説明

連続用紙の丁合装置

【課題】1つの装置でピン送り方式とピンレス送り方式の双方の連続用紙の丁合を随時選択的にできるようにする。
【解決手段】 送り孔有りの連続用紙と、送り孔無しで、かつ絵柄ごとにタイミングマークが印刷されている連続用紙とを選択的に支持可能にした給紙機2e〜gを搬送ライン1の搬送方向に複数設け、搬送ラインの上記各給紙機の搬送方向下流側に、送り孔有りの連続用紙の送り孔に係合して搬送作動を行い、かつ搬送ラインの幅方向に移動可能にしたピントラクタ7と、搬送機能を断続可能にした搬送ロール8と、搬送される連続用紙に印刷されているタイミングマークを読み取るマークセンサ23とを設け、各給紙機に、送り孔有りの連続用紙をピントラクタによる搬送タイミングに合わせて搬送ラインに給紙するピン送り用制御部9と、マークセンサの検出信号のタイミングに合わせて送り孔無しの連続用紙を搬送ラインに給紙するピンレス送り用制御部19を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の天地サイズで印刷された複数の連続用紙を、上記印刷の絵柄位置を合わせながら丁合する連続用紙の丁合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の丁合装置にあっては、連続用紙に伝票のサイズに基づき一定のピッチで印刷を行った後、その両側部に用紙送り用となる送り孔(マージナルパンチ)を穿設してから、これを一旦ロール状に巻き取ってロール状の連続用紙とし、この連続用紙を給紙部に複数セットしてこの給紙部より繰り出し、各連続用紙の送り孔を用いてピントラクタより同期して搬送することで、各連続用紙の絵柄位置がズレることなく丁合するようにしている(例えば、引用文献1,2参照)。
【0003】
上記したように複数の連続用紙を送り孔とピントラクタを用いて丁合する場合、この各連続用紙はこれの両側に送り孔を設けたものが用いられているが、最終製品においてはこの送り孔は不要であり、一般的にはその送り孔部分を切り落として最終製品としている。この送り孔部分の幅は片側部分で1/2インチの寸法があり、両側では1インチ幅で切り落とされることとなって、この部分が無駄になり、その上、上記送り孔の加工処理及びその装置を設備するコストなどがかかるという問題がある。
【0004】
このことから上記連続用紙の丁合に、ピンレス、すなわち連続用紙の両側に送り孔を設けず、したがってピントラクタを使用せずに、各連続用紙の各絵柄ごとに設けたタイミングマークを検出しながら2つの連続用紙を糊付けしたり、3つの連続用紙を各絵柄間位置で切断して排出するなど生産される製品が限定される形での専用機としての装置が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−263465号公報
【特許文献2】特開2005−103869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように連続用紙を丁合する場合、ピン送り方式と、生産される製品が限定される形での専用機としての方式のものと2通りがあり、従来にあっては両方式のそれぞれで生産する製品にあった生産効率と機能を有する装置として使い分けられていたが、両方式を選択的に用いることができる丁合装置はなく、現場にあっては両方式の丁合装置を備えなければならないという不便さがあった。
【0007】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、1台の連続用紙の丁合装置でピン送り装置とピンレス送り方式の双方の連続用紙の丁合を随時選択的に行うことができ、生産可能な製品の種類を増大して多目的用途の装置とすることができる連続用紙の丁合装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る連続用紙の丁合装置は、送り孔有りの連続用紙と、送り孔無しで、かつ絵柄ごとにタイミングマークが印刷されている連続用紙とを選択的に支持可能にした給紙機を連続用紙を積層搬送する搬送ラインの搬送方向に複数設け、搬送ラインの上記各給紙機の搬送方向下流側に、上記送り孔有りの連続用紙の送り孔に係合して搬送作動を行い、かつ搬送ラインの幅方向に移動可能にしたピントラクタと、搬送機能を断続可能にした搬送ロールと、搬送される連続用紙に印刷されているタイミングマークを読み取るマークセンサとを設け、各給紙機に、送り孔有りの連続用紙をピントラクタによる搬送タイミングに合わせて搬送ラインに給紙するピン送り用制御部と、マークセンサの検出信号のタイミングに合わせて送り孔無しの連続用紙を搬送ラインに給紙するピンレス送り用制御部を設けた構成になっている。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る連続用紙の丁合装置は、上記連続用紙の丁合装置の搬送ライン上に、兼用送り方式の給紙機のほかに、ピン送り用制御部のみを設けたピン送り方式の給紙機を設けた構成になっている。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る連続用紙の丁合装置は、上記連続用紙の丁合装置のピン送り用制御部は、給紙機に支持されるロール状の連続用紙を引き出すダンサロール装置と、ピントラクタの搬送動作に連動して制御される送り制御ロールとからなり、またピンレス送り用制御部は、マークセンサの検出信号に基づいて回転制御するS字送り制御ロールと送り制御ロールとからなる構成になっている。
【0011】
さらに、本発明の請求項4に係る連続用紙の丁合装置は、上記連続用紙の丁合装置のピンレス送り用制御部に連続用紙の裏面に糊付けを行う糊付け装置を設け、この糊付け装置にて糊付けされた連続用紙をピンレス送り制御部の送り制御ロールにて搬送ラインに案内し、この送り制御ロールに連続用紙を押圧して転接する糊圧着ロールの周面に軸方向の溝を周方向に複数設けた構成になっている。
【発明の効果】
【0012】
上記請求項1に係る発明によれば、1台の連続用紙の丁合装置で、ピン送り方式とピンレス送り方式の双方の連続用紙の丁合を随時選択的に行うことができ、生産可能な製品の種類を増大して多目的な用途の装置とすることができる。
【0013】
また請求項2に係る発明によれば、7連等の多数枚の連続用紙をピン送り方式にて丁合可能な丁合装置において、このうちの複数、例えば3連の連続用紙をピンレス方式にて丁合を行うことができ、このピンレス方式による丁合を7連等の通常の丁合と兼用して用いることができる。
【0014】
また請求項3に係る発明によれば、ピン送り方式の場合の連続用紙は搬送ラインのピントラクタの搬送に同期して、またピンレス送り方式の場合の連続用紙は、搬送ラインの搬送ロールによる搬送に同期してそれぞれの連続用紙をずれることなく給紙することができる。
【0015】
さらに請求項4に係る発明によれば、ピンレス送り方式の給紙機に支持された連続用紙が、ピンレス送り制御部にて給紙され、この間に糊付け装置にて糊付けされて、送り制御ロールとこれに転接される糊圧着ロールの間を通って搬送ラインに給紙される際に、上記送り制御ロールとこれに転接している糊圧着ロールとの間に速度差が生じても、この速度差は糊圧着時に、糊圧着ロールの周面に設けられた溝によるニップ逃げによって吸収され、ピンレス送り制御部からの連続用紙は、搬送ラインにスムーズに丁合されて搬送される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る連続用紙の丁合装置の全体を概略的に示す正面図である。
【図2】ピン送り方式の給紙機を概略的に示す説明図である。
【図3】ピンレス方式の給紙機を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は連続用紙の丁合装置の全体を概略的に示す正面図である。この連続用紙の丁合装置は搬送ライン1に沿って複数、例えば7台の給紙機2a,2b,2c,2d,2e,2f,2gを設けた構成になっている。そして上記各給紙機2a〜2gのうち、上流側の4台の給紙機2a〜2dはピン送り方式になっており、下流側の3台の給紙機2e〜2gは、ピン送りとピンレス送りの双方を行うことができるようにした兼用送り方式になっている。
【0019】
またこの実施の形態では、上記ピン送り方式の給紙機2a〜2dと兼用送り方式の給紙機2e〜2gの間にスリッタ装置3aと抜き加工装置3bとからなる第1の加工部3が、また兼用送り方式の給紙機2e〜2gの下流側に抜き加工装置4aと横ミシン加工装置4bと、粕上げ装置4cとシートカット装置4dからなる第2の加工部4と、さらにこれの下流側に製品排出コンベヤ5とが配置されている。
【0020】
上記搬送ライン1には、各給紙機1a〜1gから給紙されるピン送り方式用の連続用紙6a,6b,6c,6d,6e,6f,6gの両側に設けられた送り孔に係合して、これを一定速度で搬送するピントラクタ7が複数設けてある。
【0021】
また、上記搬送ライン1の兼用送り方式の給紙機2e〜2gのそれぞれの下流側には、この兼用送り方式の各給紙機2e〜2gより供給された送り孔無しの連続用紙6e′〜6g′を搬送するための搬送ロール8が設けてある。この搬送ロール8にはニップロール8aが接離可能に転接されている。
【0022】
上記ピントラクタ7と搬送ロール8は、本機を駆動する主モータにより固定送り率で回転駆動されるようになっている。なお、これらは単独モータにて回転制御可能に駆動するようにしてもよい。
【0023】
上記ピントラクタ7と搬送ロール8とは選択的に用いられるものであって、搬送ライン1に送り孔有りの連続用紙6a〜6gを搬送する場合にはピントラクタ7が用いられ、搬送ロール8からはニップローラ8aを離隔して、この搬送ロール8には搬送力が作用しないようにする。一方、兼用送り方式の給紙機2e〜2gにて送り孔無しの連続用紙6e′〜6g′を搬送する場合には、上記ピントラクタ7の駆動を停止すると共に、搬送ロール8にニップロールを転接させて、この搬送ロール8によりこの連続用紙6e′〜6g′を搬送する。
【0024】
なお、このときこの兼用送り方式の給紙機2e〜2gより下流側のピントラクタ7が上記連続用紙6e′〜6g′の両側部と干渉して邪魔になる場合には、これを幅方向外側へ移動して連続用紙6e′〜6g′と干渉しないようにする。
【0025】
上記ピン送り方式の給紙機2a〜2dは同一構成になっていて、それぞれのロール支持部にセットされた上記連続用紙6a〜6dの搬送ライン1への給紙タイミングを制御するピン送り用制御部9が設けられており、このピン送り用制御部9の構成を図2にて説明する。
【0026】
この図2において、例えば第2のピン送り用給紙機2bにおけるピン送り用制御部9では、給紙方向上流側から順に配置されるダンサロール装置10と送り制御装置11と糊付け装置12とからなっている。
【0027】
ダンサロール装置10は、上下方向に移動することによってロール紙から供給される連続用紙6bの搬送経路の長さを調整するダンサロール13を有している。
【0028】
送り制御装置11は、送り制御ロール14とテンションロール15とを有している。
【0029】
また糊付け装置12は、積層する連続用紙6bの裏側面の所定の位置に線糊、または点糊を施す糊付けノズル16を有している。なお、この糊付け装置12は、上記したように積層する連続用紙の裏側面に糊を塗布するものであることにより、最上流側に位置する第1のピン送り方式の給紙機2aのピン送り用制御部9には、この糊付け装置12は設ける必要はない。
【0030】
この第2のピン送り方式の給紙機2bのピン送り用制御部9では、これの下流側に配置されるピントラクタ7にて連続用紙6bが搬送ライン1にて搬送されると、送り制御装置11のテンションロール15が移動することによりこれが検出され、その検出結果が電気信号に変換されて送り制御ロール14を駆動する単独モータの制御装置に送られ、上記テンションロール15を図2に示される所定角度位置に保持するように送り制御ロール14の送り回転が制御される。
【0031】
送り制御ロール14にて連続用紙6bが給紙されると、この給紙量がダンサロール13の昇降動作に変換され、この昇降動作により連続用紙6bのロール支持部の巻き出し軸のブレーキ力が増減される。また、ダンサロール13には図示しないベロフラムシリンダ等を用いて、常時経路長が長くなる方向へ一定のストロークで一定の力を作用させており、その力により上記巻き出し軸のブレーキが弱まると連続用紙6bが繰り出され、また連続用紙6bが出過ぎてダンサロール13による経路長が長くなりすぎると上記ブレーキ力が強くなって、連続用紙6bの繰り出しを制止するように作用され、一定張力を保持しながら連続用紙6bが繰り出される。
【0032】
上記のように供給された連続用紙6bは、これの裏側面に糊付け装置12の糊付けノズル16にて糊が塗布されてからピントラクタ7へ送られ、ここで上流側の連続用紙6aと絵柄位置が合わされて丁合される。
【0033】
また、この場合のピントラクタ7の入口部での連続用紙6bの張力は、テンションロール15により送り孔がピントラクタのピンにより破られない程度の軽い張力となる。また、ピントラクタ7を通過した連続用紙6bは弛んだ状態で搬送され張力がない状態となる。
【0034】
上記作用は、各ピン送り方式の給紙機2a〜2dのピン送り用制御部9は同様の作用が行われ、搬送ライン1の各ピントラクタ7、各ピン送り用制御部9の送り制御ロール14の同期作動により各ピン送り方式の給紙機2a〜2dから供給された各連続用紙6a〜6dは、丁合されて搬送ライン1に搬送される。
【0035】
次にピン送りとピンレス送りの兼用送り方式の給紙機2e〜2gを図1、図3にて説明する。この兼用送り方式の給紙機2e〜2gには、上記した両側に送り孔を設けた連続用紙6e〜6gのほかに、上記送り孔を有しない連続用紙6e′〜6g′がセットできるようになっている。そしてこの各兼用送り方式の給紙機2e〜2gには、上記ピン送り方式の給紙機2a〜2dと同一構成のピン送り用制御部9と、これのほかにピンレス送り用制御部19を備えている。
【0036】
図3は上記兼用送り方式の給紙機2e〜2gのうちの1つを示すものであり、この図3にてピンレス送り用制御部19の構成を説明する。
【0037】
ピンレス送り用制御部19は、上記ピン送り制御部9のダンサロール装置10からピン送り制御部9の送り制御装置11と糊付け装置12をバイパスするようにして設けられている。
【0038】
このピンレス送り用制御部19は、ダンサロール装置10の下流側に位置するS字送り制御ロール20と糊付け装置12aと送り制御ロール21とからなっている。この送り制御ロール21は糊圧着ロール22と対接して搬送ライン1に配置されている。また、兼用送り方式の各給紙機2e〜2gの下流側に、送り孔を有していない連続用紙6e′に、あらかじめ呼称サイズピッチで印刷されているタイミングマークを読み取るためのマークセンサ23が設けられている。上記糊圧着ロール22は、搬送ライン1の搬送速度と同期して回転駆動されている。
【0039】
上記S字送り制御ロール20と送り制御ロール21は、1個の制御可能にした単独モータにより、またはそれぞれ個々に制御可能にした単独モータにより回転駆動されるようになっており、それぞれのモータは、マークセンサ23での検出信号に基づいて回転制御されるようになっている。
【0040】
すなわち、送り孔無しの連続用紙6e′に呼称サイズピッチで印刷されてあるタイミングマークをマークセンサ23にて検出し、装置が上記呼称サイズ分回転するごとに、タイミングマークが所定位置を常に同一タイミングで通過するように上記S字送り制御ロール20及び送り制御ロール21が回転駆動されるようになっている。
【0041】
このピンレス方式の場合の連続用紙6e′,6f′,6g′の印刷ピッチの差は、搬送ライン1上で張力の差となって現れ、各印刷用紙6e′〜6g′の伸び量により、各絵柄位置がズレることなく合わされる。
【0042】
このときにおいて各連続用紙6e′〜6g′のピンレス送り制御部19でのS字制御ロール20及び送り制御ロール21での送り制御の結果である連続用紙の送り速度は、各ロール紙部から繰り出されて積層後の積層搬送ライン1での送り速度とは微量ではあるが速度差が存在する。
【0043】
このような状態では、送り制御ロール21に機械的に同期回転している糊圧着ロール22が真円になっていて、送り制御ロール21と連続ニップ状態であると、糊圧着ロール22の周面と積層状態の連続用紙との間で速度差が生じ、積層紙の固有速度での搬送に障害が発生する。
【0044】
そのため図3に示すように、上記糊圧着ロール22の周面に、軸心方向に向けた所定幅を有する溝を周方向に設けてこの周面を凹凸状にして、このロールの周面に送り制御ロール21に対して断続的な逃げが設けられている。そしてこの逃げ位置で積層紙と糊圧着ロール22との速度差が吸収されるようになっている。糊圧着ロール22をこのように、これの周面に凹凸を設けることにより、送り制御ロール21の直前で糊が塗布されて積層される各連続用紙は、絵柄位置がズレることなく貼り合わされる。
【0045】
なお、この実施の形態では送り制御ロール21に上記糊圧着ロール22を圧接させているが、各給紙部より給紙された連続用紙が積層された下流側で一括してこの部分に設けた糊圧着ロール22にて圧着するようにしてもよい。
【0046】
また、この実施の形態では、搬送ライン1に複数設けた搬送ロール8は、それぞれを本機に連動して駆動するようにした例を示したが、この複数の搬送ロールのうち、各連続用紙が積層された下流側に設けられた搬送ロールのみを送り制御するようにしてもよい。
【0047】
搬送ライン1に設けられる各ピントラクタは、各給紙機2a〜2gにて給紙される連続用紙6a〜6gの両側に設けられた送り孔に合う位置に、幅方向に移動可能に、あるいは固定されて設けられている。
【0048】
なお、兼用送り方式の給紙機2e〜2gより下流側に設けられるピントラクタ7は、この給紙機2e〜2gからは送り孔無しの連続用紙6e′〜6g′が供給されることもあるので、その場合、この連続用紙6e′〜6g′の幅が送り孔を有する上記連続用紙2a〜2gの幅と同一であれば、このピントラクタ7が邪魔になるので、横方向外側へ移動してこれが邪魔にならないようにする。
【0049】
上記のように構成された連続用紙の丁合機の作用を以下に説明する。
【0050】
(1)ピン送り方式による丁合
各給紙機2a〜2gに送り孔有りの連続用紙6a〜6gをセットすると共に、搬送ライン1における各ピントラクタ7を、上記連続用紙6a〜6gの送り孔列の幅方向の間隔に合わせてセットする。また、搬送ロール8からニップロール8aを離隔して、あるいは搬送ロール8が自由回転するようにして、この搬送ロール8による搬送作用を行わないようにする。そして各連続用紙6a〜6gを各給紙機2a〜2gのピン送り用制御部9を通して、搬送ライン1に紙通しして本機を駆動する。このとき各ピントラクタ7は、搬送ライン1による搬送速度を同期駆動される。
【0051】
これにより、各給紙機2a〜2gから供給された連続用紙6a〜6gは、各給紙機2a〜2gのピン送り用制御部9から糊付け装置12にて所定の位置に糊付けされた状態で同期して搬送ライン1に給紙され、それぞれは丁合された状態でピントラクタ7で搬送される。
【0052】
上流側の3台のピン送り方式の給紙部2a〜2cから給紙されて丁合された連続用紙6a〜6cは第1の加工部にて、例えばスリッタ装置3aにてスリット加工され、抜き加工装置3bにて抜き加工される。さらに兼用送り方式の給紙機2e〜2gの下流側では第2の加工部4にて、例えば抜き加工装置4aにて抜き加工され、横ミシン加工装置4bにて横ミシン加工され、粕上げ装置4cにて粕上げされ、ついでシートカット装置4dにて所定の長さに切断されて、製品排出コンベヤ5にて排出される。または上記横ミシン加工装置4bにて絵柄長さごとに横ミシン加工が施されて排出後、これを折り機にかけてジグザグ状に折り重ねて折り重ね状の製品とする。
【0053】
(2)ピンレス送り方式による丁合
兼用送り方式の給紙機2e〜2gに送り孔無しの連続用紙6e′〜6g′をセットすると共に、搬送ロール8にニップロールを転接させて、これに搬送作用をするようにする。また、これらの給紙機2e〜2gより下流側のピントラクタ7が、上記連続用紙6e′〜6g′の両側部と干渉する場合には、これを両側方へ干渉しない位置まで移動する。そして各連続用紙6e′〜6g′を各給紙機2e〜2gのピンレス送り用制御部19を通して、搬送ライン1に紙通しして本機を駆動する。このときの各搬送ロール8は同期回転される。
【0054】
このとき図3で二点差線で示したように、ダンサロール装置10を通さないで直接ピンレス送り用制御部19へ紙通しし、連続用紙6e′〜6g′の支持軸にブレーキをかけて給紙するようにしてもよい。
【0055】
これにより各給紙機2e〜2gから供給された連続用紙6e′〜6g′は、各給紙機2e〜2gのピンレス送り用制御部19から糊付け装置12aにて所定の位置に糊付けされた状態で同期して、搬送ライン1に丁合された状態で供給され、搬送ロール8にて搬送される。そしてこれらの下流側での第2加工部4にて、上記ピン送り方式の場合と同様の加工が施されて製品排出コンベア5にて排出される。このとき上記搬送ロール8の送り速度をピンレス送り用制御部19の送り速度よりわずかに速くしておくことにより、搬送ライン1における搬送をスムーズに行うことができる。
【0056】
このとき、ピンレス送り用制御部19の送り制御ロール21に転接している糊圧着ロール22は、送り制御ロール21と機械的に同期回転している関係上、ロールが連続ニップの形状であると糊圧着ロール21の周速度と積層状態の連続用紙との速度差が生じ、積層状態の連続用紙の固有速度での搬送に障害が生じるが、この実施の形態における上記糊圧着ロール21の周面に円周方向に溝が設けてあって、送り制御ロール21に対して断続的に逃げがあることにより、この逃げにより積層状態の連続用紙と糊圧着ロール22との間の速度差が吸収される。
【0057】
上記したように本発明に係る連続用紙の丁合装置によれば、ピン送り方式とピンレス送り方式の双方の丁合を選択的に行うことができ、多目的な用途に使用することが可能となる。
【0058】
なお、このときにおいて各送り用制御部9,19において、必ずしも糊付けを行わず、糊による貼り付けをしないで積層丁合するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…搬送ライン、2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g…給紙機、3…第1の加工部、3a…スリッタ装置、3b…抜き加工装置、4…第2の加工部,4a…抜き加工装置、4b…横ミシン加工装置、4c…粕上げ装置、4d…シートカット装置、5…製品排出コンベア、6a,6b、6c,6d,6e,6f,6g,6e′,6f′,6g′…連続用紙、7…ピントラクタ、8…搬送ロール、8a…ニップロール、9…ピン送り用制御部、10…ダンサロール装置、11…送り制御装置、12,12a…糊付け装置、13…ダンサロール、14…送り制御ロール、15…テンションロール、16…糊付けノズル、19…ピンレス送り用制御部、20…S字送り制御ロール、21…送り制御ロール、22…糊圧着ロール、23…マークセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り孔有りの連続用紙と、送り孔無しで、かつ絵柄ごとにタイミングマークが印刷されている連続用紙とを選択的に支持可能にした給紙機を連続用紙を積層搬送する搬送ラインの搬送方向に複数設け、
搬送ラインの上記各給紙機の搬送方向下流側に、上記送り孔有りの連続用紙の送り孔に係合して搬送作動を行い、かつ搬送ラインの幅方向に移動可能にしたピントラクタと、搬送機能を断続可能にした搬送ロールと、搬送される連続用紙に印刷されているタイミングマークを読み取るマークセンサとを設け、
各給紙機に、送り孔有りの連続用紙をピントラクタによる搬送タイミングに合わせて搬送ラインに給紙するピン送り用制御部と、マークセンサの検出信号のタイミングに合わせて送り孔無しの連続用紙を搬送ラインに給紙するピンレス送り用制御部を設けた
ことを特徴とする連続用紙の丁合装置。
【請求項2】
請求項1記載の連続用紙の丁合装置の搬送ライン上に、兼用送り方式の給紙機のほかに、ピン送り用制御部のみを設けたピン送り方式の給紙機を設けたことを特徴とする連続用紙の丁合装置。
【請求項3】
ピン送り用制御部は、
給紙機に支持されるロール状の連続用紙を引き出すダンサロール装置と、ピントラクタの搬送動作に連動して制御される送り制御ロールとからなり、またピンレス送り用制御部は、マークセンサの検出信号に基づいて回転制御するS字送り制御ロールと送り制御ロールとからなることを特徴とする請求項1または2記載の連続用紙の丁合装置。
【請求項4】
ピンレス送り用制御部に連続用紙の裏面に糊付けを行う糊付け装置を設け、この糊付け装置にて糊付けされた連続用紙をピンレス送り制御部の送り制御ロールにて搬送ラインに案内し、この送り制御ロールに連続用紙を押圧して転接する糊圧着ロールの周面に軸方向の溝を周方向に複数設けたことを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1項記載の連続用紙の丁合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−253793(P2010−253793A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106224(P2009−106224)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000161057)株式会社ミヤコシ (122)
【Fターム(参考)】