説明

運動伝達装置

【課題】 電話中の手慰み動作等の運動を伝達することにより、会話に補助的な双方向性の非言語コミュニケーションの手段を提供する。
【解決手段】 運動伝達装置10の制御部12は、運動伝達部13が手で握る力により変形されるとこれを計測して制御信号を生成し、携帯電話接続部11を介して携帯電話20へ送信する。携帯電話20は、運動伝達装置10と同様の運動伝達装置が接続された他の携帯電話へ制御信号を送信するとともに、その携帯電話から受信した制御信号を、携帯電話接続部11を介して制御部12へ送信する。制御部12は受信した制御信号に基づいて運動伝達部13を変形させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外力による自らの変形を計測し制御信号を生成して他の装置に伝達すると同時に、他の装置で計測され生成された制御信号又は計算機により生成された制御信号により変形する運動伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話の通話中における他の感覚情報伝達としては内蔵カメラによる相互の相貌伝達などTV電話状態の映像情報が挙げられる。
なお、従来技術として非特許文献1が知られている。
【非特許文献1】稲見昌彦、関口大陸、川上直樹、舘▲すすむ▼、「RobotPHONEによる物体共有型コミュニケーション」、情報処理学会第95回ヒューマンインターフェイス研究会論文集、pp.147-150、2001.09.14
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の技術は、相互の相貌など伝達すべき情報量は大きいにもかかわらず、画面解像度及び伝送速度が低いため、対話コミュニケーション中のリアルタイムで直感的な補助伝達手段として機能していない。
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、電話中の手慰み動作等を伝達することにより、会話に補助的な双方向性の非言語コミュニケーションの手段を供給する運動伝達装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、外力により形が変化する形変化手段と、前記形変化手段の形を変化させる駆動手段と、前記形変化手段の変形を計測する計測手段と、外部機器との間で制御信号を送受信する通信手段と、前記計測手段による計測結果から制御信号を生成し、前記通信手段へ出力するとともに、前記通信手段により受信した制御信号に基づいて前記駆動手段を駆動する制御手段と、を具備することを特徴とする運動伝達装置である。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の運動伝達装置において、前記形変化手段は、複数の棒状部材と、各棒状部材の端部を接続する複数の関節ユニットとから構成され、ループ状に形成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の運動伝達装置において、前記関節ユニットは、コ字状に形成された第1のフレーム及び第2のフレームと、ロ字状に形成され前記第1のフレームが第1の軸線を中心に回動自在に取り付けられ、前記第2のフレームが前記第1の軸線に直交する第2の軸線を中心に回動自在に取り付けられた連結部材と、前記連結部材の中空部を通して前記第1のフレームと前記第2のフレームとに両端が接続された弾性部材と、を具備し、前記駆動手段は、前記第1のフレームを前記第1の軸線を中心に時計回りに回転させる第1のアクチュエータと、前記第1のフレームを前記第1の軸線を中心に反時計回りに回転させる第2のアクチュエータと、前記第2のフレームを前記第2の軸線を中心に時計回りに回転させる第3のアクチュエータと、前記第2のフレームを前記第2の軸線を中心に反時計回りに回転させる第4のアクチュエータと、を具備し、前記計測手段は、前記第1のフレームが中立位置にあるか停止位置まで回転したか、及び、前記第2のフレームが中立位置にあるか停止位置まで回転したかを各々検知することを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の運動伝達装置において、前記形変化手段は、複数の関節ユニットを鎖状に接続したことを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の運動伝達装置において、前記関節ユニットは、コ字状に形成されたフレームと、前記フレームが所定の軸線を中心に回動自在に取り付けられた箱型部材と、を具備し、前記駆動手段は、前記フレームを所定の軸線を中心に回転させるモータを具備し、前記計測手段は、前記モータの回転軸の回転角度を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、感覚的・情動的な気分を表現する上で非言語的かつ直感的な補助伝達手段として利用することができ、コミュニケーションの質を大きく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態における運動伝達装置10の構成を示す図である。運動伝達装置10は、携帯電話接続部11、制御部12、運動伝達部13から構成される。この実施形態における運動伝達装置10は、携帯電話20に接続されストラップやアクセサリとして用いられる。
【0011】
携帯電話接続部11は、携帯電話20の図示しない接続端子に接続され、携帯電話20と制御部12との間で送受信される制御信号を伝達し、また、制御部12へ電源を供給する。
制御部12は、運動伝達部13から形状に関する計測値を取得して制御信号を生成し、携帯電話接続部11を介して携帯電話20へ送信するとともに、携帯電話20から携帯電話接続部11を介して制御信号を受信し、この制御信号に基づいて運動伝達部13を変形させる。
【0012】
運動伝達部13は、図2に示すように、9個の棒状部材31〜39の端部が取付位置41〜49において、後述する関節ユニット100(図3、図4)により結合され、ループ状に形成されている。関節ユニット100の関節は、外力又はアクチュエータ(駆動装置)により所定の軸線を中心に所定の角度だけ回転させることができるので、運動伝達部13は、図1に示すように手で握り又は制御部12からの制御により、各々の関節ユニット100の関節が回転可能な範囲で任意に形状を変えることができる。また、運動伝達部13は、自らの変形を各々の関節ユニット100に設けたセンサにより計測する。
【0013】
上記の棒状部材31〜39は、棒状に形成された部材である。材質は手で握っても変形しにくいものを用いる。これは、手で握る力による運動伝達部13の変形を各々の関節ユニット100において適切に計測し、また、関節ユニット100の動作により運動伝達部13を適切に変形させるためである。この棒状部材31〜39への関節ユニット100の取り付け方は、関節ユニット100の構成及び動作原理を説明した後に説明する。
【0014】
ここで、図3及び図4を参照して、関節ユニット100の構成について説明する。図3は、関節ユニット100の関節が曲がった状態における斜視図であり、図4(a)は関節ユニット100の関節が曲がっていない状態における正面図、図4(b)は同じく平面図である。スプリング102と位置が重なるため、図4(a)においては形状記憶合金アクチュエータ123及び124を省略し、図4(b)においては形状記憶合金アクチュエータ113及び114を省略している。
【0015】
関節ユニット100は、小型のRUI(Robotic User Interface:ロボティックユーザインタフェース)、すなわち、実世界に存在する身体性を持ったロボットによるユーザインタフェースにおいてその関節に用いられ、1関節2自由度の動作を行うものである。例えば、この関節ユニット100を2個用いて、第1の関節ユニット100の形状を変化させ、これをセンサによって読み取った結果に基づいて第2の関節ユニット100を動作させ、同様に、第2の関節ユニット100の形状を変化させ、これをセンサによって読み取った結果に基づいて第1の関節ユニット100を動作させることで、簡単な形状同期が可能となる。従来は、関節の駆動にはモータが使用されていたが、ここでは形状記憶合金やスプリング等で構成された双安定アクチュエータを使用する。これは自由度数に対して機構や重量増加が少ないため、小型化が容易であり携帯する物品に組み込むのに適している。
【0016】
関節ユニット100のコ字状のフレーム110及び120はロ字状の連結部材101の両側に結合され、それぞれ互いに垂直な軸線を中心に回転する。ここで、コ字状のフレーム110は第1、第2の側板部110a、110cとそれらを連結する連結板部110bとからなり、ロ字状の連結部材101は上板部101a、右側板部101b、左側板部101c、下板部101dからなり、コ字状のフレーム120は上板部120a、側板部120b、下板部120cからなる。
【0017】
フレーム110及び120、連結部材101の材質は、手で握っても変形しにくいものを用いる。これは、これらの部材が前述した運動伝達部13の棒状部材31〜39と同様に運動伝達部13の形状を構成するため、手で握る力による運動伝達部13の変形を各々の関節ユニット100において適切に計測し、また、関節ユニット100の動作により運動伝達部13を適切に変形させるためである。
【0018】
このとき、フレーム110の第1の側板部110aの端部と連結部材101の右側板部101bの中央部は、関節軸111により回転可能に結合され、フレーム110の第2の側板部110cの端部と連結部材101の左側板部101cの中央部は、関節軸112により回転可能に結合されている。同様に、フレーム120の上板部120aの端部と連結部材101の上板部101aの中央部は、関節軸121により回転可能に結合され、フレーム120の下板部120cの端部と連結部材101の下板部101dの中央部は、関節軸122により回転可能に結合されている。
【0019】
関節軸111、112、121、122は、軸の両端を軸より直径の大きい円盤で挟んだ取付部材である。材質は、フレーム110及び120、連結部材101と同様に、手で握っても変形しにくいものを用いる。
取り付け方の一例は次の通りである。フレーム110及び120の上板部及び下板部に軸が通る穴を空け、関節軸の一方の円盤を外して軸をこの穴に通してから外した円盤を取り付けて、各フレームの内側に向いた関節軸の円盤と連結部材101とを上記で説明した位置で接合する。ここで、関節軸111と関節軸112はこれらの軸が同一線上にあるように取り付け、関節軸121と関節軸122はこれらの軸が同一線上にあるように取り付ける。
【0020】
すなわち、フレーム110は、関節軸111と関節軸112の軸を通る第1の軸線を中心に回動自在に取り付けられ、フレーム120は、前記第1の軸線に直交し関節軸121と関節軸122の軸を通る第2の軸線を中心に回動自在に取り付けられている。
これにより、関節ユニット100は、連結部材101に対してフレーム110及び120がそれぞれ1自由度動作を行う機構となっており、全体として2自由度動作を可能とする。これを動作させるため、スプリング102及び形状記憶合金アクチュエータ113、114、123、124を用いる。
【0021】
スプリング102は、ロ字状の連結部材101の中空部を通して両端がそれぞれ、フレーム110の連結板部110bの中央部及びフレーム120の側板部120bの中央部に接続された弾性部材であり、接続された状態で収縮する方向に力が働いている。
【0022】
形状記憶合金アクチュエータ113、114、123、124には、電流を流すと収縮し、電流を止めると元の長さに伸びる細い繊維状のアクチュエータ(駆動装置)を用いることができる。
この形状記憶合金アクチュエータ113、114、123、124を取り付けるため、フレーム110の連結板部110bの外側に長方形の取付板117を取り付け、フレーム120の側板部120bの外側に長方形の取付板127を取り付ける。そして、取付板117のフレーム110に取り付けられた面と反対側の面に、2つのアクチュエータ取付部材115及び116を取り付け、取付板127のフレーム120に取り付けられた面と反対側の面に、2つのアクチュエータ取付部材125及び126を取り付ける。
【0023】
アクチュエータ取付部材115及び116は、それぞれ関節軸121及び122との間に形状記憶合金アクチュエータ113及び114を取り付けるために使用されるので、長方形である取付板117の4辺のうち対応する関節軸に最も近い側の辺上にアクチュエータ取付部材115及び116をそれぞれ取り付ける。同様に、アクチュエータ取付部材125及び126は、それぞれ関節軸111及び112との間に形状記憶合金アクチュエータ123及び124を取り付けるために使用されるので、長方形である取付板127の4辺のうち対応する関節軸に最も近い側の辺上にアクチュエータ取付部材125及び126をそれぞれ取り付ける。
【0024】
形状記憶合金アクチュエータ113の両端は、関節軸121の連結部材101に接合された円盤と反対側の円盤の中央部及びアクチュエータ取付部材115に接続し、形状記憶合金アクチュエータ114の両端は、関節軸122の連結部材101に接合された円盤と反対側の円盤の中央部及びアクチュエータ取付部材116に接続する。また、形状記憶合金アクチュエータ123の両端は、関節軸111の連結部材101に接合された円盤と反対側の円盤の中央部及びアクチュエータ取付部材125に接続し、形状記憶合金アクチュエータ124の両端は、関節軸112の連結部材101に接合された円盤と反対側の円盤の中央部及びアクチュエータ取付部材126に接続する。
【0025】
すなわち、形状記憶合金アクチュエータ113は、フレーム110を関節軸111と関節軸112の軸を通る第1の軸線を中心に時計回りに回転させる第1のアクチュエータであり、形状記憶合金アクチュエータ114は、フレーム110を前記第1の軸線を中心に反時計回りに回転させる第2のアクチュエータである。また、形状記憶合金アクチュエータ124は、フレーム120を関節軸121と関節軸122の軸を通る第2の軸線を中心に時計回りに回転させる第3のアクチュエータであり、形状記憶合金アクチュエータ123は、フレーム120を前記第2の軸線を中心に反時計回りに回転させる第4のアクチュエータである。
【0026】
各々の形状記憶合金アクチュエータの両端には、それぞれ電源とつなぐための導線を接続する。4つの形状記憶合金アクチュエータ113、114、123、124は個々に電流がオン、オフされる。
【0027】
関節ユニット100のフレーム110及び120には、連結部材101に対するフレーム110及び120の角度を読み取るセンサとして、図3、図4においては図示しないフォトリフレクタが設置されている。
図5は関節ユニット100を図4(a)と同じ方向から見た図であり、フォトリフレクタの設置位置の一例を示す図である。フォトリフレクタ130は発光素子及び受光素子を有し、受光素子が受ける光の強さによって抵抗値が変化する。この発光素子及び受光素子は、フレーム120が図6(a)に示す矢印の方向に動かされ図6(b)に示す停止位置まで回転しきった状態において連結部材101の上板部101aの正面にくるように設置されている。すなわち、フレーム120が一方向に回転しきる前は連結部材101の上板部101aがフォトリフレクタ130の発光素子による光を反射する位置にはないが、フレーム120が一方向に回転しきると連結部材101の上板部101aがフォトリフレクタ130の発光素子による光を反射する位置にくるため、受光素子が反射光を受けフォトリフレクタ130の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化を読み取ることで、双安定状態のみであるが関節ユニット100の形状を知ることができる。
【0028】
このフォトリフレクタ130を第1のフォトリフレクタとすると、この他に、フレーム120が図6(a)に示す矢印とは反対の方向に動かされ回転しきった状態を検知するための第2のフォトリフレクタ、フレーム120が図6(a)の紙面手前の方向に動かされ回転しきった状態を検知するための第3のフォトリフレクタ、その反対の方向に動かされ回転しきった状態を検知するための第4のフォトリフレクタを同様に設置する。
【0029】
各々のフォトリフレクタには電源を供給するための導線2本と、受光素子の抵抗値を計測するための導線1本を接続する。各々のフォトリフレクタの抵抗値から次のようして各フレームが回転しきった状態であるか否かを知ることができる。例えば、フレーム120を図6(a)に示す矢印の方向に回転しきった状態とそうでない状態、すなわち、フォトリフレクタ130の受光素子の正面に連結部材101の上板部101aがあるときとないときの抵抗値を予め計測しておく。するとフレーム120を動かして計測した抵抗値から受光素子の正面に連結部材101の上板部101aがあるかないか、すなわち、フレーム120が図6(a)に示す矢印の方向に回転しきった状態であるか否かを知ることができる。他のフォトリフレクタについても同様である。
【0030】
次に、図6を参照して、関節ユニット100の動作原理を説明する。図6においては、形状記憶合金アクチュエータ113、114、123、124を省略している。
関節ユニット100の関節が曲がっていない状態、すなわち、フレーム110、連結部材101、フレーム120が図4に示す中立位置にあるとき、フレーム110とフレーム120に接続されたスプリング102はやや伸びた状態となっている。このときスプリング102は関節軸111と関節軸112の軸を通る第1の軸線上を通っている。このとき不安定な状態ではあるが、関節ユニット100は静止した状態を保つ。
【0031】
ここで、フレーム120が例えば図6(a)に示す矢印の方向に動かされると、スプリング102が第1の軸線上から少しずれる。こうするとスプリング102の収縮力により、スプリング102をずらした方向にフレーム120が回転する力が発生する。そしてある程度の角度だけフレーム120が動くと図6(b)の状態となり回転は静止する。これは、図6(b)の状態においては、スプリング102には収縮力が働いているが、スプリング102が連結部材101の左側板部101cと接しており、さらに回転すると左側板部101cによってスプリング102が伸長し、図6(b)の位置に戻ろうとするためである。フレーム120が図6(a)に示す矢印の方向と反対方向に動かされた場合も同様である。
また同様に、フレーム120が図6の紙面手前の方向に動かされ、スプリング102が関節軸121と関節軸122の軸を通る第2の軸線上からずれると、この軸線を中心としてフレーム120が回転し、ある角度で回転は静止する。フレーム120が図6の紙面奥の方向に動かされた場合も同様である。
つまり、スプリング102を第1の軸線上又は第2の軸線上からずらすことで、関節の2自由度の安定動作を行うことができる。スプリング102をこれらの軸線上からずらすためのアクチュエータ(駆動装置)として前述の形状記憶合金アクチュエータ113、114、123、124を使用する。
【0032】
例えば、上記のようにフレーム120を図6(a)に示す矢印の方向に動かすには、関節軸122とアクチュエータ取付部材116に取り付けられた、図6(a)においては図示しない形状記憶合金アクチュエータ114に電流を流す。すなわち、形状記憶合金アクチュエータ114の両端に導線を接続し、電源とつなぎスイッチを設けて回路を構成し、このスイッチをオンにして電流を流す。なお、このとき他の形状記憶合金アクチュエータ113、123、124には電流を流さない。すると形状記憶合金アクチュエータ114が収縮し、フレーム120が図6(a)に示す矢印の方向に動き出し、図6(b)の位置で静止する。
【0033】
このように動作させた関節ユニット100の形状を知るには、前述のようにフレーム110及び120に設置された4個のフォトリフレクタそれぞれの受光素子の抵抗値を読み取る。
まず、4個のフォトリフレクタそれぞれに給電して発光素子を発光させる。そして、受光素子毎に設けた抵抗値を計測するための部品により抵抗値を計測し、前述のようにフレーム110及び120が回転しきった状態とそうでない状態について予め計測した抵抗値と比較することにより、各フレームが回転しきった状態であるか否かを知ることができる。
【0034】
図2に戻り、以上説明した関節ユニット100の棒状部材31〜39への取り付け方の一例を説明する。まず、運動伝達部13が運動の伝達に使用されず静止状態であるときの形状に棒状部材31〜39を配置する。そして、棒状部材31と32を関節ユニット100により取付位置42で結合するには、棒状部材31と32のなす角度を上記の静止状態においてなす角度とし、関節ユニット100を図4に示す静止状態であるようにして、棒状部材32(図2)とフレーム110(図4)、棒状部材31(図2)とフレーム120(図4)をそれぞれ固定する。他の取付位置42〜49における結合も同様である。
【0035】
また、図7は、運動伝達部13と構成が異なる運動伝達部14を有する運動伝達装置15の例を示す図である。運動伝達部14は、図8に示すように12個の棒状部材301〜312の端部が、取付位置401〜412に取り付けられた12個の関節ユニット100(図7)により結合され人形型が構成されている。すなわち、棒状部材301〜312はこの順に結合され閉じたループを形成しているが、棒状部材301及び312は人形の頭、棒状部材302及び303は人形の右腕、棒状部材305及び306は人形の右足、棒状部材307及び308は人形の左足、棒状部材310及び311は人形の左腕にそれぞれ対応するよう鋭角に結合され、棒状部材304及び309は人形の胴に対応するようほぼ平行となっている。
【0036】
この運動伝達部14には、例えば図10に示すように頭部と手足を有する動物の人形をかぶせてもよい。この人形の材質は、柔軟なものを用いる。これは、手で握る力による運動伝達部13の変形を各々の関節ユニット100において適切に計測し、また、関節ユニット100の動作により運動伝達部13を適切に変形させ、これらを阻害しないようにするためである。この人形の取り付け方は、例えば、図8の棒状部材301及び312は人形の頭、棒状部材302及び303は人形の右腕、棒状部材305及び306は人形の右足、棒状部材307及び308は人形の左足、棒状部材310及び311は人形の左腕、棒状部材304及び309は人形の胴にそれぞれ固定する。
なお、運動伝達部を構成する棒状部材及び関節ユニット100の個数、棒状部材同士を関節ユニット100で結合するときの結合位置、これらによって構成される形状等は図2、図7に限定されない。また、棒状部材は他の形状の部材で置き換えてもよい。
【0037】
図1に戻り、制御部12は、以上説明した運動伝達部13と接続されるとともに、携帯電話接続部11と接続されており、取付位置41〜49に取り付けられた関節ユニット100それぞれに設けられたセンサの計測値、すなわち、フォトリフレクタの受光素子の抵抗値を一定周期で読み取って制御信号を生成し、携帯電話接続部11を介して携帯電話20へ送信するとともに、携帯電話20から携帯電話接続部11を介して受信した制御信号に基づいて各関節ユニット100を動作させることにより運動伝達部13を変形させる。
【0038】
関節ユニット100毎に4本の形状記憶合金アクチュエータと4個のフォトリフレクタが取り付けられているが、制御部12における配線は次のように行う。
各々の形状記憶合金アクチュエータの両端に接続された導線を制御部12に引き込み、携帯電話接続部11を介して携帯電話20から供給された電源とつないで回路を構成し、電流をオン、オフするためのスイッチ回路を取り付ける。
また、携帯電話接続部11を介して携帯電話20から供給された電源を各々のフォトリフレクタに供給する。電源はフォトリフレクタ毎にオン、オフする必要はないので、例えば並列に接続して供給してもよいが、各々のフォトリフレクタの受光素子の抵抗値を計測するための導線はフォトリフレクタ毎に制御部12に引き込み、抵抗値を計測するための計測回路を取り付ける。
【0039】
例えば、運動伝達部13が図2のように構成されているときは、取付位置41〜49毎に関節ユニット100が取り付けられており、9個の関節ユニット100について、それぞれ、4本の形状記憶合金アクチュエータ毎に電流のオン、オフを制御し、4個の受光素子毎に抵抗値を計測する必要がある。このため、上記のスイッチ回路は36本の形状記憶合金アクチュエータの電流を別々にオン、オフし、上記の計測回路は36個の受光素子の抵抗値を別々に計測する。
【0040】
制御部12における制御信号の生成の仕方は次の通りである。上記のように計測回路において計測した抵抗値と、前述のようにフレーム110及び120が回転しきった状態とそうでない状態について予め計測した抵抗値と比較することにより、各フレームが回転しきった状態であるか否かを検知し、例えば、各フレームが回転しきった状態である場合は符合「1」、そうでない場合は符号「0」を割り当て、取付位置41〜49の順で、各々の関節ユニット100について第1のフォトリフレクタから第4のフォトリフレクタの順に、先頭から「1」又は「0」の符号を並べることにより、運動伝達部13の形状を特定する制御信号を生成する。
【0041】
また、制御部12において、携帯電話20から携帯電話接続部11を介して受信した制御信号に基づいて各関節ユニット100を動作させる仕方は次の通りである。制御部12は制御信号の先頭から符合が「1」であるか「0」であるか読み出し、制御信号における「1」又は「0」の符合の列の先頭から順に、取付位置41〜49の順で、各々の関節ユニット100について形状記憶合金アクチュエータ114、113、124、123の順に対応させ、符合が「1」である場合はスイッチ回路において対応する形状記憶合金アクチュエータの電流をオンとし、符合が「0」である場合はオフとする。これにより、電流がオンとなった形状記憶合金アクチュエータが収縮し、電流がオフとなった形状記憶合金アクチュエータが元の長さに伸び、各関節ユニット100のフレーム110及び120が動作し、運動伝達部13が変形する。
【0042】
なお、上記では運動伝達装置10は、携帯電話接続部11を介して有線で携帯電話20と制御信号を送受信するが、例えば、携帯電話接続部11は運動伝達装置10を携帯電話20にくくりつけるための紐として制御信号の送受信はせず、制御部12と携帯電話20の両方にこれらの間で無線通信するための通信手段、一例としてBluetooth(ブルートゥース、登録商標)による通信手段を備え、また、制御部12にこの通信手段及び運動伝達部13に電源を供給するための電池を内蔵してもよい。
【0043】
次に、この実施形態において用いられる携帯電話20の構成を説明する。携帯電話20は、通話中にリアルタイムな双方向通信で運動伝達装置10同士を接続する機能、すなわち、相手先の携帯電話20と音声信号の送受信を行うと同時に制御信号の送受信を行う機能を有する。これは例えば音声信号を送受信するプロトコルにおける空きデータ領域に制御信号を格納して送受信するか、又は、制御信号を音声信号に変換し、通話の音声信号に重畳させ背景音として送受信する方法により行う。
また、制御信号の送受信は別の通信手段により行ってもよい。例えば制御部12に携帯電話20とは別に携帯電話の機能を設け、相手先も同様の制御部12を有する運動伝達装置10を所持し、この制御部12に相手先の制御部12に設けられた携帯電話の電話番号を予め設定しておき、運動伝達部13が変形されたときに制御部12に設けられた携帯電話により相手先の運動伝達装置10の制御部12に設けられた携帯電話と通信し、制御信号を送受信してもよい。
また、通話は行わず運動の伝達のみを行う場合は、運動伝達装置10の携帯電話接続部11を携帯電話20のマイク/イヤホン端子に接続し、制御信号を音声信号に変換して送受信してもよい。この場合、運動伝達装置10の制御部12は、運動伝達部13の計測値から生成された制御信号を音声信号に変換し携帯電話接続部11を介して携帯電話20へ送信し、携帯電話20から携帯電話接続部11を介して受信した音声信号を制御信号に変換して運動伝達部13の関節ユニット100を動作させる。また、携帯電話接続部11を携帯電話20のデータ通信端子に接続して制御信号をデータとして送受信してもよい。
【0044】
次に、図9及び図10を参照して、上述した運動伝達装置10の動作を説明する。図9は、運動伝達装置10が接続された携帯電話20と運動伝達装置10aが接続された携帯電話20aの間で通話中に、運動伝達装置10と運動伝達装置10aの間で運動の伝達を行う様子を示す図である。ここで携帯電話20aは携帯電話20と同様の構成であり、運動伝達装置10aは運動伝達装置10と同様の構成であり、運動伝達装置10aの運動伝達部13aは運動伝達部13と同様に棒状部材31a〜39aが取付位置41a〜49aにおいてそれぞれ関節ユニット100により結合されているとする。
【0045】
携帯電話20の通話者が携帯電話20aとの間の回線接続を行った後、運動伝達装置10の運動伝達部13を手で握り変形させると、制御部12は一定周期で運動伝達部13に取り付けられた関節ユニット100それぞれに設けられたフォトリフレクタの抵抗値を読み取って制御信号を生成し、携帯電話20へ送信する。この制御信号は前述のようにして携帯電話20から携帯電話20aに送信される。携帯電話20aは、携帯電話20から受信した制御信号に基づいて対応する位置に取り付けられた関節ユニット100それぞれを動作させることにより運動伝達部13aを変形させる。
同様に、携帯電話20aの通話者が運動伝達装置10aの運動伝達部13aを手で握り変形させると、制御部12aは一定周期で運動伝達部13に取り付けられた関節ユニット100それぞれに設けられたフォトリフレクタの抵抗値を読み取って制御信号を生成し、携帯電話20aへ送信する。この制御信号は前述のようにして携帯電話20aから携帯電話20に送信される。携帯電話20は、携帯電話20aから受信した制御信号に基づいて対応する位置に取り付けられた関節ユニット100それぞれを動作させることにより運動伝達部13を変形させる。
以上により、運動伝達部13と13aの形状同期が行われ、手慰み動作を相互に伝達し合い、触動作によるコミュニケーション手段として用いられる。
【0046】
図10は、図9と同様に運動の伝達を行う様子を示す図であるが、運動伝達装置が異なる。すなわち、運動伝達部14を有する運動伝達装置15(図7)が接続された携帯電話20と、運動伝達装置15aが接続された携帯電話20aの間で通話中に運動伝達部14と14aの形状同期を行う例である。ここで携帯電話20aは携帯電話20と同様の構成であり、運動伝達装置15aは運動伝達装置15と同様の構成であり、運動伝達装置15aの運動伝達部14aは運動伝達部14と同様に棒状部材301a〜312aが取付位置401a〜412aにおいてそれぞれ関節ユニット100により結合されているとする。また運動伝達部14及び14aには前述のようにして人形がかぶせられ、棒状部材301a〜312aに固定されているとする。形状同期の動作は上記と同様である。
【0047】
なお、図9及び図10は、それぞれ同一の構成からなる運動伝達部を有する運動伝達装置を用いて相互に運動の伝達を行う例であるが、構成が異なる運動伝達部を有する運動伝達装置を用いて相互に運動の伝達を行う場合は、関節ユニット100の自由度数、運動伝達部の形状等の違いを考慮して、動作変換を行う等により相互の触動作コミュニケーションが可能となる。
また、運動伝達装置へ送信される制御信号は、他の運動伝達装置で計測され生成された制御信号だけでなく、計算機により生成された制御信号でもよい。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では関節ユニット100を動作させるために形状記憶合金アクチュエータ113、114、123、124を用いたが、この実施形態ではこれらを用いずに可動コイル型リニアモータを用いる。可動コイル型リニアモータは、ハードディスクにおいて磁気ヘッドが取り付けられたアームを移動させるために用いられているほか、小型玩具で多く用いられている駆動機構である。この駆動機構はコイルと磁石で構成されているので、小型化に適している。以下、上述した第1の実施形態と異なるその他の部分について説明する。
【0049】
上記の可動コイル型リニアモータは、例えば次のように取り付ける。図3の関節軸111及び121は取り付けず、関節軸111及び121のそれぞれの軸の位置に可動コイル型リニアモータの回転軸がくるようにして、可動コイル型リニアモータの本体を連結部材101に固定する。すなわち、第1の可動コイル型リニアモータの本体を右側板部101bの中央に固定し、第2の可動コイル型リニアモータの本体を上板部101aの中央に固定する。そして、第1の可動コイル型リニアモータの回転軸をフレーム110の第1の側板部110aの端部に固定し、第2の可動コイル型リニアモータの回転軸をフレーム120の上板部120aの端部に固定する。
また、可動コイル型リニアモータ毎に回転を制御するための導線を制御部12に引き込む。すなわち、制御部12は、関節ユニット100毎に2個の可動コイル型リニアモータを制御する。
【0050】
ここで、第1の可動コイル型リニアモータの回転方向は、第1の実施形態において形状記憶合金アクチュエータ114が収縮したときにフレーム110が回転する方向を時計回り、形状記憶合金アクチュエータ113が収縮したときにフレーム110が回転する方向を反時計回りとする。また、第2の可動コイル型リニアモータの回転方向は、第1の実施形態において形状記憶合金アクチュエータ124が収縮したときにフレーム120が回転する方向を時計回り、形状記憶合金アクチュエータ123が収縮したときにフレーム120が回転する方向を反時計回りとする。
【0051】
制御部12における制御信号の生成の仕方は第1の実施形態と同様である。制御部12において、携帯電話20から携帯電話接続部11を介して受信した制御信号に基づいて各関節ユニット100を動作させる仕方は次の通りである。
制御部12は制御信号の先頭から符合が「1」であるか「0」であるか読み出し、制御信号における「1」又は「0」の符合の列の先頭から順に、取付位置41〜49の順で、各々の関節ユニット100について、第1の可動コイル型リニアモータの時計回りの回転の有無、第1の可動コイル型リニアモータの反時計回りの回転の有無、第2の可動コイル型リニアモータの時計回りの回転の有無、第2の可動コイル型リニアモータの反時計回りの回転の有無の順に対応させ、符合が「1」である場合は該当する可動コイル型リニアモータを該当する方向に回転させる。これにより、各関節ユニット100のフレーム110及び120が動作し、運動伝達部13が変形する。
【0052】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では関節ユニット100を動作させるためスプリング102及び形状記憶合金アクチュエータ113、114、123、124を用い、連結部材101に対するフレーム110及び120の角度を読み取るセンサとしてフォトリフレクタを用いたが、この実施形態ではこれらを用いずにRC(ラジオコントロール)サーボモータを用いる。RCサーボモータとは、ラジコン用に作られた制御回路を含むモータモジュールであり、制御回路に制御パルスを送信するとそのパルス幅に比例した角度だけ回転し、また、回転軸の回転角度を検知することができる。以下、上述した第1の実施形態と異なるその他の部分について説明する。
【0053】
上記のRCサーボモータは、例えば次のように取り付ける。図3の関節軸111及び121は取り付けず、関節軸111及び121のそれぞれの軸の位置にRCサーボモータの回転軸がくるようにして、RCサーボモータの本体を連結部材101に固定する。すなわち、第1のRCサーボモータの本体を右側板部101bの中央に固定し、第2のRCサーボモータの本体を上板部101aの中央に固定する。そして、第1のRCサーボモータの回転軸をフレーム110の第1の側板部110aの端部に固定し、第2のRCサーボモータの回転軸をフレーム120の上板部120aの端部に固定する。
また、RCサーボモータ毎に制御パルスの送信及び回転角度の検知を行うための導線を制御部12に引き込む。すなわち、制御部12は、関節ユニット100毎に2個のRCサーボモータを制御する。
【0054】
制御部12における制御信号の生成の仕方は次の通りである。各RCサーボモータにおいて検知した回転軸の回転角度を示す値を読み取り、取付位置41〜49の順で、各々の関節ユニット100について、第1のRCサーボモータ、第2のRCサーボモータの順に、先頭から回転角度を示す値を並べることにより、運動伝達部13の形状を特定する制御信号を生成する。
【0055】
また、制御部12において、携帯電話20から携帯電話接続部11を介して受信した制御信号に基づいて各関節ユニット100を動作させる仕方は次の通りである。制御部12は制御信号として並べられた回転角度を示す値を読み出し、先頭から順に取付位置41〜49の順で、各々の関節ユニット100について、第1のRCサーボモータ、第2のRCサーボモータの順に対応させ、読み出した値が示す回転角度だけ回転軸を回転させる制御パルスをRCサーボモータに送信する。これにより、各関節ユニット100のフレーム110及び120が動作し、運動伝達部13が変形する。
【0056】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第1の実施形態においては運動伝達部13(図2)又は運動伝達部14(図8)を用いたが、この実施形態においては図11に示す運動伝達部16を用いる。以下、上述した第1の実施形態と異なるその他の部分について説明する。
【0057】
運動伝達部16は、図12に示す1自由度の関節ユニット400が7個接続され、鎖状に形成されている。なお、運動伝達部16を構成する関節ユニット400の個数はこの個数に限定されない。
【0058】
まず、図12を参照して関節ユニット400の構成を説明する。図12は関節ユニット400の平面図、正面図及び右側面図である。関節ユニット400は、コ字状のフレーム410が直方体の箱型部材420に軸線415を中心に回動自在に取り付けられている。ここで、コ字状のフレーム410は、右側板部410a、左側板部410cとそれらを連結する連結板部410bからなり、直方体の箱型部材420は、上板部420a、第1の側板部420b、第2の側板部420c、第3の側板部420d、第4の側板部420e、下板部420fからなる。これらの部材は運動伝達部16の形状を構成するため、手で握っても変形しにくい材質を用いる。
【0059】
フレーム410の箱型部材420への取り付け方は、例えば次の通りである。箱型部材420の第2の側板部420cが軸線415と交わる位置に、RCサーボモータの回転軸が通る軸穴を空ける。そして、軸線415上にRCサーボモータの回転軸がくるようにして、RCサーボモータの本体を箱型部材420の内側から第2の側板部420cに固定する。RCサーボモータの回転軸は、軸穴から箱型部材420の第2の側板部420cの外側へ出し、フレーム410の左側板部410cの端部に設けた軸受440に固定する。一方、軸線415と箱型部材420の第4の側板部420e及びフレーム410の右側板部410aが交わる位置には関節軸430を取り付ける。関節軸430は、第1の実施形態における関節軸111等と同様の構造であり、取り付け方も同様である。
また、RCサーボモータ毎に制御パルスの送信及び回転角度の検知を行うための導線を制御部12に引き込む。制御部12は、関節ユニット400毎に1個のRCサーボモータを制御する。
【0060】
取付部材450は、他の関節ユニット400との接続に用いる。すなわち、一方の関節ユニット400のフレーム410の連結板部410bの中央と、他方の関節ユニット400の箱型部材420の上板部420aの中央とを、この取付部材450で接続する。これは軸の両端を軸より直径の大きい円盤で挟んで固定する取付部材である。フレーム410の連結板部410bの中央には、取付部材450の軸を通す軸穴を空ける。同様に、箱型部材420の上板部420aの中央には、取付部材450の軸を通す軸穴421を空ける。一方の関節ユニット400のフレーム410の連結板部410bと、他方の関節ユニット400の箱型部材420の上板部420aの間に穴が空いた厚みのある円盤を挟んでもよい。
図12に示す運動伝達部16は、以上説明した関節ユニット400を互いに90度の角度をなすように7個接続し、携帯電話接続部11から遠い側の末端に箱型部材420を結合したものである。なお、図11においては制御部12は省略している。
【0061】
上述したように、運動伝達部16を構成する関節ユニット400は各々の軸線415を中心に回転させることができるので、運動伝達部16は第1の実施形態における運動伝達部13又は運動伝達部14と同様に、手で握り又は制御部12からの制御により各々の関節ユニット400が回転可能な範囲で任意に形状を変えることができる。また、制御部12は、各々の関節ユニット400に設けたRCサーボモータが検知した回転軸の回転角度を読み取ることにより、運動伝達部16の変形を計測することができる。
【0062】
この運動伝達部16には、例えば図11に示すように動物の尾のような形状で柔軟な材質のぬいぐるみ17をかぶせてもよい。このぬいぐるみ17の取り付け方は、例えば、各関節ユニット400のフレーム410の第1の側板部420aと第2の側板部420cの外側をぬいぐるみ17の内側に接着する。接着する部分は他の部分でもよいし、運動伝達部16をこのぬいぐるみ17に封入し、どの部分も接着しなくてもよい。
【0063】
配線は、RCサーボモータ毎に制御パルスの送信及び回転角度の検知を行うための導線を制御部12に引き込む。制御部12は、関節ユニット400毎に1個づつのRCサーボモータを制御する。制御部12における制御信号の生成の仕方、及び、制御部12において、携帯電話20から携帯電話接続部11を介して受信した制御信号に基づいて関節ユニット400を動作させる仕方は、第3の実施形態と同様である。これにより、関節ユニット400が動作し、運動伝達部16が変形する。
【0064】
なお、上述した能動的変形機能は、マナーモード振動の代用や着信メロディの代わりに、特徴的にくねる、ダンスを踊る等の様々な動きをさせるために利用することもできる。
携帯電話のストラップは近年装飾化が進んでおり、通話中の手慰みとして利用されることも多い。本発明は、この際にストラップの変形を双方向に伝達することができ、既存のコミュニケーションスタイルを利用してその効果を強化するデバイスとして位置づけられる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、携帯電話に代表される携帯端末に有線又は無線を介して接続され運動を伝達する装置に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態による運動伝達装置10の構成を示す図である。
【図2】運動伝達部13の構成を示す図である。
【図3】関節ユニット100の関節が曲がった状態における斜視図である。
【図4】関節ユニット100の関節が曲がっていない状態における正面図及び平面図である。
【図5】フォトリフレクタの設置位置の一例を示す図である。
【図6】関節ユニット100の動作原理を説明する図である。
【図7】運動伝達装置15の構成を示す図である。
【図8】運動伝達部14の構成を示す図である。
【図9】携帯電話20及び20aを介した運動伝達装置10及び10aの動作を示す図である。
【図10】携帯電話20及び20aを介した運動伝達装置15及び15aの動作を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施形態による運動伝達部16の構成を示す図である。
【図12】関節ユニット400の構成を示す平面図、正面図及び右側面図である。
【符号の説明】
【0067】
10、10a、15、15a…運動伝達装置
11、11a…携帯電話接続部
12、12a…制御部
13、13a、14、14a、16…運動伝達部
17…ぬいぐるみ
20、20a…携帯電話
31、31a、32、32a、33、33a、34、34a、35、35a、36、36a、37、37a、38、38a、39、39a…棒状部材
41、41a、42、42a、43、43a、44、44a、45、45a、46、46a、47、47a、48、48a、49、49a、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412…取付位置
100…関節ユニット
101…連結部材
101a…上板部
101b…右側板部
101c…左側板部
101d…下板部
102…スプリング
110…フレーム
110a…第1の側板部
110b…連結板部
110c…第2の側板部
111、112、121、122…関節軸
113、114、123、124…形状記憶合金アクチュエータ
115、116、125、126…アクチュエータ取付部材
117、127…取付板
120…フレーム
120a…上板部
120b…側板部
120c…下板部
130…フォトリフレクタ
301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312…棒状部材
400…関節ユニット
410…フレーム
410a…右側板部
410b…連結板部
410c…左側板部
415…軸線
420…箱型部材
420a…上板部
420b…第1の側板部
420c…第2の側板部
420d…第3の側板部
420e…第4の側板部
420f…下板部
421…軸穴
430…関節軸
440…軸受
450…取付部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力により形が変化する形変化手段と、
前記形変化手段の形を変化させる駆動手段と、
前記形変化手段の変形を計測する計測手段と、
外部機器との間で制御信号を送受信する通信手段と、
前記計測手段による計測結果から制御信号を生成し、前記通信手段へ出力するとともに、前記通信手段により受信した制御信号に基づいて前記駆動手段を駆動する制御手段と、
を具備することを特徴とする運動伝達装置。
【請求項2】
前記形変化手段は、複数の棒状部材と、各棒状部材の端部を接続する複数の関節ユニットとから構成され、ループ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の運動伝達装置。
【請求項3】
前記関節ユニットは、
コ字状に形成された第1のフレーム及び第2のフレームと、
ロ字状に形成され前記第1のフレームが第1の軸線を中心に回動自在に取り付けられ、前記第2のフレームが前記第1の軸線に直交する第2の軸線を中心に回動自在に取り付けられた連結部材と、
前記連結部材の中空部を通して前記第1のフレームと前記第2のフレームとに両端が接続された弾性部材と、
を具備し、
前記駆動手段は、
前記第1のフレームを前記第1の軸線を中心に時計回りに回転させる第1のアクチュエータと、
前記第1のフレームを前記第1の軸線を中心に反時計回りに回転させる第2のアクチュエータと、
前記第2のフレームを前記第2の軸線を中心に時計回りに回転させる第3のアクチュエータと、
前記第2のフレームを前記第2の軸線を中心に反時計回りに回転させる第4のアクチュエータと、
を具備し、
前記計測手段は、
前記第1のフレームが中立位置にあるか停止位置まで回転したか、及び、前記第2のフレームが中立位置にあるか停止位置まで回転したかを各々検知することを特徴とする請求項2に記載の運動伝達装置。
【請求項4】
前記形変化手段は、複数の関節ユニットを鎖状に接続したことを特徴とする請求項1に記載の運動伝達装置。
【請求項5】
前記関節ユニットは、
コ字状に形成されたフレームと、
前記フレームが所定の軸線を中心に回動自在に取り付けられた箱型部材と、
を具備し、
前記駆動手段は、
前記フレームを所定の軸線を中心に回転させるモータを具備し、
前記計測手段は、
前記モータの回転軸の回転角度を検知することを特徴とする請求項4に記載の運動伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−244411(P2006−244411A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62949(P2005−62949)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年9月8日から10日 日本バーチャルリアリティ学会主催の「日本バーチャルリアリティ学会 第9回大会」において文書をもって発表
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】