説明

通信装置

【課題】専用の音声合成部を別途設けることなく、回線制御部に対して回線電流を十分に供給し、回線制御部から外接電話へのメッセージ信号の送出を安定して行えるようにした通信装置を提供する。
【解決手段】メッセージ再生時、CPU111は、スイッチ108をオフし、スイッチ109とスイッチ110をオンする。これにより、外接電話130は待機電源部106に接続される。そのため、外接電話130は、待機電源部106から第2のDC回線電流の供給を受け、正常に動作する。また、回線制御IC102は、電話回線120に接続されるとともに、第2の電路115を介して外接電話130に接続される。そのため、回線制御IC102は、電話回線120からの第1のDC回線電流の供給を受け、ACメッセージ信号を生成し、第2の電路115を介して外接電話130に送出する。よって、回線制御IC102は正常に動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線から入力される回線電流を用いて、装置本体に接続されている電話機からメッセージを再生する通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電話通話により送受信される音声信号の中継を行う通信装置が一般に広く普及している。近年では、電話回線から供給される回線電流を用いて、装置本体に接続されている電話機からメッセージを再生するメッセージ再生機能を有する通信装置が一般的である。以下、この機能を有する通信装置を代表してファクシミリ装置について説明する。
【0003】
図5は、従来のファクシミリ装置の主要部の構成を示すブロック図である。ファクシミリ装置200は、LINEコネクタ201と、回線制御IC202と、印字部203と、スキャナ204と、TELコネクタ205と、待機電源部206と、呼出電源部207と、電源切換え用のスイッチ208と、外接電話切替用のスイッチ209と、CPU211と、を備える。
ファクシミリ装置200は、FAXの送受信や電話通話により送受信される音声信号の中継を行う。この音声信号は、LINEコネクタ201とTELコネクタ205と回線制御IC202とを結ぶ第1の電路上を通話時に通過する。
【0004】
また、ファクシミリ装置200は、電話回線220から入力される回線電流を用いて、装置本体200に接続されている外接電話230から音声メッセージを再生するメッセージ再生機能を有する。ここで、メッセージ再生時の動作について詳述する。
【0005】
図6は、従来のファクシミリ装置の各動作モードにおける各部の状態一覧を示すテーブルである。メッセージ再生時Cでは、スイッチ208はオフ状態にあり(c1)、スイッチ209もオフ状態にある(c2)。このため、外接電話230は電話回線220に接続されるとともに(c4)、回線制御IC202が電話回線220に接続される(c5)。
回線制御IC202は、音声メッセージの内容を示すメッセージデータを記憶するメモリ202Aを有する。回線制御IC202は、電話回線220からLINEコネクタ201を介して入力される回線電流の供給を受け、メッセージデータに基づくメッセージ信号を生成して、TELコネクタ205を介して外接電話230に送出する(c7)。
【0006】
この時、電話回線220からの回線電流は、回線制御IC202と外接電話230の両方に供給される(c6)。しかし、この回線電流は微電流であり外接電話230の消費電流は大きい。そのため、電話回線220の電流供給能力と外接電話230のインピーダンスの関係によっては、回線制御IC202が十分な回線電流を確保できず、音声メッセージを送出できないことがあった。従って、従来の通信装置では、回線電流が不足して回線制御IC202から外接電話230へのメッセージ信号の送出が不安定になるという問題があった。
【0007】
そこで、回線制御IC202に記憶されている音声メッセージを使用せずに、上記メッセージデータを記憶するメモリ210Aを内蔵した専用の音声合成部210を設け、この音声合成部210から音声メッセージを外接電話230で再生する技術も考えられそうである。この技術を詳述すると、メッセージ再生時cc、CPU211はスイッチ208をオフ状態にし(cc1)、スイッチ209をオン状態にする(cc2)。この状態では、電話回線220は回線制御IC202のみに接続し(cc6)、外接電話230は待機電源部106と音声合成部210に接続する(cc4)。これにより、外接電話230の回線電流は待機電源部106から供給され、音声メッセージは音声合成部210から外接電話230へ送出される(cc4)。
なお、特許文献1では、電話機のオフフックを検出する通信装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−203332公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、回線制御IC202が音声メッセージ送出能力を持っているにもかかわらず、専用の音声合成部210が別途必要になる。これは、音声合成部210のための材料を用意したり、製造工程を組まなければならないことを意味し、製造コスト高や製造工程の複雑化の一因ともなってしまう。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決しようとするものであり、専用の音声合成部を別途設けることなく、回線制御部に対して回線電流を十分に供給し、回線制御部から外接電話へのメッセージ信号の送出を安定して行えるようにした通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の通信装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0011】
(1)電話回線に接続されるLINEコネクタと、
前記電話回線から前記LINEコネクタを介して入力される第1のDC回線電流の供給を受ける電話機であって、通話時、受話器から入出力される音声信号を前記LINEコネクタを介して前記電話回線に送受信する電話機が接続されるTELコネクタと、
メッセージ再生時、前記第1のDC回線電流の供給を受け、ACのメッセージ信号を生成して、前記TELコネクタを介して前記電話機に送出する回線制御部と、を備え、
前記LINEコネクタと前記TELコネクタと前記回線制御部とを結ぶ第1の電路上を、前記通話時に前記音声信号が通過する通信装置において、
前記第1のDC回線電流と同様の第2のDC回線電流を生成し、前記TELコネクタを介して前記電話機に供給する電源部と、
前記第1の電路上に設けられるスイッチ回路であって、前記TELコネクタと前記LINEコネクタおよび前記回線制御部とを切り離して前記TELコネクタと前記電源部とを連結するスイッチ処理を実行する第1のスイッチ回路と、
前記TELコネクタと前記LINEコネクタおよび前記回線制御部とを結ぶ第2の電路上に設けられ、前記ACのメッセージ信号を通過させるコンデンサと、を備え、
前記回線制御部は、
前記メッセージの再生が指示されると、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示するとともに、
前記第2の電路を介して前記ACのメッセージ信号を前記電話機に送出し、そのメッセージ信号に基づくメッセージを前記電話機で再生させることを特徴とする。
【0012】
この構成において、第1のスイッチ回路がオンされると、電話機は第1のスイッチ回路を介して電源部に接続される。そのため、電話機は、電源部から第2のDC回線電流の供給を受け、正常に動作する。
さらに、回線制御部は、電話回線に接続されるとともに、第2の電路を介して電話機に接続される。そのため、回線制御部は、電話回線からLINEコネクタを介して入力される第1のDC回線電流の供給を受け、ACメッセージ信号を生成し、第2の電路を介して電話機に送出する。これにより、ユーザは、音声メッセージを電話機で聴くことができる。この時、電話回線からの回線電流は、コンデンサで遮断されて電話機に供給されず、回線制御部に全て供給される。よって、回線制御部は正常に動作する。
従って、回線制御部から電話機へのメッセージ信号の送出を安定して行うことができる。
【0013】
(2)前記第2の電路上に、前記ACのメッセージ信号を増幅する増幅器を設けたことを特徴とする。
【0014】
この構成では、再生される音声メッセージの音量が小さい場合、増幅器によってACメッセージ信号を増幅し、音量を調整することができる。
【0015】
(3)前記第2の電路をオンオフする第2のスイッチ回路を備え、
前記回線制御部は、前記メッセージの再生が指示されると、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示してから、前記第2の電路をオンするよう前記第2のスイッチ回路に指示することを特徴とする。
【0016】
この構成において、第1のスイッチ回路、第2のスイッチ回路の切替えを同時に指示した場合、第2のスイッチ回路が先にオンされてから第1のスイッチ回路がオンされてしまうことがある。この場合、電話回線と電源部との電圧差および極性の違いにより、ACメッセージ信号の経路上にノイズが発生するおそれがある。そこで、この構成では、第1のスイッチ回路をオン状態にしてから、第2のスイッチ回路をオン状態にする。これにより、電源部と電話機との電流経路が十分確立された後に、第2の電路がオンされる。そのため、切替時にACメッセージ信号の経路上で発生するノイズを抑えることができる。また、小さなノイズはコンデンサで吸収される。
【0017】
(4)前記電話回線から送信されてくるファクシミリ信号であって前記LINEコネクタで受信されるファクシミリ信号に基づいて情報を紙媒体に印字する印字部と、
前記第2の電路をオンオフする第2のスイッチ回路と、を備え、
前記回線制御部は、前記ファクシミリ信号が前記LINEコネクタで受信されている間、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示するとともに、前記第2の電路をオフするよう前記第2のスイッチ回路に指示することを特徴とする。
【0018】
この構成により、FAX通信時、電話機が電話回線から切り離されるので、電話機からファクシミリ信号の経路上に混入するノイズを防ぐことができる。よって、安定したFAX通信を行うことができる。
【0019】
(5)前記回線制御部は、前記ファクシミリ信号の受信が開始する時、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示してから、前記第2の電路をオフするよう前記第2のスイッチ回路に指示することを特徴とする。
【0020】
この構成において、第1のスイッチ回路、第2のスイッチ回路の切替えを同時に指示した場合、第2のスイッチ回路が先にオフされてしまうことがある。この場合、電話機から第2のスイッチ回路を介して、ファクシミリ信号の経路上にノイズが混入するおそれがある。そこで、この構成では、第1のスイッチ回路をオン状態にしてから、第2のスイッチ回路をオフ状態にする。これにより、電源部からの第2の回線電流が電話機に供給された後に、第2の電路がオフされる。そのため、電話機からファクシミリ信号の経路上に混入するノイズを防ぐことができる。よって、安定したFAX通信を行うことができる。
【0021】
(6)前記回線制御部は、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示するための第1の指示信号と、前記第2の電路のオンオフを切替えるよう前記第2のスイッチ回路に指示するための第2の指示信号と、に分離される共通の指示信号を1本のピンから出力し、
分離された後の前記第2の指示信号の経路上に、前記第2の指示信号を遅延させるタイマ回路を備えたことを特徴とする。
【0022】
回線制御部の出力ピンの数に限りがある場合、タイマ回路を設け、第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路とを共通の指示信号で切替えても構わない。この構成では、回線制御部から出力された共通の指示信号は、第1の指示信号と第2の指示信号とに分離される。そして、第1の指示信号は第1のスイッチ回路にそのまま入力されるが、第2の指示信号はタイマ回路で所定時間遅延された後に第2のスイッチ回路に入力される。
以上のような構成で、上記(3)における回線制御部は、第1のスイッチ回路をオン状態にしてから、第2のスイッチ回路をオン状態にする。又は、上記(5)における回線制御部は、第1のスイッチ回路をオン状態にしてから、第2のスイッチ回路をオフ状態にする。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、回線制御部から電話機へのメッセージ信号の送出を安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態であるファクシミリ装置について説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態であるファクシミリ装置の主要部の構成を示すブロック図である。ファクシミリ装置100は、LINEコネクタ101と、回線制御IC102と、印字部103と、スキャナ104と、TELコネクタ105と、待機電源部106と、呼出電源部107と、電源切換え用のスイッチ108と、外接電話切替用のスイッチ109と、スイッチ108〜110のオンオフを切替えるCPU111と、外接電話AC接続用のスイッチ110とコンデンサ113とアンプ114とが配置された第2の電路115と、操作部116と、を備える。LINEコネクタ101には電話回線120が接続され、TELコネクタ105は受話器が設けられた外接電話130と接続される。
【0026】
ファクシミリ装置100は、FAXの送受信や電話通話により送受信される音声信号の中継を行う。また、ファクシミリ装置100は、相手方のファクシミリ装置と、電話回線120を介してFAXの送受信を行う。また、ファクシミリ装置100は、電話回線120から入力される第1のDC回線電流を用いて、装置本体100に接続されている外接電話130から音声メッセージを再生するメッセージ再生機能を有する。
【0027】
回線制御IC102は、音声メッセージの内容を示すメッセージデータを記憶するメモリ102Aを有する。回線制御IC102は、不図示の制御線を介してCPU111と通信し、装置本体各部の動作をモードに応じて制御する。
【0028】
操作部116は、ユーザによる操作入力を受け付ける複数のキーが設けられている。複数のキーの中には、FAX送信キー、メッセージの再生を受付けるメッセージ再生キー等がある。操作部116は、操作されたキーに応じた制御信号を回線制御IC102に伝送する。
【0029】
ここで、回線制御IC102及びCPU111が、本発明の「制御部」に相当する。また、タイマIC112が、本発明の「タイマ回路」に相当する。また、待機電源部106が、本発明の「電源部」に相当する。また、スイッチ109が、本発明の「第1のスイッチ回路」に相当する。また、スイッチ110が、本発明の「第2のスイッチ回路」に相当する。
【0030】
図2は、本発明の実施形態であるファクシミリ装置の各動作モードにおける各部の状態一覧を示すテーブルである。
まず、待機モードAまたは電話通話モードAで動作する部分の構成について、図1、図2を用いて説明する。外接電話130の受話器から入力される音声信号は、ファクシミリ装置100を介して相手方の電話機に送信される。これにより、ユーザは、相手方と外接電話130で通話できる。
この待機時Aまたは電話通話時Aでは、スイッチ108〜110はいずれもオフ状態にあり(A1〜A3)、外接電話130は電話回線120と直結する(A4)。そのため、音声信号は、LINEコネクタ101とTELコネクタ105と回線制御IC102とを結ぶ第1の電路上を通過する。
【0031】
また、待機時Aまたは電話通話時Aでは、回線制御IC102はクロックを下げてスリープモードになっており、消費電力量が少ない。そのため、この時の回線制御IC102は、内蔵のバッテリ(不図示)などの2次側からの電流供給を受け、第1のDC回線電流を消費しない(A5)。このため、外接電話130は、電話回線120からの第1のDC回線電流を全て使用することになる(A6)。よって、待機時Aまたは電話通話時Aにおける外接電話130と回線制御IC102は、正常に動作する。
【0032】
次に、FAX通信モードBで動作する部分の構成について、図1、図2を用いて説明する。まずFAX送信時では、回線制御IC102が、内蔵するメモリ102A内の画像データを変調する。この画像データは、スキャナ104で予め読取られて該メモリ102Aに格納された画像データである。回線制御IC102は、LINEコネクタ101から、電話回線120を介して画像データを相手方のファクシミリ装置に送信する。
一方、FAX受信時では、回線制御IC102は、LINEコネクタ101から入力されてくる信号に基づいて、FAX受信の開始を示す呼出信号の有無を判断する。呼出信号とは、データ通信において送受信の同期をとるための信号である。そして、呼出信号があった場合、回線制御IC102は、まず、不図示の制御線を介してCPU111に通知する。次に、回線制御IC102は、相手方のファクシミリ装置から電話回線120を介して伝送されてくるファクシミリ信号(例えば画像データ)をLINEコネクタ101で受信する。この画像データは、回線制御IC102で復調され、印字部103に入力する。印字部103は、この画像データを(例えばランレングス符号で)復号し、復号したデータに基づいて紙媒体に印字する。
【0033】
FAX通信時BにおいてCPU111は、呼出信号が受信された旨の通知を受けると、スイッチ108をオフ状態にする(B1)。ここで、スイッチ109、110の切替えを同時に指示した場合、スイッチ110が先にオフされてしまうことがある。この場合、外接電話130からスイッチ109を介して、ファクシミリ信号の経路上にノイズが混入するおそれがある。そこで、CPU111は、呼出信号が受信された旨の通知を受けると、スイッチ109をオン状態にしてから(B2)、スイッチ110をオフ状態にする(B3)。これにより、待機電源部106からの第2回線電流が外接電話130に十分供給された後に、第2の電路115がオフされる。そのため、外接電話130からファクシミリ信号の経路上に混入するノイズを防ぐことができる。よって、安定したFAX通信を行うことができる。また、CPU111は、ファクシミリ信号がLINEコネクタ101で受信されている間、スイッチ109をオン状態に維持し(B2)、スイッチ110をオフ状態に維持する(B3)。これにより、FAX通信時、外接電話130が電話回線120から切り離されるので、外接電話130からファクシミリ信号の経路上に混入するノイズを防ぐことができる。よって、安定したFAX通信を行うことができる。
【0034】
また、FAX通信時Bでは、回線制御IC102はFAX通信を行うために第1のDC回線電流が必要となるが、電話回線120からの第1のDC回線電流を全て使用できる(B6)。よって、FAX通信時Bにおける回線制御IC102は、正常に動作する。
一方、外接電話130は、スイッチ108がオフでスイッチ109がオンされているので(B1、B2)、待機電源部106に接続される。待機電源部106は、第1のDC回線電流と同様の第2のDC回線電流(無負荷時電圧約50V、短絡時電流約20mA)を生成する。そして、待機電源部106は、第2のDC回線電流をTELコネクタ105を介して外接電話130に供給する。よって、FAX通信時Bにおける外接電話130は、正常に動作する。
【0035】
また、待機電源部106は、電流量を検出することにより外接電話130のオフフックを検出し、回線制御IC102及びCPU111に通知するオフフック検出機能を有する。回線制御IC102は、オフフックの通知を受けると、FAX通信モードBから電話通話モードAに遷移する。
【0036】
なお、この実施形態では、外接電話130から電話回線120に混入するノイズを防ぐためにスイッチ109をオンしてスイッチ110をオフしているが(B2、B3)、実施の際は、待機電源部106による外接電話130への電流供給をFAX通信時Bに停止しても構わない。
【0037】
次に、外接電話130の呼出モードDで動作する部分の構成について、図1、図2を用いて説明する。外接電話130の呼出モードDは、回線制御IC102で着呼した電話を外接電話130に転送し、外接電話130を鳴動させるモードである。
【0038】
まず、電話を着呼すると、回線制御IC102は、着呼した電話を外接電話130に転送するとともに、電話の着呼があった旨をCPU111に通知する。これにより、CPU111は、スイッチ109をオンし(D2)、スイッチ110をオフ状態にする(D3)。さらに、CPU111は、スイッチ108のオンオフを交互に切り換える(D1)。これにより、外接電話130は、呼出電源部107と待機電源部106に交互に接続する(D4)。この結果、外接電話130に入力される回線電圧は、呼出電源部107の約-100Vと待機電源部106の約50Vとに変化し、これらが切り替わることにより外接電話130が鳴動する。
また、呼出時D、電話回線120からの入力信号を監視するため、回線制御IC102に回線電流が必要となるが、回線制御IC102は、電話回線120からの第1のDC回線電流を全て使用できる(D5、6)。よって、回線制御IC102は、正常に動作する。
【0039】
最後に、メッセージ再生モードCで動作する部分の構成について、図1、図2を用いて説明する。メッセージ再生モードCは、メッセージ再生キーの操作等により、電話通話モードAから移行するモードである。メッセージ再生時Cのために、TELコネクタ101とLINEコネクタ105および回線制御部102とを結ぶ第2の電路115上に、ACのメッセージ信号を通過させるコンデンサ113を設けている。
【0040】
メッセージ再生時Cでは、CPU111は、スイッチ108をオフし(C1)、スイッチ109とスイッチ110をオンする(C2、C3)。これにより、外接電話130はスイッチ109を介して待機電源部106に接続される(C4)。そのため、外接電話130は、待機電源部106から第2のDC回線電流の供給を受け、正常に動作する。
【0041】
また、回線制御IC102は、電話回線120に接続されるとともに(C5、C6)、第2の電路115を介して外接電話130に接続される(C7)。そのため、回線制御IC102は、電話回線120からLINEコネクタ101を介して入力される第1のDC回線電流の供給を受け、メッセージデータに基づくACメッセージ信号を生成し、第2の電路115を介して外接電話130に送出する(C7)。これにより、ユーザは、音声メッセージを外接電話130で聴くことができる。この時、電話回線120からの第1のDC回線電流は、コンデンサ113で遮断されて外接電話130に供給されず、回線制御IC102だけに供給される(C6)。よって、回線制御IC102は正常に動作する。
【0042】
従って、回線制御IC102から外接電話130へのメッセージ信号の送出を安定して行うことができる。
【0043】
また、メッセージ再生モードCは、メッセージ再生キーの操作等により、電話通話モードAから移行するモードであるため、スイッチ109とスイッチ110を切替える必要がある。スイッチ109、110の切替えを同時に指示した場合、スイッチ110が先にオンされてからスイッチ109がオンされてしまうことがある。この場合、電話回線120と待機電源部106との電圧差および極性の違いにより、ACメッセージ信号の経路上にノイズが発生するおそれがある。そこで、CPU111は、スイッチ109をオン状態にしてから(C2)、スイッチ110をオン状態にする(C3)。これにより、待機電源部106と外接電話130との電流経路が十分確立された後に、第2の電路115がオンされる。そのため、切替時にACメッセージ信号の経路上で発生するノイズを抑えることができる。また、小さなノイズはコンデンサ113で吸収される。
【0044】
なお、待機電源部106もACメッセージ信号に対する負荷となるが、待機電源部106のインピーダンス(2kΩ以上)は、外接電話130のインピーダンス(約600Ω)より高い。そのため、ACメッセージ信号が待機電源部106によって減衰することは殆ど無い。また、再生される音声メッセージの音量が小さい場合、アンプ114によってACメッセージ信号を増幅し、音量を調整することも可能である。
【0045】
また、本発明の実施形態は、以下の変形例を採用することができる。
【0046】
(第1変形例)
図3は、本発明の実施形態の第1変形例であるファクシミリ装置の主要部の構成を示すブロック図である。CPU111の出力ピンの数に限りがある場合、タイマIC112を設け、スイッチ109とスイッチ110とを共通の指示信号で切替えても構わない。このタイマIC112は、スイッチ110に指示するための第2の指示信号の経路上に設けられ、第2の指示信号を遅延させるICである。このような構成において、CPU111は、共通の指示信号を出力する。CPU111から出力された共通の指示信号は、スイッチ109に指示するための第1の指示信号と、スイッチ110に指示するための第2の指示信号とに分離される。そして、第1の指示信号はスイッチ109にそのまま入力されるが、第2の指示信号はタイマIC112で所定時間(例えば0.5秒)遅延された後にスイッチ110に入力される。
以上のような構成で、CPU111は、スイッチ109をオン状態にしてから(B2)、スイッチ110をオフ状態にする(B3)。又は、CPU111は、スイッチ109をオン状態にしてから(C2)、スイッチ110をオン状態にする(C3)。
【0047】
(第2変形例)
図4は、本発明の実施形態の第2変形例であるファクシミリ装置の主要部の構成を示すブロック図である。この変形例は、第2の電路115を図4に示す位置に設けた点で、図1と異なっている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態であるファクシミリ装置の主要部の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態であるファクシミリ装置の各動作モードにおける各部の状態一覧を示すテーブル
【図3】本発明の実施形態の第1変形例であるファクシミリ装置の主要部の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施形態の第2変形例であるファクシミリ装置の主要部の構成を示すブロック図
【図5】従来のファクシミリ装置の主要部の構成を示すブロック図
【図6】従来のファクシミリ装置の各動作モードにおける各部の状態一覧を示すテーブル
【符号の説明】
【0049】
100…ファクシミリ装置
101…LINEコネクタ
102…回線制御IC
102A…メモリ
103…印字部
104…スキャナ
106…待機電源部
107…呼出電源部
108…スイッチ
109…スイッチ
110…スイッチ
111…CPU
112…タイマIC
113…コンデンサ
114…アンプ
115…電路
116…操作部
120…電話回線
130…外接電話
200…ファクシミリ装置
201…LINEコネクタ
202…回線制御IC
202A…メモリ
203…印字部
204…スキャナ
205…TELコネクタ
206…待機電源部
207…呼出電源部
208…スイッチ
209…スイッチ
210…音声合成部
210A…メモリ
211…CPU
220…電話回線
230…外接電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話回線に接続されるLINEコネクタと、
前記電話回線から前記LINEコネクタを介して入力される第1のDC回線電流の供給を受ける電話機であって、通話時、受話器から入出力される音声信号を前記LINEコネクタを介して前記電話回線に送受信する電話機が接続されるTELコネクタと、
メッセージ再生時、前記第1のDC回線電流の供給を受け、ACのメッセージ信号を生成して、前記TELコネクタを介して前記電話機に送出する回線制御部と、を備え、
前記LINEコネクタと前記TELコネクタと前記回線制御部とを結ぶ第1の電路上を、前記通話時に前記音声信号が通過する通信装置において、
前記第1のDC回線電流と同様の第2のDC回線電流を生成し、前記TELコネクタを介して前記電話機に供給する電源部と、
前記第1の電路上に設けられるスイッチ回路であって、前記TELコネクタと前記LINEコネクタおよび前記回線制御部とを切り離して前記TELコネクタと前記電源部とを連結するスイッチ処理を実行する第1のスイッチ回路と、
前記TELコネクタと前記LINEコネクタおよび前記回線制御部とを結ぶ第2の電路上に設けられ、前記ACのメッセージ信号を通過させるコンデンサと、を備え、
前記回線制御部は、
前記メッセージの再生が指示されると、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示するとともに、
前記第2の電路を介して前記ACのメッセージ信号を前記電話機に送出し、そのメッセージ信号に基づくメッセージを前記電話機で再生させることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第2の電路上に、前記ACのメッセージ信号を増幅する増幅器を設けたことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2の電路をオンオフする第2のスイッチ回路を備え、
前記回線制御部は、前記メッセージの再生が指示されると、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示してから、前記第2の電路をオンするよう前記第2のスイッチ回路に指示することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記電話回線から送信されてくるファクシミリ信号であって前記LINEコネクタで受信されるファクシミリ信号に基づいて情報を紙媒体に印字する印字部と、
前記第2の電路をオンオフする第2のスイッチ回路と、を備え、
前記回線制御部は、前記ファクシミリ信号が前記LINEコネクタで受信されている間、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示するとともに、前記第2の電路をオフするよう前記第2のスイッチ回路に指示することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記回線制御部は、前記ファクシミリ信号の受信が開始する時、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示してから、前記第2の電路をオフするよう前記第2のスイッチ回路に指示することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記回線制御部は、前記スイッチ処理を実行するよう前記第1のスイッチ回路に指示するための第1の指示信号と、前記第2の電路のオンオフを切替えるよう前記第2のスイッチ回路に指示するための第2の指示信号と、に分離される共通の指示信号を1本のピンから出力し、
分離された後の前記第2の指示信号の経路上に、前記第2の指示信号を遅延させるタイマ回路を備えたことを特徴とする請求項3又は5に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−273092(P2009−273092A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124386(P2008−124386)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】