説明

遊技機データ管理装置

【課題】複数の遊技領域を備えたパチンコ遊技機のデータを管理する装置において、各遊技領域別に稼動データを管理でき、遊技店管理者が遊技機の特性を容易に把握することが可能な遊技機データ管理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】パチンコ遊技機1は、前面のガラス扉2に面する前面遊技領域3aと、この前面遊技領域3aの後方に設けられた後面遊技領域53aと、前面遊技領域3aに対応して設けられた前面レール17と、後面遊技領域53aに対応して設けられた後面レール67とを備える。遊技機1はそれら遊技領域のいずれか一に玉が打ち込まれるように制御される。発射装置44から発射された玉が、前面及び後面遊技領域のうちのいずれに打ち込まれたのかを示す発射信号に基づいて、ホールコンピュータ110は遊技領域別に稼動データをHDD104に記憶し管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機データ管理装置に関し、特に複数の遊技領域を備えたパチンコ遊技機のデータ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパチンコ遊技機は1面の遊技領域しか備えておらず、当然発射された玉が打ち込まれる遊技領域はひとつしかなかった。ところで先に、発明者は、前面ガラス扉に面し前後に遊技盤が積層状態に配置され複数の遊技領域が形成されるとともに、発射された玉がそれら遊技領域のいずれか一に打ち込まれるように構成されたパチンコ遊技機の提案をした(特願2004−279742、特願2004−279655、特願2004−282352)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような遊技機は今現在存在していないので、遊技店に設置された場合に営業していく上で稼動に伴いどのようなデータが必要とされるかについて検討されたことはなかった。遊技店においては、このような遊技機の特性を把握し分析したいとの要望が発生することが想定される。
【0004】
本発明は上記した背景をもとになされたもので、複数の遊技領域を備えたパチンコ遊技機のデータを管理する装置において、各遊技領域別に稼動データを管理でき、遊技店管理者が遊技機の特性を容易に把握することが可能な遊技機データ管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記課題を解決するために本発明遊技機データ管理装置は、複数の遊技領域を備えるとともに、それぞれの遊技領域に玉の流下方向を変更する障害物或いは玉を受入れる受入口が配置され、いずれの遊技領域にも玉が打ち込まれるように制御する複数のパチンコ遊技機側から出力される各種信号に基づいて、各パチンコ遊技機の稼働データを集計して管理する管理手段を備えた遊技機データ管理装置において、
管理手段は、パチンコ遊技機の稼動データを各遊技領域に対応付けて管理することを特徴とする。
【0006】
上記本発明の遊技機データ管理装置は、複数の遊技領域を備えた遊技機における稼動データを集計して遊技領域別に対応付けて管理する管理手段を備えている。例えば各遊技機において、複数の遊技領域のうちのいずれの遊技領域に玉が打ち込まれたのか、或いはどの位の割合で遊技領域間を移動しているか、或いはいずれの遊技領域を通過して排出されたのかを管理することができる。パチンコ遊技機毎に玉の流れを把握し、その遊技機の傾向を容易に知ることができ、それに応じた機械調整(例えば釘調整など)を行うことができる。
【0007】
その際、パチンコ遊技機は、玉発射用の複数のレールと、玉発射装置から発射された玉が、複数の遊技領域のうちのいずれに打ち込まれたのかを示す発射信号を出力する発射信号出力手段とを備えることができる。そして、管理手段は、発射信号に基づいて遊技領域別に稼動データを記憶する記憶手段を含むようにできる。
【0008】
また、パチンコ遊技機は、玉発射装置から発射された玉が、複数の遊技領域のうちのいずれか一に打ち込まれるように振分ける振分手段と、この振分手段により複数の遊技領域のうちのいずれに振分けられたかを示す振分信号を出力する振分信号出力手段とを備えることができる。そして、管理手段は、振分信号に基づいて遊技領域別に稼動データを記憶する記憶手段を含むようにできる。
【0009】
このように複数の遊技領域のうちいずれの遊技領域に玉が打ち込まれたのか、またその玉数がいくつであるかを記憶し、管理することができる。
【0010】
さらに、その際、パチンコ遊技機は、各遊技領域の間を移動できる一以上の移動口と、この移動口を通過したことを示す移動玉信号を出力する移動玉信号出力手段とを備えることができる。そして、管理手段は、移動玉信号に基づいて、移動口毎の、或いは各遊技領域間の移動玉数を計数する移動玉計数手段を含むようにできる。
【0011】
また、パチンコ遊技機は、各遊技領域の間を移動できる一以上の移動口と、各遊技領域毎に玉が排出されたことを示すアウト信号を出力するアウト信号出力手段とを備えることができる。そして、記憶手段は、各遊技領域に打ち込まれた打込玉数を遊技領域別に記憶するとともに、各遊技領域を通過し排出されたアウト玉数を遊技領域別に記憶するようにできる。管理手段は、記憶された打込玉数とアウト玉数とに基づいて、各遊技領域間の移動玉数を計数する移動玉計数手段を含むようにできる。
【0012】
このように各遊技領域の間を玉が移動したのかどうか、またその玉数がいくつであるかを記憶し、管理することができる。
【0013】
また、その際、記憶手段は、各遊技領域に打ち込まれた打込玉数を遊技領域別に記憶するようにできる。そして、管理手段は、記憶された打込玉数と移動玉計数手段によって計数された移動玉数とに基づいて、遊技領域に打ち込まれた玉数と該遊技領域に打ち込まれた玉のうち移動口を通過して他の遊技領域に移動した玉数との比率を演算する移動率演算手段を含むようにできる。これにより、どの位の割合で遊技領域間を移動しているのか、移動率を把握することができる。
【0014】
さらに、パチンコ遊技機は、玉の払出に応じてセーフ信号を出力するセーフ信号出力手段と、当該パチンコ遊技機に設けられた始動口へ入賞、或いは当該パチンコ遊技機に設けられた図柄表示部における図柄の変動動作に応じて始動信号を出力する始動信号出力手段とを備えることができる。そして、遊技領域別に管理される稼働データは、打込まれた玉数を表す打込玉数と、排出された玉数を表すアウト玉数と、払出された玉数を表すセーフ玉数と、所定条件の成立に伴って発生する遊技者にとって有利な特別遊技状態でない通常状態での平均払出玉数を表すベースと、所定期間における始動口への入賞の平均値を表す平均始動入賞数と、所定期間の図柄変動回数の平均値を表す平均始動回数とのうちの少なくともいずれかを含むようにできる。これにより、これら稼動データを分析し、遊技機の特性を把握し、その結果に基づいて遊技機の機械調整を行って出玉率などの適切な維持が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施例)
以下、本発明の実施の形態につき、図面に示す実施例を参照して説明する。図1は、遊技機データ管理システム100の全体概略図である。遊技機データ管理システム100は、ホールコンピュータ110(遊技機データ管理装置)と、複数のパチンコ遊技機1(遊技機)と、それらを相互に接続する通信網120とを備えている。パチンコ遊技機1とホールコンピュータ110との通信経路上には、中継装置130が配置されている。遊技機データ管理システム100は、中継装置130を含む。中継装置130は、複数(本実施例では2台)のパチンコ遊技機1に対して1台だけ設け、各パチンコ遊技機1からのデータを一時的または継続的に蓄積するように構成されている。
【0016】
次に、図2に示すのは、図1の遊技機データ管理システム100のブロック図である。ホールコンピュータ110は、CPU101、ROM102、RAM103、入出力インターフェイス105(I/O)、HDD104(ハードディスクドライブ)を含み、これらはバスを介して相互通信を行う。入出力インターフェイス105を介してプリンタ106、モニタ107、マウス/キーボード108などが接続される。HDD104には、プログラム格納領域、遊技データ管理領域が割り振られている。遊技データ管理領域には、パチンコ遊技機1から送られてくる稼働データが集計されて、図16及び図17に示すような帳票を得るためのデータベースが作成される。帳票は、モニタ107及びプリンタ106に出力可能である。このように、ホールコンピュータ110のCPU101は、プリンタ106及びモニタ107とともに、パチンコ遊技機1の稼働データを出力する情報出力手段を構成するものである。
【0017】
中継装置130は、CPU131、ROM132、RAM133及び入出力インターフェイス134を含む制御部135を備えている。
【0018】
ホールコンピュータ110、中継装置130及びパチンコ遊技機1は、通信網120,121により相互通信可能に接続されている。また、パチンコ遊技機1に対応して設けられるカードユニット(玉貸機)140からの信号が通信網122を介して中継装置130に入力されるようになっている。パチンコ遊技機1で発生する稼働データは、中継装置130を介してホールコンピュータ110に送られる。ホールコンピュータ110は、遊技店内に設置されたすべての中継装置130から順番に、かつ所定の期間おきに稼動データを受け取る。そして、ホールコンピュータ110は、パチンコ遊技機1から出力される稼働データを、パチンコ遊技機1の1台1台について集計できる。
【0019】
図3は本発明のパチンコ遊技機1の正面模式図である。パチンコ遊技機1は、台枠に取付けられた透明ガラス扉2と、台枠の内側に配置されてガラス扉2によって覆われ、円状に前面遊技領域3aを形成する透明板状の前面遊技盤3と、この前面遊技盤3の後方に同じく円状に後面遊技領域53aを形成する後面遊技盤53とを有する。
【0020】
前面遊技盤3と後面遊技盤53とは積層状態をなし、前面遊技盤3が透明板で形成され、後面遊技領域53aは遊技者から透視可能となっている。これら遊技盤3,53の下方には、玉供給皿4が設けられている。玉供給皿4に準備された玉は、ハンドル5を含んで構成される玉発射機構によって遊技盤3,53のいずれか一に打ち込まれるように発射される。前面遊技盤3又は後面遊技盤53に達した玉は、その遊技盤3又は遊技盤53の面上(前面遊技領域3a又は後面遊技領域53a)を落下する。
【0021】
図6は前面遊技盤3及び後面遊技盤53の正面図、図7は前面遊技盤3及び後面遊技盤53の斜視図を示す。前面遊技盤3の面上には中央に前面始動入賞口7(始動入賞口1ともいう)が配置されている。後面遊技盤53の面上には、その中央付近に液晶表示部56が配設されている。液晶表示部56には、3つのキャラクタ(数字)で構成された図柄が変動表示される特別図柄表示部65が設けられている。液晶表示部56の下方には、左右に後面始動入賞口57,58(始動入賞口2,3ともいう)が配置されている。
【0022】
前面始動入賞口7、後面始動入賞口57,58への入賞に基づいて、大当たりの抽選が行われる。前面始動入賞口7の下方には、抽選結果が通常の大当たり図柄であったときに開放する前面大入賞口9(大入賞口1ともいう)と、玉を回収するための前面アウト口10とが設けられている。後面始動入賞口57,58の下方には、抽選結果が特定の大当たり図柄であったときに開放する後面大入賞口59(大入賞口2ともいう)と、玉を回収するための後面アウト口60とが設けられている。
【0023】
図3において、後面遊技盤53の面上に配置された後面始動入賞口57,58、後面大入賞口59及び前面移動口61,62,63などの玉の受入口や液晶表示部56などは破線で示している。また、前面遊技盤3及び後面遊技盤53のそれぞれ面上には玉の流下方向を変更する障害物として、障害釘19が複数設けられている。
【0024】
液晶表示部56において、特別図柄表示部65の上方には保留玉表示部66が設けられている。保留玉表示部66では、前面始動入賞口7及び後面始動入賞口57,58の入賞により得られる大当たり抽選結果を保留情報としてRAM24に記憶し、記憶された保留数を表示するものである。本実施例では特別図柄の保留数(保留玉)の上限は4個に設定されている。
【0025】
そして、前面遊技領域3aと後面遊技領域53aとの間を玉が移動する移動口が前面遊技盤3と後面遊技盤53とに複数設けられている。前面遊技盤3の面上には、上方左右に後面移動口11,12、中央左右に後面移動口13,14がそれぞれ設けられている。後面遊技盤53の面上には、液晶表示部56の下方中央に前面移動口61、液晶表示部56の左右に前面移動口62,63がそれぞれ設けられている。
【0026】
また、パチンコ遊技機1には、玉供給皿4の下方左側に遊技者が選択操作する遊技者選択操作手段として発射方向切替ボタン40が設けられるとともに、玉供給皿4の上面に発射方向を示す表示手段として発射方向表示部50が設けられている。発射方向切替ボタン40は、押しボタン式のスイッチをなし、1回押すと、例えば前面遊技領域3aから後面遊技領域53aに玉が打ち込まれる遊技領域が変更され、さらに1回押すと後面遊技領域53aから前面遊技領域3aに玉が打ち込まれる遊技領域が切替えられるものである。また、発射方向表示部50は、図4に示すように「前」(前面遊技領域3aをさす)と「後」(後面遊技領域53aをさす)と表示された部位が、発射方向に対応して(発射された玉が打ち込まれる遊技領域に対応して)点灯表示されるものである。発射方向表示部50は、液晶式或いはLEDなどの表示装置が採用できる。
【0027】
次に、図5に示すのは、パチンコ遊技機1の遊技制御装置20の構成を示すブロック図である。遊技制御装置20は、メイン基板21、このメイン基板21に搭載されたCPU22、遊技プログラムを格納したROM23、RAM24、入出力回路25、CPU22からの制御信号の出力が接続される表示制御基板26、音声制御基板27、ランプ制御基板28、払出制御基板29、発射制御基板30、及びこの遊技制御装置20に電源を供給する電源回路31を含み構成される。
【0028】
玉の通過を検知したとき検知信号を出力する検知スイッチとして、前面始動入賞検出器(始動入賞1検出器)32、後面始動入賞検出器(始動入賞2検出器, 始動入賞3検出器)33,34、前面大入賞口入賞検出器(大入賞1検出器)35、後面大入賞口入賞検出器(大入賞2検出器)36、発射方向切替ボタン40が入出力回路25を介してCPU22に接続されている。前面大入賞口開放用ソレノイド(大入賞口1開放用ソレノイド)37、後面大入賞口開放用ソレノイド(大入賞口2開放用ソレノイド)38及び発射方向切替用駆動モータ39が入出力回路25を介してCPU22に接続されている。CPU22からの制御信号により前面大入賞口開放用ソレノイド37が駆動され、前面大入賞口9の開閉が制御されるとともに、CPU22からの制御信号により後面大入賞口開放用ソレノイド38が駆動され、後面大入賞口59の開閉が制御される。
【0029】
表示制御基板26にはCPU22からの制御信号が入力され、該制御信号に応じて液晶表示部56の特別図柄表示部65、保留玉表示部66及び発射方向表示部50の表示が制御される。また、音声制御基板27では音声信号を作成し、音声信号が増幅されスピーカ41から音声が出力される。ランプ制御基板28にはCPU22からの制御信号が入力され制御信号に応じてランプ類42が制御される。また、払出制御基板29では制御信号に応じて賞球や貸球の払出装置43を制御する。発射制御基板30では玉の発射装置44を制御する。
【0030】
パチンコ遊技機1の上部には種々色彩で表示可能なランプ18が設けられ、遊技の演出を色彩情報として遊技者に提供するようにしている。
【0031】
CPU22(抽選手段)は、前面始動入賞口7又は後面始動入賞口57,58の入賞に起因して大当たりか否かの抽選を行う機能を有する。特別図柄表示部65は、抽選結果に基づいて図柄を変動表示する機能を有している。
【0032】
パチンコ遊技機1に対応して設けられたカードユニット140より玉貸し要求信号が払出制御基板29に入力されると、払出装置43から所定個数の玉が貸し出される。この貸玉動作にともない、カードユニット140は、中継装置130に貸し出した玉数に応じた玉貸信号を出力する。なお、この玉貸信号がパチンコ遊技機1から出力される構成としてもよい。また、カードユニット140の代わりに、パチンコ遊技機1と通信しない独立した玉貸機を採用してもよい。
【0033】
玉が発射装置44から打ち出される位置から遊技領域3a,53aまで玉を誘導するレールとして、前面遊技領域3aに対応して前面レール17、後面遊技領域53aに対応して後面レール67がそれぞれ設けられている(図6及び図7参照)。これら前面レール17及び後面レール67の玉飛出し口の近傍には、発射信号出力手段として、前面及び後面のいずれの遊技領域に玉が打ち込まれたかを検出する検出器(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0034】
次に、玉の発射装置44の構成について説明する。図8は発射装置44の構成の概略を示す図である。発射装置44を構成する各部材が収納されるハウジング(図示せず)の壁部内側に、軸O1を中心にして、発射ハンマ71が図8に示すD方向に回動できるように取付けられている。D方向と反対方向には発射ハンマ71が回動できないようにゴム台72が設けられている。発射ハンマ71のハンマ頭部73とは反対側の端部74がゴム台72に当接するようにしている。発射ハンマ71には、軸O1よりハンマ頭部73側にスプリング75が取付けられ、そのスプリング75の他端にはワイヤ76が接続されている。そのワイヤ76の他端は、遊技者が操作するハンドル5に繋がっており、遊技者がハンドル5を図8に示すE方向に回すと、ワイヤ76を引張り、スプリング75を伸ばす方向に作用する。
【0035】
次に、発射ハンマ71の駆動について説明する。発射ハンマ71を駆動する発射モータ(図示しない)によって回転する駆動軸O2に固定されたカム部材77が、発射ハンマ71の軸O1に固定されたリンク78の被作用部78aに係合するようにしている。ハンドル5を遊技者が操作すると発射モータが駆動され、発射モータの駆動によりカム部材77がF方向に回転し、カム部材77のカム面77aが、リンク78の被作用部78aに係合して、スプリング75の付勢力に抗して発射ハンマ71をD方向に回動する。リンク78の被作用部78aとカム面77aとの係合がはずれると、スプリング75の付勢により発射ハンマ71の頭部73で玉を打撃し、玉を発射する。玉を発射する強さは、ハンドル5をE方向に回動する程強くなる。
【0036】
次に、玉の発射方向切替手段の構成について説明する。発射ハンマ71は、頭部73を含む発射ハンマ本体部71aと、胴部71bとを含み、発射ハンマ本体部71aが軸O3を中心として、所定の位置、すなわち図9に示すA位置とB位置との間で回動できるように結合されている。発射ハンマ本体部71aがA位置にあるときは、前面遊技領域3aに玉を誘導する前面レール17に向けて玉を発射できるようにするとともに、発射ハンマ本体部71aがB位置にあるときは、後面遊技領域53aに玉を誘導する後面レール67に向けて玉を発射するようにして、発射方向を切替えている。
【0037】
図10は発射ハンマ本体部71aと胴部71bとの結合部分の構成を示す。発射ハンマ本体部71aには、複数(本実施例では2個)の突起部79a,79bを形成している。一方胴部71bには、その突起部79a,79bのいずれか一が係止する係止溝80を設けている。このように発射ハンマ本体部71aは、突起部79aが係止溝80に係止した状態(A位置に対応)と突起部79bが係止溝80に係止した状態(B位置に対応)との2位置で固定されるようにしている。
【0038】
図11は発射方向切替器具81の概略構成を示す図である。図12は発射方向切替動作を示す図である。発射方向切替器具81は、略扇形状をなし仕切壁82a及び82bによって内側に空間を形成し、その空間に発射ハンマ本体部71a(頭部73を含む発射ハンマ本体部71a)を収容可能なガイド部材82を有し、軸O4を中心としてそのガイド部材82を回動できるようにしている。発射方向切替器具81には、発射方向切替用駆動モータ39により回転する歯車84が、軸O4に固定された扇形状のセクタ歯車85と噛み合うように設けられている。歯車84の回転運動がセクタ歯車85によって回動運動(間欠的な往復動)に変換される。駆動モータ39の駆動により歯車84が回転し、セクタ歯車85と一体にガイド部材82が回動する。
【0039】
発射方向の切替えは、発射ハンマ71がD方向に回動されたときに行われる(図8参照)。すなわち発射ハンマ71がD方向に回動するときには、発射ハンマ本体部71aの頭部73の部分がガイド部材82の仕切壁82aの内面を摺接した状態で移動する(図12(b)参照)。ガイド部材82は、扇形状をなし仕切壁82aと82bとが下方(発射ハンマ71の回動方向(D方向)に対応した方向)に向かう程接近する構造となっている。発射ハンマ71の移動に合わせて、前もって発射方向切替用駆動モータ39の駆動によって歯車84、セクタ歯車85を介しガイド部材82を回動しておくことにより、ガイド部材82の構造(仕切壁82aと82bとが下方に向かう程接近する構造)と相俟って、仕切壁82aで発射ハンマ本体部71aの頭部73部分を押圧するように作用して、発射ハンマ本体部71aを回動し、発射ハンマ本体部71aの位置をA位置からB位置に切替える(図9参照)。発射ハンマ本体部71aの突起部79bが係止溝80に係止して固定される(図10(c)参照)。一方B位置からA位置への切替えは、駆動モータ39の逆回転によって行われる。ガイド部材82の仕切壁82bで発射ハンマ本体部71aの頭部73部分を押圧して、発射ハンマ本体部71aを逆方向に回動し、発射ハンマ本体部71aの突起部79aが係止溝80に係止して固定される(図10(b)参照)。駆動モータ39が駆動されない場合は、そのときの位置状態で固定される。
【0040】
遊技者は打ち込みたい遊技領域を決め、発射方向切替ボタン40を操作して遊技領域を切替えて玉を打ち込む。発射方向切替ボタン40が操作されると、CPU22からの制御信号によって発射方向切替用駆動モータ39が駆動され、発射装置44の発射方向切替器具81によって発射方向が切替えられ、玉が打ち込まれる遊技領域が変更される。発射方向表示部50には玉が打ち込まれる遊技領域が示される。
【0041】
次に、図13及び図14は後面移動口及び前面移動口の構造を示す。後面移動口11,12,13,14は同じ構造をしており、後面移動口11を代表として説明する。後面移動口11は、上面に方形状の開口11aと、後面に玉が通過可能な円形状の開口11bとを有し、後面の開口11bは前面遊技盤3に設けられた挿通孔311と連通している。前面遊技領域3aに打ち込まれた玉が後面移動口11に入った場合、後面遊技領域53aに玉は排出される。
【0042】
前面移動口62,63は同じ構造をしており、前面移動口62を代表として説明する。前面移動口62は、上面に方形状の開口62aと、前面に玉が通過可能な円形状の開口62bとを有し、前面の開口62bは前面遊技盤3に設けられた挿通孔362と連通している。後面遊技領域53aに打ち込まれた玉が前面移動口62に入った場合、前面遊技領域3aに排出される。
【0043】
次に、前面移動口61について説明する。前面移動口61は、図7に示すように液晶表示部56を収容するハウジング91の下部ステージの後方に設けられた挿通孔92と連通している。ハウジング91の天部には玉が通過可能な複数(本実施例では2個)の挿通孔93が形成されている。後面遊技領域53aに打ち込まれた玉がこの挿通孔93を通過し、ハウジング91内に入り、下部の挿通孔92を通過して、前面移動口61から前面遊技領域3aに排出される。前面移動口61の前面開口61aは、前面始動入賞口7の真上に位置し、前面始動入賞口7に玉が入賞し易くしている。
【0044】
これら後面移動口11,12,13,14及び前面移動口61,62,63の近傍には、移動玉信号出力手段として玉の通過を検出する検出器がそれぞれ設けられている。すなわち後面移動口11,12,13,14に対応して移動口1検出器131(図13参照), 移動口2検出器132, 移動口3検出器133, 移動口4検出器134が設けられるとともに、前面移動口61,62,63に対応して移動口5検出器135(図14参照), 移動口6検出器136, 移動口7検出器137が設けられている(図5参照)。そして、移動口毎に移動元遊技領域及び移動先遊技領域が特定されている。すなわちどの移動口を通過したかによって、前面から後面遊技領域への玉の移動、或いは後面から前面遊技領域への玉の移動があったかを認識されるようになっている。なお、後面移動口11,12,13,14の信号線は、ガラス扉2の内側面などを利用して取付けられ、台の裏側に延びてメイン基板21と接続されるようにできる。
【0045】
図15は後面始動入賞口の構造を示す。後面始動入賞口57,58は同じ構造をしており、後面入賞口57を代表として説明する。後面始動入賞口57は、上面に開口57aと、後面に円形状の開口57bとを有し、後面開口57bは後面遊技盤53に設けられた挿通孔357と連通している。後面入賞口57に入賞した玉はそのまま台の裏側に導かれる。後面始動入賞口57の近傍には始動入賞信号出力手段として始動入賞2検出器33が設けられている。
【0046】
そして、前面遊技盤3に設けられた前面始動入賞口7に入賞した玉は、後面遊技盤53を挿通する流通路7a通過して台の裏側に導かれる(図6及び図7参照)。この流通路7aの近傍には始動入賞信号出力手段として始動入賞1検出器32が設けられている。また、前面大入賞口9に入賞した玉は、流通路9aを通過して台の裏側に導かれる(図6及び図7参照)。この流通路9aの近傍には大入賞口1検出器35が設けられている。さらに、後面遊技盤53に設けられた後面大入賞口59に入賞した玉は、そのまま台の裏側に導かれる。後面大入賞口59の近傍には大入賞口2検出器36が設けられている。また、前面アウト口10は前面遊技盤3に、また後面アウト口60は後面遊技盤53に独立に設けられ、玉を別々に回収するようにしている。
【0047】
次に、パチンコ遊技機1が備える外部出力端子55について説明する。外部出力端子55からは、下記に記す種類の信号が出力される。具体的には、以下のような意味を持つ信号出力が行なわれる。
・発射信号:発射レール飛出し口の通過に応じた出力
・移動玉信号:移動口の通過に応じた出力
・セーフ信号:払出玉数に応じた出力
・スタート信号(始動信号):特別図柄表示部での図柄変動に応じた出力
このように、パチンコ遊技機1の稼働データは、上記各信号によって表現される情報である。
【0048】
ホールコンピュータ110は、中継装置130を介してパチンコ遊技機1より上記した稼働データを取得することとなる。取得された稼働データは、パチンコ遊技機1の各々について、データの項目別に集計される。これにより、図16及び図17に示すような帳票を得るためのデータベースが、HDD104のデータ管理領域内に作成される。
【0049】
図16及び図17の帳票に示すように、ホールコンピュータ110がデータ管理を行う複数のパチンコ遊技機1のそれぞれには、台番号(台番)が付与されている。この台番号をキーとすることにより、台別に稼働データが集計されている。
【0050】
ホールコンピュータ110は稼動データを遊技領域別に対応付けて管理する管理手段の機能を有する。また、ホールコンピュータ110は、稼動データをHDD104の遊技データ管理領域に記憶する機能を含んでいる。ホールコンピュータ110のCPU101は、各移動口に設けられた検出器が玉を検出したときに出力する信号(移動玉信号)に基づいて、移動元遊技領域及び移動先遊技領域が特定される移動口毎に移動玉数を計数する移動玉計数手段の機能を有する。また、CPU101は、各遊技領域に打ち込まれた打込玉数と移動玉計数手段によって計数された移動玉数とに基づいて、遊技領域に打ち込まれた玉数と該遊技領域に打ち込まれた玉のうち移動口を通過して他の遊技領域に移動した玉数との比率を演算する移動率演算手段の機能を有するものである。
【0051】
次に、図16は帳票の一例を示す。図16に示す帳票1において、各遊技機の台別(台番号別)に打込玉数(各遊技領域に打込まれた玉数)、アウト玉数(各遊技領域から排出された玉数)が前面及び後面遊技領域別に表される。また、前面から後面遊技領域、或いは後面から前面遊技領域へ移動した移動玉数が同様に台別に表される。さらに、打込玉数と移動玉数との比率(移動比率)が前面及び後面遊技領域別に表される。例えば台番1においては、前面遊技領域の打込玉数は「15320」、前面から後面遊技領域への移動数は「1560」、移動率は「10.2%」と表されている。
【0052】
なお、打込玉数、アウト玉数の前面及び後面遊技領域との比率も表される。例えば台番1においては、前面遊技領域の比率は「85.3%」、後面遊技領域の比率は「14.7%」と表されている。さらに、打込玉数、アウト玉数、移動玉数の平均がそれぞれ表されている。なお、図16及び図17において、「前」は前面遊技領域、「後」は後面遊技領域を意味する。
【0053】
また、アウト玉数が全遊技領域の合計数しか検知できないときは、打込玉数と移動玉数とから演算で求めることができる。例えば、次の算出式から求めることができる。
アウト玉数(前)=打込玉数(前)−移動玉数(前→後)+移動玉数(後→前)
【0054】
なお、打込玉数が検知できないときは、各遊技領域のアウト玉数と移動玉数とから打込玉数を演算で求めることができる。例えば、次の算出式から求めることができる。
打込玉数(前)=アウト玉数(前)+移動玉数(前→後)−移動玉数(後→前)
【0055】
次に、図17に示す帳票2において、各遊技機の台別に打込玉数、累計スタート(各遊技領域へ打込まれた玉数により図柄変動が実行された回数の累計値)、平均スタート(平均始動回数:各遊技領域へ打込まれた玉数1000玉に対する図柄変動回数の平均値)が前面及び後面遊技領域別に表される。例えば台番1においては、前面遊技領域の平均スタートは「55.2」、後面遊技領域の平均スタートは「62.4」と表されている。また、打込玉数、累計スタート、平均スタートの平均がそれぞれ表されている。これにより前面始動入賞口と後面始動入賞口とのうちどちらが入賞し易いかを知ることができる。
【0056】
なお、各遊技領域への打込時期が明らかに区別できる場合(例えば確変中や時短中は後面遊技領域に玉が打込まれることが決まっている場合など)、上記のように累計スタートと平均スタートとを定義付けられるが、いずれの遊技領域に打込まれた玉により図柄変動したのか明らかでない場合(遊技者の操作によって打込まれる遊技領域が変わる場合など)、次のように累計スタートと平均スタートとを定義付けてもよい。例えば
累計スタート:各遊技領域に備えられた始動入賞口への入賞により図柄変動が実行された回数の塁計値(有効始動回数)
平均スタート:各遊技領域へ打込まれた玉数1000玉に対する各遊技領域に備えられた始動入賞口への入賞による図柄変動回数の平均値
とすることができる。
【0057】
また、打込玉数、移動玉数などが明らかでない場合、アウト玉数が正確に把握できるのであれば、各遊技領域から排出されたアウト玉数1000玉に対する各遊技領域に備えられた始動入賞口への入賞による図柄変動回数の平均値を平均スタートとしてもよい。
【0058】
さらに、払出された玉数であるセーフ玉数(賞球数)や大当たり回数、ベース(所定条件の成立に伴って発生する遊技者にとって有利な特別遊技状態でない通常状態での平均払出玉数)などの項目も遊技領域別に管理することができる。
【0059】
このように前面レール17及び後面レール67を備え、発射装置44から発射された玉が、前面及び後面遊技領域のうちのいずれに発射されたかを示すパチンコ遊技機1からの発射信号に基づいて、ホールコンピュータ110は各パチンコ遊技機1の台毎に遊技領域別に稼動データをHDD104に記憶し管理することができる。また、後面移動口11,12,13,14及び前面移動口61,62,63などの各移動口を通過したことを示す移動玉信号に基づいて、ホールコンピュータ110は移動元遊技領域及び移動先遊技領域が特定される移動口毎に移動玉数を計数することができる。これにより前面及び後面遊技領域のうちいずれの遊技領域に玉が打ち込まれたのか、或いはどの位遊技領域間を移動しているか、或いはいずれの遊技領域を通過して排出されたのかを管理することができる。
【0060】
また、打込玉数と移動玉数とに基づいて、遊技領域に打ち込まれた玉数と該遊技領域に打ち込まれた玉のうち移動口を通過して他の遊技領域に移動した玉数との比率を演算することにより、どの位の割合で遊技領域間を移動しているのか、移動率を把握することができる。
【0061】
(変形例1)
図18は第1変形例を示す。実施例におけるパチンコ遊技機1の発射方向を振分ける手段として、発射装置44において発射ハンマ71の頭部73を含む発射ハンマ本体部71a部分の回動機構や発射方向切替器具81などを設けた構成としているが、玉が発射されてから遊技領域に打ち込まれるまでの間において玉を打ち込む遊技領域を振分けるようにしてもよい。図18において、前面遊技領域3aと後面遊技領域53aとの境界にまたがって(ガラス扉2側を前方側、台の裏側にあたる側を後方側としたとき、前後方向にまたがって)、発射装置から発射された玉を誘導する1本のレール157を設けている。そして、遊技盤3の上部は開口151し、この開口151によって前面遊技領域3aと後面遊技領域53aとは連通している。
【0062】
レール157の飛出し口付近に、発射装置44から発射された玉を、前面遊技領域3a或いは後面遊技領域53aのいずれか一に打込まれるように振分ける発射方向切替爪152(振分手段)が設けられている。この発射方向切替爪152は、CPU22の制御信号によって発射方向切替用ソレノイド(図示せず)などを駆動することにより変位して、第1位置(図18における破線状態)と第2位置(図18における実線状態)とを呈すものである。発射方向切替爪152が第1位置にあるときには、前面遊技領域3aに玉が打ち込まれる状態となり、一方第2位置にあるときには、後面遊技領域53aに玉が打ち込まれる。そして、発射方向切替爪152の近傍には、振分信号出力手段として前面遊技領域3a及び後面遊技領域53aのいずれに玉が振分けられたかを検出する検出器(図示せず)が設けられている。なお、レール157の出口にはガイド板153が設けられ、玉を発射方向切替爪152に導くようにしている。また、前面遊技盤3及び後面遊技盤53の上部において、レール157の飛び出し口から離間して遊技領域を横断した反対側部分に跳ね返し部材154が前面遊技領域3a及び後面遊技領域53aにそれぞれ設けられている。発射方向切替爪152で玉が打ち込まれる遊技領域が決められた後、玉の発射強さが強い場合に、この跳ね返し部材154に玉が当たって、その決められた遊技領域に概ね落下するようにしている。なお、図18において図6及び図7と同一の機能を有する部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
このようにパチンコ遊技機1は、発射装置44から発射された玉を、前面遊技領域3a或いは後面遊技領域53aのいずれか一に打込まれるように振分ける発射方向切替爪152(振分手段)が設けられ、かつ前面遊技領域3a及び後面遊技領域53aのいずれに玉が振分けられたかを検出する検出器が設けられている。検出器により信号(振分信号)が出力され、この信号に基づいてホールコンピュータ110ではパチンコ遊技機1から取得した稼動データにより、遊技領域別に稼動データ(例えば打込玉数)をHDD104に記憶し管理することができる。
【0064】
(変形例2)
図19は第2変形例を示す。変形例1では発射方向切替爪152(振分手段)によって玉を打ち込む遊技領域を振分けるように構成しているが、前面遊技領域に抽選で当たりであったときに開放する電動役物を設けて、この電動役物が開放時のみ後面遊技領域へ玉が打ち込まれるようにしてもよい。図19において、パチンコ遊技機201の前面遊技盤3の前面始動入賞口7のやや上方左右に通過ゲート215,216が配置されている。また、前面遊技盤3の上方中央には、通過ゲート215又は216を玉が通過することに基づいて抽選(普図抽選)が行われ、抽選結果が当たりであったときに閉鎖状態から開放状態となる電動役物208(役物装置)が配置されている。そして、前面遊技盤3には、玉が発射装置44から打ち出される位置から前面遊技領域3aまで玉を誘導するレール217が設けられている。発射装置44から発射された玉は前面遊技領域3aに打込まれる。
【0065】
図20は前面遊技盤3及び後面遊技盤53の斜視図、図21は電動役物208の構造を示す図である。電動役物208は、箱状をなし前面に下部を軸にして回動自在に設けられた開閉扉208aと、底面に開口208bとを有し、開閉扉208aが前面遊技盤3の面上(前面遊技領域3a)に位置し、開口208bが後面遊技領域53aに位置するように、前面遊技盤3と後面遊技盤53との間に設けられている。電動役物208は、開閉扉208aによって玉の入賞を許容する開放状態と、玉の入賞を許容しない閉鎖状態とを呈する。電動役物208の近傍には該電動役物208に入った玉を検出する検出器238が設けられている。
【0066】
この例では、大入賞口9は、共通となっている。前面始動入賞口7或いは後面始動入賞口57,58への入賞に基づいて抽選が行われ、抽選結果が大当たりであったときには、前面遊技盤3に設けられた大入賞口9が開放する。また、通過ゲート215と後面始動入賞口57、通過ゲート216と後面始動入賞口58とはそれぞれ一体に形成されている。図22に通過ゲート215の例を代表して示すように、後面始動入賞口57は、前部に通過ゲート215が一体的に設けられるとともに、上面に開口57aと、後面に開口57bとを有し、後面開口57bは後面遊技盤53に設けられた挿通孔357と連通している。通過ゲート215は、前面遊技盤3を貫通して取付けられ、前面遊技盤3の面上(前面遊技領域3a)に位置する。通過ゲート215を通過した玉は、そのまま前面遊技盤3面上を落下する。通過ゲート215の近傍には通過ゲート1検出器236が設けられている。後面始動入賞口57の近傍には始動入賞2検出器233が設けられている。なお、図19、図20及び図21において図3及び図7と同一の機能を有する部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
このように前面遊技領域3aに電動役物208を備えた構成とし、通過ゲート215,216の通過に応じて実行される普図抽選で当たりとなった場合、CPU22からの制御信号により電動役物開放用ソレノイド(図示せず)などが駆動され、電動役物208が開放状態となり、電動役物208内に入った玉を、その玉が電動役物208内に入るまで流下していた前面遊技領域3aとは異なる後面遊技領域53aに放出するようにしている。電動役物208の近傍に設けられ、該電動役物208に入った玉を検出する検出器238により信号(電動役物入賞信号)が出力され、この信号に基づいてホールコンピュータ110では、電動役物208の入賞数をカウントすることができる。このカウントされた入賞数を後面遊技機53aへの打込玉数とすることができる。パチンコ遊技機201から取得した稼動データにより、遊技領域別に稼動データ(例えば打込玉数)をHDD104に記憶することができる。なお、普図抽選用の通過ゲート215,216を設けず、電動役物208は所定条件の成立に応じて開放されるようにしてもよい。例えば特定図柄で大当たりが発生した場合、大当たり終了後に確変状態となり、確変中は電動役物208を開放し続けるなどとしてもよい。
【0068】
また、本実施例に次のような変形例を加えてもよい。
(1)パチンコ遊技機は各遊技領域毎に玉が排出されたことを示すアウト信号を出力するアウト信号出力手段を備えるようにしてもよい。例えばアウト口10及び60の近傍に玉の通過を検出する検出器をそれぞれ設けることができる。そして、各遊技領域を通過し排出されたアウト玉数を遊技領域別にHDD104に記憶するようにできる。ホールコンピュータ110は、打込玉数とアウト玉数とに基づいて、各遊技領域間の移動玉数を計数する移動玉計数手段の機能を含むようにできる。
【0069】
(2)実施例1では、遊技者が切替ボタンを操作して玉を打込む遊技領域を選択できるようにしたが、この切替ボタンをなくし、発射された玉が、確変中や時短中は後面遊技領域へ、それ以外の通常時は前面遊技領域へ打込まれるようにしてもよい。この場合は、発射信号により打込まれた遊技領域が判別できなくても、別の信号、例えば大当たり信号、確変信号や時短信号などにより遊技状態を判断し、その遊技状態によってどちらの遊技領域に打込まれたかを判断してもよい。
【0070】
(3)実施例では、アウト口10及び60は、前面遊技盤3と後面遊技盤53にそれぞれに設けられ、玉を別々に回収するようにしているが、どちらの遊技領域に玉が打込まれたかを認識できる構成であれば、玉を共通に回収するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る遊技機データ管理システムの全体概略図。
【図2】遊技機データ管理システムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】パチンコ遊技機の正面模式図。
【図4】図3のG部拡大図。
【図5】パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図。
【図6】前面遊技盤及び後面遊技盤の正面図。
【図7】前面遊技盤及び後面遊技盤の斜視図。
【図8】発射装置の説明図。
【図9】発射ハンマとレールとの関係を示す説明図。
【図10】発射ハンマの構造を示す説明図。
【図11】発射方向切替器具の説明図。
【図12】発射方向切替動作を示す説明図。
【図13】後面移動口の構造を示す図。
【図14】前面移動口の構造を示す図。
【図15】後面始動入賞口の構造を示す図。
【図16】ホールコンピュータが表示ないし印字する帳票の例。
【図17】打込玉数と累計スタートなどを示す帳票の例。
【図18】発射方向振分手段の変形例を示す要部斜視図。
【図19】他の変形例のパチンコ遊技機の正面模式図。
【図20】図19の前面遊技盤及び後面遊技盤の斜視図。
【図21】図19の電動役物の構造を示す図。
【図22】図19の通過ゲートと後面始動入賞口との構造を示す図。
【符号の説明】
【0072】
1 パチンコ遊技機(遊技機)
3 前面遊技盤
3a 前面遊技領域
11,12,13,14 後面移動口(移動口)
17 前面レール
44 発射装置
53 後面遊技盤
53a 後面遊技領域
61,62,63 前面移動口(移動口)
67 後面レール
101 CPU(移動玉計数手段、移動率演算手段)
104 HDD(記憶手段)
110 ホールコンピュータ(遊技機データ管理装置;管理手段)
152 発射方向切替爪(振分手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技領域を備えるとともに、それぞれの遊技領域に玉の流下方向を変更する障害物或いは玉を受入れる受入口が配置され、いずれの遊技領域にも玉が打ち込まれるように制御する複数のパチンコ遊技機側から出力される各種信号に基づいて、各パチンコ遊技機の稼働データを集計して管理する管理手段を備えた遊技機データ管理装置において、
前記管理手段は、前記パチンコ遊技機の稼動データを前記各遊技領域に対応付けて管理することを特徴とする遊技機データ管理装置。
【請求項2】
前記パチンコ遊技機は、玉発射用の複数のレールと、玉発射装置から発射された玉が、前記複数の遊技領域のうちのいずれに打ち込まれたのかを示す発射信号を出力する発射信号出力手段とを備え、
前記管理手段は、前記発射信号に基づいて前記遊技領域別に前記稼動データを記憶する記憶手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の遊技機データ管理装置。
【請求項3】
前記パチンコ遊技機は、玉発射装置から発射された玉が、前記複数の遊技領域のうちのいずれか一に打ち込まれるように振分ける振分手段と、この振分手段により前記複数の遊技領域のうちのいずれに振分けられたかを示す振分信号を出力する振分信号出力手段とを備え、
前記管理手段は、前記振分信号に基づいて前記遊技領域別に前記稼動データを記憶する記憶手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の遊技機データ管理装置。
【請求項4】
前記パチンコ遊技機は、各遊技領域の間を移動できる一以上の移動口と、この移動口を通過したことを示す移動玉信号を出力する移動玉信号出力手段とを備え、
前記管理手段は、前記移動玉信号に基づいて、前記移動口毎の、或いは各遊技領域間の移動玉数を計数する移動玉計数手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遊技機データ管理装置。
【請求項5】
前記パチンコ遊技機は、各遊技領域の間を移動できる一以上の移動口と、各遊技領域毎に玉が排出されたことを示すアウト信号を出力するアウト信号出力手段とを備え、
前記記憶手段は、各遊技領域に打ち込まれた打込玉数を遊技領域別に記憶するとともに、各遊技領域を通過し排出されたアウト玉数を遊技領域別に記憶し、
前記管理手段は、記憶された前記打込玉数とアウト玉数とに基づいて、各遊技領域間の移動玉数を計数する移動玉計数手段を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遊技機データ管理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、各遊技領域に打ち込まれた打込玉数を遊技領域別に記憶し、
前記管理手段は、記憶された打込玉数と前記移動玉計数手段によって計数された移動玉数とに基づいて、遊技領域に打ち込まれた玉数と該遊技領域に打ち込まれた玉のうち前記移動口を通過して他の遊技領域に移動した玉数との比率を演算する移動率演算手段を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の遊技機データ管理装置。
【請求項7】
前記パチンコ遊技機は、玉の払出に応じてセーフ信号を出力するセーフ信号出力手段と、当該パチンコ遊技機に設けられた始動口へ入賞、或いは当該パチンコ遊技機に設けられた図柄表示部における図柄の変動動作に応じて始動信号を出力する始動信号出力手段とを備え、
前記遊技領域別に管理される稼働データは、打込まれた玉数を表す打込玉数と、排出された玉数を表すアウト玉数と、払出された玉数を表すセーフ玉数と、所定条件の成立に伴って発生する遊技者にとって有利な特別遊技状態でない通常状態での平均払出玉数を表すベースと、所定期間における始動口への入賞の平均値を表す平均始動入賞数と、所定期間の図柄変動回数の平均値を表す平均始動回数とのうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の遊技機データ管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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