説明

遊技機

【課題】遊技機前面部に窓パネル部及び球受け皿を備えた遊技機において、窓パネル部の開放操作を良好に行うことができるようにしつつ、遊技機前面部の構成の好適化を図ることができる遊技機を提供すること。
【解決手段】パチンコ機10は、外枠11に対して回動可能に支持された本体枠12を備えている。本体枠12には、遊技領域が形成された遊技盤30が取り付けられており、さらに遊技領域に向けて遊技球を発射する遊技球発射機構60が設けられている。本体枠12の手前側には前扉枠13が設けられている。前扉枠13は、本体枠12に対して回動可能に支持されている。この場合に、前扉枠13に対して、窓部72と、球受け皿としての上皿や下皿とがユニット化して設けられている。さらに、前扉枠13の背面側には上皿や下皿への排出通路が形成された通路形成ユニット100が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ遊技機は、その遊技機前面部に球受け皿としての上皿が設けられている。上皿に貯留された遊技球は遊技球発射装置へ案内され、遊技者によって発射操作がされることにより遊技領域へ打ち出される。そして、例えば遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することにより、払出装置から上皿に対して所定数の遊技球が払い出される。また、遊技機前面部における上皿の下方には球受け皿としての下皿が設けられており、上皿に遊技球が満杯になっている状態で遊技球の払い出しが行われる場合にはその余剰球が下皿へ排出されるようになっている。
【0003】
また、遊技機前面部における上皿の上方には窓パネル部が設けられており、当該窓パネル部を介してパチンコ遊技機の前方から遊技領域が視認可能となっている。この場合に、例えば、遊技中に遊技領域にて球詰まりなどが発生した場合には、窓パネル部を開放することで球詰まりの解消作業が行われる。
【0004】
かかる構成において、従来のパチンコ遊技機では、少なくとも窓パネル部と下皿とがそれぞれ別ユニットとして設けられていた(例えば、特許文献1参照)。当該構成とすることにより、窓パネル部の開放操作が下皿に対して独立して行われる。窓パネル部の開放操作に伴って下皿も手前側に開放される構成を想定すると、下皿への排出口よりも遊技機内部に貯留された遊技球が窓パネル部の開放操作に際して遊技機外部へ流出してしまうからである。
【0005】
しかしながら、上記のように窓パネル部と下皿とがそれぞれ別ユニットとして設けられた構成においては、それらユニット間に境界が生じてしまう。この場合、その境界を利用して遊技機内部に不正用冶具を挿入するといった不正行為が想定される。また、窓パネル部や下皿は遊技機前面部を構成するため、パチンコ遊技機のデザイン上、上記のような境界が存在するのは好ましくない。
【特許文献1】特開2006−26336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技機前面部に窓パネル部及び球受け皿を備えた遊技機において、窓パネル部の開放操作を良好に行うことができるようにしつつ、遊技機前面部の構成の好適化を図ることができる遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技領域形成体(遊技盤30)と、
遊技機前面部に設けられ、前記遊技領域を視認可能とする窓パネル部(窓部72、ガラス73)と、
前記遊技領域形成体の奥側に設けられ、前記遊技領域における遊技結果に基づいて遊技球を払い出す払出装置(払出装置145)と、
前記窓パネル部の下方に設けられ、前記払出装置から払い出された遊技球を貯留する球受け皿(上皿82、下皿86)と
を備えた遊技機において、
前方へ回動可能に設けられた遊技機前面体(前扉枠13)に前記窓パネル部と前記球受け皿とを設けるとともに、当該遊技機前面体に前記払出装置から払い出された遊技球を前記球受け皿に排出する排出通路(上皿用通路106、下皿用通路107)を設け、
前記排出通路の途中位置にて当該排出通路を流下する遊技球を検出する満杯検出手段(下皿満杯スイッチ108)と、満杯検出手段の検出結果に基づいて前記球受け皿が満杯状態であると判定された場合に前記払出装置による遊技球の払い出しを制限する払出制限手段(主制御装置121における払出停止処理、払出制御装置123)とを備え、
さらに、前記払出装置を支持する支持体(裏パック131)に、前記払出装置と前記排出通路とを連結する連結通路(連結通路151)を設けるとともに、当該連結通路に、前記遊技機前面体が開放された場合に前記連結通路の遊技球の通過を阻止する阻止手段(回転体161、スライド板171)を設けたことを特徴とする遊技機。
【0009】
手段1によれば、遊技機前面部を構成する遊技機前面体に窓パネル部と球受け皿とが設けられている。これにより、遊技機前面部において窓パネル部と球受け皿との間に境界が生じることはなく、従来の遊技機のような当該境界を利用した不正行為を抑制することができる。また、当該構成によれば、遊技機のデザイン上、好適なものとなる。
【0010】
この場合に、遊技機前面体には球受け皿への排出通路が設けられており、さらに排出通路の途中位置にて当該排出通路を流下する遊技球を検出する満杯検出手段が設けられている。そして、当該満杯検出手段の検出結果に基づいて、球受け皿が満杯状態であると判定された場合には、払出装置による遊技球の払い出しが制限される。これにより、上記のように窓パネル部と球受け皿とを遊技機前面体に設けた構成において、球受け皿が満杯状態である場合に窓パネル部の開放を行う必要が生じたとしても、その開放操作に際して球受け皿に貯留された遊技球が遊技機外部へ流出してしまうことが抑制される。
【0011】
また、排出通路が設けられていることにより球受け皿への遊技球の排出が行われ、満杯検出手段が設けられていることにより球受け皿が満杯状態になっているにも関わらず遊技球が払い出され続けることが抑制される。すなわち、排出通路及び満杯検出手段が設けられていることにより、球受け皿への遊技球の排出が円滑に行われる。そして、これら排出通路及び満杯検出手段により上記遊技球の流出抑制効果が得られる。つまり、本手段における構成によれば、構成の簡素化を図りつつ、上記効果を奏することができる。
【0012】
また、払出装置から遊技球が払い出されている状況下で遊技機前面体が開放されたとしても、遊技機前面体が開放されることで阻止手段により連結通路の遊技球の通過が阻止される。これにより、遊技者に対する賞球が遊技機外部に流出してしまうことが抑制される。
【0013】
また、連結通路を設ける構成とすることにより、払出装置の配置位置の自由度が増す。また、払出装置には遊技球の払い出しを実行する回転体などの球送り体が設けられ、さらに当該球送り体の下流側に払い出す遊技球を検出する球検出手段を設けるのが一般的である。したがって、払出装置を排出通路の直上流側に設けたとしても、球送り体と排出通路との間には所定の間隔が生じる。よって、連結通路や阻止手段を設けずに払出装置を排出通路の直上流側に配置したとしても、遊技球の遊技機外部への流出を抑制することは困難である。これに対して、連結通路及び阻止手段を設けることにより、上記のとおり、遊技球が遊技機外部に流出してしまうことが抑制される。
【0014】
なお、「遊技球の払い出しを制限する」とは、遊技球の払い出しを停止する構成のみならず、遊技球の払出速度を極端に低下させることで、遊技球の払い出しが実質的に実行されない構成も含む。
【0015】
また、「支持体」は、払出装置が直接取り付けられる部材であってもよく、その取付体を支持することで払出装置を間接的に支持する部材であってもよい。
【0016】
手段2.手段1において、前記阻止手段は、前記連結通路における遊技球の流下軌道上に一部が突出し当該突出部(衝突凸部163)に前記連結通路を流下する遊技球が当たることで従動回転する回転体(回転体161)と、
当該回転体の回転を阻止する阻止位置と許容する許容位置との間で移動可能に設けられ、前記遊技機前面体が開放された場合に前記阻止位置に移動するストッパ(スライド板171)とを備えたことを特徴とする遊技機。
【0017】
手段2によれば、遊技機前面体が開放された場合には、ストッパが阻止位置に移動し回転体の回転が阻止されることで、連結通路の遊技球の通過が阻止される。かかる構成とすることにより、連結通路の遊技球の通過を阻止する際に連結通路内にて球詰まりが生じてしまうことが抑制される。例えば、阻止手段が連結通路内に出没するシャッター機構である構成を想定すると、連結通路の遊技球の通過を阻止する際に連結通路内に突出したシャッター部材と連結通路の通路壁との間で遊技球を噛み込んでしまうおそれがある。これに対して、本手段における構成では回転体の従動回転が停止されるだけであるので、上記のような遊技球の噛み込みが生じることはなく、上記のとおり連結通路内にて球詰まりが生じることが抑制される。
【0018】
手段3.手段2において、前記回転体の外周には、1個の遊技球が載る球受け凹部(球受け凹部164)を回転方向に複数並設し、
前記突出部は、前記回転体の外周における球受け凹部間の部位であり、
前記球受け凹部に載った遊技球が前記回転体の従動回転に伴って下流側へ導出されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0019】
手段3によれば、回転体はその外周における球受け凹部間の部位に遊技球が当たることで従動回転し、球受け凹部に載った遊技球をその従動回転により下流側へ導出する。これにより、遊技球の導出を円滑に行うことができる。また、連結通路の遊技球の通過を阻止する場合には、回転体の従動回転が阻止され上記遊技球の導出が阻止されるので、連結通路の遊技球の通過を円滑に阻止することができる。
【0020】
手段4.手段2又は3において、前記ストッパを前記阻止位置に向けて付勢する付勢手段(バネ173)と、
前記遊技機前面体に少なくとも一部が設けられ、当該遊技機前面体が前記支持体に対して閉じた位置にある場合に前記ストッパを前記許容位置に向けて押圧する押圧手段(押圧片181)とを備えたことを特徴とする遊技機。
【0021】
手段4によれば、付勢手段と押圧手段とが設けられていることにより、機械的な構成により上記手段2等における効果を奏することができる。つまり、遊技機のソフト構成を新たに追加することなく上記手段2等における効果を奏することができる。また、ストッパが機械的な構成により移動するため、遊技機の電源がOFF状態の場合であっても、連結通路の遊技球の通過を阻止することができる。
【0022】
手段5.手段2又は3において、前記支持体に対して前記遊技機前面体が開放されたことを検出する開放検出手段(前扉開放スイッチ24)と、当該開放検出手段の検出結果に基づいて前記遊技機前面体が開放されたか否かを判定する開放判定手段(主制御装置121におけるステップS102の処理)とを備え、
前記ストッパは、前記開放判定手段により前記遊技機前面体が開放されたと判定された場合に前記阻止位置に移動するよう駆動制御される駆動手段(ソレノイド235)の駆動部(出力軸236)であることを特徴とする遊技機。
【0023】
手段5によれば、複雑な機械的な構成を設けることなく、上記手段2等における効果を奏することができる。
【0024】
手段6.手段1乃至5のいずれかにおいて、前記遊技機前面体が開放されたことを検出する開放検出手段(前扉開放スイッチ24)と、当該開放検出手段の検出結果に基づいて前記遊技機前面体が開放されたか否かを判定する開放判定手段(主制御装置121におけるステップS102の処理)とを備え、
前記払出制限手段は、前記開放判定手段により前記遊技機前面体が開放されたと判定された場合に前記払出装置による遊技球の払い出しを制限することを特徴とする遊技機。
【0025】
手段6によれば、遊技機前面体が開放された場合には、払出装置による遊技球の払い出しが制限される。これにより、連結通路の遊技球の通過が阻止されている状況下において遊技球の払い出しが継続されることが抑制される。
【0026】
また、上記手段5を備えた構成においては、開放検出手段及び開放判定手段を、駆動手段の駆動制御と遊技球の払い出し制限とに兼用することができ、構成の簡素化を図りつつ、上記手段5及び上記手段6の効果を得ることができる。
【0027】
手段7.手段1乃至6のいずれかにおいて、前記排出通路は、上方に開放され前記払い出された遊技球を受ける球受口(遊技球分配部101)を備え、
前記払い出された遊技球の前記球受口における到達位置が前記遊技機前面体の回動方向に対して先端側に偏倚した位置となるように前記球受口を形成したことを特徴とする遊技機。
【0028】
手段7によれば、遊技機前面体が開放される場合に、既に当該連結通路における阻止手段によって通過が阻止される位置よりも下流側に遊技球があったとしても、その遊技球が球受口に受けられ易くなる。よって、遊技者に対する賞球が遊技機外部に流出してしまうことが抑制される。
【0029】
手段8.手段1乃至手段6のいずれかにおいて、前記球受け皿は、上皿(上皿82)と下皿(下皿86)とを備え、
前記排出通路は、前記上皿へ遊技球を排出する上皿排出部(上皿用通路106)と、前記下皿へ遊技球を排出する下皿排出部(下皿用通路107)と、前記上皿が満杯状態となった場合に前記払い出された遊技球を前記下皿排出部に振り分ける球振分部(遊技球分配部101)とを備え、
前記満杯検出手段を、前記下皿排出部の途中位置にて遊技球を検出するよう配置したことを特徴とする遊技機。
【0030】
手段8の遊技機では、上皿と下皿とが設けられており、上皿が満杯状態となった場合にはその余剰球が下皿に排出される。かかる構成において、上記手段1の構成を備え排出通路が遊技機前面体に設けられている、すなわち、上皿排出部、下皿排出部、及び球振分部が遊技機前面体に設けられている。そして、下皿排出部の途中位置にて遊技球を検出するように満杯検出手段が配置されている。これにより、上皿や下皿が満杯状態の場合に遊技機前面体が開放されたとしても、それら上皿や下皿に貯留された遊技球が遊技機外部に流出してしまうことが抑制される。
【0031】
手段9.手段8において、前記球振分部を、前記排出通路の上流部にて上方に開放させて形成するとともに、上下方向に延びる仕切壁(仕切壁102)を形成することで上皿側開放部(内側通路開口部103)と下皿側開放部(外側通路開口部104)とに区画し、
前記上皿が満杯状態となり前記下皿へ遊技球が振り分けられる場合に前記球振分部の上面開放部から遊技球が突出しないように、前記上面開放部と前記仕切壁の上縁との間の距離を遊技球1個分以上としたことを特徴とする遊技機。
【0032】
手段9によれば、上皿が満杯状態となり球振分部により下皿へ遊技球が振り分けられる場合に、その振り分けられる遊技球が球振分部の上面開放部から突出することはない。よって、上皿が満杯状態の場合に遊技機前面体が開放されたとしても、球振分部にある遊技球が遊技機外部に流出してしまうことが抑制される。
【0033】
また、前記振り分けられる遊技球が球振分部の上面開放部から突出する構成を想定すると、上皿が満杯状態の際には上面開放部から突出した遊技球が連結通路の通路壁に引っ掛かり、遊技機前面体を開放できないおそれがある。これに対して、本手段における構成によれば、上記のとおり、振り分けられる遊技球が球振分部の上面開放部から突出しないので、かかる不都合の発生を抑制することができる。なお、遊技領域形成体などに形成された開口を挿通するようにして球振分部が形成された構成においても、上記不都合の発生が想定されるが、本手段によれば、かかる不都合の発生を抑制することができる。
【0034】
手段10.手段9において、前記上皿側開放部が前記下皿側開放部に対して内側となるよう、且つ前記払い出された遊技球の前記上皿側開放部における到達位置が前記遊技機前面体の回動方向に対して先端側に偏倚した位置となるよう前記球振分部を形成したことを特徴とする遊技機。
【0035】
手段10によれば、遊技機前面体が開放される場合に、既に当該連結通路における阻止手段によって通過が阻止される位置よりも下流側に遊技球があったとしても、その遊技球が球振分部に受けられ易くなる。よって、遊技者に対する賞球が遊技機外部に流出してしまうことが抑制される。
【0036】
手11.手段1乃至10のいずれかにおいて、前記満杯検出手段の検出結果に基づいて前記払出制限手段により遊技球の払い出しが制限される場合に、当該制限が実行される前までに既に払い出された遊技球が前記排出通路よりも上流側にて待機しないように、当該排出通路における前記満杯検出手段の検出位置よりも上流側の通路長を設定したことを特徴とする遊技機。
【0037】
手段11によれば、球受け皿が満杯状態となったとしても、払出装置による遊技球の払い出しが制限されるまでに払い出された遊技球は排出通路内にて待機する。したがって、球受け皿が満杯状態である場合に遊技機前面体を開放させたとしても、既に払い出された遊技球が遊技機外部へ流出してしまうことが抑制される。
【0038】
手段12.手段1乃至11のいずれかにおいて、前記遊技領域には、遊技球が入球可能な入球部(一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33)を設け、
前記払出装置は、前記入球部への遊技球の入球に基づいて前記遊技球の払い出しを実行することを特徴とする遊技機。
【0039】
遊技領域に設けられた入球部に遊技球が入球した場合に遊技球が払い出される遊技機に対して、上記手段1乃至手段11のいずれかの発明が好適に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開又は分解して示す斜視図、図3はパチンコ機10の一部の構成を後方から見た斜視図である。なお、図2では便宜上、パチンコ機10の遊技領域内の構成を空白としている。
【0041】
図1及び図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えている。外枠11は、遊技ホールへの設置の際に、いわゆる島設備に取り付けられる。外枠11は、木製の板材を全体として矩形枠状に組み合わせた状態とされ、各板材を小ネジ等の離脱可能な締結部材により固定することによって構成されている。
【0042】
外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方側に開放できるようになっている。
【0043】
本体枠12は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース15を主体に構成されており、樹脂ベース15の中央部には略円形状の窓孔16が形成されている。樹脂ベース15の裏側には複数の係止片17が設けられており、かかる係止片17により遊技盤30が着脱可能に装着されている。図4に示すように、遊技盤30は略四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース15の裏側に当接した状態で取着されている。すなわち、遊技盤30はパチンコ機10後方より取り付けられ、遊技盤30の前面部の略中央部分だけが樹脂ベース15の窓孔16を通じて本体枠12の前面側に露出した状態となっている。
【0044】
次に、遊技盤30の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤30には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35等がそれぞれ設けられている。実際には、一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35は木ねじ等により遊技盤表面に取り付けられている。本実施の形態では、可変表示ユニット35が遊技盤30の略中央に配置され、その下方に作動口33が配置され、さらにその下方に可変入賞装置32が配置されている。また、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34が配置され、遊技盤30の下部両側に一般入賞口31がそれぞれ複数配置されている。作動口33には、所定の条件下で作動状態(開放状態)となる電動役物が付随的に設けられている。
【0045】
前記一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33に遊技球が入ると、それが図示しない検出センサにより検出される。この検出結果は遊技を統括管理する主制御装置に取り込まれ、当該主制御装置によりその都度の入賞状況に応じた払出指令が遊技球の払出機構を制御する払出制御装置に送信される。そして、払出制御装置の制御により払出機構を介して所定数の賞球の払い出しが実行される。かかる賞球の払い出しについて詳細には、一般入賞口31に遊技球が入ると10個の賞球が払い出され、可変入賞装置32に遊技球が入ると15個の賞球が払い出され、作動口33に遊技球が入ると5個の賞球が払い出される。一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33に入り、検出センサにより検出された遊技球は本体枠12の背面に設けられた排出通路21を通じてパチンコ機10の外部に排出される。
【0046】
その他に、遊技盤30の最下部にはアウト口36が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口36を通って排出通路21の方へと案内されるようになっている。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されていると共に、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
【0047】
可変表示ユニット35には、作動口33への入賞をトリガとして第1図柄(特別図柄)を変動表示する図柄表示装置41が設けられている。可変表示ユニット35には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム43が配設されている。このセンターフレーム43は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置41の表示画面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示画面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。センターフレーム43の上部中央には、第1特定ランプ部47及び第2特定ランプ部48が横並びの状態で設けられている。また、これら両特定ランプ部47,48が配設された領域を挟むように、第1特定ランプ部47及び図柄表示装置41に対応した保留ランプ44が設けられている。遊技球が作動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ44の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、保留ランプ44は、図柄表示装置41の一部で変動表示される構成等であっても良い。上述したように、センターフレーム43の上部がパチンコ機10前方に延出していることにより、保留ランプ44、第1特定ランプ部47及び第2特定ランプ部48の視認性が遊技球の落下により阻害されない構成となっている。センターフレーム43の下部には、第2特定ランプ部48に対応した保留ランプ46が設けられている。遊技球がスルーゲート34を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、保留ランプ46は、前記保留ランプ44と同様に、図柄表示装置41の一部で変動表示される構成等であっても良い。
【0048】
図柄表示装置41は8インチサイズの液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば左、中及び右に並べて第1図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。この図柄の変動表示については、後に詳細に説明することとする。なお、図柄表示装置41は、8インチ以外の10インチ,7インチ等の液晶ディスプレイを備えたもの、ワイドサイズのディスプレイを備えたもの、又はCRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
【0049】
第1特定ランプ部47には、その内側に赤、緑、青の3色発光タイプのLEDランプが配設されている。そして、作動口33への入賞をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、作動口33への入賞をトリガとして、赤色光が点灯され、その状態で所定時間が経過すると緑色光に発光色が切り替えられる。そして、緑色光が点灯された状態で前記所定時間が経過すると青色光に発光色が切り替えられる。その後、発光色の切り替え停止時期がくるまで、赤色、緑色、青色という順序で発光色の切り替えが繰り返し行われる。これにより、第1特定ランプ部47には、赤色、緑色、青色が、この順序で繰り返し表示されることとなる。そして、最終的に赤色又は緑色が停止表示された場合には、大当たりが発生し、青色が停止表示された場合には、大当たりが発生しない。また、最終的に赤色で停止表示された場合と、最終的に緑色で停止表示された場合とで、大当たりの種類が異なり、前者の方が遊技者に有利な大当たりが発生する(いわゆる、確変大当たり)。
【0050】
一方、第2特定ランプ部48には、その内側に赤、緑の2色発光タイプのLEDランプが配設されている。この第2特定ランプ部48は、スルーゲート34の通過をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、遊技球がスルーゲート34を通過すると、赤色光の点灯と緑色光の点灯とが交互に行われる。これにより、第2特定ランプ部48には、赤色、緑色が交互に表示されることとなる。そして、赤色が停止表示された場合には、作動口33に付随する電動役物が所定時間だけ開放状態となるよう構成されている。
【0051】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。より詳しくは、大当たりが発生すると、可変入賞装置32が所定の開放状態となり、遊技球が入賞し易い状態となる。可変入賞装置32の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32内の継続入賞口への入賞を条件として次ラウンドへの移行条件成立とし、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置32が繰り返し開放されるものが一般的である。
【0052】
遊技盤30には、後述する遊技球発射機構60から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射機構60から発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50は、内外二重に設けられた内レール部51と外レール部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、外レール部52は内レール部51の上方開放領域を囲むようにかつ内レール51の左側部と並行するように略半円環状に形成されている。かかる場合、内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、これら各レール部51,52が所定間隔を隔てて対向する部分により球案内通路が形成されている。
【0053】
レールユニット50において、前記球案内通路より遊技球が飛び出す部位(図4の左上部)には戻り球防止部材54が取着され、該飛び出した遊技球の最大飛翔部分に対応する部位(図4の右上部)には返しゴム55が取着されている。戻り球防止部材54により、一旦球案内通路から遊技盤30の上部へと飛び出した遊技球が球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム55に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。
【0054】
内レール部51及び外レール部52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。凸部57は、内レール部51の外周部から下方へ延びるように形成され、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球を後述するファール球通路109に導く機能を有する。
【0055】
図2の説明に戻り、樹脂ベース15の窓孔16(遊技盤30)の下方には、遊技球発射機構60が取り付けられている。遊技球発射機構60は、電磁式のソレノイド61と、発射レール62とからなり、ソレノイド61への電気的な信号の入力により当該ソレノイド61の出力軸が伸縮方向に移動し、発射レール62上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
【0056】
本体枠12の前面側には、当該本体枠12の前面側全体を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
【0057】
前面扉13の裏面側における開放先端側(開閉軸線とは反対側)には、上下3カ所に鉤金具71a,71b,71cが設けられている。これに対応させて、本体枠12の開放先端側には、上下3カ所に挿入孔が設けられている。また、本体枠12の裏面側における開放先端側には、図3に示すように、上下に延びる連動杆などからなる施錠装置22が設けられている。鉤金具71a,71b,71cが挿入孔を介して施錠装置22に係止されることによって、前扉枠13が本体枠12に対して開放不能に施錠される。
【0058】
本体枠12の右下隅部には、当該本体枠12に対する前扉枠13の施錠及び解錠、並びに外枠11に対する本体枠12の施錠及び解錠を行うためのシリンダ錠23が設置されている。シリンダ錠23は施錠装置22に一体化されており、施錠装置22のうちシリンダ錠23だけが本体枠12の前方に突出した状態で設けられている。シリンダ錠23は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り方向)に回すと本体枠12の施錠が解かれ、逆にキーを右(時計回り方向)に回すと前扉枠13の施錠が解かれるようになっている。
【0059】
本体枠12における樹脂ベース15の上部には、前扉枠13の開放の状態を検出するための前扉枠開放スイッチ24が設けられている。前扉枠開放スイッチ24は、樹脂ベース15の前面に出没可能なピンを有しており、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠13の閉鎖が検知され、本体枠12に対して前扉枠13を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠13の開放が検知されるようになっている。
【0060】
次に、前扉枠13について説明する。図5は前扉枠13を後方から見た斜視図である。なお、以下の説明では、図1等を適宜参照する。
【0061】
前扉枠13には遊技領域の前方に窓部72が形成されている。窓部72は、円形に近い略楕円形状をなし、より詳しくは、その左右側の略中央部が上下側に比べて緩やかに湾曲した形状となっている。窓部72には、透明性を有するガラス73が嵌め込まれており、当該ガラス73を介して遊技領域のほぼ全域が前方から視認可能となっている。
【0062】
前扉枠13にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部72の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部74が左右対称に設けられ、環状電飾部74の中央であってパチンコ機10の最上部にはLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部75が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部75が大当たりランプとして機能し、大当たり状態時に点灯や点滅を行うことにより大当たり中であることを報知する。その他、中央電飾部75の左右側方には、賞球払出中に点灯する賞球ランプ76と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ77とがそれぞれ設けられている。
【0063】
前面扉13における窓部72の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部81と下側膨出部85とが上下に並べて設けられている。上側膨出部81内側には上方に開口した上皿82が設けられており、下側膨出部85内側には同じく上方に開口した下皿86が設けられている。
【0064】
上皿82は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、且つ一列に整列させながら遊技球発射機構60側へ導く機能を有する。また、上側膨出部81前面側には上皿82用の球抜きレバー83が設けられており、この球抜きレバー83を操作すると上皿82の最下流部付近に設けられた球抜き通路(図示略)が開放され、上皿82内の貯留球が下皿86へ排出されるようになっている。
【0065】
下皿86は、上皿82内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。また、下側膨出部85前面側には下皿86用の球抜きレバー87が設けられており、この球抜きレバー87を操作すると下皿86の底面に設けられた図示しない閉鎖板が一体に又はリンクを介して移動して球抜き穴が開放され、下皿86内の貯留球が下方に排出されるよう構成されている。下皿86の奥壁には下皿86内に遊技球を排出するための球排出口86aが設けられており、さらに当該球排出口86aとは異なる位置には、多数の小孔が集合したスピーカカバー部88が形成されている。奥壁の裏面に設置されたスピーカ89の出力音がスピーカカバー部88を通じて前方に発せられるようになっている。
【0066】
下側膨出部85の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル91が設けられている。遊技球発射ハンドル91は、ABS樹脂にて成形されており、その表面にメッキ処理が施されている。遊技球発射ハンドル91には、周知の構成のため図示による説明は省略するが、遊技者が操作ハンドルに触れていることを検知するためのタッチセンサ、操作ハンドルが操作されたことを検知するための発射スイッチ及び操作ハンドルの操作量を検知するためのダイヤル可変抵抗器が設けられている。さらに、操作ハンドルを操作した状態で、遊技球の発射を止めるべく操作される止め打ちスイッチが設けられている。そして、これらセンサやスイッチの検出結果に基づいて遊技球発射機構60のソレノイド61に電気的な信号が出力され、遊技領域に向けて遊技球が発射される。
【0067】
以上のように、本パチンコ機10では、パチンコ機10の前面部を構成する前扉枠13に対して窓部72,上皿82,及び下皿86が設けられている。従来のパチンコ機においては、少なくとも窓部と下皿とがそれぞれ別ユニットとして設けられており、窓部が下皿に対して独立して回動可能となっていたため、パチンコ機の前面部には上記各ユニット間に境界が生じていた。この場合、当該境界から不正用冶具などを挿入して行う不正行為が想定される。また、かかる不正行為を抑制すべく各ユニット間の境界に対して不正抑制構造を設けることもできるが、そうすると構成の複雑化を招いてしまう。さらに、パチンコ機の前面部において境界が生じるのは、デザイン上好ましくない。これに対して、上記のとおり前扉枠13に窓部72,上皿82,及び下皿86が設けられているので、窓部72と下皿86との間に境界が生じることはなく、上記不都合が抑制される。
【0068】
但し、以上の構成においては、前扉枠13を開放することで、窓部72,上皿82,及び下皿86が一体的に回動する。この場合、例えば、下皿86が遊技球で満杯状態となっている際に、前扉枠13を開放すると、その満杯状態となった遊技球が球排出口86a側からパチンコ機10の外部に流出してしまうおそれがある。これに対して、本実施の形態では、図5に示すように、上皿82と下皿86との連通路が形成された通路形成ユニット100が前面枠13の背面に設けられており、当該通路形成ユニット100により上記不都合の発生が抑制されている。そこで以下に、かかる通路形成ユニット100の構成について説明する。図6は通路形成ユニット100の斜視図、図7は通路形成ユニット100の背面図、図8は通路形成ユニット100の一部を拡大して示す平面図、図9は図8のA―A線断面図である。
【0069】
通路形成ユニット100は、ポリカーボネート樹脂などといった透明性を有する合成樹脂により成型されており、前扉枠13に対してネジ止めされている。通路形成ユニット100には、その上側隅部(図7の状態で見て右上部)に遊技球分配部101が形成されている。遊技球分配部101は、図6等に示すように上方に開放されており、その左右方向の略中央には底部から上方に起立した仕切壁102が一体形成されている。
【0070】
遊技球分配部101は、仕切壁102により仕切られることで、2つの通路開口部103,104が設けられている。そのうち内側通路開口部103は上皿82へ続くように前後方向に延びる上皿用通路106に連通されており、外側通路開口部104は下皿86(下皿86の球排出口86a)へ続くように斜め下方に延びる下皿用通路107に連通されている。
【0071】
この場合に、内側通路開口部103並びに外側通路開口部104の前後方向寸法X1及び左右方向寸法X2は、図8に示すように、遊技球の直径Rに対して、R<X1≒2R,R<X2≒2Rの関係にある。また、仕切壁102の高さ寸法X3は、図9に示すように、遊技球の直径Rに対して、R<X3≒1.2Rの関係にある。さらに、仕切壁102の上端と遊技球分配部101の上面開放部101aとの間の距離X4は、遊技球の直径Rに対して、R<X4≒1.3Rの関係にある。
【0072】
本体枠12に対して前扉枠13が閉じられた状態では、図3に示すように、遊技球分配部101は本体枠12に形成された前後貫通孔25を介して本体枠12の後方に突出する。この突出した位置は後述する払出機構の真下位置となっている。そして、かかる払出機構から払い出された遊技球は、基本的に内側通路開口部103に流れ込み、上皿用通路106を介して上皿82に排出される。但し、上皿82が満杯状態となることで余剰となった遊技球が上皿用通路106を通じて溢れてくる場合には、その余剰の遊技球は、図9の二点鎖線で示すように、遊技球分配部101にて内側通路開口部103から仕切壁102を乗り上げ、外側通路開口部104へ落下する。そして、当該遊技球は下皿用通路107を通じて下皿86へ排出される。この場合に、仕切壁102の上端と遊技球分配部101の上面開放部101aとの間の距離X4が上記関係にあることにより、当該乗り上げた遊技球は遊技球分配部101の上面開放部101aよりも上方に突出しないようになっている。
【0073】
下皿用通路107には、図7に示すように、その下流側に下皿満杯スイッチ108が設けられている。下皿満杯スイッチ108は、プッシュ式センサにより構成されており、下皿用通路107の下側通路壁を構成するように設けられた押圧部材108aが遊技球の荷重で押されることでプッシュ式センサのスイッチ部がONされ、遊技を統括管理する主制御装置に対して検出信号を出力する。したがって、下皿86が満杯状態となり、図7の二点鎖線で示すように下皿用通路107に遊技球が積み重なった場合には、主制御装置に対して検出信号を出力する。主制御装置は後述する払出停止処理にて払出装置による遊技球の払い出しを停止する。これにより、下皿86が満杯状態となった場合には、それ以上の遊技球の払い出しが停止される。
【0074】
ここで、下皿用通路107における下皿満杯スイッチ108よりも上流側は、下皿86が満杯状態となった際に、遊技球分配部101からの溢れ出しを抑制可能な通路長となっている。つまり、所定の払出速度で遊技球の払い出しを行っている払出装置が払出停止された際には、既に払出装置から払い出され下皿86に向けて流下している遊技球が存在し得る。この場合に、その既に流下している遊技球として想定される最大数の遊技球が下皿用通路107にて下皿満杯スイッチ108よりも上流側に並んだとしても、かかる遊技球が遊技球分配部101から溢れ出ないようになっている。
【0075】
なお、通路形成ユニット100には、その中央上部に上方に開放したファール球通路109が形成されている。ファール球通路109の上方開放部109aは、遊技球発射機構60から発射されたが遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球が落下してくる位置にある。また、ファール球通路109は下皿用通路107に連通している。したがって、上記ファール球は下皿86へ排出される。
【0076】
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図10はパチンコ機10の背面図、図11はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
【0077】
パチンコ機10の背面側には、各種制御装置(各種制御基板)が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されるとともに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御装置を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に本体枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御装置121(主制御基板、電源監視基板)と音声ランプ制御装置122(音声ランプ制御基板)とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御装置123(払出制御基板)、電源及び発射制御装置124(電源及び発射制御基板)を他方の取付台に搭載してユニット化している。以下においては、便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット111」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット112」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化され、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット113」と称する。なお、図11に示すように、遊技盤30には、その背面から後方に突出するようにして可変表示ユニット35が取り付けられており、さらに当該可変表示ユニット35の背面に表示制御装置125が取り付けられている。
【0078】
第1制御基板ユニット111、第2制御基板ユニット112及び裏パックユニット113は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12又は遊技盤30の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、各ユニット111〜113やその他構成が前後に重ねて配置された場合に隠れた部位を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。実際には、図12の概略図に示すように、略L字状をなす第1制御基板ユニット111はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット112が配置されている。また、第1制御基板ユニット111に一部重複する領域に、裏パックユニット113が配置されている。
【0079】
第1制御基板ユニット111にはパチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に第1制御基板ユニット111が回動可能となっている。また、第1制御基板ユニット111には、その右端部すなわち支軸部M1の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット111がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。また、第2制御基板ユニット112にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に第2制御基板ユニット112が回動可能となっている。また、第2制御基板ユニット112には、その左端部すなわち支軸部M4の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット112がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。さらに、裏パックユニット113にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に裏パックユニット113が回動可能となっている。また、裏パックユニット113には、その左端部すなわち支軸部M6の反対側となる開放端側にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられるとともに、上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット113がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
【0080】
各ユニット111〜113を回動可能に支持する支軸部M1,M4,M6は、各ユニット111〜113をパチンコ機10の裏面から開いた状態で容易に取り外し可能なヒンジ構造となっている。簡単に説明すると、第1制御基板ユニット111については、締結部M2の締結及び係止爪部M3の係止を解除すると共に、当該ユニット111を軸線Aを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット113がない前提であれば、第1制御基板ユニット111を取り外すことができる。また、第2制御基板ユニット112については、締結部M5の締結を解除すると共に、当該ユニット112を軸線Bを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、第2制御基板ユニット112を取り外すことができる。さらに、裏パックユニット113については、締結部M7の締結及び係止部M8,M9の係止を解除すると共に、当該ユニット113を軸線Cを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット113を取り外すことができる。
【0081】
次に、裏パックユニット113の構成を説明する。図13は裏パックユニット113の背面図、図14は裏パックユニット113の分解斜視図である。
【0082】
裏パックユニット113は、裏パック131と遊技球の払出機構部132とが一体化されることにより構成されている。裏パック131は例えばABS樹脂等の合成樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部133と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部134とを有する。保護カバー部134は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置122も併せて囲む構成となっている。
【0083】
裏パック131には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン135が設けられており、掛止ピン135を本体枠12に設けられた軸受け部に上方から挿通させることで、裏パックユニット113が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。裏パック131には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ136が設けられており、ナイラッチ136を本体枠12に設けられた被締結孔にはめ込むことで、裏パックユニット113が本体枠12に固定される。
【0084】
裏パック131のベース部133には、保護カバー部134を迂回するようにして払出機構部132が配設されている。すなわち、裏パック131の最上部には上方に開口したタンク141が設けられており、タンク141には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク141の下方には、球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール142が連結され、タンクレール142の下流側には上下方向に延びるケースレール143が連結されている。
【0085】
ケースレール143の最下流部には払出装置145が設けられている。払出機構部132には、裏パック接続基板146が設置されており、当該接続基板146を中継して払出制御装置123からの払出指令の信号が払出装置145へ出力される。払出装置145では、当該信号により払出モータ145aが駆動されて必要個数の遊技球の払い出しが適宜行われる。なお、裏パック接続基板146は、外部より主電源を取り込む役割を果たす。即ち、裏パック接続基板146には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ146aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0086】
払出装置145より払い出された遊技球は、当該払出装置145と上述した遊技球分配部101とを連結するようにして裏パックユニット113に設けられた連結通路151を通じて遊技球分配部101に供給され、そこから上皿82や下皿86に排出される。
【0087】
連結通路151の構成について詳細に説明する。図15は連結通路151の通路構成を説明するための縦断面図、図16は図15のB−B断面図、図17は連結通路151の遊技球の流下態様を説明するための説明図である、なお、以下の説明では、図14等を適宜用いて説明する。
【0088】
連結通路151は、裏パック131に対して払出機構部132が組み付けられることにより形成されている。詳細には、裏パック131における払出装置145が配設される位置の下流側には、後方に開放した通路形成溝152が形成されている。そして、裏パック131に払出機構部132が組み付けられることにより通路形成溝152の後方開放部が塞がれ、連結通路151が形成されている。
【0089】
連結通路151は、その左右方向の通路幅が流下方向の途中位置にて拡張されている。つまり、上流側が遊技球1個分となっているのに対して、下流側はそれよりも大きくなっている。この場合に、上流部153の出口は、拡張部154における左右方向の一旦側に偏倚した位置にある。拡張部154には、略中央部に後方へ突出する円柱状の支軸155が一体形成されている。支軸155の高さ寸法は拡張部154の前後方向寸法と略同一となっている。この支軸155に軸支されるようにして、拡張部154には回転体161が収容されている。詳細には、回転体161には前後方向に貫通する貫通孔162が形成されており、貫通孔162に支軸155が挿通されている。
【0090】
回転体161は、拡張部154においてその最下端部に位置するようにして配置されている。但し、回転体161は拡張部154よりも下方には突出していない。回転体161の周縁には、120°間隔で3箇所に、衝突凸部163が形成されている。これら衝突凸部163は、回転体161の回転に伴って拡張部154を通過する遊技球の経路上に突出する。すなわち、拡張部154における前記経路側の壁部154aと、回転体161の衝突凸部163との間の距離は、遊技球の直径よりも短くなっている。これに対して、回転体161の周縁における衝突凸部163間の球受け凹部164は、前記壁部154aとの間の距離が遊技球の直径よりも長くなっている。さらに、上記のとおり回転体161は貫通孔162に支軸155が挿通されて支持されており、自由回転可能となっている。したがって、上流部153から拡張部154へ導出された遊技球が回転体161の衝突凸部163に当たることで、回転体161は遊技球導出方向に回転する。そして、この回転に伴って遊技球が遊技球分配部101に向けて導出される。
【0091】
この導出された遊技球は、遊技球分配部101における内側通路開口部103に到達する。そして、上述したとおり内側通路開口部103は上皿82に通じている。したがって、払出装置145から払い出された遊技球は、基本的に上皿82に排出される。この場合に、内側通路開口部103における連結通路151からの遊技球の導出位置は、図8における遊技球B1の位置となっている。つまり、連結通路151から導出される遊技球は、内側通路開口部103における手前側寄りの位置に到達する。
【0092】
回転体161は、上記のとおり遊技球の流れに伴って自由回転する構成であるが、前扉枠13が開放された際には、その自由回転が停止される構成となっている。そこで、かかる構成について説明する。
【0093】
拡張部154における上記壁部154aと反対側の壁部154b寄りの位置(すなわち、拡張部154における遊技球通過位置とは反対側の端部)には、裏パック131及び払出機構部132のそれぞれを前後方向に貫通するように一対の貫通孔157,158が形成されている。そして、この両貫通孔157,158を貫通するようにしてスライド板171が挿通されている。つまり、スライド板171は裏パック131及び払出機構部132を前後方向に貫通している。
【0094】
スライド板171は、ABS樹脂などの合成樹脂により長板状に形成されている。スライド板171は、その長手方向の寸法が本体枠12、遊技盤30及び裏パックユニット113の全てを貫通可能な大きさとなっており、その長手方向が前後方向となるように配設されている。したがって、スライド板171は、裏パック131及び払出機構部132だけでなく、図16に示すように、遊技盤30及び本体枠12を前後方向に貫通している。スライド板171の上部には長手方向の途中位置に上方へ起立した起立部172が一体形成されており、当該起立部172と拡張部154における払出機構部132側の壁との間には付勢手段としてのバネ173が圧縮状態で設けられている。これにより、スライド板171は前方に向けて常時付勢されている。なお、図14,図15及び図17においては、バネ173を省略して示す。
【0095】
以上の構成であることにより、スライド板171に対してバネ173の付勢力に抗する力が加えられていない場合には、図16の二点鎖線で示すように、スライド板171の手前側端部174が本体枠12の前面よりも前方に突出する(以下、この位置を前方位置とも言う)。なお、スライド板171の手前側への移動は、起立部172が拡張部154における裏パック131側の壁に当接することで規制される。一方、スライド板171に対してバネ173の付勢力に抗する力が加えられた場合には、スライド板171は後方へスライド移動し、図16の実線で示すように、スライド板171の奥側端部175が払出機構部132の背面よりも後方に突出する(以下、この位置を後方位置とも言う)。
【0096】
この付勢力に対する抗力は、本体枠12に対して前扉枠13が閉じられた状態では常時加えられている。つまり、前扉枠13の背面には、図5に示すように、スライド板171における手前側の端面と対向する位置に、後方へ突出した押圧片181が設けられており、前扉枠13が閉じられた状態においては押圧片181がスライド板171を後方へ押圧する。これにより、スライド板171が後方へスライド移動する。一方、前扉枠13が開放された場合には、押圧片181による押圧が解除され、バネ173の付勢力によりスライド板171が前方へスライド移動する。
【0097】
スライド板171には、その長手方向の途中位置に短手方向に凹むようにして回転許容孔176が形成されている。回転許容孔176は、スライド板171における長手方向の寸法が回転体161の厚み寸法よりも若干大きくなるように形成されている。スライド板171が上述した後方位置にある場合には、回転許容孔176は回転体161が回転する場合に衝突凸部163が通過する位置にあり、回転体161の回転に際して衝突凸部163がスライド板171に当たらないようになっている。一方、スライド板171が上述した前方位置にある場合には、回転許容孔176の位置が前方へと移動する。したがって、回転体161の回転に際して衝突凸部163がスライド板171に当たり、回転体161の自由回転が阻止され、連結通路151から遊技球分配部101への遊技球の導出が阻止される。すなわち、上述した前方位置は遊技球の導出を許容する許容位置であり、後方位置は遊技球の導出を阻止する阻止位置である。
【0098】
上記構成であることにより、前扉枠13が本体枠12に対して閉じられた状態においては、図17(a)に示すように、回転体161の自由回転が許容され、連結通路151から遊技球分配部101へ遊技球が導出される。一方、前扉枠13が開放された状態においては、図17(b)に示すように、回転体161の自由回転が阻止され、連結通路151から遊技球分配部101への遊技球の導出が阻止される。
【0099】
以上より、払出装置145から遊技球が払い出されている状況下で前扉枠13が開放されたとしても、前扉枠13が開放されたタイミングで連結通路151内にある遊技球が流出してしまうことが抑制される。特に、回転体161の自由回転を阻止する構成であるので、上記遊技球の導出の阻止を円滑に行うことができる。例えば、回転体161ではなく連結通路151内に出没するシャッターにより遊技球の導出を阻止する構成を想定すると、シャッターにより連結通路151を閉状態とする際に当該シャッターと連結通路151の通路壁との間で遊技球を噛み込むおそれがある。この場合、シャッターや連結通路151が破損するおそれがある。これに対して、本実施の形態における構成によれば、かかる不都合を生じさせることなく、遊技球の導出を阻止することができる。
【0100】
前扉枠13が開放された際には、それが本体枠12に設けられた前扉開放スイッチ24により検出され、その検出信号が主制御装置121に出力される。主制御装置121は後述する払出停止処理にて払出装置145による遊技球の払い出しを停止する。これにより、連結通路151からの遊技球の導出が阻止されている状況下で払出装置145から遊技球が払い出され続けることが防止される。
【0101】
連結通路151から導出される遊技球は、上記のとおり、内側通路開口部103における手前寄りの位置に到達する。また、上記のとおり、内側通路開口部103の前後方向寸法及び左右方向寸法は、遊技球の約2個分となっている。これにより、遊技球分配部101の遊技球受入領域には連結通路151からの遊技球の導出位置に対して前扉枠13の回動方向に余裕が生じ、図15に示すように回転体161により下流側に導出された遊技球が未だ連結通路151内にある状況下で前扉枠13が開放されたとしても、図18(前扉枠13が開放される場合の遊技球分配部101の移動範囲を説明するための説明図)に示すように、その遊技球は遊技球分配部101内に入り、パチンコ機10の外部に流出してしまうことが抑制される。
【0102】
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図19のブロック図に基づいて説明する。図19では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
【0103】
主制御装置121に設けられた主制御基板121aには、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU201が搭載されている。CPU201には、該CPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0104】
RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置124に設けられた電源及び発射制御基板124aからデータ記憶保持用電源(データ記憶保持用電圧)が供給されてデータが保持される構成となっている。詳細には、電源及び発射制御基板124aには、データ記憶保持用コンデンサが設けられており、当該コンデンサからデータ記憶保持用電源が供給される。
【0105】
主制御基板121aのCPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御基板121aの入力側には、主制御装置121に設けられた電源監視基板121b、払出制御装置123に設けられた払出制御基板123a及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、電源監視基板121bには電源及び発射制御基板124aが接続されており、主制御基板121aには電源監視基板121bを介して電源が供給される。
【0106】
一方、主制御基板121aの出力側には、電源監視基板121b、払出制御基板123a及び中継端子板205が接続されている。払出制御基板123aには、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。かかる場合に、当該各種コマンドは、ハーネスを介して一方向通信によって出力される。中継端子板205を介して主制御基板121aから表示制御装置125に設けられた表示制御基板125aに対して各種コマンドなどが出力される。さらには、第1特定ランプ部47に配設されたLEDランプのスイッチや第2特定ランプ部48に配設されたLEDランプのスイッチも接続されている。これにより、第1特定ランプ部47及び第2特定ランプ部48は、主制御基板121aにより直接的に制御されることとなる。
【0107】
電源監視基板121bは、主制御基板121aと電源及び発射制御基板124aとを中継し、また電源及び発射制御基板124aから出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
【0108】
払出制御基板123aは、払出モータ145aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU211は、そのCPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを備えている。
【0109】
払出制御基板123aのRAM213は、主制御基板121aのRAM203と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御基板124aからデータ記憶保持用電源が供給されてデータを保持できる構成となっている。また、RAM213における各種のカウンタ等が記憶される作業エリアには、コマンド入力フラグ格納エリアなどといった各種フラグ格納エリアと共に、主制御基板121aから出力されたコマンドが記憶されるコマンドバッファ213aが設けられている。
【0110】
コマンドバッファ213aは、主制御基板121aから出力されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファ213aにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
【0111】
払出制御基板123aのCPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板123aの入力側には、主制御基板121a、電源及び発射制御基板124a、及び裏パック接続基板146が接続されている。また、払出制御基板123aの出力側には、主制御基板121a及び裏パック接続基板146が接続されている。この場合に、裏パック接続基板146を介して払出装置145などを含む払出機構部132が接続されている。
【0112】
電源及び発射制御基板124aは、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御基板121aや払出制御基板123a等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部は、裏パック接続基板146を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMのデータ記憶保持用電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びデータ記憶保持用電源を主制御基板121aや払出制御基板123a等に対して供給する。なお、データ記憶保持用電源を生成するとは、データ記憶保持用コンデンサの充電を行うことをいう。
【0113】
発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル91の操作に従って発射ソレノイド61の発射制御を担うものであり、発射ソレノイド61は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。具体的には、発射制御部には遊技球発射ハンドル91に設けられた発射スイッチ221、タッチセンサ222及び止め打ちスイッチ223が接続されており、発射スイッチ221及びタッチセンサ222がオン、止め打ちスイッチ223がオフの状態となった場合に限って発射許可信号を主制御基板121a(電源監視基板121bを介して)に出力する。主制御基板121aは、当該発射許可信号の入力に基づいて所定周期の発射制御信号を発射制御部(電源監視基板121bを介して)に出力する。これにより、発射制御部は、発射制御信号の入力周期に従って発射ソレノイド61を駆動する。この場合に、遊技球発射ハンドル91にはハンドル操作量を判定するためのダイヤル可変抵抗器が設けられており、発射制御部はダイヤル可変抵抗器における抵抗値の変化に基づいて発射ソレノイド61による打ち出し速度を決定する。
【0114】
なお、電源部には、RAM消去スイッチ回路が設けられており、RAM消去スイッチのスイッチ信号を取り込み、そのスイッチの状態に応じて主制御基板121aのRAM203に記憶されたデータをクリアするためのRAM消去信号を出力する。即ち、RAM消去スイッチが押された際、RAM消去スイッチ回路は主制御基板121aに対してRAM消去信号を出力する。これにより、RAM消去スイッチが押された状態でパチンコ機10の電源が投入されると、主制御基板121aにおいてRAM203のデータがクリアされる。また、この際、主制御基板121aから払出制御基板123aに対して払出初期化コマンドが出力され、払出制御基板123aにおいてもRAM213のデータがクリアされる。
【0115】
表示制御基板125aは、音声ランプ制御装置122及び図柄表示装置41における第1図柄(特別図柄)の変動表示を制御するものである。表示制御基板125aは、CPU、ROM及びRAM等を備えており、CPUにはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。表示制御基板125aの入力側には中継端子板205に中継されて主制御基板121aが接続されており、主制御基板121aから出力される各種コマンドに基づいて、音声ランプ制御装置122及び図柄表示装置41を制御する。
【0116】
ここで、電源監視基板121bは、上述したように、電源及び発射制御基板124aから出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。かかる場合に、この電源が22ボルト未満になると停電(電源遮断)の発生と判断し、停電信号SG1を主制御基板121aのCPU201に設けられたNMI端子(ノンマスカブル割込端子)へ出力する。これにより、主制御基板121aは、停電の発生を認識してNMI割込み処理を即座に実行し、さらにこれに基づいて後述する停電時処理を実行する。なお、NMI端子とは、割込禁止設定できない割込端子のことをいう。
【0117】
また、主制御基板121aは、停電時処理において、払出制御基板123aのCPU211に設けられたNMI端子(ノンマスカブル割込端子)へ停電信号SG2を出力する。これにより、払出制御基板123aは、停電の発生を認識してNMI割込み処理を即座に実行し、さらにこれに基づいて後述する停電時処理を実行する。即ち、本実施の形態では、払出制御基板123aは、電源監視基板121bから停電信号を直接入力するのではなく、主制御基板121aを介して停電信号を入力する。
【0118】
なお、電源及び発射制御基板124aは、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。詳細には、電源及び発射制御基板124aには、上述したデータ記憶保持用コンデンサとは異なる停電時処理用コンデンサが設けられており、当該コンデンサからの放電により5ボルト電源が維持されるようになっている。よって、主制御基板121a及び払出制御基板123aは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0119】
次に、遊技球の払い出しに関する本パチンコ機10の電気的構成について、図20のブロック図に基づいて説明する。
【0120】
主制御基板121aの入力側には、遊技球の検出センサである入賞検出センサ31a、大入賞検出センサ32a、及び作動検出センサ33aが接続されている。入賞検出センサ31aは一般入賞口31に入った遊技球を検出し、大入賞検出センサ32aは可変入賞装置32に入った遊技球を検出し、作動検出センサ33aは作動口33に入った遊技球を検出する。なお、遊技領域には一般入賞口31が複数設けられているため、入賞検出センサ31aは各一般入賞口31に対応させて複数設けられている。
【0121】
主制御基板121aは、上記各センサ31a,32a,33aから検出信号を入力した場合には、その検出信号を入力したセンサ31a,32a,33aに対応した賞球コマンドを払出制御基板123aに出力する。つまり、入賞検出センサ31aから検出信号を入力した場合には10個賞球である旨の情報を含む賞球コマンドを出力し、大入賞検出センサ32aから検出信号を入力した場合には15個賞球である旨の情報を含む賞球コマンドを出力し、作動検出センサ33aから検出信号を入力した場合には5個賞球である旨の情報を含む賞球コマンドを出力する。
【0122】
払出制御基板123aは、主制御基板121aから賞球コマンドを入力することにより、その賞球コマンドに含まれる賞球情報に応じた数の遊技球の払い出しを実行するよう払出装置145の払出モータ145aを駆動制御する。これにより、一般入賞口31に遊技球が入った場合には10個の遊技球が払い出され、可変入賞装置32に遊技球が入った場合には15個の遊技球が払い出され、作動口33に遊技球が入った場合には5個の遊技球が払い出される。
【0123】
以上のように主制御基板121aからの賞球コマンドに基づいて遊技球の払い出しが実行される一方、主制御基板121aからの払出停止コマンドに基づいて遊技球の払い出しが停止される。かかる構成について説明すると、主制御基板121aの入力側には、前扉枠13が本体枠12に対して開放されたことを検出する前扉開放スイッチ24、及び下皿86が満杯状態となったことを検出する下皿満杯スイッチ108が接続されている。
【0124】
主制御基板121aは、上記各スイッチ24,108から検出信号を入力した場合には、その入力に基づいて払出停止コマンドを払出制御基板123aに出力する。つまり、前扉枠13が開放された場合、及び下皿86が満杯状態となった場合に、払出停止コマンドを出力する。払出制御基板123aは、主制御基板121aから払出停止コマンドを入力することにより、遊技球の払い出しを行っている途中であったとしても当該払い出しを停止するよう払出モータ145aを停止制御する。これにより、前扉枠13が開放されたにも関わらず遊技球の払い出しが継続されることが防止され、また下皿86が満杯状態にも関わらず遊技球の払い出しが継続されることが防止される。
【0125】
次に、主制御基板121aのCPU202により実行される払出停止処理を図21のフローチャートを参照しながら説明する。
【0126】
払出停止処理では、先ずステップS101にてRAM203に設けられた払出停止中フラグ格納エリアに払出停止中フラグがセットされているか否かを判定する。かかる払出停止中フラグは、払出制御基板123aに対して払出停止コマンドを出力することによりセットされ、払出制御基板123aに対して解除コマンドを出力することによりクリアされるフラグである。
【0127】
払出停止中フラグがセットされていない場合には、ステップS101にて否定判定をし、ステップS102〜ステップS104の払出停止設定処理を実行する。当該払出停止設定処理では、ステップS102にて前扉開放スイッチ24から検出信号を入力しているか否かを判定し、ステップS103にて下皿満杯スイッチ108から検出信号を入力しているか否かを判定する。前扉開放スイッチ24及び下皿満杯スイッチ108のいずれからも検出信号を入力していない場合には、ステップS102及びステップS103の双方にて否定判定をし、そのまま本処理を終了する。
【0128】
前扉開放スイッチ24又は下皿満杯スイッチ108のいずれかから検出信号を入力していた場合には、ステップS102又はステップS103のいずれで肯定判定をし、ステップS104に進む。なお、下皿満杯スイッチ108から検出信号を入力している場合には、その入力により即座に肯定判定をするのではなく、所定期間に亘って検出信号を入力した場合に肯定判定をするのが好ましい。下皿86が満杯状態でない場合において下皿用通路107を通過する遊技球により下皿満杯スイッチ108がONされる可能性があるからである。
【0129】
ステップS104では、払出制御基板123aに対して払出停止コマンドを出力するとともに、払出停止中フラグをセットする。その後、本処理を終了する。払出制御基板123aにおいては、当該払出停止コマンドを入力することにより払出モータ145aを停止制御する。また、主制御基板121aから後述する停止解除コマンドを入力する前に、当該主制御基板121aから賞球コマンドを入力したとしても、払出モータ145aの駆動制御を開始しない。
【0130】
一方、払出停止中フラグがセットされている場合には、ステップS101にて肯定判定をし、ステップS105及びステップS106の払出停止解除処理を実行する。当該払出停止解除処理では、ステップS105にて前扉開放スイッチ24及び下皿満杯スイッチ108のいずれからも検出信号を入力していないか否かを判定し、いずれかから検出信号を入力している場合には否定判定をし、そのまま本処理を終了する。
【0131】
前扉開放スイッチ24及び下皿満杯スイッチ108のいずれからも検出信号を入力していない場合には肯定判定をし、ステップS106に進む。ステップS106では、払出制御基板123aに対して停止解除コマンドを出力するとともに、払出停止中フラグをクリアする。その後、本処理を終了する。払出制御基板123aにおいては、当該停止解除コマンドを入力することにより、賞球が残っている場合には払出モータ145aの駆動制御を開始する。
【0132】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0133】
パチンコ機10の前面部を構成する前扉枠13に窓部72、上皿82、及び下皿86を設けユニット化した。これにより、パチンコ機10の前面部において窓部72(ガラス73)と、上皿82と、下皿86との各間に境界が生じることはなく、従来のパチンコ機のような当該境界を利用した不正行為を抑制することができる。また、当該構成によれば、パチンコ機10のデザイン上、好適なものとなる。
【0134】
この場合に、前扉枠13には通路形成ユニット100を設け、さらに通路形成ユニット100における下皿用通路107の途中位置にて当該下皿用通路107を流下する遊技球を検出する下皿満杯スイッチ108を配設した。そして、下皿満杯スイッチ108の検出結果に基づいて、下皿86が満杯状態であると判定された場合には、払出装置145による遊技球の払い出しを停止するようにした。これにより、上記のように窓部72と、上皿82と、下皿86とを前扉枠13としてユニット化した構成において、下皿86が満杯状態である場合に窓部72の開放を行う必要が生じたとしても、その開放操作に際して下皿86に貯留された遊技球がパチンコ機10の外部へ流出してしまうことが抑制される。また、上皿用通路106又は下皿用通路107に遊技球を振り分ける遊技球分配部101を通路形成ユニット100に設けた。これにより、上皿82が満杯状態の場合に前扉枠13が開放されたとしても、上皿82に貯留された遊技球がパチンコ機10の外部に流出してしまうことが抑制される。
【0135】
さらに、通路形成ユニット100が設けられていることにより上皿82や下皿86への遊技球の排出が行われ、下皿満杯スイッチ108が設けられていることにより下皿86が満杯状態になっているにも関わらず遊技球が払い出され続けることが抑制される。すなわち、通路形成ユニット100及び下皿満杯スイッチ108が設けられていることにより、上皿82や下皿86への遊技球の排出が円滑に行われる。そして、これら通路形成ユニット100及び下皿満杯スイッチ108により上記遊技球の流出抑制効果が得られる。つまり、以上の構成によれば、構成の簡素化を図りつつ、上記効果を奏することができる。
【0136】
連結通路151には、回転体161と、ストッパとしてのスライド板171を設けた。これにより、払出装置145から遊技球が払い出されている状況下で前扉枠13が開放されたとしても、前扉枠13が開放されることで連結通路151の遊技球の通過が阻止される。これにより、遊技者に対する賞球がパチンコ機10の外部に流出してしまうことが抑制される。
【0137】
また、上記のとおり、前扉枠13が開放されることで払出装置145による遊技球の払い出しが停止される。但し、かかる構成であっても、払出装置145による遊技球の払い出しが停止される前の段階で既に払い出されてしまった遊技球がある可能性がある。この場合であっても、上記のとおり連結通路151の遊技球の通過が阻止されることにより、その遊技球がパチンコ機10の外部に流出してしまうことが抑制される。
【0138】
なお、連結通路151を設ける構成とすることにより、払出装置145の配置位置の自由度が増す。また、払出装置145には遊技球の払い出しを実行する回転体などの球送り体が設けられ、さらに当該球送り体の下流側には払い出す遊技球を検出する球検出手段を設けるのが一般的である。したがって、払出装置145を遊技球分配部101の直上流側に設けたとしても、球送り体と遊技球分配部101との間には所定の間隔が生じる。よって、連結通路151、回転体161及びスライド板171を設けずに払出装置145を遊技球分配部101の直上流側に配置したとしても、遊技球のパチンコ機10の外部への流出を抑制することは困難である。これに対して、連結通路151、回転体161及びスライド板171を設けることにより、上記のとおり、遊技球がパチンコ機10の外部に流出してしまうことが抑制される。
【0139】
前扉枠13が開放された場合には、スライド板171が阻止位置に移動し回転体161の回転が阻止されることで、連結通路151の遊技球の通過が阻止される。かかる構成とすることにより、連結通路151の遊技球の通過を阻止する際に連結通路151内にて球詰まりが生じてしまうことが抑制される。阻止手段が回転体161及びスライド板171ではなく、例えば、連結通路151内に出没するシャッター機構である構成を想定すると、連結通路151の遊技球の通過を阻止する際に連結通路151内に突出したシャッター部材と連結通路151の通路壁との間で遊技球を噛み込んでしまうおそれがある。これに対して、阻止手段を回転体161及びスライド板171として設けた構成では、回転体161の従動回転が停止されるだけであるので、上記のような遊技球の噛み込みが生じることはなく、上記のとおり連結通路151内にて球詰まりが生じることが抑制される。
【0140】
阻止位置に向けてスライド板171を付勢するバネ173を設け、さらに前扉枠13にはスライド板171を許容位置に向けて押圧する押圧片181を設けた。これにより、機械的な構成により、上記球詰まり抑制の効果を奏することができる。
【0141】
仕切壁102の上端と遊技球分配部101の上面開放部101aとの間の距離が遊技球1個分以上となるように遊技球分配部101を形成した。これにより、上皿82が満杯状態となり遊技球分配部101により下皿86へ遊技球が振り分けられる場合に、その振り分けられる遊技球が遊技球分配部101の上面開放部101aから突出することはない。よって、上皿82が満杯状態の場合に前扉枠13が開放されとしても、遊技球分配部101にある遊技球がパチンコ機10の外部に流出してしまうことが抑制される。また、振り分けられる遊技球が遊技球分配部101の上面開放部101aから突出する構成を想定すると、上皿82が満杯状態の際には上面開放部101aから突出した遊技球が連結通路151の通路壁に引っ掛かり、前扉枠13を開放できないおそれがある。これに対して、上記のとおり上面開放部101aから遊技球が突出することはないので、かかる不都合の発生を抑制することができる。
【0142】
前扉枠13が開放される場合には、払出装置145による遊技球の払い出しを停止するようにした。これにより、前扉枠13が開放されたにも関わらず遊技球の払い出しが継続されることが抑制され、遊技者に対する賞球がパチンコ機10の外部に流出してしまうことが抑制される。
【0143】
払出装置145から払い出された遊技球の遊技球分配部101における到達位置が前扉枠13の回動方向に対して先端側に偏倚した位置となるよう当該遊技球分配部101を形成した。これにより、前扉枠13が開放される場合に、払出装置145による遊技球の払い出しが制限される前の段階で既に払い出されてしまった遊技球があったとしても、その遊技球が遊技球分配部101に受けられ易くなる。よって、遊技者に対する賞球がパチンコ機10の外部に流出してしまうことが抑制される。
【0144】
下皿86が満杯状態となり払出装置145による遊技球の払い出しが停止される場合に、当該払い出しの停止が実行される前までに既に払い出された遊技球が連結通路151にて待機しないように、下皿用通路107の最上流部から下皿満杯スイッチ108の検出位置までの通路長を設定した。これにより、下皿86が満杯状態となったとしても、払出装置145による遊技球の払い出しが停止されるまでに払い出された遊技球は下皿用通路107にて待機する。したがって、下皿86が満杯状態である場合に前扉枠13を開放させたとしても、既に払い出された遊技球がパチンコ機10の外部へ流出してしまうことが抑制される。
【0145】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0146】
(1)連結通路に関する構成の変形例を図22に示す。図22における連結通路231では、上記実施の形態と同様に、上流部232と拡張部233とを備えている。また、拡張部233には、上記実施の形態と同様に、連結通路231を通過する遊技球が当たることで従動回転する回転体161が設けられている。この場合に、本構成においては上記実施の形態とはストッパの構成が異なっている。つまり、本構成においては、ストッパとしてソレノイド235が設けられている。ソレノイド235はその出力軸236が上下方向に伸縮するように配設されている。そして、前扉枠13が開放された場合には、前扉開放スイッチ24の検出結果に基づいて主制御装置121(又は払出制御装置123などのサブ制御装置)からソレノイド235に駆動信号が出力されることで当該ソレノイド235が励磁され、出力軸236が下方に突出する。出力軸236が突出した状態においては、当該出力軸236に回転体161の衝突凸部163が当たり回転体161の従動回転が阻止される。一方、前扉開放スイッチ24の検出結果に基づいて前扉枠13が閉じられたと判定された場合には、ソレノイド235への駆動信号の出力が停止され当該ソレノイド235の励磁が停止される。これにより、出力軸236が元の位置に復帰し、当該出力軸236に回転体161の衝突凸部163が当たらなくなる。よって、回転体161の従動回転が許容される。以上の構成とすることにより、複雑な機械的な構成を設けることなく、連結通路231の遊技球の通過阻止を円滑に行うことができる。
【0147】
(2)上記実施の形態では、連結通路151における阻止手段として、回転体161及びスライド板171を設けたが、これを変更してもよい。例えば、阻止手段として、連結通路151内に出没するシャッター部材を備えたシャッター機構を設ける構成としてもよい。
【0148】
(3)上記実施の形態では、連結通路151を裏パックユニット113に設けたが、これに代えて、本体枠11の背面や遊技盤30の背面に設けてもよい。
【0149】
(4)上記実施の形態では、遊技球分配部101において仕切壁102の上端と遊技球分配部101の上面開放部101aとの間の距離が遊技球1個分以上となるように、遊技球分配部101を形成したが、これを変更してもよい。例えば、仕切壁102を上面開放部101aの位置まで到達するように形成してもよい。この場合、内側通路開口部103と外側通路開口部104との仕切をより確実に行うことができる。但し、本構成においては、上皿82が満杯状態の場合には、遊技球が遊技球分配部101の上面開放部101aから突出するおそれがある。そうすると、上皿82が満杯状態の場合には前扉枠13を開放しづらくなってしまうおそれがある。そこで、かかる構成においては、例えば、遊技球分配部101と連結通路151との間の距離をある程度確保するのが好ましい。また、上皿用通路106の底部に回動可能な回動片を設け前扉枠13が開放された場合には当該回動片が回動し、上皿用通路106の底部に下皿用通路107への誘導部が現出し、上皿用通路106にある遊技球が下皿用通路107に導出される構成とするのが好ましい。
【0150】
(5)遊技球分配部101の前後方向寸法や左右方向寸法は上記実施の形態におけるものに限定されることはなく、任意である。但し、それら前後方向寸法や左右方向寸法を上記実施の形態よりも大きくするとともに、連結通路151を流下した遊技球の到達位置を前扉枠13の回動方向の先端側とすることで、前扉枠13の開放に際して遊技球分配部101にて遊技球を受け易くなる。
【0151】
(6)上記実施の形態では、下皿満杯スイッチ108をプッシュ式センサにより構成したが、これに限定されることはなく、例えば、フォトセンサや磁気センサにより構成してもよい。
【0152】
(7)上記実施の形態では、前扉開放スイッチ24や下皿満杯スイッチ108の検出信号を主制御装置121に入力する構成としたが、これら検出信号を払出制御装置123が入力する構成としてもよい。
【0153】
(8)払出停止処理(図21)の処理構成は、上記実施の形態におけるものに限定されることはなく任意である。
【0154】
(9)上記実施の形態では、前扉開放スイッチ24を本体枠12の前面側に設けたが、これを変更してもよい。例えば、施錠装置22の動きを検出するようにして前扉開放スイッチを設ける構成としてもよい。すなわち、前扉開放スイッチにより施錠装置22の解錠操作を検出する構成とする。これにより、前扉枠13が開放される場合には、上記実施の形態よりも早い段階でそれを検出することができ、前扉枠13が開放される場合の遊技球の払い出し停止タイミングを早めることができる。
【0155】
(10)上記実施の形態では、球受け皿として上皿82と下皿86とを設けたが、一の球受け皿のみを設ける構成としてもよい。この場合であっても、前扉枠13に窓部72と球受け皿とを設け、さらに球受け皿への排出通路が形成された通路形成ユニットを前扉枠13に設けることで、上記実施の形態における効果と同様の効果を得ることができる。
【0156】
(11)上記実施の形態では、第1特定ランプ部47が図柄表示装置41の表示画面の上方に配設されている構成であったが、他の位置に配設されている構成であってもよい。例えば、第1特定ランプ部47がアウト口36付近に配設されている構成であってもよい。
【0157】
(12)上記実施の形態では、第1図柄の変動表示を行う図柄表示装置41と別に第1特定ランプ部47を設ける構成としたが、第1特定ランプ部47を設けずともよい。
【0158】
(13)上記実施の形態では、図柄表示装置41を備えたパチンコ機10に対して本発明を適用したが、それ以外のタイプのパチンコ機に適用してもよい。例えば、遊技球転動部や有利口などが設けられた入賞役物装置を備えたパチンコ機に対して本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の主要な構成を展開又は分解して示す斜視図である。
【図3】本体枠の背面構成を示す斜視図である。
【図4】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図5】前扉枠の背面構成を示す斜視図である。
【図6】通路形成ユニットの構成を示す斜視図である。
【図7】通路形成ユニットの構成を示す背面図である。
【図8】通路形成ユニットの一部を拡大して示す平面図である。
【図9】図8のA―A線断面図である。
【図10】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図11】パチンコ機の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
【図12】パチンコ機裏面における第1制御基板ユニット、第2制御基板ユニット及び裏パックユニットの配置を示す模式図である。
【図13】裏パックユニットの構成を示す背面図である。
【図14】裏パックユニットの分解斜視図である。
【図15】連結通路の構成を示す縦断面図である。
【図16】図15のB−B線断面図である。
【図17】連結通路における遊技球の動きを説明するための説明図である。
【図18】前扉枠を開放させた場合の遊技球分配部と当該遊技球分配部に到達する遊技球との位置関係を説明するための説明図である。
【図19】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図20】遊技球の払い出しに関する電気的構成を示すブロック図である。
【図21】払出停止処理を示すフローチャートである。
【図22】別の連結通路の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0160】
10…遊技機としてのパチンコ機、11…外枠、12…支持体としての本体枠、13…遊技機前面体としての前扉枠、24…開放検出手段としての前扉開放スイッチ、30…遊技領域形成体としての遊技盤、31…入球部としての一般入賞口、32…入球部としての可変入賞装置、33…入球部としての作動口、72…窓パネル部を構成する窓部、73…窓パネル部を構成するガラス、82…上皿、86…下皿、100…通路形成ユニット、101…球受口又は球振分部を構成する遊技球分配部、102…仕切壁、103…上皿側開放部としての内側通路開口部、104…下皿側開放部としての外側通路開口部、106…上皿排出部としての上皿用通路、107…下皿排出部としての下皿用通路、108…満杯検出手段としての下皿満杯スイッチ、121…主制御装置、145…払出装置、151…連結通路、161…阻止手段を構成する回転体、163…突出部としての衝突凸部、171…阻止手段を構成するスライド板、173…付勢手段としてのバネ、181…押圧手段としての押圧片、235…駆動手段としてのソレノイド、236…駆動部としての出力軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技領域形成体と、
遊技機前面部に設けられ、前記遊技領域を視認可能とする窓パネル部と、
前記遊技領域形成体の奥側に設けられ、前記遊技領域における遊技結果に基づいて遊技球を払い出す払出装置と、
前記窓パネル部の下方に設けられ、前記払出装置から払い出された遊技球を貯留する球受け皿と
を備えた遊技機において、
前方へ回動可能に設けられた遊技機前面体に前記窓パネル部と前記球受け皿とを設けるとともに、当該遊技機前面体に前記払出装置から払い出された遊技球を前記球受け皿に排出する排出通路を設け、
前記排出通路の途中位置にて当該排出通路を流下する遊技球を検出する満杯検出手段と、満杯検出手段の検出結果に基づいて前記球受け皿が満杯状態であると判定された場合に前記払出装置による遊技球の払い出しを制限する払出制限手段とを備え、
さらに、前記払出装置を支持する支持体に、前記払出装置と前記排出通路とを連結する連結通路を設けるとともに、当該連結通路に、前記遊技機前面体が開放された場合に前記連結通路の遊技球の通過を阻止する阻止手段を設けたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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