説明

通話制御装置

【課題】より確実にユーザ自身が電話に応答することができる通話制御装置を提供する。
【解決手段】通話制御装置1は、電話網11,12に接続された回線交換部20と、所定の電話端末同士を回線交換部20を介し接続して両者間で通話可能な状態にする通話制御部30とを備える。通話制御部30は、ユーザが電話発信時及び電話着信時に利用する電話端末の電話番号を記憶するユーザ情報記憶部31と、ユーザ側の電話端末であって発信元となる電話端末の電話番号、及び発信先となる電話端末の電話番号を関連付けて記憶する発信履歴情報記憶部33とを備え、ユーザ側の電話端末が着信側となる着呼信号が回線交換部20によって受信されると、ユーザ情報記憶部31及び発信履歴情報記憶部33内のデータを参照してユーザの着信先電話番号を特定し、特定した電話番号の電話端末に対して着信制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話網に接続された回線交換部と、前記電話網に接続された複数の電話端末の内、所定の電話端末同士を前記回線交換部を介し接続して両者間で通話可能な状態にする通話制御部とを備えた通話制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
企業などの組織においては、例えば、ボタン電話装置により内線電話システムが構築されており、このボタン電話装置は、公衆電話網に接続された主装置と、この主装置に接続された複数のボタン電話機とから構成される。
【0003】
このボタン電話装置は、ボタン電話機から、公衆電話網に接続された電話端末に電話をかけることが可能に構成され、また、当該電話端末から電話がかかってくると、例えば、一定グループに属する複数のボタン電話機に着信させるように構成されている。
【0004】
しかしながら、着信するボタン電話機が複数あると、電話端末から電話をかけた人物が通話をしたいと考えているユーザが応答するかどうか分からず、応答したユーザが通話をしたい相手でないときには、通話をしたい相手と替わってもらう必要があった。そこで、このような不都合を防止すべく、従来、例えば、特開2002−209238号公報に開示されたようなボタン電話装置が提案されている。
【0005】
このボタン電話装置は、ボタン電話機から電話端末に電話をかけたユーザによって通話中に所定のボタンが押されると、当該ボタン電話機の内線番号と発信先の電話端末の電話番号とを関連付けて主装置内に格納し、また、電話端末から電話がかかってくると、この電話端末の電話番号を認識して、認識した電話番号及び主装置内に格納されたデータを基にこの電話番号と関連付けられた内線番号を認識し、認識した内線番号のボタン電話機のみに着信させるように構成されている。
【0006】
したがって、このボタン電話装置では、ボタン電話機から電話端末に電話をかけたユーザが通話中に所定のボタンを押しておけば、当該電話端末からの電話が当該ボタン電話機に着信するので、電話端末から電話をかけた人物が通話をしたいと考えているユーザが応答する確率が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−209238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のボタン電話装置では、以下に説明するような問題があった。即ち、通話を希望するユーザが必ず在席しているとは限らず、社外に外出しているような場合や、社内にいても別の場所で作業をしているような場合には、当該ユーザのボタン電話機に着信しても、当該ユーザは電話に出ることができないため、電話をかけた人物は通話をすることができない。また、例えば、当該ユーザが営業の人で、前記電話をかけた人物が営業先の人だった場合、この営業先からの電話に出ることができないと営業の機会を失ってしまう恐れもある。
【0009】
また、当該ユーザが電話に出ることができないときには、社内の別の人が電話に出ることになるが、その別の人にとっては、その電話に応答するために自身の作業を中断せざるを得ず、煩わしい。更に、伝言を依頼された場合には、新たな作業が増えるという問題もある。
【0010】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、本人がより確実に電話に応答することができる通話制御装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明は、
電話網に接続された回線交換部と、前記電話網に接続された複数の電話端末の内、所定の電話端末同士を前記回線交換部を介し接続して両者間で通話可能な状態にする通話制御部とを備えた通話制御装置であって、
前記通話制御部は、
ユーザが電話をかける際及び受ける際に利用する電話端末の電話番号を含んだユーザ情報をユーザ毎に記憶するユーザ情報記憶手段と、
前記ユーザ側の電話端末であって発信元となる電話端末の電話番号と、発信先となる電話端末の電話番号とが関連付けられた発信履歴情報を記憶する発信履歴情報記憶手段と、
前記ユーザ側の電話端末が着信側となる着呼信号が前記回線交換部によって受信されると、受信された着呼信号を基に発信電話番号を認識する発信番号認識手段と、
前記発信番号認識手段によって認識された発信電話番号を基に前記発信履歴情報記憶手段内の発信履歴情報を参照して、この発信電話番号と関連付けられた電話番号を認識する発信履歴情報確認手段と、
前記発信履歴情報確認手段によって認識された電話番号を基に前記ユーザ情報記憶手段内のユーザ情報を参照して、この電話番号の電話端末で電話をかけるユーザが電話を受ける際に利用する電話端末の電話番号たる着信先電話番号を認識する着信番号認識手段と、
前記着信番号認識手段によって認識された着信先電話番号の電話端末に対して着信制御を行い、前記回線交換部を介して発信側の電話端末と前記ユーザ側の電話端末とを接続する着信制御手段とを備えてなることを特徴とする通話制御装置に係る。
【0012】
この発明によれば、ユーザ情報記憶手段に予めユーザ情報が格納される。このユーザ情報は、ユーザが電話をかける際及び受ける際に利用する電話端末の電話番号を少なくとも含む。尚、前記電話番号は、どのような番号であっても良く、例えば、内線電話番号であっても、外線電話番号であっても、携帯電話番号であっても良い。また、電話をかける際の電話番号と電話を受ける際の電話番号は同じであっても異なっていても良く、電話をかける際と電話を受ける際の電話番号が同じ場合には、ユーザ情報として1つの電話番号が含まれ、電話をかける際と電話を受ける際の電話番号が異なる場合には、ユーザ情報として、電話をかける際の電話番号と電話を受ける際の電話番号とがそれぞれ含まれる。また、電話を受ける際の電話番号は、ユーザが社外に外出したり、社外から戻ってきたときなどに設定変更するなど、ユーザの居場所などに応じて変更すると良い。
【0013】
また、発信履歴情報記憶手段には発信履歴情報が格納されている。この発信履歴情報は、ユーザ側の電話端末であって発信元となる電話端末の電話番号と、発信先となる電話端末の電話番号とを少なくとも含み、これらが相互に関連付けられたものである。
【0014】
そして、ユーザ側の電話端末が着信側となる着呼信号が回線交換部によって受信されると、まず、発信番号認識手段により、この着呼信号を基に発信電話番号が認識される。
【0015】
次に、発信履歴情報確認手段により、前記認識された発信電話番号を基に発信履歴情報記憶手段内の発信履歴情報が参照されて、この発信電話番号と関連付けられた電話番号が認識され、ついで、着信番号認識手段により、前記認識された電話番号を基にユーザ情報記憶手段内のユーザ情報が参照されて、この電話番号の電話端末で電話をかけるユーザが電話を受ける際に利用する電話端末の電話番号たる着信先電話番号が認識される。
【0016】
この後、着信制御手段により、前記認識された電話番号の電話端末に対して着信制御が行われ、前記回線交換部を介して発信側の電話端末とユーザ側の電話端末とが接続される。これにより、電話の発信者はユーザと通話することが可能になる。
【0017】
斯くして、本発明に係る通話制御装置によれば、ユーザがある人物に電話をした発信履歴がある場合、そのある人物がユーザに電話をかけると、その電話が予め設定された電話番号の電話端末に着信するので、ユーザが、例えば、社外に外出している場合や、社内にいても別の場所で作業をしている場合など、在席していない場合であっても、前記ある人物がかけた電話を当該ユーザ自身が直接受けることができ、電話発信者は本人と通話することができる。
【0018】
したがって、電話発信者が、本人と通話することができないために、ユーザからの電話を待ったり、再度、ユーザに電話をかけ直すといった手間を省くことができる。また、ユーザはかかってきた電話に応答することができるので、電話に応答することができなかったために営業の機会を失うといった不都合が生じるのを防止することができる。また、ユーザにかかってきた電話を別の人が受けることもないので、当該別の人にとっては、他人にかかってきた電話に煩わされることもない。
【0019】
尚、前記通話制御部は、前記ユーザ側の電話端末が発信側となる発呼信号が前記回線交換部から送信されると、発信元となる前記ユーザ側の電話端末の電話番号と発信先となる電話端末の電話番号とを関連付けて前記発信履歴情報として前記発信履歴情報記憶手段に格納する履歴情報管理手段とを備えて構成されていても良い。このようにすれば、履歴情報管理手段によって発信履歴情報を管理することができる。
【0020】
また、前記ユーザ情報は、前記ユーザが電話をかける際に利用する電話端末の電話番号と、前記ユーザが電話を受ける際に利用する複数の電話端末の電話番号たる着信先電話番号と、この複数の着信先電話番号に設定された、着信先としての優先順位とを含んで構成され、前記着信番号認識手段は、前記発信履歴情報確認手段によって認識された電話番号を基に前記ユーザ情報記憶手段内のユーザ情報を参照して、前記複数の着信先電話番号及び優先順位を認識し、前記着信制御手段は、前記着信制御を行うに当たり、前記着信番号認識手段によって認識された複数の着信先電話番号及び優先順位を基に、まず、最も優先順位の高い着信先電話番号の電話端末に対し着信制御を行って発信側の電話端末と前記ユーザ側の電話端末との間で通話を確立させるとともに、通話が確立しない場合には、順次、優先順位が1つ低い着信先電話番号の電話端末に対して着信制御を行い、発信側の電話端末と前記ユーザ側の電話端末との間で通話を確立させるように構成されていても良い。
【0021】
このようにすれば、複数の着信先電話番号の内、着信先としての優先順位が高い電話番号の電話端末に着信させることができるので、最も適切な電話番号の電話端末に電話を着信させることができ、ユーザは更に確実に電話を受けることができる。尚、前記優先順位は、ユーザが社外に外出したり、社外から戻ってきたときなどに設定変更するなど、ユーザの居場所などに応じて変更すると良い。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る通話制御装置によれば、予め着信先となる電話番号を設定しておき、その電話番号の電話端末に電話を着信させることができるので、ユーザは、より確実に電話に応答することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る通話制御装置などの概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る通話制御装置などの概略構成を示したブロック図である。
【図3】本実施形態に係るユーザ情報記憶部に格納されるデータのデータ構成を示した説明図である。
【図4】本実施形態に係る発信履歴情報記憶部に格納されるデータのデータ構成を示した説明図である。
【図5】本実施形態に係る通話制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る通話制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る通話制御装置などの概略構成を示したブロック図である。
【0025】
図1に示すように、本例の通話制御装置1は、内線電話網11と公衆電話網12とを接続する交換機10に接続されており、内線電話網11には、複数の内線電話端末15が接続され、公衆電話網12には、複数の一般電話端末16や複数の携帯電話端末17,18が接続されている。尚、本例では、例えば、前記通話制御装置1,交換機10,内線電話端末15及び携帯電話端末17が第1ユーザ側に配置され、前記一般電話端末16及び携帯電話端末18が第2ユーザ側に配置されているものとする。また、前記複数の内線電話端末15は、そのいくつかのグループ毎に1つの外線電話番号を共用するようになっている。
【0026】
前記通話制御装置1は、交換機10に接続された回線交換部20と、内線電話網11及び公衆電話網12に接続された内線電話端末15,一般電話端末16及び携帯電話端末17,18の内、所定の電話端末15,16,17,18同士を回線交換部20を介し接続して両者間で通話可能な状態にする通話制御部30とを備えており、当該通話制御装置1には、少なくとも1台のユーザ端末装置50が接続されている。尚、前記所定の電話端末15,16,17,18同士を接続するとは、例えば、第1ユーザ側の内線電話端末15又は携帯電話端末17と第2ユーザ側の一般電話端末16又は携帯電話端末18とを接続することを言う。
【0027】
前記回線交換部20は、発呼信号の送信を制御する発呼制御部21と、着呼信号の受信を制御する着呼制御部22と、通話が終わったことを検出して、その旨を通知する信号(通話終了通知信号)を通話制御部30に送信するとともに、前記所定の電話端末15,16,17,18同士の接続を解除する終話検出部23とから構成されており、前記発呼制御部21は、前記交換機10を介して前記発呼信号を送信し、前記着呼制御部22は、前記交換機10を介して前記着呼信号を受信する。
【0028】
前記通話制御部30は、ユーザ情報記憶部31,ユーザ情報設定部32,発信履歴情報記憶部33,発信制御部34,履歴情報管理部35,発信番号認識部36,発信履歴情報確認部37,着信番号認識部38及び着信制御部39から構成される。
【0029】
前記ユーザ情報記憶部31には、ユーザ情報が第1ユーザ側のユーザ毎に格納される。このユーザ情報は、図3に示すように、ユーザ識別情報(ユーザID)と、ユーザが電話をかける際及び受ける際に利用する電話端末としてユーザに割り当てられた内線電話端末15及び携帯電話端末17の電話番号と、内線電話端末15又は携帯電話端末17にかかってきた電話をユーザが受けることができない場合に、その電話の転送先となる内線電話端末15の電話番号(例えば、ユーザが属する部門の代表電話番号)と、これらの電話番号に設定された、着信先としての優先順位とを含んで構成される。
【0030】
尚、図3では、電話番号1に、携帯電話端末17の電話番号が、電話番号2に、内線電話端末15の電話番号であってユーザ自身に割り当てられた内線電話端末15の電話番号(内線番号)が、電話番号3に、内線電話端末15の電話番号であってユーザが属する部門の代表電話番号(内線番号)が設定され、また、優先順位1に電話番号1が、優先順位2に電話番号2が、優先順位3に電話番号3が設定されており、優先順位1が最も優先順位が高い。
【0031】
前記ユーザ情報設定部32は、ユーザ情報記憶部31に格納されるユーザ情報を設定する処理部である。また、このユーザ情報設定部32は、ユーザ端末装置50から入力された入力信号に基づいて前記優先順位を変更可能に構成される。尚、この優先順位は、例えば、ユーザが社外に外出したり、社外から戻ってきたときなどに適宜設定変更される。
【0032】
前記発信履歴情報記憶部33には、発信履歴情報が格納される。この発信履歴情報は、図4に示すように、発信元となる内線電話端末15の電話番号(内線番号)又は携帯電話端末17の電話番号と、発信先となる一般電話端末16又は携帯電話端末18の電話番号と、内線電話端末15又は携帯電話端末17から一般電話端末16又は携帯電話端末18に電話発信が行われた発信日時とが関連付けられたものである。
【0033】
前記発信制御部34は、ユーザ端末装置50から入力された、発信元となる内線電話端末15又は携帯電話端末17の電話番号と、発信先となる一般電話端末16又は携帯電話端末18の電話番号とを含む発信要求信号を受信すると、当該発信要求信号を前記発呼制御部21に転送して、当該発呼制御部21により、発信元となる内線電話端末15又は携帯電話端末17と発信先となる一般電話端末16又は携帯電話端末18とに発呼信号を送信させる。
【0034】
前記履歴情報管理部35は、前記発呼制御部21及び発信制御部34により、内線電話端末15又は携帯電話端末17が発信側となる発呼信号が交換機10を介して送信された後、前記終話検出部23から前記通話終了通知信号を受信すると、発信制御部34から発呼制御部21に転送された発信要求信号などを基に、発信元となる内線電話端末15又は携帯電話端末17の電話番号と、発信先となる一般電話端末16又は携帯電話端末18の電話番号と、前記発信日時とが関連付けられた発信履歴情報を生成して前記発信履歴情報記憶部33に格納し、この発信履歴情報記憶部33に格納された発信履歴情報を更新する。
【0035】
前記発信番号認識部36は、内線電話端末15が着信側となる着呼信号が前記着呼制御部22によって受信され、当該着呼制御部22から転送された着呼信号を基にこれに含まれる発信電話番号を認識する。
【0036】
前記発信履歴情報確認部37は、前記発信番号認識部36によって認識された発信電話番号を基に、前記発信履歴情報記憶部33内に格納された発信履歴情報を参照して、この発信電話番号と関連付けられた電話番号があるか否かを確認し、ある場合には、その電話番号を認識する。尚、発信履歴情報確認部37は、前記発信電話番号と関連付けられた電話番号が複数ある場合には、発信日時が最も新しい発信履歴情報の電話番号のみを認識する。
【0037】
前記着信番号認識部38は、前記発信履歴情報確認部37によって認識された電話番号を基に、前記ユーザ情報記憶部31に格納されたユーザ情報を参照し、この電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17が割り当てられたユーザを特定して当該ユーザについて設定された複数の着信先電話番号及び優先順位を認識する。例えば、図3に示した例では、着信先電話番号として、電話番号1〜3にそれぞれ設定された電話番号と優先順位が認識される。
【0038】
前記着信制御部39は、前記着信番号認識部38によって認識された着信先電話番号及び優先順位を基に内線電話端末15又は携帯電話端末17に対して着信制御を行う。具体的には、着信制御部39は、前記着信番号認識部38によって認識された着信先電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17に、前記発呼制御部21を介して発呼信号を送信し、例えば、第2ユーザ側の一般電話端末16又は携帯電話端末18と第1ユーザ側の内線電話端末15又は携帯電話端末17とを接続して一般電話端末16又は携帯電話端末18と内線電話端末15又は携帯電話端末17との間で通話を確立させる。
【0039】
その際、着信制御部39は、最も優先順位の高い電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17に対し着信制御を行って通話を確立させるとともに、通話が確立しない場合には、順次、優先順位が1つ低い電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17に対し着信制御を行って通話を確立させる。
【0040】
また、この着信制御部39は、前記発信履歴情報確認部37によって、発信電話番号と関連付けられた電話番号がない、即ち、発信履歴がないと判断された場合には、発信履歴がない場合の着信先電話番号として予め設定された電話番号の内線電話端末15に対して着信制御を行う。
【0041】
以上のように構成された本例の通話制御装置1によれば、以下のようにして通話制御が実行される。尚、以下の図5及び図6において、破線で記した矢印は内線電話網11及び公衆電話網12を介して行う通信を示している。
【0042】
まず、最初に、第1ユーザ側の内線電話端末15又は携帯電話端末17から第2ユーザ側の一般電話端末16又は携帯電話端末18に電話をかける場合について説明する。
【0043】
図5に示すように、ユーザ端末装置50から、発信元となる内線電話端末15又は携帯電話端末17の電話番号と、発信先となる一般電話端末16又は携帯電話端末18の電話番号とを含む発信要求信号が入力されると、これが発信制御部34により受信されて発呼制御部21に転送される(ステップS1)。
【0044】
そして、発信要求信号が発呼制御部21によって受信される(ステップS2)と、当該発信要求信号に含まれる、発信元となる内線電話端末15又は携帯電話端末17の電話番号と、発信先となる一般電話端末16又は携帯電話端末18の電話番号とが認識されて、認識された電話番号に対応する、発信元の内線電話端末15又は携帯電話端末17と発信先の一般電話端末16又は携帯電話端末18とに発呼制御部21から発呼信号が送信される(ステップS3)。
【0045】
第1ユーザ及び第2ユーザが順次電話に出る(ステップS4,ステップS5)と、第1ユーザ側の内線電話端末15又は携帯電話端末17と、第2ユーザ側の一般電話端末16又は携帯電話端末18とが回線交換部20を介して接続され、第1ユーザは第2ユーザと通話可能になる。
【0046】
この後、通話が終わって、これが終話検出部23により検出される(ステップS6)と、第1ユーザ側の内線電話端末15又は携帯電話端末17と、第2ユーザ側の一般電話端末16又は携帯電話端末18との接続が解除され、前記通話終了通知信号が履歴情報管理部35に送信される(ステップS7)。
【0047】
そして、この通話終了通知信号が履歴情報管理部35によって受信される(ステップS8)と、発信制御部34から発呼制御部21に転送された発信要求信号などを基に、当該履歴情報管理部35により、発信元となる内線電話端末15又は携帯電話端末17の電話番号と、発信先となる一般電話端末16又は携帯電話端末18の電話番号と、発信日時とが発信履歴情報記憶部33に格納されて、この発信履歴情報記憶部33内の発信履歴情報が更新される(ステップS9)。
【0048】
次に、第2ユーザ側の一般電話端末16又は携帯電話端末18から第1ユーザ側の内線電話端末15に電話をかける場合について説明する。
【0049】
図6に示すように、まず、第2ユーザ側の一般電話端末16又は携帯電話端末18から発信先が第1ユーザ側の内線電話端末15となる発呼信号が送信される(ステップS21)。尚、この発呼信号の送信は、例えば、前記一般電話端末16又は携帯電話端末18の着信履歴などに基づいて第1ユーザ側の内線電話端末15に電話をかける(内線電話端末15に設定された外線電話番号に電話をかける)ことで行われたり、第2ユーザが内線電話端末15の外線電話番号を直接入力することで行われる。
【0050】
そして、この発呼信号に基づいた着呼信号が着呼制御部22によって受信され、この着呼制御部22から発信番号認識部36に転送される(ステップS22)と、転送された着呼信号が発信番号認識部36によって受信され(ステップS23)、この着呼信号に含まれる発信電話番号が認識される(ステップS24)。
【0051】
発信電話番号が認識されると、認識された発信電話番号を基に、発信履歴情報確認部37により発信履歴情報記憶部33内の発信履歴情報が参照されて、この発信電話番号と関連付けられた電話番号があるか否かが確認され、ある場合には、その電話番号が認識される(ステップS25)。このとき、発信電話番号と関連付けられた電話番号が複数あった場合には、発信日時が最も新しい発信履歴情報の電話番号が認識される。
【0052】
ついで、認識された電話番号を基に、着信番号認識部38によりユーザ情報記憶部31内のユーザ情報が参照されて、この電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17で電話をかけるユーザが電話を受ける際に利用する複数の内線電話端末15又は携帯電話端末17の電話番号(着信先電話番号)及び優先順位が認識される(ステップS26)。
【0053】
この後、認識された複数の着信先電話番号及び優先順位を基に、着信制御部39により、着信先となる1つの電話端末(内線電話端末15又は携帯電話端末17)が設定されて、設定された電話端末への発信要求信号が発呼制御部21に送信され(ステップS27)、この発信要求信号が発呼制御部21により受信される(ステップS28)と、前記設定された電話端末に発呼信号が送信される(ステップS29)。
【0054】
そして、第1ユーザが電話に出る(ステップS30)と、第2ユーザ側の一般電話端末16又は携帯電話端末18と、第1ユーザ側の内線電話端末15又は携帯電話端末17とが回線交換部20を介して接続され、第2ユーザは第1ユーザと通話可能になる。
【0055】
尚、着信先は、最も優先順位の高い電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17に設定されてその電話端末に発呼信号が送信されるが、第1ユーザが電話に一定時間応答しないなど通話が確立しないときには、順次、優先順位が低い電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17に発呼信号が送信されて通話が確立される。例えば、図3に示した例では、まず、電話番号1の携帯電話端末17に発呼信号が送信され、第1ユーザが応答しないときには、電話番号2の内線電話端末15に発呼信号が送信され、それでも、第1ユーザが応答しないときには、電話番号3の内線電話端末15に発呼信号が送信される。
【0056】
また、発信履歴情報確認部37によって、発信電話番号と関連付けられた電話番号が確認されなかったときには、発信履歴がない場合の着信先電話番号として予め設定された電話番号の内線電話端末15に発呼信号が送信される。
【0057】
このように、本例の通話制御装置1によれば、第1ユーザが第2ユーザに電話をした発信履歴がある場合、第2ユーザが第1ユーザに電話をかけると、その電話が予め設定された電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17に着信するので、第1ユーザが、例えば、社外に外出している場合や、社内にいても別の場所で作業をしている場合など、在席していない場合であっても、第2ユーザがかけた電話を第1ユーザ自身が直接受けることができ、第2ユーザは第1ユーザと通話することができる。
【0058】
したがって、第2ユーザが、第1ユーザと通話することができないために、第1ユーザからの電話を待ったり、再度、第1ユーザに電話をかけ直すといった手間を省くことができる。また、第1ユーザは第2ユーザからの電話に応答することができるので、第2ユーザからの電話に応答することができなかったために営業の機会を失うといった不都合が生じるのを防止することができる。また、第1ユーザにかかってきた電話を別の人が受けることもないので、当該別の人にとっては、他人にかかってきた電話に煩わされることもない。
【0059】
また、優先順位の高い電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17を着信先としているので、最も適切な電話番号の内線電話端末15又は携帯電話端末17に電話を着信させることができ、第1ユーザは更に確実に電話を受けることができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0061】
例えば、前記通話制御装置1に、クライアントとなる通話制御装置が接続されているような場合、前記履歴情報管理部35は、当該クライアントとなる通話制御装置での発信処理を監視して、当該通話制御装置における発信履歴情報を取得し、前記発信履歴情報記憶部33に格納するように構成されても良い。
【0062】
また、上例では、発呼制御部21が、ユーザ端末装置50から入力された発信要求信号を基に発呼信号を送信するように構成されていたが、内線電話端末15に直接入力された電話番号を基に発呼信号を送信するように構成されていても良い。
【符号の説明】
【0063】
1 通話制御装置
10 交換機
11 内線電話網
12 公衆電話網
15 内線電話端末
16 一般電話端末
17,18 携帯電話端末
20 回線交換部
30 通話制御部
31 ユーザ情報記憶部
33 発信履歴情報記憶部
34 発信制御部
35 履歴情報管理部
36 発信番号認識部
37 発信履歴情報確認部
38 着信番号認識部
39 着信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話網に接続された回線交換部と、前記電話網に接続された複数の電話端末の内、所定の電話端末同士を前記回線交換部を介し接続して両者間で通話可能な状態にする通話制御部とを備えた通話制御装置であって、
前記通話制御部は、
ユーザが電話をかける際及び受ける際に利用する電話端末の電話番号を含んだユーザ情報をユーザ毎に記憶するユーザ情報記憶手段と、
前記ユーザ側の電話端末であって発信元となる電話端末の電話番号と、発信先となる電話端末の電話番号とが関連付けられた発信履歴情報を記憶する発信履歴情報記憶手段と、
前記ユーザ側の電話端末が着信側となる着呼信号が前記回線交換部によって受信されると、受信された着呼信号を基に発信電話番号を認識する発信番号認識手段と、
前記発信番号認識手段によって認識された発信電話番号を基に前記発信履歴情報記憶手段内の発信履歴情報を参照して、この発信電話番号と関連付けられた電話番号を認識する発信履歴情報確認手段と、
前記発信履歴情報確認手段によって認識された電話番号を基に前記ユーザ情報記憶手段内のユーザ情報を参照して、この電話番号の電話端末で電話をかけるユーザが電話を受ける際に利用する電話端末の電話番号たる着信先電話番号を認識する着信番号認識手段と、
前記着信番号認識手段によって認識された着信先電話番号の電話端末に対して着信制御を行い、前記回線交換部を介して発信側の電話端末と前記ユーザ側の電話端末とを接続する着信制御手段とを備えてなることを特徴とする通話制御装置。
【請求項2】
前記通話制御部は、
前記ユーザ側の電話端末が発信側となる発呼信号が前記回線交換部から送信されると、発信元となる前記ユーザ側の電話端末の電話番号と発信先となる電話端末の電話番号とを関連付けて前記発信履歴情報として前記発信履歴情報記憶手段に格納する履歴情報管理手段とを備えてなることを特徴とする請求項1記載の通話制御装置。
【請求項3】
前記ユーザ情報は、前記ユーザが電話をかける際に利用する電話端末の電話番号と、前記ユーザが電話を受ける際に利用する複数の電話端末の電話番号たる着信先電話番号と、この複数の着信先電話番号に設定された、着信先としての優先順位とを含んで構成され、
前記着信番号認識手段は、前記発信履歴情報確認手段によって認識された電話番号を基に前記ユーザ情報記憶手段内のユーザ情報を参照して、前記複数の着信先電話番号及び優先順位を認識し、
前記着信制御手段は、前記着信制御を行うに当たり、前記着信番号認識手段によって認識された複数の着信先電話番号及び優先順位を基に、まず、最も優先順位の高い着信先電話番号の電話端末に対し着信制御を行って発信側の電話端末と前記ユーザ側の電話端末との間で通話を確立させるとともに、通話が確立しない場合には、順次、優先順位が1つ低い着信先電話番号の電話端末に対して着信制御を行い、発信側の電話端末と前記ユーザ側の電話端末との間で通話を確立させるように構成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の通話制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−263479(P2010−263479A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113666(P2009−113666)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(508249033)株式会社データコントロール (2)
【Fターム(参考)】