説明

遊技媒体貸出装置

【課題】他店の遊技場で貸し出された遊技媒体か否かを容易に判別することが可能となる遊技媒体貸出装置を提供すること。
【解決手段】紙幣投入口5に紙幣を投入すると、制御ユニット30は、ホッパーモータ15を駆動して、払出ユニット14によりメダルの貸し出しを行う。この際、リーダ/ライタ20によってメダル排出口16から払い出されるメダルに埋設されたICタグから情報を読み出して、ICタグに何も情報が書き込まれていなかった場合は、自店に固有の遊技場識別情報を当該ICタグに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグなどの記憶媒体が埋設された遊技媒体を、投入された通貨に応じて貸し出す遊技媒体貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技場に設置されたスロットマシンやパチンコ機で遊技を行うには、これら遊技機の遊技媒体であるメダルやパチンコ球を、遊技場から有償で借り受け、当該遊技媒体を遊技機に投入する必要がある。すなわち、遊技場は、遊技者へ遊技媒体を貸し出すことによって利益を得ているため、他店の遊技場で貸し出された遊技媒体を用いて遊技を行うことを禁止している。また、遊技場の中には、ある遊技機から払い出された遊技媒体を用いて、他店の遊技機で遊技を行うこと(以下、台移動という)を禁止している所もある。そこで、上述した禁止事項を定めている遊技場のために、当該禁止事項に対する違反行為を検知可能な遊技システムが提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示された遊技システムは、スロットマシンと、当該スロットマシンに対応して設置されたCRサンドと、通信回線を介してこれらと接続されたサーバとからなり、サーバは、スロットマシンへのメダル投入枚数、スロットマシンのメダル払出枚数、および、CRサンドのメダル貸出枚数を管理するとともに、これらに関するデータが送信されてくると、(メダル貸出枚数)+(メダル払出枚数)−(メダル投入枚数)の演算を行う。そして、その演算結果が、所定の許容範囲を超えると、他店の遊技場のメダルの使用や、台移動などの不正が行われたとみなして、スロットマシンおよびCRサンドに設けられた警報ランプを点灯させるとともに、遊技場の従業員などが所有する携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)に、不正が発生した旨のメッセージを送信するものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2に開示された遊技システムは、スロットマシンと、当該スロットマシンと各種データのやり取りを行うCRサンドとからなり、CRサンドは、自らが貸し出したメダル枚数(メダル貸出枚数)と、スロットマシンへのメダル投入枚数、および、スロットマシンのメダル払出枚数を管理し、スロットマシンからメダル投入枚数またはメダル払出枚数に関するデータが送信されてくると、(メダル貸出枚数)+(メダル払出枚数)−(メダル投入枚数)の演算を行う。そして、その演算結果が、所定の許容範囲を超えると、他店の遊技場で貸し出されたメダルの使用または台移動などの不正が行われたとみなして、スロットマシンおよびCRサンドに設けられた警報ランプを点灯させるなどして、遊技場の従業員などに不正が発生したことを知らせるものが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−73497
【特許文献2】特開2004−97685
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された遊技システムにおいては、(メダル貸出枚数)+(メダル払出枚数)−(メダル投入枚数)の演算結果が許容範囲を超えたときに不正が発生したとみなすため、他の遊技場で貸し出されたメダルが使用されたのか否かを明確に検知することができなかった。すなわち、台移動を容認している遊技場の場合、上述した遊技システムにより、警報ランプの点灯や不正が発生した旨のメッセージが送信されたとしても、それが他店の遊技場で貸し出されたメダルを使用した結果によるものか、台移動が行われた結果によるものかを判別することができないため、他店の遊技場で貸し出されたメダルの使用を阻止する有効なシステムとはいえなかった。
【0007】
そこで本発明は、他店の遊技場で貸し出された遊技媒体か否かを容易に判別することが可能となる遊技媒体貸出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、遊技場に設置され、通貨が投入されたことに応じて遊技媒体払出装置を作動させ、記憶媒体が埋設された遊技媒体を、払出経路を通して払出口から払い出す遊技媒体貸出装置であって、前記遊技場に固有な遊技場識別情報を記憶した遊技場識別情報記憶手段と、前記遊技媒体に埋設された記憶媒体に情報を書き込む書込手段と、前記遊技場識別情報記憶手段から前記遊技場に固有な遊技場識別情報を読み出し、前記書込手段を制御して前記読み出した遊技場識別情報を前記記憶媒体に書き込むとともに、前記遊技媒体払出装置を制御して、前記遊技場識別情報を前記記憶媒体に書き込んだ遊技媒体を払い出す制御手段とを具備することを特徴としている。
【0009】
ここで、上述した記憶媒体としては、たとえば、外部のリーダ/ライタと無線により非接触でデータの授受および記憶を行うICタグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどがある。
【0010】
上述した遊技媒体貸出装置によれば、貸し出す遊技媒体に埋設された記憶媒体へ自店の遊技場識別情報を書き込むため、貸し出された遊技媒体に埋設されている記憶媒体に書き込まれている遊技場識別情報を読み取ることで、当該貸し出された遊技媒体が、自店の遊技場で貸し出されたものであるか否かを容易に判別することができる。
【0011】
また、本発明は、上述した遊技媒体貸出装置において、前記遊技媒体に埋設された記憶媒体から情報を読み取る読取手段を有してなり、前記制御手段は、前記記憶媒体に何ら情報が書き込まれていなかった場合は、前記遊技場識別情報記憶手段から前記遊技場に固有な遊技場識別情報を読み出して、該読み出した遊技場識別情報を前記記憶媒体に書き込み、前記記憶媒体にすでに前記遊技場に固有な遊技場識別情報が書き込まれていた場合は、該記憶媒体が埋設された遊技媒体を前記遊技媒体払出装置によりそのまま払い出すことを特徴としている。
【0012】
上記の遊技媒体貸出装置によれば、貸し出す遊技媒体に埋設された記憶媒体に何も情報が記憶されていない場合に、遊技場識別情報を書き込み、すでに自店の遊技場識別情報が記憶されていた場合はそのまま、その遊技媒体を貸し出すため、遊技場識別情報の書き込みに要する制御手段の負荷を軽減することができる。
【0013】
また、本発明は、上記の遊技媒体貸出装置において、前記制御手段は、前記記憶媒体にすでに前記遊技場識別情報が書き込まれており、かつ、前記遊技場識別情報以外の情報が書き込まれていた場合は、該遊技場識別情報以外の情報を消去することを特徴としている。
【0014】
上記の遊技媒体貸出装置によれば、遊技媒体に埋設された記憶媒体に、自店の遊技場識別情報が書き込まれており、さらに、自店の遊技場識別情報以外の情報が書き込まれていた場合、自店の遊技場識別情報以外の情報が消去される。このため、たとえば、遊技場に設置された遊技機において、遊技媒体を払い出す際に、当該遊技機に関する識別情報を書き込み、当該遊技機以外の遊技機でその遊技媒体を使用できないようにしている(すなわち、台移動ができないようにしている)遊技場があった場合、上記遊技機に関する識別情報が消去されるため、再び任意の遊技機でその遊技媒体を使用することができる。
【0015】
また、本発明は、上述した読取手段を有する各遊技媒体貸出装置において、前記遊技媒体を回収する回収部と、前記払出経路から前記回収部へ至る回収経路と、前記遊技媒体払出装置から払い出された遊技媒体が、前記排出経路から前記払出口へ至る経路または前記回収経路のいずれかの経路を通過するよう切り替える経路切替手段とを有してなり、前記制御手段は、前記読出手段により前記遊技媒体に埋設された記憶媒体から情報を読み取ることができなかった場合、前記経路切替手段を前記回収経路側に切り替えることを特徴としている。
【0016】
ここで、「前記読出手段により前記遊技媒体に埋設された記憶媒体から情報を読み取ることができなかった場合」とは、遊技媒体に記憶媒体が埋設されていなかった場合、または、記憶媒体が故障などを起こした場合など、読出手段が記憶媒体にアクセスできなかった場合を意味し、記憶媒体に何も情報が記憶されていなかったために「記憶媒体から情報を読み取ることができなかった場合」は除く。
【0017】
上述した遊技媒体貸出装置によれば、記憶媒体が埋設されていない遊技媒体、または、記憶媒体が故障している遊技媒体が検出された場合、それら遊技媒体は、払出口から払い出されることなく、回収部に回収される。このため、上述したような不適切な遊技媒体の回収が容易となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の遊技媒体貸出装置によれば、貸し出す遊技媒体に埋設された記憶媒体へ遊技場識別情報を書き込むので、上記記憶媒体に書き込まれた遊技場識別情報を読み取ることで、他店の遊技場で貸し出された遊技媒体なのか、自店で貸し出した遊技媒体なのかを容易に判別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、遊技媒体貸出装置としてメダルを貸し出すメダル貸出機を例に挙げ、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係るメダル貸出機1の前面の構成を示す正面図である。この図において、メダル貸出機1の前面最上部には、メダル貸出機1内にメダルを補給するためのメダル補給扉2が開閉自在に設けらており、メダル貸出機1内に貯留されているメダルの残量が少なくなった場合、遊技場の係員はメダル補給扉2を開けメダル貸出機1内にメダルを投入(補給)する。メダル補給扉2の下側には、貸出ランプ3が設けられている。この貸出ランプ3は、メダル貸出機1においてメダルの貸し出しが可能な状態にあるときに点灯し、メダルの貯留量が減少し、もしくは、何らかの異常が発生してメダルの貸し出しができない状態になったときは消灯する。貸出ランプ3の下側には、2つの7セグメント表示器からなる貸出枚数表示器4が設けられており、メダル貸出機1に通貨が投入されて、メダルの貸し出しが開始されると、貸し出したメダルの枚数が表示される。貸出枚数表示器4の下側には、紙幣投入口5が設けられており、当該紙幣投入口5に千円札が投入されると、メダル貸出機1は、50枚のメダルを貸し出す。メダル貸出機1の前面最下部には、メダル払出口6およびメダル受皿7が設けられており、紙幣投入口5に千円札が投入された結果、貸し出されたメダルはメダル払出口6からメダル受皿7へ払い出される。
【0021】
ここで、メダル貸出機1が貸し出すメダルの構造について、図2を参照して説明する。図2は、メダルMの全体を図示したものであり、内部構造の一部を模式的に示したものである。メダルMの本体は、合成樹脂を円板状に成形したものであり、その内部には、識別情報などの各種情報が所定の記憶領域に記憶されているICタグITが埋設されている。ICタグITには、太さ1mm程の銅または鉄の線材を曲げて同心円を描くように一筆書きで配設されたアンテナANTが接続されている。ICタグITは、アンテナANTを介して、非接触で後述するリーダ/ライタと無線でデータ通信を行う。また、ICタグITは、リーダ/ライタが発する電波を受信し、電磁誘導などの仕組みで電流を発生させるなどして電源を得ている。また、ICタグITに記憶されている各種情報はリーダ/ライタによって書き換えが可能になっている。
【0022】
次に図3を参照して上述したメダル貸出機1の主な内部構成について説明する。図3は、メダル貸出機1の側面図であり、内部構成を示すために、筐体部分を断面で示している。この図において、図1に示した各部と同じ構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。図3において、紙幣識別装置10は、紙幣投入口5から投入された紙幣を取り込み、投入された紙幣の種類および真贋を識別し、正当な千円札以外のものが投入された場合は、紙幣投入口5から外部へ排出する。メダル収容部11は、メダル補給扉2に対向する領域に開口が設けられた筒状の部材であり、その底部開口縁は、メダルタンク12の開口縁と当接し、メダル補給扉2を開けて投入されたメダルを受け入れて、ホッパー(遊技媒体払出装置)のメダルタンク12とともに、投入されたメダルを貯留する。メダルタンク12の下部にはホッパー本体13があり、その内部には、メダルタンク12内のメダルを1枚ずつ払い出す払出ユニット14と、払出ユニット14の駆動源であるホッパーモータ15が設けられている。払出ユニット14によって払い出されたメダルは、ホッパー本体13に形成されたメダル排出口16から排出され、メダル払出経路17内を落下して、メダル払出口6からメダル受皿7へと払い出される。
【0023】
また、払出ユニット14のメダル排出口16近傍には、メダルに埋設されたICタグとデータの授受を行うリーダ/ライタ20が設けられている。ホッパー本体13の下側には、他店の遊技場で貸し出されたメダルや埋設されたICタグが故障しているメダルなど、不適正なメダルがメダル排出口16から排出された場合に、それらのメダルを回収するメダル回収部18が設けられている。このメダル回収部18には、回収扉18aが設けられており、ソレノイド19によって開閉する。すなわち、ソレノイド19が非励磁状態にあるときは、図3中、破線で示すように回収扉18aは閉じられており、ソレノイド19が励磁状態になると、図3中、二点鎖線で示すように回収扉18aは開いた状態となってメダル払出経路17の出口を塞いで不適正なメダルがメダル払出口6から払い出されるのを阻止するとともに、当該メダルを回収部18内へ誘導する。したがって、回収扉18aは、払出経路から回収部へ至る回収経路に相当し、さらに回収扉18aおよびソレノイド19は、遊技媒体払出装置から払い出された遊技媒体が、排出経路から払出口へ至る経路または回収経路のいずれかの経路を通過するよう切り替える経路切替手段に相当する。メダル貸出機1の内部底面には、メダル貸出機1の各部を制御する制御ユニット30が設置されている。
【0024】
次に図4および図5を参照してホッパーの構造について説明する。図4はホッパーの外観を示す斜視図であり、当該ホッパーを構成しているメダルタンク12の内側に設けられた回転ディスク21を図示するために、メダルタンク12の一部を破断した状態で図示している。図5は、メダルタンク12を取り除いた状態で、図3に示した払出ユニット14を上方から見た平面図であり、リーダ/ライタ20の取付位置を示すため、回転ディスク21の一部を破断した状態で示している。
【0025】
次に図4および図5において、メダルタンク12の傾斜した内部底面には、図3に示したホッパーモータ15によって図5中、時計回りに回転する回転ディスク21が設けられている。この回転ディスク21には、メダルタンク12に貯留されたメダルが1枚ずつ入る開口22が4つ穿設されている。図5においては回転ディスク21の一部を破断した状態を示しているため、開口22は2つのみ図示されている。また、回転ディスク21の裏面には、メダルMの厚さとほぼ同じ高さを有する爪車状のメダル送出リブ21aが突出成形されている。
【0026】
一方、払出ユニット14の表面には、メダル排出口16へ連通しているメダル排出路14aと、このメダル排出路14aと一体的に形成される円形のメダル受け部14bとが設けられている。メダル排出路14aおよびメダル受け部14bは、メダルMの厚さとほぼ同じ深さを有する凹部として形成される。メダル受け部14の径は、図5に示すように回転ディスク21の径よりも小さくなっている。また、メダル排出路14aからメダル受け部14bにかかる領域には、払出ユニット14の裏面において、図3に示したリーダ/ライタ20が図5の破線で示す位置に取り付けられている。
【0027】
メダル排出路14aの一方の側壁面14cからメダル受け部14bの側壁面14dへ至る箇所には、カウンタローラ23が設けられている。一方、メダル排出路14aの他方の側壁面14eからメダル受け部14bの側壁面14dへ至る箇所には、位置固定ローラ24が定位置で回転自在に設けられている。カウンタローラ23の回転軸は、メダルが排出される際に、払出ユニット14の表面に穿設された長穴25内を図5中矢印の方向に移動し、この動きを払出ユニット14の裏面に設けられているメダル検出部26によって検出することで、図3に示した制御ユニット30は、メダルが1枚払い出されたことを認識する。カウンタローラ23は、バネなどにより図5に図示されている位置に付勢されており、メダルMがメダル排出路14aを通過するときは、一旦、矢印の方向へ移動し、メダルMが排出された後は、再び図5に図示する位置に復帰する。
【0028】
メダルタンク12内のメダルMは、開口22からメダル受け部14bへ入り、回転ディスク21がホッパーモータ15によって回転すると、メダル送出リブ21aにより、メダル受け部14bの側壁面14dに沿って、メダル排出路14aの方向へ移動させられる。そして、メダル排出路14aを臨む位置に来たメダルMは、図5に示す位置にあるカウンタローラ23に当接し、さらに、カウンタローラ23を図5の矢印で示す方向に移動させる。このとき、リーダ/ライタ20によって、メダルMに埋設されたICタグITとの通信が開始され、後述するように各種情報の授受が行われる。そして、メダル送出リブ21aによってメダルMがさらにメダル排出路14aの方向へ押し出され、やがてカウンタローラ23のバネによる復帰力により、カウンタローラ23と位置固定ローラ24との間からメダル排出路14aの出口、すなわちメダル排出口16へ向けて付勢される。これにより、メダルMは、メダル排出口16から勢いよく排出され、図3に示すメダル払出経路17を落下し、メダル払出口6からメダル受皿7へ払い出される。
【0029】
次に図6に示すブロック図を参照して、メダル貸出機1の各部を制御する制御ユニット30の構成について説明する。図6において、CPU31は、ROM32に記憶されたプログラムに従って、メダル貸出機1の各部を制御する。ROM32は、上述したプログラムに加え、メダル貸出機1が設置された遊技場に固有の遊技場識別情報が記憶されている。よって、ROM32は、遊技場識別情報記憶手段に相当する。RAM33は、CPU31が各種処理を行う際に参照または生成するデータを一時的に記憶する。入力インタフェース34は、図3に示す紙幣識別装置10およびメダル検出部26から出力された信号を受信する。通信装置35は、CPU31により異常が発生したと判断された場合、異常信号を図示せぬ遊技設備管理装置へ送信する。この遊技設備管理装置は、いわゆるホールコンピュータといわれるものであり、遊技場に設置されている各遊技機および遊技媒体貸出装置の稼働状況を監視、記録するものである。ランプ駆動回路36、モータ駆動回路37、および、ソレノイド駆動回路38は、それぞれ、CPU31の制御に従って貸出ランプ3および貸出枚数表示器4、ホッパーモータ15、ならびに、ソレノイド19を駆動する。入出力インタフェース39は、CPU31とリーダ/ライタ20との間でやりとりされる各種情報の受け渡しを行う。カレンダIC40は、内部に水晶発振子を具備して常時計時を行い、CPU31からの要求に応じて現在の年月日、曜日、時刻データを出力する。
【0030】
次に上述した構成の制御ユニット30における制御内容について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
メダル貸出機1の電源が投入されると、メインCPU31は、セルフチェック処理、RAM33のクリアなどの初期化処理を行い(ステップS1)、その後、紙幣投入口5へ紙幣が投入されたか否かを判断し(ステップS2)、紙幣が投入されるまで判断結果がNOとなって待機状態となる。紙幣投入口5へ紙幣が投入されると、ステップS2の判断結果がYESとなって投入された紙幣が適正なものであるか否かが判断される(ステップS3)。そして、紙幣識別装置10において、千円札以外の紙幣、もしくは、正当な紙幣でないものが投入されたと判断された場合、ステップS3の判断結果がNOとなり、CPU31は、投入されたものを紙幣投入口5へ排出するよう紙幣識別装置10に対して指示を出す(ステップS4)。これにより、紙幣識別装置10は、紙幣投入口5から取り込んだものを再び紙幣投入口5へ排出する。
【0032】
一方、紙幣識別装置10において正当な千円札が投入されたと判断された場合、ステップS3の判断結果はYESとなって、貸出枚数計数用変数CNTの値を「0」にし(ステップS5)、ランプ駆動回路36を介して貸出枚数表示器4に変数CNTの値を表示させた後、モータ駆動装置37を介してホッパーモータ15を駆動する(ステップS6)。これにより、回転ディスク21が回転し、開口22からメダル受け部14bに入ったメダルがメダル排出路14aの方向へ移動させられる。そして、CPU31は、リーダ/ライタ20を介してメダル排出路14aの入り口に近づいたメダルに埋設されているICタグとの通信を行う。ここで、ICタグとの通信を確立できなかった場合、メダル排出路14aの入り口に近づいたメダルにはICタグが埋設されていない他店の遊技場で貸し出されたメダル、または、埋設されたICタグが故障しているメダルとみなし、適正なメダルではないと判断する(ステップS7,NO)。
【0033】
この場合、ソレノイド駆動回路38を介してソレノイド19を励磁状態にして回収扉18aを開扉しメダル払出経路17の出口を閉鎖するとともに、適正でないと判断されたメダルを回収部18へ回収し(ステップS8)、ホッパーモータ15の回転を停止させる(ステップS9)。これにより、ステップS7で適正でないと判断されたメダルがメダル排出口16から排出されてしまっても、回収部18に回収され、メダル受皿7に払い出されることはない。そして、ランプ駆動回路36を介して、貸出ランプ3を消灯する(ステップS10)とともに、通信装置35から異常が発生した旨を示す異常信号を遊技設備管理装置へ送信し(ステップS11)、遊技者と遊技場の係員に、それぞれメダル貸出機1において異常が発生したことを報知する。
【0034】
一方、ICタグとの通信を確立できた場合は、適正なメダルであると判断し(ステップS7,YES)、リーダ/ライタ20によって、ICタグに記憶されている情報を読み出す(ステップS12)。したがって、リーダ/ライタ20は、遊技媒体に埋設された記憶媒体から情報を読み取る読取手段に相当する。ICタグの中に何も情報が記憶されていなかった場合(ステップS13,NO)、ROM32に記憶されている自店の遊技場識別情報を読み出して、リーダ/ライタ20によりメダルに埋設されているICタグの所定の記憶領域に書き込む(ステップS14)。次いで、カレンダIC40から現在の日付、時刻を読み出して、日付情報としてICタグの所定の記憶領域に書き込む(ステップS15)。よって、リーダ/ライタ20は、遊技媒体に埋設された記憶媒体に情報を書き込む書込手段に相当する。なお、この日付情報は、たとえばメダル貸出機1から貸し出されたメダルが、後々、遊技機から払い出されて計数装置によって計数されるときに参照され、所定日数(たとえば2日間)が経過していた場合、計数しないようにする場合などに利用される。このような運用を行えば、遊技者が自店の遊技場で貸し出されたメダルを持ち帰るなどの行為を抑止できる可能性がある。
【0035】
一方、ステップS12の処理によってICタグから何らかの情報が読み出された場合(ステップS13,YES)、読み出した情報の中に自店の遊技場識別情報が含まれているか否かを判断する(ステップS16)。読み出した情報の中に自店の遊技場識別情報が含まれていなかった場合、判断結果がNOとなり、不適正なメダルとみなして、前述したステップS8〜S11の処理を実行する。すなわち、回収扉18aを開扉してメダル払出経路17の出口を閉鎖することで、ステップS16において適正でないと判断されたメダルがメダル受皿7に払い出されるのを阻止するとともに、回収部18へ回収する。そして、ホッパーモータ15の回転を停止させ、貸出ランプ3を消灯するとともに、遊技設備管理装置へ異常信号を送信する。
【0036】
これに対して、読み出した情報の中に自店の遊技場識別情報が含まれていた場合、ステップS16の判断結果がYESとなり、自店の遊技場において使用されている適正なメダルとみなす。そして、カレンダIC40から現在の日時を読み出し、日付情報としてICタグの所定記憶領域に書き込むことで、日付情報の更新を行った後(ステップS17)、遊技場識別情報および当該遊技場識別情報が書き込まれた日付情報以外に何らかの情報が書き込まれているか否かを判断する(ステップS18)。ステップS12で読み出した情報の中に、遊技場識別情報および日付情報以外の情報が書き込まれていた場合、判断結果がYESとなってその情報をICタグから消去し(ステップS19)、次いでホッパーから払い出されるメダルが、メダル検出部26によって検出されたか否かを判断する(ステップS20)。なお、ステップS14およびS15で、ICタグに自店の遊技場識別情報および日付情報を書き込んだ後は、直接、上記ステップS20の処理へ移行する。
【0037】
ステップS20の処理で、ホッパーから払い出されるメダルがメダル検出部26により検出されなかった場合、判断結果がNOとなって、前述したステップS9〜S11の処理を行う。すなわち、ホッパーモータ15の回転を停止させ、貸出ランプ3を消灯するとともに、遊技設備管理装置へ異常信号を送信する。この場合、ホッパーからメダルが払い出されないという異常が発生しているため、ステップS8の回収扉18aを開扉させる処理は行わない。
【0038】
一方、ステップS20の処理で、ホッパーから払い出されるメダルがメダル検出部26により検出された場合、判断結果がYESとなって、貸出枚数計数用変数CNTの値を「1」加算し(ステップS21)、更新した変数CNTの値を貸出枚数表示器4に表示する。以上の処理により、1枚のメダルの払い出しが完了する。次に、貸出枚数計数用変数CNTの値が「50」になったか否かを判断する(ステップS22)。「50」になっていなかった場合は、ステップS7へ戻り、次に払い出すメダルが適正なものであるか否かを判断する。一方、「50」になった場合は、ホッパーモータ15の回転を停止し(ステップS23)、貸出枚数表示器4に表示していた貸出枚数計数用変数CNTの値を消去した後、ステップS2へ戻り、次に紙幣投入口5へ紙幣が投入されるまで待機状態となる。
【0039】
上述したメダル貸出機1によれば、メダルに埋設されたICタグに自店の遊技場識別情報を書き込んでからそのメダルを貸し出すので、貸し出されたメダルのICタグに記憶されている遊技場識別情報を読み取ることで、そのメダルが自店の遊技場で貸し出されたものであるか否かを容易に判別することができる。また、これから貸し出すメダルのICタグに何も情報が記憶されていない場合に、自店の遊技場識別情報を書き込み、すでに自店の遊技場識別情報が記憶されていた場合は書込処理を行わずにそのメダル貸し出すため、ICタグに対する書き込み処理を負荷を軽減することができる。
【0040】
また、これから貸し出すメダルのICタグに、自店の遊技場識別情報と、自店の遊技場識別情報以外の情報とが書き込まれていた場合、自店の遊技場識別情報以外の情報が消去される。このため、たとえば、遊技場に設置された遊技機において、メダルを払い出す際にそのメダルのICタグに自機に関する識別情報を書き込むとともに、投入されたメダルのICタグに書き込まれた遊技機に関する識別情報を読み出して、自機の識別情報と一致しない場合は、そのメダルを用いた遊技ができないようにする機能を有した遊技機を設置して、台移動ができないようにしている遊技場があった場合、メダルの貸出時に遊技機に関する識別情報が消去されるため、再び任意の遊技機でその遊技媒体を使用することができる。
【0041】
さらに、ICタグが埋設されていないメダル、埋設されたICタグが故障しているメダル、または、自店の遊技場識別情報以外の情報のみが書き込まれたICタグを内包するメダルが検出された場合、回収扉18aを開扉することによって、それら不適正なメダルがメダル受皿7へ払い出されるのを阻止するので、そのようなメダルが自店の遊技場で使用されるのを防ぐことができる。また、上記不適正なメダルは、回収部18に回収されるので、それらメダルの回収が容易となる。
【0042】
なお、上述したメダル貸出機1では、ステップS7およびステップS16において、不適正なメダルがホッパー本体13から排出されたと判断した場合、当該メダルを回収するとともに、貸出処理を終了させていたが、たとえば、メダル払出口16およびメダル回収部18の入口にそれぞれメダル通過センサを設けておき、メダル検出部26によりメダルの払い出しを検出すると、ホッパーモータ15を停止させ、上記メダル通過センサのいずれかによりメダルの通過を検出したときに、ホッパーモータ15を駆動して次のメダルを払い出すようにすれば、不適正なメダルがホッパー本体13から排出されたと判断した場合でも、貸出処理を終了させることなく、不適正なメダルを回収した後、引き続き貸出処理を継続させることも可能である。
【0043】
また、上述したメダル貸出機1は、メダルを貸し出すものであったが、ICタグを埋設可能な遊技媒体であれば、パチンコ球を貸し出すパチンコ球貸出機に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態における遊技媒体貸出装置の前面外観を示す正面図である。
【図2】同遊技媒体貸出装置が貸し出す遊技媒体の内部構造を示す模式図である。
【図3】同遊技媒体貸出装置の側面を示す側面図である。
【図4】同遊技媒体貸出装置の内部に設けられたホッパーの外観を示す斜視図である。
【図5】同ホッパーのメダルタンクを除いた状態でホッパーの払出ユニット上面を示した平面図である。
【図6】本発明の実施の形態における遊技媒体貸出装置の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図7】同制御ユニットにより実行される制御に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 メダル貸出機
12 メダルタンク
13 ホッパー本体
14 払出ユニット
15 ホッパーモータ
20 リーダ/ライタ
30 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場に設置され、通貨が投入されたことに応じて遊技媒体払出装置を作動させ、記憶媒体が埋設された遊技媒体を、払出経路を通して払出口から払い出す遊技媒体貸出装置であって、
前記遊技場に固有な遊技場識別情報を記憶した遊技場識別情報記憶手段と、
前記遊技媒体に埋設された記憶媒体に情報を書き込む書込手段と、
前記遊技場識別情報記憶手段から前記遊技場に固有な遊技場識別情報を読み出し、前記書込手段を制御して前記読み出した遊技場識別情報を前記記憶媒体に書き込むとともに、前記遊技媒体払出装置を制御して、前記遊技場識別情報を前記記憶媒体に書き込んだ遊技媒体を払い出す制御手段と
を具備することを特徴する遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
前記遊技媒体に埋設された記憶媒体から情報を読み取る読取手段を有してなり、
前記制御手段は、
前記記憶媒体に何ら情報が書き込まれていなかった場合は、前記遊技場識別情報記憶手段から前記遊技場に固有な遊技場識別情報を読み出して、該読み出した遊技場識別情報を前記記憶媒体に書き込み、
前記記憶媒体にすでに前記遊技場に固有な遊技場識別情報が書き込まれていた場合は、該記憶媒体が埋設された遊技媒体を前記遊技媒体払出装置によりそのまま払い出す
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記記憶媒体にすでに前記遊技場識別情報が書き込まれており、かつ、前記遊技場識別情報以外の情報が書き込まれていた場合は、該遊技場識別情報以外の情報を消去する
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項4】
前記遊技媒体を回収する回収部と、
前記払出経路から前記回収部へ至る回収経路と、
前記遊技媒体払出装置から払い出された遊技媒体が、前記排出経路から前記払出口へ至る経路または前記回収経路のいずれかの経路を通過するよう切り替える経路切替手段と
を有してなり、
前記制御手段は、
前記読出手段により前記遊技媒体に埋設された記憶媒体から情報を読み取ることができなかった場合、前記経路切替手段を前記回収経路側に切り替える
ことを特徴とする請求項2または3に記載の遊技媒体貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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