説明

遊技管理システムにおける盗難防止装置

【課題】遊技機からの離席時に記録媒体の盗難を精度よく防止する。
【解決手段】有価価値を特定する情報が記録された記録媒体又は貨幣の投入により遊技機に使用する遊技媒体の貸し出しが行われる遊技管理システムにおいて、前記遊技機からの遊技者の離席を判別する人物検知手段1と、前記遊技機の稼働検知手段2とを設け、これらの検知データを常時管理装置Dに送信し、管理装置Dでは、受信した前記検知データの結果に基づいて、持玉情報又は残高情報が記録された記録媒体の返却可否を判定する返却可否判定手段12を設け、前記記録媒体の返却要求信号を受けた際、前記返却判定手段12によって返却の不可判定がなされた場合は、前記記録媒体が保持されているユニット(台間機)Cからの前記記録媒体の返却を禁止する返却制御手段6を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ、スロットマシン等の遊技機が複数設置された遊技場において、隣接する遊技機の間に設けられ、現金やカードの投入によってパチンコ玉やメダル等の遊技媒体を貸し出す台間機から、遊技者の離席中に、第三者による返却操作により前記カードやICコインが不正に抜き取られないようにした、遊技管理システムにおける盗難防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ玉やメダル等の遊技媒体を遊技機に投入して遊技を行うパチンコ機やスロットマシン等の遊技機が知られている。遊技者(遊技客)がパチンコやスロットマシン等を行う際には、予め、隣接する遊技機の台間に配設された台間機からパチンコ玉等の遊技媒体を借り受ける必要がある。
【0003】
パチンコ玉等の遊技媒体を貸し出す従来技術には、台間機に投入した硬貨又は紙幣に相当するパチンコ玉を貸し出す技術、プリペイドカード、貯玉カード又は会員カードを台間機に挿入し、遊技者が投出ボタンを押下する度に、例えば、500円分のパチンコ玉等の遊技媒体を貸し出す技術などがある。
【0004】
特に、後者のプリペイドカードによる方式では、遊技者にプリペイドカードを発行すれば、遊技者がプリペイドカードを台間に配設された台間機に挿入し、所定の操作を行うと、パチンコ玉等の遊技媒体が貸し出される。プリペイドカードにはカード毎に設定される識別符号(カードID)が記録されており、識別符号毎の残度数が管理装置に記録されており、カードが使用されると前記管理装置の残度数が書き換えられる。
【0005】
また、プリペイドカードによる方式では、残度数を有するカードを台間機に挿入した状態で、必要に応じてパチンコ玉等の遊技媒体の貸し出しを行うため、遊技者が遊技中に食事やトイレのために遊技機から一時的に離席した場合、カードを抜き忘れてしまうことでカードが盗難されてしまうことが多々発生していた。
【0006】
さらに、近年はパチンコ機の近傍に計数機を設け、パチンコ機から払い出されたパチンコ玉等の遊技媒体をこの計数機で計数し、その計数結果を台間機でデータとして保持する技術がある。この技術では。遊技者が遊技を止める場合、保持されたデータ(持玉データ)もカード等の記録媒体に記録して遊技者に返却する場合がある。このとき、残度数があればそれも記録媒体に記録して返却を行う。そうすると、万一、上述の様な盗難被害にあった場合、プリペイドカードの場合などと比較して被害が大きくなる。
【0007】
この様な盗難を防止する技術として、特許文献1に示す技術が知られている。この技術は、遊技機の稼動状態を示すアウト玉信号や、遊技者の着座を検知する信号(重量センサー・温度センサー・赤外線センサーからの検知信号)を受信しなくなってから一定時間経過すると、記録媒体の返却を禁止する制御を行うものである。
【0008】
【特許文献1】特開2006−296561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献1に示す技術は、アウト玉信号のみ、或いは各種のセンサーからの検知信号のみを基準として記録媒体の返却禁止制御を行うものであるため、以下のような課題点を有していた。
【0010】
すなわち、アウト玉信号のみを基準とした場合、パチンコ機の機種によっては、リーチ演出の時間が長く、その間に記録媒体の返却禁止制御が行われてしまい、リーチ演出で大当たりを引けなかったため遊技をやめようとしたら、記録媒体の返却ができなくなる場合がある。また、パチンコ機ではリーチ演出待ちの回数を示す保留玉があり、この保留玉の回数分のリーチ演出は長時間に及ぶものとなる。ここで、例えば最後のアウト玉信号受信から、リーチ演出分の時間だけ経過すると返却禁止制御を行うように時間設定をすると、遊技を止めたにもかかわらず、記録媒体の返却を忘れて席を立つ遊技者の場合も同じ時間の経過を必要とし、この長時間がセキュリティの空白期間となる。
【0011】
また、例えば、各種センサーからの信号のみを基準とした場合、着座することでセンサーが検知してしまうものであるため、台間機に持玉データや残度数が残っている場合、着座して返却ボタンを押すだけで持玉データや残度数が記録された記録媒体が返却されるため、盗難されやすいという欠点がある。
【0012】
このように、単一の信号を基準とするとセキュリティの精度が落ちるという課題があった。
【0013】
そこでこの発明は上記課題に鑑み、遊技機からの離席時に記録媒体の盗難を精度よく防止する、遊技管理システムにおける盗難防止装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、有価価値を特定する情報が記録された記録媒体又は貨幣の投入により遊技機に使用する遊技媒体の貸し出しが行われる遊技管理システムにおいて、前記遊技機からの遊技者の離席を判別する人物検知手段と、前記遊技機の稼働検知手段とを設け、これらの検知データを管理装置に送信し、管理装置では、受信した前記検知データの結果に基づいて、投入された記録媒体又は貨幣から払い出された持玉又は遊技媒体に変換された分を差し引いた持玉又は残高を特定する情報が記録された記録媒体の返却可否を判定する返却可否判定手段を設け、前記記録媒体の返却要求信号を受けた際、前記返却可否判定手段によって返却の不可判定がなされた場合は、前記記録媒体が保持されている台間機からの前記記録媒体の返却を禁止する返却制御手段を設けた、盗難防止装置とした。
【0015】
また、請求項2の発明は、前記稼働検知手段が遊技機から排出された遊技媒体を検知し、遊技媒体の一定数毎にパルス信号を前記管理装置に送出し、管理装置ではこのパルス信号により遊技機の稼働を検知する、請求項1に記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置とした。
【0016】
また、請求項3の発明は、前記人物検知手段が、遊技機の前方箇所を対象領域とした赤外線センサー又は撮像手段のいずれかである、請求項1又は2に記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置とした。
【0017】
また、請求項4の発明は、前記返却可否判定手段で、前記人物検知手段による検知状態であって稼働検知手段による検知がない状態において、前記台間機から記録媒体投入信号又は入金信号を受信した場合は、当該投入した記録媒体又は入金後残存している金額に相当する残金情報が記録された記録媒体を返却可と判定する構成とした、請求項1、2又は3のいずれかに記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置とした。
【0018】
また、請求項5の発明は、前記返却判定手段によって返却の不可の判定がなされた場合、前記台間機に、記録媒体の返却不可を表示する表示手段を設けた、請求項1、2、3又は4に記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置とした。
【0019】
また、請求項6の発明は、前記返却判定手段によって返却の不可の判定がなされた場合、その旨と該当する台間機の番号を、従業員が所持するインカム又は管理装置に別途設けた表示装置の少なくとも一方に報知する報知手段を設けた、請求項1、2、3、4、5、6及び7のいずれかに記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置とした。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、遊技者が遊技機に着席しているかどうかの検知と、当該遊技機が稼働しているかどうかの検知との複数の検知結果によりICコイン等の記録媒体の台間機からの返却の可否を判定するため、精度の高い判定が可能となる。従って、遊技者が前記記録媒体を台間機から返却するのを忘れて離席した際、第三者が返却操作により、不正に前記記録媒体を引き抜くことが確実に防止できる。
【0021】
また、請求項2の発明によれば、前記稼働検知手段が遊技機から排出された遊技媒体の一定数毎にパルス信号を管理装置に送出し、このパルス信号により検知する構成としたため、各遊技媒体の排出毎にパルス信号を送出するのに比べ、効率が良い。また、請求項3の発明によれば、人物検知手段として赤外線センサー又は撮像手段を採用するため、人物検知が確実となる。
【0022】
また、請求項4の発明によれば、記録媒体又は貨幣を台間機の投入口に投入した後、前記台間機と相応する遊技機で遊技をする前に、別の遊技機に移ろうとする場合にも、記録媒体の返却が行え便利である。
【0023】
また、請求項5の発明によれば、前記管理装置の返却可否判定手段によって返却の不可の判定がなされた場合、前記台間機に記録媒体の返却不可を表示する表示手段を設けたため、返却操作をした遊技者は、記録媒体の返却ができないことを知り、直ちに対処できる。また、請求項6の発明によれば、前記返却可否判定手段によって返却不可の判定がなされた場合、その旨と該当する台間機の番号を、従業員が所持するインカム又は管理装置に別途設けた表示装置の少なくとも一方に報知する報知手段を設けたため、遊技場側は、当該台間機で記録媒体が返却できないことを知り、当該記録媒体をすぐに排出する等の対処が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
この発明は、有価価値を特定する情報が記録された記録媒体又は貨幣の投入により遊技機に使用する遊技媒体の貸し出しが行われる遊技管理システムにおいて、前記遊技機からの遊技者の離席を判別する人物検知手段と、前記遊技機の稼働検知手段とを設け、これらの検知データを常時管理装置に送信し、管理装置では、受信した前記検知データの結果に基づいて、投入された記録媒体又は貨幣から遊技媒体に変換された分を差し引いた持玉又は残高を特定する情報が記録された記録媒体の返却可否を判定する返却可否判定手段を設け、前記記録媒体の返却要求信号を受けた際、前記返却可否判定手段によって返却の不可判定がなされた場合は、前記記録媒体が保持されている台間機からの前記記録媒体の返却を禁止する返却制御手段を設け、これにより、遊技者が前記記録媒体を台間機から返却するのを忘れた際、第三者が返却操作により、不正に前記記録媒体を引き抜くことを防止するものである。
【実施例1】
【0025】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の盗難防止装置の概略構成図であり、当該装置は、遊技機島A、遊技機B、隣接する遊技機と遊技機の間の台間機であって、記録媒体の読み取り、保持及び遊技媒体の貸し出し、払い出しが可能な台間機等の機能を有するユニットC及び遊技場全体を管理するコンピュータから成る管理装置Dとから構成されている。
【0026】
遊技機島Aには各遊技機Bに対応して人物の有無を検知するための人物検知手段1を設けている。具体的には、各遊技機Bの前方の座席付近に遊技者が存在しているかどうかを赤外線センサーによって検知する。本実施例では各遊技機Bに対応した各台センサーとし、後述のユニットC内に配置し、遊技機Bの前方の座席付近に照準を合わせている。また、遊技機Bの背面側下部に、遊技機Bに投出され、当該遊技機Bから排出されたパチンコ玉を検知する稼働検知手段2を設けている。この稼働検知手段2は具体的には、前記遊技機Bから排出されるパチンコ玉を検知、計数するアウトボックスで行っている。このアウトボックスは、パチンコ玉を10個検出する毎に、後述の管理装置Dに対してパルス信号を送出する構成となっている。
【0027】
また、前記ユニットCには、遊技の結果、遊技者の保有となったパチンコ玉数の情報(持玉情報)を記憶する持玉情報記憶手段3と、ユニットCから玉貸しを受けるためにユニットCに投入した現金の、玉貸しに使用されていない残金情報を記憶する残金情報記憶手段4と、これらの持玉情報・残金情報の返却を行うための返却操作手段5と、この返却操作手段5による返却制御を行う返却制御手段6と、返却がなされない場合にその旨を表示する表示手段7とが少なくとも備えられている。なお、前記返却操作手段5は、当該ユニットCがいわゆるCRユニットの場合は、前記遊技機Bに備えることとしても良い。
【0028】
また、管理装置Dは、コンピュータであり、各種演算を行うCPU(CentralProcessing Unit)や、所定の情報を記憶するハードディスクなどの記憶装置、一時的な情報を保持するRAMなどから構成されている。これは公知の事項であるので詳細な説明は省略する。この管理装置Dには、ユニットCの残金情報記憶手段4に記憶している残金情報と同一の情報を記憶する残金情報記憶手段8と、ユニットCの持玉情報記憶手段3に記憶している持玉情報と同一の情報を記憶する持玉情報記憶手段9と、前記人物検知手段1から受信した検知信号を保持する人物検知状態保持手段10と、前記稼働検知手段2から受信した稼働信号を保持する稼働検知状態保持手段11と、これら人物検知状態保持手段10の保持情報と稼働検知状態保持手段11の保持情報とを用いて、記録媒体の返却の可否を判断する返却可否判定手段12と、この返却可否判定手段12による判定結果を記憶する返却可否状態保持手段13とが少なくとも備えられている。前記管理装置Dの残金情報記憶手段8及び持玉情報記憶手段9は、それぞれユニットCの残金情報記憶手段4及び持玉情報記憶手段3から常時残金情報及び持玉情報が送信され、更新記録されている。
【0029】
なお、ユニットCに設けた持玉情報記憶手段3、残金情報記憶手段4、管理装置Dに設けた残金情報記憶手段8、持玉情報記憶手段9、人物検知状態保持手段10、稼動検知状態保持手段11、及び返却可否状態保持手段13は、例えば、大容量メモリーとして機能するハードディスク(HD)を用いることができる。また、記録媒体(メディア)へのアクセスを実現するための外部記憶ドライブを備えれば、記録媒体に記録されたプログラム等をユニットC又は管理装置Dのシステムにロードすることができる。記録媒体には、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、PCカード、DVD、ICメモリーカード、MO、メモリースティック等が含まれる。
【0030】
また、ユニットCに設けた表示手段7は、例えば、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、モニタ、セグメント等により実現することが可能である。また、管理装置Dに設けた返却可否判定手段12は、判定回路やソフトウエアにより実現することができる。さらに、ユニットCに設けた返却操作手段5はボタンやタッチパネルなどで実現でき、ユニットCに設けた返却制御手段6は例えばソレノイドを用いた構成とすることができる。
【0031】
次にこの装置の動作を図2のフローを基に説明する。ユニットCは、遊技者による記録媒体の返却操作を受け付けると(ステップS1)、管理装置Dに対して返却操作受付信号を送出する(ステップS2)。管理装置Dはこの信号を受信すると、返却可否判定手段12で判定を行い(ステップS3)、その結果をユニットCに送信する(ステップS4)。ユニットCは判定結果を受信すると、結果に応じた処理を行う(ステップS5)。
【0032】
具体的には、管理装置DからユニットCに返却可能と通知されると、ユニットC内に予め保持されている記録媒体(ICコイン)に、ユニットC内の持玉情報記憶手段3に記憶されている持玉情報があればそれを記憶し、さらに残金情報記憶手段4に残金情報が記憶されていれば残金情報も記憶させ、記録媒体を排出する。一方、返却不可の通知がなされると、返却制御手段6によって返却動作は行わず、表示手段7に返却エラーの表示を行う。
【0033】
管理装置Dでの前記返却可否判定手段12における判定は、前記人物検知手段1と稼働検知手段2から送信された検知データを保持している人物検知状態保持手段10及び稼働検知状態保持手段11の検知データに基づいて行う。そして、前記人物検知手段1により人物を検知した場合はセンサーフラグをオンにし、また、一定の条件下で検知しなかった場合はセンサーフラグをオフにする。
【0034】
前記センサーフラグをオンにするかオフにするかの処理は、図3のフローに基づいて決定される。まず、センサー信号を受信したか否かを判別し(ステップS11)、していなければ前に戻る。受信していれば、センサーフラグをオンにし(ステップS12)、これと同時にタイマーによる計時を開始する(ステップS13)。そして、この計時が予め設定によって決められた時間(図3では3秒)を経過したか否かを判別する(ステップS14)。時間を経過していなければ、そこでさらにセンサー信号を受信したか否かを見る(ステップS15)。センサー信号を受信していなければ、再度時間経過の判定(ステップS14)に戻る。センサー信号を受信すると、計時をリセットして(ステップS16)、再度センサーフラグをオンに設定する(ステップS12)。以降これを繰り返す。一方、時間経過の判定(ステップS14)で設定時間が経過したと判定された場合は、センサーフラグをオフにし(ステップS17)、計時をリセットして(ステップS18)最初に戻る。
【0035】
前記設定時間を3秒としているのは、通常であれば人物検知手段(センサー)の検知信号と同一でいいが、例えば、センサーが電源の瞬断等が起きた場合に、短時間の空隙が生じる。この空隙を生じさせないために、所定の設定時間の経過をみて判別している。なお、このセンサーからの検知信号は、センサーが検知しなくなったら、検知信号は送信されなくなる構成としている。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、検知していない状態の場合はその旨の信号(不検知信号)を送出する構成としても良い。
【0036】
また、稼働検知手段2により遊技機Bが稼働していることを検知した場合は、稼働フラグをオンにし、また、一定の条件下で検知しなかった場合は稼働フラグをオフにする。
【0037】
前記稼働フラグをオンにするかオフにするかの処理は、図4のフローに基づいて決定される。まず、稼働信号(パルス信号)を受信したか否かを判別し(ステップS21)、していなければ前に戻る。パルス信号を受信していれば、稼働フラグをオンにし(ステップS22)、これと同時に計時を開始する(ステップS23)。そして、この計時が予め設定によって決められた時間(図4では30秒)を経過したか否かを判別する(ステップS24)。設定時間を経過していなければ、そこでさらにパルス信号を受信したか否かを見る(ステップS25)。パルス信号を受信していなければ、再度時間経過の判定(ステップS24)に戻る。パルス信号を受信すると、計時をリセット(ステップS26)して、再度稼働フラグをオンに設定する(ステップS22)。以降これを繰り返す。一方、時間経過の判定(ステップS24)で設定時間が経過したと判定された場合は、稼働フラグをオフにし(ステップS27)、計時をリセットして(ステップS28)最初に戻る。
【0038】
前記稼働検知手段2のアウトボックスからのパルス信号及び人物検知手段1からのセンサー信号、返却可否判定手段12での稼働フラグ及びセンサーフラグの関係を示すタイミングチャートを図5に示す。これを見ると、遊技機Bに遊技者が着座してから一定時間経過して、遊技機Bが作動し、また、遊技者が遊技機Bの稼働を止めてから一定時間経った後に、遊技者が遊技機Bから離席するのが一般的である。従って、このままの状態の稼働フラグとセンサーフラグのオン状態、オフ状態で返却可否を判定すると、通常の場合でも記録媒体が返却されない場合が生じる。そこで、遊技を止めてから一定時間は稼働フラグをオン状態に維持している。これにより、通常の遊技が終わった場合は、記録媒体の返却が出来るようにしている。
【0039】
これらのセンサーフラグと稼働フラグを用いて、前記管理装置Dの返却可否判定手段12では記録媒体の返却の可否を決定する。この時の決定条件は、表1の通りである。
【0040】
【表1】

【0041】
前記管理装置Dの返却可否判定手段12は、センサーフラグの状態と稼働フラグの状態とを常に監視し、パターン1は、センサーフラグがオフで、稼働フラグがオンの場合であり、この場合は、人物が存在しないのに遊技機にパチンコ玉が発射されている状態と考えられるので、異常と判定して返却不可とする。パターン2は、センサーフラグと稼働フラグがともにオフの場合であって、この場合はユニットC又は遊技機Bで返却操作がなされること自体が異常であるので、返却不可状態とする。
【0042】
パターン3は、センサーフラグと稼働フラグがともにオンの場合であり、この場合は、遊技者が遊技機Bの前に着座して遊技を行っていることとなるので、このときユニットC又は遊技機Bで返却操作がなされることは通常ありえることなので、正常とみて返却可能とする。
【0043】
パターン4はセンサーフラグがオンであり、稼働フラグがオフの場合であり、これは以下の二通りに判断される。前記パターン3からパターン4の状態に変化した場合は、正常として返却可能とする。これは、それまで遊技を行っていた遊技者が、遊技は止めたがまだ遊技機Bの前に着座している状態を指す。例えば、遊技を止めて帰るために荷物をまとめている場合や、遊技機Bでリーチがかかり、このリーチの演出を眺めている場合などが該当する。さらに、これらの組み合わせで、保留玉を消化するまでリーチ演出を見て、入賞しなかったために遊技をやめて離席する場合もある。
【0044】
また、前記パターン2からパターン4に変化した場合は、異常として返却不可状態と判定する。これは、それまで誰も存在しないはずの状態からセンサーが人物を検知した状態を指す。この状態でユニットC又は遊技機Bの返却操作がなされることは、遊技しないで突然返却操作をする人物が現れたことを意味し、異常と判断することとなる。
【0045】
以上の判別を、例えば1秒毎に、常時行い、仮にその時に返却操作がなされたら、返却を可とするか不可とするか、という返却可否状態を、返却可否状態保持手段13に記憶しておく。そして、ユニットC又は遊技機Bの返却操作手段5により返却操作がなされると、その時に返却可否状態保持手段13に記憶されている返却の可否状態を参照して、その結果をユニットCに対して通知する。
【0046】
図6は前記稼働フラグ処理の別の例を示すフロー図である。前記図4では時間計測にタイマー(計時手段)を用いているが、図6のものは、時刻を測りその差分を出して計測している。従って、まず現在の時刻を記憶する(ステップS31)。次に、現在のパルス受信回数情報を一時的に記憶する(ステップS32)。次に、パルス信号を受けたか否かを判断する(ステップS33)。この判断は、別のところで持っているパルスの累計受信回数情報と、記憶したパルス受信回数情報との差分を取る。
【0047】
差分が0ならば、パルスを受信していないこととなるので、NOに進む。そして、記憶した時刻と現在時刻との差分が、予め設定したN秒数以上かどうかを判断する(ステップS34)。これがN秒以上だと、YESに進み、稼働フラグをオフにする(ステップS35)。また、N秒未満だとステップS33に戻る。一方、パルス信号の判断(ステップS33)で差分が1ならば、YESに進み、稼働フラグをオンにする(ステップS36)。そして、記憶した前記現在時刻を現在の時刻に更新記憶する(ステップS37)。また、記憶したパルス受信回数情報を、累計受信回数情報と一致する数値に更新記憶する(ステップS38)。以上の稼働フラグ処理は1秒周期で行う。
なお、パルス受信回数の記憶・更新・パルス信号受信の有無の判断は、このフローに限らず図4の処理でも同様である。
【0048】
図7は前記稼働フラグ処理のさらに別の例を示すフロー図である。前記図4及び図6では、遊技場の開店時(管理装置起動時)から1秒毎に処理を行っていたが、この例では、各遊技機Bのパルス信号を受信したことを契機に処理が開始する。
【0049】
(A)図は、図4に対応するもので、管理装置Dにおいて、遊技機Bからパルス信号を受信すると(ステップS41)、稼働フラグをオンにし(ステップS42)、タイマーにより計時を開始する(ステップS43)。この計時で、予め設定したN秒を経過したか否かを判断する(ステップS44)。N秒経過していなければ、NOに進み、再度時間経過判断を行う(ステップS44)。N秒経過しているとYESに進み、稼働フラグをオフにする(ステップS45)。以上で終了する。
【0050】
(B)図は、図6に対応するもので、管理装置Dにおいて、遊技機Bからパルス信号を受信すると(ステップS51)、稼働フラグをオンにし(ステップS52)、その時の時刻を記憶する(ステップS53)。記憶した時刻と現在時刻の差分を取り、この差が、予め設定したN秒以上か否かを判断する(ステップS54)。N秒未満であればNOに進み、再度時間経過判断を行う(ステップS54)。N秒以上経過していれば、YESに進み、稼働フラグをオフにする(ステップS55)。以上で終了する。
【0051】
なお、前記(A)図、(B)図いずれの場合も、この処理の途中で更に、パルス信号を受信した場合は、処理を中止し、再度パルス信号受信のところから処理を開始する(ステップS41又はステップS51)。
【0052】
また、遊技者が遊技機Bに座り、持玉情報及び残金情報の記録された記録媒体(ICコイン)を相応するユニットCの投入口に投入した後、当該遊技機Bで遊技をする前に、思い直して別の遊技機Bに移ろうとする場合がある。その場合、管理装置Dの返却可否判定手段12において、稼働フラグとセンサーフラグとだけを参照していると、ICコインを返却できず、不便である。そこで、ユニットCにICコインが投入されたときに、ICコイン検知信号をユニットCが管理装置Dに送信する。これを受信した管理装置Dの返却可否判定手段12では返却可の判定を行う。
【0053】
つまり、人物検知センサー(人感センサー)が検知中に、ICコイン投入の検知信号を受信した場合は、ICコイン投入の検知信号を受信した時点から、ICコインの返却を可能とする。この返却可能の判断は、管理装置Dの返却可否状態保持手段13に保持される。そして、返却操作がなされると、この返却可否状態保持手段に保持している可否状態を参照して、返却するか否かを判断する。また、ICコイン検知信号を受信後に、遊技機Bの稼働検知信号を受信すると、これ以後は、上述の稼働検知状態保持手段11と人物検知状態保持手段10の検知によって返却可否判定手段12が作動する。
【0054】
また、遊技者が遊技機Bに座り、ユニットCに現金を投入した後、当該遊技機Bで遊技をする前に、思い直して別の遊技機Bに移ろうとする場合がある。その場合、管理装置Dの返却可否判定手段12において、稼働フラグとセンサーフラグとだけを参照していると、入金情報が記録されたICコインが返却できず不便である。もともと、ユニットCに入金があると、100円を1パルスとして入金信号が図9に示すように管理装置Dに送られている。そこで、この情報を利用して、管理装置Dにおいて、人物検知センサー(人感センサー)が検知中に、最初の入金パルスを受信したときから、ICコインを返却可能とした。
【0055】
この返却可能の判断は、管理装置Dの返却可否状態保持手段13に保持される。そして、返却操作がなされると、この返却可否状態保持手段に保持している可否状態を参照して、返却するか否かを判断する。また、入金パルスを受信後に、遊技機Bの稼働検知信号を受信すると、これ以後は、上述の稼働検知状態保持手段11と人物検知状態保持手段10の検知によって返却可否判定手段12が作動する。
【0056】
なお、実施例1では、人物検知手段1は赤外線センサーとしているが、これに限らず、個別カメラとしても良い。この個別カメラは、隣接する遊技機Bと遊技機Bの間に設けられたユニットCの上方に、遊技機B2台に対して1台の割合で配置する。つまり、呼び出しランプ間に適宜配置する。そしてこの個別カメラは、公知の、人物の顔を検知する機能を備えており、撮像エリア内に入ってきた人物や物体に対して、顔を検知するようになっている。当該個別カメラが顔を検知した場合は、カメラは管理装置Dに対して人物検知信号を送信する。この信号は、人物を検知している限り継続して送信される。
【実施例2】
【0057】
この発明の実施例2の概略構成図を図8に示す。実施例2では、実施例1の管理装置Dに、報知手段14、事象(イベント)記憶手段15、画像記憶手段16が付加され、さらに遊技場の通路部分の天井等から撮像手段(セキュリティカメラ)17が懸架されている。他の構成は、実施例1と同一である。管理装置Dで、返却可否状態保持手段13に保持されている情報が、「返却不可」となったとき、その旨とユニット番号を、従業員が所持するインカムや管理装置Dに別途設けた表示装置や呼び出しランプ等の報知手段14に報知する。
【0058】
そして、この様な報知を行った旨及びその時の時刻を、前記事象記憶手段15に記憶する。また、同時に、遊技場内に配置している撮像手段17に、返却不可と判断したユニットCをズームして撮影するように指令を送る。そして、管理装置Dで、前記撮像手段17で撮像した映像を前記画像記憶手段16に記録する。これは、返却不可、つまりユニットCに持玉・残金情報が記録された記録媒体が取り忘れで残っている状態を予め従業員に報知することで、遊技者からの問い合わせがある前に、従業員の操作で、記録媒体の排出をするように促すために行う。
【0059】
また、この実施例2において、画像記憶手段16及び撮像手段17を設けず、前記個別カメラを人物検知手段1とする場合もある。
【0060】
なお、上記実施例では、遊技機をパチンコ機で説明したが、この発明は、スロットマシン等他の遊技機にも適用できる。また、上記実施例1、2では、人物を検知するためのセンサー、カメラの配置をユニットCに設けたり、呼び出しランプ間に設けたりした構成としたが、これに限定されるものではなく、遊技機Bの前方に人物が存在することを検知できる位置であればどこに設けても良い。例えば、呼び出しランプ内に設けることもできるし、遊技機B本体に内蔵させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の実施例1の盗難防止装置の概略構成図である。
【図2】この発明の実施例1の盗難防止装置の動作フロー図である。
【図3】この発明の実施例1の盗難防止装置の人物検知手段によるセンサーフラグの処理を示すフロー図である。
【図4】この発明の実施例1の盗難防止装置の稼働検知手段による稼働フラグの処理を示すフロー図である。
【図5】この発明の実施例1の盗難防止装置の返却可否判定における各検知及びフラグのタイミングチャート図である。
【図6】この発明の実施例1の盗難防止装置の稼働検知手段による稼働フラグの処理を示す他のフロー図である。
【図7】(A)図及び(B)図とも、この発明の実施例1の盗難防止装置の稼働検知手段による稼働フラグの処理を示す、さらに他のフロー図である。
【図8】この発明の実施例2の盗難防止装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0062】
A 遊技機島 B 遊技機
C ユニット D 管理装置
1 人物検知手段 2 稼働検知手段
3 持玉情報機構手段 4 残金情報記憶手段
5 返却操作手段 6 返却制御手段
7 表示手段 8 残金情報記憶手段
9 持玉情報記憶手段 10 人物検知状態保持手段
11 稼働検知状態保持手段 12 返却可否判定手段
13 返却可否状態保持手 14 報知手段
15 事象記憶手段 16 画像記憶手段
17 撮像手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価価値を特定する情報が記録された記録媒体又は貨幣の投入により遊技機に使用する遊技媒体の貸し出しが行われる遊技管理システムにおいて、前記遊技機からの遊技者の離席を判別する人物検知手段と、前記遊技機の稼働検知手段とを設け、これらの検知データを管理装置に送信し、管理装置では、受信した前記検知データの結果に基づいて、投入された記録媒体又は貨幣から払い出された持玉又は遊技媒体に変換された分を差し引いた持玉又は残高を特定する情報が記録された記録媒体の返却可否を判定する返却可否判定手段を設け、前記記録媒体の返却要求信号を受けた際、前記返却可否判定手段によって返却の不可判定がなされた場合は、前記記録媒体が保持されている台間機からの前記記録媒体の返却を禁止する返却制御手段を設けたことを特徴とする、盗難防止装置。
【請求項2】
前記稼働検知手段が遊技機から排出された遊技媒体を検知し、遊技媒体の一定数毎にパルス信号を前記管理装置に送出し、管理装置ではこのパルス信号により遊技機の稼働を検知する構成としたことを特徴とする、請求項1に記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置。
【請求項3】
前記人物検知手段が、遊技機の前方箇所を対象領域とした赤外線センサー又は撮像手段のいずれかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置。
【請求項4】
前記返却可否判定手段で、前記人物検知手段による検知状態であって稼働検知手段による検知がない状態において、前記台間機から記録媒体投入信号又は入金信号を受信した場合は、当該投入した記録媒体又は入金後残存している金額に相当する残金情報が記録された記録媒体を返却可と判定する構成としたことを特徴とする、請求項1、2又は3のいずれかに記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置。
【請求項5】
前記返却判定手段によって返却の不可の判定がなされた場合、前記台間機に、記録媒体の返却不可を表示する表示手段を設けたことを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置。
【請求項6】
前記返却判定手段によって返却の不可の判定がなされた場合、その旨と該当する台間機の番号を、従業員が所持するインカム又は管理装置に別途設けた表示装置の少なくとも一方に報知する報知手段を設けたことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6及び7のいずれかに記載の遊技管理システムにおける盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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