説明

造粒粒子及びそれを含有する製剤

【課題】フマル酸クレマスチンの経時安定性と溶出性とを両立する優れた造粒粒子及びそれを含有する製剤を提供する。
【解決手段】(A)フマル酸クレマスチンと、(B)セルロース、水不溶性セルロース誘導体、及び2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s以上である水溶性セルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上とを含有し、上記(A)成分及び(B)成分の合計含有量が50〜100質量%であり、かつ(A)/(B)で表される質量比が1/50〜1/420である造粒粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ヒスタミン剤であるフマル酸クレマスチン含有造粒粒子、これを含有する製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フマル酸クレマスチンには、抗ヒスタミン作用、鎮静作用、抗コリン作用、抗セロトニン作用、抗アドレナリン作用等が知られており、アレルギー性皮膚疾患(じんま疹、湿疹、皮膚炎、そう痒症)やアレルギー性鼻炎に用いられている。しかしながら、特に高温多湿の条件下において経時安定性に課題があった。
【0003】
薬剤の経時安定性を向上させる目的では、糖類やデンプン類等の賦形剤を用いて造粒粒子とする方法が知られている。フマル酸クレマスチンについても賦形剤を用いて造粒することが提案されている(特許文献1:特開2005−330245号公報参照)。しかしながら、この場合賦形剤の配合量が多く、経時安定性は改善されるものの、フマル酸クレマスチンの溶出性が遅延するという課題があった。一方、賦形剤の配合量が少ないと、造粒粒子を製造できないか、あるいは製造できてもフマル酸クレマスチンの経時安定性は改善されず、経時安定性と溶出性を両立することは困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開2005−330245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、フマル酸クレマスチンの経時安定性と溶出性とを両立する優れた造粒粒子及びそれを含有する製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討したところ、(A)フマル酸クレマスチンを含有する造粒粒子において、(B)セルロース、水不溶性セルロース誘導体及び2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s以上である水溶性セルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上を賦形剤とし、上記(A)成分及び(B)成分の合計含有量を50〜100質量%、かつ(A)/(B)で表される質量比を1/50〜1/420の範囲とすることで、フマル酸クレマスチンの経時安定性と溶出性が格段に向上し得ることを知見し、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は
[1].(A)フマル酸クレマスチンと、(B)セルロース、水不溶性セルロース誘導体、及び2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s以上である水溶性セルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上とを含有し、上記(A)成分及び(B)成分の合計含有量が50〜100質量%であり、かつ(A)/(B)で表される質量比が1/50〜1/420である造粒粒子、
[2].さらに、(C)結合剤を含有する[1]記載の造粒粒子、
[3].さらに、(D)界面活性剤を含有する[1]又は[2]記載の造粒粒子、
[4].[1]〜[3]のいずれかに記載の造粒粒子を含有する粒状内服製剤、
[5].[1]〜[3]のいずれかに記載の造粒粒子を含有する固形内服製剤を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フマル酸クレマスチンの経時安定性と溶出性とを両立する優れた造粒粒子及びそれを含有する製剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の造粒粒子は、(A)フマル酸クレマスチンと、(B)セルロース、水不溶性セルロース誘導体、及び2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s以上である水溶性セルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上とを含有し、上記(A)成分及び(B)成分の合計含有量が50〜100質量%であり、かつ(A)/(B)で表される質量比が1/50〜1/420である造粒粒子である。
【0010】
(A)フマル酸クレマスチン
抗ヒスタミン作用、鎮静作用、抗コリン作用、抗セロトニン作用、抗アドレナリン作用等が知られており、アレルギー性皮膚疾患(じんま疹、湿疹、皮膚炎、そう痒症)やアレルギー性鼻炎に用いられている。造粒粒子全量に対するフマル酸クレマスチンの含有量は特に限定されないが、医薬品承認基準量である1.34mg/1日量となるように、適宜調整して配合するのが好ましい。
【0011】
(B)セルロース、水不溶性セルロース誘導体、及び2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s以上である水溶性セルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上
上記セルロース又はセルロース誘導体は賦形剤として用いられるものである。このセルロース又はセルロース誘導体を用いることにより、フマル酸クレマスチンの経時安定性と溶出性を両立することができる。一方、従来、賦形剤として最も多用される糖類やデンプン類では両者を両立することは困難である。
【0012】
セルロースとしては結晶セルロース、微結晶セルロース、粉末セルロース等が挙げられる。結晶セルロース、粉末セルロースは第15改正日本薬局方に記載されたものを意味し、微結晶セルロースは結晶セルロースを主成分とする食品添加物として知られているものである。本発明において、水不溶性セルロース誘導体とは、「ほとんど溶けない(第15改正日本薬局方)」基準以下の水溶解性であるもの、又は「水を加えるとき膨潤して懸濁液となる」性状を有するものをいう。具体的には、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、酢酸フタル酸セルロース等が挙げられる。また、本発明において水溶性セルロース誘導体とは、「水を加えたときに膨潤して粘稠性のある液となる(第15改正日本薬局方)」性状を有するものをいい、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられ、本発明においては、2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s以上であるものを用いる。
【0013】
なお、本発明において上記粘度は(実施例も含む)、以下の条件で求められた値である。
回転粘度計:LVDVII+PRO(BROOK FIELD社製:単一円筒形回転粘度計)
スピンドルNo.ULA
測定容器:トールビーカー500mL
測定液量:約450mL
測定温度:20℃
回転数:60rpm
測定時間:4分
【0014】
(B)セルロース又はセルロース誘導体としては、セルロース、水不溶性セルロース誘導体が好ましく、セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましく、結晶セルロース、微結晶セルロースがさらに好ましい。なお、本発明において低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとは、第15改正日本薬局方に記載されたものを意味し、セルロースの低置換度ヒドロキシプロピルエーテルであり、乾燥品を定量したときヒドロキシプロポキシ基を5.0〜16.0質量%含む水不溶性セルロース誘導体である。
【0015】
造粒粒子全量に対する(A)成分及び(B)成分の合計含有量は50〜100質量%であり、60〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましい。また、(A)/(B)で表される(A)成分含有量と(B)成分含有量との質量比は1/50〜1/420であり、1/100〜1/400が好ましく、1/120〜1/250がより好ましい。フマル酸クレマスチンの含有量1質量部に対して、(B)成分の含有量50質量部未満では、フマル酸クレマスチンの安定化効果が十分でなく、420質量部を超えると、造粒粒子が硬くなりすぎ、フマル酸クレマスチンの溶出性が劣る。なお、本発明において、各成分を2種以上組み合わせる場合の量はその合計量である。
【0016】
本発明の造粒粒子には、上記(A),(B)成分の他、(C)結合剤を含有することが、造粒しやすく粒子径のコントロールが容易となり好ましい。結合剤としては、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸等の水溶性高分子化合物が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。本発明において水溶性高分子化合物とは、「水を加えたときに膨潤して粘稠性のある液となる(第15改正日本薬局方)」性状を有するものである。ただし、セルロース誘導体の場合においては、その2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s未満のものを(C)結合剤とし、上記(B)成分とは区別される。
【0017】
(C)結合剤としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(但し、セルロース誘導体の場合は、その2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s未満である)がより好ましい。さらに、本発明の(C)成分は、その2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s未満であることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.5mPa・sであり、さらに好ましくは1.2〜5.0mPa・sであり、特に好ましくは1.5〜4.0mPa・sである。この範囲で、本発明の効果が特に向上する。また、ポリビニルアルコールは、けん化度が96mol%以下のものが好ましい。なお、粘度測定法は上記と同じである。
【0018】
造粒粒子全量に対する(C)成分の含有量は、通常0〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
【0019】
本発明の造粒粒子には、上記成分の他、(D)界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0020】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール、水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミン、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ショ糖エステル、メチルグルコシドエステル、メチルグルカミド等が挙げられる。
【0021】
アニオン界面活性剤としては、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシル−N−メチルβアラニン塩等のN−アシルアミノ酸塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、リン酸アルキル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、N−アシルアミノエチルジエチルアミン塩、N−アシルグアニジン塩等が挙げられる。
【0022】
両性界面活性剤としては、大豆リン脂質、水素添加大豆リン脂質、卵黄リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、ホスファチジルコリン等のレシチン誘導体、N−アルキルジメチルアミンオキサイド、N−アルキル−β−イミノジプロピオン酸塩、N−アルキルジメチルベタイン、N−アシル−ジメチルベタイン、N−アシルアミドプロピルジメチルベタイン、2−アルキルイミダゾリン誘導体、N−アルキルスルホベタイングルカミン、N−アルキルカルボキシベタイングルカミン等が挙げられる。
【0023】
上記の中でも、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、内服の観点から、ノニオン界面活性剤がより好ましい。
【0024】
造粒粒子全量に対する(D)成分の含有量は、通常0.0001〜1.0質量%であり、本発明の造粒粒子中における、[(A)+(B)]/(D)で表される、(A)フマル酸クレマスチンと(B)セルロース又はその誘導体との合計含有量と、(D)界面活性剤の含有量との質量比は、1/0.001〜1/0.2が好ましく、1/0.005〜1/0.05がより好ましい。
【0025】
本発明の造粒粒子には、上記成分の他、任意成分として、崩壊剤、香料、甘味剤、酸味剤、他の賦形剤等の添加剤を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。その量は、本発明の効果を損なわない範囲(造粒粒子全量に対する上限として通常20質量%、好ましくは10質量%)で配合することができる。
【0026】
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロース、クロスポビドン等を用いることができる。香料としては、例えば、メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)等を用いることができる。甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等を用いることができる。酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等を用いることができる。
【0027】
他の賦形剤としては、糖類、デンプン類の粉体等が挙げられる。糖類として具体的には、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。
【0028】
デンプン類として具体的には、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン(ポテトスターチ)、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン等のデンプン誘導体等が挙げられる。
【0029】
本発明の造粒粒子は、例えば、下記湿式造粒法により得ることができ、湿式造粒粒子とすることが好ましい。本発明における湿式造粒法としては、噴霧造粒法、撹拌造粒法、流動造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法等が挙げられるが、流動造粒法は生成する粒子が多孔質になりやすく、溶出性に特に優れるため、流動造粒法が特に好ましい。
【0030】
例えば、流動造粒は、上記(A)及び(B)、必要に応じて任意成分を混合した後、流動層造粒装置にて、(C)成分、必要に応じて(D)成分を含有する水溶液を噴霧しながら、湿式造粒することにより、得ることができる。(上記水溶液中の(C)成分の含有量は0.01〜10質量%が好ましい。流動層造粒装置としては、(株)パウレックのGPCGシリーズ、WSG/WST/WHシリーズ、フロイント産業(株)のフローコーター、スパイラフロー等が挙げられる。造粒後の乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば流動造粒法の場合、流動槽内で40〜100℃の温風を吹き込みながら乾燥することができる。
【0031】
本発明の造粒粒子は、そのまま、又は他の成分と混合して粒状内服製剤とすることができる。また、造粒粒子をそのまま、又は他の成分と混合し打錠して、錠剤等の固形内服製剤とすることができる。
【0032】
本発明の造粒粒子の含有量は、医薬製剤組成物中のフマル酸クレマスチン配合量に応じて適宜調整することができ、例えば、粒状内服製剤1〜100質量%が好ましく、固形内服製剤中1〜100質量%が好ましい。
【0033】
上記粒状内服製剤とする場合、本発明の造粒粒子の粒子径は、日本薬局方で定める散剤、顆粒剤に適合するよう、適宜調整することが好ましい。固形内服製剤とする場合、本発明の造粒粒子の粒子径は、150〜600μm(篩:100〜28mesh(Tyler))が70質量%以上である粒度を有することが好ましい。
【0034】
本発明の粒状内服製剤又は固形内服製剤には、本発明の造粒粒子の他に、目的に応じて、他の有効成分、賦形剤、崩壊剤、甘味料、酸味料、滑沢剤、フィルムコーティング剤、色素、香料等を配合することができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0035】
他の有効成分としては、特に限定されないが、例えば、ナプロキセン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、イソプロピルアンチピリン、塩酸ブロムヘキシン、塩酸ノスカピン、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジヒドロコデイン、メフェナム酸、フルフェナム酸アルミニウム、イブプロフェン、アセトアミノフェン、無水カフェイン、マレイン酸クロルフェニラミン、ジプロフィリン、塩酸メクリジン、塩酸メチルエフェドリン、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、アスコルビン酸カルシウム、オキサプロジン、フェンブフェン、アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ラクチルフェネチジン、システイン、プソイドエフェドリン、エフェドリン、デキストロメトルファン、クロフェジアノール、カルベタペンタン、カラミフェン、ノスカピン、ジフェンヒドラミン、メントール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、抱水テルピン、N−アセチルシステイン、ブロムヘキシン、アンブロキソール、トリプロリジン、アザタジン、ドキシルアミン、トリペレナミン、シプロヘプタジン、ヒドロキシジン、セチリジン、エバスチン、ロドキサミド、レボカバスチン、セタスチン、タジフィリン、テメラスチン、テルフェナジン、テルブタリン、エピネフリン、イソプレナリン、アセチルサリチル酸、フェノプロフェン、ドキシラミン、フェニルプロパノールアミン、コデイン、ホミノベン、グアヤコール酸グリセリル、カルビノキサミン、フェニンダミン、ブロモジフェンヒドラミン、ピリラミン、アクリバスチン、アステミゾール、アゼラスチン、ケトチフェン、ロラチジン、オキサトミド、アトロピン、アミノフィリン、イソプレナリン、メタプロテレノール、ビトテロール、テオフィリン、アルブテロール、ベンゾカイン、ヘキシルレゾルシノール、ジクロニン、フェンブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、デキストロメトルファンHBr、コハク酸ドキシルアミン、プソイドエフェドリンHCl、トリプロリジンHCl、カルプロフェン、チアプロフェン酸、シクロプロフェン、ケトロラック、エトドラック、スリンダック、ジクロフェナック、ピロキシカム、ナブメトン、フェニレフリン、バシシン、カルボシステイン、ソブレロール、ジメンヒドリネート、ベラドンナ総アルカロイド、トラネキサム酸、塩化リゾチウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、塩酸フェニレフリン等が挙げられる。
【0036】
賦形剤としては、セルロース類の粉体、糖類の粉体、デンプン類、二酸化ケイ素等の粉体等が挙げられる。セルロース類の粉体として具体的には、結晶セルロース、粉末セルロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースがより好ましく、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースがさらに好ましい。
【0037】
糖類の粉体として具体的には、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖など)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が好ましい。
【0038】
デンプン類の粉体として具体的には、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン(ポテトスターチ)、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン等のデンプン誘導体等が好ましく、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)がより好ましい。
賦形剤としては、セルロース類の粉体、デンプン類の粉体が好ましく、セルロース類の粉体がより好ましい。
【0039】
崩壊剤としては、例えば、クロスカルメロース、クロスポビドン等を用いることができる。香料としては、例えば、メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)等を用いることができる。
【0040】
甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸ジカリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等を用いることができる。
【0041】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等を用いることができる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができる。フィルムコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルフタレート、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、セラック、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、カルボキシビニルポリマー等の高分子化合物を用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0043】
[実施例1〜5、比較例1〜5]
(A)、(B)、その他の賦形剤を混合した後、流動層造粒機にて(C)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SSL,日本曹達(株)製、2質量%水溶液の20℃における粘度2.5mPa・s)の9質量%水溶液(実施例4はヒドロキシプロピルセルロースと(D)界面活性剤を含む水溶液)を、バインダーとして噴霧しながら湿式造粒し、70℃にて乾燥して造粒粒子を得た。得られた造粒粒子について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。
【0044】
[フマル酸クレマスチンの経時安定性]
造粒粒子をガラスバイアル瓶に封入し、50℃・75%RHにて2ヶ月保存した後、HPLC法にてフマル酸クレマスチンの含量を測定し、初期値に対するフマル酸クレマスチンの質量%を算出した。結果を下記評価基準に基づいて示す。
<評価基準>
◎:フマル酸クレマスチンの含量 97%以上
○:フマル酸クレマスチンの含量 94%以上97%未満
△:フマル酸クレマスチンの含量 90%以上94%未満
×:フマル酸クレマスチンの含量 90%未満
【0045】
[溶出性]
日局一般試験法に準じてフマル酸クレマスチンの溶出性を測定し、30分における溶出率(質量%)を算出した。結果を下記評価基準に基づいて示す。
<評価基準>
◎:フマル酸クレマスチンの溶出率 60%以上
○:フマル酸クレマスチンの溶出率 40%以上60%未満
△:フマル酸クレマスチンの溶出率 20%以上40%未満
×:フマル酸クレマスチンの溶出率 20%未満
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
[実施例6]
総合感冒薬(細粒)
下記組成をボーレ型混合機にて混合した。
(質量部)
実施例1の造粒粒子 211.34
イブプロフェン 450
塩酸ブロムヘキシン 12
dl−塩酸メチルエフェドリン 60
リン酸ジヒドロコデイン 24
無水カフェイン 75
アスコルビン酸カルシウム 500
乳糖 700
【0049】
[実施例7]
総合感冒薬(錠剤)
下記組成からなる混合末をボーレ型混合機にて混合した後、打錠機(菊水製作所リブラ打錠機)で圧縮成形し、1錠約240mgに成錠した。
(質量部)
実施例2の造粒粒子 241.34
イブプロフェン 450
塩酸ブロムヘキシン 12
dl−塩酸メチルエフェドリン 60
リン酸ジヒドロコデイン 24
無水カフェイン 75
アスコルビン酸カルシウム 500
乳糖 600
含水二酸化ケイ素 90
クロスカルメロースナトリウム 100
ステアリン酸マグネシウム 10
【0050】
[実施例8]
鼻炎用薬(錠剤)
下記組成からなる混合末をボーレ型混合機にて混合した後、打錠機(菊水製作所リブラ打錠機)で圧縮成形し、1錠約250mgに成錠した。
(質量部)
実施例3の造粒粒子 561.34
塩酸フェニレフリン 15
ベラドンナ総アルカロイド 0.4
グリチルレチン酸 200
無水カフェイン 150
コーンスターチ 520
クロスカルメロースナトリウム 50
ステアリン酸マグネシウム 10
【0051】
[実施例9]
鼻炎用薬(錠剤)
下記組成からなる混合末をボーレ型混合機にて混合した後、打錠機(菊水製作所リブラ打錠機)で圧縮成形し、1錠約250mgに成錠した。
(質量部)
実施例4の造粒粒子 381.34
ベラドンナ総アルカロイド 0.4
塩化リゾチウム 90
グリチルリチン酸ジカリウム 30
無水カフェイン 75
含水二酸化ケイ素 70
結晶セルロース 400
コーンスターチ 450
ステアリン酸マグネシウム 10
【0052】
[実施例10]
抗アレルギー薬(錠剤)
下記組成からなる混合末をボーレ型混合機にて混合した後、打錠機(菊水製作所リブラ打錠機)で圧縮成形し、1錠約300mgに成錠した。
(質量部)
実施例1の造粒粒子 211.34
アセトアミノフェン 900
dl−塩酸メチルエフェドリン 60
グアヤコールスルホン酸カリウム 250
トラネキサム酸 420
無水カフェイン 75
乳糖 700
クロスカルメロースナトリウム 50
ステアリン酸マグネシウム 30
【0053】
[実施例11]
鎮咳去痰薬(錠剤)
下記組成からなる混合末をボーレ型混合機にて混合した後、打錠機(菊水製作所リブラ打錠機)で圧縮成形し、1錠約250mgに成錠した。
(質量部)
実施例3の造粒粒子 561.34
イブプロフェン 450
リン酸ジヒドロコデイン 24
塩酸ノスカピン 48
グアイフェネシン 250
無水カフェイン 75
含水二酸化ケイ素 25
結晶セルロース 400
コーンスターチ 400
ステアリン酸マグネシウム 18
実施例6〜11について、実施例1〜5と同様にフマル酸クレマスチンの経時安定性と溶出性を評価したところ、いずれも良好であった。
【0054】
実施例及び比較例を調製する際に用いた原料を以下に示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フマル酸クレマスチンと、(B)セルロース、水不溶性セルロース誘導体、及び2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s以上である水溶性セルロース誘導体から選ばれる1種又は2種以上とを含有し、上記(A)成分及び(B)成分の合計含有量が50〜100質量%であり、かつ(A)/(B)で表される質量比が1/50〜1/420である造粒粒子。
【請求項2】
さらに、(C)結合剤を含有する請求項1記載の造粒粒子。
【請求項3】
さらに、(D)界面活性剤を含有する請求項1又は2記載の造粒粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の造粒粒子を含有する粒状内服製剤。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項記載の造粒粒子を含有する固形内服製剤。

【公開番号】特開2010−6747(P2010−6747A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168382(P2008−168382)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】