連結バンド
【課題】 本発明の目的は、一挙に破断することがなく段階的な破断が可能となり、突然の橋脚の落下を防止する連結バンドを提供すること。
【解決手段】 第1の橋梁1Aとそれに隣接する第2の橋梁1Bとが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンド3であって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁1Aに取り付けられ、他方端部が第2の橋梁1Bに取り付けられるものである連結バンド。
【解決手段】 第1の橋梁1Aとそれに隣接する第2の橋梁1Bとが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンド3であって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁1Aに取り付けられ、他方端部が第2の橋梁1Bに取り付けられるものである連結バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁同士又は橋梁と橋脚とを連結して橋梁の落下を防止することができる橋梁用の連結バンドに関し、特に一挙に破断するのではなく段階的に破断する連結バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
橋脚に載置された状態の橋梁は、地震等による激しい振動を受けることにより横ズレを起こし易い。
そして、地震による振動が大きい場合や、振動が群発的に起こる場合は、橋梁が横移動して橋脚から落下し危険である。
このようなことを避けるために、従来から、橋梁の落下を防止する安全対策が講じられている。
【0003】
その一つとして例えば、図11に示すように、棒状の鋼材100でコンクリート部材101同士の連結を行う落橋防止装置が開発された。
これは地震等の振動による移動を防止するため橋梁を鋼材100で連結するアンカー装置102を備えたものである(例えば、特許文献1参照)。
この落橋防止装置に用いられるアンカー装置102は、地震時の振動エネルギーを吸収すべく図12に示すような構造を有する。
具体的には、プランジャ103と調整螺子104との間にスプリング105が介在され、このスプリング105の一方の端部を固定するために調整螺子104の一端にはスプリング支持部材106が設けられている。
【0004】
また、プランジャ103のスプリング105と反対側にもスプリング107が設けられている。
そして鋼材100を保持するプランジャ103がスプリング105とスプリング107との間に挟まれるので、振動エネルギーが吸収されるし、鋼材100の長さが温度変化により変化してもスプリング105,107の長さの変化により調整される。
【0005】
このような落橋防止装置は、アンカー装置102により確実に振動エネルギーが吸収される利点が確かにあるが、アンカー装置102の構造が複雑になることから故障し易く、またコスト高でもある。
また、連結用の引張り部材として鋼材100が使用されているが、風雨に晒されるため、錆び付き易く機械的強度が低下する欠点がある。
【0006】
しかし、その後、高引張強度の樹脂材(例えばエンジニアリングプラスチック)の開発が進み、簡単な構造で地震時のエネルギーを吸収でき、且つ橋梁同士の連結強度を長期間保証し得るような装置が開発された。
例えば樹脂製の繊維長尺体を使用した落橋防止装置がある(例えば、特許文献2,3参照)。
この繊維長尺体は、樹脂の種類として具体的に、アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、PBO繊維等を使ったものである。
【0007】
【特許文献1】特開昭57−133907号公報
【特許文献2】特開2004−36337号公報
【特許文献3】特開2004−36338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、樹脂製の連結バンドは、地震等による強い振動を受けた場合、強い引張り力が加わると耐えきれなくなり、一挙に全幅に渡って破断する。
このように連結バンドが一挙に破断することで、橋梁は拘束が無くなり、それとほぼ同時に横移動して突然橋脚から落下するため極めて危険である。
【0009】
本発明は、かかる背景技術をもとになされたもので、上記の背景技術の問題点を克服することができるものである。
すなわち、本発明は、一挙に破断することがなく段階的な破断が可能となり、突然の橋脚の落下を防止する連結バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、連結バンドを構成する材料の材質に工夫を加えることにより上記の問題点を解決することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、(1)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、多数の縦方向の繊維糸を有している連結バンドに存する。
【0012】
また、本発明は、(2)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が第2の橋梁に取り付けられるものである連結バンドに存する。
【0013】
また、本発明は、(3)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が橋脚に取り付けられるものである連結バンドに存する。
【0014】
また、本発明は、(4)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドは多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が取付け用のループを形成して第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が取付け用のループを形成して第2の橋梁に取り付けられるものである連結バンドに存する。
【0015】
また、本発明は、(5)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドは多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が取付け用のループを形成して第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が取付け用のループを形成して橋脚に取り付けられるものである連結バンドに存する。
【0016】
また、本発明は、(6)、前記複数種類の繊維糸は、芳香族ポリアミド繊維糸、ポリビニルアルコール繊維糸、又はポリエステル繊維糸の中から選択された少なくとも2種類である上記(2)、(3)、(4)、又は(5)に記載の連結バンドに存する。
【0017】
また、本発明は、(7)、前記連結バンドは、カバー部材により覆われている上記(2)、(3)、(4)、又は(5)に記載の連結バンドに存する。
【0018】
また、本発明は、(8)、前記連結バンドは、中央部を縫い合わせ固定され両端部に取り付け用のループが形成されている上記(2)又は(3)に記載の連結バンドに存する。
【0019】
また、本発明は、(9)、前記連結バンドは、複数巻回されている上記(2)又は(3)に記載の連結バンドに存する。
【0020】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)から(9)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の連結バンドによれば、多数の縦方向の糸を有しているので、橋梁や橋脚の金具に取り付け易い。
破断伸度が異なる複数種類の繊維糸を有するようにすれば、繊維糸の種類によって破断エネルギーが異なるため、連結バンド自体が一挙に切断するようことはなく、繊維糸の種類毎に時間的経過と共に段階的に順次破断していくことができ、全体としての吸収エネルギーも大きい。
また、結果的に緩衝機能をも十分発揮できる。
そのため、従来のように最初の振動により連結バンドが切断し、それと共に突然橋梁が落下するようなことがなく、続発的又は群発的に生じる地震にも十分対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、連結バンドの取り付け態様を示している。
この連結バンドは、その一方の端部が第1の橋梁1Aに取り付けられ、他方の端部が第1の橋梁1Aに隣接する第2の橋梁1Bに取り付けられる。
具体的には、連結バンドは、その一方の端部が第1の橋梁の定着部2Aに、他方の端部が第2の橋梁の定着部2Bに取り付けられる。
この場合、連結バンドは、定着部2Aに備わっている固定金具の挿入ボルトと定着部2Bに備わっている固定金具の挿入ボルトとの間に渡されて連結される。
【0023】
[第1実施形態]
図2は、本発明の連結バンドの第1実施形態を示している。
図2(A)は、連結バンドの全体を斜視的に示している。
この連結バンド3は帯状に形成されており、且つその両端部を一部重ねて縫い合わせることによりエンドレスに形成されている。
図2(B)は図2(A)のA−A線に沿う断面を模式的に示している。
【0024】
この連結バンド3は、引張り強度を担う多数の縦方向の繊維糸を有しており、縦方向に引張られた場合に強度を発揮する。
これらの各繊維糸は多数集合して長さ方向に平行に並んで束となっており、繊維糸を拘束保護するための断面長方形状のカバー部材4によって覆われた状態となっている。
カバー部材4は、多数の繊維糸を拘束保護するためのもので、連結バンドの耐久性や耐候性が向上する。
【0025】
カバー部材4としては、合成樹脂またはゴム(例えば、ポリエチレン、塩化ビニール、シリコンラバー等)や繊維布地を使うことが可能である。
カバー部材4の代わりとして、繊維糸を拘束保護できれば繊維糸全体を接着剤で硬化固定する方法も可能である。
カバー部材4によって覆われた状態の連結バンドの両端部分は、その一定範囲を重ね合わせて縫い込み結合することで両端部分31が強固に一体化する。
【0026】
この連結バンド3に加わる引張り力を担っているのは芯線となる複数の繊維糸であり、それらはそれぞれ破断伸度が異なる繊維糸である。
例えば、繊維糸として、芳香族ポリアミド繊維糸とポリエステル繊維糸の2種類の組み合わせが選択されたり、或いは芳香族ポリアミド繊維糸、ポリビニルアルコール繊維糸、及びポリエステル繊維糸の3種類の組み合わせが選択されたりする。
【0027】
図2の連結バンドは、後者の3種類(芳香族ポリアミド繊維糸a、ポリビニルアルコール繊維糸b、ポリエステル繊維糸p)の組み合わせを採用したものである。
これらの各繊維糸は、破断伸度が異なるので、連結バンド全体が伸びても、順次破断伸度の小さな繊維から順次切断されていく。
【0028】
破断伸度が小さい芳香族ポリアミド繊維糸aが最初に破断し、その後、伸びと共にポリビニルアルコール繊維糸b、次にポリエステル繊維糸pと順次破断していくこととなる。 そのため一挙に連結バンド3が全幅に渡って一度に破断してしまうような現象は生じなく、時間的経過と共に段階的にエネルギーを吸収しながら破断することとなる。
すなわち、ある距離伸びるとその伸びに対する破断強度に達した繊維糸のみが破断し、残りの繊維糸は破断せずに残っている。
そのため橋梁と橋梁とをこの連結バンドにより連結した場合は、橋梁の一定のズレ(移動)により、破断伸度を上回る引張り力を受けても、残りの破断伸度の大きい繊維糸は破断せずに引張り力を担うことができる。
【0029】
このように、連結バンドが一挙に破断しないことから、次に発生する地震(振動等)による衝撃を受けても、破断しないで残っている繊維糸により、橋梁同士の横ズレが防止されるのである。
したがって、一番危険な現象、すなわち橋脚から橋梁1A,1Bが、突然、落下するような危険発生を防止することができる。
【0030】
なお、組み合わせる複数種類の繊維糸の太さや本数を適宜調整することで、繊維糸全体としての破断伸度のピークの大きさを、適宜、設定することが可能で最適な連結バンドを得ることができる。
【0031】
〔実験〕
本発明の連結バンドを使った段階的な破壊現象を説明するために、繊維糸を引張った場合の実験を示す。
実験装置は島津オートグラプAG−5000A(株式会社島津製作所製、定速伸長形)を使用し、引張り速度200mm/分、つまみ間隔280mmで行った。
尚、規定は、JIS L 1013 7.5(引張強さ及び伸び率測定)である。
実験に使用した繊維糸は以下の通りである。
【0032】
a;芳香族ポリアミド繊維糸としてのアラミド繊維糸、テクノーラT−200(帝人株式会社製、1670dt、フィフイラメント数1000、破断伸度約4%における破断応力330N)
b;ポリビニルアルコール繊維糸としてのビニロン繊維糸、ビニロンHM1(ユニチカ株式会社製、2000dt、フィラメント数250、破断伸度約6%における破断応力209N)
p;ポリエステル繊維糸、テトロンP900MP(帝人株式会社製、1670dt、フィラメント数750、破断伸度約12%における破断応力133N)
【0033】
i−実験1(図3参照)
この実験は、アラミド繊維糸aを1本とポリエステル繊維糸pを4本とを束ねて計5本からなる簡易連結バンドを使った。
そしてこの簡易連結バンドを一定速度で伸ばした場合の荷重と伸度とを測定した。
縦軸には繊維糸に加わる荷重(応力)(N)、横軸には伸度(%)(S−S曲線)を示した。
【0034】
図に示すように、連結バンドを徐々に伸ばしていくと、先ず、アラミド繊維糸aが破断し、一定時間を経過した後、次いでポリエステル繊維糸pが破断する。
なお、このグラフと縦軸及び横軸に囲まれる面積が大きければ大きい程、繊維糸全体が破断するまでに要したエネルギーが多いことを示す。
【0035】
ii−実験2(図4参照)
この実験は、アラミド繊維糸aを1本と、ビニロン繊維糸bを2本と、ポリエステル繊維糸pを4本とを束ねて計7本からなる簡易連結バンドを使った。
そして、実験1と同様に簡易連結バンドを一定速度で伸ばした場合の荷重と伸度とを測定した。
【0036】
図に示すように、連結バンドを徐々に伸ばしていくと、先ず、アラミド繊維糸aが破断し、一定時間後、ビニロン繊維糸bが破断し、更に一定時間経過後、最後にポリエステル繊維糸pが破断する。
この実験2では、実験1の場合が2段目で連結バンドが破断するのに対して、3段目で連結バンドが破断することとなり、粘り強い引張り力を発揮できる。
【0037】
iii−実験3(図5参照)
この実験は、アラミド繊維糸aを1本と、ビニロン繊維糸bを5本と、ポリエステル繊維糸pを25本とを束ねて計31本からなる簡易連結バンドを使った。
そして、実験1と同様に簡易連結バンドを一定速度で伸ばした場合の荷重と伸度とを測定した。
【0038】
図に示すように、連結バンドを徐々に伸ばしていくと、先ず、アラミド繊維糸aが破断し、一定時間後、ビニロン繊維糸bが破断し、一定時間後、最後にポリエステル繊維糸pが破断する。
この実験3の場合は、実験2の場合に較べて、一定の伸びに対して、より大きい破断応力を有することとなり、連結バンド全体として、より強い引張り力を発揮することができる。
【0039】
[第2実施形態]
図6は本発明の連結バンドの第2実施形態を示している。
この第2実施形態の連結バンド3を第1実施形態の連結バンド3と比較すると、連結バンド3は一周して両端部を重ね合わせて縫い合わせた構造であるのに対し、この連結バンド3は2周させてから、その両端部31が重なる位置で同様にして縫い合わせている点で異なる。
【0040】
このような構成にすると、連結バンドは2重になるために、破断強度を2倍にすることができ、更に3周して3重に、また4周して4重にすることも当然可能である。
なお、多重にした場合は、連結バンドの一部が帯幅方向にズレてしまうおそれがあるので、縫合は更に適当な位置に行っておく。
【0041】
[第3実施形態]
図7は、本発明の連結バンドの第3実施形態を示している。
この第3実施形態の連結バンド3は、第1及び第2実施形態と同じ帯状の長尺体であるが、両端にループ32を有することが特徴である。
具体的には、連結バンド3は、連結バンド3の両端部31を比較的長く重ね合わせエンドレスにし、その後、中央部の重ね合わされた部分(連結バンド3の中央部)を縫い合わせして結合させている。
その結果、連結バンド3の図でいう左右の端には、橋梁又は橋脚に対する取り付け用のループ32が形成される。
【0042】
このような構成にすると、対象物である橋梁や橋脚に備わった固定金具に取り付けた場合、取り付け状態が安定となる。
【0043】
[第4実施形態]
図8は、本発明の連結バンドの第4実施形態を示している。
図8(A)は、連結バンドの全体、図8(B)は、その内部構造、及び図8(C)は繊維糸のエンドレスな巻回状態を示す。
図のように、ポリエステル繊維糸pがエンドレスに何重にも巻回されており、これが例えば繊維布よりなるチューブ状のカバー部材4によって覆われて拘束保護されている。
【0044】
そのために、上述した実施の形態のように、連結バンドの両端部分を重ねて縫合する必要がなく、芯線であるポリエステル繊維糸pが巻回されて継ぎ目なく連続しているために強度的に強いものとなる。
【0045】
[第5実施形態]
図9は、本発明の連結バンドの第5実施形態を示している。
この第5実施形態の連結バンド3は、第1〜第5実施形態と異なってエンドレスではないが、両端にループ32を有する。
具体的には、連結バンド3は、連結バンド3の左右の端を曲げ返されるようにして縫い付けられている。
その結果、連結バンド3の図でいう左右の端には、橋梁又は橋脚に対する取り付け用のループ32が形成される。
また、本発明でいう橋脚とはいわゆる橋台を含むものであることは当然である。
【0046】
以上、本発明を説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、目的に沿う限り、種々の変更が可能である。
例えば、橋梁1Aと橋梁1Bとを連結バンド3で連結した例について説明したが、図10に示すように、橋脚5と橋梁1Bとを連結バンド3で連結するようにしても良い。
【0047】
一方、カバー部材4については、透明にするなどして、地震が発生した際の引張り力により連結バンドを構成する、繊維糸の破断状態を確認することができる。
この場合、地震の強さの目処となるばかりではなく、交換の目安にもなる利点がある。 また、繊維糸の組み合わせは、芳香族ポリアミド繊維糸、ポリビニルアルコール繊維糸、ポリエステル繊維糸から選ばれたもの以外にも種々の組み合わせが可能なことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、橋梁とそれに隣接する橋梁、或いは、橋梁と橋脚との連結に使用される連結バンドに関するものであるが、連結する両者間の移動を防止するために種々の構造物同士の連結用として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、橋梁同士を連結する落橋防止装置を示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の連結バンドの第1実施形態を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図3は、実験1における荷重と伸度との関係を示す図である。
【図4】図4は、実験2における荷重と伸度との関係を示す図である。
【図5】図5は、実験3における荷重と伸度との関係を示す図である。
【図6】図6は、本発明の連結バンドの第2実施形態を示す説明図である。
【図7】図7は、本発明の連結バンドの第3実施形態を示す説明図である。
【図8】図8は、本発明の連結バンドの第4実施形態を示す説明図であり、(A)は、連結バンドの全体を示し、(B)は、繊維糸のエンドレスな巻回状態を示し、(C)はその内部構造を示している。
【図9】図9は、本発明の連結バンドの第5実施形態を示している。
【図10】図10は、橋梁と橋脚とを連結する落橋防止装置を示す説明図である。
【図11】図11、従来の落橋防止装置を示す説明図である。
【図12】図12は、図11のアンカー装置の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B 橋梁
2A,2B 定着部
3 連結バンド
31 連結バンド
32 連結バンド
4 カバー部材
5 橋脚
100 鋼材
101 コンクリート部材
102 アンカー装置
103 プランジャ
104 調整螺子
105 スプリング
106 スリング支持部材
107 スプリング
a アラミド繊維糸(芳香族ポリアミド繊維糸)
b ビニロン繊維糸
p ポリエステル繊維糸
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁同士又は橋梁と橋脚とを連結して橋梁の落下を防止することができる橋梁用の連結バンドに関し、特に一挙に破断するのではなく段階的に破断する連結バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
橋脚に載置された状態の橋梁は、地震等による激しい振動を受けることにより横ズレを起こし易い。
そして、地震による振動が大きい場合や、振動が群発的に起こる場合は、橋梁が横移動して橋脚から落下し危険である。
このようなことを避けるために、従来から、橋梁の落下を防止する安全対策が講じられている。
【0003】
その一つとして例えば、図11に示すように、棒状の鋼材100でコンクリート部材101同士の連結を行う落橋防止装置が開発された。
これは地震等の振動による移動を防止するため橋梁を鋼材100で連結するアンカー装置102を備えたものである(例えば、特許文献1参照)。
この落橋防止装置に用いられるアンカー装置102は、地震時の振動エネルギーを吸収すべく図12に示すような構造を有する。
具体的には、プランジャ103と調整螺子104との間にスプリング105が介在され、このスプリング105の一方の端部を固定するために調整螺子104の一端にはスプリング支持部材106が設けられている。
【0004】
また、プランジャ103のスプリング105と反対側にもスプリング107が設けられている。
そして鋼材100を保持するプランジャ103がスプリング105とスプリング107との間に挟まれるので、振動エネルギーが吸収されるし、鋼材100の長さが温度変化により変化してもスプリング105,107の長さの変化により調整される。
【0005】
このような落橋防止装置は、アンカー装置102により確実に振動エネルギーが吸収される利点が確かにあるが、アンカー装置102の構造が複雑になることから故障し易く、またコスト高でもある。
また、連結用の引張り部材として鋼材100が使用されているが、風雨に晒されるため、錆び付き易く機械的強度が低下する欠点がある。
【0006】
しかし、その後、高引張強度の樹脂材(例えばエンジニアリングプラスチック)の開発が進み、簡単な構造で地震時のエネルギーを吸収でき、且つ橋梁同士の連結強度を長期間保証し得るような装置が開発された。
例えば樹脂製の繊維長尺体を使用した落橋防止装置がある(例えば、特許文献2,3参照)。
この繊維長尺体は、樹脂の種類として具体的に、アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、PBO繊維等を使ったものである。
【0007】
【特許文献1】特開昭57−133907号公報
【特許文献2】特開2004−36337号公報
【特許文献3】特開2004−36338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、樹脂製の連結バンドは、地震等による強い振動を受けた場合、強い引張り力が加わると耐えきれなくなり、一挙に全幅に渡って破断する。
このように連結バンドが一挙に破断することで、橋梁は拘束が無くなり、それとほぼ同時に横移動して突然橋脚から落下するため極めて危険である。
【0009】
本発明は、かかる背景技術をもとになされたもので、上記の背景技術の問題点を克服することができるものである。
すなわち、本発明は、一挙に破断することがなく段階的な破断が可能となり、突然の橋脚の落下を防止する連結バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、連結バンドを構成する材料の材質に工夫を加えることにより上記の問題点を解決することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、(1)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、多数の縦方向の繊維糸を有している連結バンドに存する。
【0012】
また、本発明は、(2)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が第2の橋梁に取り付けられるものである連結バンドに存する。
【0013】
また、本発明は、(3)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が橋脚に取り付けられるものである連結バンドに存する。
【0014】
また、本発明は、(4)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドは多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が取付け用のループを形成して第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が取付け用のループを形成して第2の橋梁に取り付けられるものである連結バンドに存する。
【0015】
また、本発明は、(5)、第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドは多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が取付け用のループを形成して第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が取付け用のループを形成して橋脚に取り付けられるものである連結バンドに存する。
【0016】
また、本発明は、(6)、前記複数種類の繊維糸は、芳香族ポリアミド繊維糸、ポリビニルアルコール繊維糸、又はポリエステル繊維糸の中から選択された少なくとも2種類である上記(2)、(3)、(4)、又は(5)に記載の連結バンドに存する。
【0017】
また、本発明は、(7)、前記連結バンドは、カバー部材により覆われている上記(2)、(3)、(4)、又は(5)に記載の連結バンドに存する。
【0018】
また、本発明は、(8)、前記連結バンドは、中央部を縫い合わせ固定され両端部に取り付け用のループが形成されている上記(2)又は(3)に記載の連結バンドに存する。
【0019】
また、本発明は、(9)、前記連結バンドは、複数巻回されている上記(2)又は(3)に記載の連結バンドに存する。
【0020】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)から(9)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の連結バンドによれば、多数の縦方向の糸を有しているので、橋梁や橋脚の金具に取り付け易い。
破断伸度が異なる複数種類の繊維糸を有するようにすれば、繊維糸の種類によって破断エネルギーが異なるため、連結バンド自体が一挙に切断するようことはなく、繊維糸の種類毎に時間的経過と共に段階的に順次破断していくことができ、全体としての吸収エネルギーも大きい。
また、結果的に緩衝機能をも十分発揮できる。
そのため、従来のように最初の振動により連結バンドが切断し、それと共に突然橋梁が落下するようなことがなく、続発的又は群発的に生じる地震にも十分対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、連結バンドの取り付け態様を示している。
この連結バンドは、その一方の端部が第1の橋梁1Aに取り付けられ、他方の端部が第1の橋梁1Aに隣接する第2の橋梁1Bに取り付けられる。
具体的には、連結バンドは、その一方の端部が第1の橋梁の定着部2Aに、他方の端部が第2の橋梁の定着部2Bに取り付けられる。
この場合、連結バンドは、定着部2Aに備わっている固定金具の挿入ボルトと定着部2Bに備わっている固定金具の挿入ボルトとの間に渡されて連結される。
【0023】
[第1実施形態]
図2は、本発明の連結バンドの第1実施形態を示している。
図2(A)は、連結バンドの全体を斜視的に示している。
この連結バンド3は帯状に形成されており、且つその両端部を一部重ねて縫い合わせることによりエンドレスに形成されている。
図2(B)は図2(A)のA−A線に沿う断面を模式的に示している。
【0024】
この連結バンド3は、引張り強度を担う多数の縦方向の繊維糸を有しており、縦方向に引張られた場合に強度を発揮する。
これらの各繊維糸は多数集合して長さ方向に平行に並んで束となっており、繊維糸を拘束保護するための断面長方形状のカバー部材4によって覆われた状態となっている。
カバー部材4は、多数の繊維糸を拘束保護するためのもので、連結バンドの耐久性や耐候性が向上する。
【0025】
カバー部材4としては、合成樹脂またはゴム(例えば、ポリエチレン、塩化ビニール、シリコンラバー等)や繊維布地を使うことが可能である。
カバー部材4の代わりとして、繊維糸を拘束保護できれば繊維糸全体を接着剤で硬化固定する方法も可能である。
カバー部材4によって覆われた状態の連結バンドの両端部分は、その一定範囲を重ね合わせて縫い込み結合することで両端部分31が強固に一体化する。
【0026】
この連結バンド3に加わる引張り力を担っているのは芯線となる複数の繊維糸であり、それらはそれぞれ破断伸度が異なる繊維糸である。
例えば、繊維糸として、芳香族ポリアミド繊維糸とポリエステル繊維糸の2種類の組み合わせが選択されたり、或いは芳香族ポリアミド繊維糸、ポリビニルアルコール繊維糸、及びポリエステル繊維糸の3種類の組み合わせが選択されたりする。
【0027】
図2の連結バンドは、後者の3種類(芳香族ポリアミド繊維糸a、ポリビニルアルコール繊維糸b、ポリエステル繊維糸p)の組み合わせを採用したものである。
これらの各繊維糸は、破断伸度が異なるので、連結バンド全体が伸びても、順次破断伸度の小さな繊維から順次切断されていく。
【0028】
破断伸度が小さい芳香族ポリアミド繊維糸aが最初に破断し、その後、伸びと共にポリビニルアルコール繊維糸b、次にポリエステル繊維糸pと順次破断していくこととなる。 そのため一挙に連結バンド3が全幅に渡って一度に破断してしまうような現象は生じなく、時間的経過と共に段階的にエネルギーを吸収しながら破断することとなる。
すなわち、ある距離伸びるとその伸びに対する破断強度に達した繊維糸のみが破断し、残りの繊維糸は破断せずに残っている。
そのため橋梁と橋梁とをこの連結バンドにより連結した場合は、橋梁の一定のズレ(移動)により、破断伸度を上回る引張り力を受けても、残りの破断伸度の大きい繊維糸は破断せずに引張り力を担うことができる。
【0029】
このように、連結バンドが一挙に破断しないことから、次に発生する地震(振動等)による衝撃を受けても、破断しないで残っている繊維糸により、橋梁同士の横ズレが防止されるのである。
したがって、一番危険な現象、すなわち橋脚から橋梁1A,1Bが、突然、落下するような危険発生を防止することができる。
【0030】
なお、組み合わせる複数種類の繊維糸の太さや本数を適宜調整することで、繊維糸全体としての破断伸度のピークの大きさを、適宜、設定することが可能で最適な連結バンドを得ることができる。
【0031】
〔実験〕
本発明の連結バンドを使った段階的な破壊現象を説明するために、繊維糸を引張った場合の実験を示す。
実験装置は島津オートグラプAG−5000A(株式会社島津製作所製、定速伸長形)を使用し、引張り速度200mm/分、つまみ間隔280mmで行った。
尚、規定は、JIS L 1013 7.5(引張強さ及び伸び率測定)である。
実験に使用した繊維糸は以下の通りである。
【0032】
a;芳香族ポリアミド繊維糸としてのアラミド繊維糸、テクノーラT−200(帝人株式会社製、1670dt、フィフイラメント数1000、破断伸度約4%における破断応力330N)
b;ポリビニルアルコール繊維糸としてのビニロン繊維糸、ビニロンHM1(ユニチカ株式会社製、2000dt、フィラメント数250、破断伸度約6%における破断応力209N)
p;ポリエステル繊維糸、テトロンP900MP(帝人株式会社製、1670dt、フィラメント数750、破断伸度約12%における破断応力133N)
【0033】
i−実験1(図3参照)
この実験は、アラミド繊維糸aを1本とポリエステル繊維糸pを4本とを束ねて計5本からなる簡易連結バンドを使った。
そしてこの簡易連結バンドを一定速度で伸ばした場合の荷重と伸度とを測定した。
縦軸には繊維糸に加わる荷重(応力)(N)、横軸には伸度(%)(S−S曲線)を示した。
【0034】
図に示すように、連結バンドを徐々に伸ばしていくと、先ず、アラミド繊維糸aが破断し、一定時間を経過した後、次いでポリエステル繊維糸pが破断する。
なお、このグラフと縦軸及び横軸に囲まれる面積が大きければ大きい程、繊維糸全体が破断するまでに要したエネルギーが多いことを示す。
【0035】
ii−実験2(図4参照)
この実験は、アラミド繊維糸aを1本と、ビニロン繊維糸bを2本と、ポリエステル繊維糸pを4本とを束ねて計7本からなる簡易連結バンドを使った。
そして、実験1と同様に簡易連結バンドを一定速度で伸ばした場合の荷重と伸度とを測定した。
【0036】
図に示すように、連結バンドを徐々に伸ばしていくと、先ず、アラミド繊維糸aが破断し、一定時間後、ビニロン繊維糸bが破断し、更に一定時間経過後、最後にポリエステル繊維糸pが破断する。
この実験2では、実験1の場合が2段目で連結バンドが破断するのに対して、3段目で連結バンドが破断することとなり、粘り強い引張り力を発揮できる。
【0037】
iii−実験3(図5参照)
この実験は、アラミド繊維糸aを1本と、ビニロン繊維糸bを5本と、ポリエステル繊維糸pを25本とを束ねて計31本からなる簡易連結バンドを使った。
そして、実験1と同様に簡易連結バンドを一定速度で伸ばした場合の荷重と伸度とを測定した。
【0038】
図に示すように、連結バンドを徐々に伸ばしていくと、先ず、アラミド繊維糸aが破断し、一定時間後、ビニロン繊維糸bが破断し、一定時間後、最後にポリエステル繊維糸pが破断する。
この実験3の場合は、実験2の場合に較べて、一定の伸びに対して、より大きい破断応力を有することとなり、連結バンド全体として、より強い引張り力を発揮することができる。
【0039】
[第2実施形態]
図6は本発明の連結バンドの第2実施形態を示している。
この第2実施形態の連結バンド3を第1実施形態の連結バンド3と比較すると、連結バンド3は一周して両端部を重ね合わせて縫い合わせた構造であるのに対し、この連結バンド3は2周させてから、その両端部31が重なる位置で同様にして縫い合わせている点で異なる。
【0040】
このような構成にすると、連結バンドは2重になるために、破断強度を2倍にすることができ、更に3周して3重に、また4周して4重にすることも当然可能である。
なお、多重にした場合は、連結バンドの一部が帯幅方向にズレてしまうおそれがあるので、縫合は更に適当な位置に行っておく。
【0041】
[第3実施形態]
図7は、本発明の連結バンドの第3実施形態を示している。
この第3実施形態の連結バンド3は、第1及び第2実施形態と同じ帯状の長尺体であるが、両端にループ32を有することが特徴である。
具体的には、連結バンド3は、連結バンド3の両端部31を比較的長く重ね合わせエンドレスにし、その後、中央部の重ね合わされた部分(連結バンド3の中央部)を縫い合わせして結合させている。
その結果、連結バンド3の図でいう左右の端には、橋梁又は橋脚に対する取り付け用のループ32が形成される。
【0042】
このような構成にすると、対象物である橋梁や橋脚に備わった固定金具に取り付けた場合、取り付け状態が安定となる。
【0043】
[第4実施形態]
図8は、本発明の連結バンドの第4実施形態を示している。
図8(A)は、連結バンドの全体、図8(B)は、その内部構造、及び図8(C)は繊維糸のエンドレスな巻回状態を示す。
図のように、ポリエステル繊維糸pがエンドレスに何重にも巻回されており、これが例えば繊維布よりなるチューブ状のカバー部材4によって覆われて拘束保護されている。
【0044】
そのために、上述した実施の形態のように、連結バンドの両端部分を重ねて縫合する必要がなく、芯線であるポリエステル繊維糸pが巻回されて継ぎ目なく連続しているために強度的に強いものとなる。
【0045】
[第5実施形態]
図9は、本発明の連結バンドの第5実施形態を示している。
この第5実施形態の連結バンド3は、第1〜第5実施形態と異なってエンドレスではないが、両端にループ32を有する。
具体的には、連結バンド3は、連結バンド3の左右の端を曲げ返されるようにして縫い付けられている。
その結果、連結バンド3の図でいう左右の端には、橋梁又は橋脚に対する取り付け用のループ32が形成される。
また、本発明でいう橋脚とはいわゆる橋台を含むものであることは当然である。
【0046】
以上、本発明を説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、目的に沿う限り、種々の変更が可能である。
例えば、橋梁1Aと橋梁1Bとを連結バンド3で連結した例について説明したが、図10に示すように、橋脚5と橋梁1Bとを連結バンド3で連結するようにしても良い。
【0047】
一方、カバー部材4については、透明にするなどして、地震が発生した際の引張り力により連結バンドを構成する、繊維糸の破断状態を確認することができる。
この場合、地震の強さの目処となるばかりではなく、交換の目安にもなる利点がある。 また、繊維糸の組み合わせは、芳香族ポリアミド繊維糸、ポリビニルアルコール繊維糸、ポリエステル繊維糸から選ばれたもの以外にも種々の組み合わせが可能なことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、橋梁とそれに隣接する橋梁、或いは、橋梁と橋脚との連結に使用される連結バンドに関するものであるが、連結する両者間の移動を防止するために種々の構造物同士の連結用として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、橋梁同士を連結する落橋防止装置を示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の連結バンドの第1実施形態を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図3は、実験1における荷重と伸度との関係を示す図である。
【図4】図4は、実験2における荷重と伸度との関係を示す図である。
【図5】図5は、実験3における荷重と伸度との関係を示す図である。
【図6】図6は、本発明の連結バンドの第2実施形態を示す説明図である。
【図7】図7は、本発明の連結バンドの第3実施形態を示す説明図である。
【図8】図8は、本発明の連結バンドの第4実施形態を示す説明図であり、(A)は、連結バンドの全体を示し、(B)は、繊維糸のエンドレスな巻回状態を示し、(C)はその内部構造を示している。
【図9】図9は、本発明の連結バンドの第5実施形態を示している。
【図10】図10は、橋梁と橋脚とを連結する落橋防止装置を示す説明図である。
【図11】図11、従来の落橋防止装置を示す説明図である。
【図12】図12は、図11のアンカー装置の詳細を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1A,1B 橋梁
2A,2B 定着部
3 連結バンド
31 連結バンド
32 連結バンド
4 カバー部材
5 橋脚
100 鋼材
101 コンクリート部材
102 アンカー装置
103 プランジャ
104 調整螺子
105 スプリング
106 スリング支持部材
107 スプリング
a アラミド繊維糸(芳香族ポリアミド繊維糸)
b ビニロン繊維糸
p ポリエステル繊維糸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、多数の縦方向の繊維糸を有していることを特徴とする連結バンド。
【請求項2】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が第2の橋梁に取り付けられるものであることを特徴とする連結バンド。
【請求項3】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が橋脚に取り付けられるものであることを特徴とする連結バンド。
【請求項4】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドは多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が取付け用のループを形成して第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が取付け用のループを形成して第2の橋梁に取り付けられるものであることを特徴とする連結バンド。
【請求項5】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドは多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が取付け用のループを形成して第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が取付け用のループを形成して橋脚に取り付けられるものであることを特徴とする連結バンド。
【請求項6】
前記複数種類の繊維糸は、芳香族ポリアミド繊維糸、ポリビニルアルコール繊維糸、又はポリエステル繊維糸の中から選択された少なくとも2種類であることを特徴とする請求項2、3、4、又は5に記載の連結バンド。
【請求項7】
前記連結バンドは、カバー部材により覆われていることを特徴とする請求項2、3、4、又は5に記載の連結バンド。
【請求項8】
前記連結バンドは、中央部を縫い合わせ固定され両端部に取り付け用のループが形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の連結バンド。
【請求項9】
前記連結バンドは、複数巻回されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の連結バンド。
【請求項1】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、多数の縦方向の繊維糸を有していることを特徴とする連結バンド。
【請求項2】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が第2の橋梁に取り付けられるものであることを特徴とする連結バンド。
【請求項3】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドはエンドレスに形成され且つ多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が橋脚に取り付けられるものであることを特徴とする連結バンド。
【請求項4】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドは多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が取付け用のループを形成して第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が取付け用のループを形成して第2の橋梁に取り付けられるものであることを特徴とする連結バンド。
【請求項5】
第1の橋梁とそれに隣接する第2の橋梁とが橋脚に載置された状態において橋梁の落下を防止する連結バンドであって、該連結バンドは多数の縦方向の繊維糸を有し、該繊維糸は破断伸度が異なった複数種類のものよりなり、一方端部が取付け用のループを形成して第1の橋梁に取り付けられ、他方端部が取付け用のループを形成して橋脚に取り付けられるものであることを特徴とする連結バンド。
【請求項6】
前記複数種類の繊維糸は、芳香族ポリアミド繊維糸、ポリビニルアルコール繊維糸、又はポリエステル繊維糸の中から選択された少なくとも2種類であることを特徴とする請求項2、3、4、又は5に記載の連結バンド。
【請求項7】
前記連結バンドは、カバー部材により覆われていることを特徴とする請求項2、3、4、又は5に記載の連結バンド。
【請求項8】
前記連結バンドは、中央部を縫い合わせ固定され両端部に取り付け用のループが形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の連結バンド。
【請求項9】
前記連結バンドは、複数巻回されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の連結バンド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−249842(P2006−249842A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70127(P2005−70127)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【出願人】(000201490)前田工繊株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【出願人】(000201490)前田工繊株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
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