説明

過酸化水素または過酸を使用してカルノシン酸からカルノソールを生成する方法

過酸化水素または過酸を使用してカルノシン酸からカルノソールを生成する溶媒法を示す。カルノシン酸は純粋な形態でも、純粋でない形態でも、植物抽出物の一部でもよいし、あるいはローズマリーの針状の葉に存在していてもよい。触媒は鉄でも、鉄塩でも、少量の水でも、ローズマリーの針状の葉でも、またはこれらの混合物でもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、触媒および過酸化水素または過酸を使用してローズマリー抽出物、ローズマリーの針状の葉またはセージ抽出物に存在し得るカルノシン酸からカルノソールを生成する新規な方法に関する。
【0002】
[背景技術]
ローズマリー(ロスマリヌス・オフィシアリス(Rosmarinus officialis))は、葉が常緑の針状で芳香を放つ木質の多年草であり、地中海地域に原産する。ローズマリーは、地中海料理で多用されるハーブとして知られている。乾燥させたものは鉄、カルシウムおよびビタミンB6が豊富である。さらに、酸化防止剤でもあり、最近NF−κB経路を抑制することで作用する抗発癌物質として報告された(ロ(Lo)et el 2002年カルシノゲネシス(Carcinogenesis)第23巻(6):p.983〜991)カルノソール、ポリフェノールも含む。
【0003】
親油性のローズマリーまたはセージ抽出物は、カルノシン酸を約10〜30%含む。
【0004】
カルノシン酸からカルノソールを合成する方法についてはマレロ(Marrero)et al 2002年ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J.Natural Products)第65巻:p.986〜989により発表された。カルノシン酸をアセトンに溶解させ、その溶液に分子状酸素をバブリングした、カルノソールへの「定量的な変換」が報告されている。しかしながら、このスキームを何回も繰り返しても再現性がなく、カルノソールはほとんど形成されなかった。
【0005】
カルノシン酸を生物活性形態のカルノソールに変換する(transforming)容易かつ効率的な方法があれば望ましく、特に抽出および変換(transformation)が本質的に同一のステップであれば望ましいであろう。
【0006】
[発明の詳細な説明]
触媒が存在するのであれば、本発明に従って過酸化水素または過酸を酸素源として使用する酸化工程によりカルノシン酸をカルノソールに変換できることが明らかになった。触媒は、触媒量の鉄もしくは鉄塩でも、ローズマリーの針状の葉でも、またはこれらの混合物でもよい。どの触媒を選択するかは、以下でより詳細に示す、反応の他のパラメーターに左右される。したがって、本発明の方法の1つは:
a)少量の鉄、鉄塩、ローズマリーの針状の葉およびこれらの混合物からなる群から選択される触媒を含む溶媒にカルノシン酸をさらすこと、および
b)過酸化水素または過酸を導入してカルノソールを生成すること
を含む。
【0007】
理論に拘泥するわけではないが、カルノシン酸の変換は、2段階で起こると考えられる。第1のステップはキノンへの酸化であり(ただし、これはまだ分光法により確認されていない)、これに続くのがカルノソールへの転移であると考えられる。この2つの段階は同時に起きても、またはワンポット法における異なるステップ法として起きても、または別々の反応で起きてもよい。
【化1】



【0008】
また、本発明によれば、酸または弱塩基の存在下で中間体カルノシン酸キノンが転移してカルノソールが生成されることも明らかになった。このため、本発明はまた、カルノソールを生成する方法であって、カルノシン酸キノンを酸または弱塩基にさらすことを含む方法も含む。
【0009】
この反応により生成されるカルノソール含有組成物も本発明の実施形態を形成する。したがって本発明はまた、本明細書に記載のいずれかの方法により製造されるカルノソール組成物のほか、そうしたカルノソール含有組成物を含む栄養補助食品および医薬品などの最終製品をも含む。
【0010】
この反応の出発材料は、カルノシン酸の供給源であればどれでもよい。出発材料は、精製されたカルノシン酸自体でも、あるいはカルノシン酸を含むローズマリー抽出物または他の植物抽出物(セージ、サルビア・エスピーピー(Salvia spp.)など)などの精製された形態でないカルノシン酸でもよい。本発明の別の実施形態では、出発材料は、ローズマリーの葉(針状の葉)であってもよい。多くのローズマリー抽出物が市販されている。
【0011】
場合により、出発材料に前処理ステップを施してもよい。前処理では、木炭の存在下で抽出物を溶媒で処理する。好ましい溶媒は酢酸、アセトンまたはメタノールであり、最も好ましいのはアセトンである。木炭の量はあまり重要ではなく、ローズマリー抽出物の重量に対して1〜100%の範囲とすればよい。好ましい量は2〜50%である。
【0012】
触媒
A.酸化触媒は鉄または鉄塩である:
本発明によれば、鉄、鉄塩およびこれらの混合物からなる群から選択される鉄触媒は酸化触媒として働きカルノシン酸を中間体のキノンに変換することが明らかになった。鉄または鉄塩を使用しない場合、カルノシン酸の中間体のキノンへの酸化が非常に遅くなる。
【0013】
鉄塩は、一般に用いられるものであればどのような形態の鉄塩(たとえば塩化鉄、臭化鉄、硫酸鉄、酢酸鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、乳酸鉄、硝酸鉄、水酸化鉄および酸化鉄など)でもよい。本明細書および特許請求の範囲を通じて、「鉄塩」という用語は、第二鉄塩と第一鉄塩との両方、ならびにその水和物を含むことを意図している。
【0014】
溶媒が酸性であり、鉄容器に保存されている場合、溶媒は鉄を溶解することになり、その量は通常、本発明において十分である。必要とされる鉄/鉄塩の量は非常に少量であり:少なくとも約0.0001〜20モル%(カルノシン酸に対して)、好ましい量は少なくとも約0.01〜10モル%、一層好ましいのは少なくとも約0.05〜5モル%である。言うまでもなく、より多くの量の鉄が存在していてもよいが、量が多くても特別の利点は認められない。
【0015】
B.酸化触媒はローズマリーの針状の葉(葉)である
本発明の別の実施形態では、ローズマリーの針状の葉自体がこの抽出/変換の過程で触媒として働く。
【0016】
溶媒
鉄触媒の存在下で使用できる溶媒は、カルノシン酸が溶解できるか、あるいは少なくともある程度可溶である、ほぼすべての溶媒である。溶媒は:
エーテル(R2OR2、式中、R2は同一でも異なっていてもよいC1〜C4である)などの中性溶媒、または
エステルR1−COOR2、式中、R1はHまたはC1〜C3であり;R2はC1〜C4である(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、または
ケトン(アセトン、メチルエチルケトンまたはジエチルケトンなど)または
ジクロロメタン、または
アルコールR2OH(エタノールまたはイソプロパノールなど)式中、R2はC1〜C4である、または
亜臨界または超臨界二酸化炭素「SF−CO2」;または
2〜4個の炭素原子を持つ酸性溶媒(酢酸、プロピオン酸またはイソ酪酸など);または
上記の溶媒の任意の混合物
であってもよい。
【0017】
好ましい溶媒は、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチルおよび酢酸、プロピオン酸およびイソ酪酸である。特にカルノソールの目的の用途が食品または医薬品である場合、最も好ましい溶媒は酢酸である。
【0018】
中間体のキノンを変換する(transformation)ための触媒
次いで溶媒に溶かしたカルノシン酸および触媒を過酸化水素または過酸と反応させる。
【0019】
一実施形態では、塩基または酸のどちらかの存在下で酸化反応を行う。あるいは、塩基または酸は酸化の後の段階で加えても、または中間体のキノンの形成後に加えてもよい。別の方法では、中間体を別に形成し、次いで酸または塩基で処理してカルノソールを形成してもよい。
【0020】
塩基または酸は、キノンになると推察される中間体の変換(transformation)率を上昇させると考えられる。
【0021】
この反応においては、塩基は都合のよい所望の任意の量で存在すればよい。塩基を触媒として選択する場合、一般に、塩基は反応速度を上昇させる。すなわち塩基が多く存在するほど、変換(transformation)が速く起こる。一般に塩基は、カルノシン酸の量に対して0%〜400モル%の量で存在させるべきである。好ましい範囲は約10〜300モル%、一層好ましくは80〜200モル%である。
【0022】
また、どの塩基を選択するかは、選択した溶媒に左右される。酸性溶媒(すなわちSF−CO2、酢酸または他のR−COOH)の場合、強塩基も弱塩基も同様の結果を示す。酢酸などの酸性溶媒を使用する場合、どの形態も対応するアセテートを形成するため、原則としてどのような塩基を使用してもよい。したがって、塩基は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウムまたはプロピオン酸カリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム;水酸化マグネシウムおよびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0023】
使用する溶媒が中性溶媒(ジクロロメタンまたは酢酸エチルなど)である場合、NaHCO、KOAc、NaHPOおよびMg(OH)などの弱塩基が好ましい。
【0024】
好ましい塩基は一般に炭酸水素Naもしくは炭酸水素Kまたは酢酸Naもしくは酢酸Kである。
【0025】
あるいは、酸は塩基と同じ目的に使用してもよい。酸を触媒として選択する場合、ほぼすべての強酸を使用できるが、硫酸、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸またはp−トルエンスルホン酸のようなスルホン酸などの鉱酸が好ましい。最も好ましいのは塩酸または臭化水素酸である。一般に酸はカルノシン酸の量に対して0%〜400モル%の量で存在させるべきである。好ましい範囲はカルノシン酸の量に対して約5〜200モル%、一層好ましくは20〜100モル%である。
【0026】
変換(transformation)触媒として酸を使用する場合、酸性溶媒に溶かすのが好ましい。
【0027】
酸化剤
過酸化水素または過酸を使用することができる。過酸化水素の場合、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過酸化水素−尿素、または酢酸に溶かした過酸化水素など利用できる任意の供給源を使用すればよい。市販の30%または50%過酸化水素などの過酸化水素が好ましい。
【0028】
過酸としては、過酢酸、過プロピオン酸など市販の任意の過酸を使用すればよいが、好ましいのは過酢酸であり、最も好ましいのは酢酸に溶かした過酢酸溶液である。
【0029】
温度−触媒に無関係
一般に、温度が上昇すると反応は速くなる。しかしながら、この反応は、温度が上昇すると選択性が低下する。好ましい温度範囲は約0°〜100℃、一層好ましい範囲は約10°〜60℃、より一層好ましい範囲は約15°〜40℃である。
【0030】
任意の結晶化ステップ
上記の手順のいずれを使用するかにかかわらず、反応生成物を結晶化ステップに供することにより、得られる最終カルノソールの純度を高めることができる。結晶化については従来の任意の手段により達成できるが、ほとんどの場合、好ましい溶媒は酢酸である。いくつかの用途では、カルノソール含有量が90%を超える結晶を生成することができる。
【0031】
最終生成物の使用
以上記載した反応の最終生成物は、カルノソールを含むと同時に他の反応副生物をも含む。カルノソールと他の反応副生物とを共に含むこうした組成物は以下「カルノソール処理組成物」といい、様々な食品および/または栄養補助食品の使用の際にさらに精製したり、他の処理を施したりすることなく直接使用してもよい。
【0032】
本明細書で使用する場合、「栄養補助食品」という用語は、栄養と医薬品との各分野で有用であることを意味する。したがって、カルノソール処理組成物を含む新規な栄養補助食品組成物は、食品および飲料の栄養補助剤として、さらにカプセル剤または錠剤などの固形製剤でも、または溶液剤または懸濁剤などの液体製剤でもよい経腸または非経口用の医薬製剤としても使用することができる。
【0033】
本発明による栄養補助食品組成物は、保護親水コロイド(ガム、タンパク質、加工デンプン)、バインダー、被膜剤、被包剤/材料、壁/シェル材料、マトリックス化合物、コーティング、乳化剤、界面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、キャリア、充填剤、共化合物、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動化剤、矯味剤、比重調整剤、ゼリー化剤、ゲル形成剤、酸化防止剤および抗菌物質をさらに含んでもよい。
【0034】
また、本発明の栄養補助食品組成物には、食事によっては不足していることもある適量の必須栄養素を摂取するため、マルチビタミン・ミネラル栄養補助剤を加えてもよい。マルチビタミン・ミネラル栄養補助剤はさらに、疾患の予防、および生活習慣パターンによる栄養不足および欠乏症の予防にも有用である場合がある。
【0035】
本発明による栄養補助食品組成物は、体への投与に好適であればどのような製剤形態でもよく、特に、たとえば食品または飼料(用の添加剤/栄養補助剤)、食品または飼料プレミックス、栄養強化食品または飼料、錠剤、ピル、顆粒剤、糖衣錠、カプセル剤、ならびに散剤および錠剤などの発泡性製剤のような固体形態、あるいは、たとえば飲料、ペースト剤および油性懸濁剤などの溶液剤、乳剤または懸濁剤のような液体形態など、経口投与に標準的であるどのような形態でもよい。ペースト剤は、たとえば(魚、ブタ、家禽、雌ウシ)ゼラチン、植物タンパク質またはリグニンスルホネートのマトリックスを用いた硬または軟カプセルシェルに組み込んでもよい。他の使用形態として、経皮、非経口または注射投与用の形態がある。食品および医薬組成物は、制御(遅延)放出製剤の形態としてもよい。
【0036】
飼料は、ペット動物、家畜、毛皮産業に使用される動物、および水産養殖動物に与える任意の飼料を包含する。飼料はさらに、ペット動物(たとえばイヌおよびネコ)に与える間食も包含する。
【0037】
食品の例としては、たとえば、マーガリン、スプレッド、バター、チーズ、ヨーグルトまたは乳飲料などの乳製品がある。栄養強化食品の例として、シリアルバー、ケーキおよびクッキーなどのベーカリー製品がある。飲料は、非アルコールおよびアルコール飲料のほか、飲料水および液体食品に加える液体調製物を包含する。非アルコール飲料としては、たとえばソフトドリンク、スポーツドリンク、果汁、レモネード、茶および乳を用いた飲料が挙げられる。液体食品には、たとえばスープおよび乳製品がある。カルノソール処理組成物を含む栄養補助食品組成物は、成人が1日当たり約10〜1000mg、好ましくは1日当たり約50〜750mg、または一層好ましくは1日当たり約100〜500mgのカルノソールを摂取するようにソフトドリンク、エネルギーバーまたはキャンディに加えてもよい。
【0038】
栄養補助食品組成物が医薬製剤である場合、組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈液またはアジュバントをさらに含む。製剤には、たとえばレミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第20版 ウィリアムズ&ウィルキンズ(Williams & Wilkins)、PA、USAに開示されているような標準的な技法を用いればよい。経口投与の場合、好ましくは、たとえばゼラチンまたはポリビニルピロリドンなどの好適な結合剤、たとえばラクトースまたはデンプンなどの好適な充填剤、たとえばステアリン酸マグネシウムなどの好適な潤滑剤、および場合により別の添加剤を含む錠剤およびカプセル剤を使用する。
【0039】
栄養補助食品は、その抗炎症特性などのため、精神または気分の維持または改善、および関節の健康のためなど、様々な状態の維持または改善に使用してもよい。
【0040】
本発明を説明しやすくするため、以下に非限定的な例を示す。
【0041】
[実施例1]
対照実験
0.132gのカルノシン酸を30mlのアセトンに溶かした溶液(含有量=カルノシン酸90%、カルノソール2%)を10mlの反応槽にて酸素雰囲気、周囲で23時間撹拌した。これは本質的に、J.G.マレロ(Marrero)、L.S.アンドレス(Andres)、J.G.ルイス(Luis);ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J.Natural Prod.)(2002年)、第65巻、p.986〜989に記載されている条件である。溶液は、カルノシン酸を88%含み、カルノソールは3%に過ぎなかった。
【0042】
[実施例2]
18.5gのローズマリー抽出物(カルノシン酸を40%およびカルノソールを4%含有)、55gの酢酸、および7mgの塩化鉄(III)六水和物を窒素ブランケット下で撹拌した。4.7mlの32%過酢酸を含む酢酸を15℃でゆっくりと加えた。この混合物を2時間15℃で撹拌した。1mlの37%塩酸水を加え、混合物を18時間撹拌した。この懸濁液を濾過し、10mlの酢酸で洗浄した。結晶を70℃で真空乾燥させた。本発明者らは純度88%のカルノソールを5.68g得た。収率=62%。
【0043】
[実施例3]
13.1gのローズマリー抽出物(カルノシン酸を43%およびカルノソールを18%含む)、60gの酢酸および13mgの塩化鉄(III)六水和物を窒素ブランケット下で撹拌した。2.9mlの35%過酸化水素水を15℃でゆっくりと加えた。この混合物を1.5時間15℃で撹拌し、続いて1mlの37%塩酸を加えた。混合物を18時間周囲で撹拌した。このスラリーを濾過し、10mlの酢酸で洗浄した。結晶物を70℃で真空乾燥させた。本発明者らは純度92%のカルノソールを5.57g得た。収率=65%。
【0044】
[実施例4]
13.1gのローズマリー抽出物(カルノシン酸を43%およびカルノソールを18%含む)、60gの酢酸、2.5gの酢酸ナトリウムおよび7mgの塩化鉄(III)六水和物を窒素ブランケット下で撹拌した。2.9mlの35%過酸化水素水を18℃でゆっくりと加えた。この混合物を21時間周囲で撹拌した。このスラリーを濾過し、10mlの酢酸で洗浄した。結晶物を70℃で真空乾燥させた。本発明者らは純度86%のカルノソールを4.24g得た。収率=45%。
【0045】
[実施例5]
7.6gのローズマリー抽出物(カルノシン酸を40%およびカルノソールを3.5%含む)、23gの酢酸、0.4mlの37%塩酸、および5.2mgの塩化鉄(III)六水和物を窒素ブランケット下で撹拌した。15℃で0.90mlの50%過酸化水素水ゆっくりと加えた。この混合物を4時間18℃で撹拌した。この混合物のカルノソール含有量をHPLCにより解析した。収率=90%。
【0046】
[実施例6]
10.7gのローズマリー抽出物(カルノシン酸を15%およびカルノソールを16%含む)、32gの酢酸、0.2mlの37%塩酸、および5.2mgの塩化鉄(III)六水和物を窒素ブランケット下で撹拌した。0.54mlの50%過酸化水素水を18℃でゆっくりと加えた。この混合物を3時間周囲で撹拌した。この混合物のカルノソール含有量をHPLCにより解析した。収率=80%。
【0047】
[実施例6]
7.6gのローズマリー抽出物(カルノシン酸を40%およびカルノソールを3.5%含む)および0.76gの木炭を32mlのアセトン中、還流で10分間撹拌し、周囲まで冷却し、濾過した。木炭を8mlのアセトンで洗浄した。濾液を蒸発乾固した。残渣に22gの酢酸、0.4mlの37%塩酸および7.2mgの塩化鉄(III)六水和物を加えた。この混合物を窒素ブランケット下で撹拌した。0.90mlの50%過酸化水素水を18℃でゆっくりと加えた。この混合物を5時間周囲で撹拌した。このスラリーを濾過し、10mlの酢酸で洗浄した。結晶物を70℃で真空乾燥させた。本発明者らは純度88%のカルノソールを2.61g得た。収率=70%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルノシン酸をカルノソールに変換する方法であって:
a)少量鉄、鉄塩、ローズマリーの針状の葉およびこれらの混合物からなる群から選択される触媒を含む溶媒にカルノシン酸をさらすステップと、
b)過酸化水素および過酸からなる群から選択される酸化剤を導入してカルノソールを生成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記カルノシン酸は植物抽出物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物抽出物はローズマリー抽出物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化剤は塩基または酸の存在下で導入される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記塩基または酸は前記酸化剤の後に導入される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化剤は過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウムまたは過酸化水素−尿素などの過酸化水素源から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化剤は過酸化水素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
前記酸化剤は過酸である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化剤は過酢酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記鉄塩は塩化鉄の第二鉄塩および第一鉄塩、臭化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、酢酸鉄、プロピオン酸鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、乳酸鉄、酸化鉄、水酸化鉄、これらの水和物、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒は酸性溶媒R1−COOH(式中、R1はC1〜C3である)、エーテルR2OR2(式中、R2は同一でも異なっていてもよいC1〜C4である)などの中性溶媒、またはエステルR1−COOR2(式中、R1はHまたはC1〜C3であり;R2はC1〜C4である)(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、またはケトン(アセトン、メチルエチルケトンまたはジエチルケトンなど)またはジクロロメタン、またはアルコールR2OH(式中、R2はC1〜C4である)(エタノールまたはイソプロパノールなど)、または亜臨界または超臨界二酸化炭素「SF−CO2」;または上記の溶媒の任意の混合物からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒は2〜4個の炭素原子を持つ炭酸溶媒またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒は酢酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記植物抽出物はステップa)の前に、酢酸、アセトンおよびメタノールからなる群から選択される溶媒の存在下、木炭で前処理される、請求項2〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項により製造される、カルノソール組成物。

【公表番号】特表2011−529941(P2011−529941A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521558(P2011−521558)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060069
【国際公開番号】WO2010/015617
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】