説明

運動案内装置

【課題】小型化が図れ、移動部材本体に対する中間プレート及び蓋部材の位置決めも可能な運動案内装置を提供する。
【解決手段】中間プレート4の脚部4bに方向転換路内周側構成部20を設け、蓋部材5の脚部5bに、中間プレート4の方向転換路内周側構成部20の下面20cを露出させた状態で中間プレート4の方向転換路内周側構成部20に嵌められる方向転換路用凹部36を設ける。方向転換路内周側構成部20及び方向転換路用凹部36によって、中間プレート4に対して蓋部材5が左右方向に位置決めされる。さらに、中間プレート4に蓋部材5に向かって突出する上下方向位置決め凸部26を設け、蓋部材5に中間プレート4の上下方向位置決め凸部26に嵌められる蓋部材側上下方向位置決め凹部34を設ける。上下方向位置決め凸部26及び蓋部材側上下方向位置決め凹部34によって、中間プレート4に対して蓋部材5が上下方向に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースに対する移動体の直線運動又は曲線運動を案内する運動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1970年代初頭に原形が生まれた直線運動案内装置は、摺動部の転がり化により摩擦抵抗を抑えることができるので、省エネルギー、運動精度の向上に貢献しており、現在では製造業において不可欠な存在になっている。直線運動案内装置は、ユニット化された機械要素部品であり、ボルト締結により相手面へ組み付けることができ、また、滑り案内面を製作するときに必要不可欠な摺り合わせや、キサゲ等の工程を省略できる。大幅な工数の削減を実現できるので、利用分野も広がり、1980年代からはそれまで使用が想定されていなかった小型機械での需要が徐々に増えてきた。それに伴い、小型化を図った運動案内装置の開発が進められている。特許文献1には、軌道レールの幅が20mm以下、ボール径が3.5mmφ以下の小型化を図った運動案内装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の運動案内装置は、長手方向に対して直角な断面の形状が略矩形で、長手方向に沿ってボール転走部が形成された軌道レールと、軌道レールに移動可能に組み付けられる鞍形状の移動ブロックと、を備える。摩擦抵抗を低減するために、軌道レールと移動ブロックとの間には転がり運動可能に多数のボールが介在される。移動ブロックには、複数のボールを循環させるサーキット状のボール循環路が設けられる。ボール循環路は、軌道レールのボール転走部に対向する直線状の負荷ボール転走部、負荷ボール転走部と平行な無負荷戻し路、及び負荷ボール転走部と無負荷戻し路を接続するU字状の方向転換路から構成される。
【0004】
方向転換路は、方向転換路の内周側が形成される方向転換路内周側構成部(Rピース)、及び方向転換路の外周側が形成される蓋部材(エンドプレート)によって構成される。方向転換路内周側構成部は移動ブロック本体の端面に取り付けられ、蓋部材は前記方向転換路内周側構成部を覆うように移動ブロック本体の端面に取り付けられる。方向転換路は、ボール循環路の列数に合わせて複数設けられる。
【0005】
運動案内装置を小型化すると、方向転換路内周側構成部も小さくなり、樹脂成形や移動ブロック端面への取り付けが困難になる。方向転換路の数に対応する複数の方向転換路内周側構成部を個別に移動ブロック本体の端面に取り付けなければならないという問題も生ずる。この問題を解決するために、特許文献1に記載の運動案内装置においては、複数の方向転換路内周側構成部を中間プレートに一体に成形している。そして、蓋部材に位置決めボスを形成し、中間プレート及び移動ブロック本体に位置決め孔を形成し、蓋部材の位置決めボスを中間プレート及び移動ブロック本体の位置決め孔に嵌めることによって、これらを互いに位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平6−39143号公報(3頁6欄参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、運動案内装置のさらなる小型化が要請され、レール幅も例えば4mm,2mm,1mmとより一層狭くなってきている。このような超小型の運動案内装置においても、ボールを円滑に循環させるためには、移動ブロック本体に対して中間プレート及び蓋部材を正確に位置決めする必要がある。しかし、超小型運動案内装置においては、そのサイズの小ささから、位置決めボスを製作するのが困難である。しかも、位置決めボスや位置決め孔を形成すると、その分部品を大きくしなければならないので、小型化の要請にも背いてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、さらなる小型化が図れ、移動部材本体に対する中間プレート及び蓋部材の位置決めも可能な運動案内装置を提供することを目的とする。
【0009】
ところで、特許文献1に記載の運動案内装置において、U字状の方向転換路の内周側を構成する方向転換路内周側構成部は半円柱形状に形成される。方向転換路の外周側を構成する蓋部材には、方向転換路外周側構成部に対応する半円柱形状の凹部が形成され、方向転換路外周側構成部が露出しないように蓋部材が完全に方向転換路外周側構成部を覆っている。
【0010】
しかし、蓋部材で完全に方向転換路外周側構成部を覆ったのでは、方向転換路外周側構成部を囲む蓋部材の肉厚の分、蓋部材を小型化することができなくなる。また、方向転換路外周側構成部を囲む蓋部材の肉厚も極めて薄いものになり、その強度も弱くなるという問題がある。
【0011】
そこで本発明の他の目的は、蓋部材のさらなる小型化を図った上で、蓋部材の強度も確保できる運動案内装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、本発明について説明する。
【0013】
上記本発明の目的を解決するために、本発明の一態様は、長手方向に伸びる転動体転走部を有する軌道レールと、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行に伸びる無負荷戻し路を有する移動部材本体と、前記移動部材本体に取り付けられ、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部と前記無負荷戻し路を接続する方向転換路の外周側が形成される蓋部材と、前記蓋部材と前記移動部材本体との間に挟まれ、前記方向転換路の内周側が形成される方向転換路内周側構成部を有する中間プレートと、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部、前記無負荷戻し路、及び前記方向転換路から構成される転動体循環路に配列される複数の転動体と、を備え、前記軌道レールの底面を水平面に配置した状態において、前記移動部材本体、前記中間プレート、及び前記蓋部材のそれぞれが、前記軌道レールの上面に対向する中央部、及び前記軌道レールの左右の側面に対向する一対の脚部を有する運動案内装置において、前記中間プレートの脚部に前記方向転換路内周側構成部が設けられると共に、前記蓋部材の脚部に、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部の下面を前記蓋部材によって覆うことなく露出させた状態で、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部に嵌められる方向転換路用凹部が設けられ、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部が前記蓋部材の前記方向転換路用凹部に嵌まることによって、前記軌道レールの長手方向からみて、前記中間プレートに対して前記蓋部材が左右方向にのみ位置決めされ、前記中間プレートの中央部に前記蓋部材に向かって突出する上下方向位置決め凸部又は上下方向位置決め凹部が設けられると共に、前記蓋部材の中央部に前記中間プレートの前記上下方向位置決め凸部に嵌められる蓋部材側上下方向位置決め凹部、又は前記中間プレートの前記上下方向位置決め凹部に嵌められる蓋部材側上下方向位置決め凸部が設けられ、前記中間プレートの前記上下方向位置決め凸部又は前記上下方向位置決め凹部が、前記蓋部材の前記蓋部材側上下方向位置決め凹部又は前記蓋部材側上下方向位置決め凸部に嵌まることによって、前記軌道レールの長手方向からみて、前記中間プレートに対して前記蓋部材が上下方向に位置決めされる運動案内装置である。
【0014】
本発明の他の態様は、長手方向に伸びる転動体転走部を有する軌道レールと、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行に伸びる無負荷戻し路を有する移動部材本体と、前記移動部材本体に取り付けられ、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部と前記無負荷戻し路を接続する方向転換路の外周側が形成される蓋部材と、前記蓋部材と前記移動部材本体との間に挟まれ、前記方向転換路の内周側が形成される方向転換路内周側構成部を有する中間プレートと、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部、前記無負荷戻し路、及び前記方向転換路から構成される転動体循環路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置において、前記中間プレート及び前記蓋部材には、前記移動部材本体に締結される締結部材が挿入される通し孔が空けられ、前記中間プレートの前記通し孔の周囲には、前記移動部材本体に向かって突出するリング状のボスが形成され、前記締結部材が締結される前記移動部材本体のねじ孔の周囲には、前記ボスが嵌まるリング状のボス用凹部が形成され、前記中間プレートの前記ボスが前記移動部材本体の前記ボス用凹部に嵌まることによって、前記移動部材本体に対して前記中間プレートが位置決めされる運動案内装置である。
【0015】
上記本発明の他の目的を解決するために、本発明のさらに他の態様は、長手方向に伸びる転動体転走部を有する軌道レールと、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行に伸びる無負荷戻し路を有する移動部材本体と、前記移動部材本体に取り付けられ、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部と前記無負荷戻し路を接続する方向転換路の外周側が形成される蓋部材と、前記蓋部材と前記移動部材本体との間に挟まれ、前記方向転換路の内周側が形成される方向転換路内周側構成部を有する中間プレートと、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部、前記無負荷戻し路、及び前記方向転換路から構成される転動体循環路に配列される複数の転動体と、を備え、前記軌道レールの底面を水平面に配置した状態において、前記移動部材本体、前記中間プレート、及び前記蓋部材のそれぞれが、前記軌道レールの上面に対向する中央部、及び前記軌道レールの左右の側面に対向する一対の脚部を有する運動案内装置において、前記中間プレートの脚部に前記方向転換路内周側構成部が設けられると共に、前記蓋部材の脚部に、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部の下面を前記蓋部材によって覆うことなく露出させた状態で、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部に嵌められる方向転換路用凹部が設けられる運動案内装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、中間プレートの方向転換路内周側構成部の下面を露出させた状態で、蓋部材を中間プレートに嵌めるので、方向転換路内周側構成部の下面を蓋部材によって覆うことがなく、蓋部材の小型化が図れる。また、転動体を循環させるために必須な構成部品である方向転換路内周側構成部を利用して中間プレートに対して蓋部材を左右方向に位置決めし、中間プレートに設けた上下方向位置決め凸部又は上下方向位置決め凹部を利用して中間プレートに対して蓋部材を上下方向に位置決めするので、中間プレート及び蓋部材の小型化を図った上で中間プレートに対する蓋部材の位置決めが可能になる。
【0017】
本発明の他の態様によれば、締結部材が挿入される中間プレートの通し孔の周囲のリング状のボスを利用して、移動部材本体に対して中間プレートを位置決めしているので、特に転動体の径が締結部材の径よりも小さくなる超小型の運動案内装置においても、大きな径のボスを確保することができる。このため、中間プレートのボスを製作するにあたり、ボスの径を管理し易くなると共に、移動部材本体に対して中間プレートをしっかりと位置決めすることが可能になる。
【0018】
本発明のさらに他の態様によれば、蓋部材のさらなる小型化を図った上で、蓋部材の強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の運動案内装置の分解斜視図
【図2】上記運動案内装置の断面図
【図3】組み立てた状態の移動ブロックの斜視図
【図4】移動ブロックの詳細図(図中(A)は斜視図を示し、(B)は正面図を示す)
【図5】中間プレートの詳細図(図中(A)はブロック本体側の斜視図を、(B)はエンドプレート側の斜視図を、(C)はエンドプレート側の正面図を、(D)は側面図を示す)
【図6】エンドプレートの詳細図(図中(A)はエンドプレートの外側の斜視図を、(B)は中間プレート側の斜視図を、(C)は中間プレート側の正面図を示す)
【図7】エンドプレートに中間プレートの下面を覆う壁部を設けた例を示す比較図
【図8】中間プレートの方向転換路内周側構成部及エンドプレートの方向転換路用凹部の底面図
【図9】ブロック本体及び中間プレートの斜視図
【図10】中間プレートのボス及びブロック本体のボス用凹部の断面図
【図11】中間プレート及びエンドプレートの斜視図
【図12】締結部材によってブロック本体に中間プレート及びエンドプレートを締結した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2は、本発明の一実施形態の運動案内装置を示す。図1は運動案内装置の分解斜視図を示し、図2は断面図を示す。運動案内装置は、主に軌道レール1と、軌道レール1に直線運動可能に組み付けられるキャリッジと呼ばれる移動ブロック2と、から構成される。軌道レール1と移動ブロック2との間には多数の転動体としてのボール3が転がり運動可能に介在される。ブロック本体8の移動方向の両端部それぞれには、循環機能を構成する循環部品6が装着される。循環部品6は、ブロック本体8の移動方向の端面に取り付けられる中間プレート4と、及び中間プレート4を覆う蓋部材としてのエンドプレート5と、から構成される。
【0021】
従来の運動案内装置と本実施形態の運動案内装置との最大の違いはそのサイズにある。図2に示されるレール幅は、例えば4mm,2mm,1mm等に設定される。運動案内装置を超小型にすることで、従来の運動案内装置では設置することができなかった極めて小さいスペースでも運動案内装置を設置することが可能になる。超小型にした上で、従来の運動案内装置と同様に、ボール3の転がり運動を利用して移動ブロック2を軌道レール1に対して移動させているので、滑動性も良好である。滑動性は移動ブロック2の移動時に発生する転がり抵抗により評価される。
【0022】
図2に示すように、軌道レール1の断面は略矩形状であり、上面1a、左右一対の側面1b、及び底面1c、を有する。軌道レール1の底面1cを水平面内に配置した状態で、軌道レール1の左右一対の側面1bそれぞれには、長手方向に伸びる転動体転走部としての一条のボール転走溝10が形成される。ボール転走溝10の断面形状は、二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状に形成され、ボール3はボール転走溝10に二点で接触する。上下方向及び左右方向の四方向から均等に荷重を負荷できるように、接触角は水平面に対して45度に設定される。軌道レール1はベース等の相手部品に接着、専用の取付け治具等の結合手段を用いて結合される。軌道レール1の長手方向に所定の間隔を空けて貫通孔を形成し、貫通孔にねじを通して軌道レール1を相手部品に取り付けるようにしてもよい。軌道レール1の材質はステンレス、鋼等の金属である。
【0023】
図1に示すように、軌道レール1には多数のボール3を介して移動部材である移動ブロック2が組み付けられる。図3に示すように、移動ブロック2は、移動部材本体としてのブロック本体8と、ブロック本体8の移動方向の両端面それぞれに取り付けられる中間プレート4と、中間プレート4を覆うエンドプレート5と、を備える。エンドプレート5は締結部材としてのねじ9によってブロック本体8に取り付けられる。中間プレート4はブロック本体8の端面とエンドプレート5との間に挟まれる。移動ブロック2は、軌道レール1の上面に対向する中央部2aと、軌道レール1の左右側面に対向する一対の脚部2bを有し、全体が鞍形状に形成される。
【0024】
図4に示すように、ブロック本体8も、軌道レール1の上面1aに対向する中央部8aと、軌道レール1の左右側面1bに対向する一対の脚部8bを有し、全体が鞍形状に形成される。一対の脚部8bの内側面には、軌道レール1のボール転走溝10に対向する負荷転動体転走部としての負荷ボール転走溝12が形成される。負荷ボール転走溝12の断面形状は、二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状に形成され、ボール3は負荷ボール転走溝12に二点で接触する。負荷ボール転走溝12の長さ方向の両端部12aには、クラウニング加工が施される。クラウニング加工とは、ボール3の無負荷域から負荷域への侵入をスムーズにする目的で、ボール3の負荷域での弾性変形量を想定し、負荷ボール転走溝12の端部12aにテーパを付けることである。
【0025】
ブロック本体8には、負荷ボール転走溝12と平行に無負荷戻し路13が形成される。無負荷戻し路13は、ブロック本体8を一方の端面から他方の端面まで貫通する。ブロック本体8の両端面それぞれには、締結部材としてのねじ9が螺合するねじ孔14が形成される。ねじ孔14の径は無負荷戻し路13の径よりも大きい。ねじ孔14の周囲には、ねじ孔14よりも径の大きいリング状のボス用凹部15が形成される。このボス用凹部15の周面は、ねじ孔14の奥に向かって徐々に幅が狭くなるテーパに形成される。ボス用凹部15の径はねじ孔14の径よりも大きいので、ボス用凹部15とねじ孔14の境目には段差が形成される。ブロック本体8の上面には、ブロック本体8を相手部品に取り付けるための取り付けねじ17が形成される。ブロック本体8の材質はステンレス、鋼等の金属製である。
【0026】
ブロック本体8の移動方向の両端面それぞれには、中間プレート4が取り付けられる。図1に示すように、中間プレート4は、軌道レール1の上面1aに対向する中央部4aと、軌道レール1の一対の左右の側面1bに対向する一対の脚部4bと、を有する。一対の脚部4bそれぞれには、U字状の方向転換路の内周側を構成する方向転換路内周側構成部20が一体に設けられる。図5は、中間プレート4の詳細図を示す。図中(A)はブロック本体側の斜視図を、(B)はエンドプレート側の斜視図を、(C)はエンドプレート側の正面図を、(D)は側面図を示す。板状の中間プレート本体21は、中央部21aと、中央部21aの左右方向の両端に設けられる一対の脚部21bを有する。中間プレート本体21の中央部21aの左右両側(脚部21bの上部ともいえる)には、ねじ9が挿入される一対の通し孔22が空けられる。中間プレート本体21の一対の脚部21bそれぞれには無負荷戻し路13が空けられる。一対の脚部21bの内側の側面には、ブロック本体8の負荷ボール転走溝12に対応する円弧状の切欠き23が形成される。中間プレート4は樹脂の成形品である。
【0027】
図5中(A)に示すように、中間プレート本体21のブロック本体8側には、一対の通し孔22それぞれの周囲にブロック本体8に向かって突出するリング状のボス24が形成される。ボス24の内径は通し孔22の内径に等しく、ボス24の外径はブロック本体8のリング状のボス用凹部15(図4参照)の内径に等しい。ボス24の外周面には、ブロック本体8に向かって徐々に外径が小さくなるテーパ24aがつけられる(図10参照)。なお、中間プレート本体21の上面には、射出成形時のゲートが配置されるので、ばり等が発生してもよいように、切欠き51が設けられる。
【0028】
図5中(B)に示すように、中間プレート本体21のエンドプレート5側には、一対の通し孔22の間にエンドプレート5に向かって突出する上下方向位置決め凸部26が一体に形成される。上下方向位置決め凸部26は、略直方体状に形成され、その上面26a及び下面26cが平行な平面に形成される。これらの上面26a及び下面26cは軌道レール1の底面を水平面に配置したとき、底面と平行な水平面内に位置する。上下方向位置決め凸部26のエンドプレート5側に突出する頂面26dも平面に形成される。この頂面26dは、軌道レール1の長手方向と直交する平面内に位置する。
【0029】
図5中(B)に示すように、中間プレート本体21のエンドプレート5側には、その一対の脚部21bそれぞれに方向転換路内周側構成部20が一体に形成される。この方向転換路内周側構成部20には、無負荷戻し路13と負荷ボール転走溝とを接続するU字状の方向転換路の内周側27が形成される。一対の方向転換路内周側構成部20の左右方向の最も外側の側面29(方向転換路の内周側27を挟んだ上側の側面29a及び下側の側面29b)は、円筒の一部をなす曲面に形成される。この円筒の曲率半径は方向転換路の中心線の曲率半径にほぼ等しい。図5中(C)の正面図に示すように、方向転換路内周側構成部20は、左右方向に無負荷戻し路13から脚部21bの内側面まで到る。一対の方向転換路内周側構成部20の内側の側面30は、互いに平行な平面に形成される。図5中(D)の側面図に示すように、中間プレート本体21からの方向転換路内周側構成部20の突出量は上下方向位置決め凸部26の突出量よりも小さい。方向転換路内周側構成部20のエンドプレート5側に突出する頂面20dは、軌道レール1の長手方向と直交する平面内に位置する。
【0030】
図1に示すように、中間プレート4は、方向転換路の外周側が形成されるエンドプレート5によって覆われる。エンドプレート5も、軌道レール1の上面に対向する中央部と、軌道レール1の左右の側面に対向する一対の脚部と、を有する。図6はエンドプレート5の詳細図を示す。図中(A)はエンドプレート5の外側の斜視図を、(B)は中間プレート4側の斜視図を、(C)は中間プレート4側の正面図を示す。エンドプレート5は樹脂の成形品である。
【0031】
図6中(A)に示すように、エンドプレート5の中央部5aの左右方向の両側(脚部5bの上部ともいえる)には、ねじ9が挿入される一対の通し孔32が空けられる。エンドプレート5の通し孔32の内径は中間プレート4の通し孔22の内径に等しい。
【0032】
図6中(B)に示すように、エンドプレート5には、一対の通し孔32の間に、蓋部材側上下方向位置決め凹部34が形成される。エンドプレート5の蓋部材側上下方向位置決め凹部34は、中間プレート4の直方体形状の上下方向位置決め凸部26に対応する。蓋部材側上下方向位置決め凹部34の上面壁34a及び下面壁34cは、平行な平面に形成される。これらの上面壁34a及び下面壁34cは軌道レール1の底面1cを水平面に配置したとき、底面1cと平行な水平面内に位置する。蓋部材側上下方向位置決め凹部34の上面壁34a及び下面壁34cとの間の底面34dは、平面に形成される。この底面34dは、軌道レール1の長手方向と直交する平面内に位置する。
【0033】
図6中(B)に示すように、エンドプレート5の中間プレート4側には、その一対の脚部それぞれに中間プレート4の方向転換路内周側構成部20に対応する方向転換路用凹部36が形成される。方向転換路用凹部36には、無負荷戻し路13と負荷ボール転走溝12とを接続するU字状の方向転換路の外周側37が形成される。一対の方向転換路用凹部36の左右方向の最も外側の壁面38(方向転換路の外周側37を挟んで上側の壁面38bと下側の壁面38aとに分けられる)は、円筒の一部をなす曲面に形成される。円筒の曲率半径は方向転換路の中心線の曲率半径にほぼ等しい。図6中(C)の正面図に示すように、方向転換路用凹部36は、左右方向に脚部5bの途中から内側の側面39まで到る。一対の脚部5bの内側の側面39それぞれには、軌道レール1のボール転走溝10を転がるボール3を方向転換路内に掬い上げるための掬上げ部40が形成される。図6中(B)に示すように、方向転換路用凹部36の深さは、蓋部材側上下方向位置決め凹部34の深さよりも浅い。方向転換路用凹部36の底面36dは、軌道レール1の長手方向と直交する平面内に位置する。
【0034】
図6(B)に示すように、エンドプレート5の下面側には、方向転換路内周側構成部20の下面20c(図7参照)を覆うための壁部は形成されていない。図7に示すように、もしエンドプレート5に方向転換路内周側構成部20の下面20cを覆う壁部42を設けると、壁部42の厚さtの分だけエンドプレート5の小型化が図れなくなり、壁部42の強度も確保できないからである。中間プレート4の方向転換路内周側構成部20の下面を露出させることにより、エンドプレート5の小型化が図れ、エンドプレート5の強度を確保できる。
【0035】
図8は、方向転換路内周側構成部20及方向転換路用凹部36の底面図を示す。この図に示すように、方向転換路内周側構成部20の下面20cが露出する。また、方向転換路内周側構成部20の頂面20d(図5(B)参照)及び方向転換路用凹部36の底面36d(図6(C)参照)は、方向転換路の中心線に沿った円筒面ではなく、平面に形成される。これは、エンドプレート5の強度を確保するためである。図8中の二点鎖線は方向転換路の中心線を示す。もし、方向転換路の中心線に沿って方向転換路の内周側(中間プレート4側)と方向転換路の外周側(エンドプレート5側)とに分割すると、エンドプレート5側の肉厚が薄くなる(図11の二点鎖線参照)。エンドプレート5の肉厚が薄くなると、エンドプレート5に方向転換路内周側構成部20の下面を覆う壁部42を設けていないことと相俟って、エンドプレート5の掬上げ部40の強度が弱くなる。掬上げ部40の強度が弱くなると、ボール3が掬上げ部40に衝突したとき、掬上げ部40が開く方向に変形し、ボール3が脱落するおそれがある。この問題を解決するために、方向転換路内周側構成部20の頂面20d及び方向転換路用凹部36の底面36dは平面に形成される。
【0036】
また、方向転換路内周側構成部20の頂面20d及び方向転換路用凹部36の底面36dを平面に形成することで、中間プレート4に対してエンドプレート5を軌道レール1の長手方向に位置決めするのが容易になる。方向転換路の中心線で方向転換路の内周側(中間プレート4側)と方向転換路の外周側(エンドプレート5側)とに分割されていると、中間プレート4とエンドプレート5とを合わせても寸法交差の関係から、これらの間に僅かなクリアランスが発生し易い。分割面を平面に形成することで、クリアランスが発生しにくくすることができる。
【0037】
図1に示すように、ブロック本体8の負荷ボール転走溝12、無負荷戻し路13、及びU字状の方向転換路から構成されるサーキット状のボール循環路には、転動体として多数のボール3が配列される。ボール3の径は小さいものでは1mm未満になる。
【0038】
図9に示すように、ブロック本体8と中間プレート4との位置決めは、中間プレート4のリング状のボス24がブロック本体8のボス用凹部15に嵌まることによって行われる。ボス24がブロック本体8のボス用凹部15に嵌まると、ボス24の外周面(図中斜線A1で示す部分)がボス用凹部15の内周面(図中斜線A2で示す部分)に接触する。ボス24及びボス用凹部15はそれぞれ二つずつ設けられているので、ブロック本体8に対して中間プレート4を上下方向及び左右方向に位置決めすることができる。
【0039】
このように、中間プレート4の通し孔22の周囲のリング状のボス24を利用して、ブロック本体8に対して中間プレート4を位置決めすることにより、ボール3の径がねじの径よりも小さくなる超小型の運動案内装置においても、大きな径のボス24を確保することができる。このため、中間プレート4のボス24を形成するにあたり、ボス24の径を管理し易くなると共に、ブロック本体8に対して中間プレート4をしっかりと位置決めすることが可能になる。
【0040】
図10に示すように、中間プレート4のボス24の外周面24aはテーパに形成され、ブロック本体8のボス用凹部15の内周面15aもテーパに形成される。これらをテーパに形成することで、組み立て性を向上することができ、より正確な位置決めが可能になる。
【0041】
図11に示すように、中間プレート4に対するエンドプレート5の左右方向の位置決めは、中間プレート4の一対の方向転換路内周側構成部20がエンドプレート5の一対の方向転換路用凹部36に嵌まることによって行われる。一対の方向転換路内周側構成部20が一対の方向転換路用凹部36に嵌まると、中間プレート4の一対の方向転換路内周側構成部20の左右方向の最も外側の側面29(図中斜線A3で示す)がエンドプレート5の一対の方向転換路用凹部36の左右方向の最も外側の壁面38(図中斜線A4で示す)に接触する。中間プレート4に対するエンドプレート5の左右方向の移動が、側面29及び壁面38によって制限されるので、中間プレート4に対してエンドプレート5を左右方向に位置決めすることができる。
【0042】
このように、ボール3を循環させるために必須な構成部品である方向転換路内周側構成部20を利用して中間プレート4及びエンドプレート5を左右方向に位置決めするので、中間プレート4及びエンドプレート5の小型化を図った上で中間プレート4及びエンドプレート5の位置決めが可能になる。
【0043】
ここで、中間プレート4の一対の方向転換路内周側構成部20、及びエンドプレート5の一対の方向転換路用凹部36は、中間プレート4に対してエンドプレート5を左右方向にのみ位置決めする。すなわち左右方向には位置決めするが、上下方向には位置決めしない。上下方向の位置決めをしないことにより、エンドプレート5に、方向転換路内周側構成部20の下面20c(図7参照)や上面に接触する壁部42を形成しなくて済み、エンドプレート5の小型化が図れる。
【0044】
また、中間プレート4の一対の方向転換路内周側構成部20の側面29、及びエンドプレート5の一対の方向転換路用凹部36の壁面38を円筒の一部をなす曲面に形成することにより、位置を決めながらも組み立て時において位置を微調整することができるようになる。
【0045】
中間プレート4に対するエンドプレート5の上下方向の位置決めは、中間プレート4の上下方向位置決め凸部26がエンドプレート5の蓋部材側上下方向位置決め凹部34に嵌まることによって行われる。上下方向位置決め凸部26が蓋部材側上下方向位置決め凹部34に嵌まると、上下方向位置決め凸部26の上面26a(図中斜線A5で示す部位)及び下面26cが、蓋部材側上下方向位置決め凹部34の上面壁34a(図中斜線A6で示す部位)及び下面壁34cに接触する。中間プレート4に対するエンドプレート5の上下方向の移動は、これらの上面26a及び下面26c、上面壁34a及び下面壁34cによって制限されるので、中間プレート4に対してエンドプレート5を上下方向に位置決めすることができる。
【0046】
ここで、中間プレート4の上下方向位置決め凸部26及びエンドプレート5の蓋部材側上下方向位置決め凹部34は、中間プレート4に対してエンドプレート5を上下方向にのみ位置決めする。エンドプレート5の蓋部材側上下方向位置決め凹部34の両側には通し孔32(図6(B)参照)があるので、中間プレート4に対してエンドプレート5を左右方向に位置決めすることはできない。これにより、左右方向に二重に位置決めするのを防止することができる。
【0047】
図12は、ブロック本体8に中間プレート4及びエンドプレート5を位置決めした後、締結部材としてのねじ9でこれらをブロック本体8に締結させた状態を示す。ねじ9をブロック本体8に締結するとき、中間プレート4の上下方向位置決め凸部26のエンドプレート5側の頂面26dが、エンドプレート5の蓋部材側上下方向位置決め凹部34の底面34dに接触する。ねじ9の締結力は、中間プレート4の上下方向位置決め凸部26及びエンドプレート5の蓋部材側上下方向位置決め凹部34を介してブロック本体8に伝えられる。
【0048】
このように、中間プレート4の上下方向位置決め凸部26及びエンドプレート5の蓋部材側上下方向位置決め凹部34は、ねじ9の座面としての機能をも持つ。本来必要な機能を持つ部分に位置決めの機能も持たせることにより、位置決め専用のボスを設ける必要がなくなり、中間プレート4及びエンドプレート5の小型化を図ることができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲でさまざまに変更可能である。例えば、上記実施形態では、中間プレートに対してエンドプレートを上下方向に位置決めするので、中間プレートに上下方向位置決め凸部を形成し、エンドプレートに上下方向位置決め凸部に嵌まる蓋部材側上下方向位置決め凹部を形成している。しかし、凹凸の関係は逆でもよく、中間プレートに上下方向位置決め凹部を形成し、エンドプレートに蓋部材側上下方向位置決め凸部を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
小型の運動案内装置が使用される用途としては、省スペース、省エネルギと共に精度の高い運動を求められる機械及びこれらの周辺機器である。例えば、遠隔手術用ロボット等の医療機器、小型センサー等の計測機器、電動グリッパー等の小型精密機器、三次元モデル作成マシンが挙げられる。産業機械のみならず、家庭用ミシン等の家電機器にも使用できる。運動案内装置単体での使用だけでなく、小型のリニアモータと組み合わせることで、マイクロアクチュエータとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1…軌道レール,3…ボール(転動体),4…中間プレート,5…エンドプレート(蓋部材),8…ブロック本体(移動部材本体),9…ねじ(締結部材),10…ボール転走溝(転動体転走部),12…負荷ボール転走溝(負荷転動体転走部),13…無負荷戻し路,15…ボス用凹部,20…方向転換路内周側構成部,22…中間プレートの通し孔,24…リング状のボス,26…上下方向位置決め凸部,27…方向転換路の内周側,29…中間プレートの一対の方向転換路内周側構成部の左右方向の最も外側の側面,32…エンドプレートの通し孔,34…蓋部材側上下方向位置決め凹部,36…方向転換路用凹部,37…方向転換路の外周側,38…エンドプレートの一対の方向転換路用凹部の左右方向の最も外側の壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に伸びる転動体転走部を有する軌道レールと、
前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行に伸びる無負荷戻し路を有する移動部材本体と、
前記移動部材本体に取り付けられ、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部と前記無負荷戻し路を接続する方向転換路の外周側が形成される蓋部材と、
前記蓋部材と前記移動部材本体との間に挟まれ、前記方向転換路の内周側が形成される方向転換路内周側構成部を有する中間プレートと、
前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部、前記無負荷戻し路、及び前記方向転換路から構成される転動体循環路に配列される複数の転動体と、を備え、
前記軌道レールの底面を水平面に配置した状態において、前記移動部材本体、前記中間プレート、及び前記蓋部材のそれぞれが、前記軌道レールの上面に対向する中央部、及び前記軌道レールの左右の側面に対向する一対の脚部を有する運動案内装置において、
前記中間プレートの脚部に前記方向転換路内周側構成部が設けられると共に、前記蓋部材の脚部に、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部の下面を前記蓋部材によって覆うことなく露出させた状態で、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部に嵌められる方向転換路用凹部が設けられ、
前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部が前記蓋部材の前記方向転換路用凹部に嵌まることによって、前記軌道レールの長手方向からみて、前記中間プレートに対して前記蓋部材が左右方向にのみ位置決めされ、
前記中間プレートの中央部に前記蓋部材に向かって突出する上下方向位置決め凸部又は上下方向位置決め凹部が設けられると共に、前記蓋部材の中央部に前記中間プレートの前記上下方向位置決め凸部に嵌められる蓋部材側上下方向位置決め凹部、又は前記中間プレートの前記上下方向位置決め凹部に嵌められる蓋部材側上下方向位置決め凸部が設けられ、
前記中間プレートの前記上下方向位置決め凸部又は前記上下方向位置決め凹部が、前記蓋部材の前記蓋部材側上下方向位置決め凹部又は前記蓋部材側上下方向位置決め凸部に嵌まることによって、前記軌道レールの長手方向からみて、前記中間プレートに対して前記蓋部材が上下方向に位置決めされる運動案内装置。
【請求項2】
前記中間プレート及び前記蓋部材それぞれの前記中央部の左右方向の両側には、前記移動部材本体に締結される締結部材が挿入される一対の通し孔が空けられ、
前記中間プレートの前記上下方向位置決め凸部又は前記上下方向位置決め凹部は、前記中間プレートの前記中央部の前記一対の通し孔の間に形成され、
前記蓋部材の前記蓋部材側上下方向位置決め凹部又は前記蓋部材側上下方向位置決め凸部は、前記蓋部材の前記中央部の前記一対の通し孔の間に形成され、
前記中間プレートの前記上下方向位置決め凸部又は前記上下方向位置決め凹部の上面及び下面、並びに前記蓋部材の前記蓋部材側上下方向位置決め凹部又は前記蓋部材側上下方向位置決め凸部の上面壁及び下面壁によって、前記中間プレートに対して前記蓋部材が上下方向に位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
【請求項3】
前記中間プレートの前記一対の脚部それぞれに前記方向転換路内周側構成部が設けられ、
前記蓋部材の前記一対の脚部それぞれに、前記方向転換路用凹部が設けられ、
前記中間プレートの前記一対の方向転換路内周側構成部の左右方向の最も外側の側面、及び前記蓋部材の前記一対の方向転換路用凹部の左右方向の最も外側の壁面によって、前記中間プレートに対して前記蓋部材が左右方向に位置決めされることを特徴とする請求項1又は2に記載の運動案内装置。
【請求項4】
前記一対の方向転換路内周側構成部の左右方向の最も外側の側面、及び前記蓋部材の前記一対の方向転換路用凹部の左右方向の最も外側の壁面は、円筒の一部をなす曲面に形成されることを特徴とする請求項3に記載の運動案内装置。
【請求項5】
前記中間プレートに、前記上下方向位置決め凸部が設けられ、
前記蓋部材に、前記蓋部材側上下方向位置決め凹部が設けられることを特徴とする請求項2に記載の運動案内装置。
【請求項6】
前記締結部材を前記移動部材本体に締結するとき、前記中間プレートの前記上下方向位置決め凸部の前記蓋部材側の頂面が、前記蓋部材の前記蓋部材側上下方向位置決め凹部の底面に接触し、前記締結部材の締結力が前記中間プレートの前記上下方向位置決め凸部及び前記蓋部材の前記蓋部材側上下方向位置決め凹部を介して前記移動部材本体に伝わることを特徴とする請求項5に記載の運動案内装置。
【請求項7】
前記中間プレート及び前記蓋部材には、前記移動部材本体に締結される締結部材が挿入される通し孔が空けられ、
前記中間プレートの前記通し孔の周囲には、前記移動部材本体に向かって突出するリング状のボスが形成され、
前記締結部材が締結される前記移動部材本体のねじ孔の周囲には、前記ボスが嵌まるリング状のボス用凹部が形成され、
前記中間プレートの前記ボスが前記移動部材本体の前記ボス用凹部に嵌まることによって、前記移動部材本体に対して前記中間プレートが位置決めされることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の運動案内装置。
【請求項8】
前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部の、前記蓋部材側の頂面が平面に形成され、
前記蓋部材の前記方向転換路用凹部の、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部の前記頂面に接触する底面が平面に形成されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の運動案内装置。
【請求項9】
長手方向に伸びる転動体転走部を有する軌道レールと、
前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行に伸びる無負荷戻し路を有する移動部材本体と、
前記移動部材本体に取り付けられ、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部と前記無負荷戻し路を接続する方向転換路の外周側が形成される蓋部材と、
前記蓋部材と前記移動部材本体との間に挟まれ、前記方向転換路の内周側が形成される方向転換路内周側構成部を有する中間プレートと、
前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部、前記無負荷戻し路、及び前記方向転換路から構成される転動体循環路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置において、
前記中間プレート及び前記蓋部材には、前記移動部材本体に締結される締結部材が挿入される通し孔が空けられ、
前記中間プレートの前記通し孔の周囲には、前記移動部材本体に向かって突出するリング状のボスが形成され、
前記締結部材が締結される前記移動部材本体のねじ孔の周囲には、前記ボスが嵌まるリング状のボス用凹部が形成され、
前記中間プレートの前記ボスが前記移動部材本体の前記ボス用凹部に嵌まることによって、前記移動部材本体に対して前記中間プレートが位置決めされる運動案内装置。
【請求項10】
長手方向に伸びる転動体転走部を有する軌道レールと、
前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部、及び前記負荷転動体転走部と平行に伸びる無負荷戻し路を有する移動部材本体と、
前記移動部材本体に取り付けられ、前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部と前記無負荷戻し路を接続する方向転換路の外周側が形成される蓋部材と、
前記蓋部材と前記移動部材本体との間に挟まれ、前記方向転換路の内周側が形成される方向転換路内周側構成部を有する中間プレートと、
前記移動部材本体の前記負荷転動体転走部、前記無負荷戻し路、及び前記方向転換路から構成される転動体循環路に配列される複数の転動体と、を備え、
前記軌道レールの底面を水平面に配置した状態において、前記移動部材本体、前記中間プレート、及び前記蓋部材のそれぞれが、前記軌道レールの上面に対向する中央部、及び前記軌道レールの左右の側面に対向する一対の脚部を有する運動案内装置において、
前記中間プレートの脚部に前記方向転換路内周側構成部が設けられると共に、前記蓋部材の脚部に、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部の下面を前記蓋部材によって覆うことなく露出させた状態で、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部に嵌められる方向転換路用凹部が設けられる運動案内装置。
【請求項11】
前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部の、前記蓋部材側の頂面が平面に形成され、
前記蓋部材の前記方向転換路用凹部の、前記中間プレートの前記方向転換路内周側構成部の前記頂面に接触する底面が平面に形成される請求項10に記載の運動案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−202807(P2011−202807A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156266(P2011−156266)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2009−273061(P2009−273061)の分割
【原出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年7月5日 社団法人 日本設計工学会発行の「設計工学 社団法人日本設計工学会誌 2009年 第44巻 第7号」に発表
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】