説明

連続手摺り

【課題】壁面からの突出量を小さくすることが可能であり、壁面の窓や開口部等の不連続部や出隅又は入隅等のコーナー部を跨いで連続させることができる、連続手摺りを提供する。
【解決手段】連続手摺り1は、壁面3に固定される一対の手摺り部材12と、これらの手摺り部材12の隣り合う端部41を連結する架橋部材35とを有する。手摺り部材12は、壁面3に当接する支持面15と、支持面15を壁面3に当接させたとき、支持面15の上方で壁面3に対向する把持部23とを有する。架橋部材35は、一方の手摺り部材12の把持部23と他方の手摺り部材12の把持部23とを滑らかに連結するように、把持部23の外部形状と略同一の外部形状を有する。架橋部材35が一対の手摺り部材12の隣り合う端部41を連結したとき、これらの手摺り部材12の隣り合う端部41と架橋部材35と壁面3との間に開口部47が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面の窓や開口部等の不連続部や、出隅又は入隅等のコーナー部を跨いで連続する、連続手摺りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の伝い歩きを容易にし、又、利用者が利用者自身の身体を支持するのを補助するために、建築物の廊下等の壁面に連続手摺りが取り付けられている。このような連続手摺りのうち、特に、廊下等の壁面に固定される連続手摺りには、廊下等の歩行空間内への突出量を小さくして、廊下等の歩行空間を減少させないように、壁面に密着するように構成されたものがある。
【0003】
特開平05−230964号公報は、壁面に密着する平面と、壁面との間に手を挿入するための長手方向の溝を形成する溝面と、手を掛けるための長手方向の隆起部を形成する膨出面を有する、長尺の手摺り部材を開示する。この手摺り部材は、その平面を壁面に密着させ、接着剤や釘等を用いて壁面に直付けされる。このような構成の手摺り部材は、手摺り部材の全長にわたって、手摺り部材の平面を壁面に密着させる必要があるから、壁面の手摺り部材の取付部位に窓等の開口部や収納ボックス等の突起物が存在すると、連続手摺りを施工することができない。また、このような構成の手摺り部材は、壁面に密着して取り付けられるから、手摺り部材の上面に塵埃が溜まり易い。このような構成の手摺り部材を連続させて連続手摺りを施工したとき、手摺り部材の上面に溜まった塵埃を拭き取るには、作業者は、連続手摺りの一端から他端まで連続的に移動しなければならない。したがって、連続手摺りが長尺であるときには、作業者に大きな負担をかける虞がある。更に、このような構成の手摺り部材によって、出隅又は入隅を有する壁面に連続手摺りを施工するには、出隅又は入隅を挟んでその両側に固定された手摺り部材を連続させるために、その壁面に専用の接続部材を使用せざるを得ない。
【0004】
例えば、特開2001−323623号公報は、廊下壁面に固定された笠木受けと、この笠木受けに嵌着された笠木とを有する、手摺本体と、手摺端部処理部品とを、アタッチメントを介して連結することにより、出隅又は入隅を有する壁面に連続手摺りを施工することができる、手摺及び手摺端部処理ユニットを開示する。これにより、壁面の出隅又は入隅で、一種類の手摺端部処理部品を使用して一対の手摺本体を連結することが可能になる。しかし、出隅又は入隅を挟んでその両側に位置する壁面は、壁面の施工誤差等により、種々の角度で交差するから、壁面の出隅又は入隅で一対の手摺本体を滑らかに連結するには、壁面の個々の施工誤差等を手摺処理部品で吸収することができるように、出隅又は入隅毎に、施工現場で手摺端部処理部品に加工を施す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−230964号公報
【特許文献2】特開2001−323623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、壁面からの突出量を小さくすることが可能であり、壁面の窓や開口部等の不連続部や出隅又は入隅等のコーナー部を跨いで連続させることができる、連続手摺りを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、壁面の出隅や入隅等のコーナー部で手摺り部材を連結するとき、壁面の施工誤差を吸収することにより、施工を容易にすることができる、連続手摺りを提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、壁面に密着して取り付けられる手摺り部材を有する連続手摺りにおいて、手摺りの上面に蓄積される塵埃を容易に清掃することができる、連続手摺りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するため、本発明の連続手摺りは、壁面に固定される一対の手摺り部材と、前記一対の手摺り部材の隣り合う端部を連結する架橋部材とを有する、連続手摺りにおいて、前記手摺り部材は、前記壁面に当接する支持面と、前記支持面を前記壁面に当接させたとき、前記支持面の上方で前記壁面に対向する把持部とを有し、前記架橋部材は、前記一対の手摺り部材のうちの一方の手摺り部材の前記把持部と他方の手摺り部材の前記把持部とを滑らかに連結するように、前記把持部の外部形状と略同一の外部形状を有し、前記架橋部材が前記一対の手摺り部材の前記隣り合う端部を連結したとき、前記一対の手摺り部材の前記隣り合う端部と前記架橋部材と前記壁面との間に開口部を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明の連続手摺りは、また、前記手摺り部材が、前記支持面を有し、かつ、前記支持面を前記壁面に当接させて前記壁面に固定される、ブラケットと、前記把持部を有し、かつ、前記ブラケットに取り付けられる、手摺り本体とを有し、前記手摺り本体を前記ブラケットに取り付けたとき、前記把持部は、前記支持面の上方で前記壁面に対向し、かつ、前記壁面に沿って延在することを特徴とする。
【0011】
本発明の連続手摺りは、更に、前記手摺り部材と前記架橋部材の間に介装されるジョイント部材を有し、前記ジョイント部材は、前記手摺り部材の前記端部を覆うカバー部と、前記架橋部材の端部に嵌合するジョイント部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の連続手摺りは、更に、前記一対の手摺り部材が前記壁面の同一の面に固定されるとき、前記架橋部材が前記一対の手摺り部材の前記隣り合う端部を連結することができるように、前記架橋部材が全体として直線状に延在することを特徴とする。
【0013】
本発明の連続手摺りは、更に、前記一対の手摺り部材が、前記壁面の互いに角度を成して延在する一対の面にそれぞれ固定されるとき、前記架橋部材が前記一対の手摺り部材の前記隣り合う端部を連結することができるように、前記架橋部材の中間部に湾曲部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の連続手摺りによれば、連続手摺りを構成する手摺り部材が壁面に当接する支持面を介して壁面に固定されるから、壁面に対する取付強度を十分に高めることができると共に、壁面からの突出量を小さくすることができる。また、手摺り部材の把持部の外部形状と略同一の外部形状を有し、かつ、壁面の窓や開口部等の不連続部や出隅又は入隅等のコーナー部を跨いで延在する、架橋部材によって、壁面に密着して固定された一方の手摺り部材の把持部と他方の手摺り部材の把持部を滑らかに連結することができるから、壁面の不連続部やコーナー部を超えて連続する連続手摺りを提供することができる。更に、架橋部材によって一対の手摺り部材の把持部を連結すると、一対の手摺り部材の隣り合う端部と架橋部材と壁面との間に開口部が形成されるから、連続手摺りの上面に蓄積した塵埃をこの開口部から掃き出すことができる。換言すると、本発明の連続手摺りによれば、手摺りの把持部は、手摺り部材が固定された壁面の連続部のみならず、架橋部材が配置された壁面の不連続部やコーナー部においても一様に連続するが、壁面の不連続部やコーナー部においては、手摺りの把持部と壁面との間に開口部が形成され、この開口部から塵埃を掃き出すことができるのである。
【0015】
本発明の連続手摺りを構成する手摺り部材は、支持面を有するブラケット、即ち、笠木受けと、このブラケットに取り付けられる手摺り本体、即ち、笠木とによって構成することができる。ブラケット及び手摺り本体は、合成樹脂の成形品やアルミニウム合金の押し出し形材によって構成することができる。手摺り本体をアルミニウム合金の押し出し形材によって構成する場合には、その表面を感触の良い樹脂皮膜で被覆することができる。手摺り部材をブラケットと手摺り本体とで構成することにより、連続手摺りの施工に際し、先ず、壁面にブラケットを固定し、次いで、このブラケットに手摺り本体を固定することができる。よって、連続手摺りの施工を容易にすることができる。また、ブラケットは、その支持面を壁面に当接させて強固に固定され得る。そして、手摺り本体をブラケットに取り付けると、手摺り本体に形成された把持部は、ブラケットの支持面の上方で壁面に対向し、かつ、壁面に沿って延在する。
【0016】
本発明の連続手摺りの手摺り部材と架橋部材の間にジョイント部材を介装し、このジョイント部材によって手摺り部材の端部と架橋部材の端部の加工誤差を吸収することができる。即ち、手摺り部材の端部と架橋部材の端部が正確に切断されていない場合にも、ジョイント部材に、手摺り部材の端部を覆うカバー部と、架橋部材の端部に嵌合するジョイント部とを形成し、これらのカバー部とジョイント部の変形により、手摺り部材の端部と架橋部材の端部の加工誤差を吸収することができる。これにより、連続手摺りの安全性を向上させることができると共に、その施工を容易にすることができる。ジョイント部材は、ASA等の合成樹脂で作ることができる。
【0017】
本発明の連続手摺りの架橋部材は、全体として直線状に形成することができる。また、この架橋部材の中間部に湾曲部を形成することもできる。直線状の延在する架橋部材は、一対の手摺り部材が壁面の同一の面に固定されるとき、これらの手摺り部材の隣り合う端部を連結するために使用することができる。中間部に湾曲部が形成された架橋部材は、一対の手摺り部材が、壁面の互いに角度を成して延在する一対の面にそれぞれ固定されるとき、これらの手摺り部材の隣り合う端部を連結するために使用することができる。
【0018】
本発明のその他の特徴及び作用効果は、図面を参照してなされる以下の記述から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の連続手摺りの施工例を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の連続手摺りの手摺り部材の分解斜視図である。
【図3】図3は、図1のIIIで示す部分の分解斜視図である。
【図4】図4は、図1のIVで示す部分の一部分解斜視図である。
【図5】図5は、図1のVで示す部分の分解斜視図である。
【実施例1】
【0020】
図1に示すように、連続手摺り1は廊下2に面した壁面3、8、10に設置されている。壁面3には、窓枠4、5で囲われた窓6が形成され、連続手摺り1は窓6を跨いで連続する。壁面3は出隅7を介して壁面8に連続し、壁面8は入隅9を介して壁面10に連続している。連続手摺り1は出隅7と入隅9を跨いで連続している。壁面3、8、10の下部には腰板11が張設されている。
【0021】
連続手摺り1を構成する手摺り部材12は、図1に示すように、壁面3、8、10に密着して固定されている。手摺り部材12が固定される箇所は、窓6等の開口部や出隅7及び入隅9等のコーナー部が存在しない、平坦な連続面である。手摺り部材12は、図2に示すように、壁面3、8、10の平坦な連続面に固定されるブラケット13と、ブラケット13に取り付けられる手摺り本体14とを有する。ブラケット13と手摺り本体14は、アルミニウム合金の押し出し形材や合成樹脂成形品によって構成することができる。手摺り本体14をアルミニウム合金の押し出し形材によって構成する場合には、押し出し形材の表面を手触りの良い合成樹脂皮膜で被覆することができる。
【0022】
ブラケット13は、壁面3、8、10の平坦な連続面に密着する支持面15を有する。支持面15の下縁部には、腰板11の上縁部が挿入される段部16が形成される。段部16は、ブラケット13の長手方向に延在する。ブラケット13の天井部には係合溝17が形成され、また、ブラケット13の中途部には平坦な突片部18が形成されている。係合溝17と突片部18は、ブラケット13の長手方向に延在する。ブラケット13の軽量化を図るため、ブラケット13の内部には空洞部19、20が形成されている。ブラケット13は、壁面3、8、10の平坦な連続面に支持面15を密着させ、タッピングビス21、22によって、壁面3、8、10に固定される。
【0023】
手摺り本体14は、上方に向かって滑らかに湾曲した外形を有する把持部23と、把持部23の先端部に形成された巻回部24と、巻回部24に連続する凹状湾曲面25とを有する。巻回部24は、手摺りの利用者が手摺りを握り易くするために壁面3、8、10の方向に突出し、凹状湾曲面25は巻回部24から壁面3、8、10の方向に滑らかに延在する。把持部15、巻回部24及び凹状湾曲面25は、手摺り本体14の長手方向に連続的に伸びる。手摺り本体14の下面には、平坦な載置面26と、全体として直方体形状の突条27が形成されている。載置面26と突条27は、手摺り本体14の長手方向に延在する。手摺り本体14は、突条27をブラケット13の係合溝17に嵌合し、載置面26をブラケット13の突片部18の上面に載置して、タッピングビス28、29によってブラケット13に固定される。これにより、手摺り本体14の凹状湾曲面25の縁部30は壁面3、8、10に当接し、凹状湾曲面25と壁面3、8、10との間に空隙は生じない。なお、手摺り本体14の軽量化を図るため、手摺り本体14の内部には空洞部31、32、33、34が形成されている。
【0024】
図1に示すように、壁面3の窓6を挟んでその両側に固定された一対の手摺り部材12は、窓6を跨いで伸びる架橋部材35によって連結されている。手摺り部材12と架橋部材35との連結部のうち、図1のIIIで示される連結部を図3に示す。架橋部材35は、図1に示すように、窓6を跨いで直線状に延在する。架橋部材35の横断面形状は、図3に示すように、手摺り本体14の外形状のうち、上方に向かって滑らかに湾曲した外形を有する把持部23と、把持部23の先端部に形成された巻回部24とからなる部位の外形と略同一の外形を有する。すなわち、架橋部材35は、手摺り本体14の把持部23に対応するように、上方に向かって滑らかに湾曲した外形を有する把持部36と、把持部23の先端部に形成された巻回部24に対応するように、把持部36の先端部に形成された巻回部37とを有する。架橋部材35は、アルミニウム合金の押し出し形材や合成樹脂成形品によって構成することができる。架橋部材35をアルミニウム合金の押し出し形材によって構成する場合には、押し出し形材の表面を手触りの良い合成樹脂皮膜で被覆することができる。架橋部材35の軽量化を図るため、架橋部材35の内部には空洞部38、39が形成されている。
【0025】
図3に示すように、手摺り部材12と架橋部材35の間にはジョイント部材40が介装される。ジョイント部材40はASA等の合成樹脂で形成され、全体として手摺り部材12の横断面形状と略同一の外形状を有する。すなわち、ジョイント部材40の形状は、ブラケット13と、ブラケット13に固定された手摺り本体14からなる手摺り部材12の端部41を覆う形状である。図3に示すように、ジョイント部材40の架橋部材35側の面には、架橋部材35の空洞部38に嵌合する直方体形の係合突起42と、架橋部材35の空洞部39に嵌合する円筒形の係合突起43が形成されている。他方、ジョイント部材40の手摺り部材12側の面には、図4に示すように、手摺り本体14の空洞部32に嵌合する直方体形の係合突起44と、手摺り本体14の空洞部34に嵌合する中空の方形断面を有する係合突起45が形成されている。そして、ジョイント部材40の手摺り本体14側の面は、図4に示すように、ジョイント部材40の外周部40aの肉厚がジョイント部材40の内方部40bの肉厚よりも大きく形成されている。これにより、手摺り部材12と架橋部材35をジョイント部材40を介して連結したとき、ジョイント部材40が架橋部材35で押圧される結果、ジョイント部材40の手摺り部材12側の面の外周部40aが拡開し、ブラケット13と、ブラケット13に固定された手摺り本体14からなる手摺り部材12の端部41を十分に覆うことができる。したがって、手摺り部材12の端部41の形状に寸法誤差があっても、この寸法誤差はブラケット13の変形によって吸収される。ジョイント部材40の肉厚は、その外周部40aから内方部40bに向かって除々に減少するテーパ状に形成することもできる。なお、ジョイント部材40の架橋部材35側の面は平坦な面によって構成されているが、架橋部材35の端部46の面積は、手摺り部材12の端部41の面積よりも小さいので、架橋部材35の端部46はジョイント部材40の平坦な面によっても十分に密封される。図1のIIIによって示される手摺り部材12と架橋部材35との連結部は、図3に示すように、ジョイント部材40を介して、堅固に連結される。これにより、手摺り部材12の手摺り本体14に形成された把持部23は、架橋部材35の把持部36に滑らかに連続し、把持部23の先端に形成された巻回部24は、把持部36の先端に形成された巻回部37に滑らかに連続する。把持部23の先端に形成された巻回部24は、把持部23の一部を構成する。手摺り部材12と架橋部材35を連結すると、架橋部材35と窓6の間には空間部47が形成され、手摺り本体14の凹状湾曲面25は空間部47で終端する。これにより、凹状湾曲面25に堆積した塵埃を空間部47から廃棄することができる。
【0026】
図1に示すように、壁面8と壁面10の間の入隅9では、湾曲部48を有する架橋部材49によって、入隅9を挟んでその両側に位置する手摺り部材12、12が連結される。図1のIVで示される箇所は、図4に分解斜視図として示されている。壁面8に密着して固定された手摺り部材12と、壁面10に密着して固定された手摺り部材12は、湾曲部48を有する架橋部材49とジョイント部材40、50を介して、互いに連結される。湾曲部48を有する架橋部材49は、合成樹脂成形品で構成され、ジョイント部材40の直方体形の係合突起42が嵌合する上方溝49aと、ジョイント部材40の円筒形の係合突起43が嵌合する下方溝49bを有する。ジョイント部材50は、ジョイント部材40の鏡面形状を有する。ジョイント部材50の材質及び機能は、ジョイント部材40の材質及び機能と同じである。図3に基づいて説明したように、湾曲部48を有する架橋部材49とジョイント部材40、50を介して、図4に示す手摺り部材12、12を連結すると、湾曲部48を有する架橋部材49と入隅9の間には、空間部51が形成され、壁面8に密着して固定された手摺り部材12の凹状湾曲面25と、壁面10に密着して固定された手摺り部材12の凹状湾曲面25は、空間部51で終端する。これにより、凹状湾曲面25に堆積した塵埃を空間部47から廃棄することができる。出隅7において手摺り部材12、12を連結するには、架橋部材49と逆方向に湾曲した架橋部材を使用する。
【0027】
図1のVで示される箇所には、壁面3に密着して固定された二つの手摺り部材12、12を連結する構造が示されている。図1のVで示される連結箇所を、図5に分解斜視図として示す。図5中、手摺り部材12、12は、図2乃至4の手摺り部材12と同じものである。図5中、新規な構成要素は、二つの手摺り部材12、12の間に介装されるジョイントパッキン52である。ジョイントパッキン52はPVCで形成され、一つの貫通孔53と、種々の形状を有する複数の係合凸部54とを有する。これらの係合凸部54は、ジョイントパッキン52の両側面に対象に形成されている。ジョイントパッキン52の貫通孔53には、PVC製のジョイント片55が挿入される。ジョイント片55の表面には複数の係止突条56が形成されている。二つの手摺り部材12、12を連結するには、ジョイントパッキン52の貫通孔53に挿入されたジョイント片55を、連結される二つの手摺り部材12、12の空洞部31、31に挿入すると共に、ジョイントパッキン52の両側面に形成された複数の係合凸部54を、手摺り部材12、12の対応する空洞部19、20、32乃至34に挿入する。手摺り部材12、12の空洞部31、31に挿入されたジョイント片55は、空洞部31、31の内面に係止突条56を圧着させて固定される。また、複数の係合凸部54は、対応する空洞部19、20、32乃至34の内面と係合して、ジョイントパッキン52の位置決めを行う。ここで、ジョイントパッキン52は、ジョイントパッキン52の外周部52aの肉厚がジョイントパッキン52の内方部52bの肉厚よりも大きく形成されている。これにより、手摺り部材12、12をジョイントパッキン52を介して連結したとき、ジョイントパッキン52が手摺り部材12、12の間で押圧されて変形し、ジョイントパッキン52の外周部52aが拡開し、手摺り部材12の端部41を十分に覆うことができる。したがって、手摺り部材12の端部41の形状に寸法誤差があっても、この寸法誤差はジョイントパッキン52の変形によって吸収される。ジョイントパッキン52の肉厚は、その外周部52aから内方部52bに向かって除々に減少するテーパ状に形成することもできる。図1のVによって示される手摺り部材12、12の連結部は、図5に示すように、ジョイントパッキン52を介して、堅固に連結される。これにより、一方の手摺り部材12の手摺り本体14に形成された把持部23と、他方の手摺り部材12の手摺り本体14に形成された把持部23とが、滑らかに連続するのみでなく、一方の手摺り部材12の凹状湾曲面25と、他方の手摺り部材12の凹状湾曲面25とは、ジョイントパッキン52の外周部52aに形成された凹状湾曲面52cを介して滑らかに連続する。したがって、ジョイントパッキン52を介して手すり部材12同士を連結したときには、手摺り部材12の非連続部、すなわち、架橋部材35、49の下方に形成された空間部47、51に相当する空間部は形成されない。
【符号の説明】
【0028】
1 連続手摺り
3、8、10 壁面
6 窓
7 出隅
9 入隅
12 手摺り部材
13 ブラケット
14 手摺り本体
23 把持部
24 巻回部
25 凹状湾曲面
35 架橋部材
47 空間部
40、50 ジョイント部材
49 湾曲部を有する架橋部材
51 空間部
52 ジョイントパッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定される一対の手摺り部材と、前記一対の手摺り部材の隣り合う端部を連結する架橋部材とを有する、連続手摺りにおいて、前記手摺り部材は、前記壁面に当接する支持面と、前記支持面を前記壁面に当接させたとき、前記支持面の上方で前記壁面に対向する把持部とを有し、前記架橋部材は、前記一対の手摺り部材のうちの一方の手摺り部材の前記把持部と他方の手摺り部材の前記把持部とを滑らかに連結するように、前記把持部の外部形状と略同一の外部形状を有し、前記架橋部材が前記一対の手摺り部材の前記隣り合う端部を連結したとき、前記一対の手摺り部材の前記隣り合う端部と前記架橋部材と前記壁面との間に開口部を形成することを特徴とする、連続手摺り。
【請求項2】
請求項1に記載された連続手摺りにおいて、前記手摺り部材は、前記支持面を有し、かつ、前記支持面を前記壁面に当接させて前記壁面に固定される、ブラケットと、前記把持部を有し、かつ、前記ブラケットに取り付けられる、手摺り本体とを有し、前記手摺り本体を前記ブラケットに取り付けたとき、前記把持部は、前記支持面の上方で前記壁面に対向し、かつ、前記壁面に沿って延在することを特徴とする、前記連続手摺り。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された連続手摺りにおいて、前記連続手摺りは、前記手摺り部材と前記架橋部材の間に介装されるジョイント部材を有し、前記ジョイント部材は、前記手摺り部材の前記端部を覆うカバー部と、前記架橋部材の端部に嵌合するジョイント部とを有することを特徴とする、前記連続手摺り。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載された連続手摺りにおいて、前記一対の手摺り部材が前記壁面の同一の面に固定されるとき、前記架橋部材が前記一対の手摺り部材の前記隣り合う端部を連結することができるように、前記架橋部材は全体として直線状に延在することを特徴とする、前記連続手摺り。
【請求項5】
請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載された連続手摺りにおいて、前記一対の手摺り部材が、前記壁面の互いに角度を成して延在する一対の面にそれぞれ固定されるとき、前記架橋部材が前記一対の手摺り部材の前記隣り合う端部を連結することができるように、前記架橋部材の中間部に湾曲部を形成したことを特徴とする、前記連続手摺り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−275501(P2009−275501A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65508(P2009−65508)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3143530号
【原出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】