説明

通信装置

【課題】ケース内への収納工程でアンテナの損傷を防止することが可能な通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置100は、上側部材1aおよび下側部材1bからなるケース1の内部空間に収納される、配線基板2と、アンテナ3と、保護カバー4とを備える。アンテナ3には、配線基板2に対して平行な平行部3aと、配線基板2に対して垂直であって配線基板2に電気的に接続される垂直部3bとが設けられている。保護カバー4には、アンテナ3を配線基板2と反対側から覆うアンテナ被覆部4aと、アンテナ3の平行部3aを保持するアンテナ保持部4bと、アンテナ被覆部4aから延びて配線基板2に固定される脚部4cとが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板とアンテナをケース内に収納した通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置には、配線基板とアンテナをケース内に収納して保護するものがある(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1では、アンテナ(放電素子)が実装された配線基板(アンテナ基板)を、上側部材(レドーム)と下側部材(グランド板)を組み立てて形成したケースの内部空間に収納している。
【0004】
特許文献2の「従来の技術」に記載されている受信装置では、樹脂製のホルダーにアンテナ線を巻き付けてアンテナを形成し、ホルダーを配線基板に固定して、アンテナ線の一方端の延長部を配線基板にはんだ付けしている。そして、その配線基板を、上側部材(ケース)と下側部材(カバー)を組み立てて形成したケースの内部空間に収納している。
【0005】
また、特許文献2の「実施の形態」に記載されている受信装置では、アンテナのループ部を上側部材の内底面に装着し、配線基板を上側部材内に入れて保持するとともに、アンテナの延長部と配線基板のアンテナ接続部とをはんだ付けまたは擬似コンデンサにより電気的に接続している。そして、そのアンテナと配線基板を、上側部材と下側部材を組み立てて形成したケースの内部空間に収納している。
【0006】
しかしながら、特許文献1と、特許文献2の「従来の技術」に記載されている構造では、配線基板上でアンテナが露出しているので、ケースを組み立ててアンテナと配線基板をケース内に収納する工程において、アンテナが傷ついたり曲がったりして損傷するおそれがある。
【0007】
また、特許文献2の「実施の形態」のような構造では、配線基板を上側部材内に収納するときに、アンテナが配線基板に隠れるので、アンテナの延長部が傷ついたり曲がったりして損傷するおそれがある。
【0008】
アンテナが損傷すると、電波の受信特性が変化してしまい、電波を正常に受信して処理できなくなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−22431号公報
【特許文献2】特許第3873596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、ケース内への収納工程でアンテナが損傷するのを防止することが可能な通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る通信装置は、上側部材および下側部材から構成されるケースの内部空間に収納される配線基板とアンテナとを備えた通信装置であって、アンテナは、配線基板に対して平行な平行部と、配線基板に対して垂直であって配線基板に電気的に接続される垂直部とを有する。そして、通信装置は、アンテナを配線基板と反対側から覆うアンテナ被覆部と、アンテナの平行部を保持するアンテナ保持部と、アンテナ被覆部から延びて配線基板に固定される脚部とが設けられた保護カバーを備える。
【0012】
上記のような構成にすることによって、配線基板上に実装されたアンテナが、配線基板上に固定された保護カバーにより、配線基板と反対側から覆われて保護される。このため、ケースの上側部材と下側部材を組み立てて、アンテナと配線基板をケース内へ収納する工程において、アンテナが損傷するのを防止することができる。
【0013】
また、本発明では、上記の通信装置において、アンテナの垂直部の付近に配置され、配線基板に垂直姿勢で実装される電子部品を備え、保護カバーに、電子部品を配線基板と反対側から覆う部品被覆部を設けるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明では、上記の通信装置において、電子部品は、アンテナで受信した信号を処理する回路が設けられた処理基板であってもよい。
【0015】
また、本発明では、上記の通信装置において、保護カバーの部品被覆部に、処理基板の配線基板と反対側の端部を臨む開口部を設けるようにしてもよい。
【0016】
さらに、本発明では、上記の通信装置において、保護カバーのアンテナ保持部は、線対称な形状を有する2種類のアンテナを択一的に保持可能であり、保護カバーのアンテナ被覆部は、各アンテナのいずれが用いられた場合でも該アンテナを覆い、保護カバーの部品被覆部は、各アンテナの垂直部の付近に配置される処理基板を覆うように2箇所設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、配線基板上でアンテナが保護カバーに覆われて保護されるため、ケース内への収納工程でアンテナが損傷するのを防止することが可能な通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による通信装置の分解状態の斜視図である。
【図2】通信装置の組立状態の断面図である。
【図3】アンテナと保護カバーの斜視図である。
【図4】アンテナの保護カバーへの装着状態を示す図である。
【図5】保護カバーのアンテナ保持部とアンテナの保持状態を示す図である。
【図6】保護カバーの脚部の配線基板への固定状態を示す断面図である。
【図7】保護カバーの部品被覆部付近の拡大断面図である。
【図8】図3のアンテナと線対称なアンテナの斜視図である。
【図9】図8のアンテナの保護カバーへの装着状態を示す図である。
【図10】図8のアンテナを用いた通信装置の組立状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の一実施形態による通信装置100の構成を説明する。
【0020】
図1は、通信装置100の分解状態を示す斜視図である。図2は、通信装置100の組立状態を示す断面図である。
【0021】
通信装置100は、車両のドア錠の開閉を遠隔操作する遠隔制御装置に使用される受信機である。通信装置100は、ケース1、配線基板2、アンテナ3、保護カバー4、および処理基板5を備えている。処理基板5は、本発明の「電子部品」の一例である。
【0022】
ケース1は、箱状の上側部材1aと下側部材1bとから構成される。上側部材1aの外側面には、ロック突起1cが設けられている。下側部材1bの外側面には、ロック孔1dが設けられている。
【0023】
上側部材1aと下側部材1bを上下から合わせて、ロック孔1dにロック突起1cを嵌め込むことにより、ケース1は組み立てられる。ケース1は、図2に示すように、上側部材1aと下側部材1bとで形成される内部空間に、配線基板2とアンテナ3と保護カバー4と処理基板5とを収納する。
【0024】
配線基板2には、制御基板6が実装されている。制御基板6には、車両のドア錠の開閉を制御する回路などが実装されている。
【0025】
また、配線基板2には、複数のコネクタ7が実装されている。各コネクタ7には、ハーネスが装着される(図示省略)。ケース1の上側部材1aと下側部材1bには、ハーネスを挿し込む凹部1e、1fが設けられている。
【0026】
通信装置100は、コネクタ7に装着されたハーネスにより、車両に備わる制御装置やドア錠の開閉を行う駆動装置などと電気的に接続される(図示省略)。
【0027】
配線基板2には、アンテナ3と処理基板5が実装される。アンテナ3は、図示しない送信機から送信された高周波の電波を受信する。処理基板5には、アンテナ3で受信した電波信号を処理する回路などが実装されている。
【0028】
電波信号を処理する信号処理回路は、素子や配線の配置の仕方によって、特性が大きく異なる。そのため、信号処理回路をメインの配線基板2に組み込んでしまうと、素子の追加や配線の変更などを行う場合には、信号処理回路での特性を考慮しながら、配線基板2全体での大規模な設計変更と特性の確認試験が必要となる。
【0029】
然るに、本実施形態では、メインの配線基板2とは別体のサブの処理基板5に、信号処理回路を設けているので、処理基板5だけで信号処理回路の変更と特性の確認試験を容易に行うことができる。また、使用される国、環境、車両、およびグレードなどの違いによる、信号処理回路の素子、配線、および機能の変更と追加に対して、処理基板5だけで容易に対応することができる。また、配線基板2や処理基板5に汎用性を持たせることができる。
【0030】
処理基板5には、図1に示すように、複数のリード端子5aが下方へ突出するように設けられている。各リード端子5aは、配線基板2に列状に設けられた複数のスルーホール2aのそれぞれに挿入されて、図2に示すように、はんだ付けにより配線基板2に電気的に接続される。
【0031】
リード端子5aがはんだ付けされることにより、処理基板5は配線基板2に垂直姿勢で実装される。このように処理基板5を実装するのは、配線基板2上での処理基板5の占有スペースを小さくするためと、電波の受信感度を上げるためである。
【0032】
図3は、アンテナ3と保護カバー4の斜視図である。図4は、アンテナ3の保護カバー4への装着状態を示す図である。
【0033】
アンテナ3は、金属製の線材で形成されている。アンテナ3には、配線基板2に対して平行な平行部3aと、配線基板2に対して垂直な垂直部3bとが設けられている(図1および図2参照)。
【0034】
アンテナ3の平行部3aはS字形に曲げられている。垂直部3bは、図1に示すように、配線基板2に設けられたスルーホール2bに挿入されて、図2に示すように、配線基板2にはんだ付けにより電気的に接続される。垂直部3bの付近には、処理基板5が配置されている。アンテナ3の形状および向き、並びに処理基板5の配置は、電波の受信感度を上げるように設計されている。
【0035】
保護カバー4は、合成樹脂で形成されている。保護カバー4には、図3に示すように、アンテナ被覆部4a、アンテナ保持部4b、脚部4c、および部品被覆部4dが設けられている。アンテナ3は、図3におよび図4に示すような向きで保護カバー4に装着される。
【0036】
保護カバー4のアンテナ被覆部4aは、図1および図2に示すように、配線基板2と平行に拡がっている。アンテナ被覆部4aは、アンテナ3を配線基板2と反対側から覆う。
【0037】
図4に示すように、アンテナ被覆部4aには、アンテナ保持部4bが8箇所設けられている。そのうち、6箇所のアンテナ保持部4bでアンテナ3の平行部3aが保持される。
【0038】
図5は、保護カバー4のアンテナ保持部4bとアンテナ3の保持状態を示す図である。図5(a)に示すように、アンテナ保持部4bは、1対のアーム4gと、該アーム4gの前後に設けられた受台4hとから構成されている。
【0039】
アンテナ3の平行部3aを一対のアーム4gの先端の傾斜面4jに押し当てると、アーム4g同士の先端の間隔が広がって、平行部3aがアーム4gの凸部4k間を通り抜ける。そして、図5(b)に示すように、アンテナ3の平行部3aが、受台4hに受け止められて、アーム4g間に挟み込まれて保持される。
【0040】
保護カバー4の脚部4cは、図3に示すように、3箇所設けられていて、アンテナ被覆部4aから垂直に延びている。脚部4cの先端部4tはくびれて、そこから先が先細りに形成されている。脚部4cの先端から中央にかけて、スリットが形成されている。
【0041】
図1に示すように、配線基板2に3箇所設けられた貫通孔2cに、保護カバー4の各脚部4cを先端部4tから圧入すると、先端部4tの先細り部分が、窄んで貫通孔2cを通り抜ける。その後、図6に示すように、先端部4tの先細り部分は広がって、貫通孔2cの縁に引っ掛かる。
【0042】
図6は、保護カバー4の脚部4cの配線基板2への固定状態を示す図である。保護カバー4の各脚部4cが、図6に示すように、配線基板2に固定されることにより、保護カバー4が、図2に示すような向きで配線基板2上に装着される。
【0043】
保護カバー4の部品被覆部4dは、図3および図4に示すように、アンテナ被覆部4aの側方に2箇所設けられている。そのうち、アンテナ3の垂直部3bの付近に配置された部品被覆部4dが、図2に示すように、配線基板2上に垂直姿勢で取り付けられた処理基板5を、配線基板2と反対側から覆う。
【0044】
各部品被覆部4dには、図1および図4に示すように、開口部4eが設けられている。
【0045】
図7は、部品被覆部4d付近の拡大断面図である。図7に示すように、配線基板2に保護カバー4と処理基板5が装着された状態では、部品被覆部4dの開口部4eから処理基板5の配線基板2と反対側の端部の一部が臨める。
【0046】
保護カバー4は、アンテナ3とは別の、図8に示すアンテナ3’にも対応できる構造となっている。図8は、アンテナ3’の斜視図である。アンテナ3’とアンテナ3は、線対称な形状をしている(図8および図3参照)。
【0047】
図9は、アンテナ3’の保護カバー4への装着状態を示す図である。アンテナ3’は、図9に示すような向きで保護カバー4に装着される。アンテナ3’の平行部3aは、保護カバー4の6箇所のアンテナ保持部4bで保持される。すなわち、保護カバー4のアンテナ保持部4bは、線対称な形状を有する2種類のアンテナ3、3’を択一的に保持可能となっている。
【0048】
図10は、アンテナ3’を用いた通信装置100の組立状態の断面図である。保護カバー4は、図10に示すような向きで配線基板2’上に装着される。保護カバー4のアンテナ被覆部4aは、アンテナ3’を配線基板2’と反対側から覆う。
【0049】
処理基板5は、アンテナ3’の垂直部3bの付近に配置される。配線基板2’には、アンテナ3’に対応するように、アンテナ3’の垂直部3bと処理基板5のリード端子5aをそれぞれはんだ付けするための、スルーホール2a、2bが設けられている。垂直部3bとリード端子5aは、図10に示すように、配線基板2’にはんだ付けにより電気的に接続される。
【0050】
アンテナ3’の垂直部3bの付近に配置された部品被覆部4dは、配線基板2’上に立つように実装された処理基板5を、配線基板2’と反対側から覆う。その部品被覆部4dの開口部4eからは、処理基板5の配線基板2’と反対側の端部の一部が臨める。
【0051】
保護カバー4は、アンテナ3、3’のいずれが用いられた場合でも、該アンテナをアンテナ被覆部4aで覆って保護し、該アンテナの平行部3aをアンテナ保持部4bで保持する。また、保護カバー4は、各アンテナの垂直部3bの付近に配置される処理基板5を、該付近にある部品被覆部4dで覆って保護する。
【0052】
通信装置100の組立工程において、処理基板5の表面が損傷すると、電波の受信感度や電波信号の処理特性が変化してしまい、電波を正常に受信して処理できなくなることがある。このため、部品被覆部4dを設けて、組立工程で処理基板5に損傷を与えないようにすることは重要である。
【0053】
電波の受信感度は、アンテナ3、3’の向きや、通信装置100が搭載される車両の総合的な環境に影響を受ける。然るに、本実施形態では、線対称な形状をした2種類のアンテナ3、3’を択一的に使用して、電波を受信する向きを変えることができる。このため、車両の総合的な環境に応じて、アンテナ3、3’のいずれかを選択して、電波の受信感度を上げることができる。
【0054】
次に、通信装置100の組立手順を説明する。本例では、配線基板2とアンテナ3を用いるが、配線基板2’とアンテナ3’を用いた場合も同様である。
【0055】
まず、制御基板6とコネクタ7が実装された配線基板2のスルーホール2aに、処理基板5のリード端子5aを挿入する。また、アンテナ3の平行部3aを保護カバー4の内側のアンテナ被覆部4aに近づけて、図4に示すように、6箇所のアンテナ保持部4bで平行部3aを保持する。
【0056】
そして、アンテナ3の垂直部3bの付近にある部品被覆部4dで処理基板5を覆うように、保護カバー4を配線基板2に近づけて、配線基板2のスルーホール2bに、アンテナ3の垂直部3bを挿入する。また、配線基板2の貫通孔2cに、保護カバー4の脚部4cの先端部4tを圧入して、脚部4cを配線基板2に固定する。
【0057】
そして、図2に示すように、アンテナ3の垂直部3bを配線基板2にはんだ付けする。また、処理基板5のリード端子5aを配線基板2にはんだ付けする。その際、図7(a)に2点鎖線で示すように、処理基板5が配線基板2に対して傾くのを防ぐため、図7(b)に示すように、部品被覆部4dの開口部4eから治具8を挿入して、該治具8で処理基板5を保持する。
【0058】
リード端子5aを配線基板2にはんだ付けした後、治具8を開口部4eから抜き去る。そして、開口部4eから覗いて、配線基板2に対する処理基板5の傾きが許容範囲内かどうかを確認する。
【0059】
配線基板2に対する処理基板5の傾きが大きすぎると、電波の受信感度や電波信号の処理特性が変化してしまい、電波を正常に受信して処理できなくなることがある。このため、開口部4eを設けて、通信装置100の組立工程において、処理基板5の傾きを目視にて確認することは重要である。
【0060】
ここまでの手順で、保護カバー4が配線基板2に装着され、アンテナ3と処理基板5が、配線基板2に実装されて、保護カバー4で覆われて保護された状態となる。
【0061】
その後、配線基板2をケース1の上側部材1a内または下側部材1b内に入れて、該部材の内壁に設けられたリブやボス(図示省略)で配線基板2を支持し、該部材にねじなど(図示省略)で配線基板2を固定する。そして、上側部材1aと下側部材1bを嵌め合わせて、ケース1を組み立てる。
【0062】
上記の手順により、配線基板2、アンテナ3、保護カバー4、および処理基板5が、図2に示すように、ケース1の内部空間に収納された状態となる。
【0063】
次に、通信装置100の動作を説明する。本例でも、配線基板2とアンテナ3を用いるが、配線基板2’とアンテナ3’を用いた場合も同様である。
【0064】
送信機(図示省略)から送信された電波信号をアンテナ3で受信すると、処理基板5の回路が、その電波信号を処理して、必要な周波数(たとえばUHF帯域)の信号を抽出し、配線基板2へ出力する。
【0065】
配線基板2の回路は、処理基板5から入力された信号より、送信機のIDを含む制御信号を検出して、車両の制御装置へ送信する。制御装置では、通信装置100から送信された制御信号に含まれるIDと、予め記憶されたIDとの照合が行われ、その結果を通信装置100へ送信する。
【0066】
そして、配線基板2の回路は、IDが合致したことを示す信号を制御装置から受信すると、ドア錠の開閉をコントロールする信号を駆動装置に送信する。駆動装置では、通信装置100から受信したコントロール信号に応じて、ドア錠の開閉を行う。
【0067】
本実施形態では、上記のように、配線基板2、2’上に実装されたアンテナ3、3’が、配線基板2、2’上に固定された保護カバー4のアンテナ被覆部4aにより、配線基板2、2’と反対側から覆われて保護される。このため、ケース1の上側部材1aと下側部材1bを組み立てて、各部品2〜5をケース内1へ収納する工程において、アンテナ3、3’が損傷するのを防止することができる。
【0068】
また、本実施形態では、配線基板2、2’上に垂直姿勢で実装された処理基板5が、保護カバー4の部品被覆部4dにより配線基板2、2’と反対側から覆われて保護される。このため、ケース1内への収納工程において、処理基板5が損傷したり傾いたりするのを防止することができる。
【0069】
また、本実施形態では、保護カバー4の部品被覆部4dに開口部4eを設けている。このため、保護カバー4を配線基板2、2’に装着するときに、開口部4eから処理基板5の位置を確認しながら、部品被覆部4dを処理基板5に被せることができる。これにより、処理基板5が損傷したり傾いたりするのを防止することができる。また、配線基板2、2’に対する処理基板5の傾きを、開口部4eから目視にて確認することができる。
【0070】
また、従来は、処理基板を配線基板に垂直に取り付けるにあたり、はんだ付けの前に、処理基板のリード端子を専用の機械で曲げて、配線基板に仮止めしていた。然るに、本実施形態では、部品被覆部4dの開口部4eから治具8を挿入し、該治具8で処理基板5を配線基板2、2’に垂直に保持した状態で、はんだ付けをすることができる。このため、処理基板5のリード端子5aを曲げる工程と、該工程で用いていた専用の機械が不要となり、それらにともなうコストを削減することができる。
【0071】
また、本実施形態では、部品被覆部4dの開口部4eが処理基板5の一部を臨めるくらいに小さく形成されている。このため、ケース1内への収納工程において、処理基板5を傾けるような異物が、開口部4eから進入するのを防止することができる。
【0072】
また、本実施形態では、線対称な形状のアンテナ3、3’のいずれが用いられた場合でも、該アンテナと処理基板5とを保護カバー4で覆って保護する。このため、車両の総合的な環境に応じて、いずれかのアンテナ3、3’を選択して、受信感度を上げつつ、ケース1内への収納工程において、アンテナ3、3’と処理基板5が損傷したり傾いたりするのを防止することができる。
【0073】
さらに、本実施形態では、ケース1内への収納工程において、アンテナ3、3’と処理基板5の損傷と傾きが防止されるので、電波の受信特性と受信感度と信号処理特性が変化することはなく、電波を正常に受信して処理することが可能となる。
【0074】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、アンテナ3、3’の垂直部3bをはんだ付けにより配線基板2、2’に電気的に接続した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。これ以外に、たとえば、アンテナの垂直部と配線基板とにそれぞれ電極を設けて、その電極同士を接触させることにより、垂直部と配線基板を電気的に接続するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、アンテナ3、3’の平行部3aがS字形に形成された例を示したが、本発明はこれに限るものではない。これ以外に、アンテナの平行部はループ状や渦巻き状などに形成されていてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、処理基板5を保護カバー4の部品被覆部4dで覆った例を示したが、本発明はこれに限るものではない。これ以外に、アンテナの垂直部の付近で配線基板に垂直姿勢で実装される、その他の基板や素子などの電子部品を、保護カバーの部品被覆部で覆うようにしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、通信装置100として受信機を例に挙げたが、本発明は、送信機にも適用が可能である。さらに、上記実施形態では、車両のドア錠の開閉を遠隔操作する遠隔制御装置に使用される通信装置に本発明を適用した例を挙げたが、本発明は、他の用途の通信装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ケース
1a 上側部材
1b 下側部材
2、2’ 配線基板
3、3’ アンテナ
3a 平行部
3b 垂直部
4 保護カバー
4a アンテナ被覆部
4b アンテナ保持部
4c 脚部
4d 部品被覆部
4e 開口部
5 処理基板(電子部品)
100 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側部材および下側部材から構成されるケースの内部空間に収納される配線基板とアンテナとを備えた通信装置において、
前記アンテナは、前記配線基板に対して平行な平行部と、前記配線基板に対して垂直であって前記配線基板に電気的に接続される垂直部と、を有し、
前記アンテナを前記配線基板と反対側から覆うアンテナ被覆部と、前記アンテナの前記平行部を保持するアンテナ保持部と、前記アンテナ被覆部から延びて前記配線基板に固定される脚部と、が設けられた保護カバーを備えた、ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記アンテナの前記垂直部の付近に配置され、前記配線基板に垂直姿勢で実装される電子部品を備え、
前記保護カバーに、前記電子部品を前記配線基板と反対側から覆う部品被覆部を設けた、ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置において、
前記電子部品は、前記アンテナで受信した信号を処理する回路が設けられた処理基板である、ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信装置において、
前記保護カバーの前記部品被覆部に、前記処理基板の前記配線基板と反対側の端部を臨む開口部を設けた、ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の通信装置において、
前記保護カバーの前記アンテナ保持部は、線対称な形状を有する2種類のアンテナを択一的に保持可能であり、
前記保護カバーの前記アンテナ被覆部は、前記各アンテナのいずれが用いられた場合でも該アンテナを覆い、
前記保護カバーの前記部品被覆部は、前記各アンテナの前記垂直部の付近に配置される前記処理基板を覆うように2箇所設けられている、ことを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−13000(P2013−13000A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145598(P2011−145598)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】