運転条件データ生成装置
【課題】設定しておくプログラミングの内容を簡略化させることができ、そのプログラミングの構築に要する手間と時間を軽減させることが可能な運転条件データ生成装置を提供する。
【解決手段】外的パラメータ検出手段と、運転パターン記憶手段と、過去補正データセット記憶手段と、第1偏差算出手段と、第1状況判別手段と、補正値算出手段と、現在の状況が過去補正データセットの状況と近いと判別された場合に、補正値算出手段によって算出された補正値と初期運転条件データとから新たな運転条件データを改変・生成し、現在の状況が過去補正データセットの状況と近くないと判別された場合に、初期運転条件データをそのまま使用する運転条件データ決定手段と、を具備する。
【解決手段】外的パラメータ検出手段と、運転パターン記憶手段と、過去補正データセット記憶手段と、第1偏差算出手段と、第1状況判別手段と、補正値算出手段と、現在の状況が過去補正データセットの状況と近いと判別された場合に、補正値算出手段によって算出された補正値と初期運転条件データとから新たな運転条件データを改変・生成し、現在の状況が過去補正データセットの状況と近くないと判別された場合に、初期運転条件データをそのまま使用する運転条件データ決定手段と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、空調機器や照明機器の運転条件データを生成する運転条件データ生成装置に係り、特に、使用者が任意に調整した内容を記憶してその補正内容を考慮した運転条件データを自動的に生成することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ある室の空調の運転条件を例に挙げて説明する。図10に示すように、その室の空調の運転条件に関して、予め、4種類の運転条件データ、すなわち、運転条件データ1〜運転条件データ4を設定しておく。上記運転条件データ1は、1日24時間の運転の内容を予め設定したものであり、図10に示すように、1日24時間を8個のブロックに区分けし、夫々のブロックにおける空調の出力を設定しておくものである。そして、そのような運転条件データを4種類、すなわち、運転条件データ1〜運転条件データ4を設定しておき、その内から最適な運転条件データを選択して運転するものである。
【0003】
同様に、図11に示すように、1月〜12月まで、月毎に12個の運転条件データ、すなわち、運転条件データ1〜運転条件データ12を用意して、月毎に対応する運転条件データを設定するような場合もある。この場合には、月毎に、「動作日」、「制御可否情報」、「曜日別の運転条件」が登録されていて、それが月毎に、12個の運転条件データ、すなわち、運転条件データ1〜運転条件データ12として設定されているものである。
尚、この種の運転条件データの設定は、空調以外にも照明機器等、様々な分野で行われているものである。そのような内容を開示したものとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2890163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、全ての動作を全て予めプログラミングにより設定しておく必要があり、その為に多くの労力と時間を要してしまうという問題があった。
又、一旦、プログラミングして設定した場合には、例えば、ユーザサイドでこれを調整してより最適な運転条件データに変更することは極めて困難であった。
又、仮に、ユーザによる微調整が可能であったとしてもそれは1回限りのことであり、その微調整した内容をそれ以後有効に利用することはできなかった。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、予め設定しておくプログラミングの内容をその後容易に調整可能とし、且つ、調整した内容を記憶して、その後の運転条件データの生成に生かすと共に、予め、設定しておくプログラミングの内容を簡略化させることができ、そのプログラミングの構築に要する手間と時間を軽減させることが可能な運転条件データ生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による運転条件データ生成装置は、制御対象機器を取り巻く環境の指標となる外的パラメータを検出する外的パラメータ検出手段と、上記外的パラメータを使用した形式で予め設定された初期運転条件データを記憶する運転条件データ記憶手段と、過去に入力・設定され外的パラメータと補正データとを備え上記初期運転条件データに補正を加えるための過去補正データセットを記憶する過去補正データセット記憶手段と、 上記外的パラメータ検出手段からの外的パラメータ検出信号と上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータとを対比して偏差を算出する第1偏差算出手段と、上記算出された偏差と予め設定されている閾値とを対比して現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第1状況判別手段と、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記偏差を加味した補正値を算出する補正値算出手段と、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に、上記補正値算出手段によって算出された補正値と上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データとにより新たな運転条件データを改変・生成し、一方、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に、上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データをそのまま使用する運転条件データ決定手段と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記外的パラメータ検出手段からは複数種類の外的パラメータ検出信号が出力され、これら複数種類の外的パラメータ検出信号相互間には重み付けデータが設定されていて、上記第1偏差算出手段はこの重み付けデータを使用して偏差を算出するものであることを特徴とするものである。
又、請求項3による運転条件データ生成装置は、請求項2記載の運転条件データ生成装置において、上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するものであることを特徴とするものである。
又、請求項4による運転条件データ生成装置は、請求項3記載の運転条件データ生成装置において、上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、それら複数の補正値の平均値をとってこれを補正値として使用するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項5による運転条件データ生成装置は、請求項3記載の運転条件データ生成装置において、上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、時間的に直近に記憶された過去補正データセットに対する補正値により重きをおく重み付けデータが設定されていて、この重み付けデータを使用して使用する補正値が決定されるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記初期運転条件データに補正を加えるための補正値を入力する補正値入力手段と、上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータと上記補正値入力手段によって補正値が入力されたときの外的パラメータとの偏差を算出する第2偏差算出手段と、上記第2偏差算出手段によって算出された偏差と予め設定されている閾値とから現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第2状況判別手段と、上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記過去補正データセットにおける補正データを変更する補正データ変更手段と、を設けたことを特徴とするものである。
又、請求項7による運転条件データ生成装置は、請求項6記載の運転条件データ生成装置において、上記補正データ変更手段は、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しいと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を増加させ、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しくはないと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を減少させるものであることを特徴とするものである。
又、請求項8による運転条件データ生成装置は、請求項7記載の運転条件データ生成装置において、上記第2偏差算出手段は重み付けデータを使用して偏差を算出するものであることを特徴とするものである。
又、請求項9による運転条件データ生成装置は、請求項8記載の運転条件データ生成装置において、上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するものであることを特徴とするものである。
又、請求項10による運転条件データ生成装置は、請求項9記載の運転条件データ生成装置において、上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記全ての過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に上記過去補正データセットとは別に新たな過去補正データセットを生成する過去補正データセット生成手段を設けたことを特徴とするものである。
又、請求項11による運転条件データ生成装置は、請求項6記載の運転条件データ生成装置において、上記補正値入力手段を介して補正値が入力されたときの外的パラメータを記憶しておき、その外的パラメータと現在の外的パラメータを対比して偏差を算出し、その偏差の大きさによって上記補正値を減衰させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように本発明の請求項1によるによる運転条件データ生成装置によると、制御対象機器を取り巻く環境の指標となる外的パラメータを検出する外的パラメータ検出手段と、上記外的パラメータを使用した形式で予め設定された初期運転パターンを記憶する運転条件データ記憶手段と、過去に入力・設定され外的パラメータと補正データとを備え上記初期運転条件データに補正を加えるための過去補正データセットを記憶する過去補正データセット記憶手段と、上記外的パラメータ検出手段からの外的パラメータ検出信号と上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータとを対比して偏差を算出する第1偏差算出手段と、上記算出された偏差と予め設定されている閾値とを対比して現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第1状況判別手段と、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記偏差を加味した補正値を算出する補正値算出手段と、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に、上記補正値算出手段によって算出された補正値と上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データとにより新たな運転条件データを改変・生成し、一方、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に、上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データをそのまま使用する運転条件データ決定手段と、を具備した構成になっているので、まず、一旦、プログラミングして設定した場合であっても、例えば、ユーザサイドでこれを調整してより最適な運転条件データに容易に変更することができる。又、仮に、微調整した内容をそれ以後有効に利用することが可能になったものである。
又、請求項2による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記外的パラメータ検出手段からは複数種類の外的パラメータ検出信号が出力され、これら複数種類の外的パラメータ検出信号相互間には重み付けデータが設定されていて、上記第1偏差算出手段はこの重み付けデータを使用して偏差を算出する構成になっているので、より実情に合った偏差を算出することができ、それによって、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項3による運転条件データ生成装置は、請求項2記載の運転条件データ生成装置において、上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項4による運転条件データ生成装置は、請求項3記載の運転条件データ生成装置において、上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、それら複数の補正値の平均値をとってこれを補正値として使用するように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項5による運転条件データ生成装置は、請求項3記載の運転条件データ生成装置において、上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、時間的に直近に記憶された過去補正データセットに対する補正値により重きをおく重み付けデータが設定されていて、この重み付けデータを使用して使用する補正値が決定されるように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項6による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記初期運転条件データに補正を加えるための補正値を入力する補正値入力手段と、上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータと上記補正値入力手段によって補正値が入力されたときの外的パラメータとの偏差を算出する第2偏差算出手段と、上記第2偏差算出手段によって算出された偏差と予め設定されている閾値とから現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第2状況判別手段と、上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記過去補正データセットにおける補正データを変更する補正データ変更手段と、 を設けた構成になっているので、外部からの補正値入力に対して適切に対応して過去補正データセットを適宜変更することができ、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項7による運転条件データ生成装置は、請求項6記載の運転条件データ生成装置において、上記補正データ変更手段は、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しいと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を増加させ、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しくはないと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を減少させるように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項8による運転条件データ生成装置は、請求項7記載の運転条件データ生成装置において、上記第2偏差算出手段は重み付けデータを使用して偏差を算出するように構成されているので、上記効果をより確実なものにすることができる。
又、請求項9による運転条件データ装置は、請求項8記載の運転条件データ生成装置において、上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するように構成されているので、上記効果をより確実なものにすることができる。
又、請求項10による運転条件データ生成装置は、請求項9記載の運転条件データ生成装置において、上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記全ての過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に上記過去補正データセットとは別に新たな過去補正データセットを生成する過去補正データセット生成手段を設けた構成になっているので、新たな過去補正データセットを追加してより細かな制御が可能になった。
又、請求項11による運転条件データ生成装置は、請求項6記載の運転条件データ生成装置において、上記補正値入力手段を介して補正値が入力されたときの外的パラメータを記憶しておき、その外的パラメータと現在の外的パラメータを対比して偏差を算出し、その偏差の大きさによって上記補正値を減衰させるように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、補正変更値の入力手段の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、過去補正データセットの一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、重み付けデータの一例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、運転条件データの例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態を示す図で、判断方法の例を示す図である。
【図10】従来例の説明に使用した図で、予め運転条件データを作成して記憶させておく従来の構成を示す図である。
【図11】従来例の説明に使用した図で、予め運転条件データを作成して記憶させておく従来の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1乃至図9を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態による運転条件データ生成装置の構成を示すブロック図であり、まず、マイクロプロセッサ(中央演算処理装置、CPU)1がある。このマイクロプロセッサ1には、外部入力インターフェイス3を介して、温度・湿度センサ5、補正ボタン等7が接続されている。又、上記マイクロプロセッサ1には、外部出力インターフェイス9を介して、エアコン(空調機器)11、照明等13が接続されている。又、上記マイクロプロセッサ1には表示装置インターフェイス15を介して、表示装置17が接続されている。又、マイクロプロセッサ1には、メモリ19とカレンダー時計20が接続されている。又、上記メモリ19には、プログラムメモリ21、過去補正データセットメモリ23、デフォルトパターンメモリ25、重み付けデータメモリ27、計算領域29が設けられている。上記重み付けデータメモリ27には、後述する「偏差1」の計算において各外部パラメータに重み付けを行うための重み付けデータが記憶されているものである。
尚、上記補正ボタン等7については、本実施の形態においては、上記表示装置17上に表わされるタッチパネルとして具現化されている。
【0011】
又、上記補正ボタン等7、表示装置17、カレンダー時計20、温度・湿度センサ5、エアコン11のみを抽出すると、図2に示すようなものとなる。
【0012】
以上の構成を基に、図3乃至図5のフローチャートを参照しながらその作用を説明する。
最初に、図3を参照して主スレッドの内容を説明する。この図3に示す処理では、常に外的パラメータを取得してこれを全ての過去補正データセットと対比し続けている。そして、対比の結果、現在の状況が何れかの過去補正データセットの状況に十分に近いと判断された場合に(後述する「偏差1」が予め設定された閾値1よりも小さい場合。)、自動的に補正値を発生させて運転の状態を変更させるものである。以下、詳しく説明する。
まず、ステップS1において、外部パラメータ(センサ)入力が実行される。すなわち、この実施の形態の場合には、温度・湿度センサ5からの温度検出信号及び湿度検出信号の入力が実行されることになる。
因みに、この外部パラメータ(センサ)入力は、例えば、予め設定された時間毎(例えば、5分に1回)に定期的に実行されるものである。
次に、ステップS2に移行して、全過去補正データセットの評価を開始する。すなわち、ステップS3に移行して、複数の過去補正データセットの中から一つの過去補正データセットを取り出して参照する。
【0013】
尚、上記過去補正データセットの一例を図6に示す。図6に示す過去補正データセットには、生成時刻(DP(1))が2011年2月17日15:46分であり、実気温(TP(1))が30℃であり、実湿度(HP(1))が60%であり、運転目標温度(ToP(1))が30℃であり、補正指示(CP(1))が「温度を2℃下げよ」であることが示されている。これら複数の情報の塊が一つの過去補正データセットになる。又、補正は異なった条件で複数回付与されているので、このような過去補正データセットが複数存在していてそれらが図1に示す過去補正データセットメモリ23に記憶されているものである。
【0014】
次いで、ステップS4に移行して、重み付けデータの参照が実行される。すなわち、図1に示す重み付けデータメモリ27に記憶されている重み付けデータを取り出して参照するものである。次いで、ステップS5に移行して、偏差1の計算が行われる。すなわち、図1に示す計算領域29を利用して、重み付けを加味した現在の外的パラメータと過去の外的パラメータとの「偏差1」を計算するものである。
【0015】
ここで上記「重み付け」と「偏差1」について説明を補充する。例えば、空調を制御するときに、本実施の形態の場合のように、屋外の「気温」と「湿度」を温度・湿度センサ5によって検出して外的パラメータとして使用する。その際、人間が不快に感じる度合いが、「湿度」よりも「温度」の方が高いとした場合、「偏差1」の値を決定する場合には、「湿度」よりも「温度」の方に大きな係数を掛けることになり、これが上記「重み付け」の意味するところである。その一例を次の式(I)、(II)に示す。
Er=W1*(|Tnow−Tm|)+W2*(|Hnow−Hm|)
―――(I)
W1>W2 ―――(II)
但し、
Er :偏差1
W1 :温度の重み付け係数
Tnow:現在温度
Tm :過去の補正入力時に記憶された温度
W2 :湿度の重み付け係数
Hnow:現在湿度
Hm :過去の補正入力時に記憶された湿度
そして、この場合には、上記したように、「湿度」よりも「温度」の方に大きな重み付け係数を掛けるようにしているので、W1>W2 となっている。
【0016】
重み付けデータの一例を図7に示す。図7に示す例の場合には、「気温」の重み付係数WT(上記式(I)のW1 に相当)が「0.75」、「湿度」の重み付係数WH(上記式(I)のW2 に相当)が「0.25」となっている。
【0017】
次に、ステップS6に移行して、計算された「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さいか否かが判別される。ステップS6において、「偏差1」が「閾値1」より小さいと判別された場合には(「偏差1」が「閾値1」より小さいということは現在の状況がその過去補正データセットの状況と非常に近い状況であることを意味している。)、ステップS7に移行して、「偏差1」の値を加味して補正値を計算して記憶する。ここでいう「偏差1」の値を加味して補正値を計算するとは、例えば、次の示す式(III)に示すような場合を意味している。
Know=(1−Er/Et)*Kc―――(III)
但し、
Know :計算された補正値
Er :現在の「偏差1」
Et :閾値1
Kc :過去補正データセットに記憶された補正値
【0018】
そして、ステップS8に移行して、全ての過去補正データセットに関して同様の評価が行われたか否かが判別される。全ての過去補正データセットに関して同様の評価が行われていると判別された場合にはステップS9に移行する。又、上記ステップS6において、「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さくないと判別された場合には(「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さくないということは現在の状況がその過去補正データセットの状況とは全く異なる状況であることを意味している。)、直接ステップS8に移行する。その場合の補正値は次の式(IV)に示すようなものとなる。
Know=0―――(IV)
【0019】
ステップS9においては、記憶した単数又は複数の補正値の平均値を計算する。すなわち、記憶されている全ての過去補正データセットに対して上記したような処理を施すことにより、ステップS6において、「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さいと判別される場合が複数存在することもあり、その場合には、複数の補正値が計算されることになる。その場合にはそれら複数の補正値の平均値をとるようにする。「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さいと判別される場合が単数である場合にはその場合の補正値がそのまま使用されることになる。
【0020】
次に、ステップS10に移行して、初期設定による運転条件データ参照が行われる。ここでいう初期設定による運転条件データとは予め設定された一定の運転状態の遷移を記憶してあるものを意味する。例えば、空調の制御であれば、目標の温度が時間の関数によって決められているものをいう。その一例を次の式(V)に示す。
Td=Tp(Year、Date、Time)―――(V)
但し、
Td:その時点での目標温度
Tp:記憶されている運転条件データ
Year、Date、Time:現在の時刻
【0021】
尚、運転条件データの一例を図8に示す。図8に示す運転条件データは24時間営業のコンビニエンスストアを想定して設定されたものであり、季節、時刻、運転目標温度がそれぞれ記されている。
【0022】
次に、ステップS11に移行して、運転条件データと補正値の平均値(「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さいと判別される場合が単数である場合にはその場合の補正値がそのまま使用されることになる。)から操作量の計算が行われる。ここでいう操作量の計算とは次のような内容を意味する。例えば、実際のエアコン11のコンプレッサに与える電力を計算する過程であり、次の式(VI)に示すようなものである。
Pout=f(Tnow−Td)+Kp*Know―――(VI)
但し、
Pout :与える電力量
Tnow :現在の温度
f(Tnow−Td):目標値と現在の温度の差によって計算され冷凍機に入力すべき電力の関数(空調機の種類とその設置環境により決定される。)
Td :目標値
Kp :補正値の効き具合を設定する定数
Know :計算された補正値
尚、ステップS6において、「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さくないと判別された場合には(「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さくないということは現在の状況がその過去補正データセットの状況とは全く異なる状況であることを意味している。)、補正値の算出を行うことなく、初期設定による運転条件データに沿った運転が行われることになる。
【0023】
次いで、ステップS12に移行して、運転量の出力が実行される。ここでいう運転量の出力とは次のような内容を意味する。すなわち、運転量の出力とは、例えば、冷凍機のパワー制御の入力形式がパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)であった場合、必要パワーからPWMデューティー比を計算する過程を意味しているものであり、例えば、次の式(VII)に示すようなものである。
Duty=fd(Pout)―――(VII)
但し、
Duty :PWMデューティー比
fd(Pout):運転パワーとPWMデューティー比を関連付ける関数(冷凍機が決まれば一義的に決定される。)
尚、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulationとは、パルス波のデューティー比を変化させることにより変調することを意味している。
【0024】
そして、ステップS13に移行して運転完了か否かが判別される。ここで運転完了であると判別された場合には、そのまま運転が停止される。これに対して、運転完了ではないと判別された場合には、ステップS1に戻り、以降同様の処理が繰り返し実行されることになる。
【0025】
次に、図4を参照して補正入力用スレッドを説明する。この図4に示すスレッドは図3に示すスレッドと同時に実行されるものであり、常に、使用者による補正値入力の有無を監視していて、使用者による補正値入力が確認できれば、その補正入力値を取得するとともにその時の外的パラメータ(センサ)入力を得て、サブプログラムである「補正データセット変更サブプログラム」を呼び出して実行するものである。以下、詳しく説明する。
【0026】
まず、ステップS21においてはユーザ入力待ちの状態にある。次に、ステップS22に移行して、ユーザ入力の有無を判別する。ユーザ入力、すなわち、補正値入力有りと判別された場合には、ステップS23に移行して、外部入力される補正値入力を得る。これに対して、ステップS22において、ユーザ入力なしと判別された場合には、ステップS21に戻る。
【0027】
次いで、ステップS24に移行して、外部パラメータ(センサ)入力、すなわち、温度・湿度センサ5からの温度検出信号と湿度検出信号の確認を行う。次いで、ステップS25に移行して、「過去補正データセット変更プログラム」を呼び出す。そして、ステップS26に移行して、運転完了の有無が判別される。運転が完了していると判別された場合には、終了し、運転が完了していないと判別された場合には、ステップS21に戻る。
【0028】
次に、図5を参照して、ステップS25の処理、すなわち、「過去補正データセット変更プログラム」を呼び出して行う過去補正データセット変更処理を説明する。
まず、ステップS31において、全ての過去補正データセットの評価準備を開始する。次いで、ステップS32に移行して、一つの過去補正データセットを抽出する。次いで、ステップS33に移行して、図1に示す重み付けデータメモリ27に記憶されている重み付けデータを取り出して参照するものである。
次いで、ステップS34に移行して、過去の外部パラメータ(センサ)入力と現在の外部パラメータ(センサ)入力の「偏差2」を計算する。
この「偏差2」の計算は次の式(VIII)により行う。
S(i)=WT・|TN−Tpi|+WH・|HN−Hpi|―――(VIII)
但し、
S(i):偏差2
WT :気温の重み付けデータ
WH :湿度の重み付けデータ
TN :現在の気温
Tpi
:過去補正データセット中のi番目の気温(i=1〜n、n=現在の過去補正データセット数)
HN
:現在の湿度
Hpi
: 過去補正データセット中のi番目の湿度(i=1〜n、n=現在の過去補正データセット数)
【0029】
そして、ステップS35に移行して、「偏差2」が「閾値2」より大きいか否かを判別する。「偏差2」が「閾値2」より大きいと判別された場合には(「偏差2」が予め設定されている「閾値2」より大きいということは現在の状況とその過去補正データセットの状況が全く異なっている。)ステップS41に移行する。これに対して、「偏差2」が「閾値2」より大きくはないと判別された場合には(「偏差2」が予め設定されている「閾値2」より大きくはないということは現在の状況がその過去補正データセットの状況と類似していることを意味している。)、ステップS36に移行する。
【0030】
ステップS36においては、過去補正データセットの補正値と現在の補正入力値を比較する。次いで、ステップS37に移行して、現在の補正入力値が過去補正データセットの補正値と略同じであるか否かが判別される。現在の補正入力値が過去補正データセットの補正値と略同じであると判別された場合には、ステップS38に移行する。このステップS38においては、過去補正データセットの補正値を増加せしめる補正値を設定する。これに対して、現在の補正入力値が過去補正データセットの補正値と略同じではないと判別された場合には、ステップS39に移行する。このステップS39においては、過去の補正データセットの補正値を減少せしめる補正値を設定する。そして、何れの場合もステップS40に移行する。このステップS40においては補正データの記憶が行われる。
【0031】
ここで、上記ステップS38、S39における処理内容の一例に関して図9を参照して説明する。例えば、過去の補正データが「気温を2℃上げよ」というものであった場合、現在の補正入力値が「気温を1℃上げよ」というものであった場合には、現在の補正入力値が過去の補正値と略同じであるということになるので、ステップS38の処理により、過去の補正データを増加せしめる処理が実行され、新補正量を3℃とする処理が実行される。これに対して、過去の補正データが「気温を2℃上げよ」というものであった場合、現在の補正入力値が「気温を2℃下げよ」というものであった場合には、現在の補正入力値が過去の補正値と略同じではないので、ステップS39の処理により、過去の補正データを減少せしめる処理が実行され、新補正量を0℃とする処理が実行される。又、過去の補正データが「気温を2℃下げよ」というものであった場合、現在の補正入力値が「気温を1℃上げよ」というものであった場合には、現在の補正入力値が過去の補正値と略同じではないので、ステップS39の処理により、過去の補正データを減少せしめる処理が実行され、新補正量を−1℃とする処理が実行される。又、過去の補正データが「気温を2℃下げよ」というものであった場合、現在の補正入力値が「気温を3℃下げよ」というものであった場合には、現在の補正入力値が過去の補正値と略同じとなり、ステップS38の処理により、過去の補正データを増加せしめる処理が実行され、新補正量を−5℃とする処理が実行される。
【0032】
次いで、ステップS41に移行する。このステップS41においては、全ての過去補正データセットの評価が終わった否かが判別される。全ての過去補正データセットの評価が終わったと判別された場合には、ステップS42に移行する。これに対して、全ての過去補正データセットの評価が終わってはいないと判別された場合には、ステップS32に戻る。上記ステップS42においては、「偏差2」が「閾値2」以下のものがなかったか否かが判別される。「偏差2」が「閾値2」以下のものが有ったと判別された場合にはそのまま終了する。これに対して、「偏差2」が「閾値2」以下のものがなかった判別された場合には、ステップS43に移行して、過去補正データとは別に新たな補正データセットを生成する。つまり、現在の状況と近い状況が過去補正データセットの中に存在していないことになるので、その場合には、新しい補正データセットを作成するものである。そして、ステップS44に移行して、新たな補正データと外部パラメータのデータが新たな過去補正データセットして記憶される。
【0033】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、一旦、プログラミングして設定した場合であっても、例えば、ユーザサイドでこれを調整してより最適な運転条件データに容易に変更することができる。よって、全ての動作を全て予めプログラミングにより設定しておく必要はなく、プログラミングのための労力の軽減と時間の短縮を図ることができる。
又、一旦、プログラミングして設定した場合であっても、例えば、ユーザサイドでこれを調整してより最適な運転パターンに変更することが可能になった。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。前記第1の実施の形態の場合には、図3のステップS9に示すように、現時点での外的パラメータに対応する過去補正データセットが複数存在する場合には、全ての補正値の平均を求める場合を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではない。この第2の実施の形態の場合には、時間的に直近に記憶された過去補正データセットに対する補正値により多い重みを与えた係数を掛け、和算した結果を用いるようにした例を示すものである。
【0035】
-例えば、外気温がパラメータであり、且つ、過去において外気温が30℃のときに26℃を目標に運転していたと仮定する。その状態で、ユーザが「暑い」と感じて、目標温度を下げるべく、例えば、1℃下げて25℃を目標とするべく補正入力したとする。その後、時間が経過して、ユーザの好みに変化が生じ、補正後の25℃では「寒い」と感じて、目標温度を1℃上げるように補正入力したとする。
【0036】
この場合、同じ外的パラメータであるが、「−1℃:下げろ」、「1℃:上げろ」の二つの相反する補正が存在することとなる。平均をとる手法の場合には、「−1℃」、「1℃」の平均、即ち、「0℃」の補正を行うことになる。又、重みを加味する場合とは、例えば、過去の補正は現在の補正の1/3の重みであると仮定するようなことを意味し、その場合には、次のような重み係数に基づいて次の式(IX)に示すような補正を行うことになる。
補正値=−1℃×Wa+1℃×Wb=+0.5℃―――(IX)
但し、
Wa:現在の重み係数、0.75
Wb:過去の重み係数、0.25
【0037】
以上この第2の実施の形態の場合にも前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、より細かな事情を考慮した運転条件データの生成が可能になる。
【0038】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。これは、補正データセット変更プログラム実行時において、補正値が入力された時の外的パラメータを記憶しておき、その外的パラメータと現在の外的パラメータを対比して、その偏差の大きさによって補正値を減衰させていく例を示すものである。その減衰に用いる偏差値の計算時に外的パラメータの1つ又は複数に対してそれぞれ影響度に重み付けするようにした場合の例を示すものである。
【0039】
例えば、外的パラメータとして、屋外の「気温」と「湿度」の二つの要素がある場合において、湿度よりも温度の方が人間の体感度合いに対して影響が大きいとする。このような場合、減衰率dを計算するときに、次の式(X)に示すような計算を行うものである。
d=1−W3*(|Tnow−Tm|)−W4*(|Hnow−Hm|)
―――(X)
仮に、d<0の場合には、d=0とする。
但し、
W3 :温度の重み付け係数
Tnow:現在温度
Tm :過去の補正入力時に記憶された温度
W4 :湿度の重み付け係数
Hnow:現在湿度
Hm :過去の補正入力時に記憶された湿度
そして、このようにして算出された減衰率dを使用して補正値を減衰させるものである。
【0040】
以上この第3の実施の形態の場合にも前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、より細かな事情を考慮した運転パターンの生成が可能になる。
【0041】
尚、本発明は前記第1〜第3の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1〜第3の実施の形態の場合には、エアコンや照明等を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、様々な機器の運転に適用することができる。
又、図3に示した処理や図5に示した処理においては重み付けデータを使用しているが、その重み付けの手法は説明したものに限定されることはなく、様々な手法の適用が可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば、各種機器の運転条件データを生成する運転条件データ生成装置に係り、特に、使用者が任意に調整した内容を記憶してその補正内容を考慮した運転条件データを自動的に生成することができるように工夫したものに関し、例えば、空調機器や照明機器の運転に好適である。
【符号の説明】
【0043】
1 マイクロプロセッサ
5 温度・湿度センサ
7 補正ボタン等
11 エアコン
13 照明等
17 表示装置
20 カレンダー時計
21 プログラムメモリ
23 過去補正データセットメモリ
25 デフォルトパターンメモリ
27 重み付けデータ
29 計算領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、空調機器や照明機器の運転条件データを生成する運転条件データ生成装置に係り、特に、使用者が任意に調整した内容を記憶してその補正内容を考慮した運転条件データを自動的に生成することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ある室の空調の運転条件を例に挙げて説明する。図10に示すように、その室の空調の運転条件に関して、予め、4種類の運転条件データ、すなわち、運転条件データ1〜運転条件データ4を設定しておく。上記運転条件データ1は、1日24時間の運転の内容を予め設定したものであり、図10に示すように、1日24時間を8個のブロックに区分けし、夫々のブロックにおける空調の出力を設定しておくものである。そして、そのような運転条件データを4種類、すなわち、運転条件データ1〜運転条件データ4を設定しておき、その内から最適な運転条件データを選択して運転するものである。
【0003】
同様に、図11に示すように、1月〜12月まで、月毎に12個の運転条件データ、すなわち、運転条件データ1〜運転条件データ12を用意して、月毎に対応する運転条件データを設定するような場合もある。この場合には、月毎に、「動作日」、「制御可否情報」、「曜日別の運転条件」が登録されていて、それが月毎に、12個の運転条件データ、すなわち、運転条件データ1〜運転条件データ12として設定されているものである。
尚、この種の運転条件データの設定は、空調以外にも照明機器等、様々な分野で行われているものである。そのような内容を開示したものとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2890163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、全ての動作を全て予めプログラミングにより設定しておく必要があり、その為に多くの労力と時間を要してしまうという問題があった。
又、一旦、プログラミングして設定した場合には、例えば、ユーザサイドでこれを調整してより最適な運転条件データに変更することは極めて困難であった。
又、仮に、ユーザによる微調整が可能であったとしてもそれは1回限りのことであり、その微調整した内容をそれ以後有効に利用することはできなかった。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、予め設定しておくプログラミングの内容をその後容易に調整可能とし、且つ、調整した内容を記憶して、その後の運転条件データの生成に生かすと共に、予め、設定しておくプログラミングの内容を簡略化させることができ、そのプログラミングの構築に要する手間と時間を軽減させることが可能な運転条件データ生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による運転条件データ生成装置は、制御対象機器を取り巻く環境の指標となる外的パラメータを検出する外的パラメータ検出手段と、上記外的パラメータを使用した形式で予め設定された初期運転条件データを記憶する運転条件データ記憶手段と、過去に入力・設定され外的パラメータと補正データとを備え上記初期運転条件データに補正を加えるための過去補正データセットを記憶する過去補正データセット記憶手段と、 上記外的パラメータ検出手段からの外的パラメータ検出信号と上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータとを対比して偏差を算出する第1偏差算出手段と、上記算出された偏差と予め設定されている閾値とを対比して現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第1状況判別手段と、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記偏差を加味した補正値を算出する補正値算出手段と、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に、上記補正値算出手段によって算出された補正値と上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データとにより新たな運転条件データを改変・生成し、一方、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に、上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データをそのまま使用する運転条件データ決定手段と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記外的パラメータ検出手段からは複数種類の外的パラメータ検出信号が出力され、これら複数種類の外的パラメータ検出信号相互間には重み付けデータが設定されていて、上記第1偏差算出手段はこの重み付けデータを使用して偏差を算出するものであることを特徴とするものである。
又、請求項3による運転条件データ生成装置は、請求項2記載の運転条件データ生成装置において、上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するものであることを特徴とするものである。
又、請求項4による運転条件データ生成装置は、請求項3記載の運転条件データ生成装置において、上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、それら複数の補正値の平均値をとってこれを補正値として使用するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項5による運転条件データ生成装置は、請求項3記載の運転条件データ生成装置において、上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、時間的に直近に記憶された過去補正データセットに対する補正値により重きをおく重み付けデータが設定されていて、この重み付けデータを使用して使用する補正値が決定されるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記初期運転条件データに補正を加えるための補正値を入力する補正値入力手段と、上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータと上記補正値入力手段によって補正値が入力されたときの外的パラメータとの偏差を算出する第2偏差算出手段と、上記第2偏差算出手段によって算出された偏差と予め設定されている閾値とから現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第2状況判別手段と、上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記過去補正データセットにおける補正データを変更する補正データ変更手段と、を設けたことを特徴とするものである。
又、請求項7による運転条件データ生成装置は、請求項6記載の運転条件データ生成装置において、上記補正データ変更手段は、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しいと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を増加させ、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しくはないと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を減少させるものであることを特徴とするものである。
又、請求項8による運転条件データ生成装置は、請求項7記載の運転条件データ生成装置において、上記第2偏差算出手段は重み付けデータを使用して偏差を算出するものであることを特徴とするものである。
又、請求項9による運転条件データ生成装置は、請求項8記載の運転条件データ生成装置において、上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するものであることを特徴とするものである。
又、請求項10による運転条件データ生成装置は、請求項9記載の運転条件データ生成装置において、上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記全ての過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に上記過去補正データセットとは別に新たな過去補正データセットを生成する過去補正データセット生成手段を設けたことを特徴とするものである。
又、請求項11による運転条件データ生成装置は、請求項6記載の運転条件データ生成装置において、上記補正値入力手段を介して補正値が入力されたときの外的パラメータを記憶しておき、その外的パラメータと現在の外的パラメータを対比して偏差を算出し、その偏差の大きさによって上記補正値を減衰させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように本発明の請求項1によるによる運転条件データ生成装置によると、制御対象機器を取り巻く環境の指標となる外的パラメータを検出する外的パラメータ検出手段と、上記外的パラメータを使用した形式で予め設定された初期運転パターンを記憶する運転条件データ記憶手段と、過去に入力・設定され外的パラメータと補正データとを備え上記初期運転条件データに補正を加えるための過去補正データセットを記憶する過去補正データセット記憶手段と、上記外的パラメータ検出手段からの外的パラメータ検出信号と上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータとを対比して偏差を算出する第1偏差算出手段と、上記算出された偏差と予め設定されている閾値とを対比して現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第1状況判別手段と、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記偏差を加味した補正値を算出する補正値算出手段と、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に、上記補正値算出手段によって算出された補正値と上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データとにより新たな運転条件データを改変・生成し、一方、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に、上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データをそのまま使用する運転条件データ決定手段と、を具備した構成になっているので、まず、一旦、プログラミングして設定した場合であっても、例えば、ユーザサイドでこれを調整してより最適な運転条件データに容易に変更することができる。又、仮に、微調整した内容をそれ以後有効に利用することが可能になったものである。
又、請求項2による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記外的パラメータ検出手段からは複数種類の外的パラメータ検出信号が出力され、これら複数種類の外的パラメータ検出信号相互間には重み付けデータが設定されていて、上記第1偏差算出手段はこの重み付けデータを使用して偏差を算出する構成になっているので、より実情に合った偏差を算出することができ、それによって、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項3による運転条件データ生成装置は、請求項2記載の運転条件データ生成装置において、上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項4による運転条件データ生成装置は、請求項3記載の運転条件データ生成装置において、上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、それら複数の補正値の平均値をとってこれを補正値として使用するように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項5による運転条件データ生成装置は、請求項3記載の運転条件データ生成装置において、上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、時間的に直近に記憶された過去補正データセットに対する補正値により重きをおく重み付けデータが設定されていて、この重み付けデータを使用して使用する補正値が決定されるように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項6による運転条件データ生成装置は、請求項1記載の運転条件データ生成装置において、上記初期運転条件データに補正を加えるための補正値を入力する補正値入力手段と、上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータと上記補正値入力手段によって補正値が入力されたときの外的パラメータとの偏差を算出する第2偏差算出手段と、上記第2偏差算出手段によって算出された偏差と予め設定されている閾値とから現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第2状況判別手段と、上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記過去補正データセットにおける補正データを変更する補正データ変更手段と、 を設けた構成になっているので、外部からの補正値入力に対して適切に対応して過去補正データセットを適宜変更することができ、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項7による運転条件データ生成装置は、請求項6記載の運転条件データ生成装置において、上記補正データ変更手段は、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しいと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を増加させ、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しくはないと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を減少させるように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項8による運転条件データ生成装置は、請求項7記載の運転条件データ生成装置において、上記第2偏差算出手段は重み付けデータを使用して偏差を算出するように構成されているので、上記効果をより確実なものにすることができる。
又、請求項9による運転条件データ装置は、請求項8記載の運転条件データ生成装置において、上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するように構成されているので、上記効果をより確実なものにすることができる。
又、請求項10による運転条件データ生成装置は、請求項9記載の運転条件データ生成装置において、上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記全ての過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に上記過去補正データセットとは別に新たな過去補正データセットを生成する過去補正データセット生成手段を設けた構成になっているので、新たな過去補正データセットを追加してより細かな制御が可能になった。
又、請求項11による運転条件データ生成装置は、請求項6記載の運転条件データ生成装置において、上記補正値入力手段を介して補正値が入力されたときの外的パラメータを記憶しておき、その外的パラメータと現在の外的パラメータを対比して偏差を算出し、その偏差の大きさによって上記補正値を減衰させるように構成されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、運転条件データ生成装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、補正変更値の入力手段の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、過去補正データセットの一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、重み付けデータの一例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、運転条件データの例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態を示す図で、判断方法の例を示す図である。
【図10】従来例の説明に使用した図で、予め運転条件データを作成して記憶させておく従来の構成を示す図である。
【図11】従来例の説明に使用した図で、予め運転条件データを作成して記憶させておく従来の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1乃至図9を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態による運転条件データ生成装置の構成を示すブロック図であり、まず、マイクロプロセッサ(中央演算処理装置、CPU)1がある。このマイクロプロセッサ1には、外部入力インターフェイス3を介して、温度・湿度センサ5、補正ボタン等7が接続されている。又、上記マイクロプロセッサ1には、外部出力インターフェイス9を介して、エアコン(空調機器)11、照明等13が接続されている。又、上記マイクロプロセッサ1には表示装置インターフェイス15を介して、表示装置17が接続されている。又、マイクロプロセッサ1には、メモリ19とカレンダー時計20が接続されている。又、上記メモリ19には、プログラムメモリ21、過去補正データセットメモリ23、デフォルトパターンメモリ25、重み付けデータメモリ27、計算領域29が設けられている。上記重み付けデータメモリ27には、後述する「偏差1」の計算において各外部パラメータに重み付けを行うための重み付けデータが記憶されているものである。
尚、上記補正ボタン等7については、本実施の形態においては、上記表示装置17上に表わされるタッチパネルとして具現化されている。
【0011】
又、上記補正ボタン等7、表示装置17、カレンダー時計20、温度・湿度センサ5、エアコン11のみを抽出すると、図2に示すようなものとなる。
【0012】
以上の構成を基に、図3乃至図5のフローチャートを参照しながらその作用を説明する。
最初に、図3を参照して主スレッドの内容を説明する。この図3に示す処理では、常に外的パラメータを取得してこれを全ての過去補正データセットと対比し続けている。そして、対比の結果、現在の状況が何れかの過去補正データセットの状況に十分に近いと判断された場合に(後述する「偏差1」が予め設定された閾値1よりも小さい場合。)、自動的に補正値を発生させて運転の状態を変更させるものである。以下、詳しく説明する。
まず、ステップS1において、外部パラメータ(センサ)入力が実行される。すなわち、この実施の形態の場合には、温度・湿度センサ5からの温度検出信号及び湿度検出信号の入力が実行されることになる。
因みに、この外部パラメータ(センサ)入力は、例えば、予め設定された時間毎(例えば、5分に1回)に定期的に実行されるものである。
次に、ステップS2に移行して、全過去補正データセットの評価を開始する。すなわち、ステップS3に移行して、複数の過去補正データセットの中から一つの過去補正データセットを取り出して参照する。
【0013】
尚、上記過去補正データセットの一例を図6に示す。図6に示す過去補正データセットには、生成時刻(DP(1))が2011年2月17日15:46分であり、実気温(TP(1))が30℃であり、実湿度(HP(1))が60%であり、運転目標温度(ToP(1))が30℃であり、補正指示(CP(1))が「温度を2℃下げよ」であることが示されている。これら複数の情報の塊が一つの過去補正データセットになる。又、補正は異なった条件で複数回付与されているので、このような過去補正データセットが複数存在していてそれらが図1に示す過去補正データセットメモリ23に記憶されているものである。
【0014】
次いで、ステップS4に移行して、重み付けデータの参照が実行される。すなわち、図1に示す重み付けデータメモリ27に記憶されている重み付けデータを取り出して参照するものである。次いで、ステップS5に移行して、偏差1の計算が行われる。すなわち、図1に示す計算領域29を利用して、重み付けを加味した現在の外的パラメータと過去の外的パラメータとの「偏差1」を計算するものである。
【0015】
ここで上記「重み付け」と「偏差1」について説明を補充する。例えば、空調を制御するときに、本実施の形態の場合のように、屋外の「気温」と「湿度」を温度・湿度センサ5によって検出して外的パラメータとして使用する。その際、人間が不快に感じる度合いが、「湿度」よりも「温度」の方が高いとした場合、「偏差1」の値を決定する場合には、「湿度」よりも「温度」の方に大きな係数を掛けることになり、これが上記「重み付け」の意味するところである。その一例を次の式(I)、(II)に示す。
Er=W1*(|Tnow−Tm|)+W2*(|Hnow−Hm|)
―――(I)
W1>W2 ―――(II)
但し、
Er :偏差1
W1 :温度の重み付け係数
Tnow:現在温度
Tm :過去の補正入力時に記憶された温度
W2 :湿度の重み付け係数
Hnow:現在湿度
Hm :過去の補正入力時に記憶された湿度
そして、この場合には、上記したように、「湿度」よりも「温度」の方に大きな重み付け係数を掛けるようにしているので、W1>W2 となっている。
【0016】
重み付けデータの一例を図7に示す。図7に示す例の場合には、「気温」の重み付係数WT(上記式(I)のW1 に相当)が「0.75」、「湿度」の重み付係数WH(上記式(I)のW2 に相当)が「0.25」となっている。
【0017】
次に、ステップS6に移行して、計算された「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さいか否かが判別される。ステップS6において、「偏差1」が「閾値1」より小さいと判別された場合には(「偏差1」が「閾値1」より小さいということは現在の状況がその過去補正データセットの状況と非常に近い状況であることを意味している。)、ステップS7に移行して、「偏差1」の値を加味して補正値を計算して記憶する。ここでいう「偏差1」の値を加味して補正値を計算するとは、例えば、次の示す式(III)に示すような場合を意味している。
Know=(1−Er/Et)*Kc―――(III)
但し、
Know :計算された補正値
Er :現在の「偏差1」
Et :閾値1
Kc :過去補正データセットに記憶された補正値
【0018】
そして、ステップS8に移行して、全ての過去補正データセットに関して同様の評価が行われたか否かが判別される。全ての過去補正データセットに関して同様の評価が行われていると判別された場合にはステップS9に移行する。又、上記ステップS6において、「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さくないと判別された場合には(「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さくないということは現在の状況がその過去補正データセットの状況とは全く異なる状況であることを意味している。)、直接ステップS8に移行する。その場合の補正値は次の式(IV)に示すようなものとなる。
Know=0―――(IV)
【0019】
ステップS9においては、記憶した単数又は複数の補正値の平均値を計算する。すなわち、記憶されている全ての過去補正データセットに対して上記したような処理を施すことにより、ステップS6において、「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さいと判別される場合が複数存在することもあり、その場合には、複数の補正値が計算されることになる。その場合にはそれら複数の補正値の平均値をとるようにする。「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さいと判別される場合が単数である場合にはその場合の補正値がそのまま使用されることになる。
【0020】
次に、ステップS10に移行して、初期設定による運転条件データ参照が行われる。ここでいう初期設定による運転条件データとは予め設定された一定の運転状態の遷移を記憶してあるものを意味する。例えば、空調の制御であれば、目標の温度が時間の関数によって決められているものをいう。その一例を次の式(V)に示す。
Td=Tp(Year、Date、Time)―――(V)
但し、
Td:その時点での目標温度
Tp:記憶されている運転条件データ
Year、Date、Time:現在の時刻
【0021】
尚、運転条件データの一例を図8に示す。図8に示す運転条件データは24時間営業のコンビニエンスストアを想定して設定されたものであり、季節、時刻、運転目標温度がそれぞれ記されている。
【0022】
次に、ステップS11に移行して、運転条件データと補正値の平均値(「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さいと判別される場合が単数である場合にはその場合の補正値がそのまま使用されることになる。)から操作量の計算が行われる。ここでいう操作量の計算とは次のような内容を意味する。例えば、実際のエアコン11のコンプレッサに与える電力を計算する過程であり、次の式(VI)に示すようなものである。
Pout=f(Tnow−Td)+Kp*Know―――(VI)
但し、
Pout :与える電力量
Tnow :現在の温度
f(Tnow−Td):目標値と現在の温度の差によって計算され冷凍機に入力すべき電力の関数(空調機の種類とその設置環境により決定される。)
Td :目標値
Kp :補正値の効き具合を設定する定数
Know :計算された補正値
尚、ステップS6において、「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さくないと判別された場合には(「偏差1」が予め設定されている「閾値1」より小さくないということは現在の状況がその過去補正データセットの状況とは全く異なる状況であることを意味している。)、補正値の算出を行うことなく、初期設定による運転条件データに沿った運転が行われることになる。
【0023】
次いで、ステップS12に移行して、運転量の出力が実行される。ここでいう運転量の出力とは次のような内容を意味する。すなわち、運転量の出力とは、例えば、冷凍機のパワー制御の入力形式がパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)であった場合、必要パワーからPWMデューティー比を計算する過程を意味しているものであり、例えば、次の式(VII)に示すようなものである。
Duty=fd(Pout)―――(VII)
但し、
Duty :PWMデューティー比
fd(Pout):運転パワーとPWMデューティー比を関連付ける関数(冷凍機が決まれば一義的に決定される。)
尚、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulationとは、パルス波のデューティー比を変化させることにより変調することを意味している。
【0024】
そして、ステップS13に移行して運転完了か否かが判別される。ここで運転完了であると判別された場合には、そのまま運転が停止される。これに対して、運転完了ではないと判別された場合には、ステップS1に戻り、以降同様の処理が繰り返し実行されることになる。
【0025】
次に、図4を参照して補正入力用スレッドを説明する。この図4に示すスレッドは図3に示すスレッドと同時に実行されるものであり、常に、使用者による補正値入力の有無を監視していて、使用者による補正値入力が確認できれば、その補正入力値を取得するとともにその時の外的パラメータ(センサ)入力を得て、サブプログラムである「補正データセット変更サブプログラム」を呼び出して実行するものである。以下、詳しく説明する。
【0026】
まず、ステップS21においてはユーザ入力待ちの状態にある。次に、ステップS22に移行して、ユーザ入力の有無を判別する。ユーザ入力、すなわち、補正値入力有りと判別された場合には、ステップS23に移行して、外部入力される補正値入力を得る。これに対して、ステップS22において、ユーザ入力なしと判別された場合には、ステップS21に戻る。
【0027】
次いで、ステップS24に移行して、外部パラメータ(センサ)入力、すなわち、温度・湿度センサ5からの温度検出信号と湿度検出信号の確認を行う。次いで、ステップS25に移行して、「過去補正データセット変更プログラム」を呼び出す。そして、ステップS26に移行して、運転完了の有無が判別される。運転が完了していると判別された場合には、終了し、運転が完了していないと判別された場合には、ステップS21に戻る。
【0028】
次に、図5を参照して、ステップS25の処理、すなわち、「過去補正データセット変更プログラム」を呼び出して行う過去補正データセット変更処理を説明する。
まず、ステップS31において、全ての過去補正データセットの評価準備を開始する。次いで、ステップS32に移行して、一つの過去補正データセットを抽出する。次いで、ステップS33に移行して、図1に示す重み付けデータメモリ27に記憶されている重み付けデータを取り出して参照するものである。
次いで、ステップS34に移行して、過去の外部パラメータ(センサ)入力と現在の外部パラメータ(センサ)入力の「偏差2」を計算する。
この「偏差2」の計算は次の式(VIII)により行う。
S(i)=WT・|TN−Tpi|+WH・|HN−Hpi|―――(VIII)
但し、
S(i):偏差2
WT :気温の重み付けデータ
WH :湿度の重み付けデータ
TN :現在の気温
Tpi
:過去補正データセット中のi番目の気温(i=1〜n、n=現在の過去補正データセット数)
HN
:現在の湿度
Hpi
: 過去補正データセット中のi番目の湿度(i=1〜n、n=現在の過去補正データセット数)
【0029】
そして、ステップS35に移行して、「偏差2」が「閾値2」より大きいか否かを判別する。「偏差2」が「閾値2」より大きいと判別された場合には(「偏差2」が予め設定されている「閾値2」より大きいということは現在の状況とその過去補正データセットの状況が全く異なっている。)ステップS41に移行する。これに対して、「偏差2」が「閾値2」より大きくはないと判別された場合には(「偏差2」が予め設定されている「閾値2」より大きくはないということは現在の状況がその過去補正データセットの状況と類似していることを意味している。)、ステップS36に移行する。
【0030】
ステップS36においては、過去補正データセットの補正値と現在の補正入力値を比較する。次いで、ステップS37に移行して、現在の補正入力値が過去補正データセットの補正値と略同じであるか否かが判別される。現在の補正入力値が過去補正データセットの補正値と略同じであると判別された場合には、ステップS38に移行する。このステップS38においては、過去補正データセットの補正値を増加せしめる補正値を設定する。これに対して、現在の補正入力値が過去補正データセットの補正値と略同じではないと判別された場合には、ステップS39に移行する。このステップS39においては、過去の補正データセットの補正値を減少せしめる補正値を設定する。そして、何れの場合もステップS40に移行する。このステップS40においては補正データの記憶が行われる。
【0031】
ここで、上記ステップS38、S39における処理内容の一例に関して図9を参照して説明する。例えば、過去の補正データが「気温を2℃上げよ」というものであった場合、現在の補正入力値が「気温を1℃上げよ」というものであった場合には、現在の補正入力値が過去の補正値と略同じであるということになるので、ステップS38の処理により、過去の補正データを増加せしめる処理が実行され、新補正量を3℃とする処理が実行される。これに対して、過去の補正データが「気温を2℃上げよ」というものであった場合、現在の補正入力値が「気温を2℃下げよ」というものであった場合には、現在の補正入力値が過去の補正値と略同じではないので、ステップS39の処理により、過去の補正データを減少せしめる処理が実行され、新補正量を0℃とする処理が実行される。又、過去の補正データが「気温を2℃下げよ」というものであった場合、現在の補正入力値が「気温を1℃上げよ」というものであった場合には、現在の補正入力値が過去の補正値と略同じではないので、ステップS39の処理により、過去の補正データを減少せしめる処理が実行され、新補正量を−1℃とする処理が実行される。又、過去の補正データが「気温を2℃下げよ」というものであった場合、現在の補正入力値が「気温を3℃下げよ」というものであった場合には、現在の補正入力値が過去の補正値と略同じとなり、ステップS38の処理により、過去の補正データを増加せしめる処理が実行され、新補正量を−5℃とする処理が実行される。
【0032】
次いで、ステップS41に移行する。このステップS41においては、全ての過去補正データセットの評価が終わった否かが判別される。全ての過去補正データセットの評価が終わったと判別された場合には、ステップS42に移行する。これに対して、全ての過去補正データセットの評価が終わってはいないと判別された場合には、ステップS32に戻る。上記ステップS42においては、「偏差2」が「閾値2」以下のものがなかったか否かが判別される。「偏差2」が「閾値2」以下のものが有ったと判別された場合にはそのまま終了する。これに対して、「偏差2」が「閾値2」以下のものがなかった判別された場合には、ステップS43に移行して、過去補正データとは別に新たな補正データセットを生成する。つまり、現在の状況と近い状況が過去補正データセットの中に存在していないことになるので、その場合には、新しい補正データセットを作成するものである。そして、ステップS44に移行して、新たな補正データと外部パラメータのデータが新たな過去補正データセットして記憶される。
【0033】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、一旦、プログラミングして設定した場合であっても、例えば、ユーザサイドでこれを調整してより最適な運転条件データに容易に変更することができる。よって、全ての動作を全て予めプログラミングにより設定しておく必要はなく、プログラミングのための労力の軽減と時間の短縮を図ることができる。
又、一旦、プログラミングして設定した場合であっても、例えば、ユーザサイドでこれを調整してより最適な運転パターンに変更することが可能になった。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。前記第1の実施の形態の場合には、図3のステップS9に示すように、現時点での外的パラメータに対応する過去補正データセットが複数存在する場合には、全ての補正値の平均を求める場合を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではない。この第2の実施の形態の場合には、時間的に直近に記憶された過去補正データセットに対する補正値により多い重みを与えた係数を掛け、和算した結果を用いるようにした例を示すものである。
【0035】
-例えば、外気温がパラメータであり、且つ、過去において外気温が30℃のときに26℃を目標に運転していたと仮定する。その状態で、ユーザが「暑い」と感じて、目標温度を下げるべく、例えば、1℃下げて25℃を目標とするべく補正入力したとする。その後、時間が経過して、ユーザの好みに変化が生じ、補正後の25℃では「寒い」と感じて、目標温度を1℃上げるように補正入力したとする。
【0036】
この場合、同じ外的パラメータであるが、「−1℃:下げろ」、「1℃:上げろ」の二つの相反する補正が存在することとなる。平均をとる手法の場合には、「−1℃」、「1℃」の平均、即ち、「0℃」の補正を行うことになる。又、重みを加味する場合とは、例えば、過去の補正は現在の補正の1/3の重みであると仮定するようなことを意味し、その場合には、次のような重み係数に基づいて次の式(IX)に示すような補正を行うことになる。
補正値=−1℃×Wa+1℃×Wb=+0.5℃―――(IX)
但し、
Wa:現在の重み係数、0.75
Wb:過去の重み係数、0.25
【0037】
以上この第2の実施の形態の場合にも前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、より細かな事情を考慮した運転条件データの生成が可能になる。
【0038】
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。これは、補正データセット変更プログラム実行時において、補正値が入力された時の外的パラメータを記憶しておき、その外的パラメータと現在の外的パラメータを対比して、その偏差の大きさによって補正値を減衰させていく例を示すものである。その減衰に用いる偏差値の計算時に外的パラメータの1つ又は複数に対してそれぞれ影響度に重み付けするようにした場合の例を示すものである。
【0039】
例えば、外的パラメータとして、屋外の「気温」と「湿度」の二つの要素がある場合において、湿度よりも温度の方が人間の体感度合いに対して影響が大きいとする。このような場合、減衰率dを計算するときに、次の式(X)に示すような計算を行うものである。
d=1−W3*(|Tnow−Tm|)−W4*(|Hnow−Hm|)
―――(X)
仮に、d<0の場合には、d=0とする。
但し、
W3 :温度の重み付け係数
Tnow:現在温度
Tm :過去の補正入力時に記憶された温度
W4 :湿度の重み付け係数
Hnow:現在湿度
Hm :過去の補正入力時に記憶された湿度
そして、このようにして算出された減衰率dを使用して補正値を減衰させるものである。
【0040】
以上この第3の実施の形態の場合にも前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、より細かな事情を考慮した運転パターンの生成が可能になる。
【0041】
尚、本発明は前記第1〜第3の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1〜第3の実施の形態の場合には、エアコンや照明等を例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、様々な機器の運転に適用することができる。
又、図3に示した処理や図5に示した処理においては重み付けデータを使用しているが、その重み付けの手法は説明したものに限定されることはなく、様々な手法の適用が可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば、各種機器の運転条件データを生成する運転条件データ生成装置に係り、特に、使用者が任意に調整した内容を記憶してその補正内容を考慮した運転条件データを自動的に生成することができるように工夫したものに関し、例えば、空調機器や照明機器の運転に好適である。
【符号の説明】
【0043】
1 マイクロプロセッサ
5 温度・湿度センサ
7 補正ボタン等
11 エアコン
13 照明等
17 表示装置
20 カレンダー時計
21 プログラムメモリ
23 過去補正データセットメモリ
25 デフォルトパターンメモリ
27 重み付けデータ
29 計算領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器を取り巻く環境の指標となる外的パラメータを検出する外的パラメータ検出手段と、
上記外的パラメータを使用した形式で予め設定された初期運転条件データを記憶する運転条件データ記憶手段と、
過去に入力・設定され外的パラメータと補正データとを備え上記初期運転条件データに補正を加えるための過去補正データセットを記憶する過去補正データセット記憶手段と、
上記外的パラメータ検出手段からの外的パラメータ検出信号と上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータとを対比して偏差を算出する第1偏差算出手段と、
上記算出された偏差と予め設定されている閾値とを対比して現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第1状況判別手段と、
上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記偏差を加味した補正値を算出する補正値算出手段と、
上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に、上記補正値算出手段によって算出された補正値と上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データとにより新たな運転条件データを改変・生成し、一方、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に、上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データをそのまま使用する運転条件データ決定手段と、
を具備したことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の運転条件データ生成装置において、
上記外的パラメータ検出手段からは複数種類の外的パラメータ検出信号が出力され、これら複数種類の外的パラメータ検出信号相互間には重み付けデータが設定されていて、上記第1偏差算出手段はこの重み付けデータを使用して偏差を算出するものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項3】
請求項2記載の運転条件データ生成装置において、
上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項4】
請求項3記載の運転条件データ生成装置において、
上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、それら複数の補正値の平均値をとってこれを補正値として使用するようにしたことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項5】
請求項3記載の運転条件データ生成装置において、
上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、時間的に直近に記憶された過去補正データセットに対する補正値により重きをおく重み付けデータが設定されていて、この重み付けデータを使用して使用する補正値が決定されるように構成されていることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項6】
請求項1記載の運転条件データ生成装置において、
上記初期運転条件データに補正を加えるための補正値を入力する補正値入力手段と、
上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータと上記補正値入力手段によって補正値が入力されたときの外的パラメータとの偏差を算出する第2偏差算出手段と、
上記第2偏差算出手段によって算出された偏差と予め設定されている閾値とから現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第2状況判別手段と、
上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記過去補正データセットにおける補正データを変更する補正データ変更手段と、
を設けたことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項7】
請求項6記載の運転条件データ生成装置において、
上記補正データ変更手段は、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しいと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を増加させ、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しくはないと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を減少させるものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項8】
請求項7記載の運転条件データ生成装置において、
上記第2偏差算出手段は重み付けデータを使用して偏差を算出するものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項9】
請求項8記載の運転条件データ生成装置において、
上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項10】
請求項9記載の運転条件データ生成装置において、
上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記全ての過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に上記過去補正データセットとは別に新たな過去補正データセットを生成する過去補正データセット生成手段を設けたことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項11】
請求項6記載の運転条件データ生成装置において、
上記補正値入力手段を介して補正値が入力されたときの外的パラメータを記憶しておき、その外的パラメータと現在の外的パラメータを対比して偏差を算出し、その偏差の大きさによって上記補正値を減衰させるようにしたことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項1】
制御対象機器を取り巻く環境の指標となる外的パラメータを検出する外的パラメータ検出手段と、
上記外的パラメータを使用した形式で予め設定された初期運転条件データを記憶する運転条件データ記憶手段と、
過去に入力・設定され外的パラメータと補正データとを備え上記初期運転条件データに補正を加えるための過去補正データセットを記憶する過去補正データセット記憶手段と、
上記外的パラメータ検出手段からの外的パラメータ検出信号と上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータとを対比して偏差を算出する第1偏差算出手段と、
上記算出された偏差と予め設定されている閾値とを対比して現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第1状況判別手段と、
上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記偏差を加味した補正値を算出する補正値算出手段と、
上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に、上記補正値算出手段によって算出された補正値と上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データとにより新たな運転条件データを改変・生成し、一方、上記第1状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に、上記運転条件データ記憶手段に記憶されている初期運転条件データをそのまま使用する運転条件データ決定手段と、
を具備したことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の運転条件データ生成装置において、
上記外的パラメータ検出手段からは複数種類の外的パラメータ検出信号が出力され、これら複数種類の外的パラメータ検出信号相互間には重み付けデータが設定されていて、上記第1偏差算出手段はこの重み付けデータを使用して偏差を算出するものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項3】
請求項2記載の運転条件データ生成装置において、
上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項4】
請求項3記載の運転条件データ生成装置において、
上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、それら複数の補正値の平均値をとってこれを補正値として使用するようにしたことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項5】
請求項3記載の運転条件データ生成装置において、
上記複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行した結果、複数の補正値が算出された場合、時間的に直近に記憶された過去補正データセットに対する補正値により重きをおく重み付けデータが設定されていて、この重み付けデータを使用して使用する補正値が決定されるように構成されていることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項6】
請求項1記載の運転条件データ生成装置において、
上記初期運転条件データに補正を加えるための補正値を入力する補正値入力手段と、
上記過去補正データセット記憶手段に記憶されている過去補正データセットの外的パラメータと上記補正値入力手段によって補正値が入力されたときの外的パラメータとの偏差を算出する第2偏差算出手段と、
上記第2偏差算出手段によって算出された偏差と予め設定されている閾値とから現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いか否かを判別する第2状況判別手段と、
上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記過去補正データセットの入力・設定時の状況と近いと判別された場合に上記過去補正データセットにおける補正データを変更する補正データ変更手段と、
を設けたことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項7】
請求項6記載の運転条件データ生成装置において、
上記補正データ変更手段は、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しいと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を増加させ、現在の補正入力値と上記過去補正データセットにおける補正データが略等しくはないと判別した場合には上記過去補正データセットにおける補正データの値を減少させるものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項8】
請求項7記載の運転条件データ生成装置において、
上記第2偏差算出手段は重み付けデータを使用して偏差を算出するものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項9】
請求項8記載の運転条件データ生成装置において、
上記過去補正データセット記憶手段には複数の過去補正データセットが記憶されており、これら複数の過去補正データセットに対して同様の処理を実行するものであることを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項10】
請求項9記載の運転条件データ生成装置において、
上記第2状況判別手段によって現在の状況が上記全ての過去補正データセットの入力・設定時の状況と近くはないと判別された場合に上記過去補正データセットとは別に新たな過去補正データセットを生成する過去補正データセット生成手段を設けたことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【請求項11】
請求項6記載の運転条件データ生成装置において、
上記補正値入力手段を介して補正値が入力されたときの外的パラメータを記憶しておき、その外的パラメータと現在の外的パラメータを対比して偏差を算出し、その偏差の大きさによって上記補正値を減衰させるようにしたことを特徴とする運転条件データ生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−195632(P2012−195632A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56082(P2011−56082)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(597010628)協立電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(597010628)協立電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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