説明

連写画像編集プログラム、連写画像編集方法及び連写画像編集装置

【課題】印刷装置の連写印刷機能において、操作者の編集作業を繁雑なものにすることなく、連写に係る連写画像のそれぞれについて個別的な編集を可能とする。
【解決手段】
プリンタドライバ3から、印刷に係る原稿データ、及び原稿データの印刷に関する設定情報を取得して原稿データを連写展開し、原稿データの展開後の座標位置を演算し、操作者の操作に従って、連写された各原稿データをグルーピングし、各グループに属する原稿データの座標を記憶しておき、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理について、編集が行われた結果、変更された範囲を置換データとして切り出し、編集された原稿データが属するグループの他の原稿データについて、置換データを切り出した範囲と対応する、展開後の座標位置に、置換データを挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータに接続されたプリンターを制御するために、該コンピュータ上で実行されるプリンタドライバと連携して実行される連写画像編集プログラム、連写画像編集方法及び連写画像編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに接続され、コンピュータ上で作成された文書や画像を印刷するプリンター装置では、例えばB6サイズの一つの原稿画像をB4サイズの印刷用紙上に複数並べて複写する、いわゆる連写印刷機能を備えるものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
かかる印刷装置による印刷では、コンピュータ上で実行されているアプリケーションソフトから出力された印刷に係るデータを、プリンタドライバを介して、印刷装置に送出し、印刷処理を実行する。上記連写を行う際、アプリケーションソフトから取得した印刷データを複数並べて複写し、連写印刷用のデータを生成して、印刷装置に転送する。このような連写印刷機能を備えたプリンタドライバと連携して、連写画像を編集する機能を提供する連写画像編集アプリケーションもある。
【0004】
このような連写画像編集アプリケーションにおける連写画像の編集方式としては、連写前の元原稿のデータに対して編集を行い、編集後のデータを連写する一括編集方式か、連写された後の画像それぞれに対して個別に編集処理を行う個別編集方式がある。
【特許文献1】特開平11−320808
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の連写画像編集アプリケーションでは、一括編集方式による場合には、連写に係る全ての画像について個別に編集ができないという問題があり、一方、個別編集方式では、多様な編集が可能ではあるが、全ての連写画像に対して編集操作を施さなければならず、同様の作業を繰り返し行う必要があり、操作が煩雑になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、印刷装置の連写印刷機能において、操作者の編集作業を繁雑なものにすることなく、連写に係る連写画像のそれぞれについて個別的な編集を可能とする連写画像編集プログラム、連写画像編集方法及び連写画像編集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータに接続されたプリンターを制御するために、コンピュータ上で実行されるプリンタドライバと連携して実行される連写画像編集プログラムであって、コンピュータに、
(1)プリンタドライバから、印刷に係る原稿データ、及び原稿データの印刷に関する設定情報を取得し、設定情報に応じて、原稿データを連写して、原稿データを複数並べるようにして展開させる連写展開ステップと、
(2)連写展開ステップにより、連写されて展開された原稿データの展開後の座標位置を演算する展開座標演算ステップと、
(3)操作者の操作に従って、連写された各原稿データのうち任意の原稿データを選択してグルーピングし、各グループに属する原稿データの座標を記憶するグルーピングステップと、
(4)各グループに属する原稿データのうち、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理について、編集が行われた結果、変更された範囲を置換データとして切り出し、この切り出された置換データと、切り出した範囲の原稿データ上における座標とを関連づけて記憶する編集処理ステップと、
(5)編集された原稿データが属するグループの他の原稿データについて、置換データを切り出した範囲と対応する、展開後の座標位置に、置換データを挿入する画像置換ステップと
を実行させる。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに接続されたプリンターを制御するために、コンピュータ上で実行されるプリンタドライバと連携して、印刷に係る連写された原稿データを編集する連写画像編集方法であって、
(1)プリンタドライバから、印刷に係る原稿データ、及び原稿データの印刷に関する設定情報を取得し、設定情報に応じて、原稿データを連写して、原稿データを複数並べるようにして展開させる連写展開ステップと、
(2)連写展開ステップにより、連写されて展開された原稿データの展開後の座標位置を演算する展開座標演算ステップと、
(3)操作者の操作に従って、連写された各原稿データのうち任意の原稿データを選択してグルーピングし、各グループに属する原稿データの座標を記憶するグルーピングステップと、
(4)各グループに属する原稿データのうち、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理について、編集が行われた結果、変更された範囲を置換データとして切り出し、この切り出された置換データと、切り出した範囲の原稿データ上における座標とを関連づけて記憶する編集処理ステップと、
(5)編集された原稿データが属するグループの他の原稿データについて、置換データを切り出した範囲と対応する、展開後の座標位置に、置換データを挿入する画像置換ステップと
を有する。
【0009】
さらに、本発明は、印刷に係る連写された原稿データを編集する連写画像編集装置であって、プリンタドライバから、印刷に係る原稿データ、及び原稿データの印刷に関する設定情報を取得し、設定情報に応じて、原稿データを連写して、原稿データを複数並べるようにして展開させる連写展開部と、連写展開部により、連写されて展開された原稿データの展開後の座標位置を演算する展開座標演算部と、操作者の操作に従って、連写された各原稿データのうち任意の原稿データを選択してグルーピングし、各グループに属する原稿データの座標を記憶するグルーピング管理部と、各グループに属する原稿データのうち、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理について、編集が行われた結果、変更された範囲を置換データとして切り出し、この切り出された置換データと、切り出した範囲の原稿データ上における座標とを関連づけて記憶する編集処理管理部と、編集された原稿データが属するグループの他の原稿データについて、置換データを切り出した範囲と対応する、展開後の座標位置に、置換データを挿入する画像置換処理部とを有する。
【0010】
このような本発明の連写画像編集プログラム、編集方法、及び編集装置によれば、連写される複数の原稿データのうち、任意の原稿データを選択してグルーピングし、グループ単位での編集を行うことができる。このグループ単位での編集に際しては、グループに属する原稿データのうち、いずれかに対して編集処理を施せば、そのグループに属する他の原稿データに対しても、編集処理が反映される。従って、本発明によれば、グルーピングを行うことによって、編集作業が反映される範囲を規定することができ、グループ単位では、一括して編集作業を反映させることができるため、操作者による編集作業の効率化を図ることができる。
【0011】
上記発明において、グルーピングでは、原稿データを重複して選択することが可能であり、編集処理では、ある一つの編集処理における置換データを切り出した範囲が、他の編集処理における展開後の座標位置と重複するか否かの判断を行い、重複すると判断した場合に、エラー処理を実行することが好ましい。なお、ここでいうエラー処理としては、画面上におけるメッセージ表示や、音声や音響等による警告、作業の強制終了等が挙げられる。
【0012】
この場合には、複数パターンの編集作業を、重複した範囲のグループ毎に行える一方で、各原稿データ内において編集対象となる範囲が重複するのをエラー処理により回避することができ、編集作業が相互に矛盾したり、他方の編集作業が無効となったりするのを防止することができる。
【0013】
上記発明における連写展開では、原稿データのサイズ及び解像度と、設定情報に含まれる印刷用紙のサイズ及び印刷方向に関する情報とに基づき、プリンタドライバ側において、原稿データを圧縮し、連写画像編集プログラム側に送信させ、当該連写画像編集プログラム側において、圧縮された原稿データ及び設定情報に基づいて、圧縮された原稿データの連写回数及び展開方向を決定し、連写を実行することが好ましい。
【0014】
この場合には、通常印刷を行うプリンタドライバと、連写画像の編集を行うアプリケーション(連写画像編集プログラム)とを連携させる際、編集処理の負荷を低減させることができる適切な原稿データの展開形態を決定することにより、データ転送に際しての画質を劣化させることなく、これらのプリンタドライバとアプリケーション間で効率よくデータを共有することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、この発明によれば、コンピュータに接続されたプリンターを制御するために、コンピュータ上で実行されるプリンタドライバと連携して実行されるアプリケーションによる連写印刷機能において、操作者の編集作業を繁雑なものにすることなく、連写に係る連写画像のそれぞれについて個別的な編集が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る連写画像編集装置の実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る連写画像編集装置の全体構成を示す概念図である。なお、本実施形態中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0017】
本実施形態において、連写画像編集装置は、印刷に係る連写された原稿データを編集する装置であり、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータ上において、本発明の連写画像編集プログラム(本実施形態では、プリンタドライバ3及び連写画像編集アプリケーション4)を実行することにより構成される。
【0018】
詳述すると、この本実施形態係る連写画像編集プログラムを、ユーザー端末やWebサーバ等のコンピュータやICチップにインストールし、CPU上で実行することにより、後述する各機能を有する連写画像編集装置を構築することができる。このプログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、またスタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。
【0019】
そして、このような連写画像編集プログラムは、汎用コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録することができる。具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD−ROMやDVD−ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピュータや専用コンピュータを用いて、上述したシステムや方法を実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【0020】
プリンタドライバ3は、コンピュータ1に接続されたプリンター2を制御するために、コンピュータ1上で実行されるプログラムであり、通常は、例えばワープロソフト等のアプリケーションソフト5で作成された原稿データを取得し、所定の印刷設定情報に従って印刷用のイメージデータを生成し、プリンター2に送出し、印刷処理を実行する。そして、このプリンタドライバ3は、操作者が連写処理を指示する操作を行った場合、連写画像編集アプリケーション4を呼び出し、印刷に係る原稿データを連写画像編集アプリケーション4に対して送出する。
【0021】
図2は、コンピュータ上に構築された連写画像編集装置の構成を示すブロック図である。具体的にプリンタドライバ3は、図2に示すように、アプリケーションソフト5側から原稿データ及び印刷設定データを取得し、印刷設定データに従って、原稿データを、印刷用データに変換し、プリンター2へ送出するモジュールであり、本実施形態では、データ変換部33と、通信部34と、制御部32と、連写要求判断部31とを備えている。印刷設定データは、ユーザー操作に従って設定された印刷設定情報を保持するデータであり、例えば、印刷用紙のサイズ及び印刷方向に関する情報、カラー印刷の諸設定、余白設定等が含まれている。
【0022】
データ変換部33は、アプリケーションソフト5から取得した原稿データを印刷用データ(イメージデータ)に変換するモジュールであり、制御部32によって制御され、変換後の印刷用データは、通信部34を介してプリンター2へ送出されるか、或いは、連写画像編集アプリケーション4へ転送される。この連写画像編集アプリケーション4への転送に際して、データ変換部33は、原稿データのサイズ及び解像度と、設定情報に含まれる印刷用紙のサイズ及び印刷方向に関する情報とに基づき、原稿データの圧縮・非圧縮及び連写を選択し実行する機能も備えている。
【0023】
通信部34は、プリンター2との間でデータの送受信を行う通信インターフェースであり、例えば、シリアル方式や、USB方式によりデータの通信を行う。制御部32は、プリンタドライバ3の動作を制御するモジュールであり、主として、印刷設定データに従ってデータ変換部33におけるデータ変換処理を制御する機能を備えている。また、この制御部32には、連写要求判断部31が接続されている。
【0024】
連写要求判断部31は、印刷設定データに含まれる設定情報に応じて、連写処理が要求されているか否かを判断するモジュールであり、連写処理が要求されていると判断した場合には、制御部32を通じて、データ変換部33によって連写用に変換されたデータ(連写用原稿データ)を連写画像編集アプリケーション4に送出させる。
【0025】
一方、連写画像編集アプリケーション4は、プリンタドライバ3と連携して実行され、印刷に係る連写された原稿データを編集するアプリケーションソフトであり、コンピュータ1上で実行されることによって、コンピュータ1上に連写画像編集装置を仮想的に構築する。この連写画像編集アプリケーション4によって構築される仮想的な連写画像編集装置は、具体的に、編集操作部41と、データ加工部42と、通信部43とを備えている。
【0026】
編集操作部41は、マウス1aやキーボード1b等の操作デバイスから入力信号を取得し、その入力信号に応じて、印刷に係る原稿データの加工に必要な操作信号をデータ加工部42に出力するモジュールである。なお、この編集操作部41には、編集操作に必要なGUIを提供する機能も備えており、GUIに必要な表示情報をディスプレイ1c等の出力装置に出力する。
【0027】
データ加工部42は、プリンタドライバ3から取得した原稿データを連写して、複数並べるようにして展開し、その展開されたデータに対して編集処理を施すモジュールであり、加工された印刷用データを、通信部43を介して、プリンター2へ送出する。通信部43は、上記通信部34と同様、連写印刷用のデータをプリンター2へ送出するための通信インターフェースである。
【0028】
さらに、前記データ加工部42は、図2(b)に示すように、連写展開部422と、展開座標演算部421と、グルーピング管理部423と、画像置換処理部424と、編集処理管理部425と、置換画像生成部426と、データ変換部427とを備えている。
【0029】
連写展開部422は、プリンタドライバ3から、印刷に係る原稿データ、及び原稿データの印刷に関する設定情報を取得し、この設定情報に応じて、原稿データを連写して、原稿データを複数並べるようにして展開させるモジュールである。また、本実施形態における連写展開処理では、原稿データのサイズ及び解像度と、印刷用紙のサイズ及び印刷方向等に基づき、プリンタドライバ3側において圧縮された原稿データ及び設定情報に基づいて、圧縮された原稿データの連写回数及び展開方向を決定し、連写を実行する機能を備えている。
【0030】
展開座標演算部421は、連写展開部422により、連写されて展開された原稿データの展開後の座標位置を演算するモジュールであり、展開元となった原稿データの座標位置が対応する展開後の印刷データ内における座標位置を編集処理管理部425に記憶保持させる。
【0031】
グルーピング管理部423は、操作者の操作に従って、連写された各原稿データのうち任意の原稿データを選択してグルーピングし、各グループに属する原稿データの座標を記憶するモジュールである。
【0032】
なお、本実施形態におけるグルーピング処理では、原稿データを重複して選択することが可能であり、編集処理管理部425における編集処理では、ある一つの編集処理における置換データを切り出した範囲が、他の編集処理における展開後の座標位置と重複するか否かの判断を行い、重複すると判断した場合に、エラー処理を実行する。このエラー処理としては、画面上におけるメッセージ表示や、音声や音響等による警告、作業の強制終了等が挙げられる。
【0033】
画像置換処理部424は、編集された原稿データが属するグループの他の原稿データについて、置換データを切り出した範囲と対応する、展開後の座標位置に、置換データを挿入するモジュールである。
【0034】
編集処理管理部425は、連写され展開された連写データに対して編集処理を実行するモジュールであり、編集操作部41から入力された操作信号に基づいて、データの加工を実行する。また、この編集処理管理部425は、各グループに属する原稿データのうち、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理について、編集が行われた結果、変更された範囲を置換データとして切り出し、この切り出された置換データと、切り出した範囲の原稿データ上における座標とを関連づけて記憶する機能を備えている。
【0035】
置換画像生成部426は、編集処理管理部425によって編集された範囲について、この範囲に含まれる変更後の文字や画像等を、部分的な画像データとして切り出して、置換画像として生成するモジュールである。
【0036】
データ変換部427は、連写展開され、さらに編集対象箇所の置換が行われた原稿データを、最終的な印刷用データに変換し、変換後のデータを、通信部43を通じて、プリンター2に送出するモジュールである。
【0037】
(連写画像編集方法)
以上の構成を有する連写画像編集装置を動作させることによって、本発明の連写画像編集方法を実施することができる。図3は、本実施形態に係る連写画像編集装置の動作を示すフローチャート図である。
【0038】
先ず、ワープロソフト等のアプリケーションソフト5により原稿データを作成するとともに、印刷用紙のサイズや印刷方向、印刷枚数、及び連写印刷の要否等の印刷設定を行う。この連写印刷に関する設定においては、例えば、印刷用紙のサイズや印刷方向に基づいて、連写印刷が可能であるときに自動的に連写印刷を行うか否かを選択できるようにしてもよい。
【0039】
そして、ユーザーの操作に基づいて、印刷処理が実行されると、アプリケーションソフト5からプリンタドライバ3へ、印刷開始指示がなされるとともに、原稿データ及び印刷設定データがプリンタドライバ3へ、送出される(S101)。そして、プリンタドライバ3の連写要求判断部31において、ユーザーが連写印刷を要求しているか、或いは連写印刷が可能であってユーザーが自動連写印刷を禁止していないかを判断し、連写印刷実行の可否を決定する(S102)。
【0040】
ステップS102で、連写要求がされていないと判断した場合には、通常印刷として、当該プリンタドライバ3において、原稿データをデータ変換部33で印刷用データに変換し、変換された印刷用データを、通信部34を通じて、プリンタドライバ3に直接送信する。一方、ステップS102で、連写要求ありと判断した場合には、連写印刷処理を開始し(S103)、連写画像編集アプリケーション4を呼び出して起動する(S104)。
【0041】
この連写画像編集アプリケーション4の起動と併行して、プリンタドライバ3では、原稿データを連写印刷用の原稿データに変換し(S105)、変換された原稿データを必要に応じて圧縮し(S106)、連写画像編集アプリケーション4に送出する(S107)。この送出に際し、データ変換部33は、原稿データをそのまま送出する方式と、必要に応じて、原稿データを圧縮したり、圧縮したデータを連写したりする方式を、印刷設定に応じて選択するようにしてもよい。
【0042】
プリンタドライバ3から原稿データを受信した連写画像編集アプリケーション4では、受信した原稿データを印刷設定情報に応じて、原稿データを連写して、原稿データを複数並べるようにして展開させる(S108)。このとき、プリンタドライバ3から受信した原稿データのサイズ等に応じて、原稿データの圧縮や連写を行う。例えば、プリンタドライバ3から原稿データが圧縮されることなくそのままのサイズで受信されたときには、受信した原稿データを圧縮し、連写して展開する。一方、プリンタドライバ3側で原稿データが既に圧縮されている(サイズが縮小されている)ときには、この圧縮された原稿データを用いて、連写処理を実行する。
【0043】
次いで、連写画像編集アプリケーション4の展開座標演算部421において、展開された原稿データの展開後の座標位置を演算し、元のサイズにおける原稿データの座標位置が、連写されることによってどのような範囲に展開されたかを求め、記憶保持する(S109)。
【0044】
そして、操作者の操作に従って、例えば、図4(a)に示すように、連写された原稿データ1〜9がある場合に、この連写された各原稿データのうち任意の原稿データを選択してグルーピングする(S110)。ここでは、原稿データ1〜3でグループ1を構成し、原稿データ4,5,7及び8でグループ2を構成している。原稿データ6及び9は単独となっている。このグルーピング処理に応じて、グルーピング管理部423は、図6(a)に示すように、各グループに属する原稿データの座標をグループ毎に記憶する(S111)。
【0045】
次いで、任意の原稿データに編集処理を施す(S112)。この編集処理は、図4(b)及び(c)に示すように、全原稿データ1〜9を選択して一括して行うこともできるし、図5(a)〜(c)に示すように、グループ単位に個別に編集を行うこともできる。図4(b)及び(c)では、全原稿データに対して一括して背景色を着色している。また、図5では、(a)において、グループ1(原稿データ1〜3)に対して、文字の削除を行い、(b)において、グループ2(原稿データ4,5,7及び8)において、中段の文字を削除している。さらに(c)では、単独の原稿データ9に対して、文字の削除を行っている。
【0046】
このようにして、各グループに属する原稿データのうち、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理は、そのグループに属する他の原稿データにも反映される。具体的には、図6(b)に示すように、グループに属するいずれかの原稿データに対して編集が行われた結果、変更された範囲を置換画像生成部426において、置換データとして切り出し(S113)、この切り出された置換データと、切り出した範囲の原稿データ上における座標とを関連づけて記憶する(S114)。
【0047】
このとき、グループは重複して設定することが可能であるため、重複するグループ間で矛盾したり無効となったりする編集作業が存在しないかを判断する必要がある。本実施形態では、一つの編集処理の範囲と、それ以前に行われた他の編集処理の範囲とが重複していないかをチェックしている(S115)。重複する範囲があれば、エラー処理を実行し(S120)、重複しなければ、ステップS116へ移行する。
【0048】
ステップS116では、画像置換処理部424において、グループの他の原稿データに置換データを挿入する。すなわち、図6(c)に示すように、置換データを切り出した原稿データの範囲と対応する、グループに属する他の原稿データ上の、展開後の座標位置をグルーピング管理部423から読み出し、その読み出された座標位置に、置換データを挿入する(S116)。その後、置換された連写データを最終的な印刷用データに変換し(S118)、通信部43を通じて、プリンタへ送出し、連写印刷を実行する(S119)。
【0049】
(作用・効果)
このような本実施形態の連写画像編集プログラム、編集方法、及び編集装置によれば、連写される任意の原稿データについて、グループに属する原稿データのうち、いずれかに対して編集処理を施せば、そのグループに属する他の原稿データに対しても、編集処理が反映される。従って、グルーピングを行うことによって、編集作業が反映される範囲を規定することができる一方、グループ単位では、一括して編集作業を反映させることができ、操作者による編集作業の効率化を図ることができる。
【0050】
本実施形態におけるグルーピングでは、原稿データを重複して選択することが可能であるうえ、ある一つの編集箇所と、他の編集処理における編集箇所が、重複すると判断した場合に、エラー処理を実行するため、編集作業が相互に矛盾したり、他方の編集作業が無効となったりするのを防止することができる。
【0051】
さらに、本実施形態における連写展開では、原稿データのサイズ及び解像度と、設定情報に含まれる印刷用紙のサイズ及び印刷方向に関する情報とに基づき、プリンタドライバ3側において、原稿データを圧縮し、連写画像編集アプリケーション4側に送信させ、連写画像編集アプリケーション4側において、圧縮された原稿データ及び設定情報に基づいて、圧縮された原稿データの連写回数及び展開方向を決定し、連写を実行するため、通常印刷を行うプリンタドライバ3と、連写画像の編集を行う連写画像編集アプリケーション4とを連携させる際、適切な原稿データの展開形態を決定することにより、データ転送の際に、画質を劣化させることなく、これらのプリンタドライバ3と連写画像編集アプリケーション4間で効率よくデータを共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態に係る連写画像編集装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】実施形態に係るコンピュータ上に仮想的に構築された連写画像編集装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る実施形態に係る連写画像編集装置の動作を示すフローチャート図である。
【図4】実施形態に係る連写画像編集方法(一括編集)の手順を示す説明図である。
【図5】実施形態に係る連写画像編集方法(グループ別編集)の手順を示す説明図である。
【図6】実施形態に係る連写画像編集方法における置換処理の手順を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…コンピュータ
1a…マウス
1b…キーボード
1c…ディスプレイ
2…プリンター
3…プリンタドライバ
4…連写画像編集アプリケーション
5…アプリケーションソフト
31…連写要求判断部
32…制御部
33…データ変換部
34…通信部
41…編集操作部
42…データ加工部
43…通信部
421…展開座標演算部
422…連写展開部
423…グルーピング管理部
424…画像置換処理部
425…編集処理管理部
426…置換画像生成部
427…データ変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに接続されたプリンターを制御するために、該コンピュータ上で実行されるプリンタドライバと連携して実行される連写画像編集プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記プリンタドライバから、印刷に係る原稿データ、及び該原稿データの印刷に関する設定情報を取得し、該設定情報に応じて、前記原稿データを連写して、原稿データを複数並べるようにして展開させる連写展開ステップと、
前記連写展開ステップにより、連写されて展開された原稿データの展開後の座標位置を演算する展開座標演算ステップと、
操作者の操作に従って、連写された各原稿データのうち任意の原稿データを選択してグルーピングし、各グループに属する原稿データの座標を記憶するグルーピングステップと、
各グループに属する原稿データのうち、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理について、編集が行われた結果、変更された範囲を置換データとして切り出し、この切り出された置換データと、切り出した範囲の原稿データ上における座標とを関連づけて記憶する編集処理ステップと、
前記編集された原稿データが属するグループの他の原稿データについて、前記置換データを切り出した範囲と対応する、前記展開後の座標位置に、該置換データを挿入する画像置換ステップと
を実行させることを特徴とする連写画像編集プログラム。
【請求項2】
前記グルーピングステップにおけるグルーピングは、原稿データを重複して選択することが可能であり、
前記編集処理では、ある一つの編集処理における前記置換データを切り出した範囲が、他の編集処理における前記展開後の座標位置と重複するか否かの判断を行い、重複すると判断した場合に、エラー処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の連写画像編集プログラム。
【請求項3】
前記連写展開ステップでは、
原稿データのサイズ及び解像度と、前記設定情報に含まれる印刷用紙のサイズ及び印刷方向に関する情報とに基づき、プリンタドライバ側において、該原稿データを圧縮し、該連写画像編集プログラム側に送信させ、
当該連写画像編集プログラム側において、前記圧縮された原稿データ及び前記設定情報に基づいて、該圧縮された原稿データの連写回数及び展開方向を決定し、前記連写を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の連写画像編集プログラム。
【請求項4】
コンピュータに接続されたプリンターを制御するために、該コンピュータ上で実行されるプリンタドライバと連携して、印刷に係る連写された原稿データを編集する連写画像編集方法であって、
前記プリンタドライバから、印刷に係る原稿データ、及び該原稿データの印刷に関する設定情報を取得し、該設定情報に応じて、前記原稿データを連写して、原稿データを複数並べるようにして展開させる連写展開ステップと、
前記連写展開ステップにより、連写されて展開された原稿データの展開後の座標位置を演算する展開座標演算ステップと、
操作者の操作に従って、連写された各原稿データのうち任意の原稿データを選択してグルーピングし、各グループに属する原稿データの座標を記憶するグルーピングステップと、
各グループに属する原稿データのうち、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理について、編集が行われた結果、変更された範囲を置換データとして切り出し、この切り出された置換データと、切り出した範囲の原稿データ上における座標とを関連づけて記憶する編集処理ステップと、
前記編集された原稿データが属するグループの他の原稿データについて、前記置換データを切り出した範囲と対応する、前記展開後の座標位置に、該置換データを挿入する画像置換ステップと
を有することを特徴とする連写画像編集方法。
【請求項5】
前記グルーピングステップにおけるグルーピングは、原稿データを重複して選択することが可能であり、
前記編集処理では、ある一つの編集処理における前記置換データを切り出した範囲が、他の編集処理における前記展開後の座標位置と重複するか否かの判断を行い、重複すると判断した場合に、エラー処理を実行する
ことを特徴とする請求項4に記載の連写画像編集方法。
【請求項6】
前記連写展開ステップでは、
原稿データのサイズ及び解像度と、前記設定情報に含まれる印刷用紙のサイズ及び印刷方向に関する情報とに基づき、プリンタドライバ側において、該原稿データを圧縮し、該連写画像編集プログラム側に送信させ、
当該連写画像編集プログラム側において、前記圧縮された原稿データ及び前記設定情報に基づいて、該圧縮された原稿データの連写回数及び展開方向を決定し、前記連写を実行する
ことを特徴とする請求項4に記載の連写画像編集方法。
【請求項7】
印刷に係る連写された原稿データを編集する連写画像編集装置であって、
前記プリンタドライバから、印刷に係る原稿データ、及び該原稿データの印刷に関する設定情報を取得し、該設定情報に応じて、前記原稿データを連写して、原稿データを複数並べるようにして展開させる連写展開部と、
前記連写展開部により、連写されて展開された原稿データの展開後の座標位置を演算する展開座標演算部と、
操作者の操作に従って、連写された各原稿データのうち任意の原稿データを選択してグルーピングし、各グループに属する原稿データの座標を記憶するグルーピング管理部と、
各グループに属する原稿データのうち、いずれかの原稿データに対して行われた編集処理について、編集が行われた結果、変更された範囲を置換データとして切り出し、この切り出された置換データと、切り出した範囲の原稿データ上における座標とを関連づけて記憶する編集処理管理部と、
前記編集された原稿データが属するグループの他の原稿データについて、前記置換データを切り出した範囲と対応する、前記展開後の座標位置に、該置換データを挿入する画像置換処理部と
を有することを特徴とする連写画像編集装置。
【請求項8】
前記グルーピング管理部におけるグルーピングは、原稿データを重複して選択することが可能であり、
前記編集処理管理部では、ある一つの編集処理における前記置換データを切り出した範囲が、他の編集処理における前記展開後の座標位置と重複するか否かの判断を行い、重複すると判断した場合に、エラー処理を実行する
ことを特徴とする請求項7に記載の連写画像編集装置。
【請求項9】
前記連写展開部では、
原稿データのサイズ及び解像度と、前記設定情報に含まれる印刷用紙のサイズ及び印刷方向に関する情報とに基づき、プリンタドライバ側において、該原稿データを圧縮し、該連写画像編集プログラム側に送信させ、
当該連写画像編集プログラム側において、前記圧縮された原稿データ及び前記設定情報に基づいて、該圧縮された原稿データの連写回数及び展開方向を決定し、前記連写を実行する
ことを特徴とする請求項7に記載の連写画像編集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−81708(P2009−81708A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249934(P2007−249934)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】