説明

連続フローピンウォッシャ

【課題】
複チャンバ型デポジションピン洗浄ステーションを開示する。
【解決手段】
この洗浄ステーションは、複数の洗浄管によって接続された下方チャンバおよび上方ドレーンベースンを含んでいる。洗浄液は下方チャンバに提供されており、洗浄管を通過して上方ドレーンベースンに流入する。洗浄管は洗浄サイクル毎に1本の管を備えた1本のデポジションピンを洗浄するように設計されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデポジション(堆積)ピンの洗浄に関し、特にピン間の二次汚染と必要な洗浄液の量を最小化させながらデポジションピンを洗浄する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2007年10月17日出願の米国仮特許出願60/980628号「連続フローピンウォッシャ」の優先権を主張する。
【0003】
マイクロアレイスポッティング、プレート間トランスファー、またはコロニーピッキング装置等、生物学物質または化学物質の流体、半流体または固体試料の堆積に使用される器具の洗浄のためのシステムおよび方法については知られている。これら器具には例えばソリッドピン、クイル型ピン、毛細管、またはインクジェット管がある。ここでは簡素化のためこれら全ての器具をピンと称することにする。
【0004】
デポジションピンの洗浄はいくつかのメカニズムにより達成できる。全ての使用されるピンは洗浄液槽へと下ろされ、流体の撹拌によって、またはピン自体の動きによって撹拌される。撹拌処理は流体の流れの創出、流体の再循環、または超音波処理によって実行できる。
【0005】
1体の共通槽内において、1本のピンから除去された材料が隣接するピンに再堆積して汚染する可能性がある。この汚染は、大型の槽を使用したり、洗浄対象のピンから離れる流れを造りだすことで緩和することができる。しかしながらこのようなシステムでは、洗浄面で汚染されていない流体の供給を維持するために必要な洗浄液の量が過剰となる可能性があり、システム内の未使用の流体または汚染流体の保管や運搬が複雑となる。
【0006】
洗浄処理の補助となるエネルギーの高周波数カップリング(音波処理、超音波処理、メガ音波処理等)を実行できるが、洗浄対象となる全標的面エネルギーをカップリングさせるための駆動部材や適した物理的設計を実行するためのコストや複雑性を追加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はデポジションピンの洗浄のための方法およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1実施形態においてピン洗浄ステーションは、下方チャンバ、ドレーンベースン、複数の洗浄管、および通気管を含んでいる。それぞれの洗浄管は入口端と出口端とを有している。それぞれの管の入口端は下方チャンバと通流状態である。全ての管の入口端の終端は略水平基準面の下方にある。それぞれの管の出口端は、管の出口端から出る流体がドレーンベースンに入るようにドレーンベースンと通流状態である。それぞれの管の出口端はデポジションピンの少なくとも一部を受領するように設計されている。通気管は入口端と出口端とを有している。この入口端は下方チャンバと通流状態である。通気管の入口端の終端は、略水平基準面に対して洗浄管の入口端よりも上方に存在する。その出口端はドレーンベースンと通流状態である。
【0009】
本発明の別な実施形態によれば、システムは受領面と、上に物質の点状物のアレイを堆積するように設計された複数のピン洗浄ステーションを含んでいる。このピン洗浄ステーションは下方チャンバ、ドレーンベースン、複数の洗浄管および通気管を含んでいる。それぞれの洗浄管は入口端と出口端とを含んでいる。全ての管の入口端の終端は略水平基準面の下方にある。それぞれの管の出口端はドレーンベースンと通流状態である。それぞれの管の出口端は複数のピンのうちの1本を受領するように設計されている。通気管は入口端と出口端とを有している。その入口端は下方チャンバと通流状態である。通気管の入口端の終端は、略水平基準面に対して洗浄管の入口端レベルの上方に存在する。その出口端はドレーンベースンと通流状態である。
【0010】
本発明のさらに別な実施形態によれば、洗浄システム内の複数のデポジションピンを洗浄する方法が提供される。この洗浄システムは下方チャンバ、ドレーンベースン、および複数の洗浄管を含んでいる。それぞれの洗浄管は入口端と出口端とを有している。それぞれの管の入口端は下方チャンバと通流状態である。それぞれの管の出口端はドレーンベースンと通流状態である。それぞれの出口端は複数のデポジションピンの少なくとも一部を受領するように設計されている。
【0011】
この方法は、下方チャンバ内の蒸気が洗浄液によって移動されるように、それぞれの洗浄管の出口端レベルの上方にまで下方チャンバ内に洗浄液を提供するステップを含んでいる。洗浄液はこのポイントを通過して提供され、下方チャンバ内に残った蒸気が圧縮されて洗浄液が洗浄管を通って上に流れるようになっている。この方法は、管内でピンを洗浄すべく、洗浄液が洗浄管を通る間に1本のデポジションピンの少なくとも一部を1本の洗浄管の出口端に配置するステップをさらに含んでいる。
【0012】
本発明のさらに別な実施形態によれば、管の出口端は列状に配置されており、この方法は、第1列のデポジションピンを管の出口端の列内に配置するステップをさらに含んでおり、その列のそれぞれの管の出口端は第1列のデポジションピンの1本のデポジションピンだけを受領する。この方法は、第1列のデポジションピンを管の出口端の列から除去するステップと、第1列のデポジションピンを管の出口端の列から除去するステップの後に、第2列のデポジションピンを管の出口端の列内に配置するステップとをさらに含んでいる。その列のそれぞれの管の出口端は第2列のデポジションピンの1本のデポジションピンだけを受領する。
【0013】
本発明のさらに別な実施形態によれば、複数のピンはそれぞれ1本づつ複数の管内に配置されている。管の端は、複数のピンのそれぞれのピンがそれぞれの洗浄管内で洗浄されるべく洗浄液の上方に存在する。洗浄液は各管を通過し、第1ピンを洗浄する流体が排水され、第2ピンと接触しないように出口端から出る。
【0014】
本発明の様々な実施例についてさらに理解を深める目的で、本発明を添付の図面と関連させて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】複チャンバ型洗浄ステーションの平面図と断面図である。
【図2】下方チャンバ内に洗浄液を収容した複チャンバ形洗浄ステーションの平面図と側断面図である。
【図3】1本の洗浄管と1本の印刷ピンの側断面図である。
【図4】1本の洗浄管のドレーン端部の側面図である。
【図5】管の流体出口端での制流機能を備えた洗浄管の側断面図である。
【図6】通気管を備えた複チャンバ型洗浄ステーションの側断面図である。
【図7】湾曲した通気管を備えた複チャンバ型洗浄ステーションの側断面図である。
【図8】キャップ付通気管を備えた複チャンバ型洗浄ステーションの側断面図である。
【図9】1以上の複チャンバ型洗浄ステーションを利用した複チャンバ型流体洗浄システムの平面図である。
【図10a】組み合わせ型洗浄システムのための洗浄管の配置を示す側面図である。
【図10b】組み合わせ型洗浄システムのための洗浄管の配置を示す側面図である。
【図10c】組み合わせ型洗浄システムのための洗浄管の配置を示す側面図である。
【図11】ピン洗浄システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態はデポジションピンの洗浄方法および洗浄システムを含む。デポジションピンは少量の流体、半流体、または生物材料または化学材料の固体サンプルを堆積するために使用される。通常それらはアレイ内に配置される。典型的にはそれは通常の二次元長方形アレイ(例:48ピンアレイは典型的には4ピン×12ピンアレンジ形態である)であるが、アレイは一次元でも、不規則パターンでも、あるいは1本のピンでもよい。デポジションピンは比較的小型で、全長がおよそ43mmから50mmで、10mmから16mmの採取深度であり、ピンの縦方向の直径は3.2mmから1.9mmで、先端径は85μmから355μmである。しかしながら、これらの寸法よりも大きい、または小さい寸法のデポジションピンでもよく、これらを本発明の実施形態で使用できる。
【0017】
本発明の実施形態では、米国特許出願10/972792「流体、半固体および固体サンプルの分配装置および方法」(2004年10月25日出願)にて開示されている自動マイクロアレイ印刷システムを使用することができる。この出願は複数のピンを備えたプリントヘッドを使用する印刷システムについて説明している。しかしながら前述のように本発明の実施形態は1本のピンの洗浄にも使用できる。
【0018】
図11はピン洗浄システム1000の概略図である。洗浄システム1000はピンアレイコンベヤ1010に搭載されたデポジションピンアレイ1005を有する。ピンアレイコンベヤ1010はピンアレイ1005を垂直方向へ動かす。洗浄システム1000は洗浄ステーションコンベヤ1020上に搭載された複チャンバ型洗浄ステーション1015も含んでいる。洗浄ステーション1015は流体ポンプ1030を介して洗浄液貯留部1025に接続されており、流量調節バルブ1035によってドレーンに接続されている。流体ポンプ1030とバルブ1035はコントローラ1040によって制御されている。同様にコントローラ1040はピンアレイコンベヤ1010上のピンアレイ1005の位置と、洗浄ステーション1020上の洗浄ステーション1015の位置とを制御する。
【0019】
実施形態によっては、洗浄ステーションコンベヤ1020は水平面にて洗浄ステーション1015を洗浄対象であるピンアレイ1005下方に移動させる。別な実施形態では洗浄ステーション1015は固定位置に留まる。後に詳説するが、ピンアレイ1005は、洗浄ステーション1015内でピンの先端を洗浄すべくピンアレイコンベヤ1010を介して下ろされる。あるいは、洗浄ステーション1015を静止状態に保つために洗浄ステーション1015を他のコンベヤに接続し、ピンアレイ1005のピンを洗浄する必要に応じてピンアレイ1005を移動させる。
【0020】
コントローラ1040は流体ポンプ1030を制御し、洗浄ステーション1015へ適した流量の洗浄液を提供すべく、バルブ1035は閉鎖状態のままである。1以上の洗浄サイクルが完了すると、バルブ1035が開いて残留している洗浄液を洗浄ステーション1015から排水させる。汚染洗浄液はドレーン管1045を通って洗浄ステーション1015から出る。ドレーン管1045は使用済液を貯留部または汚水システムへと運搬できる。さらに洗浄液貯留部1025は内部貯留部でも外部貯留部であってもよく、あるいは洗浄液の連続供給源に接続することもできる。
【0021】
図1は、二次元アレイのデポジションピンを洗浄するための複チャンバ型洗浄ステーション100の平面図と側断面図である。この実施例は複数のピンのアレイを洗浄するために使用できるものについて説明しているが、この実施例およびその他の実施形態を1本のデポジションピンを有するプリントヘッドに使用してもよい。複チャンバ型洗浄ステーション100は下方チャンバ105と上方ドレーンベースン110とを有しており、これらは1以上の洗浄管115によって接続されている。洗浄管115は2つのチャンバ間の主流体通路である。複チャンバ型洗浄ステーション100の平面図120で示すように、管(チューブ)115は整列した複数列にアレンジされており(例:12本の管の4列)、プリントアレイ(図示せず)内の複数ピンの形態に合うようになっている。分離管115の代わりに、上方チャンバおよび下方チャンバに加工された特徴を提供することもできる。
【0022】
下方チャンバ105は1以上の知られた技術によってドレーンベースン110に下方チャンバ105とドレーンベースン110のそれぞれの表面の周囲が、組み合わされて密閉されている。管は、下方チャンバ105からドレーンベースン110への空気または流体の通路が管115のみとなるようにドレーンベースン110内で封止されている。
【0023】
図2は、洗浄液200が下方チャンバ105内に存在している、図1の複チャンバ型洗浄ステーション100の平面図と側断面図である。洗浄液200は、流体液面が上昇して、空気210が追い出され、管115内で押されるように洗浄液入口205を通って下方チャンバ105へと送られる。流体レベル200は、流体レベルに平行な基準面(例:基準面は流体の略水平レベルでよい)に対して測定される最も高い管の底開口部を覆うまで上昇する。流体レベル200が最も高い管に到達すると、空気210はもはや上方ドレーンベースン110への通路を有さない。この状態が発生すると、上昇流体レベル200が下方チャンバ105の上部に閉じ込められた空気210を圧縮し、下方チャンバ105内の流体200の表面に圧力がかけられる。流体200の表面への圧力は各管115の流体を押し上げるように作用する。
【0024】
下方チャンバ105から管115を上昇し、ドレーンベースン110へと流入する洗浄液200の流れは洗浄対象の個別ピンのための個別の噴水を提供する。洗浄作用を実行するように各噴水には1本のピンが存在する。汚染液はその後管115の側部を下降し、最終的には上方ドレーンベースン215内の汚水ホール215から排水される。管115は1回の洗浄サイクルの間に1本のピンを洗浄するが、それぞれの管115は特定サイクル間に1本のピンによって占領される必要はない。このようにして管115の数は洗浄対象である特定プリントアレイ内のピンの数を超えることができる。同様にプリントアレイは特定洗浄ステーションの管115の数よりも多い数のピンを有してもよい。この場合、後に詳説するように、アレイの全てのピンは順次式洗浄サイクル内の異なるアレイのピンを洗浄することによって洗浄ステーションにより洗浄される。
【0025】
複チャンバ型洗浄ステーション100の1実施形態では、すべての管115は同じ内径を有している。全ての管115は同じ流体貯留部、すなわち下方チャンバ105を共有しているため、単位面積あたりの流圧は各管体115の底部で等しく、全ての管115内で等しい流量が発生している。これは、多くの等しい流量の液流を創出するための効率的で安価な手段の1つである。
【0026】
図3は1本の洗浄管300と1本のプリントピン315の側断面図である。図3に示すように、洗浄液流305、すなわち管300を上昇する洗浄液は洗浄対象の個別のピン315のための個別の噴水310を提供する。このように、各ピンは非汚染洗浄液の個別の供給を受ける。管の形状を洗浄対象のピンの必要性にぴったりとマッチするように作ることができるため、使用する流体量を減少または最小限としつつ、非汚染流体の搬送量を増加または最大限にするように管を設計できる。非汚染物質の流れが洗浄される表面に正確に搬送される。よって流体量を減少させることができる。
【0027】
図1と図2の複チャンバ型洗浄ステーション100の少なくとも1つの実施例では、管115の配置(図1の平面図120で最良に図示)は、洗浄液または隣接管体の洗浄液のいずれとも混合することなく汚染流体が管115の側部を下降するよう、管115間に十分な空間が提供されている。このように、チューブ間での二次汚染の可能性が減少し、ドレーン通路のない場合よりもさらに少ない流体量とすることが可能である。
【0028】
実施形態によっては、汚染流体流をピンと接触させないようにする機能が管115に組み入れられている。この機能部がなければ、洗浄流体の表面張力と管115の小型性のため、洗浄流体は、従来型管の上部に球状滴を形成するであろう。図4は、排液機能部を組み込んだ図3の1本の洗浄管300のドレーン(排液)端部400の側面図である。このような機能部は管300の上方リップ体410のノッチ405であってもよいが、これに限られない。さらに管300の表面仕上げに手を加えて、洗浄液の表面張力に対抗して作用させ、管外側での流体の下降性を高めることもできる。このような加工例にはビーズブラストおよびグリットブラストがある。また管115の親水性を同様に高めるように化学蒸着が適用できる。同様に、利用する洗浄液に応じて管115の親水性を高めるように化学蒸着を適用することもできる。これらの加工は均一的に適用する必要はなく、所望の通路に沿った汚染流体の流れを高めるために制御された通路で適用できる。実施形態によっては、1本の管からの汚染流体が隣接管体の制御された汚染通路に向けられるように、管に組み入れる機能部や加工部を選択的に方向付けすることができ、隣接する管洗浄液と汚染流体とを混合させずに管の間隔をさらに狭くすることを可能にしている。
【0029】
図5は、管300の流体の外出端505に制水機能部500を備えた洗浄管300の側断面図である。図5は制水機能部の2つの例を示している。第1実施例では管の内径はスエージ510によって規制されており、管に沿った特定箇所での他の部分より高速な流速部分を創出している。スエージ510は管300の直径を小さくすることで創出されている。スエージ510は洗浄対象のピンのヘッドに対応して管300に沿って配置されている。第2実施例では管300内に制流器515が設置されている。制流器515は管の直径を洗浄対象のピンヘッドに対応して、管300に沿った一箇所で狭めている。別な実施形態では、制水機能部500はピンヘッド以外の位置に対応して、例えばピンに沿ってピンヘッドの前方または後方に配置されている。
【0030】
図示しないが、管300内にさらに複雑な機能部を提供して対象領域に回転流または撹拌流を創出することもできる。例えば、洗浄対象のピンヘッドに対応する位置付近で管の表面または制流器515の表面に渦巻パターンをエッチング加工することもできる。同様に、管300または制流器515を粗化加工して、ピンヘッドが存在する領域に乱流を発生させることもできる。洗浄液の回転または乱れはピン洗浄の補助となる。
【0031】
図6は複チャンバ型洗浄ステーション600の側断面図である。洗浄ステーション600は図1と関連して説明した実施例と類似しており、下方チャンバ605、ドレーンベースン610、洗浄管615を有しており、下方チャンバ605内に洗浄液620を収容している。洗浄ステーション600は通気管625も有している。
【0032】
下方チャンバ605内での洗浄液620の水位の過渡的変動が、例えば、少なくとも送出される流体の流量変動、下方チャンバ605に流入する流体源である供給ライン内の泡、または洗浄ステーション構造の物理的振動のいずれかによって発生する可能性がある。このような乱れの間、洗浄液620の水位は管615の1本よりも以下に一時的に降下することがある。管615の1本の底開口部を露出開口させることで、閉じ込められた空気630が管体上部から排出され、下方チャンバ605を減圧させる。これは管615の全体ではないにしろ大部分で流量を妨害する。さらに、流体620の水位が作動管(ここで使用している“作動管”とはピン洗浄に使用される管である。)の入口端周囲で急速に変化するならば、洗浄液は排出される空気と共に運ばれる。このため管の入口は洗浄液によって閉じられたり、開けられるため、洗浄液を管の出口端の外にまで噴射させることになる。噴射された洗浄液は、少なくともピン、または他の部品のいずれかの汚染を発生させることがある。
【0033】
通気管625の入口はどの作動管615よりも高く(前述の基準面に対して)に設置されている。このようにして下方チャンバ605内の洗浄液620の水位は作動管615の入口端よりも上方に維持されている。前述と同じ原理を利用して、下方チャンバ605内の洗浄液620の高さは最も高い管(ここでは通気管625)によって設定されたレベルにまで上昇する。流体レベルの変動が存在するため、作動管615の入口端は開いた状態にはならず、よって洗浄液の上方噴射は避けられる。通気管625は上方に噴射できるが、悪影響を及ぼさない方向に噴射するように配置できる。
【0034】
図7は図6の複チャンバ型洗浄ステーション600の側面図であり、通気管625には任意の湾曲出口端700が装着されている。湾曲出口端700は発生しうる噴射を洗浄対象面から離れるように方向付ける。湾曲出口端を1以上の排液穴705へと直接排出させるように設置できる。
【0035】
さらに、洗浄液が通気管625の出口から噴射しないように、他の方法を利用することもできる。図8は、図6に示す複チャンバ型洗浄ステーション600の側断面図であり、通気管625はキャップ715を含んでいる。キャップ715は発生しうる噴射をドレーンベースン710の横方向に向ける。さらに通気管625は通気管625のほぼ中心軸内に配置されたワイヤ720を含むことができる。ワイヤ720は通気管625内の流体の表面張力を乱す。ワイヤ720は流体が通気管625から排水された後に流体が通気管625を詰まらせる可能性を減少させる。
【0036】
図9は、1以上の複チャンバ型洗浄ステーションを利用した複流体クリーニングシステム800の平面図である。前述したどの複チャンバ型洗浄ステーションの実施形態でも洗浄システム800で使用することができる。1実施形態では洗浄システム800は2体の複チャンバ型洗浄ステーションを使用している。第1洗浄ステーション805は第1洗浄液を、および第2洗浄ステーション810は第2洗浄液を使用している。複数の流体洗浄ステップは、第1洗浄ステーションのための作動管815と、第2洗浄ステーションのための作動管を交互に入れることで実行される。この複数の液流は2つに限られず、工程ステップも流体間での前後運動に限定されない。洗浄システム800は洗浄ステーションの前述の動作と同様に、ピンの動作も利用できる。
【0037】
前述の実施例と実施形態では、1本の作動管は対応する1本の洗浄対象ピン専用であると述べた。しかしながら、もし洗浄対象のプリントアレイ内のピンが利用可能な作動管よりも多い場合には、すくなくとも前述の洗浄ステーション、または洗浄システムのいずれかは、作動管の間隔よりも小さい増分だけの管またはピンのいずれかの動作を組み入れることができる。
【0038】
図10aから図10cを含む図10は、組み合わせ型洗浄システム900のための洗浄管の配置を示す側面図である。洗浄システム900は第1列の作動チューブ905と第2列の作動チューブ910を有している。作動チューブの第1列と第2列との間の間隔は、洗浄対象アレイ内のピン915の列の間隔よりも大きい。図10aから図10cに示す組み合わせ型洗浄ステップを使用してアレイの全てのピンを洗浄することができる。
【0039】
組み合わせ型洗浄システムの洗浄ステップは1回の洗浄サイクルによる所定の列の洗浄対象ピンの洗浄のために提供されており、次のサイクルにて隣接するピン列は、ピンまたは洗浄管を洗浄管にピンを合わせるように動かすことで洗浄される。ピン間隔の整数回の増分(すなわち整数倍)によって作動チューブを互いに離してセットすることができる。このような実施形態は、例えば、192本、384本、1536本およびそれ以上の比較的多数のピンの場合に有用である。
【0040】
本発明はその他の実施形態でも実施することができ、「請求の範囲」において定義されている本発明の範囲から逸脱せずにその細部について様々な点で変更できることは理解できよう。したがって図面および詳細な説明は本質的には本発明の例示として理解すべきであり、本発明を限定するものではなく、この発明の範囲は「請求の範囲」によって定義されているものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン洗浄ステーションであって、
下方チャンバと、
ドレーンベースンと、
複数の洗浄管とを含んでおり、それぞれの前記洗浄管は入口端と出口端とを有しており、それぞれの前記洗浄管の前記入口端は前記下方チャンバと通流状態であり、全ての前記洗浄管の前記入口端の終端は略水平基準面の下方にあり、それぞれの前記洗浄管の前記出口端は、前記洗浄管の前記出口端から出る流体が前記ドレーンベースンに入るように該ドレーンベースンと通流状態であり、それぞれの前記洗浄管の前記出口端はデポジションピンの少なくとも一部を受領するように設計されており、
前記ピン洗浄ステーションは、
通気管をさらに含んでおり、該通気管は入口端と出口端とを有しており、前記入口端は前記下方チャンバと通流状態であり、前記通気管の前記入口端の終端は、前記略水平基準面に対して前記洗浄管の前記入口端の上方に存在し、前記出口端は前記ドレーンベースンと通流状態であることを特徴とするピン洗浄ステーション。
【請求項2】
通気管の出口端は洗浄管の出口端から離れる方向に向けられた部分を含んでいることを特徴とする請求項1記載のピン洗浄ステーション。
【請求項3】
通気管は、該通気管内の流体の表面張力を減少させるために前記通気管内に配置された表面張力減少機能部を含んでいることを特徴とする請求項1記載のピン洗浄ステーション。
【請求項4】
前記表面張力減少機能部は通気管内に配置されたワイヤを含んでいることを特徴とする請求項3記載のピン洗浄ステーション。
【請求項5】
前記略水平基準面は下方チャンバ内の洗浄液の水位に対応することを特徴とする請求項1記載のピン洗浄ステーション。
【請求項6】
複数の洗浄管の出口端の少なくとも1本は表面張力減少機能部を有することを特徴とする請求項1記載のピン洗浄ステーション。
【請求項7】
前記表面張力減少機能部は少なくとも1本の管の出口端の縁に設けられたノッチであることを特徴とする請求項6記載のピン洗浄ステーション。
【請求項8】
前記表面張力減少機能部は少なくとも1本の管の出口端の外面上に表面加工部を含んでいることを特徴とする請求項6記載のピン洗浄ステーション。
【請求項9】
前記表面加工部は、ビーズブラスト加工、グリットブラスト加工、親水性加工、および疎水性加工のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8記載のピン洗浄ステーション。
【請求項10】
複数の洗浄管の少なくとも1本は、デポジションピンの少なくとも一部の所定位置に対応するように設置された制水機能部を有することを特徴とする請求項1記載のピン洗浄ステーション。
【請求項11】
所定位置とはデポジションピンの終端であることを特徴とする請求項10記載のピン洗浄ステーション。
【請求項12】
前記制水機能部は洗浄管の少なくとも一部内のスエージであることを特徴とする請求項10記載のピン洗浄ステーション。
【請求項13】
前記制水機能部は洗浄管の少なくとも一部内に狭化挿入部を含んでいることを特徴とする請求項10記載のピン洗浄ステーション。
【請求項14】
前記制水機能部の内面は、該制水機能部を通過する洗浄液に回転流および乱流の少なくとも一方を発生させる表面処理を含んでいることを特徴とする請求項10記載のピン洗浄ステーション。
【請求項15】
システムであって、
受領面上に物質の点状物のアレイを堆積するように設計された複数のピンと、
ピン洗浄ステーションとを含んでおり、該ピン洗浄ステーションは、
下方チャンバと、
ドレーンベースンと、
複数の洗浄管とを含んでおり、それぞれの前記洗浄管は入口端と出口端とを有しており、それぞれの前記洗浄管の前記入口端は前記下方チャンバと通流状態であり、全ての前記洗浄管の前記入口端の終端は略水平基準面の下方にあり、それぞれの前記洗浄管の前記出口端は前記ドレーンベースンと通流状態であり、それぞれの前記洗浄管の前記出口端は前記複数のピンの少なくとも一本を受領するように設計されており、
前記ピン洗浄ステーションは、
通気管をさらに含んでおり、該通気管は入口端と出口端とを有しており、前記入口端は前記下方チャンバと通流状態であり、前記通気管の前記入口端の終端は、前記略水平基準面に対して前記洗浄管の前記入口端レベルの上方に存在し、前記出口端は前記ドレーンベースンと通流状態であることを特徴とするシステム。
【請求項16】
略水平基準面は下方チャンバ内の洗浄液の水位に対応することを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項17】
複数のピンは少なくとも192本のデポジションピンを含んだ少なくとも1つのデポジションピンプリントアレイを含んでいることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項18】
複数の洗浄管のうちの少なくとも1本は、流体の表面張力を減少させる機能部、流体の表面張力を減少させる表面加工部、および制水機能部のうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項19】
洗浄管の数はピンの数と等しく、洗浄管の配置はピンの配置と対応していることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項20】
洗浄管の数はピンの数よりも少ないことを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項21】
複数のピンは列間に第1間隔を有する列状に配置されており、洗浄管は前記列間に第2間隔を有する列状に配置されており、前記第2間隔は前記第1間隔の整数倍であることを特徴とする請求項20記載のシステム。
【請求項22】
下方チャンバ、ドレーンベースンおよび複数の洗浄管を備えたシステムによる複数のデポジションピンの洗浄方法であって、
それぞれの前記洗浄管は入口端と出口端とを有しており、それぞれの前記洗浄管の前記入口端は前記下方チャンバと通流状態であり、それぞれの前記洗浄管の前記出口端は前記ドレーンベースンと通流状態であり、それぞれの前記洗浄管の前記出口端は前記デポジションピンの少なくとも一部を受領するように設計されており、
前記洗浄方法は、前記下方チャンバ内の蒸気が洗浄液によって移動されるように、それぞれの前記洗浄管の前記出口端の上方にまで前記洗浄液を前記下方チャンバ内に提供するステップと、前記下方チャンバ内に残った蒸気が圧縮されて前記洗浄液が前記洗浄管を通って上方に流れるよう前記洗浄液を提供し続けるステップとを含んでおり、
前記洗浄方法は、前記洗浄管内で前記ピンを洗浄すべく、前記洗浄液が前記洗浄管を通る間に、1本の前記デポジションピンの少なくとも一部を、1本の前記洗浄管の前記出口端に配置するステップをさらに含んでいることを特徴とする方法。
【請求項23】
複数の洗浄管のうちの少なくとも1本は制水機能部を含んでおり、前記洗浄管の出口端内にデポジションピンを配置するステップは、前記制水機能部内に前記デポジションピンの終端を配置するステップを含んでいることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
洗浄管の出口端は列状に配置されており、
第1列のデポジションピンを前記洗浄管の前記出口端の列内に配置するステップをさらに含んでおり、前記列のそれぞれの前記洗浄管の前記出口端は前記第1列の前記デポジションピンの1本のデポジションピンだけを受領し、
前記第1列の前記デポジションピンを前記管の前記出口端の前記列から除去するステップと、
前記第1列の前記デポジションピンを前記洗浄管の前記出口端の前記列から除去するステップの後に、第2列のデポジションピンを前記洗浄管の前記出口端の前記列内に配置するステップとをさらに含んでおり、前記列のそれぞれの前記洗浄管の前記出口端は前記第2列の前記デポジションピンの1本だけを受領することを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項25】
複数のピンはそれぞれ1本づつ対応するように複数の管内に配置されており、前記管の出口端は、前記複数のピンのそれぞれがそれぞれの洗浄管内で洗浄されるべく洗浄液の水面の上方に存在し、第1ピンを洗浄する流体が排水されて第2ピンと接触しないように、前記洗浄液は前記それぞれの管を通過して前記出口端から排水されることを特徴とする請求項22記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−500319(P2011−500319A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530104(P2010−530104)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/080122
【国際公開番号】WO2009/052260
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510108434)オーション バイオシステムズ (1)
【Fターム(参考)】