説明

運転管理システム

【課題】自動運転制御を実施している時にドライバが前方の安全監視を怠ったか否かを監視してドライバに運転教育により前方の安全監視をより効果的に促すようにする。
【解決手段】運転操作の少なくとも一部を自動で行なう自動運転装置1をそなえた車両に装備され、車両のドライバの運転状態を検出する運転状態検出手段24と、運転状態検出手段24により検出されたドライバの運転状態から、ドライバが前方を監視しているか否かを判断する前方監視判断手段33と、自動運転装置1の作動中にドライバが前方監視していなければ、ドライバに前方監視を促すとともに、ドライバが前方監視していない情報を発信する監視促進制御手段34とをそなえた車両側装置と、監視促進制御手段34から発信された情報を受信し、ドライバの運転指導のデータとしてデータ記録手段104に記録する車外側装置103と、をそなえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の自動運転時にドライバに車両前方の監視を促す運転管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車においても様々な自動化技術の開発が進められており、ドライバの運転を支援する運転支援装置からドライバに代わって運転操作の一部を行なう自動運転装置へと技術開発が発展している。ある程度の自動運転を部分的に実施可能な装置も実用化されており、さらなる運転の自動化が進められつつある。
【0003】
例えば自動で定速走行を行なうオートクルーズ装置には、制御時に先行車両が現れるとこの先行車両に自動で追従する自動追従制御装置が加えられ、さらには、全車速域で先行車両に自動で追従する自動全車速追従制御装置へと発展している。また、例えば車両の走行車線からの逸脱防止を支援する車線逸脱防止支援装置は、車両の走行車線からの逸脱を自動で防止する自動車線逸脱防止装置へと発展している。
【0004】
自動車の運転操作は、本来、ドライバの意思に基づきドライバ自身が行なうものであり、事故回避の義務や責任もドライバにある。しかし、このように運転の自動化技術が進むに従って、ドライバがこの自動運転システムへ依存する割合が高まって、車両の走行中に本来必要である安全監視をドライバが怠るおそれが高まる状況にある。このため、自動車の運転時にドライバが適切な安全監視を行なっている場合に限って自動運転制御を実施する技術が開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、運転者検出手段で、自動車の走行中にドライバが前方を見ているか否かを検出し、ドライバが前方を見ていれば先行車両への追従制御を実施し、ドライバが前方を見ていない状態が一定時間続けば、警報を発してドライバに注意を促して追従制御を解除し、車両を停止させる技術が記載されている。なお、運転者検出手段は、カメラによって撮影したドライバの顔画像を画像処理してドライバの瞼の開度や顔の向きからドライバが前を向いているか否かを判定する。
【0006】
また、特許文献2には、運転者検出手段で、自動車の走行中にドライバが運転席に存在するか否かを検出し、ドライバが運転席に存在していれば先行車両への追従制御を実施し、ドライバが運転席に存在していない状態が一定時間続けば、警報を発してドライバに注意を促して追従制御を解除し、車両を停止させる技術が記載されている。なお、運転者検出手段は、カメラによって撮影した運転席の画像を画像処理してドライバが運転席に存在しているか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−166895号公報
【特許文献2】特開平10−166896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1,2の技術では、ドライバが前方を見ていない場合や運転席に存在していない場合には、警報を発してドライバに注意を促すが、ドライバが警報音に慣れた場合などには、ドライバが警報に答えて速やかに安全監視を再開しない状況も考えられる。ドライバに前方監視を促すには単に警報音を発するだけは十分ではない。
【0009】
したがって、このようなドライバに対しては、車両運転に対する意識改革を行なうように指導することも有効であると考えられる。特に、営業車の場合には、各ドライバを管理する管理者側で、ドライバに対して営業運転上の指導を行なっており、このような指導の一環として、ドライバが前方監視義務を怠ったか否かを把握して、前方監視義務を怠ったドライバに対しては適切に指導を行なうことが有効である。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、自動運転制御を実施している時にドライバが前方の安全監視を怠ったか否かを監視して、ドライバにリアルタイムに或いはその後に運転教育等により前方の安全監視をより効果的に促すことができるようにした、運転管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の運転管理システムは、運転操作の少なくとも一部を自動で行なう自動運転装置をそなえた車両に装備され、前記車両のドライバの運転状態を検出する運転状態検出手段と、前記運転状態検出手段により検出された前記ドライバの運転状態から、前記ドライバが前方を監視しているか否かを判断する前方監視判断手段と、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していなければ、前記ドライバに前方監視を促すとともに、前記ドライバが前方監視していない前方不監視情報を発信する監視促進制御手段とをそなえた車両側装置と、前記監視促進制御手段から発信された前記情報を受信し、前記情報を前記ドライバの運転指導のデータとしてデータ記録手段に記録する車外側装置と、からなることを特徴としている。
なお、前方不監視情報は前方不監視の継続時間に応じた前方不監視の程度を含めたものとして発信することが好ましい。
【0012】
前記車両の運転席周りの窓ガラスのうち前記運転席前方の運転時監視領域を除いて部分的に設けられた調光領域を曇りガラス状態に変更する調光手段をさらにそなえ、前記監視促進制御手段は、前記運転状態検出手段により検出された前記ドライバの運転状態から、前記ドライバが前方を監視しているか否かを判断し、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していなければ、前記調光手段を作動させ前記調光領域を曇りガラス状態に変更し前方監視を促すと共に、この状況が発生した段階で前記前方不監視情報を発信することが好ましい。
【0013】
前記調光領域は複数に分割され、前記監視促進制御手段は、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していない状態の継続時間の増大に応じて、曇りガラス状態に変更する前記調光領域を段階的に増大させると共に、この増大段階で前記前方不監視情報を発信することが好ましい。
前記ドライバに前方監視を促すための表示を行なう表示手段と、前記ドライバに前記表示よりも強く前方監視を促すために前記ドライバに刺激を与えるドライバ刺激手段と、をさらにそなえ、前記監視促進制御手段は、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していない状態の継続時間に応じた前記調光領域の増大と対応させて、初期段階では前記表示手段により前記表示を行ない、その後の段階では前記ドライバ刺激手段により前記ドライバに刺激を与えることが好ましい。
【0014】
前記車両の停止を判定する停止判定手段をさらにそなえ、前記監視促進制御手段は、前記停止判定手段により前記車両の停止が判定されると、前記のドライバに前方監視を促すための制御を全て終了すると共に、この車両の停止及び前方監視を促すための制御の終了情報を発信することが好ましい。
【0015】
前記車両は、前記運転状態検出手段により検出された前記ドライバの運転状態から、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していない状態の継続時間が限度時間まで達したら、前記自動運転装置による自動運転を緊急回避制御に関するものを除いて解除する車両制御手段とをそなえ、前記車両制御手段は、この状況が発生した段階で前記前方不監視情報を発信することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の運転管理システムによれば、運転時のドライバの前方不監視情報は、車外側装置で受信するので、前方監視を怠っているドライバにはリアルタイムで前方監視するように警告等によって注意をうながすことができる。また、ドライバの前方不監視情報は、車外側装置でデータとして蓄積されるので、例えば、前方監視を怠る頻度の高いドライバには指導を行なって、その後の前方監視の促進を図ることができる。
【0017】
また、管理者とドライバとでデータを共有して、前方不監視の原因究明に基づく運行スケジュールの調整や、ドライバの健康状態のチェック等を行なって、管理者とドライバとで運行の安全化を図るためにも有効である。
【0018】
また、自動運転装置の作動中にドライバが前方監視していなければ、調光手段を作動させ、車両の運転席周りの窓ガラスのうち運転席前方の運転時監視領域を除いて部分的に設けられた調光領域を曇りガラス状態に変更するので、ドライバは、曇りのない運転時監視領域を見るようになり、感覚的に前方監視を促すことができる。これにより、自動運転で対応できない状況に対してもドライバ自身で適切に対応することが可能になる。
このとき、ドライバが前方監視していない状態の継続時間の増大に応じて、曇りガラス状態に変更する調光領域を段階的に増大させれば、前方監視の促進にすぐに応じないドライバに対して段階的に前方監視の促進を強化することができる。
【0019】
また、このドライバが前方監視していない状態の継続時間に応じた窓ガラスの調光領域の増大と対応させて、初期段階では前方監視を促すための表示を行ない、その後の段階ではドライバ刺激手段によりドライバに直接刺激を与えるようにすれば、ドライバに対して前方監視の促進を多角的に且つ段階的に強化することができる。
また、車両が停止したら、がドライバに前方監視を促すための制御を全て終了することにより、その後の運転を支障なく快適に行なうことができる。
【0020】
自動運転中にドライバが前方監視していない状態の継続時間が限度時間まで達したら、自動運転を緊急回避制御に関するものを除いて解除することにより、他車両との衝突を回避しながら車両を停止させることができる。
そして、ドライバが前方監視していない各段階でのドライバの前方不監視情報が、車外側装置に送信されるので、各ドライバの前方不監視の程度や頻度に基づいてドライバへの指導や運行管理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる前方監視促進装置及び車両制御装置並びに運転管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる自動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるドライバの運転状態の検出手法を説明する図であり、(a)は車室内要部の側面図、(b)〜(d)はドライバの顔画像の正面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる前方監視促進装置の調光制御について説明するための車両の運転席周りの窓ガラスを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる前方監視促進装置及び車両制御装置並びに運転管理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5は本発明の一実施形態を説明するもので、図1はその前方監視促進装置,車両制御装置,運転管理システムの構成を示すブロック図、図2は自動制御装置の構成を示すブロック図、図3はそのドライバの運転状態の検出手法を説明する図、図4はその前方監視促進装置の調光制御を説明する車両の運転席周りの窓ガラスを示す図、図5はその前方監視促進装置,車両制御装置,運転管理システムの動作を示すフローチャートである。
【0023】
〔装置,システムの概略構成〕
図1に示すように、本発明にかかる自動車(以下、車両又は自車両ともいう)は、元来はドライバ自身が行なっていた運転操作の少なくとも一部を自動で行なう自動運転装置1と、前方監視促進装置2とをそなえ、これらの自動運転装置1及び前方監視促進装置2と、これらを含んだ車両の各部を統合的に制御する統合ECU(車両制御手段)3Aとから車両制御装置3が構成されている。
【0024】
また、本車両は、営業車両であって、車両基地等には車両の運行を管理する運行管理部100が設けられ、本車両を含む各営業車両が運行を管理されるようになっている。特に、各営業車両と運行管理部100との間で車両の運行情報(車両運行時のドライバ情報を含む)や車両の運行指示情報(ドライバへの指示情報を含む)の各種情報を送受信できるように、車両側の装置(車内側装置)及び運行管理部100側の装置(車外側装置としてのドライバ管理ECU)103には、それぞれ送受信装置101,102が設けられている。
【0025】
また、本実施形態にかかる運転管理システムは、自動運転装置1と前方監視促進装置2と統合ECU(車両制御手段)3Aとからなる車内側装置である車両制御装置3と、運行管理部100側の装置(車外側装置)であるドライバ管理ECU103及びデータベース(データ記録手段)104とから構成されている。
【0026】
ドライバ管理ECU103は車両運行時のドライバ情報としてドライバが前方監視を行なっているかの情報を受信し、この受信データをデータベース(データ記録手段)104に蓄積する。また、ドライバ管理ECU103にはデータベース104に蓄積されたドライバのデータからドライバの特性を分析するドライバ分析部103aが設けられている。
【0027】
なお、車両側及び運行管理部100側との情報の送受信には、いわゆるテレマティクスを適用することができ、この場合、車両及び運行管理部100の双方はインターネットを介して情報の送受信を行なうため、既存の通信網を適用できる。ただし、かかる情報の送受信の態様はこれに限るものではない。
【0028】
〔自動運転装置の構成〕
ここで、自動運転装置1について説明する。
図2に示すように、本実施形態では、自動運転装置1として、自動全車速追従制御機能を有するオートクルーズ制御装置11とレーンキープ制御装置(自動車線逸脱防止制御装置)12とが備えられている。
【0029】
オートクルーズ制御装置11は、自車両の前方の物体を検出する前方検出装置としてのミリ波レーダ21と、自車両の走行速度を検出する車速センサ(自車速検出手段)22と、オートクルーズスイッチ31sと、オートクルーズスイッチ31sによりオートクルーズが設定されると自車両を目標車速で定速走行させ、自車両の前方を走行する先行車両がいるとミリ波レーダ21及び車速センサ22から送信される検出情報に基づいて、低速域まで含む目標車速内の全車速域で自車両を先行車両に追従させる全車速追従機能(全車速追従制御手段)付きオートクルーズECU31と、をそなえている。
【0030】
なお、本実施形態にかかる前方監視促進装置,車両制御装置,運転管理システムには、種々のECU(Electronic Control Unit)が備えられるが、これらのECUはいずれもメモリ(ROM,RAM)及びCPU等で構成されるコンピュータである。
【0031】
オートクルーズECU31は、目標車速を設定する目標車速設定部31aと、先行車両に対する必要車間距離を算出する必要車間距離算出部31bと、先行車両がいなければ車速を目標車速に制御し、先行車両がいて目標車速を維持できなければ先行車両と必要車間距離だけの車間距離が得られるように車速を制御して先行車両に追従するように制御する車速制御部31cとを備えている。
【0032】
目標車速設定部31aは、オートクルーズスイッチ31sによりオートクルーズが設定された時点の車速を記憶し、この車速を目標車速に設定する。
必要車間距離算出部31bは車速センサ22により検出された自車両の車速に基づいて先行車両に対する必要車間距離を算出する。この必要車間距離は、ブレーキ操作が必要と判断してから車両を停止させるまでの走行距離である停止距離(=空走距離+制動距離)に基づいて算出される。例えば、自車両の車速からこれに対応する制動距離を求め、これに空走距離を加算して停止距離を求め、さらに、停止距離に所定のマージンを加算して必要車間距離とすることができる。
【0033】
車速制御部31cは、ミリ波レーダ21が先行車両を捉えると、ミリ波レーダ21により検出された先行車両と自車両との距離(実車間距離)と必要車間距離算出部31bにより算出された必要車間距離とから実車間距離が必要車間距離以上を保持するように、実車間距離が必要車間距離未満になったら自車両を減速し、実車間距離が必要車間距離以上になったら自車両を加速するように車速を制御する。
【0034】
車速制御部31cによるこのような加減速の制御は、通常はエンジンECU40を通じてエンジン41の出力を増減させることにより行ない(駆動制御部)、急減速の場合にはブレーキECU50を通じてブレーキシステム51を作動させることにより行なう(制動制御部)。なお、エンジン41の出力の増減はスロットル制御又は燃料噴射量制御で行ない、ブレーキシステム51の作動は、ブレーキシステム51に備えられたブレーキアクチュエータ(図示略)を作動させて行なう(制動制御部)。
【0035】
レーンキープ制御装置12は、車速センサ22と、自車両の前方の走行車線(レーン)を検出する前方検出装置としての前方監視カメラ23と、レーンキープスイッチ32sと、レーンキープスイッチ32sによりレーンキープが設定されると自車両が走行する車線内を走行するように自動操舵するレーンキープECU32と、をそなえている。
【0036】
レーンキープECU32は、自車両が走行車線から逸脱する傾向にあるかを判定する車線逸脱傾向判定部32aと、車線逸脱傾向判定部32aにより自車両が走行車線から逸脱する傾向にあると判定されると、自動で操舵を制御するための操舵修正量を設定する操舵修正量設定部32bとをそなえている。
【0037】
車線逸脱傾向判定部32aは、前方監視カメラ23により得られた自車両前方の道路画像から走行車線の白線を認識し、自車両に対する走行車線の相対位置を求め、この相対位置の基準相対位置からのズレ量を求め、ズレ量から自車両が走行車線から逸脱する傾向にあるかを判定する。
【0038】
操舵修正量設定部32bは、車線逸脱傾向判定部32aにより自車両が走行車線から逸脱する傾向にあると判定されると、前記ズレ量と車速センサ22により検出された車速とから操舵修正量を設定する。
操舵修正量設定部32bにより設定された操舵修正量は、操舵ECU60に送られ、操舵ECU60では操舵修正量に基づいて操舵システム61を制御して操舵角を修正する。なお、操舵システム61では、操舵アクチュエータ(図示略)が備えられ、この操舵アクチュエータを作動させて操舵修正を行なう。
【0039】
〔前方監視促進装置の構成〕
ここで、前方監視促進装置2について説明する。
図1に示すように、前方監視促進装置2は、自車両のドライバの運転状態を検出するドライバ監視カメラ(運転状態検出手段)24と、ドライバが自車両の前方を監視しているか判定するドライバ監視ECU(監視状態判定手段)33と、車両の運転席周りの窓ガラスのうち運転席前方の運転時監視領域を除いて部分的に設けられた調光領域を透明ガラスと曇りガラスとに瞬時に切り替えるガラス調光装置(調光手段)70と、自動運転装置の作動中にドライバが前方監視していなければ、ガラス調光装置70を作動させて調光領域を透明ガラスから曇りガラスへと切り替えることによりドライバに前方監視を促す監視促進制御ECU(監視促進制御手段)34と、を備えている。
【0040】
また、本実施形態の場合、ドライバに前方監視を促すための出力手段として、ガラス調光装置70に加えて、ディスプレイ(表示装置)71及びシート振動装置(ドライバ刺激手段)72とをそなえ、監視促進制御ECUは、ディスプレイ71への警告表示や、シート振動装置72を作動させてシート振動によってドライバに直接刺激を与えることによってもドライバに前方監視を促す。
【0041】
ドライバ監視カメラ24は、図3(a)に示すように、運転席前方で、車室110の天井部111の前部下縁111aのフロント窓ガラス113に近い箇所、或いは、ダッシュパネル112の上部に、運転席に着座したドライバの顔が位置する部分を撮影するように配置されている。そして、図3(b)〜図3(d)に示すようなドライバの顔画像を撮影する。
【0042】
ドライバ監視ECU33は、図3(b)〜図3(d)に示すようなドライバの顔画像から、ドライバが自車両の前方を適正に監視しているか否かを判定する。この判定は、例えば、ドライバの顔画像から顔の向きや目の位置や瞳孔の位置等から行なうことができる。ドライバの顔Fが正面(車両の走行方向)でなく左右に向いている場合や、図3(d)に示すように、ドライバの顔Fが正面よりも下方を向いている場合や、図3(c)に示すように、ドライバの顔Fが正面を向いているがドライバの目或いは瞳孔IPが正面を向いていない場合などは、ドライバが前方監視を怠っている(非監視状態)と判定できる。
【0043】
なお、一般に疲労すると、ドライバの目の或いは瞳孔IPが、図3(c)に示すように下向きになる傾向があり、本実施形態では、ドライバ監視ECU33は、この場合に、非監視状態であるという判定だけでなく、ドライバが疲労しているとの判定も行なうようになっている。
ドライバ監視ECU33は、予め設定された所定の制御周期でドライバが前方監視を怠っている(非監視状態)か否か及びドライバが疲労しているか否かを判定し、判定結果を監視促進制御ECU34に送信する。
【0044】
ガラス調光装置70は、車両の運転席周りの窓ガラスのうち運転席前方の運転時監視領域を除いて部分的に設けられた調光領域を透明ガラスから曇りガラスに或いは曇りガラスから透明ガラスに瞬時に切り替えることができる公知の装置である。
【0045】
この切り替え技術には、例えば、電圧を加えないと液晶が不規則に並んでいて光が散乱して曇った状態になり電圧を加えると液晶が規則正しく並んで光が直進し透明になる特殊な高分子液晶シートを適用でき、かかる高分子液晶シートを透明ガラスに貼ったり2枚の透明ガラスの間に挟んだりして窓ガラスを構成し、透明ガラスにするには高分子液晶シートへ電圧を印加し、曇りガラスにするには高分子液晶シートへ電圧を解除する。
【0046】
本実施形態では、図4に示すように、運転席周りの窓ガラスのうち、運転席の前方のフロント窓ガラス113と、運転席の左右の左側窓ガラス115及び右側窓ガラス114とに、透明ガラスと曇りガラスとを切り替え可能な調光領域が設けられている。特に、フロント窓ガラス113は、運転席前方の運転時監視領域A0を除いてその周囲に部分的に設けられており、運転時監視領域A0から遠いフロント窓ガラス113の外周縁部の領域A2とその内側の運転時監視領域A0に近い領域A3とに区分して調光領域が設けられている。
【0047】
監視促進制御ECU34は、所定の制御周期でドライバ監視ECU33から送信される判定情報を受けて、自動運転装置の作動中にドライバが前方監視していなければ、ガラス調光装置70を作動させて調光領域を透明ガラスから曇りガラスへと切り替えることによりドライバに前方監視を促すが、この前方監視の促進は、内蔵されたタイマ34bによるタイマカウント時間に基づく促進段階判定部34aの判定により段階的に行なうようにしている。
【0048】
つまり、自動運転装置の作動中に予め設定された第1所定時間T1だけドライバが前方監視していない状態が継続すれば、まず、運転席の左右の左側窓ガラス115及び右側窓ガラス114の調光領域A1を透明ガラスから曇りガラスへと切り替えると共に、ディスプレイ71に、前方監視をする旨の表示(メッセージ)を表示する(促進段階1)。なお、このディスプレイ表示に替えてアラームランプ等の光表示を用いてもよい。
【0049】
そして、この促進段階1の前方監視促進を開始してからも自動運転装置の作動状態でありながらドライバが前方監視していない状態がさらに続いて、その後予め設定された第2所定時間T2だけ継続すれば、調光領域A1に加えて、運転時監視領域A0から遠いフロント窓ガラス113の外周縁部の調光領域A2を透明ガラスから曇りガラスへと切り替える(促進段階2)。
【0050】
さらに、この促進段階2の前方監視促進を開始してからも自動運転装置の作動状態でありながらドライバが前方監視していない状態がさらに続いて、その後予め設定された第3所定時間T3だけ継続すれば、調光領域A1,A2に加えて、フロント窓ガラス113の運転時監視領域A0に近い調光領域A3を透明ガラスから曇りガラスへと切り替えると共に、シート振動装置72を作動させて運転席を振動させる(促進段階3)。
【0051】
なお、これらの前方監視促進のための各制御は、車両の停止が判定されると全て終了する。つまり、各調光領域A1〜A3は透明ガラスに復帰され、ディスプレイ71の表示(メッセージ)は消去され、シート振動も終了される。
また、上記の第1所定時間T1,第2所定時間T2,第3所定時間T3及び下記の第4所定時間T4の継続判定は、促進段階判定部34aにより、タイマ34bを起動又は再起動(一旦0にリセットして起動)させてこのタイマ34bのカウント時間Tを各所定時間T1〜T4と比較して行なう。
【0052】
〔車両制御装置の構成〕
車両制御装置3は、自動運転装置1及び前方監視促進装置2と、これらを含んだ車両の各部を統合的に制御する統合ECU3Aとから構成されるが、統合ECU3Aは前方監視促進装置2において促進段階3を実施しているときまでは、自動運転装置1の作動を許容し、促進段階3の前方監視促進を開始してからも自動運転装置の作動状態でありながらドライバが前方監視していない状態がさらに続いて、その後予め設定された第4所定時間T4だけ継続すれば、自動運転装置1の作動を制限する(制御規制段階)。
【0053】
つまり、促進段階3の前方監視促進を開始してから前方不監視状態の継続が限度時間まで達したとして、自動運転装置1による自動運転を緊急回避制御に関するものを除いて解除(作動規制)する。この緊急回避制御とは、車間距離制御の一部であり、車両の加速をしない前提で先行車両の車間距離が必要車間距離以内に接近したら、車両を制動させ先行車両への追突を防止又は抑制する制御である。この自動運転装置1は、車両の停止によってすべての機能が解除(終了)される(解除段階)。
【0054】
また、監視促進制御ECU34及び車両制御装置3は、ドライバが前方監視をしていなければ、各段階でその旨(各段階の前方不監視情報)を、送受信装置101,102を通じて運行管理部100に送信する。つまり、ドライバが瞬時でも前方監視をしていなければ状況送信1を送り、促進段階1に入ったら状況送信2を送り、促進段階2に入ったら状況送信3を送り、促進段階3に入ったら状況送信4を送り、自動運転を緊急回避制御に関するものを除いて解除(作動規制)する段階に入ったら状況送信5を送り、車両が停止したら状況送信6を送る。
運行管理部100では、送信された情報を蓄積するため、各ドライバの運転指導の材料に用いることができる。
【0055】
〔作用及び効果〕
本発明の一実施形態にかかる前方監視促進装置及び車両制御装置は、上述のように構成されるので、例えば、図5のフローチャートに示すように前方監視促進とこれに付随した自動運転に関する制御が行なわれる。なお、図5のフローチャート中のFは制御フラグであり、F=0は正常状態(ドライバが前方を監視している状態)を示し、F=1〜5は異常状態(ドライバが前方を監視していない状態)を示し、特に、F=2はドライバに前方監視を促進する促進段階1に対応し、F=3はドライバに前方監視を促進する促進段階2に対応し、F=4はドライバに前方監視を促進する促進段階3に対応し、F=5は自動運転を規制する段階に対応する。
【0056】
図5に示すように、まず、自動運転中であるか否かが判定され(ステップS2)、自動運転中であればドライバが前方を監視しているか否かを判定する(ステップS4)。ドライバが前方を監視していれば、F=0とし(ステップS74)、自動運転をすべて許可する(ステップS76)。
【0057】
ドライバが前方を監視していなければ、Fが0であるかを判定し(ステップS6)、Fが0であればF=1とし(ステップS8)、この旨を運行管理部100に送信(状況送信1)する(ステップS10)。そして、タイマを起動する(ステップS12)
【0058】
一方、Fが0でなければ、Fが1であるかを判定し(ステップS14)、Fが1であればタイマ値Tが第1所定時間T1以上であるか判定する(ステップS16)。タイマ値Tが第1所定時間T1以上なら、F=2とし(ステップS18)、この旨(促進段階1に入った)を運行管理部100に送信(状況送信2)する(ステップS20)。そして、タイマを再起動する(ステップS22)。さらに、前方監視をする旨の警告表示(メッセージ)を表示し(ステップS24、促進段階1)、運転席の左右の左側窓ガラス115及び右側窓ガラス114の調光領域A1を透明ガラスから曇りガラスへと切り替える(ステップS26、促進段階1)。
【0059】
なお、第1所定時間T1は、例えば計器を見たり側方を確認したりといった通常の運転に伴って必要となる前方不監視の時間よりも長い時間に設定している。これにより、通常の運転に伴う前方不監視と、いわゆる脇見運転に相当する前方不監視とを区別し、脇見運転に相当する前方不監視に対して、前方監視を促進するための促進段階1の制御、即ち、調光領域A1を曇りガラスへと切り替える制御を実施する。これにより、通常の運転に支障を来たすような不適切な曇りガラスの切り替えを回避することができる。
【0060】
ステップS14において、Fが1でなければ、Fが2であるかを判定し(ステップS28)、Fが2であればタイマ値Tが第2所定時間T2以上であるか判定する(ステップS30)。タイマ値Tが第2所定時間T2以上でなければ促進段階1の処理を継続し(ステップS24,S26)、タイマ値Tが第2所定時間T2以上なら、F=3とし(ステップS32)、この旨(促進段階2に入った)を運行管理部100に送信(状況送信3)する(ステップS34)。そして、タイマを再起動する(ステップS36)。さらに、調光領域A1に加えて、運転時監視領域A0から遠いフロント窓ガラス113の外周縁部の調光領域A2を透明ガラスから曇りガラスへと切り替える(ステップS38、促進段階2)。なお、警告表示(ステップS24)は続行する。
【0061】
ステップS28において、Fが2でなければ、Fが3であるかを判定し(ステップS40)、Fが3であればタイマ値Tが第3所定時間T3以上であるか判定する(ステップS42)。タイマ値Tが第3所定時間T3以上でなければ促進段階2の処理を継続し(ステップS24,S38)、タイマ値Tが第3所定時間T3以上なら、F=4とし(ステップS44)、この旨(促進段階3に入った)を運行管理部100に送信(状況送信4)する(ステップS46)。そして、タイマを再起動する(ステップS48)。さらに、調光領域A1,A2に加えて、フロント窓ガラス113の運転時監視領域A0に近い調光領域A3を透明ガラスから曇りガラスへと切り替える(ステップS50、促進段階3)と共に、シートを振動させる(ステップS52、促進段階3)。このときも、警告表示(ステップS24)は続行する。
【0062】
ステップS40において、Fが3でなければ、Fが4であるかを判定し(ステップS54)、Fが4であればタイマ値Tが第4所定時間T4以上であるか判定する(ステップS56)。タイマ値Tが第4所定時間T4以上でなければ促進段階3の処理を継続し(ステップS24,S50,S52)、タイマ値Tが第4所定時間T4以上なら、F=5とし(ステップS58)、この旨(自動運転規制段階に入った)を運行管理部100に送信(状況送信5)する(ステップS60)。そして、自動運転装置1の作動を制限する(ステップS62、制御規制段階)。つまり、自動運転装置1による自動運転を緊急回避制御に関するものを除いて解除(作動規制)する。このときには、促進段階3の処理(ステップS24,S50,S52)も続行する。
【0063】
ステップS54において、Fが4でなければ、Fは5であり、車両が停止しているか判定する(ステップS64)。車両が停止していなければ自動運転装置1の作動を制限する処理(ステップS62)を続行し、車両が停止していれば、F=0とし(ステップS66)、この旨(車両が停止した)を運行管理部100に送信(状況送信6)する(ステップS68)。そして、前方監視促進のための各制御を全て終了する(ステップS70、解除段階)。これにより、各調光領域A1〜A3は透明ガラスに復帰され、ディスプレイ71の表示(メッセージ)は消去され、シート振動も終了される。そして、タイマを停止し、0にリセットする(ステップS72)。なお、状況送信6の送信情報は、車両停止情報であると共に、前方監視促進のための各制御を全て終了した制御終了情報である。
【0064】
このように、自動運転装置1の作動中にドライバが前方監視していなければ、調光装置70を作動させ、車両の運転席周りの窓ガラスのうち運転席前方の運転時監視領域A0を除いて部分的に設けられた調光領域A1,A2,A3を順に曇りガラス状態に変更するので、ドライバは、曇りのない運転時監視領域A0を見るようになり、感覚的に前方監視を促すことができる。これにより、自動運転で対応できない状況に対してもドライバ自身で適切に対応することが可能になる。
【0065】
特に、ドライバが前方監視していない状態の継続時間の増大に応じて、曇りガラス状態に変更する調光領域を段階的に増大させるので、前方監視の促進にすぐに応じないドライバに対して段階的に前方監視の促進を強化することができる。
また、このドライバが前方監視していない状態の継続時間に応じた窓ガラスの調光領域の増大と対応させて、初期段階では前方監視を促すための表示を行ない、その後の段階ではシート振動によりドライバに直接刺激を与えるようにするので、ドライバに対して前方監視の促進を多角的に且つ段階的に強化することができる。
【0066】
また、車両が停止したら、ドライバに前方監視を促すための制御を全て終了することにより、各窓ガラス113〜115は透明ガラスに復帰し、その後の運転を支障なく快適に行なうことができる。
また、車両制御装置3によれば、自動運転中にドライバが前方監視していない状態の継続時間が限度時間まで達したら、自動運転を緊急回避制御に関するものを除いて解除するので、他車両との衝突を回避しながら車両を停止させることができる。前方に車両がいないにもかかわらず単純に停止させると、後続車との追突のおそれがあるが、前方に車両がいる場合に追突を回避するための停止であれば、後続車も状況を把握でき、追突のおそれが低減する。
【0067】
また、ドライバの監視状態は、その都度(状況送信1〜6)、運行管理部100のドライバ管理ECU103に送信されるので、ドライバ管理ECU103ではこれらの受信データをデータベース104に蓄積する。ドライバ管理ECU103のドライバ分析部103aでは、状況送信1〜6の各頻度に応じて、即ち、各ドライバの前方不監視の程度や頻度に応じて、例えば前方監視を怠る頻度の高いドライバには指導を行なう等によって、前方監視の促進を図ることができる。
【0068】
この場合の注意もリアルタイムで行なうことができ、悪質なドライバの場合、最寄りの交通安全管理部門(例えば、警察等)に通報し、リアルタイムで安全運行を確保する手段もとることができる。
なお、各状況送信1〜6と共にこのときの車両の走行情報(車速等)や運行履歴に関する情報をあわせて送るようにして、前方監視を怠った原因究明に役立てることもできる。管理者と当該ドライバと他のドライバとでデータを共有して、上記原因究明に基づく運行スケジュールの調整や、ドライバの健康状態のチェック等を行なって、管理者とドライバとで運行の安全化を図るためにも有効である。例えば、前方不監視の誘発するような道路環境を運行ルートにしている場合には、管理者が前方不監視の誘発要因がより少ない運行ルートに案内することも考えられる。
【0069】
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では、自動運転装置の作動中にドライバが前方監視していない状態の継続時間に応じた調光領域の増大を3段階としているが1段階のみ又は2段階や4段階など適宜設定しうる。調光領域自体も適宜設定しうる。
【0070】
さらに、調光制御と他の制御を併用しているが、併用しなくてもよく、又、併用する制御や、併用の態様もこれに限らない。
特に、シート振動によりドライバに直接刺激を与えて前方監視を促しているが、ドライバに直接刺激を与える手段は、これに限らない。例えば、警報音やハンドル振動等を用いてもよい。
【0071】
あるいは、調光変更に替えて、表示手段や上記のドライバに直接刺激を与えるドライバ刺激手段等の他の手段によりドライバに前方監視を促してもよい。
また、上記の実施形態では、営業車に採用する例を挙げたが、営業車に限らず一般車でも、安全運行を管理する団体等の車外側に運行管理部を設けて、車外側装置としてのドライバ管理ECU等を設置することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 自動運転装置
2 前方監視促進装置
3 車両制御装置(車両側装置)
3A 統合ECU(車両制御手段)
11 オートクルーズ制御装置
12 レーンキープ制御装置(自動車線逸脱防止制御装置)
24 ドライバ監視カメラ(運転状態検出手段)
31 全車速追従機能(全車速追従制御手段)付きオートクルーズECU
32 レーンキープECU
33 ドライバ監視ECU(監視状態判定手段)
34 監視促進制御ECU(監視促進制御手段)
70 ガラス調光装置(調光手段)
71 ディスプレイ(表示装置)
72 シート振動装置(ドライバ刺激手段)
100 運行管理部
103 車外側装置としてのドライバ管理ECU
103a ドライバ分析部
104 データベース(データ記録手段)
A0 運転時監視領域
A1,A2,A3 調光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転操作の少なくとも一部を自動で行なう自動運転装置をそなえた車両に装備され、
前記車両のドライバの運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記運転状態検出手段により検出された前記ドライバの運転状態から、前記ドライバが前方を監視しているか否かを判断する前方監視判断手段と、
前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していなければ、前記ドライバに前方監視を促すとともに、前記ドライバが前方監視していない前方不監視情報を発信する監視促進制御手段とをそなえた車両側装置と、
前記監視促進制御手段から発信された前記情報を受信し、前記情報を前記ドライバの運転指導のデータとしてデータ記録手段に記録する車外側装置と、からなる
ことを特徴とする、運転管理システム。
【請求項2】
前記車両の運転席周りの窓ガラスのうち前記運転席前方の運転時監視領域を除いて部分的に設けられた調光領域を曇りガラス状態に変更する調光手段をさらにそなえ、
前記監視促進制御手段は、前記運転状態検出手段により検出された前記ドライバの運転状態から、前記ドライバが前方を監視しているか否かを判断し、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していなければ、前記調光手段を作動させ前記調光領域を曇りガラス状態に変更し前方監視を促すと共に、この状況が発生した段階で前記前方不監視情報を発信する
ことを特徴とする、請求項1記載の運転管理システム。
【請求項3】
前記調光領域は複数に分割され、前記監視促進制御手段は、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していない状態の継続時間の増大に応じて、曇りガラス状態に変更する前記調光領域を段階的に増大させると共に、この増大段階で前記前方不監視情報を発信する
ことを特徴とする、請求項2記載の運転管理システム。
【請求項4】
前記ドライバに前方監視を促すための表示を行なう表示手段と、前記ドライバに前記表示よりも強く前方監視を促すために前記ドライバに刺激を与えるドライバ刺激手段と、をさらにそなえ、
前記監視促進制御手段は、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していない状態の継続時間に応じた前記調光領域の増大と対応させて、初期段階では前記表示手段により前記表示を行ない、その後の段階では前記ドライバ刺激手段により前記ドライバに刺激を与える
ことを特徴とする、請求項3記載の運転管理システム。
【請求項5】
前記車両の停止を判定する停止判定手段をさらにそなえ、
前記監視促進制御手段は、前記停止判定手段により前記車両の停止が判定されると、前記ドライバに前方監視を促すための制御を全て終了すると共に、この車両の停止及び前方監視を促すための制御の終了情報を発信する
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の運転管理システム。
【請求項6】
前記車両は、前記運転状態検出手段により検出された前記ドライバの運転状態から、前記自動運転装置の作動中に前記ドライバが前方監視していない状態の継続時間が限度時間まで達したら、前記自動運転装置による自動運転を緊急回避制御に関するものを除いて解除する車両制御手段とをそなえ、
前記車両制御手段は、この状況が発生した段階で前記前方不監視情報を発信する
ことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の運転管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−97677(P2013−97677A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241479(P2011−241479)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】