説明

遊技システム、各台装置、封入式遊技機及び異常検知方法

【課題】封入式遊技機に封入された内部循環遊技媒体の洗浄を含むメンテナンスを効率良く行うことを課題とする。
【解決手段】封入式遊技機20に封入したパチンコ玉の数を内部玉数計数部23eが計数して内部玉数データ22cを計数し、内部玉数データ22cが示す内部玉数と内部玉数初期値10e5と比較して、その差が所定値を超える場合には玉詰まりが発生したと判定する。封入式遊技機20が発射したパチンコ玉の数を発射玉数計数部23dが計数して累積発射玉数を算定し、累積発射玉数が所定の閾値を超える場合にはパチンコ玉のクリーニングが必要であると判定する。封入式遊技機20が発射したパチンコ玉の数の平均滞留時間を滞留時間測定部23fが測定し、平均滞留時間と滞留時間初期値10e6との差が所定のしきい値を超える場合にはパチンコ玉の滞留時間に異常が発生したと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技システム、各台装置、封入式遊技機及び異常検知方法に関し、特に、封入式遊技機に封入された内部循環遊技媒体の洗浄を含むメンテナンスを効率良く行うことができる遊技システム、各台装置、封入式遊技機及び異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店等の遊技店には、一般的に遊技機の機外にパチンコ玉等の遊技媒体を投出する遊技機(以下、「開放式遊技機」と言う)が配設されてきたが、最近になって、他店からの持込玉や異なる貸出レート間の持込玉の問題が顕在化してきたため、かかる持込玉が発生しない封入式遊技機が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、遊技客がパチンコ玉に触れない構造とし、パチンコ玉が入賞すると該入賞分のパチンコ玉数を持玉数に加算し、入賞しないアウト玉分のパチンコ玉数を持玉数から減算する封入式遊技機が開示されている。
【0004】
かかる封入式遊技機では、少量(例えば200玉)のパチンコ玉を内部循環球として繰り返し使用するため、装置外部へのパチンコ玉の排出や装置外部からのパチンコ玉の受け入れが発生しないため、上記持込玉に関する問題が生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−233635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる封入式遊技機については、内部循環球の洗浄を含むメンテナンスをどのようにして行うかが問題となる。一般的に、パチンコ玉が汚れる原因は、盤面や通路の摩耗により生ずる金属粉やゴミ若しくは人体の手垢であると考えられるが、封入式遊技機の場合には、人体の手垢の影響は除外できる反面で、金属粉やゴミ等の付着が開放式遊技機の場合よりも大きな問題となる。内部循環球を使用する封入式遊技機では、1玉あたりの使用頻度が高く、金属粉やゴミ等が付着する可能性が高いからである。
【0007】
本来、少量の内部循環球で遊技を行う封入式遊技機では、各内部循環球の挙動が一律であることが望まれ、内部循環球ごとに挙動が変化してはいけない。封入式遊技機の遊技性に大きな影響を与えるためである。
【0008】
これらの事から、いかなるタイミングで内部循環球をメンテナンス(洗浄を含む)するかが重要な課題となっている。特に、各封入式遊技機の盤面は遊技機メーカーごとに異なり、封入式遊技機の設置環境及び稼働率によってもメンテナンスのタイミングが異なるため、封入式遊技機ごとにメンテナンスのタイミングを図る必要がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解消するためになされたものであって、封入式遊技機に封入された内部循環遊技媒体の洗浄を含むメンテナンスを効率良く行うことができる遊技システム、各台装置、封入式遊技機及び異常検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、装置外部への取り出しが制限される所定数の内部循環遊技媒体を用いた遊技を提供する封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設される各台装置とを通信可能に接続した遊技システムであって、前記封入式遊技機は、前記内部循環遊技媒体に係る情報を計数する計数手段と、前記計数手段により計数された計数結果に関する計数結果関連情報を前記各台装置に通知する通知手段とを備え、前記各台装置は、前記計数結果関連情報に基づいて異常を検知する検知手段と、前記検知手段により検知した異常を報知する異常報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記計数手段は、前記内部循環遊技媒体の数を前記内部循環遊技媒体に係る情報として計数し、前記検知手段は、前記封入式遊技機から受け取った前記内部循環遊技媒体の数と所定の遊技媒体数と比較して、その差が所定値を超える場合には異常が発生したものと検知することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記計数手段は、所定の盤面に発射された前記内部循環遊技媒体の累積数を前記内部循環遊技媒体に係る情報として計数し、前記検知手段は、前記封入式遊技機から受け取った前記内部循環遊技媒体の累積数が所定の遊技媒体数を超える場合には異常が発生したものと検知することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、装置外部への取り出しが制限される所定数の内部循環遊技媒体を用いた遊技を提供する封入式遊技機と通信可能に併設される各台装置であって、前記封入式遊技機から受け取った前記内部循環遊技媒体に係る情報に基づいて異常を検知する検知手段と、前記検知手段により検知した異常を報知する異常報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、装置外部への取り出しが制限される所定数の内部循環遊技媒体を用いた遊技を提供する封入式遊技機であって、前記内部循環遊技媒体に係る情報を計数する計数手段と、前記計数手段により計数された計数結果に関する情報に基づいて異常を検知する検知手段と、前記検知手段により検知した異常を報知する異常報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記検知手段により異常が検知され、かつ、所定の係員操作を受け付けた場合に、自装置の前面に設けられた排出口から前記内部循環遊技媒体を排出するよう制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、装置外部への取り出しが制限される所定数の内部循環遊技媒体を用いた遊技を提供する封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設される各台装置とを通信可能に接続した遊技システムの異常検知方法であって、前記封入式遊技機が、前記内部循環遊技媒体に係る情報を計数する計数工程と、前記計数工程により計数された計数結果に関する計数結果関連情報を前記各台装置に通知する通知工程と、前記各台装置が、前記計数結果関連情報に基づいて異常を検知する検知工程と、前記検知工程により検知した異常を報知する異常報知工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、封入式遊技機の内部循環遊技媒体に係る情報を計数し、計数結果に基づいて異常を検知し、検知した異常を報知するよう構成したので、封入式遊技機に封入された内部循環遊技媒体の洗浄を含むメンテナンスを効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例1に係る遊技システムの概念を説明するための説明図である。
【図2】図2は、実施例1に係る遊技システムのシステム構成を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した台間カード処理機及び封入式遊技機の外観構成を示す図である。
【図4】図4は、図2に示した台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、封入式遊技機による発射玉数及び内部玉数の計数について説明するための説明図である。
【図6】図6は、図5に示したセンサの構成を説明するための説明図である。
【図7】図7は、図3に示した玉排出口について説明するための説明図である。
【図8】図8は、クリーニング済のパチンコ玉の投入について説明するための説明図である。
【図9】図9は、台間カード処理機の処理手順について説明するフローチャートである。
【図10】図10は、図9に示したクリーニング判定処理について説明するフローチャートである。
【図11】図11は、図9に示した内部玉数異常判定処理について説明するフローチャートである。
【図12】図12は、図9に示した滞留時間判定処理について説明するフローチャートである。
【図13】図13は、封入式遊技機において持玉を管理する場合の台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、一体型の封入式遊技機の外観構成を示す外観構成図である。
【図15】図15は、図14に示した封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、封入式遊技機の内部にクリーニングユニットを設置する場合の構成について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る遊技システム、各台装置、封入式遊技機及び異常検知方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例1では、封入式遊技機において持玉データを管理する場合を示し、実施例2では、その他の構成の変形例について示すこととする。
【実施例1】
【0020】
まず、本実施例1に係る遊技システムの概念について説明する。図1は、実施例1に係る遊技システムの概念を説明するための説明図である。同図に示すように、実施例1では、封入式遊技機20の玉貯留部26に貯留されたパチンコ玉(内部循環球)は、ハンドル21により盤面に発射され、盤面を経由して玉貯留部26に戻る。
【0021】
玉貯留部26からハンドル21に至る経路には、センサ28が設けられる。センサ28は、ハンドル21により発射されたパチンコ玉の数を発射玉数として計数する。遊技システムは、この発射玉数の計数結果を加算して求めた累積発射玉数に基づいて、パチンコ玉のクリーニング(洗浄)を行う必要があるか否かを判定する。パチンコ玉のクリーニングを行う必要があると判定したならば、遊技システムは、判定結果を報知し、封入式遊技機20の玉排出口25からパチンコ玉を排出可能となるように制御する。
【0022】
また、玉貯留部26には、センサ28が設けられる。センサ28は、玉貯留部26に貯留されたパチンコ玉の数を内部玉数として計数する。遊技システムは、この内部玉数に基づいて、パチンコ玉の玉詰まりが発生したか否かを判定する。玉詰まりが発生したと判定したならば、遊技システムは、判定結果を報知し、封入式遊技機20の玉排出口25からパチンコ玉を排出可能となるように制御する。
【0023】
玉排出口25から排出されたパチンコ玉は、クリーニング等を含むメンテナンスを受けた後、再度封入式遊技機20に封入される。従って、封入式遊技機20は適切なタイミングでメンテナンスが行われ、パチンコ玉の挙動を一律に保つことができる。
【0024】
このように、本実施例に係る遊技システムは、パチンコ玉の発射玉数及び内部玉数を計数し、計数結果に基づいて異常を検知し、検知した異常を報知するので、封入式遊技機に封入された内部循環遊技媒体の洗浄を含むメンテナンスを効率良く行うことができる。
【0025】
次に、本実施例1に係る遊技システムのシステム構成について説明する。図2は、実施例1に係る遊技システムのシステム構成を示す図である。同図に示すように、この遊技システムは、複数の封入式遊技機20と、各封入式遊技機20にそれぞれ対応して設けられた台間カード処理機10と、カード管理装置40と、会員管理装置50と、精算機60と、景品管理装置70と、遊技場管理装置90とが通信回線80を介して接続されている。
【0026】
封入式遊技機20は、装置内部に封入されたパチンコ玉を遊技領域に打ち込んで遊技客がパチンコ遊技を行うパチンコ機等の装置である。この封入式遊技機20は、台間カード処理機10が玉貸し処理を行った場合に持玉数を加算し、持玉が存在する範囲で、遊技領域(盤面)にパチンコ玉を打ち込むことができる。当該遊技領域には、複数の入賞領域(入賞口)が設けられており、当該入賞領域をパチンコ玉が通過したことに基づいて所定個数のパチンコ玉を賞玉として付与するようになっている。また、遊技領域には、所定個数の始動領域(始動口)が設けられており、当該始動領域をパチンコ玉が通過したことに基づいて所定の抽選を行うこととなっている。当該抽選が大当りとなれば、所定の可動部材等の作動により、前述の入賞領域あるいは他の始動領域へのパチンコ玉の通過確率を向上する等、遊技上有利となる作動が行われる。なお、始動領域と入賞領域を兼ねた領域があってもよい。
【0027】
上記入賞領域には、当該入賞領域へのパチンコ玉の通過を検出するための所定の検出センサが設けられており、当該センサにより、入賞領域へ打ち込まれたパチンコ玉の通過(入賞)を検出するようになっている。また、遊技機の制御装置は、入賞領域ごとに何個のパチンコ玉を賞玉として付与するかを記憶する賞玉メモリを有している。
【0028】
したがって、打ち込んだパチンコ玉の特定の入賞領域への通過がセンサにより検出されると、賞玉メモリの記憶内容と、入賞領域を通過したパチンコ玉数から付与すべき賞玉を決定し、決定した賞球玉を持玉数データに入賞したパチンコ玉数を加算する。
【0029】
さらに、封入式遊技機20は、発射玉数及び内部玉数を計数して記憶する。そして、台間カード処理機10から持玉返却指示を受信した場合には、持玉数を通知するとともに、発射玉数及び内部玉数を台間カード処理機10に通知する。また、台間カード処理機10から玉排出許可を通知された場合には、パチンコ玉を排出可能とする。
【0030】
台間カード処理機10は、プリペイド価値の管理、パチンコ玉の貸し出し、カード返却処理、カード管理装置40との通信を行う。台間カード処理機10は、遊技客が投入した紙幣を受け付けたならば、この紙幣分のプリペイド価値を記憶するととともに、所定の玉貸し操作がなされたならば、所定数のプリペイド価値を減算しつつ、減算したプリペイド価値分に対応する持玉数を封入式遊技機20に加算させる。
【0031】
また、台間カード処理機10は、カードを受け付けたならば、該カードに関連付けられたプリペイド価値を記憶するとともに、該カードに関連付けられた持玉数を封入式遊技機20の持玉数に加算させる。そして、カード返却操作を受け付けたならば、台間カード処理機10は、封入式遊技機20に対して持玉返却指示を送信して封入式遊技機20から持玉数の通知を受け、封入式遊技機20から通知された持玉数並びに台間カード処理機10に記憶していたプリペイド価値をカードに関連付けて排出する処理を行う。
【0032】
さらに、台間カード処理機10は、封入式遊技機20から通知された発射玉数及び内部玉数に基づいて異常を検知する。異常を検知した場合には、台間カード処理機10は、検知した異常を報知するとともに、封入式遊技機20に対して玉排出許可を通知し、封入式遊技機20の内部に封入されたパチンコ玉を排出可能とする。
【0033】
島コントローラ30は、遊技島に設けられた一群の封入式遊技機20及び台間カード処理機10を束ねる中継装置である。カード管理装置40は、カードのプリペイド価値及び持玉数等をカードデータとして管理する管理装置である。
【0034】
カード管理装置40は、台間カード処理機10からカードID及び持玉数を受信したならばカードデータを更新し、台間カード処理機10からカードIDを受信したならば、該カードIDに対応する持玉数を台間カード処理機10に通知する。また、カード管理装置40は、景品管理装置70からカードIDを受信したならば、このカードIDに対応する持玉数を景品管理装置70に対して通知する。さらに、精算機60からカードIDを受信したならば、このカードIDに対応するプリペイド価値を精算機60に対して通知する。また、このカード管理装置40は、台間カード処理機10において遊技客が選択できる複数のレートを選択可能レートとして台間カード処理機10に通知する。
【0035】
会員管理装置50は、遊技店に会員登録された会員の会員データを管理する管理装置である。具体的には、会員に対して発行した会員カードIDに対応づけて、貯玉、ポイント、暗証番号及び氏名等を管理する。
【0036】
遊技場管理装置90は、遊技機及び店員を管理する管理装置である。店員に関しては、店員を識別する店員ID、店員の氏名、店員が携行する店員端末の識別情報、店員に与えられた権限、配置及び業務等を管理する。遊技機に関しては、遊技機の種別、遊技機の状態、異常履歴、メンテナンス履歴等を管理する。
【0037】
精算機60は、プリペイド価値が対応付けられたカードが挿入されると、このカードのカードIDをカード管理装置40に送信し、該カードに対応するプリペイド価値を取得し、取得したプリペイド価値に相当する現金の払出を行う。
【0038】
景品管理装置70は、遊技店内の景品交換カウンタに併設された景品交換用の端末装置であり貯玉及び持玉の景品交換処理を行う。この景品管理装置70には、カードのカードIDを読み取るリーダライタ及び特殊景品を払い出す装特殊景品払出装置が接続されている。景品管理装置70は、リーダライタが一般カード又は会員カードを受け付けた場合には、リーダライタで読み出したカードのカードIDをカード管理装置40に送信して、該カードの持玉数を要求する。また、貯玉を景品交換する場合は、会員管理装置50に対して貯玉数を要求する。
【0039】
次に、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の外観構成について説明する。図3は、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の外観構成を示す図である。同図には紙幣のみを受け付ける台間カード処理機10を図示したが、硬貨受け付け用のユニットを設けることもできる。
【0040】
図3に示すように、台間カード処理機10は、台間カード処理機10の装置の状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部11と、パチンコ玉を貸し出す際の各種紙幣を受け付ける紙幣挿入口12とを有する。また、台間カード処理機10は、ディスプレイなどの表示部並びにテンキーや各種ボタンを含む操作部からなる表示操作部13と、カードID、プリペイド価値、貯玉データ及び持玉データが記憶されたカードを受け付けるカード挿入口14とが設けられている。
【0041】
また、封入式遊技機20には、封入されたパチンコ玉を遊技領域に打ち込む際に使用するハンドル21と、プリペイド価値の残数を表示するプリペイド価値表示部15と、持玉数を表示する持玉数表示部16と、プリペイド価値から持玉への移行を指示するための玉貸しボタン17と、カード返却を指示するためのカード返却ボタン18と、封入式遊技機20の内部からパチンコ玉を排出する玉排出口25と、店員が携行する携帯端末を認証する店員端末認証部24aとが設けられている。その詳細な説明は後述するが、このプリペイド価値表示部15及びカード返却ボタン18は、封入式遊技機20の前面に設けられているものの、台間カード処理機10の制御部に直結されている。
【0042】
次に、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の内部構成について説明する。図4は、図2に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20の内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、台間カード処理機10は、表示操作部13と、R/W部10aと、紙幣搬送部10bと、通信I/F部10cと、記憶部10eと、制御部10fとを有する。
【0043】
R/W部10aは、カード挿入口14に挿入されたカードに記憶されたカードID、持玉数データ及びプリペイド価値データを読み取る読取部である。なお、カード挿入口14に挿入されたカードは、このR/W部10aを経て図示しないカード収納部に収納される。
【0044】
紙幣搬送部10bは、紙幣挿入口12から挿入された紙幣の金種及び真偽を判別しつつ図示しない紙幣収納部に搬送する搬送部である。通信I/F部10cは、封入式遊技機20及びカード管理装置40との間のデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0045】
通信I/F部10cは、セキュリティチップ部を有している。セキュリティチップ部は、自己の識別ID及び所定の暗号化・復号化プログラムを有するものであり、後述する封入式遊技機20のセキュリティチップ部との間で通信を行うためのものである。セキュリティチップ部は、通信I/F部10cから入出力するデータが予め定められたセキュリティ性を要するデータ種別に該当するかどうかを判別し、該当しない場合はそのままデータの入出力を行う。一方、セキュリティ性を要するデータ種別に該当する場合は、データの入出力に際し、自己の識別IDと相手方の識別IDを用いて、封入式遊技機20のセキュリティチップ部との間で相互認証処理を行う。ここで相互認証OKであれば、出力の場合は暗号化プログラムにより暗号化したデータを出力し、入力の場合は、相手方からのデータの入力待ちとなって、受信したデータの復号化を行う。封入式遊技機20のセキュリティチップ部との間では、予め暗号化・復号化方式が取り決められており、相互に相手方が暗号化したデータを復号化することが可能となっている。ここで、セキュリティ性を要しないデータとは、返却ボタン等の入力信号等、不正に入力されても実質的に損害のないものが含まれる。セキュリティ性を要するデータとは、持玉数データ、遊技機における不正検出信号など、遊技者・遊技店の利益に直接かかわるものが含まれる。また、セキュリティ性を要するデータ種別かどうかの判断は、制御部10fで行っても良い。また、相互認証にてNGとなった場合には、相互認証NGを検知した機器(遊技機あるいは台間カード処理機)は上位装置および自機の表示部に異常を出力した上で、エラーダウンする。なお、通信I/F部10cは、封入式遊技機20のセキュリティチップ部と割り込み処理単位で相互に正当性を確認する処理を行っている。
【0046】
記憶部10eは、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、カードID10e1、プリペイド価値データ10e3、累積発射玉数データ10e4、内部玉数初期値10e5及び滞留時間初期値10e6を記憶する。
【0047】
カードID10e1は、R/W部10aで読み取られたカードIDである。図示しないカード収納部からカード挿入口14にカードが搬送され、該カードが排出される場合には、この搬送途中でR/W部10aにより読み取られたカードIDによりカードID10e1が更新される。また、カード挿入口14から図示しないカード収納部にカードが搬送される場合にも、この搬送途中でR/W部10aにより読み取られたカードIDによりカードID10e1が更新される。プリペイド価値データ10e3は、遊技客の現時点のプリペイド価値の残数であり、紙幣又はカードの投入により加算され、持玉数への移行により減算される。
【0048】
累積発射玉数データ10e4は、封入式遊技機20から発射玉数を受信する度に該発射玉数を加算した累積発射玉数を示す。累積発射玉数は、初期値が零であり、封入式遊技機20から玉を排出し、クリーニング済の玉を投入された場合に零にリセットされる。即ち、累積発射玉数は、前回のクリーニング実施(若しくは封入式遊技機20の新規設置)から発射したパチンコ玉の累計値となる。
【0049】
内部玉数初期値10e5は、封入式遊技機20に封入したパチンコ玉の数を示す。滞留時間初期値10e6は、発射されたパチンコ玉が遊技領域に滞留する平均時間の初期値である。平均滞留時間は、時刻T1から連続してN回パチンコ玉を発射した場合に、最初にパチンコ玉が遊技領域から玉貯留部26に戻った時刻をT2、最後にパチンコ玉が遊技領域から玉貯留部26に戻った時刻をT3とすると、
(T3−T1)/N
によって求められる。なお、T2−T1が最短の滞留時間となる。平均滞留時間初期値は、台間カード処理機10に封入式遊技機20を接続してから最初の遊技における平均滞留時間である。なお、封入式遊技機20に平均滞留時間初期値を予め記憶させておき、台間カード処理機10が封入式遊技機20から平均滞留時間初期値を取得するようにしてもよい。
【0050】
制御部10fは、台間カード処理機10を全体制御する制御部であり、データ管理部10f1、紙幣処理部10f2、カード処理部10f3、検知部10f4及び異常報知部10f5を有する。また、この制御部10fには、プリペイド価値表示部15及びカード返却ボタン18が直結されている。
【0051】
データ管理部10f1は、記憶部10eに記憶したプリペイド価値データ10e3を用いて、プリペイド価値を管理する。このデータ管理部10f1は、紙幣挿入口12に紙幣が挿入されると、この紙幣分に相当するプリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。同様に、データ管理部10f1は、カード挿入口14にカードが挿入されると、このカードに関連付けられたプリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。また、カードID10e1をカード管理装置40に送信し、該カードIDに対応する持玉数をカード管理装置40から受け取って、封入式遊技機20に通知し、持玉数に加算させる。
【0052】
データ管理部10f1は、封入式遊技機20の玉貸しボタン17が押下操作されると、プリペイド価値データ10e3を所定数(例えば、10度数)減算し、対応する数の持玉数を追加するよう封入式遊技機20に通知する。
【0053】
また、カード返却ボタン18が押下操作されたならば、データ管理部10f1は、封入式遊技機20が記憶する持玉数データ22aを取得し、該持玉数データ22aが示す持玉数並びにカードID10e1をカード管理装置40に送信してカードデータ更新依頼を行う。その後、データ管理部10f1は、封入式遊技機20に対して持玉数データ22aを零にクリアするよう指示する。
【0054】
紙幣処理部10f2は、紙幣挿入口12から受け付けた紙幣を搬送制御しつつ該紙幣の金種識別及び真偽識別を行った後に、該紙幣を図示しない紙幣収納部に収納する処理部である。紙幣処理部10f2は、受け付けた紙幣が真正な紙幣であると識別した場合には、金種に対応する価値をデータ管理部10f1に通知し、プリペイド価値の加算を行わせる。
【0055】
カード処理部10f3は、カード挿入口14からカードを受け付けたならば、R/W部10aによりカードID及びプリペイド価値を読み取らせる。そして、このカードID10e1を記憶部10eに格納し、プリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。また、カード処理部10f3は、カード返却ボタン18が押下操作され、データ管理部10f1によりカード管理装置40のカードデータが更新された後に、プリペイド価値データ10e3をカードに書き込んでカード挿入口14から排出する。
【0056】
検知部10f4は、封入式遊技機20から発射玉数の通知を受けたならば、該発射玉数を累積発射玉数データ10e4に加算して、累積発射玉数データ10e4を更新する。そして、累積発射玉数データ10e4により示された累積発射玉数が所定のしきい値を超える場合には、第1の異常検知を出力する。この場合は、クリーニングが必要であると考えられる。
【0057】
また、検知部10f4は、封入式遊技機20から内部玉数の通知を受けたならば、該内部玉数と内部玉数初期値10e5とを比較し、その差が所定のしきい値を超える場合には、第2の異常検知を出力する。この場合には、封入式遊技機20に玉詰まりが発生したと考えられる。
【0058】
また、検知部10f4は、封入式遊技機20から平均滞留時間の通知を受けたならば、該平均滞留時間と滞留時間初期値10e6とを比較し、その差が所定のしきい値を超える場合には、第3の異常検知を出力する。この場合には、封入式遊技機20に滞留時間異常が発生したと考えられる。
【0059】
異常報知部10f5は、検知部10f4による異常検知が出力されたならば、異常があること及び異常の内容を報知する。異常報知の形態としては、検知した異常が第1〜第3の異常のいずれであるかを示す符号・文字等の表示、或いは考えられる異常(クリーニング等)を示す符号・文字等の表示が含まれるが、異常の種別が識別可能であれば特に限定されない。異常報知の出力先機器としては、カード管理装置40等への上位装置への通知、表示操作部13への表示出力並びに店員端末への通知のうち1或いは複数を含むことができる。
【0060】
発射制御部10f6は、封入式遊技機20におけるパチンコ玉の発射を制御する部分であり、検知部10f4により異常検知が出力されたならば、封入式遊技機20のパチンコ玉の発射を禁止する発射禁止信号を出力する。当該発射禁止信号は、封入式遊技機20から発射禁止処理の完了を受信するまで断続的或いは継続的に出力状態となる。
【0061】
排出制御部10f7は封入式遊技機20におけるパチンコ玉(内部玉)の排出を制御する部分であり、検知部10f4により異常検知が出力され、異常が第1の異常である場合には内部玉の排出許可信号を封入式遊技機20に向けて出力する。当該排出許可信号は、封入式遊技機20から、排出許可フラグを「1」(排出許可)に設定した旨の信号を受信するまで断続的或いは継続的に出力状態となる。
【0062】
開閉制御部10f8は、封入式遊技機20における図示しない前枠の開閉を制御する部分である。前枠は、封入式遊技機20の遊技盤面の前面側を覆う扉であり、当該前枠によって通常の状態では遊技盤面に外部からアクセスができないように遊技盤面が覆われている。検知部10f4により異常検知が出力され、異常が第2又は第3の異常である場合には、前枠の開放許可信号を封入式遊技機20に向けて出力する。当該開放許可信号は、封入式遊技機20から、開放許可フラグを「1」(開放許可)に設定した旨の信号を受信するまで断続的或いは継続的に出力状態となる。
【0063】
異常対処部10f9は、検知部10f4による異常検知の受け付けに基づいて、異常報知部10f5、発射制御部10f6、排出制御部10f7及び開閉制御部10f8を制御して異常への対処を行う。
【0064】
封入式遊技機20は、通信I/F部24、店員端末認証部24a、玉貸しボタン17、持玉数表示部16、記憶部22及び制御部23を有する。通信I/F部24は、台間カード処理機10との間のデータ通信を行うためのインタフェース部である。
【0065】
通信I/F部24は、セキュリティチップ部を有している。セキュリティチップ部は、自己の識別ID及び所定の暗号化・復号化プログラムを有するものであり、台間カード処理機10のセキュリティチップ部との間で通信を行うためのものである。セキュリティチップ部は、通信I/F部24から入出力するデータが予め定められたセキュリティ性を要するデータ種別に該当するかどうかを判別し、該当しない場合はそのままデータの入出力を行う。一方、セキュリティ性を要するデータ種別に該当する場合は、データの入出力に際し、自己の識別IDと相手方の識別IDを用いて、台間カード処理機10のセキュリティチップ部との間で相互認証処理を行う。ここで相互認証OKであれば、出力の場合は暗号化プログラムにより暗号化したデータを出力し、入力の場合は、相手方からのデータの入力待ちとなって、受信したデータの復号化を行う。台間カード処理機10のセキュリティチップ部との間では、予め暗号化・復号化方式が取り決められており、相互に相手方が暗号化したデータを復号化することが可能となっている。ここで、セキュリティ性を要しないデータとは、返却ボタン等の入力信号等、不正に入力されても実質的に損害のないものが含まれる。セキュリティ性を要するデータとは、持玉数データ、遊技機における不正検出信号など、遊技者・遊技店の利益に直接かかわるものが含まれる。また、セキュリティ性を要するデータ種別かどうかの判断は、制御部23で行っても良い。
【0066】
店員端末認証部24aは、店員が携行する店員リモコン等の店員携帯端末(以下、店員端末)と赤外線通信などの非接触通信で通信し、該店員端末から受信した端末識別情報をもとに、遊技場管理装置90等の上位装置に当該店員端末が正当なものであるかどうかの問い合わせを行うことにより、店員端末の認証を行う。また、認証に際しては端末識別情報だけでなく、店員を特定する識別情報をも店員端末から受信し、通信を行った店員をこれにより特定することが好ましい。
【0067】
玉貸しボタン17及び持玉数表示部16は、封入式遊技機20の制御部23と接続されている。玉貸しボタン17が押下操作されると、制御部23は台間カード処理機10に対して玉貸し要求を送信する。台間カード処理機10は、制御部23から玉貸し要求を受信したならば、プリペイド価値を減算し、対応する数の持玉数を追加するよう封入式遊技機20に通知する。制御部23は、台間カード処理機10からの通知を受けて記憶部22に記憶された持玉数データ22aを加算する。持玉数表示部16は、記憶部22に記憶された持玉数データ22aが示す持玉数を表示する。
【0068】
プリペイド価値表示部15は、封入式遊技機20の前面に設けられており、台間カード処理機10の制御部10fに直結している。プリペイド価値表示部15は、台間カード処理機10の記憶部10eに記憶されたプリペイド価値データ10e3の残度数を表示する。
【0069】
封入式遊技機20の記憶部22は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、持玉数データ22a、発射玉数データ22b、内部玉数データ22c、滞留時間データ22d、排出許可フラグ22e、開放許可フラグ22f及び内部玉数設定データ22gを記憶する。
【0070】
持玉数データ22aは、遊技客の現時点の持玉数であり、パチンコ玉を遊技領域に打ち出した場合に減算され、入賞により加算される。発射玉数データ22bは、封入式遊技機20が発射したパチンコ玉の数を示す。また、内部玉数データ22cは、封入式遊技機20の玉貯留部26に貯留されたパチンコ玉の数を示す。滞留時間データ22dは、封入式遊技機20の最新の平均滞留時間を示す。
【0071】
排出許可フラグ22eは、「0」(排出禁止)或いは「1」(排出許可)のいずれかの値をとる。排出許可フラグ22eは、通常の状態において「0」(排出禁止)に設定されており、台間カード処理機10から排出許可信号を受けて切り替えられる。
【0072】
開放許可フラグ22fは、「0」(開放禁止)或いは「1」(開放許可)のいずれかの値をとる。開放許可フラグ22eは、通常の営業中の状態において「0」(開放禁止)に設定されるが、閉店処理が行われた場合には「1」(開放許可)に設定される。開放許可フラグ22fは、台間カード処理機10からの開放許可信号に基づいて切り替えられる。
【0073】
内部玉数設定データ22gは、封入式遊技機20に封入し、内部に循環させるパチンコ玉の数の設定値を示す。この内部玉数設定データ22gは、店員の店員端末による操作又は遊技場管理装置90からの信号によって設定・変更することができ、設定時に台間カード処理機10に送信され、内部玉初期値10e5として記憶される。
【0074】
制御部23は、封入式遊技機20を全体制御する制御部であり、遊技制御部23a、持玉管理部23b、発射玉数計数部23d、内部玉数計数部23e、滞留時間測定部23f、通知部23g、店員操作受付部23i、排出処理部23j及び開放処理部23kを有する。
【0075】
遊技制御部23aは、封入されたパチンコを用いた遊技を制御する。また、持玉管理部23bは、持玉数データ22aを管理する。具体的には、持玉管理部23bは、台間カード処理機10から持玉に追加する玉数の通知を受けたならば、通知された玉数を加算して持玉数データ22aを更新する。また、持玉管理部23bは、遊技領域にパチンコ玉を打ち出す度に持玉数を減算し、パチンコ玉が入賞した場合に持玉数を加算して持玉数データ22aを更新する。
【0076】
発射玉数計数部23dは、センサ28の出力に基づいて、封入式遊技機20がパチンコ玉を発射する度に発射玉数データ22bを加算処理する。また、通知部23gが発射玉数データ22bにより示された発射玉数を台間カード処理機10に通知した後に、発射玉数データ22bを零にクリアする。
【0077】
内部玉数計数部23eは、台間カード処理機10から持玉返却指示を受け付けた場合に、センサ27の出力に基づいて、封入式遊技機20の玉貯留部26に貯留されたパチンコ玉の数を計数し、内部玉数データ22cを更新する。
【0078】
滞留時間測定部23fは、連続して発射されたパチンコ玉について既に説明した平均滞留時間を算定し、滞留時間データ22dとして記憶部22に格納する。滞留時間測定部23fは、遊技の実行中に滞留時間データ22dを随時算定して更新し、通知部23gが滞留時間データ22dにより示された平均滞留時間を台間カード処理機10に通知した後に、滞留時間データ22dを零にクリアする。
【0079】
通知部23gは、台間カード処理機10から持玉返却指示を受け付けた場合に、発射玉数データ22b、内部玉数データ22c及び滞留時間データ22dを読み出して、発射玉数、内部玉数及び滞留時間を台間カード処理機10に通知する。
【0080】
店員操作受付部23iは、店員端末認証部24aで受け付けた店員端末が正当なものであると認証された場合に、当該店員端末からの入力指示を受け付ける部分である。当該入力指示は、店員端末におけるボタン操作等に基づいて行われる。
【0081】
排出処理部23jは、パチンコ玉(内部玉)の排出処理を行う部分であり、店員端末認証部24aにて店員端末が正当なものであることが確認された上で店員操作受付部23iにて内部玉の排出指示を受け付けた場合に、排出許可フラグの状態が「1」(排出許可)であれば、玉排出口25の開閉機構を開放し、後述する通路切替機構29を制御して、内部玉の排出を行う。
【0082】
開放処理部23kは、前枠の開放処理を行う部分であり、店員端末認証部24aにて店員端末が正当なものであることが確認された上で店員操作受付部23iにて前枠の開放指示を受け付けた場合に、開放許可フラグの状態が「1」(開放許可)であれば、前枠の施錠を解除し、前枠の開錠を行う。排出許可フラグ及び開放許可フラグは、遊技場管理装置90からの信号によっても状態を変化させることが可能である。
【0083】
次に、封入式遊技機20による発射玉数及び内部玉数の計数について説明する。図5は、封入式遊技機20による発射玉数及び内部玉数の計数について説明するための説明図である。同図に示したように、パチンコ玉を発射する発射機構21aには、玉貯留部26からパチンコ玉が1玉ずつ供給される。玉貯留部26から発射機構21aへの供給経路上には、センサ28が設けられ、発射機構21aに供給されるパチンコ玉の通過を検知する。
【0084】
発射機構21aにより発射されたパチンコ玉のうち、遊技領域に到達しなかったパチンコ玉は、センサ28と発射機構21aとの間に投入され、再び発射機構21aに送られる。一方、発射機構21aにより発射され、遊技領域に到達したパチンコ玉は、遊技領域を通過した後、玉貯留部26に貯留される。
【0085】
玉貯留部26には、センサ27が設けられる。センサ27は、玉貯留部26の底部から所定の高さに設けられている。玉貯留部26に貯留されたパチンコ玉の数が所定の数を超えれば、パチンコ玉はセンサ27が設けられた高さまで到達するので、センサ27は、玉貯留部26に貯留されたパチンコ玉の数が所定の数以上であるか否かを検知することができる。
【0086】
また、玉貯留部26から発射機構21aへの供給経路上には、通路切替機構29が設けられる。通路切替機構29は、玉貯留部26から供給されたパチンコ玉を発射機構21aに送るか、排出口25に送るかを切替える。
【0087】
次に、センサ28の具体的な構成について説明する。図6は、図5に示したセンサ28の構成を説明する図である。同図に示すように、センサ28が有するカウントホイール28aは、羽部材をパチンコ玉の供給路に突出させ、パチンコ玉の自重落下により羽部材1枚分の回転を行う。カウントホイール28aには、カウントホイール28aの羽部材の数と同数の歯を有する歯車28bが固定されている。また、カウントホイール28aと歯車28bは回転軸28cを共有する。
【0088】
揺動部材28dは、その一端が歯車28bに係合され、歯車28bの歯が1つ分回転する度に揺動軸28eを中心として揺動する。揺動部材28dの他端には、遮蔽部材28fが設けられており、揺動部材28dが揺動する度にフォトダイオード28gの受光部を遮蔽する。揺動部材28dは、図示しない付勢部材により歯車28bに係合する側の係合端が歯車28bに近接した近接位置(揺動範囲の最下部)に向けて付勢されている。この付勢部材の付勢は、パチンコ玉の自重落下よりも弱くなるように設定されており、歯車28bがパチンコ玉の自重落下により回転するに伴い、係合端が歯車28bの歯に押されて歯車28bの回転軸28cから離間した位置(揺動範囲の最上部)に向けて押される。揺動部材の係合端が歯の頂点まで乗り上げて頂点を通過したのちは、再び付勢力により近接位置に戻る。
【0089】
すなわち、パチンコ玉が1玉通過すると、カウントホイール28a及び歯車28bが回転し、揺動部材20dが1回揺動することとなる。したがって、フォトダイオード28gの出力を監視し、受光状態(オン状態)と遮蔽状態(オフ状態)とを1セットとして計数することで、通過したパチンコ玉の数を計数することができる。また、揺動部材には、図示しないストッパが設けられており、1玉の通過を検出するたびに揺動部材の歯車28bからの離脱を一時的に抑制する。発射機構に導くべき玉数の通過を検出した場合には、ストッパによりパチンコ玉の落下を阻止する状態で固定する。また、上記ではセンサ28の構成について記述しているが、発射装置への玉の供給を制御する機能と、供給した玉数を計数する機能を備えていれば、構造は特に限定されない。
【0090】
次に、玉排出口25について説明する。図7は、玉排出口25について説明するための説明図である。玉排出口25は、封入式遊技機20の前面に設けられる。また、玉排出口25の位置は、玉箱を置く膳板よりも高い。そして、玉排出口25の底面にツバ25bを設け、玉排出口25の両側面にはツバ25aを設ける。
【0091】
かかる構成により、玉排出口から25から排出されたパチンコ玉を膳板に置いた玉箱100により簡易に回収可能である。また、ツバ25a及びツバ25bにより、玉排出口から25から排出されたパチンコ玉がこぼれることを防止できる。
【0092】
さらに、玉排出口25に、パチンコ玉を排出するときのみ開放可能とする開閉機構を設ける。このため、パチンコ玉を排出するとき以外には、玉排出口25が存在することをわかりにくくし、不正の防止に寄与することができる。
【0093】
なお、図7には玉箱にパチンコ玉を排出して回収する構成を例示したが、パチンコ玉の回収用の溝を店内に敷設しているならば、封入式遊技機20はクリーニングが必要と判定した場合にパチンコ玉を溝に排出することができる。パチンコ玉の回収用の溝は、各台計数機付きの遊技機を設置する店舗等で利用されており、溝に排出したパチンコ玉は島還元機に集められてクリーニングされ、島上部から遊技機に自動で補給される。かかるパチンコ玉の回収用の溝にパチンコ玉を排出する構成を採用する場合には、玉排出口25は、封入式遊技機20の裏面に設けられる。
【0094】
次に、クリーニング済のパチンコ玉の投入について説明する。図8は、クリーニング済のパチンコ玉の投入について説明するための説明図である。図8(a)は、クリーニング済の玉を供給する玉供給路101から封入式遊技機20にパチンコ玉を投入する構成を示している。図8(a)の構成では、封入式遊技機20の上面又は裏面に玉投入口103を設ける。玉投入口103に投入されたパチンコ玉は、玉貯留部26に貯留される。また、パチンコ玉が玉投入口103に投入されると、玉投入口103の近傍に設けたセンサ102により投入された玉数を計数し、計数値を取得する。そして、内部玉数設定データ22gが示す玉数から計数された玉数を減算し、追加投入すべき玉数である追加必要値を取得する。投入処理中、計数値と追加必要値は、遊技機前面の持玉数表示部16に交互表示される状態になる。これにより、店員は、追加投入すべき玉数を把握することが可能になる。所定の玉数が投入された場合、シャッタ104を閉じるとともに、排出許可フラグを「0」(排出禁止)にリセットし、排出許可フラグを「0」に設定した旨を台間カード処理機10に送信する。シャッタ104の閉鎖後、計数値のみが一定時間表示されたあと、持玉数表示部16の表示は消去される。玉排出処理からシャッタ閉鎖までは、パチンコ玉の発射機能を含む遊技に関連する機能は使用不能に制御される。また、排出許可フラグの状態が「1」(排出許可)となってから所定時間店員操作がないまま経過した場合には、封入式遊技機20はエラーダウンする。
【0095】
図8(b)は、クリーニング済のパチンコ玉を封入式遊技機20の前面側から投入する構成を示している。図8(b)の構成では、封入式遊技機20のガラスパネル20a及び遊技盤20bを開放すると、枠体20cに設けられた玉投入口105が露出する。この玉投入口105にクリーニング済のパチンコ玉を投入すると、投入されたパチンコ玉は、図示しない玉貯留部26に貯留される。
【0096】
次に、台間カード処理機10の処理手順について説明する。図9は、台間カード処理機10の処理手順について説明するフローチャートである。同図に示したように、台間カード処理機10は、カード返却ボタン18の押下操作を受け付けると(ステップS101;Yes)、封入式遊技機20に対して持玉返却指示を送信する(ステップS102)。封入式遊技機20は、台間カード処理機10から持玉返却指示を受信したならば、持玉数、発射玉数、内部玉数及び平均滞留時間を台間カード処理機10に通知する。
【0097】
台間カード処理機10のカード処理部10f3は、封入式遊技機20から通知された持玉数とプリペイド価値データ10e3が示すプリペイド価値とをカードID10e1に対応付けて、カードを返却する(ステップS103)。
【0098】
ステップS103の後、台間カード処理機10の検知部10f4は、クリーニング判定処理(ステップS104)、内部玉数異常判定処理(ステップS105)及び滞留時間判定処理(ステップS106)を行う。クリーニング判定処理、内部玉数異常判定処理及び滞留時間判定処理の詳細については後述する。
【0099】
異常報知部10f5は、クリーニング判定処理、内部玉数異常判定処理及び滞留時間判定処理により、第1〜第3の異常フラグが「1」にセットされたかを判定し(ステップS107)、いずれの異常フラグも「1」にセットされていなければ(ステップS107;No)、処理を終了する。なお、各異常フラグは初期値が「0」であり、封入式遊技機20のメンテナンスが行われた場合に「0」にリセットされる。具体的には、第1の異常フラグが「1」であったならば、パチンコ玉のクリーニング及びクリーニング済のパチンコ玉の投入が行われた後に第1の異常フラグを「0」にリセットする。また、第2の異常フラグが「1」であったならば、玉詰まりなどの解消により内部玉数異常が解消された後に第2の異常フラグを「0」にリセットする。そして、第3の異常フラグが「1」であったならば、盤面の調整などにより滞留時間異常が解消した後に第3の異常フラグを「0」にリセットする。
【0100】
いずれかの異常フラグが「1」にセットされているならば(ステップS107;Yes)、異常報知部10f5は、封入式遊技機20に対して遊技禁止指示の送信(ステップS108)並びに玉排出許可の送信(ステップS109)を行って、処理を終了する。
【0101】
次に、図9に示したクリーニング判定処理の詳細について説明する。図10は、図9に示したクリーニング判定処理について説明するフローチャートである。同図に示したように、検知部10f4は、封入式遊技機20から発射玉数を取得すると(ステップS201)、取得した発射玉数を累積発射玉数データ10e4に加算する(ステップS202)。
【0102】
ステップS202の後、検知部10f4は、累積発射玉数としきい値とを比較する(ステップS203)。累積発射玉数がしきい値以下であれば(ステップS202;No)、検知部10f4は、クリーニング判定処理を終了する。
【0103】
一方、累積発射玉数がしきい値を超えているならば(ステップS203;Yes)、検知部10f4は、パチンコ玉のクリーニングが必要であると判定し(ステップS204)、異常報知部10f5は、パチンコ玉のクリーニングが必要であることを報知する(ステップS205)。この報知は、カード管理装置40などの上位装置への通知、表示操作部13への表示並びに店員端末への通知を含むことができる。ステップS205の後、検知部10f4は、第1の異常フラグに「1」をセットして(ステップS206)、クリーニング判定処理を終了する。
【0104】
次に、図9に示した内部玉数異常判定処理の詳細について説明する。図11は、図9に示した内部玉数異常判定処理について説明するフローチャートである。同図に示したように、検知部10f4は、封入式遊技機20から内部玉数を取得すると(ステップS301)、取得した内部玉数と内部玉数初期値10e5とを比較する(ステップS302)。
【0105】
取得した内部玉数と内部玉数初期値10e5との差がしきい値以下であれば(ステップS302;No)、検知部10f4は、内部玉数異常判定処理を終了する。一方、取得した内部玉数と内部玉数初期値10e5との差がしきい値を超えているならば(ステップS302;Yes)、検知部10f4は、封入式遊技機20の遊技領域にパチンコ玉の詰まりが発生したと判定し(ステップS303)、異常報知部10f5は、玉詰まりが発生したことを報知する(ステップS304)。ステップS304の後、検知部10f4は、第2の異常フラグに「1」をセットして(ステップS305)、内部玉数異常判定処理を終了する。
【0106】
次に、図9に示した滞留時間判定処理の詳細について説明する。図12は、図9に示した滞留時間判定処理について説明するフローチャートである。同図に示したように、検知部10f4は、封入式遊技機20から平均滞留時間を取得すると(ステップS401)、取得した平均滞留時間と滞留時間初期値10e6とを比較する(ステップS402)。
【0107】
取得した平均滞留時間と滞留時間初期値10e6との差がしきい値以下であれば(ステップS402;No)、検知部10f4は、滞留時間判定処理を終了する。一方、取得した平均滞留時間と滞留時間初期値10e6との差がしきい値を超えているならば(ステップS402;Yes)、検知部10f4は、封入式遊技機20の遊技領域の汚れやパチンコ玉の汚れなどによってパチンコ玉の挙動が乱れ、滞留時間の異常が発生したと判定し(ステップS403)、異常報知部10f5は、滞留時間異常が発生したことを報知する(ステップS404)。ステップS404の後、検知部10f4は、第3の異常フラグに「1」をセットして(ステップS405)、滞留時間判定処理を終了する。
【0108】
上述してきたように、本実施例1では、封入式遊技機20が内部循環玉に係る情報を計数して計数結果を台間カード処理機10に通知し、台間カード処理機10が封入式遊技機20から受け取った計数結果に基づいて異常を検知して検知した異常を報知するよう構成したので、封入式遊技機20に封入されたパチンコ玉の洗浄を含むメンテナンスを効率良く行うことができる。
【0109】
具体的には、封入式遊技機20に封入したパチンコ玉の数を内部玉数計数部23eが計数して内部玉数データ22cを計数し、内部玉数データ22cが示す内部玉数と内部玉数初期値10e5と比較して、その差が所定値を超える場合には玉詰まりが発生したと判定する。
【0110】
また、封入式遊技機20が発射したパチンコ玉の数を発射玉数計数部23dが計数して累積発射玉数を算定し、累積発射玉数が所定の閾値を超える場合にはパチンコ玉のクリーニングが必要であると判定する。
【0111】
そして、封入式遊技機20が発射したパチンコ玉の数の平均滞留時間を滞留時間測定部23fが測定し、平均滞留時間と滞留時間初期値10e6との差が所定のしきい値を超える場合にはパチンコ玉の滞留時間に異常が発生したと判定する。
【0112】
また、異常を検知したならば、封入式遊技機20の玉排出口25の開放を許可し、店員端末からの玉排出指示を受け付けた場合にパチンコ玉を玉排出口25から排出制御することで、内部循環玉を簡易に取り出してメンテナンスを行うことができる。
【実施例2】
【0113】
ところで、上記実施例1では、封入式遊技機20が持玉を管理する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、構成及び動作を変形して実施することができる。そこで、本実施例2では、各種変形例について説明する。
【0114】
図13は、封入式遊技機において持玉を管理する場合の台間カード処理機及び封入式遊技機の内部構成を示すブロック図である。同図に示した構成では、封入式遊技機120ではなく、台間カード処理機110が持玉数の管理を行う。そのため、台間カード処理機10は、記憶部10eが持玉数データ10e2をさらに記憶し、制御部10fのデータ管理部111が持玉数データ10e2を管理する。持玉数表示部16及び玉貸しボタン17は、封入式遊技機120の前面に設けられるが、台間カード処理機10の制御部10fに直接接続される。その他の構成及び動作は、図4に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0115】
制御部10fのデータ管理部111は、記憶部10eに記憶した持玉数データ10e2及びプリペイド価値データ10e3を用いて、持玉数及びプリペイド価値を管理する管理部である。
【0116】
このデータ管理部111は、貸出ボタン17が押下操作されると、プリペイド価値データ10e3のうちの所定数に対応する持玉数を持玉数データ10e2に加算する。また、封入式遊技機120に封入されたパチンコ玉を遊技領域に打ち込む度に、封入式遊技機120内の検出手段からの信号を受けて持玉数データ10e2を減算し、パチンコ玉が入賞したならば、封入式遊技機120からの信号を受けて所定数(例えば15玉)を持玉数データ10e2に加算する。なお、カード返却ボタン18が押下操作され、カードを排出する場合には、この持玉数データ10e2がカードに関連付けられた後に、該持玉数データ10e2を零にクリアする。さらに、カード挿入口14からカードが挿入された場合に、このカードに関連付けられた持玉数を持玉数データ10e2に加算する。なお、カードを排出する場合には、持玉数データ10e2をカードに書き込むとともに、持玉数データ10e2及びカードID10e1をカード管理装置40に送信してカードデータの更新指示を行うことで、持玉数データ10e2がカードに関連付けられることになる。
【0117】
また、データ管理部111は、紙幣挿入口12に紙幣が挿入されると、この紙幣分に相当するプリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。また、玉貸しボタン17が押下操作されたならば、プリペイド価値データ10e3から所定数(例えば、10度数)を減算する。なお、カード返却ボタン18が押下操作され、カードを排出する場合には、このプリペイド価値データ10e3がカードに関連付けられた後に、該プリペイド価値データ10e3を零にクリアする。さらに、カード挿入口14からカードが挿入された場合に、このカードに関連付けられたプリペイド価値をプリペイド価値データ10e3に加算する。なお、ここでは説明の便宜上、「加算」及び「減算」を行う場合を示しているが、例えばプリペイド価値データ10e3そのものに加算するのではなく、加算した値でプリペイド価値データ10e3を更新することも可能である。
【0118】
次に、台間カード処理機の機能を内蔵した一体型の封入式遊技機について説明する。図14は、一体型の封入式遊技機220の外観構成を示す外観構成図である。同図に示したように、封入式遊技機220は、その前面に状態表示部11と、紙幣挿入口12と、表示操作部13と、カード挿入口14と、ハンドル21と、プリペイド価値表示部15と、持玉数表示部16と、玉貸しボタン17と、カード返却ボタン18と、玉排出口25と、店員端末認証部24aとを有する。
【0119】
次に、図14に示した封入式遊技機220の内部構成について説明する。図15は、図14に示した封入式遊技機220の内部構成を示すブロック図である。図15に示した封入式遊技機220は、表示操作部13と、R/W部10aと、紙幣搬送部10bと、通信I/F部10cと、プリペイド価値表示部15と、持玉数表示部16と玉貸しボタン17と、カード返却ボタン18と、店員端末認証部24aと、記憶部221と、制御部222と、異常表示部223を有する。
【0120】
記憶部221は、台間カード処理機110の記憶部10eが記憶していたカードID10e1、持玉数データ10e2、プリペイド価値データ10e3、累積発射玉数データ10e4、内部玉数初期値10e5及び滞留時間初期値10e6並びに封入式遊技機120の記憶部22が記憶していた発射玉数データ22b、内部玉数データ22b、滞留時間データ22c、排出許可フラグ22e、開放許可フラグ22f及び内部玉数設定データ22gを記憶する。
【0121】
同様に、制御部222は、台間カード処理機110の制御部10fが有していたデータ管理部111、紙幣処理部10f2、検知部10f4、異常報知部10f5、発射制御部10f6、排出制御部10f7、開閉制御部10f8、異常対処部10f9並びに封入式遊技機120の制御部23が有していた遊技制御部23a、発射玉数計数部23d、内部玉数計数部23e、滞留時間測定部23f、店員操作受付部23i、排出処理部23j及び開放処理部23kを有する。異常報知部10f5は、異常表示部223を制御することにより、異常の発生および種類を報知する。
【0122】
その他の構成及び動作は、台間カード処理機110及び封入式遊技機120と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。このように、封入式遊技機220に台間カード処理機の機能を持たせた場合であっても、実施例1と同様に封入式遊技機に封入されたパチンコ玉の洗浄を含むメンテナンスを効率良く行うことができる。また、本実施形態においては、封入式遊技機220に台間カード処理機の機能を持たせた場合について説明しているが、台間カード処理機の機能を持たせず、異常の検出・報知の機能(異常報知部、異常対処部、異常表示部)のみを遊技機に設け、台間カード処理機にはこれらの構成を設けない場合にも適用できることは勿論である。
【0123】
図16は、封入式遊技機の内部にクリーニングユニットを設置する場合の構成について説明するための説明図である。同図に示す封入式遊技機320は、図4に示した封入式遊技機20の構成に加え、クリーニングユニット322を有する。また、封入式遊技機320の制御部23は、排出処理部23jに代えてクリーニング処理部321を有する。同様に台間カード処理機310は、図4に示した排出処理部10f7に代えてクリーニング制御部311を有する。その他の構成及び動作は、その他の構成及び動作は、図4に示した台間カード処理機10及び封入式遊技機20と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0124】
台間カード処理機310のクリーニング制御部311は、封入式遊技機320におけるパチンコ玉(内部玉)のクリーニングを制御する部分であり、検知部10f4により異常検知が出力され、異常が第1の異常である場合には内部玉のクリーニング制御信号を封入式遊技機320に向けて出力する。当該クリーニング制御信号は、封入式遊技機320から、クリーニングを実行する旨の信号を受信するまで断続的或いは継続的に出力状態となる。
【0125】
封入式遊技機320のクリーニングユニット322は、玉貯留部26から発射機構21aに至る経路の途中に設けることが好ましく、取り外し可能なカセット型に構成されることが好ましい。
【0126】
クリーニングユニット322は、研磨布又は洗浄液によりパチンコ玉のクリーニングを行う。研磨布を用いる構成では、クリーニングユニット322は、研磨布をこすり合わせてパチンコ玉の洗浄を行う。また、洗浄液を用いる構成では、クリーニングユニット322は、パチンコ玉を洗浄液に浸すことで洗浄を行う。
【0127】
封入式遊技機320のクリーニング処理部321は、クリーニング制御部311よりクリーニング制御信号を受信したならば、クリーニング実行通知をクリーニング制御部311に送信するとともに、クリーニングユニット322にパチンコ玉のクリーニングを行わせる。
【0128】
このように、封入式遊技機320は、パチンコ玉のクリーニングが必要になるとクリーニングユニット322によるクリーニングを自動的に実行することができる。なお、クリーニング制御部311は、クリーニング処理部321によるクリーニングの実行回数を記憶しており、クリーニングの実行回数が一定の回数を超えたならば、異常検知を行い、クリーニングユニット322の部材の交換を要求する。かかる要求は、遊技場管理装置90、店員端末等、任意の装置に対する通知、あるいは異常表示部への表示により行うことができる。
【0129】
なお、上記実施例1及び2では、排出許可制御及び開錠許可制御の態様は、条件が成立した場合に予め遊技機に対しフラグ変更を指示して店員による操作を待機させる構成を例示したが、台間カード処理機が店員による操作を受け付ける構成とし、台間カード処理機で店員認証及び店員操作の受け付けが行われた場合に排出制御及び前扉開錠制御を行うようにしてもよい。
【0130】
また、上記実施例1及び2では、カードの形態についての詳細な説明を省略したが、かかるカードには、磁気カード、ICカード等が含まれる。また、ここでは説明の便宜上「カード」を例にとって説明したが、かかるカード以外に、チップ、スティック、携帯端末などを用いる場合に本発明を適用することもできる。特に、ICチップ付携帯端末を媒体として用いる場合は、台間カード処理機10に設けられたリーダライタ(R/W)に当該携帯端末を翳すことにより、ICチップとR/Wとの非接触通信により当該携帯端末と関連付けられたプリペイド価値及び持玉数を取得することができる。
【0131】
さらに、店員を認証する媒体をICタグ等のIC媒体で構成した場合には、会員が携帯するICチップ付き携帯端末を受け付けるリーダライタを、店員の認証に兼用することができる。
【0132】
また、上記実施例では、カード返却操作に連動して異常の検知を実行する場合を例示して説明を行ったが、閉店処理時や店員による異常検知開始を受け付けた場合に異常の検知を行うように構成しても良い。店員による指示の場合は、店員端末による指示や、通常アクセスが不能となっているカード処理機内部或いは封入式遊技機内部に設けられる操作手段の操作により行うことが好ましい。また、遊技中に随時発射玉数や滞留時間を開始し、遊技処理と平行して異常検知処理を行っても良い。
【0133】
また、上述の実施例1及び2では、封入式遊技機として遊技球を用いるパチンコ遊技機を例にとって説明したが、本発明はこれに限らず、封入式遊技機が遊技球を用いる回胴式遊技機および遊技メダルを用いる回胴式遊技機であっても適用することができる。つまり、回胴式遊技機においては、上記実施例における特定の遊技領域を遊技球が通過したことによる「入賞」の信号に代えて、複数の回胴上の図柄組み合わせのうち、特定の図柄組み合わせがライン上に揃ったことによる「入賞」の信号を各台間カード処理機10が受信して処理を行うことで構成が実現できる。
【0134】
また、上述の実施例1では、台間カード処理機10がカード処理機能と異常対処・報知機能を有することとしたが、これに代えてカード処理機能を有せず、カード管理装置などの上位装置と通信可能な台間装置を、台間カード処理機10とは別に設け、この台間装置に異常対処・報知機能を設けてもよい。
【0135】
さらに、上述の実施例1及び2では、クリーニング(玉の使用回数)に係る異常報知を行う場合に、一定の使用回数(累積玉数)を記憶しておき、この回数に基づいて第1の異常報知を出力することとしているが、これに代えて、使用回数(累積玉数)を複数段階に記憶しておくこともできる。例えば、クリーニングを要する使用回数(累積玉数)を第1の値とし、第1の値と、第1の値よりも所定数(例えば1時間あたりに発射される玉数)少ない第2の値とを記憶しておく。そして、累積玉数が第2の玉数になった場合には、通常のクリーニング要求(通常の第1異常報知)を出力するとともに遊技機の機能等は停止せず、その後第1の玉数になった場合には緊急のクリーニング要求(緊急の第1異常報知)を行うとともに、遊技機の機能を停止する制御を行う。このようにすることで、営業中であっても異常に迅速に対処し、遊技者が遊技不能となる場合を低減することができる。また、異常判定に用いる玉数は必ずしも値をそのまま記憶・送信することは要せず、複数の玉数を一単位として符号化し、当該一単位ごとに記憶・送信してもよい。
【0136】
さらに、上記実施例では、パチンコ玉が入賞したことに基づく信号を台間カード処理機10に送信して持玉数に加算することとしたが、遊技客による遊技球の外部への取り出しができない構造であれば、台間カード処理機10に対応して設けられる計数装置にて遊技球を計数するものであってもよい。例えば、遊技機に設けられた貯留皿の下方に、台間カード処理機10と通信可能にパチンコ玉を計数する計数装置を接続し、貯留皿のパチンコ玉及び貯留皿から計数装置までの経路を通るパチンコ玉が外部から操作不能な構造にする。このうえで、当該計数装置にて、賞として払い出されたパチンコ玉を計数して持玉数に加算すればよい。
【0137】
また、図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部または一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。一例を挙げれば、遊技場管理装置(ホールコンピュータ)、カード管理装置、会員管理装置は、それらのうちの複数が一体化した装置となっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
以上のように、本発明に係る遊技システム、各台装置、封入式遊技機及び異常検知方法は、封入式遊技機に封入された内部循環遊技媒体の洗浄を含むメンテナンスを効率良く行う場合に適している。
【符号の説明】
【0139】
10,110,310 台間カード処理機
10a R/W部
10b 紙幣搬送部
10c 通信I/F部
10e 記憶部
10e1 カードID
10e2 持玉数データ
10e3 プリペイド価値データ
10e4 累積発射玉数データ
10e5 内部玉数初期値
10e6 滞留時間初期値
10f 制御部
10f1,111 データ管理部
10f2 紙幣処理部
10f3 カード処理部
10f4 検知部
10f5 異常報知部
10f6 発射制御部
10f7 排出制御部
10f8 開閉制御部
10f9 異常対処部
11 状態表示部
12 紙幣挿入口
13 表示操作部
14 カード挿入口
15 プリペイド価値表示部
16 持玉数表示部
17 玉貸しボタン
18 カード返却ボタン
20,120,220,320 封入式遊技機
20a ガラスパネル
20b 遊技盤
20c 枠体
21 ハンドル
21a 発射機構
22 記憶部
22a 持玉数データ
22b 発射玉数データ
22c 内部玉数データ
22d 滞留時間データ
22e 排出許可フラグ
22f 開放許可フラグ
22g 内部玉数設定データ
23 制御部
23a 遊技制御部
23b 持玉管理部
23d 発射玉数計数部
23e 内部玉数計数部
23f 滞留時間測定部
23g 通知部
23i 店員操作受付部
23j 排出処理部
23k 開放処理部
24 通信I/F部
24a 店員端末認証部
25 玉排出口
25a,25b ツバ
26 玉貯留部
27,28 センサ
29 通路切替機構
30 島コントローラ
40 カード管理装置
50 会員管理装置
60 精算機
70 景品管理装置
80 通信回線
90 遊技場管理装置
100 玉箱
101 玉供給路
102 センサ
103,105 玉投入口
104 シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外部への取り出しが制限される所定数の内部循環遊技媒体を用いた遊技を提供する封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設される各台装置とを通信可能に接続した遊技システムであって、
前記封入式遊技機は、
前記内部循環遊技媒体に係る情報を計数する計数手段と、
前記計数手段により計数された計数結果に関する計数結果関連情報を前記各台装置に通知する通知手段とを備え、
前記各台装置は、
前記計数結果関連情報に基づいて異常を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知した異常を報知する異常報知手段とを備えた
ことを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記計数手段は、
前記内部循環遊技媒体の数を前記内部循環遊技媒体に係る情報として計数し、
前記検知手段は、
前記封入式遊技機から受け取った前記内部循環遊技媒体の数と所定の遊技媒体数と比較して、その差が所定値を超える場合には異常が発生したものと検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記計数手段は、
所定の盤面に発射された前記内部循環遊技媒体の累積数を前記内部循環遊技媒体に係る情報として計数し、
前記検知手段は、
前記封入式遊技機から受け取った前記内部循環遊技媒体の累積数が所定の遊技媒体数を超える場合には異常が発生したものと検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項4】
装置外部への取り出しが制限される所定数の内部循環遊技媒体を用いた遊技を提供する封入式遊技機と通信可能に併設される各台装置であって、
前記封入式遊技機から受け取った前記内部循環遊技媒体に係る情報に基づいて異常を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知した異常を報知する異常報知手段と
を備えたことを特徴とする各台装置。
【請求項5】
装置外部への取り出しが制限される所定数の内部循環遊技媒体を用いた遊技を提供する封入式遊技機であって、
前記内部循環遊技媒体に係る情報を計数する計数手段と、
前記計数手段により計数された計数結果に関する情報に基づいて異常を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知した異常を報知する異常報知手段と
を備えたことを特徴とする封入式遊技機。
【請求項6】
前記検知手段により異常が検知され、かつ、所定の係員操作を受け付けた場合に、自装置の前面に設けられた排出口から前記内部循環遊技媒体を排出するよう制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の封入式遊技機。
【請求項7】
装置外部への取り出しが制限される所定数の内部循環遊技媒体を用いた遊技を提供する封入式遊技機と、該封入式遊技機に併設される各台装置とを通信可能に接続した遊技システムの異常検知方法であって、
前記封入式遊技機が、前記内部循環遊技媒体に係る情報を計数する計数工程と、
前記計数工程により計数された計数結果に関する計数結果関連情報を前記各台装置に通知する通知工程と、
前記各台装置が、前記計数結果関連情報に基づいて異常を検知する検知工程と、
前記検知工程により検知した異常を報知する異常報知工程と
を含んだことを特徴とする異常検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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