説明

遊技媒体貸出装置

【課題】内部で放射された不正電波は勿論、外部より自らに向けて放射された不正電波、近隣の遊技機に向けて放射された不正電波も検知することができ、不正に遊技媒体が引き出されることを効果的に防止する遊技媒体貸出装置を提供する。
【解決手段】CR遊技機20と接続されて遊技媒体貸出制御を行うCRユニット10の筐体を、電波透過性樹脂で形成した前面カバー102と主枠体101で構成し、該筐体内に電波センサ部16を設け、前面カバー102を透過して筐体内に到来した不正電波および筐体内にアンテナを挿入して放射された不正電波を電波センサ部16が検知すると、主制御回路12は遊技媒体貸出機能を停止させて、不正に遊技媒体が払い出されることを阻止すると共に、音声信号生成部14や表示/操作部15によって不正電波検知を報知すると共に、ホールコンピュータ30やプリペイドシステム管理コンピュータ50へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技店に設置された遊技機に夫々対応して設けられ、情報記録媒体に記憶された情報に基づいて、対応する遊技機で使用する遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技店に導入されている遊技媒体貸出システムにおいては、プリペイド媒体(購入金額に相当する価値を記憶させた磁気カードやICカード等)や現金の投入による遊技媒体(遊技球や遊技メダル等)の貸出に際して、プリペイド媒体等を受入れて遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置(いわゆるCRユニット)と、遊技媒体貸出機能を備えた遊技機(いわゆるCR遊技機)とを並設している。この遊技媒体貸出システムにおいては、遊技機に設けた遊技媒体貸出装置接続端子板を介して、CRユニットからCR遊技機へ遊技媒体の払出要求を信号で通知し、CRユニットから遊技媒体の払出要求を受けたCR遊技機が実際に遊技媒体を払い出し、払い出した遊技媒体分の金額や価値がCRユニットにて取り込まれる。
【0003】
このようなCR遊技機やCRユニットは、遊技店内の通常環境では発生しえない想定外の電波が発生すると、制御機器やセンサが誤動作してしまい、仕様外の遊技媒体が払い出されるという事象が起こり得る。このような誤動作を故意に引き起こして不正に遊技媒体を取得する不正行為(いわゆる電波ゴト行為)に対処するため、遊技機の近傍に設ける遊技機用不正電波検知センサーが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−129754号公報
【0005】
上記特許文献1に記載された不正電波検知センサーによれば、携帯電話の電波による誤検出が起きないよう、選択的に不正電波を検出することが可能であり、また、不正電波の検出に伴って不正電波誤動作検知信号を警報装置に出力することで、LEDやアラームによる警報が実行され、不正電波による不正行為防止に有効である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された不正電波検知センサは、CR遊技機やCRユニットとは異なる場所(例えば、島設備の上部幕板等)に設けるものであることから、CR遊技機内部やCRユニット内部にアンテナを挿入して機器の誤動作を引き起こす不正行為が行われると、この不正電波を検知できないという問題がある。このような問題に対して、不正電波検知センサをCR遊技機とCRユニットの内部に各々設けて不正電波を検知させようとすると、そのコストは倍加するため、遊技店の負担が大きく、到底現実的ではない。CR遊技機とCRユニットは隣接して配置されるのであるから、一方に設けた不正電波検知センサによって的確な不正電波検知を行えることが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、内部で放射された不正電波は勿論、外部より自らに向けて放射された不正電波、近隣の遊技機に向けて放射された不正電波も検知することができ、不正に遊技媒体が引き出されることを効果的に防止する遊技媒体貸出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、遊技店に設置された遊技機に夫々対応して設けられ、情報記録媒体に記憶された情報に基づいて、対応する遊技機で使用する遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置において、検知対象である所要特性の不正電波が透過可能な筐体内に設けた電波検出手段と、前記電波検出手段により不正電波が検出されることに基づいて、所要の遊技媒体貸出機能を停止させる機能停止手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の遊技媒体貸出装置において、前記機能停止手段により遊技媒体貸出機能が停止される際に、予め定めた停止前情報を記憶保持し、予め定めた状態復帰条件が達成されることに基づき、前記停止前情報を用いて機能停止前の状態へ復帰させる状態復帰手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る遊技媒体貸出装置によれば、検知対象である所要特性の不正電波が透過可能な筐体内に設けた電波検出手段と、前記電波検出手段により不正電波が検出されることに基づいて、所要の遊技媒体貸出機能を停止させる機能停止手段と、を備えるので、外部から放射された不正電波と内部で放射された不正電波に加えて、近隣の遊技機に対して放射された不正電波も電波検出手段により検知することができ、また、この不正電波検知に伴って機能停止手段が遊技媒体貸出機能を停止させることで、不正に遊技媒体が引き出されることを確実に防止できる。
【0011】
また、請求項2に係る遊技媒体貸出装置によれば、前記機能停止手段により遊技媒体貸出機能が停止される際に、予め定めた停止前情報を記憶保持し、予め定めた状態復帰条件が達成されることに基づき、前記停止前情報を用いて機能停止前の状態へ復帰させる状態復帰手段を備えるので、不正行為に関わりのない善意の遊技者が利用している遊技媒体貸出装置が不正電波を受けて機能停止した場合、機能停止前の状態へ状態復帰手段により復帰させることができるので、善意の遊技者に対して不利益を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。なお、本実施形態では、遊技媒体として遊技球を貸し出す球貸装置に適用したが、これに限定されるものではなく、遊技媒体としてコイン形状の遊技メダルを貸し出すメダル貸出装置にも適用可能である。図1は、CRタイプの遊技媒体貸出装置であるCRユニット10と、これに対応して接続されたCRタイプのCR遊技機20の前面側斜視図である。
【0013】
CR遊技機20は、遊技球を用いた弾球遊技を行うための種々の機能を備えるもので、その適所には、遊技者が遊技球の貸出を要求するために操作する貸出ボタン20aと、この貸出ボタンが操作可能な状態である場合に点灯表示される貸出可能ランプ20bを設けてある。なお、CR遊技機20の裏面側には、弾球遊技の主たる制御を行う主制御装置、表示制御や音制御といった演出面の動作制御を行う副制御装置、遊技球の発射動作を制御する発射制御装置、賞としての遊技球や貸出用の遊技球を排出する遊技球排出装置、この遊技球排出装置に対する遊技球の排出制御を行う排出制御装置等を設けてある。これらの制御装置群はIC等の電子パーツが実装された基板をケースに収納したものであり、所要特性の電波(以下、不正電波という)を受けると、誤動作する可能性がある。特に、主制御装置や排出制御装置が不正電波を受けて誤動作すると、本来の遊技状態移行条件が達成されていないにも拘わらず特別な遊技状態が発生したり、不正に遊技球が排出されたりする可能性があるため、電波ゴトの対象とされ易い。
【0014】
本実施形態に係るCRユニット10は、CR遊技機20の一側方に設置されるもので、例えば、剛性の高い金属パーツを組み合わせて形成した主枠体101の前面側に非導電性の樹脂等で形成した前面カバー102を装着し、内部に諸機能を内蔵した構造である。なお、前面カバー102には、紙幣や硬貨を投入する貨幣導入口11a、プリペイドコインや会員カード等の有価価値記録媒体を導入する媒体挿排口11b、CRユニット10自体の状態(例えば、自身の利用可能状態や異常停止状態など)を表示する利用可能ランプ11c等を設けてある。また、主枠体101の裏面側には外部機器接続用中継基板103を設けてある。
【0015】
主枠体101と前面カバー102からなる筐体内には、遊技球の貸出制御を統括的に行う主制御回路12を設け、外部機器接続用中継基板103を介してCR遊技機20と接続される。この主制御回路12は、貨幣投入口11aから紙幣が投入されると投入金額に応じたプリペイド媒体(例えば、ICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコイン)を発行したり、媒体挿排口11bから投入されたプリペイドコインの残価値の範囲内で設定された所定の金額(CR遊技機20の貸出ボタン20aの操作による貸出要求)に応じた遊技媒体貸出信号をCR遊技機20へ送信したり、媒体挿排口11bから挿入された会員カードを受け付け、遊技者が貸出ボタン20aを操作して選択した球数(あるいは金額、度数)に応じた遊技媒体貸出信号をCR遊技機20へ送信する。また、CRユニット10が遊技媒体貸出要求を受けられる状態にある場合は、CR遊技機20に設けた貸出可能ランプ20bを点灯表示させ、遊技者にその旨を報らせる。
【0016】
次に、CRユニット10の概略構成を図2に基づいて説明する。CRユニット10は、貨幣投入口11aから投入された貨幣Mによって、プリペイド媒体(例えば、磁気記録部に有価価値を記録したカード形状のプリペイドカードやICを内蔵した硬貨形状のプリペイドコイン等)の有価価値記録媒体Cを発行したり、媒体挿排口11bから投入された有価価値記録媒体Cに残っている有価価値に基づいて遊技球の貸出制御を行う。
【0017】
なお、CRユニット10で遊技球貸出のために使用できるのは、購入金額に応じた有価価値が記録されたプリペイド媒体に限定されるものではなく、遊技で獲得した遊技球を貯めておける貯玉システムを利用可能な会員カードを媒体挿排口11bから受け入れ、会員カードにより特定される顧客番号に応じた貯玉を引き出すように遊技球貸出を行うようにしても良い。
【0018】
また、CRユニット10は、主たる動作制御を行う主制御回路12を有し、投入された貨幣Mの真贋や金額を識別する貨幣識別部13、スピーカ等の音声信号生成部15、表示パネルや操作ボタンからなる表示/操作部14、CRユニット10自身やCR遊技機20に対して誤動作を引き起こす所要特性の電波(以下、不正電波という)を検出する電波センサ部16、媒体挿排口11bから投入された有価価値記録媒体Cを保持する記録媒体保持部17(有価価値記録媒体Cに記録された記録情報の読出/書換を行う媒体R/W部17aを有する。)等と接続され、種々の情報を受信すると共に制御信号を送出する。電源部18は、外部から電源供給を受けて、主制御回路12等へ所要の電源を供給する。なお、新たなプリペイド媒体の発行や発行済みプリペイド媒体へのチャージを行わない場合には、貨幣Mを取り扱う必要がないので、貨幣投入口11aや貨幣識別部13は不要である。また、CRユニット10での音声報知を行わない運用を前提としている場合には、音声信号生成部15を搭載しない構成としてもよい。
【0019】
さらに、CRユニット10は、外部機器接続用中継基板19を介して、CR遊技機20、ホールコンピュータ30、顧客管理システムサーバ40、プリペイドシステム管理コンピュータ50等と接続される。
【0020】
CR遊技機20は、CRユニット10と1対1で接続されるもので、CRユニット10からの遊技球貸出信号を受けたCR遊技機20は、貸出要求に応じて遊技球排出装置から所定数の遊技球を払い出す。また、CR遊技機20からVL生成用電源が供給されたCRユニット10は、基準電圧VL(例えば、5V)のVL信号を生成してCR遊技機20へ出力し、このVL信号を受けることでCR遊技機20は正常動作する。よって、CRユニット10からVL信号が入力されなくなると、CR遊技機20は動作停止し、遊技が継続されなくなる。
【0021】
ホールコンピュータ30は、CRユニット10で遊技球の貸出に消費した有価価値記録媒体Cの有価価値情報や新たに発行した有価価値記録媒体Cの金額情報などの各種売上信号を受信する。
【0022】
顧客管理システムサーバ40は、プリペイド機能あるいは貯玉機能を有する会員カードがCRユニット10へ投入されたときに、その会員カードについての顧客データ等を送信するものである。なお、有価価値記録媒体Cとして会員カードを利用しない場合には、顧客管理システムサーバ40との接続を行う必要はない。
【0023】
プリペイドシステム管理コンピュータは、CRユニット10において新たに発行された有価価値記録媒体Cの発行情報や遊技媒体貸出に伴う有価価値消費情報等の取引データを受信するものであり、この収集情報はプリペイドシステムの管理会社で管理される。なお、CRユニット10は、他のCRユニット10と相互通信が可能な構成としても良い(図2中、一点鎖線で示す)。
【0024】
しかして、上記電波センサ部16は、主枠体101と前面カバー102から成る筐体内部の適所(例えば、前面カバー102の裏面側など)に配置するものとし、配置箇所が分からないように筐体外部には露出させないが、検知対象である所要特性の不正電波は、非導電性である前面カバー102を透過して筐体内部に到達するので、電波センサ部16による不正電波の検知が可能である。すなわち、主枠体101と前面カバー102から成る筐体内部に配置した電波センサ部16は、「検知対象である所要特性の不正電波が透過可能な筐体内に設けた電波検出手段」として機能するのである。
【0025】
斯く構成したCRユニット10は、遊技を行うフリをしてCR遊技機20やCRユニット10へ向けて放射された不正電波は勿論、内部へアンテナを挿入して放射された不正電波も検知することが出来る。しかも、電波センサ部16はCRユニット10の外部に露出させないので、外観上、電波センサ部16の配設位置を不正遊技者に悟られることが無く、電波センサ部16による不正電波検知機能を無効化されるリスクを回避できるという効果もある。また、本実施形態におけるCRユニット10の筐体は、前面カバー102からのみ不正電波を透過させるものとしたが、主枠体101も電波透過性の素材で形成すれば、CRユニット10の上下および左右両側方から到来する不正電波の検知感度も良好となる。もちろん、前面カバー102や主枠体101の一部だけを電波透過性素材で形成し、筐体内部の電波センサ部16で効率よく不正電波の検知を行える構成としても良い。
【0026】
なお、不正電波の特性(周波数特性など)に適合した受信アンテナ、検波回路、増幅回路等を集積化した電波センサ素子を電波センサ部16として用いれば、狭小な筐体内における電波センサ部16の組み付けが容易となる。また、CRユニット10が設置されるホール内環境や運用実態に合わせて、電波センサ部16のセンサ感度を高めたり逆に低くしたり出来る感度調整機能を設けても良い。
【0027】
さらに、電波ゴト等で使用される不正電波は、その特性が多種多様なことが想定されるので、多様な特性に対応する電波センサ素子への交換が容易にできるよう構成しておくことが望ましい。例えば、主制御回路12のセンサ入力信号用ハーネスが届く前面カバー102の内側面適所に、予め位置合わせ凹部を適宜配置し、この位置合わせ凹部に補助部材を使って電波センサ素子を固定する様にしてもよい。
【0028】
上記のように、電波センサ部16が不正電波を検知することで出力する不正電波検知信号を受けた主制御回路12は、不正電波検知信号のON/OFFのみで不正電波検知か否かを判断するようにしても良いが、瞬時的なノイズ混入で誤作動する可能性もある。そこで、電波センサ部16からの不正電波検知信号が予め定めた判定時間を超えて継続しているか、判定時間に満たないで不正電波検知信号がOFFになったかで、不正電波検知に対する信頼性を高めるような判定動作を主制御回路12で行うようにしても良い。あるいは、複数の電波センサを適宜配置することで電波センサ部16を構成し、各電波センサから受ける検知信号のON/OFFパターンが所定の条件を満たした時に不正電波検知と判定するような動作を主制御回路12で行うようにすれば、不正電波検知に対する信頼性を一層高めることができる。
【0029】
また、電波センサ部16からの不正電波検知信号のON/OFF(或いは、不正電波検知信号に基づく不正電波の真偽判定)に基づき不正電波検知と判定した主制御回路12は、不正電波検知時に行うよう予め設定された処理動作を行う。この処理動作は特に限定されるものではないが、少なくとも、不正電波により遊技媒体貸出機能が誤作動してしまうことを防止するために、遊技媒体貸出機能を直ちに強制停止させる必要がある。すなわち、CRユニット10においては、主制御回路12によって「電波検出手段により不正電波が検出されることに基づいて、所要の遊技媒体貸出機能を停止させる機能停止手段」としての機能を実現するのである。
【0030】
なお、遊技媒体貸出機能の停止方法としては、表示/操作部15を介して遊技者が行う操作を一切受け付けなくして、CR遊技機20に対する遊技球貸出信号の送信を行わない方法でも良いし、エラー表示のみ行ってCRユニット10の全機能を停止させる方法でも良い。或いは、CRユニット10からCR遊技機20へ出力しているVL信号を停止することで、CR遊技機20側の動作を停止させる方法でも良い。とにかく、不正電波が放射された遊技機20から遊技媒体が払い出されることがないようにできれば、如何様な手法を用いても構わない。
【0031】
この他、不正電波検知時に行う処理動作として、例えば、不正電波の検知履歴(不正電波検知日時等の情報)を不揮発性の記憶手段である履歴記憶部12aに記憶したり、表示/操作部15によって不正電波を検知した旨の表示を行ったり、ホールコンピュータ30やプリペイドカードシステム管理コンピュータ50等へ不正電波検知報告を送信したりしても良い。また、不正電波を検知したCRユニット10が、近隣のCRユニット10と通信して不正電波検知の有無を確認し、例えば、連続した3台のCRユニット20が不正電波を検知していた場合、ちょうど真ん中のCRユニット10(或いは、これに対応したCR遊技機20)を標的として不正電波を放射した可能性が高いと判断し、標的とされたCRユニット20が遊技店員等に分かるような報知態様で報知動作を行う様にしても良い。さらに、不正電波検知報告を受けたホールコンピュータ30および/またはプリペイドカードシステム管理コンピュータ50から警備会社へ通報するようにしても良い。
【0032】
上述したように、不正電波検知に伴ってCRユニット10が機能停止した後、CRユニット10を再稼働させる条件は特に限定されるものではなく、一定時間経過後に自動復帰させても良いが、不正電波放射による不正行為を抑制する上では、遊技店員等が機能停止中のCRユニット10へ出向いて、リセット等の復帰動作を行うまで再稼働させないことが望ましい。
【0033】
また、不正電波検知により機能停止したCRユニット10を再稼働させるとき、通常の電源投入時と同じ初期状態に復帰させても良いが、機能停止前の状態に復帰させることが出来るようにしても良い。例えば、不正行為に関わりのない善意の遊技者が遊技を行っているCR遊技機20に対応しているCRユニット10が不正電波を受けて機能停止した場合、機能停止前の状態へ状態復帰手段により復帰させることができれば、善意の遊技者に対して不利益を与えることがない。
【0034】
そこで、本実施形態に係るCRユニット20においては、主制御回路12に不揮発性記憶手段で構成した退避情報記憶部12bを設けておき、不正電波検知に伴う機能停止前の状態を再現するために必要な全ての情報(例えば、記録媒体保持部17に保持されている有価価値記録媒体Cによる取引中のパラメータ、状態等の情報)を退避させておき、この退避情報記憶部12bに退避情報が記憶されているときにリセット操作が行われると、退避情報を用いて機能停止前の状態を再現して稼働させる。すなわち、「機能停止手段により遊技媒体貸出機能が停止される際に、予め定めた停止前情報を記憶保持し、予め定めた状態復帰条件が達成されることに基づき、前記停止前情報を用いて機能停止前の状態へ復帰させる状態復帰手段」としての機能を主制御回路12によって実現するのである。
【0035】
なお、CRユニット10に対する動作態様(不正電波検知に関連した動作態様)の設定は、各CRユニット10に設けた設定操作部を介して行うようにしても良いが、図3に示すように、プリペイドシステム管理コンピュータ50と店内のLAN回線80を介して各CRユニット10を接続し、プリペイドシステム管理コンピュータ50から設定情報(例えば、電波検知の有効・無効、検知感度、不正電波検知時のVL信号停止など)を各CRユニット10へ送信すれば、効率的な設定操作を行うことができる。
【0036】
次に、不正電波検知に際してCRユニット10が行う動作処理の一具体例を、図4のフローチャートに基づき説明する。
【0037】
先ず、電波センサ部16が不正電波を検知しているか否か(電波センサのON/OFF)を判定し(ステップS01)、不正電波が検知されていなければ、所定時間待機した後、改めて電波センサのON/OFFを判定する。そして、上記ステップS01で電波センサがONになっていると判定した場合には、不正電波の真偽を判定するためのタイマ(予め定めた判定時間を計時するタイマ)のタイマ値を“0”にセットし(ステップS02)、このタイマ値が予め定めた判定基準時間(タイマの計数最大値MAX)を超えたか否かを判定し(ステップS03)、未だ計数最大値に達していないと判定された場合には、タイマのタイマ値をカウントアップ(例えば、“1”をインクリメント)する(ステップS04)。
【0038】
上記ステップS04にてタイマ値をカウントアップした後には、改めて電波センサが未だ継続してONであるか否かを判定し(ステップS05)、電波センサがONであれば、ステップS03へ戻り、タイマのタイマ値をカウントアップしながら判定基準時間に達するまで、ステップS03〜ステップS05の処理を繰り返す。一方、ステップS05で電波センサがOFFになっていると判定されると、ノイズ等による誤検知である可能性が高いので、ステップS01へ戻り、改めて電波センサのON/OFF監視を行う。
【0039】
上記ステップS03にてタイマ値が計数最大値を超えた(判定基準時間を超えた)と判定された場合には、電波ゴト等による不正電波が放射されたと考えられるので、有価価値記録媒体Cを用いた遊技媒体の貸出要求や貨幣投入による有価価値記録媒体の発行などの取引中であった場合には、速やかにその取引中動作を停止し(ステップS06)、その取引中パラメータや状態といった情報を電源断によっても記憶内容が失われない退避情報記憶部12bへ書き込むことで退避させ(ステップS07)、表示/操作部15によりエラーを表示したり音声信号生成部14によって不正電波警告音声を出力するエラー報知動作を行い(ステップS08)、ホールコンピュータ30へ不正電波によるエラー報告を出力し(ステップS09)、電源断によっても記憶内容が失われない履歴記憶部12aに不正電波検知に伴うエラー情報を記録し(ステップS10)、プリペイドシステム管理コンピュータ50へ不正電波検知を通知する(ステップS11)。
【0040】
上記のようにして機能停止したCRユニット10は、状態復帰条件であるリセット操作が行われるまで待機し(ステップS12)、リセット操作が行われると、退避情報記憶部12bに記憶しておいたパラメータや情報を用いて機能停止前の状態を復元して再稼働する。再稼働した後は、改めてステップS01の電波センサ監視を再開するのである。
【0041】
以上、本発明に係る遊技媒体貸出装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】CRユニットとCR遊技機の外観斜視図である。
【図2】本発明に係るCRユニット概略構成図である。
【図3】プリペイドシステム管理コンピュータによるCRユニットへの設定操作説明図である。
【図4】不正電波検知に際してCRユニットが行う動作処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 遊技媒体貸出装置
12 主制御回路
14 音声信号生成部
15 表示/操作部
16 電波センサ部
20 CR遊技機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店に設置された遊技機に夫々対応して設けられ、情報記録媒体に記憶された情報に基づいて、対応する遊技機で使用する遊技媒体の貸出制御を行う遊技媒体貸出装置において、
検知対象である所要特性の不正電波が透過可能な筐体内に設けた電波検出手段と、
前記電波検出手段により不正電波が検出されることに基づいて、所要の遊技媒体貸出機能を停止させる機能停止手段と、
を備えることを特徴とする遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
前記機能停止手段により遊技媒体貸出機能が停止される際に、予め定めた停止前情報を記憶保持し、予め定めた状態復帰条件が達成されることに基づき、前記停止前情報を用いて機能停止前の状態へ復帰させる状態復帰手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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