説明

遊技媒体貸出装置およびこれを含む遊技場管理システム

【課題】省エネ対策に有効な遊技媒体貸出装置を提供する。
【解決手段】対応するCR遊技機20の遊技媒体貸出制御を行うCRユニット10は、エリアセンサ16による遊技者の不在、貨幣投入検知部17による貨幣投入なし、媒体投入検知部18による有価価値記録媒体C無しの省電力モード移行条件が満たされると、自ら省電力モードに移行して消費電力を抑えると共に、遊技機用電源生成部10dによる遊技機用電源の生成を停止して、対応するCR遊技機20も停止させ、省電力モード中に、エリアセンサ16による遊技者の存在、貨幣投入検知部17による貨幣M投入有り、または媒体投入検知部18による有価価値記録媒体C有りの何れか通常モード復帰条件が満たされると、自ら通常モードに復帰すると共に、遊技機用電源生成部10dによる遊技機用電源の生成を再開して、対応するCR遊技機20も再起動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技店における遊技機の消費電力を低減することが可能な遊技媒体貸出装置およびこの遊技媒体貸出装置を含む遊技場管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技店で使用されている遊技機は、遊技が行われていないときでも種々の遊技装置やランプ等による装飾が行われており、無駄な電力消費が問題であることから、遊技者検出手段を設けて、遊技者の居ないときには省電力モードにして電力消費を抑えるパチンコ遊技機が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−271324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明は、パチンコ遊技機自身が省電力モードになるもので、遊技媒体貸出装置の消費電力を低減する技術については開示されていない。また、頻繁に交換されるパチンコ遊技機に電源節約手段を設けるとすると、それがコストアップになってしまい、必ずしも現実的な省エネ対策とは言えない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、一旦導入されると長期間継続的に使用される遊技媒体貸出装置の電力消費を抑制して、省エネ対策に有効な遊技媒体貸出装置と、この遊技媒体貸出装置を含む遊技場管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る遊技媒体貸出装置は、遊技店に設置された遊技機に夫々対応して設けられ、対応する遊技機で使用する遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置において、遊技機に正対する位置に遊技者が存在する蓋然性の高い遊技者存在状態か、遊技機に正対する位置に遊技者が居ない蓋然性の高い遊技者不在状態か、の判定に用いる遊技者存否情報を取得する遊技者存否情報取得手段と、前記遊技者存否情報取得手段により取得した遊技者存否情報が予め定めた遊技者存在判定条件を満たすことで遊技者存在状態と判定する遊技者存在状態判定手段と、前記遊技者存否情報取得手段により取得した遊技者存否情報が予め定めた遊技者不在判定条件を満たすことで遊技者不在状態と判定する遊技者不在状態判定手段と、通常稼働時に、前記遊技者不在状態判定手段により遊技者不在状態と判定されることを必要条件として、予め定めた省電力時稼働機能群のみを稼働させて電力消費を軽減する省電力モードへ移行させる省電力モード移行手段と、前記省電力モード移行手段により移行した省電力モード時に、前記遊技者存在状態判定手段により遊技者存在状態と判定される第1復帰条件または遊技者が行う操作の中から予め定めた操作が実行される第2復帰条件の何れかが達成されることに基づいて、通常時の稼働機能群が稼働する通常モードへ復帰させる通常モード復帰手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の遊技媒体貸出装置において、貨幣投入口より貨幣が投入されていることを検出する貨幣投入センサと、情報記録媒体挿排口より情報記録媒体が投入されていることを検出する情報記録媒体投入センサと、を備え、前記遊技者存否情報取得手段は、遊技機の前面側空間の遮蔽物を検知するエリアセンサの検知情報を遊技者存否情報として取得するようにし、前記遊技者不在状態判定手段は、前記遊技者存否情報取得手段からの遊技者存否情報により、予め定めた不在判定時間継続して遊技機の前面側空間に遮蔽物が存在しなかったときに、遊技者不在状態と判定するようにし、遊技者存在状態判定手段は、前記遊技者存否情報取得手段からの遊技者存否情報により、予め定めた存在判定時間継続して遊技機の前面側空間に遮蔽物が存在したときに、遊技者存在状態と判定するようにし、前記省電力モード移行手段は、前記貨幣投入センサによる貨幣投入が検出されていない第1付加条件と、前記情報記録媒体投入センサによる情報記録媒体投入が検出されていない第2付加条件が、共に満たされているときに、前記遊技者不在状態判定手段が遊技者不在状態と判定することで、省電力モードへ移行させるようにし、前記通常モード復帰手段が判定する第2復帰条件は、前記貨幣投入センサによる貨幣投入が検出された第1遊技者操作、または、前記情報記録媒体投入センサによる情報記録媒体投入が検出された第2遊技者操作としたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項2に記載の遊技媒体貸出装置において、前記省電力モード移行手段は、省電力時稼働機能群として定めた貨幣投入センサ、情報記録媒体投入センサおよびエリアセンサのみを稼働させ、他の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を停止することで省電力モードへ移行し、前記通常モード復帰手段は、通常時の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を再開することで通常モードへ復帰させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技媒体貸出装置において、遊技機を動作させるための遊技機用電源供給手段を備え、前記省電力モード移行手段は、省電力モードへ移行するときに、前記遊技機用電源供給手段による遊技機への電力供給を停止するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技媒体貸出装置において、遊技機を動作させるための遊技機用電源供給手段から遊技機への電力供給/停止を制御する出力制御手段に対して、電力の供給/停止を指示する電力供給指示手段を備え、前記省電力モード移行手段は、省電力モードへ移行するときに、前記電力供給指示手段から出力制御手段に対して電力供給の指示信号を出力させ、遊技機用電源供給手段から遊技機への電力供給を停止するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る遊技場管理システムは、前記請求項4又は請求項5に記載の遊技媒体貸出装置に、通常モードと省電力モードのモード状況を外部へ出力するモード状況送信手段を設け、通信回線によって接続される管理サーバへ前記遊技媒体貸出装置よりモード状況を送信し、前記管理サーバにて、遊技媒体貸出装置より受信したモード状況を当該遊技媒体貸出装置に対応する遊技機のモード状況として管理するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、請求項6に記載の遊技場管理システムにおいて、前記遊技媒体貸出装置は、省電力モード中に前記管理サーバより通常モード復帰指令信号を受信することで、通常モードへ復帰するものとし、予め定めた特定台番号の遊技媒体貸出装置が通常モードに移行したとき、管理サーバは、当該特定台番号の遊技媒体貸出装置に対して紐付けした特定集合に属する遊技媒体貸出装置へ通常モード復帰指令信号を送出するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る遊技媒体貸出装置によれば、遊技機に正対する位置に遊技者が存在する蓋然性の高い遊技者存在状態か、遊技機に正対する位置に遊技者が居ない蓋然性の高い遊技者不在状態か、の判定に用いる遊技者存否情報を取得する遊技者存否情報取得手段と、前記遊技者存否情報取得手段により取得した遊技者存否情報が予め定めた遊技者存在判定条件を満たすことで遊技者存在状態と判定する遊技者存在状態判定手段と、前記遊技者存否情報取得手段により取得した遊技者存否情報が予め定めた遊技者不在判定条件を満たすことで遊技者不在状態と判定する遊技者不在状態判定手段と、通常稼働時に、前記遊技者不在状態判定手段により遊技者不在状態と判定されることを必要条件として、予め定めた省電力時稼働機能群のみを稼働させて電力消費を軽減する省電力モードへ移行させる省電力モード移行手段と、前記省電力モード移行手段により移行した省電力モード時に、前記遊技者存在状態判定手段により遊技者存在状態と判定される第1復帰条件または遊技者が行う操作の中から予め定めた操作が実行される第2復帰条件の何れかが達成されることに基づいて、通常時の稼働機能群が稼働する通常モードへ復帰させる通常モード復帰手段と、を備えるので、遊技機に正対する位置に遊技者が居ない蓋然性の高い遊技者不在状態になって稼働の必要が無いときには、遊技媒体貸出装置が自動で省電力モードとなって電力消費を抑制でき、遊技機に正対する位置に遊技者が来たり遊技操作を行ったりすると、自動で通常モードに復帰するので、遊技者を戸惑わせることもない。
【0014】
また、請求項2に係る遊技媒体貸出装置によれば、貨幣投入口より貨幣が投入されていることを検出する貨幣投入センサと、情報記録媒体挿排口より情報記録媒体が投入されていることを検出する情報記録媒体投入センサと、を備え、前記遊技者存否情報取得手段は、遊技機の前面側空間の遮蔽物を検知するエリアセンサの検知情報を遊技者存否情報として取得するようにし、前記遊技者不在状態判定手段は、前記遊技者存否情報取得手段からの遊技者存否情報により、予め定めた不在判定時間継続して遊技機の前面側空間に遮蔽物が存在しなかったときに、遊技者不在状態と判定するようにし、遊技者存在状態判定手段は、前記遊技者存否情報取得手段からの遊技者存否情報により、予め定めた存在判定時間継続して遊技機の前面側空間に遮蔽物が存在したときに、遊技者存在状態と判定するようにし、前記省電力モード移行手段は、前記貨幣投入センサによる貨幣投入が検出されていない第1付加条件と、前記情報記録媒体投入センサによる情報記録媒体投入が検出されていない第2付加条件が、共に満たされているときに、前記遊技者不在状態判定手段が遊技者不在状態と判定することで、省電力モードへ移行させるようにし、前記通常モード復帰手段が判定する第2復帰条件は、前記貨幣投入センサによる貨幣投入が検出された第1遊技者操作、または、前記情報記録媒体投入センサによる情報記録媒体投入が検出された第2遊技者操作としたので、遊技者が一時的にエリアセンサの検知範囲から外れただけで省電力モードへ移行してしまう誤動作を防げると共に、遊技者がエリアセンサの検知範囲外にいる場合でも貨幣投入あるいは情報記録媒体の投入操作を行うだけで通常モードに復帰させることが出来、利便性の高いものとなる。
【0015】
また、請求項3に係る遊技媒体貸出装置によれば、前記省電力モード移行手段は、省電力時稼働機能群として定めた貨幣投入センサ、情報記録媒体投入センサおよびエリアセンサのみを稼働させ、他の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を停止することで省電力モードへ移行し、前記通常モード復帰手段は、通常時の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を再開することで通常モードへ復帰させるようにしたので、省電力モードにおける電力消費を極力抑えることができる。
【0016】
また、請求項4に係る遊技媒体貸出装置によれば、遊技機を動作させるための遊技機用電源供給手段を備え、前記省電力モード移行手段は、省電力モードへ移行するときに、前記遊技機用電源供給手段による遊技機への電力供給を停止するようにしたので、対応する遊技機の電力消費も抑えることが可能となり、一層の節電効果を期せる。
【0017】
また、請求項5に係る遊技媒体貸出装置によれば、遊技機を動作させるための遊技機用電源供給手段から遊技機への電力供給/停止を制御する出力制御手段に対して、電力の供給/停止を指示する電力供給指示手段を備え、前記省電力モード移行手段は、省電力モードへ移行するときに、前記電力供給指示手段から出力制御手段に対して電力供給の指示信号を出力させ、遊技機用電源供給手段から遊技機への電力供給を停止するようにしたので、対応する遊技機の電力消費も抑えることが可能となり、一層の節電効果を期せる。
【0018】
請求項6に係る遊技場管理システムによれば、遊技媒体貸出装置に、通常モードと省電力モードのモード状況を外部へ出力するモード状況送信手段を設け、通信回線によって接続される管理サーバへ前記遊技媒体貸出装置よりモード状況を送信し、前記管理サーバにて、遊技媒体貸出装置より受信したモード状況を当該遊技媒体貸出装置に対応する遊技機のモード状況として管理するようにしたので、営業上の有意な管理情報を提供することができる。
【0019】
また、請求項7に係る遊技場管理システムによれば、前記遊技媒体貸出装置は、省電力モード中に前記管理サーバより通常モード復帰指令信号を受信することで、通常モードへ復帰するものとし、予め定めた特定台番号の遊技媒体貸出装置が通常モードに移行したとき、管理サーバは、当該特定台番号の遊技媒体貸出装置に対して紐付けした特定集合に属する遊技媒体貸出装置へ通常モード復帰指令信号を送出するようにしたので、特定台番号の遊技媒体貸出装置の通常モード復帰と同期させて特定集団に属する遊技媒体貸出装置を全て通常モードに復帰させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明に係る遊技媒体貸出装置の最良の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態として示す遊技媒体貸出装置は、遊技媒体として遊技球を貸し出す球貸装置に適用したが、遊技媒体としてコイン形状の遊技メダルを貸し出すメダル貸出装置にも適用可能である。
【0021】
図1は、遊技媒体である遊技球の貸出制御機能を備えた遊技媒体貸出装置であるCRユニット10の概略構成を示し、貨幣投入口10aから投入された貨幣Mによって、プリペイド媒体(例えば、磁気記録部に有価価値を記録したカード形状のプリペイドカードやICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコイン等)の有価価値記録媒体Cを発行したり、媒体挿排口10bから投入された有価価値記録媒体Cに残っている有価価値に基づいて遊技球の貸出制御を行う。
【0022】
なお、CRユニット10で遊技球貸出のために使用できるのは、購入金額に応じた有価価値が記録されたプリペイド媒体に限定されるものではなく、遊技で獲得した遊技球を貯めておける貯玉システムを利用可能な会員カードを媒体挿排口10bから受け入れ、会員カードにより特定される顧客番号に応じた貯玉を引き出すように遊技球貸出を行うようにしても良い。
【0023】
さらに、CRユニット10は、外部機器接続用中継基板10cを介して、CR遊技機20、ホールコンピュータ30、顧客管理システムサーバ40、プリペイドシステム管理コンピュータ50等と接続される。
【0024】
CR遊技機20は、CRユニット10と1対1で接続されるもので、CRユニット10からの遊技球貸出信号を受けたCR遊技機20は、貸出要求に応じて遊技球排出装置から所定数の遊技球を払い出す。また、CR遊技機20は、CRユニット10の遊技機用電源生成部10dによって生成された遊技機用電源(AC24V)の供給を受けて動作するもので、遊技機用電源生成部10dからの電源供給が断たれると、CR遊技機20は稼働停止する。
【0025】
ホールコンピュータ30は、CRユニット10で遊技球の貸出に消費した有価価値記録媒体Cの有価価値情報や新たに発行した有価価値記録媒体Cの金額情報などの各種売上信号を受信する。顧客管理システムサーバ40は、プリペイド機能あるいは貯玉機能を有する会員カードがCRユニット10へ投入されたときに、その会員カードについての顧客データ等を送信するものである。プリペイドシステム管理コンピュータは、CRユニット10において新たに発行された有価価値記録媒体Cの発行情報や遊技媒体貸出に伴う有価価値消費情報等の取引データを受信するものであり、この収集情報はプリペイドシステムの管理会社で管理される。
【0026】
遊技媒体貸出装置であるCRユニット10は、主たる動作制御を行う主制御回路11(例えば、CPU11aを含むコンピュータ構成)を有し、投入された貨幣Mの真贋や金額を識別する貨幣識別部12、表示パネルや操作ボタンからなる表示/操作部13、媒体挿排口10bから投入された有価価値記録媒体Cを保持する記録媒体保持部14(有価価値記録媒体Cに記録された記録情報の読出/書換を行う媒体R/W部14aを有する。)、外部から電源供給を受けて、主制御回路11や遊技機用電源生成部10d等へ所要の電源を供給する電源部15等と接続される。
【0027】
また、CRユニット10は、「遊技機に正対する位置に遊技者が存在する蓋然性の高い遊技者存在状態か、遊技機に正対する位置に遊技者が居ない蓋然性の高い遊技者不在状態か、の判定に用いる遊技者存否情報を取得する遊技者存否情報取得手段」として、CR遊技機20の前面側空間の遮蔽物を検知するエリアセンサ16を備え、検知範囲内における障害物の有無に応じた障害物検知信号(あるいは障害物の離隔距離に応じた強度の検出信号)を遊技者存否情報として主制御回路11へ供給する。
【0028】
また、CRユニット10は、貨幣投入口10aより貨幣が投入されていることを検出する貨幣投入センサを含む貨幣投入検知部17と、媒体挿排口10bより有価価値記録媒体Cが投入されていることを検出する有価価値記録媒体投入センサを含む媒体投入検知部18を備え、貨幣投入検知部17からの貨幣投入検知信号および媒体投入検知部18からの媒体投入検知信号は、主制御回路11へ供給される。
【0029】
更に、CRユニット10は、省電力モード中割込信号発生回路19を備え、省電力モード中(後に詳述する)に、エリアセンサ16からの障害物検知信号、貨幣投入検知部17からの貨幣投入検知信号、または媒体投入検知部18からの媒体検知信号の何れかを検出することで割込信号を発生する。省電力モード中割込信号発生回路19から主制御回路11へ入力された割込信号は、CPU11aの割込端子に入力され、スリープモードにあるCPU11aが通常モードへ復帰するトリガとなる。最近では、このような割込端子を標準で備えるCPUが市販されており、この割込端子の機能を使うことで、限定的な一部機能のみを稼働させたスリープモードのCPUを速やかに通常モードへ復帰させることができる。無論、通常モード復帰条件となる割込信号をトリガとして、通常モードへの復帰をソフトウェア的に行えば、割込端子を備えていないCPUを使うこともできる。
【0030】
なお、CPU11aが通常モードのときには、主制御回路11より割込無効信号が省電力モード中割込信号発生回路19へ入力されているので、エリアセンサ16からの障害物検知信号、貨幣投入検知部17からの貨幣投入検知信号、または媒体投入検知部18からの媒体検知信号の何れかが検出されても、省電力モード中割込信号発生回路19が割込信号を発生することはないが、CPU11aが通常モードからスリープモードになった省電力モード中は、主制御回路11から割込無効信号が出力されなくなるので、エリアセンサ16からの障害物検知信号、貨幣投入検知部17からの貨幣投入検知信号、または媒体投入検知部18からの媒体検知信号の何れかが検出されると、省電力モード中割込信号発生回路19が割込信号を発生するのである。
【0031】
また、CPU11aがスリープモードに移行した省電力モードにおいては、主制御回路11からエリアセンサ16,貨幣投入検知部17,媒体投入検知部18への電力供給およびパルス供給を行い、他の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を停止することで電力消費を抑制し、通常モードに復帰すると、通常時の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を再開する。
【0032】
加えて、省電力モードへの移行時には、主制御回路11が遊技機用電源生成部10dの停止を指示することで、遊技機用電源の供給を断ってCR遊技機20も同時に停止させ、一層の省電力を図るようにしても良い。斯くする場合には、省電力モードから通常モードへの復帰時に、遊技機用電源生成部10dからCR遊技機20へ遊技機用電源が供給されるようにすることで、CR遊技機20も同時に再起動させる。
【0033】
なお、一般的なCR遊技機20は、電源断からの再起動に少なからぬ時間がかかるため、CRユニット10の省電力モードと同様な省電力モードへの移行が可能なCR遊技機20を用い、省電力モードから通常モードへ瞬時に復帰できるようにしても良い。このようなCR遊技機20の省電力モード移行制御の方法としては、CRユニット10からモード移行の指令信号を送信して、CR遊技機20が自らの制御で省電力モードへ移行するようにしても良いし、CRユニット10から供給される遊技機用電源が通常動作の電圧(AC24V)に満たない特定の電圧範囲(例えば5〜12Vなど)に変わったときに、CR遊技機20が強制的に節電スタンバイ状態(例えばメモリバックアップのみ行う状態)へ移行するようにしても良い。
【0034】
上述したCRユニット10は、図2に示すように、CR遊技機20と対になって島設備60に設置され、CR遊技機20に正対する椅子70の上方空間を検知エリアAとして含むエリアセンサ16(例えば、投光部から照射した光が対象物で反射した光を受光部で受ける光センサ等)によって、椅子70に人が座っているか否か(或いは、CR遊技機20に触れるぐらいCR遊技機20の前面に近づいているか否か)の遊技者存否情報を取得可能である。
【0035】
なお、エリアセンサ16の検知エリアAは上下左右に角度調整可能とし、CRユニット10の設置状況に応じて、最も適切な遊技者存否情報を取得できるように設定できることが望ましい。また、センサの受光部に透過率を調整できるフィルタを設けて検知距離を物理的に調節し、椅子70の後方に居る遊技客を着座と誤検知させないようにしても良い。
【0036】
そして、CRユニット10の主制御回路11は、「遊技者存否情報取得手段により取得した遊技者存否情報が予め定めた遊技者存在判定条件を満たすことで遊技者存在状態と判定する遊技者存在状態判定手段」と、「遊技者存否情報取得手段により取得した遊技者存否情報が予め定めた遊技者不在判定条件を満たすことで遊技者不在状態と判定する遊技者不在状態判定手段」と、「通常稼働時に、前記遊技者不在状態判定手段により遊技者不在状態と判定されることを必要条件として、予め定めた省電力時稼働機能群のみを稼働させて電力消費を軽減する省電力モードへ移行させる省電力モード移行手段」としての機能を備え、また、主制御回路11と省電力モード中割込信号発生回路19が協働することで、「省電力モード移行手段により移行した省電力モード時に、遊技者存在状態判定手段により遊技者存在状態と判定される第1復帰条件または遊技者が行う操作の中から予め定めた操作が実行される第2復帰条件の何れかが達成されることに基づいて、通常時の稼働機能群が稼働する通常モードへ復帰させる通常モード復帰手段」としての機能を実現する。
【0037】
すなわち、本実施形態に係るCRユニット10によれば、CR遊技機20に正対する位置に遊技者が居ない蓋然性の高い遊技者不在状態になって稼働の必要が無いときには、CRユニット10が自動で省電力モードとなって電力消費を抑制でき、CR遊技機20に正対する位置に遊技者が来たり遊技操作を行ったりすると、自動で通常モードに復帰するので、遊技者を戸惑わせることもない。
【0038】
次に、CRユニット10の主制御回路11によって行われる省電力モード移行処理を図3(a)に基づき説明する。
【0039】
先ず、媒体投入検知部18によって有価価値記録媒体Cが投入中であるか否かを判定し(ステップS01)、有価価値記録媒体Cが投入されていなかった場合には、エリアセンサ16からの検知情報を取得し(ステップS02)、遮蔽物が検知されているか否かを判定する(ステップS03)。上記ステップS01で有価価値記録媒体Cが投入されていると判定された場合、およびステップS03でエリアセンサ16が遮蔽物を検知していた場合は、遊技者が遊技中である蓋然性が高いので、再びステップS01からの処理を繰り返す。
【0040】
一方、ステップS03でエリアセンサ16が遮蔽物を検知していなかった場合には、予め定めた不在判定時間を計時するための不在タイマをリセットし(ステップS04)、遊技者を一時的に検知できなかったのか、席を立って遊技者不在となったのかを判定するための時間を計時する。
【0041】
続いて、貨幣投入検知部17による貨幣投入が検知されたか否かを判定し(ステップS05)、貨幣投入が検知されていなければ、媒体投入検知部18により有価価値記録媒体Cの投入が検知されたか否かを判定し(ステップS06)、有価価値記録媒体Cの投入が検知されていなければ、エリアセンサ16により遮蔽物が検知されたか否かを判定する(ステップS07)。
【0042】
上記ステップS05において貨幣の投入が検知された場合、ステップS06において有価価値記録媒体Cの投入が検知された場合、またはステップS06においてエリアセンサ16により遮蔽物が検知された場合には、遊技者が遊技を再開した蓋然性が高いので、再びステップS01からの処理を繰り返す。
【0043】
すなわち、本実施形態のCRユニット10においては、省電力モードへ移行する際に、エリアセンサ16からの遊技者存否情報に基づく不在時間の判定だけではなく、貨幣投入検知部17により貨幣の投入が検出されていない第1付加条件と、媒体投入検知部18による有価価値記録媒体Cの投入が検出されていない第2付加条件を設定し、これら3つの条件全てが満たされているときに、遊技者不在状態と判定することで、省電力モードへ移行させるものとした。斯くすれば、遊技者が床に落ちた球を拾うなどして一時的にエリアセンサ16の検知範囲から外れただけで省電力モードへ移行してしまうような誤動作を防げる。
【0044】
しかしながら、貨幣の投入も、有価価値記録媒体Cの投入も検知されず、エリアセンサ16による遮蔽物の検知も無かった場合には、遊技者が不在となった蓋然性が高いので、一定時間のウェイト語に不在タイマをインクリメントする(ステップS08)。そして、不在タイマが予め定めた不在判定時間の経過に等しい閾値を超えたか否かを判定し(ステップS09)、未だ不在判定時間を経過していなければ、再びステップS05〜ステップS08の処理を繰り返す。
【0045】
一方、上記ステップS09で、不在タイマが閾値を超えて、不在判定時間を経過したと判定された場合には、現在の状態パラメータを退避し(ステップS10)、遊技機用電源の出力を停止し(ステップS11)、省電力時稼働機能群として定めたエリアセンサ16、貨幣投入検知部17、媒体投入検知部18、および省電力モード中割込信号発生回路19のみを稼働させ、他の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を停止することで省電力モードへ移行する(ステップS12)。なお、省電力モード中割込信号発生回路19は主制御回路11内で実現することもできるので、必ずしも省電力モード中割込信号発生回路19を省電力時稼働機能群に含める必要はない。また、CRユニット10が省電力モード中であることを表示できる省電力モード表示部を設けておき、この省電力モード表示部も省電力時稼働機能群に含ませれば、省電力モード中でも『省電力中』等の表示を有効に行うことができる。
【0046】
上記のようにしてCRユニット10が省電力モードへ移行した後、主制御回路11によって行われる通常モード復帰処理を図3(b)に基づき説明する。
【0047】
先ず、省電力モード中割込信号発生回路19からの割込信号を受信したか否かを判定し(ステップS21)、割込信号を受信していなければ、再びステップS21の判定処理を繰り返す。
【0048】
一方、上記ステップS21において割込信号を受信したと判定された場合は、省電力モードへの移行時に停止させた稼働機能群への電力供給およびパルス供給を再開することで通常モードに復帰し(ステップS22)、省電力モードへの移行時に退避したパラメータに基づいて状態復帰させ(ステップS23)、遊技機用電源の出力を再開する(ステップS24)。
【0049】
なお、本実施形態のCRユニット10においては、通常モードへ復帰するためのトリガとなる割込信号の発生に際して、省電力モード中割込信号発生回路19は、エリアセンサ16からの遊技者存否情報に基づく遊技者の存在判定である第1復帰条件に加えて、遊技者が行う操作の中から予め定めた操作(貨幣投入検知部17により貨幣の投入が検出された第1遊技者操作または媒体投入検知部18により有価価値記録媒体Cの投入が検出された第2遊技者操作)が実行される第2復帰条件を判定対象としたので、遊技者がエリアセンサ16の検知範囲外にいる場合でも、遊技開始を意図して貨幣を投入したり有価価値記録媒体Cを投入したりするだけで、CRユニット10およびCR遊技機20を通常モードに復帰させることが出来、利便性の高いものとなる。
【0050】
上述したように、通常モードと省電力モードとが自動で切り替えられるCRユニット10は、自らのモード変化とCR遊技機20のモード変化を同期させているので、CRユニット10のモード状況を知ることができれば、CR遊技機20のモード状況を知ることができる。そこで、本実施形態に係るCRユニット10では、主制御回路11によって「通常モードと省電力モードのモード状況を外部へ出力するモード状況送信手段」の機能を実現し、モード状況を外部(ホールコンピュータ30、顧客管理システムサーバ40、あるいはプリペイドシステム管理コンピュータ50)へ出力することが出来るようにした。
【0051】
そして、遊技場内の各CRユニット10よりモード状況を受信した管理サーバ(例えば、プリペイドシステム管理コンピュータ50)が、モード状況を送信して来たCRユニット10に対応するCR遊技機20のモード状況として管理することで、客付きの善し悪しなど、営業上の有意な管理情報を遊技場経営者に提供することができる。
【0052】
また、プリペイドシステム管理コンピュータ50では、モード状況の収集・管理だけでなく、各CRユニット10への設定を行える機能を設けても良い。例えば、図4に示すプリペイドシステム管理コンピュータ50と店内のLAN回線80を介して各CRユニット10を接続し、プリペイドシステム管理コンピュータ50から設定情報を各CRユニット10へ送信すれば、効率的な設定操作を行うことができる。
【0053】
上記プリペイドシステム管理コンピュータ50によって設定可能な項目は、特に限定されるものではないが、例えば、省電力モード移行条件(エリアセンサ16からの遊技者存否情報に基づく遊技者不在判定、貨幣投入検知部13による貨幣投入の有無判定、媒体投入検知部18による有価価値記録媒体Cの有無判定の組み合わせ)、遊技者不在判定時間として用いる省電力移行マージンのほか、CRユニット10が省電力モードへ移行する時間帯を指定することもできる。あわせて、各CRユニット10に対応するCR遊技機20の電源供給制御も行うか否かも設定できる。
【0054】
更に、プリペイドシステム管理コンピュータ50から、省電力モードにあるCRユニット10を強制的に通常モードへ復帰させる通常モード復帰指令信号を任意のCRユニット10へ送信できるようにしても良い。すなわち、省電力モード中のCRユニット10が、プリペイドシステム管理サーバ50より通常モード復帰指令信号を受信すると、省電力モード中割込信号発生回路19が割込信号を発生した場合と同様に、主制御回路11のCPU11aが通常モードへ復帰し、対応するCR遊技機20への電源供給も再開されて、CR遊技機20も通常動作に戻るのである。なお、プリペイドシステム管理コンピュータ50からの通常モード復帰指令信号をCRユニット10におけるCPU11aの割込端子に入力させて通常復帰させるシステム構成とする場合、プリペイドシステム管理コンピュータ50とCRユニット10とを通常モード復帰指令用の専用線で接続したり、中継局を介して通常モード復帰指令信号を該当するCRユニット10へ入力させるようなシステム構成とする必要があり、既存の店内回線では対応できないので、例えば、LAN回線80を介して送信される電文がCRユニット10に入力された場合に、CPU11aは、この電文を解読するのに必要最低限の機能が有効となるモードに移行し、この受信した電文が自機の通常復帰であるか否かを判断した上で、再び省電力モードへ移行したり通常モードへ復帰したりするようにしても良い。
【0055】
このように遊技場システムを構成した場合、予め定めた特定台番号のCRユニット10が通常モードに移行することを契機として、プリペイドシステム管理コンピュータ50は、当該特定台番号のCRユニット10に対して紐付けした特定集合に属するCRユニット10へ通常モード復帰指令信号を送出させるようにすれば、特定台番号のCRユニット10の通常モード復帰と同期させて特定集団に属するCRユニット10を全て通常モードに復帰させることが出来る。例えば、人がいないために全台が省電力モードになっていた遊技島に客が来たとき、その遊技島のCRユニット10およびCR遊技機20を一斉に通常モードに戻すことで、遊技客による台選びの利便性を高めることができる。無論、遊技客が興味を示して近づいた台の両隣に位置する台のみ通常モードに戻すようにしても良い。
【0056】
次に、遊技者存否情報取得手段として、複数のエリアセンサを使用した第2実施形態に係るCRユニット10′を図5〜図7に基づいて説明する。なお、第1実施形態のCRユニット10と同一の構成は、同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
本実施形態に係るCRユニット10′は、検知範囲を異ならしめた第1エリアセンサ16aと第2エリアセンサ16bを備え、これら第1,第2エリアセンサ16a,16bからの検知情報に基づいて、主制御回路11′が、省電力モード移行条件に基づく省電力モードへの移行制御を行う。また、省電力モード中にあっては、主制御回路11′内の省電力モード中割込信号発生部11bが通常モード復帰条件に基づく通常モードへの復帰制御(割込信号の発生)を行う。
【0058】
なお、通常モード復帰条件として、第2復帰条件(貨幣の投入または有価価値記録媒体Cの投入)を用いる場合には、貨幣の投入を検知できる貨幣識別部12からの信号や有価価値記録媒体Cの投入を検知できる媒体R/W14aからの信号を省電力モード中割込信号発生部11bへ供給しておき、第2復帰条件の達成によっても省電力モード中割込信号発生部11bが割込信号を発生する構成としておけば良い。
【0059】
また、本実施形態のCRユニット10′においては、CR遊技機20への遊技機用電源の供給/停止を制御するのではなく、外部に設けた遊技機用電源供給手段である遊技機用電源生成部90からCR遊技機20への電力供給/停止を制御する出力制御手段91に対して、電力の供給/停止を指示する電力供給指示信号を出力し、間接的にCR遊技機20の停止/再起動を制御するものとした。この電力供給指示信号を出力する電力供給指示手段としての機能は、主制御回路11′によって実現するもので、省電力モードへ移行するときには、電力供給指示手段から出力制御手段91に対して電力供給を停止する指示信号を出力し、遊技機用電源供給手段90からCR遊技機20への電力供給を停止することで節電を図り、通常モードへ復帰するときには、電力供給指示手段から出力制御手段91に対して電力供給を開始する指示信号を出力し、遊技機用電源供給手段90からCR遊技機20への電力供給を開始させることで、CRユニット10′のモードとCR遊技機20のモードを同期させるのである。
【0060】
本実施形態に係るCRユニット10′で用いる第1,第2エリアセンサ16a,16bは、検知エリア内の遮蔽物の有無を判定するだけでなく、遮蔽物からの反射強度から、遮蔽物までの離隔距離を判定することができるものである。例えば、図6に示すように、第1エリアセンサ16aの検知エリアA1は、椅子70に遊技者が着座したときの上半身を検知範囲(B〜Cの範囲)としてカバーしており、第2エリアセンサ16bの検知エリアA2は、椅子70に遊技者が着座したときの下肢を検知範囲(E〜Fの範囲)としてカバーするように設定してある。すなわち、第1エリアセンサ16aの出力がB〜Cの範囲にある第1着座判定条件と、第2エリアセンサ16bの出力がE〜Fの範囲にある第2着座判定条件が同時に達成されたときには、着座状態と的確に判定できるので、椅子70の後から一時的に覗き込んだだけで遊技を開始しないような場合に通常モードに復帰するような誤動作を防げる。
【0061】
なお、偶然に第1着座判定条件と第2着座判定条件が瞬時に達成されてしまう可能性もあり、そのような一瞬の偶然を着座状態と誤認して通常モードに復帰した後、すぐに省電力モードに移行するような不具合が想定される。このような誤動作を無くすために、第1,第2着座判定条件が達成されてから直ぐに通常モードへ戻さずに、予め定めた着座判定時間T1に亘って第1,第2着座判定条件が継続していることを付加条件とし、遊技者存在状態の判定を行うようにしても良い。
【0062】
具体的な判定例を、図7のタイムチャートに基づき説明する。第1エリアセンサ16aと第2エリアセンサ16bの出力値が共に着座判定条件を満たしたときから、着座判定時間T1の計時を開始するが、着座判定時間T1に満たないΔt1が経過したときに第2エリアセンサ16bが第2着座判定条件を満たさなくなった場合には、着座と判定されず、省電力モードへの移行は行わない。一方、第1エリアセンサ16aと第2エリアセンサ16bの出力値が共に着座判定条件を満たしたときからΔt2が経過して、着座判定時間T1に達すると、この時から遊技者存在状態(着座状態)と判定され、通常モードへの復帰処理が行われるのである。
【0063】
また、遊技者が遊技を止めて席を離れたか否かを判定する場合にも、同様の誤認が起きないように、退座判定時間T2による付加条件を課して、遊技者不在状態の判定を行う。第1エリアセンサ16aと第2エリアセンサ16bの出力値が共に着座判定条件を満たした着座状態から、第2エリアセンサ16bの出力値が第2着座判定条件を満たさなくなると、このときより退座判定時間T2の計時を開始し、第2エリアセンサ16bが第2着座条件を満たさなくなったときからΔt3が経過して、退座判定時間T2に達すると、この時から遊技者不在状態と判定され、省電力モードへの移行処理が行われるのである。
【0064】
上述したように、着座判定時間T1や退座判定時間T2を計時してモード移行条件を判定する場合、その監視にタイマ機能が必要であるが、省電力モード中にはソフトウェアによるタイマ監視が出来ないので、適宜なハードウェア論理回路で省電力モード中割込信号発生部11bを構成しておくことが望ましい。図8(a)は、省電力モード中割込信号発生部11bにおける要部の回路構成例を示すものである。なお、本回路構成例においては、着座判定時間T1よりも退座判定時間T2を長く設定しておく必要がある。
【0065】
第1エリアセンサ16aからの検出信号は第1コンパレータ101aに入力され、予め設定された基準値と比較することで、B〜Cの検知範囲に等しい検知レベルであったときに出力A1がONとなる。同様に、第2エリアセンサ16bからの検出信号は第2コンパレータ101bに入力され、予め設定された基準値と比較することで、E〜Fの検知範囲に等しい検知レベルであったときに出力A2がONとなる。第1,第2コンパレータ101a,101bの出力A1,A2は、アンド回路102に入力されて、その和が出力Xとして得られる。
【0066】
上記アンド回路102の出力Xは、第1遅延回路103aおよび第2遅延回路103bに各々入力され、第1遅延回路103aの出力は第1シュミット・トリガ回路104aに入力され、第2遅延回路103bの出力は第2シュミット・トリガ回路104bに入力される。
【0067】
上記第1遅延回路103aは、例えばCRフィルタで構成することにより、入力Xの立ち上がり時には、第1シュミット・トリガ回路104aがONとなるレベルH1に上昇するまでの遅延時間が着座判定時間T1に等しく、入力Xの立ち下がり時には、第1シュミット・トリガ回路104aがOFFとなるレベルL1に低下するまでの遅延時間が着座判定時間T1に等しくなるようにする。斯く構成することで、第1シュミット・トリガ回路104aには、アンド回路102の出力Xの立ち上がりタイミング及び立ち下がりタイミングよりT1だけ遅延してレベルH1,L1となる信号が第1遅延回路103aより入力されることとなる。すなわち、アンド回路102の信号レベルがLからHに、もしくはHからLに変化した後、着座判定時間T1以上継続していれば、このT1経過時に、第1シュミット・トリガ回路104aの出力x1の信号レベルも変化するのである。
【0068】
同様に、第2遅延回路103bも、CRフィルタ等で構成することにより、入力Xの立ち上がり時には、第2シュミット・トリガ回路104bがONとなるレベルH2に上昇するまでの遅延時間が退座判定時間T2に等しく、入力Xの立ち下がり時には、第2シュミット・トリガ回路104bがOFFとなるレベルL2に低下するまでの遅延時間が退座判定時間T2に等しくなるようにする。斯く構成することで、第2シュミット・トリガ回路104bには、アンド回路102の出力Xの立ち上がりタイミング及び立ち下がりタイミングよりT2だけ遅延してレベルH2,L2となる信号が第2遅延回路103aより入力されることとなる。すなわち、アンド回路102の信号レベルがLからHに、もしくはHからLに変化した後、退座判定時間T2以上継続していれば、このT2経過時に、第2シュミット・トリガ回路104bの出力x2の信号レベルも変化するのである。
【0069】
そして、第1シュミット・トリガ回路104aの出力x1と、第2シュミット・トリガ回路104bの出力x2は、オア回路107に入力され、このオア回路107の出力Yを割込信号として用いることが出来る。
【0070】
ここで、図8(b)は、省電力モード中割込信号発生部11b内の要部における出力信号のタイミングチャートであり、本図を参照して分かるように、第1アンド回路102の出力Xの立ち上がり及び立ち下がりをトリガとして、着座判定時間T1だけ遅延して出力x1の信号レベルが変化すると共に、退座判定時間T2だけ遅延して出力x2の信号レベルが変化する。なお、アンド回路102の出力Xのレベル変化継続時間がT1に満たなければ、出力x1,x2の信号レベルが変化することはなく、アンド回路102の出力Xのレベル変化継続時間がT2よりも長ければ、出力x1,x2の信号レベルが共に変化する。また、アンド回路102の出力Xのレベル変化継続時間がT1よりも長くT2よりも短ければ、出力x1の信号レベルのみ変化し、出力x2の信号レベルは変化しない。
【0071】
そして、アンド回路102の出力XがHレベルに変化して、着座判定時間T1だけ継続すると、第1シュミット・トリガ回路104aの出力x1がHレベルに変化し、オア回路105の出力YもLレベルからHレベルに変化する。従って、オア回路105の出力Yの立ち上がりは、省電力モードから通常モードへの移行条件達成を示すものである。なお、第1シュミット・トリガ回路104aの出力x1がHレベルに変化してから所定時間(T2−T1)だけ経過すると、第2シュミット・トリガ回路104bの出力x2もHレベルに変化するが、オア回路105の出力Yは変化しない。
【0072】
一方、アンド回路102の出力XがLレベルに変化して、着座判定時間T1だけ継続すると、第1シュミット・トリガ回路104aの出力x1がLレベルに変化するが、第2シュミット・トリガ回路104bの出力x2はHレベルのままなので、オア回路105の出力Yは変化しない。しかし、アンド回路102の出力XがLレベルに変化して、退座判定時間T2以上継続すると、第2シュミット・トリガ回路104bの出力x2もLレベルに変化するので、オア回路105の出力YはHレベルからLレベルに変化する。従って、オア回路105の出力Yの立ち下がりは、通常モードから省電力モードへの移行条件達成を示すものである。
【0073】
すなわち、オア回路105の出力Yは、省電力時における通常モード復帰条件が達成されたときに立ち上がり、通常時における省電力モード移行条件が達成されたときに立ち下がるパルス信号となる。
【0074】
よって、オア回路105の出力Yの立ち上がりを省電力モードから通常モードへの移行トリガとしてCPU11aの割込端子に入力させれば、省電力モードから通常モードへの復帰を行うことができる。なお、上述した省電力モード中割込信号発生部11bの回路構成例においては、オア回路105の出力Yの立ち下がりを通常モードから省電力モードへの移行トリガとして使えるので、これを省電力モード移行信号としてCPU11aへ供給すれば、通常モードで動作しているCPU11aが自ら省電力モード移行条件の監視を行う必要が無くなるので、その分、CPU11aの負荷を軽減することが出来る。
【0075】
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1実施形態に係るCRユニット概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係るCRユニットにおけるエリアセンサの検知エリア説明図である。
【図3】(a)は、省電力モード移行処理を示すフローチャートである。(b)は、通常モード復帰処理を示すフローチャートである。
【図4】プリペイドシステム管理コンピュータによるCRユニットへの設定操作説明図である。
【図5】第2実施形態に係るCRユニット概略構成図である。
【図6】第2実施形態に係るCRユニットにおける第1エリアセンサおよび第2エリアセンサの検知エリア説明図である。
【図7】遊技者存在状態および遊技者不在状態の判定に用いる第1エリアセンサと第2エリアセンサのタイムチャートである。
【図8】(a)は、省電力モード中割込信号発生部における要部の回路構成例である。(b)は、図8(a)の回路における割込信号生成過程を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10 遊技媒体貸出装置
10a 貨幣投入口
10b 媒体挿排口
11 主制御回路
11a CPU
16 エリアセンサ
17 貨幣投入検知部
18 媒体投入検知部
19 省電力モード中割込信号発生回路
C 有価価値記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店に設置された遊技機に夫々対応して設けられ、対応する遊技機で使用する遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置において、
遊技機に正対する位置に遊技者が存在する蓋然性の高い遊技者存在状態か、遊技機に正対する位置に遊技者が居ない蓋然性の高い遊技者不在状態か、の判定に用いる遊技者存否情報を取得する遊技者存否情報取得手段と、
前記遊技者存否情報取得手段により取得した遊技者存否情報が予め定めた遊技者存在判定条件を満たすことで遊技者存在状態と判定する遊技者存在状態判定手段と、
前記遊技者存否情報取得手段により取得した遊技者存否情報が予め定めた遊技者不在判定条件を満たすことで遊技者不在状態と判定する遊技者不在状態判定手段と、
通常稼働時に、前記遊技者不在状態判定手段により遊技者不在状態と判定されることを必要条件として、予め定めた省電力時稼働機能群のみを稼働させて電力消費を軽減する省電力モードへ移行させる省電力モード移行手段と、
前記省電力モード移行手段により移行した省電力モード時に、前記遊技者存在状態判定手段により遊技者存在状態と判定される第1復帰条件または遊技者が行う操作の中から予め定めた操作が実行される第2復帰条件の何れかが達成されることに基づいて、通常時の稼働機能群が稼働する通常モードへ復帰させる通常モード復帰手段と、
を備えることを特徴とする遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
貨幣投入口より貨幣が投入されていることを検出する貨幣投入センサと、
情報記録媒体挿排口より情報記録媒体が投入されていることを検出する情報記録媒体投入センサと、
を備え、
前記遊技者存否情報取得手段は、遊技機の前面側空間の遮蔽物を検知するエリアセンサの検知情報を遊技者存否情報として取得するようにし、
前記遊技者不在状態判定手段は、前記遊技者存否情報取得手段からの遊技者存否情報により、予め定めた不在判定時間継続して遊技機の前面側空間に遮蔽物が存在しなかったときに、遊技者不在状態と判定するようにし、
遊技者存在状態判定手段は、前記遊技者存否情報取得手段からの遊技者存否情報により、予め定めた存在判定時間継続して遊技機の前面側空間に遮蔽物が存在したときに、遊技者存在状態と判定するようにし、
前記省電力モード移行手段は、前記貨幣投入センサによる貨幣投入が検出されていない第1付加条件と、前記情報記録媒体投入センサによる情報記録媒体投入が検出されていない第2付加条件が、共に満たされているときに、前記遊技者不在状態判定手段が遊技者不在状態と判定することで、省電力モードへ移行させるようにし、
前記通常モード復帰手段が判定する第2復帰条件は、前記貨幣投入センサによる貨幣投入が検出された第1遊技者操作、または、前記情報記録媒体投入センサによる情報記録媒体投入が検出された第2遊技者操作としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項3】
前記省電力モード移行手段は、省電力時稼働機能群として定めた貨幣投入センサ、情報記録媒体投入センサおよびエリアセンサのみを稼働させ、他の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を停止することで省電力モードへ移行し、
前記通常モード復帰手段は、通常時の稼働機能群への電力供給およびパルス供給を再開することで通常モードへ復帰させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項4】
遊技機を動作させるための遊技機用電源供給手段を備え、
前記省電力モード移行手段は、省電力モードへ移行するときに、前記遊技機用電源供給手段による遊技機への電力供給を停止するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項5】
遊技機を動作させるための遊技機用電源供給手段から遊技機への電力供給/停止を制御する出力制御手段に対して、電力の供給/停止を指示する電力供給指示手段を備え、
前記省電力モード移行手段は、省電力モードへ移行するときに、前記電力供給指示手段から出力制御手段に対して電力供給の指示信号を出力させ、遊技機用電源供給手段から遊技機への電力供給を停止するようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項6】
前記請求項4又は請求項5に記載の遊技媒体貸出装置に、通常モードと省電力モードのモード状況を外部へ出力するモード状況送信手段を設け、
通信回線によって接続される管理サーバへ前記遊技媒体貸出装置よりモード状況を送信し、
前記管理サーバにて、遊技媒体貸出装置より受信したモード状況を当該遊技媒体貸出装置に対応する遊技機のモード状況として管理するようにしたことを特徴とする遊技場管理システム。
【請求項7】
前記遊技媒体貸出装置は、省電力モード中に前記管理サーバより通常モード復帰指令信号を受信することで、通常モードへ復帰するものとし、
予め定めた特定台番号の遊技媒体貸出装置が通常モードに移行したとき、管理サーバは、当該特定台番号の遊技媒体貸出装置に対して紐付けした特定集合に属する遊技媒体貸出装置へ通常モード復帰指令信号を送出するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の遊技場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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