説明

造粒物の製造装置及び製造方法

【課題】粉体材料に固化材、添加剤などを加えて材料の性状を改質し粒状の材料を生成する造粒物生成に際し、材料のロータへの持ち回りや付着を起こさず、十分にドラム内で材料の流動させて混合作用、造粒作用を発揮できること。
【解決手段】ロータをモータにより回転自在に駆動させる駆動部が、ドラムの上方へ配置されて材料移動空間をドラム中央部へ確保しており、前記ロータが、ドラム内の中央部に備えられる内方ロータと、該内方ロータへ対向して設けられドラムの外縁側に備えられる外方ロータからなり、前記ロータ翼が水平に対して傾斜角度を有して回転軸へ放射状に備えられること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥など水分を多量に含んだ泥を脱水装置を用いて絞った後の細粒物の塊(以下、脱水ケーキという)、建設残土などの泥系材料、または、製鉄所で発生する製鉄スラッジ及び製鉄ダストや、石炭灰及びバイオマス材料の焼却灰や建材廃棄物ダストなどの産業廃棄物材料などの粉体材料に固化材、添加剤などを加えて材料の性状を改質し粒状の材料を生成する造粒物の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種産業現場から発生する、泥系材料や粉体材料は、そのハンドリングの悪さから、十分に活用されず、産業廃棄物として処分、処理されており再利用資源として有効活用されていない。
これに対して、本出願人は、特開2000−140820号に示される再生造粒物の製造装置を提案している。この発明は、脱水ケーキや建設残土などの土木系産業の過程で発生する材料を、他の有用な用途に用いるために、使い勝手のよい粒状材料に生成し、再利用を促す。
ここで提案されている再生造粒物の製造装置は、円筒形のドラムへ、公転する攪拌翼と、公転しながら自転するロータを備えており、各々の回転方向と回転速度を任意に変更することで、混合工程・ねっか工程・造粒工程などを実施するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−140820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この造粒装置は、脱水ケーキや建設残土など水分を多量に含む材料の造粒化には適しているが、水分を含まない粉体材料に水を加えて造粒化する際には材料がひとつの塊になって攪拌翼やロータに付着し易くなり、十分な混合、造粒作用を発揮することができなくなる。
また、この造粒装置は、攪拌翼とロータの回転駆動源であるモータがドラム底部下方に配置されており、モータの動力を伝達する出力軸がドラム底部下方からドラム内部を貫通してドラム上方へ延長されている。このため、ドラム内部の中央部位には出力軸を通すケーシング部が配置されており、このケーシング部がドラム内部の材料の流れを妨げ、混合作用や造粒作用の低下を招いている。
【0005】
前述の問題を解決するため、本発明は、粉体材料を造粒する際に用いる造粒装置において、材料のロータへの持ち回りや付着を起こさず、十分にドラム内で材料の流動させて混合作用、造粒作用を発揮できる造粒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するため、本発明は、材料を内部に貯えるドラムと、ロータ翼を有し前記ドラム内に公転しながら自転する複数のロータと、該ロータをモータにより回転自在に駆動させる駆動部を備え、前記ロータの自転が回転方向・回転速度を任意に選定される造粒物の製造装置において、前記駆動部がドラムの上方へ配置されて材料移動空間をドラム中央部へ確保しており、前記ロータが、ドラム内の中央部に備えられる内方ロータと、該内方ロータへ対向して設けられドラムの外縁側に備えられる外方ロータからなり、前記ロータ翼が水平に対して傾斜角度を有して回転軸へ放射状に備えられることを特徴とする。
【0007】
また、前記装置を用いて分散工程・混合工程・造粒工程・整粒工程の4工程を同じドラム内で一連の連続作業となして実施すると共に、下記の制限条件に従いながら実施する造粒物の製造方法であって、

(ア)前記分散工程が、内方ロータの自転回転方向を正回転で回転させて実施され、外方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施されること、
(イ)前記混合工程が、内方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施され、外方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施されること、
(ウ)前記造粒工程が、内方ロータの自転回転方向を正回転で回転させて実施され、外方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施されること、
(エ)前記整粒工程が、内方ロータの自転回転方向を正回転で回転させて実施され、外方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施されることである。
【0008】
また、前記ロータの公転回転速度及び自転回転速度が、下記の制限条件に従いながら実施する造粒物の製造方法、
(ア)前記ロータの公転回転速度が、整粒工程時の公転回転速度>造粒工程時の公転回転速度>分散工程時の公転回転速度及び混練工程時の公転回転速度で実施されること、
(イ)前記ロータの自転回転速度が、分散工程時の自転回転速度及び混練工程時の自転回転速度>造粒工程時の自転回転速度>整粒工程時の自転回転速度で実施されることである。
【0009】
また、前記混練工程が、外方ロータの回転によりドラム内壁と外方ロータのロータ翼との隙間へ材料を圧密させて実施され、前記造粒工程が、ロータの回転によりドラム内へ材料を拡散させて実施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロータを駆動させるための駆動部がドラム中央部を占有することがなくなり、ドラム内の中央部へ材料の対流や移動を行う材料移動空間が確保されるので、ドラム全域への材料のダイナミックな移動が可能となり、各工程における各種作用をドラム内にて十分に発揮することができる。

また、ロータが内方ロータと外方ロータを有し、内方ロータと外方ロータの回転方向を異なる方向とすることにより、混練工程においては、材料へ圧密作用を与えて練り込み、材料への水分の浸透を素早く、短時間に行うことができ、材料全体の水分分布を均一化し、材料の塊(ダマ)をできにくくする。
また、造粒工程においては、材料をドラム内で十分に転動させて転がらせることにより、一定形状、一定品質の造粒物を短時間で生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例における造流装置の縦断面図。
【図2】実施例の装置の一部を破談した平面図。
【図3】ロータの回転方向における作用説明図。
【図4】分散工程の作用を示す模式図。
【図5】混練工程の作用を示す模式図。
【図6】造粒工程の作用を示す模式図。
【図7】整粒工程の作用を示す模式図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を図を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例における造流装置の縦断面図を示している。
図2は、前記実施例の装置の一部を破談した平面図を示している。
図1に示すように、本発明の造粒装置は、略円筒形のドラム1へ、公転しながら自転するロータ2が備えられている。
ドラム1は底部に設けられ円形に形成されるドラム底面11と、垂直に側面を形成するドラム側面10で構成され、ロータ2は、ドラム1の上方に設けられたアーム3へ回転自在に支持され、ドラム1の内方へ突入されている。
ロータ2は、前記アーム3に支持される回転軸部4と、ドラム内へ配置された回転軸部4の外周へ設けられたロータ翼5から構成されている。
ドラム1の上方には、ロータ2を回転させる駆動源としてモータあ7が備えられ、変速機構A6を介してロータ2の回転のための主軸19に連結されている。主軸19の回転力を各ロータ2の回転軸部4へ伝える伝達機構20がアーム3の内部に設けられており、モータA7の回転力によりロータ2を回転可能になされており、前記変速機構A6及び伝達機構20の操作によってロータ2の回転方向及び回転速度が自由に変更可能になされている。
【0013】
また、前記アーム3はドラム1の上方に配置されており、変速機構B8を介してドラム1の上方に配設されたモータB9に連結されている。
アーム3は、この変速機構B8の操作によって、モータB9の駆動によりドラムの上方を図2における反時計廻りで回動し、回動速度が自由に変更可能になされている。
これにより、アーム3が回動することで、アーム3に設けられたロータ2がドラム1の内部を公転し、且つアーム3の回転により、ロータ2が公転しながら自転するようになされ、ロータ2の公転、自転を任意に選定できるようになされている。

【0014】
また、ロータ2の駆動部21を構成するアーム3と変速機構A6と変速機構B8とモータA7とモータB9と伝達機構20は、ドラム上方に配置されており、ドラム内の中央部には材料の移動を容易とする空域である材料移動空間が確保されている。
前記ドラム1の内部には図2に示すように、ドラム1の略中心位置に配置される内方ロータ2aと、その内方ロータ2aへ対向して配置されドラムの外縁側に設けられる外方ロータ2bの複数のロータ2が備えられており、複数のロータ2a、2bは回転方向、回転速度をそれぞれ選択でき、材料を混合・造粒する際に必要な作用を発現できるようになされている。
【0015】
図3は、ロータ2の回転方向における作用説明図を示している。
また、ロータ2に設けられたロータ翼5は、図3に断面図で示すようにロータ2の回転方向に対して長手側を有する多角形状に形成されている。そして、ロータ翼5は水平面に対して角度αだけ傾斜して設けられており、回転軸部4へ回転軸芯を中心として放射状に設けられている。
前記ロータ翼5の傾斜角度αは、内方ロータ2aと外方ロータ2bとでは傾斜向きが異なっており、内方ロータ2aにはロータ2の正回転時(図2における時計廻り)の回転方向側が高位となるように角度が付けられており、外方ロータ2bには逆回転時(図2における反時計廻り)の回転方向側が高位となるように角度が付けられている。
【0016】
また、図2に示すように、ドラム1の底面11には、材料を排出する排出口14が備えられている。ドラム1の底面11の一部がゲート15として水平にスライドして開口可能に設けられており、造粒した材料をドラム1の下方へ放出できるようになされている。

なお、前記実施例においては、複数のロータである内方ロータ2aと外方ロータ2bは、ひとつのモータA7を用いて駆動し、変速機構A6を介して内方ロータ2aと外方ロータ2bの回転方向、回転速度を各々変更するようになしているが、本発明の構成は、これに限定するものではなく、モータを複数台備えて、複数のロータ2をそれぞれのモータを用いて回転させて駆動させてもよい。また、モータ1台のみを用いて変速機構により複数のロータ2及びアーム3を回転駆動させても、前記実施例と同様な効果を有することができる。
このような構造になされている本装置は、各変速機構を操作しながらモータを駆動させることで、公転しながら自転するロータ2の公転の回動速度と、自転の回転方向・回転速度を任意に調整できるものであり、これによってロータ2のロータ翼5の機能を変えることになる。
【0017】
次に、本実施例の動作を説明し、本発明の作用について述べる。
図4〜7は、本発明の各工程の作用説明図であり、ドラム1内部を上方から見た状態を模式的に表している。
本発明の造粒方法は、4つの工程である、分散工程・混合工程・造粒工程・整粒工程を順次実施することで行われる。
まず、ドラム1内へ粉体の主材料を投入しながら、駆動源であるモータの駆動が変速機構を介してアーム3とロータ2が回転され、第一工程である分散工程を開始する。このとき粉体固化剤も主材料へ追加投入される。
【0018】
図4は、分散工程の作用を示す模式図である。
この分散工程は、アーム3の回転により、材料をドラム1の内部で拡散させることにより、材料を分散させて主材料の塊の粉砕や多種の粉体材料全体の均一化を行う。
このときの回転速度については、アーム3の回動速度つまり、ロータ2の公転速度は、ドラム1内部の材料全体をゆっくりと確実にロータ2の回転域へ取り込む必要があるために低速に回動される。
ロータ2の回転速度つまりロータ2の自転速度は、高速回転しており、強い回転力で材料を勢いよく跳ね飛ばす。
また、複数あるロータ2のうち、内方ロータ2aの回転方向を正回転(図4において時計廻り)とし、外方ロータ2bの回転方向を逆回転(図4において反時計廻り)とする。このため、アーム3の回動によりロータ2が公転することによって効率よくロータ翼5の回転域へ取り込まれた材料は、高速回転するロータ翼により勢いよく跳ね飛ばして分散される。
【0019】
このとき、内方ロータ2aが正回転し、外方ロータ2bが逆回転することで、公転によりロータ翼5へ取り込まれた材料は押し戻されるように、公転方向前方へ跳ね飛ばされる。そのため、材料がドラム1の内方へ常に拡散され、より確実に材料の分散化が行われる。
また、ロータ2が前述の回転方向に回転すると、ロータ翼5は回転方向側が低位となるように傾斜角度を構成されており、ロータが自転することによりロータ翼上面12へ材料を当てて傾斜によって上方へ跳ね上げながら公転方向前方へ跳ね飛ばす。
【0020】
分散工程は前述の作用を起こすことにより、材料をドラム内へ拡散させながら、異成分の材料同士を均等にシャッフルし、異成分の塊をなくして材料全体の均一化を行い、平均な材料分布とする。これにより、造粒物の成分分布における品質の安定化が行われ、ダマ(材料の塊)の発生しにくい材料を得ることができる。
ドラム直径1m、ロータ直径300mmとした本実施例において、アームの回動速度つまりロータ2の公転速度は、10〜15rpmが望ましい。このうち13rpmが最も適している。また、ロータ2の回転速度は200〜600rpmが望ましい。このうち240〜260rpmが最も適している。
また、ロータ翼5の傾斜角度は、5〜30°が望ましく、このうち10°が最も適している。
【0021】
図5は、混練工程の作用を示す模式図である。
混練工程は、造粒化する粉体材料へ水をドラム1の内部へ投入し、粉体材料へ水分を含ませる工程である。このとき必要ならば固化や凝集のための液体薬剤も同時に投入する。この混練工程においては、粉体内部へ水分を十分含ませて、粉体材料を混合し、練り込んで造粒物の芯となる核を形成させる。
このときの回転速度については、アーム3の回動速度(ロータ2の公転速度)は、ドラム1の内部の材料全体をゆっくりと確実にロータ2の回転域へ取り込む必要があるために低速に回動される。ロータ2の回転速度(自転速度)は、高速で回転しており、材料をより多くの回数で圧密を繰り返すようになされている。また、内方ロータ2aの回転方向を逆回転(図5において反時計廻り)とし、外方ロータ2bの回転方向を正回転(図5において時計廻り)とする。
【0022】
このため、ロータ2の公転により、外方ロータ2の自転回転域に取り込まれた材料は、高速回転するロータ翼5によってロータの回転により、ドラム側面10の内側であるドラム内壁16側へ巻き込まれる。このとき、ロータ翼5とドラム内壁16との隙間Xへ材料が続々と押し込まれ続け、ドラム内壁16へ押し付けられて、隙間X内にて材料同士が密着し、圧密域が形成される。
また、このときロータ翼5は、回転方向側が高位となるように傾斜される方向に回転するので、ロータ2の回転によってロータ翼5の下面13へ材料を受け、材料をドラム下方へ押し込み、ドラム底面11へ材料を押し付けるようになされる。
また、内方ロータ2aの回転により材料を続々と連続的に外方ロータ2bの公転方向の前方へ供給し続けることで、より多くの材料を確実に外方ロータ2bによる材料の圧密作用をおこさせるようになしている。
【0023】
混練工程は、前述の作用を起こすことにより、材料をドラム内壁16とドラム底面11へ押し付け、材料同士を圧密させる。材料が圧密されることにより、材料の周囲の水分及び材料へ含まれる水分が材料内部へ浸透される。さらには、材料同士の密着によって、材料が練り込まれて材料内方の空気が押し出され、密度の高い重質な材料を得ることができる。
これにより、材料が十分に練り込まれ、造粒物の元となる核が形成される。この核が圧密されて形成されることで、より強固なものとなり、生成される造粒物が、崩れにくく、ハンドリング性の良好な使いやすいものとなる。
本実施例において、アーム3の回動速度(ロータの公転速度)は、10〜15rpmが望ましく、特に13rpmが最も適している。また、ロータ2の回転速度(自転速度)は500〜600rpmが望ましく、このうち540〜550rpmが最も適している。
【0024】
図6は、造粒工程の作用を示す模式図である。
造粒工程は、前工程の混練工程で形成された核同士の塊を崩しながら、ドラム1内で転がすことで、個々の核の成長を促し、小径の造粒物を生成させる工程である。
このときの回転速度は、アーム3の回動速度(ロータ2の公転速度)は低速〜中速で回動する。また、ロータ2の回転速度(自転速度)は中速〜高速で回転させて、材料の小さな塊をロータ翼5で崩しながら、混練工程で形成した核をひとつひとつに分断させて造粒物となす。
【0025】
また、内方ロータ2aの回転方向を正回転(図6において時計廻り)とし、外方ロータ2bの回転方向を逆回転(図6において反時計廻り)とする。これにより、ロータ2の公転・自転によってロータ翼5を材料の塊へ当てて叩いて塊を崩し、材料を細分化することで、造粒物の芯となる核をバラバラに分断させる。
このときのロータ翼5の傾斜は、分散工程と同じく、ロータ2の回転方向側が低位となり、ロータ翼5の状面12へ材料が当たり、材料を上方へ巻き上げるようになされる。
【0026】
造粒工程では、前工程である分散工程・混練工程よりもロータ2の回転速度(自転速度)を低速にすることにより、成長させる造粒物を必要以上に壊すことなく造粒することができる。
本実施例における、造粒工程のアーム3の回動速度(ロータの公転速度)は、10〜20rpmが望ましい。このうち13〜17rpmが最も適している。また、ロータ2の回転速度(自転速度)は、200〜600rpmが望ましい。このうち350〜540rpmが最も適している。
【0027】
図7は整粒工程の作用を示す模式図である。
整粒工程は、前工程の造粒工程で生成した造粒物をさらに転動させて転がすことで、造粒物の粒径・表面粗さ等を整え、バラつきのない均一な造粒物を得るために実施される。
この整粒工程におけるアーム3の回動速度(ロータ2の公転速度)は、造粒物全体をできるだけ多く転動させるため、前述の全ての工程よりも高速回転で回動される。またロータ2の回転速度(自転速度)は、全ての工程よりも低速で回転され、生成した造粒物の形状を壊さないようになされる。
【0028】
このとき、内方ロータ2aの回転方向を正回転(図7において時計廻り)とし、外方ロータ2bの回転方向を逆回転(図7において反時計廻り)とする。これにより、造粒物がドラム全域に渡って送られ、転がされることにより、造粒物の転動がなされ、造粒物の大きさ・粒径・形状の均一化が行われる。
また、ロータ2が前述の回転方向に回転すると、ロータ翼5は、回転方向側が低位になるように傾斜されており、ロータ2が回転することでロータ翼上面12へ材料が当たり、傾斜によって上方へ持ち上げられながら、公転方向前方へ転がり落ちるようにして材料移動空間へ送られる。
【0029】
整粒工程は、前述の作用を起こすことにより、造粒物をドラム全域を使って転がさせて、成長した造粒物を壊すことなく、転動させて造粒物の形状調整を行う。また、材料移動空間をドラム内の中央部に確保することにより、造粒物の転動を十分に行うことが可能となる。これにより、造粒物の表面をならして整形された凹凸のない形状となし、且つ造粒物の大きさを揃えて、粒径・形状の均一な一定品質の造粒物を生成することができる。
前述の条件による本実施例において、アーム3の回動速度(ロータの公転速度)は、15〜25rpmが望ましい。このうち16〜20rpmが最も適している。また、ロータ2の回転速度(自転速度)は、200〜300rpmが望ましい。このうち240〜260rpmが最も適している。
【0030】
本実施例では、混練工程において粉体材料へ水を投入しているが、材料全体へ均一に水分を行き渡らせるために前工程である分散工程の終了直前に水を投入し、分散工程の作用により水分を粉体へ均等に分散した後、混練工程を実施し、水分の粉体への浸透を図ることを行うこともできる。
【0031】
各工程におけるロータ2の公転回転速度と、ロータ2の自転回転方向及び自転回転速度を表1にまとめている。
【0032】
【表1】

【0033】
これらの実施例によるアーム3の回動速度(ロータ2の公転回転速度)、ロータ2の自転回転速度及び傾斜角度は、材料の種類、ドラム1の径、ロータ2の数、ロータ翼5の径、所望する粒径、造粒時間などの条件により変動するものであり、本発明においては、各工程間の相対的な速度の違いに特徴があるものである。
本発明は、前述の4つの工程における、ロータ2の公転回転速度、ロータ2の自転回転速度が以下の関係となることにより各工程の作用を発言させて造粒を行うものである。
(ア)前記ロータ2の公転回転速度が、整粒工程時の公転回転速度>造粒工程時の公転回転速度>分散工程時の公転回転速度及び混練工程時の公転回転速度で実施されること、
(イ)前記ロータ2の自転回転速度が、分散工程時の自転回転速度及び混練工程時の自転回転速度>造粒工程時の自転回転速度>整粒工程時の自転回転速度で実施されること。
【符号の説明】
【0034】
1 ドラム
2 ロータ
2a 内方ロータ
2b 外方ロータ
3 アーム
4 回転軸部
5 ロータ翼
10 ドラム側面
11 ドラム低面
12 ロータ翼上面
13 ロータ翼下面
16 ドラム内壁
21 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を内部に貯えるドラムと、ロータ翼を有し前記ドラム内に公転しながら自転する複数のロータと、該ロータをモータにより回転自在に駆動させる駆動部を備え、前記ロータの自転が回転方向・回転速度を任意に選定される造粒物の製造装置において、前記駆動部がドラムの上方へ配置されて材料移動空間をドラム中央部へ確保しており、前記ロータが、ドラム内の中央部に備えられる内方ロータと、該内方ロータへ対向して設けられドラムの外縁側に備えられる外方ロータからなり、前記ロータ翼が水平に対して傾斜角度を有して回転軸へ放射状に備えられることを特徴とする造粒物の製造装置。
【請求項2】
前記ロータが、複数の外方ロータを備えていることを特徴とする請求項1に記載の造粒物の製造装置。
【請求項3】
材料を内部に貯えるドラムと、該ドラム内に公転しながら自転するロータを備え、該ロータがドラム内の中央部を攪拌する内方ロータと、前記中央部の外縁部を攪拌する複数の外方ロータから構成され、前記ロータを駆動させる駆動源がドラム上方に配置されて材料移動空間をドラム中央部へ確保され、前記ロータが回転方向・回転速度を任意に選定される装置を用いて分散工程・混合工程・造粒工程・整粒工程の4工程を同じドラム内で一連の連続作業となして実施すると共に、下記の制限条件に従いながら実施する造粒物の製造方法、
(ア)前記分散工程が、内方ロータの自転回転方向を正回転で回転させて実施され、外方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施されること、
(イ)前記混合工程が、内方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施され、外方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施されること、
(ウ)前記造粒工程が、内方ロータの自転回転方向を正回転で回転させて実施され、外方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施されること、
(エ)前記整粒工程が、内方ロータの自転回転方向を正回転で回転させて実施され、外方ロータの自転回転方向を逆回転で回転させて実施されること。
【請求項4】
前記ロータの公転回転速度及び自転回転速度が、下記の制限条件に従いながら実施する請求項3に記載の造粒物の製造方法、
(ア)前記ロータの公転回転速度が、整粒工程時の公転回転速度>造粒工程時の公転回転速度>分散工程時の公転回転速度及び混練工程時の公転回転速度で実施されること、
(イ)前記ロータの自転回転速度が、分散工程時の自転回転速度及び混練工程時の自転回転速度>造粒工程時の自転回転速度>整粒工程時の自転回転速度で実施されること。
【請求項5】
前記混練工程が、外方ロータの回転によりドラム内壁と外方ロータのロータ翼との隙間へ材料を圧密させて実施され、前記造粒工程が、ロータの回転によりドラム内へ材料を拡散させて実施されていることを特徴とする請求項3または4に記載の造粒物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−115755(P2012−115755A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267069(P2010−267069)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000154901)株式会社北川鉄工所 (63)
【Fターム(参考)】