説明

通話単位での動的な通話特性制御

通話中に音量を動的に調整するための技術が提供される。第1の装置(104)と第2の装置(106)との間の通話を可能にするゲートウェイ(102)が提供される。通話は第1のネットワーク(110)および第2のネットワーク(108)を介してルーティングされ得る。第1のネットワークはPSTNネットワークであり、第2のネットワークはVOIPネットワークであり得る。通話についての通話特性を調整すべきという指示がゲートウェイにおいて受取られ得る。たとえば、指示は音量またはエコーを調整すべきであることを示してもよい。そしてゲートウェイは、指示に基づいて通話中に音量を調整し、またはエコーを排除し得る。調整は通話中に第1の装置および第2の装置において行われる。たとえば、ゲートウェイは、通話についてのゲインを動的に調整して、通話特性の変更をもたらし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
この発明は一般にテレコミュニケーションに関し、特に通話単位でのゲートウェイにおける通話特性の動的な調整に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイスオーバーインターネットプロトコル(voice over internet protocol;VOIP)解決策は、電話をかける多くのユーザによって使用されている。VOIPは、公衆電話回線網(PSTN)の代わりにまたはともに使用され得る、安価で順応性のある電話通信システムを提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
VOIPを使用しても、PSTN電話とVOIP電話との間で依然として通話を接続することができる。したがって、通話はPSTNネットワークおよびVOIPネットワークを経由する。これらの通話が発生すると、ネットワークの相違のために通話品質が悪い場合がある。たとえば、PSTN側および/またはVOIP側が不十分な音量レベルおよび/またはエコーを被る場合がある。
【0004】
悪い通話品質を最小化する目的でゲートウェイを較正する場合がある。たとえば、ゲートウェイを介してなされる通話についてゲインが較正され得る。この較正は、ゲートウェイを介してなされるすべての通話、またはエンドポイントからの通話についての大域的な調整である。
【0005】
電話の音量を調整するのに使用され得る、受話器に局所的な音量調整を有し得る電話もある。しかしながらこの解決策は、(たとえば他の当事者が知覚するような)通話についての悪い通話品質を改善するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の簡単な要約
この発明の実施例は一般に、通信中に特性を動的に調整することに関する。
【0007】
1つの実施例では、通話中に音量を動的に調整するまたはエコーを排除するための技術が提供される。第1の装置と第2の装置との間の通話を可能にするゲートウェイが提供される。通話は第1のネットワークおよび第2のネットワークを介してルーティングされ得る。第1のネットワークはPSTNネットワークであり、第2のネットワークはVOIPネットワークであり得る。通話についての通話特性を調整すべきという指示がゲートウェイにおいて受取られ得る。たとえば、その指示は音量またはエコーを調整すべきであることを示してもよい。そしてゲートウェイは、指示に基づいて通話中に音量を調整する、またはエコーを排除し得る。調整は通話中に第1の装置および第2の装置において行われる。たとえば、ゲートウェイは通話についてのゲインまたはインピーダンスを動的に調整して、通話特性の変更をもたらし得る。
【0008】
1つの実施例では、ゲートウェイを使用して通信についての特性を動的に調整するための方法が提供される。この方法は、ゲートウェイにおいて第1の装置と第2の装置との間の通信を可能にすることを含み、通信は第1のネットワークおよび第2のネットワークを介してルーティングされ、第1のネットワークは第2のネットワークとは異なり、この方
法はさらに、通信についての特性を調整すべきという指示をゲートウェイの調整器において受取ることと、その指示に基づいて通信中にゲートウェイにおいて特性を調整することとを含み、調整は通信中に第1の装置および第2の装置において行われる。
【0009】
他の実施例では、ゲートウェイを使用して通話中にゲインまたはインピーダンスを動的に調整するための方法が提供される。この方法は、ゲートウェイにおいて第1の装置と第2の装置との間の通話を可能にすることを含み、通話はPSTNネットワークおよびVOIPネットワークを介してルーティングされ、第1の装置はPSTN装置を含み、第2の装置はVOIP装置を含み、この方法はさらに、通話についての通話特性を調整すべきという指示をゲートウェイの調整器において受取ることと、その指示に基づいてゲートウェイにおいて通話についてのゲインまたはインピーダンスを調整することとを含み、調整は通話中に第1の装置および第2の装置において行われる。
【0010】
さらに他の実施例では、通信についての特性を動的に調整するためのシステムが与えられる。方法は、第1のネットワークを使用して通信するように構成された第1の装置と、第2のネットワークを使用して通信するように構成された第2の装置と、第1の装置と第2の装置との間の通信を可能にするように構成されたゲートウェイとを含み、通信は第1のネットワークおよび第2のネットワークを介してルーティングされ、第1のネットワークは第2のネットワークとは異なり、ゲートウェイは、通話についての通信の特性を調整すべきという指示を受取り、かつその指示に基づいて通信中に特性を調整するように構成された調整器を含み、調整は通信中に第1の装置および第2の装置において行われる。
【0011】
他の実施例では、ゲートウェイを使用して通信についての特性を動的に調整するための複数の指示を有する情報記憶媒体が提供される。当該ステップは、ゲートウェイにおいて第1の装置と第2の装置との間の通信を可能にすることを含み、通信は第1のネットワークおよび第2のネットワークを介してルーティングされ、第1のネットワークは第2のネットワークとは異なり、当該ステップはさらに、通信についての特性を調整すべきという指示をゲートウェイの調整器において受取ることと、その指示に基づいて通信中にゲートウェイにおいて特性を調整することとを含み、調整は通信中に第1の装置および第2の装置において行われる。
【0012】
本明細書に開示される本発明の性質および利点のいっそうの理解は、本明細書の残りの部分および添付の図面を参照することにより実現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
図1は、この発明の1つの実施例に係る通話特性の動的な調整を提供するためのシステム100を表わしている。示されるように、システム100はゲートウェイ102、PSTN装置104、VOIP装置106、VOIPネットワーク108、およびPSTN110を含む。
【0014】
ゲートウェイ102は通信する装置を接続するように構成されている。通信は装置間の如何なるデータの交換であってもよい。たとえば、通信はいずれかのネットワークからネットワークへの移行、いずれかの媒体交換、通話、データのダウンロード、ウェブ会議、またはいずれかの通信セッションなどであり得る。説明のために、通信を装置間の通話と呼ぶことにする。
【0015】
ネットワーク110は、相互に接続された音声同士の公衆電話網の集合体を含む公衆回線網(以後「PSTN110」と呼ぶ)であり得る。PSTN110はまた、基本電話サービス(POTS)網と呼ばれることもある。回線交換電話網を接続してPSTN110
が提供され得る。
【0016】
ネットワーク108は、いずれかのパケットベースの交換網を含むVOIPネットワーク(以後VOIPネットワーク108と呼ぶ)であり得る。VOIPネットワーク108は、インターネットプロトコル(IP)技術を用いて音声通信を配信する。一般的に、音声情報はデジタル形式でパケットを用いて送られる。これは、PSTN110で使用される従来の回線交換プロトコルを用いて送られるデータとは対照的である。VOIPネットワーク108は、H.323、セッションイニシエーションプロトコル(session initiation protocol;SIP)などのさまざまなプロトコルを使用し得る。
【0017】
通話はVOIPネットワーク108およびPSTN110を介してルーティングされるとして説明されるが、いずれのネットワークを介してルーティングされる通話についても通話特性を動的に調整することができる。1つの実施例では、異なるネットワーク間のいずれのネットワーク移行についても通話特性を調整することができる。たとえば、ネットワーク移行はSIPからVOIP、H323もしくはVOIP、またはSIPからPoC(プッシュトゥトーク)、インターネットからIMS(IPマルチメディアサブシステム)、または音声以外の媒体のいずれかの交換(たとえばビデオ、音楽、ウェブ会議など)であり得る。また、ネットワーク108およびネットワーク110は同一のネットワーク(たとえば同一のプロトコル)であり得るが、1つのネットワークから他のネットワークへの移行があり得る。
【0018】
PSTN装置104は、PSTN110を用いて通信するいずれかの装置を含む。たとえば、PSTN装置104は、電話をかけるのに使用されるエンドユーザの電話機であってもよい。また、PSTN装置104は、PSTNネットワーク内のいずれかのスイッチ、またはいずれかの他の装置などの、通話をルーティングするのに用いられるいずれかの他の装置であってもよい。
【0019】
VOIP装置106は、VOIPネットワーク108と通信可能ないずれかの装置を含む。たとえば、VOIP装置106は、コンピュータ、携帯電話、インスタントメッセンジャクライアント、VOIP電話、ソフトフォン、ボイスチャットクライアントなどの、通話を開始するのに用いられるエンドユーザ装置であってもよい。また、VOIP装置106は、サーバ、通話をルーティングしつつゲートウェイ102と通信するなどのVOIPエージェントなどの、エンドユーザ装置に対するエージェントであってもよい。1つの実施例では、VOIP装置106はエンドユーザ装置(たとえば電話機)用のSIPエージェントであり得る。
【0020】
通話はPSTN装置104とVOIP装置106との間で接続されるとして示されているが、ゲートウェイ102を用いていずれの装置間でも通話が接続され得ることが理解されるであろう。たとえば、PSTN装置104およびVOIP装置106は、通話をルーティングするネットワークと互換性のあるいずれの装置であってもよい。
【0021】
調整器112は、PSTN装置104とVOIP装置106との間の通話中に通話特性を動的に調整するように構成されている。通話はPSTN装置104とVOIP装置106との間のいずれの通信であってもよい。たとえば、通話は音声通話、データ通話、ストリーミング媒体通信、いずれかの情報のダウンロードなどであり得る。
【0022】
1つの実施例では、調整器112において指示が受取られる。指示はPSTN装置104、VOIP装置106、ゲートウェイ102内のモジュール、PSTN装置104およびVOIP装置106とは異なる遠隔エージェント、または他のいずれかの装置から受取られてもよい。指示を受取る異なったケースを以下に説明する。
【0023】
調整器112は指示を用いて通話中に特性を調整する。特性は、ゲイン、インピーダンス、音量、エコーなどの通話のいずれかの特性であり得る。この調整は通話について行われ、通話中にPSTN装置104およびVOIP装置106に影響を及ぼす。したがって、調整が通話ごとに動的に行われ得る。
【0024】
1つの実施例では、ゲートウェイ102についてのゲインなどの特性が、ゲートウェイ102を介して接続されているすべての通話について、またはエンドポイント(たとえば電話機、またはいずれかの端末装置)について較正される。これは、通話品質を最大化するはずの大域的な調整である。しかしながら、ある一定の要因により、大域的に調整されたゲインはすべての通話について満足のいくものではない場合がある。たとえば、通話に影響を及ぼす特性に寄与する要因は通話ごとに異なり得る。接続の種類(たとえば接続の速度)、インピーダンス不整合、PSTN装置またはVOIP装置の種類、距離などが通話の通話特性に影響を及ぼし得る。たとえば、ネットワーク間の移行が起こると通話が影響を受け得る。このため、特定的な通話について通話特性が悪い場合がある。したがって、この発明の実施例では通話がなされている間に動的な調整が提供される。これは、すべての通話について特性を大域的に調整する(すなわちゲートウェイを較正する)よりも有利である。また、ゲートウェイ102なしで装置104および106自身で調整を行なうことは典型的に不可能である。
【0025】
また、大域的な変更がなされた場合、悪い通話特性を被っている通話は、大域的な変更の影響を受けない場合がある。したがって、現在通話中のユーザは通話を切って新たな通話を開始しなければならなくなる。さらに、大域的な変更は、進行中のすべての通話について容認できるものではない場合がある。
【0026】
上述のように、通話ごとに導入される要因は、悪い通話特性をもたらし得る。たとえば、通話は、ゲートウェイ102の一方側または両側において、不十分な音量またはエコーをもたらし得る。PSTN110またはVOIPネットワーク108によって通話に導入される待ち時間が通話特性に影響を及ぼす場合もある。待ち時間は、ネットワークによって導入される遅延であり得る。たとえば、待ち時間の原因は、パケットの待ち時間またはVOIPネットワーク側の帯域幅の窪みであり得る。これらの待ち時間によって音量が不十分になり得る。
【0027】
また、PSTN110とVOIPネットワーク108との間のインピーダンス不整合が悪い通話特性をもたらすこともある。たとえば、インピーダンス不整合はエコー(すなわち言葉が反響すること)をもたらし得る。
【0028】
1つの実施例では、ゲートウェイ102においてゲインを調整して、通話がなされている間に通話特性を調整してもよい。ゲインは、アナログ増幅器が信号の強度を増大させる程度である、増幅要素であり得る。通話の信号のゲインを増加させることにより、音量を調整することができる。また、ゲートウェイインピーダンスを調整することにより、ゲートウェイ102の両側(たとえばVOIP側およびPSTN側)のインピーダンス不整合を排除し、それによって通話内のエコーを除去することができる。
【0029】
上記の問題に対処するために、この発明の実施例では調整器112が通話ごとに通話特性を調整可能である。したがって、通話中に、その通話についての通話特性を動的に調整することができる。
【0030】
以下の図面は、通話特性を動的に調整するためのシステムのさまざまな実施例を図示している。これらの実施例を説明するが、他のシステムおよび方法も使用され得ることが認
識されるであろう。
【0031】
図2は、この発明の実施例に係るシステム100の第1の実施例を示す。PSTN装置104とVOIP装置106との間で通話が接続される。通話中、PSTN装置104および/またはVOIP装置106は通話特性が悪いと判断し得る。たとえば、音量が低すぎるもしくは高すぎる、またはエコーが発生している場合がある。
【0032】
VOIP装置106には、ある一定の通話特性を変更するために調整器112に指示を送ることができるコントローラが設けられている。たとえば、指示を送って通話の音量を上げるまたは下げることができる。また、指示はエコーが発生していることを示してもよい。
【0033】
指示は、ウェブサービス通話、独自の通話、または調整器112と通信するいずれかの他の方法を用いてVOIP装置106によって送られ得る。たとえば、独自の通話またはウェブサービス通話は、VOIP装置106がどこに指示を送るべきかを知っており、ネットワーク108がどのように調整器112に指示を送るべきかを知っているように構成され得る。また、送られるメッセージは、SIMPLEメッセージ、MSRPメッセージまたはSIP NOTIFYイベントを介するなどの、セッションイニシエーションプロトコルメッセージであってもよい。SIPメッセージはゲートウェイ102のアドレスに送られ得る。ゲートウェイ102に指示を通信する他の方法もまた認められ得る。
【0034】
1つの実施例では、VOIP装置106は、調整器112に指示を送るのに用いられるユーザインターフェイスを含み得る。ユーザインターフェイスは、ユーザが音量を上げる/下げる、エコーを減少させるなどの通話特性の変更をできるようにする特徴を含み得る。
【0035】
1つの実施例では、通話特性が悪いとユーザが判断した場合、指示を送ることができる。たとえば、PSTN装置104のユーザが通話特性の変更を望む場合、ユーザはVOIP装置106のユーザに通話特性を変更する必要があると伝えてもよい。PSTN装置104のユーザは、音量を上げるもしくは下げることを要求してもよいし、またはエコーが聞こえていると言ってもよい。また、ユーザ間のやり取りは他のチャネルにおけるデータの交換を介して行われてもよい。たとえば、ユーザは音量が低すぎるというインスタントメッセージを他方のユーザに送ってもよい。通知はまた、他方側における問題点を検出してそれをゲートウェイ102または他の装置もしくはユーザに通信するシステムを介して、以下に説明するように自動化され得る。VOIP装置106のユーザはインターフェイスを用いて、通話特性を変更するための指示をVOIP装置106に送らせてもよい。
【0036】
調整器112は、指示が受取られると通話特性を調整するように構成されている。指示は、通話特性がどれくらい変更されるべきかを示してもよい。たとえば、指示は、音量をある一定量上げるまたは下げるべきであることなどを示してもよい。また、指示は、ある一定量のエコーが聞こえていることを示してもよい。
【0037】
そして調整器112は、通話中に通話特性を調整するように構成されている。そして一旦通話特性が変更されると、PSTN装置104およびVOIP装置106についての通話において変更が行われる。1つの実施例では、通話についてのゲインが調整され得る。ゲインを調整することにより、音量を上げるまたは下げることができる。上記の処理は、通話特性が満足のいくものになるまで繰返し実行され得る。
【0038】
エコーが排除されている場合、エコーが調整される際にPSTN装置102によってフィードバックが提供され得る。VOIP装置106は、調整器112に指示を送ってゲー
トウェイ102のゲインおよび/またはインピーダンスを調整してエコーを排除してもよい。フィードバックは、検出中のエコーが悪化しているかまたは改善しているかを判断し続けてもよい。1つの実施例では、PSTN装置104とVOIP装置106との間のインピーダンスを変更して両装置のインピーダンス間の相違を除去してもよい。インピーダンスを変更して相違を除去することにより、エコーが除去され得る。インピーダンスの変更は、特定の通話についてのゲインを変更する1つの方法である。エコーを除去するまたは相殺する他の方法(たとえば人工的な遅延を導入するなど)も提供され得ることが認識されるであろう。
【0039】
図3は、この発明の実施例に係るシステム100の第2の実施例を示す。示されるように、ゲートウェイ102内のモジュール302は、PSTN装置104とVOIP装置106との間の通話の通話特性を検出するように構成されている。たとえば、モジュール302は通話の音量を調べることができ得る。1つの実施例では、モジュール302は通話で発生されているゲインを自動的に測定する。たとえば、デジタルまたはアナログPSTN信号によって発生されるゲインが測定され得る。他の実施例では、モジュール302は、通話を聞いて音量を調整する必要があるかどうかを判断してもよい。また、モジュール302はエコーが発生していないか聞いてもよい。
【0040】
通話特性を変更する必要がある場合、モジュール302は調整器112に指示を送る。たとえば、モジュール302は、ゲインが低すぎるまたは高すぎることを示す指示を送ってもよい(いずれのチャネルを用いて指示を送ってもよい)。そして調整器112は通話についてのゲインを調整し、それによって音量を調整するまたはエコーを相殺することができる。
【0041】
図4は、この発明の実施例に係るシステム100の第3の実施例を図示している。示されるように、PSTN装置104を用いて通話特性が調整され得る。たとえば、PSTN装置104は別個のチャネルを用いて、通話特性を変更するための指示を調整器112に通信してもよい。
【0042】
PSTN装置104は、ゲートウェイ102を認識し、セッション情報を用いて通話特性の変更を要求してもよい。たとえば、PSTN装置104はまた、インターネット接続などのデータチャネルを含み得る。PSTN電話は通話中で、その後調整器112へのデータチャネルを開いてもよい。これは、ウェブサービスを介してポスティングすることによって、またはウェブページによって達成され得る。たとえば、通話は、VOIP装置106用のVOIP電話番号、VOIP装置106用のIPアドレス、またはいずれかの他の識別情報を用いて識別され得る。1つの例では、PSTN装置104によって使用される電話番号に対するすべての着信通話がウェブページ上に列挙され得る。ユーザは着信通話に対応する通話を選択し、ゲートウェイ102に指示を送ることを選択し得る。そして調整器112に指示が送られる。
【0043】
ウェブページは、PSTN装置104について現在有効なすべての通話について音量を調整する、またはエコーを相殺する能力を含み得る。そして調整器112に指示が送られる。そして調整器112は通話についての通話特性を変更することができる。
【0044】
図5は、この発明の実施例に係るシステム100の第4の実施例を図示している。エージェント502は、PSTN装置104とVOIP装置106との間の通話の通話特性を調べることができる。そしてエージェント502は、通話特性を変更するのに用いられる指示を調整器112に送る。
【0045】
エージェント502は、PSTN110に追加されるプローブであってもよい。プロー
ブは、(たとえばカンフェレンスブリッジを用いることによって)通話内で多者通話する追加の電話機であってもよい。たとえば、PSTN装置104を用いて通話がなされる場合、エージェント502は通話内で多者通話する。プローブは通話特性を調べて、それらが十分であるかどうか判断する。たとえば、通話のゲインを調べることによって音量またはエコーを調べてもよい。
【0046】
エージェント502はその後、調整器112に指示を送る。指示はゲートウェイ102に送られてもよい。たとえば、エージェント502はデータチャネルを介して調整器112と通信するように構成されている。そして調整器112は、ゲインを調整するなどによって通話特性を調整し得る。
【0047】
一旦エージェント502が通話特性を調べて調整器112に指示を送ると、エージェント502は通話から抜けてもよい。また、エージェント502が通話特性を変更する必要がないと判断した場合、エージェント502はいずれの動作も実行せずに単に通話から抜けてもよい。
【0048】
したがって、実施例では通話単位での通話特性の動的な調整が提供される。変更可能な通話特性は、VOIP装置106および/またはPSTN装置102を用いるだけでは変更不可能な特性である。たとえば、通話についての音量を調整するまたはエコーを相殺するために、ゲートウェイ102によってゲインが変更される。通話のゲインは、ゲートウェイ102を用いずにはVOIP装置106および/またはPSTN102によって変更不可能である。したがって、ゲートウェイ102を用いて通話中に通話特性を動的に調整する。これにより、すべての通話にわたる大域的な調整ではなく、通話についての特定的なチューニングが提供される。
【0049】
したがって、品質および顧客満足が提供される。ユーザは、通話品質が悪いと気付いた際に自分たち自身で通話を調整することができる。通話を接続するさまざまなネットワークの相違のために、通話品質が悪くなる可能性がある。したがって、ゲートウェイ102の一方側において不十分な音量または重大なエコーが発生した場合、上述の技術を用いて通話中にそれを調整することができる。したがって、ユーザは電話を切って再び通話を試みなくてもよい。調整は自動的に、またはユーザフィードバックに基づいて提供され得る。
【0050】
図6は、この発明の実施例に係る処理を実行するのに使用され得るデータ処理システム600の簡略化されたブロック図である。図6に示されるように、データ処理システム600は、バスサブシステム604を介して多数の周辺装置と通信する少なくとも1つのプロセッサ602を含む。これらの周辺装置は、メモリサブシステム608およびファイル記憶サブシステム610を備える記憶サブシステム606と、ユーザインターフェイス入力装置612と、ユーザインターフェイス出力装置614と、ネットワークインターフェイスサブシステム616とを含み得る。入力および出力装置により、データ処理システム602とのユーザインタラクションが可能となる。
【0051】
ネットワークインターフェイスサブシステム616は、他のコンピュータシステム、ネットワーク、および記憶リソースとのインターフェイスを提供する。ネットワークはインターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ネットワーク、イントラネット、専用網、公衆網、交換網、またはいずれかの他の好適な通信ネットワークを含み得る。ネットワークインターフェイスサブシステム616は、他のソースからデータを受けるための、およびデータ処理システム600から他のソースにデータを送信するためのインターフェイスとして機能する。ネットワークインターフェイスサブシステム616の実施例は、イーサネット(登録商標)カード、モデム
(電話機、人工衛星、ケーブル、ISDNなど)、(非同期の)デジタル加入者線(DSL)ユニットなどを含む。
【0052】
ユーザインターフェイス入力装置612は、キーボードと、マウス、トラックボール、タッチパッド、またはグラフィックスタブレットなどのポインティングデバイスと、スキャナと、バーコードスキャナと、ディスプレイに組込まれたタッチスクリーンと、音声認識システム、マイクなどの音声入力装置と、他の種類の入力装置とを含み得る。一般的に、「入力装置」という用語の使用は、データ処理システム600に情報を入力するためのすべての可能な種類の装置および方法を含むことを意図している。
【0053】
ユーザインターフェイス出力装置614は、ディスプレイサブシステム、プリンタ、ファックス機、または音声出力装置などの非視覚的なディスプレイを含み得る。ディスプレイサブシステムは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などのフラットパネル装置、または投射装置であり得る。一般的に、「出力装置」という用語の使用は、データ処理システム600から情報を出力するためのすべての可能な種類の装置および方法を含むことを意図している。
【0054】
記憶サブシステム606は、この発明の機能性を提供する基本的なプログラミングおよびデータ構造体を記憶するように構成され得る。たとえば、この発明の実施例によると、この発明の機能性を実現するソフトウェアモジュールが記憶サブシステム606に記憶され得る。これらのソフトウェアモジュールはプロセッサ602によって実行され得る。記憶サブシステム606はまた、この発明に従って用いられるデータを記憶するためのリポジトリを提供し得る。記憶サブシステム606はメモリサブシステム608およびファイル/ディスク記憶サブシステム610を備え得る。
【0055】
メモリサブシステム608は、プログラム実行中に命令およびデータを記憶するためのメインランダムアクセスメモリ(RAM)618と、固定命令が記憶される読出専用メモリ(ROM)620とを含む多数のメモリを含み得る。ファイル記憶サブシステム610は、プログラムおよびデータファイルの持続的な(不揮発性の)記憶を提供し、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブおよび関連した取外し可能な媒体、コンパクトディスク読出専用メモリ(CD−ROM)ドライブ、光学ドライブ、取外し可能な媒体カートリッジ、ならびに他の同様の記憶媒体を含み得る。
【0056】
バスサブシステム604は、データ処理システム602のさまざまな構成要素およびサブシステムを意図されたように互いに通信させるための機構を提供する。バスサブシステム604は概略的に単一のバスとして示されているが、バスサブシステムの代替的な実施例では複数のバスを利用してもよい。
【0057】
データ処理システム600は、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、メインフレーム、キオスク、またはいずれかの他のデータ処理システムを含む異なる種類のものであり得る。コンピュータおよびネットワークの性質は常に変化し続けているため、図6に図示されるデータ処理システム600の説明は、コンピュータシステムの好ましい実施例を説明するための特定的な例として意図しているに過ぎない。図6に図示されるシステムよりも多いまたは少ない構成要素を有する多くの他の構成が可能である。
【0058】
この発明はソフトウェアもしくはハードウェア、または両者の組合せにおける制御論理の形式で実現可能である。制御論理は、情報処理装置に対し、この発明の実施例に開示される一連の工程を実行するように命じるよう適合された複数の命令として情報記憶媒体に記憶され得る。本明細書中で与えられる開示内容および教示内容に基づいて、当業者であ
ればこの発明を実現するための他のやり方および/または方法を認めるであろう。
【0059】
上記の説明は説明的なものであり限定的なものではない。開示内容を検討すると、本発明の多くの変形例が当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は上記の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに係属中の特許請求の範囲およびその完全な範囲または均等物を参照して決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の1つの実施例に係る通話特性の動的な調整を提供するためのシステムを示す図である。
【図2】この発明の実施例に係るシステムの第1の実施例を示す図である。
【図3】この発明の実施例に係るシステムの第2の実施例を示す図である。
【図4】この発明の実施例に係るシステムの第3の実施例を示す図である。
【図5】この発明の実施例に係るシステムの第4の実施例を示す図である。
【図6】この発明の実施例に係る処理を実行するのに使用され得るデータ処理システムの簡略化されたブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートウェイを使用して通信についての特性を動的に調整するための方法であって、
前記ゲートウェイにおいて第1の装置と第2の装置との間の通信を可能にすることを備え、前記通信は第1のネットワークおよび第2のネットワークを介してルーティングされ、前記第1のネットワークは前記第2のネットワークとは異なり、前記方法はさらに、
前記通信についての特性を調整すべきという指示を前記ゲートウェイの調整器において受取ることと、
前記指示に基づいて前記通信中に前記ゲートウェイにおいて前記特性を調整することとを備え、前記調整は前記通信中に前記第1の装置および前記第2の装置において行われる、方法。
【請求項2】
前記特性は音量特性またはエコー特性を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特性は、前記通信についてのゲインまたはインピーダンスを調整することによって調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のネットワークはPSTNネットワークを含み、前記第2のネットワークはVOIPネットワークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記指示は、前記第1の装置、第2の装置、前記ゲートウェイから遠隔の第3の装置、または前記ゲートウェイ内のモジュールから受取られる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の装置は通話に結合され、前記通話の音量を調べるように構成されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ゲートウェイ内の前記モジュールは、前記通信の音量を検出し、前記調整器に前記指示を送るように構成されている、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記指示は、前記通信のために使用されているチャネルとは別個のデータチャネル上で前記第1の装置から受取られる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記調整は通信単位で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ゲートウェイを使用して通話中にゲインまたはインピーダンスを動的に調整するための方法であって、
ゲートウェイにおいて第1の装置と第2の装置との間の前記通話を可能にすることを備え、前記通話はPSTNネットワークおよびVOIPネットワークを介してルーティングされ、前記第1の装置はPSTN装置を含み、前記第2の装置はVOIP装置を含み、前記方法はさらに、
前記通話についての通話特性を調整すべきという指示を前記ゲートウェイの調整器において受取ることと、
前記指示に基づいて前記ゲートウェイにおいて前記通話についてのゲインまたはインピーダンスを調整することとを備え、前記調整は前記通話中に前記第1の装置および前記第2の装置において行われる、方法。
【請求項11】
前記指示は、前記第1の装置、第2の装置、前記ゲートウェイから遠隔の第3の装置、または前記ゲートウェイ内のモジュールから受取られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第3の装置は前記通話に結合され、前記通話の音量を調べるように構成されている
、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲートウェイ内の前記モジュールは、前記通話の音量を検出し、前記調整器に前記指示を送るように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記指示は、前記通話のために使用されているチャネルとは別個のデータチャネル上で前記第1の装置から受取られる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記指示は、前記VOIPネットワークを介して前記第2の装置から受取られる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ゲインまたはインピーダンスを調整することは、前記通話についての音量レベルを調整することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ゲインまたはインピーダンスを調整することは、前記通話についてのエコーを排除することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記調整は通話単位で行なわれる、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
通信についての特性を動的に調整するためのシステムであって、方法は
第1のネットワークを使用して通信するように構成された第1の装置と、
第2のネットワークを使用して通信するように構成された第2の装置と、
前記第1の装置と前記第2の装置との間の通信を可能にするように構成されたゲートウェイとを備え、前記通信は第1のネットワークおよび前記第2のネットワークを介してルーティングされ、前記第1のネットワークは前記第2のネットワークとは異なり、前記ゲートウェイは、
通話についての前記通信の特性を調整すべきという指示を受取り、かつ前記指示に基づいて前記通信中に前記特性を調整するように構成された調整器を備え、前記調整は前記通信中に前記第1の装置および前記第2の装置において行われる、システム。
【請求項20】
前記特性は音量特性またはエコー特性を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記特性は、前記通話についてのゲインまたはインピーダンスを調整することによって調整される、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1のネットワークはPSTNネットワークを含み、前記第2のネットワークはVOIPネットワークを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
情報記憶媒体であって、ゲートウェイを使用して通信についての特性を動的に調整するための複数の指示を有しており、当該ステップは、
前記ゲートウェイにおいて第1の装置と第2の装置との間の通信を可能にすることを含み、前記通信は第1のネットワークおよび第2のネットワークを介してルーティングされ、前記第1のネットワークは前記第2のネットワークとは異なり、当該ステップはさらに、
前記通信についての特性を調整すべきという指示を前記ゲートウェイの調整器において受取ることと、
前記指示に基づいて前記通信中に前記ゲートウェイにおいて前記特性を調整することとを含み、前記調整は前記通信中に前記第1の装置および前記第2の装置において行われる、情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−514339(P2009−514339A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537681(P2008−537681)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/008219
【国際公開番号】WO2007/053174
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(502303739)オラクル・インターナショナル・コーポレイション (97)
【Fターム(参考)】