説明

遊技機の演出制御方法及び遊技機の表示制御装置

【課題】遊技機の演出のコンテンツを魅力的にするとともに開発を容易にする。
【解決手段】演出図柄表示LSI21と、この演出図柄表示LSI21に接続されたハードディスクドライブ22を備える。ハードディスクドライブ22には、予め作成した演出用データを記録しておく。演出図柄表示LSI21は、遊技機の主制御装置2からのコマンドCに応じて、ハードディスクドライブ22から複数の演出用データを読み出し、スクリプトを展開して実行し、表示装置12に表示する。主制御装置2の制御プログラムを簡略化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパチンコ機、パチスロ機などの遊技機の演出制御方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばパチンコ機、パチスロ機などの遊技機において、遊技面に液晶表示装置などの画像表示装置を備えた構成が知られている。そして、この画像表示装置に表示する画像や、この画像に連動する音声などの演出、いわゆるコンテンツについては、遊技機の差別化のため、複雑なストーリーや高品質な画像、音声を用いた魅力あるコンテンツが求められている。そこで、今日では、複雑で長大な制御プログラムを処理能力の高い画像処理用の集積回路(LSI)で処理して、コンピュータグラフィクス(CG)によりコンテンツを実現している(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平11−333058号公報
【特許文献2】特開2004−254990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、遊技機の図柄を生成するプログラムは複雑で長大となり、魅力あるコンテンツの開発には、ゲームのソフトウェア開発と同様の多大な工程が必要で、長い開発期間を要するとともに開発費が高騰する問題を有している。また、複雑で長大なプログラムを実行するためには、主制御装置のLSIやCPUに大きな処理能力が求められるとともに、プログラムを記録した大容量のROMがコンテンツごとに必要になり、主制御装置の製造コストが上昇する問題を有している。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、魅力的なコンテンツを容易に実現できる遊技機の演出制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の遊技機の演出制御方法は、外部の主制御装置からの制御信号を制御手段が受信すると、この制御手段は、予め記憶手段に記録された演出用データから前記制御信号に対応した演出用データを選択して読み出し、読み出した演出用データから、音声画像データ、ベクターイメージデータ、及び、これら音声画像データ及びベクターイメージデータの時系列動作を規定するスクリプトデータを取得し、前記スクリプトデータを実行し、前記音声画像データ及び前記ベクターイメージデータを時系列に従い動作させて音声及び画像を出力するものである。
【0006】
そして、この構成では、予め記録された演出用データの音声画像データ及びベクターイメージデータを用い、制御手段が制御信号に対応したスクリプトデータを選択し実行して音声及び画像を出力するため、いわゆるコンピュータグラフィクスで全ての画像データを生成する構成に比べて、簡略な構成で、画像及び音声を備えた複雑な魅力的なコンテンツが実現される。演出用データは、例えば、マクロメディア株式会社のFlush(商品名)など、市販のオーサリングソフトなどを用いて容易に作成することが可能になり、コンテンツの開発に要する期間の短縮が容易になるとともに、開発費が容易に軽減される。また、制御手段が演出の処理を行うため、外部の主制御装置は入賞等を契機とする条件分岐を行う制御を行えば良く、外部の主制御装置が複雑で長大なプログラムを実行する必要がないため、プログラムを記録した大容量の固定記録手段をコンテンツごとに用意する必要がなく、外部の主制御装置の構成及び制御プログラムの簡略化及び汎用性の向上が可能であり、主制御装置の製造コストが抑制され、遊技機の製造コストの低減が可能になる。
【0007】
請求項2記載の遊技機の演出制御方法は、請求項1記載の遊技機の演出制御方法において、記憶手段は、ハードディスクドライブであり、演出用データは、このハードディスクドライブに圧縮して記録され、制御手段は、読み出した演出用データを展開してスクリプトデータ、音声画像データ、及びベクターイメージデータを生成するものである。
【0008】
そして、この構成では、演出用データをハードディスクドライブに圧縮して記録することにより、長時間の複雑なコンテンツが容易に実現される。
【0009】
請求項3記載の遊技機の表示制御装置は、音声画像データ及びこの音声画像データの時系列動作を規定する複数のスクリプトデータを有する演出用データが予め記録されたハードディスクドライブと、外部の主制御装置からの制御信号に従い、前記ハードディスクドライブに記録された前記演出用データから所定の音声画像データ及びスクリプトデータを読み出し、読み出した前記スクリプトデータを実行し、前記音声画像データを時系列に従い動作させて動画を表示装置に出力するとともにスピーカに音を出力する制御手段とを具備したものである。
【0010】
そして、この構成では、ハードディスクドライブに予め記録された演出用データの音声画像データ及びベクターイメージデータを用い、制御手段が制御信号に対応したスクリプトデータを選択し実行して音声及び画像を出力するため、いわゆるコンピュータグラフィクスで全ての画像データを生成する構成に比べて、簡略な構成で、画像及び音声を備えた複雑で魅力的なコンテンツが実現される。演出用データは、例えば、マクロメディア株式会社のFlush(商品名)など、市販のオーサリングソフトなどを用いて容易に作成することが可能になり、コンテンツの開発に要する期間の短縮が容易になるとともに、開発費が容易に軽減される。また、制御手段が演出の処理を行うため、外部の主制御装置は入賞等を契機とする条件分岐を行う制御を行えば良く、外部の主制御装置が複雑で長大なプログラムを実行する必要がないため、プログラムを記録した大容量の固定記録手段をコンテンツごとに用意する必要がなく、外部の主制御装置の構成及び制御プログラムの簡略化及び汎用性の向上が可能であり、主制御装置の製造コストが抑制され、遊技機の製造コストの低減が可能になる。
【0011】
請求項4記載の遊技機の表示制御装置は、請求項3記載の遊技機の表示制御装置において、主制御装置は、入賞を条件とする条件分岐のプログラムを記録した固定記憶手段と、この固定記憶手段に記録されたプログラムを実行して条件に応じた制御信号を生成する主制御手段とを備えるものである。
【0012】
そして、この構成では、制御プログラムの簡略化が可能であるため、固定記憶手段の容量の削減が可能であるとともに、主制御手段の処理の負荷の軽減が可能であり、遊技機の製造コストの低減が可能になる。
【0013】
請求項5記載の遊技機の表示制御装置は、請求項3または4記載の遊技機の表示制御装置において、演出用データは、圧縮された形式でハードディスクドライブに記録され、制御手段は、ハードディスクドライブの読み出し制御を行う読出制御部と、読み出した演出用データを展開するデコーダ部とが1チップに構成されたものである。
【0014】
そして、この構成では、演出用データを圧縮して記録することにより、長時間のコンテンツが容易に実現される。制御手段は、ハードディスクドライブの動画ファイルから演出用データを読み出す制御を行う読出制御部と、読み出した演出用データを展開するデコーダ部とが1チップに構成されたため、表示制御装置の構成の簡略化が可能になり、製造コストの低減が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、予め記録された演出用データの音声画像データ及びベクターイメージデータを用い、制御手段が制御信号に対応したスクリプトデータを選択し実行して音声及び画像を出力するため、いわゆるコンピュータグラフィクスで全ての画像データを生成する構成に比べて、簡略な構成で、画像及び音声を備えた複雑な魅力的なコンテンツを実現できる。演出用データは、市販のオーサリングソフトなどを用いて容易に作成でき、コンテンツの開発に要する期間を容易に短縮できるとともに、開発費を容易に軽減できる。また、制御手段が演出の処理を行うため、外部の主制御装置は入賞等を契機とする条件分岐を行う制御を行えば良く、外部の主制御装置が複雑で長大なプログラムを実行する必要がないため、プログラムを記録した大容量の固定記録手段をコンテンツごとに用意する必要がなく、外部の主制御装置の構成及び制御プログラムの簡略化及び汎用性の向上が可能であり、主制御装置の製造コストを抑制し、遊技機の製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の遊技機の演出制御方法及び装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1において、1は遊技機で、この遊技機1は、パチンコ機、パチスロ機、あるいはその他のゲーム機などであり、本実施の形態では、パチンコ機について説明する。そして、この遊技機1は、図1に概略を示すように、主制御装置2と、この主制御装置2に接続された表示制御装置10、及びこの表示制御装置10に直接的あるいは間接的に接続された画像回路11、表示装置12、補助表示装置としての複数の発光ダイオード(LED)、音声回路14、スピーカ15などを備えている。そして、この表示制御装置10は、例えば入賞口への遊技球の入賞を契機とする主制御装置2からの制御信号(コマンド)Cに基づき、画像データV及び音声データAを出力し、画像回路11を介して表示装置12に画像を表示するとともに、音声回路14を介してスピーカ15から音声を出力するようになっている。
【0018】
そして、主制御装置2は、主制御基板16上に、マイコンとも呼ばれる主制御手段としてのCPU17及びこのCPU17に接続される固定記憶手段としてのROM18などを備え、図3に示すように、このROM18に記録された条件分岐のプログラムに従い、入賞口への遊技球の入賞などを契機すなわち条件として、当たり判定処理を行い、出玉処理などを行うとともに、表示制御装置10に対して、所定のイベントの発生を示す制御信号としてのコマンドCを出力する。
【0019】
また、表示装置12は、例えば、液晶表示パネルあるいはブラウン管などで、本実施の形態では、遊技盤の中央部分に備えられた液晶表示パネルである。また、音声回路14は、増幅回路である。
【0020】
そして、表示制御装置10は、例えば遊技盤の背面側に配置される1枚あるいは複数枚の基板及びこの基板上に実装される部品などから構成され、この部品としては、制御手段を構成する演出図柄表示LSI21、この演出図柄表示LSI21に接続されるハードディスクドライブ(HDD)22、及びRAM23などを備えている。ここでは、ハードディスクドライブ(HDD)22は、例えばIDE規格のインターフェイスを備える汎用品で、RAM23は、SDRAM(Synchronous DRAM)などの規格の汎用品である。
【0021】
そして、演出図柄表示LSI21は、グラフィックLSIあるいは線画エンジンとも呼びうる1チップの集積回路であり、コマンドハンドラーとファイル管理用のCPU31、ハードディスクドライブ22からの演出用データの読み取り、データデコード、及びスクリプトの実行などを司るエンジン部33を備えている。さらに、演出図柄表示LSI21は、必要に応じて、SRAM34、DMA(ダイレクトメモリアクセス)コントローラ35、内部基準タイマーであるタイマー36、割込コントローラ(INTC)37を備えている。また、エンジン部33は、デコーダ部を構成するビデオ復号部41、オーディオ復号部42、演出用データのデコーダ部43、エフェクト部44、画像スケーラー部45、レイヤーコントロール部46を備えている。さらに、演出図柄表示LSI21は、ホストインターフェース部51、ハードディスクコントローラである読出制御部としてのIDEインターフェイス部52を備えている。さらに、演出図柄表示LSI21は、必要に応じて、汎用I/O部(GPIO)54、JTAG部55を備えている。さらにこの出図柄表示LSI21は、主としてエンジン部33側に、RAMインターフェイス部であるSDRAMインターフェイス部57、アナログビデオ出力部であるビデオエンコーダ部61、パラレルデジタルコンポーネントのデジタルビデオ出力部であるITU656インターフェイス部62、パルス幅変調(PWM)のデジタル音声出力部であるI2Sインターフェイス部63、及びアナログ音声出力部であるD/Aコンバータ部(DAC)64などを備えている。
【0022】
そして、演出図柄表示LSI21のCPU31は、ホストインターフェース部51を介して主制御装置2に接続され、IDEインターフェイス部52を介してハードディスクドライブ22に接続され、SDRAMインターフェイス部57を介してRAM23に接続され、ビデオエンコーダ部61あるいはITU656インターフェイス部62を介して画像回路11に接続され、I2Sインターフェイス部63あるいはD/Aコンバータ部64を介して音声回路14に接続されている。
【0023】
次に、図1ないし図3を参照して、この演出図柄表示LSI21の基本的な動作を説明する。
【0024】
ホストすなわち主制御装置2は、条件が入力されると、条件分岐の判断を行い、例えば、入賞を契機として、ドラムを回転させるイベントなどのコマンドCを送信する。そして、ホストインターフェース部51を介してこのコマンドCをCPU31が受信すると、CPU31は、このコマンドCをデコードし、主制御装置2側から指定された演出用データをハードディスクドライブ22から読み出すため、目的の演出用データが格納されている場所の読み出し計算を行い、各レジスタにセットする。そして、ハードディスクドライブ22の各レジスタに示される位置から、演出用データを読み出し、FIFOに保存した後、エンジン部33に送信する。この演出用データは、音声画像データと、ベクターイメージデータと、これら音声画像データ及びベクターイメージデータの時系列動作を指定するプログラムであるスプリクトデータとにより構成されている。
【0025】
ここで、いわゆるマクロメディア株式会社のFlush(商品名)など、所定の方式で圧縮すなわち符号化して保存されている演出用データは、エンジン部33のデコーダ部43で所定の方式により展開され、SDRAMインターフェイス部57を介してRAM23に展開され、スクリプトデータが実行される。
【0026】
そして、このスプリクトデータは、画像データ及び音声データの製作、編集を行う汎用のオーサリングソフトに用いられて、画像データ及び音声データの時系列に従った動作を指示するいわば簡易プログラムであり、このスプリクトデータに従い、CPU31は、ハードディスクドライブ22の単一のデータあるいは複数のデータから、所定の方式、本実施の形態ではマクロメディア株式会社のFlush(商品名)形式で圧縮されたスクリプトデータ、画像データ及び音声データ等を読み出すためのアドレス計算を行う。この読み出しは、各データについてそれぞれ1カ所以上から読み出すほか、各データについて複数カ所から時分割で同時的に読み出すこともできる。そして、RAM23に展開した画像データについては、エフェクト部44で回転、モーフィング(変形)、拡大縮小、明度、半透明化などの効果を加え、画像スケーラー部45で表示装置12の解像度に合わせて適宜拡大縮小した後、レイヤーコントロール部46で重ね合わせて、最終的な画像データVを生成することも可能である。さらに、必要に応じて、この画像データに、スクリプトに従い動作させたベクターイメージデータを重ねて、最終的な画像データVを生成する。そして、この最終的な画像データVは、デジタルデータをアナログデータに変換するビデオエンコーダ部61を介してアナログの画像データとして、あるいは、ITU656インターフェイス部62を介してデジタルの画像データVとして出力し、画像回路11を介して表示装置12で演出であるコンテンツとして表示する。一方、音声データについては、オーディオ復号部42で復号し、最終的な音声データAを生成する。そして、この最終的な音声データAは、I2Sインターフェイス部63を介してデジタルの音声データとして、あるいは、デジタルデータをアナログデータに変換するD/Aコンバータ部64を介してアナログの音声データAとして出力し、音声回路14を介してスピーカ15から出力する。
【0027】
なお、この演出図柄表示LSI21、では、ハードディスクコントローラであるIDEインターフェイス部52を介し、本実施の形態では最大255個の動画ファイルを管理し、毎秒60フレームで、最大8枚の画像(レイヤー)を重ねて同時に処理できる。また、音声データAは、2系統、すなわちいわゆるステレオ音声で出力される。
【0028】
そして、演出図柄表示LSI21により表示される表示装置12の画面は、図4に示すように、最背面に位置する背景画像Bと、この背景画像Bの前面に位置するドラムとも呼ばれる3個の変動図柄D1,D2,D3と、その他の第1ないし第3の表示画像C1,C2,C3となどを重ねたいわば13レイヤーで構成されている。背景画像Bは、表示装置12の画面のほぼ全面に表示されるもので、通常の背景(通常背景)の他、遊技開始時の表示(オープニング)、及び遊技終了時の表示(エンディング)が選択的に表示される。また、変動図柄D1,D2,D3は、表示装置12の画面より小さく、背景画像Bの略中央部などに並んで位置し、背景画像Bの前面に重ねて表示され、入賞等を契機として例えば回転しながら数字などが変化する表示を行う。その他の第1ないし第3の表示画像C1,C2,C3は、文字、枠、あるいはキャラクターなどであり、背景画像Bと変動図柄D1,D2,D3との間に位置し、これらと重ねて表示される。そして、第1の表示画像C1は、表示装置12の画面より小さく、変動図柄D1,D2,D3の周囲などに位置して表示され、いわゆる大当たりの可能性を示すリーチ予告や大当たりであるリーチアクションなどのイベントの表示を行う。また、第2の表示画像C2は、表示装置12の画面より小さく、変動図柄D1,D2,D3の下側に位置して表示され、いわゆる大当たりの回数を表示する大当たりカウントの表示を行う。また、第3の表示画像C3は、表示装置12の画面より小さく、変動図柄D1,D2,D3の下側に位置して表示され、入賞の数を数えるカウンターの表示を行う。
【0029】
また、上記のように、ハードディスクドライブ22には、コンテンツを構成する単数あるいは複数の演出用データFが所定の方式でベクタ圧縮して記録されている。そして、この演出用データFとしては、オープニングの背景画像Bを記録した1個の演出用データ、通常背景の背景画像Bを記録した1個の演出用データ、エンディングの背景画像Bを記録した1個の演出用データ、通常用の変動図柄D1,D2,D3をそれぞれ記録した3個の演出用データ、変則用の変動図柄D1,D2,D3をそれぞれ記録した3個の演出用データ、第1ないし第3の表示画像C1を記録した1個の演出用データ、第2の表示画像C2を記録した1個の演出用データ、及び、第3の表示画像C3を記録した1個の演出用データの合計8個の演出用データが用いられている。
【0030】
そして、オープニング及びエンディングの背景画像Bを除き、各演出用データは、複数のシーンを連続して構成されており、各シーンの開始位置は、所定のフレームに位置するように設定されている。例えば、通常用の変動図柄D1,D2,D3を記録したドラム図柄ファイルである演出用データは、図5及び図6に示すように、それぞれ図柄が所定の位置で変動する例えば13個のシーンを連続して記録した1個の演出用データとして構成されている。そして、各変動図柄D1,D2,D3すなわち各ドラムに対応する3個のアドレスポインタI,II,IIIを内部に用意し、これらアドレスポインタI,II,IIIを加算あるいは減算しながらフレームナンバに割り当て、このフレームナンバの位置の演出用データを時分割で同時的に読み出し、読み出した各画像データをVRAM上の所定の位置に配置するようにRAM上で合成して表示することにより、1個の演出用データFで1個のドラムが回転するような表示を実現している。より具体的には、入賞を契機として、各変動図柄D1,D2,D3について、一定時間定速で演出用データを再生した後、減速して再生し、さらに一時停止して停止した位置(アドレスポインタI,II,III)を記録し、次の入賞により、停止した位置から再び演出用データを定速で再生するとの動作を繰り返す。なお、各変動図柄D1,D2,D3とアドレスポインタI,II,IIIとの対応を規定する列テーブルを設けることにより、各変動図柄D1,D2,D3とアドレスポインタI,II,IIIとの対応を自由に設定できる。
【0031】
すなわち、表示制御装置10は、主制御装置2からコマンドCを受け取った際に、所定の演出用データを所定のフレームから読み出し、表示する制御を行えばよいことになる。また、オープニングの背景画像Bのように、再生するフレームや位置の指定の必要がないものについては、単に所定の演出用データFの再生を指示すれば良いことになる。また、スクリプトが設定されている場合は、主制御装置2からコマンドCを受け取った際に、スクリプトに従い、所定の複数の演出用データを適宜の順序で、所定のフレームから読み出し、さらに必要であればエフェクト処理を行うなどの制御が行われる。
【0032】
例えば、スクリプトを含まない演出用データの場合は、主制御装置2から、入賞を契機としてドラムを回転させるコマンドCすなわちイベントが指示された際は、表示制御装置10の演出図柄表示LSI21は、基本的には、所定の演出用データを所定のフレームから読み出し表示する制御を行うことになり、例えば、主制御装置2演出図柄表示LSI21に渡されるコマンドの内容は、所定の演出用データ、モード、変動図柄D1のアドレスポインタIの開始フレームナンバ、変動図柄D1の表示座標、変動図柄D2のアドレスポインタIIの開始フレームナンバ、変動図柄D2の表示座標、変動図柄D3のアドレスポインタIIIの開始フレームナンバ、変動図柄D3の表示座標、等を指示するコマンド列で実現することも可能となる。
【0033】
このように、主制御装置2はイベントを指定するのみで良いため、図3に示すように、主制御装置2のROM18に記録される制御プログラムは、コマンドCの当たり、外れ(リーチ有り)、外れ(リーチ無し)など数十種類の条件に応じた条件分岐により、イベントを指示するものとなる。
【0034】
また、上記の制御プログラムが作成されていれば、演出すなわちコンテンツの作成のプロセスは、図7に示すように、企画から絵コンテを作成し、さらに詳細なデザインを作成した後は、制御プログラムとともにROM18に書き込まれるプログラムを作成するのではなく、市販のオーサリングソフト、例えば、動画編集ソフトあるいはホームページ作成ソフトなどを利用して、ハードディスクドライブ22に圧縮して記録される演出用データを作成する工程になる。
【0035】
このようにして、主制御装置のCPU17は、ROM18に記録された制御プログラムにより条件分岐を行い、イベントを示すコマンドCを演出図柄表示LSI21に送る。すると、演出図柄表示LSI21は、コマンドCのコマンドに従い、必要な演出用データの読み出しのため、内部データを計算し所定のレジスタに値をセットする。すると、このIDEインターフェイス部52は、ハードディスクコントローラ32から所定の演出用データを読み出し、FIFOメモリとして機能するRAM23を介して、エンジン部33で画像データと音声データとを復号し、RAM23のエリアに展開し、加工しながら演出図柄を生成し、生成した画像データ及び音声データを必要に応じてビデオエンコーダ部61及びD/Aコンバータ部64でアナログ化し、最終的な画像データV及び音声データAに変換し、各データを画像回路11及び音声回路14に出力する。そして、画像回路11で、表示用の各種信号を生成し、この信号により、表示装置12に動画を表示するとともに、スピーカー15から音声を出力し、演出すなわちコンテンツが実現される。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、従来プログラムにより実現されている遊技機の演出図柄すなわちコンテンツを、基本的にハードディスクドライブ22に予め記録した演出用データFのハードディスクドライブ22に予め記録したスクリプトデータの実行で実現するため、画像と音声とのリアルタイム出力を可能としつつ、プログラムを削減し、開発工数、開発時間を短縮できるとともに、製造コストを低減できる。
【0037】
すなわち、主制御装置2は、図柄を表示するLSIを直接制御して図柄を直接に生成するのではなく、主制御装置2のROM18に記録した制御プログラムは、単なる条件分岐を行いイベントを指定する単純な構成となるため、簡略化が可能で、制御プログラムの開発を容易にでき、いわゆるバグの発生を抑制した安定した動作を容易に実現できるとともに、ROM18の容量を抑制し、製造コストを低減できる。
【0038】
また、この主制御装置2のROM18に記録される制御プログラムは、コンテンツの具体的な内容と切り離して作成することが可能であり、異なるコンテンツを開発する際にも基本的には変更、修正の必要がなく、一部を利用あるいは全体を流用することも可能になり、汎用性を向上して、開発コストを低減することができる。そして、ROM18についても、書換できないが安価なマスクROMを利用することも可能であり、製造コストを低減できる。また、演出用データなどを書き換えるのみで、表示制御装置10を再利用することが可能になり、廃棄物の発生を抑制し、環境に対する負荷を軽減できる。
【0039】
また、プログラムの開発を、プログラムの開発よりも容易な画像及び音声すなわちいわゆるコンテンツの製作作業に置き換えることができ、自然画などの動画、音楽、音声を高いクオリティーで再現するとともに、映像関係あるいはウェブデザイナーなどの人材、ツールや設備を活用して、複雑なストーリーや多彩なリーチアクションなどを備えるインパクトのあるコンテンツを、容易に作成でき、遊技機を差別化できる。すなわち、ハードディスクドライブ22に記録される演出用データFのデータ自体及びスプリクトデータは、例えばC言語によるプログラムではなく、市販される一般的なオーサリングソフトで作成したものをそのまま利用できるため、多彩な画像と音声で表現する複雑なコンテンツの作成が容易になり、コンテンツの開発費を容易に軽減できる。
【0040】
また、表示制御装置10の演出図柄表示LSI21については、線画のリアルタイム処理、すなわち二次元及び三次元の高精細な画像処理を行う必要がなく、必要以上の高速化が不要であるとともに、別途の音声処理用のLSIや音源ボードも不要であり、さらに、大容量のROMやRAMを用いる必要がなく、遊技機の製造コストを低減できる。
【0041】
また、高いクオリティーのコンテンツを容易に実現できるため、従来より大型の、例えば15型から20型のカラー液晶表示器などを用いる表示装置を備えた遊技機にも容易に対応できる。
【0042】
さらに、画像データ及び音声データは、ハードディスクドライブ22に記録するため、単に容量の大きいハードディスクドライブ22を用いることにより、インパクトのあるストーリーの実現のためのコンテンツの大容量化にも容易に対応できる。
【0043】
なお、上記の実施の形態では、変動図柄D1,D2,D3の表示について、それぞれ単一の演出用データFを用いたが、この構成に限られず、複数の演出用データを用いることもできる。
【0044】
また、演出図柄表示LSI21は、動画及び静止画を含む画像と音声とについて、各種の圧縮形式(CODEC)に対応可能とし、さらに、フレームレートを調整可能(バリアブル)とすることにより、汎用性を向上できる。
【0045】
また、ハードディスクドライブ22の論理、物理ファイルシステムは、パーソナルコンピュータに用いられる一般的な方式を搭載することにより、パーソナルコンピュータからコンテンツを予めハードディスクドライブ22に記録しておくことができ、また、パーソナルコンピュータでハードディスクドライブ22の内容を更新することも可能になる。
【0046】
また、遊技機に複数の表示装置、例えば、第1の液晶表示装置(メインLCD)に加え第2の液晶表示装置(サブLCD)を備える構成にも適用できる。この場合には、画像データVについて2系統の互いに独立した出力を設けるとともに、コマンドによりいずれの表示装置に表示するかを指定することができる。
【0047】
また、音声データAについても、2系統に限られず、1系統、3系統、あるいは4系統以上などとすることもできる。さらに、音声について、別個に備える音源からの信号を合成する合成出力機能などを備えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば、パチンコ機などの遊技機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の遊技機の表示制御装置を備えた遊技機の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】同上表示制御装置の構成図である。
【図3】同上表示制御装置の制御プログラムを示す説明図である。
【図4】同上表示制御装置による表示を示す説明図である。
【図5】同上表示制御装置のハードディスクドライブに記録された動画ファイルを示す説明図である。
【図6】同上表示制御装置の表示方法を示す説明図である。
【図7】同上表示制御装置のコンテンツの作成方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 遊技機
2 主制御装置
10 表示制御装置
12 表示装置
17 主制御手段としてのCPU
18 固定記憶手段としてのROM
21 制御手段を構成する演出図柄表示LSI
22 ハードディスクドライブ
41 デコーダ部を構成するビデオ復号部
52 読出制御部としてのIDEインターフェイス部
C 制御信号としてのコマンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の主制御装置からの制御信号を制御手段が受信すると、
この制御手段は、予め記憶手段に記録された演出用データから前記制御信号に対応した演出用データを選択して読み出し、
読み出した演出用データから、音声画像データ、ベクターイメージデータ、及び、これら音声画像データ及びベクターイメージデータの時系列動作を規定するスクリプトデータを取得し、
前記スクリプトデータを実行し、前記音声画像データ及び前記ベクターイメージデータを時系列に従い動作させて音声及び画像を出力する
ことを特徴とする遊技機の演出制御方法。
【請求項2】
記憶手段は、ハードディスクドライブであり、演出用データは、このハードディスクドライブに圧縮して記録され、
制御手段は、読み出した演出用データを展開してスクリプトデータ、音声画像データ、及びベクターイメージデータを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機の演出制御方法。
【請求項3】
音声画像データ及びこの音声画像データの時系列動作を規定する複数のスクリプトデータを有する演出用データが予め記録されたハードディスクドライブと、
外部の主制御装置からの制御信号に従い、前記ハードディスクドライブに記録された前記演出用データから所定の音声画像データ及びスクリプトデータを読み出し、読み出した前記スクリプトデータを実行し、前記音声画像データを時系列に従い動作させて動画を表示装置に出力するとともにスピーカに音を出力する制御手段と
を具備したことを特徴とする遊技機の表示制御装置。
【請求項4】
主制御装置は、入賞を条件とする条件分岐のプログラムを記録した固定記憶手段と、この固定記憶手段に記録されたプログラムを実行して条件に応じた制御信号を生成する主制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項3記載の遊技機の表示制御装置。
【請求項5】
演出用データは、圧縮された形式でハードディスクドライブに記録され、
制御手段は、ハードディスクドライブの読み出し制御を行う読出制御部と、読み出した演出用データを展開するデコーダ部とが1チップに構成された
ことを特徴とする請求項3または4記載の遊技機の表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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