説明

遊技機の可動演出装置

【課題】スペースを有効利用するとともに、遊技者に新鮮な印象を与えることができる遊技機の可動演出装置を提供する。
【解決手段】「天」の文字からなる第一装飾と、同じ文字からなり第一装飾よりも大きい第二装飾と、を交互に視認可能とする遊技機1の可動演出装置100であって、第一の面231に前記第一装飾が、第二の面232に前記第二装飾の一部分が、それぞれ施され、回動していずれか一方の面を視認可能とする第一可動部材200と、前記第二装飾の他の部分が施され、遊技者に視認可能な位置と視認不能な位置との間で移動可能な第二可動部材400と、を具備し、前記第一装飾を遊技者に視認可能とする場合には、第一可動部材200の第一の面231のみを遊技者に視認可能とし、前記第二装飾を遊技者に視認可能とする場合には、第一可動部材200の第二の面232及び第二可動部材400を遊技者に視認可能とし、第二装飾全体を形作る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾が施された可動部材(可動役物)を備える遊技機の可動演出装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装飾が施された可動部材(可動役物)を備える遊技機の可動演出装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の遊技機の可動演出装置は、第一装飾が施されると共に、遊技盤に対して固定される固定部材(装置基体)と、第二装飾が施されると共に、固定部材に対して移動可能に構成される可動部材(可動役物)と、を具備し、固定部材(第一装飾)の背後に隠された可動部材(第二装飾)を遊技者から視認可能な位置に移動(出現)させる演出を行うことによって、当該遊技者に印象を与えることができ、興趣性を向上させることができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の遊技機の可動演出装置では、第一装飾が施された固定部材が動くことはないため、当該第一装飾が配置されたスペースを有効利用できない点で不利であった。
また、遊技者が視認できるのは、固定部材の背後から可動部材が出現する動きだけであるため、演出が単調になってしまうおそれがある点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−284227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、スペースを有効利用するとともに、遊技者に新鮮な印象を与えることができる遊技機の可動演出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、文字からなる第一装飾と、前記第一装飾の文字と同じ文字からなり当該第一装飾よりも大きく形成される第二装飾と、を交互に遊技者に視認可能とする演出を行う遊技機の可動演出装置であって、第一の面に前記第一装飾が施されるとともに、前記第一の面とは異なる第二の面に前記第二装飾の一部分が施され、回動することにより前記第一の面又は前記第二の面のいずれか一方を遊技者に視認可能とする第一可動部材と、前記第二装飾の他の部分が施され、当該第二装飾の他の部分が遊技者に視認可能な位置と視認不能な位置との間で移動可能な第二可動部材と、を具備し、前記第一装飾を遊技者に視認可能とする場合には、前記第一可動部材が、前記第一の面を遊技者に視認可能とするとともに、前記第二可動部材が、遊技者に視認不能な位置に移動し、前記第一装飾に替えて前記第二装飾を遊技者に視認可能とする場合には、前記第一可動部材が、回動して前記第二の面を遊技者に視認可能とするとともに、前記第二可動部材が、遊技者に視認可能な位置に移動することにより、前記第一可動部材に施された第二装飾の一部分と当該第二可動部材に施された第二装飾の他の部分とで前記第二装飾全体を形作るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、第一装飾が配置されていたスペースを有効利用して、当該第一装飾と同じ文字からなり当該第一装飾よりも大きい第二装飾を視認可能とすることで、当該文字が拡大されたような演出を行うことができ、遊技者に新鮮な印象を与えることができる。
また、第一可動部材の回動運動と第二可動部材の移動との二種類の動きの組み合わせにより演出を行うため、遊技者に、より新鮮な印象を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る可動演出装置を具備する遊技機の正面図。
【図2】同じく、遊技機の窓枠が開放された状態を示した前方斜視図。
【図3】同じく、遊技盤を示した正面図。
【図4】第一の状態における可動演出装置を示した前方斜視図。
【図5】同じく、後方斜視図。
【図6】第一可動部材が回動した状態における可動演出装置を示した前方斜視図。
【図7】同じく、後方斜視図。
【図8】第一可動部材が回動した状態における遊技盤を示した正面図。
【図9】第二可動部材が移動している際の可動演出装置を示した前方斜視図。
【図10】同じく、後方斜視図。
【図11】第二可動部材が移動している際の遊技盤を示した正面図。
【図12】第二の状態における可動演出装置を示した前方斜視図。
【図13】同じく、後方斜視図。
【図14】可動演出装置が第二の状態にある際の遊技盤を示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明に係る遊技機の可動演出装置の一実施形態に係る可動演出装置100を具備する遊技機1の全体的な構成について、図面を用いて説明する。
なお、以下の説明では、遊技機1を遊技者から見て、手前側を遊技機1の前側とし、奥側を遊技機1の後側として、前後方向を規定する。また、遊技機1を遊技者から見て、左手側を遊技機1の左側とし、右手側を遊技機1の右側として、左右方向を規定する。
【0013】
遊技機1は、図1から図3が示すように、主として、外枠2と、中枠3と、窓枠4と、により構成される枠体に、各種の遊技部品が取り付けられて形成される。
【0014】
外枠2は、遊技機1の外郭を成し、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。外枠2は、パチンコホール等の遊技場に設けられた台島に設置される。外枠2には、中枠3が設けられる。
【0015】
中枠3は、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。中枠3は、外枠2の前側の開口部にヒンジ等の軸支部材を介して回動可能に支持される。中枠3には、窓枠4と、下皿ユニット5と、遊技盤6と、が設けられる。
【0016】
窓枠4は、中央が開口された略平板状に形成される枠体である。窓枠4は、正面視で中枠3の下部を除く略全面に渡って配置される。窓枠4は、中枠3の前側の開口部にヒンジ部材を介して回動可能に支持される。窓枠4の中央には、正面視で略円形状の窓枠開口部7が形成される。窓枠開口部7は、透明板19により被覆される。窓枠開口部7の下部には、発射前の遊技球が貯溜される上皿8が配設される。窓枠開口部7の左右上方には、スピーカ9がそれぞれ配設される。
【0017】
下皿ユニット5は、中枠3の下部であって窓枠4の下方に取り付けられる。下皿ユニット5の中央には、上皿8から溢れた遊技球が貯溜される下皿17が配設される。下皿ユニット5の右部であって下皿17の右方には、発射ハンドル18が配設される。発射ハンドル18は、上皿8に貯溜された遊技球を発射可能に構成される。
【0018】
遊技盤6は、遊技球が転動する領域である遊技領域25が形成される部材である。遊技盤6は、窓枠4の後方であって、正面視で中枠3の下部を除く略全面に渡って配置される。遊技盤6は、中枠3に着脱可能に取り付けられる。なお、遊技盤6の遊技領域25は、窓枠4の窓枠開口部7の後方に配置され、前方から透明板19を介して視認可能に構成される。
【0019】
次に、遊技盤6の構成について、図3を用いてさらに詳細に説明する。
【0020】
遊技盤6は、図3に示すように、遊技板10と、ガイドレール11と、センター役物12と、図柄表示装置13と、可変入賞装置14と、大入賞装置15と、アウト口16と、可動演出装置100等により構成される。
【0021】
遊技板10は、四隅が適宜に切り欠けられた略平板状に形成される部材である。遊技板10には、遊技盤6を構成する各種の遊技部品が取り付けられる。遊技板10は、アクリル樹脂やポリカーボネート(PC)等の透過性を有する部材によって形成される。
【0022】
ガイドレール11は、略円弧帯状に形成される部材である。ガイドレール11は、遊技板10に、前方へ向けて立ち上がり状に取り付けられる。ガイドレール11は、正面視で略円形状を形成するように配置される。なお、遊技板10においてガイドレール11によって略円形状に形成された内側の領域が、遊技球が転動する領域である遊技領域25として構成される。
【0023】
センター役物12は、その外観により遊技板10を装飾する部材である。センター役物12は正面視で略環状であって、その中央にセンター開口部27が前後方向に貫通して形成される。センター役物12は、遊技板10を前後方向に貫通するように当該遊技板10の中央から上部に渡って形成される孔に前方から挿入され、ボルト等によって取り付けられる。
【0024】
図柄表示装置13は、前方を臨むように配設された液晶画面26に図柄や数字等の変動(図柄遊技)を表示するように構成される装置である。図柄表示装置13は、遊技板10の後方に配置される。より詳細には、図柄表示装置13の液晶画面26が、遊技板10に取り付けられたセンター役物12のセンター開口部27の後方に配置される。これによって、前方からセンター開口部27を介して液晶画面26に表示される図柄遊技を視認することができる。
【0025】
可変入賞装置14は、所定の作動条件に応じて左右一対の可動片28が開閉作動し、始動入賞口14aに遊技球が入球(入賞)可能な開放状態と入球(入賞)不能な閉塞状態とに切り替え可能に構成される装置である。可変入賞装置14は、遊技領域25の中央下部であって図柄表示装置13の下方に配置される。なお、可変入賞装置14は、前記開放状態において始動入賞口14aに遊技球が入球(入賞)すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
【0026】
大入賞装置15は、所定の大当たり抽選により大当たりが選択されると、大入賞口15aを開放して遊技球が入球(入賞)可能に構成される装置である。大入賞装置15は、遊技領域25の右部であって図柄表示装置13の右下方に配置される。なお、大入賞装置15は、開放した大入賞口15aに遊技球が入球すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
【0027】
アウト口16は、遊技領域25を転動する遊技球が、大入賞口15aや始動入賞口14a等の各入賞口に入球(入賞)しなかった場合に、最終的に流入する開口部である。アウト口16は、遊技領域25の最下部に配置される。なお、アウト口16に流入した遊技球は、遊技機1が設置されたパチンコホール等の遊技場側に回収される。
【0028】
可動演出装置100は、所定の演出を行うことにより、遊技者に視覚的な印象(インパクト)を与え、その遊技者の興趣を高めるものである。可動演出装置100は、図柄表示装置13(液晶画面26)の上方であって、前後方向においてセンター役物12と液晶画面26との間、すなわちセンター役物12よりも後方であって液晶画面26よりも前方に配置される。
【0029】
以下では、可動演出装置100の構成について詳細に説明する。
【0030】
図3から図14までに示す可動演出装置100は、主として、第一可動部材200と、第一駆動機構300と、第二可動部材400と、第二駆動機構500と、により構成される。
なお、第一駆動機構300及び第二駆動機構500は、図4にのみ図示し、その他の図面においては便宜上図示を省略している。
【0031】
図3から図8までに示す第一可動部材200は、所定の装飾が施され、当該装飾を遊技者に視認させることにより演出を行うものである。第一可動部材200は、主として、左側基部210と、右側基部220と、回動部材230と、により構成される。
【0032】
図4及び図5に示す左側基部210は、前面及び左側面からなる平面視略L字状の部材である。左側基部210の前面には、後述する第二装飾(大きい「天」の文字を模した装飾)の一部(「天」の文字の一画目の左端部)が施される。左側基部210(より詳細には、左側基部210の左側面)の後面には、当該後面の左上から右下方に向かって案内溝211が形成される。左側基部210は、遊技盤6(図3等参照)に対して適宜の方法で固定される。
【0033】
右側基部220は、略箱状の部材である。右側基部220には、当該右側基部220を左右方向に貫通する貫通孔が形成される。右側基部220は、左側基部210と所定の間隔をあけて当該左側基部210の右方に配置され、遊技盤6(図3等参照)に対して適宜の方法で固定される。
【0034】
図4から図7までに示す回動部材230は、第一の面231(図4における前面)及び第二の面232(図5における下面)からなる側面視略L字状の部材である。回動部材230の第一の面231には、小さい「天」の文字を模した装飾(以下、この装飾を「第一装飾」と記す)が施される。回動部材230の第二の面232には、大きい「天」の文字を模した装飾(第二装飾)の一部(「天」の文字の一画目の中央部から左端部まで)が施される。回動部材230は、左側基部210と右側基部220との間に配置される。回動部材230は、回動軸233を具備する。
【0035】
回動軸233は、回動部材230の回動支点となるものである。回動軸233は、その軸線を左右方向に向けて配置され、回動部材230に固定される。回動軸233の一端部(右端部)は、右側基部220の貫通孔に挿通され、当該右側基部220に対して回動可能に支持される。これによって、回動部材230も右側基部220に対して当該回動軸233を中心として回動可能に支持されることになる。
【0036】
図4に示す第一駆動機構300は、第一可動部材200を駆動させるためのものである。第一駆動機構300は、主として、モータ310と、出力ギヤ320と、従動ギヤ330と、により構成される。
【0037】
モータ310は、その出力軸を左方向に向けた状態で、第一可動部材200の右方に配置される。
【0038】
出力ギヤ320は、モータ310の出力軸に固定される。
【0039】
従動ギヤ330は、右側基部220の右方において、回動部材230の回動軸233の右端に固定される。従動ギヤ330は、出力ギヤ320と歯合される。
【0040】
図4から図7までに示す第二可動部材400は、所定の装飾が施され、当該装飾を遊技者に視認させることにより演出を行うものである。第二可動部材400は、主として、第一移動部材410と、伸縮機構420と、第二移動部材430と、により構成される。
【0041】
第一移動部材410は、略矩形板状の部材である。第一移動部材410は、その板面を回動部材230の第二の面232の板面と同じ方向に向けて配置される。より具体的には、図4及び図5に示す状態においては、第一移動部材410は、その板面を上下方向に向けた状態で、回動部材230の第二の面232の上方かつ第一の面231の後方(背後)に配置される。第一移動部材410の一の面(回動部材230の第二の面232と対向する側の面)には、第二装飾の一部(「天」の文字の二画目)が施される。第一移動部材410の他の面(回動部材230の第二の面232と対向しない側の面)の左端部から左右中央部に亘っては、係合溝411が形成される。係合溝411は、図4に示す状態においては左前から右後方に向かって、図7に示す状態においては左上から右下方に向かって、形成される。
【0042】
図4、図5及び図7に示す伸縮機構420は、第一移動部材410を回動部材230に連結するものである。伸縮機構420は、4本のアーム及びそれらを適宜連結させ、又は他の部材に回動可能に支持させる複数の軸からなる、いわゆるパンタグラフ機構である。伸縮機構420の伸縮方向(図4及び図5における前後方向、図6及び図7における上下方向)一端部は回動部材230に、他端部は第一移動部材410に、それぞれ連結される。
【0043】
なお、本実施形態においては、図示せぬ付勢部材により、第一移動部材410は常時回動部材230の第一の面231に近接する方向(伸縮機構420が縮む方向)に付勢されており、当該第一移動部材410に外部から力を加えなければ当該第一移動部材410は回動部材230の第一の面231に最も近接した状態に保持されるものとする。
【0044】
第二移動部材430はさらに、左側移動部材431と、右側移動部材432と、連結部材433と、により構成される。
【0045】
左側移動部材431は、第一可動部材200の概ね左下方に配置される。左側移動部材431は、左側本体部431a、左側支持部431b、左側回動軸431c、左側連結部431d及び係合軸431e等を具備する。
【0046】
左側本体部431aは、略箱状の部材である。左側本体部431aの前面には、第二装飾の一部(「天」の文字の三画目の下部)が施される。
【0047】
左側支持部431bは、細長い略板状の部材である。左側支持部431bの一端は左側本体部431aの下端部に連結され、左側支持部431bの他端は左下方へと延設される。左側支持部431bは、遊技者から視認し難くなるように、透明な部材で形成される。
【0048】
左側回動軸431cは、左側移動部材431の回動支点となるものである。左側回動軸431cは、その軸線を前後方向に向けて配置され、左側支持部431bの他端に相対回動可能となるように挿通される。左側回動軸431cは、遊技盤6(図3等参照)に対して適宜の方法で固定される。
【0049】
左側連結部431dは、左側支持部431bの他端部から略上方へと延設される部分である。
【0050】
係合軸431eは、左側本体部431aと第一移動部材410とを係合させるものである。係合軸431eは、その軸線を前後方向に向けて配置され、左側本体部431aの上端部から前方に向けて延設される。
【0051】
右側移動部材432は、第一可動部材200の概ね右下方に配置される。右側移動部材432は、右側本体部432a、右側支持部432b、右側回動軸432c及び右側連結部432d等を具備する。
【0052】
右側本体部432aは、略箱状の部材である。右側本体部432aの前面には、第二装飾の一部(「天」の文字の四画目の下部)が施される。
【0053】
右側支持部432bは、細長い略板状の部材である。右側支持部432bの一端は右側本体部432aの下端部に連結され、右側支持部432bの他端は下方へと延設される。左側支持部432bは、遊技者から視認し難くなるように、透明な部材で形成される。
【0054】
右側回動軸432cは、右側移動部材432の回動支点となるものである。右側回動軸432cは、その軸線を前後方向に向けて配置され、右側支持部432bの他端に相対回動不能となるように固定される。右側回動軸432cは、遊技盤6(図3等参照)に対して適宜の方法で相対回動可能となるように支持される。
【0055】
右側連結部432dは、右側支持部432bの他端部から略下方へと延設される部分である。
【0056】
連結部材433は、左側移動部材431と右側移動部材432とを連結するものである。連結部材433は、細長い略板状の部材であり、その長手方向を概ね左右方向に向けて配置される。連結部材433の一端(左端)は左側移動部材431の左側連結部431dに、連結部材433の他端(右端)は右側移動部材432の右側連結部432dに、それぞれ相対回動可能となるように連結される。
【0057】
図4に示す第二駆動機構500は、第二可動部材400を駆動させるためのものである。第二駆動機構500は、主として、モータ510と、出力ギヤ520と、従動ギヤ530と、により構成される。
【0058】
モータ510は、その出力軸を後方向に向けた状態で、右側移動部材432の右側支持部432bの概ね前方に配置される。
【0059】
出力ギヤ520は、モータ510の出力軸に固定される。
【0060】
従動ギヤ530は、右側支持部432bの前方において、右側回動軸432cの前端に固定される。従動ギヤ530は、出力ギヤ520と歯合される。
【0061】
以下では、上述の如く構成された可動演出装置100による演出について説明する。
【0062】
可動演出装置100は、小さい「天」の文字を模した第一装飾と、当該第一装飾と同じ「天」の文字を模し、当該第一装飾よりも大きく形成された第二装飾と、を交互に遊技者に視認可能とする演出を行うことができる。
【0063】
まず、図3から図5までに示すように、可動演出装置100が第一装飾を遊技者に視認可能としている状態(以下、単に「第一の状態」と記す)について説明する。
【0064】
可動演出装置100が第一の状態にある場合、第一可動部材200の回動部材230は、第一の面231を前方に向けている。この場合、可動演出装置100の前方にいる遊技者からは、回動部材230の第一の面231に施された第一装飾が視認可能となる。一方、当該遊技者からは、回動部材230の第二の面232に施された第二装飾の一部は視認不能(若しくは、視認するのが困難)となる。
【0065】
また、可動演出装置100が第一の状態にある場合、第二可動部材400の第一移動部材410は、左側基部210の背後(後方)及び回動部材230の第一の面231の背後(後方)に位置している。このため、可動演出装置100の前方にいる遊技者からは、当該第一移動部材410を視認することができない。
【0066】
さらに、可動演出装置100が第一の状態にある場合、第二可動部材400の第二移動部材430(より詳細には、左側移動部材431及び右側移動部材432)は、第一可動部材200の左右側方かつ遊技板10(図3参照)の背後(後方)に位置している。このため、可動演出装置100の前方にいる遊技者からは、当該左側移動部材431及び右側移動部材432を視認することができない。
【0067】
以上の如く、可動演出装置100が第一の状態にある場合、遊技者からは、第一装飾を視認することはできるが、第二装飾を視認することはできない。
【0068】
次に、可動演出装置100が第一の状態から、第二装飾を遊技者に視認可能とする状態(以下、単に「第二の状態」と記す)へと遷移する様子について説明する。
【0069】
可動演出装置100を第一の状態から第二の状態へと遷移させる場合、まず、モータ310(図4参照)を駆動させ、図6から図8までに示すように第一可動部材200の回動部材230を右側面視時計回り(図6の矢印参照)に90度回動させる。これによって、回動部材230の第一の面231が上方を向き、第二の面232が前方を向くことになる。この場合、可動演出装置100の前方にいる遊技者からは、回動部材230の第一の面231に施された第一装飾が視認不能(若しくは、視認するのが困難)となるとともに、第二の面232に施された第二装飾の一部が視認可能となる。
【0070】
このように、第一の状態においては遊技者から視認し難い回動部材230の第二の面232に第二装飾の一部を施しておくことで、当該回動部材230を回動させて、第一装飾に替えて第二装飾の一部を遊技者に視認させることができる。すなわち、第一の状態においては遊技者から視認し難い回動部材230の第二の面232を有効利用して、演出のための装飾(第二装飾)を配置することができる。
【0071】
また、この際、回動部材230とともに、当該回動部材230に連結された第一移動部材410も右側面視時計回りに90度回動することになる。この状態においては、左側基部210の案内溝211の右端と第一移動部材410の係合溝411の左端とが対向するように位置し、当該案内溝211及び係合溝411で1本の連続した溝を形成することになる。
【0072】
次に、モータ510(図4参照)を駆動させ、図9から図11までに示すように右側移動部材432の右側回動軸432cを正面視反時計回り(図9の矢印参照)に回動させる。右側回動軸432cを正面視反時計回りに回動させると、右側支持部432bを介して右側本体部432aも右側回動軸432cを中心として正面視反時計回りに回動する。これによって、右側本体部432aは、遊技板10の背後から液晶画面26の前方へと出現し、遊技者から視認可能となる(図11参照)。
【0073】
また、右側回動軸432cを正面視反時計回りに回動させると、右側連結部432dも当該右側回動軸432cを中心として正面視反時計回りに回動する。右側連結部432dが正面視反時計回りに回動すると、当該右側連結部432dに連結された連結部材433が右方に引かれて移動する。連結部材433が右方に移動すると、当該連結部材433の左端に連結された左側移動部材431の左側連結部431dが左側回動軸431c(図10参照)を中心として正面視時計回り(図9の矢印参照)に回動する。
【0074】
左側連結部431dが正面視時計回りに回動すると、左側支持部431bを介して左側本体部431aも左側回動軸431cを中心として正面視時計回りに回動する。これによって、左側本体部431aは、遊技板10の背後から液晶画面26の前方へと出現し、遊技者から視認可能となる(図11参照)。
【0075】
また、左側本体部431aが正面視時計回りに回動すると、当該左側本体部431aの上端部に設けられた係合軸431e(図6参照)は、左側基部210の案内溝211内を通って第一移動部材410の係合溝411へと案内される(図10参照)。係合軸431eが係合溝411へと進入してからも左側本体部431aは正面視時計回りに回動し続けるため、係合軸431eは係合溝411と係合し、当該係合溝411を下方へと押圧することになり、ひいては第一移動部材410を下方へと押し下げることになる。第一移動部材410は、伸縮機構420を介して回動部材230に連結されているため、当該第一移動部材410は、回動部材230に対して下方に移動することになる。これによって、第一移動部材410は第一可動部材200の背後から下方へと出現し、遊技者から視認可能となる(図11参照)。
【0076】
さらにモータ510(図4参照)を駆動させると、図12から図14までに示すように、左側本体部431aの上端部と右側本体部432aの上端部とが当接した状態となる。この状態においては、左側本体部431a及び右側本体部432aは液晶画面26の前方に出現するとともに、第一移動部材410も第一可動部材200の背後から下方に完全に出現する。この場合、可動演出装置100は、左側基部210の前面に施された装飾、回動部材230の第二の面232に施された装飾、第一移動部材410の一の面に施された装飾、左側本体部431aの前面に施された装飾及び右側本体部432aの前面に施された装飾によって、第二装飾(大きい「天」の文字を模した装飾)全体を形作る状態(第二の状態)となる。
【0077】
可動演出装置100が第二の状態にある場合、遊技者からは、第二装飾を視認することができるが、第一装飾を視認することはできない。
【0078】
このように、可動演出装置100を第一の状態から第二の状態へと遷移させることで、遊技者に第一装飾に替えて第二装飾を視認させることができる。この際、第二装飾は、第一装飾が配置されていたはずのスペース(液晶画面26の右上方)を利用して形作られ、さらに第一装飾と第二装飾とは同じ「天」という文字を模した装飾であるため、遊技者に「天」の文字が拡大されたような新鮮な印象を与えることができる。
【0079】
また、可動演出装置100を第一の状態から第二の状態へと遷移させる場合、回動部材230の回動運動、第一移動部材410の下方への移動、並びに左側移動部材431及び右側移動部材432の回動運動という複数種類の動きの組み合わせを遊技者に視認させることができるため、当該遊技者により新鮮な印象を与えることができる。
【0080】
さらに、第二の状態における可動演出装置100は、液晶画面26の概ね全体を前方から覆うように第二装飾を出現させる。このように、遊技者の注意を惹き易い液晶画面26の前方に大きく第二装飾を出現させることで、当該遊技者により新鮮な印象を与えることができる。
【0081】
一方、可動演出装置100を第二の状態から第一の状態へと遷移させることもできる。
【0082】
この場合、まず、図12から図14までに示す第二の状態において、モータ510(図4参照)を上記と逆方向に駆動させ、左側本体部431a、右側本体部432a及び第一移動部材410を遊技者から視認できない位置まで移動させる(図6から図8まで参照)。
【0083】
次に、モータ310(図4参照)を上記と逆方向に駆動させ、回動部材230を右側面視反時計回りに90度回動させる。これによって、回動部材230の第一の面231が前方を向き、当該第一の面231に施された第一装飾が遊技者から視認可能となる。
【0084】
このように、モータ310及びモータ510を所望の方向に駆動させることで、可動演出装置100は、第一装飾と第二装飾とを交互に遊技者に視認可能とする演出を行うことができる。これによって、遊技者に「天」の文字が拡大されたり縮小されたりするような新鮮な印象を与えることができる。
【0085】
以上の如く、本実施形態に係る遊技機1の可動演出装置100は、「天」の文字からなる第一装飾と、前記第一装飾の文字と同じ文字からなり当該第一装飾よりも大きく形成される第二装飾と、を交互に遊技者に視認可能とする演出を行う遊技機1の可動演出装置100であって、第一の面231に前記第一装飾が施されるとともに、第一の面231とは異なる第二の面232に前記第二装飾の一部分が施され、回動することにより第一の面231又は第二の面232のいずれか一方を遊技者に視認可能とする第一可動部材200と、前記第二装飾の他の部分が施され、当該第二装飾の他の部分が遊技者に視認可能な位置と視認不能な位置との間で移動可能な第二可動部材400と、を具備し、前記第一装飾を遊技者に視認可能とする場合には、第一可動部材200が、第一の面231を遊技者に視認可能とするとともに、第二可動部材400が、遊技者に視認不能な位置に移動し、前記第一装飾に替えて前記第二装飾を遊技者に視認可能とする場合には、第一可動部材200が、回動して第二の面232を遊技者に視認可能とするとともに、第二可動部材400が、遊技者に視認可能な位置に移動することにより、第一可動部材200に施された第二装飾の一部分と当該第二可動部材400に施された第二装飾の他の部分とで前記第二装飾全体を形作るものである。
【0086】
このように構成することにより、第一装飾が配置されていたスペースを有効利用して、当該第一装飾と同じ文字からなり当該第一装飾よりも大きい第二装飾を視認可能とすることで、当該文字が拡大されたような演出を行うことができ、遊技者に新鮮な印象を与えることができる。
また、第一可動部材200の回動運動と第二可動部材400の移動との二種類の動きの組み合わせにより演出を行うため、遊技者に、より新鮮な印象を与えることができる。
【0087】
また、第二可動部材400は、第一可動部材200が第二の面232を遊技者に視認可能とした場合における当該第二の面232の背後側に配置され、当該第一可動部材200の背後に隠れて遊技者から視認不能な位置と当該第一可動部材200の背後から出現して遊技者から視認可能な位置との間で移動可能な第一移動部材410と、第一可動部材200の側方に配置され、遊技者に視認可能な位置と視認不能な位置との間で移動可能な第二移動部材430と、を具備し、第二移動部材430が遊技者に視認不能な位置から視認可能な位置に移動する際に、第一移動部材410と係合して当該第一移動部材410を第一可動部材200の背後から出現させるものである。
【0088】
また、可動演出装置100は、第二可動部材400が遊技者に視認可能な位置に移動した場合には、当該第二可動部材400により液晶画面26の前方を覆うものである。
このように構成することにより、遊技者の注意を惹き易い液晶画面26の前方に大きく第二装飾を出現させることができ、当該遊戯者により新鮮な印象を与えることができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、第一装飾及び第二装飾は「天」という1つの文字からなるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他の文字からなる装飾であっても良く、また2文字以上の文字からなる装飾であっても良い。
また、本実施形態においては、第一可動部材200は90度回動することにより第一の面231又は第二の面232のいずれか一方を遊技者から視認可能とするものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、第一可動部材200をその他の角度(例えば、180度、270度等)だけ回動させて第一の面231又は第二の面232のいずれか一方を遊技者から視認可能とする構成とすることも可能である。
また、本実施形態に係る第一駆動機構300は、第一可動部材200を駆動させるための機構の一例であり、その構成を限定するものではない。
【0090】
また、第二可動部材400は、第二装飾の他の部分が施された第一移動部材410及び第二移動部材430を遊技者に視認可能な位置と視認不能な位置との間で移動可能とする構成としたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、当該第二装飾の他の部分を遊技者に視認可能な位置と視認不能な位置との間で移動可能とする構成であれば、第二可動部材400を1つの部材で構成することも、より多くの部材で構成することも可能である。
また、第二可動部材400の第一移動部材410は第一可動部材200の背後から、第二移動部材430(左側移動部材431及び右側移動部材432)は第一可動部材200の側方から、それぞれ遊技者に視認可能な位置に出現する構成としたが、本発明はこれに限るものではなく、遊技者に視認可能な位置と視認不能な位置との間で移動するものであれば、その出現する位置及び方向、並びに遊技者に視認不能な位置に隠れた際の位置を限定するものではない。
また、本実施形態に係る第二駆動機構500は、第二可動部材400を駆動させるための機構の一例であり、その構成を限定するものではない。
また、本実施形態においては、第二移動部材430が遊技者に視認可能な位置に移動する際に第一移動部材410と係合し、当該第一移動部材410も遊技者に視認可能な位置に移動する構成としたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、第一移動部材410に別途独立した駆動機構を設け、第一移動部材410及び第二移動部材430をそれぞれ独立した駆動機構で移動させる構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0091】
1:遊技機,26:液晶画面,100:可動演出装置,200:第一可動部材,400:第二可動部材,410:第一移動部材,430:第二移動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字からなる第一装飾と、前記第一装飾の文字と同じ文字からなり当該第一装飾よりも大きく形成される第二装飾と、を交互に遊技者に視認可能とする演出を行う遊技機の可動演出装置であって、
第一の面に前記第一装飾が施されるとともに、前記第一の面とは異なる第二の面に前記第二装飾の一部分が施され、回動することにより前記第一の面又は前記第二の面のいずれか一方を遊技者に視認可能とする第一可動部材と、
前記第二装飾の他の部分が施され、当該第二装飾の他の部分が遊技者に視認可能な位置と視認不能な位置との間で移動可能な第二可動部材と、
を具備し、
前記第一装飾を遊技者に視認可能とする場合には、
前記第一可動部材が、前記第一の面を遊技者に視認可能とするとともに、
前記第二可動部材が、遊技者に視認不能な位置に移動し、
前記第一装飾に替えて前記第二装飾を遊技者に視認可能とする場合には、
前記第一可動部材が、回動して前記第二の面を遊技者に視認可能とするとともに、
前記第二可動部材が、遊技者に視認可能な位置に移動することにより、前記第一可動部材に施された第二装飾の一部分と当該第二可動部材に施された第二装飾の他の部分とで前記第二装飾全体を形作る、
遊技機の可動演出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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