説明

連続ウェブプリンタのリアルタイム裏抜け検出

【課題】画像形成装置における裏抜けの自動検出および補償を可能とするシステムを提供することである。
【解決手段】画像形成装置は、媒体を媒体パスに沿って搬送する媒体搬送システムと、媒体パスに沿って配置される複数の各装置が、媒体により部分的に吸収される熱エネルギーを生成する装置と、媒体パスに沿って配置され、媒体の第1の側にインクを適用して、その上に画像を形成する印刷ステーションと、媒体パスに沿って印刷ステーションから下流に配置され、第1の側に形成された画像の反対の媒体の第2の側をスキャンする画像センサであって、媒体の第2の側からの光の反射率の指標となる反射信号を生成する画像センサと、反射信号を画像センサから受信するよう操作可能に結合されたコントローラであって、印刷操作を止めることなく、反射信号に基づいて印刷プロセスパラメータを調整するコントローラを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、インクジェット印刷、特に、実質的に連続したウェブでの相転移インクによる印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
概して、インクジェット印刷機またはプリンタは、液滴または液体インクのジェットを記録または画像形成媒体に噴出する少なくとも1つのプリントヘッドを有する。相転移インクジェットプリンタは、周囲温度で固相であるが、高温だと液相である相変化インクを用いる。受像基材に直接、または画像が受像基材に転写される前に、中間体画像形成部材に間接的に、プリントヘッドにより、溶融インクを印刷媒体に噴出させることができる。噴出したインクが受像基材に接すると、インク液滴が即時に固化して画像を形成する。
【0003】
直接印刷構造とオフセット印刷構造の両方において、画像を連続媒体ウェブに形成することができる。ウェブプリンタにおいては、典型的に、媒体ロールに提供された連続供給媒体が、複数のローラにより搬送される。複数のローラは、ウェブにインクを堆積して、画像を形成するよう複数のプリントヘッドが配置された、印刷ゾーンを通して媒体ウェブがガイドされるよう構成されている。印刷ゾーンを超えて、媒体ウェブは、機械的構造により、担持されて、引っ張られ、媒体ウェブの一部が印刷ゾーンを連続的に動くようにする。テンションバーまたはローラを、可動ウェブの供給パスに配置して、ウェブからたるみを除去して、破損させることなく、張った状態に保つ。
【0004】
紙に直接印刷する連続ウェブにおいては、インクをウェブに噴出させて、インクをウェブに定着した後、定着アセンブリを用いる。用いる定着アセンブリは、インクの種類に応じて異なる。例えば、溶融した相転移インクを用いて画像を形成するときは、定着アセンブリは、インクおよびウェブに圧力を加えて、インクをウェブに広げるよう構成されたスプレッダを含んでいてよい。スプレッダの機能は、ウェブに堆積したインク液滴のパターンを変形して、塗り広げて、より均一な連続した層を形成することである。スプレッダは、圧力および/または熱を用いて、インク液滴の高さを減じ、近接する液滴間の空間を充填する。UV硬化性インクを用いるときは、UVインクをウェブ上で硬化させるために、定着アセンブリは、1つ以上の硬化ランプを含んでいてもよい。
【0005】
ウェブに堆積したインクは、インクがウェブに定着する前に、ウェブにブリードする場合がある。例えば、液体または溶融未硬化インクは、紙基材の繊維へとブリードして、基材の裏側から少なくとも部分的に見えるようになる。この問題は、当該技術分野において、透き通しまたは裏抜けとして知られており、多孔性基材に堆積した任意の種類の液体インクの場合に生じることが一般に知られている。この問題は、インクジェットインク等低粘度のインクの場合より顕著であるが、高粘度のインクはこの問題を生じにくい。具体的には、透き通しは、基材の裏側にインクの着色が見える度合いである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0040261号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0086799号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0240366号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以前から公知のシステムにおいて、感温性印刷システム(すなわち、インクジェット)での裏抜けの検出は、画像が印刷された後に目視にて検出できるだけであった。また、能動的に印刷しながら、リアルタイムの検出機構を用いることにより、画像ブリードを生じる因子を補正または修正する能力は、限定されていた、あるいは存在しなかった。例えば、裏抜けがある媒体タイプについて目視で検出された場合、印刷プロセスの重要なパラメータは、カスタマーの印刷ジョブの前に手動で調整され、印刷ジョブ中に調整されない。プリンタのオペレータが印刷プロセスに精通しているかどうかによって、調整で、裏抜け状態が最終的に軽減されたりされなかったりする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ユーザーが介入することなく、媒体を目視検査する、または印刷パラメータを調整して裏抜けを減じる画像形成装置における裏抜けの自動検出および補償を可能とするシステムが開発された。画像形成装置に用いる裏抜け検出および補償システムは、可動連続ウェブの画像の形成されていない側をスキャンするように配置された画像センサを含む。画像センサは、連続ウェブの第2の側からの光の反射率の指標となる反射信号を生成するよう構成されている。システムは、反射信号を画像センサから受信するよう操作可能に結合されたコントローラを含む。コントローラは、画像形成装置が印刷操作を行っている間に、反射信号に基づいて、画像形成装置の印刷プロセスパラメータを調整するよう構成されている。
【0009】
他の実施形態において、画像形成装置は、媒体の実質的に連続したウェブと、連続ウェブをウェブパスに沿って搬送するよう構成されたウェブ搬送システムと、ウェブパスに沿って配置され、連続ウェブの第1の側にインクを適用して、画像を形成するよう構成された印刷ステーションとを含む。画像センサは、ウェブパスに沿って、印刷ステーションから下流に配置され、第1の側の反対の連続ウェブの第2の側をスキャンする。画像センサは、連続ウェブの第2の側からの光の反射率の指標となる反射信号を生成するよう構成されている。コントローラは、反射信号を画像センサから受信するよう操作可能に結合され、画像形成装置が印刷操作を行っている間に、反射信号に基づいて、少なくとも1つの印刷プロセスパラメータを調整する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】直接シート連続ウェブ相転移インクプリンタの概略立面図である。
【図2】図1の画像形成装置に用いる裏抜け検出および補償システムの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いる「画像形成装置」という用語は、画像を印刷媒体に適用する装置を概して指す。「印刷媒体」は、プレカットまたはウェブ供給される画像用の紙、プラスチックまたはその他好適な物理的印刷媒体基材の物理的シートであってよい。画像形成装置は、仕上げ装置、給紙装置等の様々なその他の部品を含んでいてよく、コピー、プリンタまたは多機能機として具体化される。「印刷ジョブ」または「ドキュメント」は、標準的には、1組の関連したシート、通常、特定のユーザーまたはその他関連した人による一組の原稿印刷ジョブシートまたは電子ドキュメントページ画像からコピーされた1つ以上の照合したコピーセットである。画像は、通常、マーキングエンジンにより印刷媒体に与えられる電子形態の情報を含み、テキスト、グラフィックス、写真等を含む。本明細書で用いる、プロセス方向は、受像表面、例えば、画像が転写される媒体シートまたはウェブ、あるいは中間体転写ドラムまたはベルトが、画像形成装置で動く方向である。受像表面と同じ面に沿ったクロスプロセス方向は、プロセス方向に実質的に垂直である。
【0012】
図1は、直接シート連続ウェブ相転移インクプリンタの概略立面図である。ウェブ供給および取扱いシステムは、「基材」(紙、プラスチックまたはその他印刷可能な材料)の非常に長い(すなわち、実質的に連続した)ウェブWを、スプール10から供給するように構成されている。ウェブWは、適宜巻き戻し、図示しない様々なモータにより前進する。ウェブ供給および取扱いシステムは、ウェブWを、複数の異なる速度で搬送することができる。1組のロール12が、ウェブがパスを動く際に巻き戻されるウェブの張力を制御する。
【0013】
パスに沿って、少なくとも1つのプレヒータ18があり、ウェブを初期の所定温度とする。プレヒータ18は、接触、放射、伝導または対流熱によって、ウェブWを、一実施形態においては、約30℃〜約70℃の目標予熱温度とする。
【0014】
ウェブWは、それぞれが、ウェブの幅に事実上延在し、1つの原色のインクを可動ウェブに直接配置できる(すなわち、中間体またはオフセット部材なしで)一連のプリントヘッド21A〜21Hを含む印刷ステーション20を通って動いていく。8つのプリントヘッドが図1に示されているが、これより多い、または少ないプリントヘッドを用いて構わない。よく知られているとおり、印刷コントローラ14から画像パス22を通して各プリントヘッドに送信された画像データに基づいて、ウェブWの重なり領域に配置された4原色画像のそれぞれが、合わさって、カラー画像を形成する。様々な可能な実施形態において、各原色について多数のプリントヘッドを提供してもよく、プリントヘッドは、それぞれ、単一の直線配列へと形成することができる。各色プリントヘッドの機能は、プロセス方向に沿った異なる位置に配置された多数の別個のプリントヘッドの中で分割することができ、スポットカラー適用等、プリントヘッドまたはその一部を、プロセス方向Pを横断する方向に動くように装着することができる。
【0015】
一実施形態において、ウェブに適用されたマーキング媒体は「相転移インク」であり、インクが、室温では実質的に固体であり、ウェブ14への最初の噴出時には実質的に液体であることを意味する。現在一般的な相転移インクは、典型的に、約100℃〜140℃まで加熱され、ウェブWに噴出される際には、液相である。一般に、液体インクは、ウェブに当たると即時に冷却される。しかしながら、変形実施形態においては、例えば、紫外線(UV)硬化性インク、トナーまたは水性インクをはじめとする任意の好適なマーキング材料またはインクを用いてよい。
【0016】
各プリントヘッドは、典型的に、バーまたはロールの形態にあって、ウェブWの反対側のプリントヘッドの実質的に逆に位置するバッキング部材24A〜24Hを有する。各バッキング部材を用いてウェブWを配置し、プリントヘッドとシート間の空隙を既知の一定の距離に保つ。各バッキング部材を制御すると、ウェブの近接部分が、一実施形態においては、約40℃〜約60℃の所定の「受像」温度に達する。様々な可能な実施形態において、各バッキング部材は、加熱素子、液体が流れるキャビティ等を含むことができ、あるいは、「部材」を、ウェブWの一部に対する、または近くの空気またはその他ガスの流れの形態とすることができる。プレヒータ18と特定の目標温度に保持されたバッキング部材24を組み合わせた動作によって、印刷ゾーン20のウェブWが、約40℃〜70℃の所定の温度範囲に効率的に維持される。
【0017】
部分的に画像が形成されたウェブが動いて、印刷ステーション20全体で様々な色のインクを受ける際、ウェブの温度はある範囲内に維持される。周囲の紙(またはウェブWの素材であるその他物質)を熱する、受けるウェブの温度より典型的にかなり高い温度でインクは噴射される。従って、ゾーン20のウェブと接触または近接する部材を調整して、所望のウェブ温度が維持されるようにしなければならない。例えば、バッキング部材は、ウェブ温度に影響するが、気温およびウェブ前後の空気流量もまたウェブ温度に影響する。従って、送風機またはファンを用いて、ウェブ温度の制御を促進してよい。
【0018】
ウェブ温度は、印刷ゾーン20のプリントヘッドから全てのインクが噴射される際、実質的に一定に保たれる。この一定であることが、画像品質を保つのに重要であり、一定したインクの水平展開(すなわち、ウェブWの幅を超えて、プロセス方向Pに垂直に)およびウェブの一定したインク浸透に特に重要である。特定のインクおよびウェブの熱特性に応じて、このウェブ温度の一定性は、ウェブを予熱し、未制御のバッカー部材を用いることにより、かつ/または異なるバッカー部材24A〜24Hを異なる温度まで制御して、基材温度を印刷ステーション全体にわたって実質的に一定に保つことにより達成される。この目的を達成するために、ウェブWに関連する温度センサ(図示せず)を、制御システム、および、プリントヘッドからある原色のインクがどの程度、ある時間で、ウェブWに適用されたか測定または推測(例えば、画像データから)するシステムと共に用いてよい。
【0019】
ウェブWの二重パスに沿ったミッドヒータ30に続くのは、所定の圧力を加え、ある実施例においてはウェブWを加熱する「スプレッダ」40である。スプレッダ40の機能は、ウェブWのインクの実質的に分離された液滴を採って、それらを塗り広げて、圧力、一実施形態においては、熱によって連続層を作成することであり、近接する液体間の空間が充填されて、ベタ画像が均一になる。インクの塗り広げに加えて、スプレッダ40はまた、インク層凝集を増大し、かつ/またはインク−ウェブ接着を増大することにより、画像耐久性も改善する。スプレッダ40は、熱および圧力をウェブWに加える画像側ロール42と圧力ロール44等のロールを含む。いずれかのロールが、ウェブWを約35℃〜約80℃の範囲の温度にする加熱素子を含むことができる。UV硬化性インクを用いる画像形成装置の実施形態において、スプレッダを、当該技術分野において公知の1つ以上のUV硬化ランプに代えて、紫外線をUV硬化性インクにあてて、画像をウェブに形成してもよい。
【0020】
ウェブおよび/またはウェブのインクの温度をさらに制御するために、ならしローラおよび1つ以上のミッドヒータをウェブパスに沿って配置し、スプレッダに入る前に印刷ゾーンを続けるようにしてもよい。例えば、図1に示すとおり、ならしローラ50を、印刷ゾーンとスプレッダ40の間のウェブパスに沿って配置してもよい。一実施形態において、ならしローラ50は、その回転運動を、ローラ表面と可動ウェブの摩擦係合から誘導するアイドラローラとして構成されている。しかしながら、ならしローラは、ローラに操作可能に結合された駆動モータ等の駆動機構(図示せず)によりウェブ速度に従って駆動してもよい。好適な結合は、駆動ベルト、プーリ、出力シャフト、ギアまたはその他従来の連結または結合機構によるものである。テンションローラ26を与えると、ならしローラ50に対するウェブの搬入角度および/または搬出角度を制御することもできる。
【0021】
ならしローラ50は、流入インクおよびウェブ温度より低い温度で操作するよう設計された温度制御熱伝導性ローラである。一実施形態において、ならしローラは、約30℃〜約45℃の目標温度で操作するよう構成されている。ただし、任意の好適なならしローラ操作温度を用いてよい。ならしローラは、陽極酸化アルミニウム等の熱伝導性材料で形成されたコア58を有する。ただし、コアは、鉄、ニッケル、ステンレス鋼および様々な合成樹脂等のその他の好適な材料でできていてもよい。ならしローラ50における熱エネルギーの発現は、任意の好適なやり方で行ってよい。例えば、コア58は中空で、必要な熱エネルギーをローラにおいて生成するために配置された1つ以上の加熱素子64を有していてよい。
【0022】
ミッドヒータは、ならしローラから下流のウェブパスに沿って配置されている。ミッドヒータ30は、接触、放射、伝導および/または対流熱を用いて、ウェブWを目標温度にすることができる。ミッドヒータ30は、ウェブにあるインクがスプレッダ40を通して送られるときに、ウェブにあるインクを所望の特性に好適な温度とする。一実施形態において、ミッドヒータの目標温度の有用な範囲は約35℃〜約80℃である。ミッドヒータ30は、インクおよび基板温度を互いに約15℃以内に一様にする効果を有する。低いインク温度だと、線広がりが少なくなり、高いインク温度だと、透き通し(印刷の他端から画像が見える)が生じる。ミッドヒータ30は、基材およびインク温度をスプレッダの温度より0℃〜20℃高くなるよう調整する。
【0023】
スプレッダ40に続き、プリンタには「グロッサー」50が含まれ、これは、画像の光沢を変更する機能がある(かかるグロッサーは、実用においては「選択肢」と考えることができる)。グロッサー50により、所定の組み合わせの温度と圧力を加え、スプレッダ40により広げたインクの所望の光沢量が得られる。さらに、グロッサーロール表面には、インク表面にユーザーの与えたい印象のテクスチャを与えることができる。グロッサー50は、ウェブWが通過するニップを形成する2つのロール(画像側ロール52と圧力ロール54)を有する。一実施形態において、スプレッダ40の制御された温度は、約35℃〜約80℃であり、グロッサー50の制御された温度は、約30℃〜約70℃である。スプレッダ40とグロッサーのそれぞれにおけるロール対についてウェブWに対する典型的な圧力は、約500〜約2000psiである。圧力の調整は、高圧によって過剰の広がりを生じるような軟性のインク処方にとって望ましい。
【0024】
スプレッダ40(および実施した場合はグロッサー)を通過した後、印刷ウェブは、他側に画像形成し、製本(図示せず)等のために1枚に切断することができる。実質的に連続したウェブの印刷は実施形態には示していないが、上述したシステムは自動給紙システムにも適用できる。異なる予熱、ミッドヒートおよびスプレッダ温度設定値を、異なる種類および重量のウェブ媒体に選択することができる。
【0025】
様々なサブシステム、部品および装置11の機能の操作および制御は、コントローラ14を用いて実施される。コントローラ14は、プログラム命令を実行する汎用または専用プログラム可能プロセッサで実行される。プログラムされた関数を実行するのに必要な命令およびデータは、プロセッサまたはコントローラに関連するメモリにストアされる。プロセッサ、メモリおよびインタフェース回路は、コントローラおよび/または印刷エンジンが、上述した差最小化関数等の関数を実行するよう構成されている。これらの部品は、印刷回路カードに提供される、または特定用途向け集積回路(ASIC)に回路として提供される。各回路は、別個のプロセッサにより実行される、または多数の回路が同一プロセッサで実行される。あるいは、回路は、VLSI回路に提供された個別部品または回路により実行される。また、本明細書に記載した回路は、プロセッサ、ASIC、個別部品またはVLSI回路の組み合わせにより実行される。
【0026】
画像形成装置により生成されたベタインク印刷は、感温性インクを基材に堆積し硬化する最適化されていない印刷プロセスによる結果である裏抜けとして知られた印刷欠陥に影響される。インクは、紙繊維へと、毛管作用により浸透して、透き通しまたは裏抜けを基材の逆側、すなわち、基材の画像未形成または未印刷側に示す僅かな画像欠陥となる。裏抜けには、様々な予熱、加熱およびならしロールでの誤った温度設定から、画像形成中のプリントヘッドからの噴出された過剰なインクに及ぶ、多くの原因がある。この条件について、印刷された製品が連続的にモニターされない限り、結果は許容できない印刷品質および潜在的に分配不能の出力となる。
【0027】
以前から知られたシステムにおいては、感温性印刷システム(すなわち、インクジェット)での裏抜け検出は、画像が印刷された後に目視で検出できるだけであった。また、能動的に印刷しながら、リアルタイムの検出機構を用いることにより、画像ブリードを生じる因子を補正または修正する能力は、限定されていた、あるいは存在しなかった。例えば、裏抜けがある媒体タイプについて検出された場合、印刷プロセスの重要なパラメータを、カスタマージョブを印刷する前に、手動で調整する必要があり、全ランレングスについて静的(開ループ)なままとなる。プリンタオペレータが印刷プロセスに精通しているかどうかによって、調整で、裏抜け状態が最終的に軽減されたりされなかったりする。従って、裏抜けが、リアルタイムで検出、測定および補償できるシステムが開発された。図1および2を参照すると、システムは、印刷ゾーンとスプレッダ間のウェブパスに沿って配置さえた画像センサ80を利用して、ウェブの裏抜けを検出するために、ウェブの未印刷または未画像形成側を(リアルタイムで)スキャンする。裏抜けが検出されたら、プレスオペレータが、状況を検出し、プレスを停止し、印刷プロセスパラメータを手動で調整してからジョブを再実行することを必要とすることなく、画像形成装置が印刷操作を行いながら、印刷プロセスの重要なパラメータを調整して、許容できるレベルの裏抜けを達成することができる。
【0028】
本明細書で用いるウェブの画像形成側または画像形成領域とは、インク、例えば、溶融相転移インクが堆積した印刷ゾーンのプリントヘッドに向いたウェブの側を指す。ウェブの未印刷側または未画像形成側は、印刷ゾーンのプリントヘッドに向いていないため、インクを受けない、画像形成側とは逆のウェブの側を指す。画像センサ80は、例えば、ウェブの未画像形成側のインクの存在、明度および/または位置を検出するよう構成されている。裏抜けがないときは、ウェブの未画像形成側でインクは検出されない。裏抜けがあるときは、ウェブの画像形成側からのインクが、ウェブの未画像形成側へ透き通り、画像センサにより検出される。任意の好適なタイプのセンサを用いてよい。
【0029】
図1に最もよく示されているとおり、画像センサは、印刷ゾーン20とスプレッダ40の間のウェブパスに沿って、ウェブの未画像形成側が画像センサの視野内となる場所に配置されている。印刷ゾーンから下流のウェブパスに沿った任意の好適な場所を用いてよい。本明細書で用いる「下流」という用語は、移動途中のウェブの移動方向のことを指す。「上流」という用語は、下流方向の逆の方向を指す。「側部」および「横方向」という用語は、ウェブの移動経路を横断する方向を指す。
【0030】
一実施形態において、画像センサ80は、光源84と光センサ86を有する(図2)。光源84は、単一発光ダイオード(LED)であり、光導体に連結されていて、LEDにより生成された光を光導体の1つ以上の開口部に伝達し、ウェブの未画像形成側に光を指向する。一実施形態において、緑色光を生成、赤色光を生成、そして青色光を生成する3つのLEDが、選択的に作動して、光を光導体を通して指向し、ウェブの未画像形成側に指向すると、1つの光のみが光る。他の実施形態において、光源は、直線配列で配列した複数のLEDである。この実施形態のLEDは、ウェブの未画像形成側に光を指向する。この実施形態の光源84は、赤色、緑色、青色のそれぞれの3つの直線配列を有する。あるいは、全てのLEDが、3色の繰り返し配列による単一の直線配列で配列していてもよい。光源のLEDは、コントローラ208に結合されていて、LEDを選択的に作動させる。コントローラ70は、1つまたは複数のLEDを光源で動作させることを表示する信号を生成する。
【0031】
反射光は、光センサ86により測定される。一実施形態において、光センサ86は、電荷結合素子(CCD)等の感光素子の直線配列である。感光素子は、感光素子が受ける、すなわち、ウェブの未画像形成側から反射した光の強度または量に対応する電気信号を生成する。光源および光センサは、クロスプロセス方向にウェブの幅を実質的に超えて延在する直線配列として提供されてもよい。あるいは、1つ以上の短い直線配列は、ウェブを超えて平行移動するように構成されていてもよい。例えば、直線配列を、受像部材を超えて平行移動する可動キャリッジに装着してもよい。光センサを動かすその他の素子を用いてもよい。
【0032】
画像センサが裏抜けを検出する能力を高めるために、バックグラウンド表面を、画像センサに対してウェブの逆の側に提供して、バックグラウンド表面と画像センサとの間のウェブパスに沿ってウェブが供給されるようにしてもよい。バックグラウンド表面は、センサが裏抜けを検出する能力を、例えば、ウェブの画像形成領域と未画像形成領域の間のコントラストを増大することにより高める暗い表面である。バックグラウンド表面は黒色であってよい。しかしながら、任意の好適な色をバックグラウンド表面に用いてよい。図1の実施形態において、画像センサは、ウェブがならしローラに巻きついていく際に、ウェブの未画像形成側をスキャンするように配置されている。本実施形態において、ならしローラは、黒色ローラ表面88を有する。しかしながら、印刷ゾーン後の任意の好適な表面を、画像センサのためにバックグラウンド表面に利用してよい。例えば、1つ以上のローラ、バーまたは同様の装置を、バックグラウンド表面として用いられる印刷ゾーンの後のウェブパスに沿って追加してもよい。
【0033】
センサまたはインクパラメータを修正して、センサが裏抜けを検出する能力を改善することができる。例えば、画像から反射する光の波長に応じて、センサ80を調整して、入射スペクトルの領域についての信号対ノイズを最大化することができる。透明UV硬化ゲルインクの場合には、赤外(IR)増感剤をインク処方に添加すると、光源から放出されたIR光を、観察された裏抜けの量に比例して、光センサに戻すことができる。光センサにより測定された反射IR光のレベルがコントローラにフィードバックされる。
【0034】
このように、反射率は、裏抜けの存在および/または程度を示すものとして検出される。光センサ86は、コントローラ14に対して検出された反射率を示すものとしての反射率信号を出力するように構成されている。画像センサ出力に基づいて、コントローラ14は、ウェブの裏抜けの程度を判断するよう構成されていてもよい。後述するとおり、裏抜けのレベルが判断されたら、印刷プロセスパラメータを調整して、許容できるレベルの裏抜けを達成することができる。裏抜けの検出および裏抜け検出に基づいた印刷パラメータの調整は、オペレータが状態を目視検出することなく、プリンタを停止することなく、印刷プロセスパラメータを手動で調整することなく、ジョブを再実行することなく行える。
【0035】
裏抜けのレベルに影響し、裏抜けを減じる、または防ぐために調整される印刷プロセスパラメータの例としては、プレヒータ18、バッキング部材(加熱する場合)、ならしローラおよびミッドヒータの温度設定値が挙げられる。コントローラにより調整されて、裏抜けを減じる、または防ぐその他の印刷パラメータとしては、プリントヘッドにより噴出される溶融相転移インクの温度および画像を印刷するのにプリントヘッドにより生成されるハーフトーン濃度レベルが挙げられる。裏抜けのレベルに影響し、裏抜けを減じる、または防ぐために調整される任意のパラメータが、本開示内容に包含されるものとする。
【0036】
図2に、裏抜け検出および補償システムの実施形態を示す。図示するとおり、コントローラ14は、ウェブの未画像形成側の裏抜けを示す光センサ86からの反射信号を受けるために操作可能に結合されている。コントローラ14はまた、プレヒータ18、ミッドヒータ30、バッキング部材24(加熱する場合)、ならしローラ50およびプリントヘッド21等の画像形成装置の他の装置に操作可能に結合されている。画像センサ80から受けた入力に基づいて、コントローラ14は、裏抜けを最少にする、または防ごうとする1つ以上のこれらの装置の1つ以上の操作パラメータを調整する。例えば、一実施形態において、コントローラ14は、制御信号をプレヒータ18および/またはバッキング部材24(または電力をプレヒータまたはバッキング部材に供給する電源)に与えて、熱出力を減じるよう構成されている。
【0037】
印刷パラメータ調整には、センサ80により検出された裏抜けのレベルを最少にする、または防ぐまで、1つ以上の装置(18、24、50、21)について制御信号を増分で調整することが含まれる。裏抜けの異なるレベルについてのセンサ出力は、試験およびプリンタ製造中に実験的に求められ、コントローラ14によりアクセス可能なメモリに保存される、またはコントローラ14の配線に接続されてもよい。印刷パラメータ調整アルゴリズムおよび値をまた、コントローラ14にプログラムしてもよい。センサ80出力に基づいて、コントローラ14は、裏抜けを防ぐために、画像形成装置に関連する1つ以上の装置について操作パラメータ調整値を生成するように構成してもよい。コントローラを、調整値でプログラムしても、メモリにストアしてもよい。あるいは、コントローラ14は、センサ出力に基づいて、調整値を計算するためのプログラムまたはサブルーチンを含んでいてもよい。媒体のインラインスキャニングに基づいて、裏抜けを最少にする、または防ぐのには、反復が必要である。例えば、裏抜けの検出レベルに従った印刷プロセスパラメータに1回目の調整を行った後、プロセスを繰り返す。裏抜けのレベルは連続的に検出されるため、プリンタの寿命にわたって裏抜けを防ぐよう印刷プロセスパラメータが調整される。
【符号の説明】
【0038】
10 スプール、11 部品および装置、12 ロール、14 コントローラ、18 プレヒータ、20 印刷ステーション、印刷ゾーン、21、21A、21B、21C、21D、21E、21F、21G、21Hプリントヘッド、22 画像パス、24A、24B、24C、24D、24E、24F、24G、24H バッキング部材、26 テンションローラ、30 ミッドヒータ、42 画像、44 圧力ロール、50 ならしローラ、グロッサー、58 コア、64 加熱素子、80 画像センサ、84 光源、86 光センサ、88 黒色ローラ表面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を媒体パスに沿って搬送するよう構成された媒体搬送システムと、
前記媒体パスに沿って配置された複数の装置であって、前記複数の各装置が、前記媒体により少なくとも部分的に吸収される熱エネルギーを生成するように構成された装置と、
前記媒体パスに沿って配置され、前記媒体の第1の側にインクを適用して、その上に画像を形成するよう構成された印刷ステーションと、
前記媒体パスに沿って前記印刷ステーションから下流に配置され、前記第1の側に形成された画像の反対の前記媒体の第2の側をスキャンする画像センサであって、前記媒体の前記第2の側からの光の反射率の指標となる反射信号を生成するよう構成された画像センサと、
前記反射信号を前記画像センサから受信するよう操作可能に結合されたコントローラであって、印刷操作を止めることなく、前記反射信号に基づいて印刷プロセスパラメータを調整するよう構成されたコントローラと
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラが、前記反射信号を、前記媒体における裏抜けのレベルに相関させるよう構成され、前記コントローラが、前記反射信号により示される前記裏抜けのレベルに基づいて、少なくとも1つのプリントプロセスパラメータを調整するよう構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの印刷プロセスパラメータが、前記装置により生成された熱エネルギーを調整するよう構成された複数の装置の少なくとも1つのための少なくとも1つの操作パラメータを含む請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の装置が、前記印刷ステーションから上流に配置された少なくともプレヒータを含む請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−63020(P2011−63020A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202600(P2010−202600)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】