説明

通学範囲最適化装置および通学範囲最適化プログラム

【課題】通学距離と児童に係る情報に基づいて、児童を最適でかつ利便性と安全性の高い学校区に振向ける通学範囲最適化プログラムおよび通学範囲最適化装置を提供する
【解決手段】 記録部に記録された各児童と各学校の住所に基づいて、各児童について、児童の住所から各学校の住所までの距離を算出するルート検出処理と、距離に基づいて児童の住所から学校までの距離が最も短い学校を該児童の通学する学校に仮割り振りをする仮割振処理と、記録部に記録された学校と学校で収容可能な収容人数に基づいて、仮割振処理で学校に仮割り振りをした児童数と、該学校の収容可能な収容人数とを比べて、仮割振処理で学校に仮割り振りをした児童数のほうが多いと判断をすると、多い人数分の児童について、仮割振処理で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を記録部を参照して求め、該児童を該隣接する学校区を持つ学校に割り振る振向処理と、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、児童を最適な学校区に振向ける通学範囲最適化の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校区を決める場合には、就学前の児童情報を住民基本台帳から抽出し、学校区単位或いは町目単位に児童数を数え、決められた学校区内の小中学校に人数の割り当てを行っている(例えば、地方自治体の教育委員会、学務課等)。そして、この児童の割り当てから施設(教室等)の確保や教職員数の調整も行っている。
【0003】
しかしながら、各学校では学校区内の児童全員を基本的には受け入れるため、就学前(0歳〜6歳)の児童数を把握した上で学校施設の拡縮を検討することとなり、児童数の急激な増加や減少等により、何年かが経過すると、ある学校では施設過剰、ある学校では施設が不足してしまうという問題が発生することがある。また、住民の立場からすると学校区に依存した場合、最寄りの学校に通えず遠方の学校にわざわざ通学するケースや、危険な道路を通学しなければならないといった事態が発生し、防犯、安全といった観点からしても好ましくない。
【0004】
特許文献1によれば、最寄りの施設の位置を検索する際に、現在位置からの実際の移動時間が短い施設をその順番に抽出できて、実際の使用感の向上を実現する提案がされている。情報記録媒体内に、多種類の地図描画用データおよびマップマッチング用データの他に、施設名称データベース、この施設名称データベース内の各施設についての具体的情報を含む施設データベースが記憶されている。制御回路は、使用者側の検索操作に応じて、データベースから現在位置の周辺に位置する複数の施設を同時に抽出し、それらの施設までの経路演算により、現在位置から施設までの経路距離または現在位置から施設までの移動所要時間を算出する。また、共に各施設名を算出した経路距離順または移動所要時間順に並べ替えたリストを作成し、そのリスト並びにリスト中の施設の位置を上位のものから所定の数だけ表示装置に表示された道路地図画面上に表示する。
【特許文献1】特開2001−174273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような実情に鑑みてなされたものであり、通学距離と児童に係る情報に基づいて、児童を最適でかつ利便性と安全性の高い学校区に振向ける通学範囲最適化装置および通学範囲最適化プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
態様のひとつである通学範囲の最適化は、ルート検出処理、仮割振処理、振向処理を実行して行なわれる。ルート検出処理は、記録部に記録される各児童と各学校の住所に基づいて、各児童について、児童の住所から各学校の住所までの距離を算出する。仮割振処理は、ルートの距離に基づいて児童の住所から学校までの距離が最も短い学校を該児童の通学する学校に仮割り振りをする。振向処理は、学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて、仮割振処理で学校に仮割り振りをした児童数と、該学校の収容可能な収容人数とを比べて、仮割振処理で学校に仮割り振りをした児童数のほうが多いと判断をすると、多い人数分の児童について、学校と該学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、仮割振処理で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該児童を該隣接する学校区を持つ学校に割り振る。
【0007】
上記のように、通学距離と児童に係る情報に基づいて、通学における児童を最適でかつ利便性と安全性の高い学校区に振向けることができる。また、学校側の施設拡縮計画(学校の統廃合など)や人員調整を最適にすることができる。さらに、各学校の児童の割振りや、児童数の増減の推移を提示できるため、さらに細かい児童の振向けができる。
【発明の効果】
【0008】
通学距離と児童に係る情報に基づいて、児童を最適でかつ利便性と安全性の高い学校区に振向けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。
図1は通学範囲最適化装置の構成を示す図である。
通学範囲最適化装置は、例えば大規模な区画変更、市町村の合併、学校の統廃合などにより学校区の全面的な見直しが必要になった場合に、通学範囲を決めるために用いる。
【0010】
通学範囲最適化装置は、制御部1(CPU、プログラマブルデバイスなど)、記録部8を備え、制御部1はルート検出処理部2、仮割振処理部3、振向処理部4を備えている。
ルート検出処理部2は、記録部8に記録される各児童と各学校の住所に基づいて、各児童について、児童の住所から各学校の住所までのルートを計算し、そのルートに対する距離を算出する。
【0011】
仮割振処理部3は、ルート検出処理部2により算出した距離に基づいて児童の住所から学校までの距離が最も短い学校を該児童の通学する学校に仮割り振りをする。仮割振処理部3の詳細については後述する(図3)。
【0012】
振向処理部4は、学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部8に基づいて、仮割振処理部3で学校に仮割り振りをした児童数と、該学校の収容可能な収容人数とを比べる。そして、振向処理部4は、仮割振処理部3で学校に仮割り振りをした児童数のほうが多いと判断をすると、多い人数分の児童について、仮割振処理部3で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求める。仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校は、学校と該学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部8の学校区隣接テーブル(図5のA)を参照して求める。その後、該児童を該隣接する学校区を持つ学校に割り振る。振向処理部4の詳細については後述する(図4)。
【0013】
また、通学範囲最適化装置は、GIS6(地理情報システム:Geographic Information System)と連動している。GIS6と連動することにより、例えば、地方自治体で保有している住民基本台帳、住宅地図、地番家屋現況図などのデータと、住所または旧地番のデータを突合できる。また、各世帯の情報などを連動させることができる。
【0014】
GIS6は地理情報テーブル7を有し、地理情報テーブル7には地図データ、道路ネットワークデータを有している。
地図データは、例えば市販されている住宅地図データまたは、地方自治体で保有している地番家屋図に基づいて作成したベースマップなどである。また、就学および未就学児童の住所を抽出するための空間データ、街区ポリゴンデータ、小中学校の施設位置データ、危険箇所データなどを記録している。
【0015】
空間データとは、土地または家屋の位置を示す土地・家屋データ(地番など)または住居を表示する住居表示ポイントデータなどである。
街区ポリゴンデータは、街区をポリゴン表示するためのデータである。なお、街区が存在しないエリアについては、市街地の街区と同様のポリゴンを予め生成して登録する。また、ポリゴンの作画は、例えばGISの基本的な機能により行い、街区ポリゴンと同一のレイヤに同一種別コードを用いて登録してもよい。
【0016】
危険箇所データは、地域で既に知られている犯罪、事故などが発生した危険な場所を示すデータである。
道路ネットワークデータは、全児童宅から学校までのルートを算出する際に使用するデータである。例えば、国土地理院発行1/25,000地形図上で幅員3.0m以上の道路を対象にしてルーティングを行ってもよい。なお、都市市街地では上記道路に加えて国土地理院発行1/10,000地形図、および都市計画上で幅員3.0m以上の道路を対象としてもよい。
【0017】
記録部8は、世帯情報テーブル9、個人情報テーブル10、学校施設テーブル11、児童増加予測テーブル12、世帯番号ワークテーブル13、個人情報集計用テーブル14、学校別予測児童数テーブル15を有している。
【0018】
世帯情報テーブル9は、各世帯を示す世帯番号、住所(地番または住居表示)、街区番号が記録されている。例えば、図2のAに示すように、「世帯番号」には「010000019」「010000099」などの各世帯を識別する番号が記録されている。
【0019】
「住所」には「富士通市富士通町1−234」「富士通市富士通町2−876」などの各世帯の住所が世帯番号に対応付けて記録されている。
なお、世帯情報テーブル9への「世帯番号」「住所」の登録は、住民基本台帳などに記録されているデータを用いて記録することができる。
【0020】
「街区番号」には「01100−01」「01200−03」などの街区を識別する番号が世帯番号に対応付けて記録されている。「街区番号」はGIS上の街区を示す街区ポリゴンに対応付ける番号でもある。また、「街区番号」は上記「住所」のセルに記録されている住所に対応付けされている。
【0021】
個人情報テーブル10は、個人ごとの個人番号、世帯番号、生年月日、内外就学が記録されている。例えば、図2のBに示すように、「個人番号」には「000100027」「000100036」「000100045」などの個人を識別する番号が記録されている。なお、「個人番号」への識別する番号の記録は、住民基本台帳に記録されている個人ごとの氏名、住所、生年月日などのデータを利用して個人を識別し、識別する番号を記録することができる。
【0022】
「世帯番号」は「個人番号」に対応するように記録され、世帯情報テーブル9の情報と連動している。例えば、「010000019」「010000019」「010000099」などが記録されている。なお、「世帯番号」への識別する番号の記録は、住民基本台帳に記録されている個人ごとの氏名、住所、生年月日、世帯に関するデータなどを利用して世帯を識別し、識別する番号を記録することができる。
【0023】
「生年月日」には、個人ごとの生年月日が記録されている。例えば、年月日の順に記録する(「19970301」(1997年3月1日)、「20030405」(2003年4月5日)、「19970501」(1997年5月1日)。
【0024】
なお、「生年月日」は住民基本台帳に記録されている児童に関する氏名、住所、生年月日などのデータに基づいて記録することができる。
「内外就学」は個人ごとに、未就学児童(0歳〜小学校入学前の児童)、地域内就学(公立小中学校に通学している児童)、地域外就学(私立学校に通学している児童)であるかが示されている。「0」は未就学、「1」は地域内就学、「2」は地域外就学を示している。
【0025】
「内外就学」への未就学、地域内就学、地域外就学に関するデータの記録は、学齢簿などに記録されている児童に関する氏名、住所、未就学、地域内就学、地域外就学に関するデータを利用して行なわれる。そして、「個人番号」に対応付ける。
【0026】
学校施設テーブル11には、小学校、中学校ごとの学校名、住所、収容人数が記録されている。図2のCに示す学校施設テーブル11の「学校名」には、学校名が記録され、例えば、「A小学校」「B小学校」・・・が記録されている。
「住所」には学校の住所が記録され、図2のCでは「富士通町1丁目1460」「東町2丁目850」・・・などの住所が記録されている。
「収容人数」には対象の学校の収容人数が記録されている。図2のCでは収容人数を3段階に分けて記録している。例えば、収容人数の下限値「下限」には「400」「400」・・・が記録され、収容人数の最適値「最適」には「600」「750」・・・が記録され、収容人数の上限値「上限」には「700」「900」・・・が記録されている。
【0027】
なお、図示していないがGIS6の有する情報と、各学校の情報をリンクさせるコードも記録されている。
児童増加予測テーブル12には、児童が増加すると見込まれる場合に、児童の増加を予測したデータを記録したテーブルである。例えば、増加が見込まれる建設中のマンションがあれば、そのマンションを識別するためのシーケンシャルNo、マンションの住所、街区番号を記録するとともに、入居開始の日、増加が見込まれる0歳〜14歳までの予測人数を記録する。図2のDでは、「シーケンシャルNo」として「1」が入力され、「住所」には「シーケンシャルNo」に対応する建設中のマンション「富士通町1丁目1−1富士マンション」などの住所が記録されている。
【0028】
同様に、「街区番号」には「シーケンシャルNo」に対応する街区番号が入力され、図2のDでは「01100−01」が記録されている。
「入居開始」には入居開始日が記録され、図2のDでは2009年度に入居が開始されるため「2009」が記録されている。
【0029】
「予測人数」には、例えば「0歳」「1歳」「2歳」〜「9歳」「10歳」「11歳」「12歳」「13歳」「14歳」の各年齢に対応する予測人数が記録されている。図2のDでは「0」「0」「10」〜「10」「0」「0」「0」「0」「0」が記録されている。
【0030】
なお、図示していないがGIS6の有する情報と、各データをリンクさせるコードも記録されている。
世帯番号ワークテーブル13、個人情報集計用テーブル14、学校別予測児童数テーブル15については後述する(図2BのAを参照)。
【0031】
(ルート検出処理部と仮割振処理部の動作)
図3はルート検出処理部と仮割振処理部の動作を示すフロー図である。
ステップS1では、仮割振処理部が地域外就学を除外するかを判定し、除外をする場合にはステップS2に移行し、除外しない場合にはステップS3に移行する。
【0032】
ステップS2では、仮割振処理部が個人情報テーブル10から「内外就学」を参照して地域外就学者の「世帯番号」を抽出する。個人情報テーブル10から抽出したデータを読み込み、地域外就学者の「世帯番号」を世帯番号ワークテーブル13に書き込む。ここで、世帯番号ワークテーブル13はワークテーブルであり、抽出した世帯番号にシーケンシャルNoを付して記録する(図2BのAを参照)。
【0033】
なお、全児童宅からのルート検索処理を行う場合、処理対象児童の「世帯番号」を参照し、同一の番号が世帯番号ワークテーブル13に存在する場合で、以下の条件であれば対象児童を計算対象から除外する。

小学校処理時・・・対象データが未就学児であれば除外。
中学校処理時・・・対象データが未就学児または地域内就学の小学生であれば除外。
【0034】
ステップS3では、仮割振処理部が個人情報テーブル10から地域外就学者以外のデータを、1件ずつ読み込みをする。例えば、個人情報テーブル10の先頭から読み込み、児童ごとの「個人番号」「世帯番号」「生年月日」「内外就学」に関するデータを読み込む。
【0035】
ステップS4では、仮割振処理部が未就学児童の世帯に地域外就学児童がいる場合に、除外するか否かの判断をする。地域外就学児童がいる場合に除外するときはステップS5へ移行する。選択しないときはステップS7に移行する。
【0036】
ステップS5では、仮割振処理部が世帯番号ワークテーブル13に記録した地域外就学児童のいる世帯の世帯番号が、ステップS3で読み込んだ個人情報テーブル10の「世帯番号」に存在するか検索する。
【0037】
ステップS6では、仮割振処理部が世帯内に地域外就学児童がいるかを判定する。条件1に該当すればステップS3に移行し、該当しない場合にはステップS7に移行する。条件1とは、1)同一世帯内に地域外就学児が存在し、且つステップS3で読み込まれた児童本人が未就学児である。または、2)該児童本人が小学生(地域内)であり、且つ同一世帯内に地域外就学児の中学生がいることである。
【0038】
ステップS7では、ルート検索処理が児童宅から各学校までのルートの検索をする。例えば、児童宅から学校までのルートを検索は、世帯情報テーブル9に記録されている児童の「住所」と学校施設テーブル11の学校の「住所」と、地理情報テーブル7の地図データと道路ネットワークデータに基づいてルートを検索する。ここで、ルート検索はGIS6に既設の機能を利用して行なうことができる。
【0039】
ステップS8ではルート検索処理が距離の算出し、仮割振処理部が街区の抽出、個人情報集計用テーブル14へのデータの書込みを行う。距離の算出は、ルート検索処理がステップS7で検索した児童宅から学校までのルートに基づいて行う。例えば、GIS6に既設の機能を利用して行なうことができる。
【0040】
街区の抽出は、仮割振処理部が世帯情報テーブル9に記録されている児童の街区番号を、世帯番号をキーに抽出する。
その後、個人番号に対応するよう距離、街区番号を個人情報集計用テーブル14に記録する。
【0041】
ここで、個人情報集計用テーブル14は、児童の個人番号をキーにして世帯番号、街区番号、最も近い学校番号と、該学校までの距離、次に近い学校番号と、該学校までの距離などを記録するワークテーブルである。なお、学校番号とは学校を識別するための番号であり、予め小中学校ごとに付されている(図2BのBを参照)。
【0042】
次に、個人情報集計用テーブル14への書き込みが終了するとステップS3に移行し、個人情報テーブル10に記録されている次の児童の処理を開始する。個人情報テーブル10に記録されている児童全件についてステップS3〜S8の処理を順次行なう。
【0043】
ステップS9では、仮割振処理部が児童増加予測テーブル12に記録されているデータを1レコードずつ読み込む。データ件数が0件の場合はステップS12(同一街区内再設定処理)へ移行する。
【0044】
ステップS10では、ルート検索処理が児童の増加が予測されるときのルート検索処理を行う。ステップS7同様、児童増加が見込まれるマンションなどから学校までのルートを検索する。
【0045】
ステップS11では、ステップS8同様、距離の算出、街区の抽出、個人情報集計用テーブル14へのデータの書込みを行う。このとき、個人情報集計用テーブル14の「予測識別」には児童増加予測テーブル12に基づいて集計したデータであることを示す識別番号を付する。図2BにBでは「1」を付している。「生年月日」は児童増加予測テーブル12の入居開始年から年齢に従って年を設定し、例えば、月日は全データ4月2日「0402」に設定する。図2BにBでは2007年4月2日「20070402」を記録した例を示している。
【0046】
次に、児童増加予測テーブル12にまだデータが記録されている場合にはステップS9に移行してステップS9〜S11の処理を行い、児童増加予測テーブル12に記録されている全件の処理が完了していればステップS12に移行する。
【0047】
さらに、ステップS12、S13を行なうことにより、同一街区内再設定が行なわれる。
ステップS12では、仮割振処理部が同一街区内設定を行うか判定を行う。同一街区内設定をする場合はステップS13に移行して、設定をしない場合はステップS14に移行する。同一街区内設定とは、同一の街区番号が付されている児童を同じ学校の学校区にするための設定である。
【0048】
ステップS13では、仮割振処理部が街区単位で児童が通学する学校を決める。個人情報集計用テーブル14の街区番号に基づいて、街区が同じ児童を同じ学校に割り振る処理をする。
【0049】
街区が同じ児童を同じ学校に割り振る処理は、学校施設テーブル11に記録されている学校の住所と、個人情報集計用テーブル14に記録されている同一街区の児童の各住所に基づいて、GIS6の機能を利用して同一街区の児童ごとの学校までのルートを検索する。つまり、街区単位に同一の学校に纏めることにより、この処理を開始する前までのルート検索で設定した学校までの距離が個人情報集計用テーブル14に存在しない可能性があるため、学校までのルートをこの時点で再検索する。
【0050】
次に、この再検索したルートごとに距離を計算し、学校区が変更になった児童に関して個人情報集計用テーブル14の更新を行なう。例えば、最も近い学校番号と、該学校までの距離、次に近い学校番号と、該学校までの距離を変更する。
【0051】
ステップS14では、仮割振処理部が個人情報集計用テーブル14に記録されているデータに基づいて学校別予測児童数集計処理を行い学校別予測児童数テーブル15(図2BのCを参照)に記録する。
【0052】
学校別予測児童数集計処理は、個人情報集計用テーブル14の最も近い学校をキーにして、予め決められた期間の学校ごとの児童数の増減を計算する。図2BのCでは、A小学校の児童数の推移を示している。「生年月日」に記録されている児童の年齢に基づいて、「0−1歳」〜「6年生」〜の各セルに、年ごとのA小学校に通学すると予測される児童の合計を記録する。児童の合計は、個人情報集計用テーブル14のA小学校(最も近い学校)に対応する児童の合計を計算して求める。
上記ステップS1〜S14までの処理を行なうことにより、児童の学校への仮割り振りが完了する。
【0053】
(振向処理部の動作)
図4は振向処理部4の動作を示すフロー図である。
振向処理部4は、上記仮割振りにより、学校の収容人数を超えてしまう学校がある場合、近隣の学校の収容人数を見て、児童宅から学校までの距離を考慮し振向けをする。
【0054】
つまり、振向処理部4は、まず、仮割振処理部3で学校に割り付けた児童数が該学校の収容可能な収容人数を超過した人数を算出する。次に、仮割振処理部3で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している学校について、割り付けた児童数から収容可能な収容人数までの人数を算出する。その後、学校に割り付けた児童数が該学校の収容可能な収容人数を超過した人数を、仮割振処理部3で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している各学校の収容人数までの人数の比率を求める。そして、該比率に従って、仮割振処理部3で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している学校に割り振る。
【0055】
なお、振向処理は、例えば学校別予測児童数テーブル15の児童の合計値と学校施設テーブル11の収容人数の上限値を比較して、上限値を児童の合計値が越える学校から割り振りを開始する。
【0056】
ステップS15では、最も近い学校と次に近い学校が同じ児童を個人情報集計用テーブル14から抽出し、その抽出した児童ごとに児童宅から最も近い学校と次に近い学校との距離差を計算する。
【0057】
A小学校の収容人数を数年の間に越えることが分かれば、A小学校をキーにして児童を抽出する。その後、学校ごとに近隣の学校(学校区が隣接する学校)を距離の近い順に記録した学校区隣接テーブル(後述する図5のA)に基づいて、A小学校の近隣の学校を選択する。例えば、A小学校の近隣の学校の中で最も近いB小学校を選択する。
【0058】
次に、個人情報集計用テーブル14に記録されている児童のうち、最も近い学校がA小学校であり、次に近い学校がB小学校である児童を抽出する。そして、児童ごとに児童宅からB小学校の距離−児童宅からA小学校の距離を計算して、計算結果を抽出データメモリ1(16)に保持する。図5のB(実線枠内のみ)に抽出データメモリ1(16)にステップS15の計算結果を記録した図を示す。
【0059】
なお、学校区隣接テーブルは、記録部8に記録されているテーブルであり、学校名、学校番号、学校ごとの近隣の学校を距離の近い順に記録している。図5のAでは、学校を距離の近い順に「最も近い学校」「2番目に近い」「3番目に近い」「4番目に近い」の学校名(または学校番号)が記録されている。
【0060】
ステップS16では、同一街区内に設定されているかを判定し、同一街区内に設定されている場合はステップS17に移行し、設定されていない場合にはステップS20に移行する。同一街区に設定されているかの判定とは、街区が同じ児童は同じ学校に通学させるか否かの設定が予めされているかの判定である。
【0061】
ステップS17では、S15、S16で抽出した児童の街区番号を全て抽出する。抽出データメモリ1(16)から、街区番号を全て抽出し抽出データメモリ2(17)に記録する。図5のCに抽出データメモリ2(17)の内容を示す。
【0062】
ステップS18では同一街区内の児童を全て抽出する。抽出データメモリ2(17)の街区番号に基づいて、個人情報集計用テーブル14から、最寄りの学校がA小学校であり、且つ次に近い学校がB小学校でなく、且つ、街区番号が抽出データメモリ2(17)に記録されている街区番号であるデータを抽出する。そして、抽出データメモリ3(18)に記録する(抽出条件を参照)。

抽出条件)
最寄りの学校=A小学校
and 次に近い学校≠B小学校
and 街区番号=抽出データメモリ2(17)上の街区番号

図5のDにステップS18の処理後の抽出データメモリ3(18)の記録内容を示す。
【0063】
ステップS19では、児童宅からB小学校までのルートを検索して距離差を算出する。抽出データメモリ3(18)に記録されている児童のB小学校までの距離をルート検索し、算出した距離から以下の条件1)〜3)で距離差を算出する。

1)抽出データメモリ3(18)のA小学校までの距離=次に近い学校(次に近い学校≠B小学校)までの距離の場合
距離差=B小学校までの距離−A小学校までの距離
2)A小学校までの距離<次に近い学校(次に近い学校≠B小学校)までの距離の場合
距離差=B小学校までの距離−A小学校までの距離
3)A小学校までの距離>次に近い学校(次に近い学校≠B小学校)までの距離の場合
距離差=B小学校までの距離−次に近い学校までの距離

図5のEには上記条件に従って距離差を算出し、図5のEに示すように記録部8に記録する。
【0064】
そして、抽出したデータと距離差を抽出データメモリ1(16)に追加する。図5のBに示す破線枠のように記録する。
なお、個人情報集計用テーブル14には、B小学校までの距離を保有していないケースが考えられるため、その場合は地図上から再度B小学校までの距離を算出する。
【0065】
ステップS20では抽出データメモリ1(16)のデータを距離差または街区番号順にソートをする。図6のA(距離のみをキーとしてソート)、図6のB(距離と街区をキーとしてソート)に示すようにソートを行い記録する。
【0066】
ステップS21では振向け処理を行う。図7のA、B、Cを用い振向け処理について説明する。
図7のAは、A小学校の年毎の児童数の推移を、学校別予測児童数テーブル15に基づいて集計をした結果である。この児童数の推移結果に基づいて図7のBに示すように、年毎の児童の合計を計算し、図7のCに示す学校施設テーブル11のA小学校の収容人数との差を計算する。図7のBで4年後にA小学校の児童数の合計が824人になり、図7のCに示す収容人数の上限700人を越えて、図7のDに示すように124人の児童が収容人数を越えてしまう。
【0067】
そこで、A小学校の近隣の小学校についても、学校別予測児童数テーブル15を用いて年毎に児童数の推移を集計した図7のEに示す振向先テーブルを参照し振向けを行なう。
振向先テーブルは、児童の受入が可能であるかを1年後〜6年後までの児童数の平均と、各学校の収容人数との差を計算して求め、「平均」のセルに記録する。その結果、収容人数以下である学校が受け入れ可能な学校とする。図7のEではB、C、E小学校が受け入れ可能な小学校である。
【0068】
次に、A小学校の児童をどのように振向けるかを説明する。例えば、児童の割り振りは振向比率を目安に行なうことができる。
振向比率の計算について説明する。収容人数オーバ値として、割り付けられた学校の収容人数と、予め設定された期間(例えば、小学校であれば6年)における該学校に割り付けられる児童数が最大になる値との差を算出する。上記図7のA〜Dを用いて説明したように、収容人数オーバ値は、A小学校では124人である。
【0069】
次に、予め設定された期間、受け入れが可能な学校の収容人数と該学校に割り付けられた児童数との差を平均した受入許容値を算出する。上記図7のEの「平均」に示すように、受入許容値を算出する。
【0070】
そして、受入許容値と収容人数オーバ値から振向比率(=(受入許容値/収容人数オーバ値)×100)を計算する。図7のEの「振向比率」に示す。
図7の例ではA小学校の収容人数オーバ値が124であるので、B小学校には42人を振向けることが可能であり、C小学校には19人を振向けることが可能であり、E小学校には63人を振向けることが可能である。この結果を「振向目安」に記録する。

振向目安=受入許容値×振向比率/オーバ値受入許容値

【0071】
街区に関係なくA小学校の児童をB小学校に振向けを行なう場合(ステップS16で同一街区内設定無し(No))は、図6のAに示す抽出データメモリ1(16)の上から42人をB小学校に振向ける。
【0072】
街区を考慮してA小学校の児童をB小学校に振向けを行なう場合(ステップS16で同一街区内設定有り(Yes))は、図6のBに示す抽出データメモリ1(16)の上から街区で分断されない範囲でB小学校に振向ける。その振向け結果を、個人情報集計用テーブル14に記録する。
【0073】
ステップS22では、利用者が学校区を決める場合に、後述する人数調整画面416に表示されるグラフィカルな画面を参考に振り分けを行なう。抽出データメモリ1(16)からデータなどの記録部8に記録されているデータを使って、利用者が振り分けをする際の提案をする。
【0074】
ステップS23では、ステップS22で行なった振向け結果を、個人情報集計用テーブル14に記録する。
上記のようにすることで、通学距離と児童に係る情報に基づいて、児童を最適でかつ利便性と安全性の高い学校区に振向けることができる。
【0075】
なお、実施例ではテーブルを用いて説明を行なったが、RDB(relational database)のようなデータベースに限定されず、オブジェクト指向型のデータベース(XML形式等)を用いてもよい。
【0076】
(変形例)
仮割振処理または振向処理がされた後で、同一街区の児童が異なる学校に設定されている場合に、同一街区の児童を同じ学校にする処理について説明する。
【0077】
図8のAは、同一街区の児童数が異なる学校に割振られている場合に、児童が多く割振られている学校に配分することを示す図である。例えば、集団登下校を考慮し、同一街区に居住する児童は同一の学校に設定する。街区が広範囲におよぶ場合は、街区を細分化して地図データを生成する必要があることからレアケースとなるが、発生した場合、次の処理を行う。全件データ計算後、個人情報集計用テーブル14を再度検索し、同一街区内で複数の学校が最寄りとなっていた場合、人数が最も多く設定された学校に、街区内の児童全員を再設定する。
【0078】
まず、街区が同じで学校の違う児童を全て抽出する。個人情報集計用テーブル14から抽出した結果、図8のBに示す「個人番号」が「000100027」「000100036」「000100045」「000100087」の児童が抽出されたとする。
【0079】
次に、どの学校に最も多くの児童が割振られているかを検索する。本例では、「000100027」「000100036」「000100045」「000100087」の児童は同一街区に割り振られている。そして、A小学校に割振られた児童は、「000100027」「000100045」であり、「000100036」の児童はB小学校、「000100087」の児童はC小学校に割振られている。その結果、A小学校に2人、B小学校、C小学校に各1人が割振られていることが分かる。
【0080】
よって、A小学校に最も多くの児童が割振られているので、A小学校以外の児童をA小学校に設定する。
図8のCに示すように、新たに、設定した学校番号とその学校までの距離を個人情報集計用テーブル14に設定する。図8のCでは、「設定した学校番号」と「距離」に、A小学校の学校番号「1001」と再計算したA小学校までの距離を記録する。
【0081】
そして、この「設定した学校番号」と「距離」を、「最も近い学校番号」と「距離」の代わりに用いる。
なお、図9のAに示すように同一街区内で複数校に割振られ、割振られた人数が同一であった場合、街区内の全児童宅からそれぞれの学校までのルートを算出し、総距離が小さい方の学校を設定する。図9のBでは、各児童のA小学校、B小学校までの距離を加算して総距離数を算出する。A小学校の総距離数が4500mであり、B小学校までの総距離数が4000mであるので総距離数の短いB小学校を選択する。
【0082】
(通学範囲最適化装置の操作)
図10は、通学範囲最適化装置を実行したときの画面遷移を示すフロー図である。
システムを起動させると「計算メニュー」の画面が表示される。例えば、計算メニュー41aに示すような画面が表示される。計算メニュー41aには、「小学校」「中学校」(破線範囲41a1)、「対象施設選択」41a2、「危険箇所登録」41a6、「増加予測入力」41a7、「計算実行」41a8、「結果表示」41a9、「システム終了」41a10、「危険箇所を迂回する。」41a3、「兄姉が地域外就学の場合除外する。」41a4、「同一街区の場合、同一学校に配分する。」41a5が表示されている。
【0083】
計算メニュー41aの「小学校」「中学校」(破線範囲41a1)は小学校を対象とした計算を行うか、中学校を対象とした計算を行うかを選択するために設けられている。図10の計算メニュー41aでは中学校が選択されている状態が示されている(オプションボタンがオン)。
【0084】
計算メニュー41aの「対象施設選択」41a2(コマンドボタン)を選択すると対象施設選択処理42が実行され、後述する対象施設選択画面43(図11参照)を表示する。例えば、施設の統廃合をする場合には対象施設選択画面43から、統廃合が必要と判断された施設の除外、学校の新設、新規登録をするときなどに用いる。また、対象施設選択画面43から、各学校に受入可能な児童収容人数の最適値、上限値、下限値を入力する。また、振向け処理の対象にする学校を選択する。例えば、小学校計算を行うか、中学校計算を行うかを選択する。
【0085】
計算メニュー41aの「危険箇所登録」41a6(コマンドボタン)を選択すると危険箇所登録処理44が実行され、後述する危険箇所登録画面45(図12A、B参照)を表示する。例えば、危険箇所登録画面から通学路として劣悪な条件にある道路を地図上でプロットする。
【0086】
計算メニュー41aの「増加予測入力」41a7(コマンドボタン)を選択すると増加予測入力処理46が実行され、後述する児童増加予測入力画面47(図13参照)を表示する。例えば、人口増加が予め分かっている新築のマンションがあるときに、そのマンションの住所と、マンションに住む児童の人数を予想して入力する(増加予測数)。
【0087】
計算メニュー41aの「計算実行」41a8(コマンドボタン)を選択すると計算実行処理48(ルート検出処理と仮割振処理)が実行され、予め設定した設定状況に従い全児童宅からの最寄りの学校までのルート計算を行う。対象となる全児童宅から最寄りの学校を、GISを用いて計算する。
【0088】
また、計算実行処理48は、「計算メニュー」41aで指定した条件に準じて実行される。ここで、条件とは「危険箇所を迂回する。」41a3、「兄弟が地域外就学の場合除外する。」41a4、「同一街区の場合、同一学校に配分する。」41a5などである。
【0089】
「危険箇所を迂回する。」41a3を選択することにより危険箇所を迂回するルートが計算される。
なお、「兄姉が地域外就学の場合除外する。」41a4を選択することにより就学児童で区域外(私学等)に通学している児童がいる世帯の場合に、弟妹も区域外に就学と見なすかを選択する。選択された場合、その児童を除外してルートが計算される。
【0090】
また、「同一街区の場合、同一学校に配分する。」41a5を選択することにより同一街区内の児童を距離優先で別学校に割振るか、同じ学校に割振るかを選択する。選択された場合、同一街区の児童を同じ学校に仮割振りをする。
【0091】
なお、計算メニュー41aでは、上記条件の選択する場合チェックボックスに「レ」を入力する。
計算メニュー41aの「結果表示」41a9(コマンドボタン)を、全児童宅からの最寄りの学校までのルート検索をするルート計算49の後に選択すると、計算実行処理48の実行結果に基づいて、各学校の受入児童数集計411が実行される。そして、各学校の受入児童数集計411に基づいて児童数の推移を視覚化した後述する児童数推移画面412(図14参照)を表示する。例えば、小学校であれば6年後まで、中学校であれば9年後までを推計する。
【0092】
また、計算実行処理48の結果とGISの機能を用いて、全児童宅からの最寄りの学校までのルートや、全学校における児童数の推移を視覚化するGIS上加工処理をして、後述する画面413(図15参照)を介してグラフや地図を利用者に提供する。
【0093】
メニュー41aの「計算実行」41a8(コマンドボタン)を選択すると計算実行処理48(ルート検出処理と仮割振処理)が実行されたのち、振向処理414を実行する。なお、利用者が調整を行うときは、児童数推移画面412、画面413、後述する振向調整画面415により詳細な設定をしたのち振向処理414を実行する。なお、振向調整画面415への遷移は、例えば結果表示に関する画面上から選択する。
【0094】
また、振向調整画面415の画面上から振向処理414を実行する指示をすると、受入により児童数がオーバーフローする学校がある場合、近隣の学校の余裕を見て、児童宅からの距離を考慮し振向ける振向処理が実行される。
【0095】
さらに、利用者は振向処理の結果を参照して、後述する人数調整画面416を用いて詳細な設定をすることもできる
なお、計算メニュー41aの「システム終了」41a10(コマンドボタン)が選択されるとシステムを完了する。
【0096】
(対象施設選択)
計算メニュー41において「対象施設選択」が選択されると(対象施設選択42)、対象施設選択画面43(施設情報一覧)に移行する。
【0097】
図11のAに示す対象施設選択画面43では、各学校の収容人数(上限、下限、最適値)を設定する。対象施設選択画面43には、「全選択」52、「施設情報一覧」53、「新規登録」54、「地図検索」55、「閉じる」56が表示される。「全選択」52を選択すると(チェックボックスにチェック「レ」を入れると)、「施設情報一覧」53の「学校名」に登録されている学校が全て選択される(「学校名」のチェックボックスにチェック「レ」が入る)。少子化により廃校となる学校が存在し、算出対象から除外したい場合にはチェックを外す。
【0098】
図11のAに示す「新規登録」54(コマンドボタン)を選択すると図11のBに示す地図画面に遷移する。図11のBに示す地図に、新規に登録する学校をプロットした後、学校登録画面57から情報を入力して確定する。新規に登録するには、学校登録画面57に示される「学校名」58、「住所」59、「収容(上限)」510、「収容(下限)」511、「収容(最適)」512にデータを入力する。
【0099】
図11のBに示す「取消」513(コマンドボタン)を選択すると新規登録の取消しをする。「位置変更」514(コマンドボタン)を選択すると地図上の学校位置を変更する。「確定」515(コマンドボタン)を選択すると上記入力した地図及び情報を確定する。
【0100】
図11のAに示す「地図検索」55(コマンドボタン)を選択すると選択中に学校を地図516に表示する(図11のB参照)。図11のAに示す「閉じる」56(コマンドボタン)を選択すると、対象施設選択画面43が閉じる。
【0101】
上記図11のA、B画面を用いて入力したデータは図11のCに示す学校施設テーブル11に格納される。なお、「対象外フラグ」には仮割振り処理、振向け処理の計算対象であれば「0」、計算対象外であれば「1」が記録される。「GISリンクコード」にはGISの地図情報と各学校の情報をリンクさせるコードが記録され、図11のCでは「POINT_20001」「POINT_20002」・・・「POINT_20011」などが記録されている。
【0102】
(危険箇所登録)
計算メニュー41aにおいて「危険箇所登録」41a6が選択されると(危険箇所登録44)、危険箇所登録画面45に移行する。
【0103】
図12Aの地図61に示すように、通学路として危険な交差点や横断歩道のない目抜き通り等に遮断マーク(×)をプロットする。GISを利用した既存技術により道路ネットワークデータを部分的に遮断する。遮断された場合、ルート検出処理によりルートを検索する場合にこの遮断された箇所を通らないルートを検索し、検索したルートの距離を算出する。
【0104】
図12Bにルート検索の例を示す(危険箇所の迂回を含む)。ルート検索は危険箇所登録を行った道路を避けてルート検索し、最も近い小学校を検出する。危険箇所を迂回しない場合、図12BのAの「個人番号」が「000100036」の児童の最も近い小学校はA小学校である。しかし、危険箇所を迂回したルートで距離を計算すると、A小学校までの距離が800mであり、B小学校までの距離が500mであると計算される。その結果、B小学校までの距離がA小学校までの距離より短いため、図12BのBでは、B小学校が最寄りの小学校となる。
【0105】
(増加予測入力)
計算メニュー41aにおいて「増加予測入力」41a7が選択されると(増加予測入力46)、児童増加予測入力画面47に移行する。
【0106】
例えば、マンションなどが建設されると、今後この地域に児童が増加することが予測されるため、このマンションが建設されることによる児童の増加予測を行う。図13のAは「増加予測入力」41a7が選択され、地図上の該当位置(上記マンションの建設位置)にシンボルマーク72を配置する。シンボルマーク72を配置後、図13のBに示す児童増加予測入力画面47が表示される。児童増加予測入力画面73(47)は、「住所」74、「均等割」75、「均等割実行」76、「増加予測総数」77、「入居開始」78、「年齢」「予測人数」79、「取消」710、「位置変更」711、「確定」712を有している。「住所」74(テキストボックス)には上記説明したようなマンションなどの住所を入力する。「均等割」75(チェックボックス)は、均等割処理を行うかを選択する。「均等割実行」76(コマンドボタン)は、「均等割」75がオンの場合に均等割を実行する。「増加予測総数」77(テキストボックス)は、「均等割」75がオンの場合、増加予測人数を入力する。「入居開始」78(テキストボックス)は、入居開始年度を西暦で入力する。「年齢」79(コンボボックス)は年齢チェックボックスにチェックが入っている場合、その年齢に対して「均等割」75がされる。「予測人数」79(コンボボックス)は「均等割」75がオフの場合に、予測人数にそれぞれ数字を入力することが可能になる。「取消」710(コマンドボタン)は児童増加予測入力画面47から入力したデータの取消を行う。「位置変更」711(コマンドボタン)は「住所」74に入力したデータを変更する。「確定」712(コマンドボタン)は入力を確定して、児童増加予測テーブル12に記録する。
【0107】
なお、児童増加予測テーブル12は、シンボルマーク配置時に指示した箇所の街区番号をデータに格納する。
また、「GISリンクコード」にはGISと各情報をリンクさせるコードが記録され、図13のCでは「POINT_10001」が記録されている。
【0108】
(結果表示)
計算メニュー41aおいて「結果表示」41a8が選択されると、全学校における児童数の推移などを視覚化する(グラフ+地図)。例えば、図14に示す児童数推移画面や、図15に示すGIS上加工処理をした画面が表示される。
【0109】
図14はA小学校の6年後までの児童数予測を表示装置に表示した図である。
学校別予測児童数テーブル15のデータに基づいて小学校であれば0歳〜11歳の児童を対称に6年後まで、中学校であれば0歳〜14歳の児童を対称に9年後まで、児童数の推移を集計する。「年齢/学年」には「0−1歳」〜「中3」が記録され、各「年齢/学年」に対応する「現在」「1年後」「2年後」「3年後」「4年後」「5年後」「6年後」ごとの児童数の推移を表示する。
【0110】
また、児童の合計が最大になる場所の文字を強調することをしてもよい。図14では「計」と「4年後」の交差する場所に表示されている「824」を強調して表示している。
「上限ライン差」には、学校施設テーブル11に記録されているA学校の収容人数の上限人数(700人)と、年毎の学校の児童の総数との差を示している。「最適ライン差」にはA学校の収容人数の最適人数(600人)と、年毎の学校の児童の総数との差を示している。「下限ライン差」には、学校施設テーブル11に記録されているA学校の収容人数の下限人数(400人)と、年毎の学校の児童の総数との差を示している。
【0111】
図15のAは学校一覧画面151を示す図である。
図15のAに示す「A小学校」〜「H学校」513は、利用者が振向け調整を行なう学校を選択するために用いられる。学校一覧画面151に配置される「振向調整」154は、何れかの学校を選択したのち、選択した学校の振向け調整を行なうための後述する振向調整画面415を表示する。
【0112】
また、「A小学校」153と「全小学校の6年間推移グラフ」152を選択すると図15のBに示すようなA小学校のグラフ157を表示することもできる。
さらに、図15のCに示すような街区ポリゴンを学校別に色を変えた画面158を表示することもできるため、各学校に設定された各街区を目視できるようになる。また、各学校に設定された街区のバランスをチェックすることができるようになる。
【0113】
また、「同一街区の場合、同一学校に配分する。」41a5を指定しなかった場合、利用者に視覚的に街区内で児童が分断されていること提示することができる。例えば、図15のCに示すように街区ポリゴンと異なる色の街区内分断ポリゴンを生成して表示する。
「再表示」155は振向処理の結果を反映して図15のB、Cに示すグラフなどを再表示する。
「閉じる」156を選択すると学校一覧画面151を閉じる。
【0114】
(振向調整画面)
図16の振向調整画面415は、図児童数推移画面412の何れかの学校を選択後、「振向調整」154を選択すると、上記説明したテーブルに基づいて生成された画面が表示される。図16では、振向調整画面415は、A小学校の6年後までの児童数予測161、振向先162、「振向学校指示」163、「人数調整」164、「閉じる」165が表示される。
【0115】
児童数予測161は、各小学校の児童数予測を表示装置などに表示した図である。
図16の児童数予測161では、「年齢/学年」には「一年生」〜「6年生」が記録され、各「年齢/学年」に対応する「現在」「1年後」「2年後」「3年後」「4年後」「5年後」「6年後」ごとの児童数の推移を表示している。
【0116】
「振向学校指示」163(コマンドボタン)が選択されると地図が表示される。例えば、A小学校の近隣の学校を指示すると振向先162にその情報がセットされる。情報がセットされると振向先162に各学校の収容人数の上限を基準として、受入可能人数が表示される。
【0117】
図16の振向先162には、「状態」「学校」「1年後」「2年後」「3年後」「4年後」「5年後」「6年後」「平均」「振向比率」「振向目安」が表示されている。
「状態」には、学校ごとの児童受け入れが可能であるか可能でないかを示している。
【0118】
「学校」には選択されているA小学校の近隣の各学校が表示される。例えば、図16の場合は、A小学校の近隣のB〜E小学校が表示される。
「1年後」〜「6年後」には、各学校の収容人数の上限を基準とした受け入れ可能人数が表示される。図16では、D学校において許容人員を既に上限オーバしていることからB、C、E学校での平均受入可能人員から、振向比率を算出する。
【0119】
算出した振向比率を「振向比率」に記録する。例えば、B小学校の場合であれば、43(平均)/124(上限ラインを124オーバ)×100≒34%が記録される。同様に、B、C、E学校にも振向比率を記録する。また、振向人数を計算して「振向目安」に記録する。
【0120】
図16で「人数調整」164(コマンドボタン)が選択されると、振向先の学校を選択し、人数調整画面416に遷移する。
「閉じる」165(コマンドボタン)は振向調整画面415の画面を閉じる。
【0121】
(人数調整画面)
図17の人数調整画面416では、個人単位に距離差または街区番号順に昇順表示する。また、人数調整画面416は、「振向人数合計」170、「街区番号」171、「世帯番号」172、「人数調整」173、「地図表示」174、「確定」175、「閉じる」176を有している。
【0122】
「振向人数合計」170は、例えば、図17に示すように「最も近い学校:A小学校」「次に近い学校:B小学校」「振向人数合計:41人」などを表示する。
「街区番号」171は、「世帯番号」172、世帯番号で表内容をフィルタするときに用いる。
【0123】
「地図表示」174は、個人番号選択後に押下し該当の地図を表示する(複数選択可)。
「確定」175は、振向処理を確定する。「閉じる」176は人数調整画面416の画面を閉じる。
【0124】
「人数調整」173は、「No」「個人番号」「予測識別」「世帯番号」「街区番号」「距離差」を有している。
「No」には距離順にシーケンシャルに番号が割り当てられている。
【0125】
「個人番号」「予測識別」「世帯番号」「街区番号」「距離差」には、振向処理の結果が表示される。なお、図17において、42人分に関しては先頭から予め色をかえてもよい。
【0126】
人数調整画面416により、上記例では基本的には42人をA小学校に振向けを行うこととなるが、その際、図17のチェックボックスにチェックを行い、利用者の判断により、振向対象児童と人数を微調整することもできる。
【0127】
また、確定ボタン押下時のチェックされているときは、選択した42人と同一世帯の児童が43人目以降に存在した場合エラーとする。同一世帯であれば距離は同一であるため、基本的には43レコード目に出力される。利用者は、この分断された世帯を外すか、世帯毎に含めるかを判断できる(同一世帯の分断チェック)。
【0128】
また、選択した42人と同一街区の児童が43人目以降に存在した場合エラーとする。上記のような場合、街区番号でフィルタをかけ、チェックされていない同一街区の児童を一覧表示し、当該街区を振り向けるか外すかを判断する(同一街区の分断チェック)。
【0129】
このように視覚化することにより利用者の判断で試行錯誤しながら繰り返し実行し、均衡化のためのシミュレーションを行うこともできる。
なお、学校の収容人数が下限値である場合、近隣の学校の児童数をGISとグラフを参照することにより、学校統廃合でのシミュレーションが可能となる。
【0130】
また、上限オーバが均衡化できない場合少子化社会ではあまり想定し難いが、地域によっては可能性があるため、均衡化できない場合は、新たな学校を地図上にプロットし、許容人員の計画を想定入力することで、均衡化のシミュレーションが可能となる。
【0131】
また、街区が地形的に極端に大きい場合、当システムでは、街区ポリゴンを基本としていることから、広範囲に及ぶ街区がある場合には該街区を細分化する。また、街区が存在しない地域については街区を予め作画することが前提条件となる。
【0132】
上記構成により、地域の児童の通学する学校を見直し、ほとんどの児童に対して著しく利便性が偏ることのない、最適な学校の設定を提示する通学範囲最適化装置および通学範囲最適化プログラムである。また、シミュレーションにより児童を学校施設の許容人数でバランスよく配分することで、施設拡大が予測された場合にも最低限の施設や教員数の拡張で事足りる様に計画できる。また、局地的な児童数の増加や経年における児童数の減少を捉え、学校の新設や統廃合計画時にも最適な計画を提案することができる。なお、最適な計画をする際に計画基礎資料として利用することができる。
【0133】
(通学範囲最適化装置およびプログラムを実現するためのシステム構成を示す図)
図18は通学範囲最適化装置および通学範囲最適化プログラムを実現するためのシステム構成を示すブロック図である。図18において、装置180は、CPU181、ROM182、RAM183、ハードディスクドライブ(HDD)184、フレキシブルディスクドライブ(FDD)185を備えている。また、入力インターフェース(入力I/F)186、通信インターフェース(通信I/F)187、出力インターフェース(出力I/F)189、グラフィック処理部1810などを備えている。また、上記各構成部はバス1811によってそれぞれ接続されている。
【0134】
CPU181は、ROM182、RAM183、HDD184、FDD185に格納されているプログラムやデータに応じた処理を実行し、装置180の全体の制御などをする。ROM182は、CPU181が実行する基本的なプログラム(ブートプログラムなど)やデータを記録する。RAM183は、CPU181が実行途中のプログラムやデータを記録し、ワークエリアなどとして使用される。
【0135】
HDD184には、CPU181が実行するOS(Operation System)やアプリケーションプログラムなどが記録され、CPU181の制御にしたがいハードディスクにデータのリード/ライトを実行する。FDD185は、CPU181の制御にしたがってFD185aに対するデータのリード/ライトを制御する。FD185aは、FDD185の制御で書き込まれたデータを記憶したり、FD185aに記憶されたデータを装置180に読み取らせたりする。また、着脱可能な記録媒体としてFD185aのほか、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(DigitalVersatileDisc)、DVD−RAM(RandomAccessMemory)、CD−ROM(CompactDiscReadOnlyMemory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Opticaldisk)などがある。
【0136】
入力I/F186は、マウスやキーボードなどの入力装置186aが接続され、ユーザが入力した情報を受信し、バス1811を介してCPU181に送信する。また、タッチパネル式の入力パッドやテンキーなどであってもよい。マウスは、カーソルの移動や範囲選択、あるいはウィンドウの移動やサイズの変更などを行う。ポインティングデバイスとして同様に機能を備えるものであれば、トラックボールやジョイスティックなどであってもよい。
【0137】
通信I/F187は、必要に応じ、他のコンピュータとの間のLAN接続やインターネット接続や無線接続のためのインターフェースである。通信回線を通じてインターネットなどのネットワークを介して他の装置に接続される。そして、ネットワーク188と内部のインターフェースは、外部装置からのデータの入出力を制御する。例えば、モデムやLANアダプタなどを採用することができる。
【0138】
出力I/F189は、プリンタなどの出力装置189aを制御するために備えられる。また、グラフィック処理部1810には、ディスプレイなどの表示装置1810aが接続され、グラフィック処理部1810は、CPU181からの描画命令に従って表示装置1810aの画面上に操作情報、論理シミュレーション後のログやカバレッジの集計結果、信号波形等を表示する。例えば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。なお、グラフィック処理部1810を介さずに、出力I/F189から表示装置と接続してもよい。
【0139】
このようなハードウェア構成を有するコンピュータを1台または2台以上用いることによって、上記説明した各種処理機能が実現される。その場合システムが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
【0140】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0141】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0142】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0143】
以上実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
コンピュータに、
記録部に記録される各児童と各学校の住所に基づいて、各児童について、児童の住所から各学校の住所までの距離を算出するルート検出処理と、
前記ルートの距離に基づいて児童の住所から学校までの距離が最も短い学校を該児童の通学する学校に仮割り振りをする仮割振処理と、
学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて、前記仮割振処理で学校に仮割り振りをした児童数と、該学校の収容可能な収容人数とを比べて、前記仮割振処理で学校に仮割り振りをした児童数のほうが多いと判断をすると、多い人数分の児童について、学校と該学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、前記仮割振処理で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該児童を該隣接する学校区を持つ学校に割り振る振向処理と、
を実行させることを特徴とする通学範囲最適化プログラム。
(付記2)
前記振向処理は、
前記仮割振処理で学校に割り付けた児童数が該学校の収容可能な収容人数を超過した人数を算出し、
前記仮割振処理で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している学校について、割り付けた児童数から収容可能な収容人数までの人数を算出し、
前記学校に割り付けた児童数が該学校の収容可能な収容人数を超過した人数を、前記仮割振処理で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している各学校の収容人数までの人数の比率に従って、前記仮割振処理で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している学校に割り振ることを特徴とする付記1に記載の通学範囲最適化プログラム。
(付記3)
前記振向処理は、
前記仮割振処理により割り付けられた学校である第1の学校と該第1の学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、前記仮割振処理で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該学校のうち収容可能な第2の学校を、学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて求めて、
前記第1の学校の次に前記第2の学校に距離が近い児童ごとに、該児童の住所から前記第1の学校の住所までの距離と該児童の住所から前記第2の学校の住所までの距離との距離差を算出するとともに、該児童に割り付けられている街区を示す街区番号を抽出し、
前記街区番号ごとに前記街区番号が同じ児童を抽出し、該児童うち前記距離差を算出していない児童に対して前記距離差を求める計算をし、
前記街区番号が同じで前記距離差が近い順に第2の学校に振向けることを特徴とする付記1に記載の通学範囲最適化プログラム。
(付記4)
前記ルート検出処理は、
児童の増加が見込まれる場合に、前記新たに児童の増加が起こると予測される児童についてもルートと距離を算出することを特徴とする付記1に記載の通学範囲最適化プログラム。
(付記5)
前記ルート検出処理は、
危険箇所として登録されている場合、前記危険箇所を迂回してルート検索をすることを特徴とする付記1に記載の通学範囲最適化プログラム。
(付記6)
記録部に記録される各児童と各学校の住所に基づいて、各児童について、児童の住所から各学校の住所までの距離を算出するルート検出処理部と、
前記ルートの距離に基づいて児童の住所から学校までの距離が最も短い学校を該児童の通学する学校に仮割り振りをする仮割振処理部と、
学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて、前記仮割振処理部で学校に仮割り振りをした児童数と、該学校の収容可能な収容人数とを比べて、前記仮割振処理部で学校に仮割り振りをした児童数のほうが多いと判断をすると、多い人数分の児童について、学校と該学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、前記仮割振処理部で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該児童を該隣接する学校区を持つ学校に割り振る振向処理部と、
を備えることを特徴とする通学範囲最適化装置。
(付記7)
前記振向処理は、
前記街区番号が同じ前記児童の振向け先の学校ごとに児童数を検出し、前記児童数が最も多く振向けられている前記学校に、前記街区の児童を再割り振りすることを特徴とする付記2に記載の通学範囲最適化プログラム。
(付記8)
前記振向処理は、
最も多く振向けられている前記学校の前記児童数が同じときは、前記街区番号が同じ前記児童の学校ごとに距離の合計を算出し、合計した距離が短い学校に前記街区の児童を再割り振りすることを特徴とする付記7に記載の通学範囲最適化プログラム。
(付記9)
前記振向処理部は、
前記仮割振処理部で学校に割り付けた児童数が該学校の収容可能な収容人数を超過した人数を算出し、
前記仮割振処理部で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している学校について、割り付けた児童数から収容可能な収容人数までの人数を算出し、
前記学校に割り付けた児童数が該学校の収容可能な収容人数を超過した人数を、前記仮割振処理部で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している各学校の収容人数までの人数の比率に従って、前記仮割振処理部で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している学校に割り振ることを特徴とする付記6に記載の通学範囲最適化装置。
(付記10)
前記振向処理部は、
前記仮割振処理部により割り付けられた学校である第1の学校と該第1の学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、前記仮割振処理部で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該学校のうち収容可能な第2の学校を、学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて求めて、
前記第1の学校の次に前記第2の学校に距離が近い児童ごとに、該児童の住所から前記第1の学校の住所までの距離と該児童の住所から前記第2の学校の住所までの距離との距離差を算出するとともに、該児童に割り付けられている街区を示す街区番号を抽出し、
前記街区番号ごとに前記街区番号が同じ児童を抽出し、該児童うち前記距離差を算出していない児童に対して前記距離差を求める計算をし、
前記街区番号が同じで前記距離差が近い順に第2の学校に振向けることを特徴とする付記6に記載の通学範囲最適化装置。
(付記11)
前記ルート検出処理部は、
児童の増加が見込まれる場合に、前記新たに児童の増加が起こると予測される児童についてもルートと距離を算出することを特徴とする付記6に記載の通学範囲最適化装置。
(付記12)
前記ルート検出処理部は、
危険箇所として登録されている場合、前記危険箇所を迂回してルート検索をすることを特徴とする付記6に記載の通学範囲最適化装置。
(付記13)
前記振向処理部は、
前記街区番号が同じ前記児童の振向け先の学校ごとに児童数を検出し、前記児童数が最も多く振向けられている前記学校に、前記街区の児童を再割り振りすることを特徴とする付記9に記載の通学範囲最適化装置。
(付記14)
前記振向処理部は、
最も多く振向けられている前記学校の前記児童数が同じときは、前記街区番号が同じ前記児童の学校ごとに距離の合計を算出し、合計した距離が短い学校に前記街区の児童を再割り振りすることを特徴とする付記13に記載の通学範囲最適化装置。
(付記15)
記録部に記録される各児童と各学校の住所に基づいて、各児童について、児童の住所から各学校の住所までの距離を算出し、
前記ルートの距離に基づいて児童の住所から学校までの距離が最も短い学校を該児童の通学する学校に仮割り振りをし、
学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて、学校に仮割り振りをした児童数と、該学校の収容可能な収容人数とを比べて、学校に仮割り振りをした児童数のほうが多いと判断をすると、多い人数分の児童について、学校と該学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該児童を該隣接する学校区を持つ学校に割り振る、
ことを特徴とする通学範囲最適化方法。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】通学範囲最適化装置の構成を示すブロック図
【図2A】テーブルを示す図である。Aは世帯情報テーブルを示す図である。Bは個人情報テーブルを示す図である。Cは学校施設テーブルを示す図である。Dは児童増加予測テーブルを示す図である。
【図2B】テーブルを示す図である。Aは世帯番号ワークテーブルを示す図である。Bは個人情報集計用テーブルを示す図である。Cは学校別予測児童数テーブルを示す図である。
【図3】ルート検出処理と仮割振処理のフローを示す図である。
【図4】振向処理の動作フローを示す図である。
【図5】テーブルを示す図である。Aは学校区隣接テーブルを示す図である。Bは抽出データメモリ1を示す図である、Cは抽出データメモリ2を示す図である。Dは抽出データメモリ3を示す図である。EはB小学校−A小学校までの距離差を記録するテーブルである。
【図6】抽出データメモリ1を示す図である。Aは距離差のみでソートをしたときの抽出データメモリ1を示す図である。Bは距離差と街区でソートをしたときの抽出データメモリ1を示す図である。
【図7】振向を示す図である。AはA小学校の学校別予測児童数テーブルに基づく児童数の推移を示す図である。BはA小学校の年ごとの合計を示す図である。CはA小学校の学校施設テーブルを示す図である。DはA小学校の年ごとの収容人数オーバ値を示す図である。Eは振向先テーブルを示す図である。
【図8】同一街区の児童数が異なる学校に割振られている場合に、児童が多く割振られている学校に配分することを示す図である。Aはルート計算後に街区内で分断されている状態を示す図である。Bは個人情報集計用テーブルを示す図である。Cは街区内全員をA小学校に設定した状態を示す図である。
【図9】割り振られた人数が同一である場合について示している図である。Aは街区を示す図である。Bは街区内全員をB小学校に再設定したことを示す図である。
【図10】通学範囲最適化システムが実行されたときの画面遷移を示すフロー図である。
【図11】対象施設選択に関する図である。Aは対象施設選択画面(施設情報一覧)を示す図である。Bは学校登録画面を示す図である。Cは学校施設テーブルを示す図である。
【図12A】危険箇所登録に関する図である。
【図12B】ルート検索の例を示す(危険箇所の迂回を含む)図である。Aは危険箇所の迂回を示す図である。Bは学校施設テーブルと個人情報集計用テーブルを示す図である。
【図13】増加予測入力に関する図である。AはGISにシンボルマークを配置する画面を示す図である。Bは児童増加予測入力画面を示す図である。Cは児童増加予測テーブルを示す図である。
【図14】児童数推移画面を示す図である。
【図15】GIS上加工処理をした画面を示す図である。Aは学校一覧画面を示す図である。BはA学校に関するグラフを示す図である。CはGIS上で街区ポリゴンを学校別に色かえした画面を示す図である。
【図16】振向調整画面を示す図である。
【図17】人数調整画面を示す図である。
【図18】通学範囲最適化装置および通学範囲最適化プログラムを実現するためのシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0145】
1 制御部(181 CPU)
2 ルート検出処理部
3 仮割振処理部
4 振向処理部
6 GIS
7 地理情報テーブル
8 記録部
9 世帯情報テーブル
10 個人情報テーブル
11 学校施設テーブル
12 児童増加予測テーブル
13 世帯番号ワークテーブル
14 個人情報集計用テーブル
15 学校別予測児童数テーブル
16 抽出データメモリ1
17 抽出データメモリ2
18 抽出データメモリ3
180 装置
182 ROM
183 RAM
184 ハードディスクドライブ(HDD)
185 フレキシブルディスクドライブ(FDD)
186 入力インターフェース(入力I/F)
186a 入力装置
187 通信インターフェース(通信I/F)
188 ネットワーク
189 出力インターフェース(出力I/F)
189a 出力装置
1810 グラフィック処理部
1810a 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
記録部に記録される各児童と各学校の住所に基づいて、各児童について、児童の住所から各学校の住所までの距離を算出するルート検出処理と、
前記距離に基づいて児童の住所から学校までの距離が最も短い学校を該児童の通学する学校に仮割り振りをする仮割振処理と、
学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて、前記仮割振処理で学校に仮割り振りをした児童数と、該学校の収容可能な収容人数とを比べて、前記仮割振処理で学校に仮割り振りをした児童数のほうが多いと判断をすると、多い人数分の児童について、学校と該学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、前記仮割振処理で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該児童を該隣接する学校区を持つ学校に割り振る振向処理と、
を実行させることを特徴とする通学範囲最適化プログラム。
【請求項2】
前記振向処理は、
前記仮割振処理で学校に割り付けた児童数が該学校の収容可能な収容人数を超過した人数を算出し、
前記仮割振処理で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している学校について、割り付けた児童数から収容可能な収容人数までの人数を算出し、
前記学校に割り付けた児童数が該学校の収容可能な収容人数を超過した人数を、前記仮割振処理で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している各学校の収容人数までの人数の比率に従って、前記仮割振処理で学校に割り付けた児童数よりも該学校の収容可能な収容人数が超過している学校に割り振ることを特徴とする請求項1に記載の通学範囲最適化プログラム。
【請求項3】
前記振向処理は、
前記仮割振処理により割り付けられた学校である第1の学校と該第1の学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、前記仮割振処理で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該学校のうち収容可能な第2の学校を、学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて求めて、
前記第1の学校の次に前記第2の学校に距離が近い児童ごとに、該児童の住所から前記第1の学校の住所までの距離と該児童の住所から前記第2の学校の住所までの距離との距離差を算出するとともに、該児童に割り付けられている街区を示す街区番号を抽出し、
前記街区番号ごとに前記街区番号が同じ児童を抽出し、該児童うち前記距離差を算出していない児童に対して前記距離差を求める計算をし、
前記街区番号が同じで前記距離差が近い順に第2の学校に振向けることを特徴とする請求項1に記載の通学範囲最適化プログラム。
【請求項4】
前記ルート検出処理は、
児童の増加が見込まれる場合に、前記新たに児童の増加が起こると予測される児童についてもルートと距離を算出することを特徴とする請求項1に記載の通学範囲最適化プログラム。
【請求項5】
前記ルート検出処理は、
危険箇所として登録されている場合、前記危険箇所を迂回してルート検索をすることを特徴とする請求項1に記載の通学範囲最適化プログラム。
【請求項6】
記録部に記録される各児童と各学校の住所に基づいて、各児童について、児童の住所か
ら各学校の住所までの距離を算出するルート検出処理部と、
前記距離に基づいて児童の住所から学校までの距離が最も短い学校を該児童の通学する学校に仮割り振りをする仮割振処理部と、
学校と学校で収容可能な収容人数とを関連付けて持つ記録部に基づいて、前記仮割振処理部で学校に仮割り振りをした児童数と、該学校の収容可能な収容人数とを比べて、前記仮割振処理部で学校に仮割り振りをした児童数のほうが多いと判断をすると、多い人数分の児童について、学校と該学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校とを関連付けて記録する記録部を参照して、前記仮割振処理部で仮割り振りをした学校の学校区に隣接する学校区を持つ学校を求めて、該児童を該隣接する学校区を持つ学校に割り振る振向処理部と、
を備えることを特徴とする通学範囲最適化装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図12A】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12B】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−113547(P2010−113547A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285912(P2008−285912)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】