説明

遊技機

【課題】入賞しないパチンコ球に注目させることで遊技領域を有効に利用する。
【解決手段】アタッカ35とアウト口36との間に打球槌40を設ける。この打球槌40を例えば7秒経過する毎に1回転させる。入賞チャッカーや始動チャッカーに入賞しないパチンコ球65がアウト口36の前方に到達したときに打球槌40の頭部41がアウト口36の前方まで回転すると、該パチンコ球65が打球槌40によって遊技領域25の右側周縁部に沿って(B方向)に移動し、遊技領域25の上部まで打ち上げられる。打ち上げられたパチンコ球65は再度遊技領域25を流下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ球が流下する遊技領域と、該遊技領域に設けられ、流下するパチンコ球を受け入れる入賞装置とを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店などの遊技場に設置される遊技機としてパチンコ機が挙げられる。このパチンコ機は、操作ハンドルの操作によってパチンコ球が遊技領域に向けて打ち出されることで遊技が実行され、打ち出されたパチンコ球が遊技領域を流下する過程で、入賞チャッカー、始動チャッカー、又はアタッカ等の入賞装置に入ることによって入賞となり、その入賞に対する賞球として複数のパチンコ球が払い出される。
【0003】
また、始動チャッカーにパチンコ球が入ると、賞球としてのパチンコ球が払い出される他に、大当たり状態に移行するか否かの抽選が実行され、この抽選に基づいた図柄の変動表示や、図柄の変動表示中の演出の他に、図柄の停止表示が例えばセンター役物に設けられた図柄表示装置で実行される。例えば抽選で当たりとなると、図柄の停止表示の際に例えば「7−7−7」などの当たり表示が行われ、遊技状態が通常の遊技が行われる通常状態から、大当たり状態へと移行する。
【0004】
大当たり状態に移行すると、アタッカが所定回数開閉動作される。このアタッカが開閉動作されることで、数多くのパチンコ球がアタッカに受け入れられ、数多くのパチンコ球が賞球として払い出される。なお、遊技領域を流下するパチンコ球が上述した入賞装置に入賞しない場合には、遊技領域を流下した後でアウト口によって回収される。このため、遊技者は、遊技領域のうち、始動チャッカー付近、又は図柄表示装置に注目しやすく、アウト口付近のパチンコ球には注目しないという欠点がある。
【0005】
このような問題を解決する方法として、例えば遊技領域を流下したパチンコ球をアウト口に誘導する位置と、アウト口とは異なる領域に誘導する位置との間で切り替えられる球受け部材を設け、アウト口とは異なる領域に誘導されたパチンコ球をパチンコ機の上部に揚送し、再度遊技領域に戻すようにしたパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−342071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アウト口とは異なる回収口によって回収されたパチンコ球の一部を遊技領域の上流側に戻すことで遊技性を高めることができるという利点はあるものの、遊技者の注目は遊技領域を流下するパチンコ球が始動チャッカーに入賞するか否か、又は大当たり状態に移行するか否かであり、球受け部材を切り替えてパチンコ球をアウト口、又は他の回収口のいずれか一方に誘導させるだけでは、回収される直前のパチンコ球に対する遊技者の注目を得にくいという欠点を解決するまでには至らないというのが現状である。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、入賞しないパチンコ球に注目させることで遊技領域を有効に利用することができるようにした遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の遊技機は、パチンコ球の打ち出しを行う発射装置と、前記打ち出されたパチンコ球が流下する遊技領域と、該遊技領域に設けられ、流下するパチンコ球を受け入れる入賞装置とを備えた遊技機において、前記遊技領域内で、且つ前記入賞装置よりも下方に設けられるとともに、その回転時に前記入賞装置に入らなかったパチンコ球を打ち上げる打球槌と、前記打球槌を、前記遊技領域内で回転させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する駆動制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記駆動制御手段は、前記打球槌を回転させるタイミングを制御する他に、前記打球槌の回転方向を制御することを特徴とする。
【0010】
また、前記入賞装置に入らなかったパチンコ球を回収するアウト口を設け、前記打球槌は、前記アウト口に回収される直前のパチンコ球を前記遊技領域の上流側に打ち上げることを特徴とする。
【0011】
また、前記打球槌は、前記パチンコ球を前記遊技領域の外周縁に沿って、遊技領域の上流側に打ち上げることを特徴とする。
【0012】
また、前記遊技領域は、前記発射装置によって打ち出されたパチンコ球が流下する第1の領域と、前記第1の領域の側方に設けられ、前記打球槌によって打ち上げられたパチンコ球が流下する第2の領域とに区画されていることを特徴とする。
【0013】
また、前記遊技領域は、前記第1の領域と第2の領域とを区画し、前記発射装置によって打ち出されたパチンコ球を前記第1の領域内で流下させる領域区画部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、前記第1の領域と、前記第2の領域との少なくともいずれか一方の領域に、流下するパチンコ球が入賞したときに特典を付与する当たりか否かが決定される入賞装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の遊技機によれば、入賞装置に入らなかったパチンコ球が遊技領域の上部に打ち上げられることにより、回収されるパチンコ球を利用することで遊技性を高めることができるとともに、打球槌によってパチンコ球が打ち上げられるか否かという興趣を遊技者に与えることができる。また、遊技者に打球槌の動作を注目させることで、遊技領域全体を有効に活用することができる。
【0016】
また、打球槌によってアウト口に回収される直前のパチンコ球を打ち上げることで、打球槌の動作を遊技者に意識させる、つまり、始動チャッカーやセンター役物だけでなく、アウト口近傍も遊技者に意識させることで、遊技領域全体を有効に利用することができる。
【0017】
また、打球槌によって打ち上げられるパチンコ球は、前記遊技領域の外周縁に沿って移動するから、遊技領域を流下するパチンコ球に影響を与える、つまり、打ち上げられたパチンコ球と、遊技領域を流下するパチンコ球とが衝突して、それらパチンコ球の移動方向を変化させることがない。これによれば、遊技領域の外側に、新たに、打ち上げるパチンコ球を案内する通路を設ける必要がない。
【0018】
また、前記遊技領域を、第1の領域と、第2の領域とから構成することで、1つの遊技機で、異なる2種類の遊技を実行することができ、例えば、第1の領域で入賞が得られなくても、第2の領域で入賞が得られる可能性を持たせるなど、新たな遊技性を生み出すことができる。
【0019】
また、流下するパチンコ球が入賞したときに特典を付与するか否かが決定される入賞装置が、第1の領域又は第2の領域の少なくともいずれか一方の領域に設けることで、例えば第1の領域に設けられた場合には入賞し易く、第2の領域に設けられた場合には入賞しにくい等、遊技の難度を変更させることができるなど、遊技性に幅を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に示すように、パチンコ機(遊技機)10は、基体となる本体部材11の前面上部に前面扉12が本体部材11に対して回動自在となるように、図示しないヒンジ部を介して組み付けられる。前面扉12の中央には開口12aが設けられており、この開口12aは前面扉12の裏側に取り付けられるガラス等の透光性を有する部材により塞がれている。この前面扉12が閉じている状態では、遊技の際に遊技領域を流下するパチンコ球65(図2参照)や、遊技領域に設けられた構造物は、上記開口12aを塞ぐガラスを介して視認される。なお、符号13は、本体部材11を遊技場等に固定するための固定枠である。
【0021】
本体部材11の前面下部には、操作ハンドル15や、供給皿16が設けられている。操作ハンドル15は、例えば回転自在に設けられており、操作ハンドル15を回転させると、発射装置17が作動し、操作ハンドル15の回転量に合わせた打ち出し強さでパチンコ球65が打ち出される。供給皿16は、遊技を開始する際にパチンコ球65が供給される他に、遊技領域25を流下するパチンコ球65が遊技領域25に設けられた入賞装置のいずれかに入賞したことを受けて払い出される賞球としてのパチンコ球65が受容される。なお、符号18は払出口であり、この払出口18を介してパチンコ球65が払い出される。
【0022】
図2に示すように、遊技領域25はガイドレールなどに囲まれた略円形状の領域からなる。この遊技領域25の左側外周縁部に沿って、パチンコ球65が案内される案内通路26が形成されている。この遊技領域25には、風車27や障害釘28などが取り付けられている。この遊技領域25の中央には、センター役物30が設けられている。このセンター役物30の略中央には、図柄表示装置31が配置されている。この図柄表示装置31は、大当たり状態に移行するか否かの抽選の結果に基づいた図柄の変動表示及び停止表示が実行される他、遊技の際の演出表示や遊技が実行されていないときのデモンストレーション表示などが行われる。
【0023】
この遊技領域は、センター役物30の他に、入賞チャッカー33、始動チャッカー34、アタッカ35などの入賞装置が設けられている。入賞チャッカー33は、パチンコ球65が入ることで賞球の払い出しが行われる入賞装置である。
【0024】
始動チャッカー34は、パチンコ球65が入ることで賞球の払い出しが行われる他、大当たり状態と呼ばれる、通常状態よりもパチンコ球65が入賞し易い遊技状態に移行するか否かの抽選が行われる。アタッカ35は、可動板35aを備えており、大当たり状態に移行したときにのみ、所定回数開閉動作される。可動板35aが開放されると、遊技領域25を流下するパチンコ球65が、開放された可動板35aに受け止められた後、アタッカ35の内部に入る。なお、可動板35aは、アタッカ35の内部に例えば10個のパチンコ球65が入るか、例えば30秒経過するかのいずれかの終了条件が満たされた場合にその開放が解除され閉じる。大当たり状態になると、アタッカ35の可動板35aの開閉動作が所定回数行われるので、アタッカ35の内部に数多くのパチンコ球65が入る。これにより、大当たり状態では数多くの賞球が払い出される。なお、符号36はアウト口であり、図5に示すように、遊技領域25を流下したパチンコ球65がガイドレールから落下して回収される。
【0025】
アタッカ35の下方には、打球槌40が設けられている。この打球槌40はA方向に回転し、その回転時にアウト口36に回収される直前のガイドレールに沿って流下するパチンコ球65等を、遊技領域25の上部に打ち上げる。この打球槌40によって打ち上げられるパチンコ球65は、遊技領域25の右側周縁部に沿って、遊技領域25の上部に向けて移動する。
【0026】
図4に示すように、打球槌40は、頭部41と、柄部42と、回転軸部43とから構成されている。頭部41は、円柱形状からなり、その端面41aがパチンコ球65を叩く打撃面(以下、打撃面41aと称する)となる。柄部42は円柱形状からなり、その一端に頭部41が、その他端に回転軸部43が設けられる。
【0027】
回転軸部43は、遊技盤50の厚み方向を軸方向とする円柱形状からなる。この回転軸部43の後端側は遊技盤50に設けられた挿通孔51に遊技盤50の前面50a側から挿通される。この回転軸部43の軸方向の略中心にはフランジ43aが設けられており、回転軸部43の後端側を遊技盤50の挿通孔50aに挿通させたときに、フランジ43aによってその挿通が停止される。つまり、このフランジ43aは、遊技盤50に対する回転軸部43の突出量を維持するために設けられている。また、この回転軸部43の後端側には、ネジ穴43bが設けられている。
【0028】
逸脱防止板55は、円板形状からなり、遊技盤50の後面50b側から打球槌40に取り付けられる。逸脱防止板55は、その前面の中央にネジ部55aが設けられている。このネジ部55aは、遊技盤50の挿通孔51に挿通された回転軸部43のネジ穴43bに螺合される。これにより、逸脱防止板55が打球槌40に取り付けられ、打球槌40が遊技盤50から逸脱することを防止する。なお、逸脱防止板55を打球槌40に取り付けると、打球槌40のフランジ43aと逸脱防止板55とが遊技盤50の厚みよりも若干広い間隔を空けた状態で保持される。この逸脱防止板55の後面には、断面がD字形状の挿入穴55bが設けられている。この挿入穴55bには、モータ57の駆動軸57aが挿入される。また、逸脱防止板55の後面には、インデックス55cが設けられている。
【0029】
モータ(駆動機構)57は、打球槌40を回転させるために設けられている。このモータ57は、ドライバ58を介して遊技制御装置59のCPU(駆動制御手段)60によって駆動制御される。打球槌40の駆動制御内容としては、例えば7秒など所定時間毎に、0.5秒で1回転するようにモータ57を駆動することが挙げられる。このモータ57は、その先端の断面がD字形状からなる駆動軸57aを備えている。この駆動軸57aは、逸脱防止板55の挿入穴55cに挿入される。これにより、モータ57が駆動すると、逸脱防止板55が回転し、この逸脱防止板55が回転軸部43に取り付けられた打球槌40も同時に回転する。
【0030】
フォトインタラプタ61は、逸脱防止板55のインデックス55cを検知することで、打球槌40の頭部41の位置を特定する。本実施形態では、打球槌40の頭部41がアタッカ35に最も近くなるときに、逸脱防止板55のインデックス55cがフォトインタラプタ61によって検知されるものとし、このインデックス55cがフォトインタラプタ61によって検知されたときの打球槌40の位置を基準位置として説明する。このフォトインタラプタ61によって逸脱防止板55のインデックス55cが検知されると、その検知信号が遊技制御装置59に出力される。フォトインタラプタ61からの検知信号を受けて、CPU60はドライバ58を介してモータ57の駆動を停止させる。これにより、打球槌40は、頭部41が回転軸部43の上方に位置する基準位置に保持される。
【0031】
次に、本発明の作用について説明する。操作ハンドル15が操作されると、発射装置17が作動を開始し、パチンコ球65が打ち出される。打ち出されたパチンコ球65は、案内通路26を介して遊技領域25の上部に到達した後、流下していく。パチンコ球65が風車27や障害釘28などに弾かれながら流下していく過程で入賞チャッカー33に入ると、入賞に対するパチンコ球65が払出口18を介して供給皿16に払い出される。
【0032】
同様にして、始動チャッカー34にパチンコ球65が入ると、入賞に対するパチンコ球65の払い出しが行われる。同時に、大当たり状態に移行するか否かの抽選が実行され、その抽選結果に基づく図柄の変動表示や停止表示が図柄表示装置31にて実行される。図柄表示装置31に図柄の停止表示が行われたときに、例えば「7−7−7」などの同一の図柄が3個停止表示されると当たりとなり、遊技状態が通常の遊技が行われる通常状態から大当たり状態に移行する。この大当たり状態に移行すると、通常状態では開閉動作されないアタッカ35の可動板35aが開閉動作されるので、アタッカ35の内部にパチンコ球65が入りやすくなる。また、大当たり状態では、アタッカ35の可動板35aが所定回数開閉動作されるので、数多くのパチンコ球65が払い出される。
【0033】
一方、入賞チャッカー33や始動チャッカー34に入賞しないパチンコ球65は、アウト口36近傍まで流下する。アタッカ35とアウト口36との間に配置された打球槌40は基準位置に保持され、例えば7秒毎に0.5秒で1回転するように制御される。図5に示すように、基準位置にある打球槌40がA方向に回転すると、打球槌40の頭部41がアウト口36近傍に到達する。
【0034】
このとき、アウト口36に回収される直前のパチンコ球65がアウト口36の前方に位置しているときには、そのパチンコ球65が回転する打球槌40の打撃面41aによって叩かれる。打撃面41aに叩かれたパチンコ球65は、その衝撃によって遊技領域25の外周縁部に沿って(B方向に)、遊技領域25の上方に打ち上げられる。遊技領域25の上部に到達したパチンコ球65は、再度遊技領域25を流下する。これにより、アウト口36に回収されるパチンコ球65を遊技領域25の上部に打ち上げることで、遊技における新たな興趣を遊技者に与えることができる。また、打球槌40の回転動作を視野に入れて遊技を行う必要もあるので、遊技者に遊技領域全体を意識させることができる。一方、回転する打球槌は、基準位置まで回転し、基準位置でその回転が停止される。なお、打球槌40が回転した直後や、打球槌40の頭部41がアウト口36の前方を通過した後にアウト口36まで到達したパチンコ球65や、打球槌40が回転していないときにアウト口36に到達したパチンコ球65はアウト口36にて回収される。
【0035】
本実施形態では、打球槌40を、例えば7秒毎に0.5秒で1回転するように回転制御する実施形態としているが、これに限定する必要はなく、例えば常時回転させてもよいし、例えば大当たり状態に移行した後回転させてもよい。また、打球槌40の回転方向は、一方向に限定されるものではなく、例えば1回転毎に回転方向を変更する、或いは所定回転数に到達した後、回転方向を変更するなど、適宜設定してよい。
【0036】
本実施形態では、1つの頭部及び柄部からなる打球槌としているが、これに限定する必要はなく、複数の頭部及び柄部を備えた打球槌としてもよい。この場合、複数の柄部を所定角度ピッチで回転軸部43の周囲に配置する。
【0037】
本実施形態では、1つの領域から構成した遊技領域に打球槌を設けた場合について説明したが、複数の領域に区画された遊技領域に打球槌を設けることも可能である。なお、打球槌と、この打球槌を回転させるモータ及びドライバについては、本実施形態と同様であることから、以下では、これら部材に対しては同一の符号を付して説明する。図6に示すように、遊技領域80の幅方向の略中心で、且つ遊技領域80の上端部から下端部に向けて、複数の障害釘(領域区画部材)81を配置することで、遊技領域80を2つの領域82,83とする。これら2つの領域82,83は、遊技領域80の下端部で連通しており、この連通した箇所に、打球槌40とアウト口86とを設ける。なお、符号87は、遊技領域80の左周縁部に沿って設けられた案内通路であり、この案内通路87を介して打ち出されたパチンコ球130が遊技領域80に到達する。
【0038】
左右2つに区画された領域82,83のうち、左側に位置する領域82を発射装置から打ち出されたパチンコ球130が流下する打出球落下領域(第1の領域)とし、この打出球落下領域82の内部で、打球槌40の配置場所よりも上方となる位置に、図柄表示装置90が配置された構造物91、始動チャッカー92、入賞チャッカー93及びアタッカ(以降、左アタッカと称する)94等の入賞装置を配置する。これら入賞装置の機能については周知であることから、その詳細については省略する。なお、符号95は障害釘、符号96は風車である。
【0039】
また、右側に位置する領域83を打球槌40によって打ち上げられたパチンコ球130が流下する打上球落下領域(第2の領域)とし、この打上球落下領域83の内部で、打出槌40の配置場所よりも上方となる位置に、開閉動作する可動物100を備えた入賞チャッカー101、通過チャッカー102、アタッカ(以降、右アタッカと称する)103、及び回収口104を配置する。また、この他に、入賞チャッカー101に入ったパチンコ球130を内部に導入して、その結果、当たりとなるかハズレとなるかが決定される玉振分け構造を有する役物装置105を配置する。役物装置105の構造としては、例えば当たり通路106と、入賞チャッカー101に入ったパチンコ球130を当たり通路106に落下させる否かを振り分けるクルーン107を備えたものが考えられる。通過チャッカー102は、パチンコ球130が所定強度で打ち上げられた際に通過可能となるようにガイドレールに沿ってに配置され、可動物100の羽開放の期待感が高まるように構成されている。
【0040】
図7に示すように、遊技制御装置110は、パチンコ機における制御を統括して行うために設けられている。この遊技制御装置110は、CPU111、ROM112及びRAM113を備えている。CPU111は、ROM112に記憶された遊技制御プログラム115を実行することで、各部を制御する。
【0041】
この遊技制御装置110には、始動入賞球検知センサ120、左入賞球検知センサ121、左大入賞球検知センサ122、通過入賞球検知センサ123、右入賞球検知センサ124、役物入賞球検知センサ125、右大入賞球検知センサ126からの検知信号がそれぞれ入力される。
【0042】
始動入賞球検知センサ120は、始動チャッカー92の内部に設けられ、始動チャッカー92に入ったパチンコ球130を検知することで、その検知信号(以下、始動入賞信号)を遊技制御装置110に出力する。この始動入賞信号を受けて、遊技制御装置110のCPU111は、入賞に対するパチンコ球130の払い出し処理を実行するとともに、大当たり状態に移行させるか否かの抽選を実行し、この抽選の結果に基づいた図柄の変動パターンや停止表示させる図柄を決定する。これら変動パターンや図柄が決定した後、CPU111は、図柄表示装置90にて図柄の変動表示を行った後、図柄を停止表示させる。また、上述した抽選で、大当たり状態へと移行させることが決定されたときには、CPU111は、左アタッカ94の開閉動作を制御する。
【0043】
左入賞球検知センサ121は、入賞チャッカー93の内部に設けられ、入賞チャッカー93に入ったパチンコ球130を検知することで、その検知信号(左入賞信号)を遊技制御装置110に出力する。この左入賞信号を受けて、遊技制御装置110のCPU111は、入賞に対するパチンコ球130の払い出し処理を実行する。
【0044】
左大入賞球検知センサ122は、左アタッカ94の内部に設けられ、左アタッカ94に入ったパチンコ球130を検知することで、その検知信号(左大入賞信号)を遊技制御装置110に出力する。この左大入賞信号を受けて、遊技制御装置110のCPU111は、入賞に対するパチンコ球130の払い出し処理を実行する。また、CPU111は、左大入賞信号を受けると、その信号数をカウントし、そのカウント数が上限数に到達したときに、開放されている左アタッカ94を閉じた後、所定時間後に再度左アタッカ94を開放する。
【0045】
通過入賞球検知センサ123は、通過チャッカー102の内部に設けられ、通過チャッカー102を通過するパチンコ球130を検知することで、その検知信号(通過信号)を遊技制御装置110に出力する。この通過信号を受けて、遊技制御装置110のCPU111は、入賞チャッカー101に設けられた可動物100の開閉動作を行う。
【0046】
右入賞球検知センサ124は、入賞チャッカー101の内部に設けられ、入賞チャッカー101に入ったパチンコ球130を検知することで、その検知信号(右入賞信号)を遊技制御装置110に出力する。この右入賞信号を受けて、遊技制御装置110のCPU111は、入賞に対するパチンコ球130の払い出し処理を実行する。
【0047】
役物入賞球検知センサ125は、役物装置105の当たり通路を転動したパチンコ球130を検知し、その検知信号(当たり信号)を出力する。この当たり信号を受けて、遊技制御装置110のCPU111は、右アタッカ103の可動板を開閉動作する。
【0048】
右大入賞球検知センサ126は、右アタッカ103の内部に設けられ、右アタッカ103に入ったパチンコ球130を検知することで、その検知信号(右大入賞信号)を遊技制御装置110に出力する。この右大入賞信号を受けて、遊技制御装置110のCPU111は、入賞に対するパチンコ球130の払い出し処理を実行する。また、左アタッカ94と同様に、CPU111は、右大入賞信号を受けると、その信号数をカウントし、そのカウント数が上限数に到達したときに、開放されている右アタッカ103を閉じた後、所定時間後に再度、右アタッカ103を開放する。なお、この際に、複数の障害釘81のうち、上部に配された障害釘(例えば3本)が盤面上から退避するよう構成し、領域82と領域83とを上部で連通させてもよい。
【0049】
このような構成の遊技領域80の場合、案内通路87を介して遊技領域80の打出球落下領域82に打ち出されたパチンコ球130は打出球落下領域82を流下する。なお、打ち出されたパチンコ球130の勢いが強い場合には、打出球落下領域82と打上球落下領域83とを区画する障害釘81に弾かれた後、打出球落下領域82を流下する。打出球落下領域82を流下するパチンコ球130は、障害釘95や風車96によって弾かれながら、入賞装置のいずれかに入るか、そのまま流下する。なお、入賞チャッカー93にパチンコ球130が入ると、パチンコ球130の払い出しが行われ、始動チャッカー92にパチンコ球130が入ると、パチンコ球130の払い出しの他、大当たり状態に移行するか否かの抽選が行われる。そして、図柄表示装置90における図柄の変動表示の後、図柄の停止表示が行われる。この図柄の停止表示の際に、「7−7−7」等の同一の図柄が停止表示されると、大当たり状態に移行する。この大当たり状態については、その詳細は省略する。
【0050】
打球槌40は、遊技制御装置110のCPU(駆動制御手段)111によって制御されており、アウト口86の前方を打球槌40が通過するタイミングで、アウト口86に回収される直前のパチンコ球130がアウト口86の前方に位置しているときには、その打球槌40の打撃面によってパチンコ球130を叩く。これにより、パチンコ球130が遊技領域80の右側周縁部に沿って移動する、つまり、打上球落下領域83の上部に打ち上げられる。一方、打球槌40が基準位置にある場合や、回転開始直後及びアウト口86の前方を通過後にアウト口86付近に到達したパチンコ球130は、そのままアウト口86から回収される。
【0051】
遊技領域80の右側周縁部に沿って打ち上げられるパチンコ球130は、通過チャッカー102を通過する。通過チャッカー102を通過したパチンコ球130は、打上球落下領域83の上方まで到達した後、打上球落下領域83を流下していく。通過チャッカー102をパチンコ球130が通過すると、入賞チャッカー101に設けられた可動物100が所定時間開放されるので、入賞チャッカー101にパチンコ球130が入りやすくなる。
【0052】
この入賞チャッカー101にパチンコ球130が入ると、そのパチンコ球130が役物装置105の内部に移動する。役物装置105の内部に移動したパチンコ球130は、クルーン107を転動することによって、当たり通路106に落下するか否かが振り分けられる。当たり通路106に落下したパチンコ球130が回収されると、大当たり状態となり、右アタッカ103が開閉動作される。一方、クルーン107を転動するパチンコ球130が当たり通路106に落下しない場合には、大当たり状態には移行しない。なお、入賞チャッカー101に入らないパチンコ球130は、そのまま打上球落下領域83を流下し、回収口104に回収される。
【0053】
これによれば、打出球落下領域82と打上球落下領域83とでは、異なる遊技内容で遊技を行うことが可能、つまり、打出球落下領域82での遊技と、打上球落下領域83での遊技を並行して行ったときに、大当たり状態が並行して行われることも可能なので、新たな遊技性を作り出すことができる。また、打上球落下領域83における遊技は、アウト口86に回収される直前のパチンコ球130の一部を利用して行われる、つまり再遊技の要素が高くなる。これによれば、遊技者は遊技領域全体に注意して遊技を行わせることができる。
【0054】
なお、遊技領域を2つの領域に区画した場合の例として、一方の領域(打出球落下領域82)に始動チャッカーを、他方の領域(打上球落下領域83)に役物装置を設けた例を取り挙げて説明したが、それぞれの領域の盤面構成は、同一であっても良い。また、始動チャッカーを設ける場合には、2つの領域のそれぞれに設けることも可能であるが、一方の領域だけに設け、大当たり状態となるときに、各領域に設けられたアタッカのいずれか一方を開放させる、つまり、アタッカの開放を振り分けることも可能である。また、この他に、2つの領域のいずれか一方の領域にアタッカを設けることも可能である。この場合、2つの領域に対応して2個のアタッカを同一の領域に設ける、或いはいずれか一方の領域1つのアタッカを設け共用させることも可能である。
【0055】
また、打上球落下領域83にアウト口104を設けることで、打上球落下領域83を流下するパチンコ球が再度打ち上げられることを防止しているが、打上球落下領域83に回収口104を設けずに、遊技領域の下端部に設けられるアウト口86に回収されるまで、繰り返し打ち上げられるようにしてもよい。また、遊技領域を2つの領域に区画した場合に、発射装置から打ち出されたパチンコ球は左側の領域を流下するようにしているが、これに限定される必要はなく、右側の領域を流下させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のパチンコ機の外観を示す斜視図である。
【図2】遊技領域の構成を示す正面図である。
【図3】打球槌の近傍の構成を示す断面図である。
【図4】打球槌の近傍の構成の一例を分解して示す正面図である。
【図5】打球槌が回転するときの打球槌の近傍の状態を示す説明図である。
【図6】2つの領域に区画された遊技領域の構成を示す正面図である。
【図7】2つの領域に区画された遊技領域を備えたパチンコ機の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
10 パチンコ機(遊技機)
17 発射装置
25,80 遊技領域
36,86 アウト口
40 打球槌
57 モータ(駆動機構)
60,111 CPU(駆動制御手段)
65,130 パチンコ球
81 障害釘(領域区画部材)
82 打出球落下領域(第1の領域)
83 打上球落下領域(第2の領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ球の打ち出しを行う発射装置と、前記打ち出されたパチンコ球が流下する遊技領域と、該遊技領域に設けられ、流下するパチンコ球を受け入れる入賞装置とを備えた遊技機において、
前記遊技領域内で、且つ前記入賞装置よりも下方に設けられるとともに、その回転時に前記入賞装置に入らなかったパチンコ球を打ち上げる打球槌と、
前記打球槌を、前記遊技領域内で回転させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する駆動制御手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、前記打球槌を回転させるタイミングを制御する他に、前記打球槌の回転方向を制御することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記入賞装置に入らなかったパチンコ球を回収するアウト口を設け、前記打球槌は、前記アウト口に回収される直前のパチンコ球を前記遊技領域の上流側に向けて打ち上げることを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
前記打球槌は、前記パチンコ球を前記遊技領域の外周縁に沿って、遊技領域の上流側に打ち上げることを特徴とする請求項3記載の遊技機。
【請求項5】
前記遊技領域は、前記発射装置によって打ち出されたパチンコ球が流下する第1の領域と、前記第1の領域の側方に設けられ、前記打球槌によって打ち上げられたパチンコ球が流下する第2の領域とに区画されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1つ記載の遊技機。
【請求項6】
前記遊技領域は、前記第1の領域と第2の領域とを区画し、前記発射装置によって打ち出されたパチンコ球を前記第1の領域内で流下させる領域区画部材が設けられていることを特徴とする請求項5記載の遊技機。
【請求項7】
前記第1の領域と、前記第2の領域との少なくともいずれか一方の領域に、流下するパチンコ球が入賞したときに特典を付与する当たりか否かが決定される入賞装置を備えていることを特徴とする請求項5又は6記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate