説明

通気構造および通気構造形成方法

【課題】通気性を確保しつつ、液漏れも生じない信頼性の高い通気構造を簡便に提供すること。
【解決手段】
ルアキャップ1は、通気膜2で被覆する貫通孔11をもった低融点の合成樹脂製であり、通気膜2は、撥水性を有する多孔の第1膜21に低融点の第2膜22を接着した、通気性を有する合成樹脂製の二層膜であり、補助フィルム体3は、低融点の第3膜31に第3膜31より高融点の第4膜32を接着した、通気膜2より外形の大きな合成樹脂製の二層膜であり、通気膜2が補助フィルム体3からはみ出ないように第2膜22と第3膜31とを熱融着して通気膜2が補助フィルム体3に接合されており、第3膜31の外縁部分とルアキャップ1とを熱融着して補助フィルム体3がルアキャップ1に接合されていることを特徴とする通気構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用管体の経路たとえば薬液チューブに接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造および通気形成方法に関し、特に、製造しやすく信頼性の高い通気構造および通気構造形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機器などに用いられるPVC(polyvinyl chloride:ポリ塩化ビニル)チューブは、気泡や異物の除去、チューブ内面の親水化、およびチューブからの溶出物(可塑剤など)の洗浄を目的として、回路全体を液体で充填する必要があり、このとき、回路のエアを抜くために、末端のキャップや三方活栓を開け閉めする等していた。
【0003】
【特許文献1】特開平8−103504
【特許文献2】特表2002−516160
【特許文献3】特開平6−30995
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
まず、液体充填の際、キャップや三方活栓の開け閉めは手動で行われるため液漏れが生じる可能性があった。これは、外部の雑菌等の混入の可能性も否定できないため、医療現場では特に慎重にならざるを得ず作業性が劣るという問題点があった。また、液体が高価なものである場合や、厳密な量を供給する場合は、このような密閉開放方式は敬遠されるという問題点があった。
【0005】
また、多数の個別具体的な医療処置においては、活栓操作箇所も多くその他の作業も重なるため、人的ミス、すなわち、操作忘れの可能性も排除できず、この場合は、除去したいエアが混入したままとなるという問題点があった。
【0006】
これらを解決するものとして、キャップ端部に疎水性通気膜を融着したものが知られている。この疎水性通気膜には、医療分野では撥水性ないし疎水性の高いPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を多孔シートに成型したものが多く用いられ、微細多孔により通気性を確保し、同時にその撥水力により多孔への液体浸入(反対側への液体移動)を禁止する。
【0007】
ここで、医療用管体の経路に接合されるキャップ等は、接続性、気密性、耐薬性など各種特性を考慮してポリオレフィン製のものが用いられている。ところが、PTFEとポリオレフィンとでは、溶解温度が異なり、また、溶解度パラメータも異なるので単に加熱するだけでは両者は接着しない。よって、従来の疎水性通気膜は、ポリオレフィン不織シートを加熱溶融してPTFE多孔シートの細孔に浸入させてアンカリングした二層膜とし、不織シート側をキャップ等に融着していた。
【0008】
しかしながら、不織シート側をキャップに融着するのであっては、その構造上、接合力が弱くなってしまう。たとえば、加熱手段を押し当てる場合にあっては、押し当てる力が弱いと不織シートの構造的な隙間が残存し、側周から液漏れが生じてしまう。反対に、押し当てる力が強いと、接着剤たるべき不織シート部分が散逸し、そもそも接着しないPTFEとキャップとの面接合となって接着力が低下してしまう。実際、このような通気性キャップは、液体充填時には耐水圧性が低く、液漏れが生じたり剥離が生じたりしており、信頼性が高くないという問題点があった。
【0009】
また、反対に、通気膜であるPTFE側を内側に、ポリオレフィン製の不織布側を外側に載置して、不織布側から金型(加熱手段)を押し当て、不織布のポリオレフィンの一部を溶融させて、キャップとPTFE膜とを接着させようとした場合には、溶解したポリオレフィンが金型に粘着し、通気膜自体がキャップに接着できないか、一時的に接着できた場合でも、加熱手段を離す際に、キャップから通気膜が剥離する等の問題が生じる。
【0010】
また、これを受け、新たな素材開発や構造変更をするのは容易ではなく、製造コストも増大してしまう。
【0011】
また、上述の通気性キャップその他の通気能を備える筐体は金型や押出機により一体的に製造される場合が多い。このため、疎水性通気膜は、キャップその他の筐体の外側から後付けで簡便に熱融着できるものでなくては、製品に制約が生じてしまうという問題点もある。
【0012】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、通気性を確保しつつ、液漏れも生じない信頼性の高い通気構造を簡便に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の通気構造は、医療用管体の経路に接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造であって、通気膜と、通気膜を設ける筐体部分である基体部と、通気膜と基体部の接合を補助する補助フィルム体と、により構成され、基体部は、通気膜により被覆する貫通孔をもった低融点の合成樹脂製であり、通気膜は、撥水性を有する多孔の第1膜に低融点の第2膜を接着した、通気性を有する合成樹脂製の二層膜であり、補助フィルム体は、低融点の第3膜に第3膜より高融点の第4膜を接着した合成樹脂製の二層膜であり、第3膜の内周部と第2膜とが熱融着して通気膜が補助フィルム体に接合されており、第3膜の外周部と基体部とが熱融着して補助フィルム体が基体部に接合されていることを特徴とする。
【0014】
すなわち、請求項1に係る発明は、補助フィルム体により通気膜を熱融着して一体化するとともに、基体部へも熱融着して密着密封でき、これにより、通気性を確保しつつ液漏れも生じない信頼性の高い通気構造を提供可能とする。また、液体側(筐体内部側)に撥水膜(第1膜)が位置するので、水圧がかかっても第1膜と第2膜の接着力が低下して層分離が生じてしまうことがなく、この点からも通気構造の信頼性を高める。
【0015】
また、第4膜は、第3膜や基体部または第2膜より高融点としているので、たとえば加熱手段を押しつけて補助フィルム体を熱融着させる場合であっても、適温に制御することにより、加熱手段側へ補助フィルム体が粘着し、浮き上がったり剥離したりするようなことが生じない。すなわち、筐体外側から後付けにより通気構造を簡便に設けることができ、これにより、生産性を向上させることも可能となる。
【0016】
なお、本願において、第2膜と第3膜と基体部にいう低融点とは同レベルの融点をいうものとし、第4膜の高融点とはこれらより融点が高いことを意味する。なお、第2膜と第3膜と基体部は、融点も近似し相溶性も高くなるため、これらの組成は同一もしくは近似していることが好ましい。なお、医療用の通気膜は、撥水性を利用したフッ素樹脂が主に用いられ、これは非常に融点が高く、融点の観点からすれば、第1膜>第4膜>(第2膜、第3膜、基体部)となる。よって、第1膜と第2膜とでは融点も大きく異なり溶解度パラメータも近似しないのが通常であるので、接着方式としては、従来技術に示したように第1膜の微細孔を利用して、ここにアンカリングするように不織シートを熱融着する方法が挙げられる。
【0017】
また、第3膜と第4膜は、たとえば、融点が20℃程度以上好ましくは30℃以上異なる合成樹脂であって近似した溶解度パラメータを有するものであれば、普通に熱融着させたものを用いることができる。なお、本願では、通気膜も補助フィルム体も二層構造であるが、特性ないし機能を損ねないのであれば、二層以上としてもよく、この意味において本願にいう二層構造は二層以上の構成を含むものとする。また、本願では、第1膜と第2膜との「接着」または第3膜と第4膜との「接着」とは、分離しないように物理的または化学的に接着していればその態様に制限はなく、熱融着による接着も当然に含まれる。
【0018】
また、第3膜の内周部とは膜の内側(中心側)部分を意味し、外周部とは内周部より外側にある膜部分を意味する。
【0019】
また、請求項2に記載の通気構造は、医療用管体の経路に接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造であって、通気膜と、通気膜を設ける筐体部分である基体部と、通気膜と基体部の接合を補助する補助フィルム体と、により構成され、基体部が、通気膜により被覆する貫通孔をもった低融点の合成樹脂製であり、通気膜が、撥水性を有する多孔の第1膜に低融点の第2膜を接着した、通気性を有する合成樹脂製の二層膜であり、補助フィルム体が、低融点の第3膜に第3膜より高融点の第4膜を接着した、通気膜より外形の大きな合成樹脂製の二層膜であり、通気膜が補助フィルム体からはみ出ないように第2膜と第3膜とを熱融着して通気膜が補助フィルム体に接合されており、第3膜の外縁部分と基体部とを熱融着して補助フィルム体が基体部に接合されていることを特徴とする。
【0020】
すなわち、請求項2に係る発明は、補助フィルム体により通気膜を熱融着して一体化するとともに、その外側の余白を基体部へ熱融着して密着密封でき、これにより、通気性を確保しつつ液漏れも生じない信頼性の高い通気構造を提供可能とする。また、液体側(筐体内部側)に撥水膜(第1膜)が位置するので、水圧がかかっても第1膜と第2膜の接着力が低下して層分離が生じてしまうことがなく、この点からも通気構造の信頼性を高める。
【0021】
また、第4膜は、第3膜や基体部または第2膜より高融点としているので、たとえば加熱手段を押しつけて補助フィルム体を熱融着させる場合であっても、適温に制御することにより、加熱手段側へ補助フィルム体が粘着し、浮き上がったり剥離したりするようなことが生じない。すなわち、筐体外側から後付けにより通気構造を簡便に設けることができ、これにより、生産性を向上させることも可能となる。また、補助フィルム体を通気膜より大きくするだけで、「融着しろ」が形成されるため、全体の形状や構成を複雑化することなく簡便に通気構造を形成でき、これによっても生産性を高めることが可能となる。
【0022】
なお、第3膜の外縁部分とは、いわば通気膜がかかっていない部分、すなわち「融着しろ」とでもいうべき領域を表し、必ずしも外周円の縁に限定されるものではない。
【0023】
また、請求項3に記載の通気構造は、請求項2に記載の通気構造において、貫通孔を中心として基体部表面に補助フィルム体外形と略同形の第1の窪みを設け、通気膜外形と略同形の第2の窪みを第1の窪みの中央部に設けたことを特徴とする。
【0024】
すなわち、請求項3に係る発明は、シーリング効果を高める。加えて、段差を設けることにより通気膜がそこに収まり、厚み方向に張力(盛りあがり)が生じない結果、段差を設けず通気膜分の盛りあがりにより補助フィルム体に常に不要な張力がかかっている場合と比較して製品信頼性が向上する。また、製造の際には、位置決めも容易となる。
【0025】
なお、「略同形」とは、若干の隙間をもたせて補助フィルム体または通気膜がそれぞれ収容される程度の形状を意味する。
【0026】
また、請求項4に記載の通気構造は、請求項1、2または3に記載の通気構造において、通気膜が、多孔性PTFEシートにポリオレフィンの不織布を熱融着させたものであることを特徴とする。
【0027】
すなわち、請求項4に係る発明は、使用実績もあり化学的にも安定な通気膜を用いて通気構造を形成できる。なお、水圧は厚み方向にかかるので、水圧がかかるほど通気膜の特に不織布製の第2膜が密となり、通気膜と補助フィルム体の気密性が向上し、遮水性、耐水圧性の信頼性が維持される。
【0028】
また、請求項5に記載の通気構造は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の通気構造において、第2膜と第3膜と基体部とをポリオレフィン製としたことを特徴とする。
【0029】
すなわち、請求項5に係る発明は、従来提供されている部材を用いることができ、素材の変更や、構造や構成の大幅な変更が不要となり、安価に製品を提供可能となる。
【0030】
なお、本願では、第4膜としては、たとえば、ポリエステル特にPET(ポリエチレンテレフタレート)を挙げることができ、その他、ポリアミド系樹脂であってもよい。第4膜にポリエステル、第3膜にポリオレフィンを用いる場合には、前述のとおり、第4膜の融点が第3膜の融点より20℃程度以上、好ましくは30℃以上高い組合せとなるようにそれぞれを選択する。この他、第1膜としては広くフッ素樹脂を用いることができ、PTFEの他、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体)を挙げることができる。ポリオレフィンにおいて、加工性、強度、医療用としての使用実績の点から、実質的に選択される材質として、たとえば、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)を挙げることができる。
【0031】
また、請求項6に記載の通気構造は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の通気構造において、補助フィルム体を、その中央部に通気膜の外形より小さな形状の孔を打ち抜いて形成したことを特徴とする。
【0032】
すなわち、請求項6に係る発明は、通気性のない補助フィルム体をドーナツ形状(環形状)にすることにより、気密性を確保しつつ簡便に通気性も確保し、シーリング効果も向上させる。
【0033】
また、請求項7に記載の通気構造形成方法は、撥水性を有する多孔の第1膜に低融点の第2膜を接着した、通気性を有する合成樹脂製二層膜である通気膜と、通気膜により被覆する貫通孔をあけた筐体部分である低融点の合成樹脂製の基体部と、低融点の第3膜に第3膜より高融点の第4膜を接着した、通気膜と基体部の接合を補助し通気膜より外形の大きな合成樹脂製二層膜である補助フィルム体とにより構成され、医療用管体の経路に接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造の形成方法であって、貫通孔に通気膜の第1膜側をあてがい、この上に補助フィルム体の第4膜側が上にくるようにかつ通気膜が補助フィルム体からはみ出ないようにあてがい、筐体外側から加熱手段を押し当てて、第2膜と第3膜とを、および、第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする。
【0034】
すなわち、請求項7に係る発明は、補助フィルム体により通気膜を覆って熱融着により一体化し、また、補助フィルム体の余白を基体部へ熱融着して密着密封でき、通気性を確保しつつ液漏れも生じない信頼性の高い通気構造を提供可能とする。また、液体側(筐体内部側)に撥水膜(第1膜)が位置するので、水圧がかかっても第1膜と第2膜の接着力が低下して層分離が生じてしまうことがなく、この点からも通気構造の信頼性を高める。
【0035】
また、第4膜は、第3膜や基体部または第2膜より高融点としているので、適温に制御することにより、加熱手段側へ補助フィルム体が粘着し、浮き上がったり剥離したりするようなことが生じず、歩留りが高くかつ接合信頼性(耐圧信頼性)の高い通気構造を形成可能となる。筐体外側から後付けにより通気構造を簡便に形成でき、これにより、生産性を向上させることも可能となる。
【0036】
また、請求項8に記載の通気構造形成方法は、請求項7に記載の通気構造形成方法において、貫通孔を中心として基体部表面に補助フィルム体外形と略同形の第1の窪みを設けるとともに、通気膜外形と略同形の第2の窪みを第1の窪みの中央部に設けておき、第2の窪みに通気膜を第1膜側が下にくるように載置し、第1の窪みに補助フィルム体を第4膜側が上にくるように載置し、第4膜側から加熱手段を押し当てて、第2膜と第3膜とを、および、第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする。
【0037】
すなわち、請求項8に係る発明は、通気膜と補助フィルム体の位置決めを容易とし、生産性を高める。また、通気膜と補助フィルム体のずれを防止するので歩留りも高めることが可能となる。更に、シーリング効果も向上する。
【0038】
また、請求項9に記載の通気構造形成方法は、請求項7または8に記載の通気構造形成方法において、第3膜と基体部をはじめに熱融着し、次いで、第2膜と第3膜を熱融着することを特徴とする。
【0039】
すなわち、請求項9に係る発明は、外側から熱融着することにより融着の際の膨張やシート変形や浮きを規制して外側も内側も確実に熱融着でき、これにより、信頼性を向上させることが可能となる。
【0040】
また、請求項10に記載の通気構造形成方法は、撥水性を有する多孔の第1膜に低融点の第2膜を接着した、通気性を有する合成樹脂製二層膜である通気膜と、通気膜により被覆する貫通孔をあけた筐体部分である低融点の合成樹脂製の基体部と、低融点の第3膜に第3膜より高融点の第4膜を接着した、通気膜と基体部の接合を補助し通気膜より外形の大きな合成樹脂製二層膜である補助フィルム体とにより構成され、医療用管体の経路に接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造の形成方法であって、通気膜の第2膜と補助フィルム体の第3膜を通気膜が補助フィルム体からはみ出ないように接着したものの第1膜側を貫通孔にあてがい、筐体外側から加熱手段を押し当てて、第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする。
【0041】
すなわち、請求項10に係る発明は、通気膜を一体化した補助フィルム体の外縁の余白を利用して基体部との密着密封化が可能となり、これにより、通気性を確保しつつ液漏れも生じない信頼性の高い通気構造が提供可能となる。また、液体側(筐体内部側)に撥水膜(第1膜)が位置するので、水圧がかかっても第1膜と第2膜の接着力が低下して層分離が生じてしまうことがなく、この点からも通気構造の信頼性を高める。
【0042】
また、第4膜は、第3膜や基体部または第2膜より高融点としているので、適温で制御することにより、加熱手段側へ補助フィルム体が粘着し、浮き上がったり剥離したりするようなことが生じず、歩留りが高くかつ接合信頼性(耐圧信頼性)の高い通気構造を形成可能となる。筐体外側から後付けにより通気構造を簡便に形成でき、これにより、生産性を向上させることも可能となる。
【0043】
また、請求項11に記載の通気構造形成方法は、請求項10に記載の通気構造形成方法において、貫通孔を中心として基体部表面に補助フィルム体外形と略同形の窪みを設けておき、この窪みに第4膜側が上にくるように載置し、第4膜側から加熱手段を押し当てて第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする。
【0044】
すなわち、請求項11に係る発明は、補助フィルム体の位置決めを容易とし、生産性を高める。また、補助フィルム体のずれを防止するので歩留りも高めることが可能となる。更に、シーリング効果も向上する。
【0045】
また、請求項12に記載の通気構造形成方法は、請求項11に記載の通気構造形成方法において、前記窪みの中に更に通気膜外形と略同形の第2の窪みを当該第2の窪みの中心に前記貫通孔が位置するように設けておき、第2の窪みに第1膜側が下にくるように載置し、第4膜側から加熱手段を押し当てて第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする。
【0046】
すなわち、請求項12に係る発明は、補助フィルム体の位置決めを容易とし、生産性を高める。また、補助フィルム体の浮きを防止するので歩留りも高めることが可能となる。更に、シーリング効果もより向上する。
【0047】
また、請求項13に記載の通気構造形成方法は、請求項7〜12のいずれか一つに記載の通気構造形成方法において、通気膜が、多孔性PTFEシートにポリオレフィンの不織布を熱融着させたものであることを特徴とする。
【0048】
すなわち、請求項13に係る発明は、使用実績もあり化学的にも安定な通気膜を用いて通気構造を形成できる。なお、水圧は厚み方向にかかるので、水圧がかかるほど通気膜の特に不織布製の第2膜が密となり、通気膜と補助フィルム体の気密性が向上し、遮水性、耐水圧性の信頼性が維持される。
【0049】
また、請求項14に記載の通気構造形成方法は、請求項7〜13のいずれか一つに記載の通気構造形成方法において、第2膜と第3膜と基体部とをポリオレフィン製としたことを特徴とする。
【0050】
すなわち、請求項14に係る発明は、従来提供されている部材を用いることができ、素材の変更や構造や構成の大幅な変更が不要となり、安価に製品を提供可能となる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、通気性を確保しつつ、液漏れも生じない信頼性の高い通気構造を簡便に提供することが可能となる。よって装着するだけでプライミング(エア抜き)が可能となる。また、筐体外側から後付けにより通気構造を簡便に設けることができ、これにより、生産性を向上させることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、本発明をルアキャップに適用し、端面に通気構造を形成する場合について説明する。
【0053】
図1は、本実施の形態のルアキャップの断面図である。図2は、接合部分の拡大模式図である。図3は、実際の熱融着の様子を示した概念図である。図4は、本実施の形態のルアキャップの補助フィルム体の融着の様子を示した平面図である。
【0054】
通気構造は、ルアキャップ1の後端部に通気膜2と補助フィルム体3とが順に位置し、通気膜2と補助フィルム体3とが熱融着し、かつ、補助フィルム体3とルアキャップ1後端面とが熱融着したものである。
【0055】
ルアキャップ1は、ポリオレフィン製であり、ここではPP製のものを用いている。断面図から明らかなように、このルアキャップ1には貫通孔11が中心に設けられており、キャップ端部には円形の窪み12と、その内側に更に円形の窪み13が設けられている。すなわち、ルアキャップ1後端面は、1段目の円形窪み12の中に2段目の円形窪み13が階段状に設けてあり、円形窪み12および円形窪み13の中心が貫通孔11の中心と重なるように形成されている。ルアキャップ1には、また、内面にねじ14が切ってあり、たとえば図示しない三方活栓に螺合する形状となっている。
【0056】
通気膜2は、円形窪み13より若干径の小さな円形シートであり、微細多孔通気シートとして形成してあるフッ素樹脂製(ここではPTFE製)の第1膜21と、不織シートとして形成してあるポリオレフィン製(ここではPP製)の第2膜22と、を熱融着し、通気性と遮水性、ならびに、補助フィルム体3への接着性を確保した二層膜である。通気性と遮水性に関しては、微細孔構造によって通気性をもたせつつPTFEの高撥水性により液体浸入を防止し遮水性を確保している。ここで、PTFEは高融点であり反対にPPは低融点であって相溶性も高くない。従って、化学的には接着しにくいので、PPを熱溶融してPTFE微細孔に浸入させ、アンカリングにより物理的に両者を貼着するようにしている。また、PPはそのままでは通気性がないため、不織シートに成型して第2膜22自体の通気性を確保している。
【0057】
より具体的には、通気膜2は、たとえば以下の方法により製造できる。まず、PTFEパウダー100gと、液状潤滑剤として26gのソルベントナフサを混合する。この混合物を圧力50kg/cm2で加圧予備成形後、ペースト押出機により押し出し、圧延により所望の厚み、たとえば、0.3mm厚のシート状にする。これを200℃の加熱ロールに沿わせて加熱乾燥し、ソルベントナフサを除去する。
【0058】
次いで、約275℃に加熱したロール型延伸機で一軸方向(長手方向)に100%延伸し、更に約150℃に加熱したロール型延伸機で同方向に200%延伸する。この延伸シートを延伸した状態のまま、約400℃で5分間加熱して焼結することによって多孔性PTFEシートを得ることができる。最後に、PP製不織布とこのPTFEシートとを、所定温度で融着(ラミネート)する。最後に、円形窪み13より若干径の小さな円形シートとなるように、ラミネートシートを打ち抜く。これにより、通気性と遮水性を有する通気膜2が形成される。
【0059】
補助フィルム体3は、円形窪み12より若干径の小さな円形シートから中心部を打ち抜いたドーナツ形状の二層膜である。ここで、打ち抜く内円は通気膜2の円より小さくして、補助フィルム体3と通気膜2との接合部分を確保する。また、打ち抜くことにより通気性を確保する。二層膜は、片面をポリオレフィン製(ここではPP製)とし、他面をポリエステル製(ここではPET製)とする。以降において便宜上前者を第3膜31、後者を第4膜32とする。また、打ち抜いた円部分を打ち抜き孔33とする。PPとPETは、常法、たとえば、ドライラミネート法(希釈した接着剤をフィルムに塗布し、巻取りにより2枚のフィルムを貼り合わせる方法)により貼着が可能である。
【0060】
なお、膜の厚みに特に限定はないが、通気膜2の厚みは、たとえば0.15mm〜0.35mmとすることができ、また、補助フィルム体3の厚みは、たとえば、0.10mm〜0.30mmとすることができる。なお、ルアキャップ1の外径は約10mmであり、貫通孔11の径は約1.5mmであるので、通気膜2の直径は3.0mm〜6.5mm、補助フィルム体3の外径は7.5mm〜9.5mm、内径は1.0mm〜3.5mmとすることができる。
【0061】
また、補助フィルム体3の外半径、通気膜2の半径、補助フィルム体3の内半径を、それぞれr,r,rとすると、通気性の観点から、r:r=6:1〜2:1が好ましく、熱融着の面積の観点から、(r−r):(r−r)=2:1〜1:2が好ましい。なお、熱融着の幅は、1mm以上であることが好ましい(図4参照)。また、製造上の観点からは、r:r=5:1〜5:3、r:r=7:1〜7:3が好ましい。
【0062】
<製造例1>
次に、円形の通気膜2と、これより外径は大きく内径は小さなドーナツ型の補助フィルム体3と、ルアキャップ1との接合方法について説明する。製造例1では、通気膜2と、補助フィルム体3と、をルアキャップ1後端に別々に載置した後、熱融着する態様について説明する。なお、以下の例では、工業的生産工程における量産ラインについて必要箇所部分のみ説明する。
【0063】
まず、ルアキャップ1を、後端部を上に向け順次整列させる。これは、アームにより保持してもよいし、ルアキャップ1の外形と略同型の嵌合穴に埋め込み、固定する方法が挙げられる。次いで、通気膜2を、第1膜21を下にして、円形窪み13に載置する。これは、ラミネートシートから通気膜2を打ち抜いたものを陰圧により吸い付けて移動し静置する方法が挙げられる。これにより、通気膜2の表裏の判別制御が不要となる。また、打ち抜き金型により一度に多量の通気膜2が形成されるので、金型の穴の数だけ吸引アームを設けておき量産に対応させるようにしてもよい。
【0064】
次に、補助フィルム体3を、第3膜31を下にして円形窪み12に載置する。これにより通気膜2が補助フィルム体3により覆われる。なお、補助フィルム体3も通気膜2の載置と同様な方式を用い、吸引アームによる打ち抜き直後の表裏の区別がついた二層膜を、正しい向きで載置可能となる。
【0065】
つづいて、補助フィルム体3を円形窪み12へ熱融着する。補助フィルム体3の第3膜31も円形窪み12も共にPP製であるため、両者は容易に密に接着する。加熱に際しては、補助フィルム体3の外円よりやや小さな円筒形ヒータ(溶着金型)を短時間、たとえば、145℃×3秒、円形窪み12に挿入するようにして押し当てる。ここで、ヒータ側の第4膜32はPET製なので、ヒータに溶着せず、ヒータを引き上げる際に補助フィルム体3が浮きあがったり、ヒータ側に持っていかれたりするようなことが生じず、強固な接着を実現する。
【0066】
次に、通気膜2と補助フィルム体3とを熱融着する。通気膜2の第2膜22も補助フィルム体3の第3膜31も共にPP製であるため、両者は容易に密に接着する。加熱に際しては、通気膜2の径よりやや小さな円筒形ヒータを短時間、たとえば、145℃×3秒、円形窪み13に挿入するようにして押し当てる。ここで、不織シートである第2膜22は、第1膜21との接合面の反対側から溶融するので、第1膜21と第2膜22との接合力を損ねず密に通気膜2と補助フィルム体3とを融着できる。
【0067】
最後にルアキャップ1の固定を取り除く。順次以上の作業を繰り返すことにより、目的の通気構造の形成されたルアキャップを得ることができる。
【0068】
なお、図1に示した領域Aは、PPの溶融により通気膜2を側周からパッキングないしシーリングされることとなり、遮水性も更に向上する(図3参照)。
【0069】
以上の例では、外周側の次に内周側を熱融着する態様を説明した。これは、内周側を先に熱融着すると加熱や押しつけにより膜が上へ浮き上がるように変形し、緩みやたるみが生じ、外周側の熱融着が安定化せず均一な熱融着とならない可能性があるためである。なお、制御によっては、内周側の次に外周側を熱融着する態様であってもよい。なお、径の異なる二つのヒータを別々に用いる例を示したが、二重円筒ヒータを用いて、一気に両者を熱融着させるようにしてもよい。
【0070】
<製造例2>
次に、円形の通気膜2と、これより外径は大きく内径は小さなドーナツ型の補助フィルム体3と、を予め熱融着したものをルアキャップに載置し、これを熱融着する態様について説明する。なお、以下の例では、工業的生産工程における量産ラインについて必要箇所部分のみ説明する。
【0071】
まず、事前に、通気膜2が熱融着した補助フィルム体の半製品を準備しておく。たとえば、第1膜と第2膜が熱融着したラミネートシートを、第2膜側を上にし、打ち抜き型枠を用いて円形窪み13より若干小さな径の円を整然と打ち抜き、この打ち抜いた円板シート(通気膜2)がそのまま台座に残るようにする。
【0072】
次に、この整然と配列した円形の通気膜2に、第3膜と第4膜との二層膜シートを、第3膜側が下になるように被覆し、打ち抜き孔33より径の大きな円筒形ヒータを通気膜2と同一中心となるように押し当てて、シートに水玉のように通気膜2が多数熱融着した半製品を用意しておく。なお、第3膜と第4膜とが接合した二層膜シートには、台座上に整然と配列した円形の通気膜2のそれぞれの中心に重なるように、予め打ち抜き孔33をあけておく。
【0073】
なお、円筒形ヒータは第4膜側から押し当てるようにする。通気膜2の第2膜22も補助フィルム体3の第3膜31も共にPP製であるため、両者は容易に密に接着する。
【0074】
製造に際しては、まず、ルアキャップ1後端部を上に向け順次整列させる。これは、アームにより保持してもよいし、ルアキャップ1の外形と略同型の嵌合穴に埋め込み、固定する方法が挙げられる。次いで、通気膜2が熱融着した補助フィルム体3を、第1膜21を下にして、円形窪み12に載置する。これは、事前に熱融着させておいた半製品から、円形窪み12より若干小さな径の円として打ち抜いたものを陰圧により吸い付けて、移動し静置する方法が挙げられる。これにより、通気膜2の接合した補助フィルム体3の表裏の判別制御が不要となる。また、打ち抜き金型により一度に多量の接合膜が形成されるので、金型の穴の数だけ吸引アームを設けておき量産に対応させるようにしてもよい。
【0075】
つづいて、補助フィルム体3を円形窪み12へ熱融着する。補助フィルム体3の第3膜31も円形窪み12も共にPP製であるため、両者は容易に密に接着する。加熱に際しては、補助フィルム体3の外円よりやや小さな円筒形ヒータを短時間、たとえば、145℃×3秒、円形窪み12に挿入するようにして押し当てる。ここで、第4膜32はPET製なので、ヒータに溶着せず、ヒータを引き上げる際に補助フィルム体3が浮きあがったり、ヒータ側に持っていかれたりするようなことが生じず、強固な接着を実現する。
【0076】
最後にルアキャップ1の固定を取り除く。順次以上の作業を繰り返すことにより、目的の通気構造の形成されたルアキャップを得ることができる。
【0077】
なお、以上の二つの製造例では、たとえば、センサ等を用いて、適宜、載置ずれを検出するようにしてもよい。
【0078】
また、通気膜2の第2膜22は、不織シートであるため白色である。よって、通気膜2自体は特に着色しない限り白色となる。従って、補助フィルム体3を着色しておけば、通気膜2と補助フィルム体3の表裏の関係が明瞭となり、載置向きが反転しているものなどを容易に検品できる。また、これを更に発展させ、通気膜2も補助フィルム体3もそれぞれの層を異なる色とし、検品に役立てるようにしてもよい。
【0079】
<実験例>
次に、通気性と耐水圧性を評価した。実験にはルアキャップを用い、本発明と、市販の三社のものを比較した。
【0080】
図5は、通気性の評価試験の実験概要図である。図示したように、上から水500ccをいれたバッグを内径3.3mmのPVCチューブに接続し、下にルアキャップを螺合する。ここで、ルアキャップ上空のPVCチューブ1000mmは空気となるように調整し、1000mm高さ分の空気が抜けきる速度を測定した。表1は実験結果である。なお、nは実験数である。
【0081】
【表1】

表に示したように、本発明では十分な通気性が確認された。本発明品は、A社B社より通気度が低いが、十分実用的な範囲である。一方C社製は目詰まりをおこすものもあり、実用的な通気性に欠けるものも確認された。
【0082】
図6は、耐水圧性の評価試験の実験概要図である。図示したように、ルアキャップにPVCチューブを接続し、ルアキャップ側に水を充填してこれをエア加圧する。評価は、水がルアキャップ後端面側から漏出する際の圧力として測定した。結果を表2に示す。なお、nは実験数である。
【0083】
【表2】


表に示したように、本発明品は、耐水圧が0.20MPa〜0.25MPaであり、A社、B社、C社のいずれよりも一桁以上高い耐水圧性を有することが確認できた。なお、A社製品は、そもそもの固着が不十分であるものも散見され、水圧が低くても膜が剥離寸前の状態となった。B社製品は耐水圧性が低く、すぐフィルタから液が浸潤してきた。A社製品、B社製品、および、C社製品のこの水圧での漏出は、実用的観点からは必ずしも十分とはいえず、医療現場では使用箇所が制限されるのでかえって採用しにくくなる。反対に本発明品の耐水圧性があれば実用的には十分信頼性があるといえ、かつ、剥離も液漏れも見られないため、極めて優れた結果であるといえる。
【0084】
以上の通気性と耐水圧性とを考慮すると、本発明品のみが、両性能を満たし信頼性の高い製品であると結論づけられる。
【0085】
なお、以上の例では、通気膜より補助フィルム体を大きくして補助フィルム体をルアキャップに熱融着する領域を確保する態様について説明したが、補助フィルム体が通気膜を熱融着しつつルアキャップにも熱融着できるのであれば特にその態様は限定されない。たとえば、図7に示したような通気構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は通気針の端面に設け、輸液バックに衛生的に空気を送り込む場合にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施の形態のルアキャップの断面図である。
【図2】接合部分の拡大模式図である。
【図3】実際の熱融着の様子を示した概念図である。
【図4】本実施の形態のルアキャップの補助フィルム体の融着の様子を示した平面図である。
【図5】通気性の評価試験の実験概要図である。
【図6】耐水圧性の評価試験の実験概要図である。
【図7】他の通気構造を示したルアキャップの部分断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 ルアキャップ
2 通気膜
3 補助フィルム体
11 貫通孔
21 第1膜
22 第2膜
31 第3膜
32 第4膜
33 打ち抜き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用管体の経路に接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造であって、
通気膜と、通気膜を設ける筐体部分である基体部と、通気膜と基体部の接合を補助する補助フィルム体と、により構成され、
基体部は、通気膜により被覆する貫通孔をもった低融点の合成樹脂製であり、
通気膜は、撥水性を有する多孔の第1膜に低融点の第2膜を接着した、通気性を有する合成樹脂製の二層膜であり、
補助フィルム体は、低融点の第3膜に第3膜より高融点の第4膜を接着した合成樹脂製の二層膜であり、
第3膜の内周部と第2膜とが熱融着して通気膜が補助フィルム体に接合されており、
第3膜の外周部と基体部とが熱融着して補助フィルム体が基体部に接合されていることを特徴とする通気構造。
【請求項2】
医療用管体の経路に接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造であって、
通気膜と、通気膜を設ける筐体部分である基体部と、通気膜と基体部の接合を補助する補助フィルム体と、により構成され、
基体部は、通気膜により被覆する貫通孔をもった低融点の合成樹脂製であり、
通気膜は、撥水性を有する多孔の第1膜に低融点の第2膜を接着した、通気性を有する合成樹脂製の二層膜であり、
補助フィルム体は、低融点の第3膜に第3膜より高融点の第4膜を接着した、通気膜より外形の大きな合成樹脂製の二層膜であり、
通気膜が補助フィルム体からはみ出ないように第2膜と第3膜とを熱融着して通気膜が補助フィルム体に接合されており、
第3膜の外縁部分と基体部とを熱融着して補助フィルム体が基体部に接合されていることを特徴とする通気構造。
【請求項3】
貫通孔を中心として基体部表面に補助フィルム体外形と略同形の第1の窪みを設け、通気膜外形と略同形の第2の窪みを第1の窪みの中央部に設けたことを特徴とする請求項2に記載の通気構造。
【請求項4】
通気膜が、多孔性PTFEシートにポリオレフィンの不織布を熱融着させたものであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の通気構造。
【請求項5】
第2膜と第3膜と基体部とをポリオレフィン製としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の通気構造。
【請求項6】
補助フィルム体を、その中央部に通気膜の外形より小さな形状の孔を打ち抜いて形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の通気構造。
【請求項7】
撥水性を有する多孔の第1膜に低融点の第2膜を接着した、通気性を有する合成樹脂製二層膜である通気膜と、通気膜により被覆する貫通孔をあけた筐体部分である低融点の合成樹脂製の基体部と、低融点の第3膜に第3膜より高融点の第4膜を接着した、通気膜と基体部の接合を補助し通気膜より外形の大きな合成樹脂製二層膜である補助フィルム体とにより構成され、
医療用管体の経路に接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造の形成方法であって、
貫通孔に通気膜の第1膜側をあてがい、この上に補助フィルム体の第4膜側が上にくるようにかつ通気膜が補助フィルム体からはみ出ないようにあてがい、
筐体外側から加熱手段を押し当てて、第2膜と第3膜とを、および、第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする通気構造形成方法。
【請求項8】
貫通孔を中心として基体部表面に補助フィルム体外形と略同形の第1の窪みを設けるとともに、通気膜外形と略同形の第2の窪みを第1の窪みの中央部に設けておき、
第2の窪みに通気膜を第1膜側が下にくるように載置し、
第1の窪みに補助フィルム体を第4膜側が上にくるように載置し、
第4膜側から加熱手段を押し当てて、第2膜と第3膜とを、および、第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする請求項7に記載の通気構造形成方法。
【請求項9】
第3膜と基体部とをはじめに熱融着し、次いで、第2膜と第3膜を熱融着することを特徴とする請求項7または8に記載の通気構造形成方法。
【請求項10】
撥水性を有する多孔の第1膜に低融点の第2膜を接着した、通気性を有する合成樹脂製二層膜である通気膜と、通気膜により被覆する貫通孔をあけた筐体部分である低融点の合成樹脂製の基体部と、低融点の第3膜に第3膜より高融点の第4膜を接着した、通気膜と基体部の接合を補助し通気膜より外形の大きな合成樹脂製二層膜である補助フィルム体とにより構成され、
医療用管体の経路に接合されるルアキャップその他の筐体に採用される通気構造の形成方法であって、
通気膜の第2膜と補助フィルム体の第3膜を通気膜が補助フィルム体からはみ出ないように接着したものの第1膜側を貫通孔にあてがい、
筐体外側から加熱手段を押し当てて、第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする通気構造形成方法。
【請求項11】
貫通孔を中心として基体部表面に補助フィルム体外形と略同形の窪みを設けておき、
この窪みに第4膜側が上にくるように載置し、
第4膜側から加熱手段を押し当てて第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする請求項10に記載の通気構造形成方法。
【請求項12】
前記窪みの中に更に通気膜外形と略同形の第2の窪みを当該第2の窪みの中心に前記貫通孔が位置するように設けておき、
第2の窪みに第1膜側が下にくるように載置し、
第4膜側から加熱手段を押し当てて第3膜と基体部とを熱融着することを特徴とする請求項11に記載の通気構造形成方法。
【請求項13】
通気膜が、多孔性PTFEシートにポリオレフィンの不織布を熱融着させたものであることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一つに記載の通気構造。
【請求項14】
第2膜と第3膜と基体部とをポリオレフィン製としたことを特徴とする請求項7〜13のいずれか一つに記載の通気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−66087(P2009−66087A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235859(P2007−235859)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】