説明

遊技機用電子制御装置の検査システム

【課題】複数の種別の遊技制御基板を効率よく且つ簡便に検査できるような検査システムを得る。
【解決手段】遊技機用電子制御装置の検査システムは、検査プログラムを記憶したコンピュータ本体11を備えるマスターシステムMSと、遊技制御基板CBを着脱自在に取り付け可能であり、マスターシステムから送られてくる検査プログラムを用いてこの遊技制御基板CBの検査を行う複数のクライアントシステムCS1,CS2・・・と、マスターシステムとこれら複数のクライアントシステムとをそれぞれ通信可能に接続する通信ラインCL1とを有して構成される。各クライアントシステムCS1,CS2・・・は種類の異なる遊技制御基板CBの検査が可能であり、各クライアントシステムにおいて、マスターシステムから通信ラインを介して送られた検査プログラムのうちの検査対象となる遊技制御基板に対応した検査プログラムを用いて、その検査を行うとともに、その検査結果を通信ラインを介してマスターシステムに報告するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロットマシーン等の遊技作動・表示制御等を行う遊技機用電子制御装置、具体的には遊技制御基板等の検査を行う検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機、スロットマシーン等に代表される遊技機は、機械的な装置構成を電気的に作動させる制御を採用しており、その作動制御を行う電子制御装置としての制御基板が搭載されている。この制御基板は、遊技機の機械的な作動制御、遊技機に設けられた表示装置による表示制御を行うものであり、制御基板に不良、不具合があると遊技機の作動不良に直結するため、制御基板の検査は非常に重要なものである。このため、遊技機の製造工程において遊技機やそこに用いられる制御基板の検査を行うシステムもしくは装置は従来から種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
なお、特許文献1に開示されている検査装置は、制御基板のみならずパチンコ機全体の検査を行うものであり、パチンコ機の各種の性能に係る試験を一度にまとめて自動で行うことができる構成であり、パチンコ機を試験するための検査用プログラムを搭載するとともに検査データを記憶するコンピュータを用いて検査を行うように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−149620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、製造工程においては複数種の遊技機を混在して製造することが多く、この場合には製造工程においてこれら複数種遊技機のそれぞれの遊技機用制御基板(遊技機用電子制御装置)等を検査する必要がある。従来においては、これら複数種の制御基板を検査対象とするために、検査装置に搭載する検査プログラムをその都度交換して対応したり、各検査装置毎に複数の検査プログラムを記憶保持しておき、検査対象となる制御基板の種別に合わせて所望の検査プログラムを選択して検査を行うようになっていた。このため、検査対象となる制御基板の種別が変わる度に新たに検査の準備を行う必要があり、検査準備に手間がかかり煩雑であり、検査時間が長くなるという問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、複数の種別の遊技機用制御装置(例えば、制御基板)を効率よく且つ簡便に検査できるような検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る遊技機用電子制御装置の検査システムは、検査プログラムを記憶したマスターシステムと、遊技機用電子制御装置を着脱自在に取り付け可能であり、前記マスターシステムから送られてくる検査プログラムを用いて前記取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行う複数のクライアントシステムと、前記マスターシステムと前記複数のクライアントシステムとをそれぞれ通信可能に接続する通信ラインとを有して構成される。そして、前記複数のクライアントシステムはそれぞれ種類の異なる遊技機用電子制御装置の検査が可能であり、前記複数のクライアントシステムのそれぞれにおいて、前記マスターシステムから前記通信ラインを介して送られた検査プログラムのうちの検査対象となる遊技機用電子制御装置に対応した検査プログラムを用いて、前記クライアントシステムに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行うとともに、その検査結果を前記通信ラインを介して前記マスターシステムに報告するように構成される。
【0008】
なお、この検査システムにおいて、前記複数のクライアントシステムは、それぞれ自己のクライアントシステムに取り付けられて検査対象となる遊技機用電子制御装置の種別を認識し、認識された前記遊技機用電子制御装置に対応した前記検査プログラムのみの使用を許可するように構成されているのが好ましい。
【0009】
上記検査システムにおいて、前記複数のクライアントシステムのそれぞれが、前記マスターシステムから前記通信ラインを介して複数の前記検査プログラムをダウンロードして記憶する機能を有しており、このように記憶された前記複数の検査プログラムから前記クライアントシステムに取り付けられた遊技機用電子制御装置に対応した検査プログラムを読み出して使用するようになっているのが好ましい。
【0010】
この場合に、前記複数のクライアントシステムのそれぞれに記憶された前記複数のプログラムから所望の検査プログラムを読み出す操作を行う操作手段が設けられており、操作手段の操作により所望の検査プログラムを読み出すように構成されているのが好ましい。
【0011】
上記検査システムにおいて、前記クライアントシステムがそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行うときに、前記マスターシステムが前記クライアントシステムから検査開始信号を受けた後、所定間隔で前記クライアントシステムにアクセスして状態監視を行い、検査完了時に前記クライアントシステムから検査完了報告を受領するように構成されているのが好ましい。
【0012】
上記検査システムにおいて、前記クライアントシステムがそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行った結果、エラーが検出されたときには、前記マスターシステムがエラー検出報告を前記クライアントシステムから前記検査完了報告とともに受領するように構成されているのが好ましい。
【0013】
上記検査システムにおいて、前記クライアントシステムがそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行った結果内容を記憶保存する検査結果保存手段を有しており、前記検査結果保存手段は前記クライアントシステムの電源オフ状態で所定期間の記憶保存が可能であるように構成されているのが好ましい。
【0014】
上記検査システムにおいて、前記マスターシステムに、必要とされる全ての検査プログラムが保存されており、前記クライアントシステムは前記通信ラインを介して前記マスターシステムにアクセスして所望の検査プログラムをダウンロードすることができるように構成されているのが好ましい。
【0015】
上記検査システムにおいて、前記クライアントシステムにおいてそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行ったときに、その検査結果を表示するクライアント側表示手段を備えているのが好ましい。
【0016】
上記検査システムにおいて、前記マスターシステムに、前記通信ラインを介して接続された前記複数のクライアントシステムとの接続状況を表示するマスター側表示手段を備えているのが好ましい。
【0017】
上記検査システムにおいて、前記マスター側表示手段に、前記複数のクライアントシステムによる遊技機用電子制御装置の検査結果を各クライアントシステム毎に表示するように構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成された本発明に係るによれば、各クライアントシステムは、マスターシステムから通信ラインを介して送られた検査プログラムのうちの検査対象となる遊技機用電子制御装置に対応した検査プログラムを用いてそのクライアントシステムに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行うことができ、一つのマスターシステムから送られる共通の検査プログラムを複数のクライアントシステムのいずれにおいても簡単に使用できるため、種別の異なる遊技機用電子制御装置に対応した検査プログラムの切換設定が簡単であり、検査を迅速化、効率化することができる。また、各クライアントシステムからそこでの検査結果を通信ラインを介してマスターシステムに報告されるため、マスターシステム側で複数のクライアントシステムでの検査を一元管理することができ、多数のクライアントシステムを適切に可動させて効率の良い検査を行うことができる。
【0019】
さらに、検査プログラムが共通化されるため、検査対象となる遊技機用電子制御装置における基板回路の変更があった場合や、検査内容の部分的な設定変更があった場合には、検査プログラムをマスターシステムにおいて編集修正することで、全てのクライアントシステムに対して容易に対応することができる。
【0020】
この検査システムにおいて、各クライアントシステムがそこに取り付けられて検査対象となる遊技機用電子制御装置の種別を認識し、認識された遊技機用電子制御装置に対応した検査プログラムのみの使用を許可する構成とすれば、種別の異なる遊技機用電子制御装置のそれぞれに間違いなく正しい検査プログラムを用いて的確且つ確実な検査を行うことができる。
【0021】
この検査システムにおいて、複数のクライアントシステムのそれぞれがマスターシステムから複数の検査プログラムをダウンロードして記憶する機能を有し、このように記憶された複数の検査プログラムからそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置に対応した検査プログラムを読み出して使用する構成とすれば、検査対象となる遊技機用電子制御装置の種別が変わったときに、それに対応する検査プログラムを簡単に読み出して使用することかでき、検査効率が向上する。
【0022】
上記検査システムにおいて、複数のクライアントシステムのそれぞれに記憶された複数のプログラムから操作手段の操作により所望の検査プログラムを読み出すように構成とすれば、検査対象となる遊技機用電子制御装置の種別が変わったときなどに、操作手段を操作して、所望の検査プログラムを簡単に読み出して使用することができ、検査効率が向上する。
【0023】
上記検査システムにおいて、クライアントシステムがそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行うときに、マスターシステムがクライアントシステムから検査開始信号を受けた後、所定間隔でクライアントシステムにアクセスして状態監視を行い、検査完了時にクライアントシステムから検査完了報告を受領するように構成すれば、マスターシステム側で複数のクライアントシステムにおける検査状況を的確に監視し、管理することが可能となる。
【0024】
上記検査システムにおいて、クライアントシステムによる遊技機用電子制御装置の検査を行った結果、エラーが検出されたときには、マスターシステムがエラー検出報告をクライアントシステムから検査完了報告とともに受領するように構成すれば、マスターシステム側でエラーの有無を的確に知ることができ、エラーログを整理して記録保存することが可能となる。
【0025】
上記検査システムにおいて、クライアントシステムによる遊技機用電子制御装置の検査結果内容を検査結果保存手段に少なくとも所定期間は記憶保存することができるので、検査結果を後で再チェックすることができる。
【0026】
上記検査システムにおいて、マスターシステムに、必要とされる全ての検査プログラムが保存されており、クライアントシステムは通信ラインを介してマスターシステムにアクセスして所望の検査プログラムをダウンロードすることができるように構成すれば、クライアントシステムにおいて種別の異なる遊技機用電子制御装置の全てについて検査プログラムを記憶保存する必要がなく、必要に応じてマスターシステムから適宜ダウンロードして用いればよく、クライアントシステムの構成を簡単にすることができる。
【0027】
上記検査システムにおいて、クライアントシステムが、そこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行ったときに、その検査結果を表示するクライアント側表示手段を備えていれば、一旦マスターシステムから検査プログラムを受領した後においては、クライアントシステムのみで検査を行うとともに検査結果をクライアント側表示手段に表示させて適切な検査を行うことができる。すなわち、クライアントシステムをあたかもスタンドアローンタイプのシステムとして用いることができる。
【0028】
上記検査システムにおいて、マスターシステムに、通信ラインを介して接続された複数のクライアントシステムとの接続状況を表示するマスター側表示手段を備えていれば、マスターシステム側においてどのクライアントシステムと接続して使用されているかということがマスター側表示手段を見れば簡単に知ることができ、マスターシステムにおける複数のクライアントシステムの適切な管理が可能となる。
【0029】
この場合において、マスター側表示手段に、複数のクライアントシステムによる遊技機用電子制御装置の検査結果を各クライアントシステム毎に表示するようにすれば、マスターシステムにおいて複数のクライアントシステムの一括管理を容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。以下においては、図面を参照してスロットマシン用の遊技制御基板の検査システムを説明するが、製造過程においては、遊技制御基板に遊技制御用の心臓部となる電子部品(制御プログラムを記憶したROM等)を未装着の状態で行う封印前検査と、この電子部品を装着して封印した状態で行う封印後検査とが行われるようになっており、封印前検査用の検査システムと、封印後検査用の検査システムとは構成が相違する。このため、封印前検査システムを第1実施形態として図1〜図7を参照して説明し、封印後検査システムを第2実施形態として図8〜図10を参照して説明する。
【0031】
これら第1および第2実施形態について説明する前に、遊技制御基板CBについて図11を参照して簡単に説明する。遊技制御基板CBは、配線パターンが形成されるとともに多数の電子部品(いずれも図示省略)が実装された基板100と、基板上に実装された遊技制御ROM101と、基板上に実装された基板コネクタ102とから構成される。遊技制御ROMは遊技機における当たり確率等を決めるプログラムを有した遊技制御の心臓部とも言えるものであり、法的な規則に則って作られており、厳重な管理が求められる。このため、遊技制御ROMを除く電子部品および基板コネクタ102を実装した状態の基板を作成し、その状態での基板の作動を検査(これが封印前検査である)を行い、この検査により正常であることが確認された後に、遊技制御ROM101を実装して封印し、この封印後の基板の検査(これが封印後検査である)も行うようになっている。
【0032】
第1実施形態(封印前検査)
ここでは上述のように封印前の状態、すなわち、遊技制御の心臓部となる遊技制御ROM101が未装着の状態の遊技制御基板の検査(すなわち、基板上の回路のチェック)を行うもので、この封印前検査システムは、図1に示すように、マスターシステムMSと、複数のクライアントシステムCS1,CS2・・・と、マスターシステムMSとこれら複数のクライアントシステムCS1,CS2・・・とを互いに通信可能に接続する通信ラインCL1とを備えて構成される。
【0033】
マスターシステムMSは、一般的な小型コンピュータ(パーソナルコンピュータでも良い)10から構成され、この検査システムに必要とされる全ての検査プログラム等を記憶保存するメモリ、演算装置等を備えたコンピュータ本体11と、検査状況、結果等の表示に用いられるディスプレイ部12とを備えて構成される。通信ラインCL1は、マスターシステムMSを構成するコンピュータ本体11と複数のクライアントシステムCS1,CS2・・・のそれぞれとをハブ20を介して通信ケーブル21、22、23・・・により通信可能に繋げている。
【0034】
これらクライアントシステムCS1,CS2・・・の構成を、クライアントシステムCS1を例にして図2及び図3を参照して説明する。このクライアントシステムCS1は、検査治具本体30と、検査治具本体30の上に着脱可能に取り付けられたリールユニット(遊技作動ユニット)35と、スロットマシンにおいて実際に使用されるものと同一の構成を有した電源ユニット38と、検査治具本体30の前面に電気コネクタを介して着脱自在に装着されたチェッカーユニット40と、検査治具本体30内に配設された中継基板50とを備えて構成される。
【0035】
検査治具本体30は、矩形箱状の本体筐体30aと、この本体筐体30aの下部を構成するとともに前方に突出する構成の下部支持部30bとを備えて構成され、下部支持部30bの上に検査対象となる遊技制御基板CBを着脱自在に支持する基板支持ボックス31が前後にスライド移動可能に設けられている。また、下部支持部30bの前部における左右端部に左右一対のスタートボタン32a,32bが設けられている。なお、基板支持ボックス31はその上面に遊技制御基板CBを載置可能な構成であり、その前面に設けられたハンドル31aを引っ張って前方側に引き出した引出位置(図示の位置)から、ハンドル31aを押して本体筐体30a内に押し込んだ装着位置まで前後にスライド移動可能となっている。
【0036】
上述のように封印前の基板CBは遊技制御ROM101が未実装であり、基板コネクタ102からの信号を入力して検査しても遊技制御ROMの位置で配線が遮断されるため、所望の検査を行うことができない。このため、本体筐体30a内には複数の検査ピン(図示せず)が設けられており、遊技制御ROMが未装着状態の遊技制御基板CBを載置した基板支持ボックス31が装着位置まで押し込まれたときに、これら検査ピンが下動されて遊技制御基板CBの配線パターンの所望位置もしくは電子部品の所望の端子部と当接接触するように構成されている。なお、これら検査ピンは、図5に示すように、内部配線によりコネクタ中継基板50と繋がるとともにコネクタ45,51を介してチェッカーユニット40と接続されており、これにより、チェッカーユニット40により検査ピンを介して信号の入出力を行って、遊技制御基板CBの配線不良、遊技制御ROM以外の電子部品の不良等の有無を検査可能となっている。
【0037】
中継基板50は本体筐体30a内に配設されており、そこに取り付けられたチェッカー取付用コネクタ51が本体筐体30aの前面側に露出して突出している。このチェッカー取付用コネクタ51を介してチェッカーユニット40が着脱自在に取り付けられる。
【0038】
チェッカーユニット40は、図4に示すように、矩形箱状のチェッカー筐体40aと、チェッカー筐体40aの前面側に設けられた液晶表示部41、プログラム選択タクトスイッチ42a〜42c、状態表示LED43およびブザー44と、チェッカー筐体40aの右側面に設けられたDCジャック46および電源スイッチ47と、左側面に設けられたLANコネクタ48と、チェッカー筐体40aの後面に設けられたチェッカー側コネクタ45とを備える。液晶表示部41は検査を行うための各種表示を行うもので、タクトスイッチ42a〜42cは液晶表示部41での表示と組み合わせて検査プログラムを選択するために操作されるスイッチである。状態表示LED43は、電源ON時に青色点灯する電源確認用LED43aと、検査結果がOKのときに緑色点灯するOK表示LED43bと、検査結果がNGのときに赤色点灯するNG表示LED43cと、検査中に黄色点灯する検査中表示LED43dとからなる。ブザー44は、検査結果により異常と判断されたときに音によりそれを通知するためのものである。
【0039】
チェッカーユニット40は図示しないACアダプタにより変換された所定電圧の直流電力を受けて作動されるもので、この直流電力が供給されるACアダプタに繋がる電源ラインがDCジャック46に接続される。電源スイッチ47はDCジャック46から電力供給を行わせてチェッカーユニット40を作動させるときに操作されるスイッチである。LANコネクタ48は通信ケーブル22と接続するためのコネクタである。チェッカー側コネクタ45は、本体筐体30aの前面側に露出して突出するチェッカー取付用コネクタ51と嵌合接続可能であり、チェッカー側コネクタ45をチェッカー取付用コネクタ51と嵌合させて、チェッカーユニット40を本体筐体30aの前面に着脱自在に取り付けることができる。
【0040】
検査治具本体30の上に着脱可能に取り付けられたリールユニット35は、実際のスロットマシンに使用される代表的なリールユニットであり、遊技制御基板CBに実装された各種電子部品(遊技制御ROM101以外の電子部品)によりリールユニット35が正常に作動するかを確認するために設けられている。このため、検査対象となる遊技制御基板CBが搭載されるスロットマシンにおいて実際に使用されるリールユニットと同一のものである必要はなく、同種の作動構成を有して作動確認を行うことができる同種の構成のリールユニットであれば良い。
【0041】
電源ユニット38は実際のスロットマシンに使用される代表的な電源ユニットであり、実際のスロットマシンにおいては遊技制御基板CBはこの電源ユニットから供給される電力を受けて作動するものであるため、電源ユニット38からの電力供給を行わせて遊技制御基板CBの検査を行う。このため、検査対象となる遊技制御基板CBが搭載されるスロットマシンにおいて実際に使用される電源ユニットと同一のものである必要はなく、これと同様な電力供給を行わせて遊技制御基板CBの作動確認を行うことができる同種の構成の電源ユニットであれば良い。
【0042】
以上の構成のクライアントシステムCS1の作動構成は図5のブロック図に示すようになっており、この図を参照してその作動を含めもう少し具体的に構成を説明する。検査治具本体30内には、それ自体の作動制御用のCPU基板33a、外部AC100V電力供給を受けるピン治具電源33b等を備える。また、この検査治具本体30内において検査ピンを遊技制御基板CBに当接させる移動制御をエアシリンダにより行うように構成されており、そのためのエア供給を行うエアコンプレッサ36を有している。検査ピンの移動のためのエアコンプレッサ36から供給されたエアの供給制御は、ピン治具電源33bにより電力供給を受けるとともにCPU基板33a内のプログラムによりバルブ(図示せず)の作動を制御して行われる。
【0043】
検査治具本体30内には前述のように中継基板50が配設されており、そこに取り付けられたチェッカー取付用コネクタ51にチェッカー側コネクタ45を嵌合させてチェッカーユニット40が中継基板50に接続されている。また、電源ユニット38は中継基板50に接続され、電源ユニット38からの電力が中継基板50から検査ピンを介して被検査主基板となる遊技制御基板CBに実際のスロットマシンにおける場合と同様に供給される。さらに、リールユニット35も中継基板50に接続されており、遊技制御基板CBから検査ピンを介して出力される制御信号を受けてリールユニット35の作動が制御される。
【0044】
以上説明したように構成される封印前検査システムにおける具体的な検査内容について、図6および図7に示すマスターシステムにおけるディスプレイ部12での表示例を参照しながら説明する。なおここでは、マスターシステムMSと繋がるクライアントシステムCS1に遊技制御基板CBを搭載して検査する場合の例を説明する。
【0045】
マスターシステムMSを構成するコンピュータ本体11のメモリにはこれに繋がるクライアントシステムCS1,CS2・・・に必要とされる検査プログラムが入力され、記憶されている。なお、新たな種別の遊技制御基板を検査するときに、その都度、その基板用の検査プログラムをコンピュータ本体11のメモリに入力して記憶される構成であっても良い。
【0046】
マスターシステムMSのディスプレイ部12には、図6に示すように、通信ライン20を介して繋がるクライアントシステムCS1,CS2・・・との接続状態が表示される。例えば、図6に示す表示「CHECKER 1 〜 CHECKER 12」がクライアントシステムCS1〜12に対応し、この検査システムでは合計12のクライアントシステムが接続可能であることを示している。これら各表示毎に、対応クライアントシステムの状態が表示され、その表示としては、図7に示すように、クライアントシステムが未接続状態もしくは未作動状態であることを示す表示(「No Signal」という表示)、クライアントシステムに接続されて待機中であり、検査が開始できるということを示す表示(「待機中」という表示)、クライアントシステムにおける検査を実行中ということを示す表示(「検査中」という表示)、クライアントシステムにおける検査を実行した結果OK(異常なし)であるということを示す表示(「OK」という表示)、クライアントシステムにおける検査を実行して異常が見つかりその異常内容を示す表示(例えば、図示のように「7SEGデジット3が異常です。」いう表示)がある。
【0047】
なお、図6の場合には、クライアントシステム(CHECKER)CS1,CS2,CS4に装着された遊技制御基板の検査結果がOK(異常なし)であり、クライアントシステムCS3に装着された遊技制御基板は検査により異常が見つかりその異常内容が表示(「7SEGデジット3が異常です。」という表示)されており、クライアントシステムCS5,CS6は現在検査中であり、クライアントシステムCS7は繋がっているが検査待ち状態(検査を開始可能な状態)であることを示している。また、クライアントシステムCS8〜CS12については信号が送られてきておらず、未接続状態もしくは未作動状態であることを示している。
【0048】
さらに、図6の表示の左下部には検査結果の集計が表示されており、この例では合計500個の遊技制御基板が検査され、そのうちOKの基板が497個、NGの基板が3個であることが示されている。
【0049】
次に、マスターシステムMSに繋がるクライアントシステムCS1による遊技制御基板CBの検査を例にして、その検査内容について説明する。クライアントシステムCS1において遊技制御基板CBの検査を行うには、検査対象となる遊技制御基板CBに対応する検査プログラムをマスターシステムMSのコンピュータ本体11のメモリから読み出してチェッカーユニット40のメモリにダウンロードする。このダウンロードは、マスターシステムMSのコンピュータ本体11において指令を入力して行っても良く、クライアントシステムCS1側からの要求に応じて行っても良い。なお、クライアントシステムCS1のチェッカーユニット40のメモリには複数の検査プログラムを記憶可能であり、予め複数の検査プログラムをダウンロードして記憶しておき、検査員がプログラム選択タクトスイッチ42a〜42cを操作して所望の検査プログラムを選択できるようになっている。
【0050】
クライアントシステムCS1において検査を行うには、まず、ハンドル31aを引っ張って基板支持ボックス31を引出位置まで移動させ、その上に検査対象となる遊技制御基板CBを載置する。そして、ハンドル31aを押して基板支持ボックス31を遊技制御基板CBを搭載したまま装着位置まで押し込む。このようにして基板支持ボックス31が装着位置に移動すると、エアコンプレッサ36から供給されるエア圧の供給制御により検査ピンが下動され、遊技制御基板CBの配線パターンの所望位置もしくは電子部品の所望の端子部と当接接触して検査が開始可能な状態となる。
【0051】
そして、検査員が左右のスタートボタン32a,32bを同時に押し下げ操作すると、検査開始指令信号がチェッカーユニット40に送られ、チェッカーユニット40において記憶されて選択された検査プログラムに基づいて遊技制御基板CBの検査が行われる。このように左右のスタートボタン32a,32bを同時に押し下げ操作しないと検査が開始されない構成であり、スタートボタンの誤操作を防止している。
【0052】
この検査は、検査プログラムに基づいてチェッカーユニット40から中継基板50を介して検査指令信号が遊技制御基板CBに送られ、これに応じて遊技制御基板CBから出力される信号内容をチェックして行われる。このとき、遊技制御基板CBからはリールユニット35を作動させる信号も出力され、これが中継基板50を介してリールユニット35に送られてこれが回転駆動されるので、この回転駆動を検査員が目視でチェックして検査するという検査も行われるようにもなっている。このようにして検査が行われているときに、チェッカーユニット40の状態表示LED43のうちの検査中表示LED43dが点灯する。
【0053】
なお、検査員が左右のスタートボタン32a,32bを同時に押し下げ操作して検査開始指令信号がチェッカーユニット40に送られときに、この検査開始指令信号は通信ラインCL1を介してマスターシステムMSのコンピュータ本体11にも送られ、コンピュータ本体11においては、この検査開始指令信号を受けると、ディスプレイ部12におけるクライアントシステムCS1の状態表示(図6のCHECKER1の欄の表示)を「待機中」表示から「検査中」表示に切り換える。
【0054】
このようにしてチェッカーユニット40のメモリから選択して検査プログラムに従って検査が行われ、検査が完了するとその検査結果がチェッカーユニット40の液晶表示部41に表示され且つ状態表示LED43による点灯表示がなされる。なお、この検査結果を、通信ラインCL1を介してマスターシステムMSのコンピュータ本体11に送るように構成しても良い。マスターシステムMSのコンピュータ本体11は検査開始指令信号を受けたときから所定時間間隔(例えば、1秒間隔)で通信ラインCL1を介してチェッカーユニット40にアクセスして状態監視を行うようになっており、その監視結果に基づいて、検査が行われている間はディスプレイ部12におけるクライアントシステムCS1の状態表示を「検査中」表示にする。また、検査が完了したときには、検査完了報告がマスターシステムMSに送信される。
【0055】
このようにして検査完了報告がチェッカーユニット40から通信ラインCL1を介してマスターシステムMSのコンピュータ本体11に送られると、ディスプレイ部12におけるクライアントシステムCS1の状態表示をこの検査結果に基づく表示に変更する。すなわち、検査結果が異常無しのときには「OK」表示とし、異常が見つかったときにはその旨もしくは異常内容を示す表示を行う。なお、検査完了報告のみがマスターシステムMSに送信される場合には、マスターシステムMSでは検査が完了したことが判断できるだけであるが、この異常内容をマスターシステムMSに送って表示させ、且つ、これが見つかった日時記録情報とともに異常内容を記憶保存するように構成しても良い。
【0056】
一方、チェッカーユニット40においてもこれと同様な表示がなされる。すなわち、検査結果が異常無しのときには状態表示LED43のOK表示LED43bを点灯するとともに液晶表示部41に「OK」表示を行い、異常が見つかったときには状態表示LED43のNG表示LED43cを点灯するとともにブザー44を鳴らして警告を行い、さらに液晶表示部41にその異常内容を示す表示を行う。なお、この異常内容はチェッカーユニット40(もしくは他の適切なメモリ部)において、これが見つかった日時記録情報とともに記憶保存されるようにしても良い。この場合、メモリ部は不揮発性メモリもしくは保持機能を有したメモリを用いて電源オフの場合でも所定時間(例えば、1週間)以上の記憶保持が可能なように構成される。この構成から分かるように、クライアントシステムCS1は、チェッカーユニット40のメモリに検査プログラムをマスターシステムMSからダウンロードして記憶保存している限りにおいて、それ単独で遊技制御基板CBの検査を行って、その結果を表示させるスタンドアローンタイプの検査装置として用いることができる。
【0057】
以上のようにして遊技制御基板CBの検査が完了したときには、ハンドル31aを引っ張って基板支持ボックス31を引出位置まで移動させ、その上に載置した検査済みの遊技制御基板CBを取り外し、新たな検査対象となる遊技制御基板CBを載置して次の検査が行われる。なお、基板支持ボックス31を引出位置と装着位置とで自動的にスライド移動させる機構を設け、検査開始および完了時に基板支持ボックス31を自動的にスライド移動させるような構成としても良い。
【0058】
以上説明した検査が、他のクライアントシステムCS2等においても同様に行われ、マスターシステムMSのコンピュータ本体11には、通信ラインCL1を介して繋がる全てのクライアントシステムからの検査結果が送られてくる。このため、コンピュータ本体11においては、このようにした各クライアントシステムからの検査結果を集計し、図6における左下に示すように、集計結果を表示する。
【0059】
第2実施形態(封印後検査)
次に、上述のように封印前検査システムにより検査が行われて異常なしと判定された遊技制御基板CBに、遊技制御の心臓部となる遊技制御ROM101を装着して封印した後の遊技制御基板CBの検査を行う封印後検査システムについて、図8〜図10を参照して説明する。
【0060】
封印後検査は、遊技制御ROMを実装した遊技制御基板CBの検査を行うもので、遊技機における電源制御、作動制御、表示制御等の機能を検査する。具体的には、当たり確率の設定(例えば、1〜6までの6段階の設定が可能)の状態もしくは作動確認、遊技機の表示部における表示、演出に係るサブ制御出力の状態もしくは作動確認、メダル投入や払出の状態もしくは作動確認、回転リールの状態もしくは作動確認、各種スイッチの作動に伴う信号状態確認、外部情報の入出力確認等の検査が行われる。なお、本実施形態ではスロットマシンを対象としているが、パチンコ機の場合には、各週入賞口やゲートのスイッチの作動確認や、保留ランプの状態もしくは作動確認等を含めた遊技制御全般の検査が行われる。なお、従来の封印後検査システムでは、基板の種別毎に専用の検査治具を必要としていたが、本実施形態の封印後検査システムでは、基板の種別変更時に、プログラムと中継基板の変更で対応が可能である。
【0061】
封印後検査システムは、図8に示すように、マスターシステムMSと、複数のクライアントシステムCS101,CS102・・・と、マスターシステムMSとこれら複数のクライアントシステムCS101,CS102・・・とを互いに通信可能に接続する通信ラインCL2とを備えて構成される。
【0062】
マスターシステムMSは、図1に示す第1実施例に係るマスターシステムと同一のものを用いても良く、一般的な小型コンピュータ(パーソナルコンピュータでも良い)10から構成され、この検査システムに必要とされる全ての検査プログラム等を記憶保存するメモリを備えたコンピュータ本体11と、ディスプレイ部12とを備える。通信ラインCL2は、マスターシステムMSを構成するコンピュータ本体11と複数のクライアントシステムCS101,CS102・・・のそれぞれとを、ハブ120を介して通信ケーブル121、122、123・・・により通信可能に繋げている。
【0063】
これらクライアントシステムCS101,CS102・・・の構成を、クライアントシステムCS101を例にして図9および図10を参照して説明する。このクライアントシステムCS101は、検査対象となる遊技制御基板CBを保持する基板保持体130と、スタートボタン132aを有したスタートスイッチユニット132と、リールユニット(遊技作動ユニット)35と、電源ユニット38と、チェッカーユニット40と、中継基板150とを備えて構成される。なお、リールユニット35、電源ユニット38およびチェッカーユニット40は、上記第1実施形態において説明した封印前検査システムを構成するクライアントシステムCS1,CS2・・・に用いたものと同一構成のものを用いるため、これらについては同一部分に同一番号を付して、その詳細説明は省略する。
【0064】
クライアントシステムCS101においては、基板保持体130に保持された遊技制御基板CBの基板コネクタ102と嵌合接続可能な検査用コネクタ155を先端に有した基板接続ケーブル155aが中継基板150に接続されており、検査用コネクタ155を基板コネクタ102と嵌合接続させることにより、基板接続ケーブル155aを介して検査対象となる遊技制御基板CBを中継基板150と接続するようになっている。
【0065】
スタートスイッチユニット132、リールユニット35および電源ユニット38はそれぞれ、接続ケーブル132b,35aおよび38aを介して中継基板150に接続されている。チェッカーユニット40は、上記第1実施形態において説明した封印前検査システムを構成するクライアントシステムCS1における場合と同様に、電気コネクタにより着脱自在となって中継基板150に接続されている。チェッカーユニット40はACアダプタ149を先端に有した接続ケーブル149aがDCジャック46に接続されるようになっており、ACアダプタ149を電源コンセントに差し込んでここで所定電圧の直流電力に変換し、これがチェッカーユニット40に供給される。
【0066】
以上の構成のクライアントシステムCS101の作動構成は図10のブロック図に示すようになっており、このような構成の封印後検査システムにおける具体的な検査内容について、以下に説明する。なお、マスターシステムMSのディスプレイ部12における表示は、図6および図7に示したものと同じ表示がなされる。
【0067】
クライアントシステムCS101において、遊技制御ROM101を実装して封印した後の遊技制御基板CBの検査を行うには、この遊技制御基板CBに対応する検査プログラムをマスターシステムMSのコンピュータ本体11のメモリから読み出してチェッカーユニット40のメモリにダウンロードする。クライアントシステムCS1のチェッカーユニット40のメモリに予め複数の検査プログラムをダウンロードして記憶しておき、検査員がプログラム選択タクトスイッチ42a〜42cを操作して所望の検査プログラムを選択しても良い。
【0068】
クライアントシステムCS101において検査を行うには、まず、検査対象となる遊技制御基板CBを基板保持体130にに保持させ、検査用コネクタ155をこの遊技制御基板CBの基板コネクタ102と嵌合させて基板接続ケーブル155aを介して中継基板150と接続する。
【0069】
これにより検査可能な状態となるため、検査員がスタートスイッチユニット132のスタートボタン132aを押し下げ操作すると、検査開始指令信号が中継基板150を介してチェッカーユニット40に送られ、チェッカーユニット40において記憶されて選択された検査プログラムに基づいて遊技制御基板CBの検査が行われる。
【0070】
この検査は、検査プログラムに基づいてチェッカーユニット40から中継基板150を介して検査指令信号が遊技制御基板CBに送られ、これに応じて遊技制御基板CBから出力される信号内容をチェックして行われる。このとき、遊技制御基板CBからはリールユニット35を作動させる信号も出力され、これが中継基板150を介してリールユニット35に送られてこれが回転駆動されるので、この回転駆動を検査員が目視でチェックして検査するという検査も行われる。このようにして検査が行われているときに、チェッカーユニット40の状態表示LED43のうちの検査中表示LED43dが点灯する。
【0071】
なお、検査員がスタートボタン132aを押し下げ操作して検査開始指令信号がチェッカーユニット40に送られときに、この検査開始指令信号は通信ラインCL2を介してマスターシステムMSのコンピュータ本体11にも送られる。コンピュータ本体11においては、この検査開始指令信号を受けると、ディスプレイ部12におけるクライアントシステムCS1の状態表示(図6のCHECKER1の欄の表示)を「待機中」表示から「検査中」表示に切り換える。
【0072】
このようにしてチェッカーユニット40のメモリから選択して検査プログラムに従って検査が行われ、検査が完了するとその検査結果がチェッカーユニット40の液晶表示部41に表示され且つ状態表示LED43による点灯表示がなされる。なお、この検査結果を、通信ラインCL2を介してマスターシステムMSのコンピュータ本体11に送るように構成しても良い。マスターシステムMSのコンピュータ本体11は検査開始指令信号を受けたときから所定時間間隔(例えば、1秒間隔)で通信ラインCL2を介してチェッカーユニット40にアクセスして状態監視を行うようになっており、その監視結果に基づいて、検査が行われている間はディスプレイ部12におけるクライアントシステムCS1の状態表示を「検査中」表示にする。また、検査が完了したときには、検査完了報告がマスターシステムMSに送信される。
【0073】
このようにして検査完了報告がチェッカーユニット40から通信ラインCL2を介してマスターシステムMSのコンピュータ本体11に送られると、ディスプレイ部12におけるクライアントシステムCS101の状態表示をこの検査結果に基づく表示に変更する。すなわち、検査結果が異常無しのときには「OK」表示とし、異常が見つかったときにはその旨もしくは異常内容を示す表示を行う。なお、検査完了報告のみがマスターシステムMSに送信される場合には、マスターシステムMSでは検査が完了したことが判断できるだけであるが、この異常内容をマスターシステムMSに送って表示させ、且つ、これが見つかった日時記録情報とともに異常内容を記憶保存するように構成しても良い。
【0074】
一方、チェッカーユニット40においてもこれと同様な表示がなされる。すなわち、検査結果が異常無しのときには状態表示LED43のOK表示LED43bを点灯するとともに液晶表示部41に「OK」表示を行い、異常が見つかったときには状態表示LED43のNG表示LED43cを点灯するとともに液晶表示部41にその異常内容を示す表示を行う。なお、この異常内容はチェッカーユニット40(もしくは他の適切なメモリ部)において、これが見つかった日時記録情報とともに記憶保存されるようにしても良い。この場合、メモリ部は不揮発性メモリもしくは保持機能を有したメモリを用いて電源オフの場合でも所定時間(例えば、1週間)以上の記憶保持が可能なように構成される。この構成から分かるように、このクライアントシステムCS101も、チェッカーユニット40のメモリに検査プログラムをマスターシステムMSからダウンロードして記憶保存している限りにおいて、それ単独で遊技制御基板CBの検査を行って、その結果を表示させるスタンドアローンタイプの検査装置として用いることができる。
【0075】
以上説明した検査が、他のクライアントシステムCS102等においても同様に行われ、マスターシステムMSのコンピュータ本体11には、通信ラインCL2を介して繋がる全てのクライアントシステムからの検査結果が送られてくる。このため、コンピュータ本体11においては、このようにした各クライアントシステムからの検査結果を集計し、図6における左下に示すように、集計結果を表示する。
【0076】
以上、第1実施形態として図1に全体概略構成を示す封印前検査システムの基本的な構成および作動を説明し、第2実施形態として図8に全体概略構成を示す封印後検査システムの基本的な構成および作動を説明したが、これら両システムにおいてチェッカーユニット40は同一構成のものを共通して用いることが可能である。このため、チェッカーユニット40は中継基板50,150と電気コネクタを介して着脱自在な構成としており、必要に応じていずれかのクライアントシステムからチェッカーユニット40を取り外して別のクライアントシステムで用いることができる。
【0077】
また、いずれのシステムにおいても、検査対象となる遊技制御基板CBの種別を認識する手段を設け、これに対応する検査プログラムのみの使用を許可し、誤った検査プログラムの使用を防止できるような構成を用いても良い。例えば、各クライアントシステムを所定種別の遊技制御基板専用の構成としてそこに配設される中継基板にこの種別専用であることを示す識別コードIDを付与しておき、チェッカーユニット40においてこの種別に対応しない検査プログラムが使用されようとしたことを識別コードIDを照合して判断し、誤った検査プログラムの使用を禁止するように構成するのが好ましい。
【0078】
さらに、遊技制御基板CBに同様な識別コードを付与し、検査対象となる遊技制御基板CBを取り付けたときにその種別を識別できる構成とし、チェッカーユニット40においてこの種別に対応しない検査プログラムが使用されようとしたことをこの識別コードIDを照合して判断し、誤った検査プログラムの使用を禁止するように構成しても良い。
【0079】
以上、スロットマシン用の遊技制御基板の検査システムについて説明したが、本発明の適用対象はスロットマシンに限られるものではなく、パチンコ機等の他の遊技機の検査システムにおいても本発明を適用しても良いのは無論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る封印前検査システムの構成を示す概略説明図である。
【図2】上記封印前検査システムを構成するクライアントシステムCS1の構成を示す斜視図である。
【図3】上記クライアントシステムCS1の部分構成を示す斜視図である。
【図4】上記クライアントシステムCS1に用いられるチェッカーユニットを前面側および後面側から示す斜視図である。
【図5】上記クライアントシステムCS1の構成を模式的に示すブロック図である。
【図6】上記封印前検査システムのマスターシステムを構成するディスプレイ部の表示例を示す説明図である。
【図7】上記封印前検査システムのマスターシステムを構成するディスプレイ部の表示例を示す説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る封印後検査システムの構成を示す概略説明図である。
【図9】上記封印後検査システムを構成するクライアントシステムCS101の構成を示す斜視図である。
【図10】上記クライアントシステムCS101の構成を模式的に示すブロック図である。
【図11】本発明の検査システムの検査対象となる遊技制御基板の構成を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
CB 遊技制御基板 MS マスターシステム
CS1,CS101・・・ クライアントシステム
CL1,CL2 通信システム 101 遊技制御ROM
10 小型コンピュータ 11 コンピュータ本体
12 ディスプレイ部
20 ハブ 21,22,23 通信ケーブル
30 検査治具本体 31 基板支持ボックス
35 リールユニット 38 電源ユニット
40 チェッカーユニット 41 液晶表示部
42a〜42c プログラム選択タクトスイッチ
43 状態表示LED 44 ブザー
45 チェッカー側コネクタ
50 中継基板 51 チェッカー取付用コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機用電子制御装置の検査を行う検査システムであって、
検査プログラムを記憶したマスターシステムと、
遊技機用電子制御装置を着脱自在に取り付け可能であり、前記マスターシステムから送られてくる検査プログラムを用いて前記取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行う複数のクライアントシステムと、
前記マスターシステムと前記複数のクライアントシステムとをそれぞれ通信可能に接続する通信ラインとを有してなり、
前記複数のクライアントシステムはそれぞれ種類の異なる遊技機用電子制御装置の検査が可能であり、前記複数のクライアントシステムのそれぞれにおいて、前記マスターシステムから前記通信ラインを介して送られた検査プログラムのうちの検査対象となる遊技機用電子制御装置に対応した検査プログラムを用いて、前記クライアントシステムに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行うとともに、その検査結果を前記通信ラインを介して前記マスターシステムに報告するように構成されたことを特徴とする遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項2】
前記複数のクライアントシステムは、それぞれ自己のクライアントシステムに取り付けられて検査対象となる遊技機用電子制御装置の種別を認識し、認識された前記遊技機用電子制御装置に対応した前記検査プログラムのみの使用を許可するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項3】
前記複数のクライアントシステムのそれぞれが、前記マスターシステムから前記通信ラインを介して複数の前記検査プログラムをダウンロードして記憶する機能を有しており、このように記憶された前記複数の検査プログラムから前記クライアントシステムに取り付けられた遊技機用電子制御装置に対応した検査プログラムを読み出して使用することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項4】
前記複数のクライアントシステムのそれぞれに記憶された前記複数のプログラムから所望の検査プログラムを読み出す操作を行う操作手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項5】
前記クライアントシステムがそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行うときに、前記マスターシステムが前記クライアントシステムから検査開始信号を受けた後、所定間隔で前記クライアントシステムにアクセスして状態監視を行い、検査完了時に前記クライアントシステムから検査完了報告を受領することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項6】
前記クライアントシステムがそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行った結果、エラーが検出されたときには、前記マスターシステムがエラー検出報告を前記クライアントシステムから前記検査完了報告とともに受領することを特徴とする請求項5に記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項7】
前記クライアントシステムがそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行った結果内容を記憶保存する検査結果保存手段を有しており、前記検査結果保存手段は前記クライアントシステムの電源オフ状態で所定期間の記憶保存が可能であることを特徴とする請求項1〜6に記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項8】
前記マスターシステムに、必要とされる全ての検査プログラムが保存されており、前記クライアントシステムは前記通信ラインを介して前記マスターシステムにアクセスして所望の検査プログラムをダウンロードすることができるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項9】
前記クライアントシステムにおいてそこに取り付けられた遊技機用電子制御装置の検査を行ったときに、その検査結果を表示するクライアント側表示手段を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項10】
前記マスターシステムに、前記通信ラインを介して接続された前記複数のクライアントシステムとの接続状況を表示するマスター側表示手段を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。
【請求項11】
前記マスター側表示手段に、前記複数のクライアントシステムによる遊技機用電子制御装置の検査結果を各クライアントシステム毎に表示するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の遊技機用電子制御装置の検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−22357(P2009−22357A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185825(P2007−185825)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】