモードにおいて、パッシブタグ20がリーダ/ライタと個人データを送受信する。即ち、第4の実施形態は、電池15を用いる場合であっても、パッシブタグ20を利用する。これにより、さらに、個人データのセキュリティが強化される。
【0043】
(第5の実施形態)
図6は、本発明に係る第5の実施形態に従ったモバイル機器の構成を示すブロック図である。第5の実施形態では、パッシブタグの誘導起電力を用いる代わりに、補助電源(例えば、ボタン電池、太陽電池など)を用いている点で第1〜第4の実施形態と異なる。補助電源を備えているので、上記第2のアンテナ21および第2の送受信部22が不要である。
【0044】
第5の実施形態によるモバイル機器は、電池15と、アンテナ11と、電池15から電力供給を受けて、アンテナ11を介してRF信号を送受信する送受信部12と、送受信部12で送受信される信号を処理するMPU13と、MPU13で実行されるプログラムおよび送受信部12で送受信するデータを格納するメインメモリ14と、個人データを格納するミニメモリ24と、送受信部12で送受信される個人データを処理するミニCPU23とを備えている。
【0045】
電池15は、電力供給線PSL1を介して送受信部12、MPU13、メインメモリ14、ミニメモリ24に電力を供給する。これにより、第5の実施形態におけるノーマルモードでは、モバイル機器は、第1の実施形態におけるノーマルモードと同様に動作する。
【0046】
補助電源50は、電力供給線PSL2を介して送受信部12、ミニCPU23およびミニメモリ24に電力供給する。電力供給線PSL2には、スイッチSWが介在しており、スイッチSWが導通状態のときに補助電源50がDC−DCコンバータ51を介してミニCPU23およびミニメモリ24に電力供給する。
【0047】
電力モニタ30は、第1の実施形態のそれと逆の動作を行う。即ち、電池15の電力が閾値以上の場合には、電力モニタ30は、スイッチSWを非導通状態にする。これにより、ノーマルモードでは、電池15が電力供給を実行する。一方、電池15の電力が閾値未満の場合には、電力モニタ30は、スイッチSWを導通状態にする。これにより、省電力モードでは、補助電源50が電力供給を行う。ただし、補助電源50は、送受信部12、ミニCPU23およびミニメモリ24のみに電力を供給するので、モバイル機器の通常動作は実行され得ない。
【0048】
ミニメモリ24は、ノーマルモードおよび省電力モードの両方に利用される。従って、ユーザは、電池15が切れても、Suica(登録商標)機能、おサイフケータイ(登録商標)機能、クレジットカード機能、キャッシング機能、キャッシュカード機能等を利用することができる。補助電源50は、本体1からは独立に設けられている。よって、補助電源50は、自然放電、送受信部12、ミニCPU23、および、ミニメモリ24による電力消費以外では電力を消耗しない。ユーザは、補助電源50を意識することなく、モバイル機器を使用することができる。さらに、第5の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る第1の実施形態に従ったモバイル機器の構成を示すブロック図。
【図2】省電力モードにおけるモバイル機器の状態を示す図。
【図3】本発明に係る第2の実施形態に従ったモバイル機器を示す概略図。
【図4】本発明に係る第3の実施形態に従ったモバイル機器の構成を示す概略図。
【図5】本発明に係る第4の実施形態に従ったモバイル機器の構成を示す概略図。
【図6】本発明に係る第5の実施形態に従ったモバイル機器の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0050】
10…アクティブタグ
11…第1のアンテナ
12…第1の送受信部
13…MPU
14…メインメモリ
15…電池
20…パッシブタグ
21…第2のアンテナ
22…第2の送受信部
23…ミニCPU
24…ミニメモリ
SW…スイッチ
30…電力モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電源と、第1のアンテナと、前記内部電源から電力供給を受けて、前記第1のアンテナを介してRF信号を送受信する第1の送受信部と、前記第1の送受信部で送受信される信号を処理する第1の演算部と、前記第1の演算部で実行されるプログラムおよび前記第1の送受信部で送受信するデータを格納する第1の記憶部とを含むアクティブタグ、
個人データを格納する第2の記憶部と、第2のアンテナと、外部からの信号を前記第2のアンテナで受けることによって電力を得て、前記個人データを送信可能な第2の送受信部と、前記第2の送受信部で送受信される信号を処理する第2の演算部とを含むパッシブタグ、
前記内部電源からの電力を前記アクティブタグおよび前記パッシブタグへ供給する電力供給線および、
前記アクティブタグと前記パッシブタグとの間の前記電力供給線に介在するスイッチを備え、
前記内部電源の電力が所定値以上である場合、前記スイッチは導通状態であり、前記アクティブタグおよび前記第2の記憶部が用いられ、
前記内部電源の電力が所定値未満になった場合、前記スイッチは非導通状態になり、前記パッシブタグが用いられることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第2の記憶部は、不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記パッシブタグは、前記通信装置に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記パッシブタグは、クレジットカード機能、または、キャッシュカード機能を有することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信装置の筐体の外面に実装され、前記第2のアンテナと接続可能な補助アンテナをさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−171187(P2009−171187A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6664(P2008−6664)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】