説明

連結ピン、連結ピンの製造方法、連結ピンの異常検出装置およびこの連結ピンとその異常検出装置を備えたガイドベーン駆動機構

【課題】ガイドベーン駆動機構の連結ピンに使用されているJIS規格品のステンレス鋼は成分範囲が広いため、連結ピンの材料のせん断強度特性のバラツキが大きく、設計値を超える無理な力がガイドベーンリンクとガイドベーンアームとの間に作用しても破断せずに、ガイドベーン、ガイドベーンリンクあるいはガイドベーンアームを損傷させる懸念があった。
【解決手段】複数部材の連結部に使用され、一部に断面積を小さくして弱点部を設ける連結ピンにおいて、素材として、Cr;11.5〜13.0重量%、Si;0.5重量%以下、Mn;1.00重量%以下、P;0.040重量%以下、S;0.030重量%以下、C;0.10〜0.13重量%とし、残部をFeおよび不可避的不純物とする成分からなるステンレス鋼を用い、このステンレス鋼に材料強度安定化のための熱処理を施したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水車のガイドベーン駆動機構の連結部等に設けられる連結ピン、連結ピンの製造方法、連結ピンの異常検出装置およびこの連結ピンとその異常検出装置を備えたガイドベーン駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
水車のガイドベーン駆動機構は、調速機サーボモータにより前後に駆動される操作ロッドと、この操作ロッドによって左右に所定角度回動可能なガイドリングと、このガイドリングにガイドベーンリンクを介して連結されたガイドベーンアームと、このガイドベーンアームに連結されたガイドベーンとから構成されている。しかも、このガイドベーンリンクとガイドベーンアームとは連結ピンによって連結しているのであるが、この連結ピンはガイドベーンリンクとガイドベーンアームとの間に連結部に予想を超えた無理な力が作用した場合、破断してガイドベーン駆動機構を構成する部材であるガイドベーンリンク、ガイドベーンアームおよびガイドベーンが損傷するのを防止している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−119611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このガイドベーン駆動機構に使用される連結ピンの材料には、従来JIS規格品のステンレス鋼を用いている。しかし、このJIS規格品は成分範囲が広いため、連結ピンの材料のせん断強度特性のバラツキが大きくなり、設計値を超える無理な力がガイドベーンリンクとガイドベーンアームとの間に作用しても破断せず、ガイドベーン、ガイドベーンリンクあるいはガイドベーンアームを損傷させる懸念があった。
【0004】
本発明は上述した問題点鑑みてなされたもので、連結ピンのせん断強度特性を安定させて、所定値以上の無理な力がリンク機構の連結部材に作用した場合、確実に破断することのできる安定性の高い高品質の連結ピン、連結ピンの製造方法、連結ピンの異常検出装置およびそれらを備えたガイドベーン駆動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る連結ピンの発明は、複数部材の連結部に使用され、一部に断面積を小さくして弱点部を設けた連結ピンにおいて、素材として、Cr;11.5〜13.0重量%、Si;0.5重量%以下、Mn;1.00重量%以下、P;0.040重量%以下、S;0.030重量%以下、C;0.10〜0.13重量%とし、残部をFeおよび不可避的不純物とする成分からなるステンレス鋼を用い、このステンレス鋼に材料強度安定化のための熱処理を施したことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、ステンレス鋼の成分範囲を規制したうえで、熱処理したので、連結ピンの材料強度を安定させて、無理な力が連結部に作用しても確実に破断することのでき、水力機器の損傷を防止することができる。
【0007】
また、請求項2に係る連結ピンの発明は、前記連結ピンの弱点部よりも上部に連結ピン破断時の脱落防止片を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、連結ピンの破断部の突起部がガイドベーンリンクの取付け孔内に収まり、ガイドベーンリンクとガイドベーンアームに接触することがないため、補修費が少なくしかも早く補修を完了することができる。
【0008】
また、請求項3に係る連結ピンの異常状態検出装置の発明は、複数部材の連結部に使用され、一部に断面積を小さくして弱点部を設け、素材として、Cr;11.5〜13.0重量%、Si;0.5重量%以下、Mn;1.00重量%以下、P;0.040重量%以下、S;0.030重量%以下、C;0.10〜0.13重量%とし、残部をFeおよび不可避的不純物とする成分からなるステンレス鋼を用い、このステンレス鋼に材料強度安定化のための熱処理を施した連結ピンの軸線方向に穿設した孔内に、連結ピンの破断を検出する破断検出部を挿着したことを特徴とする。
この発明によれば、連結ピンが破断した場合、破断検出部によって警報を出力することができる。
【0009】
また、請求項4に係る連結ピンの異常状態検出装置の発明は、複数部材の連結部に使用され、一部に断面積を小さくして弱点部を設け、素材として、Cr;11.5〜13.0重量%、Si;0.5重量%以下、Mn;1.00重量%以下、P;0.040重量%以下、S;0.030重量%以下、C;0.10〜0.13重量%とし、残部をFeおよび不可避的不純物とする成分からなるステンレス鋼を用い、このステンレス鋼に材料強度安定化のための熱処理を施した連結ピンの軸線方向に穿設した孔内に、連結ピンの変形を検出して連結ピンの劣化を判定する劣化検出器を挿着したことを特徴とする。
この発明によれば、連結ピンの切欠きのある弱点部で変形量が限界を超えた時に連結ピンの交換を知らせる信号を発してより安全に交換できるようにすることができる。
【0010】
また、請求項5に係る連結ピンの製造方法の発明は、請求項1において、前記ステンレス鋼の熱処理を2段階とし、最初の熱処理を900℃〜1000℃で0.5時間〜1.5時間保持することにより行い、その後前記連結ピンを空冷し、2度目の熱処理を820℃〜880℃で1.0時間〜5.0時間保持することにより行い、その後炉冷したことを特徴とする。
この発明によれば、連結ピンを2段階の熱処理を施すことにより連結ピンの材料強度を安定化させることができる。
【0011】
また、請求項6に係る連結ピンの製造方法の発明は、請求項1において、前記連結ピンの熱処理を2段階とし、最初の熱処理を900℃〜1000℃で0.5時間〜1.5時間保持することにより行い、その後油冷し、2度目の熱処理を820℃〜880℃で1.0時間〜5.0時間保持することにより行い、その後炉冷したことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、連結ピンを2段階の熱処理を施すことにより連結ピンの材料強度を安定化させることができるうえに、加熱処理の後に油冷と炉冷との冷却工程を設けたので、全体の熱処理時間を短縮することができる。
【0013】
さらに、請求項7に係る連結ピンの製造方法の発明は、請求項1において、前記連結ピンの熱処理を2段階とし、最初の熱処理を900℃〜1000℃で0.5時間〜1.5時間保持することにより行い、その後油冷し、2度目の熱処理を820℃〜880℃で1.0時間〜5.0時間保持することにより行い、その後空冷したことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、連結ピンを2段階の熱処理を施すことにより連結ピンの材料強度を安定化させることができるうえに、加熱処理後の冷却工程として油冷および空冷としたので、全体の熱処理時間をさらに短縮することができる。
【0015】
さらにまた、請求項8に係る連結ピンの製造方法の発明は、請求項1において、前記連結ピンの熱処理を2段階とし、最初の熱処理を900℃〜1000℃で0.5時間〜1.5時間保持することにより行い、その後空冷し、2度目の熱処理を820℃〜880℃で1.0時間〜5.0時間保持することにより行い、その後空冷したことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、連結ピンを2段階の熱処理を施すことにより連結ピンの材料強度を安定化させることができるうえに、2度の加熱処理の後の冷却工程とも空冷としたので、全体の熱処理時間をより一層短縮することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば素材に成分範囲を規制したステンレス鋼用から連結ピンを成形しこの連結ピンに熱処理を施したので、連結ピンの材料強度を安定化させて破断負荷を一定に保つことができ、より信頼性の高い連結ピンおよび連結ピンを備えたガイドベーン駆動機構を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る連結ピン取付け部の断面図である。
水車のガイドベーン駆動機構は、調速機サーボモータにより前後に駆動される操作ロッドと、この操作ロッドによって左右に所定角度回動可能なガイドリングと、このガイドリングにガイドベーンリンクを介して連結されたガイドベーンアームと、このガイドベーンアームに連結されたガイドベーンとから構成されている。しかも、このガイドベーンリンクとガイドベーンアームとは連結ピンによって連結しているのであるが、この連結ピンはガイドベーンリンクとガイドベーンアームとの間に連結部に予想を超えた無理な力が作用した場合、破断してガイドベーン駆動機構を構成する部材が損傷するのを防止している。
【0019】
図1は、水車のガイドベーン駆動機構のうち、ガイドベーンリンク1およびガイドベーンアーム2とを連結部3により連結した状態を示している。この連結部3はガイドベーンリンク1およびガイドベーンアーム2間に設計時の予想を超えた大きな力が作用した場合、連結ピンを破断させるように構成されており、ガイドベーンリンク1およびガイドベーンアーム2には連結ピン4取付け用の取付け穴5および6をそれぞれ形成している。この取付け穴5は取付け穴6よりも大きい内径を有しており、ブッシュ7を嵌めるようにしている。前記連結ピン4は、ブッシュ7の内径および前記取付け穴6の内径に適合する寸法に形成されており、ガイドベーンリンク1側から挿通することによってガイドベーンリンク1とガイドベーンアーム2とを回転自在に連結している。しかも、ガイドベーンリンク1とガイドベーンアーム2とはピン頭部4aとねじ部4bに螺合するナット8とにより締結されている。
【0020】
なお、前記連結ピン4は、大径部と小径部との接合部に環状の切欠きを設けて弱点部4cを形成するとともに、軸方向に孔部4dを穿設している。9は破断検出器であり、この孔部4dに挿着されて、万一予想を超えた無理な力がガイドベーンリンク1とガイドベーンアーム3間に作用して弱点部4cで連結ピン7が破断した場合、破断検出器9の棒状部分9aも同時に破断し、破断検出器9中に納められた図示しないマイクロスイッチが動作して警報を発するように構成している。
このような構造の連結ピンに必要な特性は、予め想定した設計値よりも無理な力が連結部に作用したとき、確実に破断することである。
【0021】
本発明は上記構造の連結ピンにおいて、素材にステンレス鋼を用いるとともにこのステンレス鋼の材料強度を安定させるための熱処理を施工した製造方法を特徴の一つとしたものである。そして破断強度のバラツキを少なくするために、JIS規格品よりも熱処理による破断強度への影響因子の大きい成分を規制するように成分を定めている。
【0022】
(実施例1)
連結ピンの材料を、重量%でCrを11.5〜13.0%とし、Siを0.5%以下、Mnを1.00%以下、Pを0.040%以下、Sを0.030%以下、Cを0.10〜0.13%とし、残部をFeおよび不可避的不純物としたステンレス鋼とする。
【0023】
本実施例では、上記成分からなるステンレス鋼で成形した連結ピンに、次のプロセスで2段階の熱処理を施す。
(1)連結ピンを加熱炉において900℃〜1000℃の温度条件で0.5時間〜1.5時間保持する。
(2)連結ピンを加熱炉から取り出し、例えば砂地に置いて大気温度で空冷する。
(3)この空冷により連結ピンの温度が820℃〜880℃まで低下したら、再度加熱炉に入れ、820℃〜880℃の温度条件で1.0時間〜5.0時間保持する。
(4)この直後、炉冷すなわちヒーターを止めた加熱炉の中で連結ピンを冷却する。
【0024】
このようにして、上記成分からなる連結ピンを2段階の熱処理によって製造したので、連結ピンの引張強さのバラツキを無くして破断負荷を一定に保つことができる。例えば、連結ピンの引張強さをおよそ600MPa程度に設定すれば、600MPaを少し超えた負荷が連結部にかかった場合、確実に連結ピンを破断させることができ、ガイドベーンリンク、ガイドベーンアーム、ガイドベーン等水力機械部品の損傷を防止することができる。また当然のことながら、連結ピンはステンレス鋼製のため、腐食も防止できる。
【0025】
(実施例2)
実施例1と同じ成分のステンレス鋼で連結ピンを成形し、この実施例2では、次のプロセスで2段階の熱処理を施す。
(1)連結ピンを加熱炉において900℃〜1000℃の温度条件で0.5時間〜1.5時間保持する。
(2)連結ピンを加熱炉から取り出し、油冷する。
(3)この空冷により連結ピンの温度が820℃〜880℃まで低下したら、再度加熱炉に入れ、820℃〜880℃の温度条件で1.0時間〜5.0時間保持する。
(4)この直後、炉冷すなわちヒーターを止めた加熱炉の中で連結ピンを冷却する。
【0026】
(実施例3)
実施例1と同じ成分のステンレス鋼で成形した連結ピンを、この実施例3では、次のプロセスで2段階の熱処理を施す。
(1)連結ピンを加熱炉において900℃〜1000℃の温度条件で0.5時間〜1.5時間保持する。
(2)連結ピンを加熱炉から取り出し、油冷する。
(3)この空冷により連結ピンの温度が820℃〜880℃まで低下したら、再度加熱炉に入れ、820℃〜880℃の温度条件で1.0時間〜5.0時間保持する。
(4)この直後、空冷すなわち大気温度で連結ピンを冷却する。
【0027】
(実施例4)
実施例1と同じ成分のステンレス鋼で成形した連結ピンを、この実施例3では、次のプロセスで2段階の熱処理を施す。
(1)連結ピンを加熱炉において900℃〜1000℃の温度条件で0.5時間〜1.5時間保持する。
(2)連結ピンを加熱炉から取り出し、空冷すなわち大気温度で連結ピンまたはステンレス鋼を冷却する。
(3)この空冷により連結ピンの温度が820℃〜880℃まで低下したら、再度加熱炉に入れ、820℃〜880℃の温度条件で1.0時間〜5.0時間保持する。
(4)この直後、空冷すなわち大気温度で連結ピンを冷却する。
【0028】
このようにして、上記成分からなる連結ピンを2段階の熱処理によって製造したので、連結ピンの引張強さのバラツキを無くして破断負荷を一定に保つことができる。例えば、連結ピンの引張強さをおよそ600MPa程度に設定すれば、600MPaを少し超えた負荷が連結部にかかった場合、確実に連結ピンを破断させることができ、ガイドベーンリンク、ガイドベーンアーム、ガイドベーン等水力機械構成部品の損傷を防止することができる。また当然のことながら、連結ピンはステンレス鋼製のため腐食も防止できる。
なお、以上の実施例1から3では、連結ピンを熱処理する場合について説明したが、連結ピンを成形する前の鋼の状態で熱処理し、その後ピンに成形しても良い。
【0029】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態による水車のガイドベーン駆動機構の一部分を示す図である。なお、図1と同一部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
図2において、図1との相違点はガイドベーンリンク1と連結ピン4の頭部4aとの間に皿バネ状の破断部脱落防止片10を介挿させた点にあり、その他は図1と同じである。
【0030】
このようにガイドベーンリンク1と連結ピン4の頭部4aとの間に破断部脱落防止片10を介挿させることにより、図3に示すように連結ピン4が破断したときに、破断部の突起部はガイドベーンリンク1の取付け孔5内に収まる。この結果、破断片がガイドベーンリンク1やガイドベーンアームさらに周辺の機器を破断させる惧れはなく、しかも連結ピン以外の交換がないため、交換時間および費用も削減することができる。
【0031】
(第3の実施の形態)
図4は第3の実施形態の構成図であり、上記のようにして熱処理して製造した連結ピン中心部の孔部4dに破断検出部9の代わりに劣化検出器11を設置し、弱点部4c近傍部分の変形を検出して連結ピン4の劣化を判定する変形検出部11aを設置したものである。このような変形検出器11aの例としては、歪みゲージ、ロードセル、圧電素子など検出器11a自体が変形することにより電気的な信号を発するものであれば良い。
【0032】
この実施の形態によれば、連結ピンの弱点部4cの変形を捉えて連結ピン4の破損予寿命を把握し、その交換時期を算出することができる。
このように、連結ピンの破断前に強度の劣化したピンを交換することができる結果、水力機械の運転効率の向上および安全な運転の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態による水車のガイドベーン駆動機構の一部分を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態による水車のガイドベーン駆動機構の一部分を示す図。
【図3】本発明の第2の実施の形態による連結ピン破断時の断面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態による水車のガイドベーン駆動機構の一部分を示す図。
【符号の説明】
【0034】
1…ガイドベーンリンク、2…ガイドベーンアーム、3…連結部、4…連結ピン、4b…ねじ部、4c…弱点部、5…取付け孔、6…取付け孔、7…ブッシュ、8…ナット、9…破断検出器、10…破断部脱落防止片、11…劣化検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数部材の連結部に使用され、一部に断面積を小さくして弱点部を設けた連結ピンにおいて、素材として、Cr;11.5〜13.0重量%、Si;0.5重量%以下、Mn;1.00重量%以下、P;0.040重量%以下、S;0.030重量%以下、C;0.10〜0.13重量%とし、残部をFeおよび不可避的不純物とする成分からなるステンレス鋼を用い、このステンレス鋼に材料強度安定化のための熱処理を施したことを特徴とする連結ピン。
【請求項2】
前記連結ピンの弱点部よりも上部に連結ピン破断時の脱落防止片を設けたことを特徴とする請求項1記載の連結ピン。
【請求項3】
複数部材の連結部に使用され、一部に断面積を小さくして弱点部を設け、素材として、Cr;11.5〜13.0重量%、Si;0.5重量%以下、Mn;1.00重量%以下、P;0.040重量%以下、S;0.030重量%以下、C;0.10〜0.13重量%とし、残部をFeおよび不可避的不純物とする成分からなるステンレス鋼を用い、かつ材料強度安定化のための熱処理を施した連結ピンの軸線方向に穿設した孔内に、連結ピンの破断を検出する破断検出部を挿着したことを特徴とする連結ピンの異常状態検出装置。
【請求項4】
複数部材の連結部に使用され、一部に断面積を小さくして弱点部を設け、素材として、Cr;11.5〜13.0重量%、Si;0.5重量%以下、Mn;1.00重量%以下、P;0.040重量%以下、S;0.030重量%以下、C;0.10〜0.13重量%とし、残部をFeおよび不可避的不純物とする成分からなるステンレス鋼を用い、かつ材料強度安定化のための熱処理を施した連結ピンの軸線方向に穿設した孔内に、連結ピンの変形を検出して連結ピンの劣化を判定する劣化検出器を挿着したことを特徴とする連結ピンの異常状態検出装置。
【請求項5】
前記ステンレス鋼の熱処理を2段階とし、最初の熱処理を900℃〜1000℃で0.5時間〜1.5時間保持することにより行い、その後空冷し、2度目の熱処理を820℃〜880℃で1.0時間〜5.0時間保持することにより行い、その後炉冷したことを特徴とする請求項1記載の連結ピン製造方法。
【請求項6】
前記ステンレス鋼の熱処理を2段階とし、最初の熱処理を900℃〜1000℃で0.5時間〜1.5時間保持することにより行い、その後油冷し、2度目の熱処理を820℃〜880℃で1.0時間〜5.0時間保持することにより行い、その後炉冷したことを特徴とする請求項1記載の連結ピン製造方法。
【請求項7】
前記ステンレス鋼の熱処理を2段階とし、最初の熱処理を900℃〜1000℃で0.5時間〜1.5時間保持することにより行い、その後油冷し、2度目の熱処理を820℃〜880℃で1.0時間〜5.0時間保持することにより行い、その後空冷したことを特徴とする請求項1記載の連結ピンの製造方法。
【請求項8】
前記ステンレス鋼の熱処理を2段階とし、最初の熱処理を900℃〜1000℃で0.5時間〜1.5時間保持することにより行い、その後空冷し、2度目の熱処理を820℃〜880℃で1.0時間〜5.0時間保持することにより行い、その後空冷したことを特徴とする請求項1記載の連結ピンの製造方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の連結ピンと、請求項3または4に記載の連結ピンの異常状態検出装置とを備えた水車のガイドベーン駆動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−161636(P2006−161636A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352645(P2004−352645)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】