説明

連携制御方法

【課題】 高度なデータ通信網を必要とすることなく、管理装置無しで、簡易に連携制御を可能とする。
【解決手段】 複数の装置1,1,…が共有して使用する共有機器5を同時に使用しないように制御する連携制御方法であって、各装置1が一つの排他信号を共有し、少なくとも一つの装置が排他信号をONすると、他の各装置1に排他信号ONが入力される排他信号共有手段24を備え、共有機器5を使用したい各装置1は、他装置1により排他信号がONからOFFとされたとき、第一待ち時間の計時を開始し、第一待ち時間経過後に排他信号がOFFという条件下で排他信号をONして共有機器5を占有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、膜ろ過装置などに適用可能な連携制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、百貨店,スーパーマーケット,ホテル,病院,学校および興行場などの施設において、水道料金削減や天災発生時の給水ライフラインの確保を目的として、地下水を浄化する膜ろ過装置を設置し、その処理水を飲料水や施設用水として利用する事例が増加している。前記膜ろ過装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この特許文献1においては、前記中空糸膜モジュールを長期間使用すると、劣化や詰まりなどの原因によって前記中空糸膜が損傷したり、破断したりする場合がある。このため、前記中空糸膜モジュールの押出し洗浄,バブリング洗浄を行うように構成している。膜モジュールを備えた複数の膜ろ過装置からなるシステムにおいて、前記の押出し洗浄およびバブリング洗浄を行う場合、これまでは、容量の大なるエアコンプレッサーを用い、複数の膜ろ過装置から同時に洗浄の要求があった場合にも対応できるよう構成していた。その後の膜ろ過システムの開発によって、各膜ろ過装置毎に小容量のコンプレッサー設けるとともに、各膜ろ過装置に共用されるブロアを設けるシステムの方が、コストダウンなどの観点から優れていることが判明した。
【0004】
こうした、ブロアなどの共有機器を複数の膜ろ過装置などの装置で共有して使用する場合、共有機器を同時に使用しないような制御(連携制御)が必要となる。この連携制御方法としては、共有機器の専有を管理する装置を設け、この管理装置が各装置に共有機器の専有を許可または禁止するのが一般的である(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
こうした管理装置を用いる連携制御方法では、管理装置が故障すると連携制御ができなくなる。また、管理装置が各装置の優先度を判定するためには各装置から詳細な情報を得る必要があり、各装置と管理装置間にPLCネットワークなどのデータ通信網(回線)を構築する必要があった。
【0006】
【特許文献1】特開2006−175391号公報
【特許文献2】特許第3876818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、高度なデータ通信網を必要とすることなく、管理装置無しで、簡易に連携制御を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、複数の装置が共有して使用する共有機器を同時に使用しないように制御する連携制御方法であって、前記各装置が一つの排他信号を共有し、少なくとも一つの装置が排他信号をONすると、前記各装置に排他信号ONが入力される排他信号共有手段を備え、前記共有機器を使用したい前記各装置は、他装置により排他信号がONからOFFとされたとき、第一待ち時間の計時を開始し、前記第一待ち時間経過後に排他信号がOFFという条件下で排他信号をONして、前記共有機器を占有することを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、排他信号のONからOFFの確認時に、第一待ち時間だけ前
記共有機器の使用を延期するという簡単な構成により、前記共有機器を同時に使用しない連携制御が可能となる。また、ある装置が故障しても残りの装置により連携制御を行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第一待ち時間が前記各装置において互いに異なる値にセットされ、前記共有機器を使用したい前記各装置が、排他信号を一時的にONしてOFFし、その排他信号のOFF後に自らの第一待ち時間の計時を開始するとともに、他の装置も自らの第一待ち時間の計時を開始するステップと、前記共有機器を使用したい前記各装置が、自らの第一待ち時間内に排他信号がONとならないとき、排他信号をONして前記共有機器を占有するステップとを含むことを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、前記第一待ち時間の値を異ならせることにより、前記共有機器の使用優先順位を設定することができるという効果を奏する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記第一待ち時間は、前記各装置の優先余裕度および/または前記各装置に設定される互いに異なる定数に基づき設定されることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の発明による効果に加えて、前記第一待ち時間をおよび/または前記各装置の互いに異なる定数に基づき設定することにより、前記共有機器の使用優先順位を簡易に設定することができるという効果を奏する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記共有機器を使用したい前記各装置が排他信号を一時的にONしてOFFし、自ら第一待ち時間の計時を開始するとともに、他の装置も自らの第一待ち時間の計時を開始するステップと、前記共有機器を使用したい前記各装置が前記待ち時間経過後に排他信号をONするとともに、前記各装置間で互いに異なる衝突検知のための第二待ち時間をセットして第二待ち時間待機するステップと、前記共有機器を使用したい前記各装置が前記第二待ち時間経過後に排他信号をOFFし、排他信号がONのままを検知したとき、衝突と判定して排他信号がOFFするまで前記共有機器の占有を延期するとともに、排他信号のOFFを検知したとき、排他信号をONして前記共有機器の専有を行うステップとを含むことを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、前記第二待ち時間の値を異ならせることにより、請求項1に記載の発明による効果を奏することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4において、前記排他信号共有手段は、一対の排他信号線と、排他信号をONとするとき閉じて前記排他信号線を短絡し、OFFとするとき開いて開放する開閉器と、前記排他信号線の短絡、開放を検出する検出手段とを含んで構成されることを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明によれば、請求項1〜4に記載の発明による効果に加えて、前記排他信号共有手段は、ノイズや信号減衰にそれほど考慮する必要がないので、結果として簡易な構成のものとすることができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、高度なデータ通信網を必要とすることなく、管理装置無しで、簡易に連携制御が可能な連携制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明に係る連携制御方法は、複数の装置が共有機器を共有して使用する装置に適用される。ここで、連携制御とは、複数の装置が共有して使用する共有機器を同時に使用しないように制御する制御をいう。
【0020】
この発明の実施の形態は、複数の装置が共有して使用する共有機器を同時に使用しないように制御する連携制御方法であって、前記各装置が一つの排他信号を共有し、少なくとも一つの装置が排他信号をONすると、他の前記各装置に排他信号ONが入力される排他信号共有手段を備え、前記共有機器を使用したい前記各装置は、他装置により排他信号がONからOFFとされたとき(ワンショットONの後を含む)、第一待ち時間の計時を開始し、前記第一待ち時間経過後に排他信号がOFFという条件下で排他信号をONして、前記共有機器を占有することを特徴とする連携制御方法である。ここで、「排他信号ONが入力される」は、「排他信号ONの確認がされる」と言い換えることができる。
【0021】
この実施の形態においては、前記排他信号共有手段により、一つの前記装置が排他信号をONするとその他の前記各装置に排他信号ONが入力され、一つの前記装置は共有機器を専有できるが、他の前記各装置は前記共有機器を専有できない。そして、前記共有機器を使用したい前記各装置は、他装置により排他信号がONされておらず、OFF状態の場合は、排他信号をONして、前記共有機器を専有する。他装置により排他信号がONされている場合は、当該装置は、排他信号がOFFされたときから前記共有機器の使用を譲り合うのための第一待ち時間だけ延期し、この第一待ち時間経過後に排他信号がOFFという条件下で排他信号をONして、前記共有機器を占有する。ここで、排他信号がONの間は、第一待ち時間の計時はリセットされ、零で止まった状態となる。前記第一待ち時間は、好ましくは、前記各装置間で異なる値とするが、同じ値とすることもできる。
【0022】
この実施の形態によれば、前記共有機器の使用要求が衝突した際に、前記排他信号共有手段による排他信号の制御機能と、排他信号のON確認時に、第一待ち時間だけ前記共有機器の使用を延期する機能とにより、前記共有機器を同時に使用しない連携制御が可能となる。また、ある装置が故障してもこの連携制御に影響を与えることなく、残りの装置により連携制御を行うことが可能となる。
【0023】
前記実施の形態は、好ましくは、つぎの二つの態様に展開される。第一の態様は、前記実施の形態において、前記第一待ち時間が前記各装置において互いに異なる値にセットされ、前記共有機器を使用したい前記各装置が、排他信号を一時的にONしてOFFし、その排他信号のOFF後に自らの第一待ち時間の計時を開始するとともに、他の装置も自らの第一待ち時間の計時を開始するステップと、前記共有機器を使用したい前記各装置が、自らの第一待ち時間内に排他信号がONとならないとき、排他信号をONして前記共有機器を占有するステップとを含むことを特徴とする連携制御方法である。
【0024】
この第一の形態の連携制御方法においては、前記第一待ち時間が前記各装置において互いに異なる値にセットされる。そして、前記共有機器を使用したい前記各装置は、排他信号のOFFを確認した後に、排他信号を一時的にONしてOFFし、自らの第一待ち時間の計時を開始する。同時に(ON→OFFと同期して)、他の装置も自らの第一待ち時間の計時を開始する。その後、前記共有機器を使用したい前記各装置は、自らの第一待ち時間内に排他信号がONを入力しないとき,排他信号をONして前記共有機器を専有する。
【0025】
この第一の態様では、前記第一待ち時間が短い装置が、優先的に前記共有機器を専有することができる。その結果、前記第一待ち時間の値を異ならせることにより、前記共有機器の使用優先順位を設定することができるものである。
【0026】
この第一の態様において、前記第一待ち時間は、前記各装置の優先余裕度と前記各装置
に設定される互いに異なる定数との両方に基づき設定することができる。前記優先余裕度とは、前記共有機器の使用の優先順位を下げてもよい度合いを意味する。この優先余裕度は、好ましくは、前記各装置に優先余裕度を定めるための情報を得るセンサを設け、このセンサからの信号に基づき設定する。また、前記定数は、第一待ち時間を異ならせるために前記各装置に対してユニークに設定される値であり、定数が大きいほど前記第一待ち時間が長くなる。この第一態様においては、二つ以上の装置が、まったく同じ優先余裕度の場合、同時に排他信号をON(衝突が生じる)してしまう。この対策として、定数に応じて第一待ち時間を少しずつずらせて衝突を回避するように構成している。
【0027】
こうして、前記第一待ち時間は、前記各装置の優先余裕度と前記各装置に設定される互いに異なる定数とに基づき設定することができる。その結果、前記共有機器の使用優先順位を簡易に設定することができる。
【0028】
第二の態様は、前記実施の形態において、前記共有機器を使用したい前記各装置が排他信号を一時的にONしてOFFし、自らの第一待ち時間の計時を開始するとともに、他の装置も自らの第一待ち時間の計時を開始するステップと、前記共有機器を使用したい前記各装置が、前記待ち時間経過後に排他信号をONするとともに、前記各装置間で互いに異なる長さの衝突検知のための第二待ち時間をセットして第二待ち時間待機するステップと、前記共有機器を使用したい前記各装置が、前記第二待ち時間経過後に排他信号をOFFし、排他信号がONのままを検知したとき、衝突と判定して排他信号がOFFするまで前記共有機器の占有を延期するとともに、排他信号がOFFを検知したとき、排他信号をONして前記共有機器の専有を行うステップとを含むことを特徴とする連携制御方法である。
【0029】
この第二の態様においては、先ず、前記共有機器を使用したい前記各装置は、排他信号を確認せずに排他信号を一時的にONした後、OFFし、排他信号のOFFを確認した後に自らの第一待ち時間の計時を開始する。排他信号のON→OFFと同時に、他の装置も自らの第一待ち時間の計時を開始する。そして、前記共有機器を使用したい前記各装置は、前記第一待ち時間経過後に排他信号をONするとともに、第二待ち時間をセットして第二待ち時間の計時を開始して待機する。その後、前記共有機器を使用したい前記各装置は、前記第二待ち時間経過後に排他信号をOFFする。排他信号がONのままであることを確認したとき、使用要求が衝突と判定して排他信号がOFFするまで排他信号をOFFして前記共有機器を占有するのを延期する。逆に、排他信号がOFFを検知したとき、排他信号をONして前記共有機器の専有を行う。
【0030】
この第二の態様において、第一待ち時間は、前記第一の態様とは異なり、第一待ち時間を優先余裕度のみで決めると、同じ値になってしまうことがある。すると、衝突が発生するので、前記各装置に対してユニークに設定した定数により算出した第二待ち時間により衝突をチェックし、衝突があれば、排他信号のONを取り下げるように構成している。
【0031】
この第二態様の連携制御方法によれば、前記第二待ち時間の長い前記装置が前記共有機器を優先して使用することができるので、前記第二待ち時間の値を異ならせることにより、前記共有機器の使用優先順位を設定することができる。
【0032】
ここで、前記実施の形態の各構成要素について説明する。前記装置は、共有機器を同時に使用することなく共有して使用する装置であれば、特定の装置に限定されない。また、前記共有機器も同様に特定の機器に限定されない。たとえば、前記装置を膜式ろ過装置とした場合、前記共有機器は、前記膜式ろ過装置の洗浄を行う送風機とすることができる。
【0033】
前記排他信号共有手段は、前記各装置が一つの排他信号を共有し、少なくとも一つの装
置が排他信号をONすると、他の前記各装置に排他信号ONが入力されるという機能を有する手段である。この排他信号共有手段は、好ましくは、一対の排他信号線と、排他信号をONとするとき閉じて前記排他信号線を短絡し、OFFとするとき開いて開放する開閉器と、前記排他信号線の短絡、開放を検出する検出手段とを含んで構成される。こうした構成とすることで、通信回線を用いることなく、前記排他信号共有手段を簡易に構成することができる。前記各開閉器および前記検出手段の一部は、前記各装置の制御器に設けるが、前記各装置に共通の制御盤などの制御装置に収めることもできる。
【0034】
前記開閉器は、リレーにより制御される接点に限定されることなく、半導体からなる開閉器とすることができる。また、前記検出手段は、前記排他信号線の短絡、開放を検出する機能を有していればよく、発光ダイオードとこれを電流が流れることによる発光を検出する受光素子との組合せによる検出部を含んで構成することができるが、これに限定されない。
【実施例1】
【0035】
以下、この発明の具体的実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の実施例1の連携制御方法を実施した膜ろ過システムの概略構成図であり、図2は、同濾過システムの要部の詳細を説明する概略構成図であり、図3は、同実施例1の排他信号共有装置の概略構成図であり、図4は、同実施例1の各膜ろ過装置で実行される連携制御方法の処理手順を説明するフローチャート図であり、図5は、同実施例1の動作を説明するタイムチャート図である。
【0036】
図1を参照して、前記膜ろ過システムは、互いに並列接続される複数台(この実施例1では1号機〜3号機の3台)の膜ろ過装置1,1,…から構成されている。各膜ろ過装置1には、被処理水供給ポンプ2を備えた被処理水供給ライン3,3,…と、ろ過された処理水を処理水タンク(図示省略)へ供給する処理水ライン4,4,…と、共有機器としての送風機(ブロア)5によりバブリング洗浄用の空気が供給される第一気体供給ライン6,6,…とが接続されている。
【0037】
図2を参照して、前記各膜ろ過装置1は、互いに並列接続される複数(図では一つのみ示している。)の中空糸分離膜部7と、エア押し用の圧縮機(エアポンプまたはエアコンプレッサ)8と、この圧縮機8などを制御する図1に示す制御器9とを備えている。図1を参照して、前記各制御器9は相互に信号線Lにて接続され、互いに信号をやりとりできるように構成している。
【0038】
前記各中空糸分離膜部7は、中空糸膜モジュール10を耐圧性のベッセル(容器)11に収容し、キャップ部材12で封鎖して組み立てられている。前記各中空糸膜モジュール10は、通水可能に形成した樹脂製の外筒(図示省略)内に多数本の中空糸膜(図示省略)をU字状に懸架し、各中空糸膜の両端部を前記外筒の一端側で封止して形成されており、この封止した側が前記各キャップ部材12の内側と連通するように装着される。前記各中空糸膜の両端部は、前記外筒の両端側で封止してもよい。すなわち、前記各中空糸分離膜部1を組み立てた状態では、前記各ベッセル(容器)11内と前記各キャップ部材12内は、前記各中空糸膜で隔てられている。したがって、前記各ベッセル11内へ被処理水を供給すると、前記各中空糸膜の外側から内側へ向かってろ過が進み、前記各キャップ部材12内で透過水が採取されるようになっている。
【0039】
前記各ベッセル11の底部には、エア噴出用の1または複数の孔(図示省略)を設けた散気管(給気管と称することができる。)13が備えられ、この散気管13に前第一気体供給ライン6がそれぞれ接続されている。前記被処理水供給ライン3は、前記各膜ろ過装置1の数に応じて分岐しており、この分岐ラインにそれぞれ第一開閉弁14を備えている
。また、前記各キャップ部材12には、それぞれ前記処理水ライン4が接続され、この各処理水ライン4は、下流側で集合しており、この集合部よりも上流側に前記各膜ろ過装置1毎にそれぞれ第二開閉弁15を備えている。
【0040】
また、前記各ろ過装置1には、前記圧縮機8を備え、前記第二開閉弁15の上流側において、前記処理水ライン4と第二気体供給ライン16で接続されている。この第二気体供給ライン16には、前記圧縮機8側から順に第三開閉弁17と圧力検出部18が設けられている。また、前記各第一気体供給ライン6の集合部と前記送風機5との間には第四開閉弁19が設けられている。
【0041】
さらに、前記各膜ろ過装置1の各被処理水供給ライン3には、それぞれ排水ライン20が接続されており、この各排水ライン20にそれぞれ第五開閉弁21を備えている。そして、前記各膜ろ過装置1と接続している前記処理水ライン4には、前記膜ろ過装置1毎に圧力調節ライン22が接続されており、この各圧力調節ライン22にそれぞれ第六開閉弁23を備えている。さらに、前記ベッセル11の上部には、オーバーフローライン32が接続され、このオーバーフローライン32には、第七開閉弁33を備えている。
【0042】
前記各制御器9は、予め記憶している処理手順に基づき、前記各膜ろ過装置1に内蔵の前記圧縮機8,前記第一開閉弁14,前記第三開閉弁17,第四開閉弁19,前記第五開閉弁21,前記第六開閉弁23,前記第七開閉弁33を制御するとともに、各膜ろ過装置1の外に備える前記送風機5を制御する。また、前記各制御器9には、前記各膜ろ過装置1が一つの排他信号を共有し、少なくとも一つの各膜ろ過装置1が排他信号をONすると、他の前記各膜ろ過装置1に排他信号ONが入力される排他信号共有装置24(図3参照)を備えている。
【0043】
図3を参照して、前記排他信号共有装置24は、一対の排他信号線25,25と、前記各制御器9に設けられ、排他信号をONとするとき閉じて前記排他信号線25,25を短絡し、OFFとするとき開いて開放する開閉器26と、前記排他信号線25,25の短絡、開放を検出する検出装置27とから構成されている。前記各開閉器26は、それぞれ一対の第一信号線28,28にて前記排他信号線25,25と接続されている。前記各開閉器26は、リレーとこのリレーにより開閉が制御される接点(いずれも符号省略)から構成されている。
【0044】
前記検出装置27は、前記制御器9に設けられ、一対の第二信号線29,29にて前記排他信号線25,25と接続される検出部30を備えている。また、前記排他信号共有装置24は、直流の電源31を備えている。そして、電源31−排他信号線25(図示上側)−第一信号線28(図示右側)−開閉器26−第一信号線28(図示左側)−排他信号線25(図示下側)−第二信号線29(図示左側)−検出部30−第二信号線29(図示右側)−電源31なる閉回路を電流が流れるか、流れないかにより、前記検出部30にて前記排他信号ONとOFFとが入力されるように構成されている。前記検出部30は、前記閉回路に設けられる発光ダイオードとこの発光ダイオードの発光を受光する受光素子(いずれも図示しない。)とから構成されている。前記発光ダイオードに電流が流れると排他信号ONを、流れないと排他信号OFFを、それぞれ前記受光素子が確認可能なように構成されている。
【0045】
そして、前記処理手順には、前記排他信号共有装置24を利用して、譲り合い待ち時間(第一待ち時間)を算出する待ち時間算出手順と、第一待ち時間に基づき、前記各膜ろ過装置1が共有して使用する前記送風機5を同時に使用しないように制御する連携制御を行う連携制御手順(専有処理判定手順と称することができる。)とを含んでいる。
【0046】
前記待ち時間算出手順は、この実施例1では第一待ち時間T1をつぎの式1で算出するように構成されている。
T1=(1+優先余裕度×最大台数+ID)×K …式1
【0047】
優先余裕度は、優先順位を下げてもよい度合いを示し、前記各膜ろ過装置1の中空糸膜モジュール1の目詰まり状態で設定される。優先余裕度は、目詰まりが多いほど低い値とし、少ないほど高い値とする。この実施例1では、0,1,2,3,…のように離散値(整数)にて設定する。目詰まり状態は、前記各膜ろ過装置1の被処理水入口と処理水出口との差圧を前記圧力検出部18により検出するように構成している。なお、目詰まり状態の検出は、透過流速にて行うことができる。この透過流速は、中空糸膜モジュールの流量、入口圧、出口圧、水温にて求めることができる。
【0048】
前記IDは、前記各膜ろ過装置1にユニークな定数であり、この実施例1では、前記膜ろ過装置1の1号機〜3号機に対して、それぞれ1,2,3が割り当てられている。このIDは、0,1,2とすることができる。式1において、Kは係数であり、この実施例1では1としている。
【0049】
前記連携制御手順は、前記送風機5を使用したい前記各膜ろ過装置1は、他の膜ろ過装置1により排他信号がONからOFFとされているとき、第一待ち時間T1の計時を開始し、第一待ち時間T1経過後に排他信号がOFFという条件下で排他信号をONして、前記送風機5を占有する制御プログラムであり、図4に示される。
【0050】
このプログラムにおいて、前記第一待ち時間T1は、基本的に、前記各膜ろ過装置1間で互いに異なる値(長さ)にセットされており、前記送風機5を使用したい前記各膜ろ過装置1が、排他信号のOFF後に排他信号を一時的にONしてOFFし、自らの第一待ち時間T1の計時を開始するとともに、他の装置1も自らの第一待ち時間T1の計時を開始するステップと、前記送風機5を使用したい前記各装置1が、自らの第一待ち時間T1内に排他信号がONとならないとき、排他信号をONして前記送風機5を占有するステップとを含んでいる。
【0051】
以上の如く構成される実施例1の動作を説明する。まず、膜ろ過システムの動作を概略的に説明し、ついで、この実施例1の連携制御方法を説明する。
【0052】
(膜ろ過システムの動作)
まず、前記各膜ろ過装置1において、前記第一開閉弁14および前記第二開閉弁15を開状態にするとともに、前記第三開閉弁17,前記第四開閉弁19,前記第五開閉弁21および前記第六開閉弁23を閉状態にする。そして、前記給水ポンプ2の上流または下流に設けた原水用開閉弁(図示省略)を開いて前記給水ポンプ2を作動させる。すると、被処理水が前記被処理水供給ライン3を介して前記各膜ろ過装置1の各中空糸分離膜部7へそれぞれ供給される。
【0053】
前記各中空糸分離膜部7では、前記各中空糸膜モジュール10を構成する中空糸膜の外側から内側へ向かって被処理水が供給される。被処理水が有害微生物で汚染されている場合、この有害微生物は、前記中空糸膜の外側表面で阻止される。また、被処理水が懸濁物質(たとえば、正の表面電荷を有する藻類など)を含む場合、この懸濁物質は、前記中空糸膜の外側表面で阻止される。すなわち、前記各中空糸分離膜部7は、被処理水中から有害微生物や懸濁物質を物理的に除去するように作用する。この結果、被処理水は、各種の不純物が除去された清浄な処理水(透過水)となって前記中空糸膜の内側へ流出する。そして、前記各中空糸分離膜部7を通過した透過水は、前記各処理水ライン4で合流し、前記処理水タンク内へ送られたのち、飲料水や施設用水として使用される。
【0054】
ところで、前記各中空糸分離膜部7に対して長時間通水を行うと、阻止された有害微生物や懸濁物質が堆積し、次第に所望の処理流量が得られなくなる。このため、この実施例1の膜ろ過システムでは、定期的に前記各膜ろ過装置1毎に各中空糸膜モジュール10の洗浄操作を行う。この操作は、モジュールの目詰まりを検出して、所定以上の目詰まり状態となるか、運転時間が所定の時間を経過すると行うように運転される。
【0055】
前記洗浄操作(再生工程)では、押出し洗浄工程,バブリング洗浄工程,排水工程を順に行うようになっている。まず、前記押出し洗浄工程は、洗浄の対象となる前記各膜ろ過装置1において、前記第三開閉弁17を開状態にするとともに、前記第一開閉弁14,前記第二開閉弁15,前記第四開閉弁19,前記第五開閉弁21,第六開閉弁23および前記第七開閉弁33を閉状態にする。そして、前記圧縮機8から空気を所定の圧力で供給する。供給された空気は、前記第二気体供給ライン16を介して、前記処理水ライン4および前記各キャップ部材12内に残留している透過水を加圧する。すると、前記各中空糸膜の内側に残留している透過水が外側へ向かって押し出され、前記中空糸膜の外側表面から堆積物が押し流される。以上の押出し洗浄を所定時間(たとえば、5秒〜1分)実施すると、続いて前記バブリング洗浄工程を行う。
【0056】
前記バブリング洗浄工程では、前記第四開閉弁19および前記第七開閉弁33を開状態にするとともに、前記第一開閉弁14,前記第二開閉弁15,前記第三開閉弁17,前記第五開閉弁21および前記第六開閉弁23を閉状態にする。そして、前記送風機5を駆動して空気を所定の圧力で供給する。供給された空気は、前記第一気体供給ライン6を介して、前記各ベッセル11の底部の散気管13へ送られる。この散気管13を通じて多数の気泡を発生させることにより、前記各中空糸膜を揺動させ、前記押出し工程で押し流された堆積物が剥離し、分散する。空気は、前記オーバーフローライン32を介して大気中へ抜ける。以上のバブリング洗浄工程を所定時間(たとえば、5〜30分)実施すると、続いて前記排水工程を行う。
【0057】
前記排水工程では、前記第五開閉弁21を開状態にするとともに、前記第一開閉弁14,前記第二開閉弁15,前記第三開閉弁17,前記第四開閉弁19および前記第六開閉弁23を閉状態にする。これにより、前記各ベッセル11内に残留している被処理水を洗浄で除去された堆積物とともに、前記排水ライン20を介して系外へ排出する。以上の排水工程を所定時間(たとえば、5〜10分)実施する。
【0058】
(連携制御の動作)
つぎに、この実施例1の連携制御について、図4および図5に基づき説明する。連携制御を行うに際して、前記各膜ろ過装置1は、常時、前記式1に基づき、第一待ち時間T1を算出している。今、1号機〜3号機の優先余裕度を、それぞれ0,1,0とすると、1号機の第一待ち時間T11は、1+0×3+1=2,2号機の第一待ち時間T12は、1+1×3+2=6,3号機の第一待ち時間T13は、1+0×3+3=4と算出される。
【0059】
ついで、専有処理判定の動作を説明する。今、図5に示すように、排他信号がOFFで、3号機,2号機,1号機において、順次、時刻t1,t2,t3にて前記送風機5の専有要求が発生したとする。専有要求とは、前記各膜ろ過装置1が設定された通水時間が経過し、目詰まり状態が設定値以上と判定され、前記バブリング洗浄工程を開始する必要があることを表す内部状態である。まず、3号機は、処理ステップS1(以下、処理ステップSNは、単にSNと称する。)にて、前記開閉器26を閉じて、排他信号を一時的にON(ワンショットON)し、S2へ移行して第一待ち時間の計時を開始する。
【0060】
そして、排他信号がONの間は、S3でYESが判定される。S3の判定は、前記検出部30による検出信号にて行われる。S3でYESが判定されると、S4へ移行して、第一待ち時間T13の計時を初期値(零)にする。このS4においては、専有要求が発生している装置1については、第一待ち時間の計時を最初からやり直す処理を行う。こうして、排他信号がONの場合、S3→S4→S2の処理で、第一待ち時間の計時は零となる。
【0061】
ついで、2号機から専有要求がでると、3号機と同様に、S1にて自らの第一待ち時間T12の計時を開始した後、S3,S4の処理により第一待ち時間T12の計時を初期値にする。また、専有要求が発生している3号機も2号機からのワンショット排他信号出力により、排他信号ONが入力されるので、S3,S4の処理により、計時をリセットする。
【0062】
さらに、1号機に専有要求が発生すると、S2において、3号機と同様に自らの第一待ち時間T11の計時を開始する。この計時は、図5に示すが、第一待ち時間が短い程、傾斜を急として、計時終了の値に到達する時間が短くなることを表現している。そして、専有要求が発生し続けている3,2号機は、1号機からのワンショット排他信号がONからOFFとなると、第一待ち時間T13,T12の計時を図5に示す如く開始する。
【0063】
こうして、1,2,3号機に専有要求が発生している状態で、それぞれの第一待ち時間T11,T12,T13の計時を開始するが、T11<T13<T12となっているので、1号機が最初に計時を終了(t5)することになる。そして、図5の例では、1号機のワンショット出力のON→OFFにより排他信号がOFFとなる(t4)と、1号機〜3号機では、S3において、NOが判定され、S5へ移行する。S5では、第一待ち時間の一番短い1号機が最初にYESを判定するので、1号機がS6へ移行して排他信号をONとし、S7へ移行して前記送風機5を専有して前記バブリング洗浄工程を開始する。そして、バブリング洗浄工程が終了するとS8にて、排他信号をOFFとする。ここで、t5以降、2号機、3号機の排他信号は、ONであるので、S3−S4−S3のループにより計時は、初期値の状態を継続する。
【0064】
このようにこの実施例1の連携制御によれば、前記送風機5を専有したい前記各膜ろ過装置1が排他信号のON確認時に、第一待ち時間T1だけ前記送風機5の使用を延期するという簡単な構成により前記送風機5を同時に使用しない連携制御が可能となる。よって、前記膜ろ過装置1,1,…のある装置が故障しても残りの装置により連携制御を行うことができる。また、従来のような管理装置を用いないので、管理装置が故障して全台数が連携できなくなることがなくなる。
【0065】
また、前記第一待ち時間T1の値を異ならせることにより、前記送風機5の使用優先順位を設定しているので、優先順位の設定を簡易に行うことができる。また、前記第一待ち時間は、前記各装置の優先余裕度および前記各膜ろ過装置1に設定される互いに異なる定数に基づき設定することにより、前記送風機5の使用優先順位を簡易に設定することができる。そして、優先余裕度を目詰まり状態に応じて設定しているので、目詰まりの多い膜ろ過装置1から洗浄を行うことができる。
【実施例2】
【0066】
つぎに、この発明の連携制御方法の実施例2を図6および図7に基づき説明する。図6は、同実施例2の連携制御方法の処理手順を説明するフローチャート図であり、図7は、同実施例2の動作を説明するタイムチャート図である。この実施例2の連携制御方法も前記実施例1と同様に図1,図2の膜ろ過システムに実施され、図3に示す排他信号共有装置24を使用して連携制御を行う。以下、実施例1と異なるところを中心に説明する。
【0067】
この実施例2の連携制御手順は、図6に示すとおりであるが、前記送風機5を使用した
い前記各膜ろ過装置1は、他の膜ろ過装置1により排他信号を一時的にONした後OFFし、そのOFF直後に、第一待ち時間T1の計時を再開し、第一待ち時間T1経過後に排他信号がOFFという条件下で排他信号をONして、前記送風機5を占有する制御プログラムにおいて、前記実施例1の連携制御と共通している。
【0068】
前記実施例1と異なるのは、前記送風機5を使用したい前記各膜ろ過装置1が排他信号のOFF後に排他信号を一時的にONしてOFFし、自らの第一待ち時間T1の計時を開始するとともに、他の装置1も自らの第一待ち時間T1の計時を開始するステップと、前記送風機5を使用したい前記各膜ろ過装置1が前記第一待ち時間T1経過後に排他信号をONするとともに、前記各膜ろ過装置1間で互いに異なる衝突検知待ち時間(第二待ち時間)T2をセットして第二待ち時間T2待機するステップと、前記送風機5を使用したい前記各膜ろ過装置1が前記第二待ち時間T2経過後に排他信号をOFFし、排他信号がONのままを検知したとき、衝突と判定して排他信号がOFFするまで前記送風機5の占有を延期するとともに、排他信号のOFFを検知したとき、排他信号をONして前記送風機5の専有を行うステップとを含む点である。
【0069】
この実施例2では第一待ち時間T1,第二待ち時間T2をそれぞれ式2,式3で算出する。
T1=(1+優先余裕度) …式2
T2=(1+ID) …式3
ここで、優先余裕度およびIDは前記実施例1と基本的には同様である。この実施例2では、優先余裕度は必ずしも離散値(整数)でなくてもよい。
【0070】
つぎに、この実施例2の連携制御について、図6および図7に基づき説明する。連携制御を行うに際して、前記各膜ろ過装置1は、常時、前記式2に基づき、第一待ち時間T1を、前記式3に基づき、第二待ち時間T2をそれぞれ算出している。図7は、優先余裕度が同じ1号機と3号機がほぼ同時に前記送風装置5を使用したい条件となった場合である。1号機,3号機の優先余裕度を1とすると、1号機の第一待ち時間T11は、1+1=2,第二待ち時間T22は、1+1=2で、3号機の第一待ち時間T13は、1+1=2,第二待ち時間T23は、1+3=4と算出される。
【0071】
今、排他信号がOFF状態で、優先余裕度が同じ1号機と3号機がほぼ同時に前記送風装置5を使用したい条件となった場合について説明する。1号機が時刻t6にて前記送風機5の専有要求を出す。1号機は、処理ステップS11にて、前記開閉器26を閉じて、排他信号を一時的にONしてOFFして、S12にて計時を開始し、S13へ移行する。今の場合、排他信号がOFFであるので、NOが判定され、S15へ移行する。S15では、NOが判定され、S13へ戻り、第一待ち時間T11の計時を続ける。
【0072】
ついで、時刻t7にて3号機が専有要求を出すと、1号機と同様に、S11にて排他信号を一時的にONしてOFFし、S12にて第一待ち時間T13の計時を開始する。1号機は、排他信号のONにより、S13→S14→S15により第一待ち時間T11の計時を最初からやり直す。
【0073】
この例では、1号機と3の第一待ち時間T1の値が同じであるので、両者は、時刻t8において計時を終了する。すると、S15にてYESが判定され、1号機,3号機は、S16において、共に排他信号をONし、S17にてそれぞれ第二待ち時間T21,T23の計時を開始する。
【0074】
今の場合、T21<T23であるので、1号機が先に第二待ち時間T21の計時を終了(時刻t9)し、S18にて排他信号をOFFし、S19にて排他信号がOFFかどうか
を判定する。ここでは、3号機が排他信号ONを出力しているので、1号機は、衝突を検知,すなわち3号機の排他信号ONを検出するので、排他信号OFFを維持する。3号機では、時刻t10にて第二待ち時間T23の計時を終了すると、S18にて排他信号をOFFし、S19にて、排他信号がOFFかどうかを判定する。今の場合、1号機が排他信号をOFFとしているので、3号機では、S19にてYESが判定され、S20へ移行して排他信号をONとし、S21へ移行して前記送風機5を専有し、3号機が前記バブリング洗浄工程を開始する。そして、バブリング洗浄工程が終了するとS22にて、排他信号をOFFとする。
【0075】
このように、この実施例2の連携制御によれば、前記送風機5を専有したい前記各膜ろ過装置1が排他信号のON確認時に、第一待ち時間T1だけ前記送風機5の使用を延期するとともに、第二待ち時間T2により衝突を検知するという簡単な構成により前記送風機5を同時に使用しない連携制御が可能となる。また、記膜ろ過装置1,1,…のある装置が故障しても残りの装置により連携制御を行うことができる。
【0076】
また、前記第二待ち時間T2の長い前記装置1が前記送風機5を優先して使用することができるので、前記第二待ち時間T2の値を異ならせることにより、前記送風機5の使用優先順位を設定することができる前記実施例1の連携制御方法と比較して、処理が複雑となるが、優先余裕度を離散的に段階分けする必要が無く、連続値とすることができる。また、ほとんどの場合において、前記第一待ち時間T1を短くすることができる。
【0077】
この発明は、前記実施例1,2に限定されるものではなく、たとえば、膜ろ過システム以外のシステム,装置に適用可能である。また、前記実施例1,2では、前記送風機5を専有したい前記各膜ろ過装置1が前記送風機5の専有が可能となると、バブリング洗浄を開始するように構成しているが、前記送風機5の専有が可能となった前記膜ろ過装置1は、前記送風機5が専有可能な状態となってもそれまで前記送風機5を専有していた前記膜ろ過装置1の排水工程が終了するまで,すなわち膜再生工程が終了するまで待って、押出し洗浄工程から始まる膜再生工程に入るように構成することができる。この構成によれば、複数の前記膜ろ過装置1が同時に膜再生工程に入ることがないので、システムの処理水供給能力の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】この発明の実施例1の連携制御方法を実施した膜ろ過システムの概略構成図。
【図2】同濾過システムの要部の詳細を説明する概略構成図。
【図3】同実施例1の排他信号共有装置の概略構成図。
【図4】同実施例1の連携制御方法の処理手順を説明するフローチャート図。
【図5】同実施例1の動作を説明するタイムチャート図。
【図6】この発明の実施例2の連携制御方法の処理手順を説明するフローチャート図。
【図7】同実施例2の動作を説明するタイムチャート図。
【符号の説明】
【0079】
1 膜ろ過装置(装置)
5 送風機(共有機器)
24 排他信号共有装置(排他信号共有手段)
25 排他信号線
26 開閉器
30 検出装置(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置が共有して使用する共有機器を同時に使用しないように制御する連携制御方法であって、
前記各装置が一つの排他信号を共有し、少なくとも一つの装置が排他信号をONすると、他の前記各装置に排他信号ONが入力される排他信号共有手段を備え、
前記共有機器を使用したい前記各装置は、他装置により排他信号がONからOFFとされたとき、第一待ち時間の計時を開始し、前記第一待ち時間経過後に排他信号がOFFという条件下で排他信号をONして、前記共有機器を占有することを特徴とする連携制御方法。
【請求項2】
前記第一待ち時間が前記各装置において互いに異なる値にセットされ、
前記共有機器を使用したい前記各装置が、排他信号を一時的にONしてOFFし、その排他信号のOFF後に自らの第一待ち時間の計時を開始するとともに、他の装置も自らの第一待ち時間の計時を開始するステップと、
前記共有機器を使用したい前記各装置が、自らの第一待ち時間内に排他信号がONとならないとき、排他信号をONして前記共有機器を占有するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の連携制御方法。
【請求項3】
前記第一待ち時間は、前記各装置の優先余裕度および/または前記各装置に設定される互いに異なる定数に基づき設定されることを特徴とする請求項2に記載の連携制御方法。
【請求項4】
前記共有機器を使用したい前記各装置が排他信号を一時的にONしてOFFし自らの第一待ち時間の計時を開始するとともに、他の装置も自らの第一待ち時間の計時を開始するステップと、
前記共有機器を使用したい前記各装置が前記第一待ち時間経過後に排他信号を一時的にONしてOFFするとともに、前記各装置間で互いに異なる第二待ち時間をセットして第二待ち時間待機するステップと、
前記共有機器を使用したい前記各装置が前記第二待ち時間経過後に排他信号をOFFし、排他信号がONのままを検知したとき、衝突と判定して排他信号がOFFするまで前記共有機器の占有を延期するとともに、排他信号のOFFを検知したとき、排他信号をONして前記共有機器の専有を行うステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の連携制御方法。
【請求項5】
前記排他信号共有手段は、一対の排他信号線と、排他信号をONとするとき閉じて前記排他信号線を短絡し、OFFとするとき開いて開放する開閉器と、前記排他信号線の短絡、開放を検出する検出手段とを含んで構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の連携制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−140217(P2009−140217A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315684(P2007−315684)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】