説明

遊技機用基板と遊技機用基板ケース

【課題】 電子部品とともに基板面を覆う被覆層を、基板面とこれに対向する所定の板状部材との間に介在させるとともに、この被覆層で、基板と板状部材とを分離不能に固着することで、不正改造に対するセキュリティを向上させる。
【解決手段】 所定の電子部品IC1〜IC5が実装された基板10と、この基板10を間に挟んで収容するケースと、を備える遊技機用基板ケース1Aにおいて、電子部品IC1〜IC5とともにその基板面を、視認可能、かつ、剥離不能に覆う被覆層30を設け、被覆層30を、半田面10bとこれに対向するケース内面21aとの間に介在させて、下ケース21と基板10とを分離不能に固着した構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用基板と、この遊技機用基板か収容されている遊技機用基板ケースに関し、特に、不正改造に対するセキュリティを向上させた遊技機用基板と、遊技機用基板ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンやパチンコ機等の遊技機には、ゲーム性に関与する複数の基板が配設されている。
これらの基板には、遊技の結果を左右するとともに、遊技機全体を制御する主要な基板である主基板が含まれている。
主基板は、プリント基板上にCPU,ROM,RAM等の種々の電子部品が配置されたコンピュータとして構成されている。
そして、この主基板は、遊技の結果を左右するために、不正改造の対象となりやすい。そのために、当該主基板を透明な二つのケースの間に挟んで収容するとともに、さらに、このケースを開封不能に封止する封止構造が設けられている。
【0003】
この封止構造は、主基板が不正改造されることを防止するためもので、一般的には、ケース同士が重なる接合部を特殊なネジ等で封止することで、開封不能としてある。
このようなケースの封止構造は、例えば、特開2002−126307号の「パチンコ機用基板ケースの封止構造」(特許文献1)や、特開2002−119719号の「遊技機の基板ケース」(特許文献2)等、従来から多数提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−126307号公報(第11頁、第1図、第5図)
【特許文献2】特開2002−119719号公報(第8頁、第2図、第5図)
【特許文献3】特許第4032318号公報(第3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の封止構造では、以下のような弊害も生じていた。
一般的な封止構造は、ニッパー等の汎用の工具等で切断・破壊し、封止状態を簡単に解除することができるようになっている。
このような封止構造は、開封された場合にその痕跡が残るように構成されているが、近年では、開封の痕跡が残らないように封止構造を切断して、主基板を不正改造する事例が散見されている。
例えば、封止構造を鋭利な刃物等で分断することで、ケースを開封し、主基板に不正なROM等を装着した後、接着剤等で巧妙に封止構造を貼り合せるなどの行為である。
【0006】
このような不正改造に対抗するために、主基板自体を樹脂コーティングする技術が特許文献3に提案されている。
この技術によれば、基板面をCPUやROMなどの電子部品とともに樹脂コーティングで覆うことで、不正改造を困難にするとともに、樹脂コーティングが剥がされて不正改造が行われ、再度樹脂コーティングで覆われたときでも、元の樹脂コーティングと新しい樹脂コーティングとの繋ぎ目の厚みが不連続となることで、再度の樹脂コーティングが行われたことを容易に発見でき、不正改造の痕跡が残るようになっている。
しかしながら、この技術では、基板面は樹脂コーティングで覆われる以外、外部に曝された無防備な状態であり、そのうえ、樹脂コーティングが剥がされることを前提とし、改造の痕跡を発見し易くしたものなので、樹脂コーティングの強度次第では簡単に剥がされてしまい、樹脂コーティングの実効性に欠け、電子部品の確実な保護が図れなかった。
【0007】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、電子部品とともに基板面を覆う被覆層を、基板面とこれに対向する所定の板状部材との間に介在させ、しかも、この被覆層で、基板と板状部材とを分離不能に固着することで、被覆層を直接手で触れることも、剥がすことも不能にさせて、不正改造を阻止した遊技機用基板と遊技機用基板ケースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機用基板は、所定の電子部品が実装された基板と、前記電子部品とともにその基板面を、視認可能、かつ、剥離不能に覆う被覆層と、前記被覆層を間に介在させて前記基板面と対向する所定の板状部材と、を備え、前記基板と前記板状部材とが、前記被覆層によって分離不能に固着された構成としてある。
【0009】
また、本発明の遊技機用基板ケースは、所定の電子部品が実装された基板と、この基板を間に挟んで収容するケースと、を備える基板ケースであって、前記基板を、請求項1〜11のいずれか一項に記載の遊技機用基板としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遊技機用基板と遊技機用基板ケースによれば、電子部品とともに基板面を覆う被覆層を、基板面とこれに対向する所定の板状部材との間に介在させるとともに、この被覆層で、基板と板状部材とを分離不能に固着することで、不正改造に対するセキュリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の遊技機用基板ケースの一実施形態に係る基板ケース1Aを示す概略斜視図である。
【図3】本発明の遊技機用基板ケースの一実施形態に係る基板ケース1Aを切断した断面斜視図である。
【図4】本発明の遊技機用基板ケースの一実施形態に係る基板ケース1Aの充填孔付近を拡大した拡大斜視図である。
【図5】本発明の遊技機用基板ケースの一実施形態に係る基板ケース1Bを示す分解斜視図である。
【図6】本発明の遊技機用基板ケースの一実施形態に係る基板ケース1Bを被覆層で被覆した状態を示す概略斜視図である。
【図7】異なる実施形態に係る基板ケース1Bの分解斜視図である。
【図8】異なる実施形態に係る基板ケース1Bの分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機用基板と遊技機用基板ケースの好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
遊技機には、パチンコ機、スロットマシン、アレンジボール、雀球など様々な機類があるが、本実施形態では、メダルを遊技媒体とするスロットマシンに本発明の遊技機用基板ケースを適用した場合について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
[スロットマシン]
図1は、本発明の遊技機用基板ケースが取付けられるスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
同図に示すように、スロットマシン100は、複数のリール110a,110b,100cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0014】
スロットマシン1は、必要な機械、装置等を収納する正面側が開口した筐体100bと、筐体100bの正面側を開閉可能に覆う前扉100aとで構成されている。
前扉100aは、スロットマシン100の筐体100bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉100aに遊技操作に係る各リール110の回転を始動させるスタートレバーや、回転している各リール110を停止させる3つの停止ボタンなどの複数の操作手段が設けられて、スロットマシン100の正面部を構成している。
【0015】
筐体1bの中央には、リール110a,110b,110cと、各リール110を回転可能に支持する図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等が設けられている。
また、筐体100bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。
筐体100bの上部には、所定の基板が収容された基板ケース1Aと基板ケース1Bが設けられている。
【0016】
基板ケース1Aは、本発明の遊技機用基板ケースの一例であり、ランプやスピーカを駆動させて、所定の演出を行う基板である、いわゆるサブ基板が収容されている。
基板ケース1Bは、本発明の遊技機用基板ケースの一例であり、上記の各操作手段からの信号に基づき、各リール110、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、スロットマシン遊技の進行制御を行う基板である、いわゆる主基板が収容されている。
【0017】
このような構成からなるスロットマシン100は、これらの基板により、以下のように制御されてスロットマシン遊技が進行する。
まず、遊技者によりメダルが投入され、スタートレバーが操作されると、主基板は、各リール110を回転させる制御を行うとともに、ボーナスや小役等を抽せんする内部抽せんを行い、各停止ボタンが押下操作されたタイミングに基づき、抽せん結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール110の停止制御を行う。
【0018】
また、主基板は、各リール110に停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置7に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルを払い出す。
また、サブ基板は、このようなスロットマシン遊技において、主基板から遊技状態に応じた制御信号が入力されることで、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づきスピーカ及びLED等のランプを駆動して、所定の演出を行うようになっている。
【0019】
このようなスロットマシン遊技の進行を制御する主基板とサブ基板は、CPU(中央演算処理装置)、ROM及びRAMなどの記憶手段、I/OインターフェイスなどのIC部品、抵抗、コンデンサ、トランジスタなどの様々な電子部品が実装されており、例えば、ROMに記憶されているプログラムの内容を書替えたり、実装されている電子部品を異なる電子部品に取り替えたりすることで、スロットマシン100における遊技特性(例えば、出玉率)を容易に変更できるため、不正改造がなされる可能性の高い基板とされている。
【0020】
そこで、各基板ケース1に、電子部品とともにその基板面を、視認可能、かつ、剥離不能に覆う本発明の被覆層30を設け、被覆層30を、基板面とこれに対向するケース内面との間に介在させて、ケースと基板とを分離不能に固着することで、被覆層30を直接手で触れることも、剥がすことも不能にさせることで、不正改造からこれらの基板を保護するようになっている。
以下、各基板ケース1の詳細な構成について、図面を用いて説明する。
【0021】
[基板ケース]
最初に、基板ケース1Aについて、図2〜図4を参照して説明する。
図2は、遊技機用基板ケースの一実施形態に係る基板ケース1Aを示す概略斜視図、図3は、図2における基板ケース1Aを切断した断面斜視図、図4は、図3における充填孔付近を拡大した拡大斜視図である。
【0022】
基板ケース1Aは、サブ基板として機能する基板10と、本発明の板状部材の一例であり、基板10を収容可能に凹状に形成された下ケース21と、図示しない上ケースとで構成されている。
基板10は、図中上方を部品実装面10aとし、図中下方を半田面10bとしたプリント基板であり、部品実装面10aには、DIPタイプのIC1〜IC4と、所定の固有IDが読取可能に記録されたICタグからなるIC5等が実装されている。
IC1〜IC4は、CPUやROM等の電子部品であり、各ピンが半田面10bで半田接合されている。そのため、半田面10bから半田ごて等を用いて半田を溶解しない限り、これらを取り外すことはできないようになっている。
【0023】
下ケース21と上ケースは、無色透明なABSやポリカーボネート等の工業用樹脂材により箱状に成形され、基板10を間に挟んで、収容可能に形成されている。
具体的には、基板10は、基板10周縁と下ケース21側面との間に隙間Sを形成しつつ、また、半田面10bとケース内面21aとの間に隙間を形成しつつ、下ケース21に収容され、蓋として機能する上ケースを閉じることで、収容されるようになっている。
【0024】
基板10は、本発明の遊技機用基板の一例であり、下ケース21に収容された状態で、被覆層30によって、分離不能に下ケース21に固着されている。
具体的には、被覆層30は、二液を混合させるとともに、硬化させて形成した、無色透明なウレタン樹脂(ポリウレタン)系接着剤からなり、接着剤を射出するノズル40を注入口11から挿入して、半田面20bとケース内面21aとの間に隙間なく流動する接着剤を充填させた後、完全に硬化させて、基板10と下ケース21とを固着している。
これにより、半田面10bは、ケース内面21aとの間に介在する被覆層30に加え、下ケース21により覆われることになるため、IC1〜IC4の各ピンに、半田ごてをあてることも、接触することもできない。これにより、IC1〜IC4を取替えることができないため、基板10を不正改造から護ることができる。
また、被覆層30をケース内面21aとの間に隙間なく介在させることで、万一、下ケース21が破壊されても、半田面10bは被覆層30に覆われているため、IC1〜IC4の各ピンに接触することはできない。
【0025】
さらに、両ケースとも透明であり、かつ、被覆層30も透明であることから、ケース外部から、基板10の部品実装面10aと半田面10bは、それぞれ視認可能であり、万一、不正改造された場合でも、不正部品の装着やパターン改造を容易に発見することができる。
【0026】
さらに、下ケース内面21aには、凹部211と凸部212を形成してある。
これにより、下ケース内面21aを凹凸のない平面とした場合に比べ、被覆層30と下ケース内面21aとの接触面積が増えることになり、これらの固着力を増大させることができる。
また、凹部211を、IC1〜IC4の各ピンに対応した領域に形成し、それ以外のプリントパターン領域は、凸部212としてある。
すなわち、凹凸を、半田面10bとケース内面21aとの間に存在する電子部品の高さに応じて形成してある。具体的には、半田面10bと下ケース内面21aとの間に部品のないパターン領域のほうが、部品がある領域に比べて、隙間を狭くしてある。
これにより、充填される被覆層30を、少量に節減しつつ、固着力を増大させることができる。
【0027】
さらに、基板10周縁と下ケース21側面との隙間Sに、被覆層30を充填してある。
これにより、この隙間Sから半田面10bに異物を挿入することができないため、半田面10bが確実に保護される。
【0028】
また、基板10には、半田面20bとケース内面21aとの間に充填された被覆層30が外部に突出する充填孔13が形成されている。
これにより、この充填孔13周縁が被覆層30と接触することになり、被覆層30と基板10との接触面積を増大させて、これらを強力に固着することができる。
【0029】
さらに、図4に示すように、充填孔13から突出した被覆層30が、充填孔13を中心に放射状に広がり、この充填孔13とともに部品実装面10aを覆った状態で硬化している。これにより、この充填孔13を介して挿通された被覆層30が基板10を挟持する構成となり、被覆層30が基板10を止めるリベットとして機能することで、基板10は下ケース21に強固に固着される。
なお、充填孔13は、基板両面を導通させるスルーホールで代用することもでき、指等が挿入不能な大きさで(例えば、2mm以下)、複数形成した方が効果的である。
【0030】
さらに、本実施形態の被覆層30は、部品実装面10aを被覆している。
具体的には、本実施形態では、被覆層30が、カバー12,IC4,IC5とともに部品実装面10aを被覆する。
被覆層30は、硬化すると、これらの部品とともに部品実装面10aに剥離不能に固着される。これにより、被覆層30で覆われたこれらの部品には、直接接触することができず、不正改造を阻止することができる。
【0031】
また、カバー12は、IC1を内包した状態で、被覆層30に被覆されている。これにより、IC1が、例えば、不正改造の成否検査を必要とするロム等の部品である場合には、このカバーを破壊することで、ICピンを露出させることができ、ICピンから記録内容を読み込むことができる。また、カバーなしのIC4に比べると、被覆層30で覆う量や面積を少なくでき、被覆層30を少量に節減しつつ、IC1を保護することができる。
【0032】
また、被覆層30で覆われているIC5は、この基板10を特定する固有IDが外部から読取可能に記録されたICタグとなっている。これにより、IC5(ICタグ)は、被覆層30で覆われ、基板10から剥離することができないことから、ICタグと基板10との一体性を担保できるようになっている。
【0033】
このように、基板ケース1Aは、基板10と板状部材の一例である下ケース21とが被覆層30により分離不能に一体となった本発明の遊技機用基板を備えることで、半田面10bが、接触不能、操作不能となるため、IC1〜IC4などの電子部品を外すことができず、不正改造を阻止できるようになっている。
また、被覆層30がIC1,IC4,IC5などの電子部品とともに部品実装面10aを被覆することで、電子部品の取り外しのみならず、これらに接触することもできず、また、パターンも覆われることから、基板10が不正改造から強力に保護される。
【0034】
次に、基板ケース1Bについて、図5、6を参照して説明する。
図5は、遊技機用基板ケースの一実施形態に係る基板ケース1Bを示す分解斜視図、図6は、基板ケース1Bを被覆層で被覆した状態を示す概略斜視図である。
【0035】
基板ケース1Bは、主基板として機能する基板10と、上ケース20と、本発明の板状部材の一例であり、基板10を収容可能に凹状に形成された下ケース21とで構成されている。
基板10は、図中上方を部品実装面10aとし、図中下方を半田面10bとしたプリント基板であり、部品実装面10aには、カバー12に覆われたDIPタイプのIC1と、複数のコネクタ1〜4等が実装されている。
IC1は、ROM,RAM内蔵のワンチップCPUであり、各ピンが半田面10bで半田接合されている。そのため、半田面10bから半田ごて等を用いて半田を溶解しない限り、これを取り外すことはできないようになっている。
【0036】
上ケース20と下ケース21は、無色透明なABSやポリカーボネート等の工業用樹脂材により箱状に成形され、基板10を間に挟んで、収容可能に形成されている。
上ケース20と下ケース21には、各々対向する位置にカシメ穴201,214が形成され、図示しない特殊な樹脂ピンを挿入することで、この樹脂ピンや周辺のリブ等を破壊しない限り、開封不能に封止されるようになっている(封止構造)。
【0037】
基板10は、本発明の遊技機用基板の一例であり、図6に示すように、下ケース21に収容された状態で、被覆層30によって、分離不能に下ケース21に固着されている。
被覆層30は、二液を混合させるとともに、硬化させて形成した、有色透明なウレタン樹脂(ポリウレタン)系接着剤からなり、下ケース21に形成された注入口213から、半田面10bとケース内面21aとの間に流動する接着剤を隙間なく充填させた後、完全に硬化させて基板10と下ケース21とを固着している。
これにより、半田面10bは、ケース内面21aとの間に介在する被覆層30に加え、下ケース21により覆われることになるため、IC1の各ピンに、半田ごてをあてることも、接触することもできない。これにより、IC1を取替えることができないため、基板10を不正改造から護ることができる。
【0038】
また、本実施形態の被覆層30は、例えば、赤や青、又はラメ入りなどのように有色透明な色彩に着色してある。
これにより、同じ色合いの被覆層30を作成することが困難になり、基板ケース自体を模倣する模倣品の発見が容易になる。
【0039】
さらに、下ケース内面21aには、凹部211と凸部212を形成してある。これにより、被覆層30と下ケース内面21aとの接触面積が増えることになり、これらの固着力を増大させることができる。
さらに、凹部211は、IC1のピンに対応した領域に形成し、それ以外のプリントパターン領域は、凸部212としてある。
これにより、充填される被覆層30を、少量に節減しつつ、固着力を増大させることができる。
【0040】
また、基板10周縁と下ケース21側面との隙間に、被覆層30を充填してある。
これにより、この隙間から半田面10bに異物を挿入することができないため、半田面10bが確実に保護される。
また、半田面10bとケース内面21aとの間に介在する被覆層30が、充填孔13を介して外部に突出するとともに、充填孔13を中心に放射状に広がり、この充填孔13とともに部品実装面10aを覆った状態で硬化している。これにより、この充填孔13を介して挿通された被覆層30が基板10を挟持する構成となり、基板10は下ケース21に強固に固着される。
【0041】
また、カバー12は、IC1を内包した状態で、被覆層30に被覆されている。これにより、IC1が、例えば、不正改造の成否検査を必要とするロム等の部品である場合には、このカバーを破壊することで、ICピンを露出させることができ、ICピンから記録内容を読み込むことができる。また、カバーなしに比べると、被覆層30で覆う量や面積を少なくでき、被覆層30を少量に節減しつつ、IC1を保護することができる。
【0042】
このように、基板ケース1Bは、基板10と板状部材の一例である下ケース21とが被覆層30により分離不能に一体となった本発明の遊技機用基板を備えることで、半田面10bが、接触不能、操作不能となるため、IC1などの電子部品を外すことができず、不正改造を阻止できるようになっている。
また、被覆層30がIC1を内包するカバー12などの電子部品とともに部品実装面10aを被覆することで、電子部品の取り外しのみならず、これらに接触することもできず、また、パターンも覆われることから、基板10が不正改造から強力に保護される。
【0043】
次に、基板ケース1Bの異なる実施形態について、図7、8を参照して説明する。
図7は、基板ケース1Bを半田面10b側から見た分解斜視図、図8は、図7の断面図である。
これらの図に示すように、この実施形態に係る基板10は、板材22を対向して配置し、半田面10bとこの板材22との間に被覆層30を介在させることで、基板10と板材22とを、被覆層30によって分離不能に固着してある。
【0044】
板材22は、本発明の板状部材の一例であり、無色透明なABSやポリカーボネート等の工業用樹脂材からなり、半田面10bから突出するIC1などの電子部品のピンとプリントパターンを全て覆う大きさで形成されるとともに、被覆層30を充填可能に凹設されている。
この板材22と半田面10bとの間に介在する被覆層30は、前述の各実施形態と同様、二液を混合させるとともに、硬化させて形成した、有色透明なウレタン樹脂(ポリウレタン)系接着剤からなり、基板10に形成された図示しない注入口から、半田面10bと板材22との間に流動する接着剤を隙間なく充填させた後、完全に硬化させてある。
これにより、半田面10bは、板材22との間に介在する被覆層30に加え、板材22により覆われることになるため、IC1などの電子部品の各ピン、プリントパターンに、半田ごてをあてることも、接触することもできない。これにより、電子部品の取替えや、プリントパターンの改造を行うことができないため、基板10を不正改造から護ることができる。
なお、板材22は、凹状に形成することなく、平板でもよい。
【0045】
また、板材22における半田面10bと対向する側には、前述の各実施形態と同様、凹部と凸部を形成してある(不図示)。これにより、被覆層30と板材22との接触面積が増えることになり、これらの固着力を増大させることができる。
さらに、凹部は、IC1などの電子部品のピンに対応した領域に形成し、それ以外のプリントパターン領域は、凸部としてある。
これにより、充填される被覆層30を、少量に節減しつつ、固着力を増大させることができる。
【0046】
また、板材22と一体となった基板10は、そのまま上ケース20と下ケース21との間に挟んで収容することができる。
上ケース20と下ケース21は開封不能に封止される封止構造を有することから、基板10は、被覆層30で固着された板材22と、上ケース20と下ケース21とで二重に保護される。また、封止構造を破壊することで、基板10を基板ケース1Bから取り出すことができるため、不正改造の有無を容易に確認することができる。
なお、板材22とケース内面21aとの間に被覆層30を介在させて、基板10と板材22と下ケース21とを分離不能に一体に固着することもできる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る遊技機用基板10と、遊技機用基板ケース1A,1Bによれば、IC1などの電子部品とともに基板面10a,10bを覆う被覆層30を、板材22又は、この基板10を収容するケース内面21aとの間に介在させるとともに、この被覆層30で、基板10と、板材22又はケース21とを分離不能に固着することで、不正改造に対するセキュリティを向上させることができる。
【0048】
以上、本発明の遊技機用基板と遊技機用基板ケースについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る遊技機用基板と遊技機用基板ケースは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0049】
例えば、本実施形態では、電子部品とともに部品実装面10aの一部を被覆層30で被覆したが、部品実装面10aは被覆層30で被覆せずに、半田面10bと、板材22又は下ケース内面21aとの間に被覆層30を介在させるだけでもよい。この場合における被覆層30の介在は、電子部品であるICピンとともに、基板面である半田面10bを被覆層30で被覆することに他ならないので、本発明の範囲内である。
【0050】
また、半田面10bと、板材22又は下ケース内面21aとの間に被覆層30を介在させたが、部品実装面10aと、板材22又は上ケース内面との間に被覆層30を介在させることもできる。
さらに、基板10を二つの板材22で挟むとともに、各板材22と基板10両面との間に被覆層30を介在させた一体型の基板10を形成することもできる。
また、基板10両面と、上下ケース内面との間に被覆層30を介在させ、開封不能な一体型の基板ケースとすることもできる。
【0051】
また、本実施形態では、被覆層30をウレタン樹脂系接着剤としたが、アクリル樹脂系接着剤や、エポシキ樹脂系接着剤などの合成系接着剤を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、遊技機に取付けられる遊技機用基板と遊技機用基板ケースに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1A,1B 遊技機用基板ケース
10 基板
10a 部品実装面
10b 半田面
20 上ケース
21 下ケース
21a ケース内面
211 凹部
212 凸部
22 板材(板状部材)
30 被覆層
100 スロットマシン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電子部品が実装された基板と、
前記電子部品とともにその基板面を、視認可能、かつ、剥離不能に覆う被覆層と、
前記被覆層を間に介在させて前記基板面と対向する所定の板状部材と、を備え、
前記基板と前記板状部材とが、前記被覆層によって分離不能に固着されたことを特徴とする遊技機用基板。
【請求項2】
前記板状部材に凹凸を形成し、前記被覆層をこの凹凸に充填した請求項1記載の遊技機用基板。
【請求項3】
前記凹凸を、前記基板面と前記板状部材との間に存在する電子部品の高さに応じて形成した請求項2記載の遊技機用基板。
【請求項4】
所定の電子部品を覆うカバー部材を備え、
前記被覆層が、前記カバー部材を覆う請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機用基板。
【請求項5】
前記基板及び/又は前記板状部材は、硬化して前記被覆層を形成する所定の流動材を、前記基板面と前記板状部材との間に注入するための注入口を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の遊技機用基板。
【請求項6】
前記被覆層が、固有のID情報を外部から読取可能に記録する所定の電子部品を覆う請求項1〜5のいずれか一項に記載の遊技機用基板。
【請求項7】
前記板状部材を、前記基板を収容可能に凹状に形成し、
前記基板周縁と前記板状部材側面との間に形成される隙間を、前記被覆層で充填した請求項1〜6のいずれか一項に記載の遊技機用基板。
【請求項8】
前記基板は、一面が電子部品の実装面となり、他面が半田面となる基板であり、
前記被覆層を、前記半田面と前記板状部材との間に充填した請求項1〜7のいずれか一項に記載の遊技機用基板。
【請求項9】
前記被覆層を、所定の色彩に着色した請求項1〜8のいずれか一項に記載の遊技機用基板。
【請求項10】
前記基板に、前記基板面と前記板状部材との間に介在させた被覆層が充填される充填孔を形成した請求項1〜9のいずれか一項に記載の遊技機用基板。
【請求項11】
前記被覆層を前記充填口に挿通させ、この被覆層で前記基板両面を挟持した請求項10記載の遊技機用基板。
【請求項12】
所定の電子部品が実装された基板と、この基板を間に挟んで収容するケースと、を備える基板ケースであって、
前記基板が請求項1〜11のいずれか一項に記載の遊技機用基板であることを特徴とする遊技機用基板ケース。
【請求項13】
前記基板と分離不能に固着される所定の板状部材を前記ケースとした請求項12記載の遊技機用基板ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−24621(P2011−24621A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170288(P2009−170288)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】