説明

遊技機

【課題】セキュリティの向上を図るとともに、利益付与確率の変更を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】設定値変更部を操作するためのキー40は、入力対象者の指紋情報を入力する指紋読取部401と、特定対象者の指紋情報を登録情報として記憶し、かつ指紋読取部401から入力した指紋情報と登録情報とを照合する生体認証制御部400と、生体認証制御部400による照合が一致したとき設定値変更可能信号100を出力可能な発信部404とを有する。設定値変更部は、発信部404から発信される設定値変更可能信号100を受信可能な設定値変更制御受信部85を有する。主制御部4は、設定値変更制御受信部85が設定値変更可能信号100を受信したときのみ、設定値変更部による利益付与確率の変更を有効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を制御するための主制御部と、遊技の際の利益付与確率を変更するための設定値変更部とを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機においては、遊技を制御する主制御部や各種遊技機器等を収容する筐体と、筐体の前面に開閉可能に支持される前扉を備えている。また、筐体内の所定の場所には、遊技の際の利益付与確率を変更するための設定値変更部が設けられている。
【0003】
設定値変更部を操作するには、操作する人、例えば遊技店の店員の指先を前扉の表面に設けられた指紋読取部に押し付ける。これにより、指紋読取部で照合用に読み取られた指紋の紋様情報が、遊技機内に設けられた記憶媒体に予め登録された指紋の紋様情報と一致するか否かが判断され、一致した場合のみ前扉のロック手段に解除信号を出力して、前扉の開放を可能にする。そして、前扉を開けた状態で、店員が所持しているキーを用いて設定値変更部を操作する。このようにして、記憶媒体に予め登録された指紋と一致する店員のみが、遊技機の利益付与確率を変更することができるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−270306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載された遊技機においては、予め登録された店員のみが利益付与確率の変更が可能であるため、セキュリティの向上を図ることができるが、その反面、指紋読取部が遊技機1台毎に設ける必要があるため、コスト高を招くとともに、例えば、遊技店の開店前の準備で、多数の遊技機の利益付与確率を続けて変更する必要がある場合には、店員が遊技機毎に指紋読取部に指を押し付けて紋様を照合させなければならないため、利益付与確率を迅速に変更することはできない問題点を有する。
【0005】
本発明は、上述のような従来の課題に鑑み、セキュリティの向上を図るとともに、利益付与確率の変更を容易に行うことができるようにした遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)遊技を制御するための主制御部と、遊技の際の利益付与確率を変更するための設定値変更部とを備えた遊技機において、前記設定値変更部を操作するためのキーは、入力対象者の生体情報を入力する生体情報入力部と、特定対象者の生体情報を予め登録情報として記憶し、かつ前記生体情報入力から入力した入力情報と前記登録情報とを照合する生体認証制御部と、前記生体認証制御部による照合が一致したとき設定値変更可能信号を出力可能な発信部とを有し、前記設定値変更部は、前記キーの発信部から発信される設定値変更可能信号を受信可能な設定値変更制御受信部を有し、前記主制御部は、前記設定値変更制御受信部が設定値変更可能信号を受信したときのみ、前記設定値変更部による前記利益付与確率の変更を有効にする。
【0007】
(2)上記(1)項において、前記生体認証制御部は、照合が一致したとき、その結果を所定期間記憶して、所定の操作が実行されることによって、前記発信部から前記設定値変更可能信号の発信を可能にする。
【0008】
(3)上記(1)または(2)項において、前記生体情報入力部を、人体の指先の指紋情報を読み取り可能な指紋読取部とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、次のような効果が奏せられる。
請求項1記載の発明によると、特定対象者の生体情報を予め登録した登録情報と生体情報入力部から入力した生体情報としての入力情報とが一致する場合のみ、設定値変更の操作を有効にすることができるため、セキュリティの向上を図ることができる。また、キー側で生体情報の照合を行い得るようにしたことにより、遊技機毎に生体情報を照合する必要がなくなり、利益付与確率の変更を容易に行うことができる
【0010】
請求項2記載の発明によると、所定期間内であれば、入力対象者が生体情報を一度だけ入力するだけで、複数の遊技機の利益付与確率を続けて変更することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によると、入力対象者の指紋情報を簡単に入力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態を適用した遊技機(スロットマシン)の斜視図、図2は、前扉を開けた状態の遊技機の斜視図である。なお、以下の説明においては、図1、2における左斜め下方を「前方」とし、図1、2における右斜め上方を「後方」とする。
【0013】
遊技機1としてのスロットマシンは、前面が開放した正面視矩形の筐体2と、筐体2の左側部に上下方向を向く上下1対のヒンジ軸(図示略)により開閉可能に枢支された前扉3とを備える。
【0014】
図1に示すように、前扉3の前面には、後述の表示装置9に表示される演出情報を透視可能な情報表示窓15と、後述の各回転リール61の識別情報を3こまずつ透視可能な識別情報表示窓17と、遊技を光演出するランプ27とが設けられている。
【0015】
識別情報表示窓17の下方には、遊技を開始するときに遊技媒体であるメダルが投入されるメダル投入部18と、メダルの賭数を最大限(3枚)に設定するMAXベットボタン19と、メダルの賭数を1枚に設定する1ベットボタン20と、全ての回転リール61を一斉に回転させるときに操作されるスタートレバー21と、各回転リール61の回転を個別に停止させるときに操作される3個のストップボタン22と、遊技を精算するときに操作される精算ボタン23と、生体認証機能を備えた後述のキー40により操作可能なキーシリンダ24が設けられている。
【0016】
キー40をキーシリンダ24に差し込んで時計方向へ操作した場合には、後述のロック13を解除作動させて前扉3を開けることができ、また、反時計方向へ操作した場合には、前扉3の裏面側に設けられたリセットスイッチ(図示略)を作動させて遊技に係わる遊技機器のエラーを解除させることができる。なお、前扉3を開けるため及びエラーを解除させるためのキーは、生体認証機能を備えない別のキーを使用しても良い。
【0017】
なお、MAXベットボタン19、1ベットボタン20、スタートレバー21、各ストップボタン22及び精算ボタン23には、それぞれの操作を検出するためのセンサが内蔵されている。
【0018】
図2に示すように、前扉3の裏面側には、遊技情報等を表示可能な表示装置9と、効果音を発生する左右のスピーカ11と、メダル投入部18に投入されるメダルの真偽を判別し、真のメダルのみを後述のホッパーユニット7に誘導するメダルセレクター12とが設けられている。
【0019】
前扉3の裏面側周囲の開放側(右側)には、筐体2の適所に係脱可能な上、下のロック13が枢支されている。ロック13は、筐体2の適所に係合することにより前扉3を閉鎖状態に拘束する。
【0020】
筐体2内には、遊技を統括的に制御する主制御部4と、主制御部4の指令に基づいて、遊技に係わる演出制御を行なう副制御部5と、複数種類の図柄、数字等で構成される識別情報を変動表示及び停止表示可能な回転リールユニット6と、遊技媒体であるメダルを貯留及び払出可能なホッパーユニット7と、遊技機1の各種電気部品に外部電源の電力を供給する外部電源供給装置8等の遊技に係わる遊技機器が収容されている。
【0021】
回転リールユニット6は、外周面に識別情報が印刷又は貼付された左、中、右の3個の回転リール61と、各回転リール61を回転させるためのモータを制御するモータ駆動回路62とを備える。
【0022】
次に、遊技機1の遊技方法について簡単に説明する。遊技者がメダルをメダル投入部18に投入して、MAXベットボタン19(又は、1ベットボタン20)の操作により遊技の賭数を設定した後、スタートレバー21を操作して各回転リール61を一斉に回転させる。そして、所定時間経過後に各回転リール61に対応する各ストップボタン22を順次操作して、各回転リール61を停止させる。
【0023】
各回転リール61が停止したときの、識別情報表示窓17内の有効ライン上に表示される左、中、右の識別情報の組み合わせにより、入賞の有無、及び賞の大小が決定され、入賞態様に応じた数のメダルがホッパーユニット7から前扉3の下部に設けられた受皿3aに払い出される。そして、入賞のうち特定遊技状態となった場合には、所定の効果音をスピーカ11から発生させたり、表示装置9に特定遊技状態に係わる遊技情報や演出情報等を表示させる等して演出効果を高める。
【0024】
図3は、キー40に設けられた生体認証制御部の概念ブロック図である。キー40には、入力対象者の指先の指紋情報(生体情報)を入力情報として入力可能な生体情報入力部をなす指紋読取部401と、遊技店で定めた特定対象者の指紋情報を予め登録情報として記憶可能な記憶部402と、指紋読取部401で読み取った指紋情報と記憶部402に予め登録された指紋情報とを照合する照合部403と、照合部403の照合の結果、一致した際、設定値変更可能信号100を発信可能な発信部404と、指紋読取部401で読み取った指紋情報を記憶部402に記憶させるときに操作される登録スイッチ405と、各電子素子に電力を供給する電源406と、設定値変更可能信号100を発信部404から発信させるときに操作される発信操作部407と、照合部403の照合結果が一致した際、その照合結果を所定時間(例えば10分)、記憶可能とするタイマ408とが設けられている。なお、本実施形態における生体認証制御部400は、記憶部402と、照合部403と、タイマ408を含むものとするが、これは適宜変更可能である。
【0025】
例えば、登録対象者Aを別の登録対象者Bに変更する場合には、登録対象者Bの所定の指先を指紋読取部401に押し付けて指紋を読み取らせた後、登録スイッチ405を操作する。これにより、記憶部402に既に登録されている登録対象者Aの指紋情報が抹消されて、登録対象者Bの指紋情報が登録情報として記憶されて登録される。
【0026】
図2に示すように、外部電源供給装置8に前面には、電源をオン・オフするときに操作される電源スイッチ81、遊技の際の利益付与確率の設定値を複数段階(一般的に6段階)に設定変更する際に操作される設定変更部をなす設定値変更キーシリンダ82及び設定値変更スイッチ83が設けられている。
【0027】
設定値変更キーシリンダ82は、キー40が差し込まれることによって操作可能であり、その内部には、キー40から送信される設定値変更可能信号100を受信可能な設定値変更制御受信部85(図4参照)が設けられている。設定値変更制御受信部85は、設定値変更可能信号100を受信することにより、設定値変更受信信号101を主制御部4へ出力する。
【0028】
図4は、遊技機1全体の制御回路の一例を示す概略ブロック図である。主制御部4には、遊技機1の遊技に関する基本的なプログラムが記憶されているとともに、特定遊技状態となる当選確率すなわち利益付与確率や入賞に対するメダルの払出し数等のデータテーブルが書き込まれている。
【0029】
主制御部4の入力インターフェースには、外部電源供給装置8、設定値変更制御受信部85、設定変更スイッチ83、MAXベットボタン19、1ベットボタン20、スタートレバー21、ストップボタン22、精算ボタン23及びメダルセレクター12を通過したメダルを検出するメダル検出センサ26等が接続されている。
【0030】
主制御部4の出力インターフェースには、ホッパーユニット7、回転リールユニット6のモータ駆動回路62及び副制御部5が接続されている。
【0031】
主制御部4は、スタートレバー21のスタート信号を受けたことを契機に、数値データ更新データにより入賞か否かを抽選し、その抽選結果に基づく制御コマンドを回転リールユニット6のモータ駆動回路62に送信して、各回転リール61のモータを個別に制御するとともに、副制御部5に演出コマンドを送信する。また、設定値変更制御受信部85からの設定値変更受信信号101を入力したときのみ利益付与確率の設定値の変更を有効にする。
【0032】
副制御部5の入力インターフェースには、主制御部4からの演出コマンドが入力され、また、同じく出力インターフェースには、表示装置9、スピーカ11及びランプ27が接続される。副制御部5は、主制御部4が出力する制御コマンドに基づいて、表示装置9に表示情報を送信して演出画像等を表示させたり、ランプ27を点灯表示させたり、スピーカ11から音声、音楽等の効果音を出力させたり制御する。
【0033】
次に、利益付与確率の設定値を変更する際の動作について説明する。先ず、キー40または別のキーを用いて前扉3を開ける。そして、キー40を、設定値変更キーシリンダ82に差し込む前、または差し込んだ状態で、操作者すなわち入力対象者の指先を指紋読取部401に押し付けて指紋を読み取らせる。これにより、指紋読取部401で読み取られた指紋の入力情報と記憶部402に登録されている指紋の登録情報とが、照合部403により照合される。
【0034】
照合部403での照合の結果、入力情報と登録情報とが一致する場合には、キー40に設けた発光ダイオード等のランプ(図示略)が点灯したり、音が発生したりして、照合が一致した旨を入力対象者に所定期間報知するとともに、タイマ408が作動して、その照合結果はタイマ408の作動している期間だけ記憶される。
【0035】
そして、キー40を設定値変更キーシリンダ82に差し込んでいない場合には、タイマ408が作動している前記所定時間内に、設定値変更キーシリンダ82に差し込んで、発信操作部407を操作して、設定値変更可能信号100を発信部404から発信させるとともに、設定値変更を有効とする位置までキー40を所定の方向へ回転させて、設定変更スイッチ83を所定の設定値に変更する。続いて、電源スイッチ81をONにすることにより、設定値変更制御受信部85が設定値変更受信信号101を主制御部4へ送信する。主制御部4は、この設定値変更受信信号101の入力したことに基づいて、利益付与確率の設定値を変更制御する。
【0036】
さらに、別の遊技機1の利益付与確率を続けて変更する場合、上述のようにタイマ408が作動している所定時間内であれば、入力対象者の指紋情報を再び入力することなく、発信操作部407の操作により、発信部404から設定値変更可能信号100を発信させることができる。これにより、別の遊技機1の利益付与確率の設定値を簡単かつ迅速に変更することができる。また、タイマ408の作動が終了した後は、発信操作部407を操作しても、発信部404からの設定値変更可能信号100の発信は不能になり、再び入力対象者の指紋情報の入力が必要になる。これにより、入力対象者以外の者によって勝手に利益付与確率の設定値が変更されることを防止することができる。
【0037】
また、照合の結果、入力対象者の指紋情報と登録情報とが一致しない場合には、発信部404から設定値変更可能信号100を発信させることはできない。これにより、設定値変更キーシリンダ82を操作しても利益付与確率の設定値を変更することはできない。すなわち、登録対象者以外は、利益付与確率の設定値を変更することはできない。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(i)遊技機1を、遊技媒体がメダル(コインを含む)とするスロットマシンに代えて、遊技媒体がパチンコ玉であるパチンコ機、スロットマシン、及びその他の遊技機とする。
(ii)生体情報を、指紋に代えて、人体の一部に係わる情報の声紋、虹彩、顔型、静脈軌跡または筆跡等とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態を適用した遊技機の斜視図である。
【図2】前扉を開けた状態の遊技機の斜視図である。
【図3】キーに設けられた生体認証制御部の概念ブロック図である。
【図4】制御回路の一例を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 遊技機(スロットマシン)
2 筐体
3 前扉
3a 受皿
4 主制御部
5 副制御部
6 回転リールユニット
7 ホッパーユニット
8 外部電源供給装置
9 表示装置
11 スピーカ
12 メダルセレクター
13 ロック
15 情報表示窓
17 識別情報表示窓
18 メダル投入部
19 MAXベットボタン
20 1ベットボタン
21 スタートレバー
22 ストップボタン
23 精算ボタン
24 キーシリンダ
26 メダル検出センサ
27 ランプ
40 キー
61 回転リール
62 モータ駆動回路
81 電源スイッチ
82 設定値変更キーシリンダ(設定値変更部)
83 設定値変更スイッチ
85 設定値変更制御受信部
100 設定値変更可能信号
101 設定値変更受信信号
400 生体認証制御部
401 指紋読取部(生体情報入力部)
402 記憶部
403 照合部
404 発信部
405 登録スイッチ
406 電源
407 発信操作部
408 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を制御するための主制御部と、遊技の際の利益付与確率を変更するための設定値変更部とを備えた遊技機において、
前記設定値変更部を操作するためのキーは、入力対象者の生体情報を入力する生体情報入力部と、特定対象者の生体情報を予め登録情報として記憶し、かつ前記生体情報入力から入力した入力情報と前記登録情報とを照合する生体認証制御部と、前記生体認証制御部による照合が一致したとき設定値変更可能信号を出力可能な発信部とを有し、
前記設定値変更部は、前記キーの発信部から発信される設定値変更可能信号を受信可能な設定値変更制御受信部を有し、
前記主制御部は、前記設定値変更制御受信部が設定値変更可能信号を受信したときのみ、前記設定値変更部による前記利益付与確率の変更を有効にすることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記生体認証制御部は、照合が一致したとき、その結果を所定期間記憶して、所定の操作が実行されることによって、前記発信部から前記設定値変更可能信号の発信を可能にしたことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記生体情報入力部を、人体の指先の指紋情報を読み取り可能な指紋読取部としたことを特徴とする請求項1または2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−212228(P2008−212228A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50377(P2007−50377)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】