説明

遊技機

【課題】遊技開始又は終了を定めるための操作が実行されない場合にも、適正な遊技履歴を取得可能とする遊技機を提案する。
【解決手段】有効期間設定ボタンの操作により定められる遊技履歴有効期間が満了する前に、指認証情報が指認証登録情報と不一致であった場合には、当該遊技履歴有効期間を満了し且つ遊技履歴データに基づいて生成する光学コードを表示しない処理を行う一方、遊技履歴有効期間が開始する前に指認証情報が不一致であった場合には、新たな遊技履歴有効期間を開始する処理を行うようにした遊技機である。かかる構成によれば、有効期間設定ボタン装置の操作を遊技者が忘れた場合にあっても、指認証情報を照合することにより、遊技者毎の遊技履歴有効期間を正確かつ確実に定めることができる。したがって、遊技者が自らの遊技履歴を正確に取得することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示器に二次元コード等の光学コードを表示する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のパチンコ遊技機には、演出画像等を表示する画像表示器に、所定タイミングで二次元コード等の光学コードを表示するものがある。例えば特許文献1には、遊技開始から終了までの遊技履歴により二次元コードを生成し、該二次元コードを表示するようにした構成が提案されている。このように表示された二次元コードを携帯電話で読み取ることにより、遊技者は自らの遊技履歴を容易に取得することができる。かかる構成では、遊技者が自らの遊技履歴(成績)を他人に知られることなく取得して自己管理することができるという利点を有する。尚、かかる構成にあっては、遊技者により操作可能な遊技開始(終了)スイッチが配設されており、該スイッチの操作を検出することにより遊技開始と遊技終了とを定めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−61299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の従来構成にあっては、遊技者が遊技開始(終了)スイッチを操作することにより、遊技履歴を記録する期間を設定している。すなわち、遊技履歴を取得するためには、遊技開始(終了)スイッチの操作が必須である。しかし、この遊技開始(終了)スイッチは、遊技の進行(当りやハズレなど)に直接的又は間接的に関係しないことから、スイッチ操作を忘れてしまうという虞がある。また、遊技履歴の取得に興味の無い遊技者は、通常、遊技開始(終了)スイッチを操作しない。このように遊技開始(終了)スイッチの操作が行われないと、遊技履歴の記録期間を正しく設定できず、該遊技履歴を取得する意義が低減するという問題がある。
【0005】
例えば、遊技開始スイッチと遊技終了スイッチとが夫々に配設されている構成の場合に、遊技開始した際に遊技開始スイッチの操作を忘れると、遊技履歴を取得できない。ここで、遊技途中に遊技開始スイッチを操作すると、当該操作後の遊技履歴のみしか取得できない。また、遊技終了スイッチの操作を忘れると、遊技履歴を取得できず、さらに、次の遊技者が遊技開始スイッチの操作を忘れて、遊技終了スイッチを操作すると、前の遊技者から連続する遊技履歴を取得してしまう。
【0006】
一方、遊技開始(終了)スイッチとして所謂リセットスイッチが配設されている構成の場合には、前の遊技者がリセットスイッチを操作を忘れ、次の遊技者が遊技終了の際にリセットスイッチを操作すると、前の遊技者から連続する遊技履歴を取得してしまう。また、前の遊技者がリセットスイッチの操作を忘れた状態で、次の遊技者が遊技開始前にリセットスイッチを操作すると、前の遊技者の遊技履歴を取得できてしまう。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためのものであって、遊技開始又は終了を定めるための操作が実行されなくとも、適正な遊技履歴を取得可能とする遊技機を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、遊技者により操作可能に配設された有効期間設定ボタン装置と、前記有効期間設定ボタン装置のボタン操作により開始又は/及び満了する遊技履歴有効期間を定め、該遊技履歴有効期間中の遊技履歴データを記憶する遊技履歴処理制御手段と、前記有効期間設定ボタン装置のボタン操作により遊技履歴有効期間を満了すると、当該遊技履歴有効期間中の遊技履歴データに基づいて光学コードを生成する光学コード生成手段と、該光学コードを画像表示器に表示する画像表示制御手段と、所定の指認証情報を検出する指認証検出センサと、所定の登録条件の成立を契機として、前記指認証検出センサにより検出した指認証情報を指認証登録情報として記憶する認証情報登録手段と、前記指認証検出センサにより指認証情報を検出する毎に、認証情報登録手段により記憶した指認証登録情報と照合して、指認証の一致又は不一致を判定する照合判定処理手段とを備えてなるものであって、前記遊技履歴有効期間の満了前に照合判定処理手段により指認証が不一致と判定された場合に、当該遊技履歴有効期間を満了し且つ前記光学コードを表示しないようにする有効期間自動満了処理と、遊技履歴有効期間の開始前に照合判定処理手段により指認証が不一致と判定された場合に、新たな遊技履歴有効期間を開始する有効期間自動開始処理とを実行する有効期間自動設定処理手段を備えていることを特徴とする遊技機である。
【0009】
ここで、遊技履歴データは、遊技履歴有効期間で行われた遊技により発生するデータであり、例えば、大当り回数、特別図柄の変動回数、確率変動回数、確率変動の継続回数、賞球個数などの統計データとして適宜設定することができる。また、光学コードとしては、カメラやスキャナにより光学的に読取り可能な二次元コードやバーコードなどを指す。そして、光学コードは、前記遊技履歴データを直接含むものとして生成されても良いし、又は、遊技履歴データを記録したWebサイトのアドレス情報を含むものとして生成されても良い。前者の場合には、例えば、所定のアプリ等を起動して、光学コードを読み込むことにより、遊技履歴データを確認・管理することができるようにすることが好適である。一方、後者の場合には、光学コードのアドレスによりWebページにアクセスすることにより、遊技履歴データを確認できるようにすることが好適である。
【0010】
上記の指認証としては、指紋又は指静脈により認証する所謂生体認証であり、指紋や指静脈を検出した指認証情報を適用する。この指紋又は指静脈を検出できる指認証検出センサを適用する。指認証検出センサは、遊技者が遊技を行うことにより指認証情報を検出できるように配設した構成が好適である。これにより、遊技を行う遊技者の指認証情報を確実に検出することができる。
【0011】
上記した所定の登録条件としては、遊技履歴有効期間の開始を条件に設定すること、又は指認証情報を検出して指認証の判定結果を得ることを条件に設定することが好適に用い得る。前者の場合には、遊技履歴有効期間が開始される際に、指認証検出センサにより検出された指認証情報を指認証登録情報として記憶し、次の遊技履歴有効期間が開始されるまでの間に検出した指認証情報を判定する。ここで、遊技履歴有効期間の開始が、有効期間ボタン装置のボタン操作に従って実行された場合、有効期間自動開始処理により実行された場合のいずれでも、同様に登録条件が成立する。すなわち、これらの場合には、少なくとも遊技履歴有効期間が開始される際に指認証情報を検出することが必要である。一方、後者の場合には、指認証情報を検出して照合する毎に、新たに検出した指認証情報を指認証登録情報として記憶することから、指認証登録情報は指認証情報の検出毎に書き換えられる。この場合に、指認証の判定により一致すれば、新たな指認証登録情報に書き換えても、実質的に同じ指認証登録情報が維持されるため、同一の遊技者が遊技を実行している間では有効期間自動満了処理により遊技履歴有効期間を満了する処理を実行しない。この場合にあって、指認証情報の検出処理としては、所定時間毎に実行したり、所定の遊技が行われる際に実行したり、遊技履歴有効期間が開始される際に実行したりする等のように適宜設定することが好適である。
【0012】
かかる本発明の構成にあっては、有効期間設定ボタン装置を遊技者がボタン操作することにより遊技履歴有効期間を定めることができると共に、有効期間設定ボタン装置の操作を遊技者が忘れた場合にあっても、指認証情報を検出して照合することにより、遊技者毎の遊技履歴有効期間を正確かつ確実に定めることができる。
【0013】
詳述すると、例えば、有効期間設定ボタン装置が、遊技履歴有効期間の開始を定める期間開始ボタンと該期間の満了を定める期間満了ボタンとを備え、各ボタン操作により遊技履歴有効期間を定めるようにした構成にあって、期間開始ボタンの操作を忘れて遊技開始した場合には、遊技履歴有効期間の開始前であることから、前の遊技者の指認証情報と不一致となるため、これに伴って新たな遊技履歴有効期間を自動的に開始する。また、期間終了ボタンの操作を忘れ且つ次の遊技者が期間開始ボタンの操作を忘れて遊技開始した場合には、遊技履歴有効期間の満了前であることから、次の遊技者の指認証情報と不一致となるため、当該遊技履歴有効期間を自動的に満了する。この満了の際には、光学コードを表示しないようにして、前の遊技者の遊技履歴データを取得できないようにする。さらに、遊技履歴有効期間の開始前でもあることから、新たな遊技履歴有効期間を自動的に開始する。
【0014】
一方、有効期間設定ボタン装置が、遊技履歴有効期間の開始および満了を定めるリセットボタンを備え、該リセットボタンのボタン操作により遊技履歴有効期間を定めるようにした構成にあって、リセットボタンの操作を遊技者が忘れた場合には、次の遊技者が遊技を始めると、遊技履歴有効期間の満了前であり且つ開始前であることから、前の遊技履歴有効期間を自動的に満了し且つ新たな遊技履歴有効期間を自動的に開始する。この際には、前の遊技履歴有効期間における光学コードを表示しない。
【0015】
本構成にあって、有効期間自動満了処理により実行する、光学コードを表示しない処理としては、光学コード生成手段が光学コードを生成しないように指令を発信する処理、又は画像表示制御手段が光学コードを画像表示装置で表示しないように指令を発信する処理のいずれとすることもできる。
【0016】
尚、本発明にあって、遊技履歴有効期間の満了前に、有効期間設定ボタン装置のボタン操作により次の遊技履歴有効期間が開始される場合には、前の遊技履歴有効期間を強制的に満了し、その光学コードを表示しないようにする構成が好適である。また、画像表示制御手段にあっては、光学コードを所定時間だけ継続して表示するように制御し、遊技者が携帯電話により容易かつ確実に読み込むことができるようにした構成が好適である。
【0017】
上述した本発明の遊技機として、遊技者により回動操作される発射ハンドルを具備し、該発射ハンドルの回動操作に従って遊技球を発射する球発射手段を備えた遊技機であって、指認証検出センサが、前記発射ハンドルを回動操作する遊技者の指紋または指静脈を検出するように配設されているものである構成が提案される。
【0018】
ここで、指認証検出センサにあって、指を接触することにより検出する接触タイプの場合には、発射ハンドルを回動操作する指が接触する位置に配設することが求められる。具体的には、発射ハンドルに配設されている構成が好適である。一方、非接触タイプの場合には、発射ハンドルに配設されている構成としても良いし、発射ハンドルに対向するように機台側に配設されている構成としても良い。いずれの構成の場合にあっても、発射ハンドルを回動操作する遊技者の指紋または指静脈を検出できる位置(場所)に配設することを要する。
【0019】
かかる本構成にあっては、遊技者が遊技を行う際には必ず発射ハンドルを操作するため、指認証検出センサにより指認証情報を確実に検出することができる。そのため、有効期間設定ボタン装置のボタン操作を忘れた場合に、他の遊技者が遊技開始すると、その指認証情報を検出して、指認証が不一致と判定される。したがって、本構成によれば、遊技者毎の遊技履歴有効期間を適正に定め得るという本発明の作用効果が一層確実かつ容易に生じ得る。
【0020】
上述した本発明の遊技機にあって、認証情報登録手段が、所定の登録条件の成立を契機として新たな指認証登録情報を記憶すると、前に記憶した指認証登録情報を消去するようにしているものである構成が提案される。
【0021】
指認証情報は、遊技者個人を確実かつ正確に特定することができる情報であり、極めて秘匿性の高い個人情報であると言える。そのため、本構成にあっては、新たな指認証登録情報を記憶する毎に、前の指認証登録情報を消去し、遊技者の個人情報が他に利用されることを防止する。これにより、遊技者の個人情報が、別の用途に利用されることを確実に防止できる。
【0022】
尚、指認証登録情報として記憶しない他の指認証情報についても、照合判定処理手段による判定した後に消去することが好適である。すなわち、指認証検出センサにより検出した全ての指認証情報を、所定の時期に消去する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の遊技機は、上述したように、有効期間設定ボタンの操作により開始又は/及び満了する遊技履歴有効期間が満了する前に、指認証検出センサにより検出した指認証情報が指認証登録情報と不一致であった場合には、当該遊技履歴有効期間を満了し且つ当該遊技履歴有効期間の遊技履歴データに基づいて生成する光学コードを表示しないようにすると共に、遊技履歴有効期間が開始する前に指認証情報が不一致であった場合には、新たな遊技履歴有効期間を開始するようにしたものである。かかる構成によれば、有効期間設定ボタン装置の操作を遊技者が忘れた場合にあっても、指認証情報を検出して照合することにより、遊技者毎の遊技履歴有効期間を正確かつ確実に定めることができる。これにより有効期間設定ボタン装置を操作せずに遊技開始した場合にも、遊技者が自らの遊技履歴を正確に取得できる。
【0024】
上述した本発明の遊技機にあって、指認証検出センサが、発射ハンドルを回動操作する遊技者の指紋または指静脈を検出するように配設されているものである構成とした場合には、遊技者が遊技を行う際には必ず発射ハンドルを操作することから、有効期間設定ボタン装置のボタン操作を忘れた場合にあっても、指認証情報を確実に検出することができる。したがって、本構成によれば、遊技者毎の遊技履歴有効期間を適正に定めるという本発明の作用効果が一層正確に奏し得る。
【0025】
上述した本発明の遊技機にあって、認証情報登録手段が、新たな指認証登録情報を記憶すると、前に記憶した指認証登録情報を消去するようにした構成の場合には、極めて秘匿性の高い指認証登録情報を順次消去するようにしていることから、遊技者の個人情報を秘密にする効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施例のパチンコ遊技機1の斜視図である。
【図2】パチンコ遊技機1の遊技盤10の正面図である。
【図3】パチンコ遊技機1の制御回路のブロック回路図である。
【図4】画像表示器14の表示態様を示す説明図である。
【図5】遊技履歴有効期間の設定態様の具体例を表すタイムチャートである。
【図6】同上の設定態様の他の具体例を表すタイムチャートである。
【図7】有効期間設定処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施例を、添付図面を用いて詳述する。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4,4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、二つの球受皿7,8が上下に列設されており、下部球受皿8の右側方に発射ハンドル9が配設される。この発射ハンドル9を遊技者が回動操作することにより、その回動角度に応じた強度で球発射装置41(図3参照)から遊技球が発射される。
【0028】
図2は、遊技盤10の正面図である。遊技盤10の前面には、ガイドレール11によって略円形の遊技領域12が区画形成されている。遊技領域12の中央には、各種遊技部材を組み込んだセンターケース13が配設される。このセンターケース13には、画像表示器14が組み付けられている。画像表示器14は、液晶表示器又はCRT表示器等からなり、その表示画面には演出図柄や各種演出画像等が表示される。また、この画像表示器14の表示画面には、本発明に係るQRコード(登録商標)48も表示される(図4参照)。
【0029】
また、センターケース13には、画像表示器14の周囲に複数のLED(発光ダイオード)が配設される。この複数のLEDのうち、下部右側の2個は特別図柄表示装置15であり、右上部の2個は普通図柄表示装置16である。また、下部中央の4個のLEDは、特別図柄用抽選データの記憶数(特別図柄始動記憶数)を示す特別始動記憶数表示装置17であり、下部左側の4個は、普通図柄用抽選データの記憶数(普通図柄始動記憶数)を表示する普通始動記憶数表示装置18である。
【0030】
特別図柄表示装置15は、LEDの点灯態様によって特別図柄を表示するものである。後述するように、特別図柄表示装置15は、所定契機によって、各LEDを点滅させることにより夫々の特別図柄を変動させ、その後にいずれかのLEDが点灯した態様で特別図柄を停止表示する。本実施例では、右側のLEDが点灯した態様がハズレ態様、左側のLEDが点灯した態様が当り態様と設定されており、特別図柄が当り態様で停止表示された場合に、いわゆる「大当り」となって後述の特別遊技作動を実行する。
【0031】
一方、普通図柄表示装置16は、LEDの点灯態様によって普通図柄を表示するものである。後述する普通始動ゲート19を遊技球が通過すると、このLEDが順次点滅することで普通図柄を変動させ、その後にいずれかのLEDが点灯した態様で普通図柄を停止表示する。左側のLEDのみが点灯した態様が当り態様、左右のLEDが点灯した態様がハズレ態様に設定されており、当り態様で停止表示された場合には、後述の普通電動役物23を拡開作動する。
【0032】
図2に示すように、センターケース13の左側には普通始動ゲート19が設けられている。この普通始動ゲート19を遊技球が通過すると、普通始動ゲート19に具備された球検知スイッチが球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて上記の普通図柄表示装置16のLEDが点滅開始する。
【0033】
また、図2に示すように、センターケース13の直下位置には特別始動口20を有する普通電動役物23が配設される。普通電動役物23は、特別始動口20の開口幅を変動させる開閉翼片24を備えている。普通図柄表示装置16で普通図柄が当り態様で停止表示されると、ソレノイドによって開閉翼片24が所定時間拡開駆動されて、特別始動口20へ入球し易い状態となる。そして、特別始動口20を遊技球が通過すると、普通電動役物23に内蔵された球検知スイッチが球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて特別図柄表示装置15のLEDが点滅開始する。また、特別始動口20を遊技球が通過すると、所定数の賞球が払い出される。
【0034】
普通電動役物23の直下、かつアウト口30の直上方位置には、大入賞口25を有する特別電動役物26が配設されている。この特別電動役物26は横長矩形状の開閉片27を具備している。開閉片27は内蔵するソレノイドにより開閉制御され、これによって大入賞口25が開放状態と閉鎖状態に変換される。また、特別電動役物26の内部には入賞した遊技球を検知する球検知スイッチが設けられる。
【0035】
また、普通電動役物23の両側には一般入賞装置29が配設されており、遊技球が一般入賞装置29に入賞すると、一般入賞装置29に内蔵された球検知スイッチが球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて所定数の賞球が払い出される。
【0036】
次に、本実施例のパチンコ遊技機の遊技作動を制御する制御回路を、図3を参照して説明する。
マイクロコンピュータを構成する主制御基板60には、パチンコ遊技機の遊技作動等を制御するための基板回路が設けられる。この主制御基板60は、遊技の統括的な制御を実行するものである。この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設される。この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板60の基板回路を構成している。記憶装置ROMには、制御プログラムや、抽選データを参照して図柄生成行程の当落判定や図柄の変動・停止態様、演出態様等を決定するための各種テーブルが格納されている。
【0037】
一方、記憶装置RAMには、各種球検知スイッチからの球検知信号等が一時的に記憶される記憶エリア、各種のタイマや乱数カウンタ、計数カウンタ等を構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
【0038】
さらに、この主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは、一定間隔のクロックパルスによって時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマTMも接続される。
【0039】
ここで主制御用中央制御装置CPU、及び後述する各制御基板62〜68に設置される各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。そして、この主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成したデータ又はコマンドを四つの制御基板62,63,64,68へ出力し、これらの制御基板62,63,64,68の中央制御装置CPUがこのデータ等に従って所定の制御を処理実行することとなる。
【0040】
また、この主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板60からの制御指令信号が、演出制御基板62、図柄制御基板63、払出制御基板64、及び発射制御基板68の各入力ポートに向け、一方向に出力されるように接続されている。また、主制御基板60の入力ポートには、盤面中継基板61を介して、普通始動ゲート19、普通電動役物23、特別電動役物26、一般入賞装置29等が接続される。そして、主制御基板60が2msごとに、これらに内蔵された各スイッチの遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があると、その球検出信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板60の出力ポートには、盤面中継基板61を介して普通電動役物23や特別電動役物26等が接続されており、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に、これらに内蔵されたソレノイドやモータを作動させる。
【0041】
上記の演出制御基板62には、パチンコ遊技機1で実行される演出全般を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、演出を制御処理する演出制御用中央制御装置CPUに、多岐にわたる演出態様に関する固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。演出制御基板62の出力ポートには、画像表示器14を制御する画像制御基板65、音声演出を制御する音源制御基板66、及びLEDランプによる演出を制御する光源制御基板67が接続されている。そして、演出制御基板62は、主制御基板60からの演出コマンドが入力ポートに入力されると、演出制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、該演出コマンドで指示された演出態様を実行するために、画像制御基板65、音源制御基板66、及び光源制御基板67へ向けて制御コマンドを送信する。
【0042】
上記の画像制御基板65には、画像表示器14の表示態様を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、表示態様を制御処理する画像制御用中央制御装置CPUに、その表示態様に関する固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。画像制御基板65は、演出制御基板62から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを画像制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、所定の表示態様を表示するデータを、出力ポートを介して表示用ドライバに出力する。そして、この表示用ドライバが、前記データに従って画像表示器14に所定態様で表出させる。すなわち、本発明に係る画像表示制御手段は、主に、主制御基板60、演出制御基板62及び画像制御基板65によって構成される。
【0043】
上記の音源制御基板66には、スピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、音響を制御する音源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや音響発生パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この音源制御基板66は、上記の演出制御基板62より入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを音源制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定の音データを、出力ポートを介してサウンドジェネレータに出力し、このサウンドジェネレータが、前記音データに従ってスピーカに効果音を出力させる。
【0044】
上記の光源制御基板67には、遊技機本体3に配設された多数の演出用ランプを制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、演出用ランプの点灯、点滅等を制御する光源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、演出ランプを所定の発光態様に従って発光させるための発光パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この光源制御基板67は、光源制御用中央制御装置CPUで、上記の演出制御基板62から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の光データを、出力ポートを介して、演出用ランプを発光作動するドライバを配した光源作動基板に出力し、この光源作動基板が、各種の演出用ランプを点灯、点滅させる。
【0045】
上記の図柄制御基板63には、特別図柄表示装置15、普通図柄表示装置16、特別始動記憶数表示装置17、普通始動記憶数表示装置18を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、各装置のLEDの点灯、点滅等を制御する図柄制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、LEDを所定の発光態様に従って発光させるための発光パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この図柄制御基板63は、図柄制御用中央制御装置CPUで、上記の主制御基板60から入力ポートを介して入力されたデータ又はコマンドを演算処理し、所定の光データを、出力ポートを介して、各装置のLEDを発光作動するドライバを配した図柄作動基板に出力し、この図柄作動基板が、各装置のLEDを点灯、点滅させる。
【0046】
上記の払出制御基板64には、遊技球の貸球や賞球等の払出しを制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動して、所定の貸球や賞球の供給を制御する払出制御用中央制御装置CPUに、動作プログラム、賞球や貸球の球数パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、球数カウントデータ等の必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この払出制御基板64は、主制御基板60から入力されたデータ又はコマンドに従い、払出制御用中央制御装置CPUで演算処理し、所定のデータを、出力ポートを介して払出中継基板に送信し、このデータにより貸球ユニットや賞球ユニット等の各種ソレノイドを作動し、所定の貸球や賞球の払出しを実行する。また、払出制御基板64は、遊技球の貸球を記憶したプリペイドカードの読込みや書込みを行う機外装置であるプリペイドカードユニットと、このプリペイドカードのデータ処理を中継するCR接続基板を介して接続され、遊技球の残球データ等をやり取りする。
【0047】
上記の発射制御基板68には、球発射装置41を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、動作プログラム等が格納されている記憶装置ROMと、入出力信号等を一時的に記憶する記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。発射制御基板68の入力ポートには、発射ハンドル9に内蔵された回動角度検知センサから発射ハンドル9の現在角度に応じた電圧信号が入力される。発射制御基板68の出力ポートには球発射装置41が接続されており、発射制御基板68は、発射ハンドル9からの入力信号に応じた電圧強度で、球発射装置41に内蔵されたロータリーソレノイドを間欠的に駆動することで、発射ハンドル9の現在角度に応じた強さで遊技球を立て続けに打圧発射する。さらに、発射制御基板68の入力ポートには、発射ハンドル9に配設されたタッチセンサ42が接続されており、該タッチセンサ42により遊技者が発射ハンドル9に直接触れて操作していることを確認できる。
【0048】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の基本的な作動について説明する。なお、本実施例のパチンコ遊技機1の基本的な作動は、既存のパチンコ遊技機と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0049】
遊技者による発射ハンドル9の回動操作に従って球発射装置41から遊技球が発射されると、該遊技球が遊技盤10の遊技領域12を転動流下する。そして、遊技球が上記の普通始動ゲート19を通過すると、普通図柄表示装置16の二個のLEDが点滅開始して、普通図柄が変動開始する。普通図柄は所定時間経過すると変動を停止し、当り態様又はハズレ態様により停止表示される。そして当り態様で停止表示された場合には普通電動役物23の拡開作動が実行されて特別始動口20が所定時間開放状態となる。一方、この普通図柄表示装置16の点滅中又は普通電動役物23の開放動作中に、遊技球が普通始動ゲート19を通過すると、普通始動記憶数表示装置18のLEDの点灯数が追加され、未消化の普通図柄始動記憶数を遊技者に報知する。そして、普通図柄の停止表示後、又は普通電動役物23の開放動作終了後に、普通始動記憶数表示装置18のLEDが点灯している場合(未消化の普通図柄始動記憶数がある場合)には、該LEDを一つ消灯し(普通図柄始動記憶を消化し)、普通図柄を再び変動開始する。
【0050】
一方、遊技者による発射ハンドル9の回動操作により発射された遊技球が、遊技盤10の遊技領域12を転動流下して、特別始動口20を通過した場合、各種テーブルから乱数抽選が行われて特別図柄用抽選データが生成される。そして、生成された特別図柄用抽選データの消化に従って図柄生成行程が順次実行される。図柄生成行程が開始されると、特別図柄表示装置15でLEDが点滅し、特別図柄が変動開始する。そして、各特別図柄が点滅を停止すると、遊技者に特別図柄の態様を認識させるため、特別図柄を一定時間(約1秒)停止表示する。ここで、特別図柄が当り態様で停止表示されると大当りとなり、後述の特別遊技作動を実行する。
【0051】
また、通常、図柄生成行程の実行中は、スピーカや演出用ランプが所定態様で作動し、また、画像表示器14の表示画面で演出用の図柄が変動する。ここで、表示画面では、場合によって遊技者の大当りへの期待感を高めるいわゆるリーチ変動が実行される。かかるリーチ変動を実行する場合には、通常よりも当り態様で確定表示する頻度が高くなるように設定されており、遊技者はリーチ変動により大当りの期待感を高めるとともに、表示画面での多様な演出態様により、演出用図柄の変動停止まで興奮を持続させることができる。
【0052】
特別始動口20への入賞によって生成された特別図柄用抽選データは、当該特別図柄用抽選データの消化により図柄生成行程が開始されるまで、記憶装置RAMに設定された特別始動記憶領域に記憶保持される。具体的には、特別図柄の変動中および後述する特別遊技作動の実行中に生成された特別図柄用抽選データは直ぐに消化されず、前記特別始動記憶領域に記憶保持される。ここで、特別始動記憶領域には4個の特別図柄用抽選データを保持可能となっており、特別始動記憶領域に4個の特別図柄用抽選データが保持されている場合には、特別始動口20へ入賞しても特別図柄用抽選データが生成されない。このように特別始動記憶領域に記憶されている未消化の特別図柄用抽選データが、所謂特別図柄始動記憶であり、上記した特別始動記憶数表示装置17の点灯数によって該特別図柄始動記憶の記憶数(特別図柄始動記憶数)を報知している。そして、未消化の特別図柄用抽選データを消化して特別図柄を変動開始する際には、特別始動記憶数表示装置17のLEDを一個消灯する。
【0053】
上記した特別遊技作動は、大入賞口25が開閉する開閉ラウンドを所定回数実行する作動であり、上述したように、特別図柄が当り態様で停止して大当りとなることにより開始する。その後、所定回数の開閉ラウンドを満了することにより当該特別遊技作動を満了する。ここで、一回の開閉ラウンドは、大入賞口25の30秒間開放または9個の入賞のいずれか一方を満足することにより満了する。特別遊技作動では、この開閉ラウンドを16回繰り返し実行する。このような特別遊技作動中は、大入賞口25へ100個以上の入賞が期待でき、遊技者は多量の賞球を獲得できる。
【0054】
次に、本発明の要部について説明する。
上記した主制御基板60には、図3のように、有効期間設定ボタン装置51が接続されており、該有効期間設定ボタン装置51が発信したON信号を入力する。この有効期間設定ボタン装置51は、上記した前枠5の上部球受皿7の前側部位に配設された有効期間リセットボタン52(図1参照)を備えており、該有効期間リセットボタン52が遊技者により押圧操作(ボタン操作)されることによって前記ON信号を発信する。
【0055】
上記の有効期間リセットボタン52のボタン操作によって、遊技履歴有効期間を満了し且つ新たな遊技履歴満了期間を開始する。すなわち、有効期間リセットボタン52のボタン操作を契機として遊技履歴有効期間が開始し、次回のボタン操作を契機として当該遊技履歴有効期間が満了する。ここで、遊技履歴有効期間では、当該期間中に発生した入賞数や大当り回数等の遊技履歴データを保存する。遊技履歴データとしては、上記した特別始動口22、普通始動ゲート19、一般入賞口(一般入賞装置29)、大入賞口25を夫々通過した球数を各球検知スイッチの信号入力によりカウントして順次記録していく。さらに、上記した特別図柄が当り態様で停止した回数(大当り回数)やリーチ演出の実行回数等を、消化した特別図柄用抽出データに基づいてカウントして順次記録していく。
【0056】
そして、上記した遊技履歴データを記憶している遊技履歴有効期間中に、有効期間リセットボタン52がボタン操作されると、当該遊技履歴有効期間を満了すると共に、当該遊技履歴有効期間で記憶した遊技履歴データとQRコード(登録商標)48の生成を指示する指令信号とを演出制御基板62へ送信する。演出制御基板62では、主制御基板60から入力した遊技履歴データに基づいてQRコード48を生成し、画像制御基板65を介して当該QRコード48を画像表示器14の表示画面に表示する。本実施例にあっては、遊技履歴データが上記した入賞数や大当り回数等を表す文字や数字を所定順序で表したデータとしていることから、当該データをQRコード48に変換する処理を行う。すなわち、演出制御基板62の記憶装置ROMには、QRコード48に変換するプログラムが格納されており、前記した指令信号を入力すると、当該プログラムを起動して遊技履歴データをQRコード48に変換する。
【0057】
さらに、有効期間リセットボタン52のボタン操作に伴って遊技履歴データを演出制御基板62へ送信すると、記憶している当該遊技履歴データをリセットする。これに伴って遊技履歴有効期間が満了して、新たな遊技履歴有効期間が開始される。
【0058】
このような有効期間リセットボタン52のボタン操作に伴って設定する遊技履歴有効期間としては、図5(A)のタイムチャートに示すように、有効期間リセットボタン52のボタン操作を契機として遊技履歴有効期間を開始し、次のボタン操作を契機として当該遊技履歴有効期間を満了する。そして、当該遊技履歴有効期間中で記憶した遊技履歴データをQRコード48に変換して、画像表示器14で所定時間表示制御する。
【0059】
遊技者は、図4のように画像表示器14で表示されたQRコード48を、携帯電話により取り込むことができる。そして、遊技者が、この携帯電話により特定のWebサイトに接続して所定のアプリケーションをダウンロードして起動し、該アプリケーションのプログラムによって前記QRコード48を読み込むことにより、該QRコード48の示す遊技履歴データを携帯電話の画面に表示できる。これにより、遊技者が、自己の遊技履歴(成績)を管理することができるようになっている。
【0060】
一方、上記した主制御基板60には、図3のように、指認証検出装置55が接続されており、該指認証検出装置55により検出した指認証データを入力する。この指認証検出装置55は、指紋を検出するための指認証検出センサ56を備えており、該指認証検出センサ56が、発射ハンドル9の裏側の、該発射ハンドル9を操作する遊技者の指が当接する部位に配設されている(図示せず)。この指認証検出センサ56により、発射ハンドル9を操作する遊技者の指紋を検出することができる。指認証検出装置55は、検出した指紋を指認証データとして、主制御基板60へ出力する。
【0061】
尚、発射ハンドル9の回動操作は、遊技を行うためには必須の操作であることから、遊技者が遊技球を発射している際には、指認証検出センサ56によって遊技者の指紋を確実に検出できる。
【0062】
本実施例にあって、指認証検出装置55は、主制御基板60から指認証データの検出指令コマンドを受けると、指認証検出センサ56により指紋を検出して該指紋のデータ(以下、指認証データ)を主制御基板60へ出力する制御処理を行う。ここで、指認証データの検出指令コマンドは、発射ハンドル9の操作を中断する毎に発信するようにしている。上述したように、発射ハンドル9にはタッチセンサ42が配設されており、発射制御基板68は、該タッチセンサ42から断続的(又は継続的)にON信号を入力することにより、発射ハンドル9を遊技者が操作している状態であることを確認する。発射制御基板68は、タッチセンサ42からのON信号を入力しない時間が予め設定された未入力処理時間(例えば10秒間)を越えた場合に、次にタッチセンサ42からON信号を入力することにより、主制御基板60へ操作再開信号を出力する処理を行う。そして、主制御基板60は、操作再開信号を入力すると、指認証検出装置55へ指認証データの検出指令コマンドを送信する指認証検出指令処理を行う(図7参照)。これに伴って、主制御基板60に指認証検出装置55から指認証データが入力する。
【0063】
さらに、主制御基板60は、上記した有効期間設定ボタン装置51からON信号を入力した場合にも、指認証検出装置55へ指認証データの検出指令コマンドを発信し、指認証データを入力するようにしている。そして、有効期間設定ボタン装置51からのON信号の入力により指認証データを入力すると、当該指認証データを指認証登録データとして記憶装置RAMに記憶する(図7参照)。
【0064】
遊技履歴有効期間中では、遊技者が発射ハンドル9から手を離し再度操作することにより発射制御基板68から操作再開信号を入力する。この操作再開信号を入力する毎に、指認証データを入力して、記憶している指認証登録データと照合し、指認証の一致又は不一致を判定する処理を行う。ここで、指認証が一致すると判定した場合には、遊技履歴有効期間が継続し、遊技履歴データを記憶していく。そして、入力した指認証データを消去する。一方、指認証が不一致であると判定した場合には、遊技履歴データを消去(リセット)すると共に、不一致と判定した指認証データを新たな指認証登録データとして記憶し、前に登録していた指認証登録データを消去する。このように、指認証を不一致と判定した場合には、指認証登録データを書き換える。これにより、遊技履歴有効期間を満了すると共に、新たな遊技履歴有効期間を開始する。
【0065】
尚、有効期間リセットボタン52がボタン操作された場合には、上述したように指認証データを入力して、この指認証データを指認証登録データとして記憶し、指認証登録データを書き換える(上書きする)処理を行う。このように指認証登録データを書き換える処理を行うことにより、遊技履歴有効期間毎に一の指認証登録データが登録されるようにしている。
【0066】
このような指認証の判定処理としては、発射制御基板68から操作再開信号を入力することにより指認証検出装置55から指認証データを入力すると、指認証登録データとの判定処理を実行する。ここで、図5(A)のように、この判定結果が一致であると、遊技履歴有効期間を継続する(図5(A)参照)。一方、図6(C),(D)のように、指認証データと指認証登録データとが不一致であった場合には、遊技履歴有効期間を満了し、新たな遊技履歴有効期間を開始する。この場合には、満了した遊技履歴有効期間で記録した遊技履歴データを消去(リセット)し、QRコード48の生成と表示処理とを実行しない。これは、前に遊技していた遊技者の遊技履歴データを、次に遊技する遊技者に報知しないようにするためである。
【0067】
次に、上記した遊技履歴有効期間を設定する処理(有効期間設定処理)について説明する。
本実施例のパチンコ遊技機1の制御処理としては、主制御基板60の主制御用中央制御装置CPUによって、図示しないメイン処理が所定間隔(2ms)で実行される。このメイン処理によって、遊技の主要な制御処理が実現される。
【0068】
メイン処理では、電源投入時であるか否かの判定。入賞に係る制御処理を行う入賞検出処理、各種乱数カウンタの値を更新するカウンタ値更新処理、異常検出処理、特別図柄の当選判定等を行う特別始動口処理、普通図柄の当選判定等を行う普通始動口処理、特別図柄の表示制御等を行う特別図柄処理、普通図柄の表示制御を行う普通図柄処理、特別遊技作動の制御を行う大入賞口処理、普通電動役物23の作動制御を行う普通電動役物処理、各制御基板へ制御コマンドを出力するコマンド出力処理等のサブルーチンを順次実行する。さらに、本実施例にあっては、有効期間設定処理、遊技履歴生成表示処理のサブルーチンもメイン処理に設定されている。
【0069】
なお、このメイン処理の制御処理内容の多くは、従来のパチンコ遊技機で採用されているものである。このため、以下では、本発明の要部に係るサブルーチンについての制御処理のみ詳述し、従来と同様の制御処理を行うサブルーチンについての説明は省略する。
【0070】
本発明の要部にかかる上記した有効期間設定処理を図7に従って説明する。
主制御基板60が、図5(A)のように、遊技履歴有効期間を設定していない状態(履歴有効フラグ=0)で、有効期間設定ボタン装置51からON信号を入力すると、指認証検出装置55へ指認証データの検出指令コマンドを発信する指認証検出指令処理を行う。これに伴って指認証検出装置55は、発射ハンドル9を回動操作する遊技者の指紋を指認証検出センサ56により検出すると、該指紋をデータ化した指認証データを主制御基板60へ送信する。そして、主制御基板60は、この指認証データを指認証登録データとして登録して保持し、履歴有効フラグ=1として遊技履歴有効期間を開始する。
【0071】
遊技履歴有効期間中(履歴有効フラグ=1)では、主制御基板60が、各球検知スイッチの信号入力をカウントして夫々の入賞数を順次記録する処理と、上記した特別図柄用抽出データに基づいて大当り回数やリーチ実行回数等を順次記録する処理とを実行する履歴データ生成処理を行う(図示せず)。そして、この履歴データ生成処理により、遊技履歴データが生成される。
【0072】
この遊技履歴有効期間中に、発射ハンドル9から手を離して操作中断した後に操作再開すると、発射制御基板68から操作再開信号を入力し、これに伴って指認証検出指令処理により指認証検出装置55へ検出指令コマンドを発信する。そして、指認証検出装置55から指認証データを入力することにより、指認証登録データと照合する判定処理を行う。この判定処理では、指認証データが指認証登録データと一致しているか否かを判定する。ここで、同一の遊技者が遊技を継続している場合には、図5(A)のように、判定結果が一致し且つ有効期間リセットボタン52の操作も無い(リセットフラグ=0)ことから、当該遊技履歴有効期間が継続する。尚、判定結果が不一致の場合については後述する。
【0073】
遊技者が遊技履歴有効期間中に有効期間リセットボタン52をボタン操作した場合にあっては、有効期間設定ボタン装置51からのON信号の入力によりリセットフラグ=1として、上記した指認証検出指令処理を実行すると共に、予め設定された待機時間(例えば20秒)を時間消化する処理を開始する。前記待機時間の経過前に、指認証データを入力すると、指認証の判定処理を行い、その判定結果が一致である場合には、遊技履歴データとQRコード生成指令信号とを演出制御基板62へ送信するQRコード生成表示処理を行って、該遊技履歴データを消去(リセット)する。これにより、当該遊技履歴有効期間を満了し、新たな遊技履歴有効期間を開始する。一方、指認証データを入力すること無く前記待機時間が経過すると、前記QRコード生成表示処理を行って、該遊技履歴データを消去(リセット)し、当該遊技履歴有効期間を満了し且つ新たな遊技履歴有効期間を開始する(図5,6参照)。尚、履歴有効フラグ=1は維持する。
【0074】
上記のQRコード生成表示処理としては、演出制御基板62が、遊技履歴データとQRコード生成指令信号とを入力すると、上述したように当該遊技履歴データによりQRコード48を生成し、該QRコード48と表示指令信号とを画像制御基板65へ送信する。そして、画像制御基板65により、QRコード48を画像表示器14に所定時間表示する。
【0075】
また、上記のように有効期間リセットボタン52のボタン操作により新たな遊技履歴有効期間が開始しても、遊技が開始されない場合には、上記の履歴有効フラグ=0として、遊技履歴有効期間を非設定とする(無効とする)。この処理としては、有効期間設定ボタン装置51からON信号の入力に伴って、上述したように、指認証検出装置55へ指認証データの検出指令コマンドを発信する。この検出指令コマンドの発信から時間計測を開始して、所定時間(以下、不実行時間という。例えば5分間)が経過すると、履歴有効フラグ=0とする。その後、遊技者が有効期間リセットボタン52をボタン操作して遊技を開始すると、上述したように、遊技履歴有効期間が開始される。
【0076】
一方、図5(B)のように、履歴有効フラグ=0の状態で遊技者が有効期間リセットボタン52を操作せずに遊技開始した場合にあっては、遊技者が発射ハンドル9を操作することによって発射制御基板68から操作再開信号が入力し、これに伴って指認証検出指令処理を実行する。そして、指認証検出装置55から入力した指認証データを、記憶装置RAMに記憶した指認証登録データと照合する。この場合には、指認証登録データが無い(登録されていない)ことから、指認証が不一致であると判定し、当該指認証データを指認証登録データとして記憶する。これに伴って、履歴有効フラグ=1として、新たな遊技履歴有効期間を開始する。
【0077】
また、遊技者が当該パチンコ遊技機1での遊技を終了する際に有効期間リセットボタン52を操作しない場合にあっては、遊技履歴有効期間が満了せずに、履歴有効フラグ=1が維持される(図6参照)。この状態で、図6(C)のように、他の遊技者が有効期間リセットボタン52を操作せずに遊技開始すると、上記と同様に、遊技者が発射ハンドル9を操作することによって発射制御基板68から操作再開信号が入力し、これに伴って指認証検出指令処理を実行する。そして、指認証検出装置55から入力した指認証データを、記憶装置RAMに記憶した指認証登録データと照合する。この照合により指認証を不一致と判定することから、当該指認証データを指認証登録データに上書きして登録すると共に、記憶している遊技履歴データをリセットする。これにより、継続していた遊技履歴有効期間を満了して、新たな遊技履歴有効期間を開始する。この場合には、QRコード生成表示処理を実行しないことから、QRコード48の生成と表示とが行われない。尚、このような処理は、遊技履歴有効期間で遊技中断している状態で他の遊技者が遊技を開始した場合にも同様に行われる。
【0078】
尚、上記と同様に遊技履歴有効期間が満了していない状態(履歴有効フラグ=1)で、図6(D)のように他の遊技者が有効期間リセットボタン52をボタン操作して遊技を開始した場合には、主制御基板60が有効期間設定ボタン装置51からON信号を入力することにより、当該遊技履歴有効期間を満了して新たな遊技履歴有効期間を開始する。すなわち、主制御基板60は、指認証検出指令処理を実行すると共に、上記した待機時間の時間消化を開始する。そして、遊技者による発射ハンドル9の操作に伴って指認証データを入力することから、この指認証データを指認証登録データと照合して不一致と判定することにより、記憶している遊技履歴データを消去すると共に、指認証データを新たに指認証登録データとして記憶する。これにより、QRコード48の報知を行わずに、新たな遊技履歴有効期間を開始する。
【0079】
このように本実施例にあっては、遊技履歴有効期間の満了前且つ開始前に遊技開始すると、指認証データを照合判定し、不一致の場合に当該遊技履歴有効期間を満了して新たな遊技履歴有効期間を開始し且つ遊技履歴データのQRコード48を表示しないように制御処理したものである。これにより、遊技者が有効期間リセットボタン52を操作せずに遊技開始した場合にも、正しく遊技履歴有効期間が設定され、自己の遊技履歴を得ることができる。また、有効期間リセットボタン52を操作せずに遊技終了した場合に、前の遊技者の遊技履歴を見ることができないようにしている。
【0080】
本実施例にあって、パチンコ遊技機1が本発明の遊技機である。また、有効期間設定処理により、本発明にかかる有効期間自動満了処理と有効期間自動開始処理とを構成しており、該有効期間設定処理を実行する主制御基板60および演出制御基板62によって、本発明にかかる有効期間自動設定処理手段が構成されている。また、主制御基板60および演出制御基板62により、本発明にかかる遊技履歴処理制御手段が構成されており、演出制御基板62と画像制御基板65とにより、本発明にかかる光学コード生成手段が構成されている。また、指認証検出装置55の指認証検出センサ56により、本発明にかかる指認証検出センサが構成されており、主制御基板60により、認証情報登録手段と照合判定処理手段とが構成されている。また、本発明の指認証情報が指認証データに該当し、本発明の指認証登録情報が指認証登録データに該当する。また、登録条件としては、履歴有効フラグ=0の場合に指認証データを取得すること、および履歴有効フラグ=1の場合に指認証を不一致と判定することの二条件を設定している。
【0081】
上述した実施例の構成にあっては、一つの有効期間リセットボタン52のボタン操作により遊技履歴有効期間を開始および満了するようにした構成であるが、その他の構成として、遊技履歴有効期間を開始する開始ボタンと遊技履歴有効期間を満了する満了ボタンとを配設したものとしても良い。この構成の場合には、開始ボタンを操作することなく遊技開始すると、上記の実施例と同様に、指認証データの照合判定により不一致となることから新たな遊技履歴有効期間を開始する。また、満了ボタンを操作することなく次の遊技者が遊技開始すると、指認証データの照合判定により不一致となることから、遊技履歴有効期間を満了して新たな遊技履歴有効期間を開始すると共に、遊技履歴データのQRコード48を表示しないようにする。このように開始ボタンと満了ボタンとを備えた構成にあっても、上述した実施例と同様の制御処理により、同じ作用効果を発揮でき得る。
【0082】
また、上述した実施例の構成にあっては、指認証検出センサを、指紋を検出するセンサとしたものであるが、その他の構成として、指静脈を検出するセンサとすることもできる。かかる構成にあっても、指静脈で遊技者個人を特定できるため、上述した実施例と同様の作用効果を奏する。また、指認証検出センサを発射ハンドル以外に配設することも可能である。ここで、指認証検出センサは、遊技者が遊技する際に指が必然的に触る位置(又は、その近傍)に設けることが好適である。例えば、遊技を開始する際に必ず操作する貸球ボタンに、そのボタン操作する指の指認証情報を検出する指認証検出センサを設けることも可能である。
【0083】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 パチンコ遊技機(遊技機)
9 発射ハンドル
14 画像表示器
51 有効期間設定ボタン装置
56 指認証検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者により操作可能に配設された有効期間設定ボタン装置と、
前記有効期間設定ボタン装置のボタン操作により開始又は/及び満了する遊技履歴有効期間を定め、該遊技履歴有効期間中の遊技履歴データを記憶する遊技履歴処理制御手段と、
前記有効期間設定ボタン装置のボタン操作により遊技履歴有効期間を満了すると、当該遊技履歴有効期間中の遊技履歴データに基づいて光学コードを生成する光学コード生成手段と、
該光学コードを画像表示器に表示する画像表示制御手段と、
所定の指認証情報を検出する指認証検出センサと、
所定の登録条件の成立を契機として、前記指認証検出センサにより検出した指認証情報を指認証登録情報として記憶する認証情報登録手段と、
前記指認証検出センサにより指認証情報を検出する毎に、認証情報登録手段により記憶した指認証登録情報と照合して、指認証の一致又は不一致を判定する照合判定処理手段と
を備えてなるものであって、
前記遊技履歴有効期間の満了前に照合判定処理手段により指認証が不一致と判定された場合に、当該遊技履歴有効期間を満了し且つ前記光学コードを表示しないようにする有効期間自動満了処理と、
遊技履歴有効期間の開始前に照合判定処理手段により指認証が不一致と判定された場合に、新たな遊技履歴有効期間を開始する有効期間自動開始処理と
を実行する有効期間自動設定処理手段を備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技者により回動操作される発射ハンドルを具備し、該発射ハンドルの回動操作に従って遊技球を発射する球発射手段を備えた遊技機であって、
指認証検出センサが、前記発射ハンドルを回動操作する遊技者の指紋または指静脈を検出するように配設されているものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
認証情報登録手段が、所定の登録条件の成立を契機として新たな指認証登録情報を記憶すると、前に記憶した指認証登録情報を消去するようにしているものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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