説明

遊技機の球貯留装置

【課題】遊技領域の上方側に配置した上部球皿内のパチンコ球の貯溜状態を遊技者が椅子から立ち上がることなく容易に確認できるようにする。
【解決手段】遊技盤13の前面に、パチンコ球が転動する遊技領域15が区画形成され、遊技領域15の上方側には、パチンコ球を貯溜する上部球皿17が設けられ、この上部球皿17の下流部に、球送出装置18が設けられている。上部球皿17は、少なくとも底面17a部分が半透明又は透明の透明性部材で形成され、上部球皿17内のパチンコ球の貯溜状態を遊技者が椅子に座った状態で上部球皿17の下方側から見て確認できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域の上方側と下方側に、パチンコ球を貯溜する上部球皿と下部球皿を設けた遊技機の球貯留装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般的な遊技機(例えばパチンコ機)は、遊技機の下部に球発射装置を配置して、パチンコ球を遊技領域(遊技盤)に向かって打ち上げるようにしているが、近年、遊技機の上部に球発射装置を配置することで、遊技領域を下方へ拡大できるようにしたり、パチンコ球の打ち上げ距離を短くして球発射装置を小型化・低消費電力化できるようにする上部発射式の遊技機が提案されている。
【0003】
この上部発射式の遊技機に関する技術として、特許文献1(特公平1−23149号公報)に示すように、遊技機の前面上部に、パチンコ球を貯溜する上部球皿を配置し、この上部球皿からパチンコ球を球発射装置に供給する構成が提案されている。更に、この公報では、遊技機の前面下部に配置した下部球皿内のパチンコ球(例えば、賞球又は貸球として下部球皿に払い出したパチンコ球や、上部球皿からオーバーフローして下部球皿に流れ込んだパチンコ球)を上部球皿へ持ち上げて移送するリフト機構を設けた構成が提案されている。これにより、遊技者が下部球皿内のパチンコ球を手で持ち上げて上部球皿へ移し替える手間を省くことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1−23149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技機の上部側に上部球皿を配置すると、上部球皿の位置が高くなるため、遊技者が上部球皿内のパチンコ球の貯溜状態を見て確認する際に、遊技者が椅子から立ち上がって上部球皿内を覗き込む必要が生じる。また、遊技者によっては、椅子から立ち上がっても上部球皿内を覗き込むことができず、上部球皿内のパチンコ球の貯溜状態を確認できない可能性もある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、遊技領域の上方側に配置した上部球皿内のパチンコ球の貯溜状態を遊技者が椅子から立ち上がることなく容易に確認できる遊技機の球貯留装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、球発射装置から発射されたパチンコ球が転動する遊技領域の上方側と下方側に、パチンコ球を貯溜する上部球皿と下部球皿を設けた遊技機の球貯留装置において、前記下部球皿のパチンコ球を機外へ排出する球排出手段と、前記球排出手段により排出されたパチンコ球の数を計数する排出球計数手段と、前記球排出手段により排出されたパチンコ球と同じ数のパチンコ球を前記上部球皿に補給する球補給手段とを備え、前記上部球皿は少なくとも底面部分が透明性部材で形成され、該上部球皿内のパチンコ球の貯留状態を該上部球皿よりも下方の位置から見て確認できるように構成されている。
【0008】
この構成では、このようにすれば、遊技領域の上方側に上部球皿を配置しても、遊技者が上部球皿内のパチンコ球の貯溜状態を見て確認する際に、上部球皿内のパチンコ球の貯溜状態を上部球皿よりも下方の位置から容易に確認することができ、遊技者が椅子から立ち上がる必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の実施形態(1)におけるパチンコ機の正面図である。
【図2】図2は実施形態(1)のパチンコ機の裏面図である。
【図3】図3は実施形態(1)の上部球皿及びその周辺部の横断面図である。
【図4】図4は実施形態(1)の上部球皿及びその周辺部の縦断面図である。
【図5】図5は実施形態(1)の下部球皿及びその周辺部の縦断面図である。
【図6】図6は実施形態(2)の上部球皿及びその周辺部の横断面図である。
【図7】図7は本発明に関連する参考例の上部球皿及びその周辺部の縦断面図である。
【図8】図8はその他の参考例のパチンコ機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《実施形態(1)》
以下、本発明をパチンコ機に適用した実施形態(1)を図1乃至図5に基づいて説明する。尚、図1はパチンコ機11の正面図、図2はパチンコ機11の裏面図、図3は上部球皿17及びその周辺部の横断面図、図4は上部球皿17及びその周辺部の縦断面図、図5は下部球皿19及びその周辺部の縦断面図である。
【0011】
まず、図1に基づいてパチンコ機11(遊技機)の前面側の概略構成を説明する。パチンコ機11の本体枠12の前面側には、遊技盤13が取り付けられている。この遊技盤13の前面に取り付けられたレール14等によって、遊技盤13の前面に、パチンコ球が転動する遊技領域15が区画形成され、この遊技領域15に、センター役物、入賞口、入賞装置等(図示せず)が設けられている。また、本体枠12には、遊技領域15へパチンコ球を発射する球発射装置16が、遊技領域15の左側上部又は左側中間部に相当する位置に取り付けられている。尚、この球発射装置16を遊技盤13の前面に取り付けるようにしても良い。
【0012】
一方、遊技領域15の上方側には、パチンコ球を貯溜する上部球皿17が設けられ、この上部球皿17の下流部に、球送出装置18が接続されている。この球送出装置18は、球発射装置16がパチンコ球を発射する毎に上部球皿17からのパチンコ球を1個ずつ球発射装置16に供給するようになっている。
【0013】
また、遊技領域15の下方側には、パチンコ球を貯溜する下部球皿19や球発射装置16の発射操作ハンドル20が設けられている。台間球貸機(図示せず)の貸球排出ノズル44から流れ出るパチンコ球(貸球)は、下部球皿19に流入する。この下部球皿19内のパチンコ球は、球排出装置21(球排出手段)により機外(パチンコ島側のパチンコ球回収通路)へ排出される。
【0014】
次に、図2に基づいてパチンコ機11の裏面側の概略構成を説明する。パチンコ機11の本体枠12の裏面側には、裏部品を組み付ける機構板22(図3、図4参照)が取り付けられている。この機構板22の裏面上部には、パチンコ島の球補給通路(図示せず)からパチンコ球が補給される球タンク23が設けられ、この球タンク23の下流部に、球タンク23から供給されるパチンコ球を払い出す球払出装置24が接続されている。球払出装置24と上部球皿17との間には、球払出通路25が接続され、球払出装置24から払い出されたパチンコ球(賞球又は後述する補給球)が、球払出通路25を流下して上部球皿17に流入するようになっている。
【0015】
また、球払出通路25と下部球皿19との間には、オーバーフロー通路26が接続され、上部球皿17内のパチンコ球の貯溜量が満杯になったときに、球払出装置24から払い出されたパチンコ球が、オーバーフロー通路26を流下して下部球皿19に流入するようになっている。更に、上部球皿17の下流部と下部球皿19との間には、球抜き通路27が接続され、球抜き部材(図示せず)が球抜き位置に操作されたときに、上部球皿17内のパチンコ球が球抜き通路27を流下して下部球皿19に流入するようになっている。
【0016】
次に、図3及び図4を用いて上部球皿17及びその周辺部の構成について説明する。図3に示すように、球タンク23の底面23aは、下流部の流路幅が下流に向かうにつれて狭められ、その最下流部に、パチンコ球を1列に整列させながら流下させる整流流路28が設けられている。この整流流路28の出口に、球払出装置24の球供給口29が接続されている。球払出装置24は、球供給口29の側方に、スプロケット30が水平方向に回転するように配置されている。スプロケット30の外周には、パチンコ球を受け入れる複数(例えば3個)の凹部31が等間隔で形成され、各凹部31間に、球供給口29のパチンコ球を受け支える凸部32が形成されている。スプロケット30の下方(又は上方)には、スプロケット30を駆動するステッピングモータ(図示せず)が配置され、このステッピングモータの回転軸33にスプロケット30が連結されている。
【0017】
スプロケット30の右側方には、球供給口29からパチンコ機11の前方に延びる賞球払出流路34が設けられている。また、スプロケット30の後方には、球供給口29からスプロケット30の回転方向に沿って延びる湾曲通路35が設けられ、スプロケット30の左側方には、湾曲通路35から前方に延びる補給球払出流路36が設けられている。
【0018】
球払出装置24の停止時には、スプロケット30が所定の停止位置で停止している。このとき、スプロケット30は、凸部32が球供給口29に対向してパチンコ球を受け支えている。又は、凹部31が球供給口29に対向して凹部31に受け入れたパチンコ球を受け支えている。
【0019】
そして、球タンク23から供給されるパチンコ球を賞球として払い出す場合は、ステッピングモータを正回転させて、スプロケット30を正回転方向(図3では時計回り方向)に回転させる。これにより、凹部31が球供給口29に対向する毎にパチンコ球を凹部31に受け入れ、そのパチンコ球(賞球)をスプロケット30の右側の賞球払出流路34に流下させる。
【0020】
また、下部球皿19内のパチンコ球が球排出装置21により機外へ排出されたときに、排出されたパチンコ球と同じ数のパチンコ球を上部球皿17に補給する補給手段として球払出装置24を使用する場合、つまり、球タンク23から供給されるパチンコ球を補給球として払い出す場合は、ステッピングモータを逆回転させて、スプロケット30を逆回転方向(図3では反時計回り方向)に回転させる。これにより、凹部31が球供給口29に対向する毎にパチンコ球を凹部31に受け入れ、そのパチンコ球(補給球)をスプロケット30の左側の補給球払出流路36に流下させる。
【0021】
賞球払出流路34には、スプロケット30から払い出される賞球を検出する賞球検出センサ37が設けられ、補給球払出流路36には、スプロケット30から払い出される補給球を検出する補給球検出センサ38が設けられている。また、球払出装置24の賞球払出流路34と補給球払出流路36の前方には、共通の球払出通路25が設けられている。この球払出通路25は、賞球払出流路34の前方から補給球払出流路36の前方まで広がるように幅広に形成されている。
【0022】
図4に示すように、球払出通路25は、上部球皿17に向かって下り傾斜するように形成され、その最上流部の上方に、オーバーフロー通路26の入口孔26aが形成されている。これにより、上部球皿17内のパチンコ球の貯溜量が少ないときには、実線矢印Aで示すように、球払出装置24から払い出されたパチンコ球(補給球や賞球)は、オーバーフロー通路26の入口孔26aを飛び越えて上部球皿17へ流下するが、上部球皿17内のパチンコ球の貯溜量が満杯になって球払出通路25の最上流部までパチンコ球が貯溜されると、破線矢印Bで示すように、球払出装置24から払い出されたパチンコ球は、オーバーフロー通路26の入口孔26aから落下するようになっている。
【0023】
また、上部球皿17は、少なくとも底面17a部分が半透明又は透明の透明性部材で形成され、上部球皿17内のパチンコ球の貯溜状態を遊技者が椅子に座った状態で上部球皿17の下方側から見て確認できるようになっている。更に、上部球皿17の前面には、装飾用のイルミネーション装置39(イルミネーション手段)が設けられている。このイルミネーション装置39は、その表面側に、半透明又は透明の装飾カバー40が配置され、この装飾カバー40の裏側に、ランプ、LED等の発光体41が配線基板42等に組み付けられて配置されている。
【0024】
次に、図5を用いて下部球皿19及びその周辺部の構成について説明する。図5に示すように、下部球皿19の右側部には、パチンコ球を貯溜する球貯溜部43が形成され、下部球皿19の左側部には、台間球貸機の貸球排出ノズル44から流れ出るパチンコ球(貸球)を受ける球受け部45が形成されている。この球受け部45は、右方に向かって緩やかに下り傾斜する貸球流下路46を介して球貯溜部43につながっている。球貯溜部43は、底面が左方に向かって緩やかに下り傾斜するように形成されていると共に、左側部分の流路幅が下流に向かうにつれて狭められている。この球貯溜部43の最下流部に、パチンコ球を1列に整列させながら流下させる案内流路47が接続されている。
【0025】
案内流路47の最下流部には、下部球皿19内のパチンコ球を機外(パチンコ島側)へ排出するための球排出通路48が接続され、この球排出通路48の入口部に、球排出装置21が設けられている。この球排出装置21には、案内流路47内のパチンコ球を球排出通路48に送り出すための球送出カム49が設けられている。
【0026】
球排出装置21の停止時には、球送出カム49が球排出通路48内に突出して球排出通路48の入口部を閉鎖する閉鎖位置に保持されるようになっている。一方、下部球皿19内のパチンコ球を機外(パチンコ島側)へ排出する場合には、球送出カム49を送出動作させて、案内流路47内のパチンコ球を球排出通路48に送り出して機外へ排出するようになっている。
【0027】
一方、案内流路47の下流部(球送出カム49の上流側)には、球送出カム49によって塞き止められたパチンコ球を検出する球検出センサ50が配置され、球排出通路48の入口部(球送出カム49の下流側)には、球排出通路48を流下して機外へ排出されるパチンコ球を検出する排出球検出センサ51が配置されている。
【0028】
また、案内流路47の下流部(球送出カム49の上流側)の下面には、下部球皿19内のパチンコ球を下方に抜き取るための球抜き通路52が接続され、この球抜き通路52の入口部に、該入口部を開閉する球抜き部材53が水平方向にスライド移動可能に設けられている。
【0029】
球抜き部材53は、通常時には、ばね等の付勢手段によって閉方向に移動して球抜き通路53の入口部を閉鎖する閉鎖位置に保持されるようになっている。一方、下部球皿19内のパチンコ球を下方に抜き取る場合には、下部球皿19の前面に設けられた球抜き操作レバー(図示せず)を開方向に操作して、球抜き部材53を開方向へ移動させて球抜き通路52の入口部を開放することで、案内流路47内のパチンコ球を球抜き通路52に落下させて下方に抜き取るようになっている。
【0030】
以上のように構成したパチンコ機11の球発射装置16、球排出装置21、球払出装置24の動作は、パチンコ機11の制御回路(図示せず)によって次のように制御される。 パチンコ機11の制御回路は、台間球貸機の貸球排出ノズル44から排出された貸球が、下部球皿19内を流下して案内流路47の球検出センサ50で検出されたときに、球排出装置21の球送出カム49を送出動作させて下部球皿19内のパチンコ球を球排出通路48に送り出して機外(パチンコ島側)へ排出すると共に、排出されたパチンコ球の数を球排出通路48の排出球検出センサ51の出力パルス数でカウントする。この機能が特許請求の範囲でいう排出球計数手段に相当する。この場合、球排出装置21の球送出カム49によるパチンコ球の排出動作のスピードは、球発射装置16の発射動作のスピードと同等か又はそれよりも高速(例えば100球/分以上の速さ)に設定されている。
【0031】
そして、パチンコ機11の制御回路は、下部球皿19から排出されたパチンコ球の数に応じて球払出装置24のスプロケット30を逆回転させてパチンコ球を補給球として払い出し、下部球皿19から排出されたパチンコ球と同じ数の補給球を上部球皿17に補給する。これにより、見掛け上、下部球皿19内のパチンコ球を上部球皿17へ移し替えることができる。この場合、球払出装置24の払出動作のスピードは、球発射装置16の発射動作のスピードと同等か又はそれよりも高速(例えば100球/分以上の速さ)に設定されている。上部球皿17内のパチンコ球は、球発射装置16の発射動作に同期して球送出装置18によって1球ずつ球発射装置16に供給される。
【0032】
また、パチンコ機11の制御回路は、発射操作ハンドル20が発射操作されているときに、その操作量に応じた発射力で球発射装置16を発射動作させて、パチンコ球を遊技領域15に打ち出す。
【0033】
また、パチンコ機11の制御回路は、遊技領域15を転動するパチンコ球が入賞して賞球払出指令が出されたときに、球払出装置24をスプロケット30を正回転させて、所定数のパチンコ球を賞球として上部球皿17に払い出す。
【0034】
大当り等で上部球皿17内のパチンコ球の貯溜量が満杯になって球払出通路25の最上流部までパチンコ球が貯溜されると、球払出装置24から払い出されたパチンコ球は、オーバーフロー通路26を流下して下部球皿19に流入する。
【0035】
この場合、上部球皿17から下部球皿19にオーバーフローしたパチンコ球が下部球皿19内を流下して案内流路47の球検出センサ50で検出されると、球排出装置21により下部球皿19内のパチンコ球が機外へ排出され、排出されたパチンコ球と同じ数のパチンコ球が、球払出装置24により上部球皿17へ補給される。
【0036】
その際、遊技者が、球抜き操作レバーを開方向に操作して、下部球皿19内のパチンコ球を球抜き通路52に落下させて下方に抜き取ると、案内流路47の球検出センサ50でパチンコ球が検出されなくなるため、球排出装置21の排出動作及び球払出装置24の補給球払出動作が停止される。
【0037】
尚、遊技終了時は、上部球皿17内のパチンコ球を球抜き通路27を流下させて下部球皿19に流入させ、更に、下部球皿19内のパチンコ球を球抜き通路52に落下させて下方に抜き取ることで、上部球皿17内のパチンコ球及び下部球皿19内のパチンコ球を抜き取ることができる。
【0038】
以上説明した本実施形態(1)では、上部球皿17内のパチンコ球を球発射装置16に供給するものにおいて、下部球皿19内のパチンコ球を球排出装置21により機外へ排出し、排出されたパチンコ球と同じ数の補給球(パチンコ球)を球払出装置24により上部球皿17に補給するようにしたので、見掛け上、下部球皿19内のパチンコ球を上部球皿17へ移し替えることが可能となり、遊技者が下部球皿19内のパチンコ球を手で持ち上げて上部球皿17へ移し替える手間を省くことができる。
【0039】
この場合、パチンコ機11の下部から上部に延びる大型のリフト機構を設ける必要がないので、近年の多機能化・部品点数増加の傾向にあるパチンコ機においても、本実施形態の構成を比較的低コストで容易に実施できると共に、部品点数(搭載機能)を減らさずに済む。しかも、球払出装置24は、一般的なスプロケット式の球払出装置と同じように、高速で補給動作させることができるため、上部球皿17に補給するパチンコ球の補給動作のスピードを、球発射装置16の球発射動作のスピードと同等か又はそれよりも速くすることができ、下部球皿19内にパチンコ球が残っているときに、比較的短時間で上部球皿17内のパチンコ球が無くなってしまうことを防止して、パチンコ球の発射が途切れてしまうことを回避することができる。
【0040】
また、本実施形態(1)では、上部球皿17の少なくとも底面17a部分を透明性部材で形成して、上部球皿17内のパチンコ球の貯溜状態を上部球皿17の下方側から見て確認できるようにしたので、遊技領域15の上方側に上部球皿17を配置しても、遊技者が座ったままの状態で上部球皿17の下面を見るだけで上部球皿17内のパチンコ球の貯溜状態を容易に確認することができる。
【0041】
更に、本実施形態(1)では、上部球皿17の前面に、イルミネーション装置39を設けるようにしたので、パチンコ機11の前面上部に、イルミネーション装置39と上部球皿17を上下2段に並べて配置する場合に比べて、イルミネーション装置39と上部球皿17を配置するスペースを上下方向に縮小することができ、その分、遊技領域15を上方に拡大化することができる。
《実施形態(2)》
前記実施形態(1)では、球払出装置24から上部球皿17へ賞球を払い出すようにしたが、図6に示す本発明の実施形態(2)では、球払出装置24から下部球皿19へ賞球を払い出すようにしている。以下、本実施形態(2)を具体的に説明する。但し、前記実施形態(1)と実質的に同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、球払出装置24の賞球払出流路34の前方に、賞球払出流路34から払い出される賞球を流下させる賞球流下路54が下方に延びるように設けられている。この賞球流下路54は、直接、下部球皿19の上流部に接続するようにしても良いが、オーバーフロー通路26に合流させるようにしても良い。その他の構成は、前記実施形態(1)と同じである。
【0043】
本実施形態(2)では、遊技領域15を転動するパチンコ球が入賞して賞球払出指令が出されたときに、球払出装置24のスプロケット30を正回転させて、所定数の賞球を下部球皿19に払い出す。そして、下部球皿19に払い出された賞球が下部球皿19内を流下して案内流路47の球検出センサ50で検出されると、球排出装置21により下部球皿19内のパチンコ球を機外へ排出し、その排出動作に応じて、球払出装置24のスプロケット30を逆回転させて、下部球皿19から排出されたパチンコ球と同じ数の補給球を上部球皿17に補給する。
【0044】
以上説明した本実施形態(2)のように構成しても、前記実施形態(1)と同様の効果を得ることができる。
尚、上記各実施形態(1)、(2)では、台間球貸機から貸球を払い出すようにしたが、球払出装置24に貸球払出機能を持たせて、球払出装置24から上部球皿17又は下部球皿19に貸球を払い出すようにしても良い。
【0045】
また、賞球や貸球を上部球皿17又は下部球皿19に払い出す球払出装置と、下部球皿19から排出されたパチンコ球と同じ数の補給球を上部球皿17に補給する球補給装置を別々に設けるようにしても良い。
【0046】
また、上記各実施形態(1)、(2)では、案内流路47の球検出センサ50でパチンコ球を検出したときに、自動的に下部球皿19内のパチンコ球を球排出装置21により排出する排出動作と、排出されたパチンコ球と同じ数の補給球を球払出装置24により上部球皿17に補給する補給動作を実行するようにしたが、例えばパチンコ機11の前面に設けた切換スイッチにより排出動作及び補給動作の許可/禁止を切り換えるようにしても良い。この場合は、上部球皿17内のパチンコ球の残りが少なくなってきたときに、遊技者が切換スイッチを操作して、下部球皿19から排出したパチンコ球と同じ数の補給球を上部球皿17に補給するようにすれば良い。
【0047】
また、案内流路47の球検出センサ50を省略して、例えばパチンコ機11の前面に設けた操作スイッチをオンしている期間又は操作スイッチをオンしてから所定期間が経過するまで強制的に排出動作及び補給動作を実行するようにしても良い。この場合も、上部球皿17内のパチンコ球の残りが少なくなってきたときに、遊技者が操作スイッチを操作するようにすれば良い。
【0048】
或は、案内流路47の球検出センサ50を省略して、上部球皿17に貯溜量検出センサを設け、上部球皿17内のパチンコ球の貯溜量が所定量以下になったことを貯溜量検出センサで検出したときに、自動的に排出動作及び補給動作を実行するようにしても良い。
【0049】
また、球払出装置24の構成は、適宜変更しても良く、例えば、スプロケット30を鉛直方向に回転するように配置した構成にしても良い。或は、スクリューを回転させてパチンコ球を払い出す構成にしても良い。
また、上部球皿17の前面には、イルミネーション装置39の他に、スピーカなどの音響装置等を設けるようにしても良い。
【0050】
《参考例》
上記各実施形態(1)、(2)では、上部球皿17の少なくとも底面17a部分を透明性部材で形成して、上部球皿17内のパチンコ球の貯溜状態を上部球皿17の下方側から見て確認できるようにしたが、図7に示す本発明に関連する参考例では、パチンコ機55(遊技機)の前面に対して後方にずらした位置に、上部球皿56を配置し、この上部球皿56の上方に、鏡面部材57を下向きに配置することで、上部球皿56内のパチンコ球の貯溜状態を鏡面部材57に写して上部球皿56の下方側から確認できるようにしている。また、イルミネーション装置39を鏡面部材57の上方に配置し、鏡面部材57を見る遊技者の視線をイルミネーション装置39で遮らないようにしている。
【0051】
本参考例のように構成すれば、遊技者が座ったまま鏡面部材57を見るだけで上部球皿56内のパチンコ球の貯溜状態を鏡面部材57に写して容易に確認することができる。
尚、パチンコ機の前面に、上部球皿内のパチンコ球の貯溜量をデジタル表示又はアナログ表示する球残量表示装置を設けるようにしても良く、この場合でも、遊技者が座ったまま球残量表示装置を見るだけで上部球皿内のパチンコ球の貯溜状態を容易に確認することができる。
【0052】
また、図8に示す他の参考例では、遊技領域58の下方に、上球皿59と下球皿60を備えたパチンコ機61(遊技機)において、下球皿60内のパチンコ球を球排出手段(図示せず)により機外へ排出し、排出されたパチンコ球と同じ数のパチンコ球を上球皿59よりも上方側から球補給手段(図示せず)により上球皿59に補給するようにしている。この場合も、見掛け上、下球皿60内のパチンコ球を上球皿59へ移し替えることができるので、遊技者が下球皿60内のパチンコ球を手で持ち上げて上球皿59へ移し替える手間を省くことができる。
【0053】
尚、球発射装置の位置は、パチンコ機の上部側に限定されず、中間部であっても良い。 その他、本発明はパチンコ機に限定されず、所定数のパチンコ球を発射して組み合わせ式ゲームを行うアレンジ式パチンコ機等、種々の遊技機に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0054】
11…パチンコ機(遊技機)、15…遊技領域、16…球発射装置、17…上部球皿、19…下部球皿、21…球排出装置(球排出手段)、23…球タンク、24…球払出装置(球補給手段)、25…球払出通路、26…オーバーフロー通路、27…球抜き通路、39…イルミネーション装置、48…球排出通路、50…球検出センサ、51…排出球検出センサ、52…球抜き通路、53…球抜き部材、54…賞球流下路、55…パチンコ機(遊技機)、56…上部球皿、57…鏡面部材、58…遊技領域、59…上球皿、60…下球皿、61…パチンコ機(遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球発射装置から発射されたパチンコ球が転動する遊技領域の上方側と下方側に、パチンコ球を貯溜する上部球皿と下部球皿を設けた遊技機の球貯留装置において、
前記下部球皿のパチンコ球を機外へ排出する球排出手段と、
前記球排出手段により排出されたパチンコ球の数を計数する排出球計数手段と、
前記球排出手段により排出されたパチンコ球と同じ数のパチンコ球を前記上部球皿に補給する球補給手段とを備え、
前記上部球皿は少なくとも底面部分が透明性部材で形成され、該上部球皿内のパチンコ球の貯留状態を該上部球皿よりも下方の位置から見て確認できるように構成されていることを特徴とする遊技機の球貯留装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−219913(P2009−219913A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160291(P2009−160291)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【分割の表示】特願2002−229348(P2002−229348)の分割
【原出願日】平成14年8月7日(2002.8.7)
【出願人】(500077959)株式会社MRD (150)
【Fターム(参考)】