説明

遊戯具

【課題】 使用者に適した運動量の設定ができ、そして収容スペースが小さい遊戯具を提供すること。
【解決手段】 各々が電気的エネルギーの付与により発光する光源と、この光源の上に配設された、異物の接触を感知する透明もしくは半透明のセンサとからなる複数個の点灯ユニット、これらの複数個の点灯ユニットの光源に電気的に接続されて、光源に選択的に電気的エネルギーを付与して、各々の光源を予め定められた順に点灯させる駆動装置、そして上記の複数個の点灯ユニットのセンサに電気的に接続されて、各々のセンサの作動を検出して、点灯させた光源とセンサの作動との一致を検出し、判定する判定手段を備えてなる遊戯具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者の運動能力を増進させるために有利に用いることができる遊戯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病気、怪我あるいは高齢などが原因で低下した運動機能を増進させるために各種の運動器具が用いられている。運動機能がある程度以上に回復するまでは運動の際に大きな疲労や痛みを伴うことが多いため、近年では、運動を継続的に行ない易いゲーム性を有する運動器具(リハビリ遊具とも呼ばれている)が開発されている。
【0003】
非特許文献1には、キャスター付きのフレームの上部に取り付けられたボード上に、十個の照光スイッチが埋設されたボードゲーム機が開示されている。このボードゲーム機は、点灯したスイッチを所定の時間内に幾つ押せるかというゲームを通して、視覚や上肢の協調運動を促進させるトレーニングを可能とし、老人施設や保健センターなどで有利に使用できるとされている。
【非特許文献1】“リハビリ遊具”、[online]、平成16年9月24日、ミナト医科学株式会社、[平成17年1月31日検索]、インターネット<URL : http://www.minato-med.co.jp/seihin2/TOY2.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のボードゲーム機により、例えば、高齢者の運動機能を増進させることができる。しかしながら、高齢者の運動機能の低下の程度はまちまちであり、各々の高齢者の持つ運動能力に応じて、適当な運動量を設定することは難しい。またこのようなボードゲーム機は、使用していない場合に置き場所に困るという別の問題も有している。
【0005】
本発明の課題は、使用者に適した運動量の設定ができ、そして保管に必要なスペースが小さい遊戯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、各々が電気的エネルギーの付与により点灯する光源と、この光源の上に配設された、異物の接触を感知する透明もしくは半透明のセンサとからなる複数個の点灯ユニット、これらの複数個の点灯ユニットの光源に電気的に接続されて、光源に選択的に電気的エネルギーを付与して、各々の光源を予め定められた順に点灯させる駆動装置、そして上記の複数個の点灯ユニットのセンサに電気的に接続されて、各々のセンサの作動を検出して、点灯させた光源とセンサの作動との一致を検出し、判定する判定手段を備えてなる遊戯具にある。
【0007】
本発明の遊戯具の好ましい態様は、下記の通りである。
(1)複数個の点灯ユニットが、駆動装置が発生する電気的エネルギーを光源に伝える電気配線とセンサの作動を判定手段に伝える電気配線とを介して格子状に連結されている。
(2)複数個の点灯ユニットが、駆動装置が発生する電気的エネルギーを光源に伝える電気配線とセンサの作動を判定手段に伝える電気配線とを介して直線状に連結されている。
(3)各々の光源が発光ダイオードもしくはエレクトロルミネッセンス素子である。
(4)各々のセンサが、表面に電極層を備える下側基板と、表面に電極層を備える可撓性の上側基板とを、各々の電極層が対向するようにしてスペーサを介して積層してなる透明もしくは半透明のスイッチである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊戯具は、その複数個の点灯ユニットの配置(例えば、隣接する点灯ユニットの間隔)を、使用者(例えば、高齢者)がその運動能力に応じた適当な運動量で運動することができるように容易に変更することができる。また本発明の遊戯具は、使用をしていない場合に複数個の点灯ユニットを積み重ねておくことができるので、保管に必要なスペースが小さくて良い。このため本発明の遊戯具は、特に老人ホームや家庭などのスペースに限りがある場所において、高齢者の運動能力を増進させるために有利に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の遊戯具を、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の遊戯具の構成例を示す斜視図である。
【0010】
図1の遊戯具10は、各々が電気的エネルギーの付与により点灯する光源と、この光源の上に配設された、異物の接触を感知する透明なセンサとからなる複数個の点灯ユニット(例えば、点灯ユニット11から点灯ユニット19までの合計で九個の点灯ユニット)、これらの複数個の点灯ユニットの光源に電気的に接続されて、光源に選択的に電気的エネルギーを付与して、各々の光源を予め定められた順に点灯させる駆動装置21、そして上記の複数個の点灯ユニットのセンサに電気的に接続されて、各々のセンサの作動を検出して、点灯させた光源とセンサの作動との一致を検出し、判定する判定手段などから構成されている。図1の遊戯具10の駆動装置21には、上記の判定手段が内蔵されている。
【0011】
複数個の点灯ユニットのそれぞれは、例えば、その上面が一辺が120cm程度の略正方形の形状にされ、そして厚みが6mm程度に設定される。これらの点灯ユニットは、例えば、床やテーブルなどの上に並べて配置される。
【0012】
そして図1に示すように、遊戯具10の九個の点灯ユニットは、連結ケーブル51から連結ケーブル59まで、そして連結ケーブル61から連結ケーブル69までを用いて格子状に連結されている。そして各々の連結ケーブルは、それぞれ二本の電気配線を内包しており、そのうちの一方は駆動装置21が発生する電気的エネルギーを光源に伝える電気配線であり、他方はセンサの作動を駆動装置21に内蔵されている判定手段に伝える電気配線である。すなわち複数個の点灯ユニットは、駆動装置が発生する電気的エネルギーを光源に伝える電気配線(以下、駆動用電気配線という)と、センサの作動を判定手段に伝える電気配線(以下、センサ用電気配線という)とを介して格子状に連結されている。
【0013】
上記の連結ケーブル51の駆動用電気配線は、点灯ユニット11を介して連結ケーブル52の駆動用電気配線に、そして点灯ユニット12を介して連結ケーブル53の駆動用電気配線に電気的に接続されている。同様に、連結ケーブル54の駆動用電気配線は、連結ケーブル55の駆動用電気配線と連結ケーブル56の駆動用電気配線とに電気的に接続され、そして連結ケーブル57の駆動用電気配線は、連結ケーブル58の駆動用電気配線と連結ケーブル59の駆動用電気配線とに電気的に接続されている。
【0014】
また、駆動用電気配線の場合と同様に、連結ケーブル51のセンサ用電気配線は、連結ケーブル52のセンサ用電気配線と連結ケーブル53のセンサ用電気配線とに電気的に接続され、連結ケーブル54のセンサ用電気配線は、連結ケーブル55のセンサ用電気配線と連結ケーブル56のセンサ用電気配線とに電気的に接続され、そして連結ケーブル57のセンサ用電気配線は、連結ケーブル58のセンサ用電気配線と連結ケーブル59のセンサ用電気配線とに電気的に接続されている。
【0015】
一方、連結ケーブル61の駆動用電気配線は、点灯ユニット11を介して連結ケーブル64の駆動用電気配線に、そして点灯ユニット14を介して連結ケーブル67の駆動用電気配線に電気的に接続されている。同様に、連結ケーブル62の駆動用電気配線は、連結ケーブル65の駆動用電気配線と連結ケーブル68の駆動用電気配線とに電気的に接続され、そして連結ケーブル63の駆動用電気配線は、連結ケーブル66の駆動用電気配線と連結ケーブル69の駆動用電気配線とに電気的に接続されている。
【0016】
また、駆動用電気配線の場合と同様に、連結ケーブル61のセンサ用電気配線は、連結ケーブル64のセンサ用電気配線と連結ケーブル67のセンサ用電気配線とに電気的に接続され、連結ケーブル62のセンサ用電気配線は、連結ケーブル65のセンサ用電気配線と連結ケーブル68のセンサ用電気配線とに電気的に接続され、そして連結ケーブル63のセンサ用電気配線は、連結ケーブル66のセンサ用電気配線と連結ケーブル69のセンサ用電気配線とに電気的に接続されている。
【0017】
そして駆動装置21により、例えば、連結ケーブル51及び連結ケーブル61が持つ合計で四本の電気配線を用いて、そのうちの合計で二本の駆動用電気配線の間に電気的エネルギーを供給すると、点灯ユニット11の内部にある光源は電気的エネルギーが付与されて点灯し、そして点灯ユニット11の発光領域20が発光する。一方、上記の四本の電気配線のうち、残りの二本のセンサ用電気配線の間に電気的エネルギーを供給すると、点灯ユニット11の内部にあるセンサに電気的エネルギーが付与される。同様にして駆動装置21により、例えば、連結ケーブル54及び連結ケーブル62を用いて電気的エネルギーを供給すると、点灯ユニット15の発光領域20が発光し、そして点灯ユニット15の内部にあるセンサに電気的エネルギーが付与される。
【0018】
このように、図1の遊戯具10の駆動装置21は、電気的エネルギーを供給する連結ケーブルを選定して、複数個の点灯ユニットの光源に選択的に電気的エネルギーを付与することを繰り返すことにより、各々の光源を予め定められた順に点灯させる。一方、光源を点灯させた際には、各々のセンサに二本のセンサ用電気配線を介して電気的エネルギーが付与される。そして、使用者が光源ユニットの表面を手で押すなどすると、前記のセンサが手(異物)の接触を感知して作動して、センサ用電気配線間の電圧の値(あるいはセンサ用電気配線に流れる電流の値)が変動する。そして駆動装置21に内蔵されている判定手段は、前記の電圧値(あるいは電流値)の変動量からセンサの作動を検出し、点灯させた光源とセンサの作動との一致を検出し、そして判定を行なう。
【0019】
次に、図1の遊戯具10の動作及び使用方法(遊び方)について説明する。先ず、各々の点灯ユニットを床やテーブルなどの上に並べて配置する。そして並べた九個の点灯ユニットを、連結ケーブルを用いて駆動装置21に電気的に接続する。
【0020】
そして駆動装置21を作動させると、複数個の点灯ユニットの光源が予め定められた順に点灯し、これに従い点灯ユニットの発光領域20が順に発光する。複数個の点灯ユニットの光源を点灯させる順番に特に制限はないが、例えば、光源を無作為に一個ずつ(あるいは点灯ユニットの総個数以下の複数個ずつ)順に点灯させていく。遊戯具は、使用者や管理者が、遊戯具を使用する前に光源を点灯させる順番を決めて、この順番を駆動装置に入力、そして記憶できるように構成しても良い。
【0021】
そして遊戯具10を使用する者、例えば、高齢者は、光源が点灯している点灯ユニットの上面にある発光領域20を順に手(あるいは棒などの道具)で押していく。この際に、光源が点灯している間に点灯ユニットの発光領域が押された場合には、この点灯ユニットのセンサが異物(手あるいは棒などの道具)の接触を感知して作動する。そして駆動装置21に内蔵されている判定手段は、例えば、点灯ユニットの光源が点灯している間にセンサが作動したか否か、すなわち点灯させた光源とセンサの作動との一致を検出する。
【0022】
判定手段は、例えば、点灯させた光源とセンサの作動とが一致している場合には正解、そして不一致の場合には不正解と判定して、表示装置(図示は略する)に正解した回数(あるいは得点)を表示するか、あるいは音を鳴らすなどして使用者に正解及び不正解のいずれであったかを示す。
【0023】
このような構成の遊戯具10を用いることにより、使用者(例えば、高齢者)はその運動能力に応じた適当な運動量で運動することができるようになる。例えば、使用者が運動能力が低い高齢者の場合には、複数個の点灯ユニットを密集させて配置して、高齢者があまり動かなくとも光源ユニットを押せるようにしておく、すなわち高齢者の運動量は小さくなる。そして遊戯具の使用を継続することにより高齢者の運動能力が高められた場合には、複数個の点灯ユニットを互いの間隔を広げて配置して、高齢者がある程度は動かなければ光源ユニットを押せないようにしておく、すなわち高齢者の運動量は大きくなる。なお、複数個の点灯ユニットの隣接する点灯ユニットの間隔は、連結ケーブルを長さの異なるものと交換して調節するか、あるいは予め長さの長い連結ケーブルで連結しておき、隣接する点灯ユニットを置く位置を変えて調節すれば良い。
【0024】
また、この遊戯具10は、使用していない時には連結ケーブルを取り外して、複数個の点灯ユニットを積み重ねておくことができるので保管に必要なスペースが小さい。
【0025】
このように、本発明の遊戯具は、使用者に適した運動量の設定ができ、そして保管に必要なスペースが小さいため、特に老人ホームや家庭などのスペースに限りがある場所において、高齢者の運動能力を増進させるために有利に用いることができる。
【0026】
次に、図1の遊戯具10が備える点灯ユニットの内部構造について説明する。遊戯具10が備える九個の点灯ユニットとしては、互いに同一の構成のものが用いられている。以下、点灯ユニット15を代表例として、その内部構造について説明する。
【0027】
図2は、図1に記入した切断II−II線に沿って切断した点灯ユニット15の断面図である。点灯ユニット15は、基台22、基台22の上に配設されたプリント配線フィルム23、プリント配線フィルム23の表面に装着された光源24、プリント配線フィルム23の上に積層されたスペーサ25及び拡散板26、拡散板26の表面に接着層27を介して固定されている、光源24の上方に配置された透明なセンサ28、そして透明センサ28の表面にフィルムスペーサ29を介して積層された保護フィルム30などから構成されており、その総厚が約6.3mmになるように設計されている。
【0028】
基台22は、例えば、ポリエステル樹脂から形成され、その厚みは1mm程度に設定されている。この基台22の上に配設されるプリント配線フィルム23としては、例えば、厚みが100μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、銅ペーストなどを印刷して形成した薄膜状の電気配線が付設されたものが用いられる。そしてプリント配線フィルム23の表面には光源24が装着され、この光源はプリント配線フィルムが備える電気配線に電気的に接続されている。
【0029】
光源24としては、例えば、小型の発光ダイオード(チップLEDとも呼ばれている)が用いられている。光源としては、上記の発光ダイオードの他に、小型の電球、あるいはエレクトロルミネッセンス素子(特に、有機エレクトロルミネッセンス素子)などを用いることができる。小サイズで低消費電力であり、そして発光色の選定が容易であることから、光源としては、発光ダイオードもしくはエレクトロルミネッセンス素子を用いることが好ましい。
【0030】
プリント配線フィルム23の上に積層されたスペーサ25は、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂から形成され、その厚みは4mm程度に設定されている。スペーサ25の上に積層された拡散板26としては、例えば、内部にガラスビーズが分散されている、厚みが500μm程度のポリカーボネート樹脂フィルムが用いられている。拡散板26は、光源24として用いる発光ダイオードの発光を拡散して、点灯ユニット15の発光領域20における発光の輝度を均一にするために用いられている。そして拡散板26の表面には、例えば、ポリエステル樹脂から形成されている、厚みが75μm程度の接着層27を介して、透明なセンサ28が固定されている。
【0031】
透明センサ28としては、表面に電極層31を備える下側基板32と、表面に電極層33を備える可撓性の上側基板34とが、各々の電極層が対向するようにしてスペーサ35を介して積層された構成の透明なスイッチが用いられている。
【0032】
透明センサ28の下側基板32及び上側基板34のそれぞれとしては、厚みが125μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられている。またスペーサ35は、厚みが75μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムから形成されている。
【0033】
また、電極層31、33のそれぞれは、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、あるいは亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)などの透明導電性材料から形成される。各々の電極層は、例えば、スパッタ法、あるいは印刷法により形成することができる。また、各々の電極層としては、点灯ユニット15の発光領域20にて光源24の発光を視認することができれば、例えば、銅や銀などの金属薄膜を網状のパターンで形成した電極層を用いることもできる。なお、電極層31の表面に付設されたドットスペーサ36は、例えば、ポリエステル樹脂から形成され、透明スイッチが不用意に作動することを防止するためのものである。
【0034】
また、点灯ユニットのセンサとしては、半透明のセンサ、例えば、光源の発光色を変換するために、上記の透明スイッチの上側基板あるいは下側基板として着色半透明のフィルムが用いられた半透明のスイッチ、あるいは光源の発光を拡散させるために、上記の透明スイッチの上側基板あるいは下側基板としてガラスビーズが分散された乳白色のフィルムが用いられた半透明のスイッチを用いることもできる。
【0035】
そして透明センサ28の表面には、例えば、厚みが75mm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムから形成されたフィルムスペーサ29、そして厚みが125mm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムから形成された保護フィルム30が積層されている。保護フィルム30は、点灯ユニット15の発光領域20を設定するために、その裏面の上記発光領域20に対応する領域以外の領域が、例えば、印刷により黒色に着色されている。
【0036】
この保護フィルム30の表面もしくは裏面の発光領域20に対応する領域に、ガラスビーズを含有する透明なインキを印刷すると、光源が発生した光をさらに拡散させ、発光領域において更に均一な輝度の発光が得られるようになる。また、保護フィルム30として、例えば、光源の発光色を変換する着色半透明のフィルム、あるいは光源の発光を拡散させる、ガラスビーズが分散された乳白色のフィルムを用いることもできる。
【0037】
一方、基台22の表面に配設されたプリント配線フィルム23には、連結ケーブル65の端部に備えられた接続プラグを差し込むためのジャック65c、そして連結ケーブル68の端部に備えられた接続プラグを差し込むためのジャック68cが備えられている。
【0038】
連結ケーブル65の駆動用電気配線は、リード用電気配線65a、そしてプリント配線フィルム23の表面にプリントされた電気配線を介して光源24として用いる発光ダイオードの正極に電気的に接続されている。また、連結ケーブル65の駆動用電気配線は、リード用電気配線65a、そしてプリント配線フィルム23の表面にプリントされた電気配線、そしてリード用電気配線68aを介して連結ケーブル68の駆動用電気配線に電気的に接続されている。
【0039】
同様に、図1に示す連結ケーブル55の駆動用電気配線は、リード用電気配線やプリント配線フィルムの電気配線などを介して、点灯ユニット15の光源の負極と連結ケーブル56の駆動用電気配線とにそれぞれ電気的に接続されている。
【0040】
一方、図2示すように、連結ケーブル65のセンサ用電気配線は、リード用電気配線65b、そしてプリント配線フィルム23の表面にプリントされた電気配線、そしてリード用電気配線28bを介してセンサ28の電極層31に電気的に接続されている。また、連結ケーブル65のセンサ用電気配線は、リード用電気配線65b、そしてプリント配線フィルム23の表面にプリントされた電気配線、そしてリード用の電気配線68bを介して連結ケーブル68のセンサ用電気配線に電気的に接続されている。
【0041】
同様に、図1に示す連結ケーブル55のセンサ用電気配線は、リード用電気配線やプリント配線フィルムの電気配線などを介して、点灯ユニット15のセンサの電極(図2:33)と連結ケーブル56のセンサ用電気配線に電気的に接続されている。
【0042】
上記のように、遊戯具10の使用者が図2の点灯ユニット15の発光領域20を押すと、透明センサ28の上側基板34が湾曲して電極層31及び電極層33とが互いに接触して電気的に接続される。これにより電極層31及び電極層33の間の電圧の値(あるいは電極層を流れる電流の値)が変動する。上記のように、この電圧値(あるいは電流値)の変動量は、連結ケーブルや点灯ユニットを介して駆動装置21に内蔵されている判定手段へと伝えられる。
【0043】
図3は、点灯ユニットの別の構成例を示す断面図である。図3の点灯ユニット40の構成は、プリント配線フィルム23の表面に複数個の光源41が環状に配置されて装着され、その中央に、例えば、アクリル板から形成された導光板42が設置されていること以外は図2の点灯ユニット10と同様である。導光板42を用いると、点灯ユニット40の発光領域20の内側をより均一な輝度で発光させることができる。
【0044】
図4は、点灯ユニットのさらに別の構成例を示す断面図である。図4の点灯ユニット50の光源43としては、例えば、ガラス基板などの透明基板44の表面に、錫ドープ酸化インジウムから形成された透明陽電極層45、NPD(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン)から形成された正孔輸送層46、Alq3 (トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)から形成された有機発光材料層47、そしてMg−Ag合金から形成された陰電極層48を積層し、そして封止用のガラスキャップ49をアクリル樹脂などの低透湿性の樹脂を用いて接着して作製された有機エレクトロルミネッセンス素子が用いられている。有機エレクトロルミネッセンス素子は、その透明基板44の側の面が接着層27を介して透明センサ28に接着され固定されている。
【0045】
図4の点灯ユニット50の構成は、光源43として有機エレクトロルミネッセンス素子が用いられ、そして拡散板(図2:26)が用いられていないこと以外は図2の点灯ユニット15と同様である。
【0046】
光源43として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いると、点灯ユニット50の厚みを薄くすることができ、また発光領域20の内側をより均一な輝度で発光させることができる。
【0047】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば、携帯型電話機の表示装置を構成する発光素子として既に知られているものであり、その構成や材料については数多くの文献(例、「有機LED素子の残された研究課題と実用化戦略」(ぶんしん出版、1999年)及び「光・電子機能有機材料ハンドブック」(朝倉書店、1997年)など)に記載されているため、詳しい説明は省略する。
【0048】
図5は、本発明の遊戯具の別の構成例を示す平面図である。図5の遊戯具70は、三個の点灯ユニット71、判定手段を内蔵する駆動装置72、そしてこれらを連結する連結ケーブル73から構成されている。このように本発明の遊戯具においては、複数個の点灯ユニットが、駆動装置が発生する電気的エネルギーを光源に伝える電気配線と、センサの作動を判定手段に伝える電気配線とを介して直線状に連結されていても良い。また、図5に示すように、遊戯具70には、連結ケーブル73aにより直線状に連結された複数個の点灯ユニット71aがさらに備えられていても良い。
【0049】
遊戯具を、その複数個の点灯ユニットが直線状に連結される構成にすると、複数個の点灯ユニットを連結ケーブルを用いて連結する作業が容易となる。
【0050】
このような遊戯具の複数個の点灯ユニットの光源に、駆動装置により選択的に電気的エネルギーを供給するためには、例えば、各々の点灯ユニットを、各点灯ユニットに固有の番号を記憶する記憶手段と、そして駆動装置から点灯させる光源を備える光源ユニットの番号に対応する電気信号が送られてきた際に、それが自己の持つ固有の番号と一致している場合に自己の光源を点灯させる駆動補助回路とを内蔵した構成にすれば良い。
【0051】
上記のように、遊戯具をその複数個の点灯ユニットが直線状に連結される構成とすると、図6の遊戯具80に示すように複数個の点灯ユニット71を二次元的に配置したり、あるいは図7の遊戯具90に示すように複数個の点灯ユニット71を弧状に配置したりすることができるようになるなど、使用者の運動能力に応じて複数個の点灯ユニットの配置を変更することが容易になる。
【0052】
なお、本発明の遊戯具において、複数個の点灯ユニットの光源と駆動装置との電気的な接続、あるいは複数個の点灯ユニットのセンサと判定手段との電気的な接続には、無線による接続が含まれる。無線による電磁波を用いて各々の点灯ユニットの光源に電気的エネルギーを付与したり、無線により各々の点灯ユニットのセンサの作動を検出したりすると連結ケーブルが不要になり、また複数個の点灯ユニットの配置を使用者の運動能力に合わせて変更することが極めて容易になる。
【0053】
また、各々の点灯ユニットの内部に、光源として互いに異なる色で発光する複数個の発光ダイオードもしくは有機エレクトロルミネッセンス素子を配設して、各々の点灯ユニットの発光領域を任意の色に発光させることもできる。これによって、例えば、遊戯具の各々の点灯ユニットの発光領域を、例えば、赤色、緑色、あるいは青色に発光させ、そして赤色に点灯した場合にのみ発光領域を押すというような使用方法(遊び方)も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の遊戯具の構成例を示す斜視図である。
【図2】図1に記入した切断II−II線に沿って切断した、遊戯具が備える点灯ユニット15の断面図である。
【図3】本発明の遊戯具が備える点灯ユニットの別の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の遊戯具が備える点灯ユニットのさらに別の構成例を示す断面図である。
【図5】本発明の遊戯具の別の構成例を示す平面図である。
【図6】本発明の遊戯具のさらに別の構成例を示す平面図である。
【図7】本発明の遊戯具のさらに別の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 遊戯具
11、12、13、14、15、16、17、18、19 点灯ユニット
20 発光領域
21 判定手段付き駆動装置
22 基台
23 プリント配線フィルム
24 光源
25 スペーサ
26 拡散板
27 接着層
28 透明センサ
28a、28b リード用電気配線
29 フィルムスペーサ
30 保護フィルム
31、33 電極層
32 下側基板
34 上側基板
35 スペーサ
36 ドットスペーサ
40 点灯ユニット
41 光源
42 導光板
43 光源
44 透明基板
45 透明陽電極層
46 正孔輸送層
47 有機発光材料層
48 陰電極層
49 封止用ガラスキャップ
50 点灯ユニット
51、52、53、54、55、56、57、58、59 連結ケーブル
61、62、63、64、65、66、67、68、69 連結ケーブル
65a、65b リード用電気配線
65c ジャック
68a、68b リード用電気配線
68c ジャック
70、80、90 遊戯具
71、71a 点灯ユニット
72 駆動装置
73、73a 連結ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が電気的エネルギーの付与により点灯する光源と該光源の上に配設された、異物の接触を感知する透明もしくは半透明のセンサとからなる複数個の点灯ユニット、該複数個の点灯ユニットの光源に電気的に接続されて、該光源に選択的に電気的エネルギーを付与して、各々の光源を予め定められた順に点灯させる駆動装置、そして該複数個の点灯ユニットのセンサに電気的に接続されて、各々のセンサの作動を検出して、点灯させた光源とセンサの作動との一致を検出し、判定する判定手段を備えてなる遊戯具。
【請求項2】
複数個の点灯ユニットが、駆動装置が発生する電気エネルギーを光源に伝える電気配線と、センサの作動を判定手段に伝える電気配線とを介して格子状に連結されている請求項1に記載の遊戯具。
【請求項3】
複数個の点灯ユニットが、駆動装置が発生する電気エネルギーを光源に伝える電気配線と、センサの作動を判定手段に伝える電気配線とを介して直線状に連結されている請求項1に記載の遊戯具。
【請求項4】
各々の光源が発光ダイオードもしくはエレクトロルミネッセンス素子である請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の遊戯具。
【請求項5】
各々のセンサが、表面に電極層を備える下側基板と、表面に電極層を備える可撓性の上側基板とを、各々の電極層が対向するようにしてスペーサを介して積層してなる透明もしくは半透明のスイッチである請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の遊戯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−263005(P2006−263005A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82455(P2005−82455)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(391043974)株式会社ユー・コーポレーション (12)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】