過渡NOx排気ガスを処理するための触媒
【課題】NOxに対して活性度が高く、相対的に速い過渡応答を有し、炭化水素に対する耐性を有する触媒の提供。
【解決手段】中細孔、大細孔またはメソ細孔結晶構造を有し、選択的に第1金属を含む第1モレキュラーシーブと、小細孔結晶構造を有し、選択的に第2金属を含む第2モレキュラーシーブとの少なくとも1つの組合せと、その上またはその内部に前記触媒成分が包含されてなるモノリス基材とを含み、第1および第2モレキュラーシーブの組合せは、ブレンド、複数の層および/または複数の区域である不均一触媒。
【解決手段】中細孔、大細孔またはメソ細孔結晶構造を有し、選択的に第1金属を含む第1モレキュラーシーブと、小細孔結晶構造を有し、選択的に第2金属を含む第2モレキュラーシーブとの少なくとも1つの組合せと、その上またはその内部に前記触媒成分が包含されてなるモノリス基材とを含み、第1および第2モレキュラーシーブの組合せは、ブレンド、複数の層および/または複数の区域である不均一触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有還元剤の存在下で移動型発生源(例えば、車両用希薄燃焼内燃機関)から排出される排気ガスに存在する窒素酸化物(NOx)を変換するための、選択的に金属促進されたモレキュラーシーブ源を含む選択的触媒還元(selective catalytic reduction)のための触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで、「選択的触媒還元」(SCR)とは、窒素含有還元剤を用いて窒素酸化物をN2に還元させる触媒工程を意味する。SCRは、火力発電所のような固定型産業発生源から排出されるNOx排気ガスを処理することが知られている。最近は、SCR技術が、乗用車、トラックおよびバスのような移動型発生源から排出されるNOx排気ガスを処理するためのものとして開発されている。移動型発生源からのNOxの処理が難しいのは、排気ガス内に存在するNOxの量が過渡的、すなわち、多様な速度での加速、減速および運行のような運転条件に応じて変化するからである。移動型分野の排気ガスにおけるNOxの過渡的性質は、窒素含有還元剤を大気に排出することなく、十分なNOxを低減させるための窒素含有還元剤の正確な計測を含む、多くの技術的課題を提供する。
【0003】
実際に、SCR触媒は、窒素含有還元剤を吸着(または貯蔵)することができ、使用可能な還元剤の適切な供給のためのバッファを提供する。技術専門家は、このような現象を利用して排気ガスに注入される適切な窒素酸化物の量を調整する。
【0004】
要するに、移動型発生源用SCR触媒は、概して次の3つの機能を果たす。(i)窒素含有還元剤として、例えば、アンモニア(NH3)を用いたNOxの変換;(ii)供給されたガスに過度のNH3がある時のNH3の貯蔵;および(iii)必要な変換を達成するために供給されたガスに存在する不十分なNH3条件で貯蔵されたNH3の使用がそれである。
【0005】
実用的な適用のために、供給ガス条件が急速に変化する自動車のような移動型NOx発生源からのNOx排気ガスを処理するにあたり、望ましいSCR触媒は、所与の温度での十分なNH3貯蔵能力(過度のNH3が触媒をスリップしないようにし、NH3が供給ガスに存在しない時には変換が続くようにする)と、NH3充填水準の部分に独立した高活性度(充填水準は、飽和されたNH3貯蔵能力に対して相対的に定義される)を有する。NH3充填水準は、所与の条件で最大水準に対する完全触媒(例えば、リットルで)に存在するNH3の量(例えば、グラム)で表現できる。NH3の吸着は、ラングミュア吸着のような本技術分野において公知の方法によって決定可能である。すべてのSCR触媒の充填水準は、SCR触媒の最大NOx変換活性度に正比例しない。すなわち、NOx変換活性度が増加し、100%のアンモニア充填水準で最大になるのではない。事実上、特定のSCR触媒は、90%未満、80%未満、50%未満または30%未満のように、100%未満の充填水準の最大NOx変換率を示すことができる。
【0006】
SCR触媒の活性度は、全体の触媒モノリスが露出するNH3の量によって異なり得る。モレキュラーシーブ系SCR触媒はアンモニアを貯蔵することができ、貯蔵能力はガス流れや触媒の温度、供給ガスの組成、空間速度、特に、NO:NO2比などに依存する。触媒がNH3に露出し始める時の触媒活性度は、触媒がNH3に相対的に高い露出度または飽和された露出度を有する時の活性度より概してより低いことがある。実際の車両分野において、これは、触媒が優れた活性度を保障するために適切なNH3が事前に提供される必要があることを意味する。しかし、このような要件は、いくつかの重要な問題がある。実際に、いくつかの作動条件において、要求されるNH3の提供を達成することは可能でなく、事前提供後にどのようなエンジン作動条件が続くのか分からないため、このような事前提供法は制限的である。例えば、仮に、触媒がNH3と事前に提供されるが、それに続くエンジン荷重がアイドル状態であれば、NH3は大気に抜けるようになる。この理由から、実際の適用時、事前貯蔵されたNH3の量は、低荷重条件の代わりにNH3の事前提供を必要とする高荷重条件でエンジンに作動すれば、NH3の限られた排出を保障する最適な場合よりも少なくなければならない。
【0007】
自動車のような移動型分野に使用するためのSCR触媒は、低温で作動し、炭化水素に耐性を有する必要がある。低温作動は、一般的に銅系SCR触媒の使用を好む供給ガス内に非常に少ないNO2があることを意味する。しかし、鉄系SCR触媒は、約50:50のNO:NO2ガスの供給を処理する時に非常に優れており、高温条件でも優れている。排気システムは、触媒化された煤煙フィルタ(CSF)を含み、CSFが高温条件で強制操作され、周期的に再生される(すなわち、収集された粒子物質が燃焼される)ように形成される。
【0008】
WO2008/132452は、窒素酸化物を少なくとも1種の遷移金属を含むモレキュラーシーブ触媒の存在下で窒素酸化剤と接触させることにより、車両希薄燃焼内燃機関の排気ガスのようなガスの窒素酸化物を窒素に変換する方法を開示しているが、前記モレキュラーシーブは、8四面体原子の最大環サイズを有する小細孔(small pore)のゼオライトであり、前記少なくとも1種の金属は、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Re、IrおよびPtからなる群より選択されるものである。適切な小細孔のモレキュラーシーブは、(国際ゼオライト協会の構造委員会により認められるスリーレターコードを用いて)SSZ−13とSAPO−34を含むCHA、Nu−3のようなLEV、Sigma−1のようなDDR、およびZSM−34を含むERIを含む。大体、WO2008/132452の方法で使用するためのSCR触媒は、相対的に高い充填水準で最大NOx変換率を示すことが確認された。
【0009】
WO2008/132452は、車両のような移動型発生源によって排出された排気ガス内のNOxを変換するために、ZSM−5とベータゼオライトの使用によるいくつかの欠点を説明しているが、それによれば、特に、Cu/ベータおよびCu/ZSM−5触媒の場合に、これらが高温の熱水エージングの間に脱アルミニウムに敏感で酸性の損失をもたらし、ベータおよびZSM−5系触媒とも相対的に低い温度で触媒に吸着(「コーキング(coking)」として知られる)する炭化水素の影響を受け、炭化水素は、次いで、触媒システムの温度が上昇するにつれて触媒を熱損傷させ得る程度の熱を発生させて酸化し得る。このような問題は、炭化水素の相当の量が冷間始動中に触媒に吸着し得る車両のディーゼル分野で深刻化する。コーキングは触媒活性度を低くすることがあるが、これは活性触媒を詰らせ得るからである。
【0010】
WO2008/132452によれば、遷移金属を含む小細孔モレキュラーシーブ系SCR触媒は、同等の遷移金属を含む中細孔(medium)、大細孔(large−pore)またはメソ細孔(meso−pore)モレキュラーシーブ触媒、遷移金属を含む小細孔モレキュラーシーブ触媒より、特に低温で非常に改善されたNOx還元活性度を示す。また、これらは、N2(例えば、低N2Oの形成)に対する高い選択性および優れた熱水的安定性を示す。また、少なくとも1種の遷移金属を含む小細孔モレキュラーシーブは、大細孔モレキュラーシーブより炭化水素の抑制に対するより高い抵抗性を有する。
【0011】
NOxを窒素含有還元剤(尿素、NH3前駆体)で還元するために、WO2008/132452に開示された特定のSCR触媒をテストする過程において、触媒の過渡応答が過渡的車両排気ガス内のNOxを処理するために次善(sub−optimal)となることが分かった。すなわち、過渡的に変化する排気ガス組成物でNOxを処理するSCR触媒の能力は、望ましい場合よりも低くなるということである。
【0012】
SAE2008−01−1185は、分離された鉄ゼオライトおよび銅ゼオライト触媒を含む選択的触媒還元のための触媒を開示しているが、触媒は、銅ゼオライト領域の上流に位置する鉄ゼオライト領域を有するフロースルー基材モノリス上にコーティングされた一側の領域に位置する。使用されたゼオライトに関する詳細な説明はなかった。混合された鉄ゼオライト/銅ゼオライトに対する過渡応答(図17に示す)の結果は、銅ゼオライトのみを使用する場合に比べて好適でなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明者らは、驚くべきことに、ゼオライト、触媒のような遷移金属/モレキュラーシーブの組合せが、NOxに対して活性度がより高いが、相対的に速い過渡応答を有することを見出した。また、発明者らは、鉄モレキュラーシーブ触媒の組合せが、優れた活性度のみならず、炭化水素に対する耐性も提供できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様によれば、本発明は、(a)中細孔、大細孔またはメソ細孔結晶構造を有し、選択的に第1金属の約0.01〜約20重量%を含む第1モレキュラーシーブと、小細孔結晶構造を有し、選択的に第2金属の約0.01〜約20重量%を含む第2モレキュラーシーブとの組合せを備える触媒成分と、(b)前記触媒成分がその上またはその内部に包含(包摂)されてなるモノリス基材とを含み、第1および第2金属は、置換されるか、前記モレキュラーシーブの結晶構造の構造に対して自由(非置換)であり、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、In、Sn、ReおよびIrからなる群より独立して選択され、第1および第2モレキュラーシーブの組合せは、ブレンド(blend:混合物)、複数の層および複数の区域からなる群より選択される不均一触媒(heterogeneous catalyst)物品を提供する。
(1) 不均一触媒であって、
第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの少なくとも一つの組合せを備えてなる触媒成分と、前記触媒成分がその上またはその内部に包摂されてなるモノリス基材とを備えてなり、
第1モレキュラーシーブが、中細孔、大細孔またはメソ細孔結晶構造を有し、選択的に約0.01〜約20重量%の第1金属を含んでなり、及び、
第2モレキュラーシーブが、小細孔結晶構造を有し、選択的に約0.01〜約20重量%の第2金属を含んでなり、
第1金属及び第2金属が、前記モレキュラーシーブの結晶構造の構造に対して置換されるか、又は自由であり、かつ、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、In、Sn、ReおよびIrからなる群より独立して選択されてなるものであり、
第1モレキュラーシーブ及び第2モレキュラーシーブの組合せが、ブレンド、複数の層および複数の区域からなる群より選択されてなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとを混合した重量に対して多数の第2モレキュラーシーブを含んでなるものである、不均一触媒。
(2) 前記組合せが、複数の区域で構成されてなり、
前記複数の区域が、第1触媒を有する第1区域と、第2触媒を有する第2区域とを備えてなり、
第1区域が、前記ガス流れ方向に対して、前記触媒成分を通過し又は介して第2区域の上流に位置し、
第1区域の多数が、前記基材に対して第2区域と重ならないものであり、及び、
第2区域の多数が、前記基材に対して第1区域と重ならないものである、(1)に記載の不均一触媒。
(3) 前記組合せが、複数の層で構成されてなり、
前記複数の層が、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とを備えてなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接し、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置する、(1)に記載の不均一触媒。
(4) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの混合物で構成されてなる、(1)に記載の不均一触媒。
(5) 前記触媒成分が、前記モノリス基材上にコーティングされたものである、(1)に記載の不均一触媒。
(6) 第2モレキュラーシーブが、CHA結晶構造であり、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなるものであり、
第1モレキュラーシーブが、BEA分子構造であり、約0.5〜約5重量%の鉄を含んでなるものである、(5)に記載の不均一触媒。
(7) 第2モレキュラーシーブが、CHA結晶構造であり、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなり、第1モレキュラーシーブが、プリエージングされたBEA分子構造であり、約0.5〜約5重量%の鉄を含んでなる、(5)に記載の不均一触媒。
(8) 前記組合せが、約0.1〜約1.0の重量比において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとにより構成されてなる、(7)に記載の不均一触媒。
(9) 第2モレキュラーシーブが、約8〜約150のシリカ対アルミナ比を有するものである、(7)に記載の不均一触媒。
(10) 第2モレキュラーシーブが、SSZ−13結晶構造である、(9)に記載の不均一触媒。
(11) 第2モレキュラーシーブが、約2.0〜約4.0重量%の銅を含んでなる、(10)に記載の不均一触媒。
(12) 第2モレキュラーシーブが、CHA結晶構造であり、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなり、
第1モレキュラーシーブは、鉄同形のBEA分子構造を有する、(5)に記載の不均一触媒。
(13) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブの重量比が約0.1〜約1である、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとにより構成されてなる、(12)に記載の不均一触媒。
(14) 前記CHA結晶構造が、約8〜約150のシリカ対アルミニウム比を有してなり、及び、
前記鉄同形のBEA分子構造が、約50〜約200のシリカ対酸化鉄比を有する、(13)に記載の不均一触媒。
(15) 第2モレキュラーシーブが、約2.0〜約4.0重量%の銅を含んでなる、(14)に記載の不均一触媒。
(16) 前記組合せが、約0.2〜約0.60の重量比において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとにより構成されてなる、(15)に記載の不均一触媒。
(17) 前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とにより構成されてなり、
第1区域が、前記ガス流れ方向に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置し、
第1区域の多数が、前記基材に対して第2区域と重ならないものであり、及び、
第2区域の多数が、前記基材に対して第1区域と重ならないものである、(11)または(16)に記載の不均一触媒。
(18) 前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とにより構成されてなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接し、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置する、(11)または(16)に記載の不均一触媒。
(19) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの混合物により構成されてなる、(11)または(16)に記載の不均一触媒。
(20) 前記触媒成分が、第1組合せと第2組合せとにより構成されてなり、
第1組合せが、鉄同形のBEA分子構造で構成された第1区域と、第2組合せで構成された第2区域とからなり、
第1区域と第2区域とが、互いに隣接し、及び
第1区域と第2区域とが、前記モロリス基材に隣接し、
第1区域が、前記ガス流れ方向に対して、前記触媒成分を通過し又は介して第2区域の上流に位置し、
第2組合せが、第1モレキュラーシーブ及び第2モレキュラーシーブと同一又は相違する混合物である、(1)に記載の不均一触媒。
(21) 排気ガスの処理方法であって、
(1に記載の不均一触媒の存在下で、約150℃〜750℃の温度で、供給排気ガス流に窒素含有還元剤を接触させ、処理された排気ガス流を形成することを含んでなり、
前記供給排気ガス流が、NOxの第1濃度を有してなり、
前記処理された排気ガス流が、NOxの第2濃度を有してなり、
前記NOxの第2濃度が、前記NOxの第1濃度未満の濃度である、排気ガスの処理方法。
(22) 前記触媒成分が、前記モノリス基材上にコーティングされ、
第1モレキュラーシーブが、約8〜約150のシリカ対アルミナ比を有するCHA結晶構造を有してなり、かつ、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなるものであり、
第2モレキュラーシーブが、プリエージングされたBEA分子構造を有してなり、かつ、約0.5〜約5重量%の鉄を含んでなるものであり、
前記組合せが、約0.25〜約0.50の重量比において、第1モレキュラーシーブと、第2モレキュラーシーブとを含んでなり、
前記温度が、約175℃〜約400℃であり、
前記供給排気ガス流が、前記触媒と、約10,000/時〜約200,000/時のガス空間速度で接触してなる、(21)に記載の方法。
(23) 前記供給排気ガス流れが、約0.8〜約1.2のNO:NO2比を有する、(22)に記載の方法。
(24) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物よりに構成されてなる、(23)に記載の方法。
(25) 前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とからなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接し、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置する、(23)に記載の方法。
(26) 前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とからなり、
第1区域および第2区域が、互いに隣接してなり、及び
第1区域および第2区域が、前記モノリス基材に隣接してなり、
第1区域が、前記排気ガス流に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置する、(23)に記載の方法。
(27) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約1g/Lの供給排気ガスより高い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなるものである、(22)に記載の方法。
(28) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約0.5g/Lの供給排気ガスより低い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とからなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接し、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置してなる、(22)に記載の方法。
(29) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約0.5g/Lの供給排気ガスより低い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とからなり、
第1区域および第2区域が、互いに隣接し、及び、
第1区域および第2区域が、前記モノリス基材に隣接し、
第1区域が、前記排気ガス流に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置する、(22)に記載の方法。
(30) 前記供給排気ガス流が、約3超過のNO:NO2比を有してなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなる、(22)に記載の方法。
(31) 前記触媒成分が、前記モノリス基材上にコーティングされてなり、
第1モレキュラーシーブが、約8〜約150のシリカ対アルミナ比を有するCHA結晶構造を有してなり、かつ、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなるものであり、
前記鉄同形のBEAモレキュラーシーブ構造が、約50〜200のシリカ対酸化鉄比を有してなり、
前記組合せが、約0.25〜約0.50の重量比において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとを備えてなり、
前記温度が、約175℃〜約400℃であり、及び
前記供給排気ガス流が、約10,000/時〜約200,000/時のガス空間速度で前記触媒と接触してなる、(21)に記載の方法。
(32) 前記供給排気ガス流が、約0.8〜約1.2のNO:NO2比を有してなる、(31)に記載の方法。
(33) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなる、(32)に記載の方法。
(34) 前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とからなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接してなり、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置してなる、(32)に記載の方法。
(35) 前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とからなり、
第1区域および第2区域が、互いに隣接し、及び
第1区域および第2区域が、前記モノリス基材に隣接し、
第1区域が、前記排気ガス流に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置する、(32)に記載の方法。
(36) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約1g/Lの供給排気ガスより高い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなる、(31)に記載の方法。
(37) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約0.5g/Lの前記供給排気ガスより低い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とからなり、
第2層が、第1触媒と前記モノリス基材の両方に隣接し、及び、
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置してなる、(31)に記載の方法。
(38) 前記供給排気ガス流が、約0.3より小さいNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約0.5g/Lの供給排気ガスより低い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とからなり、
第1区域と第2区域が、互いに隣接し、及び
第1区域と第2区域が、前記モノリス基材に隣接し、
第1区域が、前記排気ガス流に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置する、(31)に記載の方法。
(39) 前記供給排気ガス流が、約3超過のNO:NO2比を有してなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなる、(31)に記載の方法。
(40) 前記窒素含有還元剤が、アンモニアである、(21)に記載の方法。
【0015】
本発明において、有用な触媒の組合せの形態は、2つ以上の触媒のブレンドと、各層が単一触媒を構成する複数の層と、各領域が1つの触媒を構成する複数の区域とを含む。前記組合せは、組合せに独立して作用するその構成要素のうちの1つによっては得られない性質によって特徴付けられる。図4aないし図4bを参照すれば、本発明にかかる他の組合せの特定の実施形態が示されている。図4aは、基材102上にコーティングされた2つのモレキュラーシーブブレンド104を含むブレンド100を示す。ここで、「ブレンド」という用語は、モレキュラーシーブに関連し、体積全体にわたって互いに対して略同じ比率を有する2つ以上のモレキュラーシーブの体積を意味する。第1モレキュラーシーブ116からなる第1区域と、第2モレキュラーシーブ118からなる第2区域とを含む複数の区域110の一実施形態が示されており、第1区域と第2区域は、基材102上にコーティングされており、互いに隣接し、前記モノリス基材に隣接する。排気ガスの流れ方向114も示されている。図4cには、第1層116と第2層118とを備える複数の層120の一実施形態が示されており、第2層が第1層および前記基材の両方に隣接し、第1層と前記基材との間に位置する。図4dは、2つの組合せ130を示すが、第1組合せが2つの区域(モレキュラーシーブ116とブレンド104)であり、第2組合せがブレンド104である。2つ以上の組合せを用いる実施形態について、各組合せのためのモレキュラーシーブは独立して選択される。図示しないが、他の多重組合せが本発明の範囲内で存在することができる。例えば、図4dの実施形態と類似の構造として、ブレンドの代わりに第2組合せが複数の層になってもよい。他の多重組合せは、1つ以上層のブレンドの使用および1つ以上の区域の層の使用などを含む。多重組合せが用いられる時、触媒成分を通る排気ガス流れに対する組合せの順序は特に限定されない。しかし、中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブのうちの少なくとも1つが小細孔モレキュラーシーブの上流側に位置することが非常に好ましい。
【0016】
前記組合せは、第2モレキュラーシーブ要素に対して第1モレキュラーシーブ要素が多数を占めることが好ましい。特定の実施形態において、組合せは、第1モレキュラーシーブと、第1モレキュラーシーブ内の第2モレキュラーシーブとを含むが、第2モレキュラーシーブの重量比は、約0.1(すなわち、1:10)〜約1(すなわち、1:1))である。特定の実施形態において、第2モレキュラーシーブに対する第1モレキュラーシーブの重量比は、約0.25〜約0.50である。特定の実施形態において、第1モレキュラーシーブの第2モレキュラーシーブに対する重量比は、約0.3〜約0.4である。
【0017】
他の態様によれば、組成、流量および温度がそれぞれ臨時的に変化可能な供給ガス内において、窒素含有還元剤を用いて窒素酸化物の変換に対する選択的な触媒作用のための触媒が提供されるが、前記触媒は、第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との組合せを含み、FTP(Federal Test Procedure)75サイクル上でテストされた直接比較において、前記触媒は、単独モレキュラーシーブ要素と同等またはより低いNH3スリップ(slip)でより高いNOxの累積変換率を有する。
【0018】
特に、発明者らは、少なくとも1つの実施形態で第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との間のシナジー関係を観察し、これは、小細孔モレキュラーシーブをSCR触媒内の要素として使用するという利点を維持しながら、モレキュラーシーブ(例えば、小細孔モレキュラーシーブ)を含むSCR触媒のNOx変換に対する過渡応答を改善するのに使用可能である。「窒素含有還元剤による供給ガス内の窒素酸化物の選択的還元触媒作用のための触媒」は、ここで、「選択的触媒還元」(または「SCR」)触媒として言及される。疑う余地をなくすために、3つ以上のモレキュラーシーブの組合せを含むSCR触媒も本発明の範囲に属することを明らかにする。
【0019】
好ましい実施形態において、触媒に入る供給ガスでNO:NO2の累積モル比が1以下の場合に、触媒は、いずれか1つのモレキュラーシーブ要素単独で使用される時と同等またはより低いNH3スリップでより高いNOxの累積変換率を有する。他の好ましい特定の実施形態において、供給排気ガス流におけるNO:NO2比は、約0.8〜約1.2である。他の好ましい特定の実施形態において、供給排気ガス流におけるNO:NO2比は、約0.3未満であり、他の好ましい実施形態では、その比が約3より大きい。
【0020】
さらに他の好ましい実施形態において、触媒は、いずれか1つのモレキュラーシーブ要素単独が使用される時と同等またはより低いNH3スリップでNOxの二窒素(dinitrogen)へのより高い累積変換率を有する。
【0021】
本発明は、触媒活性度を非常に改善し、現在の最新のSCR触媒に比べてより低いNH3露出(触媒の飽和貯蔵容量に対して低い露出)でより高い活性度を得るようになる。ゼロアンモニア露出から飽和アンモニア露出までの活性度の増加率が「過渡応答」と言及される。
【0022】
一実施形態において、第1モレキュラーシーブ要素は、第2モレキュラーシーブ要素より選択された条件に対してより低いNH3充填水準で最大のNOx変換を達成する。例えば、第1モレキュラーシーブ要素のアンモニア充填水準は、20〜60%または30〜50%のように10〜80%の範囲内であり得る。
【0023】
第1および第2モレキュラーシーブは、ゼオライトおよび非ゼオライトモレキュラーシーブから独立して選択できる。国際ゼオライト協会による「ゼオライト」は、一般的にケイ酸アルミニウムであることが考慮され、「非ゼオライトモレキュラーシーブ」は、対応するゼオライトと同一のフレームワーク形態(または結晶体構造)のモレキュラーシーブであり得、リン、コバルトとリンの両方、銅または鉄のようなその結晶格子に存在する1つ以上の非アルミニウム/非シリコンカチオンを有する。したがって、例えば、SSZ−13がフレームワーク形態コードCHAのゼオライトであり、SAPO−34が同一のCHAフレームワーク形態コードを共有するシリコアルミノホスフェート非ゼオライトモレキュラーシーブである。特に、イオン含有アルミノケイ酸塩ゼオライト(ここで定義されたように非ゼオライトモレキュラーシーブ)が好ましいが、その例としては、WO2009/023202とEP2072128A1に記載されたFe含有ZSM5、ベータ、CHAまたはFERがあり、これらは、熱水的に安定的で相対的に高いSCR活性度を有する。また、利点として、発明者らは、特定の実施形態において、このような鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを含む触媒が硝酸アンモニウムをほとんど生成しないか全く生成せず、相対的に高い選択性(例えば、低N2O)を示すことを見出した。このような物質に対する典型的なSiO2/Al2O3のモル比は30〜100であり、SiO2/Fe2O3の場合、20〜100のような20〜300である。
【0024】
好ましい実施形態において、第1(ゼオライトまたは非ゼオライト)モレキュラーシーブ要素は、最大環サイズが8四面体原子である、表1に記載されたいずれか1つから選択される小細孔モレキュラーシーブであり得る。選択的に、第2(ゼオライトまたは非ゼオライト)モレキュラーシーブ要素も、最大環サイズが8四面体原子の第1モレキュラーシーブ要素とは独立して、表1に記載されたいずれか1つから選択される小細孔モレキュラーシーブであり得る。
【0025】
【表1】
【0026】
一実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONからなるフレームワーク形態コードの群より選択できる。
【0027】
車両排気ガスのような希薄燃焼内燃機関の排気ガスのNOx処理のための特定の分野における小細孔モレキュラーシーブが表2に記載される。
【0028】
【表2】
【0029】
特定の実施形態において、第2モレキュラーシーブ(ゼオライトまたは非ゼオライトモレキュラーシーブ)要素は、中細孔、大細孔またはメソ細孔サイズのモレキュラーシーブであり得る。
【0030】
特に好ましい実施形態において、第1モレキュラーシーブは、CuCHA物質であり、第2モレキュラーシーブは、FeBEA、FeFER、FeCHAまたはFeMFI(例えば、ZSM−5)であり、Feは、含浸、イオン交換および/またはモレキュラーシーブの結晶格子内に存在して形成される。
【0031】
ここで、「中細孔」は、モレキュラーシーブが10四面体原子の最大環サイズを有し、「大細孔」は、12四面体原子の最大環サイズを有することを意味する。メソ細孔モレキュラーシーブは、12より大きい最大環サイズを有する。
【0032】
本発明で第2モレキュラーシーブとして使用するに適した中細孔モレキュラーシーブは、ZSM−5(MFI)、MCM−22(MWW)、AIPO−11およびSAPO−11(AEL)、AIPO−41およびSAPO−41(AFO)、フェリエライト(FER)、ヒューランダイトまたはクリノプチロライト(HEU)を含む。本発明で使用される大細孔モレキュラーシーブは、ultrastable−Y(またはUSY)のようなゼオライトY、ファージャサイトまたはSAPO−37(FAU)、AIPO−5およびSAPO−5(AFI)、SAPO−40(AFR)、AIPO−31およびSAPO−31(ATO)、Beta(BEA)、グメリナイト(Gmelinite)(GME)、モルデナイト(MOR)およびオフレタイト(OFF)を含む。
【0033】
WO2008/132452によれば、ZSM−5ゼオライトまたはベータゼオライトのようなある中細孔および大細孔モレキュラーシーブは、触媒コーキングをもたらすことがある。ある中細孔および大細孔モレキュラーシーブ要素の選択は、ある面で適切でないこともある。基本的に、一方で改善された過渡応答と他方で発生したコーキングとの間で均衡が破れる。しかし、このようなコーキング問題は、適切な排気システム設計で低減または解消することができるが、このような設計の例としては、供給ガス内の炭化水素を変換(そうでなければ、中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブ要素をコーキングさせ得る)可能なSCR触媒を酸化触媒の上流に位置させることである。また、小細孔モレキュラーシーブが中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブと混合されたある実施形態において、小細孔モレキュラーシーブの存在が中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブでのコーキングを低減させることができる。このような構造の他の利点は、触媒と接触する供給ガスにおけるNO:NO2の比が調整され、SCR触媒における全体のNOx変換を改善させることができることである。
【0034】
本発明で使用するためのモレキュラーシーブは、1次元、2次元および3次元モレキュラーシーブから独立して選択できる。3次元の次元数を示すモレキュラーシーブは、すべての3結晶学的次元で互いに連結された空隙構造を有し、2次元の次元数を有するモレキュラーシーブは、2結晶学的次元でのみ互いに連結された空隙を有する。1次元の次元数を有するモレキュラーシーブは、2結晶学的次元で互いに連結されたいずれの空隙も有さない。
【0035】
本発明で使用するための小細孔モレキュラーシーブ、特に、アルミノケイ酸塩は、2〜300、選択的には8〜150(例えば、15〜50または25〜40)のような4〜200のシリカ−アルミナ比(SAR)を有することができる。より高いSARは、熱安定性(特に、熱水エージング後、低温での高い触媒活性度)を改善するのに好適であるが、これは、遷移金属の交換に否定的な影響を及ぼすことがある。したがって、好ましい物質の選択において、SARの選択によっては2つの性質の間で均衡が破れることもある。鉄が存在するフレームワーク(iron−in−framework)モレキュラーシーブ用SARは、本明細書の他の部分で説明される。
【0036】
好ましい実施形態において、第1モレキュラーシーブ、第2モレキュラーシーブまたはこれら両方とも、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Re、IrおよびPtからなる群より独立して選択された1種以上の金属を含む。第1モレキュラーシーブに含有された金属は、第2モレキュラーシーブに含有されたものと同じであっても異なっていてもよい。したがって、例えば、第1モレキュラーシーブは、銅を含むことができ、第2モレキュラーシーブは、鉄を含むことができる。一実施形態において、2つのモレキュラーシーブは、ともにイオン交換可能である。
【0037】
前述した表1のように、ここで、「1種以上の遷移金属を含むモレキュラーシーブ」によってモレキュラーシーブがカバーされ、アルミニウムとシリコン以外の要素がモレキュラーシーブのフレームワーク内に置換される。このようなモレキュラーシーブは、「非ゼオライトモレキュラーシーブ」として知られており、1種以上の金属で置換される「SAPO」、「MeAPO」、「FeAPO」、「AIPO4」、「TAPO」、「ELAPO」、「MeAPSO」および「MeAIPO」を含む。適切な置換金属は、限定されず、As、B、Be、Co、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Ti、ZnおよびZrのうちの1種以上を含む。このような非ゼオライトモレキュラーシーブは、前述した適切な金属、すなわち、Cr、Mn、Fe、Coなどによって順次に含浸され得る。第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブのうちの少なくとも1つは、置換フレームワーク金属を含むことができる。第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブが置換フレームワーク金属を含む場合、各置換金属は、前記リストから独立して選択される。
【0038】
特定の実施形態において、本発明で使用するための小細孔ゼオライトと非ゼオライトモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩ゼオライト、好ましい鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトとリン酸アルミニウムモレキュラーシーブのような金属置換アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブからなる群より選択できる。
【0039】
本発明に適用されるリン酸アルミニウムモレキュラーシーブは、リン酸アルミニウム(AIPO4)モレキュラーシーブと、金属置換リン酸アルミニウムモレキュラーシーブ(MeAIPO)と、シリカ−リン酸アルミニウム(SAPO)モレキュラーシーブと、金属置換シリコ−リン酸アルミニウム(MeAPSO)モレキュラーシーブとを含む。
【0040】
第1または第2モレキュラーシーブ要素として使用するのに特に興味深いモレキュラーシーブ要素の群は、鉄置換アルミノケイ酸塩であり、鉄はモレキュラーシーブのフレームワークに存在する。本発明の使用のための、すなわち、移動型NOx発生源からの排気ガスを処理するためのSCR触媒の好ましい適用において、鉄置換アルミノケイ酸塩は、強力な「温室」ガスであるN2Oを相対的に低く発生させるか全く発生させないことから、特に興味深い。
【0041】
一実施形態において、少なくとも1種の遷移金属が、Cr、Ce、Mn、Fe、Co、NiおよびCuからなる群より選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1種の遷移金属は、Cu、FeおよびCeからなる群より選択される。特定の実施形態において、少なくとも1種の遷移金属は、Cuからなる。他の特定の実施形態において、少なくとも1種の遷移金属は、Feからなる。さらに他の特定の実施形態において、少なくとも1種の遷移金属は、Cuおよび/またはFeである。
【0042】
前記少なくとも1種の遷移金属含有モレキュラーシーブに含有可能な前記少なくとも1種の遷移金属の総和は、少なくとも1種の遷移金属を含む前記モレキュラーシーブ触媒の総重量に対して0.01〜20.00重量%であり得る。一実施形態において、含有可能な前記少なくとも1種の遷移金属の総和は、0.1〜10.0重量%であり得る。特定の実施形態において、含有可能な前記少なくとも1種の遷移金属の総和は、0.5〜5.0重量%であり得る。好ましい実施形態において、仮に、鉄が存在するフレームワークモレキュラーシーブのためにSiO2/Fe2O3比を満足すれば(存在するSiO2/Fe2O3が50〜200、好ましくは50〜100)、前記遷移金属の荷重は、2.0〜4.0重量%であり、前記SARは、25〜50または>40または>60、例えば、40<60、40<70または60<100である。
【0043】
遷移金属は、液相交換または固体イオン交換または初期湿式工程(incipient wetness process)のような当該分野において公知の技術を利用して、モレキュラーシーブ内に混合(結合)できる。鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトの製造のために、Journal of Catalysis(232(2)318−334(2005))、EP2072128およびWO2009/023202と、参照文献や引用文献を参照することができる。
【0044】
特に好ましい実施形態において、触媒成分は、大細孔モレキュラーシーブの第1モレキュラーシーブと小細孔モレキュラーシーブの第2モレキュラーシーブとの組合せからなるか、これらを含む。ある好ましい実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、CHAフレームワーク、より好ましくはSSZ−13フレームワークを備え、銅を含む。ある好ましい実施形態において、このような小細孔モレキュラーシーブは、BEAフレームワークを備える大細孔モレキュラーシーブと混合される。好ましくは、BEAフレームワークは、交換または遊離する鉄を含むか、鉄同形(isomorphous:イソモルファス)のBEA分子構造(BEA型フェロシリケート(ferrosilicate)として言及される)を含むが、鉄同形のBEA分子構造であることが特に好ましい。
【0045】
ある好ましい実施形態において、鉄同形のBEA分子構造は、(1)約20〜約300のSiO2/Fe2O3のモル比を有する鉄含有BEAフレームワーク構造を含む結晶質ケイ酸塩であり、(2)含有された鉄の少なくとも80%が新鮮な状態で鉄イオンFe3+に分離および/またはモルでlog(SiO2/Al2O3)が少なくとも2になる。本発明で有用な好ましいBEA型フェロシリケートは、次の式で表される組成物を含み、
(x+y)M(2/n)O・xFe2O3・yAl2O3・zSiO2・wH2O
ここで、nはカチオンMの原子値で、x、yおよびzはFe2O3、Al2O3およびSiO2それぞれのモル分率で、x+y+z=1で、wは少なくとも0の数字で、z/xは20〜300、yは0であり得、選択的に、z/yは少なくとも100である。
【0046】
好ましくは、鉄含有BEAフレーム構造は、モル比約25〜約300、約20〜150、約24〜約150、約25〜約100、約50〜約80のSiO2/Fe2O3を備える。仮に、モルとしてlog(SiO2/Al2O3)が少なくとも2(すなわち、モルとしてSiO2/Al2O3比が少なくとも100)であれば、モルとしてlog(SiO2/Al2O3)の上限は、特に限定されない。モルとしてlog(SiO2/Al2O3)は、好ましくは少なくとも2.5(すなわち、モルとしてSiO2/Al2O3比が少なくとも310)、より好ましくは少なくとも3(すなわち、モルとしてSiO2/Al2O3比が少なくとも1,000)である。モルとしてlog(SiO2/Al2O3)が4を超過(すなわち、モルとしてSiO2/Al2O3比が少なくとも10,000)する時、窒素酸化物の還元性能は最高水準で一定である。
【0047】
ある好ましい実施形態において、CHAモレキュラーシーブは、約1ミクロンより大きい、好ましくは約1〜約5ミクロン、最も好ましくは約2〜約4ミクロンの平均結晶サイズを有することを特徴とする。BEA型フェロシリケートにおいて、窒素酸化物の還元のための触媒活性度を最も顕著に示す鉄成分はFe2O3として合されず、フレームワーク構造内で分離された鉄イオンFe3+に分散する(すなわち、ケイ酸塩フレーム構造またはイオン交換サイトで分離されて分散する)。分離された鉄イオンFe3+は電子スピン共鳴測定によって検出できる。BEA型フェロシリケートの組成を限定するために使用されるもので、SiO2/Al2O3のモル比は、BEA型フェロシリケート内の分離された鉄イオンFe3+を含む全体の鉄含有量を規定するための1つの便利な表現であり得る。
【0048】
小細孔/大細孔ゼオライトブレンド、特に、銅交換SSZ−13/Fe−BEA組合せの使用は、構成要素に比べてN2Oの形成を増加させることができる。したがって、このような組合せの使用は、特定の適用においては有害であり得る。しかし、銅交換SSZ−13/BEA型フェロシリケート組合せの使用は、このような問題を顕著に克服することができ、窒素への改善された選択性を提供する。区域化されて層状化されたSCR触媒は、特に、排気ガスが約50/50のNO、NO2比を有する時、特に追加された改善点を提供する。このような触媒は、等価のブレンドに対してN2Oの排出を約75%まで低減し、低いNO/NO2ガス混合物で優れた過渡応答と優れた変換率を維持する。
【0049】
驚くべきことに、銅交換SSZ−13/プリエージング(pre−aging)Fe−BEAの組合せは、従来のFe−BEAを有する組合せより概してより優れた結果を生むことができる。したがって、500℃で1時間という従来の処理の代わりに、Fe−BEA物質が、600〜900℃、好ましくは650〜850℃、より好ましくは700〜800℃、さらに好ましくは725〜775℃で、3〜8時間、好ましくは4〜6時間、より好ましくは4.5〜5.5時間、さらに好ましくは4.75〜5.25時間好ましくエージングされる。銅交換SSZ−13/プリエージングされたFe−BEA組合せを用いた実施形態は、N2Oの形成が望ましくない分野で有利である。Fe−BEAに対するCu:SSZ−13の比およびBEA−フェロシリケートに対するCu:SSZ−13の比と類似のプリエージングされたFe−BEAに対するCu:SAZ−13の比は、本発明の範囲に含まれる。また、Fe−BEAに対するCu:SSZ−13の組合せおよびBEA−フェロシリケートに対するCu:SSZ−13の組合せと類似のプリエージングされたFe−BEAに対するCu:SSZ−13の組合せも、本発明の範囲に含まれる。
【0050】
第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブとも同一の触媒コーティング内に存在、すなわち、適切な基材モノリス上のウォッシュコート(washcoat)内にコーティングされ得るか、第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブ要素のそれぞれは、1つの上の他の1つのウォッシュコート層で分離されてもよく、第2モレキュラーシーブ要素上の一層内の第1モレキュラーシーブ要素またはその逆も可能である。あるいは、第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブの両方は、押出形態の基材モノリスを形成するための組成に混合可能である。選択的に、押出されたモノリスは、追加的に第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブ要素の一方または両方を含むウォッシュコートでコーティングされ得る。あるいは、第1モレキュラーシーブ要素および第2モレキュラーシーブ要素のうちのいずれか1つのみを含む、押出された基材モノリスが形成され、押出された基材モノリスが押出物に存在しない他のモレキュラーシーブ要素を含むウォッシュコートでコーティングされるか、ウォッシュコートが第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブをすべて含むことができる。押出されてコーティングされた基材モノリスを組合せるすべての構造において、第1および/または第2モレキュラーシーブ要素は、押出物および触媒コーティングともに存在する箇所で、第1モレキュラーシーブ要素は押出物とコーティングにおいて同一であっても異なっていてもよい。したがって、例えば、ウォッシュコートは、SSZ−13ゼオライトを含むことができ、押出物は、SAPO−34を含むことができる。同一の事項が第2モレキュラーシーブ要素に適用されるが、すなわち、ウォッシュコートがZSM−5ゼオライトを含むことができ、押出物がベータゼオライトを含むことができるということである。
【0051】
モノリス基材上にコーティングしたり押出形態の基材モノリスを製造するために本発明で使用するためのモレキュラーシーブを含むウォッシュコート組成物は、アルミナ、シリカ、(非ゼオライト)シリカ−アルミナ、自然発生クレー(clay)、TiO2、ZrO2およびSnO2からなる群より選択されたバインダーを含むことができる。
【0052】
適切な基材モノリスは、コーディエライト(cordierite)またはフェクラロイ(fecralloy)のような材質の金属基材からなる、いわゆる、フロースルー基材モノリス(すなわち、全体の部分にわたって軸方向に延びる多くの小さく平行なチャネルを有するハニカムモノリス触媒支持構造)を含む。基材モノリスは、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素またはムライト材質のウォールフローフィルタ、セラミック発泡体、焼結された金属フィルタ、またはEP1057519もしくはWO01/080978に開示されたような、いわゆる、部分フィルタを含むフィルタであり得る。
【0053】
他の態様によれば、本発明は、移動型発生源から排出された窒素酸化物を含む流動排気ガスを処理するための排出システムを提供するが、このシステムは、本発明にかかる、SCR触媒から流れ方向に沿って上流に位置する窒素含有還元剤のソースを含む。
【0054】
窒素含有還元剤のソースは、所望の程度にNOxを変換するために、還元剤またはその前駆体(適切な容器またはタンクに貯蔵される)の適切な量を伝達するための適切にプログラムされた電子制御ユニットの制御によって作動する適切な注入手段を含むことができる。液体または固体アンモニア前駆体は、例えば、尿素((NH2)2CO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムまたはギ酸アンモニウムであり得る。あるいは、アンモニアそのものまたはヒドラジンが使用可能である。
【0055】
他の実施形態において、窒素含有還元剤のソースは、少なくとも1つのエンジンシリンダが、例えば、残りのエンジンシリンダで正常な作動条件(例えば、理論的に均衡の取れた酸化還元(redox)組成、または濃厚な酸化還元組成を有する排気ガスを発生させる)よりも濃厚に作動するように構成されたエンジンと組み合わせたNOx吸収材(NOxトラップ、希薄NOxトラップまたはNOx吸収触媒(NAC)として知られる)および/または炭化水素を流動排気ガスに注入するために、NOx吸収材の上流に位置する、分離された炭化水素の注入手段である。NOx吸収材に吸収されたNOxは、吸収されたNOxを還元環境と接触させてアンモニアに還元される。本発明にかかるSCR触媒をNOx吸収材の下流に位置させることにより、インサイチューで発生したアンモニアは、NOx吸収材がエンジンによって発生した濃厚な排気ガスなどと接触することで再生される時、SCR触媒におけるNOx還元のために使用可能である。
【0056】
あるいは、窒素含有還元剤のソースは、正常より間欠的にまたは連続的により濃厚に作動するように構成された少なくとも1つのエンジンそれぞれの排気マニホールドに位置するNOxトラップまたは改質触媒のような分離触媒であり得る。
【0057】
他の実施形態において、排気ガス内の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるための酸化触媒が、排気ガスとSCR触媒内に入る窒素含有還元剤を測定する地点の上流に位置することができる。
【0058】
酸化触媒は、フロースルーモノリス基材にコーティングされた少なくとも1種の貴金属、好ましくは、白金、パラジウムまたはロジウムのような白金族元素(またはその組合せ)を含むことができる。一実施形態において、少なくとも1種の貴金属は、白金、パラジウム、または白金とパラジウムとの組合せ、またはPd−Auの合金、選択的にはPt−Pdの組合せである。前記貴金属は、アルミナ、アルミノケイ酸塩ゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、またはセリアとジルコニアとを含む混合物、または組成酸化物のような高表面領域のウォッシュコート要素上に支持可能である。
【0059】
他の実施形態において、適切なフィルタ基材は、酸化触媒と、本発明にかかる触媒との間に位置する。フィルタ基材は、ウォールフローフィルタのような前述したものから選択できる。フィルタが前記論議された種類の酸化触媒で触媒作用を受ける箇所、好ましくは、窒素含有還元剤の計測地点が、フィルタと、本発明にかかる触媒との間に位置する。このような配置は、WO99/39809に記載されている。あるいは、仮にフィルタが触媒作用を受けなければ、還元剤を計測する手段は、酸化触媒とフィルタとの間に位置することができる。
【0060】
他の実施形態において、本発明で使用するためのSCR触媒は、フィルタ上にコーティングされたり酸化触媒の下流に位置する押出型触媒内に形成される。フィルタが本発明で使用するためのSCR触媒を含む場合に、窒素含有還元剤を計測する地点は、酸化触媒とフィルタとの間に位置することが好ましい。
【0061】
他の態様によれば、本発明は、本発明にかかる排気システムを備える希薄燃焼内燃機関を提供する。ある実施形態において、エンジンは、圧縮点火エンジンまたは強制点火(positive ignition)エンジンであり得る。強制点火エンジンは、ガソリン燃料、メタノールおよび/またはエタノールを含む酸素と混合されたガソリン燃料、LPGまたはCNGを含む多様な燃料を使用することができる。圧縮点火エンジンは、ディーゼル燃料、ガス−液体方法によって製造された合成炭化水素を含む非ディーゼル炭化水素とともに混合されたディーゼル燃料またはバイオ要素を使用することができる。
【0062】
さらに他の態様において、本発明は、本発明にかかる希薄燃焼内燃機関を備える車両を提供する。
【0063】
さらなる態様において、本発明は、その組成、流量および温度が一時的にそれぞれ変化する移動型発生源の排気ガス内の窒素酸化物(NOx)の変換方法を提供するが、前記方法は、第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との組合せを含む選択的触媒還元のための触媒の存在下でNOxを窒素含有還元剤と接触させるステップを含み、FTP(Federal Test Procedure)75サイクル上でテストされた直接比較において、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxのより高い累積変換率を有する。
【0064】
一実施形態において、触媒に入る供給ガス内のNO:NO2の累積モル比が1以下の時、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxのより高い累積変換率を有する。
【0065】
他の実施形態において、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxの二窒素へのより高い累積変換率を有する。
【0066】
さらなる実施形態において、窒素酸化物は、少なくとも100℃の温度で窒素含有還元剤で還元される。他の実施形態において、窒素酸化物は、約150℃〜750℃の温度で還元剤で還元される。後者の実施形態は、大型および小型車両用ディーゼルエンジン、例えば、特に、炭化水素をフィルタの上流の排気システム内に注入することで活動的に再生される(選択的に触媒作用を受ける)ディーゼル微粒子フィルタを含む排気システムを備えるエンジンから排出される排気ガスを処理するのに特に有用であるが、本発明にかかる前記触媒は、フィルタの下流に位置する。
【0067】
特定の実施形態において、前記温度範囲は、175〜550℃である。他の実施形態において、前記温度範囲は、175〜400℃である。
【0068】
他の実施形態において、窒素酸化物の還元は、酸素の存在下で行われる。これとは異なる実施形態において、窒素酸化物の還元は、酸素が存在しない条件で行われる。
【0069】
窒素酸化物を含むガスは、本発明にかかる触媒と、5,000hr−1〜500,000hr−1、選択的には10,000hr−1〜200,000hr−1のガス空間速度で接触することができる。
【0070】
SCR触媒と接触する窒素含有還元剤の計測器が配置され、理論的アンモニアの60%〜200%が、1:1のNH3/NOおよび4:3のNH3/NO2で計算されたSCR触媒に入る排気ガス内に存在することができる。
【0071】
さらなる実施形態において、排気ガス内の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるステップが、窒素含有還元剤の導入前に実施できる。このようなNO酸化ステップは、適切な酸化触媒を用いて実施できる。一実施形態において、酸化触媒は、例えば、酸化触媒入口で250℃〜450℃の温度を有する排気ガスにおいて、約4:1〜約1:3のNO対NO2の体積比を有するSCR触媒に入るガス流を生産するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
本発明がよりよく理解されるように、添付した図面を参照する。
【図1】図1は、本発明にかかる排気システムの実施形態を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本発明にかかる追加的な排気システムの実施形態を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1、2および3によって製造された新鮮触媒(fresh catalyst)において、実施例3で説明されたNOx変換活性度テストの結果を示すグラフである。
【図4】図4aないし図4dは、基材上の第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの異なる形態の組合せを示す。
【図5】図5は、本発明のある実施形態に連関付けられたデータを示すグラフである。
【図6】図6a、図6b、は、本発明のある実施形態に連関付けられたデータを示すグラフである。
【図7】図7は、本発明のある実施形態に連関付けられたデータを示すグラフである。
【図8】図8aないし図8cは、本発明のある実施形態に連関付けられたデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1は、小型ディーゼルエンジン12と排気システム14とを含む装置10を示す。排気システム14は、エンジンで発生した排気ガスを大気15に移動させるための導管を備え、流動方向に沿って、本発明にかかるSCR触媒(鉄が存在するゼオライトフレームワークBEAと混合されるか、追加的なイオン交換鉄でイオン交換されたCu/SSZ−13)でコーティングされたウォールフローフィルタ18に先立ち、NOx吸収触媒((NAC)NOxトラップまたは希薄NOxトラップとしても知られる)16でコーティングされた金属基材モノリスが備えられる。アルミナに対して相対的に低いPtの荷重を有するクリーンアップ(clean−up)触媒24がウォールフローフィルタ18の下流に位置する。
【0074】
使用において、エンジンは希薄空燃比で動作し、NOxはNACで吸収される。間欠的に、エンジンは、NOxを除去し還元させるために濃厚に動作する。濃厚な動作において、NOxの一部はNH3に還元され、追加的なNOx還元のために下流のSCR触媒に貯蔵される。SCR触媒は、間欠的な濃厚動作でNOxを処理したりもする。NAC上でNO2に酸化したNOは、フィルタ18で捕獲された煤煙を燃焼させるのに使用される。NACは、フィルタの強制(活動)再生時に追加された炭化水素を燃焼させるのに使用されたりもする。
【0075】
図2は、ディーゼルエンジン12と排気システム13とを備える、本発明にかかる他の装置11を示す。排気システム13は、エンジンの排気マニホールドに近く位置(いわゆる、隣接結合位置)する不活性セラミックフロースロー基材19上にコーティングされた触媒的後処理要素(すなわち、2Au−0.5Pd/Al2O3触媒)を連結する導管17を含む。モレキュラーシーブフレームワーク構造内に存在するFeを有するCuとFeCHAでイオン交換されたアルミノケイ酸塩の混合を含む圧縮型のフロースロー触媒22が隣接結合触媒19の下流(いわゆる、アンダーフロア位置)に位置する。窒素含有還元剤(尿素)のソースはタンク28内に提供され、これは、触媒19、22の間の排気ガス導管17に注入される。
【0076】
ある実施形態において、組成、流量および温度がそれぞれ臨時的に変化可能な供給ガス内において、窒素含有還元剤を用いて窒素酸化物の変換に対する選択的な触媒作用のための触媒が提供されるが、前記触媒は、第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との組合せを含み、FTP(Federal Test Procedure)75サイクル上でテストされた直接比較において、前記触媒は、単独モレキュラーシーブ要素と同等またはより低いNH3スリップでより高いNOxの累積変換率を有する。
【0077】
好ましくは、触媒に入る供給ガスでNO:NO2の累積モル比が1以下の場合に、触媒は、いずれか1つのモレキュラーシーブ要素単独で使用される時と同等またはより低いNH3スリップでより高いNOxの、好ましくは元素窒素への累積変換率を有する。
【0078】
ある実施形態において、SCR触媒は、第2モレキュラーシーブ要素より選択された条件に対してより低いNH3充填水準で最大のNOx変換を達成する第1モレキュラーシーブ要素を備える。好ましくは、第1モレキュラーシーブ要素の前記より低いNH3充填水準は、10〜80%の範囲である。
【0079】
SCR触媒のある実施形態において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブは、ゼオライトおよび非ゼオライトモレキュラーシーブから独立して選択できる。好ましくは、モレキュラーシーブ要素のうちの1つは、8四面体原子の最大環サイズを有する小細孔モレキュラーシーブであり、好ましくは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZON、特に好ましくは、CHA、LEV、ERI、DDR、KFI、EAB、PAU、MER、AEI、GOO、YUG、GISおよびVNIからなる群より選択される。好ましくは、他のモレキュラーシーブ要素が、小細孔、中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブから選択される。好ましい中細孔モレキュラーシーブは、MFI、MWW、AEL、AFO、FERおよびHEUを含む。好ましい大細孔モレキュラーシーブは、FAU、AFI、AFR、ATO、BEA、GME、MORおよびOFFを含む。
【0080】
ある実施形態において、第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブのうちの少なくとも1つは、As、B、Be、Co、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Ti、ZnおよびZrからなる群より選択される置換フレームワーク金属を含む。ある実施形態において、第1モレキュラーシーブ要素および第2モレキュラーシーブ要素のうちの少なくとも1つは、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Re、IrおよびPt、好ましくは、Cr、Ce、Mn、Fe、Co、NiおよびCuからなる群より独立して選択される1種以上の金属を含む。
【0081】
本発明の一態様によれば、排気ガスの移動発生源から発生した窒素酸化物を含む流動排気ガスを処理するための排気システムが提供されるが、このシステムは、ここで説明される選択的触媒還元用触媒から流れ方向に沿って上流に位置する窒素含有還元剤のソースを含む。ある実施形態において、前記システムは、窒素含有還元剤のソースの上流に位置する酸化触媒とSCR触媒とをさらに含む。ある実施形態において、前記システムは、前記酸化触媒と前記窒素含有還元剤のソースとの間に位置するフィルタをさらに含む。
【0082】
本発明の一態様によれば、ここで説明される排気システムを含む圧縮点火エンジンまたは強制点火エンジンのような希薄燃焼内燃機関が提供される。ある実施形態において、前記エンジンは、少なくとも部分的に前記窒素酸化剤のソースとして機能するNOx吸収剤を含む。
【0083】
本発明の一態様によれば、ここで説明される希薄燃焼内燃機関を含む車両が提供される。
【0084】
本発明の一態様によれば、その組成、流量および温度が一時的にそれぞれ変化する移動型発生源の排気ガス内の窒素酸化物(NOx)の変換方法が提供されるが、前記方法は、第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との組合せを含む選択的触媒還元のための触媒の存在下でNOxを窒素含有還元剤と接触させるステップを含み、FTP(Federal Test Procedure)75サイクル上でテストされた直接比較において、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxのより高い累積変換率を有する。前記発明のある実施形態において、触媒に入る供給ガス内のNO:NO2の累積モル比が1以下の時、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxの、好ましくは二窒素へのより高い累積変換率を有する。前記方法のある実施形態において、NOxは、少なくとも100℃、好ましくは約150℃〜750℃の温度で変換される。前記方法のある実施形態において、NOx含有ガスは、5,000hr−1〜500,000h−1のガス空間速度でSCR触媒と接触する。ある実施形態において、理論的アンモニアの約60%〜約200%が1:1のNH3/NOおよび4:3のNH3/NO2で計算されたSCR触媒と接触する。前記方法のある実施形態において、SCR触媒と接触するガスのNO:NO2の比は、約4:1〜1:3である。
【0085】
以下の実施例は、説明のためにのみ提供される。
【0086】
実施例
実施例1−新鮮な3重量%のCu/SSZ−13
(アルミノケイ酸塩CHA)触媒の製造法
商業的に使用可能なSSZ−13ゼオライト(CHA)は、NH4NO3溶液でNH4+イオン交換後、フィルタリングされた。結果物質は、撹拌によりCu(NO3)2の液状溶液に添加された。スラリーは、フィルタリングされ、洗浄後、乾燥した。この過程は、所望の金属荷重を達成するために繰り返し可能である。最終産物はか焼された。本実施例によって製造された物質は、ここで「新鮮」と記載される。
【0087】
実施例2−新鮮な5重量%のFe/ベータ触媒の製造法
商業的に使用可能なベータゼオライトは、NH4NO3溶液でNH4+イオン交換後、フィルタリングされた。結果物質は、撹拌によりFe(NO3)3の液状溶液に添加された。スラリーは、フィルタリングされ、洗浄後、乾燥した。この過程は、所望の金属荷重を達成するために繰り返し可能である。最終産物はか焼された。本実施例によって製造された物質は、ここで「新鮮」と記載される。
【0088】
実施例3−触媒混合
実施例1および2によって製造されたサンプルの物理的混合により新鮮でエージングされた重量比1:3のFe/ベータ:Cu/SSZ−13の分離型物理的ブレンドが製造された。同様に、重量比1:3のBEA−フェロシリケート:CuSSZ−13の物理的ブレンドが製造された。
【0089】
実施例4−NOx変換活性度テスト
実施例1、2および3によって製造された新鮮な粉末サンプルの活性度が、60,000hr−1の空間速度で、125ppmのNO、375ppmのNO2、750ppmのNH3、14%のO2、4.5%のH2O、4.5%のCO2、N2に均衡が維持されたガス混合を用いて、実験室装置にて250℃でテストされた。テストは、20ppmのNH3がサンプルの下流で検出された時に停止した。結果は、図3に示された。
【0090】
結果から、Fe/ベータ(Beta)サンプルは、速い過渡応答を有するが、限られた最大変換率を有することが確認された。また、Cu/SSZ−13とFe/Beta+Cu/SSZ−13ブレンドとの比較テストにおいて、NH3を早期にスリップしたりもする。過渡応答は、触媒でNH3の充填水準が増加するにつれてNOx変換率が増加する速度として定義される。Cu/SSZ−13は、より優れ、より高い最大変換率を有するが、より遅い過渡応答を有する。Fe/BetaおよびCu/SSZ−13の組合せは、速い過渡応答、より高い最大変換率を提供するが、シナジーの証拠として、中間NH3充填水準で個別要素よりも高い変換率を示す。プリエージングされた1:3のFe/Beta:Cu/SSZ−13も改善された結果を提供するはずである。
【0091】
実施例5−ブレンド、層、区域組合せの比較
1:3(重量)のBEA−フェロシリケート:CuSSZ−13組合せの3つのサンプルが製造され、ブレンド、区域および層として基材上に分離されてコーティングされた。3つのコーティングされた基材は、NO:NO2比が約50:50の場合を除けば、実施例4で説明されたのと類似のテスト環境に露出する。結果は、図5に示された。
【0092】
結果から、区域とブレンドが、ブレンドに比べてより高いNOx変換率を達成することが確認された。
【0093】
実施例6−N2Oの形成
1:3(重量)のFeBEA:CuSSZ−13組合せのサンプルと1:3(重量)のBEA−フェロシリケート:CuSSZ−13の3つのサンプルが製造され、基材上に分離されてコーティングされた。FeBEA:CuSSZ−13組合せは、ブレンドでコーティングされ、BEA−フェロシリケート:CuSSZ−13組合せのサンプルは、ブレンド、区域および層として分離されてコーティングされた。サンプルのそれぞれは、NH3の投入(20ppmのスリップ)とともに混合された偽ディーゼル排気ガスに露出した。露出する間の平均N2Oの形成が記録され、図6aと図6bに示された。
【0094】
FeBEA:CuSSZ−13ブレンドが最大変換と結果的に「N2選択的」過渡応答で顕著に還元させる相当量のN2Oを発生させることが明らかである。このような変換での還元は、独立して評価された2つの要素で観測されるものよりも大きい。驚くべきことに、BEA−フェロシリケート:CuSSZ−13ブレンドは、他のCuSSZ−13/ゼオライトブレンドで観測されるものより実質的により低いN2Oを生成する。しかし、BEA−フェロシリケート:CuSSZ−13の層と区域は、ブレンドで観測される低いN2Oの生成を維持するが、他のNO2水準下で改善された過渡応答を示す(図7参照)。
【0095】
実施例−NO:NO2比の効果
BEA−フェロシリケート:CuSSZ−13の4つのサンプルが製造され、NH3還元剤とともに混合された偽ディーゼル排気ガスに露出する間、NOx変換能力がテストされた。テストは、250℃の温度と約60,000/hourのガス空間速度で行われた。結果は、下記表のとおりである。ここで、参照(「ref.」)触媒は、CuSSZ−13であり、「低充填」は、排気ガスの約0.5g/L以下のNH3水準であり、「高充填」は、排気ガスの約1g/L超過のNH3水準である。
【0096】
【表3】
【0097】
実施例8−多重組合せ
FeBEA、CuSSZ−13およびBEA−フェロシリケートのサンプルが用意され、指示された組合せで混合可能であり、多重組合せが図8aないし図8cに示されている。凡例において、触媒を通るガス流れに対して上流に位置する1番目の名前の要素とともに、比は重量で与えられ、ブレンドは挿入語句で表され、区域は「//」で指示される。組合せと多重組合せのそれぞれは、NH3還元剤を含む偽ディーゼル排気ガス流れに露出した。排気ガスにおけるNO:NO2比は、異なる条件で触媒をテストするために、NOのみ存在、50:50のNO:NO2(重量)から、75%のNO2(重量)に変化した。各組合せまたは多重組合せは、NH3充填水準の機能としてNOx変換率(N2Oの形成に対して修正)に対して評価された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有還元剤の存在下で移動型発生源(例えば、車両用希薄燃焼内燃機関)から排出される排気ガスに存在する窒素酸化物(NOx)を変換するための、選択的に金属促進されたモレキュラーシーブ源を含む選択的触媒還元(selective catalytic reduction)のための触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで、「選択的触媒還元」(SCR)とは、窒素含有還元剤を用いて窒素酸化物をN2に還元させる触媒工程を意味する。SCRは、火力発電所のような固定型産業発生源から排出されるNOx排気ガスを処理することが知られている。最近は、SCR技術が、乗用車、トラックおよびバスのような移動型発生源から排出されるNOx排気ガスを処理するためのものとして開発されている。移動型発生源からのNOxの処理が難しいのは、排気ガス内に存在するNOxの量が過渡的、すなわち、多様な速度での加速、減速および運行のような運転条件に応じて変化するからである。移動型分野の排気ガスにおけるNOxの過渡的性質は、窒素含有還元剤を大気に排出することなく、十分なNOxを低減させるための窒素含有還元剤の正確な計測を含む、多くの技術的課題を提供する。
【0003】
実際に、SCR触媒は、窒素含有還元剤を吸着(または貯蔵)することができ、使用可能な還元剤の適切な供給のためのバッファを提供する。技術専門家は、このような現象を利用して排気ガスに注入される適切な窒素酸化物の量を調整する。
【0004】
要するに、移動型発生源用SCR触媒は、概して次の3つの機能を果たす。(i)窒素含有還元剤として、例えば、アンモニア(NH3)を用いたNOxの変換;(ii)供給されたガスに過度のNH3がある時のNH3の貯蔵;および(iii)必要な変換を達成するために供給されたガスに存在する不十分なNH3条件で貯蔵されたNH3の使用がそれである。
【0005】
実用的な適用のために、供給ガス条件が急速に変化する自動車のような移動型NOx発生源からのNOx排気ガスを処理するにあたり、望ましいSCR触媒は、所与の温度での十分なNH3貯蔵能力(過度のNH3が触媒をスリップしないようにし、NH3が供給ガスに存在しない時には変換が続くようにする)と、NH3充填水準の部分に独立した高活性度(充填水準は、飽和されたNH3貯蔵能力に対して相対的に定義される)を有する。NH3充填水準は、所与の条件で最大水準に対する完全触媒(例えば、リットルで)に存在するNH3の量(例えば、グラム)で表現できる。NH3の吸着は、ラングミュア吸着のような本技術分野において公知の方法によって決定可能である。すべてのSCR触媒の充填水準は、SCR触媒の最大NOx変換活性度に正比例しない。すなわち、NOx変換活性度が増加し、100%のアンモニア充填水準で最大になるのではない。事実上、特定のSCR触媒は、90%未満、80%未満、50%未満または30%未満のように、100%未満の充填水準の最大NOx変換率を示すことができる。
【0006】
SCR触媒の活性度は、全体の触媒モノリスが露出するNH3の量によって異なり得る。モレキュラーシーブ系SCR触媒はアンモニアを貯蔵することができ、貯蔵能力はガス流れや触媒の温度、供給ガスの組成、空間速度、特に、NO:NO2比などに依存する。触媒がNH3に露出し始める時の触媒活性度は、触媒がNH3に相対的に高い露出度または飽和された露出度を有する時の活性度より概してより低いことがある。実際の車両分野において、これは、触媒が優れた活性度を保障するために適切なNH3が事前に提供される必要があることを意味する。しかし、このような要件は、いくつかの重要な問題がある。実際に、いくつかの作動条件において、要求されるNH3の提供を達成することは可能でなく、事前提供後にどのようなエンジン作動条件が続くのか分からないため、このような事前提供法は制限的である。例えば、仮に、触媒がNH3と事前に提供されるが、それに続くエンジン荷重がアイドル状態であれば、NH3は大気に抜けるようになる。この理由から、実際の適用時、事前貯蔵されたNH3の量は、低荷重条件の代わりにNH3の事前提供を必要とする高荷重条件でエンジンに作動すれば、NH3の限られた排出を保障する最適な場合よりも少なくなければならない。
【0007】
自動車のような移動型分野に使用するためのSCR触媒は、低温で作動し、炭化水素に耐性を有する必要がある。低温作動は、一般的に銅系SCR触媒の使用を好む供給ガス内に非常に少ないNO2があることを意味する。しかし、鉄系SCR触媒は、約50:50のNO:NO2ガスの供給を処理する時に非常に優れており、高温条件でも優れている。排気システムは、触媒化された煤煙フィルタ(CSF)を含み、CSFが高温条件で強制操作され、周期的に再生される(すなわち、収集された粒子物質が燃焼される)ように形成される。
【0008】
WO2008/132452は、窒素酸化物を少なくとも1種の遷移金属を含むモレキュラーシーブ触媒の存在下で窒素酸化剤と接触させることにより、車両希薄燃焼内燃機関の排気ガスのようなガスの窒素酸化物を窒素に変換する方法を開示しているが、前記モレキュラーシーブは、8四面体原子の最大環サイズを有する小細孔(small pore)のゼオライトであり、前記少なくとも1種の金属は、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Re、IrおよびPtからなる群より選択されるものである。適切な小細孔のモレキュラーシーブは、(国際ゼオライト協会の構造委員会により認められるスリーレターコードを用いて)SSZ−13とSAPO−34を含むCHA、Nu−3のようなLEV、Sigma−1のようなDDR、およびZSM−34を含むERIを含む。大体、WO2008/132452の方法で使用するためのSCR触媒は、相対的に高い充填水準で最大NOx変換率を示すことが確認された。
【0009】
WO2008/132452は、車両のような移動型発生源によって排出された排気ガス内のNOxを変換するために、ZSM−5とベータゼオライトの使用によるいくつかの欠点を説明しているが、それによれば、特に、Cu/ベータおよびCu/ZSM−5触媒の場合に、これらが高温の熱水エージングの間に脱アルミニウムに敏感で酸性の損失をもたらし、ベータおよびZSM−5系触媒とも相対的に低い温度で触媒に吸着(「コーキング(coking)」として知られる)する炭化水素の影響を受け、炭化水素は、次いで、触媒システムの温度が上昇するにつれて触媒を熱損傷させ得る程度の熱を発生させて酸化し得る。このような問題は、炭化水素の相当の量が冷間始動中に触媒に吸着し得る車両のディーゼル分野で深刻化する。コーキングは触媒活性度を低くすることがあるが、これは活性触媒を詰らせ得るからである。
【0010】
WO2008/132452によれば、遷移金属を含む小細孔モレキュラーシーブ系SCR触媒は、同等の遷移金属を含む中細孔(medium)、大細孔(large−pore)またはメソ細孔(meso−pore)モレキュラーシーブ触媒、遷移金属を含む小細孔モレキュラーシーブ触媒より、特に低温で非常に改善されたNOx還元活性度を示す。また、これらは、N2(例えば、低N2Oの形成)に対する高い選択性および優れた熱水的安定性を示す。また、少なくとも1種の遷移金属を含む小細孔モレキュラーシーブは、大細孔モレキュラーシーブより炭化水素の抑制に対するより高い抵抗性を有する。
【0011】
NOxを窒素含有還元剤(尿素、NH3前駆体)で還元するために、WO2008/132452に開示された特定のSCR触媒をテストする過程において、触媒の過渡応答が過渡的車両排気ガス内のNOxを処理するために次善(sub−optimal)となることが分かった。すなわち、過渡的に変化する排気ガス組成物でNOxを処理するSCR触媒の能力は、望ましい場合よりも低くなるということである。
【0012】
SAE2008−01−1185は、分離された鉄ゼオライトおよび銅ゼオライト触媒を含む選択的触媒還元のための触媒を開示しているが、触媒は、銅ゼオライト領域の上流に位置する鉄ゼオライト領域を有するフロースルー基材モノリス上にコーティングされた一側の領域に位置する。使用されたゼオライトに関する詳細な説明はなかった。混合された鉄ゼオライト/銅ゼオライトに対する過渡応答(図17に示す)の結果は、銅ゼオライトのみを使用する場合に比べて好適でなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明者らは、驚くべきことに、ゼオライト、触媒のような遷移金属/モレキュラーシーブの組合せが、NOxに対して活性度がより高いが、相対的に速い過渡応答を有することを見出した。また、発明者らは、鉄モレキュラーシーブ触媒の組合せが、優れた活性度のみならず、炭化水素に対する耐性も提供できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様によれば、本発明は、(a)中細孔、大細孔またはメソ細孔結晶構造を有し、選択的に第1金属の約0.01〜約20重量%を含む第1モレキュラーシーブと、小細孔結晶構造を有し、選択的に第2金属の約0.01〜約20重量%を含む第2モレキュラーシーブとの組合せを備える触媒成分と、(b)前記触媒成分がその上またはその内部に包含(包摂)されてなるモノリス基材とを含み、第1および第2金属は、置換されるか、前記モレキュラーシーブの結晶構造の構造に対して自由(非置換)であり、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、In、Sn、ReおよびIrからなる群より独立して選択され、第1および第2モレキュラーシーブの組合せは、ブレンド(blend:混合物)、複数の層および複数の区域からなる群より選択される不均一触媒(heterogeneous catalyst)物品を提供する。
(1) 不均一触媒であって、
第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの少なくとも一つの組合せを備えてなる触媒成分と、前記触媒成分がその上またはその内部に包摂されてなるモノリス基材とを備えてなり、
第1モレキュラーシーブが、中細孔、大細孔またはメソ細孔結晶構造を有し、選択的に約0.01〜約20重量%の第1金属を含んでなり、及び、
第2モレキュラーシーブが、小細孔結晶構造を有し、選択的に約0.01〜約20重量%の第2金属を含んでなり、
第1金属及び第2金属が、前記モレキュラーシーブの結晶構造の構造に対して置換されるか、又は自由であり、かつ、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、In、Sn、ReおよびIrからなる群より独立して選択されてなるものであり、
第1モレキュラーシーブ及び第2モレキュラーシーブの組合せが、ブレンド、複数の層および複数の区域からなる群より選択されてなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとを混合した重量に対して多数の第2モレキュラーシーブを含んでなるものである、不均一触媒。
(2) 前記組合せが、複数の区域で構成されてなり、
前記複数の区域が、第1触媒を有する第1区域と、第2触媒を有する第2区域とを備えてなり、
第1区域が、前記ガス流れ方向に対して、前記触媒成分を通過し又は介して第2区域の上流に位置し、
第1区域の多数が、前記基材に対して第2区域と重ならないものであり、及び、
第2区域の多数が、前記基材に対して第1区域と重ならないものである、(1)に記載の不均一触媒。
(3) 前記組合せが、複数の層で構成されてなり、
前記複数の層が、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とを備えてなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接し、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置する、(1)に記載の不均一触媒。
(4) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの混合物で構成されてなる、(1)に記載の不均一触媒。
(5) 前記触媒成分が、前記モノリス基材上にコーティングされたものである、(1)に記載の不均一触媒。
(6) 第2モレキュラーシーブが、CHA結晶構造であり、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなるものであり、
第1モレキュラーシーブが、BEA分子構造であり、約0.5〜約5重量%の鉄を含んでなるものである、(5)に記載の不均一触媒。
(7) 第2モレキュラーシーブが、CHA結晶構造であり、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなり、第1モレキュラーシーブが、プリエージングされたBEA分子構造であり、約0.5〜約5重量%の鉄を含んでなる、(5)に記載の不均一触媒。
(8) 前記組合せが、約0.1〜約1.0の重量比において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとにより構成されてなる、(7)に記載の不均一触媒。
(9) 第2モレキュラーシーブが、約8〜約150のシリカ対アルミナ比を有するものである、(7)に記載の不均一触媒。
(10) 第2モレキュラーシーブが、SSZ−13結晶構造である、(9)に記載の不均一触媒。
(11) 第2モレキュラーシーブが、約2.0〜約4.0重量%の銅を含んでなる、(10)に記載の不均一触媒。
(12) 第2モレキュラーシーブが、CHA結晶構造であり、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなり、
第1モレキュラーシーブは、鉄同形のBEA分子構造を有する、(5)に記載の不均一触媒。
(13) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブの重量比が約0.1〜約1である、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとにより構成されてなる、(12)に記載の不均一触媒。
(14) 前記CHA結晶構造が、約8〜約150のシリカ対アルミニウム比を有してなり、及び、
前記鉄同形のBEA分子構造が、約50〜約200のシリカ対酸化鉄比を有する、(13)に記載の不均一触媒。
(15) 第2モレキュラーシーブが、約2.0〜約4.0重量%の銅を含んでなる、(14)に記載の不均一触媒。
(16) 前記組合せが、約0.2〜約0.60の重量比において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとにより構成されてなる、(15)に記載の不均一触媒。
(17) 前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とにより構成されてなり、
第1区域が、前記ガス流れ方向に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置し、
第1区域の多数が、前記基材に対して第2区域と重ならないものであり、及び、
第2区域の多数が、前記基材に対して第1区域と重ならないものである、(11)または(16)に記載の不均一触媒。
(18) 前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とにより構成されてなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接し、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置する、(11)または(16)に記載の不均一触媒。
(19) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの混合物により構成されてなる、(11)または(16)に記載の不均一触媒。
(20) 前記触媒成分が、第1組合せと第2組合せとにより構成されてなり、
第1組合せが、鉄同形のBEA分子構造で構成された第1区域と、第2組合せで構成された第2区域とからなり、
第1区域と第2区域とが、互いに隣接し、及び
第1区域と第2区域とが、前記モロリス基材に隣接し、
第1区域が、前記ガス流れ方向に対して、前記触媒成分を通過し又は介して第2区域の上流に位置し、
第2組合せが、第1モレキュラーシーブ及び第2モレキュラーシーブと同一又は相違する混合物である、(1)に記載の不均一触媒。
(21) 排気ガスの処理方法であって、
(1に記載の不均一触媒の存在下で、約150℃〜750℃の温度で、供給排気ガス流に窒素含有還元剤を接触させ、処理された排気ガス流を形成することを含んでなり、
前記供給排気ガス流が、NOxの第1濃度を有してなり、
前記処理された排気ガス流が、NOxの第2濃度を有してなり、
前記NOxの第2濃度が、前記NOxの第1濃度未満の濃度である、排気ガスの処理方法。
(22) 前記触媒成分が、前記モノリス基材上にコーティングされ、
第1モレキュラーシーブが、約8〜約150のシリカ対アルミナ比を有するCHA結晶構造を有してなり、かつ、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなるものであり、
第2モレキュラーシーブが、プリエージングされたBEA分子構造を有してなり、かつ、約0.5〜約5重量%の鉄を含んでなるものであり、
前記組合せが、約0.25〜約0.50の重量比において、第1モレキュラーシーブと、第2モレキュラーシーブとを含んでなり、
前記温度が、約175℃〜約400℃であり、
前記供給排気ガス流が、前記触媒と、約10,000/時〜約200,000/時のガス空間速度で接触してなる、(21)に記載の方法。
(23) 前記供給排気ガス流れが、約0.8〜約1.2のNO:NO2比を有する、(22)に記載の方法。
(24) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物よりに構成されてなる、(23)に記載の方法。
(25) 前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とからなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接し、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置する、(23)に記載の方法。
(26) 前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とからなり、
第1区域および第2区域が、互いに隣接してなり、及び
第1区域および第2区域が、前記モノリス基材に隣接してなり、
第1区域が、前記排気ガス流に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置する、(23)に記載の方法。
(27) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約1g/Lの供給排気ガスより高い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなるものである、(22)に記載の方法。
(28) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約0.5g/Lの供給排気ガスより低い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とからなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接し、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置してなる、(22)に記載の方法。
(29) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約0.5g/Lの供給排気ガスより低い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とからなり、
第1区域および第2区域が、互いに隣接し、及び、
第1区域および第2区域が、前記モノリス基材に隣接し、
第1区域が、前記排気ガス流に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置する、(22)に記載の方法。
(30) 前記供給排気ガス流が、約3超過のNO:NO2比を有してなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなる、(22)に記載の方法。
(31) 前記触媒成分が、前記モノリス基材上にコーティングされてなり、
第1モレキュラーシーブが、約8〜約150のシリカ対アルミナ比を有するCHA結晶構造を有してなり、かつ、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなるものであり、
前記鉄同形のBEAモレキュラーシーブ構造が、約50〜200のシリカ対酸化鉄比を有してなり、
前記組合せが、約0.25〜約0.50の重量比において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとを備えてなり、
前記温度が、約175℃〜約400℃であり、及び
前記供給排気ガス流が、約10,000/時〜約200,000/時のガス空間速度で前記触媒と接触してなる、(21)に記載の方法。
(32) 前記供給排気ガス流が、約0.8〜約1.2のNO:NO2比を有してなる、(31)に記載の方法。
(33) 前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなる、(32)に記載の方法。
(34) 前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とからなり、
第2層が、第1層および前記モノリス基材の両方に隣接してなり、及び
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置してなる、(32)に記載の方法。
(35) 前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とからなり、
第1区域および第2区域が、互いに隣接し、及び
第1区域および第2区域が、前記モノリス基材に隣接し、
第1区域が、前記排気ガス流に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置する、(32)に記載の方法。
(36) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約1g/Lの供給排気ガスより高い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなる、(31)に記載の方法。
(37) 前記供給排気ガス流が、約0.3より低いNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約0.5g/Lの前記供給排気ガスより低い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1触媒を備える第1層と、第2触媒を備える第2層とからなり、
第2層が、第1触媒と前記モノリス基材の両方に隣接し、及び、
第2層が、第1層と前記モノリス基材との間に位置してなる、(31)に記載の方法。
(38) 前記供給排気ガス流が、約0.3より小さいNO:NO2比を有してなり、
前記窒素含有還元剤が、約0.5g/Lの供給排気ガスより低い濃度で存在してなり、
前記組合せが、第1触媒を備える第1区域と、第2触媒を備える第2区域とからなり、
第1区域と第2区域が、互いに隣接し、及び
第1区域と第2区域が、前記モノリス基材に隣接し、
第1区域が、前記排気ガス流に対して、前記区域を通過し又は介して第2区域の上流に位置する、(31)に記載の方法。
(39) 前記供給排気ガス流が、約3超過のNO:NO2比を有してなり、
前記組合せが、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの前記混合物からなる、(31)に記載の方法。
(40) 前記窒素含有還元剤が、アンモニアである、(21)に記載の方法。
【0015】
本発明において、有用な触媒の組合せの形態は、2つ以上の触媒のブレンドと、各層が単一触媒を構成する複数の層と、各領域が1つの触媒を構成する複数の区域とを含む。前記組合せは、組合せに独立して作用するその構成要素のうちの1つによっては得られない性質によって特徴付けられる。図4aないし図4bを参照すれば、本発明にかかる他の組合せの特定の実施形態が示されている。図4aは、基材102上にコーティングされた2つのモレキュラーシーブブレンド104を含むブレンド100を示す。ここで、「ブレンド」という用語は、モレキュラーシーブに関連し、体積全体にわたって互いに対して略同じ比率を有する2つ以上のモレキュラーシーブの体積を意味する。第1モレキュラーシーブ116からなる第1区域と、第2モレキュラーシーブ118からなる第2区域とを含む複数の区域110の一実施形態が示されており、第1区域と第2区域は、基材102上にコーティングされており、互いに隣接し、前記モノリス基材に隣接する。排気ガスの流れ方向114も示されている。図4cには、第1層116と第2層118とを備える複数の層120の一実施形態が示されており、第2層が第1層および前記基材の両方に隣接し、第1層と前記基材との間に位置する。図4dは、2つの組合せ130を示すが、第1組合せが2つの区域(モレキュラーシーブ116とブレンド104)であり、第2組合せがブレンド104である。2つ以上の組合せを用いる実施形態について、各組合せのためのモレキュラーシーブは独立して選択される。図示しないが、他の多重組合せが本発明の範囲内で存在することができる。例えば、図4dの実施形態と類似の構造として、ブレンドの代わりに第2組合せが複数の層になってもよい。他の多重組合せは、1つ以上層のブレンドの使用および1つ以上の区域の層の使用などを含む。多重組合せが用いられる時、触媒成分を通る排気ガス流れに対する組合せの順序は特に限定されない。しかし、中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブのうちの少なくとも1つが小細孔モレキュラーシーブの上流側に位置することが非常に好ましい。
【0016】
前記組合せは、第2モレキュラーシーブ要素に対して第1モレキュラーシーブ要素が多数を占めることが好ましい。特定の実施形態において、組合せは、第1モレキュラーシーブと、第1モレキュラーシーブ内の第2モレキュラーシーブとを含むが、第2モレキュラーシーブの重量比は、約0.1(すなわち、1:10)〜約1(すなわち、1:1))である。特定の実施形態において、第2モレキュラーシーブに対する第1モレキュラーシーブの重量比は、約0.25〜約0.50である。特定の実施形態において、第1モレキュラーシーブの第2モレキュラーシーブに対する重量比は、約0.3〜約0.4である。
【0017】
他の態様によれば、組成、流量および温度がそれぞれ臨時的に変化可能な供給ガス内において、窒素含有還元剤を用いて窒素酸化物の変換に対する選択的な触媒作用のための触媒が提供されるが、前記触媒は、第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との組合せを含み、FTP(Federal Test Procedure)75サイクル上でテストされた直接比較において、前記触媒は、単独モレキュラーシーブ要素と同等またはより低いNH3スリップ(slip)でより高いNOxの累積変換率を有する。
【0018】
特に、発明者らは、少なくとも1つの実施形態で第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との間のシナジー関係を観察し、これは、小細孔モレキュラーシーブをSCR触媒内の要素として使用するという利点を維持しながら、モレキュラーシーブ(例えば、小細孔モレキュラーシーブ)を含むSCR触媒のNOx変換に対する過渡応答を改善するのに使用可能である。「窒素含有還元剤による供給ガス内の窒素酸化物の選択的還元触媒作用のための触媒」は、ここで、「選択的触媒還元」(または「SCR」)触媒として言及される。疑う余地をなくすために、3つ以上のモレキュラーシーブの組合せを含むSCR触媒も本発明の範囲に属することを明らかにする。
【0019】
好ましい実施形態において、触媒に入る供給ガスでNO:NO2の累積モル比が1以下の場合に、触媒は、いずれか1つのモレキュラーシーブ要素単独で使用される時と同等またはより低いNH3スリップでより高いNOxの累積変換率を有する。他の好ましい特定の実施形態において、供給排気ガス流におけるNO:NO2比は、約0.8〜約1.2である。他の好ましい特定の実施形態において、供給排気ガス流におけるNO:NO2比は、約0.3未満であり、他の好ましい実施形態では、その比が約3より大きい。
【0020】
さらに他の好ましい実施形態において、触媒は、いずれか1つのモレキュラーシーブ要素単独が使用される時と同等またはより低いNH3スリップでNOxの二窒素(dinitrogen)へのより高い累積変換率を有する。
【0021】
本発明は、触媒活性度を非常に改善し、現在の最新のSCR触媒に比べてより低いNH3露出(触媒の飽和貯蔵容量に対して低い露出)でより高い活性度を得るようになる。ゼロアンモニア露出から飽和アンモニア露出までの活性度の増加率が「過渡応答」と言及される。
【0022】
一実施形態において、第1モレキュラーシーブ要素は、第2モレキュラーシーブ要素より選択された条件に対してより低いNH3充填水準で最大のNOx変換を達成する。例えば、第1モレキュラーシーブ要素のアンモニア充填水準は、20〜60%または30〜50%のように10〜80%の範囲内であり得る。
【0023】
第1および第2モレキュラーシーブは、ゼオライトおよび非ゼオライトモレキュラーシーブから独立して選択できる。国際ゼオライト協会による「ゼオライト」は、一般的にケイ酸アルミニウムであることが考慮され、「非ゼオライトモレキュラーシーブ」は、対応するゼオライトと同一のフレームワーク形態(または結晶体構造)のモレキュラーシーブであり得、リン、コバルトとリンの両方、銅または鉄のようなその結晶格子に存在する1つ以上の非アルミニウム/非シリコンカチオンを有する。したがって、例えば、SSZ−13がフレームワーク形態コードCHAのゼオライトであり、SAPO−34が同一のCHAフレームワーク形態コードを共有するシリコアルミノホスフェート非ゼオライトモレキュラーシーブである。特に、イオン含有アルミノケイ酸塩ゼオライト(ここで定義されたように非ゼオライトモレキュラーシーブ)が好ましいが、その例としては、WO2009/023202とEP2072128A1に記載されたFe含有ZSM5、ベータ、CHAまたはFERがあり、これらは、熱水的に安定的で相対的に高いSCR活性度を有する。また、利点として、発明者らは、特定の実施形態において、このような鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトを含む触媒が硝酸アンモニウムをほとんど生成しないか全く生成せず、相対的に高い選択性(例えば、低N2O)を示すことを見出した。このような物質に対する典型的なSiO2/Al2O3のモル比は30〜100であり、SiO2/Fe2O3の場合、20〜100のような20〜300である。
【0024】
好ましい実施形態において、第1(ゼオライトまたは非ゼオライト)モレキュラーシーブ要素は、最大環サイズが8四面体原子である、表1に記載されたいずれか1つから選択される小細孔モレキュラーシーブであり得る。選択的に、第2(ゼオライトまたは非ゼオライト)モレキュラーシーブ要素も、最大環サイズが8四面体原子の第1モレキュラーシーブ要素とは独立して、表1に記載されたいずれか1つから選択される小細孔モレキュラーシーブであり得る。
【0025】
【表1】
【0026】
一実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONからなるフレームワーク形態コードの群より選択できる。
【0027】
車両排気ガスのような希薄燃焼内燃機関の排気ガスのNOx処理のための特定の分野における小細孔モレキュラーシーブが表2に記載される。
【0028】
【表2】
【0029】
特定の実施形態において、第2モレキュラーシーブ(ゼオライトまたは非ゼオライトモレキュラーシーブ)要素は、中細孔、大細孔またはメソ細孔サイズのモレキュラーシーブであり得る。
【0030】
特に好ましい実施形態において、第1モレキュラーシーブは、CuCHA物質であり、第2モレキュラーシーブは、FeBEA、FeFER、FeCHAまたはFeMFI(例えば、ZSM−5)であり、Feは、含浸、イオン交換および/またはモレキュラーシーブの結晶格子内に存在して形成される。
【0031】
ここで、「中細孔」は、モレキュラーシーブが10四面体原子の最大環サイズを有し、「大細孔」は、12四面体原子の最大環サイズを有することを意味する。メソ細孔モレキュラーシーブは、12より大きい最大環サイズを有する。
【0032】
本発明で第2モレキュラーシーブとして使用するに適した中細孔モレキュラーシーブは、ZSM−5(MFI)、MCM−22(MWW)、AIPO−11およびSAPO−11(AEL)、AIPO−41およびSAPO−41(AFO)、フェリエライト(FER)、ヒューランダイトまたはクリノプチロライト(HEU)を含む。本発明で使用される大細孔モレキュラーシーブは、ultrastable−Y(またはUSY)のようなゼオライトY、ファージャサイトまたはSAPO−37(FAU)、AIPO−5およびSAPO−5(AFI)、SAPO−40(AFR)、AIPO−31およびSAPO−31(ATO)、Beta(BEA)、グメリナイト(Gmelinite)(GME)、モルデナイト(MOR)およびオフレタイト(OFF)を含む。
【0033】
WO2008/132452によれば、ZSM−5ゼオライトまたはベータゼオライトのようなある中細孔および大細孔モレキュラーシーブは、触媒コーキングをもたらすことがある。ある中細孔および大細孔モレキュラーシーブ要素の選択は、ある面で適切でないこともある。基本的に、一方で改善された過渡応答と他方で発生したコーキングとの間で均衡が破れる。しかし、このようなコーキング問題は、適切な排気システム設計で低減または解消することができるが、このような設計の例としては、供給ガス内の炭化水素を変換(そうでなければ、中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブ要素をコーキングさせ得る)可能なSCR触媒を酸化触媒の上流に位置させることである。また、小細孔モレキュラーシーブが中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブと混合されたある実施形態において、小細孔モレキュラーシーブの存在が中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブでのコーキングを低減させることができる。このような構造の他の利点は、触媒と接触する供給ガスにおけるNO:NO2の比が調整され、SCR触媒における全体のNOx変換を改善させることができることである。
【0034】
本発明で使用するためのモレキュラーシーブは、1次元、2次元および3次元モレキュラーシーブから独立して選択できる。3次元の次元数を示すモレキュラーシーブは、すべての3結晶学的次元で互いに連結された空隙構造を有し、2次元の次元数を有するモレキュラーシーブは、2結晶学的次元でのみ互いに連結された空隙を有する。1次元の次元数を有するモレキュラーシーブは、2結晶学的次元で互いに連結されたいずれの空隙も有さない。
【0035】
本発明で使用するための小細孔モレキュラーシーブ、特に、アルミノケイ酸塩は、2〜300、選択的には8〜150(例えば、15〜50または25〜40)のような4〜200のシリカ−アルミナ比(SAR)を有することができる。より高いSARは、熱安定性(特に、熱水エージング後、低温での高い触媒活性度)を改善するのに好適であるが、これは、遷移金属の交換に否定的な影響を及ぼすことがある。したがって、好ましい物質の選択において、SARの選択によっては2つの性質の間で均衡が破れることもある。鉄が存在するフレームワーク(iron−in−framework)モレキュラーシーブ用SARは、本明細書の他の部分で説明される。
【0036】
好ましい実施形態において、第1モレキュラーシーブ、第2モレキュラーシーブまたはこれら両方とも、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Re、IrおよびPtからなる群より独立して選択された1種以上の金属を含む。第1モレキュラーシーブに含有された金属は、第2モレキュラーシーブに含有されたものと同じであっても異なっていてもよい。したがって、例えば、第1モレキュラーシーブは、銅を含むことができ、第2モレキュラーシーブは、鉄を含むことができる。一実施形態において、2つのモレキュラーシーブは、ともにイオン交換可能である。
【0037】
前述した表1のように、ここで、「1種以上の遷移金属を含むモレキュラーシーブ」によってモレキュラーシーブがカバーされ、アルミニウムとシリコン以外の要素がモレキュラーシーブのフレームワーク内に置換される。このようなモレキュラーシーブは、「非ゼオライトモレキュラーシーブ」として知られており、1種以上の金属で置換される「SAPO」、「MeAPO」、「FeAPO」、「AIPO4」、「TAPO」、「ELAPO」、「MeAPSO」および「MeAIPO」を含む。適切な置換金属は、限定されず、As、B、Be、Co、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Ti、ZnおよびZrのうちの1種以上を含む。このような非ゼオライトモレキュラーシーブは、前述した適切な金属、すなわち、Cr、Mn、Fe、Coなどによって順次に含浸され得る。第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブのうちの少なくとも1つは、置換フレームワーク金属を含むことができる。第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブが置換フレームワーク金属を含む場合、各置換金属は、前記リストから独立して選択される。
【0038】
特定の実施形態において、本発明で使用するための小細孔ゼオライトと非ゼオライトモレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩ゼオライト、好ましい鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトとリン酸アルミニウムモレキュラーシーブのような金属置換アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブからなる群より選択できる。
【0039】
本発明に適用されるリン酸アルミニウムモレキュラーシーブは、リン酸アルミニウム(AIPO4)モレキュラーシーブと、金属置換リン酸アルミニウムモレキュラーシーブ(MeAIPO)と、シリカ−リン酸アルミニウム(SAPO)モレキュラーシーブと、金属置換シリコ−リン酸アルミニウム(MeAPSO)モレキュラーシーブとを含む。
【0040】
第1または第2モレキュラーシーブ要素として使用するのに特に興味深いモレキュラーシーブ要素の群は、鉄置換アルミノケイ酸塩であり、鉄はモレキュラーシーブのフレームワークに存在する。本発明の使用のための、すなわち、移動型NOx発生源からの排気ガスを処理するためのSCR触媒の好ましい適用において、鉄置換アルミノケイ酸塩は、強力な「温室」ガスであるN2Oを相対的に低く発生させるか全く発生させないことから、特に興味深い。
【0041】
一実施形態において、少なくとも1種の遷移金属が、Cr、Ce、Mn、Fe、Co、NiおよびCuからなる群より選択される。好ましい実施形態において、少なくとも1種の遷移金属は、Cu、FeおよびCeからなる群より選択される。特定の実施形態において、少なくとも1種の遷移金属は、Cuからなる。他の特定の実施形態において、少なくとも1種の遷移金属は、Feからなる。さらに他の特定の実施形態において、少なくとも1種の遷移金属は、Cuおよび/またはFeである。
【0042】
前記少なくとも1種の遷移金属含有モレキュラーシーブに含有可能な前記少なくとも1種の遷移金属の総和は、少なくとも1種の遷移金属を含む前記モレキュラーシーブ触媒の総重量に対して0.01〜20.00重量%であり得る。一実施形態において、含有可能な前記少なくとも1種の遷移金属の総和は、0.1〜10.0重量%であり得る。特定の実施形態において、含有可能な前記少なくとも1種の遷移金属の総和は、0.5〜5.0重量%であり得る。好ましい実施形態において、仮に、鉄が存在するフレームワークモレキュラーシーブのためにSiO2/Fe2O3比を満足すれば(存在するSiO2/Fe2O3が50〜200、好ましくは50〜100)、前記遷移金属の荷重は、2.0〜4.0重量%であり、前記SARは、25〜50または>40または>60、例えば、40<60、40<70または60<100である。
【0043】
遷移金属は、液相交換または固体イオン交換または初期湿式工程(incipient wetness process)のような当該分野において公知の技術を利用して、モレキュラーシーブ内に混合(結合)できる。鉄含有アルミノケイ酸塩ゼオライトの製造のために、Journal of Catalysis(232(2)318−334(2005))、EP2072128およびWO2009/023202と、参照文献や引用文献を参照することができる。
【0044】
特に好ましい実施形態において、触媒成分は、大細孔モレキュラーシーブの第1モレキュラーシーブと小細孔モレキュラーシーブの第2モレキュラーシーブとの組合せからなるか、これらを含む。ある好ましい実施形態において、小細孔モレキュラーシーブは、CHAフレームワーク、より好ましくはSSZ−13フレームワークを備え、銅を含む。ある好ましい実施形態において、このような小細孔モレキュラーシーブは、BEAフレームワークを備える大細孔モレキュラーシーブと混合される。好ましくは、BEAフレームワークは、交換または遊離する鉄を含むか、鉄同形(isomorphous:イソモルファス)のBEA分子構造(BEA型フェロシリケート(ferrosilicate)として言及される)を含むが、鉄同形のBEA分子構造であることが特に好ましい。
【0045】
ある好ましい実施形態において、鉄同形のBEA分子構造は、(1)約20〜約300のSiO2/Fe2O3のモル比を有する鉄含有BEAフレームワーク構造を含む結晶質ケイ酸塩であり、(2)含有された鉄の少なくとも80%が新鮮な状態で鉄イオンFe3+に分離および/またはモルでlog(SiO2/Al2O3)が少なくとも2になる。本発明で有用な好ましいBEA型フェロシリケートは、次の式で表される組成物を含み、
(x+y)M(2/n)O・xFe2O3・yAl2O3・zSiO2・wH2O
ここで、nはカチオンMの原子値で、x、yおよびzはFe2O3、Al2O3およびSiO2それぞれのモル分率で、x+y+z=1で、wは少なくとも0の数字で、z/xは20〜300、yは0であり得、選択的に、z/yは少なくとも100である。
【0046】
好ましくは、鉄含有BEAフレーム構造は、モル比約25〜約300、約20〜150、約24〜約150、約25〜約100、約50〜約80のSiO2/Fe2O3を備える。仮に、モルとしてlog(SiO2/Al2O3)が少なくとも2(すなわち、モルとしてSiO2/Al2O3比が少なくとも100)であれば、モルとしてlog(SiO2/Al2O3)の上限は、特に限定されない。モルとしてlog(SiO2/Al2O3)は、好ましくは少なくとも2.5(すなわち、モルとしてSiO2/Al2O3比が少なくとも310)、より好ましくは少なくとも3(すなわち、モルとしてSiO2/Al2O3比が少なくとも1,000)である。モルとしてlog(SiO2/Al2O3)が4を超過(すなわち、モルとしてSiO2/Al2O3比が少なくとも10,000)する時、窒素酸化物の還元性能は最高水準で一定である。
【0047】
ある好ましい実施形態において、CHAモレキュラーシーブは、約1ミクロンより大きい、好ましくは約1〜約5ミクロン、最も好ましくは約2〜約4ミクロンの平均結晶サイズを有することを特徴とする。BEA型フェロシリケートにおいて、窒素酸化物の還元のための触媒活性度を最も顕著に示す鉄成分はFe2O3として合されず、フレームワーク構造内で分離された鉄イオンFe3+に分散する(すなわち、ケイ酸塩フレーム構造またはイオン交換サイトで分離されて分散する)。分離された鉄イオンFe3+は電子スピン共鳴測定によって検出できる。BEA型フェロシリケートの組成を限定するために使用されるもので、SiO2/Al2O3のモル比は、BEA型フェロシリケート内の分離された鉄イオンFe3+を含む全体の鉄含有量を規定するための1つの便利な表現であり得る。
【0048】
小細孔/大細孔ゼオライトブレンド、特に、銅交換SSZ−13/Fe−BEA組合せの使用は、構成要素に比べてN2Oの形成を増加させることができる。したがって、このような組合せの使用は、特定の適用においては有害であり得る。しかし、銅交換SSZ−13/BEA型フェロシリケート組合せの使用は、このような問題を顕著に克服することができ、窒素への改善された選択性を提供する。区域化されて層状化されたSCR触媒は、特に、排気ガスが約50/50のNO、NO2比を有する時、特に追加された改善点を提供する。このような触媒は、等価のブレンドに対してN2Oの排出を約75%まで低減し、低いNO/NO2ガス混合物で優れた過渡応答と優れた変換率を維持する。
【0049】
驚くべきことに、銅交換SSZ−13/プリエージング(pre−aging)Fe−BEAの組合せは、従来のFe−BEAを有する組合せより概してより優れた結果を生むことができる。したがって、500℃で1時間という従来の処理の代わりに、Fe−BEA物質が、600〜900℃、好ましくは650〜850℃、より好ましくは700〜800℃、さらに好ましくは725〜775℃で、3〜8時間、好ましくは4〜6時間、より好ましくは4.5〜5.5時間、さらに好ましくは4.75〜5.25時間好ましくエージングされる。銅交換SSZ−13/プリエージングされたFe−BEA組合せを用いた実施形態は、N2Oの形成が望ましくない分野で有利である。Fe−BEAに対するCu:SSZ−13の比およびBEA−フェロシリケートに対するCu:SSZ−13の比と類似のプリエージングされたFe−BEAに対するCu:SAZ−13の比は、本発明の範囲に含まれる。また、Fe−BEAに対するCu:SSZ−13の組合せおよびBEA−フェロシリケートに対するCu:SSZ−13の組合せと類似のプリエージングされたFe−BEAに対するCu:SSZ−13の組合せも、本発明の範囲に含まれる。
【0050】
第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブとも同一の触媒コーティング内に存在、すなわち、適切な基材モノリス上のウォッシュコート(washcoat)内にコーティングされ得るか、第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブ要素のそれぞれは、1つの上の他の1つのウォッシュコート層で分離されてもよく、第2モレキュラーシーブ要素上の一層内の第1モレキュラーシーブ要素またはその逆も可能である。あるいは、第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブの両方は、押出形態の基材モノリスを形成するための組成に混合可能である。選択的に、押出されたモノリスは、追加的に第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブ要素の一方または両方を含むウォッシュコートでコーティングされ得る。あるいは、第1モレキュラーシーブ要素および第2モレキュラーシーブ要素のうちのいずれか1つのみを含む、押出された基材モノリスが形成され、押出された基材モノリスが押出物に存在しない他のモレキュラーシーブ要素を含むウォッシュコートでコーティングされるか、ウォッシュコートが第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブをすべて含むことができる。押出されてコーティングされた基材モノリスを組合せるすべての構造において、第1および/または第2モレキュラーシーブ要素は、押出物および触媒コーティングともに存在する箇所で、第1モレキュラーシーブ要素は押出物とコーティングにおいて同一であっても異なっていてもよい。したがって、例えば、ウォッシュコートは、SSZ−13ゼオライトを含むことができ、押出物は、SAPO−34を含むことができる。同一の事項が第2モレキュラーシーブ要素に適用されるが、すなわち、ウォッシュコートがZSM−5ゼオライトを含むことができ、押出物がベータゼオライトを含むことができるということである。
【0051】
モノリス基材上にコーティングしたり押出形態の基材モノリスを製造するために本発明で使用するためのモレキュラーシーブを含むウォッシュコート組成物は、アルミナ、シリカ、(非ゼオライト)シリカ−アルミナ、自然発生クレー(clay)、TiO2、ZrO2およびSnO2からなる群より選択されたバインダーを含むことができる。
【0052】
適切な基材モノリスは、コーディエライト(cordierite)またはフェクラロイ(fecralloy)のような材質の金属基材からなる、いわゆる、フロースルー基材モノリス(すなわち、全体の部分にわたって軸方向に延びる多くの小さく平行なチャネルを有するハニカムモノリス触媒支持構造)を含む。基材モノリスは、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素またはムライト材質のウォールフローフィルタ、セラミック発泡体、焼結された金属フィルタ、またはEP1057519もしくはWO01/080978に開示されたような、いわゆる、部分フィルタを含むフィルタであり得る。
【0053】
他の態様によれば、本発明は、移動型発生源から排出された窒素酸化物を含む流動排気ガスを処理するための排出システムを提供するが、このシステムは、本発明にかかる、SCR触媒から流れ方向に沿って上流に位置する窒素含有還元剤のソースを含む。
【0054】
窒素含有還元剤のソースは、所望の程度にNOxを変換するために、還元剤またはその前駆体(適切な容器またはタンクに貯蔵される)の適切な量を伝達するための適切にプログラムされた電子制御ユニットの制御によって作動する適切な注入手段を含むことができる。液体または固体アンモニア前駆体は、例えば、尿素((NH2)2CO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムまたはギ酸アンモニウムであり得る。あるいは、アンモニアそのものまたはヒドラジンが使用可能である。
【0055】
他の実施形態において、窒素含有還元剤のソースは、少なくとも1つのエンジンシリンダが、例えば、残りのエンジンシリンダで正常な作動条件(例えば、理論的に均衡の取れた酸化還元(redox)組成、または濃厚な酸化還元組成を有する排気ガスを発生させる)よりも濃厚に作動するように構成されたエンジンと組み合わせたNOx吸収材(NOxトラップ、希薄NOxトラップまたはNOx吸収触媒(NAC)として知られる)および/または炭化水素を流動排気ガスに注入するために、NOx吸収材の上流に位置する、分離された炭化水素の注入手段である。NOx吸収材に吸収されたNOxは、吸収されたNOxを還元環境と接触させてアンモニアに還元される。本発明にかかるSCR触媒をNOx吸収材の下流に位置させることにより、インサイチューで発生したアンモニアは、NOx吸収材がエンジンによって発生した濃厚な排気ガスなどと接触することで再生される時、SCR触媒におけるNOx還元のために使用可能である。
【0056】
あるいは、窒素含有還元剤のソースは、正常より間欠的にまたは連続的により濃厚に作動するように構成された少なくとも1つのエンジンそれぞれの排気マニホールドに位置するNOxトラップまたは改質触媒のような分離触媒であり得る。
【0057】
他の実施形態において、排気ガス内の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるための酸化触媒が、排気ガスとSCR触媒内に入る窒素含有還元剤を測定する地点の上流に位置することができる。
【0058】
酸化触媒は、フロースルーモノリス基材にコーティングされた少なくとも1種の貴金属、好ましくは、白金、パラジウムまたはロジウムのような白金族元素(またはその組合せ)を含むことができる。一実施形態において、少なくとも1種の貴金属は、白金、パラジウム、または白金とパラジウムとの組合せ、またはPd−Auの合金、選択的にはPt−Pdの組合せである。前記貴金属は、アルミナ、アルミノケイ酸塩ゼオライト、シリカ、非ゼオライトシリカアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、またはセリアとジルコニアとを含む混合物、または組成酸化物のような高表面領域のウォッシュコート要素上に支持可能である。
【0059】
他の実施形態において、適切なフィルタ基材は、酸化触媒と、本発明にかかる触媒との間に位置する。フィルタ基材は、ウォールフローフィルタのような前述したものから選択できる。フィルタが前記論議された種類の酸化触媒で触媒作用を受ける箇所、好ましくは、窒素含有還元剤の計測地点が、フィルタと、本発明にかかる触媒との間に位置する。このような配置は、WO99/39809に記載されている。あるいは、仮にフィルタが触媒作用を受けなければ、還元剤を計測する手段は、酸化触媒とフィルタとの間に位置することができる。
【0060】
他の実施形態において、本発明で使用するためのSCR触媒は、フィルタ上にコーティングされたり酸化触媒の下流に位置する押出型触媒内に形成される。フィルタが本発明で使用するためのSCR触媒を含む場合に、窒素含有還元剤を計測する地点は、酸化触媒とフィルタとの間に位置することが好ましい。
【0061】
他の態様によれば、本発明は、本発明にかかる排気システムを備える希薄燃焼内燃機関を提供する。ある実施形態において、エンジンは、圧縮点火エンジンまたは強制点火(positive ignition)エンジンであり得る。強制点火エンジンは、ガソリン燃料、メタノールおよび/またはエタノールを含む酸素と混合されたガソリン燃料、LPGまたはCNGを含む多様な燃料を使用することができる。圧縮点火エンジンは、ディーゼル燃料、ガス−液体方法によって製造された合成炭化水素を含む非ディーゼル炭化水素とともに混合されたディーゼル燃料またはバイオ要素を使用することができる。
【0062】
さらに他の態様において、本発明は、本発明にかかる希薄燃焼内燃機関を備える車両を提供する。
【0063】
さらなる態様において、本発明は、その組成、流量および温度が一時的にそれぞれ変化する移動型発生源の排気ガス内の窒素酸化物(NOx)の変換方法を提供するが、前記方法は、第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との組合せを含む選択的触媒還元のための触媒の存在下でNOxを窒素含有還元剤と接触させるステップを含み、FTP(Federal Test Procedure)75サイクル上でテストされた直接比較において、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxのより高い累積変換率を有する。
【0064】
一実施形態において、触媒に入る供給ガス内のNO:NO2の累積モル比が1以下の時、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxのより高い累積変換率を有する。
【0065】
他の実施形態において、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxの二窒素へのより高い累積変換率を有する。
【0066】
さらなる実施形態において、窒素酸化物は、少なくとも100℃の温度で窒素含有還元剤で還元される。他の実施形態において、窒素酸化物は、約150℃〜750℃の温度で還元剤で還元される。後者の実施形態は、大型および小型車両用ディーゼルエンジン、例えば、特に、炭化水素をフィルタの上流の排気システム内に注入することで活動的に再生される(選択的に触媒作用を受ける)ディーゼル微粒子フィルタを含む排気システムを備えるエンジンから排出される排気ガスを処理するのに特に有用であるが、本発明にかかる前記触媒は、フィルタの下流に位置する。
【0067】
特定の実施形態において、前記温度範囲は、175〜550℃である。他の実施形態において、前記温度範囲は、175〜400℃である。
【0068】
他の実施形態において、窒素酸化物の還元は、酸素の存在下で行われる。これとは異なる実施形態において、窒素酸化物の還元は、酸素が存在しない条件で行われる。
【0069】
窒素酸化物を含むガスは、本発明にかかる触媒と、5,000hr−1〜500,000hr−1、選択的には10,000hr−1〜200,000hr−1のガス空間速度で接触することができる。
【0070】
SCR触媒と接触する窒素含有還元剤の計測器が配置され、理論的アンモニアの60%〜200%が、1:1のNH3/NOおよび4:3のNH3/NO2で計算されたSCR触媒に入る排気ガス内に存在することができる。
【0071】
さらなる実施形態において、排気ガス内の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるステップが、窒素含有還元剤の導入前に実施できる。このようなNO酸化ステップは、適切な酸化触媒を用いて実施できる。一実施形態において、酸化触媒は、例えば、酸化触媒入口で250℃〜450℃の温度を有する排気ガスにおいて、約4:1〜約1:3のNO対NO2の体積比を有するSCR触媒に入るガス流を生産するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
本発明がよりよく理解されるように、添付した図面を参照する。
【図1】図1は、本発明にかかる排気システムの実施形態を概略的に示す図である。
【図2】図2は、本発明にかかる追加的な排気システムの実施形態を概略的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1、2および3によって製造された新鮮触媒(fresh catalyst)において、実施例3で説明されたNOx変換活性度テストの結果を示すグラフである。
【図4】図4aないし図4dは、基材上の第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとの異なる形態の組合せを示す。
【図5】図5は、本発明のある実施形態に連関付けられたデータを示すグラフである。
【図6】図6a、図6b、は、本発明のある実施形態に連関付けられたデータを示すグラフである。
【図7】図7は、本発明のある実施形態に連関付けられたデータを示すグラフである。
【図8】図8aないし図8cは、本発明のある実施形態に連関付けられたデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1は、小型ディーゼルエンジン12と排気システム14とを含む装置10を示す。排気システム14は、エンジンで発生した排気ガスを大気15に移動させるための導管を備え、流動方向に沿って、本発明にかかるSCR触媒(鉄が存在するゼオライトフレームワークBEAと混合されるか、追加的なイオン交換鉄でイオン交換されたCu/SSZ−13)でコーティングされたウォールフローフィルタ18に先立ち、NOx吸収触媒((NAC)NOxトラップまたは希薄NOxトラップとしても知られる)16でコーティングされた金属基材モノリスが備えられる。アルミナに対して相対的に低いPtの荷重を有するクリーンアップ(clean−up)触媒24がウォールフローフィルタ18の下流に位置する。
【0074】
使用において、エンジンは希薄空燃比で動作し、NOxはNACで吸収される。間欠的に、エンジンは、NOxを除去し還元させるために濃厚に動作する。濃厚な動作において、NOxの一部はNH3に還元され、追加的なNOx還元のために下流のSCR触媒に貯蔵される。SCR触媒は、間欠的な濃厚動作でNOxを処理したりもする。NAC上でNO2に酸化したNOは、フィルタ18で捕獲された煤煙を燃焼させるのに使用される。NACは、フィルタの強制(活動)再生時に追加された炭化水素を燃焼させるのに使用されたりもする。
【0075】
図2は、ディーゼルエンジン12と排気システム13とを備える、本発明にかかる他の装置11を示す。排気システム13は、エンジンの排気マニホールドに近く位置(いわゆる、隣接結合位置)する不活性セラミックフロースロー基材19上にコーティングされた触媒的後処理要素(すなわち、2Au−0.5Pd/Al2O3触媒)を連結する導管17を含む。モレキュラーシーブフレームワーク構造内に存在するFeを有するCuとFeCHAでイオン交換されたアルミノケイ酸塩の混合を含む圧縮型のフロースロー触媒22が隣接結合触媒19の下流(いわゆる、アンダーフロア位置)に位置する。窒素含有還元剤(尿素)のソースはタンク28内に提供され、これは、触媒19、22の間の排気ガス導管17に注入される。
【0076】
ある実施形態において、組成、流量および温度がそれぞれ臨時的に変化可能な供給ガス内において、窒素含有還元剤を用いて窒素酸化物の変換に対する選択的な触媒作用のための触媒が提供されるが、前記触媒は、第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との組合せを含み、FTP(Federal Test Procedure)75サイクル上でテストされた直接比較において、前記触媒は、単独モレキュラーシーブ要素と同等またはより低いNH3スリップでより高いNOxの累積変換率を有する。
【0077】
好ましくは、触媒に入る供給ガスでNO:NO2の累積モル比が1以下の場合に、触媒は、いずれか1つのモレキュラーシーブ要素単独で使用される時と同等またはより低いNH3スリップでより高いNOxの、好ましくは元素窒素への累積変換率を有する。
【0078】
ある実施形態において、SCR触媒は、第2モレキュラーシーブ要素より選択された条件に対してより低いNH3充填水準で最大のNOx変換を達成する第1モレキュラーシーブ要素を備える。好ましくは、第1モレキュラーシーブ要素の前記より低いNH3充填水準は、10〜80%の範囲である。
【0079】
SCR触媒のある実施形態において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブは、ゼオライトおよび非ゼオライトモレキュラーシーブから独立して選択できる。好ましくは、モレキュラーシーブ要素のうちの1つは、8四面体原子の最大環サイズを有する小細孔モレキュラーシーブであり、好ましくは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZON、特に好ましくは、CHA、LEV、ERI、DDR、KFI、EAB、PAU、MER、AEI、GOO、YUG、GISおよびVNIからなる群より選択される。好ましくは、他のモレキュラーシーブ要素が、小細孔、中細孔、大細孔またはメソ細孔モレキュラーシーブから選択される。好ましい中細孔モレキュラーシーブは、MFI、MWW、AEL、AFO、FERおよびHEUを含む。好ましい大細孔モレキュラーシーブは、FAU、AFI、AFR、ATO、BEA、GME、MORおよびOFFを含む。
【0080】
ある実施形態において、第1モレキュラーシーブおよび第2モレキュラーシーブのうちの少なくとも1つは、As、B、Be、Co、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Ti、ZnおよびZrからなる群より選択される置換フレームワーク金属を含む。ある実施形態において、第1モレキュラーシーブ要素および第2モレキュラーシーブ要素のうちの少なくとも1つは、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Re、IrおよびPt、好ましくは、Cr、Ce、Mn、Fe、Co、NiおよびCuからなる群より独立して選択される1種以上の金属を含む。
【0081】
本発明の一態様によれば、排気ガスの移動発生源から発生した窒素酸化物を含む流動排気ガスを処理するための排気システムが提供されるが、このシステムは、ここで説明される選択的触媒還元用触媒から流れ方向に沿って上流に位置する窒素含有還元剤のソースを含む。ある実施形態において、前記システムは、窒素含有還元剤のソースの上流に位置する酸化触媒とSCR触媒とをさらに含む。ある実施形態において、前記システムは、前記酸化触媒と前記窒素含有還元剤のソースとの間に位置するフィルタをさらに含む。
【0082】
本発明の一態様によれば、ここで説明される排気システムを含む圧縮点火エンジンまたは強制点火エンジンのような希薄燃焼内燃機関が提供される。ある実施形態において、前記エンジンは、少なくとも部分的に前記窒素酸化剤のソースとして機能するNOx吸収剤を含む。
【0083】
本発明の一態様によれば、ここで説明される希薄燃焼内燃機関を含む車両が提供される。
【0084】
本発明の一態様によれば、その組成、流量および温度が一時的にそれぞれ変化する移動型発生源の排気ガス内の窒素酸化物(NOx)の変換方法が提供されるが、前記方法は、第1モレキュラーシーブ要素と第2モレキュラーシーブ要素との組合せを含む選択的触媒還元のための触媒の存在下でNOxを窒素含有還元剤と接触させるステップを含み、FTP(Federal Test Procedure)75サイクル上でテストされた直接比較において、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxのより高い累積変換率を有する。前記発明のある実施形態において、触媒に入る供給ガス内のNO:NO2の累積モル比が1以下の時、触媒は、1つのモレキュラーシーブ要素のみを使用する場合と同等またはより低いNH3スリップでNOxの、好ましくは二窒素へのより高い累積変換率を有する。前記方法のある実施形態において、NOxは、少なくとも100℃、好ましくは約150℃〜750℃の温度で変換される。前記方法のある実施形態において、NOx含有ガスは、5,000hr−1〜500,000h−1のガス空間速度でSCR触媒と接触する。ある実施形態において、理論的アンモニアの約60%〜約200%が1:1のNH3/NOおよび4:3のNH3/NO2で計算されたSCR触媒と接触する。前記方法のある実施形態において、SCR触媒と接触するガスのNO:NO2の比は、約4:1〜1:3である。
【0085】
以下の実施例は、説明のためにのみ提供される。
【0086】
実施例
実施例1−新鮮な3重量%のCu/SSZ−13
(アルミノケイ酸塩CHA)触媒の製造法
商業的に使用可能なSSZ−13ゼオライト(CHA)は、NH4NO3溶液でNH4+イオン交換後、フィルタリングされた。結果物質は、撹拌によりCu(NO3)2の液状溶液に添加された。スラリーは、フィルタリングされ、洗浄後、乾燥した。この過程は、所望の金属荷重を達成するために繰り返し可能である。最終産物はか焼された。本実施例によって製造された物質は、ここで「新鮮」と記載される。
【0087】
実施例2−新鮮な5重量%のFe/ベータ触媒の製造法
商業的に使用可能なベータゼオライトは、NH4NO3溶液でNH4+イオン交換後、フィルタリングされた。結果物質は、撹拌によりFe(NO3)3の液状溶液に添加された。スラリーは、フィルタリングされ、洗浄後、乾燥した。この過程は、所望の金属荷重を達成するために繰り返し可能である。最終産物はか焼された。本実施例によって製造された物質は、ここで「新鮮」と記載される。
【0088】
実施例3−触媒混合
実施例1および2によって製造されたサンプルの物理的混合により新鮮でエージングされた重量比1:3のFe/ベータ:Cu/SSZ−13の分離型物理的ブレンドが製造された。同様に、重量比1:3のBEA−フェロシリケート:CuSSZ−13の物理的ブレンドが製造された。
【0089】
実施例4−NOx変換活性度テスト
実施例1、2および3によって製造された新鮮な粉末サンプルの活性度が、60,000hr−1の空間速度で、125ppmのNO、375ppmのNO2、750ppmのNH3、14%のO2、4.5%のH2O、4.5%のCO2、N2に均衡が維持されたガス混合を用いて、実験室装置にて250℃でテストされた。テストは、20ppmのNH3がサンプルの下流で検出された時に停止した。結果は、図3に示された。
【0090】
結果から、Fe/ベータ(Beta)サンプルは、速い過渡応答を有するが、限られた最大変換率を有することが確認された。また、Cu/SSZ−13とFe/Beta+Cu/SSZ−13ブレンドとの比較テストにおいて、NH3を早期にスリップしたりもする。過渡応答は、触媒でNH3の充填水準が増加するにつれてNOx変換率が増加する速度として定義される。Cu/SSZ−13は、より優れ、より高い最大変換率を有するが、より遅い過渡応答を有する。Fe/BetaおよびCu/SSZ−13の組合せは、速い過渡応答、より高い最大変換率を提供するが、シナジーの証拠として、中間NH3充填水準で個別要素よりも高い変換率を示す。プリエージングされた1:3のFe/Beta:Cu/SSZ−13も改善された結果を提供するはずである。
【0091】
実施例5−ブレンド、層、区域組合せの比較
1:3(重量)のBEA−フェロシリケート:CuSSZ−13組合せの3つのサンプルが製造され、ブレンド、区域および層として基材上に分離されてコーティングされた。3つのコーティングされた基材は、NO:NO2比が約50:50の場合を除けば、実施例4で説明されたのと類似のテスト環境に露出する。結果は、図5に示された。
【0092】
結果から、区域とブレンドが、ブレンドに比べてより高いNOx変換率を達成することが確認された。
【0093】
実施例6−N2Oの形成
1:3(重量)のFeBEA:CuSSZ−13組合せのサンプルと1:3(重量)のBEA−フェロシリケート:CuSSZ−13の3つのサンプルが製造され、基材上に分離されてコーティングされた。FeBEA:CuSSZ−13組合せは、ブレンドでコーティングされ、BEA−フェロシリケート:CuSSZ−13組合せのサンプルは、ブレンド、区域および層として分離されてコーティングされた。サンプルのそれぞれは、NH3の投入(20ppmのスリップ)とともに混合された偽ディーゼル排気ガスに露出した。露出する間の平均N2Oの形成が記録され、図6aと図6bに示された。
【0094】
FeBEA:CuSSZ−13ブレンドが最大変換と結果的に「N2選択的」過渡応答で顕著に還元させる相当量のN2Oを発生させることが明らかである。このような変換での還元は、独立して評価された2つの要素で観測されるものよりも大きい。驚くべきことに、BEA−フェロシリケート:CuSSZ−13ブレンドは、他のCuSSZ−13/ゼオライトブレンドで観測されるものより実質的により低いN2Oを生成する。しかし、BEA−フェロシリケート:CuSSZ−13の層と区域は、ブレンドで観測される低いN2Oの生成を維持するが、他のNO2水準下で改善された過渡応答を示す(図7参照)。
【0095】
実施例−NO:NO2比の効果
BEA−フェロシリケート:CuSSZ−13の4つのサンプルが製造され、NH3還元剤とともに混合された偽ディーゼル排気ガスに露出する間、NOx変換能力がテストされた。テストは、250℃の温度と約60,000/hourのガス空間速度で行われた。結果は、下記表のとおりである。ここで、参照(「ref.」)触媒は、CuSSZ−13であり、「低充填」は、排気ガスの約0.5g/L以下のNH3水準であり、「高充填」は、排気ガスの約1g/L超過のNH3水準である。
【0096】
【表3】
【0097】
実施例8−多重組合せ
FeBEA、CuSSZ−13およびBEA−フェロシリケートのサンプルが用意され、指示された組合せで混合可能であり、多重組合せが図8aないし図8cに示されている。凡例において、触媒を通るガス流れに対して上流に位置する1番目の名前の要素とともに、比は重量で与えられ、ブレンドは挿入語句で表され、区域は「//」で指示される。組合せと多重組合せのそれぞれは、NH3還元剤を含む偽ディーゼル排気ガス流れに露出した。排気ガスにおけるNO:NO2比は、異なる条件で触媒をテストするために、NOのみ存在、50:50のNO:NO2(重量)から、75%のNO2(重量)に変化した。各組合せまたは多重組合せは、NH3充填水準の機能としてNOx変換率(N2Oの形成に対して修正)に対して評価された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的触媒還元(SCR)において使用される触媒であって、
一種以上のMFI構造型のゼオライトと、及び
一種以上のCHA構造型のゼオライトとを備えてなり、
前記一種以上のMFI構造型のゼオライトの少なくとも一種が、鉄(Fe)を包含するものであり、
前記一種以上のCHA構造型のゼオライトの少なくとも一種が、銅(Cu)を包含するものである、触媒。
【請求項2】
前記一種以上のMFI構造型のゼオライトと、前記一種以上のCHA構造型のゼオライトとの重量比が0.1〜1.0である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記一種以上のCHA構造型のゼオライトにおけるシリカ対アルミナ比が8〜150である、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記一種以上のCHA構造型のゼオライトにおけるシリカ対アルミナ比が25〜50である、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記一種以上のゼオライトの重量を基準にして、前記一種以上のMFI構造型のゼオライトにおける鉄(Fe)の量が0.01〜20重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記一種以上のゼオライトの重量を基準にして、前記一種以上のMFI構造型のゼオライトにおける鉄(Fe)の量が0.5〜5.0重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
前記一種以上のゼオライトの重量を基準にして、前記一種以上のCHA構造型のゼオライトにおける銅(Cu)の量が0.01〜20重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
前記一種以上のゼオライトの重量を基準にして、前記一種以上のCHA構造型のゼオライトにおける銅(Cu)の量が2.0〜4.0重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
触媒物品であって、
請求項1に記載の触媒を付与してなるハニカム基材を備えてなり、
前記基材が、フロースルー基材及びウォー−フロー基材からなる群から選択されてなるものである、触媒物品。
【請求項10】
前記触媒が、前記基材に付与されてなるウォッシュコートを備えてなり、
前記ゼオライトが、一つの単一層に包含されてなるものである、請求項9に記載の触媒物品。
【請求項11】
排気ガス処理装置であって、
請求項1に記載の触媒と、
内燃機関と、
前記内燃機関との流動方向における排気ガス導管とを備えてなるものであり、
前記触媒が、前記排気ガス導管内に存在し、
前記内燃機関が、希薄エンジン又はディーゼルエンジンである、排気ガス処理装置。
【請求項12】
NOxを含有するガス流を処理する方法であって、
請求項1に記載の触媒上に前記ガス流を接触させることを含んでなり、
前記ガス流がディーゼル排気ガス流である、処理する方法。
【請求項13】
触媒の組合せであって、
第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとを備えてなり、
第1モレキュラーシーブが、第1金属を含有する第1構造構造を有してなり、
第1構造構造が、AEL、AFI、AFO、AFR、ATO、鉄同形のBEA、BEA、GME、HEU、MFI、MWW、OFF、及びメソ細孔結晶構造からなる群から選択されてなるものであり、
第2モレキュラーシーブが、第2金属を含有する第2構造構造を有してなり、
第2構造構造が、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONからなる群より選択されてなるものであり、
第1金属及び第2金属が、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、In、Sn、ReおよびIrからなる群から選択されてなるものであり、
第2モレキュラーシーブが、約8〜約150のシリカ対アルミナ比を有するCHA結晶構造を有してなり、かつ、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなるものであり、
前記鉄同形のBEAモレキュラーシーブ構造が、約50〜200のシリカ対酸化鉄比を有してなり、
前記組合せが、約0.25〜約0.50の重量比において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとを備えてなり、
前記温度が、約175℃〜約400℃であり、及び
前記供給排気ガス流が、約10,000/時〜約200,000/時のガス空間速度で前記触媒と接触してなる、触媒の組合せ。
【請求項1】
選択的触媒還元(SCR)において使用される触媒であって、
一種以上のMFI構造型のゼオライトと、及び
一種以上のCHA構造型のゼオライトとを備えてなり、
前記一種以上のMFI構造型のゼオライトの少なくとも一種が、鉄(Fe)を包含するものであり、
前記一種以上のCHA構造型のゼオライトの少なくとも一種が、銅(Cu)を包含するものである、触媒。
【請求項2】
前記一種以上のMFI構造型のゼオライトと、前記一種以上のCHA構造型のゼオライトとの重量比が0.1〜1.0である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記一種以上のCHA構造型のゼオライトにおけるシリカ対アルミナ比が8〜150である、請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記一種以上のCHA構造型のゼオライトにおけるシリカ対アルミナ比が25〜50である、請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記一種以上のゼオライトの重量を基準にして、前記一種以上のMFI構造型のゼオライトにおける鉄(Fe)の量が0.01〜20重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記一種以上のゼオライトの重量を基準にして、前記一種以上のMFI構造型のゼオライトにおける鉄(Fe)の量が0.5〜5.0重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
前記一種以上のゼオライトの重量を基準にして、前記一種以上のCHA構造型のゼオライトにおける銅(Cu)の量が0.01〜20重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
前記一種以上のゼオライトの重量を基準にして、前記一種以上のCHA構造型のゼオライトにおける銅(Cu)の量が2.0〜4.0重量%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
触媒物品であって、
請求項1に記載の触媒を付与してなるハニカム基材を備えてなり、
前記基材が、フロースルー基材及びウォー−フロー基材からなる群から選択されてなるものである、触媒物品。
【請求項10】
前記触媒が、前記基材に付与されてなるウォッシュコートを備えてなり、
前記ゼオライトが、一つの単一層に包含されてなるものである、請求項9に記載の触媒物品。
【請求項11】
排気ガス処理装置であって、
請求項1に記載の触媒と、
内燃機関と、
前記内燃機関との流動方向における排気ガス導管とを備えてなるものであり、
前記触媒が、前記排気ガス導管内に存在し、
前記内燃機関が、希薄エンジン又はディーゼルエンジンである、排気ガス処理装置。
【請求項12】
NOxを含有するガス流を処理する方法であって、
請求項1に記載の触媒上に前記ガス流を接触させることを含んでなり、
前記ガス流がディーゼル排気ガス流である、処理する方法。
【請求項13】
触媒の組合せであって、
第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとを備えてなり、
第1モレキュラーシーブが、第1金属を含有する第1構造構造を有してなり、
第1構造構造が、AEL、AFI、AFO、AFR、ATO、鉄同形のBEA、BEA、GME、HEU、MFI、MWW、OFF、及びメソ細孔結晶構造からなる群から選択されてなるものであり、
第2モレキュラーシーブが、第2金属を含有する第2構造構造を有してなり、
第2構造構造が、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUGおよびZONからなる群より選択されてなるものであり、
第1金属及び第2金属が、Cr、Mn、Fe、Co、Ce、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Ru、Rh、Pd、Pt、Ag、In、Sn、ReおよびIrからなる群から選択されてなるものであり、
第2モレキュラーシーブが、約8〜約150のシリカ対アルミナ比を有するCHA結晶構造を有してなり、かつ、約0.5〜約5重量%の銅を含んでなるものであり、
前記鉄同形のBEAモレキュラーシーブ構造が、約50〜200のシリカ対酸化鉄比を有してなり、
前記組合せが、約0.25〜約0.50の重量比において、第1モレキュラーシーブと第2モレキュラーシーブとを備えてなり、
前記温度が、約175℃〜約400℃であり、及び
前記供給排気ガス流が、約10,000/時〜約200,000/時のガス空間速度で前記触媒と接触してなる、触媒の組合せ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【公開番号】特開2013−13894(P2013−13894A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189218(P2012−189218)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2012−540510(P2012−540510)の分割
【原出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2012−540510(P2012−540510)の分割
【原出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】
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