説明

遊技媒体貸出装置

【課題】分割された持球を記録した記録媒体を速やかに他の遊技者に引き渡すことができる遊技媒体貸出装置を提供すること。
【解決手段】コイン投入口34から入れられたICコイン8の価値を読み書きする既発行記録媒体読込書込部71を備え、前記ICコイン8の残価値に基づいて遊技媒体を貸し出すCRユニット6において、遊技者の保有遊技媒体数の分割指示を受け付けた場合、前記ICコイン8に前記保有遊技媒体数を分割した分割遊技媒体数を記録して排出し、貯留通路75に貯留されている発行用ICコイン8Aに分割後の残りの保有遊技媒体数を記録し、返却指示を受け付けたときに当該発行用ICコイン8Aを排出する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインを処理するコインユニットを備える遊技媒体貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコホール等の遊技場においては、遊技者の便宜を図るために、パチンコ機等の各遊技機の側方に、価値が記録されたICカード、或いは貨幣の投入に伴って発行したプリペイドカードよってパチンコ球等の遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置が設置されている。
この種の遊技媒体貸出装置では、遊技者が獲得した遊技媒体(以下、「持球」という)の数量を計数し、持球の計数値から一部を分割減算し、分割した持球(以下、「分割持球」と言う)を携帯電話機やICカードに記録して、他の遊技者に引き渡し可能にする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−227556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技者がプリペイドカードを遊技媒体貸出装置に挿入して遊技球の貸し出しを受けている場合、分割持球を記録したICカードを発行し排出するには、既に挿入されている遊技者のカードを一旦排出する必要がある。このため、分割持球を記録したICカードを速やかに排出することができず、また分割持球を記録したICカードを排出した後には、遊技者が自分のプリペイドカードを再度挿入する必要が生じていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、分割された持球を記録した記録媒体を速やかに他の遊技者に引き渡すことができる遊技媒体貸出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、入口から入れられた既発行記録媒体の価値を読み書きする既発行記録媒体読込書込手段を備え、前記既発行記録媒体の残価値に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置において、価値を記録可能な発行用記録媒体を貯留する貯留機構と、前記発行用記録媒体に価値を読み書きする発行用記録媒体読込書込手段と、遊技者の保有遊技媒体数を取得する取得手段と、前記保有遊技媒体数の分割指示を受け付ける分割指示受付手段と、を備え、前記分割指示受付手段によって分割指示を受け付けた場合、前記既発行記録媒体に前記保有遊技媒体数を分割した分割遊技媒体数を前記既発行記録媒体読込書込手段によって記録して排出し、前記貯留機構に貯留されている発行用記録媒体に分割後の残りの保有遊技媒体数を前記発行用記録媒体読込書込手段によって記録し、返却指示を受け付けたときに当該発行用記録媒体を排出することを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記遊技媒体貸出装置において、残価値を有した既発行記録媒体が無い状態で遊技者の前記保有遊技媒体数を取得した場合、前記貯留機構に貯留されている発行用記録媒体に前記既発行記録媒体読込書込手段によって記録し、前記分割指示受付手段によって分割指示を受け付けた場合、遊技者の前記保有遊技媒体数が前記発行用記録媒体に記録されているときには、当該発行用記録媒体の保有遊技媒体数を前記分割遊技媒体数に書き換えて排出し、前記貯留機構に貯留されている他の発行用記録媒体に分割後の残りの保有遊技媒体数を記録し、前記返却指示を受け付けたときに当該他の発行用記録媒体を排出することを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記遊技媒体貸出装置において、前記保有遊技媒体数を記録し、或いは前記保有遊技媒体数と紐付けられる会員用記録媒体を読み書きする会員用記録媒体読込書込手段を備え、前記分割指示受付手段によって分割指示を受け付けた場合、前記会員用記録媒体に前記保有遊技媒体数が記録され、或いは紐付けられているときには、前記貯留機構に貯留されている発行用記録媒体に前記保有遊技媒体数を分割した分割遊技媒体数を記録して排出し、前記会員用記録媒体の保有遊技媒体数を分割後の残りの保有遊技媒体数に書き換え、前記返却指示を受け付けたときに当該会員用記録媒体を排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、分割指示受付手段によって分割指示を受け付けた場合、保有遊技媒体数を分割した分割遊技媒体数を既発行記録媒体に記録して排出する構成としたため、分割遊技媒体数を記録した記録媒体を速やかに発行できる。また、貯留機構に貯留されている発行用記録媒体に分割後の残りの保有遊技媒体数を記録し、返却指示を受け付けたときに当該発行用記録媒体を排出する構成であるため、遊技者は、分割後に既発行記録媒体を出し入れせずとも、継続して遊技媒体の貸し出しを受けることができる。このように、記録媒体の出し入れを少なくして、保有遊技媒体数を手間無く分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パチンコ機及びCRユニットを備えた遊技システムの構成を示す図である。
【図2】CRユニットが備えるコインユニットの内部構成を示す図である。
【図3】CRユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】持球分割操作のための画面説明図である。
【図5】持球分割処理のフローチャートである。
【図6】ICコイン投入時の持球分割の動作説明図である。
【図7】ICコイン及び会員カードが投入されていないときの持球分割の動作説明図である。
【図8】会員カード投入時の持球分割の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、遊技システム1の構成を示す図である。
遊技システム1は、一対のパチンコ機4及びCRユニット6を有している。
パチンコ機4は、プリペイド記録媒体を購入、或いは、プリペイド記録媒体に現金をチャージし、該プリペイド記録媒体に記録された残価値を対価として遊技球を借りて遊技する、いわゆるCR機と呼ばれる遊技機である。
CRユニット6は、既発行のプリペイド記録媒体を読み取る装置であり、パチンコ機4に横並びに設けられている。遊技者は、パチンコ機4で遊技球の貸出を受ける場合、現金あるいは必要額のプリペイド残価値を有するプリペイド記録媒体をCRユニット6に投入する。また、各CRユニット6は、プリペイド記録媒体の読取機能に加え、現金の投入に伴いプリペイド記録媒体を発行する機能を有しており、遊技者は、遊技中にパチンコ機4から離れることなくプリペイド記録媒体を購入できる。
【0011】
プリペイド記録媒体の形状には硬貨形状やカード形状といった任意の形状を採用することができ、本実施形態では、硬貨形状のプリペイド記録媒体であるICコイン8と、カード形状の会員カード10とが使用できるようになっている。
ICコイン8及び会員カード10は、いずれも、外部の装置から無線給電を受けるとともに、この外部の装置との間で通信を行うためのアンテナと、無線給電された電力により動作して上記アンテナを介して外部の装置と通信するICチップと、を備えた非接触型ICデバイスであり、ICチップのメモリ領域に、会員カード情報や、記録媒体を一意に識別する媒体情報等の各種情報が記録される。会員カード10は、遊技店の会員となった遊技者に発行され、貯玉等のサービスを提供するために使用されるカードであり、プリペイド残価値を記録可能であるため、上記のようにプリペイド媒体としても使用できる。また、ICコイン8及び会員カード10には、遊技者がパチンコ機4で獲得した遊技球の数である保有遊技球数が記録可能になっている。
【0012】
パチンコ機4の構成について具体的には、パチンコ機4は、遊技盤20の前面に前面ガラス21を設け、該前面ガラス21を通じて遊技盤20の遊技領域を視認可能に構成したパチンコ機本体22を備えている。遊技盤20には、遊技球が通過する複数の始動口(不図示)や入賞口(不図示)、障害釘(不図示)、図柄を可変表示する可変表示ユニット(不図示)が設けられている。パチンコ機本体22の右下には、遊技球発射ハンドル23が設けられており、該遊技球発射ハンドル23の操作により遊技球が遊技盤20の遊技領域に発射される。パチンコ機4は、遊技盤20に発射された遊技球が始動口を通過するごとに当落抽選を行い、図柄の可変表示により当落結果を遊技者に通知する。また、パチンコ機4は、当落抽選への当選を契機にして遊技球を遊技者が有利に獲得できる遊技状態である特別遊技状態(例えば入賞口に遊技球が入り易くなった状態)に移行する。これにより、遊技者は持球を増やすことができるようになっている。
【0013】
前面ガラス21の下側には遊技球の排出口(不図示)及び上皿24が設けられている。この上皿24の手前側には、球貸ボタン25、返却ボタン26、及び度数表示部27が設けられている。球貸ボタン25は遊技球の貸し出し操作のためのボタン、返却ボタン26はCRユニット6からプリペイド記録媒体を排出させるためのボタン、度数表示部27はプリペイド記録媒体の残価値を度数表示する表示器である。
【0014】
また、CRユニット6は、薄い板状の筐体6Aを備え、この筐体6Aには、高額紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」などの紙幣)を含む各種紙幣を挿入するための紙幣挿入口30、会員カード10またはICコイン8の残価値の度数表示や貸出金額、その他各種情報を表示する表示パネルを一体に備えたタッチパネル32、会員カード10を投入及び排出するカード投入排出口33、ICコイン8を投入するコイン投入口34、及び、ICコイン8を排出するコイン排出口37が設けられている。タッチパネル32は、例えば、上記情報を表示する液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの表示面に対する接触操作を検出する透明な接触センサとを重ねて配置して構成され、液晶表示パネルにボタン類が表示された位置で接触操作がなされた場合、接触位置に表示されていたボタンに対応する操作信号を生成して、主制御基板50(図3参照)に出力する。なお、タッチパネル32に代えて、液晶表示パネル等の表示装置と操作部としてのスイッチ類とを個別に設けてもよい。
【0015】
またCRユニット6は、筐体6Aから上皿24の真上に延び、パチンコ機4の上皿24に遊技球を払い出す払出ノズル61を備えている。
詳述すると、パチンコ機4は、球貸ボタン25の操作に応じて所定個数(例えば25発)単位(1度数単位とも言う)での遊技球の払い出しを行う機能を備えているものの、貯球や持球の利用時(いわゆる、再プレイ時)に払い出し球数を遊技者が指定した場合、当該球数を払い出すことができない。そこで、CRユニット6は、所定個数でない遊技球を払い出す必要が生じた場合には、上記払出ノズル61から遊技球を払い出すこととしている。
すなわち、パチンコ機4の球貸ボタン25が操作された場合には、パチンコ機本体22からCRユニット6に対して球貸要求が送信される。CRユニット6は、投入されている会員カード10またはICコイン8に残価値が存在する限りにおいて、所定個数の遊技球の貸出許可信号をパチンコ機本体22に送信し、当該パチンコ機22に遊技球を払い出させる。また、CRユニット6は、貯球や持球の払出指示が払出個数とともに入力された場合、指示された個数が上記所定個数であるときには、貸出要求信号をパチンコ機本体22に送信して当該パチンコ機22から遊技球を払い出し、指示された個数が上記所定個数でないときには、遊技球を払出ノズル61から上皿24に払い出す。
【0016】
このCRユニット6は、対になるパチンコ機4で遊技者が獲得した遊技球を計数する、いわゆる各台計数機能を備える。具体的には、CRユニット6は、パチンコ機4において遊技者が遊技によって獲得した遊技球(以下、「獲得球」と言う)を受ける受皿62を備えている。受皿62は、パチンコ機4において獲得球が貯留される下皿28の直下に配置され、この下皿28を開放して落下した獲得球を受け、後述する獲得球計数部57(図3参照)に送り込み、当該獲得球計数部57によって獲得球が計数される。
【0017】
また、CRユニット6は、筐体6A内に、投入紙幣に応じて価値データを記録した新規なICコイン8の発行(プリペイド機能)や、既発行のICコイン8の残価値の読み書き等をするコインユニット70を備える。
【0018】
図2は、コインユニット70の内部構成を示す図である。
コインユニット70は、薄い箱状を成し、上端近傍の正面側には、上記コイン投入口34が設けられている。コイン投入口34から内部に少し入り込んだ位置(所定の読み書き位置)には、コイン投入口34から投入されたICコイン8を一時的に保持し、ICコイン8との間で情報の読み書きを行う既発行記録媒体読込書込部71が配置される。この既発行記録媒体読込書込部71には、返却通路用ゲート72を介して返却通路73が連結され、また貯留通路用ゲート74を介して貯留通路75が連結されている。返却通路73は、出口がコイン排出口37に連結されており、ICコイン8を遊技者に返却する際には、返却通路用ゲート72が作動して既発行記録媒体読込書込部71から返却通路73にICコイン8が導かれコイン排出口37から排出される。
【0019】
貯留通路75は、その出口が上記コイン排出口37に連結された通路であり、その経路内に、価値が記録されていない未発行のICコイン8を縦列させて貯留する貯留機構を構成する。この貯留通路75を蛇行させることでICコイン8の貯留数を多くすることもできる。
既発行記録媒体読込書込部71の保持されたICコイン8の残価値が貸球に伴ってゼロになると、貯留通路用ゲート74が作動してICコイン8が貯留通路75に導かれる。貯留通路75には、コイン排出口37の手前において、貯留通路75の経路内に縦列した先頭のICコイン8を一時的に保持し、このICコイン8との間で情報の読み書きする発行用記録媒体読込書込部76が配置されている。紙幣の投入に伴って、価値を記録したICコイン8を新たに発行する場合には、紙幣の額面に応じた価値が発行用記録媒体読込書込部76によってICコイン8に書き込まれ、その後、ICコイン8の残価値を対価に貸球が行われる。このICコイン8の残価値が無くなった場合には、返却ボタン26が押下されても、ICコイン8は返却されない。
【0020】
コインユニット70は、返却通路73及び貯留通路75の側方に配置される回路基板(図示略)を備え、この回路基板には、既発行記録媒体読込書込部71に保持されたICコイン8の価値を読み書きするための第1アンテナ78と、発行用記録媒体読込書込部76に保持されたICコイン8の価値を読み書きするための第2アンテナ79とが実装されている。これら第1アンテナ78及び第2アンテナ79は、それぞれ主制御基板50(図3)に接続されており、ICコイン8から読み取った価値及びICコイン8に書き込む価値を主制御基板50との間で通信する。第1アンテナ78及び第2アンテナ79は、無線認証システム(RF−ID)などで利用されるアンテナなどで構成され、ICコイン8に埋め込まれたICタグとの間で非接触にデータの送受信を行う。
【0021】
なお、図2において、符号80は、ICコイン8が既発行記録媒体読込書込部71に存在するか否かを検知するための投入センサ、符号81は、ICコイン8が発行用記録媒体読込書込部76に存在するか否かを検知するためのコイン有無センサ、符号82は、貯留通路75内に貯留されているICコイン8の満量を検知するコイン満量センサ、符号83は、貯留通路75内のICコイン8の貯留量が下限値を下回ったか否かを検知する下限センサである。これら各センサは、主制御基板50に接続され、例えば、コインユニット70の一方の側壁に設置された発光部と他方の側壁に設置された受光部とからなるフォトセンサ等で構成される。
【0022】
また、コインユニット70の下端側には、会員カード10を読み書きするための会員カード読込書込部85を備えたカードユニット86が設けられており、主制御基板50の制御の下、カード投入排出口33から投入された会員カード10の読み書きが行われる。
【0023】
図3は、CRユニット6の機能的構成を示すブロック図である。
同図において、主制御基板50は、各部を中枢的に制御するものであり、制御回路(不図示)を備えている。
表示/操作部55は、表示装置及び操作子として機能するタッチパネル32を備え、主制御基板50の制御の下、各種情報をタッチパネル32に表示し、また、タッチパネル32に対する操作を主制御基板50に入力する。電源部59は、遊技店に設けられた外部電源から電力が供給され、各部に所定電圧の電力を供給する。
【0024】
外部機器接続用中継基板51は、パチンコ機4のCRコネクタ基板に信号ケーブル(共に不図示)を介して接続される回路基板である。主制御基板50は、外部機器接続用中継基板51を介してパチンコ機4との間で各種信号を送受する。係る信号には、パチンコ機4とCRユニット6とが互いに通信可能に接続されていることを確認するための接続確認信号や、パチンコ機4の球貸ボタン25の操作に応じて出力される遊技球等貸出信号などがある。主制御基板50は、外部機器接続用中継基板51を介してパチンコ機4から受信した球貸要求を受けると、会員カード10またはICコイン8に残価値が在る事を条件に、パチンコ機4に貸出許可信号を出力し、当該パチンコ機4に所定個数の遊技球を払い出させる。また主制御基板50は、払い出された遊技球の対価に相当する額だけ、会員カード10またはICコイン8の残価値を減算して、これら会員カード10またはICコイン8の価値を書き換える。
【0025】
獲得球計数部57は、パチンコ機4の下皿28(図1)から受皿62(図1)に流入した遊技球を計数し、計数した獲得球数を主制御基板50に出力する。計数後の遊技球は、遊技店に設けられた球補給システム(図示略)により搬送される。
主制御基板50は、獲得球計数部57から入力される計数値を取得すると、会員カード10或いはICコイン8に獲得数を保有遊技球数として記録、加算する処理を行う。遊技者は、この保有遊技球数を限度に遊技球の貸し出しを受けて、パチンコ機4で再プレイが可能となっている。すなわち、遊技者が保有遊技球数を使って再プレイする際には、タッチパネル32をタッチ操作して再プレイをCRユニット6に指示する。
【0026】
持球払出部58は、再プレイの指示を受けた場合に、会員カード10或いはICコイン8の保有遊技球数を、指示された遊技球数分だけ減算更新し、当該遊技球数分の遊技球をパチンコ機4、或いは払出ノズル61を通じて払い出す。すなわち、パチンコ機4が1回に払い出しする所定個数(例えば25発)、或いはそれ以上の個数が再プレイの遊技球数として指定されている場合、持球払出部58は、貸出要求信号をパチンコ機4に送信しパチンコ機4から所定個数単位で遊技球を払い出し、足りない分を払出ノズル61を通じて遊技球を払い出す。また、所定個数未満の個数が再プレイの遊技球数として指定されている場合には、持球払出部58は、払出ノズル61を通じて遊技球を払い出す。ただし、所定個数以上の個数が再プレイの遊技球数として指定されている場合には、遊技者の指定によって払出ノズル61から遊技球を払い出すこともできる。
なお、パチンコ機4が、1個単位の払出要求に対応して任意の数の遊技球の払い出しが可能な貸出インターフェースを備えている場合、持球払出部58を備えない構成にすることもできる。すなわち、主制御基板50がパチンコ機4に対して遊技球数に応じた玉貸許可指令を送信し、この球貸許可指令に従ってパチンコ機4が遊技球を上皿24に払い出すようにしてもよい。
【0027】
また、CRユニット6は、獲得球計数部57によって各台計数機能を実現した構成として説明したが、パチンコ機4のパチンコ機本体22に、下皿28に溜まった獲得球を計数する計数部を搭載し、この計数部が計数した獲得球数を、パチンコ機4からCRユニット6に送信してもよい。この場合、CRユニット6においては計数を行う必要がないため、獲得球計数部57を持たない構成とすることができる。
【0028】
ここで、本実施形態のCRユニット6は、ICコイン8或いは会員カード10に記録されている保有遊技球数の一部を分割して他の遊技者に引き渡し可能に構成されている。
かかる分割指示は、タッチパネル32を操作することでCRユニット6に受け付けられる。具体的には、図4(A)に示すように、CRユニット6は、ICコイン8或いは会員カード10の価値を確認する確認画面をタッチパネル32に呼び出し可能に構成されている。この確認画面には、ICコイン8或いは会員カード10に記録されているプリペイド残高(図示例では「残金」)と、遊技者が遊技店に預けている遊技球数(図示例では「貯球」)と、保有遊技球数(図示例では「持球」)とが表示されている。また確認画面には、保有遊技球の一部を分割して他の遊技者に引き渡し可能にするための持球分割ボタン90が表示されている。
【0029】
持球分割ボタン90が操作されると、図4(B)に示すように、分割遊技球数をテンキー入力により指定する画面がタッチパネル32に表示される。分割遊技球数を指定後、確認ボタン91を押すと、図4(C)に示すように、分割遊技球数(図示例では「分割玉数」)、及び分割後の残保有遊技球数(図示例では「残玉数」)を表示した確認画面がタッチパネル32に表示される。この画面で確認ボタン92を押すと、後述する持球分割処理が行われ、保有遊技球数として分割遊技球数が記録したICコイン8が発行され、図4(D)に示すように、当該ICコイン8が発行された旨がタッチパネル32に表示される。
【0030】
図5は、持球分割処理のフローチャートである。
上述の通り、保有遊技球数は、ICコイン8及び会員カード10のいずれにも記録することができる。ただし、これらの両方がCRユニット6に投入されている場合には、いずれか一方にのみ保有遊技球数が記録される。また、保有遊技球数が記録されたICコイン8或いは会員カード10がCRユニット6に投入されていない状態で、獲得球計数部57によって獲得球が計数された場合には、貯留通路75に貯留されている未発行のICコイン8(以下、「発行用ICコイン」と称し、符号8Aを付して区別する)に保有遊技球数が記録される。
【0031】
すなわち、遊技者がパチンコ機4での遊技を通じて遊技球を獲得すると、その獲得球数が保有遊技球数として、CRユニット6に投入されたICコイン8、会員カード10、及び発行用ICコイン8Aのいずれかに記録されることとなる。
そこで、図5に示すように、タッチパネル32の操作により持球分割が指示されたとき(ステップS1)、主制御基板50は、先ず、分割元の保有遊技球数がICコイン8、会員カード10、及び発行用ICコイン8Aのどれに記録されているかを判定する(ステップS2)。
【0032】
残価値があるICコイン8がCRユニット6に投入されている場合、このICコイン8に保有遊技球数が記録されることとなる(ステップS2:(1))。この場合、主制御基板50は、このICコイン8を読み書きする既発行記録媒体読込書込部71を制御して、このICコイン8のプリペイド残高(残金)をゼロにして有価価値を無しにするとともに、指定された分割遊技球数を保有遊技球数として記録し(ステップS3)、コイン排出口37から排出する(ステップS4)。
さらに主制御基板50は、発行用記録媒体読込書込部76を制御して、ICコイン8に記録されていたプリペイド残高、及び、分割後の残保有遊技球数を発行用ICコイン8Aに書き込み、持球分割のために使用したICコイン8の価値を移行する(ステップS5)。その後、球貸ボタン25が操作されるごとに、発行用ICコイン8Aのプリペイド残高、或いは保有遊技球数を対価にして貸球が行われる。また返却ボタン26が操作された場合には、発行用ICコイン8Aがコイン排出口37から排出されることとなる(ステップS6)。ただし、発行用ICコイン8Aのプリペイド残高、及び保有遊技球数がゼロとなり無価値となった場合には、返却ボタン26が操作された場合でも発行用ICコイン8Aの返却は行われない。
【0033】
これにより、持球分割の際には、図6に示すように、コイン投入口34から投入されていたICコイン8が引き渡し用の記録媒体としてコイン排出口37から即座に排出されることとなり、他の遊技者に速やかに持球を引き渡すことができる。また、遊技者の持球である残保有遊技球数は、貯留通路75に貯留されている発行用ICコイン8Aに新たに記録され返却ボタン26の操作時に返却されるため、遊技者は、持球の分割に際し、ICコイン8を抜き差しする必要が全くない。
【0034】
前掲図5に戻り、ステップS2の判断において、残価値があるICコイン8がCRユニット6に投入されておらず、なおかつ会員カード10も挿入されていない場合、この発行用ICコイン8Aに保有遊技球数が記録されていることとなる(ステップS2:(2))。この場合、主制御基板50は、発行用ICコイン8Aを読み書きする発行用記録媒体読込書込部76を制御して、この発行用ICコイン8Aの保有遊技球数を、指定された分割遊技球数に書き直し(ステップS7)、コイン排出口37から排出する(ステップS8)。
さらに主制御基板50は、発行用記録媒体読込書込部76を制御して、分割後の残保有遊技球数を保有遊技球数として他の発行用ICコイン8Aに書き込む(ステップS9)。その後、球貸ボタン25が操作されるごとに、当該他の発行用ICコイン8Aの保有遊技球数を対価にして貸球が行われる。また返却ボタン26が操作された場合には、当該他の発行用ICコイン8Aがコイン排出口37から排出されることとなる(ステップS10)。なお、発行用ICコイン8Aの保有遊技球数がゼロとなり無価値となった場合には、返却ボタン26が操作された場合でも発行用ICコイン8Aの返却は行われない。
【0035】
これにより、図7に示すように、貯留通路75に貯留されている先頭の発行用ICコイン8Aが引き渡し用の記録媒体としてコイン排出口37から即座に排出されることとなり、他の遊技者に速やかに持球を引き渡すことができる。また、遊技者の持球である残保有遊技球数は、他の発行用ICコイン8Aに新たに記録され返却ボタン26の操作時に返却されるため、この場合でも、遊技者は、持球の分割に際し、ICコイン8を抜き差しする必要が全くない。
【0036】
前掲図5に戻り、会員カード10が挿入されている場合、この会員カード10に保有遊技球数が記録されていることとなる(ステップS2:(3))。この場合、主制御基板50は、発行用ICコイン8Aを読み書きする発行用記録媒体読込書込部76を制御して、発行用ICコイン8Aに指定された分割遊技球数を保有遊技球数として記録し(ステップS11)、コイン排出口37から排出する(ステップS12)。
さらに主制御基板50は、会員カード読込書込部85を制御して、分割後の残保有遊技球数を保有遊技球数として当該会員カード10に書き込む(ステップS13)。その後、球貸ボタン25が操作されるごとに、会員カード10の保有遊技球数、或いはプリペイド残高を対価にして貸球が行われる。また返却ボタン26が操作された場合には、会員カード10がカード投入排出口33から排出されることとなる(ステップS14)。
【0037】
これにより、図8に示すように、貯留通路75に貯留されている先頭の発行用ICコイン8Aに分割遊技球数が記録され引き渡し用の記録媒体としてコイン排出口37から即座に排出されるため、他の遊技者に速やかに持球を引き渡すことができる。
【0038】
ここで、遊技店には、遊技者の会員カード10と、保有遊技球数(持球)とを対応付けて(紐付けて)管理する持球サーバ95(図3)が設置されている。持球サーバ95には、遊技者が例えば他のパチンコ機4で既に獲得している獲得球数も含めた保有遊技球数が管理されており、CRユニット6は、遊技者の獲得球数が増減するごとに、通信線を通じて持球サーバ95に増減を通知し、持球サーバ95が遊技者の保有遊技球数を更新するようになっている。
【0039】
上記持球分割処理において、会員カード10の保有遊技球数を持球分割する場合には、CRユニット6は、持球サーバ95が管理している保有遊技球数を限度に分割遊技球数の指定を受け付けることができる。ただし、遊技店が持球サーバ95とCRユニット6とを接続せずに運用している場合には、指定可能な分割遊技球数は、CRユニット6が上記獲得球計数部57及び持球払出部58を通じて計数している保有遊技球数(以下、「自台計数球」と言う)の範囲内に制限される。また、遊技店が持球サーバ95とCRユニット6とを接続して運用している場合でも、CRユニット6は、上記持球分割処理において、自台計数球を超える数の分割遊技球数を分割する処理を実行している途中で持球サーバ95との通信が切れたときには、当該持球分割処理をキャンセルしてエラーメッセージ等を表示する。
【0040】
ICコイン8の利用停止の有無を管理する認証サーバをCRユニット6と通信可能に遊技店に設け、持球分割処理において、ICコイン8に記録されている保有遊技球数を分割するときに、CRユニット6が認証サーバに当該ICコイン8の正当性(利用停止の有無)を確認し、不当なICコイン8の場合には、持球分割処理をキャンセルし、エラーメッセージ等のエラーを出力する構成としても良い。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、保有遊技球数の分割指示を受け付けた場合、保有遊技媒体数を分割した分割遊技媒体数をICコイン8に記録して排出する構成としたため、分割遊技媒体数を記録した記録媒体たるICコイン8を速やかに発行できる。また、貯留通路75に貯留されている発行用ICコイン8Aに分割後の残りの保有遊技媒体数を記録し、返却指示を受け付けたときに当該発行用ICコイン8Aを排出する構成であるため、遊技者は、分割後にICコイン8や発行用ICコイン8Aを出し入れせずとも、継続して球貸を受けることができる。このように、ICコイン8や発行用ICコイン8Aの出し入れを少なくして、保有遊技媒体数を手間無く分割することができる。
【0042】
また本実施形態によれば、CRユニット6は、残価値を有したICコイン8が投入されていない場合、発行用ICコイン8Aに保有遊技球数を記録し、当該保有遊技球数の分割を受け付けた場合には、当該発行用ICコイン8Aの保有遊技媒体数を分割遊技媒体数に書き換えて排出し、他の発行用ICコイン8Aに分割後の残りの保有遊技媒体数を記録し、前記返却指示を受け付けたときに当該他の発行用ICコイン8Aを排出する。
これにより、投入したICコイン8のプリペイド残高、或いは保有遊技球数を使い切る等した場合でも、貯留されている発行用ICコイン8Aに記録している保有遊技球数を対象に持球を分割し、他の遊技者に速やかに引き渡すことができる。また、この場合でも、遊技者は、分割後にICコイン8や発行用ICコイン8Aを出し入れせずとも、継続して球貸を受けることができる。
【0043】
また本実施形態によれば、CRユニット6は、会員カード10に記録されている保有遊技媒体数を分割するときには、発行用ICコイン8Aに保有遊技媒体数を分割した分割遊技媒体数を記録して排出し、会員カード10の保有遊技媒体数を分割後の残りの保有遊技媒体数に書き換え、返却指示を受け付けたときに当該会員カード10を排出する。
これにより、会員カード10を抜き差しせずとも、当該会員カード10に記録されている保有遊技媒体数を分割した発行用ICコイン8Aを速やかに他の遊技者に引き渡すことができる。また、この場合でも、遊技者は、分割後にICコイン8や発行用ICコイン8Aを出し入れせずとも、継続して球貸を受けることができる。
【0044】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、遊技機の一例としてパチンコ機4を例示したが、これに限らず、アレンジボール遊技機やじやん球遊技機であってもよい。
また、パチンコ機4としては、所定数の遊技球をパチンコ機本体22に封入して循環利用する、いわゆる封入球式遊技機であっても良い。この場合、遊技者の持球(獲得球数)は封入球式遊技機で計数され、この計数値をCRユニット6が封入球式遊技機から取得する。
【符号の説明】
【0045】
1 遊技システム
4 パチンコ機(遊技機)
6 CRユニット(遊技媒体貸出装置)
8 ICコイン(既発行記録媒体)
8A 発行用ICコイン(発行用記録媒体)
10 会員カード(会員用記録媒体)
22 パチンコ機本体
25 球貸ボタン
26 返却ボタン
32 タッチパネル
33 カード投入排出口
34 コイン投入口
37 コイン排出口
50 主制御基板
55 操作部
57 獲得球計数部(取得手段)
61 払出ノズル
70 コインユニット
71 既発行記録媒体読込書込部
75 貯留通路(貯留機構)
76 発行用記録媒体読込書込部
85 会員カード読込書込部
90 持球分割ボタン(分割指示受付手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口から入れられた既発行記録媒体の価値を読み書きする既発行記録媒体読込書込手段を備え、前記既発行記録媒体の残価値に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置において、
価値を記録可能な発行用記録媒体を貯留する貯留機構と、
前記発行用記録媒体に価値を読み書きする発行用記録媒体読込書込手段と、
遊技者の保有遊技媒体数を取得する取得手段と、
前記保有遊技媒体数の分割指示を受け付ける分割指示受付手段と、を備え、
前記分割指示受付手段によって分割指示を受け付けた場合、前記既発行記録媒体に前記保有遊技媒体数を分割した分割遊技媒体数を前記既発行記録媒体読込書込手段によって記録して排出し、前記貯留機構に貯留されている発行用記録媒体に分割後の残りの保有遊技媒体数を前記発行用記録媒体読込書込手段によって記録し、返却指示を受け付けたときに当該発行用記録媒体を排出する
ことを特徴とする遊技媒体貸出装置。
【請求項2】
残価値を有した既発行記録媒体が無い状態で遊技者の前記保有遊技媒体数を取得した場合、前記貯留機構に貯留されている発行用記録媒体に前記既発行記録媒体読込書込手段によって記録し、
前記分割指示受付手段によって分割指示を受け付けた場合、遊技者の前記保有遊技媒体数が前記発行用記録媒体に記録されているときには、当該発行用記録媒体の保有遊技媒体数を前記分割遊技媒体数に書き換えて排出し、前記貯留機構に貯留されている他の発行用記録媒体に分割後の残りの保有遊技媒体数を記録し、前記返却指示を受け付けたときに当該他の発行用記録媒体を排出する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸出装置。
【請求項3】
前記保有遊技媒体数を記録し、或いは前記保有遊技媒体数と紐付けられる会員用記録媒体を読み書きする会員用記録媒体読込書込手段を備え、
前記分割指示受付手段によって分割指示を受け付けた場合、前記会員用記録媒体に前記保有遊技媒体数が記録され、或いは紐付けられているときには、前記貯留機構に貯留されている発行用記録媒体に前記保有遊技媒体数を分割した分割遊技媒体数を記録して排出し、前記会員用記録媒体の保有遊技媒体数を分割後の残りの保有遊技媒体数に書き換え、前記返却指示を受け付けたときに当該会員用記録媒体を排出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技媒体貸出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205653(P2012−205653A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72040(P2011−72040)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(501468770)株式会社ジョイコシステムズ (66)
【Fターム(参考)】