説明

遊技機監視システム

【課題】 監視制御装置が故障したり、不正なものに交換されたりしても監視が中断しない遊技機監視システムを提供する。
【解決手段】 パチンコ機1には、監視を行う主基板ボックスに監視タグ861,862、機枠112に監視タグ863,864、前面枠111に監視タグ865,866が備えられている。そして、夫々の監視タグ861〜866と通信可能な位置に、台番号11のR/Wユニット30の監視アンテナ681〜686,台番号12のR/Wユニット30の監視アンテナ691〜696が設置されている。台番号11のR/Wユニット30が監視タグ861,863,865を呼び出して、通信を行えるか否かにより監視される部材が正常に設置されているか否かの監視を行い、台番号12のR/Wユニット30が監視タグ862,864,866を呼び出して、通信を行えるか否かにより監視される部材が正常に設置されているか否かの監視を行っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機監視システムに関し、詳細には、複数の監視制御装置で遊技機の監視を行う遊技機監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機においては、遊技者が不当に遊技媒体を獲得する不正行為が後を絶たず、種々の防止策が施されている。例えば、遊技機の制御を司る制御基板や内蔵ROMを不正なものに交換して遊技状況を有利にする不正行為に対しては、制御基板を収納する基板ボックスに様々な工夫が施されている。また、遊技機の一種であるパチンコ機においては、遊技領域を覆う前面扉の隙間からセルロイド板等の薄い板を挿入して多数の遊技媒体を取得可能な入賞口を不当に開放し、その間に遊技媒体をその入賞口へ入賞させるという不正行為もあり、前面扉からの不正部材の挿入を防止するための様々な工夫が施されている。
【0003】
そこで、本出願人は、ICタグを用いて遊技機に対する不正行為を監視するシステムを提案している(例えば、特許文献1参照)。このような監視システムにおいては、遊技機の所定の位置にICタグが貼り付けられ、ICタグ監視装置によりこれらのICタグを呼び出す呼出波が送信され、予め登録されている識別データのICタグから呼出波に対する反射波が返送された場合には、監視されている部材が正常であるとされ、反射波が返送されなかったり、予め登録されていない識別データのICタグからの反射波を受信したりした場合には、監視場所に異常があるとして異常を示す情報がICタグ監視装置に記憶されている。そして、特許文献1では異常が発生した際に遊技場内に設けられた管理機により異常を報知している。
【特許文献1】特開2004−065801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1台の監視制御装置で監視を行っているため、監視制御装置が故障してしまったり、不正ROMへの交換されてしまった場合には、遊技機の監視が中断してしまうという問題点がある。
【0005】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、監視制御装置が故障したり、不正なものに交換されたりしても監視が中断しない遊技機監視システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の遊技機監視システムでは、他のICタグと区別するための識別情報を記憶したICタグが所定の部材に設置された複数の遊技機と、前記ICタグと通信を行い前記遊技機の所定の部材の監視を行う監視制御装置とからなる遊技機監視システムにおいて、前記監視制御装置は、前記ICタグと通信するためのアンテナと、前記アンテナから前記ICタグを呼び出す呼出波を送信する呼出波送信手段と、当該呼出波送信手段から送信された前記呼出波に基づいて前記ICタグから返送される反射波を前記アンテナで受信する反射波受信手段と、前記ICタグとの通信による前記遊技機の所定の部材の監視の結果を外部へ出力する監視結果出力手段とを備え、前記ICタグ及び複数の前記監視制御装置の前記アンテナが各々設置されており、複数の前記監視制御装置により前記部材を監視することを特徴とする構成となっている。
【0007】
また、請求項2に係る発明の遊技機監視システムでは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記監視制御装置は複数の前記アンテナを備え、当該アンテナは、異なる前記遊技機に設置されている前記ICタグ、又は、同一の前記遊技機の異なる前記部材に設置されている前記ICタグと通信可能な位置に設置されていることを特徴とする構成となっている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明の遊技機監視システムでは、監視制御装置の呼出波送信手段は、アンテナからICタグを呼び出す呼出波を送信することができ、反射波受信手段は、呼出波送信手段から送信された呼出波に基づいてICタグから返送される反射波をアンテナで受信することができる。そして、監視結果出力手段は前記ICタグとの通信による前記遊技機の所定の部材の監視の結果を外部へ出力することができる。そして、前記ICタグ及び複数の監視制御装置のアンテナが各々設置されており、複数の監視制御装置により部材を監視することができるので、1つの監視制御装置が故障したり、1つの監視制御装置に対して何らかの不正が行われたとしても、遊技機の部材の監視を継続することができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明の遊技機監視システムでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、監視制御装置は複数のアンテナを備え、アンテナは、異なる遊技機に設置されているICタグ、又は、同一の遊技機の異なる部材に設置されているICタグと通信可能な位置に設置されているので、1つの監視制御装置が1台の遊技機の1つの部材のみを監視するのではなく、1つの監視制御装置において、1台の遊技機の複数の部材や複数の遊技機の複数の部材を監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して以下の順で説明する。
1.システム構成の概要説明
2.パチンコ機及びR/Wユニットの説明
3.監視情報の説明
4.R/Wユニットの動作の説明
5.変形例の説明
【0011】
1.システム構成の概要説明
図1は、本実施の形態の遊技機監視システムの構成図であり、図2は本実施の形態の遊技機監視システムを導入した遊技場の外観を示す説明図である。図1及び図2に示すように、遊技場の遊技機設置島200には、複数のパチンコ機1(「遊技機」に該当)が設置されており、さらに、各遊技機設置島200には1台ずつ島管理端末100が設置されている。また、遊技機設置島200には、複数のリーダライタユニット(以下、R/Wユニットと称する)30が設置されている。このR/Wユニット30は、パチンコ機1の部材の監視を行う「監視制御装置」に該当し、本実施の形態では、1台のR/Wユニット30が2台のパチンコ機1(第1パチンコ機及び第2パチンコ機と称する)の監視を行っており、また、1台のパチンコ機1は2台のR/Wユニット30(第1R/Wユニット及び第2R/Wユニットと称する)に監視されている。尚、R/Wユニット30の電源は、パチンコ機1の電源基板からではなく遊技機設置島200の電源装置(図示外)から供給されている。
【0012】
尚、図2における括弧書きの番号はパチンコ機1の台番号、R/Wユニット30のユニット番号を示している。例えば、台番号101のパチンコ機1及び台番号102のパチンコ機1は、ユニット番号11のR/Wユニット30及びユニット番号12のR/Wユニット30に監視されており、台番号103のパチンコ機1及び台番号104のパチンコ機1は、ユニット番号13のR/Wユニット30及びユニット番号14のR/Wユニット30に監視されている。また、遊技場には1台のホールコンピュータ300が設置されており、このホールコンピュータ300とR/Wユニット30と島管理端末100とは店内ネットワーク150により接続されている。
【0013】
尚、パチンコ機1には、監視を行う場所に「ICタグ」である監視タグ861〜866が備えられている。そして、これらの監視タグ861〜866(図3乃至図4参照)と通信可能な位置に、2台のR/Wユニット30の監視アンテナ681〜686,691〜696(図3乃至図5参照)が夫々設置されて、各R/Wユニット30が監視タグ861〜866を呼び出して、通信を行えるか否かにより監視される部材(被監視部材)が正常に設置されているか否かの監視が行われている。尚、本実施の形態では、機枠や基板ボックス等合計3箇所に備えられているが、具体的な設置場所については図3乃至図6を参照して後述する。
【0014】
そして、2台のR/Wユニット30による監視の結果、異常が発生したり、異常が回復したりした場合には、その情報が「監視情報」としてR/Wユニット30のRAM34、EEPROM35(図3参照)に記録される。そしてこの監視情報は、島管理端末100及びホールコンピュータ300に送信され、島管理端末100では異常の発生が報知される。また、ホールコンピュータ300では異常の発生や回復が報知されると共に、監視情報が蓄積される。
【0015】
2.パチンコ機及びR/Wユニットの説明
次に、図3乃至図6を参照してパチンコ機1及びR/Wユニット30について説明する。図3はR/Wユニット30の電気的構成及びパチンコ機1の監視タグ861〜866を示すブロック図であり、図4はパチンコ機1の前面枠111及び本体枠110を開いた状態をパチンコ機1の前面から見た斜視図であり、図5はパチンコ機1の背面図であり、図6は主基板ボックス81の斜視図である。
【0016】
図4に示すように、パチンコ機1は、機枠112と、本体枠110と、前面枠111とから構成されている。機枠112は、パチンコ機1を遊技機設置島200に固定するためのものである。また、本体枠110には、パチンコ機1の制御を司る種々の基板、図示外の発射機に遊技球を供給し、かつ、賞品球を受ける上皿5、賞品球を受ける下皿6、遊技球を発射するための発射ハンドル7、音声を発するスピーカー48から成る本体113及び遊技盤2がはめ込まれている。種々の基板は、本体枠110の背面に備えられている。また、略正方形の遊技盤2は、本体113の正面の上半分の部分に設けられ、遊技盤2の下方部には上皿5が設けられ、上皿5の直下には下皿6が設けられ、下皿6の右横には発射ハンドル7が設けられ、上皿5と下皿6の間にはスピーカー48が設けられている。そして、前面枠111は、透明なガラス板111aを保持し、遊技盤2を保護のため覆っている。また、遊技盤2には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が設けられていおり、発射ハンドル7を操作することにより発射された遊技球がガイドレール3に導かれて、遊技領域4へ侵入し、流下する。尚、遊技領域4の下部には、大入賞口16が設けられ、さらに、種々の入賞口、電飾ランプ、風車、障害釘及び図柄表示装置等が設けられている。
【0017】
また、図5に示すように、パチンコ機1の左下部背面には、パチンコ機1の主制御を司る主基板41を収納した透明な樹脂製の主基板ボックス81が設けられ、主基板ボックス81の右隣には音基板43が、音基板43の右隣上方には電源基板42がそれぞれ透明な樹脂製のボックスに収められ、その下方には払出制御基板45が透明な樹脂製の払出制御基板ボックス82に収められて配置されている。さらに、主基板ボックス81の上方には、遊技盤の裏面を保護し、各種配線を覆うセンターカバー80が配置されている。
【0018】
次に、図3を参照して、R/Wユニット30の主な構成要素の電気的構成について説明する。R/Wユニット30には、R/Wユニット30の制御を司るCPU32が設けられており、CPU32はフラグやデータ等を一時的に記憶するRAM34、制御プログラム及び各種の初期値のデータ等を記憶したROM33が内蔵されている。そして、CPU32には、監視情報等を記憶するEEPROM35、監視タグ861〜866へ呼出波を送信し、反射波を受信するためのRadio Frequency回路(以下、RF回路と称する)38、時間管理を行うRTC39、I/Oインタフェイス37が接続している。I/Oインタフェイス37には、店内ネットワーク150に接続する通信回路36が接続されている。さらに、RF回路38に監視タグ861〜866と通信するための監視アンテナ681〜683,691〜693が接続されている。尚、本実施の形態では、第1R/Wユニット30の監視アンテナを監視アンテナ681〜686とし、第2R/Wユニット30の監視アンテナを監視アンテナ691〜696とする。そして、第1パチンコ機1に設置される監視アンテナを第1R/Wユニット30の監視アンテナ681〜683、第2R/Wユニット30の監視アンテナを監視アンテナ691〜693とし、第2パチンコ機1に設置される監視アンテナを第1R/Wユニット30の監視アンテナ684〜686、第2R/Wユニット30の監視アンテナを監視アンテナ694〜696とする。
【0019】
次いで、監視場所について説明する。本実施の形態での監視タグ861〜866の設置場所は、主基板ボックス81(第1監視場所)、本体枠110と機枠112(第2監視場所)、前面枠111と本体枠110(第3監視場所)の3箇所(図3乃至図5参照)であり、その開閉が監視されている。第1監視場所である主基板ボックス81を監視するためには、監視タグ861及び監視タグ862が使用され、第2監視場所である本体枠110と機枠112を監視するためには、監視タグ863及び監視タグ864が使用され、第3監視場所である前面枠111と本体枠110を監視するためには、監視タグ865及び監視タグ866が使用される。
【0020】
図5に示すように、第1監視場所である主基板ボックス81の図5における正面視右下の内面には監視タグ861,862が貼り付けられている。尚、図6に示すように、主基板ボックス81は、透明な樹脂製の平面視略長方形の上蓋部81aと、同じく透明な樹脂製の平面視略長方形の下蓋部81cとから構成されおり、上蓋部に対向する下蓋部上にパチンコ機1の主制御を司る主基板41が配置されている。そして、上蓋部81aの裏面側、図6における右側には小型で長方形の監視タグ861が、図6における左側には小型で長方形の監視タグ862が接着剤等で接着されている。さらに、主基板41の右下端部及び左下端部には切り欠きが設けられており、下蓋部81cには、これら切り欠きに対向する位置にコイル状の監視アンテナ681,691がそれぞれ設けられている。尚、監視アンテナ681,691は、第1パチンコ機1に設置されている監視アンテナであり、第2パチンコ機1には、監視アンテナ684,694が設置されている。そして、監視アンテナ681(684)は同軸ケーブルにより第1R/Wユニット30のRF回路38に接続されており、監視アンテナ691(694)は同軸ケーブルにより第2R/Wユニット30のRF回路38に接続されている。したがって、主基板ボックス81が開けられた場合には、監視タグ861は監視アンテナ681(684)と通信不能となり、監視タグ862は監視アンテナ691(694)と通信不能となるので、第1R/Wユニット30及び第2R/Wユニット30において主基板ボックス81の開放を検知することができる。
【0021】
また、図4に示すように、機枠112の図4における右枠の内側中央には、監視タグ863が貼り付けられており、内面上部には監視タグ864が貼り付けられている。そして、本体113の右側面中央(本体枠110と機枠112とが閉じられた際に監視タグ863と向き合う位置)には監視アンテナ682が備えられており、右側面上部(本体枠110と機枠112とが閉じられた際に監視タグ864と向き合う位置)には監視アンテナ692が備えられている。尚、監視アンテナ682,692は、第1パチンコ機1に設置されている監視アンテナであり、第2パチンコ機1には、監視アンテナ685,695が設置されている。
【0022】
そして、第1パチンコ機1の監視アンテナ682は同軸ケーブルにより第1R/Wユニット30のRF回路38に接続されており、監視アンテナ692は同軸ケーブルにより第2R/Wユニット30のRF回路38に接続されている。したがって、第1パチンコ機1の本体枠110が機枠112から開放された際には、監視タグ863は監視アンテナ682と通信不能となり、監視タグ864は監視アンテナ692と通信不能となるので、第1R/Wユニット30及び第2R/Wユニット30において第1パチンコ機1の本体枠110と機枠112の開放を検知することができる。そして、第2パチンコ機1の監視アンテナ685は同軸ケーブルにより第1R/Wユニット30のRF回路38に接続されており、監視アンテナ695は同軸ケーブルにより第2R/Wユニット30のRF回路38に接続されている。したがって、第2パチンコ機1の本体枠110が機枠112から開放された際には、監視タグ863は監視アンテナ685と通信不能となり、監視タグ864は監視アンテナ695と通信不能となるので、第1R/Wユニット30及び第2R/Wユニット30において第2パチンコ機1の本体枠110と機枠112の開放を検知することができる。
【0023】
また、図4に示すように、前面枠111の内側の上部左(前面枠111を閉じた状態でのパチンコ機1の正面視右側)には監視タグ865が貼り付けられており、内側の上部右には監視タグ866が貼り付けられている。そして、本体枠110の本体枠110の上枠の表面(前面枠111と向き合う面)の図4における左側(前面枠111と本体枠110とが閉じられた際に監視タグ865と向き合う位置)には監視アンテナ683、右側(前面枠111と本体枠110とが閉じられた際に監視タグ866と向き合う位置)には監視アンテナ693が備えられている。尚、監視アンテナ683,693は、第1パチンコ機1に設置されている監視アンテナであり、第3パチンコ機1には、監視アンテナ686,696が設置されている。
【0024】
したがって、第1パチンコ機1の前面枠111が本体枠110から開放された際には、監視タグ865は監視アンテナ683と通信不能となり、監視タグ866は監視アンテナ693と通信不能となるので、第1R/Wユニット30及び第2R/Wユニット30において、第1パチンコ機1の前面枠111と本体枠110との開放を検知することができる。したがって、第2パチンコ機1の前面枠111が本体枠110から開放された際には、監視タグ865は監視アンテナ686と通信不能となり、監視タグ866は監視アンテナ696と通信不能となるので、第1R/Wユニット60及び第2R/Wユニット60において、第2パチンコ機1の前面枠111と本体枠110との開放を検知することができる。
【0025】
尚、監視タグ861〜866は、それぞれ同様の構造をしており、薄いフレキシブルプリント基板上にアンテナ及びICチップが設けられている。ICチップにはR/Wユニット30からの呼出波に応答して反射波を放出するRF回路とEEPROMが一体となって構成されており、RF回路はアンテナを接続している。そして、EEPROMには、監視タグ861〜866を他のICタグから識別するための識別情報であるIDコードが上書消去禁止区域に記憶されている。この監視タグ861〜866は、R/Wユニット30から監視アンテナ681〜683,691〜693を介して呼出波が送られてくると、アンテナがこれを受信する。この呼出波には搬送波成分が含まれており、これを受信してRF回路で整流して直流電圧を得る。したがって、監視タグ861〜866は、電池や外部電源を使用せずに必要な時にいつでもデータを発信することができる。また、データの発信は、EEPROMからIDコードを読み出して反射波に乗せ、RF回路がアンテナから送信する。
【0026】
また、本実施形態で使用する監視タグ861〜866と監視アンテナ681〜683,691〜693は、13.56MHzの短波帯で通信を行っている。この周波数での通信はノイズによる影響を比較的受けにくいため、パチンコ機1の設置環境に適している。例えば、監視アンテナ681と監視タグ861との距離は、上蓋部と下蓋部を組み付けた状態で約3mmになるように配置されている。この距離間ではRF送受信が可能であり監視アンテナ681を介したR/Wユニット30からの呼び出しに監視タグ861が応答することができ、監視アンテナ681と監視タグ861との距離が約5mmを超えると通信不能となる。尚、この通信可能距離は、監視アンテナ681のコイルの巻き数やリアクタンス値により調節が可能である。このように通信可能距離を設定することにより、上蓋部のわずかな隙間の開放であっても検知することができ、また、振動等によるわずかな揺れでは通信不能とならないように調整されている。また、上述したように、この周波数帯での通信はノイズによる影響を比較的受けにくいが、他の電磁波を使用する部材からのノイズの影響による誤動作を少しでも防ぐために、監視タグ861〜866や監視アンテナ681〜686,691〜696は、ソレノイドを使用している払出装置や発射基板の発射モータから離した位置に配置している。
【0027】
3.監視情報の説明
次に、図7を参照して、ホールコンピュータ300に記憶されている監視情報記憶エリア301について説明する。図7は、監視情報記憶エリア301の構成を示す模式図である。尚、ホールコンピュータ300は、ホールコンピュータ300の制御を司るCPU、各種のデータを一時的に記憶するRAM、BIOS等を記憶したROM、データの受け渡しの仲介を行うI/Oインタフェイス、遊技場内のパチンコ機1の監視情報や遊技情報などを記憶するハードディスク装置、店内ネットワーク150にお接続するための通信装置、キーボードやマウス等の入力装置、ディスプレイなどを備えたコンピュータであり、汎用型のパーソナルコンピュータであっても、専用機であってもよい。
【0028】
監視情報記憶エリア301は、ホールコンピュータ300のハードディスク装置に設けられている。そして、各R/Wユニット30において生成され、店内ネットワーク150を介して受信した監視情報が順次記憶される。図7に示すように、監視情報記憶エリア301には、台番号欄、R/W番号欄、日時欄、場所欄、内容欄、状態欄が設けられている。台番号欄には、異常が発生又は回復したパチンコ機1の台番号がセットされ、R/W番号欄には、その異常の発生又は回復を検知したR/Wユニット30の番号がセットされる。そして、日時欄には異常が発生又は回復した日時がセットされ、場所欄には異常の発生又は回復した監視場所を示す番号がセットされ、内容欄には異常の内容が監視タグと通信を行えない「応答エラー」であるか、IDコードの異なるICタグと通信を行っている「IDエラー」であるかを示す番号がセットされ、状態欄には異常の発生であるか回復であるかを示す番号がセットされている。尚、本実施の形態では、監視場所を示す番号は、第1監視場所であれば「1」、第2監視場所であれば「2」、第3監視場所であれば「3」がセットされる。また、異常の内容を示す番号は「応答エラー」であれば「1」、「IDエラー」であれば「2」がセットされる。また、状態を示す番号は異常の発生は「1」、回復は「2」とされている。
【0029】
図7に示す例では、台番号「101」のパチンコ機1の監視場所3において2004年9月11日の11:58に応答エラーが発生したことを、R/W番号「11」のR/Wユニット30により検知されており、さらに、台番号「101」のパチンコ機1の監視場所3において2004年9月11日の11:58に応答エラーが発生したことを、R/W番号「12」のR/Wユニット30により検知されている。そして、台番号「101」のパチンコ機1の監視場所3において2004年9月11日の11:58に応答エラーが回復したことを、R/W番号「11」のR/Wユニット30により検知されており、さらに、台番号「101」のパチンコ機1の監視場所3において2004年9月11日の11:58に応答エラーが回復したことを、R/W番号「12」のR/Wユニット30により検知されている。そして、台番号「218」のパチンコ機1の監視場所3において2004年9月11日の15:22に応答エラーが発生したことを、R/W番号「28」のR/Wユニット30により検知されており、さらに、台番号「218」のパチンコ機4の監視場所3において2004年9月11日の15:22に応答エラーが発生したことを、R/W番号「28」のR/Wユニット30により検知されている。そして、台番号「218」のパチンコ機1の監視場所3において2004年9月11日の15:23に応答エラーが回復したことを、R/W番号「29」のR/Wユニット30により検知されており、さらに、台番号「218」のパチンコ機1の監視場所3において2004年9月11日の15:23に応答エラーが回復したことを、R/W番号「29」のR/Wユニット30により検知されている。
【0030】
本発明の遊技機監視システムでは、1つの監視場所を複数のR/Wユニット30で監視するので、このように、1台のパチンコ機1の異常に関する監視情報が、2台のR/Wユニット30において生成される。例えば、台番号「101」のパチンコ機1の監視場所3における応答エラーの発生については、R/W番号「11」のR/Wユニット30及びR/W番号「12」のR/Wユニット30において検知され、監視情報が作成されている。
【0031】
4.R/Wユニットの動作の説明
次に、図8及び図9のフローチャートを参照して、R/Wユニット30の動作について説明する。図8は、R/Wユニット30で行われるメイン処理の本発明に関する主な処理を示すフローチャートであり、図9は、メイン処理の中で実施される監視処理のフローチャートである。
【0032】
まず、図8のフローチャートを参照して、メイン処理について説明する。このメイン処理は、R/Wユニット30に電源が供給されると、CPU32において実行され、監視処理が繰り返し実施される。まず、各エラーフラグに初期値の「0」がセットされる等の初期処理が行われる(S1)。このエラーフラグは、各監視アンテナ681〜683(第2R/Wユニット30では監視アンテナ691〜693)ごとに応答エラーフラグ及びIDエラーフラグが設けられており、「0」が記憶され「OFF」とされている場合には監視タグ861との通信が正常に行われており、「1」が記憶され「ON」とされている場合には監視タグ861との通信が正常に行われていないこと、つまり異常が発生していることを示している。尚、応答エラーは監視アンテナ681から送信された呼出波に対して、監視タグ861が反射波を返信してこなかった場合を示し、IDエラーは反射波に含まれているIDコードが予め登録されているものと異なっている場合を示している。
【0033】
次いで、監視アンテナをカウントするための変数nに初期値の「0」がセットされ(S2)、変数nに「1」が加算される(S3)。変数nの値は「1」であり、監視アンテナ数「6」より大きくないので(S4:NO)、変数nが示す監視アンテナが設置されている監視場所の監視処理が行われる(S5)。本実施の形態では、変数nの値が「1」の場合には、監視アンテナ681(684)で第1パチンコ機1の第1監視場所(主基板ボックス81)の監視が行われ、変数nの値が「2」の場合には、監視アンテナ682(685)で第1パチンコ機1の第2監視場所(本体枠110と機枠112)の監視が行われ、変数nの値が「3」の場合には、監視アンテナ683(686)で第1パチンコ機1の第3監視場所(前面枠111と本体枠110)の監視が行われ、変数nの値が「4」の場合には、監視アンテナ691(694)で第2パチンコ機1の第1監視場所(主基板ボックス81)の監視が行われ、変数nの値が「5」の場合には、監視アンテナ692(695)で第2パチンコ機1の第2監視場所(本体枠110と機枠112)の監視が行われ、変数nの値が「6」の場合には、監視アンテナ693(696)で第2パチンコ機1の第3監視場所(前面枠111と本体枠110)の監視が行われる。尚、この監視処理の詳細については図9を参照して、後述する。
【0034】
1番目の監視アンテナの監視場所の監視処理が終了したら、S3へ戻り、変数nに「1」が加算される(S3)。この時変数nの値が「2」であり、監視アンテナ数「6」より大きくないので(S4:NO)、第1パチンコ機1の第2監視場所(本体枠110と機枠112)の監視処理が行われる(S5)。そして、S3へ戻り、変数nに「1」が加算されて(S3)、この時変数nの値が「3」であり、監視アンテナ数「6」より大きくないので(S4:NO)、第1パチンコ機1の第3監視場所(前面枠111と本体枠110)の監視処理が行われる(S5)。そして、S3へ戻り、変数nに「1」が加算されて(S3)、この時変数nの値が「4」であり、監視アンテナ数「6」より大きくないので(S4:NO)、第2パチンコ機1の第1監視場所(主基板ボックス81)の監視処理が行われる(S5)。そして、S3へ戻り、変数nに「1」が加算される(S3)。この時変数nの値が「5」であり、監視アンテナ数「6」より大きくないので(S4:NO)、第2パチンコ機1の第2監視場所(本体枠110と機枠112)の監視処理が行われる(S5)。そして、S3へ戻り、変数nに「1」が加算されて、この時変数nの値が「6」であり、監視アンテナ数「6」より大きくないので(S4:NO)、第2パチンコ機1の第3監視場所(前面枠111と本体枠110)の監視処理が行われる(S5)。そして、S3へ戻り、変数nに「1」が加算されて、この時変数nの値が「7」となり、監視アンテナ数「6」よりも大きいので(S4:YES)、全ての監視アンテナ681〜689(691〜696)での監視が終了したと判断され、S2へ戻り、変数nの値を初期値「0」とする。そして、S3〜S5の処理を繰り返すことにより、引き続き、全ての監視アンテナ681〜689(691〜696)の監視処理が行われる。
【0035】
次に、図9のフローチャートを参照して、監視処理について説明する。ここでは、変数nの値が「1」である、第1パチンコ機1の監視タグ861と通信を行ってを監視する監視アンテナ681を例に挙げて説明する。まず、メイン処理から指示されている変数nが示す監視アンテナ681から呼出波が送信される(S41)。そして、監視タグ861から反射波の返送があるか否かの判断が行われる(S42)。反射波の返送がない場合には(S42:NO)、その監視場所は開けられている。しかし、応答エラーフラグが「ON」となっている場合には、既に監視タグ861からの応答がない状態(開けられた状態)を検知し、応答エラーとなっている。そこで、応答エラーフラグが「ON」であるか否かにより、「応答エラー」中であるか否かの判断が行われる(S43)。
【0036】
応答エラー中である場合(S43:YES)、そのまま監視処理は終了されて、メイン処理へ戻る。応答エラー中でない場合(S43:NO)には、当該監視場所の応答エラーフラグに「1」が記憶され「ON」とされる(S44)。そして、応答エラーの発生を示す監視情報がRAM34及びEEPROM35に記憶されて(S45)、さらに島管理端末100及びホールコンピュータ300へ監視情報が送信される(S46)。そして、監視処理は終了されて、メイン処理へ戻る。
【0037】
また、監視タグ861から反射波の返送がある場合には(S42:YES)、監視タグ861と無線通信が成立している。そこで、反射波に含まれているIDコードが予め登録されているものと一致しているか否かの判断が行われる(S51)。尚、各監視場所に備えられている監視タグ861のIDコードは監視場所を示すコードに対応してEEPROM35に記憶されている。IDコードが一致していない場合には(S51:NO)、監視タグ861の取り付けられた部材がすり替えられていたり、監視タグ861がすり替えられていたりしている。しかし、IDエラーフラグが「ON」となっている場合には、既に監視タグ861が取り付けられている部材や監視タグ861のすり替えは検知されて「IDエラー」となっている。そこで、IDエラーフラグが「ON」であるか否かにより、「IDエラー」中であるか否かの判断が行われる(S52)。
【0038】
IDエラー中である場合(S52:YES)、そのまま処理は終了されて、メイン処理へ戻る。IDエラー中でない場合には(S52:NO)、当該監視場所のIDエラーフラグに「1」が記憶され「ON」とされる(S53)。そして、IDエラーの発生を示す監視情報がRAM34及びEEPROM35に記憶されて(S54)、さらに島管理端末100及びホールコンピュータ300へ監視情報が送信される(S55)。そして、監視処理は終了されて、メイン処理へ戻る。
【0039】
また、反射波に含まれているIDコードと予め登録されているIDコードとが一致している場合には(S51:YES)、監視タグ861と正常に通信が行われており、監視タグ861も不正なものではないということ、すなわち、当該監視場所は正常であるということになる。そこで、応答エラー中又はIDエラー中であるかの確認が行われる。応答エラーフラグ又はIDエラーフラグが「ON」となっている場合には、異常発生中又は作業中という状態になっているので、異常の回復又は作業の終了についての処理を行う必要がある。
【0040】
そこで、まず、応答エラーフラグが「ON」であるか否かにより、応答エラー中か否かの判断が行われる(S61)。応答エラー中である場合には(S61:YES)、当該監視場所の応答エラーフラグに「0」が記憶されて「OFF」とされる(S62)。そして、応答エラーの回復を示す監視情報がRAM34及びEEPROM35に記憶されて(S63)、さらに島管理端末100及びホールコンピュータ300へ監視情報が送信される(S64)。そして、監視処理は終了されて、メイン処理へ戻る。
【0041】
また、応答エラー中でない場合には(S61:NO)、IDエラーフラグが「ON」であるか否かにより、IDエラー中であるか否かの判断が行われる(S65)。IDエラー中である場合には(S65:YES)、当該監視場所のIDエラーフラグに「0」が記憶されて「OFF」とされる(S66)。そして、IDエラーの回復を示す監視情報がRAM34及びEEPROM35に記憶されて(S67)、さらに島管理端末100及びホールコンピュータ300へ監視情報が送信される(S68)。そして、監視処理は終了されて、メイン処理へ戻る。尚、応答エラー中でもIDエラー中でもない場合には(S61:NO,S65:NO)、そのまま監視処理は終了されて、メイン処理へ戻る。
【0042】
以上のようにして、1つの監視場所に対して、複数のR/Wユニット30が監視を行うことができる。したがって、仮に片方のR/Wユニット30が故障してしまったり、R/Wユニット30を不正なROMを持つR/Wユニット30にすりかえられてしまったりしても、他方のR/Wユニット30により監視を継続することができる。尚、監視処理のS41の処理を実行するCPU32が「呼出波送信手段」に相当し、S42の処理を実行するCPU32が「反射波受信手段」に相当する。
【0043】
5.変形例の説明
尚、本発明の遊技機監視システムは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。以下に、本発明を適用する実施の形態の変形例について説明する。まず、本実施形態では所定の動作を行う装置として、遊技機の一種であるパチンコ機を例に挙げているが、所定の動作を行う装置は遊技機であるパチンコ機に限られず、パチコン機、パチスロ台等の各種の遊技機に適用可能である。
【0044】
また、上記実施の形態では、被監視部材としてパチンコ機1の主基板ボックス81、本体枠110と機枠112、前面枠111と本体枠110、夫々一箇所に監視タグを設置したが、移動を監視される部材はこれに限らず、他の基板収納ボックスや、大入賞口や普通図柄始動ゲート等の入賞口に設置して、その開閉状態を監視してもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、1つの監視場所を2台のR/Wユニット30で監視しているが、監視を行うR/Wユニット30の数は2台に限らず、3台以上であってもよい。また、上記実施の形態では、1台のR/Wユニット30が2台のパチンコ機1の監視を行ったが、1台のR/Wユニット30が監視を行うパチンコ機1の台数は2台に限らず、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。また、上記実施の形態では、R/Wユニット30の監視アンテナは6個設けられているが、監視アンテナの数はこれ以上であっても、これ以下であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の遊技機はパチンコ機1に限られず、パチコン機、パチスロ機等の各種の遊技機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施の形態の遊技機監視システムの構成図である。
【図2】本実施の形態の遊技機監視システムを導入した遊技場の外観を示す説明図である。
【図3】R/Wユニット30の電気的構成及びパチンコ機1の監視タグ861〜866を示すブロック図である。
【図4】パチンコ機1の前面枠111及び本体枠110を開いた状態をパチンコ機1の前面から見た斜視図である。
【図5】パチンコ機1の背面図である。
【図6】主基板ボックス81の斜視図である。
【図7】監視情報記憶エリア301の構成を示す模式図である。
【図8】R/Wユニット30で行われるメイン処理の本発明に関する主な処理を示すフローチャートである。
【図9】メイン処理の中で実施される監視処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1 パチンコ機
30 R/Wユニット
32 CPU
34 RAM
35 EEPROM
36 通信回路
37 I/Oインタフェイス
38 RF回路
81 主基板ボックス
100 島管理端末
110 本体枠
111 前面枠
112 機枠
113 本体
150 店内ネットワーク
200 遊技機設置島
300 ホールコンピュータ
681〜686,691〜696 監視アンテナ
861〜866 監視タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のICタグと区別するための識別情報を記憶したICタグが所定の部材に設置された複数の遊技機と、前記ICタグと通信を行い前記遊技機の所定の部材の監視を行う監視制御装置とからなる遊技機監視システムにおいて、
前記監視制御装置は、
前記ICタグと通信するためのアンテナと、
前記アンテナから前記ICタグを呼び出す呼出波を送信する呼出波送信手段と、
当該呼出波送信手段から送信された前記呼出波に基づいて前記ICタグから返送される反射波を前記アンテナで受信する反射波受信手段と、
前記ICタグとの通信による前記遊技機の所定の部材の監視の結果を外部へ出力する監視結果出力手段とを備え、
前記遊技機の前記部材に、前記ICタグ及び複数の前記監視制御装置の前記アンテナが各々設置されており、複数の前記監視制御装置により前記部材を監視することを特徴とする遊技機監視システム。
【請求項2】
前記監視制御装置は複数の前記アンテナを備え、
当該アンテナは、異なる前記遊技機に設置されている前記ICタグ、又は、同一の前記遊技機の異なる前記部材に設置されている前記ICタグと通信可能な位置に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−122413(P2006−122413A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315649(P2004−315649)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【分割の表示】特願2004−315383(P2004−315383)の分割
【原出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000241234)豊丸産業株式会社 (428)
【Fターム(参考)】