説明

連結機構及び映像表示装置

【課題】 本発明は、表示素子を備えた表示ユニットを上下に連結するのに好適な連結機構を提供する。
【解決手段】 係合溝51aを形成した柱状のプラグ51と、プラグ51の軸方向に向けて進退可能に構成された筒状のソケット521と、このソケット521に取着され、プラグ51の係合溝に係合して、プラグ51の抜け出しを阻止可能な抜止部材522と、ソケット5211外側にプラグ51の軸方向に摺動自在に嵌め込められ、抜止部材522をプラグ51の係合溝51aへ係合可能な摺動筒523とを具備し、第1のばね部材524が抜止部材522が係合溝51aに係合する方向に摺動筒523を常時付勢し、カム機構部526のカム5261の回転により、摺動筒523を第1のばね部材524の付勢に抗して移動させて連結を解除するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示素子を備えた表示ユニットを、少なくとも上下方向に複数台連結することにより、映像を表示可能な映像表示装置、及びその映像表示装置を構成する表示ユニットの連結に採用して好適な連結機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしば目にするように、屋内外の競技場や各種イベント会場、あるいは繁華街等に面した建物の外壁面(ビルボード)等には、LED(発光ダイオード)等の表示素子を多数配置して表示画面(ディスプレイ)を構成した映像表示装置が据え付けられている。
これら映像表示装置は、競技場やビル等の建造物そのものに恒久的に設置されたり、また各地のイベント会場等で都度組み立て使用されたり、あるいは可搬式に大型車両の荷台に搭載されて使用される。
【0003】
この種の映像表示装置は、R(赤)G(緑)B(青)の点灯制御により、いわゆるフルカラー表示を行い、宣伝広告の表示や客に対する案内表示、あるいは観客等の視聴者に対するテレビジョン画像の表示が行うものであり、複数台の表示ユニットを連結具及び接続具を介して上下左右に連結接続されて構成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図17は、その表示ユニットが連結接続されて構成される従来の映像表示装置の要部斜視図、図18は、その表示ユニット1,1が上下に連結されて構成される従来の映像表示装置を背後から見た要部斜視図である。
【0005】
図17及び図18において、表示ユニット1は、多数の表示素子11aをマトリクス状に配列した複数個(図17では3×4の12個)の表示パネル11を箱体状の筐体12の前面に組み込み配置して構成される。
【0006】
筐体12の上面中央には、上に載置される不図示の相手側表示ユニット1と連結するための連結ピン2が、また同じく上面の左右の両端部にはその連結を案内するガイドピン121,121がそれぞれ植立されている。
【0007】
連結ピン2は、上部に係止ロッド2aが横方向に貫通させてT字状に構成され、図18に示したように、上に載置される相手側表示ユニット1内の下端部に取り付けられた係止部3に連結接続される。
【0008】
表示ユニット1,1を上下に連結して映像表示装置を構成する従来の連結具は、連結ピン2と係止部3とからなる。
【0009】
図19は従来の連結具による連結機構を示した要部拡大斜視図である。係止部3のフック31が連結ピン2の係止ロッド2aを捕捉し、フック31に連結されたハンドル32を上方向に回動させ、フック31が係止ロッド2aを捕捉したとき、ストッパ33が連結をロックするように構成されている。
【0010】
上記構成の連結機構は、ストッパ33の下方への押し下げ操作でロック状態を一旦解除し、続くハンドル32操作により連結解除を行い、上側表示ユニット1を下側表示ユニット1から切り離すことができる。
【0011】
なお、図17及び図18に示したように、左右に隣接する表示ユニット1,1の各対向する側面間には、フック継手を形成した2組の接続具4(41),4(42)がそれぞれ嵌脱自在に渡着され、表示ユニット1,1を左右に接続するように構成されている。
【0012】
図20(a)は従来の映像表示装置の要部正面図を、また図20(b)はその要部平面図を示したもので、映像表示装置は、上記構成の連結機構及び接続具4による、複数台の表示ユニット1,1の上下左右への連結接続により大型表示画面を形成する。
【0013】
なお、映像表示装置のように、表示ユニット等のような構造体を上下方向に連結するための連結具とは異なるが、いわゆるホースのようなフレキシブルな管をワンタッチで接続、取り外しを行うホース継手が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−348493号公報
【特許文献2】特開2001−254885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように大型のディスプレイを形成する従来の映像表示装置では、上下には連結具を介して、また左右には接続具を介して、多数台の表示ユニット1,1を上下左右に連結接続して構成される。
【0015】
一般に、LEDを表示素子に採用した表示ユニット1台の重量は30Kgにも達するが、表示ユニットを上下方向に多数連結して大型表示画面を形成するための連結機構は、上記のように、連結ピン2と係止部3とで構成されている。
【0016】
連結ピン2は表示ユニット1の上端部に設けられ、係止ロッド2aを横方向に貫通させてT字状に構成されている。また、係止部3は、表示ユニット1の下端部に設けられ、フック31が連結ピン2の係止ロッド2aを捕捉し、フック31に連結されたハンドル32を上方向に回動させ、フック31が係止ロッド2aを捕捉した状態でストッパ33が連結をロックするように構成されている。
【0017】
上記構成からなる従来の連結機構は、作業員によるハンドル操作で表示ユニットの連結及び連結解除の操作が可能であるが、これらの動作が適正に行われるためには、フック等を高精度に加工製造する必要があるとともに、T字状の連結ピン2を係止する構造上、部品点数が多くなり、構成の複雑化は避けられないので改善が要望されていた。
【0018】
そこで本発明は、比較的簡単な構成により、表示ユニット等を上下に連結するのに好適な連結機構、及びその連結機構を採用して上下の表示ユニット間の連結及び連結解除を容易かつ適切に行うことができる映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の発明は、連結機構において、係合溝を外周に形成した柱状のプラグと、このプラグに対し、プラグの軸方向に向けて進退可能に構成されて、プラグと嵌合可能な筒状のソケットと、このソケットに取着され、嵌合した前記プラグの係合溝に係合可能な抜止部材と、前記ソケットの外側に前記プラグの軸方向に摺動自在に嵌め込められ、前記抜止部材を前記プラグの係合溝へ押し込み可能に形成された摺動筒と、前記抜止部材を前記係合溝に押し込む方向に前記摺動筒を常時付勢する第1のばね部材と、カムの回転により、前記摺動筒を前記第1のばね部材の付勢に抗して移動させ、前記抜止部材の前記係合溝との係合を解除可能なカム機構部とを具備することを特徴とする。
【0020】
第2の発明は、多数の表示素子を配列した箱体状の表示ユニットを、連結具を介して上下に連結された映像表示装置において、前記連結具に、上記第1の発明に係る連結機構を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明の連結機構、及び映像表示装置によれば、係合溝を外周に形成したプラグと、ソケットの抜止部材を係合溝へ押し込み可能な摺動筒と、抜止部材を係合溝に押し込む方向に摺動筒を常時付勢する第1のばね部材と、カムの回転により、摺動筒を第1のばね部材の付勢に抗して移動させ、抜止部材の係合溝との係合を解除可能なカム機構部とを具備するので、簡単な構成でソケットとプラグとの連結固定をワンタッチで行うことができるとともに、ソケットとプラグとの連結解除、及びソケットとプラグとの連結待機状態をカムの回動操作で容易かつ適切に行いまた設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明による連結機構を採用した映像表示装置の一実施例を図1ないし図16を参照して詳細に説明する。なお、図17ないし図20に示した従来の構成と同一構成には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0023】
図1は本発明に係る連結機構の一実施例を採用した映像表示装置の要部斜視図で、図2はその映像表示装置を構成した表示ユニットを背後から見た要部斜視図である。
【0024】
本発明の一実施例に係る映像表示装置の表示ユニット1は、図1及び図2に示したように、4脚を有する櫓(やぐら)状の筐体12の前面に、多数のLED等の表示素子11aを配置した複数個(この実施例では12個)の表示パネル11が組み込まれて構成されている。
【0025】
映像表示装置は、従来と同様に、複数台の表示ユニット1,1が上下に連結具を介して連結され、左右には接続具4を介して接続されて構成されるが、この実施例では、表示ユニット1,1の上下の連結具として、表示ユニット1の上部に突設させた柱状のプラグと、同じく表示ユニット1の下端部に組み込み構成したプラグ受け部との組み合わせ構成からなる連結機構を採用している。
【0026】
一般に、ホースをワンタッチで接続、取り外しを行うことができるいわゆるホース継手が知られているが、この実施例に係るプラグとプラグ受け部との組み合わせ構成からなる連結機構は、そのホース継手の機構構造に、カム機構を組み込んだ新たな構成の連結機構であり、カムの回転軸回りの回動操作により、上下表示ユニット1,1の連結、切り離しを適切に行い得るように構成したものである。
【0027】
すなわち、図1及び図2に示すように、表示ユニット1における筐体12の上部(上面)の左右両端部には、連結機構5を構成する円柱状のプラグ51,51が対をなして突出するように取り付けられている。
【0028】
また、表示ユニット1の下端部には、プラグ51,51に対応する位置に、プラグ51,51に着脱自在に連結され、プラグ51,51ともに連結機構5を構成するプラグ受け部52,52が組み込み構成されている。
【0029】
図3は、上下に連結される表示ユニット1,1のうち、下方側表示ユニット1の上端部に設けられたプラグ51と、これと対応するように位置して、上方側表示ユニット1の下端部に設けられたプラグ受け部52の拡大斜視図である。
【0030】
ここで、本実施例の連結機構5の構成と、従来知られているホース継手の構成とを対比すると、機能上、連結機構5のプラグ51はホース継手の差口に、また連結機構5のプラグ受け部52は、ホース継手の受口に対応する。
【0031】
そこで、本実施例の連結機構5において、円柱状のプラグ51には、外周に周回するように係合溝51aが形成されている。
【0032】
他方のプラグ受け部52は、その詳細構造を図4以下に示して以下説明するように、ソケット521と、剛球で形成された抜止部材522と、鍔部を有する摺動筒(スリーブ)523と、第1及び第2のばね部材524,525と、カム機構部526等を備え、これらで形成されたプラグ受け機構が箱体状の筐体527内に取り付けられて構成されている。
【0033】
図4は、図3に示したプラグ51とプラグ受け部52とからなる連結機構5のA−A線から矢印方向を見た要部断面図、図5は図3の同じくB−B線から矢印方向を見た一部切り欠き要部断面図、図6は図5のC−C線から矢印方向を見た一部切り欠き断面図である。
【0034】
図4ないし図6に示したように、プラグ受け部52のソケット521は、プラグ51に対し、プラグ51の軸方向(矢印Z方向)に向けて移動して、プラグ51に嵌り込むことが可能に筒状に形成されている。
【0035】
図5及び図6に示したように、抜止部材522は、複数個の剛球からなり、各剛球が軸回りに配列されるようにソケット521に取着され、ソケット521に嵌り込んだプラグ51の係合溝51aに係合して、プラグ51の抜け出しを阻止できるように構成されている。
【0036】
摺動筒523は、ソケット521と同軸でソケット521の外側に、プラグ51の軸方向に摺動自在に形成され、スライドして抜止部材522を押し込み、抜止部材522をプラグ51の係合溝51aに係合させることができるように構成されている。
【0037】
第1のばね部材524は、ソケット521を巻回しつつ、ソケット521と摺動筒523との間に介挿されるコイルばねで構成され、抜止部材522が係合溝51aに係合する方向に摺動筒523を常時付勢するように組み込まれている。すなわち、第1のばね部材524は、ソケット521に一体形成された係止部521aと摺動筒523との間に介装され、摺動筒523が図示下方に移行するように付勢され、抜止部材522を押し込むように構成されている。
【0038】
また、図6に示したように、第2のばね部材525は、回転軸Lを中心に回動可能に取り付けられたカム機構部526をその回動方向に付勢するように構成されている。
【0039】
すなわち、カム機構部526は筐体527に固着されたガイド板528に案内されて、回転軸L回りに回動可能に構成され、第2のばね部材525は、抜止部材522と係合溝51aとの係合が保持される角度位置でカム5261が安定するように、カム機構部526の回転軸L回りに、筐体527に固着されたガイド板528とカム5261との間に介装されている。
【0040】
従って、第2のばね部材525は、図6に示したカム機構部526の回転位置で、カム機構部526が安定することができる程度のばね圧力でカム機構部526を付勢するように取り付け構成されている。
【0041】
このように、図6に示した状態では、カム機構部526のカム5261は、摺動筒523を駆動(作用)しない位置状態で安定する。
【0042】
図7は図6に示した連結機構の要部拡大図である。
【0043】
図7に示したように、カム機構部526は、カム5261と、このカム5261とはビス5261aにより一体となるように固定されたカム支持板5262を有し、カム支持板5262を矢印Rで示す時計方向に回動させたとき、カム5261の回転により、摺動筒523を第1のばね部材524の付勢に抗して移動させ、抜止部材522における係合溝51aとの係合を解除することができる。
【0044】
そこで、上記のように、第2のばね部材525の作用により、カム5261は摺動筒523を駆動(作用)しない位置状態で安定するが、その安定動作をより適切かつ的確なものとすべく、カム5261とガイド板528との間に、後述するようにノッチ機構529が付加構成されている。
【0045】
そこで、カム機構部526を回動操作するために、筐体527を貫通するとともに、カム支持板5262に共通した鍵穴527a,5262aが形成されている。
【0046】
従って、作業員は、鍵穴527a,5262aに形状が合った突起部6aを有する治具6を鍵穴527aから鍵穴5262aに差し込み操作することで、カム5261を回動させることができる。作業員によるカム5261の回動操作により、第1のばね部材524に抗して摺動筒523を上昇移動させ、これにより、抜止部材522を係合溝51aから解放せしめ、プラグ51とプラグ受け部52との切り離しが可能である。
【0047】
次ぎに、カム5261とガイド板528との間に組み込まれたノッチ機構529について説明する。
【0048】
ノッチ機構529は、摺動筒523が抜止部材522を押し込み、抜止部材522がプラグ51の係合溝51aにはまり込んだ状態でカム機構部526が安定するように構成される。
【0049】
すなわち、図8は図7のD−D矢視要部断面図で、図9は図7に示した位置でのノッチ機構529の要部拡大図で、図10は図9に示したノッチ機構529の分解斜視図である。
【0050】
図9及び図10に示したように、ノッチ機構529は、底部がカム5261の回転面側に嵌め込み固定された有底筒体529aと、この有底筒体529a内に挿入されたコイルばね部材529bとこのコイルばね部材529bに付勢されて開口部から押し出されるように配置されたボール529cとを有している。
【0051】
また、ノッチ機構529はカム5261の回転に伴い回転軸L回りに回動するが、ノッチ機構529のボール529cがガイド板528の面を、位置ずれすることなく弧を描いて円滑かつ適正に回動し得るように、図8及び図9に示したように、ガイド板528には半円形状にガイド溝528aが形成されている。
【0052】
そして、図7及び図9に示したように、ガイド溝528aの下方端部位置には、ボール529cの一部がはまり込む凹部528aaが形成されている。
【0053】
従って、図7及び図8に示したように、回動可能なカム機構部526の回転角度位置が、カム5261に固着されたノッチ機構529が凹部528aaに丁度位置しているときに、ボール529cがその凹部528aaに緩やかに嵌り込み、カム機構部526は安定する。
【0054】
なお、図3ないし図7に示した構成において、プラグ51はボルト51bにより表示ユニット1の筐体12に取り付け固定されており、プラグ受け部52もソケット521がボルト527bにより筐体527に取り付け固定されるとともに、筐体527は表示ユニット1の底部開口部に溶接等により固着されている。
【0055】
また、図5及び図6に示したように、プラグ51がはめ込まれるソケット521の底部には、プラグ51との連結操作が円滑に行われるように、コイルばね521bに付勢された押さえ筒体521cが遊挿されるように嵌め込まれている。
【0056】
また、図6及び図7に示したように、鍔部を有する摺動筒523には、カム機構部526の反対側(裏側)に、カム5261回動操作の際の、摺動筒523における進退移動の円滑化のために、摺動筒523と筐体527との間に、コイルばね機構部5231が補助的に取り付け構成されている。
【0057】
上記構成からなる連結機構5により上下表示ユニット1,1が連結及び切り離しの手順及び動作を、図7に加え、図11ないし図16を参照して以下説明する。
【0058】
図7に示した状態は、ノッチ機構529の作用も加わり、下表示ユニット1のプラグ51に上表示ユニット1のプラグ受け部52が嵌め込まれて連結されて安定している。
図7に示した状態において、治具6をカム機構部526の鍵穴5262aに(矢印Y方向に)挿入し、カム5261を第2のばね部材525のばね力に抗して時計回り(矢印R方向)に回動させる。
【0059】
治具6により、カム5261を時計回りに180度回動させることにより、偏心したカム5261は、図11及び図12に示すように、摺動筒523を上方(矢印z方向)に押上げる。上方に押し上げられた摺動筒523は、内周面に形成されているリング状の凹み部523aが抜止部材522に対向し、摺動筒523による抜止部材522の押し込み操作は解除される。これにより、抜止部材522は、プラグ51の係合溝51aへの係合が解除される外周方向へ移動可能となる。
【0060】
従って、上方側表示ユニット1の矢印Z方向への引き上げにより、図12及び図13に示すように、プラグ受け部52をプラグ51から切り離すことができる。プラグ51がプラグ受け部52から切り離される際に、抜止部材522はソケット521の外周方向へ移動し、摺動筒523の凹み部523aに入り込む。
【0061】
また、プラグ51がプラグ受け部52から切り離されることに伴い、コイルばね521bに付勢された押さえ筒体521cが下方へ摺動し、図14に示すように、押さえ筒体521cの外周面が抜止部材522に対向する。これにより、抜止部材522はソケット521の内周方向へ移動することが阻止され、摺動筒523の凹み部523aに入り込んだ状態に維持される。
【0062】
カム5261が摺動筒523を上方へ押し上げている状態では、図14に示したように、治具6は、突起部6aが下方に向いており、筐体527に係止して抜け出ることはない。
【0063】
次ぎに、治具6を反時計方向に180度回転させると、図15及び図16に示したように、カム5261はもとの位置(図7に示した位置)に戻り安定する。また、押さえ筒体521cによって抜止部材522がソケット521の内周方向へ移動することが阻止されているので、抜止部材522は摺動筒523の凹み部523aに入り込んだ状態に維持される。このため、カム5261がもとの位置に戻っても、摺動筒523は上方へ押し上げられた位置で保持される。
【0064】
従って、図15及び図16に示したように、治具6を矢印Y方向に引き抜いた状態では、プラグ51をプラグ受け部52にワンタッチで嵌め込むことが可能となる。プラグ51をプラグ受け部52に嵌め込んだ際には、プラグ51の先端部が押さえ筒体521cに当接し、プラグ51は押さえ筒体521cを押し上げながらプラグ受け部52に入り込み、係合溝51aが抜止部材522に対向する。
【0065】
係合溝51aが抜止部材522に対向する位置までプラグ51が入り込むと、抜止部材522が係合溝51a内に移動可能となる。これにより、第1のばね部材524に付勢されている摺動筒523が下方へ押し下げられ、下方へ押し下げられる摺動筒523によって抜止部材522が係合溝51aに押し込まれ、プラグ51とプラグ受け部52とが図6に示すような連結状態となる。
【0066】
以上説明のように、上記構成のプラグ51及びプラグ受け部52からなる連結機構5によれば、連結及び必要に応じた切り離し操作を、簡単な構成で適切かつ容易に行うことができる。
【0067】
従って、上記連結機構を上端部及び下端部にそれぞれ対をなすように表示ユニット1に2カ所(複数カ所)に組み込み、複数台のその表示ユニット1,1を上下方向に連結した映像表示装置では、下表示ユニットのプラグに対応する上表示ユニットのプラグ受け部を位置合わせして重ね合わせるだけで、格別ガイドピンを別途取り付けるまでもなく、容易かつ適切に連結できるものであり、映像表示装置の組み立ての効率化を実現することができる。
【0068】
なお、上記説明の実施例において、プラグ51は円柱状であるものとして説明したが、要するにプラグ受け部52におけるソケット521との嵌め込み連結が可能な機能を有すれば良いので、たとえば四角柱等の角柱状とし、ソケット521や摺動筒523をそのプラグの形状に合わせて構成するようにしても良い。
【0069】
また、上記実施例では、振動等によるカム機構部526の回転ずれを防ぎ回動動作の安定化及び適正化のため、また治具6によるカム機構部526に対する適正操作を担保するために、第2のばね部材525及びノッチ機構529をそれぞれ付加するように構成したが、要するにカム機構部526が180度の回動角度位置でそれぞれ安定すれば良いので、たとえば第2のバネ部材525に代えて、凹部528aaを上下に180度異にして設けるようにしても良い。
【0070】
また、本実施例の連結機構によれば、治具6による操作によってのみ連結の切り離し操作が可能であるので、いたずら等により連結切り離しが行われるのを防ぐことができるとともに、治具6が挿入されていない状態では、常にプラク51とプラグ受け部52とは、連結可能状態にあるので、作業員は連結操作を間違いなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る連結機構の一実施例を採用した映像表示装置の要部斜視図である。
【図2】図1に示した映像表示装置を構成する表示ユニットを背後から見た要部斜視図である。
【図3】図1に示したプラグとプラグ受け部を示した拡大斜視図である。
【図4】図3に示したプラグ受け部のA−A矢視要部断面図である。
【図5】図3に示したプラグ受け部のB−B矢視要部断面図である。
【図6】図5に示したプラグ受け部のC−C矢視要部断面図である。
【図7】図6に示したプラグ受け部の要部拡大図である。
【図8】図7に示したプラグ受け部のD−D矢視断面図である。
【図9】図7に示したノッチ機構の要部拡大図である。
【図10】図7に示したノッチ機構の分解斜視図である。
【図11】プラグとプラグ受け部との連結解除のために治具を鍵穴に差し込んだ状態を示した断面図である。
【図12】図7に示したプラグ受け部で、カム機構部を回動させた状態を示した要部拡大図である。
【図13】図12に示したプラグ受け部のE−E矢視断面図である。
【図14】プラグをプラグ受け部から抜き取った状態を示した断面図である。
【図15】図12に示したプラグ受け部で、カム機構部を反転回動させた状態を示した要部拡大図である。
【図16】治具を抜き取った後も摺動筒が上方に押し上げられた位置で保持される状態を示した断面図である。
【図17】従来の映像表示装置の要部斜視図である。
【図18】図17に示した表示ユニットを背後から見た要部斜視図である。
【図19】図17に示した表示ユニットの要部拡大図である。
【図20】(a)は映像表示装置の要部正面図、(b)は映像表示装置の要部平面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 表示ユニット
11 表示パネル
11a の表示素子
12 筐体
121 ガイドピン
2 連結ピン
2a 係止ロッド
3 係止部
4 接続具
5 連結機構
51 プラグ
51a 係合溝
52 プラグ受け部
521 ソケット
522 抜止部材
523 摺動筒(スリーブ)
524 第1のばね部材
525 第2のばね部材
526 カム機構部
5261 カム
528 ガイド板
529 ノッチ機構
527 筐体
6 治具
L 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合溝を外周に形成した柱状のプラグと、
このプラグに対し、プラグの軸方向に向けて進退可能に構成されて、プラグと嵌合可能な筒状のソケットと、
このソケットに取着され、嵌合した前記プラグの係合溝に係合可能な抜止部材と、
前記ソケットの外側に前記プラグの軸方向に摺動自在に嵌め込められ、前記抜止部材を前記プラグの係合溝へ押し込み可能に形成された摺動筒と、
前記抜止部材を前記係合溝に押し込む方向に前記摺動筒を常時付勢する第1のばね部材と、
カムの回転により、前記摺動筒を前記第1のばね部材の付勢に抗して移動させ、前記抜止部材の前記係合溝との係合を解除可能なカム機構部と
を具備することを特徴とする連結機構。
【請求項2】
前記抜止部材と前記係合溝との係合が保持される位置に向けて前記カムを付勢する第2のばね部材を具備することを特徴とする請求項1に記載の連結機構。
【請求項3】
前記抜止部材と前記係合溝との係合が保持される回転角度位置で前記カムを安定させるノッチ機構を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の連結機構。
【請求項4】
前記抜止部材は、剛球で構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の連結機構。
【請求項5】
前記カム機構部に着脱自在に取り付けられ、前記カムを回転軸回りに回動可能な治具を付加したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の連結機構。
【請求項6】
前記カム機構部は、前記回転軸の軸方向に鍵穴を形成し、
前記治具は、前記鍵穴への嵌め込み回動により、前記係合溝から前記抜止部材を解放可能に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の連結機構。
【請求項7】
多数の表示素子を配列した表示ユニットを、連結具を介して上下に連結された映像表示装置において、
前記連結具に、請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1項に記載の連結機構を用いたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
前記プラグは前記表示ユニットの上端部に設けられ、前記ソケットは前記表示ユニットの下端部に設けられたことを特徴とする請求項7に記載の映像表示装置。
【請求項9】
前記表示ユニットは、表示素子にLED(発光ダイオード)を用いたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の映像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2006−138469(P2006−138469A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300605(P2005−300605)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000221177)東芝トランスポートエンジニアリング株式会社 (16)
【Fターム(参考)】