説明

遊技機

【課題】大掛かりな構造を設けずに、遊技球計数用の近接センサに関する異常(不正)を検知することができる遊技機を提供する。
【解決手段】近接センサ74の近傍に配設され、異常な電波が照射されたことを検出することが可能な異常検出用センサ81と、異常検出用センサ81から入力される信号に基づいて、異常が発生したか否かを判定することが可能な異常判定手段と、異常判定手段の判定結果に基づいて、払出装置57による払出動作を規制することが可能な払出規制手段と、を備え、異常判定手段は、払出装置57による払出動作が行われるよりも前に異常が発生したか否かを判定可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を払い出す払出動作を行うことが可能な払出機構部と、該払出機構部により払い出される遊技球を検出することが可能な近接センサと、を備え、払出条件の成立に基づき前記払出機構部に払出動作を行わせるとともに、前記近接センサから入力される信号に基づき払出動作を停止させることが可能なパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属製の遊技球の通過による磁束の変化を検出して遊技球を検出する電磁誘導式(磁気式)近接センサを備え、このセンサにより、入賞口への遊技球の入賞の検出や賞球や球貸し時に払い出される遊技球の検出を行うようにした遊技機が知られている。このような遊技機においては、遊技機に向けて電波を照射して不正に遊技球を排出させてしまう不正行為が行われることがあった。具体的には、例えば、払出条件が成立しているときに電磁誘導式近接センサ(排出センサ)に電波を照射すると、遊技球が当該センサの検出部を通過しているにもかかわらず、球が通過していないことを示す信号を出力する状態が不正に形成されてしまう。
【0003】
このような場合には、払出装置(排出装置)では、規定数の払い出しが行われないことから、リトライ動作を繰り返すことで、次々に遊技球が払い出されてしまうので、結果的に規定数以上の遊技球が不正に払い出されてしまうこととなる。そこで、このような不正を防止するために、外部から照射される電波を遮断するようなシールドを設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−149960号公報
【特許文献2】実開平03−018878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、払出装置の電磁誘導式近接センサに対する不正を防止したい場合には、払出装置の全周をシールドで覆う必要があり、防止構造が大掛かりになってしまう。また、シールドに少しの隙間があるとそこを狙って電波を照射される可能性もあるし、可動部が多くあるパチンコ遊技機において、払出装置の周囲を隙間なくシールドすることは極めて困難である。さらに、パチンコ遊技機全体をシールドしても、シールドが外部から破壊される可能性もあり、完全に不正行為を防止することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、大掛かりな構造を設けずに、遊技球計数用の近接センサに関する異常(不正)を検知することができる遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、遊技球を払い出す払出動作を行うことが可能な払出機構部と、該払出機構部により払い出される遊技球を検出することが可能な近接センサと、を備え、
払出条件の成立に基づき前記払出機構部に払出動作を行わせるとともに、前記近接センサから入力される信号に基づき払出動作を停止させることが可能な遊技機において、
前記近接センサの近傍に配設され、異常な電波が照射されたことを検出することが可能な異常検出用センサと、
前記異常検出用センサから入力される信号に基づいて、異常が発生したか否かを判定することが可能な異常判定手段と、
前記異常判定手段の判定結果に基づいて、前記払出機構部による払出動作を規制することが可能な払出規制手段と、を備え、
前記異常判定手段は、前記払出機構部による払出動作が行われるよりも前に異常が発生したか否かを判定可能であることを特徴とする遊技機である。
【0008】
請求項2に記載のものは、前記異常検出用センサから入力される信号の電圧値に基づいて、当該異常検出用センサの信号配線の異常を検出することが可能な配線異常検出手段を備え、
前記払出規制手段は、前記配線異常検出手段により異常が検出された場合には、前記異常判定手段により異常が発生していないと判定された場合であっても前記払出機構部による払出動作を規制することを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【0009】
請求項3に記載のものは、前記配線異常検出手段は、前記近接センサから入力される信号の電圧値に基づいて、当該近接センサの信号配線の異常を検出することが可能であり、
前記払出規制手段は、前記配線異常検出手段によって前記近接センサまたは前記異常検出用センサの信号配線に異常が検出された場合には、前記異常判定手段により異常が発生していないと判定された場合であっても前記払出機構部による払出動作を規制することを特徴とする請求項2に記載の遊技機である。
【0010】
請求項4に記載のものは、前記異常検出用センサは、前記近接センサと同じ構造および性能を有し、常態において当該異常検出用センサの検出部が被検出ダミー体を検出するように構成されており、
前記検出部で前記被検出ダミー体を検出している場合であっても異常な電波が照射されることで非検出信号を送出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異常な電波が不正目的で近接センサに照射されるという不正行為を、大掛かりな構造を必要とせずに検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パチンコ遊技機の斜視図である。
【図2】(a)はパチンコ遊技機の背面図、(b)は球払出ユニットの背面図である。
【図3】遊技盤の正面図である。
【図4】払出収納部の説明図である。
【図5】(a)は払出装置の上方から見た斜視図、(b)は払出装置の下方から見た斜視図である。
【図6】払出装置の断面図であり、(a)は電磁誘導式近接センサを含む平面での断面図、(b)は異常検出用センサを含む平面での断面図である。
【図7】可撓性係止片の状態を示す説明図であり、(a)は係止解除状態の説明図、(b)は係止状態の説明図である。
【図8】制御系統の説明に供するブロック構成図である。
【図9】異常検出用センサの送出状態を示す説明図であり、(a)は断線発生信号を送出する状態の説明図、(b)は短絡発生信号を送出する状態の説明図である。
【図10】出力状態判定回路を示すブロック構成図である。
【図11】メイン処理のフローチャートの前半部である。
【図12】メイン処理のフローチャートの後半部である。
【図13】タイマ割込み処理のフローチャートである。
【図14】エラー監視処理のフローチャートである。
【図15】第2実施形態における異常検出機構の説明図であり、(a)は異常検出用センサを備えた払出収納部の斜視図、(b)は可撓性係止片を備えた払出装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、機枠(外枠)2の前面に、大きな矩形状開口を有する略額縁状の前面枠(内枠)3を開閉可能に軸着し、この前面枠3のベースとなる前面枠本体4に遊技盤収納枠(図示せず)を形成して矩形状の遊技盤6(図3参照)を収納し、前面枠3の前側には、一側(図1中、左側)が軸着された透明部材保持枠8を開閉可能に設け、該透明部材保持枠8に透視可能な透明部材9を保持し、透明部材9を通して遊技盤6の前面をパチンコ遊技機1の前方から透視できるように構成している。さらに、透明部材保持枠8の下方には、一側(図1中、左側)が前面枠3に軸着された上皿ユニット11を開閉(回動)可能に設け、該上皿ユニット11の下方には、下皿ユニット12を上皿ユニット11に対して左右方向にずれた位置に配置している。そして、下皿ユニット12の一側部(図1中、右側部)には、発射装置(図示せず)を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)13を備え、他側部(図1中、左側部)にはスピーカー14を備えている。さらに、透明部材保持枠8の下部には球貸スイッチ15と返却スイッチ16とを設け、カードユニット17(図8参照)にプリペイドカード等の記憶媒体を挿入し、球貸スイッチ15を操作すると、遊技球が上皿ユニット11に排出されて貸し出され、返却スイッチ16を操作すると、記憶媒体がカードユニット17から返却されるように構成されている。
【0014】
また、図2(a)に示すように、前面枠3の裏面側には大きな枠状の裏機構盤18を備え、該裏機構盤18の中央部分に略矩形状の機構盤開口部19を開設し、遊技盤6の裏側から突出した部分を機構盤開口部19内に配置して裏機構盤18に干渉しないように構成されている。さらに、裏機構盤18のうち機構盤開口部19よりも上方の位置には、横長な球貯留ユニット(球貯留タンク)21を備え、該球貯留ユニット21内に遊技機島設備内の補給装置(図示せず)から補給された遊技球を貯留するとともに、この貯留した遊技球を球貯留ユニット21から排出可能としている。そして、裏機構盤18のうち機構盤開口部19の側方(図2(a)中、右側方)には、球貯留ユニット21から排出された遊技球を払い出すための球払出ユニット22を配置している。また、機構盤開口部19の下方には、球払出ユニット22あるいは遊技盤6から流下してきた遊技球を下方へ誘導する回収誘導路(図示せず)を配置し、該回収誘導路の下流端をパチンコ遊技機1の外方へ向けて開放し、回収誘導路に誘導された遊技球をパチンコ遊技機1の外部、具体的には遊技機島設備内の球回収樋(図示せず)へ案内可能としている。さらに、該回収誘導路よりも後方の位置には、払出制御装置25、発射制御装置26、電源装置27、および中継基板28を配置している。なお、球払出ユニット22については、後で詳細に説明する。
【0015】
遊技盤6は、図3に示すように、当該遊技盤6のベースとなる遊技盤本体31の表面に区画部材32を止着して遊技球が流下可能な遊技領域33を区画形成し、該遊技領域33の中央部には包囲枠体(センターケース)37を装着し、該包囲枠体37の後方には、複数の識別情報を変動表示して変動表示ゲームを行う変動表示装置38を配置している。また、遊技領域33のうち包囲枠体37の外方には、遊技領域33を流下する遊技球が入賞可能な入賞装置を備えている。具体的には、包囲枠体37の下方には、遊技球の入賞により変動表示ゲームの始動条件を成立させる始動入賞口40を配置し、包囲枠体37の左下方および右下方には、発光により各種の装飾表示を行うサイドランプ41を配置し、該サイドランプ41の前面側に一般入賞口42を備え、始動入賞口40の下方には大入賞口43を配置している。そして、始動入賞口40、大入賞口43や包囲枠体37等の取付部分を除いた遊技領域33内に障害釘(図示せず)を植設し、遊技領域33の下端には、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口45を設けている。さらに、遊技盤本体31の裏面のうち変動表示装置38の背面部には表示制御装置47(図8参照)を装着し、該表示制御装置47をカバー体48で後方から被覆し、該カバー体48の下方には遊技制御装置49を配置している(図2(a)参照)。
【0016】
次に、球払出ユニット22について説明する。
球払出ユニット22は、図2(b)に示すように、該球払出ユニット22の基部となる縦長なユニットベース52を備え、該ユニットベース52の上部には、パチンコ遊技機1を該パチンコ遊技機1の外部へ電気的に接続する外部情報端子53を装着し、ユニットベース52の後部の上寄りには流下切換装置54を配置し、該流下切換装置54の下方、詳しくはユニットベース52の後部のうち上下方向の中間部分には払出収納部56を設け、該払出収納部56内に払出装置57を収納している。さらに、ユニットベース52の下部には、上皿ユニット11の導出口11a(図1参照)に連通する払出流下路58を備え、球払出ユニット22内の遊技球、詳しくは球払出ユニット22から払い出された遊技球を賞球あるいは貸球として払出流下路58へ流下させて導出口11aへ導出し、上皿ユニット11へ供給できるように構成されている。そして、図2(a)に示すように、縦長なユニットカバー59を流下切換装置54の下部、払出装置57、および払出流下路58を後方から覆う状態で装着して、流下切換装置54と払出装置57との連結箇所、および払出装置57と払出流下路58との連結箇所を保護している。
【0017】
流下切換装置54は、球貯留ユニット21から流下してきた遊技球を賞球あるいは貸球としてパチンコ遊技機1の前面側、具体的には上皿ユニット11あるいは下皿ユニット12へ流下させるか、またはパチンコ遊技機1の外部(遊技機島設備内の球回収樋)へ流下させるかを切り換えるための装置である。そして、図2(b)に示すように、流下切換装置54の上部には、球貯留ユニット21に連通する受入流路を球貯留ユニット21側から下り傾斜した姿勢で配置し、該受入流路の傾斜下端を払出路と球抜通路とに分岐している(何れも図示せず)。そして、分岐箇所には切換弁(図示せず)を設け、該切換弁を切り換えて遊技球を払出路へ流下させるか球抜通路へ流下させるかを選択可能としている。また、払出路を蛇行した状態で下方へ延設し、払出路の下端開口に後述する払出装置57の内部を連通可能としている。なお、受入流路の上流端から払出路の中流部までにおいては、遊技球を前後2列に並べて流下させ、払出路の中流部から下流端までにおいては、遊技球を左右2列に並べて流下させるように構成されている。
【0018】
払出収納部56は、図4に示すように、内側に払出装置57が収納される収納空間部62を前方の遊技盤収納枠側へ向けて凹ませて形成し、該収納空間部62の後部(払出装置57を挟んで遊技盤収納枠とは反対側)には矩形状の払出挿脱口63を開設し、当該払出収納部56の下部には払出流下路58の上流端を接続して収納空間部62へ連通し、当該払出収納部56の上部には流下切換装置54の払出路の下流端を接続して収納空間部62へ連通している。そして、払出装置57を払出挿脱口63へ通して収納空間部62へ収納すると、払出装置57の下面に払出流下路58の上流端を臨ませるとともに、払出装置57の上面に払出路の下流端を臨ませるように構成されている。また、払出収納部56のうち払出装置57を挟んで機構盤開口部19とは反対側(図4中、右側)には、払出装置57の側部を露出させる円形状の放熱開口64を開設している。さらに、払出挿脱口63の開口縁には複数の装置ロック部(上部ロック片65、側部ロック片66)を設け、払出収納部56内から払出装置57を離脱することを装置ロック部により規制したり許容したりするように構成されている。
【0019】
具体的に説明すると、払出挿脱口63の上側開口縁には上部ロック片65を左右方向へ回動自在な状態で軸着し、該上部ロック片65の一端を回動軸よりも下方に位置させると、上部ロック片65が収納空間部62内の払出装置57の後部へ係止して払出装置57の払出収納部56からの脱離を規制し、上部ロック片65を回動して払出装置57の後部から外すと、払出装置57の払出収納部56からの脱離を許容するように構成されている。また、払出挿脱口63のうち機構盤開口部19側に位置する開口縁(図4中、左側開口縁)には、可撓性を有する短冊状の側部ロック片66を払出収納部56の後方(ユニットカバー59側)へ向けて延設し、側部ロック片66の後端(ユニットカバー59側に位置する端部)には係止爪66aを設けている。そして、側部ロック片66を撓ませない常態においては、係止爪66aを収納空間部62内の払出装置57の後部へ係止して払出装置57の払出収納部56からの脱離を規制し、側部ロック片66を外方(機構盤開口部19側)へ撓ませると、係止爪66aが払出装置57の後部から側方へ外れて払出装置57の払出収納部56からの脱離を許容する。なお、払出収納部56の下部の構成については、後で詳細に説明する。
【0020】
払出装置57は、流下切換装置54の払出路の下流端と、払出流下路58の上流端とに連通し、遊技球の払出動作を行う装置であり、流下切換装置54の払出路から流下する遊技球(賞球あるいは貸球)を計数しながら払出流下路58へ排出する機能を備えている。具体的には、図5(a)および図6(a)に示すように、当該払出装置57の内部に縦向きの球払出通路72を形成し、該球払出通路72の途中には、左右に並んだ2つのスプロケット73の端部を臨ませ、球払出通路72のうちスプロケット73よりも下方に位置する下流部には、該球払出通路72の下流部を流下する遊技球を非接触で検出して計数可能な電磁誘導式近接センサ(払出球検出センサ)74を設けている。なお、電磁誘導式近接センサ74は、本発明における近接センサに相当する。
【0021】
また、図5(a),(b)および図6(b)に示すように、払出装置57の側部には、払出装置57、詳しくはスプロケット73を回転駆動する払出モータ76を配置し、該払出モータ76の出力軸をスプロケット73の回転軸73aに接続している。そして、スプロケット73の外周部には複数(本実施形態では3つ)の球保持溝73bを形成し、該球保持溝73b内に遊技球が1つずつ嵌合した状態でスプロケット73を回転すると、遊技球がスプロケット73により球払出通路72の下流部へ払い出されて流下し、電磁誘導式近接センサ74が所定数の遊技球が流下したことを検出すると、スプロケット73の回転が停止される。なお、2つのスプロケット73は、互いに球保持溝73bの1個分だけ位相がずれた状態で回転軸73aに固定され、遊技球1個分だけ位相をずらして回転するように構成されている。したがって、2つのスプロケット73は、一体に回転し、交互に遊技球を下方へ排出できるように構成されている。また、払出装置57を払出収納部56内へ収納すると、払出モータ76が放熱開口64から払出収納部56の外方へ露出し、払出モータ76で発生した熱を放熱開口64から球払出ユニット22の外方へ放出可能となる。
【0022】
なお、電磁誘導式近接センサ74は、払出装置57の前後方向(パチンコ遊技機1の前後方向)に延在する厚い板ガム状のセンサであり、当該電磁誘導式近接センサ74の後部寄り(ユニットカバー59側に位置する部分)には、遊技球を検出する検出部74aを設け、該検出部74aには、遊技球が通過可能な円形状のスルーホール74bを上下方向に貫通して球払出通路72の下流部へ連通している。そして、遊技球をスルーホール74bに通過させると(言い換えると、遊技球を検出部74aへ近接させると)、検出部74aに内蔵されたコイル(図示せず)の周辺の磁束を変化させ、この磁束変化に起因する電圧変化に基づいて遊技球を検出できるように構成されている。また、電磁誘導式近接センサ74の前部寄り(遊技盤収納枠側に位置する部分)には回路基板(図示せず)を内蔵し、電磁誘導式近接センサ74の前端(遊技盤収納枠側に位置する前端)には信号配線(図示せず)の一端を接続し、信号配線の他端を払出制御装置25へ接続している。そして、検出部74aが遊技球の通過を検出したことを意味する通過信号と、通過していないことを意味する非通過信号とを回路基板から信号配線を通じて送出可能としている。
【0023】
そして、球払出ユニット22は、払出装置57に関する異常を検出可能な異常検出機構80を備え、電磁誘導式近接センサ74に向けてパチンコ遊技機1の外部から不正に照射される異常な電波(不正電波)や払出装置57の払出収納部56への収納不良を異常検出機構80により検出可能としている。異常検出機構80は、電磁誘導式近接センサ74と同じ構造および性能を有する異常検出用センサ81と、払出収納部56と払出装置57とを係止するための可撓性係止片82とを備えて構成されており、異常検出用センサ81を払出装置57内へ設け、可撓性係止片82を払出収納部56の下部のうち異常検出用センサ81の下方に位置する箇所へ設けている(図4および図5(b)参照)。
【0024】
異常検出用センサ81は、払出装置57の前後方向(パチンコ遊技機1の前後方向)に延在する厚い板ガム状に形成されたセンサであり、図5(b)に示すように、払出装置57の下部のうち電磁誘導式近接センサ74の近傍(詳しくは、電磁誘導式近接センサ74よりも放熱開口64寄りの位置)に電磁誘導式近接センサ74と同じ姿勢で内蔵されている。また、図6(b)に示すように、当該異常検出用センサ81の後部寄り(ユニットカバー59側に位置する部分)には、後述する可撓性係止片82の被検出ダミー体86を検出可能な検出部81aを設け、該検出部81aには円形状のスルーホール81bを被検出ダミー体86が遊嵌可能な程度の開口径で貫通している。さらに、異常検出用センサ81の前部寄り(遊技盤収納枠側に位置する部分)には回路基板(図示せず)を内蔵し、異常検出用センサ81の前端(遊技盤収納枠側に位置する前端)には信号配線(図示せず)の一端を接続し、信号配線の他端を払出制御装置25へ接続している。そして、検出部81aで被検出ダミー体86を検出していることを意味する検出信号と、被検出ダミー体86を検出していないことを意味する非検出信号とを、回路基板から信号配線を通じて払出制御装置25へ送出可能としている。さらに、図5(b)および図6(b)に示すように、払出装置57のうち異常検出用センサ81のスルーホール81bの下方に臨む箇所には、異常検出用センサ81の検出部81aを払出装置57の下方へ露出させる露出開口87を開設し、該露出開口87と異常検出用センサ81のスルーホール81bとを上下に重ねて連通している。
【0025】
可撓性係止片82は、可撓性を有する短冊状の部材であり、図4に示すように、払出挿脱口63の下側開口縁から払出収納部56の後方(ユニットカバー59側)へ向けて延設されている。また、払出流下路58よりも放熱開口64寄り(図4中、右寄り)に位置し、収納空間部62に収納された払出装置57の露出開口87および異常検出用センサ81の検出部81a(スルーホール81b)を下方から被覆できるように構成されている。また、可撓性係止片82の上面(収納空間部62に露出する面)のうち払出装置57の露出開口87および異常検出用センサ81の検出部81aを被覆し得る箇所には、厚肉円筒状の開口進入部(係止突起)89を露出開口87に進入可能、且つ異常検出用センサ81のスルーホール81bに嵌合可能な直径で突設し、該開口進入部89の中央部を、異常検出用センサ81により検出可能な被検出ダミー体86で構成している。詳しくは、円筒状のダミー体ホルダ89aを備え、該ダミー体ホルダ89a内にボタン状の被検出ダミー体86を保持して開口進入部89を構成している。なお、被検出ダミー体86は、異常検出用センサ81の検出部81aに内蔵されたコイル(図示せず)の周辺の磁束を変化させ得る材質(例えば、遊技球と同じ材質である鉄)で形成されている。
【0026】
そして、可撓性係止片82の後端部(ユニットカバー59側の端部)には係止操作部82aを設け、該係止操作部82aを上下方向、言い換えると払出挿脱口63(払出収納部56)から離れようとする下方向へ移動したり、払出挿脱口63(払出収納部56)に近づこうとする上方向へ移動したりして可撓性係止片82を撓ませて操作可能としている。具体的には、係止操作部82aを操作しない常態では、開口進入部89が収納空間部62内へ突出して払出収納部56と払出装置57とを係止する係止状態となる(図7(b)参照)。また、係止操作部82aを下方へ押圧操作(移動)して可撓性係止片82を払出流下路58側へ撓ませると、開口進入部89が収納空間部62から外方へ外れて、払出収納部56と払出装置57との係止状態を解除する係止解除状態へ変換する(図7(a)参照)。
【0027】
さらに、パチンコ遊技機1は、図8に示すように、遊技制御装置49を中心とする制御系統を備え、遊技制御装置49により遊技進行の制御を行うように構成されている。遊技制御装置49は、遊技制御を司るマイクロプロセッサ、遊技制御のためのプログラム等を記憶しているROM、および遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAM、入力インターフェース、出力インターフェース、検査装置接続端子等から構成されている。そして、各種検出装置(特図始動センサ101、普図始動センサ102、カウントセンサ103、入賞口センサ104、オーバーフロースイッチ105、球切れスイッチ106、枠開放スイッチ107)からの信号を受信して、変動表示ゲーム(普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム)の実行、特別遊技状態(大当たり状態)の発生、遊技者に対する報知等、種々の処理を行う。さらに、サブ制御装置となる各種制御装置(表示制御装置47、払出制御装置25)の他、普図表示器110、特図表示器111、始動入賞口40の普通電動役物(開閉部材)40aを開閉するための普電ソレノイド112、大入賞口43を開閉するための大入賞口ソレノイド113、外部情報端子53等に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
【0028】
また、払出制御装置25は、本発明における異常判定手段または払出規制手段として機能する制御装置であり、払出制御を司るマイクロプロセッサ、払出制御のためのプログラム等を記憶しているROM、および払出制御時にワークエリアとして利用されるRAM、入力インターフェース、出力インターフェース、検査装置接続端子等から構成されている。そして、遊技制御装置49には接続されていない各種検出装置(異常検出用センサ81、電磁誘導式近接センサ74、エラー解除スイッチ116、税率設定スイッチ117、貸出料金設定スイッチ118)、および遊技制御装置49にも接続されている検出装置(オーバーフロースイッチ105、球切れスイッチ106)からの信号を受信して、球貸や賞球排出などの遊技球の払出に関する処理を行う。さらに、払出モータ76、発射制御装置26、エラーナンバー表示器119、税率表示器120、貸出料金表示器121に指令信号を送信したり、払出制御に関する処理情報等を遊技制御装置49へ送信したりする。
【0029】
そして、払出制御装置25は、異常検出用センサ81の異常、詳しくは異常検出用センサ81の信号配線が断線または短絡したことを意味する信号を受信できるように構成されている。詳しく説明すると、異常検出用センサ81は、図9(a)および(b)に示すように、検出信号の電圧を非検出信号の電圧よりも高く設定し、さらには異常検出用センサ81を駆動するために印加される電源電圧(作動電圧)よりも低く設定している。具体的には、検出信号の電圧を11.5Vとし、非検出信号の電圧を6Vとし、電源電圧を12Vとしている。
【0030】
また、図10に示すように、払出制御装置25と異常検出用センサ81(詳しくは異常検出用センサ81の信号配線)との間には出力状態判定回路125(本発明における配線異常検出手段に相当)を介在させ、該出力状態判定回路125が異常検出用センサ81側から受信(入力)する信号の電圧に基づいて異常検出用センサ81の状態を判定するように構成されている。具体的には、出力状態判定回路125は、異常検出用センサ81側から11.5Vの信号を受信した場合には、この信号を検出信号と判定し、異常検出用センサ81から検出信号が送出されている旨を払出制御装置25へ送信する。また、異常検出用センサ81側から6Vの信号を受信した場合には、この信号を非検出信号と判定し、異常検出用センサ81から非検出信号が送出されている旨を払出制御装置25へ送信する。さらに、異常検出用センサ81側から12V、言い換えると異常検出用センサ81の電源電圧と同じ電圧の信号を受信した場合には、信号配線または異常検出用センサ81の回路基板が断線しているものと判定し(図9(a)参照)、断線が発生した旨を払出制御装置25へ送信する。そして、異常検出用センサ81側から0Vの信号を受信、言い換えるといずれの信号も受信していない場合には、信号配線または異常検出用センサ81の回路基板が短絡しているものと判定し(図9(b)参照)、短絡が発生した旨を払出制御装置25へ送信する。なお、出力状態判定回路125は、払出制御装置25と異常検出用センサ81とを中継する中継基板に実装されることが望ましいが、払出制御装置25を構成する払出制御基板に実装してもよい(いずれも図示せず)。
【0031】
さらに、図10に示すように、出力状態判定回路125の入力側には、異常検出用センサ81と同じ構造および性能を備えた電磁誘導式近接センサ74をも接続し、出力状態判定回路125が電磁誘導式近接センサ74側から受信(入力)する信号の電圧に基づいて電磁誘導式近接センサ74の状態を判定するように構成されている。具体的には、電磁誘導式近接センサ74は、遊技球が通過したことを意味する通過信号の電圧を、遊技球が通過してないことを意味する非通過信号の電圧よりも高く設定し、さらには電磁誘導式近接センサ74を駆動するために印加される電源電圧(作動電圧)よりも低く設定している。具体的には、通過信号の電圧を11.5Vとし、非通過信号の電圧を6Vとし、電源電圧を12Vとしている。また、出力状態判定回路125は、電磁誘導式近接センサ74側から11.5Vの信号を受信した場合には、この信号を通過信号と判定し、電磁誘導式近接センサ74がスプロケット73から払い出された遊技球の通過を検出した旨を払出制御装置25へ送信する。また、電磁誘導式近接センサ74側から6Vの信号を受信した場合には、この信号を非通過信号と判定し、電磁誘導式近接センサ74が遊技球の通過を検出していない旨を払出制御装置25へ送信する。さらに、電磁誘導式近接センサ74側から12V、言い換えると電磁誘導式近接センサ74の電源電圧と同じ電圧の信号を受信した場合には、電磁誘導式近接センサ74の信号配線または電磁誘導式近接センサ74の回路基板が断線しているものと判定し、断線が発生した旨を払出制御装置25へ送信する。そして、電磁誘導式近接センサ74側から0Vの信号を受信、言い換えるといずれの信号も受信していない場合には、電磁誘導式近接センサ74の信号配線または電磁誘導式近接センサ74の回路基板が短絡しているものと判定し、短絡が発生した旨を払出制御装置25へ送信する。
【0032】
次に、異常検出機構80や払出制御装置25の作用について説明する。
まず、組立作業やメンテナンス作業で行われる払出装置57の収納(装着)手順について説明すると、払出装置57の収納準備として、払出収納部56の上部ロック片65を回動して収納空間部62の後方から外し、側部ロック片66を側方へ撓ませ、さらには係止操作部82aを下方へ押圧して可撓性係止片82を撓ませて係止解除状態へ変換する。また、払出装置57を電磁誘導式近接センサ74および異常検出用センサ81が下側に位置し、且つ電磁誘導式近接センサ74が異常検出用センサ81よりも機構盤開口部19側に位置する姿勢に設定し、この姿勢で払出装置57を払出挿脱口63へ通して収納空間部62に後方から挿入する。
【0033】
そして、払出装置57を前方の遊技盤収納枠側へ押し込み、予め定められた正常収納状態、具体的には払出装置57の前面(遊技盤収納枠側に位置する面)が収納空間部62の前側区画壁(遊技盤収納枠側を仕切る区画壁)62aへ十分に当接した状態で収納空間部62に収納する(図7(b)参照)。すると、払出装置57の後部のうち上部ロック片65を係止可能な箇所が上部ロック片65よりも前方の収納空間部62寄りに位置するとともに、側部ロック片66の係止爪66aを係止可能な箇所が係止爪66aよりも前方の収納空間部62寄りに位置し、さらには露出開口87および異常検出用センサ81のスルーホール81bが開口進入部89の直下に位置する。払出収納部56の収納空間部62に払出装置57を正常収納状態で収納したならば、上部ロック片65を回動したり、側部ロック片66を当該側部ロック片66の復元力により撓み状態から解除したりして、上部ロック片65および側部ロック片66を払出装置57へ係止する。また、係止操作部82aの押圧操作を解除し、可撓性係止片82を当該可撓性係止片82の復元力により係止解除状態から係止状態へ変換する。この結果、払出装置57は、正常収納状態で払出収納部56に係止されて、払出収納部56からの脱離(取り外し)を規制される。また、球払出通路72の上端を流下切換装置54の払出路の下端へ連通するとともに、球払出通路72の下端および電磁誘導式近接センサ74のスルーホール74bを払出流下路58の上端へ連通して、遊技球を流下切換装置54の払出路から球払出通路72へ通して払出流下路58へ流下可能になる。さらに、露出開口87および異常検出用センサ81のスルーホール81bに開口進入部89を進入させ、被検出ダミー体86を検出部81a(スルーホール81b)へ臨ませる。そして、電磁誘導式近接センサ74の信号配線、異常検出用センサ81の信号配線、払出モータ76の制御配線等を払出制御装置25へ接続し、パチンコ遊技機1の電源を投入すると、常態においては、異常検出用センサ81が検出部81aで被検出ダミー体86を検出し、被検出ダミー体86を検出していることを意味する検出信号を送出し、この検出信号を払出制御装置25で受信する。さらに、払出制御装置25は、パチンコ遊技機1の電源投入時に検出信号を受信したことに基づいて、払出装置57が正常収納状態で収納されていると判定し、払出装置57における遊技球の払出動作を許可する。
【0034】
一方、収納空間部62に払出装置57を正常収納状態とは異なる異常収納状態、例えば、電磁誘導式近接センサ74および異常検出用センサ81が払出装置57の上側に位置していたり、電磁誘導式近接センサ74のスルーホール74bおよび異常検出用センサ81のスルーホール81bが遊技盤収納枠寄り(払出装置57の前寄り)に位置していたり、あるいは、図7(a)に示すように、払出装置57の前面(遊技盤収納枠側に位置する面)が収納空間部62の前側区画壁62aへ当接していなかったりする状態で収納すると、開口進入部89が露出開口87へ進入できずに払出装置57の下面に引っ掛かり、可撓性係止片82が係止解除状態から係止状態への変換を規制される。この状態で、電磁誘導式近接センサ74の信号配線、異常検出用センサ81の信号配線、払出モータ76の制御配線等を払出制御装置25へ接続し、パチンコ遊技機1の電源を投入すると、異常検出用センサ81が検出部81aで被検出ダミー体86を検出せず、被検出ダミー体86を検出していないことを意味する非検出信号を送出し、この非検出信号を払出制御装置25で受信する。そして、払出制御装置25は、パチンコ遊技機1の電源投入時に非検出信号を受信したことに基づいて、払出装置57が異常収納状態で収納されている(すなわち異常が発生している)と判定し、払出装置57における遊技球の払出動作を規制(禁止)する。さらに、電源投入時および電源投入後において、電磁誘導式近接センサ74側または異常検出用センサ81側から断線または短絡が発生した旨を意味する信号を受信した場合には、払出装置57の収納状態に拘らず、払出装置57における遊技球の払出動作を規制(禁止)する。
【0035】
そして、払出収納部56内に払出装置57を正常収納状態で収納した場合において、遊技を実行しているとき、あるいは球貸操作を行うときに、不正行為者が払出装置57における遊技球の計数をごまかそうとして、球払出ユニット22の電磁誘導式近接センサ74へ或る特定の周波数で異常な電波(不正電波)をパチンコ遊技機1の外方から不正に照射すると、遊技球が電磁誘導式近接センサ74のスルーホール74bを通過したとしても、検出部74aの磁束変化に起因する電圧変化が抑制されてしまい、遊技球の計数が阻止されることになる。仮にこの状態で払出処理を続行すると、払出制御装置25は、規定された払出数の遊技球が計数されるまで払出装置57を駆動させてしまい、不正行為者が規定数よりも多い遊技球を不正に得ることになってしまう。
【0036】
しかしながら、払出装置57は、異常検出機構80の異常検出用センサ81を電磁誘導式近接センサ74の近傍であって、且つ電磁誘導式近接センサ74と同じ姿勢で配設しているので、不正電波が異常検出用センサ81の検出部81aにも照射される。言い換えると、電磁誘導式近接センサ74と異常検出用センサ81とが同じ条件で不正電波を受けることができる。すると、異常検出用センサ81のスルーホール81b内に被検出ダミー体86を配置されているにも拘らず、検出部81aの磁束変化に起因する電圧変化が抑制され、これにより検出信号の送出を停止して非検出信号(被検出ダミー体86を検出していないことを意味する非検出信号)を払出制御装置25へ送出する。そして、払出制御装置25は、非検出信号を受信したことに基づいて、不正電波が電磁誘導式近接センサ74および異常検出用センサ81へ照射された(すなわち異常が発生した)と判定し、払出装置57における遊技球の払出動作を停止する等の処理を行う。したがって、不正電波が電磁誘導式近接センサ74に照射されるという不正行為を、大掛かりな構造を必要とせずに検出することができ、さらに、払出制御装置25で行う監視により確実に発見することができる。また、不正電波の照射を検出可能な構造で払出装置57の払出収納部56への収納不良をも検出することができ、複数の異常を検出可能なパチンコ遊技機1の構造を簡略にすることができる。
【0037】
また、払出制御装置25は、非検出信号を受信したことに基づいて、異常な電波の照射または払出装置57における異常収納状態の発生を判定可能であるので、異常な電波の照射または払出装置57の取付不良を簡単な構成で把握することができる。そして、異常検出機構80は、払出装置57の露出開口87に可撓性係止片82の開口進入部89を進入させると、被検出ダミー体86を異常検出用センサ81の検出部81aに臨ませるので、払出装置57の払出収納部56からの取り外し規制と、異常検出用センサ81における異常な電波(不正電波)の検出準備とを同時に行うことができ、パチンコ遊技機1の稼動準備操作を効率よく行うことができる。
【0038】
次に、上記の異常検出動作を実現するための制御を、図11〜図14のフローチャートに基づいて具体的に説明する。まず、図11,12のフローチャートに基づき、パチンコ遊技機1に電源が投入された場合、または停電から復旧した場合に払出制御装置25が実行を開始するメイン処理について説明する。メイン処理においては、まず、所定時間周期(例えば、1ミリ秒周期)で行われるタイマ割込みの禁止の設定(S1)、各割込みモードの設定(S2)、払出制御装置25のRAMへのアクセス許可(S3)、払出制御装置25のCPU周辺デバイスの初期設定(S4)、スタックポインタの設定(S5)を行う。
【0039】
さらに、電源装置27に設けられたRAMクリアスイッチ127(図8参照)がONになって払出制御装置25のRAMを初期化する操作が行われたか否かを判定し(S6)、RAMクリアスイッチ127がONでないと判定された場合には、停電からの復旧であることを示す停電復旧情報がRAMに設定されているか否かを判定することによって、停電復旧時の電源投入であるか否かを判定する(S7)。また、停電復旧時の電源投入であると判定された場合には、RAMに記憶されているデータが壊れている否かを判定するために、チェックサムが正常であるか否か調べる(S8,S9)。具体的には、停電があった際にRAMに記憶されていたデータのチェックサムと、RAMに現在記憶されているデータのチェックサムとが一致するか否かを判定する。そして、チェックサムが正常であると判定された場合、すなわちRAMに記憶されているデータが正常であると判定された場合には、停電復旧処理を実行してRAMに停電復旧時の初期値を設定する(S10)。
【0040】
一方、ステップS6にてRAMクリアスイッチ127がONであると判定された場合、またはステップS7にて停電復旧時の電源投入でないと判定された場合、またはステップS9にてチェックサムが異常であると判断された場合には、使用する全てのRAMに記憶されているデータをクリアした後に、RAMへ電源投入時の初期値を設定して、払出制御装置25のRAMの初期化を実行する(S11,S12)。
【0041】
RAMの初期化、またはRAMに停電復旧時の初期値を設定したならば、電源投入直後であることを示す電源投入フラグをセットし(S13)、PRDY信号をカードユニット17に出力して、遊技球の貸し出しを行うことができる状態になったことを報知し(S14)、時間を計測するためのタイマであるCTC(Counter Timer Circuit)を設定し(S15)、ステップS1で禁止されたタイマ割込みを許可する(S16)。
【0042】
タイマ割込み許可を設定したならば、カードユニット17が払出制御装置25に接続されているか否かを判定し(S17)、接続されていると判定した場合には、発射制御装置26を遊技球の発射を許可する状態(発射許可状態)に設定し(S18)、接続されていないと判定した場合には、発射制御装置26を遊技球の発射を許可しない状態(発射不許可状態)に設定する(S19)。発射制御装置26を発射許可状態または発射不許可状態のいずれかに設定したならば、払出制御モードを取得し(S20)、取得された払出制御モード(モード0,モード1,モード2)によって処理を分岐させる(S21)。モード0の場合には、遊技球が過剰に払い出されていないか否かを監視する払出過剰エラー監視処理を実行し(S22)、実際に遊技球を払い出させる処理を開始させるために、払出装置57制御開始判定処理を実行する(S23)。モード1の場合には、賞球として払い出す遊技球の数を設定する賞球制御処理を実行し(S24)、払出モータ76を制御する払出制御処理を実行して、遊技球を賞球として払い出す(S25)。モード2の場合には、貸球として払い出す遊技球の数を設定する球貸し制御処理を実行し(S26)、払出モータ76を制御する払出制御処理を実行して、遊技球を貸球として払い出す(S25)。
【0043】
各モードに対応する処理を実行したならば、電源投入時において払出装置57が正常収納状態であるか否か、遊技球の払出動作時において不正電波が電磁誘導式近接センサ74および異常検出用センサ81に照射されたか否か、電磁誘導式近接センサ74側または異常検出用センサ81側で断線または短絡が発生しているか否かを監視するエラー監視処理(S27)、遊技球の払出動作時に発生したエラーの報知の編集を行うエラー報知編集処理(S28)を実行する。なお、エラー監視処理については、後で詳細に説明する。さらに、払出制御装置25のRAMの停電検査領域の内容を取得し(S29)、この内容に基づいて停電が発生しているか否かを判定する(S30)。そして、停電が発生していないと判定された場合には、ステップS17の処理に戻り、停電が発生していると判定された場合には、停電時処理(割り込み禁止の設定(S31)、全出力ポートのOFF(S32)、停電復旧情報のRAMへの保存(S33)、RAMへの電源供給遮断前におけるRAM内データのチェックサム算出および保存(S34)、RAMへのアクセスを禁止(S35))を実行し、パチンコ遊技機1の電源が切れるまで待機する。
【0044】
また、払出制御装置25は、メイン処理においてタイマ割込みを許可している場合には、所定時間周期毎にタイマ割込処理を実行する。タイマ割込み処理について、図13に示すフローチャートを用いて説明すると、まず、払出制御装置25のCPUのAFレジスタを退避させ(S41)、停電が発生した際に出力される強制割込信号である外部割込みのみを許可し(S42)、タイマ割込処理の終了を宣言した後、割込みを許可する(S43,S44)。
【0045】
そして、払出制御装置25のCPUのBCレジスタ、DEレジスタ及びHLレジスタを退避させ(S45)、出力処理を実行する(S46)。なお、出力処理においては、払出モータ76、発射制御装置26、エラーナンバー表示器119等に駆動信号を出力する。出力処理を実行したならば、入力処理を実行する(S47)。入力処理においては、電磁誘導式近接センサ74、異常検出用センサ81、球切れスイッチ106、オーバーフロースイッチ105から入力される信号や、カードユニット17から入力される信号等にチャタリング除去等の処理をし、入力情報を確定する。
【0046】
入力処理を実行した後には、タイマ更新処理(S48)、要求監視処理(S49)、入力監視処理(S50)、払出ユニット出力編集処理(S51)、外部情報出力編集処理(S52)を実行する。タイマ更新処理においては各種タイマを更新し、要求監視処理においては、払出制御装置25が受信した各種コマンドや信号を解析し、カードユニット17からBRDY信号が出力されているか否かを監視する。また、入力監視処理においては、カードユニット17からの信号に基づいて、カードユニット17と払出制御装置25とが接続されているか否かを監視し、電磁誘導式近接センサ74から入力される信号に基づいて、払い出されるべき数分の遊技球が払い出されているか否かを監視する。さらに、払出ユニット出力編集処理においては、払出モータ76を制御するために出力情報を編集し、外部情報出力編集処理においては、パチンコ遊技機1に関する情報を情報収集端末及び遊技場内部管理装置等(いずれも図示せず)へ出力する。そして、外部情報出力編集処理まで実行したならば、BCレジスタ、DEレジスタ及びHLレジスタを復帰させ(S53)、外部割込み及びタイマ割込みを有効化し(S54)、AFレジスタを復帰させ(S55)、タイマ割込処理を終了してメイン処理に戻る。
【0047】
次に、エラー監視処理について、図14に示すフローチャートに基づき説明する。
エラー監視処理では、まず、電源投入フラグの有無により電源投入直後の状態であるか否かを判定し(S61)、電源投入直後であれば、異常検出用センサ81が被検出ダミー体86を検出しているか否かを判定する(S62)。そして、被検出ダミー体86を検出していない(言い換えると、異常検出用センサ81が非検出信号を送出している)場合には、払出装置57が異常収納状態で払出収納部56へ収納されている(取り付けられている)として取付エラーフラグをセットする(S63)。また、異常検出用センサ81が被検出ダミー体86を検出している(言い換えると、異常検出用センサ81が検出信号を送出している)場合には、払出装置57が正常収納状態で払出収納部56へ収納されている(取り付けられている)として取付エラーフラグをリセットし、電源投入直後における払出装置57の取付状態チェックが完了したとして電源投入フラグをリセットする(S64)。
【0048】
ステップS61において電源投入直後ではない場合、またはステップS64において電源投入フラグおよび取付エラーフラグをリセットした場合には、払出装置57が払出モータ76を駆動して遊技球を払い出す動作を行っているか否かを判定し(S65)、払出動作中であれば、異常検出用センサ81が被検出ダミー体86を検出しているか否かを判定する(S66)。そして、被検出ダミー体86を検出していない(言い換えると、異常検出用センサ81が非検出信号を送出している)場合には、不正用カウンタに1を加算し(S67)、加算後の不正用カウンタが予め設定された不正判定値(例えば、「5」)以上になっているか否かを判定する(S68)。そして、不正判定値以上であれば(言い換えると、非検出信号を不正用カウンタが不正判定値となる時間(非検出期間)以上継続して受信したならば)、異常検出用センサ81および電磁誘導式近接センサ74に不正電波が照射されていると判定して不正フラグをセットする(S69)。
【0049】
また、ステップS65において払出動作中ではない場合、またはステップS66において異常検出用センサ81が被検出ダミー体86を検出している(言い換えると、異常検出用センサ81が検出信号を送出している)場合には、不正用カウンタをクリアして0に設定するとともに(S70)、不正フラグをリセットする(S71)。
【0050】
そして、ステップS63において取付エラーフラグのセット、または、ステップS69において不正フラグのセット、または、ステップS71において不正フラグのリセットが実行されたならば、払出装置57が出力状態判定回路125から異常検出用センサ81に関する断線または短絡が発生した旨を受信しているか否かを判定し(S72)、断線または短絡が発生している場合には断線/短絡フラグをセットして(S73)、エラー監視処理を終了する。断線または短絡が発生していない場合には断線/短絡フラグをリセットして(S74)、エラー監視処理を終了する。
【0051】
このようにしてエラー監視処理においては、パチンコ遊技機1の電源投入直後において異常検出用センサ81から非検出信号を受信した場合には、払出装置57の異常収納状態が発生したと判定する一方、払出装置57による遊技球の払出動作の実行中において異常検出用センサ81から非検出信号を受信した場合には、異常な電波(不正電波)が電磁誘導式近接センサ74に照射されたと判定するので、非検出信号を異ならせずに、異常な電波が電磁誘導式近接センサ74に照射されているのか、あるいは払出装置57の取付不良が発生しているのかを判定することができ、異常検出用センサ81の出力仕様が複雑になることを避けることができる。
【0052】
エラー監視処理の終了後にメイン処理の実行に戻ると、メイン処理内で行われる払出装置制御開始判定処理(S23)において取付エラーフラグおよび断線/短絡フラグをチェックし、払出制御処理(S25)において断線/短絡フラグおよび不正フラグをチェックする。そして、取付エラーフラグがセットされていれば、払出装置57が異常収納状態であることを意味するので、報知制御を行うなどして、払出装置57を異常収納状態から正常収納状態にすることを促す。さらに、不正フラグがセットされていれば、異常検出用センサ81および電磁誘導式近接センサ74に不正電波が照射されていることを意味し、断線/短絡フラグがセットされていれば、不正電波の検出を実行できないことを意味するので、不正フラグまたは断線/短絡フラグの少なくともいずれかがセットされていれば、払出動作を停止する制御を実行する。これにより、不正行為によって規定数以上の遊技球が払い出されることを阻止することができる。なお、払出動作においては、予め定められた単位払出数が払い出される払出単位動作を設定しておき、この払出単位動作を複数回実行することで多数の遊技球を払い出すように構成されている。そして、払出動作を停止する制御が実行された場合には、この停止制御が実行された後に行われる予定であった払出単位動作を取り止め、停止制御が実行された時点で実行中の払出単位動作については、途中で停止せずに単位払出数を全て払い出す。
【0053】
さらに、エラー監視処理においては、非検出信号を予め設定された非検出期間以上継続して受信したことに基づいて、不正電波が電磁誘導式近接センサ74および異常検出用センサ81へ照射されたことを判定するので、払い出された遊技球などによって発生する内的ノイズやパチンコ遊技機1の外部からの外的ノイズに基づいて、異常判定手段である払出制御装置25が非検出信号と同じ信号を受信したとしても、不正電波が照射されたと誤判定してしまうことを防止することができる。
【0054】
なお、エラー監視処理における払出装置57の異常収納状態の検出、すなわちステップS63における取付エラーフラグのセットにおいても、非検出信号の検出が予め設定された非検出期間以上継続して受信した場合に行うようにしてもよい。例えば、ステップS62において被検出ダミー体86を検出していない(言い換えると、異常検出用センサ81が非検出信号を送出している)場合には、取付エラーカウンタに1を加算する。そして、加算後の取付エラーカウンタが予め設定された取付エラー判定値(例えば、「5」)以上になっているか否かを判定し、取付エラー判定値以上であれば(言い換えると、非検出信号を取付エラーカウンタが取付エラー判定値となる時間(非検出期間)以上継続して受信したならば)、払出装置57において異常収納状態が発生していると判定して、取付エラーフラグをセットする。このような処理を払出制御装置25で実行し、非検出信号を予め設定された非検出期間以上継続して受信したことに基づいて、異常収納状態の発生を判定可能とすれば、パチンコ遊技機1内から発生する内的ノイズやパチンコ遊技機1の外部からの外的ノイズに基づいて、払出制御装置25が非検出信号と同じ信号を受信したとしても、払出装置57の取付不良が発生していると誤判定してしまうことを防止することができる。
【0055】
ところで、上記実施形態では、払出収納部56に可撓性係止片82を設け、払出装置57に異常検出用センサ81を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図15に示す第2実施形態においては、払出収納部56に異常検出用センサ81を設け、払出装置57に可撓性係止片82を設けている。具体的に説明すると、第2実施形態における払出収納部56は、図15(a)に示すように、払出挿脱口63の下側開口縁のうち払出流下路58よりも放熱開口64寄り(図15(a)中、右寄り)の位置に矩形状の露出開口130を切り欠いて開設している。そして、該露出開口130内に異常検出用センサ81を電磁誘導式近接センサ74と同じ姿勢、具体的にはパチンコ遊技機1の前後方向に沿って延在し、且つ当該異常検出用センサ81の後部寄り(ユニットカバー59側に位置する部分)にスルーホール81bを上下方向に貫通した姿勢で嵌合して、異常検出用センサ81の検出部81a(スルーホール81b)が露出開口130を介して収納空間部62へ露出するように構成されている。
【0056】
また、第2実施形態における払出装置57は、当該払出装置57の下部のうち電磁誘導式近接センサ74の近傍(詳しくは、電磁誘導式近接センサ74よりも放熱開口64寄りの位置)に、可撓性を有する短冊状の可撓性係止片82を当該払出装置57の前側(遊技盤収納枠側)から後方(ユニットカバー59側)へ向けて延設している。そして、当該払出装置57を収納空間部62へ収納すると、可撓性係止片82が払出収納部56の露出開口130および異常検出用センサ81の検出部81a(スルーホール81b)を上方から被覆できるように構成されている。さらに、可撓性係止片82の上面(収納空間部62に露出する面)のうち異常検出用センサ81の検出部81aを被覆し得る箇所には、厚肉円筒状の開口進入部(係止突起)89を露出開口130に進入可能、且つ異常検出用センサ81のスルーホール81bに嵌合可能な直径で突設し、該開口進入部89の中央部を、異常検出用センサ81により検出可能な被検出ダミー体86で構成している。
【0057】
また、可撓性係止片82の後端部には係止操作部82aを設け、該係止操作部82aを上下方向、言い換えると払出装置57に近づこうとする上方向へ移動したり、払出装置57から離れようとする下方向へ移動したりして可撓性係止片82を撓ませて操作可能としている。具体的には、係止操作部82aを操作しない常態では、開口進入部89が露出開口130内(詳しくはスルーホール81b内)に進入して払出収納部56と払出装置57とを係止する係止状態となる。また、係止操作部82aを上方へ押圧操作(移動)して可撓性係止片82を払出装置57側へ撓ませると、開口進入部89が露出開口130(詳しくはスルーホール81b)から外れて、払出収納部56と払出装置57との係止状態を解除する係止解除状態へ変換するように構成されている。
【0058】
このような構成で異常検出機構80(異常検出用センサ81および可撓性係止片82)を設けたパチンコ遊技機1においても、払出収納部56に払出装置57を正常収納状態で収納すれば、露出開口130および異常検出用センサ81のスルーホール81bに開口進入部89を進入させて払出装置57と払出収納部56とを係止し、被検出ダミー体86を検出部81a(スルーホール81b)へ臨ませて検出可能となる。また、収納空間部62に払出装置57を異常収納状態で収納すれば、開口進入部89が露出開口130へ進入することを阻止されて払出装置57と払出収納部56とを係止できず、被検出ダミー体86を検出部81a(スルーホール81b)から外して検出不能となる。したがって、異常な電波の照射を検出可能な構造で払出装置57の払出収納部56への収納不良をも検出することができ、複数の異常を検出可能なパチンコ遊技機1の構造を簡略にすることができる。さらに、払出装置57の払出収納部56からの取り外し規制と、異常検出用センサ81における異常な電波の検出準備とを同時に行うことができ、パチンコ遊技機1の稼動準備操作を効率よく行うことができる。
【0059】
ところで、上記実施形態のエラー監視処理では、パチンコ遊技機1の電源投入直後のみにおいて払出装置57が異常収納状態であるか否かを判定し、払出装置57による遊技球の払出動作の実行中のみにおいて異常な電波が電磁誘導式近接センサ74に照射されたか否かを判定したが、本発明はこれに限定されない。要は、少なくともパチンコ遊技機1の電源投入直後において異常検出用センサ81から非検出信号を受信した場合には、異常収納状態が発生したと判定する一方、少なくとも払出装置57による遊技球の払出動作の実行中において異常検出用センサ81から非検出信号を受信した場合には、異常な電波が電磁誘導式近接センサ74に照射されたと判定できれば、どのような処理を行ってもよい。例えば、遊技球の払出動作が実行中であるか否かに拘らず、異常検出用センサ81から非検出信号を受信しているか否かを判定して、不正電波が照射されているか否かを常時判定する処理を行ってもよい。あるいは、パチンコ遊技機1の電源投入直後から予め定められた所定期間に亘って非検出信号の受信の有無を判定して、払出装置57が異常収納状態であるか否かを判定する処理を行ってもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、払出制御装置25を本発明における異常判定手段とし、払出制御装置25が異常検出用センサ81からの信号を受信して不正電波が照射されたか否かを監視しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、異常判定手段として遊技制御装置49を採用して異常検出用センサ81を接続し、遊技制御装置49が異常検出用センサ81からの信号を受信して不正電波が照射されたか否かを監視するように構成してもよい。そして、上記実施形態では、電磁誘導式近接センサ74および異常検出用センサ81に遊技球が通過可能なスルーホールを開設したが、本発明はこれに限定されない。要は、検出部により非接触で遊技球または被検出ダミー体86を検出可能な電磁誘導式のセンサであればよく、例えば、スルーホールを開設していない所謂フラットタイプの近接センサを用いてもよい。さらに、電磁誘導式近接センサ74および異常検出用センサ81の断線および短絡を検出可能としたが、本発明はこれに限定されない。要は、電磁誘導式近接センサ74および異常検出用センサ81から検出信号および非検出信号を送出できれば、断線および短絡の検出機能の有無は問わない。
【0061】
また、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、遊技球を払い出す払出動作を行うことが可能な払出機構部と、該払出機構部により払い出される遊技球を検出することが可能な近接センサと、を備え、払出条件の成立に基づき前記払出機構部に払出動作を行わせるとともに、前記近接センサから入力される信号に基づき払出動作を停止させることが可能な遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
【0062】
ところで、払出装置の電磁誘導式近接センサに対する不正を防止したい場合には、払出装置の全周をシールドで覆う必要があり、防止構造が大掛かりになってしまう。また、シールドに少しの隙間があるとそこを狙って電波を照射される可能性もあるし、可動部が多くあるパチンコ遊技機において、払出装置の周囲を隙間なくシールドすることは極めて困難である。さらに、パチンコ遊技機全体をシールドしても、シールドが外部から破壊される可能性もあり、完全に不正行為を防止することは困難である。
【0063】
また、払出装置を着脱可能とした場合には、パチンコ遊技機のメンテナンス作業を行い易くなって好適であるが、払出装置が適切に取り付けられていないと、電磁誘導式近接センサに対する不正を防止可能な構成であったとしても、遊技球の払出動作を円滑に行うことができない。
【0064】
そこで、上記の事情に鑑みて、大掛かりな構造を設けずに、遊技球計数用の電磁誘導式近接センサに関する異常や、払出装置の取付状態に関する異常を検知することができる遊技機を提供するべく、上記の実施形態から次の発明群が挙げられる。
【0065】
すなわち、第1発明は、遊技球を払い出し可能な払出機構部と、該払出機構部から払い出された遊技球を検出部へ近接させて検出可能な電磁誘導式近接センサと、を備えて払出装置を構成し、該払出装置を払出収納部へ着脱可能とした遊技機において、
前記電磁誘導式近接センサと同じ構造および性能を有する異常検出用センサと、
該異常検出用センサの検出部により検出可能な被検出ダミー体と、
前記異常検出用センサから送出された信号を受信して、異常が発生したか否かを判定可能な異常判定手段と、
を備え、
前記異常検出用センサは、被検出ダミー体を検出していることを意味する検出信号と、被検出ダミー体を検出していないことを意味する非検出信号と、を送出可能とし、当該異常検出用センサの検出部に異常な電波を外方から照射されて受けると非検出信号を送出し、
前記払出装置または払出収納部の一方には、前記異常検出用センサを当該異常検出用センサの検出部が露出する状態で設け、他方には、払出収納部と払出装置とを係止するための可撓性係止片を異常検出用センサの検出部へ被覆可能な状態で設け、可撓性係止片を撓ませて、払出収納部と払出装置とを係止する係止状態と、該係止状態を解除する係止解除状態とに変換可能とし、
前記可撓性係止片のうち異常検出用センサの検出部を被覆可能な箇所には前記被検出ダミー体を設け、
前記払出収納部内に払出装置を予め定められた正常収納状態で収納するとともに前記可撓性係止片を前記係止状態へ変換すると、異常検出用センサが検出部により被検出ダミー体を検出して検出信号を送出し、
前記払出収納部内に払出装置を正常収納状態とは異なる異常収納状態で収納すると、可撓性係止片が前記係止解除状態から前記係止状態への変換を規制され、異常検出用センサが検出部により被検出ダミー体を検出せず非検出信号を送出するように構成されたことを特徴とする遊技機である。
【0066】
第2発明は、前記異常検出用センサを前記電磁誘導式近接センサの近傍であって、且つ電磁誘導式近接センサと同じ姿勢で備えたことを特徴とする第1発明に記載の遊技機である。
【0067】
第3発明に記載のものは、前記払出収納部または前記払出装置には、前記異常検出用センサの検出部を露出させる露出開口を設け、
前記可撓性係止片には、露出開口に進入可能な開口進入部を突設し、該開口進入部の少なくとも一部を前記被検出ダミー体で構成し、
前記露出開口に開口進入部を進入させると、被検出ダミー体が異常検出用センサの検出部に臨むように構成されたことを特徴とする第2発明に記載の遊技機である。
【0068】
第4発明に記載のものは、前記異常判定手段は、非検出信号を受信したことに基づいて、異常な電波の照射または異常収納状態の発生を判定可能であることを特徴とする第3発明に記載の遊技機である。
【0069】
第5発明に記載のものは、前記異常判定手段は、非検出信号を予め設定された非検出期間以上継続して受信したことに基づいて、異常な電波の照射または異常収納状態の発生を判定可能であることを特徴とする第4発明に記載の遊技機である。
【0070】
第6発明に記載のものは、前記異常判定手段は、
少なくとも遊技機の電源投入直後において前記異常検出用センサから非検出信号を受信した場合には、前記異常収納状態が発生したと判定する一方、
少なくとも前記払出装置による遊技球の払出動作の実行中において前記異常検出用センサから非検出信号を受信した場合には、異常な電波が電磁誘導式近接センサに照射されたと判定することを特徴とする第1発明から第5発明のいずれかに記載の遊技機である。
【0071】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
第1発明によれば、電磁誘導式近接センサと同じ構造および性能を有する異常検出用センサと、該異常検出用センサの検出部により検出可能な被検出ダミー体と、異常検出用センサから送出された信号を受信して、異常が発生したか否かを判定可能な異常判定手段と、を備え、異常検出用センサは、被検出ダミー体を検出していることを意味する検出信号と、被検出ダミー体を検出していないことを意味する非検出信号と、を送出可能とし、当該異常検出用センサの検出部に異常な電波を外方から照射されて受けると非検出信号を送出し、払出装置または払出収納部の一方には、前記異常検出用センサを当該異常検出用センサの検出部が露出する状態で設け、他方には、払出収納部と払出装置とを係止するための可撓性係止片を異常検出用センサの検出部へ被覆可能な状態で設け、可撓性係止片を撓ませて、払出収納部と払出装置とを係止する係止状態と、該係止状態を解除する係止解除状態とに変換可能とし、可撓性係止片のうち異常検出用センサの検出部を被覆可能な箇所には前記被検出ダミー体を設け、払出収納部内に払出装置を予め定められた正常収納状態で収納するとともに前記可撓性係止片を前記係止状態へ変換すると、異常検出用センサが検出部により被検出ダミー体を検出して検出信号を送出し、払出収納部内に払出装置を正常収納状態とは異なる異常収納状態で収納すると、可撓性係止片が前記係止解除状態から前記係止状態への変換を規制され、異常検出用センサが検出部により被検出ダミー体を検出せず非検出信号を送出するように構成されたので、異常な電波が不正目的で電磁誘導式近接センサに照射されるという不正行為を、大掛かりな構造を必要とせずに検出することができる。また、異常な電波の照射を検出可能な構造で払出装置の払出収納部への収納不良をも検出することができ、複数の異常を検出可能な遊技機の構造を簡略にすることができる。
【0072】
第2発明によれば、異常検出用センサを電磁誘導式近接センサの近傍であって、且つ電磁誘導式近接センサと同じ姿勢で備えたので、電磁誘導式近接センサと異常検出用センサとが同じ条件で異常な電波を受けることができ、異常な電波が不正目的で電磁誘導式近接センサに照射されるという不正行為を確実に発見することができる。
【0073】
第3発明によれば、払出収納部または前記払出装置には、前記異常検出用センサの検出部を露出させる露出開口を設け、可撓性係止片には、露出開口に進入可能な開口進入部を突設し、該開口進入部の少なくとも一部を前記被検出ダミー体で構成し、露出開口に開口進入部を進入させると、被検出ダミー体が異常検出用センサの検出部に臨むように構成したので、払出装置の払出収納部からの取り外し規制と、異常検出用センサにおける異常な電波の検出準備とを同時に行うことができ、遊技機の稼動準備操作を効率よく行うことができる。
【0074】
第4発明によれば、異常判定手段は、非検出信号を受信したことに基づいて、異常な電波の照射または異常収納状態の発生を判定可能であるので、異常な電波の照射または払出装置の取付不良を簡単な構成で把握することができる。
【0075】
第5発明によれば、異常判定手段は、非検出信号を予め設定された非検出期間以上継続して受信したことに基づいて、異常な電波の照射または異常収納状態の発生を判定可能であるので、払い出された遊技球などによって発生する内的ノイズや遊技機の外部からの外的ノイズに基づいて、異常判定手段が非検出信号と同じ信号を受信したとしても、異常な状態(異常な電波の照射または払出装置の取付不良)が発生したと誤判定してしまうことを防止することができる。
【0076】
第6発明によれば、異常判定手段は、少なくとも遊技機の電源投入直後において異常検出用センサから非検出信号を受信した場合には、前記異常収納状態が発生したと判定する一方、少なくとも払出装置による遊技球の払出動作の実行中において前記異常検出用センサから非検出信号を受信した場合には、異常な電波が電磁誘導式近接センサに照射されたと判定するので、非検出信号を異ならせずに、異常な電波が電磁誘導式近接センサに照射されているのか、あるいは払出装置の取付不良が発生しているのかを判定することができ、異常検出用センサの出力仕様が複雑になることを避けることができる。
【0077】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 パチンコ遊技機
3 前面枠
6 遊技盤
11 上皿ユニット
11a 導出口
12 下皿ユニット
18 裏機構盤
21 球貯留ユニット
22 球払出ユニット
25 払出制御装置
49 遊技制御装置
52 ユニットベース
54 流下切換装置
56 払出収納部
57 払出装置
58 払出流下路
59 ユニットカバー
62 収納空間部
63 払出挿脱口
65 上部ロック片
66 側部ロック片
72 球払出通路
73 スプロケット
74 電磁誘導式近接センサ
74a 検出部
74b スルーホール
76 払出モータ
80 異常検出機構
81 異常検出用センサ
81a 検出部
81b スルーホール
82 可撓性係止片
82a 係止操作部
86 被検出ダミー体
87 露出開口
89 開口進入部
125 出力状態判定回路
130 露出開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を払い出す払出動作を行うことが可能な払出機構部と、該払出機構部により払い出される遊技球を検出することが可能な近接センサと、を備え、
払出条件の成立に基づき前記払出機構部に払出動作を行わせるとともに、前記近接センサから入力される信号に基づき払出動作を停止させることが可能な遊技機において、
前記近接センサの近傍に配設され、異常な電波が照射されたことを検出することが可能な異常検出用センサと、
前記異常検出用センサから入力される信号に基づいて、異常が発生したか否かを判定することが可能な異常判定手段と、
前記異常判定手段の判定結果に基づいて、前記払出機構部による払出動作を規制することが可能な払出規制手段と、を備え、
前記異常判定手段は、前記払出機構部による払出動作が行われるよりも前に異常が発生したか否かを判定可能であることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記異常検出用センサから入力される信号の電圧値に基づいて、当該異常検出用センサの信号配線の異常を検出することが可能な配線異常検出手段を備え、
前記払出規制手段は、前記配線異常検出手段により異常が検出された場合には、前記異常判定手段により異常が発生していないと判定された場合であっても前記払出機構部による払出動作を規制することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記配線異常検出手段は、前記近接センサから入力される信号の電圧値に基づいて、当該近接センサの信号配線の異常を検出することが可能であり、
前記払出規制手段は、前記配線異常検出手段によって前記近接センサまたは前記異常検出用センサの信号配線に異常が検出された場合には、前記異常判定手段により異常が発生していないと判定された場合であっても前記払出機構部による払出動作を規制することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記異常検出用センサは、前記近接センサと同じ構造および性能を有し、常態において当該異常検出用センサの検出部が被検出ダミー体を検出するように構成されており、
前記検出部で前記被検出ダミー体を検出している場合であっても異常な電波が照射されることで非検出信号を送出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−210531(P2012−210531A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−176622(P2012−176622)
【出願日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【分割の表示】特願2009−153622(P2009−153622)の分割
【原出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】