説明

遊技システム、及び、遊技媒体貸出装置

【課題】遊技機が特別遊技状態である場合に遊技媒体を速やかに貸し出して遊技媒体の不足を回避し、好機を逸することなく遊技を継続できるようにし、遊技媒体の対価を確実に徴収できるようにする。
【解決手段】パチンコ機5と遊技球貸出装置65とを通信可能に接続した遊技システム15であって、パチンコ機5は、遊技中の所定の抽選契機成立ごとに当落抽選を行い、抽選結果に基づいて通常の遊技状態と特別遊技状態とを遷移する一方、抽選結果に応じて獲得された遊技球を遊技球貸出装置65に移行し、遊技球貸出装置65は、パチンコ機5が特別遊技状態であり、かつ、発射可能球数が所定以下の場合に、遊技球の貸出の対価を徴収することなく遊技球をパチンコ機5に貸し出す前借り処理を行い、前借り処理の後にパチンコ機5から遊技球が移行された場合に、移行された遊技球によって前借り玉数を精算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機を備えた遊技システム、及び、この遊技システムが有する遊技媒体貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の抽選契機が成立するごとに当落抽選を行い、当選により遊技者が遊技媒体を増やせるようにした遊技機が知られている。この種の遊技機として、抽選の結果によって、遊技媒体を獲得しやすい特別遊技状態に移行するものがある。特別遊技状態では、例えば変動入賞装置の大入賞口が開かれ、入賞の機会が増加し、賞品としての遊技媒体を獲得しやすくなる(例えば、特許文献1参照)。
ところで、遊技機においては、遊技に使用可能な遊技媒体が尽きてしまうと遊技が止まる。これは特別遊技状態においても同様であり、遊技媒体の不足によって特別遊技状態の機会を逃してしまうことがあった。そこで、特許文献1記載の遊技機は、特別遊技状態において使用可能な遊技媒体の数が所定値以下となった場合に、対価の支払いがなくても臨時に遊技媒体の貸出を行うことで、遊技媒体の不足による遊技の中断を回避する。このように貸し出した遊技媒体の対価は、その後に賞品として獲得された遊技媒体を払い出す際に、貸し出した遊技媒体と同数の遊技媒体をキャンセルすることで精算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−154414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の遊技機は、臨時に貸し出した遊技媒体の対価を確実に精算するため、遊技機が払い出す遊技媒体をキャンセルする必要がある。このため、遊技媒体を貸し出す貸出装置を遊技機に接続した構成でありながら、臨時に遊技媒体を貸し出す機能を遊技機自体が備えた構成にせざるを得ず、遊技媒体を貸し出す機能を複数の装置に設けることになり効率が良くなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、遊技機が特別遊技状態である場合に遊技媒体を速やかに貸し出して遊技媒体の不足を回避し、好機を逸することなく遊技を継続できるようにし、かつ、貸し出した遊技媒体の対価を確実に徴収できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技媒体を使用して遊技を実行する遊技機と、前記遊技機に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置とを通信可能に接続した遊技システムであって、前記遊技機は、遊技中の所定の抽選契機成立ごとに当落抽選を行い、抽選結果に基づいて通常の遊技状態と特別遊技状態とを遷移する一方、抽選結果に応じて獲得された遊技媒体の数を示す移行用信号を出力して、獲得された遊技媒体を前記遊技媒体貸出装置に移行し、前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技機が特別遊技状態であり、かつ、前記遊技機が使用可能な遊技媒体の残数が所定以下の場合に、遊技媒体の貸出の対価を徴収することなく遊技媒体を前記遊技機に貸し出す前借り処理を行い、前記前借り処理の後に前記遊技機から遊技媒体が移行された場合に、移行された前記遊技媒体で前記前借り処理で貸し出した遊技媒体を精算することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、上記の遊技システムにおいて、前記遊技機は、遊技媒体を循環利用する封入球式の遊技機であり、抽選結果に応じて獲得された遊技媒体の排出に代えて遊技媒体を前記遊技媒体貸出装置に移行することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記の遊技システムにおいて、前記遊技媒体貸出装置は、前記前借り処理において、前記遊技機が特別遊技状態に移行した場合に獲得される前記遊技媒体数の期待値に対応する数の遊技媒体を貸し出すことを特徴とする。
【0008】
上記構成において、前記遊技媒体貸出装置は、遊技媒体の貸出に使用可能な価値情報に対応付けられた価値媒体が投入された場合に、前記遊技機に遊技媒体を貸し出すものであり、前記価値媒体に対応付けられた価値情報が所定値より少ない場合に前借り処理を実行する構成としてもよい。
また、上記構成において、前記遊技媒体貸出装置は、前記前借り処理の後に新たな価値媒体が投入された場合には、この新たな価値媒体に対応付けられた価値情報から、前記前借り処理で貸し出した遊技媒体に対応する価値を減算する構成としてもよい。
また、上記構成において、前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技機から移行された貯遊技媒体の数を記憶する貯遊技媒体記憶部を備え、前記遊技機が特別遊技状態であり、前記遊技機が使用可能な遊技媒体の残数が所定以下であり、かつ、前記貯遊技媒体記憶部が記憶する貯遊技媒体の数が所定以下の場合に、前記前借り処理を行う構成としてもよい。
この場合、前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技機が遊技媒体を前記遊技媒体貸出装置に移行した場合に、この遊技媒体の数から前記前借り処理で貸し出した遊技媒体の数を減算し、減算後の数を前記貯遊技媒体記憶部が記憶する貯遊技媒体の数に加算してもよい。
【0009】
また、遊技者毎に貯遊技媒体数を管理する貯遊技媒体管理装置を備え、前記貯遊技媒体管理装置は、前記遊技媒体貸出装置が前記前借り処理で貸し出した遊技媒体を、前借り処理時に遊技中の遊技者とは別の遊技者の貯遊技媒体数から減算する構成としてもよい。
この場合、1または複数の遊技者で構成されるグループと、各グループに属する遊技者とを対応付けて管理するグループ管理装置を備え、前記貯遊技媒体管理装置は、前記遊技媒体貸出装置が前記前借り処理で貸し出した遊技媒体の数を、前借り処理時に遊技中の遊技者と同じグループに属する他の遊技者の貯遊技媒体数から減算する構成としてもよい。
また、上記構成において、前記遊技機は操作ハンドルの操作に応じて遊技媒体としての遊技球を遊技盤に発射し、遊技盤に設けられた入賞口に入賞した場合に賞球を発生する弾球遊技機であり、前記遊技媒体貸出装置は、前記遊技機が特別遊技状態であり、前記遊技機が発射可能な遊技球の残数が所定以下であり、かつ、前記操作ハンドルの操作量が前記遊技球の入賞を見込める範囲にある場合に、前記前借り処理を行う構成としてもよい。
さらにまた、遊技媒体貸出装置は、遊技機の前面に位置する表示部を備え、前借り処理を行った場合は前記表示部に、前借り処理により貸し出された前記遊技媒体の数を含む情報を表示してもよい。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明は、遊技媒体を使用して遊技を実行し、遊技中の所定の抽選契機成立ごとに当落抽選を行い、抽選結果に基づいて通常の遊技状態と特別遊技状態とを遷移する一方、抽選結果に応じて獲得された前記遊技媒体の数を示す移行用信号を出力して、獲得された遊技媒体を前記遊技媒体貸出装置に移行する遊技機に接続され、前記遊技機に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置において、前記遊技機が特別遊技状態であり、かつ、前記遊技機が使用可能な遊技媒体の残数が所定以下の場合に、遊技媒体の貸出の対価を徴収することなく遊技媒体を前記遊技機に貸し出す前借り処理を行い、前借り処理の後に前記遊技機から遊技媒体が移行された場合に、移行された前記遊技媒体で前記前借り処理で貸し出した遊技媒体を精算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遊技機の構成を複雑化することなく、特別遊技状態において速やかに遊技媒体を遊技機に貸し出して遊技媒体の不足を回避でき、貸し出した遊技媒体を、遊技機が払い出す遊技媒体から減算することで確実に徴収できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技サービスシステムの全体構成を示す図である。
【図2】遊技システムの機能的構成を示す図である。
【図3】遊技球貸出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】遊技球貸出装置の動作の別の例を示すフローチャートである。
【図5】タッチ液晶モジュールに表示される画面の例を示す図である。
【図6】タッチ液晶モジュールに表示される画面の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技サービスシステム1の構成を示す図である。
遊技サービスシステム1は、遊技店舗2に導入されている遊技管理システム3と、サービス提供サーバー群4とを備えている。遊技管理システム3は、遊技機の一例たるパチンコ機5から遊技情報を取得して管理するシステムであり、複数台のパチンコ機5及びCR(Card Reader)ユニット6等を備えて構成されている。サービス提供サーバー群4は、遊技管理システム3に対して各種サービスを提供するサーバー群である。
【0014】
サービス提供サーバー群4には、大別すると、ベンダー系に属するベンダー系サーバー群4Aと、データセンター系に属するデータセンター系サーバー群4Bとが含まれており、それぞれがインターネット等の広域網11を介して遊技管理システム3に通信可能に接続されている。
ベンダー系サーバー群4Aには、遊技機メーカーサーバー12Aと、販社・中古機業者サーバー12Bと、カード会社サーバー12Cと、コンテンツプロバイダーサーバー12Dとが含まれている。
遊技機メーカーサーバー12Aは、パチンコ機5を製造する遊技機メーカーが所有するサーバーであり、販社・中古機業者サーバー12Bは、パチンコ機5を販売する販売会社や中古のパチンコ機5を販売する中古機業者が所有するサーバーである。これら遊技機メーカーサーバー12A、及び販社・中古機業者サーバー12Bからは、製造、或いは販売したパチンコ機5の識別情報(例えば製造番号)と、認証用情報としての遊技機ID(例えば、遊技機メイン基板40のCPU固有ID61(図2))が遊技機ID管理センターサーバー13Dに送信され、当該遊技機ID管理センターサーバー13Dで管理される。
カード会社サーバー12Cは、遊技球の貸し出しに供する後述するプリペイド媒体14を製造販売するカード会社によって利用され、プリペイド媒体の製造番号やシリアル番号の照会サービスを提供するサーバーである。遊技店舗側は、かかる照会サービスを利用することで、偽造等された不正なプリペイド媒体を発見できる。
コンテンツプロバイダーサーバー12Dは、コンテンツを配信するプロバイダーによって利用され、各種コンテンツを配信するサーバーである。コンテンツの例としては、例えば遊技機メーカーによって登録されたパチンコ機5のPR(Public Relations)コンテンツや、遊技性能、遊技方法等の説明コンテンツなどが挙げられる。かかるコンテンツは、遊技管理システム3の例えば各CRユニット6に配信され、後述のタッチ液晶モジュール27などに表示されて遊技者に提供される。
【0015】
データセンター系サーバー群4Bには、コンテンツ配信データセンターサーバー13Aと、プリペイド管理データセンターサーバー13Bと、第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cと、遊技機ID管理センターサーバー13Dと、不正情報監視センターサーバー13Eとが含まれている。
コンテンツ配信データセンターサーバー13Aは、TVや映画などの動画や音楽等のエンターテイメントコンテンツを配信するサーバーであり、かかるコンテンツは、遊技管理システム3の各CRユニット6に配信されタッチ液晶モジュール27などに表示される。
プリペイド管理データセンターサーバー13Bは、遊技店舗2で利用されている各プリペイド媒体14の残価値の記録・照会サービスを提供するサーバーである。また第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cは、遊技店舗2の会員となった遊技者ごとに遊技球の貯玉数の記録・照会サービスを提供するサーバーである。遊技店舗側は、これらプリペイド管理データセンターサーバー13B、及び第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cが記録しているデータと遊技管理システム3で管理しているデータとの間の整合性を検証可能になっている。
【0016】
遊技機ID管理センターサーバー13Dは、パチンコ機5の識別情報と、上記遊技機IDと、当該パチンコ機5の出荷先の遊技店舗2とを対応付けたデータを管理し、また照会可能にするサーバーである。かかるデータは、遊技機メーカー、販社、或いは中古機業者がパチンコ機5を出荷するごとに遊技機メーカーサーバー12A、及び販社・中古機業者サーバー12Bから登録され、また遊技店舗2がパチンコ機5を撤去するごとに、対応するパチンコ機5のデータが抹消される。また、データ登録者以外にデータを参照できる者を出荷先の遊技店舗2に限定するために、出荷先の遊技店舗2には、当該出荷先に対応付けられた遊技機IDを参照するためのデータ参照用のID及びパスワードが付与されている。遊技店舗2側は、これらを用いて遊技機ID管理センターサーバー13Dにアクセスすることで、当該遊技店舗2のみが遊技機IDを取得可能になる。なお、遊技機ID管理センターサーバー13Dの管理データには、他に任意の情報を含めることができ、例えば遊技機メーカー名やパチンコ機5の機種名の情報等を含めても良い。
不正情報監視センターサーバー13Eは、何らかの理由で不正と認められたパチンコ機5の識別情報を照会可能に管理するサーバーであり、遊技店舗が、所有のパチンコ機5が不正なものでないかを不正情報監視センターサーバー13Eに問い合わせて確認できる。
【0017】
次いで、遊技管理システム3を構成する各装置について詳述する。
遊技管理システム3は、複数台のパチンコ機5及びCR(Card Reader)ユニット6と、精算機7と、管理コンピュータ群8とを備え、CRユニット6、精算機7及び管理コンピュータ群8のそれぞれが店内LAN9、或いは専用通信線10により通信可能に接続されている。
パチンコ機5は、遊技球を遊技媒体に使用する遊技機である。このパチンコ機5は、遊技者が、価値媒体たるプリペイド媒体14を購入、或いは、プリペイド媒体14に現金をチャージし、該プリペイド媒体14の残価値を代償として遊技球を借りて遊技する、いわゆるCR機と呼ばれる遊技機である。そして、かかるパチンコ機5と、当該パチンコ機5と通信可能に接続され、プリペイド媒体14を読み取る上記CRユニット6と、を備えて遊技システム15が構成されている。この遊技システム15では、パチンコ機5は、CRユニット6と電気的に接続されている(通電状態である)事を条件に遊技球を発射可能に構成されている。
【0018】
パチンコ機5は、遊技盤(ゲージ盤)16の前面に前面ガラス17を設け、該前面ガラス17を通じて遊技盤16の遊技領域を視認可能に構成したパチンコ機本体18を備えている。遊技盤16の遊技領域には、遊技球通過時に賞球が得られる入賞口として始動入賞口19や他の入賞口20、常閉状態の大入賞口(いわゆるアタッカー)21と、これら始動入賞口19、他の入賞口20及び大入賞口21のいずれにも入賞しなかった遊技球(いわゆるアウト玉)を遊技領域から遊技盤16の裏側に導いて回収する回収口22と、多数の障害釘23と、始動入賞口19への遊技球の入賞(通過)に伴い図柄を変動表示する図柄表示ユニットとしての遊技機液晶表示器24とが設けられている。始動入賞口19、大入賞口21、及び他の入賞口20に入賞したときの賞球数はそれぞれ異なり、本実施形態では、始動入賞口19が3個、大入賞口21が15個、及び他の入賞口20が10個となっている。
【0019】
パチンコ機本体18の正面には、遊技球の貸出操作用の貸出スイッチ25A、プリペイド媒体14の返却(遊技終了の指示)操作用の返却スイッチ25B、遊技機液晶表示器24での表示演出時などに操作入力するプッシュボタン25C等の各種操作ボタンが設けられている。
またパチンコ機本体18の右下には、遊技球を遊技盤16の遊技領域に1発ずつ所定の時間間隔で発射する遊技球発射ハンドル26が設けられている。
遊技球発射ハンドル26は時計回りに回動可能であり、パチンコ機5は、遊技者が操作しない状態における停止位置からの遊技球発射ハンドル26の回動量(操作量)を後述する発射制御基板43により検出し、この発射制御基板43の制御により遊技球を発射する発射機構(図示略)を備えている。この発射機構が遊技球を発射する力は可変であり、発射制御基板43の制御により、検出された遊技球発射ハンドル26の操作量が大きいほど強い弾発力で、遊技球を遊技領域に発射させる。
遊技球発射ハンドル26の操作に伴って発射された遊技球が始動入賞口19を通過したことを契機にパチンコ機5は特賞の当落抽選を行うとともに、遊技機液晶表示器24に図柄を後述する表示演出を伴って変動表示し、停止図柄により当落抽選結果を遊技者に通知する。また当選時には、パチンコ機5は、大入賞口21を開放して遊技球が入賞し易い状態とすることで遊技者に持玉を増やす機会を与える。
【0020】
ここで、このパチンコ機5は、所定個数(例えば25個)の遊技球をパチンコ機本体18に封入し、これらの遊技球をパチンコ機本体18の中で循環利用する封入球式の遊技機として構成されている。具体的には、パチンコ機5は、遊技盤16に発射され、始動入賞口19や大入賞口21、他の入賞口20に入賞した遊技球(いわゆるセーフ玉)及び回収口22に回収された遊技球(いわゆるアウト玉)をそれぞれ遊技盤16の裏側に回収し、発射位置に還流する循環流路(図示せず)を有し、当該循環流路内に所定個数の遊技球を封入して、封入した遊技球を繰り返して遊技領域に発射することで遊技を行うように構成されている。封入球式のパチンコ機5においては、パチンコ機本体18の外部から遊技球を補充する必要がないため、パチンコ機本体18の正面に、遊技球を一時的に貯留するいわゆる上皿や、上皿からパチンコ機本体18の内部に遊技球を捕球する捕球口、上皿に賞球を排出する排出口等は設けられておらず、かかる上皿等が従来配設された箇所(すなわち、前面ガラス17の下)には、タッチ液晶モジュール27が設けられている。
タッチ液晶モジュール27は、パチンコ機本体18の台枠に組み込まれたタッチ操作可能な表示ユニットであり、CRユニット6の操作部及び表示部として機能し、かかる構成については、後に詳述する。
【0021】
CRユニット6は、各パチンコ機5の片側に配置され互いに通信可能に接続されており、プリペイド媒体14の残価値がゼロでない事を条件に、貸出スイッチ25Aの操作を示す貸出操作信号をパチンコ機5から受信した場合に遊技球の貸出指示信号を出力する。プリペイド媒体14の残価値は管理コンピュータ群8(より正確には後述するプリペイド管理サーバー35B)に管理されており、CRユニット6は、玉貸完了時に、管理コンピュータ群8との間で貸出玉数に応じてプリペイド媒体14の残価値を減算する処理を行う。
なお、CRユニット6は、玉貸時における残価値の使用単位(例えば100円単位、500円単位など)や、1個の遊技球あたりの貸出単価(例えば4円/玉、1円/玉など)を予め設定可能に構成されており、遊技場側が営業形態に応じて適宜に設定・変更可能に成されている。
【0022】
プリペイド媒体14にはICを内蔵した硬貨形状のICコイン14A及びカード型の会員カード14Bが用いられている。会員カード14Bは、遊技店に会員登録している顧客に貸与される記録媒体であり、ICコイン14Aは、それ以外の顧客(いわゆる、ビジター)に貸与される記録媒体である。プリペイド媒体14には、カード会社によって付された、一意に特定するための識別情報が付与されており、この識別情報と残価値とが対応付けられて管理コンピュータ群8により管理されている。
【0023】
このCRユニット6は、プリペイド媒体14の発行機能を有し、紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」などの紙幣)を挿入する紙幣挿入口28、ICコイン14Aを投入するコイン投入口29、ICコイン14Aを排出するコイン排出口30、会員カード14Bを挿入する会員カード挿入口31が設けられている。
CRユニット6は、紙幣挿入口28に紙幣が挿入された場合、管理コンピュータ群8と通信して紙幣の額面に応じた価値をプリペイド媒体14に付与する処理を行う。具体的には、CRユニット6は、プリペイド媒体14として会員カード14Bが挿入されている場合には、会員カード14Bの残価値を管理する管理コンピュータ群8に対し、会員カード14Bの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード14Bへのプリペイド残高のチャージが行われる。また、会員カード14Bが挿入されていない場合には、CRユニット6は、新規にICコイン14Aを発行するとともに、ICコイン14Aの残価値を管理する管理コンピュータ群8に対し、このICコイン14Aの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード14Bを持たない遊技者に、プリペイド媒体14としてのICコイン14Aが新規に発行される。
【0024】
CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されている間、その残価値をタッチ液晶モジュール27に表示し、貸出スイッチ25Aの操作により玉貸が行われるごとに、残価値を減算更新し、また更新後の残価値をタッチ液晶モジュール27に表示する。また、CRユニット6は、返却スイッチ25Bが操作されたときには、プリペイド媒体14を排出するとともに、プリペイド媒体14の識別情報と残価値とを管理コンピュータ群8に送信し、これにより、CRユニット6から排出されたときのプリペイド媒体14の最終的な残価値が管理コンピュータ群8に記録される。
精算機7は、プリペイド媒体14の残価値を精算する装置であり、この精算機7には、ICコイン14Aのコイン投入口32及び会員カード14Bのカード挿入口33が設けられている。精算機7は、プリペイド媒体14が投入された場合、残価値を上記管理コンピュータ群8に問い合わせ、残価値に応じた金額を払い出す。精算機7は、金額払出完了後に、その旨を管理コンピュータ群8に通知し、管理コンピュータ群8が、そのプリペイド媒体14の残価値として記録している値をクリアすることで精算が完了する。
【0025】
この遊技管理システム3においては、パチンコ機5ごとにデータ表示器34を備えている。データ表示器34は、対応するパチンコ機5の過去営業日の大当たり情報や、当日の大当たり回数、前回大当たりからの図柄変動回数(スタート回数)といった遊技情報を表示する表示パネル34Aを有する。またデータ表示器34には、表示パネル34Aの他にも、遊技場のホールスタッフを呼び出す呼出ボタンや、パチンコ機5の大当たり状態や確率変動遊技状態、時短遊技状態等の所定の遊技状態を報知するランプ等が設けられている。各データ表示器34は、対応するパチンコ機5と通信するCRユニット6に接続され、パチンコ機5が出力する遊技情報をCRユニット6から取得して表示パネル34Aに表示する。
【0026】
管理コンピュータ群8は、遊技台計数管理装置35Aと、プリペイド管理サーバー35Bと、持玉管理サーバー35Cと、会員・景品管理サーバー35Dと、コンテンツサーバー35Eと、遊技機ID管理サーバー35Fとを備えている。
遊技台計数管理装置35Aは、いわゆるホールコンピュータ(図示では「ホールコン」)と呼ばれる装置であり、各パチンコ機5での出球や大当たり回数、エラー状況、パチンコ機5のパチンコ機本体18が備える扉の開放等の遊技機に係る遊技情報、並びに、各CRユニット6への入金や再プレイ、プリペイド残価値の消費等に関する情報をCRユニット6から取得して中枢的に管理する。遊技台計数管理装置35Aは、かかる各種の情報を、パチンコ機5からではなくCRユニット6から取得する。すなわち、遊技台計数管理装置35AとCRユニット6とはパラレル信号線10A、及び/或いはホールコンI/F装置36を中継器に備えたシリアル信号線10Bを介して接続されており、CRユニット6がパチンコ機5から逐次情報を受信して遊技台計数管理装置35Aに出力する。
【0027】
プリペイド管理サーバー35Bは、プリペイド媒体14としてのICコイン14A及び会員カード14Bの各識別情報と残価値を対応付けて記憶し、これらの残価値を管理するサーバーである。CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されたときには、当該プリペイド媒体14の識別情報に対応する残価値をプリペイド管理サーバー35Bに問い合わせ、応答により得られた残価値をタッチ液晶モジュール27に度数表示する。
プリペイド媒体14の残価値は、CRユニット6でのチャージによって増加し、また玉貸によって減少し、プリペイド管理サーバー35Bは、これらチャージ及び玉貸に応じて残価値を更新する。すなわち、CRユニット6が残価値をプリペイド媒体14にチャージした場合には、プリペイド管理サーバー35Bは、チャージされた残価値を識別情報とともに取得して残価値を加算更新する。貸出スイッチ25Aの操作に応じてCRユニット6が玉貸を行った場合には、プリペイド管理サーバー35Bは、かかる玉貸の代償価値をプリペイド媒体14の識別情報とともに取得して残価値を減算更新する。
このプリペイド管理サーバー35Bには、上述した精算機7が店内LAN9を介して接続されており、精算機7にプリペイド媒体14が投入されると、精算機7がプリペイド媒体14の残価値をプリペイド管理サーバー35Bに問い合わせて、残価値に応じた金額払い出し等の精算を行う。
【0028】
持玉管理サーバー35Cは、遊技者の持玉数を管理するサーバーである。具体的には、持玉管理サーバー35Cは、遊技者の持玉数を、投入されているプリペイド媒体14の識別情報とともに店内LAN9を介してCRユニット6から取得して管理する。遊技者は、獲得当日に限り、持玉を遊技に使用でき、CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されたときには、当該プリペイド媒体14の識別情報に対応する持玉数を持玉管理サーバー35Cに問い合わせ、応答により得られた持玉数をタッチ液晶モジュール27に表示する。このときCRユニット6は、持玉を使って遊技球の払い出しを受けるための持玉使用ボタン(図示せず)をタッチ液晶モジュール27に表示し、当該持玉使用ボタンが操作された場合には、所定玉数の遊技球の払出指示信号をパチンコ機5に出力するとともに、持玉管理サーバー35Cに対してプリペイド媒体14の識別情報とともに使用持玉数を送信する。持玉管理サーバー35Cは、使用持玉数を取得すると、対応するプリペイド媒体14の持玉数を減算更新する。また、CRユニット6は、プリペイド媒体14の排出時には、持玉管理サーバー35Cに対してプリペイド媒体14の識別情報とともに最終的な持玉数を送信し、この持玉数が持玉管理サーバー35Cに記録される。なお、持玉管理サーバー35CとCRユニット6との間の通信障害に備え、遊技者の持玉数をプリペイド媒体14にも記録する構成としても良い。
【0029】
会員・景品管理サーバー35Dは、顧客会員と景品交換の管理をするサーバーである。顧客会員の管理について詳述すると、顧客の氏名や年齢、性別、職業、携帯電話番号、会員番号、サービス利用のための暗証番号、会員カード14Bの識別情報、顧客が遊技場に預けている再遊技可能な遊技媒体数(いわゆる貯玉数)、遊技履歴に係る情報が管理される。顧客会員には、氏名や年齢等を通知して会員登録を済ました顧客のみならず、会員登録をせずに遊技を行う顧客、いわゆるビジター会員も含まれる。すなわち、ビジター会員には当日限り有効の専用の会員カード14Bが発行され、当該会員カード14BをCRユニット6に挿入して遊技を行うこととなる。なお、ビジター会員に対し、会員カード14Bに代えて、上述のICコイン14Aを用いることができ、この場合には、CRユニット6に会員カード14Bを挿入せずともICコイン14Aを投入することで遊技を行う。
CRユニット6は、会員カード14Bが挿入された場合、タッチ液晶モジュール27に暗証番号入力画面を表示して入力を促し、入力された暗証番号及び会員カード14Bの識別情報の正当性を会員・景品管理サーバー35Dに問い合わせる。ただし、会員カード14Bがビジター会員用である場合には、かかる問い合わせは省略しても良い。CRユニット6は、これらの正当性が会員・景品管理サーバー35Dによって認められた場合に限り、当該会員・景品管理サーバー35Dから貯玉数を取得し、タッチ液晶モジュール27に表示する。またCRユニット6は貯玉が使用されるごとに会員・景品管理サーバー35Dに貯玉使用数を送信し、これにより会員・景品管理サーバー35Dが当該顧客の貯玉数を減算更新する。
なお、以下の説明では、プリペイド媒体14として遊技者が会員カード14Bを使用して遊技を行うものとして説明する。
【0030】
遊技管理システム3においては、複数の遊技者が属するグループを管理可能である。このグループは、顧客会員として会員・景品管理サーバー35Dに登録されている遊技者を構成員とし、一つのグループに属する遊技者の数について制限は無い。会員・景品管理サーバー35Dには、グループごとに、グループを識別する識別符号(グループ番号、記号等)と、グループに属する会員(以下、グループメンバーという)を特定する情報(会員番号等)とが対応付けて記憶される。
同一グループに属するグループメンバーは、互いの貯玉数及び持玉数を、タッチ液晶モジュール27により参照できる。
【0031】
すなわち、会員・景品管理サーバー35Dは、CRユニット6に会員カード14Bが投入された後、CRユニット6の問い合わせに応じて会員の認証を行い、この認証に成功した場合に、この会員の貯玉の情報をCRユニット6に送信して、タッチ液晶モジュール27に貯玉数を表示させる。ここで、会員・景品管理サーバー35Dは、認証成功した会員がグループメンバーとなっているグループを特定し、このグループの他のグループメンバーを特定し、これら他のグループメンバーの会員番号または氏名、及び、各グループメンバーの貯玉数を示す情報をCRユニット6に送信する。CRユニット6は、会員・景品管理サーバー35Dから送信される情報に基づき、会員カード14Bを投入した会員の会員番号及び貯玉数とともに、この会員と同じグループのグループメンバーの会員番号、氏名及び各グループメンバーの貯玉数をタッチ液晶モジュール27に表示する。ここで、CRユニット6が、会員・景品管理サーバー35Dから受信した情報に基づいて、持玉管理サーバー35Cにアクセスし、会員カード14Bを投入した会員の持玉数と、この会員と同じグループに属する各グループメンバーの持玉数とを取得してもよい。この場合、CRユニット6は、タッチ液晶モジュール27に、会員カード14Bを投入した会員の持玉数とともに、この会員と同じグループのグループメンバーの持玉数を表示する。
【0032】
また、この遊技管理システム3においては、遊技者が持玉を景品や貯玉に交換可能になされており、会員・景品管理サーバー35Dは、この景品交換の管理機能を有する。
すなわち、遊技者が景品カウンター(図示せず)等で持玉を景品に交換した場合、当該景品カウンターに設置されたPOS端末を含むPOSシステム37から持玉を交換した旨が、プリペイド媒体14の識別情報とともに持玉管理サーバー35Cに入力され、持玉管理サーバー35Cがプリペイド媒体14の識別情報に対応する持玉数を減算更新することで交換が完了する。この際、POSシステム37では持玉の貸出単価を反映して景品交換が行われ、POSシステム37から持玉管理サーバー35Cに対して貸出単価ごとに交換した持玉数が入力される。持玉管理サーバー35Cは、貸出単価ごとに景品交換された持玉数を減算する。また、このとき、会員カード14Bを利用して遊技を行った顧客会員が景品交換した場合に、当該顧客会員が交換した景品を会員・景品管理サーバー35Dに記録して管理するようにしても良い。
また、顧客会員が持玉を貯玉に交換するときには、会員・景品管理サーバー35Dに、貯玉数がプリペイド媒体14の識別情報とともに送信され、顧客会員の会員カード14Bに対応付けて管理されている貯玉数が加算更新され、また同様に第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cが管理する貯玉数のデータも更新される。ここで、プリペイド媒体14の識別情報に対応付けて複数の貸出単価ごとに持玉数が管理されている場合には、持玉管理サーバー35Cから会員・景品管理サーバー35Dに対して貸出単価ごとの持玉数が送信され、会員・景品管理サーバー35Dは、顧客会員の会員カード14Bに対応付けて、貸出単価ごとの貯玉数を管理する。
なお、遊技場の営業日の終了時に、持玉がゼロでない会員カード14Bが持玉管理サーバー35Cに記録されている場合に、当該持玉管理サーバー35Cが会員・景品管理サーバー35Dに記録を転送し、当該会員・景品管理サーバー35Dが管理する会員カード14Bの貯玉に持玉を加算することで、自動で振り替えるようにしても良い。
【0033】
コンテンツサーバー35Eは、上記コンテンツプロバイダーサーバー12D、及び上記コンテンツ配信データセンターサーバー13Aのそれぞれから各種コンテンツを取得し、各CRユニット6に配信する。
遊技機ID管理サーバー35Fは、所定のIDとパスワードを用いて遊技機ID管理センターサーバー13Dにアクセスし、パチンコ機5の識別情報(製造番号等)、遊技機ID、及び出荷先情報を上記遊技機ID管理センターサーバー13Dから取得して管理する。
【0034】
次いで、遊技システム15を構成するパチンコ機5及び遊技球貸出装置65の構成について詳述する。
図2は、遊技システム15の機能的構成を示す図である。
パチンコ機5は、図2に示すように、主基板に分類される遊技機メイン基板40及び払出制御基板41と、主基板に対する周辺基板である演出用サブ基板42及び発射制御基板43とを備えている。主基板は、当落抽選及び遊技球の獲得に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する回路を実装した基板である。
遊技機メイン基板40は、入賞に伴う賞球の払出指示や特賞の当落を抽選する主制御CPU40Aを備えた基板である。具体的には、パチンコ機5は、大入賞口21、始動入賞口19、及び他の入賞口20のそれぞれごとに、大入賞口入賞検知センサ44A、始動入賞口入賞検知センサ44B、及び他の入賞口入賞検知センサ44Cを備え、入賞時には、対応する入賞口の入賞検知センサ44A、44B、44Cから検知信号が遊技機メイン基板40に出力される。
【0035】
遊技機メイン基板40は、始動入賞口19、他の入賞口20及び大入賞口21ごとに賞球数を対応付けて記憶する入賞口別賞球数記憶部45を備え、上記入賞検知センサ44A、44B、44Cにて入賞口への入賞が検知されるごとに、当該入賞口に対応する賞球数を入賞口別賞球数記憶部45から読み出し、当該賞球数の賞球払い出しを指示する賞球払出指示信号を払出制御基板41に出力する。
また遊技盤16には、始動入賞口19、他の入賞口20及び大入賞口21のそれぞれごとに、入賞時に点灯して遊技者に通知する大入賞口入賞通知灯46A、始動入賞口入賞通知灯46B、及び他の入賞口入賞通知灯46Cが設けられており、遊技機メイン基板40は、賞球払出指示信号の出力時に、遊技球が入賞した入賞口に対応する入賞通知灯46A、46B、46Cを1回点滅させる。これにより、遊技者が入賞口への入賞を入賞通知灯46A、46B、46Cの点滅で視覚的に把握できる。入賞通知灯46A、46B、46Cの点滅を把握することで、払出制御基板41の誤動作等の理由により賞球が払い出されなかった場合(遊技機管理発射可能玉数表示灯52の表示が更新されなかった場合)でも、遊技者は、これを速やかに把握できる。
【0036】
なお、大入賞口入賞通知灯46A、始動入賞口入賞通知灯46B、及び他の入賞口入賞通知灯46Cごとに、点滅、或いは点灯のパターンを変えて、又は/及び発光色を異ならせて識別性を高めても良い。
【0037】
また遊技機メイン基板40は、始動入賞口19への入賞の検知を契機として特賞の当落抽選を行い、当落抽選結果を図柄表示部(いわゆる、特別図柄表示器)47に表示する。特賞当選時には、遊技機メイン基板40は遊技状態を特別遊技状態(いわゆる大当たり遊技状態や確率変動状態、時間短縮遊技状態など)に移行させ、特別遊技状態の終了条件成立に伴って通常の遊技状態に移行する。大当たり遊技状態では大入賞口21が開放され、多くの賞球数を獲得できる状態となる。大当たり遊技状態では、大入賞口21は所定数の遊技球が入賞するか、所定時間が経過すると閉じられ、この動作が予め設定された回数だけ繰り返される。大当たり遊技状態には複数の種類があり、それぞれ、大入賞口21が開放される回数、大入賞口21が閉じられるまでの入賞球の数、大入賞口21の開放時間の少なくともいずれかが異なっている。また、大当たり状態が確定した場合に、遊技機メイン基板40は確率変動抽選を実行し、確率変動抽選に当選した場合には大当たりの当選確率が高まる確率変動状態に移行する。確率変動状態は大当たり終了後、次回の大当たり当選まで継続する。さらに、大当たり終了後には時間短縮遊技状態に移行することがあり、この時間短縮遊技状態では、図柄表示部47の図柄が変動する時間が短縮され、遊技盤16の電動役物(図示略)が始動入賞口19への入賞を促進するよう動作することで、当落抽選の機会が増加する。これらの特別遊技状態では、大入賞口21への入賞を容易にする、大当たり当選の確率が高まる、当落抽選の機会が増えるなど、いずれも、特別遊技状態以外の通常遊技状態に比べて賞球を獲得しやすくなっている。このため、通常遊技状態よりも多くの賞球の獲得が期待できる。
遊技機メイン基板40の抽選により特別遊技状態に移行した場合、遊技機メイン基板40は外部端子出力信号を生成して払出制御基板41に出力する。この外部端子出力信号は、特別遊技状態への移行を示す信号、及び、この特別遊技状態の種類を示す信号を含んでいる。上述のように特別遊技状態には様々な状態があり、それぞれ入賞のしやすさや入賞により見込める賞球数等が異なっている。遊技機メイン基板40は、これらの特別遊技状態を区別可能な外部端子出力信号を生成及び出力する。遊技機メイン基板40が出力した外部端子出力信号は、払出制御基板41及び外部端子板54を経由して、CRユニット6に外部端子出力信号Soutとして出力される。
【0038】
図柄表示部47は、遊技盤16に視認可能に設けられ、例えば7セグメント表示器や多数のLEDランプにより構成されており、表示図柄(7セグ表示や点灯LEDランプの組み合わせ)によって当落抽選結果を表示する。図柄表示部47では、当落抽選結果を示す表示図柄が、遊技機メイン基板40が都度決定する時間の変動表示を経て表示される。また、遊技機メイン基板40は、遊技機液晶表示器24や音源、ランプ等により当落抽選結果に応じた遊技演出を行うべく、どういった演出を行うかを指定し、また図柄の変動時間(当落抽選結果の表示タイミング)等を指定する演出指示信号を、当落抽選結果を示す大当たり発生信号とともに演出用サブ基板42に出力する。さらに遊技機メイン基板40には、パチンコ機本体18に設けられた前面扉の開放等の各種異常情報が払出制御基板41から入力された場合には、音声やランプ、遊技機液晶表示器24などの演出に供する各種の手段を適宜用いて異常を報知する。
【0039】
払出制御基板41は、遊技球の払出及び発射を管理する払出制御CPU41Aを備えた基板であり、CRユニット6との通電状態に基づいて接続状態を監視し、正常に接続されていない場合は、遊技球の発射を禁止する。
ここで、このパチンコ機5は、上述の通り、封入球式の遊技機として構成されているため、遊技中にパチンコ機5の外から遊技球が投入されることはなく、当該遊技球の実際の投入に代えて、発射可能な遊技球の投入がデジタルデータ上で行われる。すなわち、払出制御基板41は、遊技者が発射可能な遊技球の残数(以下、「発射可能玉数」と言う)を記憶する遊技機管理発射可能玉数記憶部48を備え、発射可能玉数が「ゼロ」でない事を条件に、遊技球の発射を許可する発射許可信号を後述する発射制御基板43に出力する。払出制御基板41は、CRユニット6から貸出指示信号が入力された場合、所定貸玉個数の遊技球の投入に代えて、当該所定貸玉個数分を発射可能玉数に加算し、加算結果をCRユニット6に返信する。
【0040】
また、払出制御基板41には、発射可能玉数の増減を管理可能にすべく、回収口22に回収されたアウト玉を検知するアウト玉検知センサ49、発射後遊技領域に到達しなかった遊技球であるファウル玉を検知するファウル玉検知センサ50、及び、発射された遊技球を検知する1或いは複数の発射球検知センサ51(図示例では1つ)のそれぞれの検知信号が入力される。そして、払出制御基板41は、遊技機メイン基板40から賞球払出指示信号を受けるごと、ファウル玉が検知されるごと、及びCRユニット6から貸出指示信号のいずれかが入力されるごとに発射可能玉数を加算更新し、また発射球検知センサ51の検知信号が入力されるごとに発射可能玉数を減算更新することで発射可能玉数を(すなわち遊技者の持玉数)を管理し、また、この発射可能玉数を遊技機管理発射可能玉数表示灯52に外部から視認可能に常時表示する。遊技中の発射可能玉数は、CRユニット6の制御の下、パチンコ機5に設けられたタッチ液晶モジュール27にも表示される。これに加え、遊技機管理発射可能玉数表示灯52を外部から視認可能に設けることで、タッチ液晶モジュール27が故障などしても、遊技者は遊技中の持玉数を把握できるようになっている。なお、アウト玉検知センサ49及びファウル玉検知センサ50の出力を遊技機メイン基板40に入力し、当該遊技機メイン基板40から払出制御基板41に出力する構成としても良い。また、上記貸出指示は、プリペイド媒体14の残価値を対価とした貸出に限らず、貯玉を用いた再プレイ、持玉の払い出しの利用に基づく指示も含む。このとき、不正防止を目的に1回の貸出あたりの玉数に上限をCRユニット6等に設定することもできる。
【0041】
払出制御基板41が管理する上記発射可能玉数は、遊技終了時に決済される。すなわち、遊技者が遊技を終了すべく、会員カード14Bを返却するために返却スイッチ25Bを操作すると、CRユニット6から発射可能玉数移行要求コマンドが払出制御基板41に出力される。払出制御基板41は、この発射可能玉数移行要求コマンドを受信した場合、発射可能玉数をCRユニット6に価値移行する処理(決済処理)を行い、発射可能玉数をゼロにクリアする。CRユニット6に移行した価値は、当該CRユニット6から持玉管理サーバー35Cに持玉数として出力され、そのパチンコ機5に玉貸が行われたときの遊技球の貸出単価に対応する持玉数として記録される。
【0042】
上記発射制御基板43は、発射許可信号が払出制御基板41から入力されている事を条件に遊技球の発射を制御する基板であり、また遊技球の発射が可能か否かを示す発射状態信号を払出制御基板41に出力する。この発射制御基板43により、図示せぬ発射装置が制御され、遊技球発射ハンドル26の操作量に応じた弾発力で遊技球が発射される。
また払出制御基板41には、球磨制御基板53が接続されている。球磨制御基板53は、パチンコ機5に封入されている遊技球の玉磨機構を制御する基板である。払出制御基板41は、遊技球発射時に打ち出し可能な遊技球が無くならないように球磨制御基板53から玉磨状態を取得しながら制御する。さらに、払出制御基板41には、パチンコ機本体18に設けられた各種センサ(前面扉開放センサ、玉数異常検知センサ等)の検知情報を異常情報として遊技機メイン基板40に出力する。
【0043】
演出用サブ基板42は、遊技機メイン基板40の演出指示信号に基づいて、遊技機液晶表示器24や図示せぬ音源、台枠ランプを制御して、当落抽選結果に応じた遊技演出を行う回路を搭載した基板であり、遊技機メイン基板40に対して信号を出力することはなく、その動作が遊技機メイン基板40の当落抽選結果に影響を及ぼす事がないように構成されている。演出用サブ基板42は、各表示演出に用いる画像データを記憶し、遊技機メイン基板40の演出指示信号及び演出の進行に合わせて画像データを順次読み出し、この画像データに基づく画像信号を遊技機液晶表示器24に出力して、遊技機液晶表示器24に表示する。
【0044】
またパチンコ機5は、上述した部材の他にも、図2に示すように、外部端子板54と、CR基板55と、遊技機搭載暗号基板56とを備え、さらに、パチンコ機本体18には上述したタッチ液晶モジュール27が組み込まれている。
外部端子板54は、遊技情報を示す外部端子出力信号SoutをCRユニット6に一方向に出力する端子板であり、CRユニット6から外部端子板54への信号入力は禁止されている。外部端子板54から出力される遊技情報は、遊技機メイン基板40及び払出制御基板41が管理する情報である。この遊技情報には、パチンコ機5での大当たり発生を示す大当たり信号、図柄表示部47での図柄の変動停止を示す図柄停止信号、賞球数を示す賞球信号、アウト玉数を示すアウト玉信号、ファウル玉数を示すファウル玉信号等が含まれている。この遊技情報をCRユニット6が取得することで、大当たり信号及び図柄変動停止信号に基づいて大当たり発生や大当たり発生回数、図柄変動回数を特定し、また、アウト玉信号、ファウル玉信号及び賞球信号に基づいて、払出制御基板41とは別に差玉を管理し、また、それらの情報を遊技台計数管理装置35Aに出力する。このCRユニット6により管理される差玉は後述する遊技機管理残玉数記憶部86に記憶され、タッチ液晶モジュール27にも随時表示される。
【0045】
CR基板55は、上記貸出スイッチ25A及び返却スイッチ25Bのスイッチ操作信号をCRユニット6に出力する基板である。また、このCR基板55には、度数表示器57及び貸出可能ランプ58が接続されており、CR基板55は、CRユニット6から入力されたプリペイド媒体14の残価値を示す度数を度数表示器57に7セグメント等で表示するとともに、CRユニット6からの貸出許可信号の有無に応じて貸出可能ランプ58を点灯する。
【0046】
遊技機搭載暗号基板56は、パチンコ機5が備える各基板の中で、いわゆる主基板に分類される上記遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれを相互認証する認証基板である。遊技機搭載暗号基板56は、基板外部から内部の処理動作、処理内容等を特定不可能な、いわゆるブラックボックスとして構成され、各基板の相互認証を実行する専用の半導体チップであるセキュリティチップ60Aと、汎用CPU56Aとが実装されている。セキュリティチップ60Aは、遊技機ID管理センターサーバー13Dで管理されている遊技機IDを用いて各基板の相互認証を実行する。また、遊技機搭載暗号基板56は、セキュリティチップ60Aにより所定の暗号通信方式で上記遊技機IDを暗号鍵として通信データを暗号化/復号化する機能を備え、パチンコ機5とCRユニット6の間の通信データをセキュリティチップ60Aが暗号化/復号化することで暗号通信が行われる。遊技機搭載暗号基板56を通じてパチンコ機5とCRユニット6との間で送受される通信データは、主に、改ざん等により出球に影響を及ぼす虞があるデータであり、例えば、CRユニット6がパチンコ機5に入力する貸出指示信号(持玉使用時にあっては払出指示信号)や上記遊技機ID、払出制御基板41が出力する、玉貸/払出しが正常に完了したか否かを示す貸出(払出)結果信号、CR基板55がCRユニット6に出力する貸出スイッチ25A及び返却スイッチ25Bのスイッチ押下信号などである。なお、上記外部端子板54と遊技機搭載暗号基板56を1つの中継基板の上に設けてもよい。
【0047】
上記遊技機IDは、パチンコ機5ごとに固有に割り振られたIDであり、本実施形態では、遊技機メイン基板40に搭載されている主制御CPU40AのCPU固有ID61を用いる。遊技機メーカーは、パチンコ機5の製造出荷時に、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれに、当該CPU固有ID61を記録したセキュリティチップ60B、60Cを実装して出荷し、また、遊技機ID管理センターサーバー13Dに、パチンコ機5の識別情報、出荷先、及び遊技機IDを送信して記録し、出荷先の遊技店舗2の遊技機ID管理サーバー35Fから参照可能にする。これらセキュリティチップ60B、60Cは、それぞれ上記遊技機搭載暗号基板56に設けたセキュリティチップ60Aと同じく、遊技機IDに基づいて暗号キーを生成し、当該暗号キーを用いてセキュリティチップ60A、60B、60Cの間の通信を暗号化/復号化して暗号通信する機能を備えている。
なお、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれが遊技機IDに基づいて暗号キーを生成し暗号通信に用いる構成とした、これに限らず、遊技機ID以外の情報を暗号キー生成のためのシード情報として用いる構成としても良い。この場合、遊技機搭載暗号基板56とCRユニット6との間で共通の暗号キーを用いて暗号通信を可能にするために、暗号キーを生成するためのシード情報を、遊技機メーカーが遊技機ID管理センターサーバー13D、及び遊技機ID管理サーバー35Fを通じてCRユニット6が取得し暗号キーを生成可能にする。
このように、パチンコ機5に設けた各セキュリティチップ60A、60B、60Cが遊技機IDに基づいて生成される暗号キーで暗号通信し、またCRユニット6に設けたセキュリティチップ60Dは遊技機ID管理サーバー35Fから受け取った遊技機IDに基づいて暗号キーを生成する構成とすることで、暗号キー自体がパチンコ機5及びCRユニット6の間で送受されることがない。
【0048】
パチンコ機5の基板間の相互認証について具体的には、例えばパチンコ機5の毎回の電源投入時に、遊技機搭載暗号基板56のセキュリティチップ60Aが主導的に相互認証を行う。すなわち、セキュリティチップ60Aは遊技機メイン基板40のセキュリティチップ60B、及び払出制御基板41のセキュリティチップ60Cのそれぞれに対して認証開始要求を出力する。この認証開始要求を受けて、セキュリティチップ60Bがセキュリティチップ60A、60Cのそれぞれと遊技機IDを交換し、各セキュリティチップ60A、60B、60Cが受け取った遊技機IDと自身の遊技機IDとに基づいて認証を行うことで相互認証を行う。またセキュリティチップ60Cも同様に、セキュリティチップ60A、60Bと遊技機IDを交換し、各セキュリティチップ60A、60B、60Cが受け取った遊技機IDと自身の遊技機IDとに基づいて認証を行うことで相互認証を行う。これにより遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の各基板間で相互認証が行われる。そして各セキュリティチップ60B、60Cは認証結果をセキュリティチップ60Aに出力し、当該セキュリティチップ60Aは、セキュリティチップ60A、60B、60Cのそれぞれの認証結果の不成立の有無に基づいてパチンコ機5における基板間の相互認証結果(成立/不成立)を判定しCRユニット6に出力する。このように相互認証においては、遊技機搭載暗号基板56が主導的に行うことで、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の不正改造などを発見し易くできる。
また、遊技機搭載暗号基板56は、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のいずれかが不正に交換される等して相互認証が不成立となった場合には、払出制御基板41とCRユニット6の導通状態を遮断する等して遊技球の発射を禁止することで強制的に遊技不能状態にする。これにより、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のいずれかが不正交換された状態での遊技を禁止できる。
【0049】
なお、パチンコ機5の基板間認証を、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれが同じCPU固有ID61を保持しているか否かを判定することで行う構成を例示したが、これに限らない。
すなわち、先ず、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41に実装されたそれぞれのセキュリティチップ60A、60B、60Cが正規のものか否かを判定することで、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれが正規のものか否かを判定し(正規基板判定)、次いで、遊技機メイン基板40の主制御CPU40とセキュリティチップ60Bのペア(対)が正しい組み合わせかを判定する(正規CPU判定)ことで行っても良い。
このように、正規基板判定と正規CPU判定を行うことで、基板の不正交換、並びに、遊技機メイン基板40の主制御CPU40Aの不正交換を確実に検知することができる。
【0050】
セキュリティチップ60A、60B、60Cが正規のものか否かの判定(正規基板判定)は、例えば遊技機搭載暗号基板56のセキュリティチップ60Aが、他のセキュリティチップ60B、60Cを認証することで行われる。この認証には任意の認証手法を用いることができる。
また、遊技機メイン基板40の主制御CPU40とセキュリティチップ60Bのペア(対)の判定(正規CPU判定)は、遊技機搭載暗号基板56が遊技機メイン基板40にCPU固有ID61の返信を要求するときに、セキュリティチップ60Bに記録されたCPU固有ID61も合せて返信するように要求し、両者を比較し、一致/不一致を判定することにより行われる。この場合には、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれのセキュリティチップ60A、60B、60CにCPU固有ID61を記録する必要はなく、遊技機メイン基板40のセキュリティチップ60BにのみCPU固有ID61を予め記録しておけば十分である。
【0051】
遊技機搭載暗号基板56からCRユニット6に出力された認証結果は、遊技台計数管理装置35A及びタッチ液晶モジュール27に出力されるとともに、パチンコ機5に設けたLEDランプ等に直接出力される。このように、相互認証結果をパチンコ機5の外部のみならずパチンコ機5のLEDランプ等にも出力することで、外部との通信線に対する不正行為により、相互認証結果が正常に出力されない場合でも、LEDランプの点灯等で遊技場の管理者にパチンコ機5の相互認証結果を通知することができる。
【0052】
またパチンコ機5においては、遊技機メイン基板40を遊技盤16に取り付け、払出制御基板41をパチンコ機本体18の本体枠に取り付けて構成されている。この構成においては、パチンコ機本体18の本体枠を機種毎に共通に使用し、遊技盤16を機種毎に設けることで複数の機種が構成されており、実際に、遊技店舗2においてパチンコ機5を入れ替える時には、遊技盤16だけを取り替えるという運用が一般的である。このような場合に、パチンコ機本体18に、本来とは異なる他の遊技盤16を誤って取り付けてしまった場合、遊技機搭載暗号基板56により遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の相互認証が不成立となることから、作業者は、上記のような誤取付を容易に察知でき、誤った組み合わせでのパチンコ機5の稼働を防止できる。
【0053】
パチンコ機本体18に組み込まれたタッチ液晶モジュール27は、CRユニット6により制御されて当該CRユニット6の表示部として機能する。すなわち、CRユニット6が遊技球貸出装置の装置本体に、タッチ液晶モジュール27が遊技球貸出装置の表示部に相当し、これらによって遊技球貸出装置65(遊技媒体貸出装置)が構成される。
【0054】
タッチ液晶モジュール27は、遊技球貸出装置65の装置本体たるCRユニット6に互いに通信可能に接続されており、タッチパネルを備えた液晶表示部66を備え、この液晶表示部66の表示画像を制御する画像表示制御信号SgがCRユニット6から入力されている。液晶表示部66に対するタッチ操作は、CRユニット6にタッチ操作入力信号Stとして出力され、当該CRユニット6にタッチ操作が入力される。すなわち、このタッチ液晶モジュール27は、パチンコ機5に組み込まれているものの、その表示動作はCRユニット6によって制御され、なおかつ、入力操作はCRユニット6に出力されており、CRユニット6の表示部及び操作部として構成されている。
【0055】
また、CRユニット6からタッチ液晶モジュール27には、当該タッチ液晶モジュール27の電力供給線67を介して動作電力が供給されている。すなわち、タッチ液晶モジュール27は、CRユニット6との間でパチンコ機5を介さずに直接的に通信し、また、動作電力もCRユニット6から供給を受ける構成であるため、パチンコ機5が備える電気回路を変更する必要が無く、製造等が容易となる。
【0056】
CRユニット6は、貸出装置制御基板68と、プリペイド媒体14を読み書きする価値媒体R/W69と、所定の遊技者に対してコンテンツ配信等のサービスを提供すべく遊技者IDを記録した例えば電子決済機能付き携帯電話等に対し遊技者IDを読み書きするID識別媒体R/W70と、紙幣識別機71と、リモコン操作を受け付けるためのリモコン受光部72と、各種異常等を検知するためのセンサ類73と、貸出装置搭載暗号基板74と、電源モジュール75とを備えている。
電源モジュール75は、CRユニット6の各部に電源を供給するとともに、上記のように、タッチ液晶モジュール27にも電力を供給する。また、この電源モジュール75の電力が貸出I/F用電源として、パチンコ機5の遊技機搭載暗号基板56、払出制御基板41、及びCR基板55のそれぞれに出力されている。遊技機搭載暗号基板56、及びCR基板55は、この貸出I/F用電源を駆動電源とし駆動し、また、払出制御基板41は貸出I/F用電源の入力を検知することでCRユニット6との導通状態を検知する。すなわち、払出制御基板41への貸出I/F用電源の入力を遮蔽することでパチンコ機5とCRユニット6とが非導通状態となり、パチンコ機5での遊技球の発射が禁止される。なお、遊技機搭載暗号基板56、及びCR基板55は、貸出I/F用電源の供給を検知していれば、パチンコ機5が備える電源を駆動電源として駆動しても良い。
【0057】
貸出装置搭載暗号基板74と遊技機搭載暗号基板56とは、それぞれCRユニット6の電源モジュール75とパチンコ機5の電源とによって駆動されるが、相互間の通信路の電気的ノイズを低減するために、貸出装置搭載暗号基板74、及び遊技機搭載暗号基板56をCRユニット6、及びパチンコ機5から電気的に絶縁する構成としても良い。すなわち、貸出装置搭載暗号基板74、及び遊技機搭載暗号基板56の通信路用に供される専用の所定電圧の直流電源をCRユニット6に設ける構成としても良い。また、専用の直流電源に対して、所定電圧を生成するための電力をパチンコ機5側から電力線PLを介して供給する構成としても良い。
【0058】
このCRユニット6には、パチンコ機5との接続コネクタとして、外部端子板54及び遊技機搭載暗号基板56との間の通信線を接続するコネクタCAと、タッチ液晶モジュール27との間の通信線を接続するコネクタCBとが、それぞれ別々に設けられている。
【0059】
貸出装置制御基板68は、各部を制御する主制御用のCPU76Aと、高速I/O(Input/Output)用のCPU76Bとを、それぞれに別々に有している。CPU76Bは、主としてタッチ液晶モジュール27に各種情報を表示するための画像処理や、当該タッチ液晶モジュール27に対するタッチ操作の受付処理といった、高速なデータのI/Oを要求される処理の制御を主に実行するものである。すなわち、貸出装置制御基板68には、高速I/O部品として、コンテンツサーバー35Eとの通信インターフェースである高速I/F77と、ワンセグ放送(ワンセグ:携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)を受信してタッチ液晶モジュール27に表示するワンセグユニット78と、画像や動画のキャッシュとして機能する画像・動画一時記憶部79と、タッチ液晶モジュール27との間で画像表示制御信号Sgを送受する通信I/Fとである高速通信I/F80と、当該タッチ液晶モジュール27からのタッチ操作信号の入力インターフェースであるシリアル通信I/F81とが設けられており、これらがCPU76Bによって制御される。このように画像処理等のデータの高速I/Oが要求される処理用に専用のCPU76Bを設けることで処理の遅延が防止される。
【0060】
2つのCPU76AとCPU76Bとは、それぞれCPU間通信I/F82A、82Bによって相互にデータ通信可能に接続され、連携が図られている。
主制御用のCPU76Aは、プリペイド媒体14や会員カード14Bのデータの読み書き、管理コンピュータ群8、及びデータ表示器34とのデータ送受等の制御、パチンコ機5に対する玉貸制御の他、さらに遊技中におけるプリペイド媒体14の残価値、持玉及び再プレイ可能玉数(貯玉数)を管理する。
詳述すると、CPU76Aは、キャッシュメモリを備え、当該キャッシュメモリを、プリペイド残価値記憶部83、貸出装置管理持玉数記憶部84、再プレイ可能玉数記憶部85、遊技機管理残玉数記憶部86として機能させる。
プリペイド残価値記憶部83は、プリペイド媒体14の残価値を記憶するものであり、プリペイド媒体14の投入時、或いは発行時にプリペイド管理サーバー35Bから取得した残価値を初期値として記憶し、玉貸操作に伴って残価値を減算更新し、またチャージ操作に伴って加算更新する。
【0061】
貸出装置管理持玉数記憶部84は、遊技者の持玉数を記憶する。すなわち、プリペイド媒体14がCRユニット6に投入されたときに、持玉管理サーバー35Cで管理されている持玉数が読み出されて貸出装置管理持玉数記憶部84に貸出装置管理持玉数として格納され、またタッチ液晶モジュール27に表示される。この貸出装置管理玉数は、遊技者が持玉を使用するごとに減算更新される。また、この貸出装置管理玉数は、パチンコ機5に記録されている遊技機管理発射可能玉数をパチンコ機5から持玉に移行する操作を遊技者が行った事を契機に加算更新される。本実施形態では、遊技終了のための返却スイッチ25Bの操作を移行操作とみなし、プリペイド媒体14の返却時に、貸出装置管理玉数を遊技機管理発射可能玉数で加算更新し、更新後の貸出装置管理玉数を持玉管理サーバー35Cに通知し、またプリペイド媒体14に記録する。この移行操作に伴い、遊技機管理発射可能玉数は「ゼロ」にクリアされる。
なお、持玉管理サーバー35Cで管理されている持玉数を貸出装置管理持玉数記憶部84に格納する構成に限らず、例えばプリペイド媒体14に記録されている持玉数や会員・景品管理サーバー35Dで管理されている貯玉数を貸出装置管理持玉数記憶部84に格納しても良い。
また、遊技機管理発射可能玉数から持玉への移行の契機としては、上記の他にも、例えばタッチ液晶モジュール27に設けた移行操作のためのボタンに対するタッチ操作や、休憩時にパチンコ機5をロックするための休憩ボタンが操作されたときなどが挙げられる。この休憩ボタン操作時のパチンコ機5のロック機能によれば、ロック時には、CRユニット6が貸出指示信号を送信しないようにすることでパチンコ機5での遊技球の貸出動作が行われないようになり、また遊技機管理発射可能玉数が持玉に移行して「ゼロ」にクリアされることで、遊技球を用いた遊技ができない状態(ロック状態)に維持される。
【0062】
再プレイ可能玉数記憶部85は、遊技者の貯玉数を記憶するものであり、会員カード14Bの挿入後パスワード認証正常終了時に、会員・景品管理サーバー35Dから取得した貯玉数を初期値として記憶し、貯玉の払出操作に伴って貯玉数を減算更新する。この貯玉数は、タッチ液晶モジュール27に再プレイ可能玉数として表示され、返却スイッチ25Bの操作時に、再プレイ可能玉数記憶部85に記憶されている貯玉数が会員・景品管理サーバー35Dに送信されて記録される。なお、このキャッシュメモリは、その他、各種情報の記憶部87としても用いられる。
【0063】
またCPU76Aは、上記CPU76Bが高速I/O部品を制御したのに対して、それよりも低速で良いI/O部品を制御する。すなわち、貸出装置制御基板68には、店内LAN9を介した管理コンピュータ群8との通信インターフェースであるシリアル通信I/F88と、ホールコンI/F装置36を介した遊技台計数管理装置35Aとの通信インターフェースであるシリアル通信I/F89と、パチンコ機5の外部端子板54との通信インターフェースである入力専用のシリアル通信I/F90と、後述する貸出装置搭載暗号基板74との通信インターフェースであるシリアル通信I/F91とを備え、これらがCPU76Aによって制御されている。
また、貸出装置制御基板68には、パラレル信号線10Aを介して遊技台計数管理装置35Aと接続するためのパラレルポート92が設けられており、パラレルポート92からの出力が光MOSリレー等の駆動回路を備えた信号変換器93で信号変換され、パラレル出力用コネクタ94に接続されたパラレル信号線10Aを介して遊技台計数管理装置35Aに出力される。
【0064】
この遊技システム15において、パチンコ機5が特別遊技状態に移行した場合、通常遊技状態に比べて多くの賞球を獲得することが期待できる。ところが、遊技機管理発射可能玉数記憶部48が記憶する発射可能玉数が残り少ない状態で、パチンコ機5が通常遊技状態から特別遊技状態に移行した直後など、賞球が払い出される前に、発射可能玉数が尽きてしまうことがある。このような場合には、貸出スイッチ25Aを操作して玉貸を行えばよいが、プリペイド残価値記憶部83の残価値がゼロ或いは最小の玉貸金額単位より少ないと、CRユニット6に追加のプリペイド媒体14を投入しなければ玉貸を行うことができず、遊技球を発射できないまま特別遊技状態が終了してしまう可能性もある。
そこで、本実施形態の遊技システム15では、パチンコ機5が特別遊技状態に移行していながら、発射可能玉数もプリペイド残価値記憶部83の残価値も不足している場合に、所定の条件のもとに玉貸を実行できる構成となっている。
【0065】
この玉貸は、遊技球の貸し出しに対する対価の徴収を伴わずに実行される。このため貸し出した遊技球分のマイナス勘定が発生するが、この遊技球分はその後の遊技で獲得された賞球で相殺するか、或いは、プリペイドカードの残高や現金により対価が支払われることで、精算される。つまり、先に遊技球の貸出のみを行い、対価は後払いで精算することになるので、このように玉貸を行うことを以下の説明では前借りと呼ぶ。
CRユニット6は、以下の条件(1)〜(6)が全て成立した場合に、自動的に前借りを実行する。
(1)パチンコ機5が特別遊技状態であり、大入賞口21が開放している。
(2)遊技機管理発射可能玉数記憶部48が記憶している発射可能玉数が所定値以下である。
(3)CRユニット6のプリペイド残価値記憶部83が記憶している残価値が所定値以下である。
(4)遊技球を通常通り発射することで、所定以上の遊技球が大入賞口21を通過すること、及び、所定値以上の賞球を獲得することが期待できる。
(5)遊技球発射ハンドル26の操作量(操作位置)が、大入賞口21周辺に遊技球を発射できる操作量(操作位置)である。
(6)既に実行された前借りのうち、精算されていない前借りの累積回数が、設定された上限回数に達していない。
前借りを実行した場合、CPU76Aは、実行中の前借りの回数を示す前借り実行回数を記憶部87に記憶し、さらに、前借りにより貸し出した遊技球の数(前借り玉数)を記憶部87に記憶する。上記の条件(6)として述べたように、前借りは予め設定された上限回数になるまで、続けて複数回実行可能である。前借りで貸し出された全ての遊技球が精算されると、記憶部87に記憶された前借り玉数及び前借り実行回数がクリアされる。
なお、上記の(1)〜(6)に加え、CRユニット6が管理する遊技者の貯玉(再プレイ使用可能玉数)及び持ち玉が、いずれもゼロまたは所定値(例えば、パチンコ機5への払出の最小単位)未満であることを、条件として加えてもよい。パチンコ機5に対する払出が可能な状況では前借り処理を行う必要性が乏しいためである。
【0066】
図3は、パチンコ機5が特別遊技状態に移行した場合の遊技球貸出装置65の動作を示すフローチャートである。
遊技球貸出装置65が備えるCPU76Aは、パチンコ機5からシリアル通信I/F90を介して入力される外部端子出力信号Soutを監視し、パチンコ機5の特別遊技状態への移行を検出すると(ステップS11)、この図3に示す動作を開始する。すなわち、パチンコ機5が特別遊技状態に移行している場合(ステップS11;Yes)、CPU76Aは、記憶部87に記憶されている前借り実行回数を参照し、この前借り実行回数が上限回数より少ないか否かを判別する(ステップS12)。
前借り実行回数が上限回数に達していない場合(ステップS12;Yes)、CPU76Aは、パチンコ機5における発射可能玉数を取得し、この発射可能玉数が、予め設定された基準値Nより少ないか否かを判別する(ステップS13)。CPU76Aは、パチンコ機5から入力される外部端子出力信号Soutに基づいて発射玉数、賞球数及びアウト球数を取得し、これらの数と、パチンコ機5に対して玉貸及び持玉の払出を行った数とを照合することにより、パチンコ機5の現在の発射可能玉数を算出できる。このため、CPU76Aは、パチンコ機5の発射可能玉数は遊技機管理発射可能玉数記憶部48に記憶されている発射可能玉数を取得する必要は無いが、パチンコ機5の払出制御基板41が、遊技機管理発射可能玉数記憶部48に記憶している発射可能玉数を示す信号をCRユニット6に出力してもよい。
【0067】
発射可能玉数が基準値Nより小さい場合(ステップS13;Yes)、CPU76Aは、プリペイド残価値記憶部83が記憶しているプリペイド残価値が、予め設定された基準値Vよりも少ないか否かを判別する(ステップS14)。
プリペイド残価値が基準値Vより少ない場合(ステップS14;Yes)、CPU76Aは、現在発生している特別遊技状態に対して期待できる入賞数(見込み入賞球数)を取得し、この見込み入賞球数が基準値Rpより大きいか否かを判別する(ステップS15)。見込み入賞球数が基準値Rpより大きい場合(ステップS15;Yes)、CPU76Aは、現在発生している特別遊技状態に対して期待できる獲得賞球数(見込み賞球数)を取得し、見込み賞球数が基準値Rwより大きいか否かを判別する(ステップS16)。
【0068】
上述のようにパチンコ機5の特別遊技状態には複数の種類があり、種類毎に、大入賞口21の開放時間、開放回数、大当たり抽選における当選確率が異なる。つまり、特別遊技状態の種類によって、大入賞口21への入りやすさと、この入賞により獲得できる賞球数が異なっている。大入賞口21への入りやすさ及び入賞により獲得できる賞球数は、前借りした遊技球をその後の賞球により精算できるか否かに影響する。
CRユニット6は、入賞数と獲得賞球数の期待値を、予め、特別遊技状態の種類ごとに記憶部87に記憶しており、CPU76Aは、現在の特別遊技状態における入賞数と獲得賞球数の期待値を取得して基準値Rp、Rwと比較することで、精算の見込みが高いか否かを判別する(ステップS15、S16)。この判別を行うことで、前借りの後に賞球を獲得できずに精算できない状態、すなわち徴収不能状態を防止できる。
なお、遊技球貸出装置65が、パチンコ機5から入力される外部端子出力信号Soutに基づいて、入賞数と獲得賞球数の期待値を算出することも可能である。この場合、実際にパチンコ機5が稼働している間に発生する各特別遊技状態について、実際のパチンコ機5の遊技特性を反映した正確な期待値を得ることができ、確実に徴収不能状態を防止し、より適切に前借りを行える。
【0069】
見込み賞球数が基準値Rwより大きい場合(ステップS16;Yes)、CPU76Aは、遊技球発射ハンドル26(操作ハンドル)の操作量が適正範囲内であるか否かを判別する(ステップS17)。遊技球発射ハンドル26の操作量は、発射制御基板43が検出した操作量が払出制御基板41により取得され、払出制御CPU41Aにより外部端子出力信号SoutとしてCRユニット6に入力される。CPU76Aは、パチンコ機5から入力される外部端子出力信号Soutに基づき遊技球発射ハンドル26の操作量を取得する。ここで、遊技球発射ハンドル26の操作量の適正範囲とは、遊技球が入賞する可能性が高い範囲を指す。例えば、適正範囲を狭くする場合は、発射された遊技球が大入賞口21に入賞しやすい範囲とする。具体的には、発射された遊技球が始動入賞口19や入賞口20が位置する領域に達する確率が高い範囲であり、この領域を大きく超えてしまう操作量や遊技球の弾発力が弱く遊技球が始動入賞口19や入賞口20が位置する領域に達しない操作量を除外することが望ましい。これは、遊技球発射ハンドル26の操作量が不適切で入賞が見込めない場合に前借りを行わないようにするためである。
【0070】
ここで、上記(2)〜(4)の条件成立の判定に用いる基準値について説明する。
発射可能玉数の基準値Nは、例えばN=1に設定され、この場合は発射可能玉数が完全にゼロにならなければ前借りが行われないので、前借りの頻度を抑えることができるという利点がある。また、基準値Nを1より大きくした場合には、発射可能玉数が減少傾向にある場合に速やかに前借りが行われるので、遊技者が遊技球発射ハンドル26を操作したまま、特に意識せず前借りが実行され、遊技を切れ目なく継続できるという利点がある。この効果は基準値Nが大きいほど顕著になるが、発射可能玉数が数十発あれば前借りの必要性が小さいということができるので、基準値Nは、例えば50程度を上限とする。
プリペイド残価値の基準値Vは、例えばV=1に設定され、この場合は残価値が完全にゼロにならなければ前借りが行われない。一般的な遊技場では、一回の玉貸の最小単位が設定されている。例えば、単価が4円/玉の場合には500円または1000円が玉貸の最小単位であり、単価が1円/玉の場合は100円が玉貸の最小単位である。プリペイド残価値記憶部83の残価値が上記最小単位金額未満の場合、通常の玉貸は不可能であるから、前借りの対象となる。つまり、基準値Vの具体的な値としては、玉貸の単位金額以下とすることが挙げられる。この場合、通常の玉貸が実行可能な場合は前借りが実行されないので、前借りの頻度を抑えることができる。
また、見込み入賞球数に関する基準値Rp及び見込み賞球数に関する基準値Rwは、いずれも、一回の前借りで貸し出される遊技球によって、この遊技球以上の賞球を獲得できることを示す値であればよい。具体的には、一回の前借りで50発の遊技球を貸し出す場合には、基準値Rp及び基準値Rwは、50発の遊技球を発射した場合に50発以上の賞球獲得が見込める値であればよい。
なお、ステップS15、S16における判別は、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。上記のように、大入賞口21への入賞一回につき獲得できる賞球数は、例えば15個と定められているので、見込み入賞球数または見込み賞球数のいずれか一方が基準値を超えていれば、他方も基準値を超えていると見做すことができる。この場合、判別の回数及び必要な基準値が減るので、処理の高速化を図ることができる。
【0071】
そして、ステップS11〜S17の判別により、上記の条件(1)〜(6)の全てを満たすと判別された場合(ステップS17;Yes)、CPU76Aは設定された数の前借りを実行し(ステップS18)、これによりパチンコ機5の発射可能玉数が加算される。一回の前借りで加算される発射可能玉数は、パチンコ機5において賞球の払出が発生するまで遊技を継続できる数であればよく、例えば10発〜数十発程度であるが、現金により精算しやすい数としたり、パチンコ機5の当選確率等の遊技特性に合わせて設定したりしても好ましい。
【0072】
その後、CPU76Aは、記憶部87に記憶される前借り実行回数を1回分加算するとともに、前借りによって貸し出した玉数(前借り玉数)を加算し(ステップS19)、加算後の前借り実行回数と前借り玉数とをタッチ液晶モジュール27に表示して、本処理を終了する。
また、ステップS11〜S17において条件を満たさなかった場合(ステップS11〜S17;No)、CPU76Aは前借りを行わずに本処理を終了する。処理終了後、CPU76Aはパチンコ機5が特別遊技状態か否かの監視を継続し、特別遊技状態であればステップS11から処理を実行する。
【0073】
一回の前借り処理において貸し出す遊技球の数は任意であるが、上記の徴収不能状態を回避するためには少ない方がよい一方、確実に遊技球を大入賞口21に入賞させて遊技球を獲得するためには多い方がよい。このため、予め,特別遊技状態の種類毎の獲得賞球数の期待値に基づき、特別遊技状態の種類毎に、前借り処理で貸し出す遊技球の数が定められ、記憶部87に記憶されている。具体的には、獲得賞球数の期待値以下で、なるべく多い数に設定される。これにより、前借り処理における貸しすぎを防止し、かつ、より確実に賞球を得られるようにして、徴収不能状態を回避できる。
ここで、特別遊技状態の種類毎の獲得賞球数の期待値ではなく、特別遊技状態において大入賞口21に入賞させて賞球を獲得するために最小限必要な発射球数の期待値を求め、この期待値を超えるように、前借り処理で貸し出す遊技球を設定してもよい。この場合、一回の前借り処理で貸し出す遊技球の数を、効果的かつ最小限の数に抑えられる。
【0074】
続いて、前借り処理で貸し出した遊技球を精算する動作について説明する。
図4は、前借り処理を実行した後の遊技球貸出装置65の動作を示すフローチャートである。この図4に示す動作は、記憶部87が記憶している前借り実行回数が1以上の場合に実行される。
遊技球貸出装置65が備えるCPU76Aは、パチンコ機5から入力される外部端子出力信号Sout及びパチンコ機5に対して玉貸、持玉の払出及び前借りで貸し出した遊技球の数に基づいて、パチンコ機5の現在の発射可能玉数を算出し、この発射可能玉数が、記憶部87が記憶している前借り玉数にマージンMを加えた値より多いか否かを判別する(ステップS31)。そして、前借り玉数にマージンMを加えた値より発射可能玉数が多い場合(ステップS31;Yes)、CPU76Aは前借り玉数精算コマンドを生成し、払出指示信号と同様の経路でパチンコ機5の払出制御基板41へ送信する(ステップS32)。
前借り玉数精算コマンドは、前借り玉数に相当する分だけ、発射可能玉数を持玉に移行することを指示するコマンドである。払出制御基板41の払出制御CPU41Aは、前借り玉数精算コマンドを受信すると、遊技機管理発射可能玉数記憶部48に記憶している発射可能玉数から、前借り玉数精算コマンドとともに受信した前借り玉数と同数の玉数を減算し、持玉に移行すべく持玉移行用の信号を生成してCRユニット6へ送信する。
CPU76Aは、パチンコ機5から持玉移行用の信号を受信するまで待機し(ステップS33)、パチンコ機5から持玉移行用の信号を受信し、この持玉移行用の信号によって前借り玉数と同数の発射可能玉数が移行されたことを確認すると(ステップS33;Yes)、記憶部87に記憶している前借り実行回数及び前借り玉数をクリアするとともに、タッチ液晶モジュール27に表示中の前借り実行回数及び前借り玉数の表示を消去する(ステップS34)。
【0075】
この図4に示す処理では、パチンコ機5で獲得された賞球から、前借り処理で貸し出した遊技球が減算されることで、前借り処理において貸し出しを行った対価が精算される。すなわち、CRユニット6は、前借り処理で遊技球を貸し出した対価を、遊技球の現物または遊技球の数を示すデータによって徴収するので、前借り処理による損の発生を防止できる。
【0076】
図3に示す前借り処理において記憶部87に記憶させる前借り玉数は、パチンコ機5の発射可能玉数として加算された玉数としてもよいが、前借り処理の手数料に相当するものとして所定数の玉数を加算し、記憶部87に記憶してもよい。この場合、手数料相当の玉数を徴収できることになるので、徴収不能状態の発生によって遊技場が被る損失の一部を補償することが可能になり、サービスとして前借りを導入しやすくなる。
また、図4に示す処理において、前借り玉数精算コマンドを送信する際に、前借り処理で貸し出した発射可能玉数に手数料相当の玉数を加算した数を、前借り玉数として送信してもよい。この場合も、前借り玉数を精算する際に手数料分を徴収できるので、徴収不能状態の発生によって遊技場が被る損失の一部を補償できる。
【0077】
なお、前借り処理の遊技球の貸し出しに対する対価の徴収は、図4で説明したように前借り玉数精算コマンドを用いる方法に限らず、他にも様々な方法がある。
例えば、遊技者が遊技を終了する際には、CRユニット6の会員カード14Bの返却スイッチ25Bが操作され、この操作を契機としてCRユニット6から発射可能玉数移行要求コマンドが払出制御基板41に出力される。払出制御基板41は、この発射可能玉数移行要求コマンドを受信した場合、発射可能玉数をCRユニット6に価値移行する決済処理を行い、発射可能玉数をゼロにクリアする。ここで、CRユニット6は、価値移行される遊技球の数から、記憶部87に記憶している前借り玉数を減算し、残りを会員カード14Bの持玉数として記録すればよい。この場合、遊技終了に伴って確実に前借り玉数を精算できる。
仮に、決済処理で価値移行される遊技球の数が前借り玉数に満たない場合には、CRユニット6がタッチ液晶モジュール27にメッセージを表示して、前借り玉数の未精算を報知し、追加のプリペイド媒体14または現金の投入による精算を求めるようにしてもよい。この場合、精算が完了してはじめて会員カード14Bを返却する構成としてもよいし、遊技システム15が設置された遊技場のホールスタッフの操作により会員カード14Bを返却する構成としてもよい。
【0078】
また、記憶部87に未精算の前借り玉数が記憶されている状態で、CRユニット6に現金または追加のプリペイド媒体14が投入された場合に、この現金またはプリペイド媒体14のプリペイド残価値により前借り玉数を精算してもよい。この場合、CRユニット6は、現金またはプリペイド媒体14の投入を検出すると、CRユニット6がタッチ液晶モジュール27に前借り玉数の精算を案内するメッセージを表示する。ここで、タッチ液晶モジュール27のタッチ操作により精算が指示されると、CRユニット6は投入金額または投入されたプリペイド媒体14のプリペイド残価値から、前借り玉数に相当する金額またはプリペイド残価値を差し引く。
【0079】
図5は、タッチ液晶モジュール27に表示される画面の構成例を示す図である。図5(A)は前借り実行後に表示される画面の例を示し、(B)は前借り玉数を精算した後に表示される画面の例を示す。
この図5(A)に示す画面110Aには、会員カード14Bに対応付けられた会員番号や会員カード番号、この会員の再プレイ使用可能玉数が表示される会員情報表示部111と、前借り処理を実行したことを示すメッセージ表示部112と、前借り実行回数および前借り玉数を表示する前借り状況表示部113と、玉貸実行や遊技終了を指示するための操作ボタン114とが配置されている。
画面110Aは、CRユニット6のCPU76Aの制御により前借り処理を実行した後でタッチ液晶モジュール27に表示され、遊技者に前借り処理の内容を知らせる。
また,図5(B)に示す画面110Bは、例えば図4に示す処理により前借り玉数が精算された後に表示され、画面110Bには会員情報表示部111、前借り状況表示部113、及び操作ボタン114の他、前借り玉数が精算されたことを示すメッセージ表示部115が配置されている。
このように、前借り処理が行われた場合は、前借り処理の状況がタッチ液晶モジュール27に表示されるので、遊技者に対して前借り処理及び前借り玉数の精算の実行を報知できる。また、遊技者は、前借り玉数が精算されるまで前借り処理の状況を容易に知ることができる。
【0080】
また、遊技システム15では、上記のように遊技者である会員がグループに属している場合に、同じグループに属する他の会員の貯玉数及び/又は持玉数を参照できる。そこで、前借り玉数を、他の会員の貯玉数及び/又は持玉数を使用して精算する構成とすることも可能である。
具体的には、CRユニット6において前借り処理が行われた場合に、CRユニット6が会員・景品管理サーバー35D及び持玉管理サーバー35Cに問い合わせを行い、遊技中の会員と同じグループのグループメンバーの再プレイ使用可能玉数を取得し、タッチ液晶モジュール27に一覧表示する。ここで遊技者である会員のタッチ操作により、グループメンバーが指定され、前借り玉数の精算が指示されると、指定されたグループメンバーの再プレイ使用可能玉数が減算されて前借り玉数が精算される。再プレイ使用可能玉数の減算は、会員・景品管理サーバー35Dが管理する再プレイ使用可能玉数に反映される。なお、再プレイ使用可能玉数(貯玉数)に限らず、持玉管理サーバー35Cが管理する持玉数により前借り玉数を精算してもよい。
【0081】
図6は、タッチ液晶モジュール27に表示される画面の構成例を示す図であり、図6(A)は前借り実行後に表示される画面の例を示し、(B)は、前借り玉数を同じグループの他の会員の再プレイ使用可能玉数により精算する場合に表示される画面の例を示す。
この図6(A)に示す画面110Cは、図5(A)に示した画面110Aと同様、CRユニット6により前借り処理が実行された後にタッチ液晶モジュール27に表示される。この画面110Cには、画面110Bには会員情報表示部111、メッセージ表示部112、前借り状況表示部113、及び操作ボタン114の他、前借り玉数の精算を指示する精算指示ボタン116が配置されている。
【0082】
精算指示ボタン116が操作されると、CRユニット6は、会員・景品管理サーバー35Dに問い合わせを行って、前借り処理が行われた遊技者と同じグループのメンバーを探索し、各メンバーの再プレイ使用可能玉数を取得して、図6(B)に示す画面110Dを表示する。
画面110Dには、グループメンバーごとに、会員番号、名前、及び再プレイ使用可能玉数を表示するメンバー情報表示部117と、そのメンバーから再プレイ使用可能玉数を借りて精算することを指示する精算実行ボタン118とが配置されている。また、精算指示ボタン116はグレーアウトされている。
同じグループに属する複数のメンバーの再プレイ使用可能玉数が一覧表示された画面110Dを元に、遊技者は、メンバーを選択して操作を行うだけで、そのメンバー(会員)の再プレイ使用可能玉数を借りて、自分の前借り玉数を精算できる。
【0083】
以上のように、本発明を適用した実施形態において、遊技球を使用して遊技を実行するパチンコ機5と、パチンコ機5に遊技球を貸し出す遊技球貸出装置65とを通信可能に接続した遊技システムであって、パチンコ機5は、遊技中の所定の抽選契機成立ごとに当落抽選を行い、抽選結果に基づいて通常の遊技状態と特別遊技状態とを遷移する一方、抽選結果に応じて獲得された遊技球の数を示す移行用信号を遊技球貸出装置65に出力して、獲得された遊技球を遊技球貸出装置65に移行し、遊技球貸出装置65は、パチンコ機5が特別遊技状態であり、かつ、パチンコ機5が使用可能な発射可能球数が所定以下の場合に、遊技球の貸出の対価を徴収することなく遊技球をパチンコ機5に貸し出す前借り処理を行い、前借り処理の後にパチンコ機5から遊技球が移行された場合に、移行された遊技球によって前借り玉数を精算する。
これにより、パチンコ機5が特別遊技状態に移行し、パチンコ機5の発射可能玉数が所定以下の場合に遊技球貸出装置65からパチンコ機5に対して、前借り処理により、貸出の対価を徴収することなく遊技球が貸し出されるので、発射可能玉数が不足して特別遊技状態の機会を逸することなく、遊技を継続できる。また、パチンコ機5は賞球を遊技球貸出装置65に持玉または貯玉として移行する構成であるため、前借り処理で貸し出した遊技球を遊技球貸出装置65において賞球で精算できる。このため、遊技球貸出装置65が確実に前借り玉数を精算できるので、パチンコ機5が遊技球の精算を行う必要がなく、パチンコ機5の構成を複雑化させる必要がない。
【0084】
また、遊技システム15において、パチンコ機5は、遊技球を循環利用する封入球式のパチンコ機5であり、抽選結果に応じて獲得された遊技球の排出に代えて遊技球を遊技球貸出装置65の貯玉として移行するものである。このため、パチンコ機5に対して前借り処理で貸し出した遊技球の対価を確実に精算して徴収できるので、徴収不能状態による損失の発生を防止できる。例えば、パチンコ機5が賞球を上皿等に払い出してしまう場合には、前借り玉数が精算されないまま賞球が全てパチンコ機5から払い出され、徴収不能状態となる可能性があるが、パチンコ機5が封入式であって賞球を遊技球貸出装置65に移行する構成であるため、徴収不能状態を確実に回避できる。
【0085】
また、遊技球貸出装置65は、前借り処理において、パチンコ機5が特別遊技状態に移行した場合に獲得される遊技球数の期待値に対応する数の遊技球を貸し出すので、前借り処理における貸しすぎを防止し、かつ、より確実に賞球を得られるようにして、徴収不能状態を回避できる。
また、遊技球貸出装置65は、遊技球の貸出に使用可能な価値情報であるプリペイド価値に対応付けられたプリペイド媒体14が投入された場合に、このプリペイド価値と引き換えにパチンコ機5に遊技球を貸し出し、貸し出しの対価としてプリペイド価値を減算するものであり、プリペイド残価値記憶部83に記憶しているプリペイド媒体14の残価値が基準値Vより少ない場合に前借り処理を実行する。また、遊技球貸出装置65は、再プレイ可能玉数記憶部85(貯玉記憶部)にパチンコ機5から移行された貯玉(再プレイ使用可能玉数)の数を記憶し、この貯玉の数が所定以下の場合に、前借り処理を行う。これらの構成により、不要な前借り処理の実行を抑えることができる。
さらに、遊技球貸出装置65は、前借り処理の後に新たなプリペイド媒体14が投入された場合には、この新たなプリペイド媒体14のプリペイド残価値により、前借り処理で貸し出した遊技球の対価を精算することも可能である。この場合、前借り処理の後に前借り玉数を超える十分な賞球を得られなかった場合であっても、容易に精算できる。
【0086】
また、遊技者毎に貯玉数を管理する持玉管理サーバー35C及び会員・景品管理サーバー35Dが、遊技球貸出装置65が前借り処理で貸し出した遊技球を、前借り処理時に遊技中の遊技者とは別の遊技者の貯玉数から減算する構成とすれば、他の遊技者の貯玉により前借り玉数を精算できる。これにより、特別遊技状態の遊技において前借り玉数を超える十分な賞球を得られない場合であっても、容易に精算を行える。会員・景品管理サーバー35Dは、1または複数の遊技者で構成されるグループと、各グループに属する遊技者とを対応付けて管理し、遊技球貸出装置65が前借り処理で貸し出した遊技球の数を、前借り処理時に遊技中の遊技者と同じグループに属する他の遊技者の貯玉数から減算するので、同じグループのメンバー同士で貯玉を融通し合うことで、より興趣性および利便性を高めることができる。また、同じグループのメンバー以外では貯玉を融通しないことで、意図せず貯玉を他の遊技者に使用されることがない。
【0087】
なお、上述した実施形態において、CRユニット6は、例えば条件(1)〜(6)が全て成立した場合に、自動的に前借り処理を実行する物として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前借り処理の実行を指示するスイッチ(図示略)を設け、このスイッチの操作に応じて前借り処理を実行してもよい。この場合、スイッチ操作とともに、上記の条件(1)〜(6)の全てが成立することを必要な要件としてもよいし、その一部(例えば、条件(1)〜(4)、(6))のみが成立することで前借り処理を実行してもよい。このスイッチは、物理的に独立した形態でCRユニット6またはパチンコ機5の前面に設けてもよいし、タッチ液晶モジュール27にボタンを表示してもよい。
【0088】
また、上述した実施形態においては、プリペイド媒体14として会員カード14BがCRユニット6に投入された場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、ICコイン14Aのプリペイド残価値を対価として玉貸を行う場合にも本発明を勿論適用可能である。
【0089】
また上述した実施形態及び各変形例では、遊技機の一例としてパチンコ機5を例示したが、これに限らず、遊技媒体の投入を条件に、所定の抽選契機成立時に当落抽選を行う遊技機であれば、任意の遊技機に本発明を適用できる。かかる遊技機には、例えば、遊技メダルを遊技媒体に使用し、遊技メダルの投入を条件に、操作レバーが操作された時に当落抽選を行うパチスロ機などが挙げられる。この場合には、本発明の遊技媒体貸出装置が遊技メダルをパチスロ機に貸し出す遊技メダル貸出装置に適用される。
【符号の説明】
【0090】
1 遊技サービスシステム
5 パチンコ機(遊技機)
6 CRユニット
14 プリペイド媒体
15 遊技システム
16 遊技盤
18 パチンコ機本体
27 タッチ液晶モジュール
35C 持玉管理サーバー
35D 会員・景品管理サーバー
40 遊技機メイン基板
41 払出制御基板
43 発射制御基板
48 遊技機管理発射可能玉数記憶部
65 遊技球貸出装置(遊技媒体貸出装置)
76A CPU
83 プリペイド残価値記憶部
84 貸出装置管理持玉数記憶部
87 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を使用して遊技を実行する遊技機と、前記遊技機に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置とを通信可能に接続した遊技システムであって、
前記遊技機は、遊技中の所定の抽選契機成立ごとに当落抽選を行い、抽選結果に基づいて通常の遊技状態と特別遊技状態とを遷移する一方、抽選結果に応じて獲得された遊技媒体の数を示す移行用信号を出力して、獲得された遊技媒体を前記遊技媒体貸出装置に移行し、
前記遊技媒体貸出装置は、
前記遊技機が特別遊技状態であり、かつ、前記遊技機が使用可能な遊技媒体の残数が所定以下の場合に、遊技媒体の貸出の対価を徴収することなく遊技媒体を前記遊技機に貸し出す前借り処理を行い、
前記前借り処理の後に前記遊技機から遊技媒体が移行された場合に、移行された前記遊技媒体で前記前借り処理で貸し出した遊技媒体を精算することを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記遊技機は、遊技媒体を循環利用する封入球式の遊技機であり、抽選結果に応じて獲得された遊技媒体の排出に代えて遊技媒体を前記遊技媒体貸出装置に移行することを特徴とする請求項1記載の遊技システム。
【請求項3】
前記遊技媒体貸出装置は、前記前借り処理において、前記遊技機が特別遊技状態に移行した場合に獲得される前記遊技媒体数の期待値に対応する数の遊技媒体を貸し出すことを特徴とする請求項1または2記載の遊技システム。
【請求項4】
遊技媒体を使用して遊技を実行し、遊技中の所定の抽選契機成立ごとに当落抽選を行い、抽選結果に基づいて通常の遊技状態と特別遊技状態とを遷移する一方、抽選結果に応じて獲得された遊技媒体の数を示す移行用信号を出力して、獲得された遊技媒体を前記遊技媒体貸出装置に移行する遊技機に接続され、前記遊技機に遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置において、
前記遊技機が特別遊技状態であり、かつ、前記遊技機が使用可能な遊技媒体の残数が所定以下の場合に、遊技媒体の貸出の対価を徴収することなく遊技媒体を前記遊技機に貸し出す前借り処理を行い、
前記前借り処理の後に前記遊技機から遊技媒体が移行された場合に、移行された前記遊技媒体で前記前借り処理で貸し出した遊技媒体を精算することを特徴とする遊技媒体貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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