説明

遊技媒体及び遊技システム

【課題】遊技チップの真贋判定を常に行えるようにする。
【解決手段】遊技チップ201には、夫々識別コードを記憶している2つの無線ICタグと202,203が設けられている。各無線ICタグ202,203は互いに読み取りのための通信プロトコルと通信周波数とが異なる。無線ICタグ203はアンテナが無線ICタグ203のチップ上に形成されている。無線ICタグと202,203は、識別コードを暗号化して記憶している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体及び遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ルーレットその他のカジノゲームでは、遊技媒体となる遊技チップを賭けて遊技を行うことが一般に行われているが、この場合に同じ形状の遊技チップの配色を変えることにより複数の金種を設定し、これらを組合せて使用することが一般的である。そして、従来から遊技チップの偽造が問題となっており、特に高額の金種に設定された遊技チップの偽造は後を絶たない。
【0003】
そこで、遊技チップに無線ICタグを内蔵して、遊技チップの真贋判定を行うことが提案されている。例えば、特許文献1,2には、無線ICタグを内蔵した遊技チップについて開示されている。無線ICタグには識別コードを記憶させることにより、遊技チップの真贋判定を行うことができる。
【0004】
また、通常の無線ICタグを内蔵した遊技チップでは、遊技台上に複数枚積み重ねられても各遊技チップの無線ICタグを読み取れるように、アンテナ上に無線ICタグのチップを載せて両者を接合したものが内蔵されている。
【特許文献1】特開2001‐148047号公報
【特許文献2】特開2003‐331250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の無線ICタグが内蔵された遊技チップはカジノ内で繰り返し使用され、しかも、遊技者は遊技に熱が入ってくると遊技台上に叩きつけるように遊技チップを置くことになりがちであるため、遊技チップ内の無線ICタグが衝撃により破損して読み取れなくなってしまうことがたびたび発生する。このように、無線ICタグが破損してしまうと、無線ICタグに記憶された識別コードが読み取れないため、遊技チップの真贋を判別することができないという不具合がある。
【0006】
本発明の目的は、遊技チップの真贋判定を常に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、遊技媒体本体と、前記遊技媒体本体に設けられ夫々識別コードを記憶している複数個の無線ICタグと、を備えている遊技媒体である。
【0008】
(2) (1)の遊技媒体において、前記各無線ICタグは互いに読み取りのための通信プロトコルが異なる、ようにしてもよい。
【0009】
(3) (1)又は(2)に記載の遊技媒体において、前記各無線ICタグは互いに読み取りのための通信周波数が異なる、ようにしてもよい。
【0010】
(4) (1)〜(3)のいずれかの一に記載の遊技媒体において、前記無線ICタグの少なくとも1つはアンテナが当該無線ICタグのチップ上に形成されている、ようにしてもよい。
【0011】
(5) (1)〜(4)のいずれかの一に記載の遊技媒体において、前記無線ICタグの少なくとも1つは前記識別コードを暗号化して記憶している、ようにしてもよい。
【0012】
(6) (1)〜(4)のいずれかの一に記載の遊技媒体において、前記無線ICタグの少なくとも1つは認証手段をさらに備え、通信相手先を予め定められた手段により前記認証手段が認証したことを条件に前記識別コードを送信する、ようにしてもよい。
【0013】
(7)別の面から見た本発明は、遊技媒体と、前記遊技媒体が載置される第1の載置部を有する遊技台と、前記第1の載置部上に載置されている前記遊技媒体を電磁気的に読み取る第1の読取手段と、を備え、前記遊技チップは、遊技媒体本体と、前記遊技媒体本体に設けられ夫々識別コードを記憶している複数個の無線ICタグと、を備えている、ことを特徴とする遊技システムである。
【0014】
(8) (7)の遊技システムにおいて、前記遊技媒体が載置される前記遊技台とは異なる第2の載置部と、前記第2の載置部に載置されている前記遊技媒体を電磁気的に読み取る第2の読取手段と、をさらに備えている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
(1)の発明によれば、1つの無線ICタグが破損しても他の無線ICタグを読み取ることができるので、遊技チップの真贋判定を常に行える。
【0016】
(2)の発明によれば、一種類の通信プロトコルで1つの無線ICタグのみが読み取られるので、複数の無線ICタグを重複して読み取ることを防止することができる。
【0017】
(3)の発明によれば、一種類の通信周波数で1つの無線ICタグのみが読み取られるので、複数の無線ICタグを重複して読み取ることを防止することができる。
【0018】
(4)の発明によれば、アンテナが無線ICタグのチップ上に形成されている無線ICタグについては、衝撃を受けても破損しにくい。
【0019】
(5)の発明によれば、認証コードが暗号化されて記憶されているので、無線ICタグの識別コードを読み取られて無線ICタグ付の遊技媒体が偽造されるのを防止することができる。
【0020】
(6)の発明によれば、認証手段が通信相手先を予め定められた手段により正常に認証したことが識別コード送信の条件とされるので、無線ICタグの識別コードを読み取られて無線ICタグ付の遊技媒体が偽造されるのを防止することができる。
【0021】
(7)の発明によれば、遊技台上の第1の載置部で1つの無線ICタグが破損しても他の無線ICタグを読み取ることができるので、無線ICタグを備えた遊技チップの真贋判定を常に行える。
【0022】
(8)の発明によれば、遊技台上の第1の載置部とは異なる第2の載置部で1つの無線ICタグが破損しても他の無線ICタグを読み取ることができるので、無線ICタグを備えた遊技チップの真贋判定を常に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1は、ルーレット盤の平面図である。図2は、遊技用ベット装置のベット用ボードの平面図である。図3は、ベット用ボードの一部拡大斜視図である。
【0025】
ルーレット盤51及び遊技用ベット装置1は、例えばカジノホテル内のカジノなどで使用される。すなわち、遊技者は、ルーレット盤51に投入されたルーレット球61の出目位置を予想し、遊技用ベット装置1を使用して当該出目位置に対応するベット部位3に遊技チップ201をベットする各種遊技を行なう。
【0026】
遊技用ベット装置1は、その上面にルーレット盤51の出目位置に対応する複数のベット部位3(例えば、0,00,1,2,…,35,36の数字で区分けされた各スポット)が割り当てられた、遊技チップ201をベットするためのベット用ボード4を備えている。ベット用ボード4上の各ベット部位3は、枠5によって区切られたベット用ボード4の上面の各領域である。各遊技チップ201には、当該遊技チップ201に関する情報が記録された無線ICタグ(後述)が設けられている。ルーレット盤51には、当該ルーレット盤51上におけるルーレット球61の出目位置や出目種類を検出する出目検出装置52が設けられている。また、ベット用ボード4には、ベット部位3に遊技チップ201がベットされた際に、無線ICタグに記録された遊技チップ201に関する情報を読み取ることによって当該遊技チップ201のベット位置及び掛け金の価値を検出するベット情報検出装置11(後述)を備えている。さらに、図示は省略するが、カジノ内にはルーレット盤51上におけるルーレット球61の位置と遊技チップ201のベット位置及び価値とに基づいて、当該遊技(ルーレットゲーム)の配当金を算出する配当金算出システム(後述)が用意されている。
【0027】
出目検出装置52は、ID読取装置から構成されている(詳細は図示せず)。このID読取装置は、X側スキャンドライバから互いに平行に延出したX側送信アンテナ及びX側受信アンテナと、Y側スキャンドライバから互いに平行に延出したY側送信アンテナ及びY側受信アンテナとを直交配置して構成されている。このID読取装置によれば、X側送信アンテナ及びY側送信アンテナからスキャン電波を発信させると、アンテナ相互のクロスポイント付近に読取用電波が立ち上がる。この読取用電波は、X側受信アンテナ及びY側受信アンテナで受信されるが、クロスポイント付近にルーレット球61あると、ルーレット球61の誘電体化に伴うインピーダンスの変化によって、受信状態に変化が生じる。この変化状態を検出することによって、ルーレット61の有無が判断される。
【0028】
より詳細に説明すると、ルーレット盤51は、円形の回転体構造を成しており、その中心軸53に対して同心円状に合計38個のポケット54(図では一部のみを示す)が形成されている。各ポケット54には、ベット用ボード4に割り当てられた複数のベット部位3に対応した数字(例えば、0,00,1,2,…,35,36)が表示されている。ID読取装置のクロスポイントは、38個のポケット54にそれぞれ配置されており、ポケット54にルーレット球61が入ったとき、そのルーレット球61はいずれかのクロスポイント上に位置付けられる。上述した読取用電波は、遊技中は常時立ち上がった状態にあるため、あるクロスポイント上にルーレット球61が位置付けられると、そのポケット54の受信状態のみが変化する。この結果、ルーレット盤51の何処の位置(何処のポケット54)にルーレット球61が入ったのかを検出することができる。このとき検出されたデータは、カジノホテル内のPTS(プレーヤートラッキングシステム)サーバ(図示せず)に送られ、その履歴が一括管理される。
【0029】
なお、ルーレット球61には、当該ルーレット球61を識別するルーレット球識別情報が記録された無線ICタグ(図示せず)が設けられている。この無線ICタグはルーレット球61に埋め込まれており、ルーレット球識別情報には、当該ルーレット球61の出所や使用可能な場所(当該ルーレット球61が使用可能なカジノ)、球の種類等の情報が含まれている。ルーレット球識別情報記録手段に記録されたルーレット球識別情報は、出目検出装置52のID読取装置によって読み取ることができる。そして、読み取られた情報に基づいて、使用できるルーレット球61と、そうでないものとの判別を行うことができる。このため、偽造されたルーレット球61を持ち込んで使用するといった不正行為や侵害行為などの発生を防止することが可能となる。
【0030】
このような遊技システムにおいて、ルーレット盤51での遊技を希望する者は、証明カードを持ってカジノに入場する。この証明カードは、カジノホテルにチェックインした客に対しホテルフロントのカード発券機によって発行されるカードである。証明カードは、その客を特定するためのカードであり、その発行以降は、お客は当該カジノホテル内において当該証明カードを提示してチェックを受けることにより全ての施設の利用が可能となる。例えば、ホテル内のレストランやバーのレジでは、証明カードがカードリーダで読み取られることによって支払請求金額が当該カジノホテルのホテルサーバに当該客の識別情報と関連付けて蓄積され、客がカジノホテルをチェックアウトする際には全ての支払請求金額がホテルのフロントの端末に表示される。即ち、証明カードは、カジノホテル内でのさまざまな決済に使用するクレジットカードとしての機能を有している。
【0031】
そして、客が証明カードを持ってカジノに入場した際、遊技チップ発行/精算機で所望枚数の遊技チップ201を入手し、ベット用ボード4に設けられた証明カード読み取り用の読取装置(図示せず)に証明カードをセットする。このとき、読取装置が証明カードの内容を読み取って、その客を特定し、遊技の参加者として認識する。読取装置による認識データは、前述のPTSサーバに送られ、現在のゲームにおける参加者として登録される。なお、証明カードの読取方式は、証明カードの記録方式(磁気記録、光記録)に応じて任意に設定(磁気的な読取方式、光学的な読取方式)することが可能である。
【0032】
ルーレットゲームにおいては、まず、ディーラーがルーレット盤51を廻してルーレット球71をルーレット盤51内に投入する。この間、遊技の参加者は、手持ちの遊技チップ201をベット用ボード4の所望のベット部位3にベットする。図2の例では、ある参加者はコーナー(4,5,7,8)にベットし、別の参加者がストレート(9)にベットし、別の参加者がコラム(2to1)にベットしている。このとき、ベット情報検出装置11によって各参加者のベット位置と掛け金の価値(1ドル、5ドル、10ドル等の掛け金の金額)とが検出され、その検出結果がPTSサーバに送られ、その履歴が一括管理される。
【0033】
その後、ルーレット盤51の回転が緩やかになって、ルーレット球61が入ったポケット54の出目が例えば「8」である場合、出目検出装置52によってルーレット球61の出目位置「8」が検出され、その検出結果がPTSサーバに送られ、その履歴が一括管理される。なお、このPTSサーバは、当該ルーレット盤51以外のルーレット盤や、スロットマシンなどの他の遊技機に関して履歴や様々なデータを一括管理するようにしてもよい。
【0034】
カジノホテル内の集計・分析サーバ(図示せず)には、配当金算出システムが構築されており、ルーレット盤51上におけるルーレット球61の位置(前述の例では出目「8」)と遊技チップ201のベット位置及び掛け金の価値とに基づいて、当該遊技(ルーレットゲーム)の配当金が算出される。
【0035】
図4は、ベット用ボード4を中心としたシステムの平面図である。
【0036】
遊技を行う際には、ベット用ボード4が設けられたテーブル上の遊技台102が用いられ、ディーラーDが遊技を進行する。このディーラーDの席の近くには、遊技チップ201を読み取るための検出装置103が配置されている。遊技用ベット装置1、検出装置103、及び遊技媒体となる遊技チップ201により、本実施の形態である遊技システム101を構成している。
【0037】
次に、遊技チップ201の構成について説明する。
【0038】
図5は遊技チップ201の平面図、図6は同側面図、図7は同部分拡大縦断面図である。
【0039】
遊技チップ201は、複数の無線ICタグ、この例では2つの無線ICタグ202,203を内蔵している。1つ目の無線ICタグ202は、ループアンテナ211上に無線ICタグのチップ212を載せて両者を接合して構成されている。2つ目の無線ICタグ203は、図8に拡大平面図で示すように、無線ICタグ203のチップ221の表面上にアンテナ222が形成されている。このような無線ICタグ202と203との配置関係は図9の平面図に示すとおりである。
【0040】
このような無線ICタグ202と203とは、外部と通信を行うときの通信プロトコルが互いに異なっている。また、無線ICタグ202と203とは、外部と通信を行うときの通信周波数も互いに異なっている。
【0041】
無線ICタグ202,203にそれぞれに記録された遊技チップ201に関する情報には、当該遊技チップ201を特定する識別コード(遊技チップ201を識別する番号)、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ201を使用可能な場所(当該遊技チップ201が使用されるカジノを識別する情報)等の情報が含まれる。また、当該遊技チップ201には識別コードのみを記録し、他の情報はカジノ内のサーバ装置に識別コードと関連付けて記憶しておき、無線ICタグ202,203から読取った識別コードに基づいて当該情報を検索するようにしても良い。
【0042】
次に、遊技用ベット装置1の構成について説明する。
【0043】
図10は、ベット情報検出装置11の読取装置12、制御装置14及び無線ICタグ202の電気的な接続のブロック図である。ベット情報検出装置11は、遊技においてベットされた遊技チップ201の無線ICタグ202を読み取るための装置である。
【0044】
制御装置14は、読取装置12に対して、磁界を発生させて無線ICタグ202に起電させるように、また、無線ICタグ202の記録している情報を読み取って当該データを送信するように命令する。
【0045】
読取装置12は、複数のアンテナ(ループアンテナ)21と、送受信部22と、切替部23と、制御部24とを備えている。
【0046】
制御部24は、制御装置14からの命令を受け取り、これに応じて送受信部22と切替部23とを駆動する。
【0047】
送受信部22は、アンテナ21に通電して無線ICタグ202において起電させるための磁界(電磁界)を発生させる。すなわち、各アンテナ21を順次切替え、各アンテナ21について順番に磁界を発生させる。この磁界の発生と同時に、切替部23は、負荷変調された電波信号を送受信部22で復調することにより、無線ICタグ202の情報を読取る。また、後述のとおり暗号化されて無線ICタグ202に記憶されている情報の複号を行う。
【0048】
無線ICタグ202は、いわゆる磁界型の無線ICタグであり、メモリ73と、制御部74と、送受信部75と、アンテナ211とを備えている。メモリ73は、遊技チップ201を特定する識別コード(遊技チップ201を識別する番号)を記憶している記憶装置である。また、前述のとおり、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ201を使用可能な場所(当該遊技チップ201が使用されるカジノを識別する情報)等の情報を記憶していてもよい。無線ICタグ202は、識別コードを暗号化して記憶している。制御部74は、読取装置12から受信したコマンド、リクエスト、命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部75は、変調部(図示せず)、復調部(図示せず)を有しており、読取装置12と交信を行うために信号の変調/復調を行う。アンテナ76は読取装置12からの磁界により送受信部75に給電すると共に、送受信部75からの変調された変調波を受け取り、これを読取装置12に受信させるよう、空中に放射する。
【0049】
このように、ベット情報検出装置11は、無線ICタグ202の起電と、無線ICタグ202の情報の読み取りとを読取装置12のアンテナ21で行うようにしているが、これらを別々のアンテナで行なうようにしても良い。
【0050】
次に、充電装置12の切替部23について説明する。
【0051】
図11〜図13は、切替部23の構成を説明する回路図である。
【0052】
切替部23は、X側スキャンドライバ41とY側スキャンドライバ42とを備えている。X側スキャンドライバ41からは互いに平行な複数本のX側送信ライン43が延びている。また、Y側スキャンドライバ42からは互いに平行な複数本のY側送信ライン44が延びている。この複数本のX側送信ライン43と複数本のY側送信ライン44とは一方が縦方向、他方が横方向に延びて各所で交差している。そして、この各クロスポイントにはリレー回路45が設けられている。各リレー回路45は、そのコイル46の一端側がX側送信ライン43、他端側がY側送信ライン44に接続されている。コイル46のX側送信ライン43側にはダイオード48がX側送信ライン43側をカソード側、コイル46側をアノード側として介装されている。通常、各リレー回路45をオフにしておく場合は、各X側送信ライン43をHレベルに維持しておき、各Y側送信ライン44をLレベルに維持しておく。そして、いずれかのリレー回路45のスイッチ47をオンにしたいときは、所望のリレー回路45がそのクロスポイントにおいて接続されているX側送信ライン43をLレベルに切り替え、同様にそのクロスポイントにおいて接続されているY側送信ライン44をHレベルに切り替える。これによりコイル46に通電してスイッチ47が閉じる。
【0053】
このような各リレー回路45は、図7に示すように、各アンテナ21にリレー回路45がそれぞれ1つ設けられている。すなわち、各アンテナ21において、1つのアンテナ21は1つのリレー回路45と直列に接続されていて、あるリレー回路45がオフであれば当該リレー回路45と直列接続されたアンテナ21は駆動せず、リレー回路45がオンになれば当該リレー回路45と直列接続されたアンテナ21が駆動する。このようなリレー回路45は高周波リレーである。
【0054】
図14は、ベット用ボード4における各アンテナ21の配置の他の例を示す平面図である。この例では、(11)番、(12)番、(13)番、…と番号が付されている縦長の領域91と、(51)番、(52)番、(53)番、…と番号が付されている横長の領域92とが存在し、縦長の各領域91と横長の各領域92とは互いに交差している。縦長の各領域91に沿ってそれぞれ1つのアンテナ21が対応して配置され、また、横長の各領域92に沿ってそれぞれ1つのアンテナ21が対応して配置されている。よって、ある領域91のアンテナ21を駆動することにより、当該領域91上に配置されている遊技チップ201の無線ICタグ202を読み取ることができ、ある領域92のアンテナ21を駆動することにより、当該領域92上に配置されている遊技チップ201の無線ICタグ202を読み取ることができる。
【0055】
この例では、例えば、最初に(11)番、(12)番、(13)番、…の順に縦長の領域91のアンテナ21を順次駆動し、次に、(51)番、(52)番、(53)番、…の順に横長の各領域92のアンテナ21を順次駆動する。例えば、(11)番の領域91に遊技チップ201が置かれているときは、当該領域91全体の遊技チップ201の無線ICタグ202を読み取ることになるが、後で(51)番、(52)番、(53)番、…のすべての横長の領域92についても同様の読み取り動作を行うので、縦長の領各域91の読み取り結果と横長の各領域92の読み取り結果との論理積(アンド)をとることにより、ある領域91とある領域92とが交差する領域に置かれた遊技チップ201の無線ICタグ202の読み取り結果を明らかにすることができる。
【0056】
図15は、ベット用ボード4における各アンテナ21の配置の他の例を示す平面図である。(11)番、(12)番、(13)番、…のように番号が付されているのは各ベット部位3である。この例では、各ベット部位3に1又は複数個のアンテナ21がそれぞれ対応して配置されている。そして、(11)番、(12)番、(13)番、…のベット部位3の順番に全ベット部位3の各アンテナ21を1つずつ順々に駆動させて当該ベット部位3上に配置されている遊技チップ201の無線ICタグ202を順次読み取っていく。
【0057】
次に、検出装置103の構成について説明する。
【0058】
検出装置103は、遊技チップ201の無線ICタグ203を読み取るための装置である。検出装置103は、ディーラーDの席の近くに用意された載置台231の上に載置された遊技チップ201の無線ICタグ203を読み取る。
【0059】
図16は、検出装置103の読取装置112、制御装置114及び無線ICタグ203の電気的な接続のブロック図である。
【0060】
制御装置114は、読取装置112に対して、磁界を発生させて無線ICタグ203に起電させるように、また、無線ICタグ203の記録している情報を読み取って当該データを送信するように命令する。
【0061】
読取装置112は、アンテナ(ループアンテナ)121と、送受信部122と、制御部124とを備えている。
【0062】
制御部124は、制御装置114からの命令を受け取り、これに応じて送受信部122を駆動する。
【0063】
送受信部122は、アンテナ121に通電して無線ICタグ203において起電させるための磁界(電磁界)を発生させる。すなわち、アンテナ121について順番に磁界を発生させる。この磁界の発生と同時に、負荷変調された電波信号を送受信部122で復調することにより、無線ICタグ203の情報を読み取る。また、後述のとおり、暗号化されて無線ICタグ203に記憶されている情報の複号を行う。
【0064】
無線ICタグ203は、磁界型の無線ICタグであり、メモリ173と、制御部174と、送受信部175と、アンテナ222とを備えている。メモリ173は、遊技チップ201を特定する識別コード(遊技チップ201を識別する番号)を記憶している記憶装置である。また、価値(1ドル、5ドル、10ドル等)や色、当該遊技チップ201を使用可能な場所(当該遊技チップ201が使用されるカジノを識別する情報)等の情報を記憶していてもよい。これらの情報は予め定められた暗号方式で暗号化されて記憶されている。制御部174は、読取装置112から受信したコマンド、リクエスト、命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部175は、変調部(図示せず)、復調部(図示せず)を有しており、読取装置112と交信を行うために信号の変調/復調を行う。アンテナ222は読取装置112からの磁界により送受信部75に給電すると共に、送受信部175からの変調された変調波を受け取り、これを読取装置112に受信させるよう、空中に放射する。
【0065】
このように、検出装置103は、無線ICタグ203の起電と、無線ICタグ203の情報の読み取りとを読取装置112のアンテナ222で行うようにしているが、これらを別々のアンテナで行なうようにしても良い。
【0066】
以上説明した遊技システム101によれば、無線ICタグ202はループアンテナ211上に無線ICタグのチップ212を載せて両者を接合して構成されているので、衝撃を受けて破損しやすいのに対して、無線ICタグ203は、無線ICタグ203のチップ221の表面上にアンテナ222が形成されているので、衝撃を受けても破損しにくい。また、チップ221とアンテナ222との接点劣化や機械的なストレスによる不良障害の発生を防止することができる。
【0067】
そして、無線ICタグ202が破損しても他の無線ICタグ203を読み取ることができるので、無線ICタグ202が破損しても遊技チップ201の真贋判定を常に行なうことができる。
【0068】
この場合、無線ICタグ203の読み取りは、載置台231の上に1枚1枚遊技チップ201を置いて検出装置103で読み取らせるようにする。
【0069】
すなわち、図9に示すように、無線ICタグ202は大きなループアンテナ211を使用しているので、遊技チップ201を複数枚積み重ねても全ての無線ICタグ202を読み取ることができるが、無線ICタグ203は、無線ICタグ203のチップ221の表面上に小さなアンテナ222が形成されているので、1枚1枚載置台231の上において読み取らせる必要がある。
【0070】
そして、ディーラーDは、各遊技チップ201について、特に金種が高額な遊技チップ201については、検出装置103により遊技チップ201の真贋判定を行うことができる。もちろん、検出装置103は、ディーラーDの席の近くだけでなく、キャッシャーなどカジノ内の各所に配置することができる。
【0071】
無線ICタグ202はベット情報検出装置11で読み取り、無線ICタグ203は検出装置103で読み取るが、この場合、無線ICタグ202及びベット情報検出装置11と、無線ICタグ203及び検出装置103とでは、通信プロトコルや通信周波数が異なるので、ベット情報検出装置11や検出装置103で無線ICタグ202と無線ICタグ203とを重複して読み取ることは防止される。
【0072】
さらに、遊技チップ201の無線ICタグ202,203に記憶されている識別コードは暗号化されているので、カジノの外部の何者かが偽造の遊技チップを製造するために遊技チップ201の識別コードを取得しようとしても取得できないようにすることができる。この場合、無線ICタグ202,203に記憶されている識別コードが暗号化されていればよく、識別コードの暗号化は外部の装置で行えばよいので、無線ICタグ202,203にデータの暗号化を行うソフトウェアを格納するための大きな記憶容量を必要としない。
【0073】
なお、この場合に、遊技チップ201の無線ICタグ202,203にパスワードを記憶させ、無線ICタグ202,203に対して正しいパスワードを送信しないと、無線ICタグ202,203からは情報が送信されないようにして、パスワードを用いた認証を行うようにしても、カジノの外部の何者かが偽造の遊技チップを製造するために遊技チップ201の識別コードを取得しようとしても取得できないようにすることができる。
【0074】
また、外的衝撃に対する耐久性という観点では、無線ICタグ202についてもアンテナ211をチップ212に一体成形した構成とすることが望ましい。そして、遊技チップ201内部の無線ICタグ202と203とを遊技チップ201の板厚方向のほぼ同じ高さ位置(遊技チップ201の板厚方向に垂直な垂線方向に位置する同一平面位置)に配置すれば、遊技チップ201に外部から衝撃が加えられても、その衝撃を逃がしやすく、さらに外的衝撃に対する耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施の形態である遊技システムのルーレット盤の平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である遊技システムの遊技用ベット装置のベット用ボードの平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態である遊技システムのベット用ボードの一部拡大斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態である遊技システムのベット用ボードを中心としたシステムの平面図である。
【図5】本発明の一実施の形態である遊技システムの遊技チップの平面図である。
【図6】本発明の一実施の形態である遊技システムの遊技チップの側面図である。
【図7】本発明の一実施の形態である遊技システムの遊技チップの部分拡大縦断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態である遊技システムのチップ表面にアンテナが形成された無線ICタグの平面図である。
【図9】本発明の一実施の形態である遊技システムの無線ICタグの配置関係を示す平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態である遊技システムのベット情報検出装置の読取装置、制御装置及び無線ICタグの電気的な接続のブロック図である。
【図11】本発明の一実施の形態である遊技システムの切替部の構成を説明する回路図である。
【図12】本発明の一実施の形態である遊技システムの切替部の構成を説明する回路図である。
【図13】本発明の一実施の形態である遊技システムの切替部の構成を説明する回路図である。
【図14】本発明の一実施の形態である遊技システムのベット用ボードにおける各アンテナの配置の一例を示す平面図である。
【図15】本発明の一実施の形態である遊技システムのベット用ボードにおける各アンテナの配置の一例を示す平面図である。
【図16】本発明の一実施の形態である遊技システムの検出装置の読取装置、制御装置及び無線ICタグの電気的な接続のブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
11 ベット情報検出装置
101 遊技システム
103 検出装置
201 遊技チップ
202 無線ICタグ
203 無線ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体本体と、
前記遊技媒体本体に設けられ夫々識別コードを記憶している複数個の無線ICタグと、
を備えていることを特徴とする遊技媒体。
【請求項2】
前記各無線ICタグは互いに読み取りのための通信プロトコルが異なることを特徴とする、請求項1に記載の遊技媒体。
【請求項3】
前記各無線ICタグは互いに読み取りのための通信周波数が異なることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊技媒体。
【請求項4】
前記無線ICタグの少なくとも1つはアンテナが当該無線ICタグのチップ上に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの一項に記載の遊技媒体。
【請求項5】
前記無線ICタグの少なくとも1つは前記識別コードを暗号化して記憶していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの一項に記載の遊技媒体。
【請求項6】
前記無線ICタグの少なくとも1つは認証手段をさらに備え、
通信相手先を予め定められた手段により前記認証手段が認証したことを条件に前記識別コードを送信する、
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの一項に記載の遊技媒体。
【請求項7】
遊技媒体と、
前記遊技媒体が載置される第1の載置部を有する遊技台と、
前記第1の載置部上に載置されている前記遊技媒体を電磁気的に読み取る第1の読取手段と、
を備え、
前記遊技チップは、
遊技媒体本体と、
前記遊技媒体本体に設けられ夫々識別コードを記憶している複数個の無線ICタグと、
を備えている、
ことを特徴とする遊技システム。
【請求項8】
前記遊技媒体が載置される前記遊技台とは異なる第2の載置部と、
前記第2の載置部に載置されている前記遊技媒体を電磁気的に読み取る第2の読取手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−122852(P2010−122852A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295156(P2008−295156)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(598098526)株式会社ユニバーサルエンターテインメント (7,628)
【Fターム(参考)】