説明

連続電気銅めっき方法

【解決手段】有機添加剤を含む硫酸銅めっき浴を収容しためっき槽中で、可溶性又は不溶性アノードを用い、被めっき物をカソードとし、めっき槽からめっき浴をオーバーフロー槽に流出させつつオーバーフロー槽中のめっき浴をめっき槽に返送すると共に、酸化分解槽を設け、酸化分解槽からオーバーフロー槽を介してめっき槽にめっき浴を返送してめっき槽と酸化分解槽との間でめっき浴を循環させ、酸化分解槽中のめっき浴に金属銅を浸漬して金属銅にエアバブリングを施すことにより電気銅めっきの際に生成した分解/変性有機生成物を酸化分解させる処理を施し、被めっき物に銅を連続的に電気めっきする。
【効果】硫酸銅めっき浴中の有機添加剤が分解又は変性して生成した分解/変性有機生成物を効率的に酸化分解させて、分解/変性有機生成物の問題を回避し、めっき成分を効果的に補充しながらめっき皮膜の特性を維持して連続的に硫酸銅電気めっきすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸銅めっき浴を用いて、被めっき物を連続して電気銅めっきする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板やウェハのパターンを形成する際、硫酸銅電気めっきが施される。この硫酸銅めっき浴中には、ブライトナー、レベラー、促進剤、制御剤などと呼ばれる有機添加剤が含まれている。しかし、連続してめっきを行うなかで、当該有機添加剤が分解又は変性することによって(以下、当該有機添加剤が分解又は変性した化合物を分解/変性有機生成物ということがある)、所望とする銅めっき皮膜や銅めっきの充填が得られないことが知られている。また、含リン銅陽極を用いることにより発生する銅スライムがめっき皮膜中に混入することを避けるために、不溶性アノードを用いる硫酸銅めっき方法が採用されているが、連続してめっきする場合、やはり、上記分解/変性有機生成物の問題がある上、めっき浴中の銅イオンや有機添加剤が減少していくため、不足した銅イオンと有機添加剤を補充して管理する必要がある。
【0003】
このような硫酸銅電気めっき方法においては、上記分解/変性有機生成物の問題を回避し、めっき成分を補充しながら、めっき皮膜の特性を維持して連続的に硫酸銅電気めっきすることが課題となっている。硫酸銅電気めっきに関する先行技術としては、次のような先行技術が挙げられる。
【0004】
特開平3−97887号公報(特許文献1)
銅イオンを補給するために、無通電の銅金属を配した別槽でエア攪拌を行っているが、銅イオンの供給と上記分解/変性有機生成物の分解が同じ槽で行われるため、銅イオン濃度の維持と上記分解/変性有機生成物の酸化分解の厳密な管理を両立することができず、めっき皮膜の特性が維持できない。
【0005】
特開2003−55800号公報(特許文献2)
別槽で不溶性アノードを用いて空電解し、不溶性アノードから発生する酸素によって分解/変性有機生成物を酸化分解させて減少させている。しかし、連続してめっきを継続すると分解/変性有機生成物を十分に酸化分解するには時間がかかりすぎて、実用上問題点がある。
【0006】
特開2003−166100号公報(特許文献3)
硫酸銅めっき浴中に酸化還元物質として鉄イオンを含有させ、別槽にて当該めっき浴に銅粉を添加する方法が示されている。しかし、鉄イオンを含有しているため、めっき皮膜中に当該鉄イオンが共析することがあり、めっき皮膜の特性が維持できない。
【0007】
特開2004−143478号公報(特許文献4)
別槽において、エア攪拌を行いめっき浴中の溶存酸素量を高めることで、分解/変性有機生成物を酸化分解している。しかし、エア攪拌だけでは分解/変性有機生成物の酸化分解が不十分である。これに対してエア攪拌を強くすることも可能であるが、エア攪拌が強くなる程、大きな気泡がめっき槽へ返送されることが生じる。この大きな気泡がめっき槽に混入すると、被めっき物に当該気泡が付着し、無めっきなどのめっき不良を引き起こす。
【0008】
特開2005−187869号公報(特許文献5)
別槽において、無通電の銅を配しエア攪拌を行い上記有機添加剤の管理を行うと共に、銅イオン濃度維持は別の銅溶解槽で行い、銅溶解槽で溶解された銅イオンは、上記銅溶解槽に送られている。この場合、銅イオンの不足を補充するために、銅溶解槽中のめっき浴を銅イオンの消費に応じて所定量連続してめっき槽へ返す必要があるため、特に分解/変性有機生成物が蓄積すると、有機添加剤の酸化分解が十分でない状態であってもめっき浴がめっき槽に戻されることとなり、銅イオン濃度の管理と有機添加剤の酸化分解管理の両立ができない。また、分解/変性有機生成物を酸化分解する分解槽が1つであるため、酸化分解処理をめっき浴の連続循環下で実施すると、分解/変性有機生成物の酸化分解が十分できていないうちにめっき浴がめっき槽に戻されることとなる一方、酸化分解処理をバッチ操作で実施すると、分解槽にめっき浴が充填されている場合と、充填されていない場合で、めっき槽の液面の高さが異なることになるため、めっき不良をひき起こす。
【0009】
【特許文献1】特開平3−97887号公報
【特許文献2】特開2003−55800号公報
【特許文献3】特開2003−166100号公報
【特許文献4】特開2004−143478号公報
【特許文献5】特開2005−187869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、プリント基板等の被めっき物に、硫酸銅めっき浴を用いて連続して電気銅めっきする際において、硫酸銅めっき浴を用いて連続電気めっきするときに発生する、有機添加剤が分解又は変性して生成した分解/変性有機生成物を効率的に酸化分解させて、分解/変性有機生成物の問題を回避し、更には、めっきにより消費されためっき浴中の成分を、めっき槽におけるめっき浴の量的、質的変動が少なくなるように効率よく補充しながら、銅めっきの充填不良やボイドなどを可及的に低減し、めっき皮膜の特性を維持して連続して硫酸銅電気めっきすることができる連続電気銅めっき方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記問題を解決するため、有機添加剤を含む硫酸銅めっき浴を収容しためっき槽中で、アノードとして可溶性アノード又は不溶性アノードを用い、被めっき物をカソードとして、上記被めっき物に銅を連続的に電気めっきする方法であって、上記めっき槽からオーバーフローしためっき浴を収容するオーバーフロー槽を上記めっき槽に隣接して設けて、上記めっき槽からめっき浴を上記オーバーフロー槽に流出させつつ該オーバーフロー槽中のめっき浴を上記めっき槽に返送すると共に、上記めっき槽と異なる酸化分解槽を設けて、該酸化分解槽にめっき浴を移送し、更に酸化分解槽から上記オーバーフロー槽を介して上記めっき槽にめっき浴を返送することにより上記めっき槽と上記酸化分解槽との間でめっき浴を循環させ、上記酸化分解槽中のめっき浴に金属銅を浸漬して該金属銅にエアバブリングを施すことにより、上記酸化分解槽において、上記金属銅を銅イオンとして溶解させつつ、電気銅めっきの際に上記有機添加剤が分解又は変性して生成した分解/変性有機生成物を、上記金属銅表面において、上記アノードとカソードとの間に印加される電流から独立した非電解酸化作用によって酸化分解させる処理を施すことを特徴とする連続電気銅めっき方法を提供する。
【0012】
本発明は、有機添加剤を含む硫酸銅めっき浴を用い、アノードとして可溶性アノード又は不溶性アノードを用い、カソードを被めっき物とした連続電気銅めっき方法である。本発明においては、めっき槽の他に、めっき槽と異なる槽として酸化分解槽を設け、酸化分解槽中のめっき浴に金属銅を浸漬して金属銅にエアバブリングを施すことにより、金属銅が銅イオンとして溶解すると共に、電気銅めっきの際の有機添加剤が分解又は変性して生成した分解/変性有機生成物、例えば、上記有機添加剤の不完全酸化反応により分解又は変性して生成した被酸化有機生成物が、浸漬された金属銅の表面において、アノードとカソードとの間に印加される電流から独立した非電解酸化作用によって酸化分解される。これにより、連続電気銅めっきにより生成した分解/変性有機生成物の影響を可及的に排除して連続して安定的にめっき特性を維持して電気銅めっきすることができる。
【0013】
酸化分解槽中のめっき浴に金属銅を浸漬する方法としては、酸化分解槽壁に上記金属銅を固定懸架し、酸化分解槽中へめっき浴が導入されることで浸漬状態となるようにする方法が採用できる。また、酸化分解槽中へめっき浴が導入された後、金属銅をめっき浴中へ浸漬する方法も採用できる。このときの金属銅は無通電状態で浸漬される。金属銅としては、銅板、銅めっき皮膜を有する物、含リン銅ボールなど特に制限はない。分解/変性有機生成物の分解作用を高めるためには、金属銅の浸漬表面積が大きいほどよい。その観点から含リン銅ボールを用いることが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、めっき槽からオーバーフローしためっき浴を収容するオーバーフロー槽をめっき槽に隣接して設けて、めっき槽からめっき浴をオーバーフロー槽に流出させつつオーバーフロー槽中のめっき浴をめっき槽に返送する一方、このオーバーフロー槽に酸化分解槽からのめっき浴を返送することにより、めっき槽と酸化分解槽との間でめっき浴を循環させる。この場合、酸化分解槽における酸化分解処理により、分解/変性有機生成物が分解されて、めっき槽に収容されているめっき浴と比べて液質が変化しためっき浴が、オーバーフロー槽中のめっき浴と予め混合されてからめっき槽に導入されることとなる。そのため、酸化分解処理後のめっき浴がめっき槽に直接返送される場合と比べて、連続的にめっきが実施されているめっき槽中のめっき浴において、返送されためっき浴による濃度勾配を小さくして、めっき浴の質的変動をより小さくすることができる。
【0015】
なお、上記オーバーフロー槽とは、めっき槽からオーバーフローしためっき浴を収容するものをいい、オーバーフロー槽においては、めっき浴液面やその液面に近いめっき浴中に浮遊したごみや塵などを捕集することができる。また、この目的を満たしていれば、めっき槽に直接設置されていても、分離して設けてもよい。しかし、省スペース化を図るためにはめっき槽外壁にめっき槽と一体として形成することが好ましい。
【0016】
本発明においては、上記酸化分解槽を並列する2系列の酸化分解槽で構成し、めっき浴を充填した一方の系列の酸化分解槽において上記酸化分解処理を施す工程と、処理後のめっき浴を上記一方の系列の酸化分解槽から上記オーバーフロー槽に返送しつつ、めっき浴を充填していない上記他方の系列の酸化分解槽に上記オーバーフロー槽からめっき浴を導入して充填する工程とを双方の系列交互に繰り返すことが好ましい。
【0017】
この場合、一方の系列の酸化分解槽において酸化分解処理が施されている間、他方の系列の酸化分解槽にはめっき浴が充填されずに酸化分解処理が施されていないようにして、一方の系列と他の系列とで交互に酸化分解処理を実施するバッチ方式を採用することができ、これにより、各バッチにおいて、十分な酸化分解処理を施して、めっき浴をめっき槽へ戻すことができる。そして、処理後のめっき浴を一方の系列の酸化分解槽からオーバーフロー槽に返送しつつ、めっき浴を充填していない他方の系列の酸化分解槽にオーバーフロー槽からめっき浴を導入して充填することにより、これらの液移動が同時に行われることから、連続的にめっきが実施されているめっき槽中のめっき浴において、その液面高さの変動を抑えることができ、めっき槽におけるめっき浴の量的変動を可及的に排除して、連続して安定的にめっき特性を維持して電気銅めっきをすることができる。
【0018】
この場合、上記酸化分解処理後に上記他方の系列の酸化分解槽にめっき浴を導入する際の上記オーバーフロー槽からのめっき浴の排出量を、上記酸化分解処理後に上記オーバーフロー槽にめっき浴を返送する際の上記一方の系列の酸化分解槽からのめっき浴の導入量より、上記オーバーフロー槽が空にならない範囲で常に多くなるようにめっき浴を移送することが好ましい。これは、酸化分解槽へのめっき浴の導入に要する時間を短くすることができ、より確実に分解/変性有機生成物を分解できる時間を確保することができる。また、上記酸化分解処理後に上記オーバーフロー槽にめっき浴を返送する際の導入量は、上記排出量よりも少なくするが、この場合、めっき浴を返送するための循環ポンプを常時稼動してめっき浴を導入することが好ましい。これは、酸化分解槽への排出量を大きくすることで発生する上記オーバーフロー槽内のめっき浴液面の変動を緩和させるためであり、これによりオーバーフロー槽が空にならないように制御しやすくなる。また、めっき浴を返送するための循環ポンプを常時稼動してめっき浴を導入することによって、めっき槽中のめっき浴の濃度・組成などの局所的な急変動を抑制することができるため、めっき不良を起こさない安定した電気銅めっきも実現することができる。
【0019】
酸化分解処理後に他方の系列の酸化分解槽にめっき浴を導入する際のオーバーフロー槽からのめっき浴の排出量と、酸化分解処理後にオーバーフロー槽にめっき浴を返送する際の一方の系列の酸化分解槽からのめっき浴の導入量とを、ほぼ同量としてめっき浴を移送することもできるが、上記排出量を、上記導入量より常に多くなるようにめっき浴を移送することにより、めっき槽と酸化分解槽との間のめっき浴の移送の際において、めっき槽中のめっき浴の量が相対的に多くなることがなく(即ち、液面の高さが過剰に高くなったり、更にはめっき浴がめっき槽やオーバーフロー槽から溢れてオーバーフロー槽内のめっき浴液面に浮遊するごみ等がめっき槽内へ流出したりすることがなく)、逆に、この移送の際に、めっき槽中のめっき浴の量を相対的に少なくすることができることから、オーバーフロー槽の液面高さの緩衝作用を利用して、より安定的に液面の高さを維持したままで、めっき浴を移送することができる点において有利であり、めっき槽におけるめっき浴の量的変動を更に抑制して、連続して安定的にめっき特性を維持して電気銅めっきをすることができる。
【0020】
なお、酸化分解処理後に他方の系列の酸化分解槽にめっき浴を導入する際のオーバーフロー槽からのめっき浴の排出量(QA)と、酸化分解処理後にオーバーフロー槽にめっき浴を返送する際の一方の系列の酸化分解槽からのめっき浴の導入量(QB)とは、例えば、1<QA/QB≦10とすることができるが、オーバーフロー槽が空にならないようにすることが必要である。上記排出量とは、所定の単位時間あたりのめっき浴の排出量であり、オーバーフロー槽のめっき浴容積に応じて任意に設定できる。オーバーフロー槽を空にしないようにするためには、オーバーフロー槽内のめっき浴容積から常時稼動する循環攪拌で吸引される吸引量を除いた残量範囲内で上記排出量を設定すればよい。一方、オーバーフロー槽内に液面センサを配し、オーバーフロー槽内のめっき浴が所定量になれば酸化分解槽へのめっき浴排出を停止させるようにすることも可能であり、これにより上記排出量を大きく設定してもオーバーフロー槽が空になることを容易に防ぐことができる。
【0021】
また、本発明においては、アノードとして、可溶性アノード又は不溶性アノードを用いることができる。可溶性アノードを用いる場合は、例えば、公知のようにチタン製等のバスケット内に含リン銅ボール等を収容し、該バスケットをPP製等のアノードバッグをかぶせてめっき槽中のめっき浴に浸漬し、通電すればよい。一方、不溶性アノードを用いる場合は、電気銅めっきにより消費されためっき浴中の銅イオンは、アノードからの供給以外の手段により適宜補給することになる。本発明の場合、上述した酸化分解槽における金属銅の溶解により、多少の銅イオンが補給されるが、通常、この補給では十分な量の銅イオンを補給できないため、別途銅イオンを供給する手段を設けて銅イオンを補給することが好ましい。なお、不溶性アノードを用いる場合も、アノードから発生するガスがカソードである被めっき物周辺へ移動しないように、PP製のアノードバッグをかぶせる、カソードとの間にイオン交換膜を設けるなどすることが好ましい。
【0022】
別途銅イオンを供給する手段を設けて銅イオンを補給する場合、上記めっき槽及び酸化分解槽と異なる銅溶解槽を設けて、該銅溶解槽にめっき浴を移送し、更に銅溶解槽から上記オーバーフロー槽を介して上記めっき槽にめっき浴を返送することにより上記めっき槽と上記銅溶解槽との間でめっき浴を循環させ、上記銅溶解槽に酸化銅を投入して溶解させることにより、めっきにより消費されためっき浴の銅イオンを補給することが可能である。
【0023】
この場合、銅溶解槽は、めっき槽とも酸化分解槽とも異なる別の槽として設けられる。そのため、銅イオンの補給と酸化分解処理とを完全に分離して実施して、めっき浴を個別にめっき浴に返送することができ、銅イオンの供給と酸化分解処理を独立して制御することが可能であり、より厳密なめっき浴の成分管理が可能となる。
【0024】
また、オーバーフロー槽に銅溶解槽からのめっき浴を返送することにより、銅溶解槽において銅濃度が上昇しためっき浴が、オーバーフロー槽中のめっき浴と予め混合されてからめっき槽に導入されることとなる。そのため、銅濃度の高いめっき浴がめっき槽に直接返送される場合と比べて、連続的にめっきが実施されているめっき槽中のめっき浴において、返送されためっき浴による濃度勾配を小さくして、めっき浴の質的変動をより小さくすることができる。
【0025】
更に、本発明においては、上記オーバーフロー槽を、めっき浴が相互に移動可能に連通する第1及び第2のオーバーフロー槽で構成し、上記第1のオーバーフロー槽からめっき浴を上記めっき槽へ返送すると共に、上記第2のオーバーフロー槽からめっき浴を上記酸化分解槽に導入して上記酸化分解処理を施し、更に該酸化分解槽から酸化分解処理後のめっき浴を上記第1のオーバーフロー槽に導入して、上記めっき槽と上記酸化分解槽との間でめっき浴を循環させることが好ましい。
【0026】
この場合、オーバーフロー槽を、めっき槽からオーバーフローしためっき浴が流入すると共に、酸化分解処理後のめっき浴が導入されて、これらめっき浴が主にめっき槽へ移送される第1のオーバーフロー槽と、めっき槽からオーバーフローしためっき浴が流入し、該めっき浴が主に酸化分解槽に移送される第2のオーバーフロー槽との2種のオーバーフロー槽で構成される。また、両者はめっき浴が相互に移動可能に連通している。第1及び第2のオーバーフロー槽が連通していることにより、両槽に収容されためっき浴の液面の高さが等しくなり、めっき槽から両オーバーフロー槽に流入するめっき浴の流れを同じくして、オーバーフローの流れとめっき槽中のめっき浴の液面の高さとを安定化することができる。
【0027】
また、この場合、酸化分解槽における酸化分解処理により、分解/変性有機生成物が分解されて、めっき槽に収容されているめっき浴と比べて液質が変化しためっき浴が、第2のオーバーフロー槽中のめっき浴と予め混合されてからめっき槽に導入されることとなる。そのため、酸化分解処理後のめっき浴がめっき槽に直接返送される場合と比べて、連続的にめっきが実施されているめっき槽中のめっき浴において、返送されためっき浴による濃度勾配を小さくして、めっき浴の質的変動をより小さくすることができると共に、酸化分解処理されためっき浴が再び酸化分解槽に戻ることを可及的に少なくして、酸化分解処理されためっき浴を同時進行でめっき槽に返送することができる。
【0028】
即ち、この場合、めっき槽中のめっき浴の液面の高さを安定化することと、酸化分解処理されためっき浴を、めっき槽中のめっき浴の質的安定性を維持しつつ、効率的にめっき槽に返送することとの両者を両立することができる。
【0029】
また、この場合、上記めっき槽及び酸化分解槽と異なる銅溶解槽を設けて、上記第2のオーバーフロー槽から上記銅溶解槽にめっき浴を移送し、更に銅溶解槽から上記第1のオーバーフロー槽にめっき浴を移送することにより上記めっき槽と上記銅溶解槽との間でめっき浴を循環させ、上記銅溶解槽に酸化銅を投入して溶解させることにより、めっきにより消費されためっき浴の銅イオンを補給することが可能である。
【0030】
この場合、銅溶解槽は、めっき槽とも酸化分解槽とも異なる別の槽として設けられる。そのため、銅イオンの補給と酸化分解処理とを完全に分離して実施して、めっき浴を個別にめっき浴に返送することができ、銅イオンの供給と酸化分解処理を独立して制御することが可能であり、より厳密なめっき浴の成分管理が可能となる。
【0031】
また、第1のオーバーフロー槽に銅溶解槽からのめっき浴を返送することにより、銅溶解槽において銅濃度が上昇しためっき浴が、第1のオーバーフロー槽中のめっき浴と予め混合されてからめっき槽に導入されることとなる。そのため、銅濃度の高いめっき浴がめっき槽に直接返送される場合と比べて、連続的にめっきが実施されているめっき槽中のめっき浴において、返送されためっき浴による濃度勾配を小さくして、めっき浴の質的変動をより小さくすることができる。
【0032】
また、連続的に電気銅めっきを実施する上では、有機添加剤等の銅イオン以外の成分も補給される。本発明においては、めっきにより消費されためっき浴の銅以外の成分の補給液を上記第1のオーバーフロー槽に導入して上記銅以外の成分を補給することが好ましい。
【0033】
第1のオーバーフロー槽に濃度の高い補給液を導入することにより、補給液が、第1のオーバーフロー槽中のめっき浴と予め混合されてからめっき槽に導入されることとなる。そのため、濃度の高い補給液がめっき槽に直接返送される場合と比べて、連続的にめっきが実施されているめっき槽中のめっき浴において、導入された補給液による濃度勾配を小さくして、めっき浴の質的変動をより小さくすることができる。
【0034】
更に、上記第1のオーバーフロー槽からのめっき浴の単位時間当たりの排出量を、上記第2のオーバーフロー槽からのめっき浴の単位時間当たりの排出量より常に高くすることが好ましい。
【0035】
第1のオーバーフロー槽には、(a)酸化処理槽から導入される酸化分解処理後のめっき浴、また、(b)銅溶解槽から導入される銅イオンが補給されためっき浴、更には(c)銅イオン以外の補給液が導入されることから、第1のオーバーフロー槽からのめっき浴の単位時間当たりの排出量を、第2のオーバーフロー槽からのめっき浴の単位時間当たりの排出量より常に多くすることにより、これらを含むめっき浴をより選択的に効率よくめっき槽に返送することができると共に、めっき槽に導入されてめっきに供されるべきめっき浴(即ち、上記(a)〜(c))が導入された第1のオーバーフロー槽から第2のオーバーフロー槽へのめっき浴の流出を避けることができる点において有利である。
【0036】
なお、第1のオーバーフロー槽からのめっき浴の単位時間当たりの排出量(QC)と、第2のオーバーフロー槽からのめっき浴の単位時間当たりの排出量(QD)とは、例えば1<QC/QD≦10とすることができる。上記排出量とは、所定の単位時間あたりのめっき浴の排出量であり、オーバーフロー槽のめっき浴容積に応じて任意に設定できる。
【0037】
また、本発明では、酸化分解槽をめっき槽と別に設けているが、めっき槽中に硫酸銅めっき浴に対して不溶性のかごに無通電状態の金属銅ボールを収容し、PP製等のバッグをかぶせて、めっき槽壁に懸垂させてめっき浴中に浸漬し、上記バッグ内で当該金属銅をエアバブリングする酸化分解装置を併用することを妨げない。酸化分解装置としては図6,7に示すようなものが使用できる。
【0038】
図6(A)は、金属銅(金属銅ボール)7が、例えばチタン等のめっき浴中で溶解や腐蝕を引き起こさない材質で形成された網状のかご8に収容された金属銅収容体70を示しており、かご8の上部には、めっき槽の壁に掛合するように形成されたL字状のフック9が設けられている。図6(B)は、4つの金属銅収容体70を1単位として集合させ(集合数は4つに限定されず、1つでも、また2,3又は5つ以上集合させてもよい)、金属銅収容体70間に、2本のエアノズル71(本数は限定されず、1本又は3本以上でもよい)が設けられた酸化分解装置80を示している。なお、図6(B)の場合、4つの金属銅収容体70と2本のエアノズル71は、ポリプロピレンで形成された網状のバッグ72の(この図の場合かご状網)が、固定手段(図示せず)により金属銅収容体70に固定され、4つの金属銅収容体70と2本のエアノズル71が、このバッグ72の内外をめっき浴が移動可能に包囲されて隔離されている。
【0039】
この酸化分解装置80は、例えば図7に示されるように、金属銅収容体70のフック9をめっき槽1の側壁上部に掛合させることにより、めっき槽内に懸垂させて、金属銅7をめっき浴bに浸漬させることができる。そして、エアノズル71から流量制御装置(例えばバルブ、流量計など(いずれも図示せず))を用い、金属銅7の下方から、所定量のエア(空気)を吹出させて、金属銅7の近傍にエア(空気)の気泡を供給して、金属銅7と接触させる。この場合、バッグ72によりその外側に気泡が流出することがほとんどないようになっている。
【0040】
このように酸化分解装置と酸化分解槽を併用することで、より長期にわたってめっき不良を起こすことなく安定して電気銅めっきを施すことができるようになる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、硫酸銅めっき浴中の有機添加剤が分解又は変性して生成した分解/変性有機生成物を効率的に酸化分解させて、分解/変性有機生成物の問題を回避し、また、めっき成分を効果的に補充しながら、めっき皮膜の特性を維持して連続的に硫酸銅電気めっきすることができる。
【発明を実施するための最良の形態及び実施例】
【0042】
以下、本発明について、図面を適宜参照して更に詳述する。
図1〜5は、本発明の連続電気銅めっき方法を好適に適用できるめっき装置の一例を示す概略図である。図中、1はめっき槽であり、21,22,23は各々オーバーフロー槽、3は2つの酸化分解槽31,32からなる酸化分解槽、4は銅溶解槽を示している。
【0043】
めっき槽1にはめっき浴bが収容されると共に、めっき浴b中には、2枚の不溶性アノード11,11が浸漬され、2枚の不溶性アノード11,11の間にカソードである被めっき物(この場合は板状の6枚の基板)wが浸漬されている。この場合、不溶性アノード11,11は、各々アノードバック111,111で覆われている。これら不溶性アノード11,11と被めっき物wは、各々整流器12と接続され、電源装置(図示せず)から電流が印加されるようになっている。また、めっき槽1には被めっき物wの両板面に対向するように、噴流ノズル13が複数配列されており、めっき槽から取り出されためっき浴bが、ポンプP1によりフィルターFを通って被めっき物wの両板面に噴出するようになっている。更に、めっき槽1の底部には、被めっき物wの下方に位置して、その板面方向に沿って、エア攪拌器14が設けられている。
【0044】
また、めっき槽1には3つ(オーバーフロー槽の数は限定されない)のオーバフロー槽21,22,23が隣接して設けられている。このオーバーフロー槽21,22,23には、オーバーフロー槽21,22,23が各々接する部分のめっき槽1の壁(めっき槽1とオーバーフロー槽21,22,23とを分ける壁)の上端を越えてめっき浴bがオーバーフロー槽21,22,23に流入するようになっている。
【0045】
この例においては、オーバーフロー槽として、図4に示されるように、3つのオーバーフロー槽21,22,23が設けられている。オーバーフロー槽21は、図5に示されるように、仕切板210により第1槽(第1のオーバーフロー槽)211及び第2槽(第2のオーバーフロー槽)212に分かれているが、仕切板210はオーバーフロー槽21の内底面に到達しておらず、第1槽211と第2槽212とは連通しており、めっき浴bが相互に移動可能になっている。また、第1槽211からは、その底部から排出されためっき浴bが、ポンプP21によりフィルターFを通ってめっき槽1に返送される(この例の場合は、図4に示されるように、分岐してめっき槽の3箇所に返送される)ようになっており、第2槽212からは、その底部から排出されためっき浴bが、ポンプP3aにより酸化分解槽3に、またポンプP4aにより銅溶解槽4に移送されるようになっている。
【0046】
一方、オーバーフロー槽22,23は、各々1つの槽からなり、それらの底部から排出されためっき浴bが、各々ポンプP22,P23により各々フィルターFを通ってめっき槽1に返送される(この例の場合は、図4に示されるように、各々分岐してめっき槽の3箇所に返送される)ようになっている。なお、3つのオーバーフロー槽21,22,23は連通管20により連通しており(この例の場合、オーバーフロー槽21において、連通管20は第1槽211に接続されている。)、めっき浴bが相互に移動可能になっている。
【0047】
酸化分解槽3は、並列する2系列の酸化分解槽31,32で構成されており、酸化分解槽31,32内には、各々めっき浴に不溶性の材料で形成された網状のかご311,321に収容された金属銅mが、めっき浴bが充填されたときに、めっき浴bに浸漬されるように設けられている。また、酸化分解槽31,32の底部には、金属銅m(かご311,321)の下方に位置して、金属銅mをエアバブリングするためのエアノズル312,322が設けられている。
【0048】
この例の場合、オーバーフロー槽21の第2槽212から酸化分解槽3へのめっき浴の移送路は途中で分岐しており、酸化分解槽31,32には、移送されためっき浴bが、酸化分解槽31にめっき浴を導入する流路に設けられたバルブV31a、及び酸化分解槽32にめっき浴を導入する流路に設けられたV32aの開閉切り替えにより、適宜導入されるようになっている。一方、酸化分解槽31,32から排出されためっき浴bの移送路は途中で合流し、酸化分解槽3からめっき浴bがポンプP3bによりフィルターFを通ってオーバーフロー槽21の第1槽211に移送されるようになっており、酸化分解槽31からめっき浴を排出する流路に設けられたバルブV31b、及び酸化分解槽32からめっき浴を排出する流路に設けられたV32bの開閉切り替えにより、適宜排出されるようになっている。
【0049】
銅溶解槽4は、オーバーフロー槽21の第2槽212からめっき浴bが導入され、銅溶解槽4の底部から排出されためっき浴bは、ポンプP4bによりフィルターFを通ってオーバーフロー槽21の第1槽211に移送されるようになっている。また、この銅溶解槽4には、必要に応じてバルブV4aを開閉して、酸化銅粉pの貯槽40から酸化銅粉pが適宜投入されるようになっており、投入された酸化銅粉pを効率よく溶解させるため、この例の場合は、機械攪拌のための攪拌機及び攪拌羽41と、エアバブリングによる攪拌のためのエアノズル42が設けられている。
【0050】
また、めっき槽1には、めっき槽1に収容されためっき浴b中のめっき成分、特に有機添加剤等の銅イオン以外の成分の濃度をCVS等の方法により分析し、その分析結果に応じて適宜めっき成分を補給するためのオンライン分析補給装置5が設けられており、めっき槽1中のめっき浴bに浸漬した電極51により検出された信号から算出されためっき成分の濃度変化に応じて、めっき成分の補給液が、オーバーフロー槽21の第1槽211に供給されるようになっている。
【0051】
なお、図中、L21,L31,L32,L4は、各々オーバーフロー槽21、酸化分解槽31、酸化分解槽32、銅溶解槽4中のめっき浴bの液面を検知する液面センサである。また、6は、めっき装置の各機器の稼動を制御する制御部であり(各機器との通信線は図示を省略している)、制御部6により、液面センサL21,L31,L32,L4からの液面レベル信号、及び整流器12に設けられた積算電流量計からの信号に応じて、バルブV31a,V32a,V31b,V32b,V4aの開閉、ポンプP3a,P3b,P4a,P4bの起動停止、エアノズル312,322,42のエアバブリングの開始停止、攪拌機41の起動停止、貯槽40からの酸化銅粉pの供給の開始停止が制御できるようになっている。
【0052】
次に、このめっき装置を用いた本発明の連続電気銅めっき方法の一例について説明する。
【0053】
(1)電気銅めっき
建浴時に、まず、めっき槽1、オーバーフロー槽21,22,23、酸化分解槽3のうちの酸化分解槽31(一方の系列の酸化分解槽)、及び銅溶解槽4に、所定量のめっき浴bが収容された状態とする。そして、ポンプP21,P22,P23を起動し、オーバーフロー槽21(第1槽211),22,23からめっき槽1へめっき浴bの返送を開始し、めっき槽1から各オーバーフロー槽21,22,23へめっき浴bをオーバーフローさせて循環させる。なお、ポンプP21は常時稼動させる。また、ポンプP1を起動し、噴流ノズル13からのめっき浴bの噴出を開始させ、エア攪拌器14も稼動させる。更に、ポンプP4bを起動して、銅溶解槽4からオーバーフロー槽21の第1槽211へのめっき浴bの返送を開始すると共に、オーバーフロー槽21の液面センサL21及び銅溶解槽4の液面センサL4からの信号に応じて、ポンプP4aの起動停止、バルブV4aの開閉を制御して、オーバーフロー槽21及び銅溶解槽4の液面レベルを所定範囲に維持しながら、めっき浴bを循環させる。この状態で被めっき物wをめっき槽1のめっき浴bに浸漬して、不溶性アノード11,11と被めっき物wとの間に通電することにより被めっき物wが電気銅めっきされ、適宜被めっき物wを入れ替えながら連続的にめっきが進行する。
【0054】
(2)分解/変性有機生成物の酸化分解
めっきの進行に伴い、電気銅めっき浴に含まれる有機添加剤が分解又は変性することによって、めっき皮膜の特性に悪影響を与える分解/変性有機生成物が増加するため、めっきに供されためっき浴は、適時酸化分解処理される。この場合、まず、酸化分解槽3のうちの酸化分解槽32(他方の系列の酸化分解槽)は空となっており(図1参照)、めっき浴bをオーバーフロー槽21の第2槽212から酸化分解槽32に導入する(図2参照)。この際、バルブV31aを閉、バルブV32aを開とし、オーバーフロー槽21の液面センサL21及び酸化分解槽32の液面センサL32からの信号に応じて、ポンプP3aの起動停止を制御して、オーバーフロー槽21の液面レベルを所定範囲に維持しながら、酸化分解槽32の液面レベルが所定となるまで(充填されるまで)、めっき浴bを導入する(図3参照)。
【0055】
一方、酸化分解槽31には、直前の酸化分解処理サイクルにおいて酸化分解処理されためっき浴(但し、建浴直後は建浴時のめっき浴)bが収容されており(図1参照)、上記酸化分解槽32へのめっき浴bの導入と並行して、酸化分解槽31に収容されているめっき浴bを酸化分解槽31からオーバーフロー槽21の第1槽211に移送する(図2参照)。この際、ポンプP3bは常時稼動して、酸化分解槽31の液面レベルが所定となるまで(空になるまで)めっき浴bを移送する。(図3参照)。
【0056】
次に、めっき浴bが充填された酸化分解槽32には、金属銅mが浸漬されており、この金属銅mにエアノズル322からエアバブリングが開始され、めっき浴bに酸化分解処理が施される。この酸化分解処理においては、金属銅mを銅イオンとして溶解させながら、分解/変性有機生成物を、金属銅mの表面において、アノード(不溶性アノード11)とカソード(被めっき物w)との間に印加される電流から独立した非電解酸化作用によって酸化分解することができる。そして、所定時間(この時間は、例えば、予め処理時間と分解/変性有機生成物の酸化分解の程度を予備試験により確認して、必要な時間を設定すればよい。)酸化分解処理を施した後、エアノズル322からのエアバブリングを停止して、酸化分解処理を停止する。なお、金属銅へのバブリングは、公知の手法を適用することができる。
【0057】
この操作を酸化分解槽3の2つの酸化分解槽31,32で交互に繰り返すことができ、これにより、めっき浴bは酸化分解処理されながら循環する。なお、空になった酸化分解槽31は、次の酸化分解処理サイクルにおいては、他方の系列の酸化分解槽に相当し、バルブV31aを開、バルブV32aを閉とし、オーバーフロー槽21の液面センサL21及び酸化分解槽31の液面センサL31からの信号に応じて、ポンプP3aの起動停止を制御して、オーバーフロー槽21の液面レベルを所定範囲に維持しながら、酸化分解槽31の液面レベルが所定となるまで(充填されるまで)、めっき浴bをオーバーフロー槽21の第2槽212から酸化分解槽31に導入する。
【0058】
一方、酸化分解処理されためっき浴bが収容された酸化分解槽32は、次の酸化分解処理サイクルにおいては、一方の系列の酸化分解槽に相当し、バルブV31bを閉、バルブV32bを開とし、ポンプP3bは常時稼動して、酸化分解槽32の液面レベルが所定となるまで(空になるまで)酸化分解槽32に収容されているめっき浴bを酸化分解槽32からオーバーフロー槽21の第1槽211へ移送する。
【0059】
そして、めっき浴bが充填された酸化分解槽31において、金属銅mにエアノズル312からエアバブリングすることにより、めっき浴bに酸化分解処理が施される。以上のように酸化分解槽を2つの酸化分解槽31,32で交互に繰り返すことにより、めっき槽1のめっき浴bの液面レベルを維持し、めっき槽1において被めっき物wの電気銅めっきを継続したままで、めっき浴bの酸化分解処理を繰り返し実施できる。
【0060】
なお、酸化分解槽3からオーバーフロー槽21(第1槽211)へのめっき浴bの移送の際、ポンプP3bの流量を制御すれば、酸化分解槽3にめっき浴bを導入する際のオーバーフロー槽21の第2槽212からのめっき浴bの排出量が、オーバーフロー槽21の第1槽211にめっき浴bを返送する際の酸化分解槽3からのめっき浴bの導入量より常に多くなるようにめっき浴を移送することが可能である。
【0061】
この例においては、酸化分解槽は2つであるが、これに限定されるものではなく、2系列の酸化分解槽により上記操作が可能であれば、3つ以上の酸化分解槽により相互に、又は1系列に複数の酸化分解槽を設けて酸化分解処理を実施することも可能である。この場合、個々の酸化分解槽の容量は同じにすることが好ましい。また、酸化分解槽を1つとしてもよく、この場合は、例えば、酸化分解槽からオーバーフロー槽21の第1槽211へのめっき浴bの返送路の途中に中間槽を設け、酸化分解処理後のめっき浴bを一端、酸化分解槽から中間槽に移送して酸化分解槽を空にし、次の酸化分解処理サイクルにおいて、オーバーフロー槽21の第2槽212から酸化分解槽にめっき浴bを導入すると共に、中間槽からオーバーフロー槽21の第1槽211にめっき浴bを移送すればよい。
【0062】
更に、この例では、オーバーフロー槽21を第1槽(第1のオーバーフロー槽)211と、第2槽(第2のオーバーフロー槽)212とで構成し、第2槽212から排出しためっき浴bを酸化分解槽3に導入する例を示したが、例えば、めっき槽1中のめっき浴bに液面センサを設けてめっき槽1中のめっき浴bの液面レベルを制御するようにして、めっき槽1から酸化分解槽3に直接めっき浴bを導入することも可能であり、このようにすれば、オーバーフロー槽21を第1槽211と第2槽212の2槽構成とせずに1つの槽とすることも可能である。しかしながら、オーバーフロー槽を上記したように2つの槽で構成したほうが、めっき槽1の液面レベルをより安定させることができる点において有利である。
【0063】
また、この例では、酸化分解槽3からめっき浴bをオーバーフロー槽21の第1槽211に返送する例を示したが、酸化分解槽3から返送されためっき浴bは、オーバーフロー槽21の第1槽211と同等の機能を有する他のオーバーフロー槽(オーバーフロー槽22,23)に返送することも可能である。
【0064】
酸化分解処理のサイクル間隔は、連続(即ち、酸化分解処理終了後、直ちに次のサイクルに移行する)でも、間欠(即ち、酸化分解処理終了後、間隔をおいて次のサイクルに移行する)でもよい。また、酸化分解処理のサイクル間隔を、所定のめっき量(めっき析出量)毎(例えば、めっきの積算電流量を計測して、その所定量毎)に実施するようにしてもよい。
【0065】
(3)銅イオンの補給
めっきの進行に伴い、電気銅めっき浴に含まれる銅イオンの量が減少するため、めっきに供されためっき浴には、適時銅イオンを補給することができる。後述する酸化銅粉pの溶解操作が実施されていないときには、上述したようにオーバーフロー槽21の第2槽212からめっき浴bが導入され、また、銅溶解槽4の底部から排出されためっき浴bは、ポンプP4bによりフィルターFを通ってオーバーフロー槽21の第1槽211に移送されてめっき浴が循環している。まず、ポンプP4bを停止して、銅溶解槽4からオーバーフロー槽21の第1槽211へのめっき浴bの返送を停止し、オーバーフロー槽21の液面センサL21及び銅溶解槽4の液面センサL4からの信号に応じて、ポンプP4aの起動停止、バルブV4aの開閉を制御して、オーバーフロー槽21及び銅溶解槽4の液面レベルが所定範囲となったところで、ポンプP4aを完全停止して、バルブV4aを閉とする。
【0066】
次に、貯槽40から酸化銅粉(通常CuO粉)pを所定量投入し、攪拌機及び攪拌羽41による機械攪拌と、エアノズル42によるエアバグリングにより、酸化銅粉pをめっき浴に溶解させる。所定時間経過して酸化銅粉pが溶解したところで、機械攪拌とエアバブリングを停止して酸化銅粉pの溶解操作を完了させる。
【0067】
その後、再び、ポンプP4bを起動して、銅溶解槽4からオーバーフロー槽21の第1槽211へのめっき浴bの返送を再開すると共に、ポンプP4aを起動待機とし、オーバーフロー槽21の液面センサL21及び銅溶解槽4の液面センサL4からの信号に応じて、ポンプP4aの起動停止、バルブV4aの開閉を制御して、オーバーフロー槽21及び銅溶解槽4の液面レベルを所定範囲に維持しながら、めっき浴bを循環させる。
【0068】
これにより、めっき槽1のめっき浴bの液面レベルを維持し、めっき槽1において被めっき物wの電気銅めっきを継続したままで、めっき浴bへの銅イオンの補給が実施できる。
【0069】
なお、この例では、オーバーフロー槽21を第1槽(第1のオーバーフロー槽)211と、第2槽(第2のオーバーフロー槽)212とで構成し、第2槽212から排出しためっき浴bを銅溶解槽4に導入する例を示したが、例えば、めっき槽1中のめっき浴bに液面センサを設けてめっき槽1中のめっき浴bの液面レベルを制御するようにして、めっき槽1から銅溶解槽4に直接めっき浴bを導入することも可能であり、このようにすれば、オーバーフロー槽21を第1槽211と第2槽212の2槽構成とせずに1つの槽とすることも可能である。しかしながら、オーバーフロー槽を上記したように2つの槽で構成したほうが、めっき槽1の液面レベルをより安定させることができる点において有利である。
【0070】
また、この例では、銅溶解槽4からめっき浴bをオーバーフロー槽21の第1槽211に返送する例を示したが、銅溶解槽4から返送されためっき浴bは、オーバーフロー槽21の第1槽211と同等の機能を有する他のオーバーフロー槽(オーバーフロー槽22,23)に返送することも可能である。更に、酸化分解槽3からのめっき浴bの返送と、銅溶解槽4からのめっき浴bの返送とを異なるオーバーフロー槽にすることもできる。
【0071】
銅イオンの補給間隔は、めっき量(めっき析出量)が積算電流量とほぼ等価であることから、所定のめっき量(めっき析出量)毎(例えば、めっきの積算電流量を計測して、その所定量毎)に実施するようにすればよい。銅イオンの補給間隔を多くするほどめっき浴中の銅イオン濃度の変動は小さいが、銅イオンの補給回数が多くなり、銅溶解槽での酸化銅の溶解操作の時間が十分確保できなくなるおそれがある。逆に銅イオンの補給間隔を少なくすると、銅溶解槽で一度の溶解操作で多量の酸化銅を溶解させる必要があるため、その溶解に時間がかかり、また、めっき槽に返送されるめっき浴の銅イオン濃度と、めっき槽中のめっき浴の銅イオン濃度との差が大きくなるため、めっき槽に返送した際に、銅イオン濃度の急激な変動を与えて、めっき特性に悪影響を与えるおそれがある。銅イオンの補給間隔は、めっき浴の銅イオンの減少の程度を考慮して、0.5〜4時間間隔となるように設定することが好ましい。
【0072】
(4)銅イオン以外の成分の補給
めっきの進行に伴い、電気銅めっき浴に含まれる銅イオン以外の成分も、例えば上述した有機添加剤の変性や分解、被めっき物に付着しためっき浴の持ち出しなどにより減少するため、めっきに供されためっき浴には、適時銅イオン以外の成分も補給することが好ましい。この例においては、オンライン分析補給装置5により、めっき槽1に収容されためっき浴b中のめっき成分、特に有機添加剤等の銅イオン以外の成分の濃度をCVS等の方法により分析し、その分析結果に応じてめっき成分を補給することができ、めっき槽1中のめっき浴bに浸漬した電極51により検出された信号から算出されためっき成分の濃度変化に応じて、めっき成分の補給液を、オーバーフロー槽21の第1槽211に供給することができる。なお、必要に応じて水をそのままで又はめっき液成分の水溶液として補給してもよい。また、銅イオン以外の成分の補給は、上記オンライン分析補給装置5によらず、必要に応じてめっき成分の濃度を公知の手法で分析して適宜補給する方法でもよい。
【0073】
また、この例では、オンライン分析補給装置5から補給液をオーバーフロー槽21の第1槽211に供給する例を示したが、補給液は、オーバーフロー槽21の第1槽211と同等の機能を有する他のオーバーフロー槽(オーバーフロー槽22,23)に供給することも可能である。更に、酸化分解槽3からのめっき浴bの返送及び銅溶解槽4からのめっき浴bの返送と異なるオーバーフロー槽に補給することもできる。
【0074】
上述した(2)分解/変性有機生成物の酸化分解、(3)銅イオンの補給、及び(4)銅イオン以外の成分の補給の各工程は、電気銅めっきを連続的に実施しながら、各々独立して実施することが可能である。
【0075】
なお、ポンプP21の流量を制御すれば、オーバーフロー槽21の第1槽(第1のオーバーフロー槽)211からのめっき浴bの単位時間当たりの排出量が、オーバーフロー槽21の第2槽(第2のオーバーフロー槽)212からのめっき浴bの単位時間当たりの排出量より常に高くなるようにすることが可能である。
【0076】
本発明において、硫酸銅めっき浴は、有機添加剤を含むものであり、有機添加剤としては、電気硫酸銅めっき浴に添加されるブライトナー、レベラー、促進剤、制御剤などと呼ばれる有機添加剤であり、電気硫酸銅めっき浴に添加される従来公知の、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、酸素含有有機化合物などが挙げられる。
【0077】
本発明において対象とする有機添加剤及びその硫酸銅めっき浴の濃度を以下に挙げる。有機添加剤としては公知の物が使用できる。例えば、硫黄系有機物であれば下記(1)〜(3)で示されるものの1種又は複数を0.01〜100mg/L、特に0.1〜50mg/Lで含むことが好ましい。
1−S−(CH2n−(O)p−SO3M …(1)
(R22N−CSS−(CH2n−(CHOH)p−(CH2n−(O)p−SO3
…(2)
2−O−CSS−(CH2n−(CHOH)p−(CH2n−(O)p−SO3
…(3)
(式中、R1は水素原子、又は−(S)m−(CH2n−(O)p−SO3Mで示される基、R2は各々独立して炭素数1〜5のアルキル基、Mは水素原子又はアルカリ金属、mは0又は1、nは1〜8の整数、p=0又は1である。)
【0078】
また、ポリエーテル化合物であれば、−O−を4個以上含有するポリアルキレングリコールを含む化合物が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらのコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどが挙げられる。これらのポリエーテル化合物は、10〜5000mg/L、特に100〜1000mg/Lで含むことが好ましい。
【0079】
更に、窒素含有化合物であれば、ポリエチレンイミン及びその誘導体、ポリビニルイミダゾール及びその誘導体、ポリビニルアルキルイミダゾール及びその誘導体、ビニルピロリドンとビニルアルキルイミダゾール及びその誘導体とのコポリマー、ヤヌスグリーンBなどの染料が挙げられ、0.001〜500mg/L、特に0.01〜100mg/Lで含むことが好ましい。
【0080】
一方、硫酸銅めっき浴としては、例えば、硫酸銅を銅イオン(Cu2+)として10〜65g/L、硫酸を20〜250g/L含むものが好適に用いられる。また、硫酸銅めっき浴は、塩化物イオン(Cl-)を20〜100mg/Lで含むものであることが好ましい。なお、硫酸銅めっき浴のpHは、通常2以下として用いられる。
【0081】
本発明においては、アノードとして可溶性アノード又は不溶性アノードを用い、被めっき物をカソードとして被めっき物上に電気銅めっきが施される。なお、陰極電流密度は、通常0.5〜7A/dm2、特に1〜5A/dm2とすることが好適である。また、めっき温度は、通常20〜30℃が好適である。
【0082】
本発明においては、被めっき物としてプリント基板(プラ・パッケージ基板、半導体パッケージ基板を含む)、ウェハなどの上に配線パターンなどを形成するための電気銅めっきに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の連続電気銅めっき方法を好適に適用できるめっき装置の一例を示す概略図であり、一方の系列の酸化分解槽にめっき浴が充填され、他方の系列の酸化分解槽が空の状態を示す。
【図2】本発明の連続電気銅めっき方法を好適に適用できるめっき装置の一例を示す概略図であり、一方の系列の酸化分解槽からめっき浴が排出され、他方の系列の酸化分解槽にめっき浴が導入されている過程を示す。
【図3】本発明の連続電気銅めっき方法を好適に適用できるめっき装置の一例を示す概略図であり、他方の系列の酸化分解槽にめっき浴が充填され、一方の系列の酸化分解槽が空になった状態を示す。
【図4】図1〜3のめっき装置のめっき槽及びオーバフロー槽の概略平面、並びに酸化分解槽、銅溶解槽及びオンライン分析供給装置の配置を示す図である。
【図5】第1槽及び第2槽を備えるオーバーフロー槽の部分拡大断面図である。
【図6】金属銅をめっき浴に浸漬する手段の一例を示す図であり、(A)は金属銅を収容した金属銅収容体、(B)は金属銅収容体、エアノズル及び気泡拡散防止手段を集合させた酸化分解装置を示す斜視図である。
【図7】酸化分解装置により金属銅をめっき浴に浸漬させた状態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 めっき槽
11 アノード(不溶解性アノード)
111 アノードバック
12 整流器
13 噴流ノズル
14 エア攪拌器
21,22,23 オーバーフロー槽
210 仕切板
211 第1槽(第1のオーバーフロー槽)
212 第2槽(第2のオーバーフロー槽)
20 連通管
3,31,32 酸化分解槽
311,321 かご
312,322 エアノズル
4 銅溶解槽
41 攪拌機及び攪拌羽
42 エアノズル
5 オンライン分析補給装置
51 電極
6 制御部
7 金属銅(金属銅ボール)
70 金属銅収容体
71 エアノズル
72 バッグ
8 かご
80 酸化分解装置
9 フック
F フィルター
P1,P21,P22,P23,P3a,P3b,P4a,P4b ポンプ
V31a,V32a,V31b,V32b,V4a バルブ
b めっき浴
m 金属銅
p 酸化銅粉
w 被めっき物(カソード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機添加剤を含む硫酸銅めっき浴を収容しためっき槽中で、アノードとして可溶性アノード又は不溶性アノードを用い、被めっき物をカソードとして、上記被めっき物に銅を連続的に電気めっきする方法であって、
上記めっき槽からオーバーフローしためっき浴を収容するオーバーフロー槽を上記めっき槽に隣接して設けて、上記めっき槽からめっき浴を上記オーバーフロー槽に流出させつつ該オーバーフロー槽中のめっき浴を上記めっき槽に返送すると共に、上記めっき槽と異なる酸化分解槽を設けて、該酸化分解槽にめっき浴を移送し、更に酸化分解槽から上記オーバーフロー槽を介して上記めっき槽にめっき浴を返送することにより上記めっき槽と上記酸化分解槽との間でめっき浴を循環させ、上記酸化分解槽中のめっき浴に金属銅を浸漬して該金属銅にエアバブリングを施すことにより、上記酸化分解槽において、上記金属銅を銅イオンとして溶解させつつ、電気銅めっきの際に上記有機添加剤が分解又は変性して生成した分解/変性有機生成物を、上記金属銅表面において、上記アノードとカソードとの間に印加される電流から独立した非電解酸化作用によって酸化分解させる処理を施すことを特徴とする連続電気銅めっき方法。
【請求項2】
上記酸化分解槽を並列する2系列の酸化分解槽で構成し、めっき浴を充填した一方の系列の酸化分解槽において上記酸化分解処理を施す工程と、処理後のめっき浴を上記一方の系列の酸化分解槽から上記オーバーフロー槽に返送しつつ、めっき浴を充填していない上記他方の系列の酸化分解槽に上記オーバーフロー槽からめっき浴を導入して充填する工程とを双方の系列交互に繰り返すことを特徴とする請求項1記載の連続電気銅めっき方法。
【請求項3】
上記酸化分解処理後に上記他方の系列の酸化分解槽にめっき浴を導入する際の上記オーバーフロー槽からのめっき浴の排出量を、上記酸化分解処理後に上記オーバーフロー槽にめっき浴を返送する際の上記一方の系列の酸化分解槽からのめっき浴の導入量より、上記オーバーフロー槽が空にならない範囲で常に多くなるようにめっき浴を移送することを特徴とする請求項2記載の連続電気銅めっき方法。
【請求項4】
上記めっき槽及び酸化分解槽と異なる銅溶解槽を設けて、該銅溶解槽にめっき浴を移送し、更に銅溶解槽から上記オーバーフロー槽を介して上記めっき槽にめっき浴を返送することにより上記めっき槽と上記銅溶解槽との間でめっき浴を循環させ、上記銅溶解槽に酸化銅を投入して溶解させることにより、めっきにより消費されためっき浴の銅イオンを補給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の連続電気銅めっき方法。
【請求項5】
上記オーバーフロー槽を、めっき浴が相互に移動可能に連通する第1及び第2のオーバーフロー槽で構成し、上記第1のオーバーフロー槽からめっき浴を上記めっき槽へ返送すると共に、上記第2のオーバーフロー槽からめっき浴を上記酸化分解槽に導入して上記酸化分解処理を施し、更に該酸化分解槽から酸化分解処理後のめっき浴を上記第1のオーバーフロー槽に導入して、上記めっき槽と上記酸化分解槽との間でめっき浴を循環させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の連続電気銅めっき方法。
【請求項6】
上記めっき槽及び酸化分解槽と異なる銅溶解槽を設けて、上記第2のオーバーフロー槽から上記銅溶解槽にめっき浴を移送し、更に銅溶解槽から上記第1のオーバーフロー槽にめっき浴を移送することにより上記めっき槽と上記銅溶解槽との間でめっき浴を循環させ、上記銅溶解槽に酸化銅を投入して溶解させることにより、めっきにより消費されためっき浴の銅イオンを補給することを特徴とする請求項5記載の連続電気銅めっき方法。
【請求項7】
更に、めっきにより消費されためっき浴の銅以外の成分の補給液を上記第1のオーバーフロー槽に導入して上記銅以外の成分を補給することを特徴とする請求項5又は6記載の連続電気銅めっき方法。
【請求項8】
上記第1のオーバーフロー槽からのめっき浴の単位時間当たりの排出量を、上記第2のオーバーフロー槽からのめっき浴の単位時間当たりの排出量より常に高くすることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の連続電気銅めっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−30118(P2009−30118A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195827(P2007−195827)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000189327)上村工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】