説明

遊技機

【課題】遊技球が流下可能となる領域を減少させることなく、図柄等が表示される表示画面を実質的に大きくすることが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【解決手段】複数種類の識別情報を変動表示可能な表示装置を備えた遊技機において、表示装置は、表示面が正面側に向くように配置され、前後方向に移動可能な第1図柄主表示装置42と、第1図柄主表示装置42の周囲に配置されるとともに、表示面が第1図柄主表示装置42の表示面と角度なし且つ第1図柄主表示装置42側に向くように配設された第1図柄副表示装置600A、600A,600B,600C,600Dとを有する。第1図柄主表示装置42は、第1図柄副表示装置600A、600A,600B,600C,600Dの表示面を覆う第1位置と、第1図柄副表示装置600A、600A,600B,600C,600Dの表示面が露出する第2位置とに亘って移動可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ機等の遊技機においては、表示演出を多様化するための1つの方法として表示画面を拡大したものが採用されるようになってきている(特開2003−33518号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−33518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構造のパチンコ機では、表示画面の拡大により、遊技盤面の大部分を表示画面が占有することになり、遊技球が流下可能となる領域が減少することになる。その結果、パチンコ機本来の遊技球の動きを楽しむことができなくなるという問題点が生じる。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、遊技球が流下可能となる領域を減少させることなく、図柄等が表示される表示画面を実質的に大きくすることが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の特別遊技状態抽選条件成立を契機に、通常遊技よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの当否抽選が実行される特別遊技状態抽選手段を備え、この特別遊技状態抽選手段の抽選結果を表す特別図柄を特別図柄表示装置に変動表示させる特別図柄表示制御手段と、上記抽選結果を視覚的に演出するための装飾図柄を装飾図柄表示装置に上記特別図柄に対応して変動表示させる装飾図柄表示制御手段とを備えた遊技機において、
上記装飾図柄表示装置の表示面の一部分を覆うことにより表示面が部分的に視認困難な状態を発現させる第1位置と、該第1位置より移動して上記装飾図柄表示装置の覆われた表示面を現すことにより表示面が視認可能な状態を発現させる第2位置とに亘って移動可能な可動体と、
上記可動体を、上記第1位置と上記第2位置とに亘って移動可能とする可動体駆動機構と、
上記装飾図柄表示装置の覆われた表示面が現れることにより表示面が視認可能な状態を発現させる装飾図柄表示面の拡大演出を実行するための拡大演出条件の成立を検出する拡大演出条件成立検出手段と、
上記装飾図柄表示装置による装飾図柄表示面の拡大演出を終了するための終了条件の成立を検出する終了条件成立検出手段と、
上記拡大演出条件成立検出手段により拡大演出条件の成立が検出された場合には可動体駆動機構を駆動して可動体を第1位置から第2位置へ移動させ、上記終了条件成立検出手段により終了条件の成立が検出された場合には可動体駆動機構を駆動して可動体を第2位置から第1位置へ移動させるように制御する可動体駆動制御手段と、
を備え、
上記装飾図柄表示制御手段は、上記拡大演出条件が成立した場合には、少なくとも上記視認可能な状態となった装飾図柄表示面に所定の表示演出が行われるように表示制御を実行し、
上記特別図柄表示装置の表示面は、上記可動体の移動位置に関係なく一定であって、且つ、常に全体が視認可能な状態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通常時には主表示装置によって表示演出がなされるとともに、所定の期間中は主表示装置が後退して副表示装置の表示面が露出した状態となって、副表示装置による表示演出がなされる。従って、特別に主表示装置の表示領域を大きくすることなく、副表示装置の表示により、実質的に表示面を大きくすることができる。しかも、所定の期間中にのみ副表示装置による表示を可能とすることにより、副表示装置単独或いは、副表示装置と主表示装置とが相俟って、多種多様な表示演出が可能となり、遊技の興趣を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】パチンコ機の正面図。
【図2】遊技盤の構成を示す正面図。
【図3】第1図柄主表示装置の表示面の拡大図。
【図4】遊技盤を取り除いた状態における第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の正面図。
【図5】第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の背面図。
【図6】第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の側面図。
【図7】第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の平面図。
【図8】第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の正面側から見た斜視図。
【図9】第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の背後側から見た斜視図。
【図10】第1図柄主表示装置の移動状態を説明するための図。
【図11】第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の各表示部の縦断面図。
【図12】第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の各表示部の横断面図。
【図13】光散乱素子の特性を説明するための図。
【図14】光散乱素子を用いた場合と光散乱素子を用いない場合の表示光強度を示すグラフ。
【図15】パチンコ機の電気的構成を示したブロック図。
【図16】主制御装置内の各種カウンタの概要を示した図。
【図17】主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャート。
【図18】主制御装置内のMPUにより実行される通常処理を示したフローチャート。
【図19】図18の通常処理の中で実行される外れ図柄カウンタ更新処理を示したフローチャート。
【図20】図18の通常処理の中で実行される特別図柄変動処理を示したフローチャート。
【図21】図20の特別図柄変動処理の中で実行される変動開始処理を示したフローチャート。
【図22】タイマ割込処理を示したフローチャート。
【図23】図22のタイマ割込処理の中で実行される始動入賞処理を示したフローチャート。
【図24】NMI割込処理を示したフローチャート。
【図25】表示制御装置内の各種カウンタの概要を示した図。
【図26】表示制御装置のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャート。
【図27】図26のメイン処理の中で実行される装飾図柄カウンタ更新処理を示したフローチャート。
【図28】表示制御装置のMPUにより実行されるコマンド受信処理を示したフローチャート。
【図29】主制御装置及び表示制御装置の機能ブロック図。
【図30】第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図31】副表示演出時の動作処理を示すフローチャート。
【図32】副表示演出時の第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置における表示態様を示す図。
【図33】副表示演出時の第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置における表示態様を示す図。
【図34】副表示演出時の第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置における表示態様を示す図。
【図35】副表示演出時の第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置における表示態様を示す図。
【図36】副表示演出時における他の表示態様を示す図。
【図37】歪補正の原理を説明するための図。
【図38】歪補正の原理を説明するための図。
【図39】歪補正の原理を説明するための図。
【図40】角度θの設定処理を説明するための図。
【図41】第2の形態における第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図42】第3の形態における第1図柄主表示装置及び第1図柄副表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の概念は、以下のとおりである。
手段1においては、
複数種類の識別情報を変動表示可能な表示装置を備えた遊技機において、前記表示装置は、表示面が正面側に向くように配置され、前後方向に移動可能な主表示装置と、主表示装置の周囲に配置されるとともに、表示面が主表示装置の表示面と角度をなして且つ主表示装置側に向くように配設された、少なくとも1以上の副表示装置と、を有し、主表示装置は、副表示装置の表示面を覆う第1位置と、副表示装置の表示面が露出する第2位置とに亘って移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成により、例えば、通常時には主表示装置によって表示演出がなされるとともに、所定の期間中は主表示装置が後退して副表示装置の表示面が露出した状態となって、副表示装置による表示演出を行うことが可能となる。従って、特別に主表示装置の表示領域を大きくすることなく、副表示装置の表示により、実質的に表示面を大きくすることができる。しかも、所定の期間中にのみ副表示装置による表示を可能とすることにより、副表示装置単独或いは、副表示装置と主表示装置とが相俟って、多種多様な表示演出が可能となり、遊技の興趣を飛躍的に向上させることができる。
なお、主表示装置及び副表示装置としては、液晶表示装置、CRT(陰極線管)表示装置、EL表示装置等の何れであってもよい。
【0011】
手段2:手段1において、
上記主表示装置の表示面は矩形状であって、
上記副表示装置は、上記主表示装置の矩形状表示面の上側に配置された第1の副表示装置と、上記主表示装置の矩形状表示面の下側に配置された第2の副表示装置と、上記主表示装置の矩形状表示面の左側に配置された第3の副表示装置と、上記主表示装置の矩形状表示面の右側に配置された第4の副表示装置とから構成されていることを特徴とする。
【0012】
上記の如く、主表示装置の周囲に第1〜第4の副表示装置を配置することにより、多種多様な表示演出が可能となる。
【0013】
手段3:手段1又に手段2おいて、
主表示装置に予め定めた識別情報の変動表示を行わせる主表示制御手段と、
主表示装置を、副表示装置の表示面を覆う第1位置と、副表示装置の表示面が露出する第2位置とに亘って移動可能とする主表示装置用駆動機構と、
副表示装置による表示演出を実行するための副表示演出条件の成立を検出する副表示演出条件成立検出手段と、
上記副表示演出条件成立検出手段の検出結果により、副表示演出条件成立時には主表示装置用駆動機構を駆動して、主表示装置を第1位置から第2位置へ後退させ、副表示演出終了時には、主表示装置用駆動機構を駆動して、主表示装置を第2位置から第1位置へ復帰させるように制御する主表示装置駆動制御手段と、
上記副表示演出条件成立検出時には、各副表示装置に所定の表示演出が行われるように表示制御する副表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、副表示演出条件の成立時には、主表示装置を第2位置に後退させ、副表示装置に所定の表示演出を行わせることが可能となる。
【0015】
手段4:手段3において、
主表示装置用駆動機構は、
正逆回転可能な駆動源と、
駆動源の回転運動を直線運動に変換して主表示装置を前後方向に駆動する駆動手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
手段5:手段4において、
さらに、
主表示装置が第1位置から後退して第2位置に達したことを検出する第1位置検出手段と、
主表示装置が第2位置から前進して第1位置に達したことを検出する第2位置検出手段と、
を備え、
前記主表示装置駆動制御手段は、第1〜第2位置検出手段からの検出信号に応答して、前記駆動源の回転を停止させることを特徴とする。
【0017】
上記構成により、駆動源が正転又は逆回転されると、それに応じて、主表示装置は前後方向移動する。従って、主表示装置を、副表示装置の表示面を覆う第1位置と、副表示装置の表示面が露出する第2位置とに亘って移動させることができる。
【0018】
手段6:手段1〜手段5において、
上記主表示装置及び副表示装置は、共に液晶表示装置であることを特徴とする。
【0019】
手段7:手段6において、
前記主液晶表示装置及び前記副液晶表示装置は、共にバックライトと、一対の透明基板間に挟持されバックライトからの光を画像データに応じて光変調する液晶層と、各透明基板の外側にそれぞれ配置される一対の偏光板とを有するするともに、副液晶表示装置はさらに出射光の一部の光進行方向を遊技者が位置する正面側に変換する光進行方向変換手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
副液晶表示装置は、その表示面が遊技盤の正面側を向いて配置されていないので、遊技者は斜め方向から表示面を見ることになる。この場合、副液晶表示装置が通常の液晶表示装置と同様の構成であれば、遊技者は輝度が不十分で、全体に白っぽく、色純度の悪い画像しか見ることができない。そこで、本発明のように、副液晶表示装置に、出射光の一部の光進行方向を遊技者が位置する正面側に変換する光進行方向変換手段を設けることにより、斜め方向の光の輝度が向上することになり、遊技者は、高輝度で色純度の良好な画像を見ることが可能になる。
【0021】
手段8:手段7において、
上記光進行方向変換手段は、入射光の入射角が予め定めた角度θP1未満のときは散乱光に変換して出射し、入射角が予め定めた角度θP1以上であるときはそのまま出射する光拡散素子であることを特徴とする。
【0022】
上記の如く、光拡散素子を設けることにより、表示面の正面方向の光が斜め方向に拡散することになり、表示面の正面輝度は減少しているが、斜め方向の輝度が向上する。この結果、遊技者は、高輝度で色純度の良好な画像を見ることが可能になる。
【0023】
手段9:手段8において、
前記副液晶表示装置は、外光が前記光拡散素子で散乱されるのを防止する反射防止手段を備えていることを特徴とする。
【0024】
上記の如く、光拡散素子を使用する場合は、外光が光拡散素子で散乱され、その散乱光が表示に悪影響を与え、表示画像のコントラストが低下する問題がある。このような問題が生じないようにするためには、反射防止手段を設けるのが好ましい。特に、副液晶表示装置の表示面と主液晶表示装置の表示面とが近接していることから、副液晶表示装置の表示面には主液晶表示装置の表示に起因した外光が照射され、表示画像のコントラストの低下が問題となる場合が多いと想定されるので、このような場合に本手段の構成は、特に効果的である。
【0025】
手段10:手段9において、
反射防止手段は、正面側に配置された偏光板の表面にAR(Anti−Reflection)処理によって形成した反射防止膜であることを特徴とする。
【0026】
手段11:手段9において、
反射防止手段は、正面側に配置された偏光板の表面にアンチグレア処理によって形成された凹凸部であることを特徴とする。
【0027】
手段12:手段9において、
反射防止手段は、正面側に配置された偏光板として、円偏光板を用いることを特徴とする。
【0028】
手段13:手段1又は2において、
上記各副表示装置は、
遊技盤の前面側に腰掛けた遊技者の目の位置と表示面の中心点とを結ぶ直線に垂直な仮想表示面を想定し、この仮想表示面と副表示装置の表示面との成す角θを角度データとして記憶する角度記憶手段と、
副表示装置の表示面に表示される原画像を前記仮想表示面に投影したときの投影画像の歪を補正する歪補正の演算プログラムを記憶する歪補正演算プログラム記憶手段と、
角度記憶手段に格納されている角度データに基づき、歪補正演算プログラム記憶手段に記憶されている歪補正演算プログラムを実行して、表示制御手段からの画像データを歪補正する歪補正手段と、
を有することを特徴とする。
【0029】
遊技者が副表示装置を見る場合は、副表示装置の表示面を斜め方向から見ることになり、そのため、副表示装置の表示画像に歪を伴って見えることになる。そこで、歪補正手段により、表示画像データを予め歪補正して表示することにより、歪のない画像を目視できることになる。なお、「歪補正」は台形歪補正に限らず、平行四辺形歪や菱形歪等の各種の歪補正であってもよい。
【0030】
手段14:手段13において、
上記歪補正演算プログラム記憶手段は、副表示装置の表示面に表示される原画像を前記仮想表示面に投影したときの投影画像の台形歪を補正する台形歪補正の演算プログラムを記憶する台形歪歪補正演算プログラム記憶手段であり、
上記歪補正手段は、角度記憶手段に格納されている角度データに基づき、台形歪補正演算プログラム記憶手段に記憶されている台形歪補正演算プログラムを実行して、表示制御手段からの画像データを台形歪補正する台形歪補正手段であることを特徴とする。
【0031】
上記構成により、副表示装置の表示面に表示される画像を目視した場合に、台形歪のない画像を目視することが可能となる。
【0032】
手段15:手段13又は手段14において、
上記主表示装置の表示面は矩形状であり、
上記副表示装置は、上記主表示装置の矩形状表示面の上側に配置された第1の副表示装置と、上記主表示装置の矩形状表示面の下側に配置された第2の副表示装置と、上記主表示装置の矩形状表示面の左側に配置された第3の副表示装置と、上記主表示装置の矩形状表示面の右側に配置された第4の副表示装置とから構成されていることを特徴とする。
手段16:手段15において、
第1の副表示装置の角度記憶手段に記憶される角度データと、第2の副表示装置の角度記憶手段に記憶される角度データとは異なっており、
第3の副表示装置の角度記憶手段に記憶される角度データと、第4の副表示装置の角度記憶手段に記憶される角度データとはほぼ等しいことを特徴とする。
手段17:手段13〜手段16において、
上記副表示装置は、歪補正された補正画像データと歪補正されないままの入力画像データとを選択的に切換えて出力する切換手段を備えたことを特徴とする。
【0033】
上記構成により、歪のない画像と、歪んだ画像とを選択的に表示可能となり、多種多様な表示演出が可能となる。
【0034】
手段18:手段17において、
上記副表示装置は、歪補正された補正画像データと、歪補正されないままの入力画像データのいずれの画像データを出力するか判定する判定手段を備えたことを特徴とする。
【0035】
手段19:手段1〜手段18において、
副表示演出時には、副表示装置と主表示装置とは独立して表示演出されることを特徴とする。
手段20:手段1〜手段18において、
副表示演出時には、副表示装置と主表示装置とは、相互に関連して表示演出されることを特徴とする。
【0036】
手段21:
遊技球が打ち込まれる遊技領域を有する遊技盤と、
遊技者による発射操作に応じて、遊技球を前記遊技盤の遊技領域に打ち込む遊技球発射手段と、
遊技領域内に設けられ、識別情報を変動表示する表示装置と、
遊技領域内に設けられ、遊技球が入球可能な入球手段と、
前記入球手段に遊技球が入球したことを検出する入球検出手段と、
特別遊技状態となるか否かを決定するための第1乱数群を発生させる第1乱数発生手段と、
前記入球検出手段での入球検出に基づいて、前記第1乱数発生手段で発生させた第1乱数群のうちの一の第1乱数を記憶する第1乱数記憶手段と、
前記第1乱数記憶手段に記憶された第1乱数が当たり値であるか否かを判定する第1判定手段と、
前記入球検出手段での入球検出に基づいて、前記表示装置の変動表示を開始させ、前記第1判定手段での判定結果に応じた変動表示結果を表示させるように前記表示装置を表示制御する表示制御手段と、
前記第1判定手段で当たり値であると判定された場合に遊技者にとって有利な遊技状態を発生させる状態発生手段と、
前記第1乱数群とは別の乱数群であって、前記表示装置に表示すべき識別情報の変動表示内容を決定するための第2乱数群を発生させる第2乱数発生手段と、
前記入球検出手段での入球検出に基づいて、前記第2乱数発生手段で発生させた第2乱数群のうちの一の第2乱数を記憶する第2乱数記憶手段と、
前記第2乱数記憶手段に記憶された第2乱数が所定値であるか否かを判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段での判定結果に応じた制御信号を前記表示制御手段に出力する出力手段と、
遊技機を統括的に制御するとともに、前記表示制御手段に所定の情報を含む指示をする主制御手段と、
を備え、
前記表示装置は、表示面が正面側に向くように配置され、前後方向に移動可能な主表示装置と、主表示装置の周囲に配置されるとともに、表示面が主表示装置の表示面と角度なし且つ主表示装置側に向くように配設された、少なくとも1以上の副表示装置と、を有し、主表示装置は、副表示装置の表示面を覆う第1位置と、副表示装置の表示面が露出する第2位置とに亘って移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0037】
〔第1の形態〕
以下、本発明の第1の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げるが、本発明は、パチンコ機の入賞装置の他に、球体を用いて遊技盤上で遊技を行う遊技機一般の入賞装置を対象とすることができる。なお、実施形態は、本発明の主旨から逸脱しない限り適宜設計変更可能なものである。
【0038】
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図である。図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に詳細に説明する。
【0039】
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
【0040】
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。
【0041】
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、樹脂ベースと、この樹脂ベースの後側に取り付けられる遊技盤30(図2参照)とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
【0042】
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図2で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片持ち支持されている。
【0043】
前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。
【0044】
次に、図2を用いて遊技盤30の構成を説明する。図2は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等を備えている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33、第2の始動口34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(投物)が配設されている。
【0045】
上記可変表示装置ユニット35は、第1の始動口33への入賞をトリガとして、識別情報としての第1図柄(例えば装飾図柄)を変動表示する第1図柄主表示装置42および第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dと、第2の始動口34の通過をトリガとして、第2図柄(例えば普通図柄)を変動表示する第2図柄表示装置41を備えている。
【0046】
上記第2図柄表示装置41は、第2図柄用の表示部43a,43bと保留ランプ44(図3参照)とを備えている。この実施例では、第2図柄用の表示部43aは、例えば、第1図柄表示装置42の表示両面の上方に設けられ、その外観形状は「○」形状となっている一方、第2図柄用の表示部43bは、表示部43aの右側に隣接して設けられ、前述の表示部43aと同様に、その外観形状は「×」形状となっている。第2図柄表示装置41は、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えば表示部43a、43bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、表示部43a,43bが交互に光り、表示部43aで停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口31を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。なお、表示部43a,43bは、第1図柄表示装置42(液晶表示装置)の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
【0047】
第1図柄主表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。第1図柄表示装置42には、例えば左、中、及び右の3箇所に識別情報としての図柄が表示される(図3参照)。これら図柄が自転されるようにして第1図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。また、可変表示装置ユニット35には、第1図柄主表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
【0048】
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっている。より詳しくは、第1の始動口33に対し遊技球が入賞すると第1図柄主表示装置42で図柄が変動表示され、その停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組合せとなったことを必要条件に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32の大入賞口が所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ46は、第1図柄主表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
【0049】
また、遊技盤30には、遊技球発射装置38から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)か内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0050】
内レール51の先端部分には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
【0051】
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。
【0052】
内レール51および外レール52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路(図示せず)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部および左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図2のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシールS1,S2を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
【0053】
ここで、前述した前面枠セット14について、図1を参照しつつより詳細に説明する。前面枠セット14には前記遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。
【0054】
前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時や羽根開放時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する。さらに、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
【0055】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0056】
次いで、本発明の主たる特徴である表示装置の構成について説明する。
ここで注目すべきは、本実施の形態におけるパチンコ機では、センターフレーム47の中央窓に配設された液晶表示装置たる第1図柄主表示装置42の他に、第1図柄主表示装置42の周囲に4つの液晶表示装置たる第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600D(以下、第1図柄副表示装置を総称するときは参照符号600で示す。)が配置されている。第1図柄主表示装置42は、8インチ型液晶ディスプレイであり、第1図柄副表示装置600は、4.2インチ型液晶ディスプレイである。
【0057】
以下に、図4〜図9を参照して、第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の具体的な構成を説明する。図4は遊技盤30を取り除いた状態における第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の正面図であり、図5は第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の背面図であり、図6は第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の側面図であり、図7は第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の平面図であり、図8は第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の正面側から見た斜視図であり、図9は第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の背後側から見た斜視図である。
【0058】
各第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dは、その表示面Maが第1図柄主表装置42に向けて配置されている。即ち、第1図柄副表示装置600Aは、第1図柄主表示装置42の上側に配置され、その表示面Maが下側に向けて配置されている。第1図柄副表示装置600Bは、第1図柄主表示装置42の下側に配置され、その表示面Maが上側に向けて配置されている。第1図柄副表示装置600Cは、第1図柄主表示装置42の左側に配置され、その表示面Maが右側に向けて配置されている。第1図柄副表示装置600Dは、第1図柄主表示装置42の右側に配置され、その表示面Maが左側に向けて配置されている。なお、この例では、第1図柄副表示装置600は、その表示面Maが、第1図柄主表示装置42の表示面Maと垂直になるように配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1図柄副表示装置600は、第1図柄主表示装置42の周囲に配置されるとともに、その表示面Maが第1図柄主表示装置42の表示面Maと角度をなして且つ第1図柄主表示装置42側に向くように配設されていればよい。また、この例では、第1図柄副表示装置600は、4つの第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dで構成されているけれども、1個の第1図柄副表示装置で構成されていてもよく、また、2個の第1図柄副表示装置、若しくは3個の第1図柄副表示装置で構成されていてもよい。また、この例では、第1図柄主表示装置42の枠形状が矩形であるが、その他の形状、例えば五角形等の多角形であれば、それに応じた個数の第1図柄副表示装置600を、第1図柄主表示装置42の周囲に配置するようにしてもよい。
【0059】
一方、第1図柄主表示装置42は、前後方向に移動自在であって、第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dの表示面Maを完全に覆う第1位置(最前端位置)と、第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dの表示面Maが完全に露出する第2位置(最後端位置)とに亘って移動可能とされている。そして、通常時には、第1図柄主表示装置42は第1位置に位置し、所定の副表示演出条件成立時にのみ第2位置に後退して第1図柄副表示装置600による表示演出を行うようになっている。これにより、第1図柄主表示装置42が第2位置に位置するときは、第1図柄副表示装置600の表示面Maの分だけ表示領域が増大することになる。なお、第1図柄主表示装置42が第2位置に後退した場合における副表示演出時の表示態様は、第1図柄副表示装置600の単独による表示演出であってもよく、また、第1図柄副表示装置600と第1図柄主表示装置42とが関連した同時演出であってもよい。この結果、多彩な演出が可能となる。なお、具体的な演出表示の態様は、後述する。
【0060】
(第1図柄主表示装置42の駆動機構)
次いで、主として図8及び図9を参照しながら、第1図柄主表示装置42の駆動機構について説明する。第1図柄主表示装置42は、液晶パネルを内蔵するケーシング605を有する。このケーシング605の背後面には、後方側に延びる3つの案内棒606,606,606の一端が固定具(図示せず)によって固定されている。各案内棒606は相互に平行である。ケーシング605の背後側に配置され、ケーシング605を覆うフレームカバー580には、案内棒606が相通する挿通孔607が設けられており、この挿通孔607内にはスラスト軸受608が配置されている。そして、このスラスト軸受608を挿通して案内棒606は、フレームカバー213のさらに背後側に突き出している。なお、フレームカバー580には、主制御基板、表示制御基板等(図示せず)が取付けられている。
【0061】
また、ケーシング605の背後面には、後方側に延びるラック610の一端が固定具(図示せず)によって固定されている。このラック610には、フレームカバー580を挿通して後方側に突き出ている。このラック610に関連して、フレームカバー580には駆動源としての第1図柄主表示装置駆動用モータ612が設けられている。モータ612は、例えば、ステッピングモータ、ACモータ、DCモータ等である。このモータ612の出力軸612aの先端には、ラック610と噛み合うピニオン613が固着されている。このような構成により、モータ612が付勢されると、ピニオンを介してラックが前後方向に直線運動する。これにより、ケーシング605(従って第1図柄主表示装置42)が前後方向に移動可能となる。このラック610の下側には、一端がケーシング605に固定され、ラック610と平行に延びる支持部材620が設けられている。この支持部材620の後端にはコイルバネ621の一端が固定され、このコイルバネ621の他端はラック610の後端に固定されている。これにより、ラック610がピニオン613側に向けて付勢され、ラック610とピニオン613との噛み合いを確実にし、ピニオン613からの回転駆動力がラック610に確実に伝達されるようになっている。
【0062】
また、ラック610には位置検出用突片624が形成されており、この位置検出用突片624に関連してラック610の側方には、光学式の第1位置検出器623A及び第2位置検出器623Bが配置されている。なお、位置検出手段としては、光学式に限らず、機械的接触型の検出手段であってもよく、また、磁気式検出手段、静電容量式検出手段、あるいはその他の検出手段であってもよい。
【0063】
第1位置検出器623Aは第1図柄主表示装置42が第1位置に達したことを検出するための位置検出器であり、第2位置検出器623Bは第1図柄主表示装置42が第2位置に達したことを検出するための位置検出器である。即ち、モータ612が駆動して、ラック610が前進して、位置検出用突片624を第1位置検出器623Aが検出すると、第1図柄主表示装置42が第1位置に達したので、モータ612の回転を停止する。一方、モータ612が逆転駆動して、ラック610が後退して、位置検出用突片624を第2位置検出器623Bが検出すると、第1図柄主表示装置42が第2位置に達したので、モータ612の回転を停止する。このようにして、モータ612の正転・逆転により、第1図柄主表示装置42を前後方向に移動させることができる。なお、第1図柄主表示装置42は、通常時には第1位置に位置しており、副表示演出時には第2位置に後退する。
【0064】
(第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の液晶表示部の構造)
図8及び図9を参照して、第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600のそれぞれの表示部(液晶表示部)の構造を説明する。
【0065】
第1図柄主表示装置42は、平行に配置された一対の透明基板630,631の間に液晶層632が挟持され、透明基板630,631の各外面には、位相補償板633,634が貼付されている。この位相補償板633,634の各外面には、クロスニコルに配置された偏光板635,636が貼付されている。また、透明基板630と位相補償板633との間には,R(赤色)G(緑色)B(青色)カラーフィルタ637が形成されている。なお、図示しないが、透明基板630,631の内側には、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)RGB毎の画素電極および配向膜が形成されており、当該配向膜を配向処理することにより、液晶層632中の液晶分子が所定角度連続的に捻られている。さらに、偏光板636の背後側には、バックライトユニット638が配置されている。バックライトユニット638は、光源639、光源639からの光を平面光源に変換する導光板640、及び導光板640の正面側に配置される集光フィルム641等から構成されている。このように第1図柄主表示装置42では、位相補償板633,634を設けることにより、正面輝度を高く維持しつつ、視野角特性を改善するようになっている。
【0066】
一方、第1図柄副表示装置600は、位相補償板633と偏光板635との間に光拡散素子650(光進行方向変換手段に相当)が介在されており、その他の液晶パネル構成は第1図柄主表示装置42と同様である。この光拡散素子650は、入射光の入射角度が法線に対して予め定められた拡散終了角度θp1以未満のときは、入射光を拡散して出射させ、入射光の入射角度が前記拡散終了角度θp1以上のときは、入射光をその入射角度を維持したまま出射させる機能を有する。したがって、液晶パネルからの光が光拡散素子650に入射すると、図13に示すように、入射角度が拡散終了角度θp1以未満である法線方向およびその周辺方向に進む光651は拡散し、入射角度が前記拡散終了角度θp1以上の斜め方向の光652は透過する。なお、光拡散素子650としては、ルミスティ・フィルム(商品名、住友化学製)を用いた。このフィルムは正面方向を含むある特定の角度範囲(角度θp1未満の角度範囲)の光を散乱させる特性を持っている。
【0067】
図14は輝度と視野角の関係を示したものである。図中の1点鎖線L1は光拡散素子650を用いない場合(第1図柄副表示装置600に相当)、実線L2は光拡散素子650を用いた場合(第1図柄主表示装置42に相当)の特性を示している。第1図柄副表示装置600においては、光拡散素子650により正面方向の光を斜め方向に拡散しているので、第1図柄主表示装置42に比べて、正面輝度は減少しているが、斜め方向の輝度が向上しており、よりよい視野角特性の表示が得られていることが理解される。
【0068】
遊技者はパチンコ機と対向した状態で遊技を行っており、そのため第1図柄主表示装置42の表示面と対峙しているので、正面輝度が高く維持された第1図柄主表示装置42の液晶表示面で十分に鮮明な画像を目視することができる。しかしながら、第1図柄副表示装置600は、その表示面が遊技盤の正面側を向いて配置されていないので、遊技者は斜め方向から表示面を見ることになる。即ち、表示面の法線方向から大きく角度を成す方向から見ることになる。ところが、上記したように、通常の液晶表示装置では、第一義的にはその表示面の正面輝度を高く維持し、第二義的に視野角特性を拡大するように構成されている。これは、液晶表示装置の見る方向は、一般的には正面側からであることに起因しているからである。従って、第1図柄主表示装置42のような、通常の液晶表示装置の構成により、第1図柄副表示装置600を実現した場合は、遊技者は第1図柄副表示装置600の画像は輝度が不十分で、全体に白っぽく、色純度の悪い画像しか見ることができないことになる。
【0069】
そこで、本実施の形態のパチンコ機では、第1図柄主表示装置42は正面輝度が高い通常構成の液晶表示装置を使用し、第1図柄副表示装置600は上記のように光拡散素子650を用いた液晶表示装置を使用することにより、第1図柄副表示装置600を見る遊技者に、高輝度で色純度の良好な画像を見ることが可能になっている。
【0070】
なお、第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600に使用される液晶は、そのモードは特に限定しない。上記のようにTN(ツイステッド・ネマチック)液晶を使用してもよく、また、STN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)液晶、VA液晶(垂直配向液晶、またはホメオトロピック液晶)やホモジニアス配向液晶等を含むECB(電界制御複屈折)型液晶、ベント液晶、IPS(面内スイッチング)液晶、GH(ゲスト・ホスト)液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、およびその他のさまざまなモードの液晶が使用しうる。勿論、各使用する液晶モードによって位相補償板633,634が適宜省略される場合はあるが、いずれのモードの液晶を使用したとしても、第1図柄副表示装置600の液晶表示パネルに光拡散素子650を使用する構成であれば、斜め方向の輝度が向上するので、遊技者は副表示演出時に高輝度で且つ色純度の高い画像を目視することが可能となる。
【0071】
また、上記のように光拡散素子650のような光散乱素子を使用する場合は、外光が光拡散素子650で散乱され、その散乱光が表示に悪影響を与え、表示画像のコントラストが低下する問題がある。このような問題が生じないようにするためには、反射防止手段を設けるのが好ましい。反射防止手段としては、偏光板635の表面にAR(Anti−Reflection)処理によって形成する反射防止膜や、偏光板635の表面にアンチグレア処理によって形成する凹凸部、あるいは偏光板635を円偏光板にすることによって構成することができる。これら反射防止手段により、コントラストの低下を防止できる。
【0072】
なお、前記円偏光板は、偏光板と1/4波長板を組み合わせたものであり、この円偏光板の下層の光拡散素子650で反射が発生した場合、光は往復で1/4波長板を2回通過するため、波面が90度回転し、その結果、偏光板635で吸収されるため、外光反射が発生しない特徴を有し、特に大きな反射効果が得られることになる。
【0073】
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図15を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0074】
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置(図示せず)からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0075】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。
【0076】
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、払出制御装置311、表示制御装置45や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。
【0077】
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。発射制御装置312は、発射モータ(図示せず)による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。
【0078】
表示制御装置45は、第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600における特別図柄、装飾図柄等の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、MPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力側には主制御装置261の出力側が接続され、入力ポート527の出力側には、MPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力側には、第1図柄主表示装置駆動用モータ612、及び音声ランプ制御装置262が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力側には第1図柄主表示装置42、第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600D及び第2図柄表示装置41が接続されている。
【0079】
表示制御装置45のMPU521は、主制御装置261から送信される図柄表示用のコマンドに基づいて第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の表示を制御する。ROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
【0080】
ビデオRAM524は、第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dに表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dの表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dに表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出し、更に予め優先順位を定めたレイヤの順に図柄を重ねて第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dに表示させるものである。
【0081】
ここで、第1図柄主表示装置42の表示内容について説明する。第1図柄主表示装置42には、図3に示すように、表示画面の下側端部に特別図柄が表示される特別図柄表示領域42bが設けられ、表示画面の中央部には、基本的には上から下にスクロールする装飾図柄が表示される装飾図柄表示領域42aが設けられる。特別図柄表示領域42bには左・中・右の3つの図柄列が表示され、装飾図柄表示領域42aには左・中・右に区分けされた3つの表示領域に3つの図柄列Z1〜Z3が表示される。ここでは、特別図柄表示領域42bに表示される特別図柄を主として説明する。
【0082】
特別図柄表示領域42bには、「○」「△」「☆」「×」「#」「*」の6種類の特別図柄が表示されるものであり、左・中・右の3つにそれぞれ区分けされた横長楕円形状の各表示領域にて、「○」「△」「☆」「×」「#」「*」、「○」の順に繰り返して表示される図柄列を構成する。この特別図柄の変動表示は始動口33(図2参照)への入賞に基づいて開始され、一定時間後に3つの特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に「○」「△」「☆」「×」「#」「*」のうちいずれかの図柄が3つ揃って停止すると大当たりとなり、その後に大当たり動画が表示される。一方、変動表示の停止時に特別図柄が3つ揃っていなければ外れとなり、始動口33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。
【0083】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本実施の形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や第1図柄表示装置42の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図16に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、第1図柄主表示装置42の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、第1図柄主表示装置42が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dによる副表示演出を行うか否かを決定する副表示演出カウンタCSと、変動パターン選択に使用する種別を決定する第3変動種別カウンタCS3と、特別図柄表示領域42bの左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを備えている。
【0084】
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
【0085】
上記カウンタC1〜C3,CINI,CS、CS1は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、MPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、始動口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
【0086】
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
【0087】
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜676)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組合せが予め定められた確率変動図柄(本実施形態においては「○」の図柄)の組合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない時という。
【0088】
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、第1図柄表示装置42の特別図柄表示領域42bにおける変動停止時の図柄を決定するものであり、本実施の形態では、特別図柄が6種類設定されているので、6個(0〜5)のカウンタ値が用意されている。即ち、大当たり図柄カウンタC2は、0〜5の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり5)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。なお、本実施形態においては、大当たりの際に表示される特別図柄は記号の図柄であり、装飾図柄は数字の図柄であるが、特別図柄も装飾図柄と同様に数字の図柄で、かつ、同一数字に設定するようにしてもよい。また本実施形態においては、大当たりの際に表示される特別図柄が「○」の時(装飾図柄では奇数の時)には、次の大当たりが発生するまで確変となり、特別図柄が「○」以外の時(装飾図柄では偶数の時)には次の大当たりが発生するまで確変でない通常状態となる。
【0089】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜11の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり11)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後に最終停止図柄が大当たりとならずに停止する「外れリーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、リーチ乱数カウンタC3=0は外れリーチに該当し、リーチ乱数カウンタC3=1〜11は完全外れに該当する。
【0090】
ここで、リーチとは、第1図柄主表示装置42の表示画面に表示される特別図柄(又は装飾図柄)が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で第1図柄主表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
【0091】
なお、リーチの抽選は、第1図柄主表示装置42の抽選確率の状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
【0092】
副表示演出カウンタCSは、上記したように副表示演出を行うか否かを決定するためのものであり、例えば0〜20の範囲内で順位1ずつ加算され、最大値(つまり20)に達した後0に戻る構成となっている。そして、0〜20の範囲内の所定の複数個のカウンタ値がそれぞれ副表示演出に対応し、それ以外のカウンタ値は副表示演出でないことを示している。
【0093】
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順位1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。この変動種別カウンタCS1によって、ショートリーチ(変動開始から変動停止までの変動時間が15秒から16秒)、ミドルリーチ(変動時間が20秒から22秒)、又は、ロングリーチ(変動時間が30秒から32秒)にするか等、特別図柄のリーチ種別が決定される。変動種別カウンタCS3の値を構成する「0〜198」のそれぞれに対応していずれのリーチとするかは、大当たり時と外れリーチ時とに対して別々の比率で予め割り当てられる。主制御装置261のROM502には、変動種別カウンタCS1の値と各リーチ種別(または各変動時間)毎に対応したコマンドとが予め対応付けて記憶されている。ここで,変動種別カウンタCS1を必ずしも1つだけ設けてリーチ種別を決定する必要はなく、2以上の変動種別カウンタCS1を使用してリーチ種別を決定しても良い。
【0094】
カウンタCS,CS1は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dによる装飾図柄および特別図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS,CS1のバッファ値が取得される。
左・中・右の図柄列毎に使用される第1〜第3外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左図柄列、中図柄列、右図柄列の外れ停止図柄を決定するためのものである。各図柄列には「○」「△」「☆」「×」「#」「*」の6種類の特別図柄の何れかが表示されることから、各図柄列にそれぞれ対応した6個(0〜5)のカウンタ値が用意されている。カウンタ値が0に対しては「○」の特別図柄が対応し、カウンタ値が1に対しては「△」、カウンタ値が2に対しては「☆」というように1つのカウンタ値に対してそれぞれの特別図柄が対応している。第1外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の図柄が決定され、第2外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の図柄が決定され、第3外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の図柄が決定される。
【0095】
本実施の形態では、MPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する。即ち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位2ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に「6」が減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せが、RAM503の外れリーチ図柄バッファB7及び完全外れ図柄バッファB8の何れかに格納される。そして、特別図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて外れリーチ図柄バッファB7及び完全外れ図柄バッファB8の何れかのバッファ値が取得される。
【0096】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、副表示演出カウンタCS、変動種別カウンタCSの大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0097】
次に、図17から図24のフローチャートを参照して、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ミリ秒(以下「ms」で表す)周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
【0098】
図22は、タイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置261のMPU501により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S601)。即ち、主制御装置261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。次に、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S602)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域B4に格納する。
【0099】
更に、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する(S603)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,5,11)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域B1〜B3に格納する。その後は、始動口33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する(S604)。
【0100】
図23のフローチャートを参照して、この始動入賞処理を説明する。まず、遊技球が始動口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判別する(S701)。遊技球が始動口33に入賞したと判別されると(S701:Yes)、第1図柄表示装置42の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S702)。始動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば(S702:Yes)、作動保留球数Nを1加算し(S703)、更に、前記ステップS703で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリア700の空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S704)。一方、始動口33への入賞がないか(S701:No)、或いは、始動口33への入賞があっても作動保留球数N<4でなければ(S702:No)、S703及びS704の各処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理の終了後は、MPU501は本タイマ割込処理を一旦終了する。
【0101】
なお、遊技球が始動口33に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い第1図柄主表示装置42の特別図柄表示領域42bにて、特別図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後に特別図柄が変動し図柄停止に至るまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞が確認された場合、各カウンタ値の格納処理(S704)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットする。具体的には、上記始動入賞処理は2ms周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値と共に、RAM503の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する特別図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定される。
【0102】
図24は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置261のMPU501により実行される。このNMI割込処理により、電源遮断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号1が停電監視回路542から主制御装置261内のMPU501のNMI端子に出力され、MPU501は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。図24のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
【0103】
NMI割込処理では、まず、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し(S801)、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する(S802)。更に、電源遮断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し(S803)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する(S804)。RAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する(S805)。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM503のアクセスを禁止して(S806)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
【0104】
なお、上記のNMI割込処理は、払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、停電の発生等による電源遮断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部から電源供給がなされるのも同様である。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から払出制御装置311内のMPUのNMI端子に出力され、MPUは実行中の制御を中断して図24のNMI割込処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行なわない点を除き上記説明と同様である。
【0105】
図17は、主制御装置261内のMPU501により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する。払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信した後(S102),RAM503のアクセスを許可する(S103)。
【0106】
その後は、電源装置に設けたRAM消去スイッチがオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチがオンされていなければ(S104:No)、更にRAM503のバックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS114へ移行する。バックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0107】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチを押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチが押されていれば、RAMの初期化処理(S114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(S114〜S116)に移行する。即ち、S114からのRAMの初期化処理では、RAM503の使用領域を0にクリアし(S114),RAM503の初期値を設定する(S115)。その後、割込みを許可して(S116),後述する通常処理に移行する。
【0108】
一方、RAM消去スイッチがオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、復電時処理では、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S108)、電源遮断の発生情報をクリアする(S109)。次に、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時のコマンドを送信し(S110)、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる(S111)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S112)、割込みが許可状態であれば(S112:Yes)、割込みを許可し(S113)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S112:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
【0109】
次に、図18のフローチャートを参照して通常処理を説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S207の各処理が実行され、その残余時間でS208〜S210のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0110】
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、第1図柄主表示装置42による特別図柄の変動表示に際して停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等を表示制御装置45に送信する。なお、特別図柄の変動開始時において、変動パターンコマンド→左図柄列の停止図柄コマンド→中図柄列の停止図柄コマンド→右図柄列の停止図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ(即ち、4ms毎に1つずつ)コマンドが送信され、変動時間終了のタイミングで確定コマンドが送信されるようになっている。
【0111】
次に、変動種別カウンタCS1の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。更に、外れ図柄カウンタ更新処理により、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する(S203)。
【0112】
ここで、図19を参照して、外れ図柄カウンタ更新処理を説明する。まず、左図柄列に対応する第1外れ図柄カウンタCLの更新時期か否かを判別し(S301)、更新時期であれば(S301:Yes)、第1外れ図柄カウンタCLを更新する(S303)。次に、左図柄列の更新時期でなければ(S301:No)、中図柄列に対応する第2外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別し(S302)、更新時期であれば(S302:Yes)、第2外れ図柄カウンタCMを更新する(S304)。更に中図柄列の更新時期でなければ(S302:No)、右図柄列の更新時期なので、右図柄列に対応する第3外れ図柄カウンタCRを更新する(S305)。
【0113】
上記S303〜S305の各処理における外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位2ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に3を減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCL,CM,CRの今回値とする。上記CL,CM,CRの更新処理によれば、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRが1回の通常処理で1つずつ順に更新されるので、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新される。
【0114】
その後、上記更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せが大当たり図柄の組合せになっているか否かを判別し(S306)、大当たり図柄の組合せであれば(S306:Yes)、そのまま本処理を終了する。大当たり図柄の組合せでなければ(S306:No)、リーチ図柄の組合せになっているか否かを判断し(S307)、リーチ図柄の組合せであれば(S307:Yes)、その時の外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せをRAM503の外れリーチ図柄バッファB9に格納する(S308)。外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せが大当たり図柄の組合せでなく(S306:No)、且つリーチ図柄の組合せでもなければ(S307:No)、外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せは外れリーチ以外の外れ図柄(完全外れ)の組合せになっているので、かかる場合には、その外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せをRAM503の完全外れ図柄バッファB10に格納する(S309)。
【0115】
外れ図柄カウンタCL,CM,CR更新処理(S203)の終了後は、図18の通常処理へ戻って、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S204)、第1図柄表示装置42による特別図柄の変動表示を行うための特別図柄変動処理を実行する(S205)。この特別図柄変動処理により、大当たり判定や特別図柄の変動パターンの設定などが行われる。なお、特別図柄変動処理の詳細は図20を参照して後述する。
【0116】
特別図柄変動処理の終了後は、第1図柄表示装置42による装飾図柄の変動表示を行うための装飾図柄変動処理を実行する(S206)。この装飾図柄変動処理により、大当たり判定や装飾図柄の変動パターンの設定などが行われる。
【0117】
装飾図柄変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置32の大入賞口を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する(S207)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。このとき、遊技球が特定領域を通過したことを条件に大入賞口の連続開放を許容し、これを所定ラウンド数繰り返し実行する。
【0118】
その後は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S208)、既に所定時間が経過していれば(S208:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
【0119】
一方、前回の通常処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S208:No)、所定時間に至るまでの、即ち次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI、副表示演出カウンタCS及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S209,S210)。まず、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する(S209)。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。次に、カウンタCS,CS1の更新を実行する(S210)。具体的には、カウンタCS,CS1を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、カウンタCSの更新値をRAM503の副表示演出カウンタバッファB5に格納し、カウンタCS1の更新値をRAM503の変動種別カウンタバッファB6に格納する。
【0120】
ここで、S201〜S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様にカウンタCS,CS1についてもランダムに更新することができる。
【0121】
次に、図20及び図21のフローチャートを参照して、特別図柄変動処理(S205)を説明する。特別図柄変動処理では、まず、今現在大当たり中であるか否かを判別する(S401)。大当たり中としては、大当たりの際に第1図柄表示装置42で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S401:Yes)、そのまま本処理を終了する。
【0122】
大当たり中でなければ(S401:No)、第1図柄主表示装置42による特別図柄の変動表示中であるか否かを判別し(S402)、特別図柄の変動表示中でなければ(S402:No)、第1図柄表示装置42の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(S403)。作動保留球数Nが0であれば(S403:No)、そのまま本処理を終了する。作動保留球数N>0であれば(S403:Yes)、作動保留球数Nを1減算し(S404)、保留球格納エリアに格納されたデータをシフト処理する(S405)。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具体に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、特別図柄の変動開始処理を実行する(S406)。なお、変動開始処理については図28を参照して後述する。
【0123】
S402の処理において、特別図柄の変動表示中である場合には(S402:Yes)、変動時間が経過したか否かを判別する(S407)。特別図柄の変動時間はその特別図柄の変動パターンに応じて決められており、この変動時間が経過するまで、S408の処理の実行をスキップする(S407:No)。一方、特別図柄の変動時間が経過すれば(S407:Yes)、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定して(S408)、本処理を終了する。
【0124】
次に、図21のフローチャートを参照して、変動開始処理を説明する。変動開始処理(S406)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S501)。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には大当たり乱数カウンタC1の数値0〜676のうち「337,673」が当たり値であり、高確率時には「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」が当たり値である。
【0125】
大当たりであると判別された場合(S501:Yes)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に対応する図柄、即ち大当たり図柄を大当たり図柄カウンタC2の値と図柄との対応関係を表す図示しないテーブルに基づいて求め、その図柄を停止図柄コマンドに設定する(S502)。テーブルには、大当たり図柄カウンタC2の数値「0」に対して「○」の特別図柄の表示を示す停止図柄コマンドが割り当てられ、「1」に対しては「△」を示すコマンドが、「2」に対しては「☆」を示すコマンドが、「3」に対しては「×」を示すコマンドが、「4」に対しては「#」を示すコマンドが、「5」に対しては「*」を示すコマンドが、それぞれ割り当てられる。また、大当たり図柄のうち、「○」の特定図柄(確変図柄)で揃った場合には以後確変状態に移行するが、他の特定図柄(非確変図柄)で揃った場合には確変状態に移行しない。
【0126】
次に、大当たり図柄で停止するまでの特別図柄の変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S503)。このとき、RAM503のカウンタ用バッファB6に格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、その値に基づいてショートリーチ、ミドルリーチ、ロングリーチ等のリーチ種別と変動時間とを決定する。なお、変動種別カウンタCS1の数値とリーチパターンとの関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。
【0127】
S501の処理で大当たりではないと判別された場合には(S501:No)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生(外れリーチの発生)か否かを判別する(S504)。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜11の何れかであり、そのうち「0」が外れリーチ発生に該当し、「1〜11」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
【0128】
外れリーチ発生の場合(S504:Yes)、RAM503の外れリーチ図柄バッファB7に格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S505)。また、外れリーチを表示するための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S506)。このとき、S503の処理と同様に、RAM503のカウンタ用バッファB6に格納されている変動種別カウンタCS1の値を確認し、その値に基づいてショートリーチ、ミドルリーチ、ロングリーチ等のリーチ種別と変動時間とを決定する。
【0129】
大当たりでなくリーチでもない場合には(S501:No,S504:No)、RAM503の完全外れ図柄バッファB8に格納されている左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの各値を停止図柄コマンドに設定する(S507)。また、完全外れ表示のための変動パターンを決定し、当該変動パターンを変動パターンコマンドに設定する(S511)。このとき、RAM503のカウンタ用バッファB6に格納されている変動種別カウンタCS1の値に基づいて変動パターンが決定されるのはS503の処理と同様である。上記の通り大当たり時、リーチ発生時、リーチ非発生時のいずれかで図柄停止コマンド及び変動パターンコマンドの設定が完了すると、本処理を終了する。
【0130】
なお、完全外れの変動パターンは、変動開始時における作動保留球数Nの値に応じて定めても良く、例えば、作動保留球数Nが3以上のときに開始される完全外れの変動時間は、作動保留球数Nが3未満で開始される完全外れの変動時間より短くするようにしても良い。速やかに待機中の変動表示を消化して無駄な始動入賞を抑制しつつ、且つ、変動表示が途絶え難くなり、変動停止の状態が継続して遊技者の遊技意欲が減衰することを防止することができる。
次に、図3、図25〜図28を参照して第1図柄主表示装置42に表示される特別図柄と装飾図柄とについて表示制御装置45の制御と共に説明する。
【0131】
第1図柄主表示装置42には、その中央部に3つの図柄列(装飾図柄の図柄列)Z1〜Z3が表示される装飾図柄表示領域42aと、その画面下側端部に「○」「△」「☆」「×」「#」「*」の6種類の特別図柄が表示される特別図柄表示領域42bとが設けられる。
【0132】
特別図柄表示領域42bには、始動口33への入賞時に取得された大当たり乱数カウンタC1の値が大当たりであるときに3つ揃った図柄が停止して遊技者に大当たりの発生が示される。本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄と装飾図柄との2種類が設けられている。特別図柄は、図柄の種類を少なくして主制御装置261と表示制御装置45とのコマンドの種類を低減するために設けられたものである。一方、装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。これら2種類の図柄を併用することにより、パチンコ機10に多彩な演出を備えつつ、主制御装置261から表示制御装置45へ送信するコマンドの種類を低減して主制御装置261の制御プログラムを簡略化したり、主制御装置261のROM502,RAM503等の記憶装置の使用領域を少なくすることができる。
また、本実施の形態では、MPU521に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタS1〜S5の値をランダムに更新する。即ち、各装飾図柄カウンタS1〜S3の更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビット(即ち「0〜7」)の値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に各最大値分減算されて今回値が決定される。各装飾図柄カウンタS1〜S3は更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら装飾図柄カウンタS1〜S3の組合せが、RAM523の大当たり図柄バッファB20、リーチ図柄バッファB21及び完全外れ図柄バッファB22の何れかに格納される。そして、特別図柄の変動開始を示す変動パターンコマンドを受信した際に、コマンドの内容に応じて大当たり図柄バッファB20、リーチ図柄バッファB21及び完全外れ図柄バッファB22の何れかのバッファ値が取得される。
【0133】
次に、図26から図28を参照して、表示制御装置45のMPU521により実行される各処理について説明する。図26は、表示制御装置45のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
【0134】
表示制御装置45のメイン処理は、まず電源投入に伴う初期設定処理を実行し(S811)、RAMやI/O等の各値の初期化、及び、タイマ割込等の各割込の設定を行う。その後、S812からS815の処理を4ms毎に繰り返し実行して、第1図柄主表示装置42の表示内容を制御する。
【0135】
まず、各表示装置41,42の表示内容にあわせた音声を出力するために音声ランプ制御装置262へ音声出力のコマンドを送信する外部出力処理を行い(S812),その後に上述した装飾図柄カウンタS1〜S5の更新を行う(S813)。
【0136】
ここで、図27を参照して、装飾図柄カウンタ更新処理(S813)を説明する。図27は、図26のメイン処理の中で実行される装飾図柄カウンタ更新処理(S813)を示したフローチャートである。
【0137】
まず、いずれの図柄列の装飾図柄カウンタの更新時期かを判別し、その更新時期に合わせて更新時期となった図柄列の装飾図柄カウンタを更新するカウンタ更新処理(S821)を行う。具体的には、左図柄列Z1の装飾図柄カウンタS1の更新時期か否かを判別し、更新時期であれば第1図柄列Z1の装飾図柄カウンタS1を更新する。一方、左図柄列Z1の更新時期でなければ、第2図柄列Z2の装飾図柄カウンタS2の更新時期か否かを判別し、更新時期であれば第2図柄列Z2の装飾図柄カウンタS2を更新する。同様に第3図柄列Z3の更新時期か否かを判別し、更新時期であれば第2図柄列Z2の装飾図柄カウンタS2を更新し、カウンタ更新処理(S821)を終了する。
【0138】
上記S821の処理における装飾図柄カウンタS1〜S3の更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に最大値分を減算し、その演算結果を装飾図柄カウンタS1〜S3の今回値とする。上記S1〜S3の更新処理によれば、第1〜第3図柄列Z1〜Z3の各装飾図柄カウンタS1〜S3が1回の通常処理で1つずつ順に更新されるので、各カウンタ値の更新時期が重なることはない。これにより通常処理を3回実行する毎に装飾図柄カウンタS1〜S3の1セット分が更新される。
【0139】
その後、上記更新した装飾図柄カウンタS1〜S3の組合せが大当たり図柄の組合せになっているか否かを判別し(S826)、大当たり図柄の組合せであれば(S826:Yes)、そのときの装飾図柄カウンタS1〜S3の組合せをRAM523の大当たり図柄バッファB20に格納し(S828)、本処理を終了する。大当たり図柄の組合せの判別としては、3列の図柄列に設定される有効ラインのいずれかに大当たり図柄の組合せが形成されるカウンタ値の組合せをすべて予め表示制御装置45のROM522に記憶させておき、その値と比較することにより行われる。
【0140】
S826の処理において大当たり図柄の組合せでなければ(S826:No)、リーチ図柄の組合せになっているか否かを判別し(S827)、リーチ図柄の組合せであれば(S827:Yes)、その時の装飾図柄カウンタS1〜S3の組合せをRAM523のリーチ図柄バッファB21に格納する(S829)。装飾図柄カウンタS1〜S3の組合せが大当たり図柄の組合せでなく(S826:No)、且つリーチ図柄の組合せでもなければ(S827:No)、装飾図柄カウンタS1〜S3の組合せは完全外れの組合せ(リーチなし)になっているので、かかる場合には、その装飾図柄カウンタS1〜S3の組合せをRAM523の完全外れ図柄バッファB22に格納する(S830)。ここで、リーチ図柄の組合せと完全外れの組合せとは、上記した通常停止変動、順停止変動および挟み停止変動の各変動パターンによりそれぞれ異なる場合があるが、各変動パターン毎に対応する図柄バッファをそれぞれ設けて、各変動パターンに対応する図柄の組合せを記させれば良い。
【0141】
装飾図柄カウンタS1〜S3更新処理(S813)の終了後は、図26のメイン処理へ戻って第1図柄主表示装置42の装飾図柄表示領域42aにおける装飾図柄の変動表示を進行させる装飾図柄表示処理を行う(S814)。その後には、特別図柄表示領域42bにおける特別図柄の変動表示を進行させる特別図柄表示処理を行う(S815)。S814及びS815による表示制御は、主制御装置261より受信したコマンドに基づいて設定される図25に示す演出実行エリア701の内容に従って行われる。
【0142】
次に、前回のS812の処理の開始からの経過時間を確認する(S816)。S816の処理においてその経過時間が4ms未満であれば(S816:No)、4msが経過するまでS816の処理を繰り返す。S816の処理において4msが経過したことが確認されると(S816:Yes)、処理をS812へ移行し、その後の処理を実行する。
【0143】
S816の処理にてS812の処理からの経過時間に基づいて処理を進行させることにより、S812からS815の処理を4ms毎に行うことができ、4ms毎に装飾図柄カウンタS1〜S5の更新を行うことができる。なお、必ずしも装飾図柄の組合せを決定するためのカウンタを図柄列の数分設ける必要はなく、中央の1つの図柄列分だけカウンタを設け、その他は予め定めた組合せに従って固定的に表示しても良い。また、リーチとなる変動パターンを予め複数設定したテーブルを表示制御装置45に記憶し、そのテーブルから変動パターンを導出するようにしても良い。
【0144】
次に、図28を参照して、表示制御装置45により行われるコマンド受信処理について説明する。図28は、表示制御装置45のコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、表示制御装置45において主制御装置261からコマンドを受信した場合に実行される割込処理であり、この処理によって主制御装置261から送信されたコマンドに予め対応付けされた処理が表示制御装置45で行われる。
【0145】
コマンド受信処理では、受信したコマンドを確認し(S841)、そのコマンドが変動パターンコマンドであれば(S841:変動パターンコマンド)、変動パターンコマンドを演出実行エリアに書き込む(S842)。この変動パターンコマンドに対応して特別図柄および装飾図柄における変動時間とリーチの有無などの変動パターンが予め定められており、主制御装置261のMPU502で行われた各種の抽選に対応した変動表示が第1図柄主表示装置42にて行われる。また、受信したコマンドが副表示開始コマンドであれば、副表示開始コマンドを演出実行エリア701に書き込む(S852)。そして、副表示演出実行処理が行われる(S853)。なお、副表示演出実行処理の詳細は後述する。
【0146】
次に、受信した変動パターンコマンドの内容を確認し(S843)、大当たりの変動パターンコマンドであれば(S843:大当たり)、大当たり図柄カウンタバッファB20の値を今回の変動表示に対する装飾図柄の停止図柄として書き込んで格納する(S844)。S843の処理において受信したコマンドがリーチのものであれば(S843:リーチ)、変動パターンに対応したリーチ図柄バッファB21の値を演出実行エリア701に書き込む(S845)。受信したコマンドが完全外れのものであれば(S843:完全外れ)、変動パターンに対応した完全外れ図柄バッファB22の値を演出実行エリア701に書き込む(S846)。S844からS846の処理によって変動パターンコマンドに応じた図柄バッファの値を今回の変動表示に対する装飾図柄の停止図柄として設定することで、特別図柄と装飾図柄とが共に大当たり、リーチまたは完全外れのいずれかで停止させることができる。
【0147】
その後、音声ランプ制御装置262へ保留ランプ46を1つ消灯させるランプ消灯コマンドを送信する(S847)。このS847の処理においては、RAM523に設けられたコマンド送信用のエリア(送信バッファ)にランプ消灯コマンドが一旦書き込まれ、前述した外部出力処理(S812)によってランプ消灯コマンドは送信される。S847の処理後、第1図柄表示装置42によって特別図柄と装飾図柄との変動表示を開始させ(S848)、コマンド受信処理を終了する。
【0148】
S841の処理において受信したコマンドが停止図柄コマンドであれば(S841:停止図柄コマンド)、停止図柄のデータを演出実行エリア701に書き込み(S849)、コマンド受信処理を終了する。受信したコマンドが確定コマンドであれば(S841:確定コマンド)、変動表示を確定停止させ(S850)、コマンド受信処理を終了する。また、S841の処理において受信したコマンドが、変動パターンコマンド、停止図柄コマンド、及び、確定コマンドのいずれでもなければ(S841:他のコマンド)、受信したコマンドに応じた各処理を実行して(S851)、コマンド受信処理を終了する。
【0149】
このように、表示制御装置45においては、主制御装置261から変動パターンコマンドを受信した場合にS843からS846の処理によって変動パターンコマンドに応じた図柄バッファの値を今回の変動表示に対する装飾図柄の停止図柄として設定する。これにより、主制御装置261によって行われる抽選結果に対応して特別図柄と装飾図柄とを共に大当たり、リーチまたは完全外れのいずれかで停止させることができ、主制御装置261の大当たりおよびリーチ抽選の結果に対応した装飾図柄の変動表示を実行することができる。
【0150】
次いで、本発明のパチンコ機のさらなる特徴部分の構成について、図29を用いて説明する。図29は主制御装置261及び表示制御装置45の機能ブロック図である。図29に示すように主制御装置261は、第1図柄主表示装置42での図柄の変動表示結果が予め設定した特定の図柄の組合せ(大当たり図柄)となったことを必要条件に特別遊技状態を発生させる機能を有するものである。要するに、主制御装置261は、0〜676までの値をとり得る大当たり乱数カウンタC1(特別遊技状態となるか否かを決定するための第1乱数群)の値(第1乱数)に基づいて特別遊戯状態を発生させているのである。
【0151】
具体的には、主制御装置261のCPU501は、図29に示すように、大当たり乱数カウンタC1を発生させる第1乱数発生部400(第1乱数群発生機能)を有している。主制御装置261のRAM503は、第1の始動口33に遊技球が入賞する毎に、大当たり乱数カウンタC1の値を記憶する保留球格納エリア(第1乱数記憶部402)を備えている。また、主制御装置261のCPU501は、この保留球格納エリアに記憶された大大当たり乱数カウンタC1の値が当たり値であるか否かを判定する第1判定部404(判定機能)も有している。
【0152】
なお、第1の始動口33に設けられた作動口スイッチでの遊技球の入賞検出のタイミングで、第1乱数発生部400での大当たり乱数カウンタC1の値(第1乱数)がRAM503の保留球格納エリア(第1乱数記憶部402)に記憶されるようになっている。また、低確率時においては、第判定部404は、第1乱数記憶部402に記憶された大当たり乱数カウンタC1の値(第1乱数)が2個の値「337,673」であれば大当たりと判定し、そうでなければ外れと判定する。また、低確率時においては、第1判定部404は、第1乱数記憶部402に記憶された大当たり乱数カウンタC1の値(第1乱数)が10個の値「67,131,199,289,337,401,483,523,601,661」であれば大当たりと判定し、そうでなければ外れと判定する。上述の第1乱数発生部400、第1判定部404は、CPU501に所定のプログラムを実行させることで実現されている。
【0153】
そして、CPU501で大当たり乱数カウンタC1の値が当たり値であると判定した場合には、主制御装置261から可変入賞装置32に特別遊技状態とするための信号が出力される。可変入賞装置32は、主制御装置261からの当該指示に基づいて、遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動するという大当たり動作を実行する。
また、この実施例のパチンコ機10は、図29に示すように、大当たり乱数カウンタC1(第1乱数群)とは別の乱数群であって、第1図柄主表示装置42に表示すべき第1図柄の変動表示内容を決定するための第2乱数群(リーチ乱数カウンタC3)を発生させる第2乱数発生部406と、作動スイッチでの入賞(入球)検出に基づいて、第2乱数発生部406で発生させた第2乱数群(リーチ乱数カウンタC3)のうちの一の第2乱数の値(リーチ乱数カウンタC3の値)を記憶する第2乱数記憶部408と、この第2乱数記憶部408に記憶された第2乱数の値(リーチ乱数カウンタC3の値)が所定値であるか否かを判定する第2判定部410と、この第2判定部410での判定結果に応じた制御信号(変動パターンコマンド)を第1図柄主表示装置42に出力する入出力ポート505を備えている。
【0154】
具体的には、主制御装置261のCPU501は、第2乱数発生部406と第2判定部410とを備えている。つまり、CPU501を所定のプログラムに従って動作させることで、主制御装置261において第2乱数発生部406及び第2判定部410なる機能を実現している。また、主制御装置261のCPU501は、第2判定部410での判定結果に応じた制御信号(変動パターンコマンド)を第1図柄主表示装置42に出力するように入出力ポート505を制御する。
【0155】
さらに、この実施例のパチンコ機10は、図29に示すように、副表示演出を行うか否かを決定するための副表示演出カウンタCSを発生させる副表示モード発生部900と、副表示モード発生部900で発生した値を記憶する副表示モード発生状態記憶部901と、副表示開始条件の成立を検出する副表示開始条件成立検出部902を備えている。副表示開始条件としては、副表示モード発生のみを開始成立条件としてもよく、また、副表示モード発生に加えて、大当たり及び/又は外れリーチの判定条件を必要とするようにしてもよく、さらに、副表示モード発生の他に各種の条件を必要とするようにしてもよい。本実施の形態では、副表示開始条件としては、副表示モード発生と、大当たり又は外れリーチの判定条件を必要とし、後述する図32〜図35に示すように主表示装置で変動停止後、副表示装置による再変動により大当たり図柄で停止するか、外れ図柄で停止する変動態様の表示演出が行われる。なお、本発明における副表示演出は、これに限定されるものではなく、多種多様の演出が可能である。
表示制御装置45は、主制御装置261からの各種コマンド(変動パターンコマンド、停止図柄コマンド、確定コマンド、副表示演出コマンド等)を受信し、この各種コマンドに基づいて、第1図柄主表示装置42に所定の変動表示演出を表示させるようになっている。
【0156】
また、表示制御装置45は、第1図柄主表示装置42に表示される画像データを生成する主表示画像形成部700、モータ612を制御するモータ制御部699等を有する主表示制御部950と、第1図柄副表示装置600Aに表示される画像データを生成する第1副表示画像形成部701Aを有する第1副表示制御部951Aと、第1図柄副表示装置600Bに表示される画像データを生成する第2副表示画像形成部701Bを有する第2副表示制御部951Bと、第1図柄副表示装置600Cに表示される画像データを生成する第3副表示画像形成部701Cを有する第3副表示制御部951Cと、第1図柄副表示装置600Dに表示される画像データを生成する第4副表示画像形成部701Dを有する第4副表示制御部951Dとを備える。主制御装置261からの副表示演出を示すコマンドを受信した場合は、第1〜第4副表示画像形成部701A〜701Dは、図示しないテーブルから受信コマンドに対応した画像データを読出すとともに、その画像データに応じたフレーム画像を生成する。そして、生成されたフレーム画像データは、第1図柄副表示装置600A〜600Dに順次的に出力される。また、主制御装置261からの副表示演出を示すコマンドを受信した場合は、モータ制御部699によってモータ612が駆動され、主図柄主表示装置42が第2位置に後退する。なお、副表示画像の表示タイミングは、主図柄主表示装置42が第2位置に後退して第1図柄副表示装置600の表示面が完全に露出するタイミングとなるように制御されている。
【0157】
一方、第1図柄副表示装置42及び第1図柄副表示装置600A〜600Dの各表示部Hには、図30に示すように、複数の信号線(ソース線)SL1,SL2,…と、複数の走査線(ゲート線)GL1,GL2,…とによって、マトリックス状に配列されたRGB各画素が備えられ、各画素は薄膜トランジスタによって実現される画素スイッチング素子710及び画素電極711を有する。表示部の周辺部には、画像信号を信号線SL1,SL2,…を介して伝達する信号線側駆動回路部712と、走査線GL1,GL2,…を介してTFTのゲート電極に走査信号を伝達する走査線側駆動回路部713とが備えられている。また、第1図柄副表示装置600A〜600Dは、入力されたフレーム画像データ信号がデジタル信号の場合は直並列変換処理を行い、入力されたフレーム画像データ信号がアナログ信号の場合は直並列変換処理・γ補正・増幅等の信号処理を行う信号処理回路部714と、信号線側駆動回路部712及び走査線側駆動回路部713の出力のタイミングを制御するタイミング制御部715を備えている。
【0158】
(第1図柄主表示装置42及び第1図柄副表示装置600の表示演出)
次いで、図31〜図35を参照して、副表示モード時における表示演出の処理を説明する。図31は副表示モード時における表示演出の処理動作を示すフローチャートであり、図32〜図35は副表示モード時における表示態様を示す図である。なお、図31は、図17〜図24等のソフトウェア上の処理の流れを中心としたものでなく、処理動作の流れを中心としたフローチャートである。
【0159】
先ず、副表示開始条件成立検出部902により、副表示開始条件が成立したか否かが判断される(S1)。副表示開始条件が成立していない場合は、通常の第1図柄主表示装置42のみによる表示が実行される(S2)。副表示開始条件が成立している場合は、第1図柄主表示装置42による変動表示停止後、第1図柄副表示装置600による再変動(加えて第1図柄主表示装置42も再変動する場合もある。)が行われる。
【0160】
即ち、先ず、第1図柄主表示装置42が変動表示し(S3)、変動が停止すると(S4)、モータ612が正転方向に駆動する(S5)。これにより、ラック610が後退する。そして、第2位置検出器623Bによって位置検出用突片624が検出されたか否かが判断され(S6)、検出された場合はモータ612の駆動が停止する(S7)。この結果、第1図柄主表示装置42が第1位置から第2位置に後退し、第1図柄副表示装置600の表示面が露出する。
【0161】
次いで、第1図柄副表示装置600が変動表示される(S8)。次いで、副表示演出が終了すると(S9)、モータ612が逆転方向に駆動する(S10)。これにより、ラック610が前進する。そして、第1位置検出器623Aによって位置検出用突片624が検出されたか否かが判断され(S11)、検出された場合はモータ612の駆動が停止する(S12)。この結果、第1図柄主表示装置42が第2位置から第1位置に復帰し、第1図柄副表示装置600の表示面は第1図柄主表示装置42によって覆われた状態となる。
【0162】
上記の処理動作によって、以下のような副表示演出が行われる。なお、図33〜図35の第1図柄副表示装置600の表示面は、図解の容易のため、正面に向いた状態での表示で描いている。
【0163】
先ず、第1図柄主表示装置42が変動表示し、図32に示すように、第1図柄列Z1の上段が「7」で停止し、第3図柄列Z3の下段が「7」で停止し、リーチ状態発生後、第2図柄列Z2の中段が「4」で停止して外れ状態となる。次いで、第1図柄主表示装置42が第2位置に後退し、第1図柄副表示装置600の表示面が露出した状態となり、再変動される。即ち、第1図柄副表示装置600Cの表示面には、図33に示すように、1の列が上下方向に変動し、第1図柄副表示装置600A,600B,600Dの各表示面には、特定の図柄800(例えば、第1図柄主表示装置42に表示されるキャラクタ以外のキャラクタが表示される。そして、第1図柄副表示装置600Cの変動が停止し、図34に示すように、図柄列の中段が「7」で停止する。次いで、図34に示すように、第1図柄主表示装置42の第2図柄列Z2の中段が変動して「7」で停止し、「7」の図柄が一致して大当たり状態となり、副表示演出が終了する。副表示演出終了後は、第1図柄主表示装置42は第2位置から前進して第1位置に復帰し、第1図柄副表示装置600の表示面が第1図柄主表示装置42によって覆われた通常状態となる。
【0164】
(その他の副表示演出)
(1)副表示演出時に、図36(a)に示すように、左右の第1図柄副表示装置60C,600Dにそれぞれ1の図柄列を表示するようにして、第1図柄主表示装置42とあわせて5列の図柄を変動表示するようにしてもよい。このようにすれば、第1図柄副表示装置600Cの図柄列と第1図柄主表示装置42の第1,第2図柄列Z1,Z2を表示する大当たり形成領域E1(図36(b)参照)と、第1図柄主表示装置42の第1〜第3図柄列Z1〜Z3を表示する大当たり形成領域E2(図36(c)参照)と、第1図柄主表示装置42の第2,第3図柄列Z2,Z3と第1図柄副表示装置600Cの図柄列を表示する大当たり形成領域E3(図36(d)参照)との3つの領域に大別され、その3つの領域の各々において表示される9個の装飾図柄が上中下段の3つの水平ラインと斜め2ラインの計5ラインを有効ラインLA1〜LC5としている。具体的には、大当たり形成領域E1で5つの有効ラインLA1〜LA5を設定し、大当たり形成領域E2にも5つの有効ラインLB1〜LB5を設定し、大当たり形成領域E3にも5つの有効ラインLC1〜LC5を設定するのである。これにより、合計15カ所に有効ラインLA1〜LC5を設定したことになり、いずれか1つまたは2つ以上の有効ライン上に水平あるいは斜めに同一の主図柄が3つ以上揃って停止する。上記構成であれば、最大6ラインでのリーチが出現することになり、遊技者に有利な利益状態が得られる可能を、より多く現出させることができ、また、遊技過程も多彩なものとなる。しかも、第1図柄主表示装置42の表示領域を大きくすることなく実現できるので、表示領域の拡大による遊技球の流下する領域が狭くなるという問題も解決できる。なお、図36も、図33〜図35と同様に、図解の容易のため、第1図柄副表示装置600の表示面は、正面に向いた状態での表示で描いている。
【0165】
(2)第1図柄主表示装置42の表示面に表示された図柄が、第1図柄副表示装置600の表示面に移動するように表示演出されてもよい。例えば、特定の利益状態が出現することを特定のキャラクタの出現によって示唆するような構成の場合、そのキャラクタの出現を遊技者により強調するために、キャラクタが、第1図柄主表示装置42の表示面から第1図柄副表示装置600の表示面に移動するように表示演出するような場合が想定され。これにより、遊技者は視覚的に刺激が与えられ、興趣が向上するという効果が奏される。
【0166】
〔第2の形態〕
上記第1の形態では、遊技者は、第1図柄副表示装置600の表示面を斜め方向から見ることになり、そのため、第1図柄副表示装置600の表示画像に歪を伴って見えることになる。そこで、第2の形態では、表示画像データに予め歪補正し、遊技者は歪のない画像を目視できるように構成したことを特徴とする。
【0167】
図37は歪補正の原理を説明するための図である。第1図柄副表示装置600のうち、下側に配置された第1図柄副表示装置600Aを例として挙げて説明する。図37(1)に示す第1図柄副表示装置600Aの表示面Maは、遊技者からは、図37(2)の二点鎖線で示すように台形(下辺が上片よりも長くなる台形)に歪んで見える。このことは、遊技者が第1図柄副表示装置600Aを目視した場合、原画像そのものでなく、台形歪が生じた画像を目視することを意味する。そこで、かかる台形歪を補正して、遊技者が歪のない画像を目視できるようにするためには、以下の原理に基づき歪補正を行う必要がある。
【0168】
図38は歪補正の原理を説明するための図である。遊技者が表示面Maを斜め方向から見る場合は、遊技盤の前面側に腰掛けた遊技者の目の位置P1と表示面Maの中心点とを結ぶ直線Nに垂直な仮想表示面Mを想定し、この仮想表示面Mと表示面Maとの成す角をθとしたとき、光学的には、遊技者は、表示面Ma上の画像を仮想表示面M上に投影したときの投影画像を目視していると考えられる。
そこで、表示面Maに、予め原画像を台形歪みとは逆に歪ませた画像(以下、補正用画像と呼ぶ)を形成することで、仮想表示面Mに投影された画像は、台形歪が補正された台形歪のない画像が得られることになる。この結果、遊技者には、台形歪のない画像を目視することができることになる。
【0169】
図39を用いてより具体的に説明する。表示面Maに形成された原画像が図39(1)の実線で示す図形850Aのように歪のない例えば碁盤目状の画像であったとしても、仮想表示面Mに投影された画像は、図39(1)の破線で示す図形850Bのように、上辺が短く下辺が長い台形状に歪んだ画像となってしまう。なお、角度θが変われば、仮想表示面Mに投影された画像の台形歪の状態は変化する。そこで、画素の間引き等の画像変形処理を行うことによって、図39(2)に示すように、予め原画像を台形歪とは逆に歪ませた補正用画像851Aを表示面Maに形成する(投影原画像として当該補正用画像851Aを表示面Maに形成する)ことで、仮想表示面M上に投影される画像に発生する台形歪が補正された台形歪のない画像851Bが、仮想表示面M上に表示される。この結果、遊技者は、台形歪のない画像を目視することができることになる。
【0170】
ここで、台形歪補正処理等の画像変形処理を行う場合は、上記の角度θのデータと、水平方向のドット単位(画素単位)の処理及び垂直方向のライン数処理を行う必要がある。先ず、図40を参照して、角度θの設定処理について説明する。遊技者と、第1図柄主表示装置42と、各第1図柄副表示装置600A,600B,600C,600Dとの配置関係を考察する。先ず、遊技者の目視位置を決定する必要がある。遊技者が椅子に腰掛けた状態で第1図柄主表示装置42の表示面に対峙している場合、遊技者の目の位置は、第1図柄主表示装置42の表示面の左右方向の中央位置で且つ、上下方向の上端から略1/4の位置P1に対峙しているものと想定することができる(図40(1)参照)。そうすると、第1図柄副表示装置600Bに関する表示面Maと仮想表示面M1との成す角度θ1は約30度であり(図40(1)参照)、第1図柄副表示装置600Aに関する表示面Maと仮想表示面M2との成す角度θ2は約60度である(図40(1)参照)。
【0171】
一方、第1図柄副表示装置600C,600Dに関しては、遊技者の目の位置P1が第1図柄主表示装置42の表示面の左右方向の中央位置で且つ、上下方向の上端から略1/4の位置とすると、第1図柄副表示装置600C,600Dを目視する遊技者は、台形歪ではなく、菱形のような複雑な図形の歪が生じた画像をとなる。そこで、歪補正の簡略化のため、第1図柄副表示装置600C,600Dに関しては、遊技者の目の位置P1は第1図柄主表示装置42の表示面の左右方向の中央位置で且つ、上下方向の中央位置と想定する。そうすると、第1図柄副表示装置600Cに関する表示面Maと仮想表示面M3との成す角度θ3と、第1図柄副表示装置600Dに関する表示面Maと仮想表示面M4との成す角度θ4は、θ3=θ4(約45度)となる(図40(2)参照)。なお、図40(1)において、N1は遊技者の目の位置P1と第1図柄副表示装置600Bの表示面Maの中心点とを結ぶ直線であり、N2は遊技者の目の位置P1と第1図柄副表示装置600Aの表示面Maの中心点とを結ぶ直線である。また、図40(2)において、N3は遊技者の目の位置P1と第1図柄副表示装置600Cの表示面Maの中心点とを結ぶ直線であり、N4は遊技者の目の位置P1と第1図柄副表示装置600Dの表示面Maの中心点とを結ぶ直線である。
なお、上記の角度θ1〜θ4の値は、一例に過ぎず、その他の値を設定するようにしてもよい。
【0172】
なお、菱形のような複雑な図形の歪が生じる場合でも、画像処理の演算が複雑になるだけであり、歪補正を行うことは可能である。
【0173】
次いで、表示面Maに矩形状の画像(現画像)を形成した場合における、仮想表示面M(第1図柄副表示装置600Bでは仮想表示面M1、第1図柄副表示装置600Aでは仮想表示面M2、第1図柄副表示装置600Cでは仮想表示面M3、第1図柄副表示装置600Dでは仮想表示面M4に相当)に投影される投影画像と、現画像との座標位置の相関関係を予め算出し、この投影画像の逆画像(歪補正画像)を各ドットについて算出して画像変換データ(歪補正演算プログラムに相当)を作成しておく。そして、この画像変換データに応じて原画像を補正することにより、逆画像(歪補正画像)が得られることになる。なお、具体的な画像処理としては、垂直ライン数を、変換データに基づいて増大(減少)するとともに、水平方向ドット数の拡大率(縮小率)を垂直ライン毎に変化させる。
【0174】
次いで、第1図柄副表示装置600の具体的な回路構成について説明する。図41は第1図柄副表示装置600の電気的構成を示すブロック図である。第1図柄副表示装置600は、信号処理部714、タイミング制御部715に加えて、角度θを記憶する角度データ記憶部750と、台形歪補正のための演算プログラムを格納する台形歪補正演算プログラム部751と、入力画像データについて台形歪補正を行う台形歪補正部752とを有する。なお、角度データ記憶部750に記憶された角度θは、第1図柄副表示装置600Bの場合はθ1であり、第1図柄副表示装置600Aの場合はθ2であり、第1図柄副表示装置600Cの場合はθ3であり、第1図柄副表示装置600Dの場合はθ4である。
【0175】
次いで、歪補正処理について説明する。第1画像形成部で生成されたフレーム画像データは台形歪補正部752に与えられる。台形歪補正部752は、角度データ記憶部750から読み出した角度θに基づき、台形歪補正演算プログラム部751から読み出した演算プログラムに従って、画像データの画像変換処理を行う。具体的には、現画像の垂直ライン数を増大(減少)するとともに、現画像の水平方向ドット数の拡大率(縮小率)を垂直ライン毎に変化させる。これにより、歪補正画像データが得られる。その後は、この歪補正画像データに基づいて、通常の画像表示処理によって第1図柄副表示装置600の表示面Maに歪補正画像を表示する。このようにして、第1図柄副表示装置600に歪補正画像を表示することにより、第1図柄副表示装置600の表示面Maを斜め方向から見ることになる遊技者にとって、歪のない画像を目視することができる。
【0176】
なお、上記の例では、遊技者が第1図柄副表示装置600を見る場合に生じる歪は、台形歪としたけれども、これに限定されない各種の歪が発生する場合もあり得る。その場合であっても、歪を伴う画像と、歪のない希望する画像との関係を予め算出しておき、この算出データに基づいて水平歪補正及び垂直歪補正を行えば、補正画像を目視した遊技者は、歪のない画像を目視することができる。
【0177】
〔第3の形態〕
上記第2の形態では、第1図柄副表示装置600A〜600Dについて全ての表示画像を歪補正して、歪のない画像を目視するように構成されていたけれども、本第3の形態では、選択的に歪補正する場合と歪補正しない場合とを切り換え、表示するようにしたことを特徴とするものである。一般的には、遊技者は、歪補正して歪のない画像を目視するのが好ましいが、歪んだ画像を敢えて、遊技者に目視させるのが、演出効果として好ましい場合があり、そのような場合には、歪を補正することなく受信した画像をそのまま表示するものである。例えば、下側の第1図柄副表示装置600Bに数字「2」を表示するような場合に、歪補正しない場合は、数字「2」の上側が短く下側が長い表示態様として遊技者に目視されるので、遊技者にとっては、立体感溢れて目視されることになる。
【0178】
次いで、図42を参照して、具体的な回路構成について説明する。図42は第3の形態に係る第1図柄副表示装置600の電気的構成を示すブロック図である。
【0179】
本第3の形態に係る第1図柄副表示装置600は、信号処理部714、タイミング制御部715、角度データ記憶部750、台形歪補正演算プログラム部751、台形歪補正部752に加えて、歪補正された補正画像データと歪補正されないままの入力画像データとを選択的に切換えて出力する切換部754と、歪補正を行うか否かを判定する判定部753とから構成されている。歪補正の切換動作に際しては、判定部753は、第1〜第4副表示画像形成部701A〜701Dから出力されたフレーム画像データの内容を判断し、画像に応じて切換信号を切換部754に出力する。これにより、切換部754は、歪補正された補正画像データと歪補正されないままの入力画像データとを選択的に切換えて出力する。この結果、遊技者は、歪んだ画像を目視する場合と、歪のない画像を目視する場合とがあり、多種多彩な表示演出が可能となる。
【0180】
なお、上記の例では、判定部753が第1〜第4副表示画像形成部701A〜701Dから出力されたフレーム画像データの内容を判断して切換信号を切換部754に出力するように構成したけれども、第1〜第4副表示制御部951A〜951Dが第1〜第4副表示画像形成部701A〜701Dで生成される画像に応じて切換信号を発生させ、第1図柄副表示装置600の切換部754に出力するようにしてもよい。
【0181】
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0182】
(その他の事項)
(1)上記実施の形態では、副表示演出カウンタCSによって副表示演出を行うか否かを決定していたけれども、変動パターンの一態様として変動パターン中に副表示演出を発生させるように構成してもよい。
【0183】
(2)上記第1の形態又は第3の形態では、主表示装置及び副表示装置は液晶表示装置に限定されず、CRT(陰極線管)表示装置、EL表示装置等の何れであってもよい。但し、上記第2の形態においては、主表示装置及び副表示装置は液晶表示装置に限定される。
【0184】
(3)本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、スロットマシン、アレパチ、麻雀など他の遊技機として実施するようにしても良い。
【0185】
(4)本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機、スロットマシン、アレパチ、麻雀など他の遊技機、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機に適用可能である。尚、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0186】
以上のように、本発明は、パチンコ機等の遊技機に適している。
【符号の説明】
【0187】
10 パチンコ機(遊技機)
42 第1図柄主表示装置
45 表示制御装置
600A,600B,600C,600D 第1図柄副表示装置
610 ラック
612 モータ
613 ピニオン
623A 第1位置検出器
623B 第2位置検出器
624 位置検出用突片
630,631 透明基板
632 液晶層
633,634 位相補償板
637 カラーフィルタ
638 バックライトユニット
639 光源
640 導光板
650 光拡散素子
750 角度データ記憶部
751 台形歪補正演算プログラム部
752 台形歪補正部
753 判定部
754 切換部
900 副表示モード発生部
901 副表示モード発生状態記憶部
902 副表示開始条件成立検出部
CS 副表示演出カウンタ
B4 副表示演出カウンタバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の特別遊技状態抽選条件成立を契機に、通常遊技よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態に移行するか否かの当否抽選が実行される特別遊技状態抽選手段を備え、この特別遊技状態抽選手段の抽選結果を表す特別図柄を特別図柄表示装置に変動表示させる特別図柄表示制御手段と、上記抽選結果を視覚的に演出するための装飾図柄を装飾図柄表示装置に上記特別図柄に対応して変動表示させる装飾図柄表示制御手段とを備えた遊技機において、
上記装飾図柄表示装置の表示面の一部分を覆うことにより表示面が部分的に視認困難な状態を発現させる第1位置と、該第1位置より移動して上記装飾図柄表示装置の覆われた表示面を現すことにより表示面が視認可能な状態を発現させる第2位置とに亘って移動可能な可動体と、
上記可動体を、上記第1位置と上記第2位置とに亘って移動可能とする可動体駆動機構と、
上記装飾図柄表示装置の覆われた表示面が現れることにより表示面が視認可能な状態を発現させる装飾図柄表示面の拡大演出を実行するための拡大演出条件の成立を検出する拡大演出条件成立検出手段と、
上記装飾図柄表示装置による装飾図柄表示面の拡大演出を終了するための終了条件の成立を検出する終了条件成立検出手段と、
上記拡大演出条件成立検出手段により拡大演出条件の成立が検出された場合には可動体駆動機構を駆動して可動体を第1位置から第2位置へ移動させ、上記終了条件成立検出手段により終了条件の成立が検出された場合には可動体駆動機構を駆動して可動体を第2位置から第1位置へ移動させるように制御する可動体駆動制御手段と、
を備え、
上記装飾図柄表示制御手段は、上記拡大演出条件が成立した場合には、少なくとも上記視認可能な状態となった装飾図柄表示面に所定の表示演出が行われるように表示制御を実行し、
上記特別図柄表示装置の表示面は、上記可動体の移動位置に関係なく一定であって、且つ、常に全体が視認可能な状態であることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2010−227626(P2010−227626A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157987(P2010−157987)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【分割の表示】特願2008−193448(P2008−193448)の分割
【原出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】