説明

遊技機

【課題】演出部材の移動に影響されることなく、保留表示手段による有効保留数の表示を確認し得るようにする。
【解決手段】保留表示装置50は、設置部材30の設置壁部31の前側に取付けられた底壁部材43の前側に取付けられる。保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53は、設置部材30の後側に取付けられた図柄表示装置Hにおける遊技盤Dの表示窓口28Aに臨む表示演出部H1の前方に重なる位置に設けられる。第1保留表示部52および第2保留表示部53と図柄表示装置Hとの間に、設置壁部31の前側に配設された第1可動演出装置100の第1演出部材102および第2演出部材103が配設される。第1可動演出装置100の第1演出部材102および第2演出部材103は、保留表示装置50の後方に重なる位置から、該保留表示装置よりも表示窓口28Aの中央側に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、始動入賞装置に入賞した遊技球の有効保留数を表示する保留表示手段を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等に代表される遊技機は、外枠に取り付けられる中枠と、裏側に設置部材が配設されて前記中枠に取り付けられる遊技盤と、前記中枠の前側に取り付けられる前枠等を備えている。前記遊技盤は、その前側に、案内釘、各種入賞装置および演出装置等が配設された遊技領域が画成され、盤面を前後に貫通する開口が前記遊技領域内に形成されている。前記開口の開口縁には、該開口縁に沿う形状に形成された環状の装飾部材(センター役物とも称される)が配設され、この装飾部材の内側開口が演出領域とされている。前記設置部材は、遊技盤の後面から後方へ離間して該後面と平行となる設置壁部を備えると共に、この設置壁部の中央には前記演出領域と前後に対向する表示開口が形成されている。前記設置壁部の後側には、表示部を前記表示開口に臨ませた状態で表示装置が取付けられると共に、該設置壁部の前側には、各種の演出装置が取付けられる。そして、前記表示装置の表示部および演出装置は、前記装飾部材の演出領域に臨んで遊技盤の前側から視認されるよう構成されている。このような遊技機は、パチンコ遊技に際して、前記遊技領域内へ打ち出した遊技球が該遊技領域における前記装飾部材の下方に配設した始動入賞装置に入賞すると、前記表示装置の表示部において図柄変動演出が行なわれると共に、この図柄変動演出に合わせて前記演出装置が、該演出装置に設けられた演出部材を姿勢変位させたり移動させて演出動作を行なうよう構成されている。
【0003】
前記遊技機では、パチンコ遊技において、前記表示装置の表示部での図柄変動演出中に前記始動入賞装置に次の遊技球が入賞して検出されると、予め設定された数(例えば4個)までを有効保留として記憶して、先に入賞した遊技球による表示部での図柄変動演出が終了すると、次に入賞した遊技球による図柄変動演出を連続して行なうようになっている。そして遊技機は、入賞した遊技球の有効保留数を表示する保留表示手段を備えており、遊技者に入賞した遊技球の有効保留数を表示するようになっている。ここで前記保留表示手段としては、前記設置壁部の前側における表示開口に隣接する部分に配設した複数のLEDランプから構成されたものや、該表示装置の表示部に絵柄や図柄等で表示するよう構成したもの等が挙げられる。このような入賞した遊技球の有効保留数を表示する保留表示手段を備えた遊技機は、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−340038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで前記演出装置は、前記表示装置の表示部より前側において該表示部の上下または左右の周囲に配設されており、前記演出部材のサイズを大型にしたり、該演出部材の移動量を大きく設定することで、演出効果を高めることができる。従って前記演出装置は、前記表示装置の表示部での図柄変動演出の内容に連動して、前記演出部材を該表示部の前側へ延出するよう構成したものも多く実施されている。このように演出部材が表示装置の前側または表示部の前側まで延出して、かつ該演出部材が延出した状態のまま暫く停止するような演出態様の場合には、前記保留表示手段の前側に演出部材が位置して該保留表示手段が隠れてしまい、入賞した遊技球の有効保留数を遊技者が迅速に確認できない不都合が発生している。
【0006】
そこで本発明は、前述した課題を解決するために案出されたものであって、演出部材の移動に影響されることなく、保留表示手段による有効保留数の表示を確認し得るよう構成した遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
遊技球が流下する遊技領域(10)が画成された遊技盤(D)の後側に配設され、前記遊技盤(D)に設けられた演出領域(28A)を介して該遊技盤(D)の前側に臨むと共に、前記遊技領域(10)に配設した始動入賞装置(20)への遊技球の入賞を契機として図柄変動演出が行なわれる表示装置(H)と、前記始動入賞装置(20)に入賞した遊技球の有効保留数を表示する保留表示手段(50)と、前記表示装置(H)の前方に重なる位置に移動可能な演出部材(102,103)とを備えた遊技機において、
前記演出領域(28A)に臨む表示装置(H)の前方に重なる位置に、前記保留表示手段(50)が配設され、
前記保留表示手段(50)と前記表示装置(H)との間に前記演出部材(102,103)が配設されたことを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、始動入賞装置への入賞が検出された遊技球の有効保留数を表示する保留表示手段が、表示装置の表示部に前方に重なる位置に配設すると共に、保留表示手段と表示部との間に演出部材を配設したから、演出部材が表示装置の表示部の前方へ移動しても保留表示手段が該演出部材で隠れることがない。従って、演出部材の動作に影響されることなく、常に保留表示手段での有効保留数の表示を視認することができ、有効保留数を的確かつ迅速に確認することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、
前記保留表示手段(50)は、前記演出領域(28A)の外周部側に位置するよう配設され、
前記演出部材(102,103)は、前記保留表示手段(50)の後方に重なる位置から、該保留表示手段(50)の配設位置よりも前記演出領域(28A)の中央側に移動するよう構成されたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、演出部材は、演出領域の外周部側に位置した保留表示手段の後方に重なる位置から、該演出領域の中央側に移動するよう構成されているので、該演出部材の移動中であっても保留表示手段による有効保留数の表示を適切に確認することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、
前記遊技盤(D)は、後側に該遊技盤(D)との間に空間を画成する設置部材(30)が設けられて、該設置部材(30)の後側に前記表示装置(H)が配設されると共に、
前記演出部材(102,103)および保留表示手段(50)が、前記設置部材(30)の前側に配設されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、設置部材を遊技盤から取り外すことで、演出部材および保留表示手段を遊技盤から簡易に取り外すことができ、これら演出部材および保留表示手段の再利用が容易になる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、
前記演出領域(28A)には、前記保留表示手段(50)を透視可能な透視保護板(95)が、該保留表示手段(50)の前側に配設されていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、演出領域内において遊技球が保留表示手段の前側へ移動しても、該遊技球は透視保護板に衝突して保留表示手段には衝突しないから、該保留表示手段の破損や表示不良等を防止し得る。また、透視保護板が保留表示手段の前側に配設されていても、該保留表示手段による入賞球の有効保留数の表示を適切に確認することができる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明に係る遊技機によれば、演出部材の移動に影響されることなく、保留表示手段による有効保留数の表示を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例のパチンコ機の正面図である。
【図2】実施例のパチンコ機における遊技盤の正面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】可動演出装置等を設置した設置部材に、保留表示装置を取付ける状態を示す斜視図である。
【図5】前側から見た保留表示装置の分解斜視図である。
【図6】後側から見た保留表示装置の分解斜視図である。
【図7】第3姿勢に姿勢変位した可動演出装置の正面図である。
【図8】可動演出装置の分解斜視図である。
【図9】(a)は、可動演出装置が第1姿勢における設置部材の正面図であり、(b)は、(a)のIX−IX線断面図である。
【図10】(a)は、可動演出装置が第3姿勢における設置部材の正面図であり、(b)は、可動演出装置を除く各部材を、(a)のX−X線で破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、遊技機としては、一般的なパチンコ機Pを例にして説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機Pを前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0015】
(パチンコ機)
実施例に係るパチンコ機Pは、図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠Aの開口前面側に、遊技盤Dを着脱可能に保持する本体枠としての中枠Bが、開閉および着脱可能に組み付けられている。そして、前記遊技盤Dの裏側に、所定条件の成立(後述する始動入賞装置20への遊技球(パチンコ球)の入賞)を契機として演出用の図柄を変動表示させて図柄変動演出を行なう図柄表示装置(表示装置)Hが着脱可能に配設されている。また、前記中枠Bの前面側には、前記遊技盤Dを透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板26で前後に開口する窓部を覆うよう構成された装飾枠としての前枠Cが開閉可能に組み付けられると共に、該前枠Cの下方に遊技球を貯留する下球皿Fが前記中枠Bに組み付けられる。更に、前記前枠Cの下部位置に、遊技球を貯留する上球皿Eが一体的に組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて上球皿Eも一体的に開閉するよう構成される。
【0016】
前記中枠Bの右下方位置には、該中枠Bに配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドルGが設けられており、該操作ハンドルGの操作により打球発射装置が作動することで、前記上球皿Eに貯留された遊技球が所定間隔で1球ずつ前記遊技盤Dに向けて連続的に発射されるようになっている。なお実施例では、前記図柄表示装置Hとして、各種図柄を表示可能な液晶パネルからなる表示演出部H1を備えて該表示演出部H1を収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。また、前記上球皿Eは、前記前枠Cと別体に形成して中枠Bに対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0017】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、図2に示すように、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂製板やベニア等の木製合板を材質とし、前記中枠Bに設けた遊技盤保持部(図示せず)の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状に形成され、その前側には遊技領域10が設けられると共に、その後側には図3および図4に示す設置部材30が配設されている。また、前記遊技盤Dの前側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール11と、この外レール11の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール12と、外レール11の右上部から内レール12の下部までの間に右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材13等が配設されており、両レール11,12および盤面飾り部材13で囲まれた内側が前記遊技領域10として構成されている。これにより、前記打球発射装置から発射された遊技球は、外レール11と内レール12との間を通って遊技領域10の左上部に打ち出された後、該遊技領域10内を流下する。但し、前記内レール12の延在長を大きく設定して、前記外レール11および該内レール12で遊技領域10を形成するように構成してもよい。
【0018】
前記遊技盤Dには、図3に示すように、中央に大きな貫通口14が形成され、演出領域として前後に開口した表示窓口28Aが形成された枠状装飾部材(装飾部材)28が、該貫通口14の開口縁を覆うように配設されている。この枠状装飾部材28には、遊技盤Dの前側に露出する部分に、前記設置部材30の後側に着脱可能に配設された前記図柄表示装置H(図3参照)の表示演出部H1で表示される図柄変動演出の内容に合わせた装飾が施されている。そして、図2および図4に示すように、前記枠状装飾部材28の表示窓口28Aには、前記設置部材30の後側に配設された図柄表示装置Hの表示演出部H1や、該設置部材30の前側に配設される後述の可動演出装置100および第1〜第3の装飾部材40,41,42や、後述する保留表示装置50等が臨むように構成されている。
【0019】
また、前記枠状装飾部材28は、図2および図3に示すように、表示窓口28Aの左側部に、遊技領域10に開口すると共に該表示窓口28Aの左側下部に開口する球通入口90が形成され、表示窓口28Aの内周下部には、左右に延在すると共に前記球通入口90に連通する球案内面91が設けられている。更に、前記枠状装飾部材28における前記始動入賞装置20の上側に位置する部分には、前記球案内面91に開口すると共に前記遊技領域10に開口する球通出口92が設けられている。従って、遊技領域10を流下した遊技球の一部は、前記球通入口90を介して前記球案内面91内に流入し、該球案内面91の上面を左右に転動した後、該案内面91から前方へ移動して遊技領域10へ落下するか前記球通出口92を介して前記始動入賞装置20の上方へ落下するようになっている。
【0020】
そして、前記枠状装飾部材28には、図1〜図3に示すように、前記表示窓口28Aの下側領域に位置する透明保護板95が配設され、球案内面91へ流入した遊技球が表示窓口28Aから後方へ落下するのを防止するようになっている。前記透明保護板95は、透明な板状部材であって、前記球案内面91の後側において左右に延在すると共に該球案内面91の後端から上方へ立ち上がった第1保護板部96と、この第1保護板部96の上縁から前方へ延出すると共に左右に水平に延在し、前記球案内面91の上方に位置する第2保護板部97とを備えている。前記第1保護板部96は、前記球通入口90における表示窓口28A側の開口より高く、かつ前記第1保留表示部52および第2保留表示部53の上縁より僅かに高い位置まで立ち上がった高さに設定されている。なお、透明保護板95は、その後側に配設された前記第1保留表示部52および第2保留表示部53や、後述する第1装飾部材40および後述する可動演出装置100の透視を阻害しない。
【0021】
また前記遊技盤Dには、前記貫通口の真下における左右中央に第1装着口15(図3参照)が開設され、該貫通口の左下方(第1装着口15の左側)に第2装着口(図示せず)が開設されている。前記第1装着口15内の上方には始動入賞装置20が前側から配設されると共に、該第1装着口15内の下方には特別入賞装置21が前側から配設され、特別入賞装置21が始動入賞装置20の真下に位置している。実施例における前記始動入賞装置20は、第1始動入賞口20Aと、該第1始動入賞口20Aの真下に設けた第2始動入賞口20Bとを備えており、両始動入賞口20A,20Bの何れかに遊技球が入賞すると、これを契機として前記図柄表示装置Hが図柄変動演出を行なうようになっている。また前記第2装着口には、図2に示すように、複数(実施例では3つ)の入賞口22Aが配列された普通入賞具22が配設されている。なお、遊技盤Dの前面における前記遊技領域10内には、多数の球案内釘23や回転球案内具24等が配設されている。
【0022】
前記始動入賞装置20、特別入賞装置21および普通入賞具22には、各々に入賞した遊技球を検知する球検知スイッチが個別に配設され、各球検知スイッチからの球検知信号は、前記設置部材30の後側に取り付けられて当該パチンコ機Pを総合的に制御する主制御装置(図示せず)に送出される。前記主制御装置は、前記始動入賞装置20の球検知スイッチからの検出信号を受けると、大当たり抽選を行なうと共に、前記設置部材30の後側に取り付けられた統括制御装置(図示せず)に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、前記中枠Bの後側に配設された払出制御装置(図示せず)に制御信号を出力して、球払出装置(図示せず)に所定数の賞球を払い出させる。そして、前記主制御装置における前記大当たり抽選の結果として大当たりが発生する場合には、図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄変動演出の後に、該表示演出部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示され、前記特別入賞装置21の開閉扉21Aが開放位置に姿勢変位して多数の遊技球の入賞が可能となる。また主制御装置は、前記特別入賞装置21の球検知スイッチからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。更に主制御装置は、前記普通入賞具22の球検知スイッチからの検出信号を受けると、前記払出制御装置に制御信号を出力して前記球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0023】
(設置部材)
前記設置部材30は、図2〜図4に示すように、前方に開放する略矩形のケース状に一体成形された合成樹脂製の部材であって、前側の開放端を遊技盤Dの後面に突き合わせて該遊技盤Dに取り付けられる。この設置部材30は、遊技盤Dの後面に対して後方から所要の間隔で平行に対向して該遊技盤Dの後面を構成する設置壁部31と、この設置壁部31の周縁から前方へ延出形成された外周壁部32と、この外周壁部32の前端から外方に向けて屈曲した形状に形成された取付板部33等を備えている。すなわち設置部材30は、外周壁部32で囲われて遊技盤D側に開放する前部開口が矩形状に形成されると共に、取付板部33の外周縁が、遊技盤Dの外周縁より一回り小さい形状および大きさで形成されている。このような設置部材30は、取付板部33を遊技盤Dの後面にネジ止めすることで該遊技盤Dに固定され、遊技盤Dの後面から離間した設置壁部31の前側に、前記可動演出装置100や、第1〜第3の装飾部材40,41,42や、各種付属部品等の設置を可能とする空間SPを画成する。
【0024】
前記設置部材30の設置壁部31には、図3および図4に示すように、前後に貫通する表示開口(表示部)34が形成されており、該設置壁部31の後側には、該表示開口34に前記表示演出部H1を臨ませた状態で前記図柄表示装置Hが着脱可能に取り付けられる。この図柄表示装置Hは、前記表示演出部H1を構成する液晶パネルが収容ケースに収容されたユニット部材であって、該収容ケースの後面には、該図柄表示装置Hの表示演出部H1の表示制御を行なう表示制御装置と、当該パチンコ機Pの遊技演出を統括的に制御する前記統括制御装置が配設される。統括制御装置には、設置壁部31の後側に配設した中継基板(図示せず)を介して前記図柄表示装置H、前記前枠Cに配設された照明装置や前記中枠Bに配設されたスピーカ等が電気的に接続されており、該統括制御装置から出力される制御信号に基づいて各装置が作動制御される。また統括制御装置には、設置壁部31の前側に配設された前記各装飾部材40,41,42や、前記可動演出装置100等が電気的に接続されており、該統括制御装置から出力される制御信号に基づいて各照明装置の点灯制御や可動演出装置100の作動が制御される。なお実施例では、前記設置壁部31について、表示開口34の上側部分を上板部31A、表示開口34の下側部分を下板部31B、表示開口34の右側部分を右板部31C、表示開口34の左側部分を左板部31Dと各々指称する。前記設置壁部31の上板部31A、下板部31B、右板部31Cおよび左板部31Dは、前後方向への部分的な凹凸や段差があるものの、基本的には垂直に形成されて前記遊技盤Dの後面と平行になっている。
【0025】
実施例のパチンコ機Pでは、図4、図9および図10に示すように、前記設置壁部31における左板部31Dの前面下側に、前記下板部31Bの前方に延出する前記可動演出装置100が配設されている。そして、前記設置壁部31における下板部31Bの前面には、前記表示開口34の左右開口幅と略同じ左右寸法の前記第1装飾部材40が配設され、前記左板部31Dの前面上側に第2装飾部材41が配設されると共に、右板部31Cの前面に第3装飾部材42が配設されている。また、前記下板部31Bにおける前記第1装飾部材40の下側には、左右方向へ延在して右側部分が上方へ突出すると共に所要の前後幅に形成された底壁部材43が配設されている。これにより、前記第1装飾部材40の前側には、上方および前方に開口する凹みが形成されている。この凹みは、図9(b)および図10(b)に示す後述の収容空間86を画成するもので、前記底壁部材43は該収容空間86の下面を画成する。
【0026】
(保留表示装置)
そして、実施例のパチンコ機Pでは、パチンコ遊技において、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄変動演出中に前記始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aまたは第2始動入賞口20Bに次の遊技球が入賞して検出されると、予め設定された数(実施例では各々の始動入賞口20A,20B毎に4個)までを有効保留として記憶して、先に入賞した遊技球による表示部での図柄変動演出が終了すると、次に入賞した遊技球による図柄変動演出を連続して行なうようになっている。このため前記パチンコ機Pでは、前記始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aで発生した保留球に係る有効保留数と、前記第2始動入賞口20Bで発生した保留球に係る有効保留球とを表示する保留表示手段としての保留表示装置50が、図3、図4、図9および図10に示すように、前記底壁部材43の前側および可動演出装置100の前側に取付けられている。すなわち前記保留表示装置50は、前記設置部材30の設置壁部31の前側に配設された前記可動演出装置100や、第1〜第3の各装飾部材40,41,42および底壁部材43より前側に位置するよう配設されている。
【0027】
前記保留表示装置50は、図3〜図6に示すように、前記表示開口34の左右開口幅と略同じ横幅寸法で横長に形成されて、前記底壁部材43の前側および可動演出装置100の前側に固定される本体部51と、この本体部51の上部左側から上方へ突出すると共に右方へ屈曲して延出する第1保留表示部52と、前記本体部51の上部右側から上方へ突出すると共に左方へ屈曲して延出する第2保留表示部53とを備えている。前記第1保留表示部52は、前記始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aに入賞した遊技球の有効保留数を表示するものであり、前記第2保留表示部53は、該始動入賞装置20の第2始動入賞口20Bに入賞した遊技球の有効保留数を表示するものである。このような保留表示装置50は、前記本体部51、第1保留表示部52および第2保留表示部53を一体に形成した前パネル部材55と、この前パネル部材55の後側に取付けられた後パネル部材56と、これら前パネル部材55と後パネル部材56との間に挟持された表示基板57とで構成されている。
【0028】
(前パネル部材)
前記前パネル部材55は、図5および図6に示すように、本体部51、第1保留表示部52および第2保留表示部53の前面を構成する前板55Aと、この前板55Aの外縁から後方へ突出すると共に該外縁に沿って延在する外周リブ55Bとを一体に成形した成形部材であり、前記外周リブ55Bで囲まれた前板55Aの後側部分が、前記表示基板57を収容する基板収容部とされている。なお、前記前パネル部材55は、単一に構成されたものや、複数に分割された成形部材から構成されたものであってもよい。
【0029】
前記前パネル部材55において前記第1保留表示部52に対応する部位には、図5および図6に示すように、複数(実施例では4個)の開口58が右下がりの直線上に一列に形成されており、各開口58に整合するレンズ部59Aを備えたレンズ部材59が後側から配設される。また、前記前パネル部材55において前記第2保留表示部53に対応する部位には、複数(実施例では4個)の開口60が左下がりの直線上に一列に形成されており、各開口60に整合するレンズ部61Aを備えたレンズ部材61が後側から配設されている。前記各レンズ部材59,61は、光の透過が可能な透明または半透明の部材であり、レンズ部59A,61Aの前面は凹凸状または多面状に形成されて光拡散効果を有すると共に、必要に応じて適宜の色に着色される。また、前記パネル部材55の前板55Aにおいて前記本体部51に対応する部位には、該本体部51の上縁に沿って左右方向へ複数(実施例では4個)の開口62が形成されており、前記表示基板57に設けた発光体としてのLED66が各開口62に臨むようになっている。このような実施例の保留表示装置50は、図1および図2に示すように、前記第1保留表示部52および第2保留表示部53が表示窓口28A内へ突出し、前記本体部51は枠状装飾部材28の後側に位置するようになっている。
【0030】
前記パネル部材55の前記本体部51の上縁には、前側および上側に開口した凹部63が形成されており、遊技盤Dの後面に設置部材30を取付けた際に前記枠状装飾部材28に設けた後述する球通出口92と前記凹部63とが整合して、保留表示装置50と枠状装飾部材28との干渉を回避するようになっている。なお、前記本体部51の右側前部は、前記枠状装飾部材28の右下部に形成された円形状の装飾部(図2参照)を後側から照明する照明装置68が取付けられるようになっている(図4参照)。
【0031】
(表示基板)
前記表示基板57は、図5および図6に示すように、前記前パネル部材55の外周リブ55Bの内周輪郭形状より一回り小さい外周輪郭形状に形成され、前記本体部51の後側から前記第1保留表示部52の後側および第2保留表示部53の後側まで延在している。この表示基板57の前面には、前記第1保留表示部52に設けた4個の開口に各々対応する発光体としての4個のLED64と、前記第2保留表示部53に設けた4個の開口に各々対応する4個のLED65と、前記本体部51に設けた開口62に各々2個ずつが対応する8個のLED66とが配設されている。従って、前記第1保留表示部52には、前記レンズ部材59の各レンズ部59Aおよび各LED64が1つずつ対をなした合計4個の保留表示ランプ71,72,73,74が設けられ、前記第2保留表示部53には、前記レンズ部材61の各レンズ部61Aおよび各LED65が1つずつ対をなした合計4個の保留表示ランプ75,76,77,78が設けられている。また、前記各開口62に臨む各LED66は、前記本体部51の前側に位置する前記枠状装飾部材28の後側に位置して、該枠状装飾部材28の対向する部位を後側から照射する。なお、前記表示基板57の後面には、前記設置部材30の設置壁部31の後側に配設した中継基板(図示せず)からの配線が接続されるコネクタ接続端子69が配設されている。
【0032】
(後パネル部材)
後パネル部材56は、図5および図6に示すように、前記前パネル部材55の後面に後方へ突設した複数のボス80に整合するネジ挿通孔81が形成されており、該後パネル部材56の後側から該ネジ挿通孔81を介して前記ボス80の先端に形成したネジ孔へネジ(図示せず)を締結することで、前パネル部材55の後側に取付けられる。前記後パネル部材56の前面には、後方へ凹んだ凹み部82が形成されており、この凹み部82の周囲が前記表示基板57の後面に接触することで該後パネル部材56と表示基板57の後面との間に空間を画成するようになっている。従って後パネル部材56は、表示基板57の回路部品67(図6参照)の配設部位に前記凹み部82が整合することで、該回路部品67が該後パネル部材56に接触することを防止するよう構成されている。
【0033】
前述のように構成された実施例の保留表示装置50は、図3、図9および図10に示すように、前パネル部材55を前側に向けた姿勢で、前記底壁部材43および可動演出装置100の前側に取付けられ、前記第1装飾部材40の前側に画成された凹みの前側開口を塞ぐように配設される。前パネル部材55には、前後に貫通するネジ挿通孔84が複数(実施例では4個)形成され、前記底壁部材43の前面および可動演出装置100の装置本体101の前面には、図4に示すように各ネジ挿通孔84に整合するネジ締結ボス85が形成されており、保留表示装置50の前側から前記ネジ挿通孔84を介してネジ(図示せず)をネジ締結ボス85に締結することで、該保留表示装置50が底壁部材43の前側および可動演出装置100の前側に固定される。そして、底壁部材43および可動演出装置100の装置本体101に取付けられた保留表示装置50の後側には、図3、図9(b)、図10(b)に示すように、前記第1装飾部材40との間に、該底壁部材43の前後幅と同じ前後幅で上方へ開口した収容空間86が画成される。
【0034】
前記設置部材30の設置壁部31における下板部31Bの前方に配設された前記保留表示装置50は、図2および図3に示すと共に前述したように、当該設置部材30を遊技盤Dの後側に取付けると、前記第1保留表示部52および第2保留表示部53が表示窓口28A内へ下方から突出し、前記本体部51は枠状装飾部材28の後側に位置する。そして、前記第1保留表示部52および第2保留表示部53は、前記設置部材30に設けられた表示窓口28Aの外周部側に位置して、該表示開口34に臨む図柄表示装置Hの表示演出部H1の前方に重なるように位置している。すなわち、第1保留表示部52および第2保留表示部53は、前記表示演出部H1の下側に重なるように位置している。
【0035】
(第1保留表示部)
前記第1保留表示部52は、図2および図4に示すように、前記レンズ部材59の各レンズ部59Aおよび各LED64からなる4個の保留表示ランプ、すなわち正面左側から第1保留表示ランプ71、第2保留表示ランプ72、第3保留表示ランプ73および第4保留表示ランプ74を備えている。このような第1保留表示部52は、前記始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aにおいて遊技球の連続入賞により有効保留数が「1」となった場合には、前記第1保留表示ランプ71のLED64が発光制御され、これにより該第1保留表示ランプ71が点灯して有効保留数が1つであることを表示する。そして、第1始動入賞口20Aにおける有効保留数が「2」となった場合には、更に前記第2保留表示ランプ72のLED64が発光制御され、前記第1保留表示ランプ71および当該第2保留表示ランプ72が同時に点灯して有効保留数が2つであることを表示する。また、第1始動入賞口20Aにおける有効保留数が「3」となった場合には、第1〜第3の各保留表示ランプ71,72,73が同時に点灯して有効保留数が3つであることを表示し、第1始動入賞口20Aにおける有効保留数が「4」となった場合には、第1〜第4の各保留表示ランプ71,72,73,74が同時に点灯して有効保留数が4つであることを表示するようになっている。
【0036】
(第2保留表示部)
前記第2保留表示部53は、図2および図4に示すように、前記レンズ部材61の各レンズ部61Aおよび各LED65からなる4個の保留表示ランプ、すなわち正面右側から第5保留表示ランプ75、第6保留表示ランプ76、第7保留表示ランプ77および第8保留表示ランプ78を備えている。このような第2保留表示部53は、前記始動入賞装置20の第2始動入賞口20Bにおいて遊技球の連続入賞により有効保留数が「1」となった場合には、前記第5保留表示ランプ75のLED65が発光制御され、これにより該第5保留表示ランプ75が点灯して有効保留数が1つであることを表示する。そして、第2始動入賞口20Bにおける有効保留数が「2」となった場合には、更に前記第6保留表示ランプ76のLED65が発光制御され、前記第5保留表示ランプ75および当該第6保留表示ランプ76が同時に点灯して有効保留数が2つであることを表示する。また、第2始動入賞口20Bにおける有効保留数が「3」となった場合には、第5〜第7の各保留表示ランプ75,76,77が同時に点灯して有効保留数が3つであることを表示し、第2始動入賞口20Bにおける有効保留数が「4」となった場合には、第5〜第8の各保留表示ランプ75,76,77,78が同時に点灯して有効保留数が4つであることを表示するようになっている。
【0037】
前記第1保留表示部52および第2保留表示部53の前側には、図1〜図3に示すと共に前述したように、前記枠状装飾部材28に配設した前記透明保護板95が位置している。従って、前記球通入口90から表示窓口28A内へ流入した遊技球が、前記第1保留表示部52および第2保留表示部53の前側において球案内面91を転動する際に、前記透明保護板95により両保留表示部52,53の前面に接触することが防止されるようになっている。
【0038】
(可動演出装置)
前記可動演出装置100は、図7〜図10に示すように、前記設置壁部31の左板部31Dの前面下部から下板部31Bの前面左部の部位に固定される装置本体101と、この装置本体101に回転可能に配設された第1演出部材102と、この第1演出部材102に進退可能に配設された第2演出部材103とを備えている。この可動演出装置100は、非作動時において、前記第2演出部材103が第1演出部材102側に移動した状態で、前記保留表示装置50と前記図柄表示装置Hとの間に上方から収容されると共に、作動時には上方へ回転して前記表示開口34の中央側に向けて右上がりの傾斜状に姿勢変位するようになっている。すなわち可動演出装置100は、前記保留表示装置50の後方に重なって位置する第1姿勢(図9参照)と、この第1姿勢から前記第1演出部材102が回転して(第2演出部材103に後退したまま)、保留表示装置50の配設位置よりも表示窓口28Aの中央側に移動して前記表示開口34の前方へ延出した第2姿勢と、更に第2姿勢の状態から第2演出部材103が第1演出部材102から延出した第3姿勢(図10参照)とに姿勢変位が可能となっている。
【0039】
(装置本体)
装置本体101は、図7および図8に示すように、前後に組付けられる前ケース体104および後ケース体105を備え、これら前ケース体104と後ケース体105とを組付けることで、右側に開口した内部空間を画成して前記第1演出部材102を収容保持し得るように構成されている。前記前ケース体104および後ケース体105には、前記第1演出部材102を回転自在に支持する回転支持部106,106が、前後方向に回転中心軸を延在させた状態で形成されている。また、後ケース体105の上部には、前記第1演出部材102を回転変位させる第1駆動手段としての第1電動モータ107が取付けられている。このような装置本体101は、ネジ等により前記設置壁部31の左板部31Dの前側に固定される。
【0040】
(第1演出部材)
前記第1演出部材102は、図7および図8に示すように、前後に組付けられる前半体108および後半体109と、これら前半体108および後半体109の間に配設される仕切板110とを備え、該仕切板110を挟んで前半体108と後半体109とを組付けることで、前記仕切板110の前後に各々空間が画成された中空体として構成されている。そして第1演出部材102は、前記装置本体101に設けた回転支持部106,106に前後から支持されて、該回転支持部106を中心として回転が可能となっている。前記後半体109の後面には、前記回転支持部106の回転中心に円弧中心が整合した円弧状のラックギア111が配設されており、このラックギア111は、前記第1電動モータ107の駆動軸に設けた駆動ギアと中間ギア112を介して連係されている。従って第1演出部材102は、第1電動モータ107の駆動により、前記回転支持部106を中心として垂直面に沿って回転変位する。
【0041】
前記第1演出部材102の仕切板110には、図8に示すように、該仕切板110の前面下部に、前記第2演出部材103をスライド可能に支持する一対のガイドレール113,113が、上下方向に離間して平行に配設されている。また、前記仕切板110における前記ガイドレール113の間には、該仕切板110を前後に貫通すると共に該ガイドレール113,113と平行に延在する第1スリット114が形成されている。この第1スリット114には、前記第2演出部材103に後方へ延出するように設けられたガイドピン123(図8参照)が前側から係合して摺動するようになっている。また、仕切板110の前面上部には、前記第2演出部材103を前記ガイドレール113,113に沿って往復スライド移動させる第2駆動手段としての第2電動モータ115が配設されている。更に、前記仕切板110には、前記装置本体101の回転支持部106,106と同一軸線上に位置する第2回転支持部116が設けられており、該仕切板110の後側には、この第2回転支持部116に回転自在に支持されるレバー体117が配設されている。
【0042】
前記レバー体117には、図8に示すように、前記第2回転支持部116を中心とした円弧状の第2ラックギア118が配設され、この第2ラックギア118は、前記第2電動モータ115の駆動軸に固定された駆動ギアと連係している。また、レバー体117は、前記ガイドレール113,113と前後に重なる位置に延在する第2スリット119が形成されており、前記第2演出部材103に設けた前記ガイドピン123が前側から係合して摺動するようになっている。
【0043】
(第2演出部材)
前記第2演出部材103は、図8に示すように、前記ガイドレール113,113に摺動可能に係合する支持部120と、この支持部120の右端に環一体成形された環状部121とを備えている。前記支持部120には、前記ガイドレール113,113に各々摺動可能に係合するスライド部122,122が設けられる共に、前記第1スリット114を貫通して前記第2スリット119に摺動可能に係合する前記スライドピン123が設けられている。前記スライド部122,122を前記ガイドレール113,113に係合させると共に前記ガイドピン123を前記第2スリット119に係合させた状態で前記仕切板110に配設された前記第2演出部材103は、前記第2電動モータ115の駆動により、前記レバー体117が回転することで前記ガイドレール113,113に沿って往復移動し、第1演出部材102内に後退した後退位置(図9参照)と、該第1演出部材102から延出した延出位置(図10参照)との間を進退移動するようになる。なお前記第2演出部材103は、前記後退位置および延出位置、そして該後退位置と延出位置との間を移動する際には、前記第1演出部材102より前方へ延出したり迫り出さないようになっている。
【0044】
前記可動演出装置100は、図9に示すように、前記収容空間86に収容された第1姿勢において、前記第1演出部材102および第2演出部材103が前記保留表示装置50より後方に位置している。そして可動演出装置100は、前記第1電動モータ107および第2電動モータ115の駆動により、図10に示すように、第3姿勢に姿勢変位した際にも、前記第1演出部材102および第2演出部材103が前記保留表示装置50より後方を移動するようになる。更に、前記第1姿勢と第2姿勢との間を姿勢変位する際および第2姿勢と第3姿勢との間を姿勢変位する際も、前記第1演出部材102および第2演出部材103が前記保留表示装置50より後方を移動して前方へ移動したり迫り出すことがない。
【0045】
(実施例の作用)
前述のように構成された実施例のパチンコ機Pでは、前記遊技盤Dの遊技領域10へ打ち出された遊技球が前記始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aまたは第2始動入賞口20Bに入賞して、該始動入賞装置20に配設された球検知スイッチによる球検知信号を前記主制御装置が受けると、該主制御装置は、大当たり抽選を行なうと共に、前記統括制御装置に制御信号を出力して前記図柄表示装置Hの表示演出部H1において図柄変動演出を行なわせる。そして主制御装置は、前記大当たり抽選の結果として大当たりが発生すると、前記統括制御装置を介して図柄表示装置Hの表示演出部H1に所定の図柄組合わせで図柄を停止表示させ、前記特別入賞装置21の開閉扉21Aを開放動作させて入賞口を開放させる。また前記統括制御装置は、前記主制御装置からの制御信号に基づき、前記可動演出装置100や、前記第1〜第3の各装飾部材40,41,42や、その他の遊技部品を、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄演出内容に合わせて総合的に作動制御する。
【0046】
実施例のパチンコ機Pは、パチンコ遊技において、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄変動演出中に前記始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aまたは第2始動入賞口20Bに次の遊技球が入賞して検出されると、予め設定された数(実施例では各々の始動入賞口20A,20B毎に4個)までを有効保留として記憶して、先に入賞した遊技球による表示部での図柄変動演出が終了すると、次に入賞した遊技球による図柄変動演出を連続して行なう。そして前記保留表示装置50では、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄変動演出中に前記始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aに次の遊技球が入賞して検出されると、該第1始動入賞口20Aにおいて遊技球の連続入賞により有効保留数が「1」となるので、前記第1保留表示部52の第1保留表示ランプ71が点灯して有効保留数が1つであることを表示する。また、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄変動演出中に更に第1始動入賞口20Aに次の遊技球が入賞して検出されると、該第1始動入賞口20Aにおいて遊技球の連続入賞により有効保留数が「2」となるので、前記第1保留表示部52の第1保留表示ランプ71および第2保留表示ランプ72が点灯して有効保留数が2つであることを表示する。更に、第1始動入賞口20Aにおける有効保留数が「3」となった場合には、第1〜第3の各保留表示ランプ71,72,73が同時に点灯して有効保留数が3つであることを表示し、第1始動入賞口20Aにおける有効保留数が「4」となった場合には、第1〜第4の各保留表示ランプ71,72,73,74が同時に点灯して有効保留数が4つであることを表示するようになっている。なお、有効保留数が「4」の状態において更に第1始動入賞口20Aに遊技球が入賞した場合には、これは有効保留球としては認定されない。
【0047】
一方、前記保留表示装置50は、パチンコ遊技において、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄変動演出中に前記始動入賞装置20の第2始動入賞口20Bに次の遊技球が入賞して検出されると、該第2始動入賞口20Bにおいて遊技球の連続入賞により有効保留数が「1」となるので、前記第2保留表示部53の第5保留表示ランプ75が点灯して有効保留数が1つであることを表示する。また、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1での図柄変動演出中に更に第2始動入賞口20Bに次の遊技球が入賞して検出されると、該第2始動入賞口20Bにおいて遊技球の連続入賞により有効保留数が「2」となるので、前記第2保留表示部53の第5保留表示ランプ75および第6保留表示ランプ76が点灯して有効保留数が2つであることを表示する。更に、第2始動入賞口20Bにおける有効保留数が「3」となった場合には、第5〜第7の各保留表示ランプ75,76,77が同時に点灯して有効保留数が3つであることを表示し、第2始動入賞口20Bにおける有効保留数が「4」となった場合には、第5〜第8の各保留表示ランプ75,76,77,78が同時に点灯して有効保留数が4つであることを表示するようになっている。なお、有効保留数が「4」の状態において更に第2始動入賞口20Bに遊技球が入賞した場合には、これは有効保留球としては認定されない。
【0048】
そして、前記可動演出装置100は、前記保留表示装置50と図柄表示装置Hの表示開口34に臨む表示演出部H1との間において、前記第1姿勢と第2姿勢との間および第2姿勢と第3姿勢との間を姿勢変位する。従って、前記保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53が、前記可動演出装置100の姿勢変位する第1演出部材102および第2演出部材103で隠れることがない。
【0049】
また、前記保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53は、前記表示窓口28Aの外周部下側に位置して、前記図柄表示装置Hにおける前記表示開口34に臨んだ表示演出部H1の前方に重なるように位置している。従って、表示演出部H1で表示される図柄演出表示と、第1保留表示部52の第1〜第4の各保留表示ランプ71〜74の点灯および第2保留表示部53の第5〜第8の各保留表示ランプ75〜78とが重なって表示されるようになる。特にパチンコ機では、前記図柄表示装置Hの表示演出部H1内の外周部下側等に画像により保留表示するものが多く、前記保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53が前記表示演出部H1の外周部下側の前方に重なって位置しているから、遊技者は違和感なく各保留表示部52,53における各保留表示ランプ71〜78の位置を把握できる。
【0050】
前述のように構成された実施例のパチンコ機Pによれば、保留表示装置50を、図柄表示装置Hの表示演出部H1の前方に重なる位置に配設すると共に、保留表示装置50と該表示演出部H1との間に可動演出装置100を配設して、該可動演出装置100の第1演出部材102および第2演出部材103が、保留表示装置50と表示演出部H1との間において該保留表示装置50の後方に重なる位置から表示窓口28Aの中央側に移動するよう構成したから、該保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53が両演出部材102,103で隠れることがない。従って、可動演出装置100の第1演出部材102および第2演出部材103の姿勢変位時の動作に影響されることなく、常に保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53での有効保留数の表示を視認することができ、始動入賞装置20の第1始動入賞口20Aの有効保留数および第2始動入賞口20Bの有効保留数を的確かつ迅速に確認することができる。
【0051】
また、前記図柄表示装置Hにおける前記表示開口34に臨んだ表示演出部H1での図柄演出表示と、該表示演出部H1の前方に重なって位置する第1保留表示部52の第1〜第4の各保留表示ランプ71〜74の点灯および第2保留表示部53の第5〜第8の各保留表示ランプ75〜78の点灯表示とが重なるようになるから、図柄演出部H1での図柄演出表示と各第1〜第8の各保留表示ランプ71〜78の点灯表示とを連動させることができる。また、図柄演出部H1の前方に離れた位置で第1〜第8の各保留表示ランプ71〜78が点灯するので、立体感のある演出表示を行なうこともできる。
【0052】
そして、前記保留表示装置50は、前記可動演出装置100等が前側に取付けられた前記設置部材30に取付けられるから、遊技盤Dに対する設置部材30の着脱により遊技盤Dに対して着脱されるから、該遊技盤Dに対する着脱作業が簡素化される。また、可動演出装置100および保留表示装置50は、設置部材30を遊技盤Dから取り外すことで該遊技盤Dから簡単に取り外すことができるから、これら可動演出装置100および保留表示装置50の再利用が容易になる。また、前記保留表示装置50は、前記設置部材30の前側において前記可動演出装置100の前側に取付けられるから、これら保留表示装置50と該可動演出装置100とが規定の配設位置関係で設置され、可動演出装置100の姿勢変位時に保留表示装置50と第1演出部材102および第2演出部材103とが接触する不都合が回避される。
【0053】
また、実施例のパチンコ機Pでは、枠状装飾部材28の表示窓口28A内において、前記保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53の前側に前記透明保護板95が位置するから、該表示窓口28A内の球案内面91へ遊技球が通入されても、該遊技球と前記第1保留表示部52および第2保留表示部53との接触が回避され、遊技球との接触による両保留表示部52,53の破損や傷付きおよび故障等が発生しない。なお、透明保護板95は保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53を透視可能なので、該第1保留表示部52および第2保留表示部53による入賞球の有効保留数の表示を適切に確認することができる。
【0054】
(変更例)
本発明に係る遊技機は、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)実施例では、保留表示装置50の第1保留表示部52および第2保留表示部53を表示窓口28Aの外周部下側に位置する構成を例示したが、前記第1保留表示部52および第2保留表示部53は、表示窓口28Aに臨む図柄表示装置Hの前方に重なる位置であれば、該表示窓口28A内の何れの位置に配設してもよい。
(2)保留表示装置50は、表示窓口28Aの外周部側に配設する場合は、該演出領域の外周部下側に限らず、外周部右側、外周部左側、または外周部上側に配設してもよい。
(3)第1保留表示部52および第2保留表示部53の保留表示形態は、実施例に示すLEDの点灯によるランプに限らず、7セグメントによる表示手段や、ドットマトリクスによる表示手段や、図柄または絵柄等の表示手段等であってもよい。
(4)保留表示装置50は、設置部材30に設置されるものに限らず、前記遊技盤Dに取付けた前記枠状装飾部材28の後側に取付けて、保留表示部を演出領域28Aに臨ませるようにしてもよい。
(5)前記可動演出装置100は、装置本体101における回転支持部106の回転中心軸を水平より僅かに後方傾斜するように設定すれば、第1演出部材102は垂直より僅かに後方へ傾斜した向きで回転変位するようになり、これにより第1演出部材102と保留表示装置50との干渉が確実に回避される。また、前記第1演出部材102が僅かに後方へ傾斜した向きで回転変位することで、該第1演出部材102に配設された前記第2演出部材103は前記保留表示装置50より前方へ延出することがない。
(6)保留表示装置50と図柄表示装置Hの表示演出部H1との間に配設される可動演出装置は、保留表示装置の後方で姿勢変位するものであれば、実施例で例示する回転変位するものに限らず、演出部材が保留表示装置50と表示演出部H1との間をスライド変位するものであってもよい。
(7)透明保護板95は、実施例の形状に限定されず、少なくとも保留表示装置50の表示窓口28A内に露出する部分だけをカバーし得る形状、サイズのものであればよい。
(8)実施例では、遊技機としてのパチンコ機を示したが、遊技機はパチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機等であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 遊技領域,20 始動入賞装置,28A 表示窓口(演出領域),30 設置部材
50 保留表示装置(保留表示手段),95 透視保護板
102 第1演出部材(演出部材),103 第2演出部材(演出部材),D 遊技盤
H 図柄表示装置(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤の後側に配設され、前記遊技盤に設けられた演出領域を介して該遊技盤の前側に臨むと共に、前記遊技領域に配設した始動入賞装置への遊技球の入賞を契機として図柄変動演出が行なわれる表示装置と、前記始動入賞装置に入賞した遊技球の有効保留数を表示する保留表示手段と、前記表示装置の前方に重なる位置に移動可能な演出部材とを備えた遊技機において、
前記演出領域に臨む表示装置の前方に重なる位置に、前記保留表示手段が配設され、
前記保留表示手段と前記表示装置との間に前記演出部材が配設された
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記保留表示手段は、前記演出領域の外周部側に位置するよう配設され、
前記演出部材は、前記保留表示手段の後方に重なる位置から、該保留表示手段の配設位置よりも前記演出領域の中央側に移動するよう構成された請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技盤は、後側に該遊技盤との間に空間を画成する設置部材が設けられて、該設置部材の後側に前記表示装置が配設されると共に、
前記演出部材および保留表示手段が、前記設置部材の前側に配設される請求項1または2記載の遊技機。
【請求項4】
前記演出領域には、前記保留表示手段を透視可能な透視保護板が、該保留表示手段の前側に配設されている請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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