説明

通信設備、通信ケーブル布設方法、及び布設情報管理システム

【課題】光ファイバー等の通信網において、ケーブル布設後の保守管理に必要な布設情報を、容易に作成し管理することの可能な布設情報管理システムを提供する。
【解決手段】布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20の設計情報を作業前に保存するケーブル情報準備手段と、布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20に付された電子的に識別可能なタグの情報を布設時に読み取るケーブル情報読取手段と、読み取ったケーブル情報に基づき布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20の布設情報を作成する布設情報作成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバー等の通信ケーブル及び通信ケーブルの布設作業及び布設ケーブル保守管理において有用な、通信設備、通信ケーブル布設方法、及び布設情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバー等の通信網において、布設する光ケーブル等のケーブル類の情報(製造者、製造年、型式、レングスマークなど)は、そのケーブルの外皮に一定間隔で印字されている。これらのケーブル類の情報は、布設後の保守管理のために必要となるが、経年劣化や外部要因により印字が消失する恐れがある。そのため、従来は製造者、製造年、型式などの製品情報を別途手作業により転記し、またレングスマークに基づいてケーブル長を計算するなどして管理していた。
【0003】
一方、予めケーブルに記録された情報を利用してケーブル布設の作業情報を提供する発明として、特許文献1には、ケーブルIDに関連付けられた作業情報をダウンロードするとともに、ケーブルに貼り付けられたRFID(Radio Frequency Identification)タグからケーブルIDを読み取り、携帯情報端末上に作業情報を表示するようにした発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−171186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
支線・幹線布設作業の問題点を説明する。
図1にケーブルの布設図,図2に丸ケーブル10の構造を示す。
幹線の布設作業では、幹線ケーブル1aをクロージャ3aへ配線する。支線の布設作業では、支線ケーブル1bをクロージャ3bへ配線する。実際の作業では、作業者9が高所作業車8の作業台の上で心線12を1本ずつクロージャ3の端子へ接続する。ケーブル10の中心部にある心線12にはその皮膜に識別コードが印刷されており、その識別コードは、青い線と青い点線というように線の色と線種を組み合わせて生成されたもので、現場ではこのコードを目視で確認して配線作業を行う。この作業では、細い線の皮膜に印刷された線の色と線種を肉眼で確認するために、視力が衰えると作業ができなくなるという問題がある。働き盛りのベテラン作業員が、わずかに老眼になっただけで第1線から退かなければならないわけだから、事は重大である。
この作業は基本的に屋外で行われるため、風が吹いたり、大型車が通行したりすると、ケーブルも作業台も共に振動し、目視での識別コード確認は困難である。更に、厳冬期の柱上作業においては、雪交じりの強風の中、高所作業車のバケットの上で強風にさらされながら震える指先で心線の皮膜を剥がして、識別コードを確認しながら何10本もファイバを接続しなければならない。かかる作業においては、熟練のみならず、強靭な精神力と体力も完備していなければならず、作業は困難を極める。にも関わらず、わずかな老眼で職を失うことになるから非常としか言いようがない。
つまり心線12をクロージャ3の端子へ接続する作業では、心線12の識別が識別コードの目視により行われるために、作業者9の体調や現場の作業条件に影響を受け易いという問題がある。
【0006】
加入者宅5へ引込み線2を布設する場合の問題点を説明する。図3に、引込み線2の構造を示す。
引込み線2の心線22をクロージャ3bへ配線する作業では、作業者9は作業車8の作業台に乗って、地上約5メートル以上の高所で配線工事を行う。引込み線2の心線22には一般的に識別コードが印刷されていない。業者によっては、心線22にラベルを付けて識別していることもあるが、このラベルは、施行時期や施行業者により異なっているために、一般的に使用出来ない。ラベルの材質にもよるが、ラベルの経年劣化も問題になる。また、台風など災害時に引込み線の途中で切断された時は、始点まで辿らなければ接続先が判別できない。
つまり引込み線2を加入者宅5へ配線する作業では、引込み線に識別コードが付されていないために、ラベルを付与しなければならないが、統一した識別コードが付与されにくく、線の途中にはラベルを付与できないという問題がある。
【0007】
引込み線を撤去する場合の問題点を説明する。
クロージャ3bから加入者宅5へ配線された引込み線の長さは、電柱を3,4本経由しているから、総延長は150メートル程度になる。また、クロージャからは最大で16本の引込み線が出ているから、螺旋ワイヤーの中には数本の引込み線が通っており、作業者はその中から対象となる1本を選び出して撤去しなければならない。
一般的には、クロージャ3bに接続されている引込み線2と加入者宅5との対応がついていない。従って、引込み線を撤去するときには、クロージャ3bの端子から引込み線を撤去することができないので、加入者宅5の側から引込み線を辿りながら,引込み線を撤去する必要がある。引込み線を辿るには、高所作業車を電線に沿って走行させながら、数本の引込み線から対象となる1本を順に辿りながら撤去している。従って、撤去作業は大変な作業となる。
ところで、もし、クロージャ3bの端子から引込み線をはずすことができたら、加入者宅5の側から線を引っ張れば撤去できるので、撤去作業は非常に簡単になる。
つまり引込み線2を撤去する作業では、引込み線に識別コードが付されていないために、クロージャ3bの端子から引込み線をはずすことができないという問題がある。そのために引込み線の撤去作業では、高所作業車を使用して加入者宅5から辿りながら撤去しなければならない
【0008】
台風災害などで、引込み線の一部が途中で断線した場合の問題点について説明する。
台風災害で、クロージャ3bとお客さま宅とのあいだでケーブルが断線した場合、断線箇所を調べるのは困難なことが多い。通常は、お客さま宅の側からバケット車を使ってケーブルを辿りながら,引込み線を交換していた。
【0009】
沿線火災などの事故でケーブルが断線した場合は、事故があった場所の引込み線を全て交換する。この作業においても、クロージャ3bに接続されている引込み線2とお客さま宅との対応がついていないので、お客さま宅の側からバケット車を使ってケーブルを辿りながら,引込み線を撤去していた。
【0010】
電柱の支障移転に対応する場合の問題について説明する。
電柱の支障移転では、クロージャ3bに接続されている引込み線2とお客さま宅との対応がついていないので、お客さま宅の側からバケット車を使ってケーブルを辿りながら,引込み線を撤去していた。
【0011】
また、台風災害や事故等の障害発生時や電柱の支障移転に対応する場合には、関連する電柱から影響のあるケーブルを特定する必要があるが、手作業で情報を整理している。
【0012】
以上のことから、光ケーブルや心線、電柱、クロージャを目視によらず識別できる方法と得られた情報の一元管理が課題である。
言い換えると、ケーブルを電子的に識別し,データベースで情報を管理するための方法と装置の開発が課題である。
【0013】
一方、特許文献1に記載された発明は、予めケーブルに記録された情報を利用するものではあるが、あくまでも布設作業のための情報を提供するものであり、布設後の保守管理に利用することはできない。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するものであり、光ファイバー等の通信網において、ケーブル布設後の保守管理に必要な布設情報を、容易に作成し管理することの可能な布設情報管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明の通信設備は、光ファイバーによる高速通信に使用される通信設備であって、電子的に識別可能なタグを複数付した通信ケーブルと、電子的に識別可能なタグを付したクロージャと、電子的に識別可能なタグを付した前記クロージャの端子と、電子的に識別可能なタグを複数付した引込み線と、電子的に識別可能なタグを付した終端装置とを備えたことを特徴とする。
【0016】
電子的に識別可能なタグの一例としては、RFIDタグを用いることができ、局舎Sから加入者宅5に至る通信設備に、電子的に識別可能なRFIDタグを付して、その設備がどこに接続されているかを識別可能とした。
幹線1aに使用される丸ケーブル10には、従来のレングスマークに加えてRFIDタグ11を付ける。
支線1bに使用される丸ケーブル10には、従来のレングスマークに加えてRFIDタグ11を付ける。
丸ケーブル10を電柱4に架設するときは、従来の共架札44に、RFIDタグ41を付ける。
引込み線2に使用されるドロップケーブル20には、RFIDタグ21を付ける。
幹線を支線に分岐するクロージャ3aには、RFIDタグ31を付け、クロージャの端子にはRFIDタグ14を付ける。
支線を引込み線に分岐するクロージャ3bには、RFIDタグ31を付け、クロージャの上流側端子にはRFIDタグ14を、下流側端子にはRFIDタグ24を付ける。
加入者宅5に設置する家庭用ファイバ終端装置51には、RFIDタグ52を付ける。
これにより、幹線から支線への分岐を追跡可能にした。
【0017】
請求項2に関わる発明は、請求項1に記載の通信設備に於いて、電子的にデジタル情報を書き換えることができる電子的に識別可能なタグを付したことを特徴とする。
【0018】
請求項3に関わる発明は、請求項1又は請求項2に記載の通信設備に於ける通信ケーブル布設方法であって、前記通信ケーブルのタグの情報を電子的に記録する手順と、前記クロージャのタグの情報を電子的に記録する手順と、前記クロージャの端子のタグの情報を電子的に記録する手順と、前記通信ケーブルのタグの情報と前記クロージャのタグの情報から布設作業の確認を行う手順と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項4に関わる発明は、請求項1又は請求項2に記載の通信設備に於ける通信ケーブル布設方法であって、前記クロージャのタグの情報を電子的に記録する手順と、前記クロージャの端子のタグの情報を電子的に記録する手順と、前記引込み線のタグの情報を電子的に記録する手順と、前記終端装置のタグの情報を電子的に記録する手順と、前記引込み線のタグの情報と前記クロージャのタグの情報から布設作業の確認を行う手順と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項5に関わる発明は、請求項3に記載の通信ケーブル布設方法に於いて、電子的に識別可能なタグが付いていない通信ケーブルには前記識別可能なタグを付す手順と、電子的に識別可能なタグが付いていないクロージャには前記識別可能なタグを付す手順と、電子的に識別可能なタグが付いていないクロージャの端子には前記識別可能なタグを付す手順と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項6に関わる発明は、請求項4に記載の通信ケーブル布設方法に於いて、電子的に識別可能なタグが付いていないクロージャには前記識別可能なタグを付す手順と、電子的に識別可能なタグが付いていないクロージャの端子には前記識別可能なタグを付す手順と、電子的に識別可能なタグが付いていない引込み線には前記識別可能なタグを付す手順と、電子的に識別可能なタグが付いていない終端装置には前記識別可能なタグを付す手順と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項7に係る発明の布設情報管理システムは、布設されるケーブルの設計情報を作業前に保存するケーブル情報準備手段と、前記布設されるケーブルに付された電子的に識別可能なタグの情報を布設時に読み取るケーブル情報読取手段と、前記読み取ったケーブル情報に基づき前記布設されるケーブルの布設情報を作成する布設情報作成手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の布設情報管理システムにおいて、前記ケーブル情報に基づき布設されるケーブルのケーブル長を算出するケーブル長算出手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項9に係る発明は、請求項7又は請求項8に記載の布設情報管理システムにおいて、前記布設されるケーブルが接続されるクロージャを特定するクロージャ情報を読み取るクロージャ情報読取手段を備え、前記布設情報作成手段は、前記読み取ったクロージャ情報に基づき前記布設情報を作成することを特徴とする。
【0025】
請求項10に係る発明は、請求項7乃至請求項9のうちいずれか1つに記載の布設情報管理システムにおいて、前記接続されるクロージャが予め指定されたクロージャであるかどうかを判定するクロージャ判定手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項11に係る発明は、請求項7乃至請求項10のうちいずれか1つに記載の布設情報管理システムにおいて、前記布設されるケーブルが通過する電柱を特定する電柱情報を読み取る電柱情報読取手段を備え、前記布設情報作成手段は、前記読み取った電柱情報に基づき前記布設情報を作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ケーブル布設時においては、ケーブル及び心線を識別する場合、丸ケーブルの心線をクロージャ端子に接続し、RFIDタグを付け、電子的方法により接続先や加入者を識別してデータベースに登録することができるようになる。一旦データベースに登録したら、以後はタグの情報を電子的に読んでデータベースを検索すれば、丸ケーブルの心線やクロージャなどを電子的に識別することができる。この方法によれば、従来のように識別コードを目視確認する必要が無いため、視力に頼らず作業できるようになる。従って、老眼になった熟練作業員が視力のハンデを負うことなく作業に従事できる。
【0028】
更に、通信回線を利用してオンラインでデータベースへ接続すると、接続先や加入者を現場で確認することが可能になる。それにより、作業のミスを防ぐとともに作業の安全性を高めることができる。
【0029】
本発明によれば、ケーブル撤去時においては、クロージャの端子位置で、どの引込線が加入者宅に接続されているかを電子的に調べることができる。従って、クロージャの端子台から引込み線をはずし、加入者宅の側から引込み線を引っ張って撤去することができる。
【0030】
本発明によれば、電柱の支障移転に対応する場合には、切断箇所において,クロージャ及び加入者宅を識別できる。
【0031】
本発明によれば、台風災害や事故等の障害発生時においては、ケーブル断線など障害の起きた場所で,クロージャ及び加入者宅を識別できる。
【0032】
また、クロージャ情報読取手段により、布設されるケーブルが接続されるクロージャを特定するクロージャ情報を読み取り、読み取ったクロージャ情報に基づき布設情報を作成するので、クロージャ単位で保守管理を行う場合に、関連するクロージャを選択して影響のあるケーブルを容易に特定することができる。
【0033】
また、クロージャ判定手段により、接続されるクロージャが予め指定されたクロージャかどうかを判定するので、接続しようとするクロージャが正しいかどうかを確認することができる。
【0034】
また、電柱情報読取手段により、布設されるケーブルが通過する電柱を特定する電柱情報を読み取り、読み取った電柱情報に基づき布設情報を作成するので、台風災害や事故等の障害発生時や電柱の支障移転の際に、関連する電柱を選択して影響のあるケーブルを容易に特定することができる。
【0035】
以上、本発明によれば、光ファイバー等の通信網とその布設工事、保守作業において、ケーブルの布設作業時及びケーブル布設後の保守管理に必要な布設情報を作成し管理することで、従来不可能であった目視に因らない通信ケーブルや心線の識別、作業対照物の確認、災害時の影響範囲の予測などが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る布設ケーブルの布設図である。
【図2】丸ケーブルを示す図である。
【図3】ドロップケーブルを示す図である。
【図4】クロージャを示す図である。
【図5】電柱を示す図である。
【図6】幹線・支線の布設作業を示す図である。
【図7】引込み線の布設作業を示す図である。
【図8】RFIDの読取/書込作業を示す図である。
【図9】布設情報管理システムのシステム構成図である。
【図10】幹線・支線の布設作業を示すフローチャートである。
【図11】ファンクションキーの構成を示す図である。
【図12】引込み線の布設作業を示すフローチャートである。
【図13】管理サーバの構成図である。
【図14】幹線データベースの設計情報テーブルを示す図である。
【図15】幹線データベースのケーブル情報テーブルを示す図である。
【図16】幹線データベースの電柱情報テーブルを示す図である。
【図17】ドロップケーブルデータベースの設計情報テーブルを示す図である。
【図18】ドロップケーブルデータベースのケーブル情報テーブルを示す図である。
【図19】ドロップケーブルデータベースの電柱情報テーブルを示す図である。
【図20】通信ケーブル系統図である。
【図21】クロージャ内の端子接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本実施形態に係る布設情報管理システムは、光ファイバー等の通信ケーブルの布設作業及び保守管理において,ケーブルの布設に関する情報を収集し、保守管理を行うシステムである。
【0038】
1.機器の説明
(1)通信網
まず、従来の通信ケーブルについて説明する。図1は、一般的な通信ケーブルの布設図である。幹線1aは、局舎Sから、国道などの主要な幹線道路に沿って電柱に電力線や電話線などと共架して布設される。幹線道路と県道や市道の分岐点では、分岐装置であるクロージャ3aを設置して、クロージャ3aを介して幹線1aを支線1bに分岐する。
幹線道路と一般住宅街の生活道路の分岐点では、分岐装置であるクロージャ3aを設置して、支線1bを接続する。支線1bは、一般住宅街の生活道路に沿って電柱に電力線や電話線などと共架して布設され、住宅の密集した地点の電柱上に、クロージャ3bが設置され、クロージャ3bから各加入者宅5へ引込み線2が布設される。また、支線1bの残りは、更に生活道路に沿って電柱に電力線や電話線などと共架して布設される。
【0039】
a.幹線・支線
幹線1a又は支線1bの布設について説明する。図6に幹線・支線の布設について示す。図5に電柱への通信ケーブル共架について示す。
幹線1a又は支線1bの布設には、丸ケーブル10が用いられる。一般的に、電柱は「電柱番号」で管理されており、布設作業では電柱番号を参照して電柱を確認しながら共架が行われる。作業では、まず、電柱4に支持具42を取り付け、支持具42の冶具にテンションワイヤー6を架設する。
次に、テンションワイヤー6に螺旋状ワイヤー7を通し、螺旋状ワイヤー7の中へ丸ケーブル10を通す。丸ケーブル10を支持具42へ架設するときは、直径1メートル程度に巻いて余長を確保する。
【0040】
b.引込み線
次に引込み線2の布設について説明する。図7に引込み線2の布設作業の状況を示す。引込み線の布設には、ドロップケーブル20が用いられる。引込み線2は、クロージャ3bを起点として、螺旋状ワイヤー7の中をテンションワイヤー6に沿って布設される。
【0041】
(2)通信ケーブル
a.丸ケーブル
幹線1aや支線1bには通常、丸ケーブル10が用いられる。図2に丸ケーブル10の構造を示す。丸ケーブル10はその中心に光ファイバーの心線12の束があり、周囲を丈夫な皮膜で覆われている。心線12の数は規格によって異なるが、一般的に10〜2000本である。
丸ケーブルの外皮には一定間隔でレングスマークが印刷してある。従来のケーブル布設作業では、レングスマークを記録して長さを割り出していた。
【0042】
本実施形態においては、丸ケーブル10の外皮に、長さ方向に沿って一定間隔に複数のRFIDタグ11が貼付されている。RFIDタグ11には、丸ケーブル10のケーブル情報が記録されており、このRFIDタグ11から、RFID読取/書込装置70を用いて、RFIDの値を読み、RFID値をキーとして幹線データベース120を検索すると、接続されているクロージャ3a,3bや架設されている電柱4などを検索することができる。
【0043】
丸ケーブル10のRFIDタグ11に予め記録される情報としては、「製造者」、「製造年」、「型式」、「製造番号」、「距離」などが挙げられる。「距離」の情報は、丸ケーブル10の予め定めた起点からの距離であってもよいし、隣のタグからの距離であっても良い。
【0044】
丸ケーブル10にRFIDタグが付されていないときには、RFIDタグを付ける。タグを付ける方法としては、接着剤でケーブルに貼り付けてもよいし、耐候型の両面テープで貼り付けても良いし、針金や紐で縛り付けてもよい。
【0045】
また、RFIDタグの種類によっては、RFID読取/書込装置により、丸ケーブル10のRFIDタグ11に新たなケーブル情報を書き込むことができる。
RFIDに書き込む情報としては、「距離」、「工事日」、「GPSデータ」などがある。「距離」の情報は、丸ケーブル10の予め定めた起点からの距離であってもよいし、隣のタグからの距離であってもよい。
【0046】
b.ドロップケーブル
ドロップケーブル20は、光ファイバーの心線22とテンションワイヤー23を組み合わせた構造になっている。図3にドロップケーブル20の一例を示す。この図では、2本のテンションワイヤー23の間に心線22を配置し、テンションワイヤー2本を割けばその間から心線が出てくる構造になっている。
【0047】
本実施形態においては、ドロップケーブル20の外皮に、長さ方向に沿って一定間隔に複数のRFIDタグ21が貼付されている。
前記RFIDタグ21には、ドロップケーブル20のケーブル情報が記録されており、このRFIDタグ21から、RFID読取/書込装置70を用いて、RFIDの値を読み、RFID値をキーとしてドロップケーブルデータベース130を検索すると、お客さま番号や接続されているクロージャ3b、架設されている電柱4などを検索することができる。
【0048】
ドロップケーブル20のRFIDタグ21に予め記録される情報としては、「製造者」、「製造年」、「型式」、「製造番号」、「距離」などが挙げられる。「距離」の情報は、ドロップケーブル20の予め定めた起点からの距離であってもよいし、隣のタグからの距離であっても良い。
【0049】
ドロップケーブル20にRFIDタグが付されていないときには、RFIDタグを付ける。タグを付ける方法としては、接着剤でケーブルに貼り付けてもよいし、耐候型の両面テープで貼り付けても良いし、針金や紐で縛り付けてもよい。
【0050】
また、RFIDタグの種類によっては、RFID読取/書込装置により、ドロップケーブル20のRFIDタグ21に新たなケーブル情報を書き込むことができる。
RFIDに書き込む情報としては、「距離」、「工事日」、「GPSデータ」などがある。「距離」の情報は、ドロップケーブル20の予め定めた起点からの距離であってもよいし、隣のタグからの距離であっても良い。
【0051】
(3)その他構成機器
a.クロージャ
図4にクロージャ3bを示す。丸ケーブル10がクロージャ3bに接続され、内部で分岐してドロップケーブル20に接続されている。クロージャ3bの内部では、丸ケーブル10の心線12と、ドロップケーブル20の中の心線22が、光カプラや融着接続トレイなどを介して接続されている。
【0052】
クロージャ3bには、クロージャを識別するためにRFIDタグ31が貼付されている。
このRFIDタグ31から、携帯情報端末60を用いて、RFIDの値を読み、RFID値をキーとして幹線データベース120または、ドロップケーブルデータベース130を検索すると、クロージャ3bに接続されている支線1bや引込み線2を検索する事ができる。また、引込み線2のRFID21の読み取り値をキーとしてお客さま番号や架設電柱4などを検索することができる。
【0053】
クロージャ3bにRFIDタグが付されていないときには、RFIDタグを付ける。タグを付ける方法としては、接着剤でケーブルに貼り付けてもよいし、耐候型の両面テープで貼り付けても良いし、針金や紐で縛り付けてもよい。
【0054】
クロージャ3bの端子にRFIDタグが付されていないときには、RFIDタグを付ける。タグを付ける方法としては、接着剤でケーブルに貼り付けてもよいし、耐候型の両面テープで貼り付けても良いし、針金や紐で縛り付けてもよい。
【0055】
また、RFIDタグの種類によっては、RFID読取/書込装置により、クロージャ3bのRFIDタグ31に新たなケーブル情報を書き込むことができる。
RFIDに書き込む情報としては、「GPS情報」などがある。
【0056】
(4)電柱への共架
図5に丸ケーブル10の電柱4への共架の状態を示す。電柱4に支持具42を取り付け、支持具42へケーブルを固定する。ケーブルには共架札44が取り付けられており、余長をとるために2,3回巻いてあることもある。こうして余長を取るので、ケーブルの長さから、実際の位置を正確に割り出すことが困難になっている。
【0057】
電柱の下部には、電柱番号43が書かれた札やプレートなどが取り付けられており、そこに電柱番号を記入したRFIDタグ45が貼付される。このRFIDタグ45から、携帯情報端末60を用いて、RFIDの値を読み、RFID値をキーとして幹線データベース120またはドロップケーブルデータベース130の電柱情報テーブルを検索すると、丸ケーブル10またはドロップケーブル20を検索することができる。また、ドロップケーブル20をキーとしてお客さま番号などを検索することができる。
【0058】
前記共架札44にはRFIDタグ41が貼付される。このRFIDタグ41から、携帯情報端末60を用いて、RFIDの値を読み、RFID値をキーとして幹線データベース120またはドロップケーブルデータベース130の電柱情報テーブルを検索すると、丸ケーブル10またはドロップケーブル20を検索することができる。また、ドロップケーブル20をキーとしてお客さま番号などを検索することができる。
【0059】
また、RFIDタグの種類によっては、RFID読取/書込装置により、RFIDタグ41に新たなケーブル情報を書き込むことができる。RFIDに書き込む情報としては、「GPS情報」などがある。
【0060】
2.システム構成
(1)ネットワーク構成
図9に布設情報管理システムのシステム構成の一例を示す。本実施形態に係るネットワーク90は、構内LANであっても良いし、インターネットを使用した専用線によるネットワークでも良い。現場から各サーバへ接続するために携帯電話やPDAを備えていてもよい。また、携帯電話と接続せず、必要なデータを事務所でPDAへダウンロードして現場へ持ち込む形式のオフラインシステムでもよい。
(2)システム構成
本実施形態に係る布設情報管理システムのシステム構成について説明する。図9に布設情報管理システムのシステム構成の一例を示す。布設情報管理システムは、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95、携帯情報端末60、RFID読取/書込装置70から構成される。図9では、サーバが5台接続するように記載してあるが、これらのサーバは1台のコンピュータにまとめて配置してもよい。
【0061】
a.管理サーバ95
管理サーバ95は、お客さまから回線利用の申込があったときに、お客さま情報や電柱情報などを生成して、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94のデータベースへ新規契約内容を登録する。
ケーブル布設作業では、管理サーバ95はお客さま情報から、作業に必要なケーブル情報、クロージャ情報、電柱情報などの各情報を検索・編集して携帯情報端末60へ保存する。
【0062】
b.携帯情報端末
携帯情報端末60は、ケーブル布設作業にあたり作業者が携帯して各種情報の送受信を行う端末である。作業者は、携帯情報端末60を操作して各サーバ91,92,93,94、95にアクセスし、布設作業に必要な設計情報を取得する。また、携帯情報端末60にはRFIDタグの読取部が備えられており、後述する「クロージャ情報読取手段」や「電柱情報読取手段」として機能する。
【0063】
また、携帯情報端末60は、接続されるクロージャが予め指定されたクロージャであるかどうかを判定する「クロージャ判定手段」として機能する。携帯情報端末60は、各サーバから受信した情報と、ケーブル、クロージャ及び電柱の各RFIDタグから読み取った情報と、RFID読取/書込装置70が読み取ったケーブル情報とを、記憶する記憶部を備えている。
【0064】
c.RFID読取/書込装置
RFID読取/書込装置70には、ケーブルのRFIDタグに記録されたケーブル情報を読み取る読取部と、RFIDタグへ新しい情報を書き込む書込部と、ケーブル長を算出する制御部が備えられている。RFID読取/書込装置70は、図8に示すように、ケーブルドラム80からケーブルが布設され通過する際に、RFIDタグの情報を読むように構成してもよい。また、書き込み可能なRFIDタグを使用する場合には、RFID読取/書込装置を用いて、作業時の情報をRFIDタグへ記録するように構成してもよい。
【0065】
RFID読取/書込装置70はRFIDタグから読み取った情報を、携帯情報端末60に送る。また、制御部は、読み取ったケーブル情報のなかの「距離」情報に基づき、布設されるケーブルのケーブル長を算出する。
【0066】
RFID読取/書込装置70の書込部は、布設作業時に布設情報として、RFIDタグに「布設年月日」、「工事会社」、「管理番号」、「管理名称」などを書き込むことができる。
【0067】
3.通信ケーブル布設作業
(1)幹線の布設
幹線の布設作業について説明する。本発明の実施形態の一つとして、作業者9が布設情報管理システムの支援を受けながら、クロージャ3aから電柱4を経由して螺旋状ワイヤーの中をクロージャ3aまで幹線を布設する作業について説明する。図6は、幹線・支線の布設方法の一例を示す。図10に布設作業のフローチャートを示す。
【0068】
a.前提条件
幹線の布設計画が決まると、設計担当者は、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバに、ケーブル布設作業のための設計情報を登録する。設計情報は、作業対象のケーブルID(幹線のインデックス)、布設工事予定日、ケーブルの製造年、布設作業の始点となるクロージャ、終点となるクロージャなどである。
【0069】
b.事前作業
布設作業前、作業者9は事業所などでネットワーク90へ接続して布設情報管理システムから、布設作業の対象となる情報を検索する。例えば、図9に示すように、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバから、ケーブルRFID値、クロージャRFID値など該当するデータを設計情報として取得して、携帯情報端末60に保存する。これらの情報は、布設作業の対象となるケーブルのケーブルID(幹線のインデックス)を入力(S1110)するなどして検索できるように設計されていることが望ましい。
【0070】
c.作業現場での確認
布設作業現場に到着した作業者9は、保存した設計情報を、携帯情報端末60に表示して(S1120)、設計情報を確認しながら作業することができる。また、作業の事情や状況によって、作業者9は布設作業現場で、携帯情報端末60を使い、各サーバにアクセスして、該当する設計情報を受信することもできる。
【0071】
d.作業対象のクロージャ確認
作業者9は、携帯している携帯情報端末60の読取部で、布設作業の始点となる幹線1aのクロージャ3aに貼付されたRFIDタグ31の、クロージャ情報を読み取り(S1130)、携帯情報端末60の記憶部に保存する。作業者9は、携帯情報端末60が読み取ったクロージャ3aのクロージャRFIDタグの値と、先に携帯情報端末60に保存している設計情報のクロージャRFIDタグの値とを、照合する。作業者9は、照合することにより、クロージャ3aが布設作業の始点のクロージャであることを確認できるので、このクロージャ3aから布設作業を開始する。
【0072】
e.ケーブルの接続作業
作業者9は、クロージャ3aの端子台に、幹線1aのケーブル10の心線12を接続(配線)し、幹線1aの始点となるRFIDタグ14を貼付する。作業者9は、貼付したRFIDタグ14を、携帯情報端末60の読取部で読み取る(S1140)。携帯情報端末60は、この情報を記憶部で保存する。また、ケーブル10の心線12が、すでにクロージャ内で接続されている場合は、RFIDタグ14を貼付して、携帯情報端末60で読み取り、記憶部で読み取った情報を保存する。
【0073】
f.ケーブルの布設
作業者9は、幹線1aのケーブル布設作業を開始する。RFID読取/書込装置70は、布設されて通過するケーブル10の一定間隔に貼付されている各RFIDタグ11を、順次読み取っていき(S1140)、読み取った情報をケーブル情報として携帯情報端末60に送る。携帯情報端末60は、そのケーブル情報を記憶部で保存する。
【0074】
g.布設情報の書込み
作業者9は、RFID読取/書込装置70の書込部で、幹線1aのケーブル10に貼付した各RFIDタグ11に、作業場所で取得することのできる布設情報として、「工事日」、「GPSデータ」などを書き込むこともできる。(S1150)。
【0075】
h.ケーブル長の算出
RFID読取/書込装置70の制御部は、ケーブル10の各RFIDタグ11それぞれにあらかじめ記録されているケーブル情報に含まれる距離情報に基づき、布設した幹線ケーブルのケーブル長を算出する(S1160)。RFID読取/書込装置70は、算出したケーブル長を携帯情報端末60に送る。携帯情報端末60は、そのケーブル情報を記憶部で保存する。
【0076】
i.ケーブル予定長
作業者9は、幹線1aのケーブル10を布設していき、ケーブル10が予定の長さに達したとき、ファンクションキーを押す(S1170)などしてシステムにケーブル10が予定長に達したことを記憶させる(S1180)。この場合、ファンクションキーの他に、マウス、キー入力あるいは音声認証などを使ってもよい。
【0077】
j.電柱に到達
作業者9は、幹線1aのケーブル10を布設していき、その途中で、電柱4(4a、4b、4c)に到達したときは、ファンクションキーを押すなどしてシステムに電柱4に到達したことを知らせる(S1190)。この場合、ファンクションキーの他に、マウス、キー入力あるいは音声認証などを使ってもよい。
【0078】
k.電柱情報
作業者9は、携帯情報端末60の読取部で、電柱4(4a、4b、4c)に貼付した、電柱番号43を記入したRFIDタグ45の電柱情報を読み取り、携帯情報端末60の記憶部で保存する(S1200)。また、電柱4の破損など何らかの事情によりRFIDタグ45の電柱情報が読み取れなくても、電柱の近くのケーブルに取り付けられている共架札44に貼付されたRFIDタグ41の情報を、読み取り電柱情報とすることもできる。
【0079】
l.クロージャに到達
作業者9は、幹線1aのケーブル10を布設していき、クロージャ3aに到達したとき、ファンクションキーを押すなどしてシステムにクロージャに到達したことを連絡する(S1210)。この場合、ファンクションキーの他に、マウス、キー入力あるいは音声認証などを使ってもよい。
【0080】
m.終点のクロージャに到達
作業者9は、布設してきたケーブル10が、その制限内で布設作業の終点のクロージャ3aに到達したら、端子台にケーブルの接続(配線)作業をおこなう。作業者9は、幹線1aの終点となるクロージャ3a内に、RFIDタグ14を貼付して、携帯情報端末60で読み取る(S1220)。携帯情報端末60は、読み取った情報を記憶部に保存する。
【0081】
n.布設作業終了後の処理
幹線1aの布設作業を終了した作業者9は、事業所などで布設作業中に携帯情報端末60の記憶部で保存したクロージャ情報、電柱情報、およびRFID読取/書込装置70が読み取り携帯情報端末60が記憶部で保存しているケーブル情報を、布設情報として管理サーバ95のデータベースに登録する(S1230)。
【0082】
なお、作業の事情や状況によって、作業者9は、布設作業中に作業現場から携帯情報端末60で読み取り保存している各情報を、順次管理サーバ95などに送信してもよい。
【0083】
このように、携帯情報端末60とRFID読取/書込装置70がケーブルの布設作業中に読み取った情報で、ケーブルの布設情報を作成することができる。
【0084】
(2)支線の布設
支線の布設作業について説明する。本発明の実施形態の一つとして、作業者9が布設情報管理システムの支援を受けながら、クロージャ3bから電柱4を経由して螺旋状ワイヤーの中をクロージャ3bまで支線を布設する作業について説明する。図6は、幹線・支線の布設方法の一例を示す。
【0085】
a.前提条件
支線の布設計画が決まると、設計担当者は、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバに、ケーブル布設作業のための設計情報を登録する。設計情報は、作業対象のケーブルID(支線のインデックス)、布設工事予定日、ケーブルの製造年、布設作業の始点となるクロージャ、終点となるクロージャなどである。
【0086】
b.事前作業
布設作業前、作業者9は事業所などでネットワーク90へ接続して布設情報管理システムから、布設作業の対象となる情報を検索する。例えば、図9に示すように、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバから、ケーブルRFID値、クロージャRFID値など該当するデータを設計情報として取得して、携帯情報端末60に保存する。これらの情報は、布設作業の対象となるケーブルのケーブルID(支線のインデックス)を入力(S1110)するなどして検索できるように設計されていることが望ましい。
【0087】
c.作業現場での確認
布設作業現場に到着した作業者9は、保存した設計情報を、携帯情報端末60に表示して(S1120)、設計情報を確認しながら作業することができる。また、作業の事情や状況によって、作業者9は布設作業現場で、携帯情報端末60を使い、各サーバにアクセスして、該当する設計情報を受信することもできる。
【0088】
d.作業対象のクロージャ確認
作業者9は、携帯している携帯情報端末60の読取部で、布設作業の始点となる支線1bのクロージャ3bに貼付されたRFIDタグ31の、クロージャ情報を読み取り(S1130)、携帯情報端末60の記憶部に保存する。作業者9は、携帯情報端末60が読み取ったクロージャ3bのクロージャRFIDタグの値と、先に携帯情報端末60に保存している設計情報のクロージャRFIDタグの値とを、照合する。作業者9は、照合することにより、クロージャ3bが布設作業の始点のクロージャであることを確認できるので、このクロージャ3bから布設作業を開始する。
【0089】
e.ケーブルの接続作業
作業者9は、クロージャ3bの端子台に、支線1bのケーブル10の心線12を接続(配線)し、支線1bの始点となるRFIDタグ14を貼付する。作業者9は、貼付したRFIDタグ14を、携帯情報端末60の読取部で読み取る(S1140)。携帯情報端末60は、この情報を記憶部で保存する。また、ケーブル10の心線12が、すでにクロージャ内で接続されている場合は、RFIDタグ14を貼付して、携帯情報端末60で読み取り、記憶部で読み取った情報を保存する。
【0090】
f.ケーブルの布設
作業者9は、支線1bのケーブル布設作業を開始する。RFID読取/書込装置70は、布設されて通過するケーブル10の一定間隔に貼付されている各RFIDタグ11を、順次読み取っていき(S1140)、読み取った情報をケーブル情報として携帯情報端末60に送る。携帯情報端末60は、そのケーブル情報を記憶部で保存する。
【0091】
g.布設情報の書込み
作業者9は、RFID読取/書込装置70の書込部で、支線1bのケーブル10に貼付した各RFIDタグ11に、作業場所で取得することのできる布設情報として、「工事日」、「GPSデータ」などを書き込むこともできる(S1150)。
【0092】
h.ケーブル長の算出
RFID読取/書込装置70の制御部は、ケーブル10の各RFIDタグ11それぞれにあらかじめ記録されているケーブル情報に含まれる距離情報に基づき、布設した支線1bのケーブル長を算出する(S1160)。RFID読取/書込装置70は、算出したケーブル長を携帯情報端末60に送る。携帯情報端末60は、そのケーブル情報を記憶部で保存する。
【0093】
i.ケーブルの予定長
作業者9は、支線1bのケーブル10を布設していき、ケーブル10が予定の長さに達したとき、ファンクションキーを押す(S1170)などしてシステムにケーブルが予定の長さに達したことを記憶させる(S1180)。この場合、ファンクションキーの他に、マウス、キー入力あるいは音声認証などを使ってもよい。
【0094】
j.電柱に到達
作業者9は、支線1bのケーブル10を布設していき、その途中で、電柱4(4a、4b、4c)に到達したときは、ファンクションキーを押すなどしてシステムに電柱4に到達したことを知らせる(S1190)。この場合、ファンクションキーの他に、マウス、キー入力あるいは音声認証などを使ってもよい。
【0095】
k.電柱情報
作業者9は、携帯情報端末60の読取部で、電柱4(4a、4b、4c)に貼付した、電柱番号43を記入したRFIDタグ45の電柱情報を読み取り、携帯情報端末60の記憶部で保存する(S1200)。電柱4の破損など何らかの事情によりRFIDタグ45の電柱情報が読み取れなくても、電柱4の近くのケーブルに取り付けられている共架札44に貼付されたRFIDタグ41の情報を、読み取り電柱情報とすることもできる。
【0096】
l.クロージャに到達
作業者9は、支線1bのケーブル10を布設していき、クロージャ3bに到達したとき、ファンクションキーを押すなどしてシステムにクロージャに到達したことを知らせる(S1210)。この場合、ファンクションキーの他に、マウス、キー入力あるいは音声認証などを使ってもよい。
【0097】
m.終点のクロージャに到達
作業者9は、布設してきたケーブル10が、その制限内で布設作業の終点のクロージャ3bに到達したら、ケーブルの接続(配線)作業をおこなう。作業者9は、支線1bの終点となるクロージャ3b内に、RFIDタグ14を貼付して、携帯情報端末60で読み取る(S1220)。携帯情報端末60は、読み取った情報を記憶部に保存する。
【0098】
n.布設作業終了後の処理
支線1bの布設作業を終了した作業者9は、事業所などで布設作業中に携帯情報端末60の記憶部で保存したクロージャ情報、電柱情報、およびRFID読取/書込装置70が読み取り携帯情報端末60が記憶部で保存しているケーブル情報を、布設情報として管理サーバ95のデータベースに登録する(S1230)。
【0099】
なお、作業の事情や状況によって、作業者9は、布設作業中に作業現場から携帯情報端末60で読み取り保存している各情報を、順次管理サーバ95などに送信してもよい。
【0100】
このように、携帯情報端末60とRFID読取/書込装置70がケーブルの布設作業中に読み取った情報で、ケーブルの布設情報を作成することができる。
【0101】
(3)引込み線の布設
次に、引込み線の布設作業について説明する。本発明の実施形態の一つとして、作業者9が布設情報管理システムの支援を受けながら、クロージャ3bから電柱4を経由して螺旋状ワイヤー7の中を加入者宅5まで引込み線2を布設する作業について説明する。図7に引込み線の布設方法の一例を示す。図12に布設作業のフローチャートを示す。
【0102】
a.前提条件
お客さまから申込があったとき,受付担当者がお客さまの情報をお客さま受付システムへ入力する。お客さま受付システムは、お客さまに関する設計情報を生成し、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95に登録する。お客さまに関する設計情報とは、幹線ケーブルインデックス(回線番号)、工事予定日、お客さま番号、布設作業の始点となるクロージャなどである。
【0103】
b.事前作業
布設作業前、作業者9は、事業所などでネットワーク90へ接続して布設情報管理システムから、布設作業の対象となる情報を検索する。例えば、図9に示すように、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバから、ドロップケーブルRFIDタグ値、クロージャRFIDタグ値、始点の心線RFIDタグ値またはクロージャの端子のRFID値など該当するデータを検索し、携帯情報端末60に保存する。これらの情報は、お客さま番号を入力して(S2110)検索キーとして検索できるように設計されていることが望ましい。
【0104】
c.作業現場での確認
引込み線布設作業現場に到着した作業者9は、保存した設計情報を、携帯情報端末60に表示して(S2120)、設計情報を確認しながら作業することができる。また、作業の事情や状況によっては、作業者9は布設作業現場で、携帯情報端末60を使い各サーバにアクセスして、該当するデータを受信することもできる。
【0105】
d.作業対象のクロージャ確認
作業者9は、携帯している携帯情報端末60の読取部で、布設作業の始点となるクロージャ3bに貼付されたRFIDタグ31から、クロージャ情報を読み取り(S2130)、携帯情報端末60の記憶部に保存する。作業者9は、携帯情報端末60が読み取ったクロージャ3bのクロージャRFIDの値と、先に携帯情報端末60に保存している設計情報のクロージャRFIDの値とを、照合する。(S2140)。作業者9は、照合することにより、クロージャ3bが引込み線布設作業の始点のクロージャであることを確認できる。確認できたら、このクロージャ3bから引込み線の布設作業を開始する。
【0106】
e.ドロップケーブルの接続作業
作業者9は、クロージャ3bの端子台に、引込み線ドロップケーブル20の心線22を接続して、引込み線作業の始点となるRFIDタグ24を貼付する。作業者9は、貼付されたRFIDタグ24を、携帯情報端末60で読み取る(S2150)。携帯情報端末60は、この情報を記憶部で保存する。
【0107】
f.ドロップケーブルの布設
作業者9は、ドロップケーブル20の布設作業を開始する。作業者9は、RFID読取/書込装置70を使用して、布設するドロップケーブル20に一定間隔に貼付されたケーブルの各RFIDタグ21を、順次読み取る(S2150)。読み取った情報はケーブル情報として携帯情報端末60に一時的に記録される。
【0108】
g.布設情報の書込み
各RFIDタグ21が、書き込み可能な種類のRFIDタグである場合は、作業者9は、RFID読取/書込装置70の書込部で、ドロップケーブル20に貼付した各RFIDタグ21に、作業場所で取得することのできる布設情報として、「工事日」、「GPSデータ」などを書き込むこともできる(S2160)。
【0109】
h.ケーブル長の算出
RFID読取/書込装置70の制御部は、ドロップケーブル20のRFIDタグ21それぞれにあらかじめ記録されているケーブル情報に含まれる距離情報に基づき、布設したドロップケーブル20のケーブル長を算出する。RFID読取/書込装置70は、算出したケーブル長を携帯情報端末60に送る。携帯情報端末60は、そのケーブル情報を記憶部で保存する。
【0110】
i.電柱に到達
作業者9は、加入者宅5に向けてドロップケーブル20を布設していき、その途中で、電柱4eに到達したときは、ファンクションキーを押す(S2180)などしてシステムに電柱4eに到達したことを知らせる(S2200)。この場合、ファンクションキーの他に、マウス、キー入力あるいは音声認証などを使ってもよい。
【0111】
j.電柱情報
作業者9は、携帯情報端末60の読取部で、電柱4eに貼付した、電柱番号43を記入したRFIDタグ45の電柱情報を読み取り、携帯情報端末60の記憶部で保存する(S2210)。電柱4の破損など何らかの事情によりRFIDタグ45の電柱情報が読み取れなくても、電柱4の近くのケーブルに取り付けられている共架札44に貼付されたRFIDタグ41の情報を、読み取り電柱情報とすることもできる。
【0112】
k.加入者宅に到達
作業者9は、ドロップケーブル20を布設していき、加入者宅5に到着すると(S2220)、ドロップケーブル20と加入者宅5の家庭用光ファイバ終端装置(ルーター)51との接続作業をおこなう。作業者9は、ドロップケーブル20の終点となる家庭用光ファイバ終端装置(ルーター)51に、RFIDタグ52を貼付して、携帯情報端末60の読取部で、RFIDタグ52の情報を読み取る(S2230)。携帯情報端末60は、読み取った情報を記憶部で保存する。
【0113】
l.布設作業終了後の処理
引込み線の布設作業を終了した作業者9は、事業所などで布設作業中に、携帯情報端末60の記憶部で保存したクロージャ情報、電柱情報、およびRFID読取/書込装置70が読み取り携帯情報端末60が記憶部で保存しているドロップケーブル情報を、布設情報として管理サーバ95のデータベースに登録する(S2240)。
【0114】
なお、作業の事情や状況によっては、作業者9は、布設作業中に作業現場から携帯情報端末60で読み取り保存している各情報を、順次管理サーバ95などに送信してもよい。
【0115】
このように、携帯情報端末60とRFID読取/書込装置70が引込み線ドロップケーブルの布設作業中に読み取ったそれぞれの情報で、ケーブルの布設情報を作成することができる。また、家庭用光ファイバ終端装置51に貼付された引込み線終点のRFIDタグ52は、加入者宅5を示す情報として、台風災害や事故等の障害発生時の対応時の、ケーブル特定にも役に立つ。
【0116】
4.撤去作業
(1)引込み線の撤去
a.事前作業
作業者9は、撤去作業を行う前に、事業所などでネットワーク90へ接続して布設情報管理システムから、撤去作業の対象となる情報を検索する。例えば、図9に示すように、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバから、ドロップケーブルRFIDタグ値、クロージャRFIDタグ値、始点の心線RFIDタグ値またはクロージャの端子のRFID値など該当するデータを検索し、携帯情報端末60に保存する。これらの情報は、お客さま番号を検索キーとして検索できるように設計されていることが望ましい。
【0117】
b.作業現場での確認
引込み線の撤去作業現場に到着した作業者9は、布設情報を携帯情報端末60に表示して、確認しながら作業することができる。また、作業の事情や状況によって、作業者9は携帯情報端末60を使い、撤去作業をおこなう現場で、管理サーバ95にアクセスして、該当するデータを受信することもできる。
【0118】
c.作業対象のクロージャ確認
作業者9は、携帯している携帯情報端末60の読取部で、撤去作業の始点となるクロージャ3bに貼付されたRFIDタグ31から、クロージャ情報を読み取り、携帯情報端末60の記憶部に保存する。作業者9は、携帯情報端末60が読み取ったクロージャ3bのクロージャRFID値と、先に携帯情報端末60に保存している布設情報の中のクロージャRFID値とを、照合する。作業者9は、照合することにより、クロージャ3bが引込み線撤去作業の始点のクロージャであることを確認できる。
【0119】
d.作業対象の引込み線確認
作業者9は、確認したクロージャ3b内に貼付されている各RFIDタグ24を、携帯情報端末60で順次読み取りながら、表示されるRFIDタグ値と布設情報から得た撤去作業対象のドロップケーブル20のRFIDタグ値とを照合していく。RFIDタグ値が一致した心線22は、撤去作業対象の加入者宅5に接続されているドロップケーブ20であることが確認できる。
【0120】
e.引込み線の撤去作業
作業者9は、RFIDタグ値から確認した、ドロップケーブル20のRFIDタグ21を、携帯情報端末60で読み取り、情報を記憶部で保存する。作業者9は、撤去対象のドロップケーブル20の心線22をクロージャ3bの端子台からはずす。
【0121】
クロージャ3bの端子台から、対象のドロップケーブル20をはずすことで、作業者9は、このドロップケーブル20を、加入者宅5の側から手繰り寄せて撤去することができる。
【0122】
f.引込み線の撤去の情報処理
作業者9は、事務所へ帰ってから、前記撤去作業で取得したRFIDタグ値などの撤去に関する情報を、ケーブル情報管理システムへ登録する。ケーブル情報管理システムは、当該情報をデータベースから削除する。これにより、撤去作業が完了したことになる。
【0123】
5.災害時の対応
(1)台風災害や事故等の障害発生時に、引込み線を特定する。
ケース1.お客さま番号がわかっている場合
a.事前作業
お客さまから事故や災害などによる障害発生の連絡があり、お客さま番号が確認できるとき、作業者9は、作業を行う前に、事業所などでネットワーク90へ接続して布設情報管理システムから、作業の対象となる情報を検索する。例えば、図9に示すように、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバから、ドロップケーブルRFIDタグ値、クロージャRFIDタグ値、始点の心線RFIDタグ値またはクロージャの端子のRFID値、クロージャの端子のRFIDタグ値など該当するデータを検索し、携帯情報端末60に保存する。これらの情報は、お客さま番号を検索キーとして検索できるように設計されていることが望ましい。障害発生時の事情や状況によって、作業者9は現場(作業地)で、携帯情報端末60を使って管理サーバ95に接続して、該当する各データを受信することもできる。
【0124】
b.クロージャの特定
作業者9は、携帯情報端末60に保存した、当該お客さまの布設情報のクロージャ3bのRFIDタグ31の情報やGPSデータなどから、そのクロージャの設置されている場所を特定する。
【0125】
c.クロージャの確認
障害発生現場に到着した作業者9は、携帯している携帯情報端末60で、該当クロージャに貼付されたRFIDタグ31から、クロージャ情報を読み取り、携帯情報端末60の記憶部に保存する。作業者9は、先に携帯情報端末60に保存している布設情報を表示して、携帯情報端末60が読み取った該当クロージャのクロージャRFIDタグ値と照合する。作業者9は、照合することにより当該クロージャが、障害が発生している加入者宅5のドロップケーブル20が接続されているクロージャ3bと確認できる。
【0126】
d.心線の照合
作業者9は、確認したクロージャ3bの端子台に接続されている心線22のRFIDタグ24を、携帯情報端末60で順次読み取りながら、表示される心線のRFIDタグ値と布設情報から得た作業対象のRFIDタグ値とを照合していく。RFIDタグ値が一致した心線22は、障害が発生しているお客さま宅5に接続されているドロップケーブ20であること確認できる。
【0127】
e.ドロップケーブルの交換
作業者9は、心線22のRFIDタグ値から確認した、ドロップケーブル20のRFIDタグ21を、携帯情報端末60で読み取り、情報を記憶部で保存する。作業者9は、障害が発生したドロップケーブル20をクロージャ3bの端子台からはずし、新たなドロップケーブル20を、クロージャ3bの端子台に接続する。障害が発生したドロップケーブル20を、クロージャ3bの端子台からはずすことで、作業者9は、このドロップケーブル20を、加入者宅5の側から、手繰り寄せて回収することができる。また、新しいドロップケーブル20を布設しながら、切り離したドロップケーブル20を回収することもできる。作業者9は、新しいドロップケーブル20の心線22に始点となるRFIDタグ24を貼付して、携帯情報端末60で読み取り、記憶部で保存する。
【0128】
f.ドロップケーブルの布設
作業者9は、加入者宅5に向けて新しいドロップケーブル20の布設作業を開始する。RFID読取/書込装置70は、布設されて通過するドロップケーブル20に、一定間隔に取り付けられているケーブルのRFIDタグ21を、順次読み取ってゆき、読み取った情報をドロップケーブル情報として携帯情報端末60に送る。携帯情報端末60は、そのドロップケーブル情報を記憶部で保存する。
【0129】
この後の新しいドロップケーブルを布設する作業は、引込み線の布設作業と同様の手順で行われる。
【0130】
g.作業終了後の処理
新たなドロップケーブルを布設して、障害のあったドロップケーブルを回収した作業者9は、事務所などに戻り、携帯情報端末60が作業で読み取ったクロージャ情報、電柱情報、およびRFID読取/書込装置70が読み取り携帯情報端末に保存されているケーブル情報、ドロップケーブル情報を、それぞれ廃棄するドロップケーブル20の情報と新たにお客さま番号に対応するドロップケーブルケーブル20の情報として、管理サーバ95のそれぞれのデータベースに登録する。
【0131】
なお、作業の事情や状況によって、作業者9は、障害対応作業中に作業現場から携帯情報端末60で各情報を、順次管理サーバなどに送信してもよい。
【0132】
ケース2.お客さま番号がわからない場合
a.事前作業
お客さまから事故や災害などによる障害発生の連絡があったが、お客さま番号が確認できないとき、作業者9は最初にお客さま宅(以後は加入者宅)5に出向く。
【0133】
b.クロージャの確認
作業者9は、加入者宅5の家庭用光ファイバ終端装置51に貼付されているRFIDタグ52を、携帯情報端末60で読み取り、保存する。作業者9は、携帯情報端末60からネットワーク90へ接続して布設情報管理システムから、作業の対象となる情報を検索する。例えば、図9に示すように、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバから、ドロップケーブルRFIDタグ番号、クロージャRFIDタグ番号、始点の心線RFIDタグ番号など該当するデータを検索し、携帯情報端末60に保存する。これらの情報は、家庭用光ファイバ終端装置51に貼付されているRFIDタグ52番号を検索キーとして検索できるように設計されていることが望ましい。障害発生時の事情や状況によって、作業者9は現場(作業地)で、布設情報管理システムから、加入者宅5のお客さま番号、引込み線のドロップケーブルのインデックス、クロージャのRFIDタグ番号、始点の心線RFIDタグ番号、GPS情報などを、携帯情報端末60に保存してもよい。
【0134】
c.クロージャの照合
携帯情報端末60に保存した情報をもとに、クロージャのある場所に移動した作業者9は、クロージャ3b内の心線RFIDタグ24の番号を、携帯情報端末で順次読み取り、該当するドロップケーブル20のRFIDタグ24であるか照合する。RFIDタグ番号が一致した心線22は、障害が発生しているお客さま宅5に接続されているドロップケーブ20であることを確認できるので、作業者9は、このドロップケーブル20をクロージャ3bの端子台からはずす。
【0135】
この後の新しいドロップケーブルを布設する作業は、引込み線の布設作業と同様の手順で行われる。
【0136】
d.作業終了後の処理
新たなドロップケーブルを布設して、障害のあったドロップケーブルを回収した作業者9は、事務所などに戻り、携帯情報端末60が作業で読み取ったクロージャ情報、電柱情報、およびRFID読取/書込装置70が読み取り携帯情報端末に保存されているケーブル情報、ドロップケーブル情報を、それぞれ廃棄するドロップケーブル20の情報と新たにお客さま番号に対応するドロップケーブルケーブル20の情報として、管理サーバ95のそれぞれのデータベースに登録する。
【0137】
なお、作業の事情や状況によって、作業者9は、障害対応作業中に作業現場から携帯情報端末60で各情報を、順次管理サーバなどに送信してもよい。
【0138】
(2)沿線火災の場合に、ケーブルを特定する。
本実施形態によると、通信ケーブルが布設されている沿線で火災が発生した場合、被害を受ける可能性があるケーブルを特定することができる。被害の範囲を推定できたら、影響の出る可能性のあるお客さまに連絡をしたり、迂回路を活用して通信が中断しないように対策を講じることができる。
【0139】
a.ケーブル、電柱の特定
作業者9は、事業所などでネットワーク90へ接続して布設情報管理システムから、火災現場に近く火災の被害によるケーブルの交換作業の対象となる可能性のある幹線1a・支線1b、クロージャ3、電柱4を検索する。まず、図9に示すように、工事予定サーバ91、回線情報サーバ92、収容局情報サーバ93、受付情報サーバ94、管理サーバ95の各サーバなどから、GPSデータを検索キーとして影響を受ける幹線1a・支線1b、電柱4の特定をすることができる。取得した情報は、携帯情報端末60に保存する。
【0140】
b.クロージャの特定
作業者9は、特定した幹線1a・支線1bのケーブルID(幹線・支線のインデックス)を検索キーとして、布設情報管理システムから、それぞれのケーブルのクロージャ情報を取得して、携帯情報端末60に保存する。クロージャを特定することにより、火災ではなくケーブルの交換作業の影響を受ける広範囲のケーブルも特定できる。
【0141】
c.ドロップケーブルの特定
次に、作業者9は、特定した幹線1a・支線1bのケーブルIDを検索キーとして、布設情報管理システムから、各幹線1a・支線1bに接続している引込み線のドロップケーブルの情報を取得する。例えば、ドロップケーブルインデックス、お客さま番号、クロージャ情報、家庭用光ファイバ終端装置のRFID情報などである。そして、お客さま番号を検索キーとして、お客さま情報を取得して、加入者への連絡などの対応を取る事もできる。取得したドロップケーブルの情報は、携帯情報端末60に保存する。
【0142】
d.優先順位
また、作業者9は、ドロップケーブルの情報の引込み線の本数量などから各幹線1a・支線1bの通信量を把握できるので、復旧作業の優先順位を判断する目安となり、加入者に対して最小限の影響で収める事のできる復旧作業の計画を立てる事ができる。
【0143】
e.復旧作業
作業者9は、復旧作業の計画を基に、ケーブルの交換作業に出向く。
この後のケーブルの交換作業は、ケーブルの布設作業と同様の手順で行われる。
【0144】
本実施形態に係る布設情報管理システムは、以上のように構成されているので、次のような作用効果を奏する。
【0145】
ケーブル布設時においては、ケーブル及び心線を識別する場合、丸ケーブルの心線をクロージャ端末に接続し、RFIDタグを付け、電子的方法により接続先や加入者を識別してデータベースに登録することができるようになる。一旦データベースに登録したら、以後はタグの情報を電子的に読んでデータベースを検索すれば、丸ケーブルの心線やクロージャなどを電子的に識別することができる。この方法によれば、従来のように識別コードを目視確認する必要が無いため、視力に頼らず作業できるようになる。従って、老眼になった熟練作業員が視力のハンデを負うことなく作業に従事できる。
【0146】
更に、通信回線を利用してオンラインでデータベースへ接続すると、接続先や加入者を現場で確認することが可能になる。それにより、作業のミスを防ぐとともに作業の安全性を高めることができる。
【0147】
ケーブル撤去時においては、クロージャの端子位置で、どの引込線が加入者宅に接続されているかを電子的に調べることができる。従って、クロージャの端子台から引込み線をはずし、加入者宅の側から引込み線を引っ張って撤去することができる。
【0148】
電柱の支障移転に対応する場合には、切断箇所において,クロージャ及び加入者宅を識別できる。
【0149】
台風災害や事故等の障害発生時においては、ケーブル断線など障害の起きた場所で,クロージャ及び加入者宅を識別できる。
【0150】
布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20には長さ方向に沿って複数のケーブル情報が記録されており、ケーブル情報読取手段であるRFID読取/書込装置70により、布設時に丸ケーブル10,ドロップケーブル20が布設されるのに応じて読み取るようになっているため、ケーブル情報を別途手作業により転記するなどの必要がなく、容易に収集することができる。そして、読み取ったケーブル情報を携帯情報端末60に保存して、布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20の布設情報を作成するので、布設後の保守管理に必要な布設情報を容易に作成することができる。
【0151】
また、ケーブル情報には布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20の起点からの距離情報が含まれており、距離情報に基づき、ケーブル長算出手段であるRFID読取/書込装置70によりケーブル長が算出されるので、別途手作業でケーブル長を算出する必要はない。
【0152】
また、ケーブル情報に布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20の製品情報を含めることにより、製造者や製造年などの特定の製造条件により該当するケーブルを特定して抽出することが可能であり、保守管理時にスムーズに対応することができる。
例えば、ケーブルにロット不良があることが判明した場合、製造番号をキーとして検索することにより、取り替えるべきケーブルを容易に抽出し、影響のあるお客さまを特定することができる。また、経過年数ごとにケーブルを取り替える場合には、製造年をキーとして検索すればよい。
【0153】
また、クロージャ情報読取手段である携帯情報端末60により、布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20が接続されるクロージャを特定するクロージャ情報を読み取り、読み取ったクロージャ情報に基づき布設情報を作成するので、クロージャ単位で保守管理を行う場合に、関連するクロージャを特定して影響のあるケーブルを特定することができる。
【0154】
また、クロージャ判定手段である携帯情報端末60により、接続されるクロージャが予め指定されたクロージャかどうかを判定するので、接続しようとするクロージャ3bが正しいかどうかを確認することができる。
【0155】
また、電柱情報読取手段である携帯情報端末60により、布設される丸ケーブル10,ドロップケーブル20が通過する電柱4を特定する電柱情報を読み取り、読み取った電柱情報に基づき布設情報を作成するので、台風災害や事故等の障害発生時や電柱の支障移転の際に、関連する電柱を選択して検索キーとし、影響のあるケーブルを容易に特定することができる。
【0156】
以上、本実施形態によれば、通信網とその布設工事、保守作業において、ケーブルの布設作業時及びケーブル布設後の保守管理に必要な布設情報を作成し管理することで、従来不可能であった目視に因らない通信ケーブルや心線の識別、作業対照物の確認、災害時の影響範囲の予測などが可能になる。
【0157】
なお、本実施形態では、各情報を記録するために、RFIDタグを用いたが、機器による読み取りが可能なものであれば、特に限定されない。
【符号の説明】
【0158】
1 幹線・支線
1a 幹線
1b 支線
2 引込み線
3 クロージャ
3a クロージャ(幹線)
3b クロージャ(支線)
4 電柱
5 加入者宅
6 テンションワイヤー
7 螺旋状ワイヤー
8 作業車
9 作業者
10 丸ケーブル
11 RFIDタグ(丸ケーブル)
12 心線
13 ケーブル延線治具
14 RFIDタグ
20 ドロップケーブル
21 RFIDタグ(ドロップケーブル)
22 心線
23 テンションワイヤー(ドロップケーブル)
24 RFIDタグ
31 RFIDタグ(クロージャ)
41 RFIDタグ(共架札)
42 支持具
43 電柱番号
44 共架札
45 RFIDタグ(電柱番号)
51 家庭用光ファイバ終端装置(ルーター)
52 RFIDタグ(ルーター)
60 携帯情報端末(PDA)
70 RFID読取/書込装置
71 送受信部
80 ケーブルドラム
90 ネットワーク
91 工事予定サーバ
92 回線情報サーバ
93 収容局情報サーバ
94 受付情報サーバ
95 管理サーバ
S 局舎
120 幹線データベース
121 幹線データベースの設計情報テーブル
122 幹線データベースのケーブル情報テーブル
125 幹線データベースの電柱情報テーブル
130 ドロップケーブルデータベース
131 ドロップケーブルデータベースの設計情報テーブル
132 ドロップケーブルデータベースのケーブル情報テーブル
135 ドロップケーブルデータベースの電柱情報テーブル
140 心線データベース
141 心線データベースの設計情報テーブル
142 心線データベースのケーブル情報テーブル
145 心線データベースの電柱情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーによる高速通信に使用される通信設備であって、
電子的に識別可能なタグを複数付した通信ケーブルと、
電子的に識別可能なタグを付したクロージャと、
電子的に識別可能なタグを付した前記クロージャの端子と、
電子的に識別可能なタグを複数付した引込み線と、
電子的に識別可能なタグを付した終端装置とを備えたことを特徴とする通信設備。
【請求項2】
請求項1に記載の通信設備に於いて、
電子的にデジタル情報を書き換えることができる電子的に識別可能なタグを付したことを特徴とする通信設備。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の通信設備に於ける通信ケーブル布設方法であって、
前記通信ケーブルのタグの情報を電子的に記録する手順と、
前記クロージャのタグの情報を電子的に記録する手順と、
前記クロージャの端子のタグの情報を電子的に記録する手順と、
前記通信ケーブルのタグの情報と前記クロージャのタグの情報から布設作業の確認を行う手順と、
を備えたことを特徴とする通信ケーブル布設方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の通信設備に於ける通信ケーブル布設方法であって、
前記クロージャのタグの情報を電子的に記録する手順と、
前記クロージャの端子のタグの情報を電子的に記録する手順と、
前記引込み線のタグの情報を電子的に記録する手順と、
前記終端装置のタグの情報を電子的に記録する手順と、
前記引込み線のタグの情報と前記クロージャのタグの情報から布設作業の確認を行う手順と、
を備えたことを特徴とする通信ケーブル布設方法。
【請求項5】
電子的に識別可能なタグが付いていない通信ケーブルには前記識別可能なタグを付す手順と、
電子的に識別可能なタグが付いていないクロージャには前記識別可能なタグを付す手順と、
電子的に識別可能なタグが付いていないクロージャの端子には前記識別可能なタグを付す手順と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の通信ケーブル布設方法。
【請求項6】
電子的に識別可能なタグが付いていないクロージャには前記識別可能なタグを付す手順と、
電子的に識別可能なタグが付いていないクロージャの端子には前記識別可能なタグを付す手順と、
電子的に識別可能なタグが付いていない引込み線には前記識別可能なタグを付す手順と、
電子的に識別可能なタグが付いていない終端装置には前記識別可能なタグを付す手順と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の通信ケーブル布設方法。
【請求項7】
布設されるケーブルの設計情報を作業前に保存するケーブル情報準備手段と、
前記布設されるケーブルに付された電子的に識別可能なタグの情報を布設時に読み取るケーブル情報読取手段と、
前記読み取ったケーブル情報に基づき前記布設されるケーブルの布設情報を作成する布設情報作成手段とを備えたことを特徴とする布設情報管理システム。
【請求項8】
前記ケーブル情報に基づき布設されるケーブルのケーブル長を算出するケーブル長算出手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載の布設情報管理システム。
【請求項9】
前記布設されるケーブルが接続されるクロージャを特定するクロージャ情報を読み取るクロージャ情報読取手段を備え、前記布設情報作成手段は、前記読み取ったクロージャ情報に基づき前記布設情報を作成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の布設情報管理システム。
【請求項10】
前記接続されるクロージャが予め指定されたクロージャであるかどうかを判定するクロージャ判定手段を備えたことを特徴とする請求項7乃至請求項9のうちいずれか1つに記載の布設情報管理システム。
【請求項11】
前記布設されるケーブルが通過する電柱を特定する電柱情報を読み取る電柱情報読取手段を備え、前記布設情報作成手段は、前記読み取った電柱情報に基づき前記布設情報を作成することを特徴とする請求項7乃至請求項10のうちいずれか1つに記載の布設情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−211871(P2011−211871A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79443(P2010−79443)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【Fターム(参考)】