説明

速度制限システム

車両速度制限装置は、機械的に作動可能なスロットル部材3と、エンジン10と、車両速度制御装置7と、スロットル信号ユニット5とを備えている。スロットル信号ユニット5は、エンジン速度制御装置とデータ通信を行い、スロットル部材3と動作可能に連結され、スロットル部材の動作に応答して電子スロットル信号を生成し、スロットル信号をエンジン速度制御装置へ送信し、エンジン速度を制御する。速度制限装置は、車両速度センサ15と、第1の制限速度を示すデータアイテム用のデータ記憶装置17を含む制限速度データレジスタと、速度センサ出力を制限速度レジスタ内に記憶されている制限速度データアイテムと比較するコンパレータと、スロットル信号を修正するスロットル信号修正ユニットとを備えている。スロットル信号修正ユニットは、スロットル信号ユニットの出力に作用し、車両を設定制限速度に制限する送信スロットル信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などのための速度制限システム(speed limiter system)に関するものである。本発明は、特に、アクセルペダル(accelerator pedal)などの機械式アクチュエータを有する電気機械式スロットルアクチュエータ(electromechanical throttle actuator)が適切な信号生成手段に連結され、直接の機械的な連結ではなく電子的な連結によりエンジンの動作速度に関連づけられ、かつエンジンの動作速度を制御する自動車において用いられるように構成されている速度制限システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車は、公私の交通手段および物品の運送手段として幅広く使用されている。車両の所有者または運転手は、種々の理由により、たとえば経済面あるいは安全面の理由により、または別の何らかの目的により、あるいは法制度や規制を遵守するために、車両の速度を所定の最高速度に制限することを意図するということはよく知られている。
【0003】
通常、車両の速度の制御および変更は、エンジンの回転速度を変更するように操作することにより駆動システムに速度が伝達される、運転手が操作するシステムの操作により行う。こうしたシステムは一般にスロットルシステムと呼ばれる。最も一般的には、速度制御またはスロットルシステムは、運転手が押下することができる足操作式の加速器またはアクセルペダルによって作動され、この押下の程度はエンジン速度を制御するように設定されている。ハンドルのような手動加速装置も知られている。
【0004】
従来の機械駆動式の速度制御またはスロットルシステムでは、アクセルペダル、ハンドルなどを燃料/空気伝達システム内のスロットル弁に機械結合させることで、アクセルペダルやハンドルなどの押下または他の動作により弁を開口させ、燃料/空気供給を増加させて、結果的にエンジン速度ひいては車両速度を増加させていた。これは、弁のスロットル動作により、エンジン速度制御システム全体を大きく指すようになった。こうした機械スロットルシステムでは、例えば弁の開放限度を制限する2次手段を提供したり、スロットルペダルまたはハンドルを所望の速度等で弁から係合解除したりするといった多くの機械駆動方法により速度を制限することができる。特に、速度制御システムを、システムへの燃料または燃料/空気の流れを、例えば燃料供給ライン内に取り付けた適切に配置された弁手段によって制限するように取り付けることが可能であった。
【0005】
新型の車両では、機械的加速アクチュエータとスロットル弁や他の制御機構との間の直接機械リンクが存在しない、いわゆる「ドライブ・バイ・ワイヤ」エンジン速度制御システムを操作するものが増加している。そのかわりに、典型的に電気機械的な加速アクチュエータユニットを組み込んだ間接的な電子または電気機械システムが使用される。この電子機械システムはセットアップされて、加速器/アクセルペダルまたはハンドルのような機械作動されたスロットルアクチュエータが押下されたり、その他の通常の方法で動作されたりすると、エンジン管理システムが燃料および/または空気吸入口その他を制御するなどの任意の適切な方法を介してエンジン速度を制御するように処理することができる電気信号が生成される。本明細書で用いている「スロットル」とは、エンジン速度を制御する作動システムを指すように最も幅広い意味で使用されるものであり、エンジンが典型的なスロットルキャブレタ吸気口を有するシステムだけを示唆するものではなく、特にエンジンの燃料および/または空気の入口を任意の方法で制御することによってエンジン速度を制御するあらゆる作動システムを網羅することを意図する。
【0006】
電子システムでは、スロットルアクチュエータが生成した信号は、作動の程度との何らかの機能的な関係によっても、さらに例えば、アクチュエータペダルやハンドルが押下またはその他の方法で操作される程度との機能的関係によっても変化する。完全に機械的なシステムでそうであるように、このシステムは、より大きな作動の程度、例えばアクセルペダルのより深い押下によって、エンジン管理システムが、より速いエンジン速度の指示として解釈される傾向にあるより大きな信号を生成できるように構成される。しかし、アクセルペダル、ハンドル、または他のスロットル手段と、スロットル弁、燃料注入システム、またはこれ以外のエンジン速度を制御する制御手段との間には直接の機械作動リンクはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した理由により、車両速度を所定の上限値(最大値)に制限する必要があると認められる場合には、依然として多くの状況が生じる可能性がある。しかし、スロットルシステム内に直接的な機械リンクは無く、また、こうした直接的な機械スロットルシステム用に開発されたタイプの純粋に機械的制限を行う装置はもはや必ずしも適切ではない。
【0008】
多くのドライブ・バイ・ワイヤ車両は、電気機械スロットル手段から入力信号を受信し、この信号を使用してエンジン速度を制御する機能をその機能のうちの単なる1つとして設けた複雑な電子エンジン管理システムを実装している。このようなエンジン管理システムは、クルーズ制御機能およびクルーズ制御速度の設定に関連したより複雑な能力を含んでいることがある。そのため、こうしたエンジン管理システムを、最大速度に設定するように使用したり変更したりすることができる一方で、単純な所定の上限速度のみを要する、不必要に複雑で高価な代替品となる可能性がある。単純な制御速度が望ましい場合には、複雑なエンジン管理コンピュータを必要としないオプションが望ましい。
【0009】
特に、この装置が、エンジンに送られる燃料や、燃料/空気の流れを制御するように作動するタイプのものである場合には、車両の単純な2次制限装置の装備品に伴った問題が生じる可能性がある。多くの従来の複雑なエンジン管理システムは、こうした燃料の流れの予期しない変化を故障として取り扱い、エンジンを停止したり、何らかの安全な動作モードに戻したりすることが多い。別のシステムは、予期しない燃料の流れの変化が生じた場合に、長期間にかけて損傷を受ける危険のある方法で動作を継続する。したがって、燃料供給を規制または中断する2次システムの装備品は車両エンジン管理システムと適合しない可能性がある。
【0010】
ロードおよびオフロード双方の使用向けのトラックやワゴンのような、複数の地形状態(例えば採石場/採鉱所/工事現場)を扱い得る大型車両について特に遭遇する第2の考えは、でこぼこした地形に合ったより低い制限速度を設けることが望ましいというものである。ここでも、車両速度制限システムが、直接の機械的リンクを設けていないスロットルシステムによって、両方の速度での制限を実行する単純な機構を提供することが望ましい。ここでも、単純な制限速度が望ましいため、やはりエンジン管理コンピュータの複雑な改造が不要なオプションが望ましい。
【0011】
本発明の目的は、上述した欠点のいくつかあるいは全てを緩和し、特に、特定のエンジン管理システムへの複雑な改造や装備を必要としない「ドライブ・バイ・ワイヤ」エンジン速度制御やスロットルシステムを装備している車両に適合させた車両速度制限システムを提供することである。
【0012】
本発明の特定の目的は、複雑なエンジン管理システムをさらに改造したり装備したりする必要なく、「ドライブ・バイ・ワイヤ」スロットルシステムを用いて既存車両に対して販売後改造または設計変更を施すことを可能にする車両速度制限システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の最も幅広い態様によれば、車両速度制限装置が提供され、車両スロットルシステムと共に使用するのに適するこの車両速度制限装置においては、車両スロットルシステムは、機械的に操作可能なスロットル部材と、エンジン速度制御装置と、スロットル信号ユニットとを備えている。スロットル信号ユニットは、エンジン速度制御装置とデータ通信を行い、スロットル部材と動作可能に(operably)連結されることで、スロットル部材の操作度合い(degree of actuation)に機能的に応答又は反応して電子スロットル信号を生成し、かつスロットル信号をエンジン速度制御装置へ送信し、これによりエンジン速度の制御を行う。
【0014】
したがってこのシステムは、電気機械スロットルユニットが信号をエンジン速度制御装置へ電気的に送信することで、例えばエンジンへの燃料および/または空気入力を制御する、また例えば燃料注入速度を制御するなどの任意の適切な方法でエンジン速度の制御を行う「ドライブ・バイ・ワイヤ(drive-by wire)」スロットルシステムである。
【0015】
車両速度制限装置は、車両速度を示す信号を取得する車両速度センサと、少なくとも第1の予め設定された所定の制限速度を示すデータアイテム用のデータ記憶装置を含む制限速度データレジスタと、速度センサの出力信号を制限速度レジスタ内に記憶されている制限速度データアイテムと比較するコンパレータと、上記のように車両スロットルシステムと共に装備した場合に、使用中のスロットル信号ユニットの出力信号に作用を及ぼして、生成されたスロットル信号を必要に応じて修正又は変更し、これにより、車両を設定された制限速度に制限するために、送信スロットル信号を生成するスロットル信号修正ユニットとを備えることを特徴とする。
【0016】
そのため、適切な車両スロットルシステムに取り付けた本発明による車両速度制限システムでは、機械的に作動し、修正又は変更された程度に従来の方法で動作でき、かつ例えば、車両のアクセルペダルまたは他の加速器制御手段を備えたスロットル部材が提供される。このスロットル部材をスロットル信号ユニットにつなぐことで、スロットル部材が作動される程度および例えばアクセルペダルが押下される程度の機能的関係にて信号を生成する電気機械結合システムを提供する。
【0017】
本発明によれば、速度制限システムがこの生成された信号に直接機能して、生成された信号を、最終的にエンジン速度制御部にまで送信されたこの信号が制限速度に適したスロットル動作に対応する信号を擬態する(mimic)まで修正又は変更する。
【0018】
このように動作させることで、速度制限装置を単純なユニットとして維持することができる。このユニットは、下流にあるいかなるエンジン管理システムよりも先に、電気機械的に生成されたスロットル信号を修正又は変更するように直接動作する。このユニットは、こうした複雑なエンジン管理システムとは関係なく独立して、これを必要とせず、そしてこれが装備されていても改造する必要なく動作する。このユニットは既存のエンジン制御システム内に簡単に組み込むことができ、販売後の装備品として既存のドライブ・バイ・ワイヤシステムに組み込むことができる。
【0019】
本発明の第1の態様による車両速度制限システムは、あるいは車両に設けられているかもしれないいかなるエンジン速度制御装置またはエンジン管理システムとも相互作用しないため、この万能用途に特に適していることを強調するのは重要である。このユニットの、こうした速度制御装置や管理システムよりも上流(データ通信の意味における上流)、および、スロットル信号ユニットの直接下流(データ通信の意味における下流)の位置には、スロットル信号修正ユニット(throttle signal modifier unit)が取り付けられている。スロットル信号修正ユニットはスロットル信号に直接作用する。スロットル信号ユニットが、車両が制限速度(limit speed)を超え得る速度でエンジンを動作させるような方法でエンジン速度制御装置が解釈する信号を生成する場合、スロットル信号修正ユニットがこの信号に作用して、最終的にエンジン速度制御装置へ送信された信号を修正又は変更する(modify)ことで、スロットル部材の位置に対応する信号を擬態させて(mimic)、車両が制限速度(上限速度)に維持されるようにし、あるいは制限速度に戻るようにする。
【0020】
エンジン速度制御装置またはエンジン管理システムの観点からすると、それが最終的に受信する信号のこの修正又は変更は不可視である。エンジン速度制御装置に関する限り、これはあたかも、スロットルアクチュエータ部材が車両を制限速度に維持するためだけの、または、車両を制限速度に向かわせようとするだけの作動位置を有するようにしか見えない。この信号は、単純にスロットルアクチュエータ部材を制限位置に保持することによって生成される信号と同一であるため、エンジン速度制御装置はこれも同じケースであるかのように応答又は反応し、そのとおりに動作する。エンジン速度制御装置とスロットル信号修正ユニットとの間にはこれ以上の相互作用は特にないため、エンジン速度制御装置が特定の修正又は変更を必要とすることはない。
【0021】
特に、2次燃料流抑制弁などの装備を必要とする伝統的な速度制限装置の場合と同様にエンジン速度制御装置が複雑なエンジン管理システムの一部である場合には、潜在的な不適合は無い。本発明の制限装置は、燃料の流れに対して直接、また、エンジン管理システムによる故障または問題として「見える」形で個別に影響することはないが、エンジン管理システムに「見えない」形でスロットル信号自体に作用する。
【0022】
スロットル信号修正ユニットは、スロットル信号ユニットとエンジン速度制御装置との間のデータ通信位置での使用時に取り付けるように適合される。ある可能な実施形態では、スロットル信号修正ユニットは制限速度に反応するスイッチとして機能し、このスイッチは、車両が制限速度未満での走行中にはスロットル信号をエンジン速度制御装置へ直接送れるようにする一方で、制限速度に達すると、スロットル信号ユニットからの直接信号を遮断し、その代わりに、修正又は変更されてスロットル部材位置に対応した信号となった信号を送信する。この修正又は変更された信号は、車両に制限速度を維持するよう、または制限速度に向かうようにさせる。
【0023】
制限速度の記憶、または制限速度の参照、さらに適切なセンサからの車両速度を読み取った信号の取得とは、あらゆるデータアイテムを、車両速度との機能的関係においてそれぞれ記憶し、読み出すことを意味する点を理解されるであろう。特に、こうしたデータアイテムを、任意の特定の測定ユニット内の車両速度を直接読み出せる形式で保存または読み出す必要がないことは自明である。むしろ、必要なのは単に、制限速度データアイテムを保存することと、測定された速度データアイテムを、コンパレータが直接または適切な数値分析を介して比較できるようにして、コンパレータが「制限速度未満の車両」と「制限速度未満でない車両」の2つの状態を区別できるようにする形式でセンサ信号から取得することである。
【0024】
先に述べた速度センサを設けたり、既存の車両システムを利用したりして、この既存の車両を利用すべく速度センサに適合させた速度を検出又は感知できるようにしたりしてもよい。例えば、速度センサは車両速度計を利用してよい。速度センサは、車両速度計システムの装備できるようにして、ここから速度の読み出しを取得するように適合される。これは、先の段落で述べた点の例証である。典型的な車両速度計は、例えば機械的結合を介した伝達システムの回転の周期又は周波数を測定することによって動作する。本発明のこうしたシステムと共に取り付けられた車両速度センサは、この周期又は周波数を車両速度データアイテムとして測定し、コンパレータが、このデータアイテムを、データ記憶装置に制限速度データアイテムとして記録されている制限周期又は制限周波数と比較する。
【0025】
一般に、スロットルアクチュエータ部材は例えば加速ペダルに基づくものであるため、典型的なシステムの説明も例証の方法でこれと同様であると仮定する。しかし、本発明は、機械アクチュエータの操作に関し、機械アクチュエータと機能的関係にある電子信号を生成する手段を備えたスロットル信号ユニットに連結しているペダルやハンドルなどの機械アクチュエータを備えた、あらゆる電気機械スロットルに適用可能である。
【0026】
スロットル信号ユニットは、スロットル部材の作動の程度を測定し、かつ例えば、加速ペダルの押下の程度を測定するセンサ手段を設けているか、固有に備えている。スロットル部材の作動の程度と機能的関係(functional relationship)にあるスロットル信号が生成される。
【0027】
一実施形態では、スロットル信号ユニットは電位差計のような信号生成器を設けることで、スロットル部材が異なる程度に動作するとき、および例えば、アクセルペダルや他のアクチュエータの押下が深まるとき、電子信号の変化が固有に生成されるようになっている。電位差計やこれと同様の手段は、スロットルの作動の程度に反応する「センサ手段」としての機能と、生成された信号を固有に修正又は変更する信号生成システムの一部としての機能の両方を、見事に単純な方法で果たす。こうしたシステムは、既存の「ドライブ・バイ・ワイヤ」車両における既存の電気機械スロットル機構から分かるであろう。
【0028】
このようなスロットル信号ユニットの一実施形態と共に使用するように構成された本発明の一実施形態では、信号修正ユニットは、生成された電子信号を、エンジン速度を制限するように必要に応じて修正又は変更できるように構成されている。この場合、信号修正ユニットは、電位差計または他の電子信号生成器に電気接続しており、生成された電圧を、本発明の速度制限装置を動作させることなく、スロットル部材の動作によって、別の場合に設定されるであろうよりも低い値に引き下げる。エンジン速度制御装置は、こうして修正又は変更された送信信号を、スロットルが速度を固定または緩めていると認識し、例えば適切な燃料注入システムを介したエンジンへの燃料供給を制御することにより、エンジン速度を制限または減速し、これにより車両速度を制限または減速する。
【0029】
前出の任意の請求項による車両速度制限装置はスロットル信号ユニットと共に使用するように適合されており、スロットル信号ユニットは、スロットル部材が異なる程度に動作されると、異なる電子信号が固有に生成されるように構成された電子信号生成装置を設けており、そのため、信号修正ユニットは生成された電子信号を修正又は変更することができ、これにより、信号修正ユニットは電子信号生成装置と電気接続して、本発明の速度制限装置を動作させることなく、生成された電圧を、別の場合ではスロットル部材の動作によって設定される場合よりも低く引き下げることができる。
【0030】
そのため、速度制限システムは、車両が所定の制限速度よりも速く移動されそうな危険にあると検出した場合には、生成されたスロットル信号を減少させ、また、この実施形態の場合には電位差計電圧を降下させることで、電位差計電圧または他の信号をエンジン速度制御装置に対して「見える」ようにし、これにより車両を適用の制限速度に制限して、正確な速度が確実に維持され、これを超えないようにする。このシステムはこれを、実際速度と制限速度を比較し、制限速度を超えた場合にのみスロットル信号を止めて反応するという単純な方法で行ってよい。あるいは、実際の速度と制限速度を比較し、制限速度が限界以下から接近してくるに従いスロットル信号を段階的に止めて反応するという、より高度な方法で行ってもよい。このシステムは、速度感知とスロットル信号の修正又は変更の連続的な周期を必要に応じて運転するように適合されている。こうすることで、道路速度を効果的かつ不変に監視し、例えば電位差計電圧のような生成された信号を調整するため、速度が制限速度未満に降下する点までスロットル部材が解放されるまで、速度が制限速度に維持される。
【0031】
このシステムは速度制限制御手段を設けていることが好ましく、この速度制限制御手段は、上述のような連続的な監視を実行するように構成又は適合されており、また、比例制御技術を適用するようにさらに構成又は適合されており、これにより、コンパレータが、設定された速度が特定の所定の近さに接近すると、信号修正装置が信号の修正又は変更の適用を開始する。この信号変更は、車両が設定速度に近づくに従って大きくなる。
【0032】
可能な一実施形態では、スロットル信号修正ユニットは切り替え制御ユニットを設けてもよく、この切り換え制御ユニットは、コンパレータが車両速度が制限速度未満であると示した場合に、修正済みのスロットル信号を送信するように働くが、コンパレータが制限速度に達した、あるいは制限速度に接近していると示した場合には、未修正の信号を遮断する、および/または、車両を制限速度に保持する傾向にある修正済みの信号に乗せて送信するように働く。
【0033】
使用時に、スロットル信号ユニットとエンジン速度制御ユニットとの間のデータ通信内に位置するように、また、便宜的にこの取り付けを行うように取り付けられるように適合されたスロットル信号修正ユニットは、スロットル信号ユニットから未修正のスロットル信号を含む入力信号を受信するための、スロットル信号ユニットとのデータ通信の入力部と、上述のように任意で修正又は変更されたスロットル信号をエンジン速度制御ユニットに出力するための、エンジン速度制御ユニットとのデータ通信の出力部とを設けている。
【0034】
上述のとおりに電位差計を組み込んだ電気機械スロットルシステムでは、一般に、冗長のためにデュアル電位差計を設ける。次に、安全性の理由でエンジン管理システムを、2個の生成された信号が本質的に一致する場合にのみ十分に動作し、何らかの誤作動が生じた場合には安全な動作モードに戻るように適合させる。このようなシステム内で信号修正装置を使用するために、信号修正装置を、上述の電位差計の各々に対応して動作するように適合させるか、または、各電位差計上で同様に動作する別々の信号修正装置を設けるようにしてもよい。
【0035】
例えば使用前にユーザが制限速度を入力できるようにするために、制限速度を変更する手段を提供してもよい。
【0036】
好ましい一実施形態では、本発明は、複数の制限速度を記憶できるように、また、ユーザが複数の制限速度間で切り替えを行い、1つの制限速度を選択的に適用するべく割り当てられるように適合されている。このために、データレジスタは、例えば少なくとも第1制限速度と第2制限速度といった複数の制限速度を記憶するレジスタと、設定又は適用する速度を記憶しておく設定制限速度レジスタと、適用速度制限レジスタに上記記憶された制限速度のうちのどの1つを記憶するかを選択する手段とを含んでいる。ここでもやはり、記憶された「速度」とは、車両速度との間に機能的関係を有し、従ってコンパレータが比較を行う際に使用することが可能な、記憶されたデータアイテムを指すものであることが理解されよう。
【0037】
複数の制限速度を設けることがなぜ望ましいかについては、様々な理由が考えられる。例えば、多様な制限を、規制制度によって、または、異なる運転条件に関する様々な政策上の理由で、および例えば異なる道路状態のために、または各規制管轄区域内において、設定してもよい。設定又は適用する制限速度の選択、および設定又は適用された制限速度として記憶されている多様な制限速度間での切り替えは、自動的に、または例えば手動入力手段を介する手動の作動により実施されてよい。
【0038】
特定クラスの車両は、オンロード、オフロードの両方において特に一般的に運転されている。特定の好ましい実施形態では、本発明の第1態様による速度制限システムは、こうしたオンロード、オフロード条件の適切な制限速度として選択された第1制限速度と第2制限速度を提供するように変更される。2つの制限速度間の切り替えは自動的に実行されることが好ましく、この場合、本システムには、オフロード条件では作動されるが、一般にきちんと舗装された道路で遭遇する運転条件では作動されないという適切な感度を持った振動センサが設けられている。
【0039】
この実施形態では、制限システムは、少なくとも第1制限速度と第2制限速度とを記憶するデータレジスタと、このような制限速度の1つを適用された制限速度として記憶する適用制限速度レジスタと、設定速度が振動しきい値レベル未満の第1制限速度と、振動しきい値レベルよりも高い第2制限速度とに設定されるように構成される振動センサと振動制御手段と、車両速度を示す信号を出力する車両速度センサと、速度センサ出力を設定制限速度レジスタ内の制限速度と比較するコンパレータと、スロットルシステム修正装置とを備え、スロットルシステム修正装置は、車両スロットルシステムと共に上述のとおり取り付けた場合、使用中のスロットル信号ユニットの出力に作用することで、生成されたスロットル信号を修正又は変更して、送信されたスロットル信号が車両を設定制限速度に制限するようにする。
【0040】
したがって、好ましい実施形態において本発明は、例えば振動スイッチと振動制御部を組み込んだ振動センサをさらに備えている。車両がでこぼこした地形の上を通過すると振動スイッチが作動し、適用された速度制限レジスタにより低い速度制限が設定され、システムによって設定又は適用される。そのため、振動ユニットは、車両がでこぼこした地面上を走行していることを検出し、第2の低い速度制限を実現することができる。1回の衝突で低い制限速度が適用されてしまうことを防止するために、制御ユニットでは、作動スイッチが所定時間内に複数回作動した後により低い制限速度を適用するように設定してもよい。
【0041】
制限速度は、永久メモリレジスタの手段によってシステム内にハードプログラムされてよく、またはユーザがプログラムしてもよい。後者のユーザによるプログラムが望ましい場合には、システムに、制限速度を入力する入力手段と、オプションで、動作可能な制限速度を表示する表示手段とをさらに備えてよい。
【0042】
車両速度制限装置は、車両速度を検出するセンサとともに動的な動作を行う必要がある。このシステムはこの目的のための特定のセンサを設けていてよいが、車両制御システムに取り付けた既存のセンサを使用することが最も便利である。例えば、これは、ギアボックス上の速度トランスデューサ、または自動ブレーキシステム内の速度センサであってよい。
【0043】
いくつかの例では、エンジン回転を最大限に制限することがさらに望ましい可能性がある。本発明のシステムは、これを2次機能として提供するように構成することが可能である。こうした実施形態では、エンジン回転速度を測定する手段とコンパレータとをさらに含む。エンジン回転速度測定手段は、やはり便宜的に既存の回転センサを使用しており、メモリレジスタが適切な最大制限数値を含むようにさらに適合されている。コンパレータは、両方のセンサ読み出しをその各々の最大値と比較し、いずれかの信号が最大値を超える場合には、必要な信号変更をもたらすように適合されている。
【0044】
エンジン速度制御装置の精密な構造は本発明に関係なく、比較的単純なスロットル機構または燃料注入流制御機構から、燃料注入速度および/または空気注入速度のような様々な動作パラメータを制御する複雑なコンピュータ式エンジン管理システムまでのどれであってもよい。本発明の重要な特徴は、このエンジン速度制御装置への入力信号を調整するように動作することであるため、特定タイプの制御装置が不要であり、このような制御装置が取り付けられている場合にも改造の必要はないことである。
【0045】
本発明のさらなる態様によれば、車両スロットルシステムと共に取り付けられる第1実施形態による速度制御システムを備える車両スロットルおよびエンジン速度制御システムであって、機械的に操作可能なスロットル部材と、エンジン速度制御装置と、スロットル信号ユニットとを備えており、スロットル信号ユニットは、エンジン速度制御装置とデータ通信しており、かつスロットル部材の操作度合いに機能的に応答又は反応して電子スロットル信号を生成し、スロットル信号をエンジン速度制御装置へ送信するべくスロットル部材に動作可能に連結しており、これにより、エンジン速度が制御される。
【0046】
そのため、さらなる態様による車両スロットルおよびエンジン速度制御システムは、機械的に操作可能なスロットル部材と、エンジン速度制御装置と、スロットル信号ユニットとを備えており、スロットル信号ユニットは、エンジン速度制御装置とデータ通信しており、かつスロットル部材の操作度合いに機能的に反応して電子スロットル信号を生成し、スロットル信号をエンジン速度制御装置へ送信するべくスロットル部材に動作可能に連結しており、これにより、エンジン速度が制御される。さらに、車両速度を示す信号を取得する車両速度センサと、少なくとも第1所定制限速度を示すデータアイテム用のデータ記憶装置を含む制限速度データレジスタと、速度センサ出力を制限速度レジスタ内に記憶されている制限速度データアイテムと比較するコンパレータと、上記のように車両スロットルシステムと共に装備した場合に、使用中のスロットル信号ユニットの出力に作用して、生成されたスロットル信号を修正又は変更させ、これにより、車両を適用された制限速度に制限するために、送信スロットル信号が生成されるスロットルシステム修正装置とを備えている。
【0047】
したがって、速度制限装置は、生成されたスロットル信号に直接作用することで、生成された信号を、最終的にエンジン速度制御ユニットへ送信された信号が、制限速度に適したスロットル動作に対応する信号を擬態するまで修正又は変更する。
【0048】
本発明による第2態様の完全なシステムの好ましい特徴は、第1態様の制限システムの説明から理解されるであろう。
【0049】
本発明のさらなる態様によれば、前述に従った車両スロットルおよびエンジン速度制御システムが車両に取り付けられる。この車両は、例えば自動車である。
【0050】
本発明のさらなる態様によれば、スロットルシステムを設けた車両に車両速度制限装置を、特に販売後の改造物として装備する方法であって、機械的に作動可能なスロットル部材と、エンジン速度制御装置と、スロットル信号ユニットとを備え、スロットル信号ユニットは、エンジン速度制御装置とデータ通信しており、スロットル部材の操作度合いに機能的に反応して電子スロットル信号を生成するために、かつスロットル信号をエンジン速度制御装置へ送信してエンジン速度を制御するために、スロットル部材に動作可能に連結している。この方法は、本発明の第1態様による車両速度制限装置の装備を含むため、スロットルシステム修正装置を、必要に応じて、生成された電子スロットル信号に作用しこれを変更するべく動作するように上述の方法で構成される。
【0051】
すなわち、この方法は、車両速度センサを取り付けて車両速度を示す信号を取得するステップと、データ通信する制御ユニットを取り付けるステップとを備え、制御ユニットは、少なくとも第1所定制限速度用のデータ記憶装置を含む制限速度データレジスタと、速度センサ出力を制限速度レジスタ内に記憶されている制限速度と比較するコンパレータと、スロットルシステム修正ユニットとを含んでおり、スロットル信号修正ユニットはデータ通信するように取り付けられており、このように取り付けられた場合には、スロットル信号ユニットの出力に直接作用して、生成されたスロットル信号を修正又は変更することで、エンジン速度制御装置へ送信されたスロットル信号が車両を適用された制限速度に制限するように動作できる。
【発明の効果】
【0052】
したがって、修正装置は生成された信号に作用し、最終的にエンジン速度制御装置へ送信されたこの信号が、制限速度に適したスロットル動作に対応した信号を擬態するようになるまで修正又は変更する。この修正装置はシステム内に取り付けられ、下流にあるいかなるエンジン管理システムよりも先に、電気機械的に生成されたスロットル信号を修正又は変更するように直接動作する。本発明のこの態様の方法によれば、この直接動作により、修正装置が、既存のドライブ・バイ・ワイヤシステムへの販売後の装備品として理想的なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】2つの制限速度間で切り替えを行う振動スイッチを単純な車両エンジン管理システムと共に設けた本発明の実施形態を動作するのに必要な配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
次に、本発明を、添付の図面の図1を参照した例証の方法で説明する。図1は、2つの制限速度間で切り替えを行う振動スイッチを単純な車両エンジン管理システムと共に設けた本発明の実施形態を動作するのに必要な配置の概略図である。
【0055】
このシステムは、電気機械スロットル1が、少なくともエンジン速度制御装置を装備したエンジン管理システム制御装置7を通って送信されかつこれにより処理された電子信号を介して、エンジン10の速度(さらに車両の速度)を制御する「ドライブ・バイ・ワイヤ」タイプのシステムである。
【0056】
機械スロットルアクチュエータ3の作動によって最終的なユーザ制御が実行されるが、この典型的な例では、このアクチュエータは、運転手が接触および操作できる形で車両室内に搭載された加速器/アクセルフットペダルを備えている。機械アクチュエータ3は、機械アクチュエータ3の動作の程度に対応する電子スロットル信号を生成するスロットル信号生成手段5と共に搭載される。この例では、アクセルペダルを押下すると、アクセルペダルは1対の電位差計と共に動作して、ペダルの押下度に対応する機能関連の電子スロットル信号を生成する。
【0057】
こうして生成された電子スロットル信号はデータ通信部材9により送られ、また、データ通信部材11により、少なくともエンジン速度制御装置を装備したエンジン管理システムコンピュータ7へ送信される。速度制御コンポーネントの非動作時には、生成された信号9は送信された信号11に対応し、送信された信号11がエンジン速度制御装置によって処理され、データリンク13(data link)を介してエンジン10の速度を制御するために使用される。
【0058】
1対の電位差計は、信号生成システム5の例(図示せず)において、安全面の理由で、ある度数の冗長性を付与するために使用されている。このようにして1対のスロットル信号が生成されるが、各信号はエンジン管理システムへ送信され、ここで個別に処理される。信号どうしが事前設定された安全マージン内で通信する必要がある場合には、これは意図を持ったスロットル信号と解釈され、システムはこれに従って動作する。例えば電位差計のうちの1つまたはこれに対応するデータリンクに故障がある場合に生じ易いのであるが、対を成している信号どうしの間に過剰な差分がある場合には、これを故障として検出するようにエンジン管理システムが設計される。こうした場合、エンジン管理システムはスロットルシステムの作動を拒否するか、または、故障が直されるまで、スロットルシステムをセーフモードのみにて作動させる(例えば、所定の制限を適用する)ことを拒否することができる。
【0059】
上述の説明の限りでは、スロットルは本質的に従来型のドライブ・バイ・ワイヤスロットルシステムである。しかし、概略的な例では、こうしたスロットルシステムは、事前の製造業者の設計によって、あるいは販売後の装備品として、本発明による速度制限システムを用いて改造される。
【0060】
速度制限システムはまず速度センサ15を含んでいる。やはりここでも、実用性の目的で、車両内の、例えば伝達システムまたはブレーキシステム内に設けられている既存の速度センサを利用するようであるが、特定の速度センサを代替的に追加することもできる。本発明のシステムの最終的な意図は制限することであるため、通常、速度センサは車両速度を直接または間接的に感知する。例えば、速度センサ15は車両速度計に取り付けられ、ここから信号を取得し、さらに、伝達シャフトの回転速度/周波数を直接読み出すことで、車両速度を間接的に検出又は感知する。
【0061】
センサを追加して、例えばエンジン速度を制限(例えば最大エンジン回転速度を設定する)してもよいが、当業者は、これら追加のセンサを、最小限の平凡なさらなる改造にて、本発明の制限システム内にも同様に組み込めることが容易に理解されるであろう。しかし、こうした追加は本発明と直接関係するものではなく、主に、車両速度を所定値に制限する手段であり、本発明の例証的な実施形態では、通常のロード速度およびオフロード速度である少なくとも1対の所定の最大速度のうちの一方に制限する手段である。
【0062】
データ記憶装置17に最大速度が設定される。この実施形態でのデータ記憶装置17は、少なくとも第1データレジスタ18と第2データレジスタ19を含む。第1データレジスタ18は、通常の道路条件とでこぼこした地形条件に関連した別個の最大値を記憶しておける少なくとも2つの場所を設けており、第2データレジスタ19は現在動作可能な最大速度を記憶するものである。データレジスタ18に記憶された異なる最大速度はハード保存されてよく、またはユーザにより設定されてもよい。ユーザにより設定可能な制限の場合、例えばキーパッドなど(図示せず)を装備した適切なデータ入力手段を設けてもよい。
【0063】
この実施形態では、2つの制限速度は記憶され、次に、振動センサを使用し、以下で記述する方法により自動的にこのうちの一方が選択される。これは単に例示的な例である。1つの制限速度のみを記憶するためのデータレジスタが設けられてもよい。別の理由で複数の制限速度を記憶してもよい。複数の制限速度を記憶する場合には、事前に決定または感知された条件に従って自動的に、あるいはユーザの選択動作により、別方法で選択を行うことができる。
【0064】
例証的な実施形態では、2つの制限速度間の選択、また、どちらの制限速度をレジスタ19に現在動作可能な最大速度として記憶するかの選択は、振動モニタシステムによって行われる。この振動モニタシステムは、車両がオンロードであるかオフロードであるかを検出する感度を有することが意図される。振動モニタシステム20は、振動スイッチのような振動センサと、異なる制限値を選択的に適用できるよう、スイッチが作動したとみなす条件を決定する適切な電子制御手段とを含む。振動モニタシステム20は、通信リンクを介して、第1データレジスタ18から制限値を読み出し、これらの制限値のうちのどれが動作可能であるかを、その振動状態に基づいて決定し、これを、通信リンクを介して、適用されたデータレジスタ19内に適用する。したがって、振動スイッチ制御手段と一致する必要があるこうした振動条件を満たした場合、適切な低い制限速度がデータ記憶装置18から適用されたレジスタ19へ送られ、また、振動条件を満たさない場合には、適切なより高い制限速度が適用されたデータレジスタ19へ送られる。無論、本発明の原理から逸脱しない限り、いくつかの個別の振動度数を感知し、これに応じて、いくつかの異なる制限速度を適用する振動システムを設けることが可能である。
【0065】
こうした多種の制限値を適用する目的は、ロード条件およびオフロード条件に異なる最大速度を設定することである。多数の車両、特に大型で重いトラックのような車両は、オンロードおよびオフロード両方での荒作業に特化して設計されている。規制制度が設定した、あるいは舗装道路に適した最大速度は、このような道路以外、例えば粗雑に造られた工事現場の道路には完全に不適切である。本発明のシステムは、地形の粗さに応じた異なる最大速度を適用する。
【0066】
システムによって適用された速度は適用データレジスタ19に記憶される。コンパレータ21は、速度センサ15で検出された速度と、データレジスタ19に記憶されている適用可能な制限速度の両方とデータ通信し、これらを読み出す。コンパレータ21はスロットル信号修正ユニット23と協働し、データリンク11を介してエンジン速度管理システムへ送信された信号を、車両速度を事前設定された速度に制限するように修正又は変更する。
【0067】
この修正又は変更は、データリンク25、26を介して実行される。入力データリンク25を介してスロットル信号修正ユニット23が、スロットルアセンブリ3、5によって生成されたスロットル信号9を受信する。制限速度未満において、このスロットル信号が、生成された信号9と同一の未修正の送信信号11として出力データリンク26を介して送られる。この制限速度に達すると、スロットル信号修正ユニット23が、生成された信号9の直接の送信を遮断し、この信号を、エンジン速度管理システム7によって読み出される別の送信信号11を生成するように修正又は変更する。
【0068】
エンジン速度管理システムは、速度を制限し、車両速度をその制限速度内に収める可視のレベルのスロットル作動に対応する、送信された信号11を受信するよう「だまされる」。1対の電位差計によってスロットル信号が生成される特定の例では、スロットル信号修正装置23がデータリンク25、26を介して、電位差計が生成した電位をいくつか取り出すことで、エンジン管理システムが受信した可視の信号11を現出させて、加速装置の押下に対応させ、これによりエンジン速度を、さらには車両速度を所望の制限値に制限する。
【0069】
コンパレータとスロットル信号修正システムは、本発明の主な原理から逸脱しない限り、多数の方法で動作できることが容易に理解されよう。最も単純な形では、コンパレータは単に、測定された速度を制限速度と比較し、感知された速度が制限速度またはこれを超える速度である場合にのみ、スロットル信号修正装置と協働して、エンジン管理システムが受信した可視の信号11を、制限速度に対応したものに制限する。しかし、概して好ましく、また本例において仮定されるのは、コンパレータはより高度なアルゴリズムを演算することで、検出又は感知された速度が制限速度未満から制限速度に接近した際に、スロットルの作動の影響を制限するようスロットル信号修正装置に段階的に試みさせ、これにより、車両速度を、よりスムーズかつ制御された方法で、適用可能な制限値またはこれ未満に制限させようとするということである。
【0070】
したがって、本発明のシステムは、ドライブ・バイ・ワイヤスロットルシステムにおける速度制限問題に対し、既存のエンジン管理システムの複雑な改造が不要であるために、既存の設計内に販売前、販売後の装備品として組み込むことに適した、見事な解決法を提供する。
【符号の説明】
【0071】
1 電気機械式のスロットルシステム、 3 機械式のスロットルアクチュエータ、 5 スロットル信号ユニット、 7 エンジン速度制御装置(コンピュータ)、 9 データ通信線、 10 エンジン、 11 スロットル信号、 13 データリンク、 15 車両速度センサ、 17 データ記憶装置、 18 第1データレジスタ、 19 第2データレジスタ、 20 振動モニタシステム、 21 コンパレータ、 23 スロットル信号修正ユニット、 25 データリンク、 26 データリンク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のスロットルシステムとともに用いられる車両速度制限装置であって、
前記スロットルシステムは、機械的に操作可能なスロットル部材と、エンジン速度制御装置と、スロットル信号ユニットとを有し、
前記スロットル信号ユニットは、前記エンジン速度制御装置とデータ通信を行う一方、前記スロットル部材と動作的に連結され、前記スロットル部材の操作度合いに機能的に応答して電子的なスロットル信号を生成し、該スロットル信号を前記エンジン速度制御装置に送信してエンジン速度を制御するようになっていて、
該車両速度制限装置は、
車両速度を示す信号を取得する車両速度センサと、
少なくとも第1の予め設定された制限速度を示すデータアイテムのためのデータ記憶装置を備えている制限速度データレジスタと、
前記車両速度センサの出力信号を、前記制限速度データレジスタに記憶されている制限速度を示すデータアイテムと比較するコンパレータと、
前記スロットルシステムとともに車両に装備されたときに、動作しているスロットル信号ユニットの出力信号に作用を及ぼして、スロットル信号ユニットにより生成されたスロットル信号を修正し、これにより車両を設定された制限速度に制限する送信スロットル信号を生成するスロットル信号修正ユニットとを備えていることを特徴とする車両速度制限装置。
【請求項2】
前記スロットル信号修正ユニットは、その動作時に前記スロットル信号ユニットと前記エンジン速度制御装置との間のデータ通信部材に接続されるように構成されていて、
前記スロットル信号修正ユニットは、前記スロットル信号ユニットとデータ通信を行って、前記スロットル信号ユニットから未修正のスロットル信号を含む入力信号を受信する入力部と、前記エンジン速度制御装置とデータ通信を行って前記のとおり任意に修正された送信スロットル信号を前記エンジン速度制御装置に出力する出力部とを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の車両速度制限装置。
【請求項3】
前記車両速度センサは、車両速度を検出することができる既存の車両システムを利用するように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両速度制限装置。
【請求項4】
前記車両速度センサは、車両の速度計システムに装着され、該速度計システムから車両速度を読み出すように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の車両速度制限装置。
【請求項5】
該車両速度制限装置は、電子信号生成器を備えたスロットル信号ユニットとともに用いられるように構成されていて、
前記電子信号生成器は、前記スロットル部材が種々の操作範囲に操作されたときに該操作範囲に固有の種々の電子信号を生成するように構成され、
前記スロットル信号修正ユニットは、生成された電子信号を修正することができ、かつ、前記電子信号生成器に電気的に接続されて、該車両速度制限装置を動作させることなく前記スロットル部材の操作により設定される場合に比べて、生成電圧を低くすることができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両速度制限装置。
【請求項6】
車両速度の検出及びスロットル信号の修正の連続的な繰り返しを必要に応じて行うように構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両速度制限装置。
【請求項7】
該車両速度制限装置は、前記の連続的な繰り返しの監視を実行するように構成された速度制限制御手段を備えていて、
前記速度制限制御手段は、比例制御技術を用いるように構成され、
これにより、設定された車両速度が予め設定された接近度合いに接近したことを前記コンパレータが検出するのに伴って、前記スロットル信号修正ユニットが、車両が前記設定された車両速度に近づくほど強くなる信号修正の実行を開始することを特徴とする、請求項6に記載の車両速度制限装置。
【請求項8】
前記スロットル信号修正ユニットが切り換え制御ユニットを備えていて、
前記切り換え制御ユニットは、車両速度が制限速度未満であることを前記コンパレータが示したときには未修正のスロットル信号を送信するように機能する一方、前記制限速度に達し又は前記制限速度に接近中であると前記コンパレータが示したときには、前記未修正の信号を遮断するように機能し、及び/又は、車両を制限速度に保持する修正済み信号を送信するように機能することを特徴とする、請求項1に記載の車両速度制限装置。
【請求項9】
ユーザが使用前に制限速度を入力又は変更することを可能にする入力手段を備えていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載の車両速度制限装置。
【請求項10】
複数の制限速度を記憶することができるように構成され、かつ、ユーザが制限速度の切り換えを行うことができるとともに、制限速度を選択的に設定することができるように構成されていて、
前記制限速度データレジスタが、複数の制限速度を記憶するレジスタと、設定された制限速度を記憶する設定制限速度レジスタとを有し、
かつ、前記設定制限速度レジスタ内に、前記複数の記憶された制限速度のうちのどの1つの制限速度を記憶するかを選択するための手段が設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の車両速度制限装置。
【請求項11】
オフロード条件とオンロード条件とに対して、それぞれ適切な制限速度となるように選択された第1の制限速度と第2の制限速度とを設定することができるように構成され、
かつ、オフロード条件では起動されるが、適切に舗装された道路で典型的に遭遇する運転条件では起動されない適切な感度を備えた振動センサをさらに備えていて、前記2つの制限速度間の自動的な切り換えを行うことができるように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の車両速度制限装置。
【請求項12】
少なくとも第1の制限速度と第2の制限速度とを記憶するデータレジスタ、及び、該複数の制限速度のうちの1つを設定制限速度として記憶する設定制限速度レジスタと、
前記設定制限速度が、振動が振動しきい値レベル未満である第1の制限速度と、振動が振動しきい値レベルよりも高い第2の制限速度とに設定されるように構成された振動センサ及び振動制御手段と、
車両速度を示す信号を出力する車両速度センサと、
前記車両速度センサの出力信号を前記設定制限速度レジスタ内の前記制限速度と比較するコンパレータと、
スロットルシステム修正装置とを備えていて、
前記スロットルシステム修正装置は、前記スロットルシステムとともに前記のとおり車両に取り付けられたときに、動作中の前記スロットル信号ユニットの出力信号に作用を及ぼし、生成されたスロットル信号を修正して、送信されたスロットル信号が車両を前記設定制限速度に制限するように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の車両速度制限装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の車両速度制限装置と、
機械的に操作可能なスロットル部材と、
エンジン速度制御装置と、
スロットル信号ユニットとを備えている車両用スロットル及びエンジン速度制御システムであって、
前記スロットル信号ユニットは、前記エンジン速度制御装置とデータ通信を行う一方、前記スロットル部材と動作的に連結され、前記スロットル部材の操作度合いに機能的に応答して電子スロットル信号を生成し、該電子スロットル信号を前記エンジン速度制御装置に送信し、これによりエンジン速度を制御することを特徴とする車両用スロットル及びエンジン速度制御システム
【請求項14】
請求項13に記載の車両用スロットル及びエンジン速度制御システムを備えていることを特徴とする車両。
【請求項15】
スロットルシステムを有する車両に車両速度制限装置を装備する方法であって、
前記スロットルシステムは、機械的に操作可能なスロットル部材と、エンジン速度制御装置と、スロットル信号ユニットとを有し、
前記スロットル信号ユニットは、前記エンジン速度制御装置とデータ通信を行う一方、前記スロットル部材に動作的に連結されて前記スロットル部材の操作度合いに機能的に応答して電子スロットル信号を生成し、該電子スロットル信号を前記エンジン速度制御装置に送信し、これにより前記エンジン速度を制御するように構成されていて、
請求項1〜12のいずれか1つに記載の車両速度制限装置を、スロットル信号修正ユニットが、生成された電子スロットル信号を修正する動作を行うように装備することを特徴とする方法。
【請求項16】
車両速度を示す信号を取得するように車両速度センサを取り付ける過程と、
少なくとも第1の予め設定された制限速度のためのデータ記憶装置を含む制限速度データレジスタと、前記車両速度センサの出力信号を前記制限速度データレジスタに記憶されている前記制限速度と比較するコンパレータと、スロットル信号修正ユニットとを有し、前記車両速度センサとデータ通信を行う制御ユニットを取り付ける過程とを含んでいて、
前記スロットル信号修正ユニットを、前記スロットル信号ユニットとデータ通信を行い、かつ、生成されたスロットル信号を修正するように取り付けたときにスロットル信号ユニットの出力信号に直接作用を及ぼして前記エンジン速度制御装置に送信されるスロットル信号が車両を設定制限速度に制限するように取り付けることを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−536706(P2009−536706A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508497(P2009−508497)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001751
【国際公開番号】WO2007/132213
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508335381)オートコントロール・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】AUTOKONTROL LIMITED
【Fターム(参考)】